JP5586064B2 - 抗h5亜型a型インフルエンザウイルスヘマグルチニンモノクローナル抗体 - Google Patents

抗h5亜型a型インフルエンザウイルスヘマグルチニンモノクローナル抗体 Download PDF

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Description

本発明は、抗H5亜型A型インフルエンザウイルスヘマグルチニンモノクローナル抗体並びにそれを用いた抗H5亜型A型インフルエンザウイルスの免疫測定方法及び免疫測定用キットに関する。
インフルエンザウイルスはH5あるいはH7亜型に存在し、アジアを中心に養鶏産業に大きな損害をもたらしているが、近年、鳥インフルエンザウイルスは、ヒトにも感染することが確認された。特に、H5亜型に属する鳥インフルエンザウイルスは2003年頃よりアジアを中心にヒトへの感染とその致死率の高さに関して多くの報告がなされ、これらウイルスに対してヒトは免疫力を持たないため爆発的流行となることが世界的に懸念されており、その予防及び流行時の対策について検討されている。
鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染を予防し、又は少なくともヒトでの大流行を阻止するためには、ヒトにも感染する鳥インフルエンザウイルスを特異的かつ迅速に検出することが重要である。従来より、検体中のウイルスの迅速な検出には、免疫測定法が広く用いられており、特に、液体が流通する多孔性の基体の一部に抗ウイルス抗体を固定化した固相を用いるサンドイッチ法により行なうイムノクロマトグラフィーは、病院等の医療現場において、非常に簡便、短時間にウイルスの検出ができるため、広く用いられている。ヒトインフルエンザウイルスを検出するイムノクロマトグラフィー用キットも市販されている。
免疫測定法により、ヒトにも感染する鳥インフルエンザウイルスを検出するためには、当然ながら、トリインフルエンザウイルスに対する抗体が必要である。インフルエンザウイルスの表面抗原は、ヘマグルチニン及びノイラミニダーゼというタンパク質から成ることが知られている。ヘマグルチニン(HA)としては、抗原性の異なるH1〜H16の16種類が知られており、ノイラミニダーゼとしては、抗原性の異なるN1〜N9の9種類が知られている。インフルエンザウイルスの亜型(サブタイプ)は、これらのヘマグルチニン及びノイラミニダーゼの種類を「H5N1」等のように記載することにより表記される。これまで、トリからヒトに感染したことが確認されている鳥インフルエンザウイルスは、殆どは、ヘマグルチニンがH5型のものである。従って、トリからヒトに感染する高病原性インフルエンザウイルスを検出するための抗体としては、H5亜型のインフルエンザウイルスに特異的なものが望まれる。
H5亜型のA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンはよく研究されており、アミノ酸配列のみならず、立体構造も知られている(非特許文献1)。また、H5亜型のA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに対するモノクローナル抗体も種々知られている(非特許文献2〜4)。また、H5亜型のA型インフルエンザウイルスを、2種類の抗ヘマグルチニンモノクローナル抗体を用いるサンドイッチ法により測定することも知られている(非特許文献5、6)。
Ya Ha et al;The EMBO Journal,21(5),865-875,2002 Nikolai V.K. et al.,J.Gen.Virol.83, 2497,2002 James Stevens et al., SCIENCE VOL 312, 21 APRIL 2006 Zhi-Yong Yang et al., SCIENCE VOL 317, 10 AUGUST 2007 Tsuda Y. et al.,Microbiol. Immunol.51(9), 903, 2007 Qigai He et al.,Clin. Vacc. Immnol. 617, 2007
H5亜型のA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに対するモノクローナル抗体としては、これまで、主として、該ウイルスの感染性を抑制、阻止する抗体として中和活性を有する中和抗体が研究されてきた。該ウイルスに対するワクチンを開発するためには、中和抗体が必要であり、上記非特許文献2〜4に記載されているモノクローナル抗体も中和抗体である。また、非特許文献5及び6に記載されている免疫測定に用いられているモノクローナル抗体は、その抗体のエピトープ解析結果や中和活性についての記載は無い。
このような公知の中和抗体を用いて、H5亜型のインフルエンザウイルスの免疫測定系を構築することはもちろん可能である。しかしながら、本願発明者らは、中和抗体を用いて免疫測定系を構築した場合には、該ウイルスの変異に追従できない恐れがあるという問題があることに気付いた。すなわち、インフルエンザウイルスは、宿主の免疫監視を逃れるため、中和抗体認識エピトープにしばしば変異を起こすことが知られており、公知の中和抗体を用いて免疫測定系を構築した場合、変異したウイルスとの反応性が失われたり、結合親和性が低下し、ウイルスを検出できない又は測定値が正しい値よりも大幅に低下する恐れがあることに気付いた。ウイルスが頻繁に変異を起こすことを考慮すれば、少々変異が起きても正確にウイルスを免疫測定できることが望まれる。
従って、本発明の目的は、H5亜型のA型インフルエンザウイルスがある程度の変異を起こした場合でも、正確に測定することができるH5亜型のA型インフルエンザウイルスの免疫測定方法及びそのためのキット並びに該免疫測定に用いることができる新規な抗H5亜型A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を提供することである。
感染時には、インフルエンザウイルスは、先ず、細胞表面にあるレセプターに結合し、その後、細胞内部に取り込まれることが知られている。従って、インフルエンザウイルスが宿主内で増殖するためには、ウイルスが細胞表面にあるレセプターに結合することが必須的であり、これが妨害されるとウイルスの増殖は起きない。公知の中和抗体は、インフルエンザウイルスのレセプター結合領域中に対応エピトープを有し、ウイルスと結合して、ウイルスがレセプターに結合することを妨害するものである。一方、ウイルスは、宿主の自然な免疫力やワクチン投与等により生じた中和抗体が存在する環境下では、その中和抗体による増殖阻害を受けないように変異しやすいことが知られている。変異自体はランダムに起きているのかもしれないが、中和抗体による増殖阻害を受けないように変異したものだけがよく増殖することができるので、増殖するウイルスは、結果的にそのような変異を有しているものが多くなる。このような現象をエスケープ変異又は逃避変異と言い、中和抗体によりこのような変異が起きやすくなることは、抗体圧力又は免疫圧力等と呼ばれる。本願発明者らは、ウイルスがある程度の変異を起こした場合でも、正確にウイルスを免疫測定できる免疫測定法は、変異しにくい領域、すなわち、中和抗体の対応エピトープが存在する領域以外の領域に対応エピトープを有するモノクローナル抗体を用いることにより構築可能であることに想到し、さらに、そのようなモノクローナル抗体の対応エピトープが存在する領域を決定し、そして、実際に、そのようなモノクローナル抗体を提供して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、H5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンと抗原抗体反応し、その対応エピトープが、レセプターサブドメイン(但し、そのC末端11アミノ酸から成る領域を除く)中に存在せず、前記A型インフルエンザウイルスの中和活性を有さず、H1亜型〜H4亜型及びH6亜型〜H15亜型のヘマグルチニンとは実質的に交差反応しない抗H5亜型A型インフルエンザウイルスヘマグルチニンモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片とH5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンとの抗原抗体反応を利用した免疫測定により検体中のH5亜型A型インフルエンザウイルスを測定することを含む、H5亜型A型インフルエンザウイルスの免疫測定方法であって、
前記モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のエピトープが配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として、
