JP5588318B2 - 油性型プランジャー潤滑剤組成物 - Google Patents

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本発明は、金属又は合金の溶融物をダイカスト鋳造に供する際に、ダイカストマシンのプランジャーチップと射出スリーブとの間に供給される油性型プランジャー潤滑剤組成物に関する。
従来、金属又は合金からなる、成形品、即ち、鋳物製品は、その溶融物(溶湯)を、例えば、ダイカストマシンのキャビティに供給して、所定形状を付与しつつ製造されている。この製造方法においては、通常、プランジャーチップと射出スリーブとの間に潤滑剤(潤滑剤組成物)が供給され、両者の摩擦を低減させている。
潤滑剤組成物としては、水系の黒鉛含有組成物(例えば、特許文献1等)、O/W型あるいはW/O型の無黒鉛エマルション組成物(例えば、特許文献2等)、鉱油、油脂及び合成油を含有する油剤組成物、これに、更に黒鉛を分散させた油剤組成物等が広く用いられている。
特開2008−264847号公報 特開2000−15419号公報
黒鉛を含有する潤滑剤組成物を用いた場合には、作業環境や得られる鋳物製品を容易に汚染させることがあった。また、O/W型あるいはW/O型の無黒鉛エマルション組成物は、含まれる水の気化熱による潤滑剤の引火に至るまでの時間を遅延させるに過ぎず、高温の射出スリーブ内に残存した成分の引火までも抑制するものではなく、単に水を配合することにより、相対的に油分濃度を低下させて抑炎効果を示すものである。また、エマルション組成物は、一般に非含水型の潤滑剤よりも潤滑性に乏しく、プランジャーチップや射出スリーブの急激な摩耗を防ぐため、供給量の増加を余儀なくされ、その結果、余剰油分の増加を招き、十分な抑炎効果は得られていないのが実情である。
更に、上記の油剤組成物の場合、溶湯をキャビティに供給した際に、引火することがあった。供給した潤滑剤が引火に費やされると、十分な潤滑剤が摺動面に介在しないこととなり、鋳物製品の生産性の低下につながる。
本発明の目的は、非含水型且つ無黒鉛型であって、溶湯供給時の引火及び作業環境の悪化を抑制する油性型プランジャー潤滑剤組成物を提供することである。
本発明者らは、鉱油、カルシウムスルフォネートワックス、シリコーン及び芳香族リン酸エステルを含有する組成物を用いることによって、上記課題が解決され、本発明を完成するに至った。
本発明は以下のとおりである。
1.鉱油、カルシウムスルフォネートワックス、シリコーン及び芳香族リン酸エステルを含有することを特徴とする油性型プランジャー潤滑剤組成物。
.140℃における溶融粘度が300〜11,000mPa・sであるワックスを含有する上記1に記載の油性型プランジャー潤滑剤組成物。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物によれば、特に、カルシウムスルフォネートワックス、シリコーン及び芳香族リン酸エステルを併含していることにより、摺動面への吸着性が高く、油膜切れが抑制され、優れた潤滑性能を備えるとともに、溶湯をキャビティに供給する際の引火及び作業環境の悪化を抑制することができる。従って、本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物は、大型の鋳物製品を製造するダイカストマシンにおける使用に好適であり、良好な作業環境を得ることができる。
〔実施例〕における引火性の評価装置を示す概略平面図である。 〔実施例〕における引火性の評価装置を示す概略断面図である。 試験装置内のキャビティに溶湯が供給されたことを示す概略断面図である。 試験装置から鋳物が排出されたことを示す概略断面図である。 〔実施例〕における潤滑性の評価装置(付着滑り試験機)を示す概略図である。 〔実施例〕において測定された摩擦係数を示すグラフである。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物は、鉱油、カルシウムスルフォネートワックス、シリコーン及び芳香族リン酸エステルを含有する。本発明の組成物は、更に、油脂、合成油及び無機粉体から選ばれる少なくとも1種の成分を含有してもよい。
上記鉱油としては、潤滑油の分野において、基油として一般的な鉱油を使用することができる。具体例としては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油が挙げられる。これらの鉱油は、減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等により処理されたものであってもよい。
上記鉱油の動粘度(100℃)は、潤滑性能の観点から、好ましくは15〜35mm/s、特に好ましくは25〜35mm/sである。
