JP5596975B2 - 腫瘍と関連している遺伝的変異 - Google Patents
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Description
本出願は、2006年10月26日に提出された米国仮特許出願番号60/863,106及び2007年5月14日に提出された米国仮特許出願番号第60/917,814号の優先権を主張するものであり、その明細書の全文を参照することによりここに援用される。
本発明は、一般的に、腫瘍と関連している遺伝的変異に関する。
細胞が、増殖のアドバンテージを究極的に与える体細胞変異を蓄積すると、癌が発生する場合がある。体細胞変異は、例えば、ヌクレオチド塩基の置換、欠失、挿入、増幅及び再配列を含む。癌で起こる体細胞変異の同定は、癌の発達に関して、有益な情報を提供する。この種の情報は、癌の診断マーカー及び治療上の目標の同定のためにも有用である。(Bamford et al. (2004) British Journal of Cancer 91:355-358.参照)。癌と関連している体細胞変異の同定は、例えば特定の治療に応答する患者集団を識別する際など、臨床設定において有益であることが判明した。(Lynch et al. (2004) N. Engl. J. Med. 350: 2129-2139; O'Hare (2004) Blood 104:2532-2539.参照)。したがって、癌で起こる体細胞変異を同定するという継続的なニーズが存在する。
生殖系列の変異又は多型は、生物のゲノムに存在する遺伝性変異である。多型は、制限断片長多形性(RFLP)、ショートタンデムリピート(STR)及び一塩基変異多型(SNP)を含む。生殖系列変異は癌を含む特定の疾患の羅患率と関連している場合がある。(Vierimaa et al. (2006) Science 312:1228-1230; Landi et al. (2006) Science 313:521-522; Zhu et al. (2004) Cancer Research 64:2251-2257.参照)。したがって、癌と関連している多型を同定するという継続的なニーズが存在する。
本願明細書において記載される本発明は、上記のニーズを満たし、また他の利点を提供する。
本発明の組成物及び方法は、部分的に、腫瘍サンプルに由来するポリヌクレオチドの新しい変異の発見に基づく。
一つの態様では、(a)図1から選択されるヌクレオチド位置にヌクレオチド変異を含むPROポリヌクレオチド又は少なくとも約10ヌクレオチド長のその断片、又は(b)その相補鎖を含む単離されたポリヌクレオチドが提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異は、配列番号:1−78で起こる。他の一実施態様では、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、プライマーである。他の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドである。
これら及び更なる実施態様は、以下の明細書において記載される。
I.定義
この明細書を解釈するために、以下の定義が適用され、適当な場合はいつでも、単数形で用いられる語は複数形を含み、その逆もまた同様である。下に記載する定義がここで援用される文献と矛盾する場合、下に記載される定義は調製する。
「プライマー」は、核酸にハイブリダイズし、一般に遊離した3'-OH基を供給することにより、相補的なポリヌクレオチドの重合を促進する一本鎖ポリヌクレオチドである。
「PROポリヌクレオチド」又は「PROをコード化する核酸」は、特に示されない限り、PROをコード化する遺伝子又はコード化配列(例えば、mRNA又はcDNAコード配列)を意味する。
「アミノ酸変異」は、基準配列(例えば野生型配列)と比較したアミノ酸配列における変化(例えば、内部欠失又はN末端もしくはC末端の切断のような、一以上のアミノ酸の挿入、置換又は欠失)を意味する。
「変異」は、ヌクレオチド変異又はアミノ酸変異を意味する。
「図1から選択されるヌクレオチド位置でのヌクレオチド変異」及びその文法的に変形したものは、図1の第6列に記載されるヌクレオチド位置のいずれかにおけるPROヌクレオチドのヌクレオチド変異を意味するが、図1の第6列に記載される特定のヌクレオチド変異に限定されるものではない。例示及び例証のために、図1の第6列、第5行目を参照すると、AKT2ポリヌクレオチドのヌクレオチド位置505でのヌクレオチド変異は、特定のヌクレオチド変化、つまり第6列に示されるG/T置換を含むがこれに限定されるものではなく、そのヌクレオチド位置でのあらゆる変化を含む。その用語は、特に示されない限り、そのヌクレオチド配列の相補鎖における対応する変化も含む。
「図1から選択されるアミノ酸位置でのアミノ酸変異」及びその文法的に変形したものは、図1の第7列に記載される特定のアミノ酸変化を含むがこれに限定されるものではなく、図1の第7列に記載されるアミノ酸位置のいずれかでのPROアミノ酸配列におけるアミノ酸変異を意味する。例示及び例証のために、図1の第7列、第5行目を参照すると、AKT2のアミノ酸位置101でのアミノ酸変異は、特定のアミノ酸変化、つまり第7列に示されるR>L置換を含むがこれに限定されるものではなく、そのアミノ酸位置でのあらゆる変化を含む。
