JP5585066B2 - 有機薄膜型太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機薄膜型太陽電池及びその製造方法に関する。
有機太陽電池は塗布法で形成できることから大量生産に適した太陽電池として注目され、多くの研究機関で盛んに研究がなされている。有機太陽電池は有機ドナー材料と有機アクセプター材料を混合した、所謂、バルクヘテロジャンクション構造によって、課題だった電荷分離効率を向上させている(例えば、特許文献1参照)。結果としてエネルギー変換効率は5%台まで向上し、一気に実用レベルにまで発展してきた分野と言える。
従来、陰極形成法は、真空蒸着プロセスに比べ塗布型陰極が製造コスト面から有利であるが、塗布型陰極は高い導電性を出すために高温焼成が必要で、フレキシブル基板上へ形成は困難であった。陰極にはAgやAl等の金属を用いることが多いが、電子輸送層との接合がオーミック接合でコストが低いAlを電極として用いることが一般的である。しかし、Alは酸化されやすく封止を行っても、電極としての機能が劣化しやすいことが問題であった。しかし、仕事関数がより深く、酸化に強い金属、例えばAgを用いると、耐久性はよいが、電子輸送層との仕事関数的な接合が悪く電極へキャリアを取り出す効率が低下してしまうという問題もあった。
さらに、電子輸送層−陰極間の接合を改善するため、一般的には蒸着製膜によるアルカリ金属層が形成されるが、電子輸送層は塗布できるのに、陰極は真空蒸着プロセスで形成する必要があった。
これらの課題に対し、Agを主成分として易酸化金属元素を添加した合金層を積層させて導電性反射膜を形成した薄膜太陽電池の発明(例えば、特許文献2参照)が開示されている。この発明では、易酸化金属を酸素存在下でわざと酸化させることにより、透明導電性層との密着性を増加させるために添加されている。しかし、この技術では、耐久性に優れ、電子輸送層との電気的なオーミックな接合を満足した金属電極を得るという課題を解決することができなかった。
特許文献3では、低温プロセスで形成できる陰極として、導電性高分子を塗布する構成が開示されている。しかし、導電性高分子は金属より抵抗が高く、変換効率(特にフィルファクターFF)が低い。また、光電変換層への光反射効果小さく、変換効率(特に短絡電流密度Jsc)が低い。また、導電性高分子は熱湿劣化が著しく、保存性の観点で課題があった。
特許文献4では、導電性高分子にさらにロッドまたはニードル状の金属を添加して抵抗を低減する方法が開示されているが、それでも低抵抗化は不十分であった。
特許文献5では、金属酸化物または金属酸化物を形成できる材料を含有する電子輸送層を光電変換層と金属電極間に挿入し、電気的接合を改善する方法が開示されているが、酸化物を形成するのに水分を必要とし、陰極の腐食による耐久性の劣化が懸念される。
米国特許第5331183号明細書 特開2004−335991号公報 国際公開第04/051756A3号パンフレット 米国特許出願公開第2008/0236657号明細書 特表2009−502028号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、塗布・低温プロセスでフレキシブル基板上への陰極形成が可能で、エネルギー変換効率に優れ、光耐久性、熱保存性に優れる有機薄膜型太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.基板上に、少なくとも陽極、光電変換層、電子輸送層及び陰極を有する有機薄膜型太陽電池であって、前記陰極が少なくとも銀化合物及び還元剤を含む塗布液から形成され、かつ、前記電子輸送層の少なくとも1層が、前記陰極に隣接した層であり、有機アルカリ金属塩を含有することを特徴とする有機薄膜型太陽電池。
2.前記銀化合物が酸化銀微粒子を含有するペーストであることを特徴とする前記1に記載の有機薄膜型太陽電池。
3.前記銀化合物がさらに有機銀化合物を含有するペーストであることを特徴とする前記2に記載の有機薄膜型太陽電池。
4.前記有機アルカリ金属塩が脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜型太陽電池。
5.前記電子輸送層が複数の層からなり、光電変換層側の電子輸送層に対し、陰極側の電子輸送層が前記有機アルカリ金属塩の濃度が高いことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜型太陽電池。
6.前記光電変換層に最も近い電子輸送層が有機アルカリ金属塩を含有しないことを特徴とする前記5に記載の有機薄膜型太陽電池。
7.基板上に、少なくとも陽極、光電変換層、電子輸送層及び陰極を積層する有機薄膜型太陽電池の製造方法であって、該陰極が、酸化銀、有機銀の少なくとも1種または2種以上と還元剤とを含むインキの印刷によって形成され、かつ、前記電子輸送層が少なくとも光電変換層と陰極の間にあり、該電子輸送層が、有機アルカリ金属塩がドープされた電荷輸送材料を含有する溶液の塗布によって形成されることを特徴とする有機薄膜型太陽電池の製造方法。
8.有機アルカリ金属塩がドープされていない層を光電変換層上に形成した後、ドープされた層を形成し、続けて陰極を形成することを特徴とする前記7に記載の有機薄膜型太陽電池の製造方法。
