JP5595522B2 - 外科システム - Google Patents

Description

発明の詳細な説明

〔背景技術〕
本発明は、特定の「最小限に侵襲的な外科手術」処理中に外科医の視野を増進する専門的な機器に関する。

現代の外科手術の実際では、可能であれば、最小限に侵襲的な外科手術を用いることが好ましい。これは、傷の改善が向上し、傷の感染が減少し、回復期間が短くなるからである。例えば、骨折の固定では、最小限に侵襲的なプレート（ＭＩＰＯ）技術が今世界中で用いられている。これは、迅速な骨の治癒ができ、複雑さが少ないからである。しかしながら、最小限に侵襲的な外科手術は、外科医の視野についてはいくつかの制限を有しており、見ずに行う技術がいくつか必要であり、神経処理の危険が増している。

「腕骨トンネル症候群解放手術」は、このような新しい「最小限に侵襲的な外科手術」の一つであり、ここでは、神経を解放するために、腕に小さい切り込みが入れられる。古い技術は長い切り込みを行い、もちろん長い治癒時間を要した。新しい技術は、視野が制限されるという、ある制限を有しており、我々は、この問題の軽減を設計することが可能であろうと考え、そしてその結果が、外科手術視野増進器である。

この機器を設計するうえでの我々の狙いは、外科医に、腕骨トンネル解放手術や最小限に侵襲的な外科手術のときに視野を増進し、視野が狭い結果起こる神経損傷の危険を低減できる、機器を提供することであった。

〔発明の要約〕
外科手術視野増進器は、限定のある皮膚切開の下で視野を改善するために用いられる。外科手術視野増進器は、外科医の作業をやりやすくする種々の部分を有する。例えば、取り外し可能なハンドル、トンネル開口ガイド、トンネル拡張器、照明器および光送信器である。

はじめに、ユーザは、柔組織を通るトンネルを生成するために、外科手術視野増進器の外科道具本体を保持し、トンネル開口端部を用いる。トンネル開口端部は、トンネル拡大のためのトンネル開口チップと拡大外科用メスとから成っている。距離マーカーとガードとが用いられる。いくつかの場合には、トンネル生成をガイドするために、柔組織にトンネル開口ガイドを挿入することができる。トンネル拡張器は、操作部位に対するトンネルを生成するためのトンネル開口ガイドに従う。

トンネルが生成されたとき、外科手術視野を増進するために、視覚増進器端部が挿入される。外科医は、必要ならば、視覚増進器端部によって生成されたトンネルを通る外科用メス、ハサミその他の器具を用いることができる。外科領域に特別な光を供給するために、必要であれば、関連する照明器と光送信器を用いることができる。

〔参考文献〕
Chapman et al. Complete median nerve transection as a complication of carpal tunnel release with a carpal tunnel tome. Am J Orthop (2001) vol. 30 (8) pp. 652-3、
Cellocco et al. Mini-open blind procedure versus limited open technique for carpal tunnel release: a 30-month follow-up study. The Journal of hand surgery (2005) vol. 30 (3) pp. 493-9、
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〔図面の簡単な説明〕
図１は、外科手術視野増進器の全構成要素の配向の様子であり、取り外し可能なハンドル、トンネル開口ガイド、トンネル拡張器、照明器および光送信器を示している。