「図1から選択されるアミノ酸変化」及びその文法的に変形したものは、図1の第7列に記載される特定のアミノ酸変化のいずれかを意味する。例証のための、図1から選択されるアミノ酸変化の例は、図1の第7列、第5行目に示されるように、AKT2のアミノ酸位置101におけるR>L置換である。
「活性化変異」は、野生型ポリペプチドと比較して、コード化されたポリペプチドのより活性化された型を生じる遺伝子又はコード配列の変異を意味する。
「アレル特異的プライマー」は、プライマーであるアレル特異的オリゴヌクレオチドを意味する。
「アレル特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ」は、(a)プライマーがヌクレオチド変異の3’の領域で標的核酸にハイブリダイズし、(b)ポリメラーゼにより伸長されることにより、ヌクレオチド変異に相補的なヌクレオチドが伸長産物に取り込まれる、プライマー伸長アッセイを意味する。
「アレル特異的プライマー伸長アッセイ」は、アレル特異的プライマーが標的核酸にハイブリダイズして伸長する、プライマー伸長アッセイを意味する。
「アレル特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ」は、(a)アレル特異的オリゴヌクレオチドが標的核酸にハイブリダイズし、(b)ハイブリダイゼーションが直接的又は間接的に検出される、アッセイを意味する。
「5’ヌクレアーゼアッセイ」は、アレル特異的オリゴヌクレオチドの標的核酸へのハイブリダイゼーションが、ハイブリダイゼーションプローブの核酸分解切断を可能にし、検出可能なシグナルを生じる、アッセイを意味する。
「分子ビーコンを用いたアッセイ」は、アレル特異的オリゴヌクレオチドの標的核酸へのハイブリダイゼーションが、遊離オリゴヌクレオチドから出される検出シグナルレベルよりも高い検出シグナルレベルを生じる、アッセイを意味する。
「オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ」は、アレル特異的オリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドが互いに隣接して標的核酸にハイブリダイズし、共に結合し(ヌクレオチドを介在して直接的又は間接的に)、結合産物が直接的又は間接的に検出されるアッセイを意味する。
「検出」は、直接的及び間接的な検出を含む検出する任意の手段を含む。
本明細書中で用いる「診断」なる用語は、分子の、又は病理学的状態、疾患、状況の同定又は分類を意味する。例えば「診断」は、例えば肺癌などの特定の癌種の同定であってもよい。「診断」は、例えば組織学により(例えば非小細胞肺癌)、分子特徴により(例えば特定の遺伝子又はタンパク質におけるヌクレオチド又はアミノ酸変異により特徴付けられる肺癌)、又はその両方により特定の癌種の分類であってもよい。
本明細書中で用いる「予測」なる用語は、患者が薬剤又は一連の薬剤に対して有利又は不利に応答する可能性を意味する。一実施態様では、予測はその応答の程度に関する。他の一実施態様では、予測は、例えば特定の治療的薬剤による治療及び/又は原発性腫瘍の外科的切除、及び/又は癌の再発を伴わない一定期間の化学療法などの治療の後に患者が生存しているか改善しているかどうか、及び/又はその可能性に関する。本発明の予測方法は、任意の特定の患者のために最も好適な治療様式を選択することによって、治療決定を臨床的に行うことができる。本発明の予測方法は、患者が、治療投薬計画、例えば特定の治療剤や組み合わせの投与、外科的介入、化学療法などを含む特定の治療投薬計画に有利に応答するかどうか、又は治療投薬計画の後に患者が長期に生存しているかどうかを予測する際の有用なツールである。
本明細書中で用いる「腫瘍」なる用語は、悪性、良性を問わず全ての腫瘍性細胞成長及び増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」及び「腫瘍」は、ここで述べられるように、相互に排他的ではない。
「癌」及び「癌性」は、一般的に、無秩序な細胞成長及び増殖により特徴付けられる哺乳動物の生理的状況を意味する。癌の例には、これに限定されないが、カルシノーマ、リンパ腫(例えばホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫及び白血病を含む。癌のより詳細な例は、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、腎細胞癌、消化管癌、胃癌、食道癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、メラノーマ、白血病及び他のリンパ球増殖性疾患、及び様々な型の頭部癌及び頸部癌が含まれる。
「新生物」又は「腫瘍性細胞」は、対応する正常組織又は細胞よりも激しく増殖する、又は増殖を惹起する刺激の除去後にも増殖し続ける異常な組織又は細胞を意味する。
「肺腫瘍細胞」は、インビボあるいはインビトロの肺腫瘍細胞を意味し、原発性肺腫瘍又は転移性肺腫瘍由来の細胞、及びそれらの細胞由来の細胞株を含む。