(1) 41〜60aa及び312〜322aaの領域、
(2) 61〜80aa及び290〜300aaの領域、又は
(3) 101〜113aa及び268〜278aaの領域
に存在する3種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のうち、単一のH5亜型A型インフルエンザウイルスに同時に結合可能な2種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片を用いるサンドイッチ法により検体中のH5亜型A型インフルエンザウイルスを測定することを含む、H5亜型A型インフルエンザウイルスの免疫測定方法を提供する。さらに、本発明は、H5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンと抗原抗体反応し、その対応エピトープが、レセプターサブドメイン(但し、そのC末端11アミノ酸から成る領域を除く)中に存在せず、前記A型インフルエンザウイルスの中和活性を有さず、H1亜型〜H4亜型及びH6亜型〜H15亜型のヘマグルチニンとは実質的に交差反応しない抗H5亜型A型インフルエンザウイルスヘマグルチニンモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片であって、
前記モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のエピトープが配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として、
(1) 41〜60aa及び312〜322aaの領域、
(2) 61〜80aa及び290〜300aaの領域、又は
(3) 101〜113aa及び268〜278aaの領域
に存在する3種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のうち、単一のH5亜型A型インフルエンザウイルスに同時に結合可能な2種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片を含む、H5亜型A型インフルエンザウイルスの免疫測定用キットを提供する。
本発明により、H5亜型A型インフルエンザウイルスがエスケープ変異を起こした場合でも、結合親和性が変化しない抗H5亜型A型インフルエンザウイルスヘマグルチニンモノクローナル抗体が初めて提供された。従って、本発明のモノクローナル抗体を用いた免疫測定により、エスケープ変異を起こしたH5亜型A型インフルエンザウイルスも測定可能となり、ヒトに対しても病原性を有するトリインフルエンザウイルスを迅速に測定することが可能となった。従って、本発明は、ヒトに対しても病原性を有するトリインフルエンザウイルスの流行防止に大きく貢献するものと考えられる。
2種類のH5亜型A型インフルエンザウイルス株のヘマグルチニンのアミノ酸配列を整列させ、各サブドメインの分布及び実施例で作製した3種類のモノクローナル抗体の対応エピトープと共に示す図である。 2種類のH5亜型A型インフルエンザウイルス株のヘマグルチニンのアミノ酸配列を整列させて示す図である。 H5亜型A型インフルエンザウイルス株のヘマグルチニンの立体構造及び実施例で作製した3種類のモノクローナル抗体の対応エピトープ領域を示す図である。 実施例において行った、3種類のモノクローナル抗体のエピトープ解析の途中結果を示す図である。 実施例において行った、3種類のモノクローナル抗体のエピトープ解析の途中結果を示す図である。 実施例で作製した、免疫測定器具(イムノクロマト器具)の主要部の模式断面図である。 実施例で作製した、免疫測定器具(イムノクロマト器具)の模式平面図である。 実施例で作製した、免疫測定器具(イムノクロマト器具)の模式断面図である。 実施例で作製した、他の免疫測定器具(イムノクロマト器具)の主要部の模式断面図である。 実施例で作製した、他の免疫測定器具(イムノクロマト器具)の模式平面図である。
上記の通り、本発明のモノクローナル抗体は、H5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンと抗原抗体反応し、その対応エピトープが、レセプターサブドメイン(但し、そのC末端11アミノ酸から成る領域を除く)以外の領域にあるものである。
H5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(以下、「H5 HA」と略記することがある)の遺伝子の塩基配列及びそれがコードするアミノ酸配列の1例を配列番号1及び2に示す。なお、配列番号1及び2に示す配列は、公知であり、GenBankにAB263192のAccession No.で登録されている。
H5 HAの遺伝子塩基配列及びアミノ酸配列は、上記以外にもいくつか知られており、例えば、上記非特許文献1に記載されているH5N3のHAの遺伝子塩基配列及びアミノ酸配列はGenBankにAF303057のAccession No.で登録されている(アミノ酸配列はQ9DLP3のAccession No.でも登録されている)(配列番号3及び4)。公知のいずれかのH5亜型HAと抗原抗体反応するものは本発明のモノクローナル抗体の範囲に含まれ、H5亜型HA間の相同性は高いので、通常、いずれのH5亜型HAとも抗原抗体反応する。
配列番号2に示すアミノ酸配列と、配列番号4に示すアミノ酸配列を整列させたものを図1に示す。図1中には、アミノ酸配列中の各ドメインも記載されている(非特許文献1)。アミノ酸配列のみを整列させたものを図2に示す。図2によく示されるように、両者のアミノ酸配列の相同性は非常に高く(約96.8%)、アミノ酸数も同じであるので、配列番号4についてわかっている各種ドメインの分布(非特許文献1)から、配列番号2のアミノ酸配列における各種ドメインの分布も容易にわかる(図1)。本明細書及び特許請求の範囲では、H5 HAのアミノ酸配列中の位置を示すのに配列番号2のアミノ酸配列を基準にしているが、上記の通り、H5A型インフルエンザウイルスのHA間のアミノ酸配列の相同性は非常に高いので、他のH5 HAのアミノ酸配列も配列番号2のアミノ酸配列と容易に整列させることができ、配列番号2のアミノ酸配列を基準とした位置が、そのアミノ酸配列においてどこに相当するのかは容易にわかる。また、「配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として」とは、その位置を示す基準として配列番号2に示されるアミノ酸配列を用いるということであり、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するHAを免疫原として作製されたモノクローナル抗体のみを意味するものではない。
図1からわかるように、配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として、レセプターサブドメインは、N末端から126番目のアミノ酸(以下、「126aaのように記載」)から278aaである。本発明のモノクローナル抗体は、その対応エピトープが、レセプターサブドメイン(但し、そのC末端11アミノ酸から成る領域を除く)中に存在しないモノクローナル抗体である。レセプターサブドメインに抗体が結合すると、インフルエンザウイルスが細胞表面のレセプターに結合できなくなり、細胞内に侵入することができなくなり、その結果、宿主内で増殖することができない。すなわち、その抗体は、インフルエンザウイルスの中和活性を有する。但し、下記実施例において具体的に作製したモノクローナル抗体の1つ(IFH5-115)は、その対応エピトープの一部が、レセプターサブドメインのC末端11アミノ酸(268-278aa)の領域に存在するが中和活性を持たないため、レセプターサブドメインのC末端領域は、ウイルスとレセプターとの結合に必須的な領域ではない。このため、本発明で規定する、対応エピトープが存在しない領域(基本的にレセプターサブドメイン)から、レセプターサブドメインのC末端側11アミノ酸を除外する。
本発明に用いられるモノクローナル抗体の対応エピトープは、
(1) 41〜60aa及び312〜322aaの領域、
(2) 61〜80aa及び290〜300aaの領域、又は
(3) 101〜113aa及び268〜278aaの領域
に存在する。