本発明により、塗布・低温プロセスでフレキシブル基板上への陰極形成が可能で、エネルギー変換効率に優れ、光耐久性、熱保存性に優れる有機薄膜型太陽電池及びその製造方法を提供することができた。
バルクヘテロジャンクション型の有機薄膜型太陽電池の基本構造を示す概略断面図である。 バルクヘテロジャンクション型の有機薄膜型太陽電池の基本構造の断面図である。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基板上に、少なくとも陽極、光電変換層、電子輸送層及び陰極を有する有機薄膜型太陽電池であって、前記陰極が少なくとも銀化合物及び還元剤を含む塗布液から形成され、かつ、前記電子輸送層の少なくとも1層が、前記陰極に隣接した層であり、有機アルカリ金属塩を含有することを特徴とする有機薄膜型太陽電池により、塗布・低温プロセスでフレキシブル基板上への陰極形成が可能で、エネルギー変換効率に優れ、光耐久性、熱保存性に優れる有機薄膜型太陽電池が得られるできることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、酸化銀と還元剤からなる陰極と、陰極近傍に有機金属をドープした電子輸送層を塗布積層する構成とすることで、低温で陰極が形成できるだけでなく、有機金属ドープ層と陰極との電気的な接合が改良され、太陽電池のエネルギー変換効率に優れた構成を得ることができた。
さらに、従来の塗布銀陰極に比べ、キャリア移動がスムーズなので、光照射時の耐久性に優れる。また、加水分解反応が不要なため、水分による耐久性への悪影響がない。
以下、本発明において好ましく用いることができる構成について、詳細に説明する。
〔有機薄膜型太陽電池〕
本発明の有機薄膜型太陽電池について、図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係る有機薄膜型太陽電池の基本構造を示す概略断面図である。
図1において、有機薄膜型太陽電池は、基板11の一方面上に、陽極12、バルクヘテロジャンクション構造(p型半導体及びn型半導体を混合した構造)を有する光電変換層13(以下、バルクヘテロジャンクション層とも呼ぶ。バルクへテロジャンクション構造を一例に説明するが、本願においてはこれに限定されず、p型半導体層及びn型半導体層の積層構造を好ましく用いることもできる。)、及び陰極14が図1に示すように順次積層された構造からなる。さらには、陽極12と光電変換層13の間、及び/または光電変換層13と陰極14との間に中間層を有してもよい。好ましい中間層の形態としては、光電変換層13と陽極12の間に正孔輸送層が積層されており、光電変換層13と陰極14の間に電子輸送層が積層されていることが好ましい。本発明は、酸化銀と還元剤からなる陰極と、陰極近傍に有機金属をドープした電子輸送層を塗布積層する構成を特徴としている。
本発明の有機薄膜型太陽電池の製造方法として、図2を用いて詳細に説明する。基板21の上に陽極22を形成させ、その上に正孔輸送層23、p型半導体とn型半導体材料を含む光電変換層24、電子輸送層25を順次積層し、さらに、その上に陰極26を形成させることにより、有機薄膜型太陽電池を作製することが好ましい。また、電子輸送層23は複数層であってもよい。
〔陰極〕
本発明の陰極は光電変換層あるいは電子輸送層から電子を受け取り、外部回路へ流す役割を果たす電極である。対して陽極とは陰極の逆で正孔を外部回路へ流す役割を果たす電極を指す。
陰極は、光電変換層あるいは電子輸送層との電気的な接合を得るため、一般的に仕事関数の小さい(4.5eV未満)金属が用いられるが、こういった金属は大気中の水分の影響で酸化されやすく、水分ゲッターを梱包した高度な封止技術が必要であり、水分に対して耐久性が高い陰極が求められていた。
対して、陰極に仕事関数の大きい金属を用いると、耐久性はよいが電子輸送層との接続が悪く変換効率が低くなるという問題があり、耐久性と変換効率を両立することは困難であった。それに対し本発明者等は、陰極が少なくとも銀化合物及び還元剤を含む塗布液から形成されていることを特徴とし、好ましくは、前記銀化合物が酸化銀微粒子を含有するペーストとし、さらに好ましくは、前記銀化合物が有機銀化合物を含有するペーストとして陰極を形成させることにより、耐久性がよく変換効率にも優れた有機薄膜型太陽電池を形成させることができることを見出し本発明に至った。
本発明の陰極は、少なくとも銀化合物及び還元剤を含有する溶液から形成される。ここで、銀化合物とは、還元剤の存在下で還元されて金属銀となる性質を有する固体粒子状の化合物である。この銀化合物の具体的なものとしては、酸化銀、炭酸銀や、ギ酸銀、酢酸銀、プロピオン銀等の有機銀化合物が挙げられ、これらは2種以上を混合して使用することもできる。この銀化合物は、工業生産されたものをそのまま、あるいは分級して用いることができるほか、粉砕後分級して使用することもできる。また、後述する液相法や気相法によって得られたものを用いてもよい。
この銀化合物の平均粒径は、0.01〜10μmの範囲が好ましく、還元反応条件、例えば加熱温度、還元剤の還元力等に応じて適宜選択することができる。特に、平均粒径が0.5μm以下の銀化合物を用いると還元反応の速度が速くなり好ましい。
