JP5594046B2 - 偽造防止媒体およびその製造方法、並びに偽造防止媒体を有する接着ラベル - Google Patents
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Description
オバート機能としては、近年では、特殊な光学効果を一瞥にて判別可能であることから、回折格子、ホログラム等の光学素子を利用した偽造防止媒体が様々な物品に対して使用されている。
しかしながら、回折格子やホログラムは包装材料等に多く利用され、入手し易くなっていることから、さらに偽造し難い偽造防止媒体が必要となっている。
また、コバート機能としては、近年、偏光技術を用いた潜像技術が提案され、偏光フィルムを重ねることにより潜像を出現させ真偽判定を行っている。
本発明は、かかる問題点に鑑みて提案するものであり、解決しようとする課題は、複写防止機能を有し、容易に製造できる構造の偽造防止媒体を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、その偽造防止媒体の簡単な製造方法を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、その偽造防止媒体を有する接着ラベルを提供することにある。
また、請求項5に記載の発明は、前記偽造防止媒体に、切り欠きおよびミシン目、または切り欠き若しくはミシン目が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の偽造防止媒体の製造方法は、従来に比べて偽造防止媒体を製造上および品質管理上の負荷が軽減できる。
さらに、本発明の接着ラベルは、多様な物品に偽造防止の機能を容易に付与することが可能である。
(偽造防止媒体の構成)
図1は、本実施形態に係る偽造防止媒体の構造の一例を説明するための概念図であって、(a)は概略正面図、(b)は(a)のA−A線の概略断面図である。
本実施形態に係る偽造防止媒体10は、支持基材3と、支持基材3上に形成される反射層4と、反射層4上に形成される光学機能層7とを備え、支持基材3上に反射層4と光学機能層7とを順に重ねる構造からなる。
このパターンに対して、外部から入射する光の光学機能層7の面への投射方向が各領域の微小亀裂の整列方向に垂直である場合に最も散乱し、入射光の投射方向が整列方向に平行である場合に最も鏡面反射に近くなる。光の投射方向と微小亀裂の整列方向とが垂直と平行との中間の関係の場合には、散乱光と鏡面反射光との強度比が連続的に変化する。
このため、本例では、散乱光と鏡面反射光とのコントラストにより、「TP」という文字が浮かび上がることになる。
反射層4は、光学機能層7の領域1、2の微小亀裂により生じる光学異方性に基づくパターンのコントラストを強調し、明瞭な表示性能を本発明の偽造防止媒体に与える上で重要である。反射層4の材料としては、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、Agなどの金属材料の単体、またはこれらの化合物などが挙げられる。
透明な反射層として使用できる材料の例を以下に挙げる。以下に示す化学式または化合物名の後に続くカッコ内の数値は屈折率nを示す。
セラミックスとしては、Fe2 O3 (2.7)、TiO2 (2.6)、CdS(2.6)、CeO2 (2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2 (2.3)、CdO(2.2)、WO3 (5)、SiO(5)、Si2 O3 (2.5)、In2 O3 (2.0)、PbO(2.6)、Ta2 O3 (2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2 (5)、MgO(1)、SiO2 (1.45)、MgF2 (4)、CeF3 (1)、CaF2 (1.3〜1.4)、AlF3 (1)、Al2 O3 (1)、GaO(2)などが挙げられる。
反射層4を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法など公知の方法を適宜使用することができる。また、光反射効果を有するインキ等を公知の印刷方法により設ける方法でもよい。
支持基材3としては、押出加工やキャスト加工により作製された無延伸フィルム及び、延伸加工により作製された延伸フィルム等を用いる事ができる。延伸フィルムには、伸ばし方により、1軸延伸フィルム及び2軸延伸フィルムがあり、両者とも使用できる。
光学機能層7としては、液晶分子を用いることができる。この場合には、上記のように光学機能層7で説明した微小亀裂に相当する微小亀裂を、後述のようにして液晶分子の層に作ることができる。この場合、微小亀裂の整列方向を決める要因は、液晶分子の配向方向である。
次に、偽造防止媒体の製造方法の一例について、図1を参照して説明する。
この製造方法の例では、まず、支持基材3上に反射層4を形成する(図1参照)。
ここで、支持基材3としては、上記の材料を上記の方法で加工したものが使用される。また、反射層4としては上記の材料が使用され、その反射層4の形成には上記の方法が使用される。