上記カルシウムスルフォネートとしては、石油スルホン酸のカルシウム塩、置換又は非置換の芳香族スルホン酸のカルシウム塩、石油スルホン酸の過塩基性カルシウム塩、置換又は非置換の芳香族スルホン酸の過塩基性カルシウム塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、良好な潤滑性能を維持しつつ、溶湯供給時の引火の抑制効果が得られることから、石油スルホン酸の過塩基性カルシウム塩及びアルキル置換の芳香族スルホン酸の過塩基性カルシウム塩が好ましい。
上記カルシウムスルフォネートの含有量は、組成物の粘度が過度に上昇することなく、良好な潤滑性能を維持しつつ、溶湯供給時の引火の抑制効果が得られることから、上記鉱油を100質量部とした場合に、好ましくは10〜30質量部、特に好ましくは15〜25質量部である。上記カルシウムスルフォネートの含有量が少なすぎると、潤滑性能の低下をもたらす場合がある。
上記ワックスとしては、石油系ワックス、酸化ワックス、天然ワックス等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、オレフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
酸化ワックスとしては、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレン等が挙げられる。
また、天然ワックスとしては、蜜ろう、カルナバワックス、モンタンワックス等が挙げられる。
上記ワックスの溶融粘度(140℃)は、摺動面における油膜強度が十分に保持されることから、好ましくは300mPa・s以上、より好ましくは300〜11,000mPa・s、更に好ましくは350〜10,000mPa・s、特に好ましくは400〜9,000mPa・sである。
本発明においては、上記溶融粘度の異なる複数のワックスを併用することができる。その例としては、(1)溶融粘度が3,000〜11,000mPa・sの範囲にある少なくとも1種のワックスと、溶融粘度が300mPa・s以上3,000mPa・s未満の範囲にある少なくとも1種のワックスと、を組み合わせる態様、(2)溶融粘度が3,000〜6,500mPa・sの範囲にある少なくとも1種のワックスと、溶融粘度が6,500mPa・sを超えて11,000mPa・s以下の範囲にある少なくとも1種のワックスと、を組み合わせる態様、等が挙げられる。
上記態様(1)の場合、例えば、溶融粘度が3,500〜6,000mPa・sのワックス(W1a)と、溶融粘度が300〜2,500mPa・sのワックス(W1b)とを併用することができる。ワックス(W1a)及び(W1b)の質量割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは30〜70質量%及び70〜30質量%、より好ましくは40〜60質量%及び60〜40質量%である。
また、上記態様(2)の場合、例えば、溶融粘度が3,500〜6,500mPa・sのワックス(W2a)と、溶融粘度が7,000〜10,000mPa・sのワックス(W2b)とを併用することができ、摺動面への吸着性が高く、油膜切れが抑制され、優れた潤滑性能を与える。ワックス(W2a)及び(W2b)の質量割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは30〜70質量%及び70〜30質量%、より好ましくは40〜60質量%及び60〜40質量%である。
上記ワックスの含有量は、摺動面における油膜強度が十分に保持されることから、上記鉱油を100質量部とした場合に、好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは2〜6質量部である。上記ワックスの含有量が少なすぎると、摺動面における十分な油膜強度が得られない場合がある。一方、上記ワックスの含有量が多すぎると、組成物の粘度が過度に上昇することがある。また、設備周辺にペースト状の汚れを招く場合がある。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物において、上記ワックスは、他の成分と相溶して含まれていてよいし、微粒子として分散していてもよい。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物は、シリコーン及び芳香族リン酸エステルを含有し、油脂、合成油及び無機粉体から選ばれる少なくとも1種の成分を更に含有することができ、より優れた潤滑性能、及び、溶湯供給時の引火の抑制効果を得ることができる。
上記シリコーンとしては、シリコーンオイル又はシリコーンワックスとして、従来、公知の化合物を使用することができる。具体例としては、ストレートシリコーン及び変性シリコーンが挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ストレートシリコーンとしては、ジメチルシリコーン、環状シリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられる。