また、平均粒径が0.5μm以下のものは、銀化合物と他の化合物との反応によって生成したもの、例えば硝酸銀水溶液に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を撹拌下に滴下して反応させて酸化銀を得る液相法によって製造することができる。この場合、溶液中に分散安定剤を添加して、析出した銀化合物の凝集を防止することが望ましい。この液相法では、銀化合物濃度、分散安定剤濃度等を変化させることで粒子径を制御することができる。
また、平均粒径が0.1μm以下の微粒子の銀化合物を得るには、ハロゲン化銀と酸素とを気相で加熱し、熱酸化して酸化銀を合成する気相法を用いることができる。
本発明で使用される還元剤は、上述の銀化合物を還元するもので、還元反応後の副生成物が気体や揮発性の高い液体となり、生成された導電性被膜内に残らないものが好ましい。このような還元剤の具体的なものとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールジアセテート等の1種または2種以上の混合物が挙げられる。
この還元剤の使用量は、銀化合物1モルに対して20モル以下、好ましくは0.5〜10モル、さらに好ましくは1〜5モル程度とすることが望ましい。反応効率や加熱による揮発を考慮とすると、等モルより多めに添加することが望ましいが、最大20モルを越えて添加してもその分は無駄になる。
また、銀化合物と還元剤とを分散あるいは溶解し、液状の導電性組成物を得るために分散媒が使用される。この分散媒には、水、エタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、イソホロン、テルピネオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等の有機溶剤が使用される。
また、上記還元剤が液状で銀化合物を分散するものであれば、還元剤が分散媒を兼ねることができ、このようなものにはエチレングリコール、ジエチレングリコール等がある。
この分散媒の種類の選択とその使用量は、銀化合物や製膜条件、例えばスクリーン印刷では刷版のメッシュ粗さや印刷パターンの精細度等によって異なり、最適な製膜ができるように適宜調整される。
本発明では、陰極が、酸化銀、有機銀の少なくとも1種または2種以上と還元剤とを含むインキの印刷によって形成されることが好ましい。
また、分散剤を添加して平均粒子径が1μm以下の銀化合物を良好に分散させて、銀化合物の二次凝集を防止することが好ましい。この分散剤には、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が用いられ、その使用量は銀化合物100質量部に対して0〜300質量部とされる。
本発明の陰極の形成に用いられる塗布液は、上述の少なくとも銀化合物、還元剤からなる。ここで用いられる銀化合物の平均粒径は、小さいものに限られることはなく、0.01〜10μmの範囲であれば特に支障はなく、1μm以上の粒子でも、還元反応がスムーズに進行する。
また、この導電性組成物の粘度は、製膜条件によって異なるが、例えばスクリーン印刷の場合には30〜300ポイズ程度が好ましい。
本発明の陰極は、上述した塗布液を適宜の手段で塗布した後、これを単に加熱するだけで形成することができる。加熱温度は還元剤の存在により150〜200℃、加熱時間は10秒〜120分程度である。なお、対象物の表面を清浄にしておくことは当然である。
このようにして得られた本発明の陰極は、銀化合物が還元され、還元された金属銀粒子が互いに融着して、連続した金属銀の薄い被膜となる。走査型電子顕微鏡で観察すると、金属銀の連続した被膜となっていることが分かる。表面に空隙の少ない良好な陰極を形成するには、加熱温度を適切に制御すればよく、120〜150℃程度の加熱により、空隙の数の少ない導電性の高い陰極が得られることが分かった。
このため、本発明の陰極の体積抵抗率は、3〜8×10−6Ω・cmに至る値を示し、金属銀の体積抵抗率と同程度のオーダーになる。
さらに、陰極形成のための加熱温度は、120〜150℃で十分であるので、耐熱性の低いポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等の対象物にも適用でき、高導電性陰極を形成することができるとともに、対象物の熱劣化を招くこともない。
さらに、本発明の陰極の体積抵抗率は極めて低いので、厚みを薄くしても十分な導電性を得ることができる。厚みは、従来の導電性ペーストに対して体積抵抗率の低下に見合った分だけ薄くすることができる。例えば、5×10−5Ω・cmの銀ペーストを使用した場合、50μmの厚さの陰極を要求される仕様の場合、本発明により3×10−6Ω・cmの体積抵抗率を実現することで、3μmの厚さにすることができる。
また、表面に空隙の少ない良好な陰極を形成するには、加熱温度を適切に制御すればよく、120〜150℃程度の加熱により、空隙の数の少ない導電性の高い陰極が得られることが分かった。
〔電子輸送層〕
本発明では、電子輸送層の少なくとも1層が、陰極に隣接した層であり、有機アルカリ金属塩を含有することが特徴である。光電変換層と陰極との間に、有機アルカリ金属塩をドープした電子輸送層を挿入することで、塗布して形成したAg電極との電気的な接合が改善する。その結果、変換効率(特に短絡電流密度JscとフィルファクターFF)が改善する。光照射したときに界面でのチャージアップが抑制され、結果として有機材料の劣化を抑制できる。