ここで、対応エピトープが、「領域に存在する」とは、その領域を欠失させた欠失変異体に対する結合活性がなくなるか又は少なくとも有意に低下することを意味し、その領域内に対応エピトープが存在する場合のみならず、その領域と重複する領域に対応エピトープが存在する場合であって、その領域を欠失させると結合活性がなくなるか又は少なくとも有意に低下する場合も包含される。また、上記(1)〜(3)に規定される対応エピトープ領域は、それぞれ、アミノ酸配列上の位置が大きく離れた2つの領域から成るが、これらの2つの領域は、HAの立体構造中では隣接して位置する(図3参照)。従って、例えば、上記(1)の41〜60aa及び290〜300aaの領域に対応エピトープが存在するとは、立体構造中で隣接するこれらの領域の全体の中に対応領域が存在することを意味し、36〜65aa及び307〜327aaのいずれか一方を欠失させた場合には、そのモノクローナル抗体は、その部分欠失HAに結合できない。
対応エピトープがどの領域に存在するかは、下記実施例に具体的に記載するとおり、原理的に常法である、欠失変異体との結合性を調べることにより調べることができる。すなわち、各種領域を欠失した種々の変異体を遺伝子工学的手法により作製し、それらの各欠失変異体とモノクローナル抗体との結合性が、その欠失により喪失又は有意に低下するか否かを測定することにより調べることができる。
本発明のモノクローナル抗体はまた、それが抗原抗体反応により結合するA型インフルエンザウイルスの中和活性を有さない。上記の通り、本発明のモノクローナル抗体は、その対応エピトープが、レセプターサブドメイン(C末端側11アミノ酸の領域を除く)以外の領域にあり、この構成要件により、概ね中和活性はなくなるが、レセプターサブドメイン(C末端側11アミノ酸の領域を除く)以外の領域に対応エピトープが存在する場合であって、例えば立体障害的にレセプターサブドメインとレセプターとの結合を妨害することにより中和活性を発揮するものも包含される。モノクローナル抗体が中和活性を有するか否かは、下記実施例に具体的に記載するように、H5亜型A型インフルエンザウイルスとそのモノクローナル抗体との混合物を細胞に作用させ、細胞を培養し、細胞に対する細胞障害が起きるか否かを調べることにより調べることができる。
さらに、本発明のモノクローナル抗体は、A型インフルエンザウイルスの他のHA亜型(すなわち、H1〜H4及びH6〜H15)とは実質的に交差反応しない。他のHA亜型と実質的に交差反応しないことにより、トリからヒトに感染することが確認されているH5亜型A型インフルエンザウイルスのみを、他のインフルエンザウイルスと区別して測定することができる。ここで「実質的に交差反応しない」とは、検出可能な程度に交差反応しないか又は、交差反応は検出可能であるが、その程度が微弱であり、H5 HAとの抗原抗体反応とは明瞭に区別できることを意味する。例えば、下記実施例では、2種類の本発明の抗H5 HAモノクローナル抗体を固相化抗体及び標識抗体として用いるイムノクロマトグラフィーにより、各種亜型のHAとの交差反応を調べているが、このような方法で、検出ゾーンに標識が検出されなければ実質的に交差反応しないと判定可能である。なお、下記実施例で用いた、H1〜H4及びH6〜H15の遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号5〜12、15〜34に示す。他のHA亜型との交差反応の有無は、これらを用いて調べることができる。
本発明は、上記した本発明のモノクローナル抗体の抗原結合性断片をも用いることができる。ここで、「抗原結合性断片」とは、例えば免疫グロブリンのFab断片やF(ab')2断片のような、当該抗体の対応抗原に対する結合性(抗原抗体反応性)を維持している抗体断片を意味する。このような抗原結合性断片も免疫測定に利用可能であることは周知である。Fab断片やF(ab')2断片は、周知の通り、モノクローナル抗体をパパインやペプシンのようなタンパク分解酵素で処理することにより得ることができる。なお、抗原結合性断片は、Fab断片やF(ab')2断片に限定されるものではなく、対応抗原との結合性を維持しているいかなる断片であってもよく、遺伝子工学的手法により調製されたものであってもよい。また、例えば、遺伝子工学的手法により、一本鎖可変領域 (scFv : single chain fragment of variable region) を大腸菌内で発現させた抗体を用いることもできる。scFvの作製方法も周知であり、上記の通りに作製したハイブリドーマのmRNAを抽出し、一本鎖cDNAを調製し、免疫グロブリンH鎖及びL鎖に特異的なプライマーを用いてPCRを行なって免疫グロブリンH鎖遺伝子及びL鎖遺伝子を増幅し、これらをリンカーで連結し、適切な制限酵素部位を付与してプラスミドベクターに導入し、それで大腸菌を形質転換し、大腸菌からscFvを回収することによりscFvを作製することができる。このようなscFvも本発明で言う「抗原結合性断片」に包含される。
本発明に用いられるモノクローナル抗体は、H5亜型A型インフルエンザウイルスを免疫原とする常法により抗H5亜型A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を調製し、HAに対する結合性を有するものをスクリーニングし、H5亜型A型インフルエンザウイルスに対する中和活性がないものをスクリーニングし、スクリーニングされたモノクローナル抗体の対応エピトープを解析して本発明で規定される、エピトープに関する上記の要件を満足するものを選択することにより得ることができる。モノクローナル抗体自体は、周知のハイブリドーマ法により作製することができ、下記実施例にも具体的に記載されている。また、A型インフルエンザウイルスの中和活性は、該ウイルスとモノクローナル抗体との混合物を細胞に作用させ、細胞が障害されるか否かを調べる、上記した方法により調べることができ、この方法は、下記実施例にも具体的に記載されている。さらに、対応エピトープ解析は、H5 HAの各種欠失変異体を作製し、それらとモノクローナル抗体との結合性を調べていく、上記した方法により行なうことができ、この方法も下記実施例にも具体的に記載されている。
本発明は、上記本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片と、H5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンとの抗原抗体反応を利用した免疫測定により検体中のH5亜型A型インフルエンザウイルスを測定することを含む、H5亜型A型インフルエンザウイルスの免疫測定方法を提供する。なお、本発明において、「測定」という語には、検出、定量、半定量が包含されるものとする。
免疫測定方法自体はこの分野において周知であり、本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片は、周知のいずれの免疫測定方法にも利用することができる。すなわち、反応形式に基づき分類すると、サンドイッチ法、競合法、凝集法等があり、標識に基づき分類すると、酵素免疫分析、放射免疫分析、蛍光免疫分析、化学発光免疫分析等があるが、これらのいずれもが本発明で言う「免疫測定」に包含され、本発明の免疫測定方法に採用することができる。また、各免疫測定に必要な試薬類も周知であり、用いるモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片に特徴があること以外は、通常の免疫測定用キットを用いて免疫測定を行うことができる。すなわち、本発明は、上記した本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片を含む、本発明の測定方法を実施するための測定キットも提供するものである。
免疫測定方法の中でも、H5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに同時に結合可能な2種類の本発明のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片を用いるサンドイッチ法によるものが高感度で迅速なウイルス測定のために有利である。サンドイッチ法は、通常、用いる2種類のモノクローナル抗体のうち、一方をビーズ若しくはマイクロプレートのウェル、又はイムノクロマトグラフィーの多孔性マトリックスのような固相に固定化し、他方を酵素標識、蛍光標識、化学発光標識等で標識し、固相化抗体と標識抗体の間に測定対象であるウイルス抗原をサンドイッチし、固相に結合された標識を測定する。H5亜型A型インフルエンザウイルスを検出したい場合には、固相に結合された標識を検出することにより、該ウイルスを検出することができる。該ウイルスを定量したい場合には、異なる種々の既知量の標準検体を用いて、その免疫測定系で標識を測定し、標識量とウイルス量との相関関係をプロットして検量線(標準曲線)を作成しておき、未知の検体について同じ操作を行って標識量を測定し、測定値を検量線にあてはめることによりウイルスを定量を測定することができる。なお、これらのサンドイッチ法自体は周知である。