また、変性シリコーンとしては、アルキル基、アラルキル基、アミノ基、カルボキシルアルキル基又はカルボン酸アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、ポリエーテル基、カルビノール基等により、一部あるいは全体を変性されたオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
本発明においては、優れた潤滑性能及び濡れ性が得られ、油膜強度が向上することから、変性シリコーンが好ましく、特に、アルキル変性シリコーンが好ましい。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物において、シリコーンの含有量は、優れた潤滑性能及び濡れ性が得られ、油膜強度が向上することから、上記鉱油を100質量部とした場合に、好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは2〜6質量部である。
上記芳香族リン酸エステルとしては、芳香族リン酸エステル又はその縮合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記芳香族リン酸エステルは、好ましくは、炭素原子数6〜30のアリール基を有する化合物であり、例えば、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、キシレニルジフェニルフォスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)フォスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルフォスフェート等が挙げられる。
また、上記芳香族リン酸エステルの縮合物としては、1,3−フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェート)等が挙げられる。
本発明においては、溶湯供給時の引火の抑制効果が得られることから、芳香族リン酸エステル及びその縮合物が用いられる
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物において芳香族リン酸エステルの含有量は、溶湯供給時の引火の抑制効果が得られることから、上記鉱油を100質量部とした場合に、好ましくは5〜15質量部、特に好ましくは5〜10質量部である。上記芳香族リン酸エステルの含有量が多すぎると、溶湯供給時の発煙が顕著となる場合がある。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物に、油脂又は合成油を配合することにより、優れた潤滑性能を維持しつつ、組成物の粘度を調整することができる。
上記油脂としては、牛脂、豚脂、なたね油、ヤシ油、パーム油、ぬか油や、これらの水素添加物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物が、油脂を含有する場合、その含有量は、上記の配合効果の観点から、上記鉱油を100質量部とした場合に、好ましくは2〜25質量部、特に好ましくは5〜20質量部である。
上記合成油としては、上記の油脂から得られる脂肪酸;脂肪酸とアルコールとのエステル;ポリブテン等のポリα−オレフィン;ポリエチレングリコール、ポリエステルポリオール等のポリオール;その他のポリエーテル;ポリエステル;高級アルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物が、合成油を含有する場合、その含有量は、上記の配合効果の観点から、上記鉱油を100質量部とした場合に、好ましくは2 〜25質量部、特に好ましくは5〜20質量部である。
上記無機粉体としては、黒鉛、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、硫化マンガン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、窒化珪素、雲母、タルク、カオリン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物が、無機粉体を含有する場合、その含有量は、潤滑性能及び保温性と、組成物の粘度とのバランスを維持する観点から、上記鉱油を100質量部とした場合に、好ましくは5〜20質量部、特に好ましくは5〜15質量部である。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、防錆剤、消泡剤等の添加剤を含有したものとすることができる。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物は、各成分を混合した後、例えば、120℃〜160℃の温度で加熱することにより、製造することができる。