有機アルカリ金属塩の有機物の種類としては特に制限はないが、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、アジピン酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、より好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩等の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、脂肪族カルボン酸の炭素数が4以下であることが好ましい。最も好ましくは酢酸塩である。
有機アルカリ金属塩のアルカリ金属の種類としては特に制限はないが、Na、K、Csが挙げられ、好ましくはK、Cs、さらに好ましくはCsである。有機アルカリ金属塩としては、前記有機物とアルカリ金属の組み合わせが挙げられ、好ましくは、ギ酸Li、ギ酸K、ギ酸Na、ギ酸Cs、酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、プロピオン酸Li、プロピオン酸Na、プロピオン酸K、プロピオン酸Cs、シュウ酸Li、シュウ酸Na、シュウ酸K、シュウ酸Cs、マロン酸Li、マロン酸Na、マロン酸K、マロン酸Cs、コハク酸Li、コハク酸Na、コハク酸K、コハク酸Cs、安息香酸Li、安息香酸Na、安息香酸K、安息香酸Cs、より好ましくは酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、最も好ましくは酢酸Csである。
有機アルカリ金属塩の濃度により、有機薄膜型太陽電池の寿命等への影響が出てくるため、有機アルカリ金属塩の含有量は添加する電子輸送層に対し好ましくは1.5〜35質量%であり、より好ましくは3〜25質量%であり、最も好ましくは5〜15質量%である。
また、電子輸送層が複数の層からなり、光電変換層側の電子輸送層に対し、陰極側の電子輸送層が有機アルカリ金属塩の濃度が高いことが好ましく、光電変換層に最も近い電子輸送層が有機アルカリ金属塩を含有しないことが好ましい。
これは、電子輸送層全域に有機アルカリ金属塩をドープすると、光電変換層に近い側では、キャリア同士(ホールとエレクトロン)がドープ部位で再結合して、変換効率の低下を招きかねないが、有機アルカリ金属塩に濃度分布を持たせ、特に陰極近傍は濃度が高く、光電変換層側はなるべく低く(0が好ましい)することで再結合が抑制される。
同じ観点から、有機薄膜型太陽電池の製造方法としては、有機アルカリ金属塩がドープされていない電子輸送層を光電変換層上に形成した後、ドープされた電子輸送層を形成し、続けて陰極を形成することが好ましい。
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子取り出し層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は光電変換層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、光電変換層で発生した電子を陰極まで伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)に用いられてきたような公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。
その他、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は一層に上記材料の1種または2種以上からなる構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
電子輸送材料の好ましい例示化合物としては以下の構造を挙げることができる。
これらの化合物は、特開2007−288035号公報、Chem.Mater.,2008,20,5951、実験化学講座第5版(日本化学会編)等に記載の公知の方法を参照して合成することができる。
〔基板〕
基板は、順次積層された陽極、光電変換層及び陰極を保持する部材である。本実施形態では、少なくとも陽極から光電変換される光が入射することが可能なように、光電変換すべき光の波長に対して透明な基板であることが望ましい。例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。
本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基材には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基材と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。また、透明基材にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
〔陽極〕
陽極12は、好ましくは300〜800nmの波長の光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、導電性高分子を用いることができる。