本発明のサンドイッチ法では、単一のH5 HA分子に同時に結合可能な2種類の本発明の抗H5 HAモノクローナル抗体が用いられる。この場合、上記した、
対応エピトープが、配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として、
(1) 41〜60aa及び312〜322aaの領域、
(2) 61〜80aa及び290〜300aaの領域、又は
(3) 101〜113aa及び268〜278aaの領域
に存在する3種類のモノクローナル抗体のうちの2種類を用いて行なうと、感度及び特異性に特に優れた免疫測定が可能になり好ましい。
検体中のH5亜型A型インフルエンザウイルスを定量する場合には、ELISA等の、マイクロプレートのウェルやビーズを固相とするサンドイッチ法を好ましく用いることができる。一方、検体中のH5亜型A型インフルエンザウイルスを医療現場において迅速、簡便に検出したい場合には、イムノクロマトグラフィー(しばしば「イムノクロマト」と略される)が好ましく用いられる。イムノクロマトグラフィー自体及びそれに用いられる器具(以下、「イムノクロマト器具」と呼ぶことがある)は周知であり、下記実施例にも具体的に記載されている。
ラテラルフロー方式のイムノクロマトグラフィーを簡単に説明すると、ニトロセルロース膜のような多孔性素材から成る、通常、帯状のマトリックス上に、第1の抗H5 HAモノクローナル抗体を固相化した検出ゾーンと、その上流(後述の展開液が流れる方向における上流側)に位置し、標識した第2の抗H5 HAモノクローナル抗体を点着した標識試薬ゾーンを含む。標識試薬ゾーンには検体が添加され、かつ、標識抗体は、標識試薬ゾーンから流出してマトリクス内を流れる必要があるので、通常、標識試薬ゾーンは、標識抗体を点着した多孔性のパッドにより構成される。マトリックスの上流端には、展開液を貯蔵した展開液槽が設けられている。さらに、通常、上記検出ゾーンの下流に、標識抗体の展開が起きたかどうかを確認するための、抗標識抗体を固相化した展開確認部と、さらにその下流に、流れて来た展開液を吸収するための多孔性の吸収パッドが設けられた展開液吸収ゾーンで構成されている。さらに、標識が酵素標識である場合には、標識試薬ゾーンよりも上流に、標識酵素の基質を点着した基質ゾーンが設けられている。
使用時には、検体を標識試薬ゾーンに添加し、展開液槽を破って展開液をマトリックスの上端部に施す。展開液は、マトリックスの毛管現象により下流に向かって流れる。展開液が基質ゾーンを通過する際に基質が展開液中に溶出され、基質を含む展開液が流れていく。展開液が標識試薬ゾーンを通過する際に、標識抗体と検体とが展開液中に溶出され、基質、標識抗体及び検体を含む展開液が流れていく。検体中にH5亜型A型インフルエンザウイルスが含まれる場合には、該ウイルスのHAと標識抗体が、抗原抗体反応により結合する。これらの混合物が検出ゾーンまで流れてくると、検出ゾーンにおいて、固相化抗体と該ウイルスのHAとが抗原抗体反応により結合する。その結果、該ウイルスのHAを介して標識抗体が検出ゾーンに固定される。従って、検出ゾーンに固定された標識を測定することにより、該ウイルスを検出することができる。検体中にH5亜型A型インフルエンザウイルスが含まれていない場合には、固相化抗体には何も結合されないので、標識抗体は検出ゾーンに固定されず、より下流に流れていく。従って、検出ゾーンでは標識は検出されない。検出ゾーンの下流の展開液確認部には、抗標識抗体が固相化されているので、標識抗体は展開液確認部に固定される。展開液確認部に標識が検出された場合には、展開液はそこまで正しく流れて来たということが確認される。展開液は、さらにその下流の吸収パッドに吸収される。
本発明の免疫測定方法に適用される検体としては、H5亜型A型インフルエンザウイルスが含まれているか否かを検出したい検体であれば何でもよく、血液(全血、血漿、血清を包含)、唾液、痰等の体液や、粘膜のぬぐい液、器具や設備のぬぐい液等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
参考例1 免疫用、及びELISA・ウエスタンブロット(WB)用H5亜型A型インフルエンザウイルス(H5N1)抗原の調製
弱毒インフルエンザウイルス株A/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)(Genbank accession No.:AB259712、配列番号49、50)感染発育鶏卵漿尿液液を27000rpm, 4℃, 1.5時間超遠心を行い、ウイルスをペレットとして回収した。ペレットはPBSで溶解した後、ショ糖勾配遠心分離法にてウイルス含有フラクションを回収した。再度、超遠心を行い、ショ糖を除き精製ウイルス溶液とした。精製ウイルスはホルマリン、或いはTritonX-100(商品名)による不活化を行い免疫、及びELISA、WB用抗原とした。ホルマリン処理は精製ウイルス溶液に終濃度0.2%になるようにホルマリンを加え、4℃で1週間静置することにより、TritonX-100(商品名)処理は細胞抽出用緩衝液 (0.05M Tris-HCl,pH8.0, 0.6M KCl, 0.5% Triton X-100(商品名)を精製ウイルス溶液に3倍量加えることによって行った。ウイルスの不活化の確認は不活化処理したウイルスを10日齢発育鶏卵に接種して2日間培養した後、ウイルス感染発育鶏卵漿尿液の赤血球凝集(HA)試験でHA価がないことによって確認した。
参考例2 特異性確認(IF、WB)用H5亜型A型インフルエンザウイルス(H5N1)抗原の調製
樹立した抗体の特異性確認に使用するウイルス感染マディンダービーイヌ腎(Madin-Darby canine kidney, MDCK)細胞(入手先:北海道大学)、及びその細胞抽出液の作製は以下のように行った。蛍光抗体法(IF)用抗原はチャンバースライドにMDCK細胞をフルシートになるまで培養した後、各インフルエンザウイルスをトリプシン添加MEM(血清無添加)で最適に希釈し細胞に接種した。CO2 インキュベーターで35℃, 16時間培養し、その後、冷アセトンで細胞を固定し特異性確認用IF用スライドとした。
WB用抗原はシャーレにフルシート状になるまで培養したMCDK細胞にIF用抗原作製と同様に最適化したウイルス溶液にトリプシン含有無血清MEMを加えて35℃、16時間培養した。培養終了後、細胞溶解緩衝液をシャーレに加えて細胞を溶解し、14000rpm, 5min遠心しその上清を特異性確認用WB用抗原とした。
実施例1 A型インフルエンザウイルス(H5)ヘマグルチニンに特異的なモノクローナル抗体の確立
参考例1で作製した精製不活化インフルエンザウイルスA/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)をマウスに免疫し、同マウスの後ろ肢リンパ球とミエローマ細胞を融合することにより作製した。すなわち、BALB/Cマウスに、フロイント完全アジュバントでエマルジョン化した精製不活化インフルエンザウイルスA/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)を50〜100μg/マウスでフットパットに初回免疫を行い、2〜3週間後、アジュバントを含まないの精製不活化インフルエンザウイルスA/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)を50〜100μg/マウスで追加免疫を行った。抗体価の確認は、TritonX100処理精製インフルエンザウイルスA/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)抗原をコートした96ウェル ELISAプレートを用いた固相ELISA、及び同抗原によるWBで行った。抗体価の上昇が認められたマウスに精製不活化インフルエンザウイルスA/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)25〜50μgをフットパットに免疫し、その3〜4日後、マウス下肢リンパ節からリンパ球を調製した。前もってRPMI-1640培地で培養していたマウスミエローマ細胞(P3U1)と脾細胞を1:2〜1:5の比率で混合し、ポリエチレングリコール(PEG;ベーリンガー社製)を用いて細胞融合を行った。融合した細胞はHAT培地に浮遊した後、96ウェル培養プレートに分注し、37℃ CO2インキュベーターで培養した。