個体に所望する反応を引き出すための本発明の物質/分子の「治療的有効量」は、病状、年齢、性別、個体の体重、及び物質/分子の能力等の要因に応じて変わり得る。また、治療的有効量とは、物質/分子の任意の毒性又は有害な影響を、治療的に有益な効果が上回る量を含む。「予防的有効量」は、所望する予防的結果を達成するのに必要な期間、用量で有効な量を意味する。必ずではないが、典型的には、予防的用量は、疾病の前又は初期の段階に患者に使用されるために、予防的有効量は治療的有効量よりも少ない。
本発明に従って用いられる場合、特定の治療薬又は治療選択に対する「耐性の増加」なる用語は、薬剤の標準的な用量又は標準的な治療手順に対する応答の減少を意味する。
本発明に従って用いられる場合、特定の治療薬又は治療選択に対する「感受性の減少」なる用語は、薬剤の標準的な用量又は標準的な治療手順に対する応答の減少を意味し、この応答の減少は薬剤の用量や治療の強度を増やすことによって、(少なくとも部分的に)補われうるものである。
「患者応答」は、限定するものではないが以下のものを含む患者に利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価できる。(1)緩徐化又は完全な増殖停止を含む、ある程度の腫瘍増殖の阻害、(2)腫瘍細胞数の減少、(3)腫瘍サイズの減少、(4)近接する末梢器官及び/又は組織への腫瘍細胞浸潤の阻害(すなわち減少、緩徐化又は完全な停止)、(5)転移の阻害(すなわち減少、緩徐化又は完全な停止)、(6)必ずではないが腫瘍の退縮又は拒絶が生じ得る抗腫瘍免疫応答の亢進、(7)腫瘍と関連する一又は複数の症状の、ある程度の軽減、(8)治療後の生存期間の増加、及び/又は(9)治療後の特定の時点での死亡率の減少。
「アゴニスト」は最も広い意味で用いられ、PROのようなポリペプチドの生物学的活性を部分的又は完全に模倣する、もしくはポリペプチドをコード化する核酸の転写又は翻訳を部分的又は完全に増加するあらゆる分子が含まれる。典型的なアゴニスト分子には、これに限定されないが、アゴニスト抗体、ポリペプチド断片、オリゴペプチド、有機分子(小分子を含む)及びPROポリヌクレオチド、PROポリペプチド及びPRO−Fc融合物が含まれる。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標登録))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビロール、MARINOL(登録商標));β−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標)、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチン、及び9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ドゥオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロランブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えばAgnew, Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)参照);ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリンアナログ、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン類、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシノイド(maytansinoid)類、例えばメイタンシン(maytansine)及びアンサミトシン(ansamitocine);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELIDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド類、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、ABRAXANETMパクリタキセルのクレモフォー無添加アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲムシタビン(gemcitabine)(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナアナログ、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標);プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン(novantrone);エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロナート(ibandronate);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸のようなレチノイド;カペシタビン(capecitabine)(XELODA(登録商標));及び上述したものの薬学的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体、並びに、上記のうちの2つ以上の組み合わせ、例えば、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略称)、及びFOLFOX(5−FU及びロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATINTM)を用いる治療計画の略称)が含まれる。