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物において、親油性の成分は、通常、均一に混合した状態にあるが、ワックスは、種類によっては、微粒子状に分散している場合がある。無機粉体もまた、組成物中に分散している。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物は、100℃以上に加温された場合に、温度上昇とともに増粘傾向にあるため、プランジャーチップへの吸着性に優れ、鋳物製品の生産性にも優れる。また、射出スリーブにおける滞留が抑制されるので、溶湯供給時の引火を抑制することができる。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物の粘度を、B型粘度計を用いて測定した場合、100℃においては、好ましくは600〜1,800mPa・s、より好ましくは700〜1,600mPa・sである。また、150℃においては、好ましくは800〜2,800mPa・s、より好ましくは1,100〜2,700mPa・s、特に好ましくは1,200〜1,900mPa・sである。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物は、上記温度に対応する粘度を有するため、ダイカストマシンのプランジャーチップと射出スリーブとの間に供給されると、摺動面への吸着性が高く、油膜切れが抑制され、潤滑剤からなる液溜まりが生成しにくく、経時による蓄積もしにくく、溶湯供給時の引火も抑制される。更に、鋳物製品を排出した後、射出スリーブの内壁に展延した潤滑剤が、プランジャーチップの後退時に再付着するため、過度の不足は生じ難く、プランジャーチップの後退時に系外に排出される堆積物を低減することができる。これらの効果は、例えば、2〜3m/秒といった、高速射出条件においても得ることができる。
本発明に係る溶湯を構成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金等が挙げられる。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物の使用方法としては、プランジャーチップ上に滴下する方法、又は、射出スリーブ内にスプレー塗布等を行う方法が挙げられる。後者の場合、その後、プランジャーチップ上に展延するか、射出スリーブの内表面に潤滑剤からなる膜を形成させる。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物が適用できるダイカストマシンは、特に限定されるものではなく、例えば、型締力1,000トン以上の大型のダイカストマシンによる使用にも好適である。
1.油性型プランジャー潤滑剤組成物の原料
油性型プランジャー潤滑剤組成物の調製に用いた原料を以下に示す。
(1)鉱油
パラフィン系原料油「スーパーオイルN320」(JX日鉱日石エネルギー社製)
(2)カルシウムスルフォネート
過塩基性塩カルシウムスルフォネート「LUBRIZOL5283C」(日本ルブリゾール社製)
(3)ワックス(w1)
140℃における溶融粘度が8,500mPa・sの酸化ポリエチレン「A−C 316」(Honeywell社製)
(4)ワックス(w2)
140℃における溶融粘度が4,500mPa・sの酸化ポリエチレン「A−C 392」(Honeywell社製)
(5)ワックス(w3)
140℃における溶融粘度が400mPa・sの低分子量オレフィンワックス「E−10」(Westlake Longview Corporation社製)
(6)シリコーン
アルキル変性シリコーンオイル「TSF4421」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(7)リン酸エステル
トリクレジルフォスフェート「TCP」(大八化学工業社製)
2.油性型プランジャー潤滑剤組成物の調製及び評価
上記の原料を表1に示す質量割合で、撹拌装置を用いて混合した後、オイルバスを用いて150℃まで加温することにより、組成物I、II、III及びIVを得た。得られた組成物について、0℃、10℃、25℃、50℃、100℃、150℃及び200℃における粘度を、B型粘度計により測定した(表1参照)。
また、比較例のために、市販品である油性黒鉛「プランジャーハイトTG−Y」(日本黒鉛社製)及びW/Oエマルション「ネオキャスターRE−76」(MORESCO社製)を用いた。
Figure 0005588318
以下、上記組成物及び市販品を「潤滑剤」と表記して、評価項目及びその方法並びに結果を示す。
(1)引火性評価
引火性の評価は、箱状本体11の内部に、円柱状に形成されたキャビティ(内径75mm)と、このキャビティを形成する射出スリーブ(箱状本体11と一体化している)と、射出スリーブの上方(図2で上側)に開口した溶湯導入口15(開口サイズ:80mm×50mm)と、装置の一面側(図1で右側)から挿入され、摺動可能な円柱状のプランジャーチップ13(直径74.4〜74.7mm)と、装置の他面側(図1で左側)に配された、開閉可能な鋳物排出部17とを備える装置1を用いて行った(図1及び図2参照)。