産生抗体のスクリーニングは上記に示した固相ELISAで行った。すなわち、TritonX-100(商品名)処理精製インフルエンザウイルスA/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)抗原を96ウェル ELISAプレート(ヌンク社製)に1μg/mlの濃度で50μl/ウェルずつ分注し、4℃ にて一晩放置することにより吸着させた。ウェルを1%スキムミルクでブロッキングした後、洗浄緩衝液(0.05% Tween20を含むPBS)で3回洗浄し、細胞融合を行ったプレートの培養上清50μlを加え、37℃にて1時間反応させた。同様に洗浄緩衝液で3回洗浄後、POD標識抗マウスイムノグロブリン抗体(DACO社製)を加え、さらに37℃にて1時間反応させた。洗浄緩衝液で4回洗浄後、基質ABTSを加え、発色の見られるウェルを選択した。次に、選択したウェルの細胞を48ウェル、又は24ウェル 培養プレートに移し37℃ のCO2インキュベーター中で培養した後、WBにてヘマグルチニンに反応することを確認した。WBはTritonX-100(商品名)処理精製インフルエンザウイルスA/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)抗原をSDS-PAGE後、ニトロセルロース膜に転写して作製した膜を用いて常法に従い実施した。WBでヘマグルチニンに反応が確認されたウェルの細胞を限外希釈法にて単一クローンとし、以下に示す抗インフルエンザ(H5N1)ヘマグルチニンに反応するモノクローナル抗体を産生する種々のハイブリドーマを確立した。
エピトープが交差するクローンを除外するためインヒビション試験で競合するモノクローナル抗体をまず除外し、互いに競合しないモノクローナル抗体のみを選択した。具体的には、このインヒビション試験は次のようにして行なった。Mabのスクリーニングと同様に精製インフルエンザウイルスを吸着した96Well ELISAプレートを作製し、各Wellに数倍高濃度の阻害用Mabと等量のアルカリフォスファターゼ標識Mabを同時に加え37℃、1時間反応させる。洗浄後、基質pNPPを加え標識Mabの固相への反応を各Mabが阻害するかどうか確認した。選択した14種類のモノクローナル抗体を、種々組合せて、後述するイムノクロマト器具の固相抗体及び標識抗体として用いたイムノクロマト器具を、後述する方法により実際に作製し、作製したイムノクロマト器具を用いて検体中のA型インフルエンザウイルスを実際に検出し、優れた感度及び特異性(後述の通り、他のHA亜型と交差反応しない)を与える3種類のモノクローナル抗体IFH5-115、IFH5-136、IFH5-26及びこれらをそれぞれ産生する3種類のハイブリドーマIFH5-115、IFH5-136、IFH5-26を確立した(以下、モノクローナル抗体IFH5-115、IFH5-136、IFH5-26は、それぞれ、モノクローナル抗体115(又はMab115)、モノクローナル抗体136(又はMab136)及びモノクローナル抗体26(又はMab26)と呼ぶことがある)。 なお、これらのモノクローナル抗体は、後述の通り、A型インフルエンザウイルスに対する中和活性を有していなかった。
実施例2 IF、及びWBによるモノクローナル抗体の反応特異性の確認
IF法は以下のように行った。即ち、参考例2で作製した特異性確認用IF用スライドにモノクローナル抗体の培養上清または腹水(1% BSA in PBSTで希釈)を添加し室温, 1時間反応させた後、PBSで洗浄し蛍光色素標識抗マウス IgG(1% BSA in PBSTで1000倍希釈)と室温, 30分間反応させた。PBSで洗浄した後、グリセロールで封入し、蛍光顕微鏡で観察した。WBは参考例2で作製した抗原を用いて常法に従って行った。
モノクローナル抗体IFH5-115、IFH5-136、IFH5-26は、いずれの方法においても弱毒型H5N1インフルエンザHAに反応することが確認されたが他亜株のHAや強毒型H5N1に対する反応は方法により違いが見られた。したがって、これらに関しては実際の測定系(EL)で確認することにした。
実施例3 抗インフルエンザH5N1型ウイルスモノクローナル抗体の対応エピトープ解析3-1 N末欠損プラスミドの作製
Mab 26, 115及び136のN末側の認識部位を決定するために、564アミノ酸からなるインフルエンザH5N1株A/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)のHA(配列番号2)を、PCR法にて、1〜564aa (A断片)、1〜514aa (B断片)、21〜514aa(C断片)、101〜500aa(D断片)、151〜500aa(E断片)および201〜500aa(F断片)の6断片を増幅した。各プライマーにはあらかじめ、BamHI、XbaI部位を付加していた。増幅断片をQIAGEN社のPCR Purification Kitで精製し、発現用プラスミドpW6AのNdeI-EcoRI部位にGSTを組込んだ発現用プラスミドpWG6AのBamHI、XbaI部位に挿入し、プラスミドpWGInf.H5N1-N-A,pWGInf.H5N1-N-B,pWGInf.H5N1-N-C, pWGInf.H5N1-N-D pWGInf.H5N1-N-Eおよび pWGInf.H5N1-N-Fを作製した。これらを用い大腸菌BL21(DE3)(Brookhaven National Laboratoryより入手)を形質転換させ、アンピシリン耐性の形質転換体大腸菌BL21(DE3)pWGInf.H5N1-N-A, BL21(DE3)pWGInf.H5N1-N-B,BL21(DE3)pWGInf.H5N1-N-C, BL21(DE3)pWGInf.H5N1-N-D,BL21(DE3)pWGInf.H5N1-N-E およびBL21(DE3)pWGInf.H5N1-N-Fを得た。
3-2 組換え蛋白質(GST+Inf.H5N1-N-A,GST+Inf.H5N1-N-B,GST+Inf.H5N1-N-C, GST+Inf.H5N1-N-D, GST+Inf.H5N1-N-EおよびGST+Inf.H5N1-N-F)の発現とウェスタンブロット
3-1で作製した形質転換体を、50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地2ml中37℃で培養した。予備培養にて600nmでODを0.6〜0.8にした後1mM IPTGを添加し発現誘導を行い、更に3時間培養した。1.5ml量の菌体培養液を5,000rpmで2分間遠心分離して菌体を集め、100μlの緩衝液(10mMトリス-塩酸、pH8.0、0.1M塩化ナトリウム、1mMEDTA)に懸濁し、15分間の超音波破砕により完全に菌体を破砕した。これを菌体試料とした。
菌体試料8μlに3倍濃度のSDSポリアクリルアミド緩衝液(0.15Mトリス-塩酸、pH6.8、6%SDS、24%グリセロール、6mM EDTA、2% 2-メルカプトエタノール、0.03% ブロモフェノールブルー)4μlを加え十分攪拌した後、100℃で加熱処理をし、電気泳動に供した。ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE)は、e-パジェル12.5%ゲル濃度(商品名、アトー社製)を使用し常法に従った。泳動後PVDF膜(アトー社製)に転写し、1%BSAにて4℃一晩ブロッキングを行った。ブロッキング液を除きPBS-Tween(商品名)で洗浄後、2μg/mlの濃度に調整したモノクローナル抗体26,115および136を加え室温60分反応させた。PBS-Tween(商品名)で十分に洗浄した後、反応用液で5000倍に希釈したペルオキシダーゼ酵素標識された抗マウスイムノグロブリンウサギポリクローナル抗体(ダコ社製)を反応させ、洗浄後、ECLウェスタンブロッティング検出システム(GEヘルスケア バイオサイエンス社製)を用いてインスタントフィルム(富士フイルム社製)に1〜15分間露光しシグナルを検出した。その結果を図4に示す。モノクローナル抗体26および115はA、BおよびC断片と反応し、D断片とは反応しなかった。モノクローナル抗体136はA、B、CおよびD断片と反応しE断片とは反応しなかった。従って、モノクローナル抗体26および115は21〜100aa領域を、またモノクローナル抗体136は101〜150aa領域を認識していることが判明した。
3-3 N末欠損プラスミドの作製