「抗体」及び「免疫グロブリン」なる用語は、最も広義で相互に交換可能に使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長又は無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物活性を示す限り二重特異性抗体)が含まれ、さらにある種の抗体断片(ここに詳細に記載されるもの)も含まれ得る。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化及び/又は親和成熟したものであってよい。
「抗体断片」は完全な抗体の一部を含んでなるものであり、好ましくはその抗原結合部位を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片;ダイアボディ;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片である。ある実施態様では、二本鎖Fv種は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。集合的に、Fvの6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。通常、scFvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
「小分子」又は「有機小分子」は、本明細書において500ダルトン以下の分子量を有する有機分子と定義される。
「PRO結合有機分子」又は「PROに結合する有機分子」は、PROを標的とした診断薬及び/又は治療薬として有用な程度にPROと十分な親和性で結合可能な有機分子である。ある実施態様では、関連のない非PORタンパク質へのPRO結合有機分子の結合の程度は、PROへのPRO結合有機分子の結合の約10%より低く、その程度は例えば表面プラズモン共鳴アッセイにより測定される。ある実施態様では、PRO結合有機分子は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。
核酸、ポリペプチド又は抗体のような「単離された」生物学的分子は、少なくとも1つの自然環境の構成成分から同定及び分離、及び/又は回収されたものである。
腫瘍と関連しているヌクレオチド及びアミノ酸変異がここに提供される。これらの変異は、癌に対するバイオマーカーを提供する、及び/又は腫瘍形成もしくは腫瘍促進の素因となる、又は寄与する。したがって、ここに開示される変異は、例えば癌の診断及び治療に関する方法及び組成物など、種々の設定において有用である。
更に実施例Aにおいて記載されるように、708の腫瘍標本のパネルから153の遺伝子が変異について分析された。その分析によって同定される変異は、図1に示される表に記載される。表の第1列(変異ID)は、各変異の識別番号を記載する。第2及び第3列(UNQ ID及びDNA ID)は、更なる遺伝子特異的な識別番号を記載する。第4列(遺伝子)は、変異が同定された遺伝子を記載する。第5列(遺伝子の概要(HUGO))は、第4列に記載される各遺伝子のヒト遺伝子解析機構(HUGO)からの、簡単な説明を提供する。Wain et al. (2002) Genomics 79:464-470参照。
第6列は、変異が見出された腫瘍の組織型を示す。第7列は、変異が見出された腫瘍の特定の型を示す。
変異は、腫瘍サプレッサー遺伝子(例えばp53及び網膜芽細胞腫)においても見出された。一般に腫瘍抑制機能の損失は、細胞増殖及び腫瘍促進と多くの場合関連している。したがって、腫瘍抑制遺伝子をコード化する遺伝子の変異は、腫瘍抑制機能を減少させる完全に、もしくは部分的に機能を損失させる変異である場合がある。この種の変異が検出される腫瘍は、腫瘍抑制アゴニストに応答する場合がある。腫瘍抑制アゴニストは、例えば、アゴニスト抗体、腫瘍抑制遺伝子をコード化しているポリヌクレオチド、腫瘍抑制因子自体又は腫瘍抑制因子−Fc融合体である。
一つの態様では、少なくともPROポリヌクレオチドの断片を含んでいる単離されたポリヌクレオチドが提供され、断片はヌクレオチド変異を含む。一実施態様において、ヌクレオチド変異が、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様において、PROポリヌクレオチドの断片は、少なくとも約10ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約15ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約20ヌクレオチド長、あるいは、あるいは少なくとも約30ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約40ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約50ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約60ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約70ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約80ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約90ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約100ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約110ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約120ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約130ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約140ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約150ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約160ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約170ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約180ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約190ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約200ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約250ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約300ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約350ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約400ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約450ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約500ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約600ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約700ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約800ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約900ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約1000ヌクレオチド長、あるいはおよそ完全長コード化配列の長さである。これに関連して、用語「約」は、その引用された長さのプラス・マイナス10%のヌクレオチド配列長を意味する。他の一実施態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号:1−78から選択されるポリヌクレオチド配列又はその断片におけるヌクレオチド変異を含む。他の実施形態では、上記ポリヌクレオチドのいずれかの相補鎖が提供される。他の一実施態様において、上記ポリヌクレオチドのいずれかにコード化されるPROが提供される。
別の態様においては、診断キットが提供される。一実施例において、キットは、前述のポリヌクレオチド及び酵素のいずれかを含む。一実施態様において、酵素は、ヌクレアーゼ、リガーゼ及びポリメラーゼから選択される少なくとも一つの酵素である。
一つの態様では、生体試料に由来されるPRO又はPROポリヌクレオチドにおける変異を検出することを含む腫瘍の存在を検出する方法が提供される。一実施態様において、生体試料は、腫瘍を有すると推測される哺乳動物から得られる。
別の態様においては、ヌクレオチド変異が生体試料に由来されるPROポリヌクレオチドに存在するかどうか検出することを含む生体試料の遺伝子型を決定する方法が提供される。一実施態様において、ヌクレオチド変異が、図1から選択されるヌクレオチド位置に存在する。そのような実施態様において、ヌクレオチド変異は、図1から選択されるヌクレオチド変化である。他の一実施態様では、生体試料は、腫瘍細胞を含むと推測される。他の一実施態様において、生体試料は、例えば不死化細胞株などの細胞株である。他の一実施態様では、生体試料は腫瘍である。そのような実施態様において、腫瘍の遺伝子型は、腫瘍を分類するための基礎を提供する。
別の態様においては、PROの活性を減少させる変異をPRO内に含む腫瘍細胞の増殖を阻害する方法が提供され、その方法はPROのアゴニストに腫瘍細胞を暴露することを含む。一実施形態において、アゴニストは、PROポリヌクレオチド又はPROを含む。他の一実施態様では、PROは、腫瘍抑制因子である。
上記方法のいずれかによると、ヌクレオチド変異は体細胞変異又は生殖系列多型であってもよい。