この場合には、図1の光学機能層7で説明した微小亀裂に相当する微小亀裂を、液晶分子の層に作るが、微小亀裂の整列方向を決める要因は、液晶分子の配向方向である。
ここで、液晶分子を2軸に配向させる方法としては、部分的に配向処理方向を変えた配向膜上に液晶材料を塗布することにより形成可能である。液晶材料を配向させるための配向膜の配向処理には、例えば光配向法もしくはラビング配向法を用いることができる。
光配向のメカニズムとしては、アゾベンゼン誘導体の光異方化、桂皮酸エステル、クマリン、カルコンやベンゾフェノン等の誘導体の光二量化や架橋、ポリイミド等の光分解等があげられる。
光軸を2軸方向に配向させる場合には、配向方向を変えたい部分をマスクでカバーして布で擦った後にマスクを除去し、今度は先ほどラビングした部分をマスクでカバーし、再び方向を変えて布で擦った後、マスクを除去する。または、全面を布で擦った後に、部分的にマスクでカバーし、方向変えて布で擦った後、マスクを除去しても良い。
液晶材料としては、メソゲン基の両端にアクリレートを設けた光硬化型液晶モノマー、EB若しくはUVで硬化させる高分子液晶、ポリマー主鎖にメソゲン基を提げた高分子液晶、分子主鎖自体が配向する液晶性高分子を用いることができる。これらの液晶は、塗布後、相転移を起こすNI点より少し下の温度で熱処理することにより、配向を促進することが可能である。
この例では、光硬化型液晶に紫外線を照射することで硬化させる場合について説明をする。
液晶層表面の結合重合反応において、未反応の2重結合を残しておくと良い。未反応の2重結合の割合を示すものとして、C=Cの残存2重結合率を用いることが出来る。
残存2重結合率とは、〔C=C結合に基づく吸収(波数:810cm-1)のスペクトル強度〕÷〔液晶分子中の芳香環に基づく吸収(波数:1500cm-1付近)のスペクトル強度〕で定義される。
液晶分子を重合させる条件としては、空気中で紫外線を照射しても良いし、窒素雰囲気下で紫外線を照射しても良い。液晶材料に応じて、紫外線の照射量で残存2重結合率を調整すると良い。
上記の液晶の配向方向に沿った微小亀裂により、亀裂の方向によって散乱光の方向が変化する。すると、肉眼で観察した場合に、見る角度によって、配向方向の異なる部分の明るさが異なって認識されるので、オバート機能を有する偽造防止媒体となる。
例えば、図1の光学機能層7の領域1、2が液晶分子からなるパターンを構成し、それをコピーする場合を例に説明する。
コピー装置の光源がパターン上をスキャンする際に、スキャンに応じて被コピー物からの正反射光の受光部が移動する方向(以下、便宜的に「スキャン方向」と称する)と、パターン内の液晶配向方向すなわち、微小亀裂の整列方向とが直交していると、そのパターンはコピーされるが、他部分はコピーされないことになり、複写物(コピー)の見え方が、明らかに元のパターンとは異なると認識されることにより、それが正規のパターンではなく複写物であることを判別できる。
図2によれば、散乱部がコピーされて複写物の白部(明部)5を形成し、文字パターン以外の領域はスキャン方向と平行な微小亀裂の整列方向を有するので鏡面反射部となり、コピーされないで複写物の黒部(暗部)6を形成する。
すなわち、図2では、文字「TP」からの反射光は受光部に検知されているため、パターンが同図で白く複写されているが、文字の回りからの反射光は受光部に検知されずに同図で黒くなってしまう。
カラーコピーの場合には、白以外の色は、イエロー,マゼンタ,シアンの3色もしくはブラックを加えた4色のトナーによる減法混色により色再現されるが、各分解色毎の明暗関係がモノクロコピーと同様の濃淡関係で再現され、それらの合成色がコピーの色調を決める。
そのため、コピー装置のスキャン方向と偽造防止媒体の設置方向により、異なる複写物が得られることはモノクロコピーの場合と同様であり、元の偽造防止媒体とは異なる複写物であることは簡単に判明する。
次に、図1の光学機能層7を液晶層で形成する場合の偽造防止媒体の他の構成例について、図4の参照して説明する。
この偽造防止媒体10aは、図4に示すように、液晶層が、0°方向、45°方向、90°方向の3軸方向に液晶分子を配向させた領域41、42、43からなる。さらに、硬化度が不十分である液晶層44と硬化度が十分である液晶層45とを同一面内に備えるようにしても良い。
いずれも液晶層の中で、硬化度が不十分である液晶層44に対応する部分が、パターン表示部71、またはパターン表示部81ように異なる複写物となり、硬化度が十分である液晶層45に対応する部分は、パターン非表示部72、82のように均質な複写物部分となる。
硬化度が十分である液晶層45に対応するパターン認識可能部62では、偏光子63を通さない目視では、図5のパターン認識不可能部52と同様に文字パターンの認識はできないが、偏光子63を通して観察する部分では、液晶層の配向方向と偏光子の回転の向きによる濃淡により文字パターンが認められる。さらには、図6(a)と(b)のように偏光子63の傾きを変化させると、偏光子63を通して認識される文字パターンのネガとポジが反転する。
しかも、偽造防止媒体を比較的短い工程で容易に製造することができるので、それを用いて加工される接着ラベルや転写箔も低コストで信頼性の高いものを提供することができる。
図9は、本発明の偽造防止媒体を適用した接着ラベルの模式断面図である。