次にインフルエンザH5N1の21〜400アミノ酸断片をさらに細分化した断片N1(21〜400aa)、N2(41〜400aa)、N3(61〜400aa)、N4(81〜400aa)、N5(101〜400aa)、N6(114〜400aa)、N7(127〜400aa)およびN8(139〜400aa)をPCR法で増幅した。増幅断片をQIAGEN社のPCR Purification Kitで精製し、昆虫細胞発現用プラスミドpBac-EGTs-6A(Invitrogen社製pFastBac1ベクターを改変)のBamHI-XbaI部位に挿入し、プラスミpBacInf.H5N1-N1, pBacInf.H5N1-N2, pBacInf.H5N1-N3, pBacInf.H5N1-N4, pBacInf.H5N1-N5, pBacInf.H5N1-N6, pBacInf.H5N1-N7および pBacInf.H5N1-N8を作製した。これらをBacmid作製用大腸菌DH10Bacに形質転換を行いBacmid-Inf.H5N1-N1, Bacmid-Inf.H5N1-N2, Bacmid-Inf.H5N1-N3, Bacmid-Inf.H5N1-N4, Bacmid-Inf.H5N1-N5, Bacmid-Inf.H5N1-N6, Bacmid-Inf.H5N1-N7および Bacmid-Inf.H5N1-N8を作製した。
3-4 組換え蛋白質(Inf.H5N1-N1, Inf.H5N1-N2, Inf.H5N1-N3, Inf.H5N1-N4, Inf.H5N1-N5, Inf.H5N1-N6, Inf.H5N1-N7および Inf.H5N1-N8)の発現
3-3で作製した8種類のBacmidDNAを昆虫細胞Sf-21(Invitrogen社製)にトランスフェクションを行い組換えウイルスP1-N1, P1-N2, P1-N3, P1-N4, P1-N5, P1-N6, P1-N7および P1-N8を作製した。これらのP1の一部をSf21細胞へ感染させ27℃,4日間培養後、3000rpm 20分間遠心分離で培養上清を回収した。これをELISAの試料とした。
139〜400アミノ酸領域と反応するモノクローナル抗体254を固相化したELISA法を使用した。すなわち、モノクローナル抗体254は2μg/mLの濃度に希釈し、マイクロプレートモジュール(Nunc社製)の各ウエルに50μLずつ加え、4℃一晩インキュベートし固相化した。次に、0.1%のTween 20(商品名)を含むPBS(PBS-Tween(商品名))で各ウエルを洗浄後、PBSで希釈した1%のウシ血清アルブミン(BSA) 100μLを加え37℃,1時間ブロッキングを行った。ブロッキング液を除いた後、ビオチン化モノクローナル抗体26,115および126を50μl加え37℃1時間反応させた。PBS-Tween(商品名)で十分に洗浄した後、反応用液で2,000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン(DAKO社製)を各ウエルに50μlずつ加え37℃1時間反応させた。反応後PBS-Tween(商品名)で十分に洗浄し、パラニトロフェニルリン酸を各ウエルに50μlずつ加え、室温で30分間反応後、反応停止液を各ウエルに50μlずつ加え波長405nmで発色レベル(吸光度)を測定した。表1に示すようにモノクローナル抗体26は61〜80アミノ酸、モノクローナル抗体115は41〜60アミノ酸およびモノクローナル抗体136は101〜113アミノ酸領域にエピトープが存在すると推定できる。
Figure 0005586064
3-5 C末欠損プラスミドの作製
モノクローナル抗体26, 115および136のC末側の認識部位を決定するために、564アミノ酸からなるインフルエンザH5N1株
A/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)のHA(配列番号2)を、PCR法にて、21〜400aa (A断片)、21〜333aa (B断片)、21〜266aa(C断片)、21〜200aa(D断片)および21〜133aa(E断片)5断片を増幅した。各プライマーにはあらかじめ、BamHI、XbaI部位を付加していた。増幅断片をQIAGEN社のPCR Purification Kitで精製し、発現用プラスミドpW6AのNdeI-EcoRI部位にGSTを組込んだ発現用プラスミドpWG6AのBamHI、XbaI部位に挿入し、プラスミドpWGInf.H5N1-C-A,pWGInf.H5N1-C-B,pWGInf.H5N1-C-C,pWGInf.H5N1-C-D およびpWGInf.H5N1-C-Eを作製した。これらを用い大腸菌BL21(DE3)(Brookhaven National Laboratoryより入手)を形質転換させ、アンピシリン耐性の形質転換体大腸菌BL21(DE3)pWGInf.H5N1-C-A,BL21(DE3)pWGInf.H5N1-C-B,BL21(DE3)pWGInf.H5N1-C-C,BL21(DE3)pWGInf.H5N1-C-D,BL21(DE3)pWGInf.H5N1-C-Eを得た。
3-6 組換え蛋白質(GST+Inf.H5N1-C-A,GST+Inf.H5N1-C-B,GST+Inf.H5N1-C-C, GST+Inf.H5N1-C-Dおよび GST+Inf.H5N1-C-E)の発現とウェスタンブロット
3-5で作製した形質転換体を、50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地2ml中37℃で培養した。予備培養にて600nmでODを0.6〜0.8にした後1mM IPTGを添加し発現誘導を行い、更に3時間培養した。1.5ml量の菌体培養液を5,000rpmで2分間遠心分離して菌体を集め、100μlの緩衝液(10mMトリス-塩酸、pH8.0、0.1M塩化ナトリウム、1mMEDTA)に懸濁し、15分間の超音波破砕により完全に菌体を破砕した。これを菌体試料とした。
菌体試料8μlに3倍濃度のSDSポリアクリルアミド緩衝液(0.15Mトリス-塩酸、pH6.8、6%SDS、24%グリセロール、6mM EDTA、2% 2-メルカプトエタノール、0.03% ブロモフェノールブルー)4μlを加え十分攪拌した後、100℃で加熱処理をし、電気泳動に供した。ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE)は、e-パジェル12.5%ゲル濃度(商品名、アトー社製)を使用し常法に従った。泳動後PVDF膜(アトー社製)に転写し、1%BSAにて4℃一晩ブロッキングを行った。ブロッキング液を除きPBS-Tween(商品名)で洗浄後、2μg/mlの濃度に調整したモノクローナル抗体26,115および136を加え室温60分反応させた。PBS-Tween(商品名)で十分に洗浄した後、反応用液で5000倍に希釈したペルオキシダーゼ酵素標識された抗マウスイムノグロブリンウサギポリクローナル抗体(ダコ社製)を反応させ、洗浄後、ECLウェスタンブロッティング検出システム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いてインスタントフィルム(富士フイルム社製)に1〜15分間露光しシグナルを検出した。その結果を図5に示す。モノクローナル抗体26,115および136はAおよびB断片と反応しC断片とは反応しなかった。従って、モノクローナル抗体26,115および136は267〜333アミノ酸領域を認識していることが判明した。
3-7 C末欠損プラスミドの作製
次にインフルエンザH5N1の267〜333aa断片をさらに細分化した断片C1(41〜333aa)、C2(41〜322aa)、C3(41〜311aa)、C4(41〜300aa)、C5(41〜289aa)、C6(41〜278aa)およびC7(41〜267aa)をPCR法で増幅した。増幅断片をQIAGEN社のPCR Purification Kitで精製し、昆虫細胞発現用プラスミドpBac-EGTs-6A(Invitrogen社製pFastBac1ベクターを改変)のBamHI-XbaI部位に挿入し、プラスミpBacInf.H5N1-C1, pBacInf.H5N1-C2, pBacInf.H5N1-C3, pBacInf.H5N1-C4, pBacInf.H5N1-C5, pBacInf.H5N1-C6およびpBacInf.H5N1-C7を作製した。これらをBacmid作製用大腸菌DH10Bacに形質転換を行いBacmid-Inf.H5N1-C1, Bacmid-Inf.H5N1-C2, Bacmid-Inf.H5N1-C3, Bacmid-Inf.H5N1-C4, Bacmid-Inf.H5N1-C5, Bacmid-Inf.H5N1-C6および Bacmid-Inf.H5N1-C7を作製した。
3-8 組換え蛋白質(Inf.H5N1-C1, Inf.H5N1-C2, Inf.H5N1-C3, Inf.H5N1-C4, Inf.H5N1-C5, Inf.H5N1-C6および Inf.H5N1-C7の発現