プランジャーチップ13を、図2に示す位置に、即ち、溶湯導入口15を上方から見た場合に、プランジャーチップ13の先端側(キャビティ側)の露出面積が、溶湯導入口15の開口面積の半分(40mm×50mm)となるように、配置した。次いで、潤滑剤3ミリリットルを、露出しているプランジャーチップ13の外周面の中心部にスポット供給した(図2における矢印)。その10秒後、60℃に調温した装置のキャビティに、ADC12からなる溶湯2(650℃)の約300ミリリットルを供給し(図3参照)、断面形状が半円形である棒状の鋳物3を形成し、鋳物排出部17から排出した(図4参照)。その後、この操作を約3分間隔で連続的に10回行い、各回における鋳物排出時に、潤滑剤による引火性を目視観察した。その結果を表3に示す。
Figure 0005588318
Figure 0005588318
表3における判定基準は、以下の通りである。
A:不燃・発煙なし
B:不燃・発煙のみ
C:炎小、鎮火速
D:炎小、鎮火遅
E:炎大、鎮火速
F:連続燃焼
油性黒鉛の場合、経時により、射出スリーブ内に潤滑剤が蓄積し、一旦、引火すると、その後、溶湯供給時の発火が収まることはない。また、W/Oエマルションの場合、プランジャーチップ及び射出スリーブの間から潤滑剤が染み出して、一部がプランジャーチップ先端に流動する傾向がある。プランジャーチップ前面に流出した液は、摩擦面にもはや関与することはなく、燃焼に費やされるだけのロスになり、当然に、一次性能の低下にも繋がる。その原因は、展延時の水の蒸発が表面積を大きくしていることや、表面張力が油性より高いために、プランジャーチップ及び射出スリーブのクリアランスに進入しにくく、滴下位置で滞留した液が摩擦面に入ることなく流れ出ることによると考えられる。
一方、組成物(I)〜(IV)の場合、油性黒鉛及びW/Oエマルションに比べると、溶湯供給時の発火は抑制できることが認められた。
(2)潤滑性評価
図5に示す付着滑り試験機を用い、以下の要領で摺動試験を行い、潤滑剤の摩擦係数を測定した。尚、W/Oエマルションについては、水分を除去した後の有効成分で試験した。
(a)合金工具鋼鋼材のSKD61からなる試験片(160mm×30mm×2mm)の表面を、♯1000の研磨紙で調整した後、ヒーター上で230℃に保持した。
(b)高炭素クロームからなる鋼球(φ3/16インチ)及び試験片の接触部に、約1.0mgの潤滑剤を付けて、鋼球に荷重(0.5kg又は4.0kg)を掛けながら、試験片の表面を、4mmの長さに渡って、速度4mm/秒で10回連続的に摺動させ、1回ごとに摩擦係数を測定した。
(c)この試験を3回繰り返して、摺動回数毎の摩擦係数を平均化して表4及び図6に示した。
Figure 0005588318
表4及び図6から、組成物(I)〜(IV)の摩擦係数は、油性黒鉛及びW/Oエマルションの摩擦係数と、相対的に同等であることが分かる。
(3)生産性評価
型締力1,650トンのダイカストマシン(宇部興産機械社製)に、φ120mmのプランジャーチップを配設し、射出速度(低速0.8m/秒、高速2.8m/秒)、サイクルタイム88秒、溶湯温度645℃及び鋳込み重量14.2kgで、トランスミッション用アクスルケースの鋳造を行った。
本評価では、潤滑剤として組成物(III)及び油性黒鉛を用い、プランジャーチップに1ショットあたり5ミリリットル滴下して、約5万個の鋳物を製造し、溶湯供給時の発火状態、射出波形及び製品不良率について、比較した。
製造終了後、射出波形及び製品不良率は、組成物(III)及び油性黒鉛の間で遜色なかった。しかしながら、油性黒鉛を用いた場合、溶湯を供給する度に、潤滑剤に引火し、炎が高くたちのぼったのに対し、組成物(III)を用いた場合には、引火回数が油性黒鉛の半分程度であり、炎の高さも、油性黒鉛の半分程度であった。
本発明の油性型プランジャー潤滑剤組成物は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金等からなる溶湯を用いたダイカスト鋳造に好適であり、公知の使用方法により、例えば、型締力1,000トン以上の大型のダイカストマシンを用い、射出速度2〜3m/秒の条件で、所定形状を有する鋳物製品の安定製造を進めることができる。
1:引火性の評価装置
11:箱状本体
13:プランジャーチップ
15:溶湯導入口
17:鋳物排出部
2:溶湯
3:鋳物
5:潤滑剤
6:鋼球
7:試験片
9:ヒーター

Claims (2)

  1. 鉱油、カルシウムスルフォネートワックス、シリコーン及び芳香族リン酸エステルを含有することを特徴とする油性型プランジャー潤滑剤組成物。
  2. 140℃における溶融粘度が300〜11,000mPa・sであるワックスを含有する請求項1に記載の油性型プランジャー潤滑剤組成物。
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