上記方法のいずれかによると、核酸は、ゲノムDNA;ゲノムDNAから転写されるRNA;又はRNAから生成されるcDNAであってもよい。核酸は、脊椎動物(例えば哺乳動物)に由来してもよい。核酸は、その供給源から直接得られる場合、又はそれがその供給源において見いだされる核酸のコピーである場合、特定の供給源に「由来する」という。
この種の体試料のスクリーニングにより、疾患(例えば癌)の簡潔な早期診断が達成される。さらに、治療の進捗は、標的核酸(又はコード化されたポリペプチド)における変異について、この種の体試料を検査することによって、より容易にモニターすることができる。さらに腫瘍細胞の組織標本を拡充するための方法は、この分野において公知である。例えば、組織は、パラフィン又はクリオスタット切片から単離されてもよい。癌細胞は、フローサイトメトリー又はレーザーキャプチャーマイクロダイセクションにより正常細胞から分離され得る。
A.ヒト腫瘍における変異の同定
708のヒト腫瘍標本は、商業的な供給源から得られた。腫瘍は、充分な腫瘍含有量(すなわち80%を超える腫瘍細胞)を確保するために、病理検査にかけられた。153の遺伝子は、癌における潜在的重要性に基づいて、分析のために選択された。腫瘍標本から得たゲノムDNAを使い、それらの遺伝子のエキソン及びいくつかのイントロン配列を増幅するためにPCRが用いられた。アンプリコンは、標準的なサンガーの配列決定法を用いて配列決定され、その配列は変異を同定するために対応する野生型配列と比較された。変異は、それらのデータベースに存在せず、新規であると決定される変異を同定するために、NCBI「dbSNP」データベースにおける単一ヌクレオチド多型(Sherry et al. (1999) Genome Res. 9: 677-679参照)及びthe Catalogue of Somatic Mutations in Cancer(COSMIC)データベース(Bamford et al. (2004) British Journal of Cancer 91:355-358参照)における体細胞変異と比較した。変異は、オリジナルの腫瘍試料に由来するエクソンを再び増幅及び配列決定することにより確証された(すなわち、確立された)。正常な試料に適合する患者のゲノムDNAからのアンプリコンは、変異が体細胞の変異もしくは生殖系列の変異であるかどうかを決定するために生成され、配列決定された。前述の分析の結果は図1及び2に示され、上記の実施態様の詳細な説明においてより詳細に記載される。
体細胞変異がホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)シグナリング経路に関係する遺伝子において発見されたことが知られている。それらの遺伝子は、PIK3R1、PIK3CA及びPTENを含むが、これに限定されるものではない。PIK3R1(PI3KRとも称される)は、p85αをコード化しており、PI3Kの制御サブユニットである。p85αは、PIK3CA(p110αと称される)によってコード化されるタンパク質を負に制御するものであり、PI3Kの触媒サブユニットである。PIK3CAの活性化変異が、頻繁に結腸癌及び乳癌に起こることは公知である。PIK3R1における機能損失の変異は、p110α及び腫瘍促進の活性化を生じると予測される。PTENは、PI3Kシグナリングの下流に作用し、拮抗する腫瘍抑制遺伝子である。PTENにおける機能損失の変異もまた、腫瘍促進を生じると予測される。
現在の研究は、図1及び2に示すように、結腸腫瘍、膵臓腫瘍及び***腫瘍標本におけるPIK3R1の体細胞変異を同定した。p85αにおいて見出されるいくつかの変異の位置は、図3において視覚的に表される。PIK3R1のトランケーション変異がリンパ腫において非常に低い頻度で報告されており、PIK3R1のスプライス部位での変異が原発性の結腸腫瘍(1/60)及び卵巣腫瘍(3/80)において非常に低い頻度で報告されていることが知られている。Philp et al. (2001) Cancer Res. 61: 7426-7429参照。しかしながら、本所見は、6%を超える頻度でで固形腫瘍(特に結腸腫瘍)におけるPIK3R1のコード配列の変異の証拠を提供する。
さらに、B−raf、KRAS、PIK3R1、PIK3CA、ERBB3及びERBB4の変異の頻度分析は、以下の通りの統計的有意差を伴って、それらの変異が「ドライバー」変異、すなわち腫瘍形成もしくは腫瘍発達において原因として働く変異であると予測されることを明らかにした:
前述の本発明が理解の明快さのために図と例とをあげて詳細に記載されているが、記載及び例は本発明の範囲を制限するように解釈されてはならない。ここに引用される全ての特許文献及び科学文献の開示は、その全てを参照することにより明確に援用される。
Claims (5)
- 腫瘍がPI3K経路におけるタンパク質を標的とする治療薬に応答するかどうかを予測する方法であって、該腫瘍がPIK3R1ポリペプチドのアミノ酸置換564Nを含むかどうかを決定することを含み、置換の存在が該腫瘍が治療剤に応答するであろうことを示す、方法。
- アミノ酸置換が564N>Dである、請求項1に記載の方法。
- 腫瘍が固形腫瘍である、請求項1に記載の方法。
- 腫瘍が結腸腫瘍である、請求項1に記載の方法。
- 治療薬がPIK3CAポリペプチドを標的とする、請求項1に記載の方法。
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