図２は、トンネルを生成するためにトンネル開口端部を挿入する手の、手のひら側を示す。

図３は、外科手術視野を増加させるための視覚増進器端部の挿入を示す。

図４は、利用できる種々の長さのトンネル開口ネックと、２種類のガードを示す。

図５は、利用できる種々のトンネル開口チップの形状を示す。

図６ａは、利用できる種々の種類のトンネル開口ガイドを示す。

図６ｂは、外科手術視野増進器を有するトンネル開口ガイドを示す。

図７は、生成できる種々の種類のガイド穴の例を示す。

図８は、種々の種類の視覚増進器端部を示す。

図９ａは、照明器の取り付け前の外科手術視野増進器を示す。

図９ｂは、照明器の外科手術視野増進器への取り付けを示す。

図１０ａは、照明器を光送信器コネクタに直接取り付ける前の外科手術視野増進器を示す。

図１０ｂは、照明器の光送信器コネクタへの直接の取り付けを示す。

図１１は、照明器に結合可能な種々の種類の光送信器を示す。

図１２ａは、取り外し可能なハンドルの外科手術視野増進器への取り付けを示す。

図１２ｂは、取り外し可能なハンドルを外科手術視野増進器へ取り付ける様子であって、特別のスロットへの挿入を示す。

図１２ｃは、取り外し可能なハンドルの取り付け後を示す。

図１２ｄは、取り外し可能なハンドルを外科領域の視覚増進器端部に取り付けた後の他の様子を示す。

図１３ａおよびＢは、永久的なハンドルを有するトンネル開口端部を示す。

〔発明の完全な実施形態〕
図面、特に図１を参照して、医学装置は、外科手術視野増進器１０、取り外し可能なハンドル６０、トンネル開口ガイド５０、トンネル拡張器９５、照明器７０および光送信器８０という６つの道具から成る。図２および図３に示すように、外科手術視野増進器１０は、外科手術の２つの段階に対して用いられる主な道具であり、この２つの段階は、トンネル生成処理および視野増進処理である。この装置の他の部分は補助的な道具であり、使用の便利さを増加させるような状況で用いることができる。

図４では、外科手術視野増進器１０を図示し、これは、４つの主要部分、すなわち、外科道具本体１１、ガード２０、視覚増進器端部３０およびトンネル開口端部４０を有する。トンネル生成段階では、トンネル開口端部４０が、柔組織に挿入される。ユーザは、トンネル生成処理中、確固たる制御のために滑り止め溝１２に配置された親指で外科道具本体１１を保持する。トンネル開口チップ４１は、最初に挿入され、拡大外科用メス４５がそれに続く。拡大外科用メス４５は、道具を前に押すことによってトンネルを生成する。

なおも図４を参照して、トンネル開口端部４０は、種々の大きさのトンネル開口ネック４４を有する。特別に長いトンネルが必要な場合には、長いネック４４１が用いられ、付加されたガード２０は、トンネルの深さを監視する。調整可能なガード２２は調整可能なトンネル２４を有する。調整可能なガード２２は、トンネル開口部の長いネック４４１上を滑り、長さの調整可能なシステムを用いてトンネルの長さを監視および制御する。距離マーカー４７は、トンネル開口ネック４４上で校正され、トンネルの深さの正確な測定を可能にする。

図５に、種々の形状のトンネル開口チップ４１を示す。これらは、種々のタイプの柔組織に用いることができる。小さいトンネル開口部４１１は、小さい平坦な小さなチップを有し、これは、柔組織での使用に適しており、一方、矢タイプのトンネル開口部４１２は、両側の基部に、小さなチップと、より幅広い斜面とを有し、これは、より硬い組織での使用に適している。垂直タイプのトンネル開口部４１３は、両側の基部に、小さな垂直のチップと、より幅広い斜面とを有し、これは、限定された垂直の入り口での使用に適している。

図６ａで、トンネル開口ガイド５０は、トンネル生成処理で方向をガイドする補助的な道具である。種々のタイプの柔組織での挿入のために、種々の大きさと形状のトンネル開口ガイド５０が利用可能である。ワイヤ版のトンネル開口ガイド５０１は、より硬い組織に適した小さい丸い小さなワイヤを有する。簡素なトンネル開口ガイド５０２は、柔組織に適した平坦な小さい形状である。滑り止めトンネル開口ガイド５０３は、皮下組織のような一般的な組織に適した、滑り止めハンドル５５および深いガードストッパ５４を有する、小さい平坦な形状である。トンネル開口ガイド５０は、２つの端部を有し、一方は、トンネルガイドスタータ５３であり、他方は、トンネル開口ガイド本体５２である。ワイヤ版のトンネル開口ガイド５０１では、２つの小さい端部があり、これらは、ワイヤ版のトンネルガイドスタータ５３１とワイヤ版のトンネル開口ガイド本体５２１である。トンネルガイドスタータ５３は、方向を容易に制御できる、挿入される最初の部位である。ユーザは、ハンドルを握り、深いガードストッパ５４によって制限される制御された距離分、前方にトンネルガイドスタータ５３を押すことができる。ハンドルは、２タイプあり、簡素なハンドル５５０と滑り止めハンドル５５である。簡素なハンドル５５０は、より柔らかい組織に適した滑らかな表面を有する。滑り止めハンドル５５は、より硬い組織に適した荒い表面を有する。トンネルガイドスタータ５３で開始した後、ユーザは、トンネル開口ガイド本体５２を、ガードのガイド穴２１に通し、その後、図６ｂに示すようなネックのガイド穴４６に通す。そして、トンネル開口ガイド本体５２が柔組織に挿入される。ガイドの下、トンネル開口端部４０はその後、トンネル開口ガイド５０の方向に従ったトンネルを生成することができる。