この接着ラベルは、図1、図4に示す偽造防止媒体10、10aが適用可能であるが、図1に示す偽造防止媒体10を適用した場合について説明する。
図9に示すように、接着ラベル20は、偽造防止媒体10と、剥離紙96に支持された接着層95とを備え、偽造防止媒体10の一部(片面)である偽造防止媒体10裏面側に接着層95が設けられている。
ここで、接着層とは、いわゆる粘着層として貼付と剥がしを繰り返し利用することも可能な機能を含む。本発明の偽造防止媒体が短い工程で比較的容易に製造できるので、予め剥離紙上に塗布した接着層を本発明の偽造防止媒体と貼り合わせることによって、実用性の高い接着ラベルを容易に提供することができる。
図示していないが、偽造防止媒体10に設けたパターンの表示単位に合わせて、切り欠きやミシン目を設けることにより、接着ラベルの剥離紙96を剥がして接着層95面を被接着体に押し当てる際に、その切り欠きやミシン目に沿って必要な領域を限定して偽造防止媒体10を接着できる。
本発明の偽造防止媒体の製造工程に、予め、切り欠きやミシン目を連続的に形成する一般的な工程を付加することは容易であり、さらに実用性の高い接着ラベルを容易に提供することができる。
以下、本発明の実施例1について説明する。
この実施例1では、アルミ蒸着フィルムのメタルミー25SS(東レ株式会社製)を支持基材3とし、溶剤に配向膜用樹脂を溶解した配向膜溶液をマイクログラビア法で支持基材上に塗布し、その支持基材上に成膜を行った。
その後、ラビング布を用いて光学機能層の領域1、2をそれぞれ0°方向、45°方向にパターン状にラビング処理を行い、配向膜を作製した。
その後、DIC株式会社製のUVキュアラブル液晶UCL−008をマイクログラビアにて塗工し、空気中でUV硬化を100mJ/cm2 の照射量で行い、液晶層を用いた光学機能層7の領域1、2を得た。
このように作製した偽造防止媒体を目視で確認したところ、見る角度によって光学機能層の領域1と領域2の部分で明るさが異なって見えた。さらに、複写機にて複写を行おうとしたところ、図2もくしは図3のようになり、本発明品の本物の目視像に近い画像は得られなかった。
以下、本発明の実施例2について説明する。
この実施例2では、まず、アルミ蒸着フィルムのメタルミー25SS(東レ株式会社製)を支持基材3とし、溶剤に配向膜用樹脂を溶解した配向膜溶液をマイクログラビア法で支持基材上に塗布し、その支持基材上に成膜を行った。
その後、ラビング布を用いて光学機能層41及び、42、43部をそれぞれ0°方向、45°方向、90°方向にパターン状にラビング処理を行い、配向膜を作製した。
さらに、シクロペンタノンにソルバインA( 日信化学社製) を溶解して塗料を作製し、液晶層上にダイレクトグラビアにて塗工を行った。硬化度が不十分である液晶層はシクロペンタノンに対して耐性がないため、配向方向に沿って規則正しい微小亀裂が生じた。
さらに、偏光子63を用いて確認したところ、図6のような画像が認められた。また、複写機にて複写を行おうとしたところ、図7もくしは図8のようになり、本発明品の本物の目視像に近い画像は得られなかった。
3・・・支持基材
4・・・反射層
7・・・光学機能層
10、10a・・・偽造防止媒体
20・・・接着ラベル
41〜43・・・配向方向が異なる液晶層
44・・・硬化度が不十分である液晶層
45・・・硬化度が十分である液晶層
51 61 71 81・・・パターン認識可能部
52 62 72 82・・・パターン認識不可能部
63・・・偏光子
95・・・接着層
96・・・剥離紙
Claims (5)
- 支持基材上に反射層と光学機能層とをこの順に有する偽造防止媒体であって、
前記光学機能層はパターン形成された複数の領域からなり、前記複数の各領域は互いに異なる一定方向の光学異方性を有し、かつ、前記各領域の前記光学異方性は複数の微小亀裂の整列により形成され、前記光学機能層は液晶分子からなることを特徴とする偽造防止媒体。 - 前記液晶分子は液晶層を形成し、前記液晶層は、0°、45°、90°の互いに異なる3つの方向に配向しており、配向方向に沿った微小亀裂が入った部分と、微小亀裂が入っていない部分とを含むことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
- 支持基材上に反射層を設ける第1の工程と、
前記反射層上に不完全硬化部分を有する光学機能層をパターン形成する第2の工程と、
前記第2の工程後に、前記光学機能層上に有機溶媒を含む塗料を塗布し、下地の不完全硬化部分の光学機能層に微小亀裂を形成する第3の工程と、
を含むことを特徴とする偽造防止媒体の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体と、剥離紙に支持された接着層とを具備し、前記偽造防止媒体の一部に前記接着層が設けられていることを特徴とする接着ラベル。
- 前記偽造防止媒体は、切り欠きおよびミシン目、または切り欠き若しくはミシン目が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の接着ラベル。
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