3-7で作製した7種類のBacmidDNAを昆虫細胞Sf-21(Invitrogen社製)にトランスフェクションを行い組換えウイルスP1-C1, P1-C2, P1-C3, P1-C4, P1-C5, P1-C6およびP1-C7を作製した。これらのP1の一部をSf21細胞へ感染させ27℃,4日間培養後、3000rpm 20分間遠心分離で培養上清を回収した。これをEnzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA法)の試料とした。
41〜333aa領域と反応するモノクローナル抗体270を固相化したELISA法を使用した。すなわち、モノクローナル抗体270は2μg/mlの濃度に希釈し、マイクロプレートモジュール(Nunc社製)の各ウエルに50μlずつ加え、4℃一晩インキュベートし固相化した。次に、0.1%のTween 20(商品名)を含むPBS(PBS-Tween)(商品名)で各ウエルを洗浄後、PBSで希釈した1%のウシ血清アルブミン(BSA) 100μlを加え37℃,1時間ブロッキングを行った。ブロッキング液を除いた後、ビオチン化モノクローナル抗体26,115および126を50μl加え37℃1時間反応させた。PBS-Tween(商品名)で十分に洗浄した後、反応用液で2000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン(DAKO社製)を各ウエルに50μlずつ加え37℃1時間反応させた。反応後PBS-Tween(商品名)で十分に洗浄し、パラニトロフェニルリン酸を各ウエルに50μlずつ加え、室温で30分間反応後、反応停止液を各ウエルに50μlずつ加え波長405nmで発色レベルを測定した。表2に示すようにモノクローナル抗体26は290〜300アミノ酸、モノクローナル抗体115は312〜322アミノ酸、モノクローナル抗体136は268〜278アミノ酸領域にエピトープが存在すると推定できる。
Figure 0005586064
3-1〜3-8をまとめると、モノクローナル抗体26は61〜80aaおよび290〜300aa、モノクローナル抗体115は41〜60aaおよび312〜322aa、モノクローナル抗体136は101〜113aaおよび268〜278aa領域、すなわちこれらのモノクローナル抗体は高次構造を認識していると推定される(図3参照)。
実施例4 中和抗体活性測定
モノクローナル抗体IFH5-115、IFH5-136、IFH5-26のH5亜型A型インフルエンザウイルスに対する中和抗体活性の有無について試験した。インフルエンザウイルスはA/dk/Hokkaido/84/02(H5N3)及びA/PR/8/34(H1N1)を使用した。各モノクローナル抗体をイーグルMEM培地で2n希釈し、各抗体希釈液50μLを96ウェルプレートに添加した。A/dk/Hokkaido/84/02(H5N3)及びA/PR/8/34(H1N1)を200 TCID50/25μLになように希釈し、このウイルス希釈液を各抗体希釈ウエルに25μL添加した(蛋白質濃:0〜160μg/25μL)。室温で1hrインキュベートした(ウイルス-抗体混合液)。一方、MDCK細胞を予め10%牛胎児血清を含むイーグルMEM培地でコンフリエントに培養し、培養上清を除去し、イーグルMEM培地で1回洗浄したMDCK培養-48ウエルプレートに上記ウイルス-抗体混合液を75μL添加し、35℃で1hrインキュベートした。次に、各ウエルに0.0005% トリプシンを含むイーグルMEM培地を150μL添加し、35℃、5%炭酸ガス存在下で培養を開始した。培養3日目でウイルスの細胞障害の中和抗体活性による阻害を顕微鏡下で確認し、中和活性の有無を確認した。細胞障害が起きている場合には、ウイルス感染による細胞融合に起因する細胞の円形化が観察される。細胞障害が起きていない場合には、モノクローナル抗体が、該ウイルスの中和活性を有していると判断できる。
本測定系コントロールとして抗体を添加しないウエルをウイルス活性コントロールとし、中和抗体コントロールとして中和活性を有するA/duck/Hokkaido/Vac-1/04(配列番号2)の鶏抗血清を使用した。試験結果を表3〜表6に示す。
中和抗体コントロールとして使用した鶏抗血清(A/duck/Hokkaido/Vac-1/04(配列番号2)を免疫して得たもの))はA/dk/Hokkaido/84/02(H5N3)及びA/PR/8/34(H1N1)に対してx64希釈まで中和抗体活性が確認されたが、モノクローナル抗体IFH5-115、IFH5-136、IFH5-26は中和活性を示さなかった。
Figure 0005586064
Figure 0005586064
Figure 0005586064
Figure 0005586064
実施例5 インフルエンザA型H5免疫測定(イムノクロマト)器具1の作製
図6に示すように、巾5mm、長さ50mmのニトロセルロース膜(ミリポア社製)のマトリクス2の展開液吸収ゾーン5側の末端から15mmの位置に抗インフルエンザA型H5特異抗体(IFH5-26)を含む水溶液0.7μlをニトロセルロース膜に点着し乾燥させ、検出ゾーン6を作成した。更にマトリクス2の展開液吸収ゾーン5側の末端から12mmの位置に抗アルカリホスファターゼ抗体(ウサギ)を点着し乾燥させ、展開確認部10を作成した。次いで、マトリクスにIFH5-115抗体をアルカリホスファターゼで標識したアルカリホスファターゼ標識抗インフルエンザA型H5特異抗体(ALP- IFH5-115,10μg/ml)5μlを点着し乾燥させ、酵素標識試薬パッド4からなる標識試薬ゾーンを作成した。
展開液パッド3は、巾6mm、長さ20mmのろ紙(ミリポア社製)上に、基質として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)100μgを巾6.0mmのライン状に点着して乾燥させて基質ゾーン7を作成した。前記マトリクス2、展開液パッド3、酵素標識試薬パッド4及び吸収パッド5(巾10mm、長さ15mm、厚さ1mmのろ紙(ワットマン社製))を、展開液槽11を有するプラスチックケースに固定して、図7及び8に示すインフルエンザA型H5免疫測定器具1を製造した。
実施例6 インフルエンザA型H5免疫測定器具2の作製
実施例5の図6と同様に、巾5mm、長さ50mmのニトロセルロース膜(ミリポア社製)のマトリクス2の展開液吸収ゾーン5側の末端から15mmの位置に抗インフルエンザA型H5特異抗体(IFH5-136)を含む水溶液0.7μLをニトロセルロース膜に点着し乾燥させ、検出ゾーン6を作成した。更にマトリクス2の展開液吸収ゾーン5側の末端から12mmの位置に抗アルカリホスファターゼ抗体(ウサギ)を点着し乾燥させ、展開液確認部10を作成した。次いで、マトリクスにIFH5-115抗体をアルカリホスファターゼで標識したアルカリホスファターゼ標識抗インフルエンザA型H5特異抗体(ALP- IFH5-115,10μg/mL)5μLを点着し乾燥させ、酵素標識試薬パッド4からなる標識試薬ゾーンを作成した。
更に、実施例5と同様に、基質を点着して乾燥させた展開液パッド3を作成し、前記マトリクス2、酵素標識試薬パッド4及び吸収パッド5とともに、展開液槽11を有するプラスチックケースに固定して、前記図6及び7と同様なインフルエンザA型H5免疫測定器具2を製造した。
実施例7 インフルエンザA型H5免疫測定器具3の作製
実施例5の図6と同様に、巾5mm、長さ50mmのニトロセルロース膜(ミリポア社製)のマトリクス2の展開液吸収ゾーン5側の末端から15mmの位置に抗インフルエンザA型H5特異抗体(IFH5-136)を含む水溶液0.7μLをニトロセルロース膜に点着し乾燥させ、検出ゾーン6を作成した。更にマトリクス2の展開液吸収ゾーン5側の末端から12mmの位置に抗アルカリホスファターゼ抗体(ウサギ)を点着し乾燥させ、展開液確認部10を作成した。次いで、マトリクスにIFH5-26抗体をアルカリホスファターゼで標識したアルカリホスファターゼ標識抗インフルエンザA型H5特異抗体(ALP- IFH5-26,10μg/mL)を5μLを点着し乾燥させ、酵素標識試薬パッド4からなる標識試薬ゾーンを作成した。
更に、実施例5と同様に、基質を点着して乾燥させた展開液パッド3を作成し、前記マトリクス2、酵素標識試薬パッド4及び吸収パッド5とともに、展開液槽11を有するプラスチックケースに固定して、前記図6及び7と同様なインフルエンザA型H5免疫測定器具3を製造した。
実施例8 免疫測定器具1、2及び3によるインフルエンザA型の各亜型の測定