図７に、ネックの種々の種類のガイド穴４６を通して挿入されるのに適した種々の種類のトンネル開口ガイド５０を示す。標準的なタイプのガイド穴４６１は、簡素なトンネル開口ガイド５０２と滑り止めトンネル開口ガイド５０３とに適した大きな穴を有している。小さいタイプのガイド穴４６２は、小さいワイヤ版のトンネル開口ガイド５０１に適した、より小さい丸い穴を形成している。ピンタイプのガイド穴４６３は、最も小さいサイズのワイヤ版のトンネル開口ガイド５０１に適した、最も小さい丸い穴を有している。穴のない表面４６４は、ネックに穴を有せず、これは、トンネル開口ガイド５０を用いる必要がない場合に適している。

図１を参照して、トンネル拡張器９５は、視覚増進処理の前にトンネルを拡張するための補助的な道具である。トンネル拡張器９５は、鈍化チップ９５１、両側の鋭いエッジ９５２、および、マーカー付きのハンドル９５３から成る。丸い鈍化チップ９５１は、最初の挿入区域のために用いられる。両側の鋭いエッジ９５２は、トンネルを拡大するための、より広いエッジを有する。マーカー付きのハンドル９５３は、深さを測定するためのマーカーを有する操作棒である。

視覚増進処理のために、トンネル開口端部４０によって生成されたトンネルに沿って、視覚増進器端部３０が柔組織の中へ挿入される。図８は、視覚増進器端部３０を示し、これは、小さいチップ３７、横柔組織保護器３５、および、視覚空間３６から成る。小さいチップ３７は、最初の挿入のために十分小さい、特別な小さい丸い端部を有し、この最初の挿入の後に、柔組織を保護するために、横柔組織保護器３５の両側の板が通過する。ユーザが視覚増進器端部３０を柔組織に深く通すと、視覚空間３６が生成され、それを通してのトンネルを、通路に沿って明確に見ることができる。ユーザは、その後、視覚空間３６を通して、外科手術ナイフやハサミなどの他の道具を通すことができる。視覚空間３６は、トンネルの深さや大きさに応じて、種々の形状や大きさを有することができる。大きな視覚増進器端部３３は、深いトンネルに用いることができる、より長い視覚空間３６を有する。特別に大きな視覚増進器端部３４は、最も深いトンネルに用いることができる、最も長い視覚空間３６を有する。視覚増進器端部３０は、照明スロット３１を有し、これは、光送信器８０などの補助的な道具を挿入するための特別なスロットである。光送信器８０が不要の場合は、視覚増進器端部３０として、スロットのない表面３２が利用可能である。

図９ａおよび図９ｂにおいて、外科手術視野増進器１０は、外科手術道具ソケット７９を介して、照明器７０と光送信器８０とに取り付けられることができる。照明チップ８３は、視覚空間３６を照明するための、照明スロット３１を通ることができる小さい透明な道具である。外科道具本体１１は、外科手術道具ソケット７９に挿入される。図１０ａおよび図１０ｂにおいて、特別な透明版の外科手術視野増進器１０は、視覚空間３６を照明するための照明器７０に直接結合できる、光送信器の視覚増進のためのもの８５を有する。

図１１に示すように、照明器７０は、照明ボックス７８、ロックフィン７１、照明ボタン７２、オンオフスイッチ７３、光送信器スロット７６および外科手術道具ソケット７９から成っている。照明ボックス７８は、電源７４と光源７５とを含む。照明ボタン７２は、外科道具本体１１１が使用されるときに押されて光を与える特別なボタンである。光が長時間必要な場合は、ユーザは、スイッチ７３１および７３２で光をオンオフできる。光送信器スロット７６は、光送信器コネクタ８１を結合するための特別なスロットである。光送信器８０は、光源７５からの光を送信するための多くのデザインを有する。光送信器８０は、光送信器コネクタ８１、照明節約器８２、照明チップ８３および照明表面８４から成っている。照明節約器８２は、光送信器８０を覆うある種類の光反射材料である。照明表面８４は、交差型照明表面８４１、縦型照明表面８４２、ダイヤモンド型照明表面８４３およびランダム型照明表面８４４のような、種々の種類の表面パターンを有する。

図１２ａは、握る力を改善するための補助的な道具である取り外し可能なハンドル６０を示す。図１２ｂは、内側に外科手術視野増進器１０が堅固に挿入されたハンドルスロット６１を示す。図１２ｃおよび図１２ｄでは、トンネル開口端部４０または外科手術視野増進器１０のように、任意の側を操作するときの便宜を図るために、どちらの端においても外科手術視野増進器１０が取り外し可能なハンドル６０を取り付けることができることがわかる。図１３ａおよび図１３ｂにおいて、外科手術視野増進器１０はまた、永久型デザインのハンドル９０と融合するようなデザインにすることができる。永久型デザインのハンドル９１を有するトンネル開口端部と、永久型デザインのハンドル９２を有する視覚増進器端部とがある。

Claims (14)

1. 道具本体（１１）とトンネル開口端部（４０）とを有する外科手術視野増進器（１０）を備えた外科手術視野増進のための外科システムであって、
   上記トンネル開口端部（４０）がガイド穴を有し、
   上記外科システムが、さらに、上記ガイド穴を通るトンネル開口ガイド（５０）を備え、
   上記外科手術視野増進器（１０）が、視覚増進器端部（３０）を有し、
   上記視覚増進器端部（３０）が、
   横柔組織保護器（３５）と、
   上記横柔組織保護器（３５）によって生成される視覚空間（３６）とを有することを特徴とする外科システム。
2. 上記トンネル開口端部（４０）の挿入の深さを制限するガード（２０）を有することを特徴とする請求項１に記載の外科システム。
3. 上記ガード（２０）が、上記トンネル開口ガイド（５０）を通すガードガイド穴（２１）を有することを特徴とする請求項２に記載の外科システム。
4. 上記ガード（２０）が、
   調整可能なトンネル（２４）を有し、
   上記外科手術視野増進器（１０）のトンネル開口部の長いネック（４４１）に沿って滑ることを特徴とする請求項３に記載の外科システム。
5. 上記トンネル開口端部（４０）が、拡大外科用メス（４５）が続くトンネル開口チップ（４１）を有することを特徴とする請求項１ないし４のいずれか１項に記載の外科システム。
6. 上記外科手術視野増進器（１０）に取り付け可能なハンドル（６０）を有することを特徴とする請求項１ないし５のいずれか１項に記載の外科システム。
7. 視覚空間（３６）を照明する、上記外科手術視野増進器（１０）に取り付け可能な照明器（７０）を有することを特徴とする請求項１ないし６のいずれか１項に記載の外科システム。
8. 上記照明器（７０）が、上記外科手術視野増進器（１０）に取り付けるための道具ソケット（７９）を有することを特徴とする請求項７に記載の外科システム。
9. 視覚増進器端部（３０）が、照明スロット（３１）を有することを特徴とする請求項１ないし８のいずれか１項に記載の外科システム。
10. 上記照明器（７０）が、
    視覚空間（３６）を照明するために視覚増進器端部（３０）の照明スロット（３１）を通る照明チップ（８３）を有することを特徴とする請求項７に記載の外科システム。
11. 上記トンネル開口ガイド（５０）が、ガードストッパ（５４）を有することを特徴とする請求項１ないし１０のいずれか１項に記載の外科システム。
12. 上記トンネル開口ガイド（５０）が、ガイドワイヤであるか、または、平坦な形状を有するように形成されていることを特徴とする請求項１ないし１１のいずれか１項に記載の外科システム。
13. トンネル拡張器（９５）を有することを特徴とする請求項１ないし１２のいずれか１項に記載の外科システム。
14. 上記トンネル拡張器（９５）が、鈍化チップ（９５１）と、両側の鋭いエッジ（９５２）とを有することを特徴とする請求項１３に記載の外科システム。

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