前記実施例5、6及び7で製造したインフルエンザA型H5免疫測定(イムノクロマト)器具1、2及び3(本発明測定器具)を使用し各種インフウレンザA型ウイルス亜型検体を使用して免疫測定器具のインフルエンザAウイルス亜型(H1-15)に対する反応特異性を試験した。使用したインフルエンザA型ウイルス亜型検体は各ウイルスを孵化鶏卵で培養し回収した赤血球凝集価(HA価)既知の漿尿液を使用した(表4参照)。各漿尿液は試料希釈液(界面活性剤を含むトリス緩衝液(pH8.0))で10倍希釈し、その30μLを検体点着ゾーン8に表3に滴下した後、変形部材に設けた押し込み部12を下方に加圧して変形させて、変形部材に付設された突起部13によって展開液パッド3を展開液槽11に挿入して展開液を展開液パッド3に供給して測定を開始した。測定開始15分後、対象試薬ゾーン10の発色によって展開液の展開を確認した後、検出ゾーン6の発色を目視で測定した。その結果を表7に示す。本免疫測定器具は何れもインフルエンザA型ウイルスH5亜型を特異的に検出し他のインフルエンザA型ウイルス亜型(H1-4及びH6-15)とは反応しないことが確認された。
Figure 0005586064
更に、インフルエンザA型ウイルスH5亜株に対する特異性及び検出感度を試験した。インフルエンザA型ウイルスH5亜株として各ウイルスを孵化鶏卵で培養し回収した赤血球凝集価(HA価)既知の漿尿液を使用した(表7参照)。各漿尿液は試料希釈液(界面活性剤を含むトリス緩衝液(pH8.0))で連続希釈し、その30μLを検体添加ゾーン8に滴下した後、変形部材に設けた押し込み部12を下方に加圧して変形させて、変形部材に付設された突起部13によって展開液パッド3を展開液槽11に挿入して展開液を展開液パッド3に供給して測定を開始した。測定開始15分後、展開確認部10の発色によって展開液の展開を確認した後、検出ゾーン6の発色を目視で測定した。その結果を表8に示す。検出感度は各漿尿液液を連続希釈した希釈液の検出可能な最高希釈倍数で表記した。本免疫測定器具はいずれも試験したインフルエンザA型ウイルスH5亜株を検出した。
Figure 0005586064
実施例9 インフルエンザA型及びインフルエンザAH5同時測定用免疫測定器具4の作製
図9に示すように、巾5mm、長さ50mmのニトロセルロース膜(ミリポア社製)のマトリクス2の展開液吸収ゾーン5側の末端から16mmと13.5mmの位置にそれぞれ参考例2で製造した抗H5亜型A型インフルエンザウイルスヘマグルチニンH5特異抗体(IFH5-26)および抗インフルエンザA型ウイルス抗体(FVA2-11)(文献:Gui-Rong BAI et.al.:Improvement of a Rapid Diagnosis Kit to Detect Either Influenza A or B Virus Infection. J.Vet.Med.Sci.68(1);1-6,2006)を含む水溶液0.7μLをニトロセルロース膜にそれぞれ点着し乾燥させ、検出ゾーン6a及び6bを作成した。更にマトリクス2の展開液吸収ゾーン5側の末端から11mmの位置に抗アルカリホスファターゼ抗体(ウサギ)を点着し乾燥させ、展開確認部10を作成した。次いで、マトリクスに参考例1で製造したアルカリホスファターゼ標識抗インフルエンザA型ウイルス抗体(5μg/mL)とアルカリホスファターゼ標識抗インフルエンザA型H5特異抗体(ALP- IFH5-115(10μg/mL)との混合水溶液5μLを点着し乾燥させ、酵素標識試薬パッド4からなる標識試薬ゾーンを作成した。
展開液パッド3は、巾6mm、長さ20mmのろ紙(ミリポア社製)上に、基質として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)100μgを巾6.0mmのライン状に点着して乾燥させて作成した。前記マトリクス2、展開液パッド3、酵素標識試薬パッド4及び吸収パッド5(巾10mm、長さ15mm、厚さ1mmのろ紙(ワットマン社製))を、展開液槽11を有するプラスチックケースに固定して、図10及び図8に示すインフルエンザA型ウイルス及びA型H5ウイルス同時免疫測定器具4を製造した。
実施例10 同時免疫測定器具4によるインフルエンザA型の各亜型の測定
実施例9で製造した作成したインフルエンザA型ウイルス及びA型H5ウイルス同時免疫測定器具4(本発明測定器具)の検体添加ゾーン8に表7又は8に記載されたインフルエンザA型ウイルスの亜型試料(試料希釈液として、界面活性剤を含むトリス緩衝液(pH8.0)を使用)各30μLを添加した後、変形部材に設けた押し込み部12を下方に加圧して変形させて、変形部材に付設された突起部13によって展開液パッド3を展開液槽11に挿入して展開液を展開液パッド3に供給して測定を開始した。測定開始15分後、展開確認部10の発色によって展開液の展開を確認した後、検出ゾーン6a及び6bの発色を目視で測定した。
インフルエンザA亜型H1〜H15について孵化鶏卵培養して得た漿尿液を用いて試験した結果、H5株については検出ゾーン6a及び6bの両ラインの発色が見られ、H5以外のH1〜H4、H6〜H15については検出ゾーン6b(A型共通検出ライン)の発色のみが見られた。非感染の漿尿液では検出ゾーン6a及び6bラインは検出されなかった。

Claims (5)

  1. H5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンと抗原抗体反応し、その対応エピトープが、レセプターサブドメイン(但し、そのC末端11アミノ酸から成る領域を除く)中に存在せず、前記A型インフルエンザウイルスの中和活性を有さず、H1亜型〜H4亜型及びH6亜型〜H15亜型のヘマグルチニンとは実質的に交差反応しない抗H5亜型A型インフルエンザウイルスヘマグルチニンモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片とH5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンとの抗原抗体反応を利用した免疫測定により検体中のH5亜型A型インフルエンザウイルスを測定することを含む、H5亜型A型インフルエンザウイルスの免疫測定方法であって、
    前記モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のエピトープが配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として、
    (1) 41〜60aa及び312〜322aaの領域、
    (2) 61〜80aa及び290〜300aaの領域、又は
    (3) 101〜113aa及び268〜278aaの領域
    に存在する3種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のうち、単一のH5亜型A型インフルエンザウイルスに同時に結合可能な2種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片を用いるサンドイッチ法により検体中のH5亜型A型インフルエンザウイルスを測定することを含む、H5亜型A型インフルエンザウイルスの免疫測定方法。
  2. イムノクロマトグラフィーによる請求項記載の方法。
  3. H5亜型A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンと抗原抗体反応し、その対応エピトープが、レセプターサブドメイン(但し、そのC末端11アミノ酸から成る領域を除く)中に存在せず、前記A型インフルエンザウイルスの中和活性を有さず、H1亜型〜H4亜型及びH6亜型〜H15亜型のヘマグルチニンとは実質的に交差反応しない抗H5亜型A型インフルエンザウイルスヘマグルチニンモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片であって、
    前記モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のエピトープが配列番号2に示されるアミノ酸配列を基準として、
    (1) 41〜60aa及び312〜322aaの領域、
    (2) 61〜80aa及び290〜300aaの領域、又は
    (3) 101〜113aa及び268〜278aaの領域
    に存在する3種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のうち、単一のH5亜型A型インフルエンザウイルスに同時に結合可能な2種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片を含む、H5亜型A型インフルエンザウイルスの免疫測定用キット。
  4. 前記2種類のモノクローナル抗体又はその抗原結合性断片のうちの一方が固相に固定化され、他方が標識されている請求項記載のキット。
  5. 前記固相がイムノクロマトグラフィー用の固相である請求項記載のキット。
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