なお、図1に示すバルクヘテロ接合型の有機薄膜型太陽電池10では、光電変換層13が陽極12と陰極13とでサンドイッチされているが、一対の櫛歯状電極を光電変換層13の片面に配置するといった、バックコンタクト型の有機薄膜型太陽電池10が構成されてもよい。
〔光電変換層〕
光電変換層13は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、好ましくはp型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合した所謂バルクヘテロジャンクション構造を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、「光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体」であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
本発明に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系ポリマー・オリゴマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、ペンタセンやその誘導体、ポルフィリンやフタロシアニン、銅フタロシアニンやこれらの誘導体等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、ポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、ポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体、Nature Mat.,vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
その他、高分子p型半導体の例としては、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリカルバゾール、ポリイソチアナフテン、ポリヘプタジイン、ポリキノリン、ポリアニリン等が挙げられ、さらには特開2006−36755号公報等の置換−無置換交互共重合ポリチオフェン、特開2007−51289号公報、特開2005−76030号公報、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p4112、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p7246等の縮環チオフェン構造を有するポリマー、WO2008/000664、Adv.Mater.,2007,p4160、Macromolecules,2007,Vol.40,p1981等のチオフェン共重合体等を挙げることができる。
さらに、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニン、金属ポルフィリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。また、ペンタセン類がより好ましい。
ペンタセン類の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,Vol.127.No.14.4986等に記載の置換アセン類及びその誘導体等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。そのような化合物としては、J.Amer.Chem.Soc.,Vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,Vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物、及び米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、特開2007−224019号公報等に記載のポルフィリンプレカーサー等のような、プレカーサータイプの化合物(前駆体)が挙げられる。プリカーサータイプは変換後に不溶化するため、バルクヘテロジャンクション層の上に正孔輸送層・電子輸送層・正孔ブロック層・電子ブロック層等を溶液プロセスで形成する際に、バルクヘテロジャンクション層が溶解してしまうことがなくなるため、前記の層を構成する材料とバルクヘテロジャンクション層を形成する材料とが混合することがなくなる。
n型半導体材料の例としては、フラーレン、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む、高分子化合物が挙げられる。
中でも、フラーレン含有高分子化合物が好ましい。フラーレン含有高分子化合物としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等を骨格に持つ高分子化合物が挙げられる。フラーレン含有高分子化合物では、フラーレンC60を骨格に持つ高分子化合物(誘導体)が好ましい。
フラーレン含有ポリマーとしては、大別してフラーレンが高分子主鎖からペンダントされたポリマーと、フラーレンが高分子主鎖に含有されるポリマーとに大別されるが、フラーレンがポリマーの主鎖に含有されている化合物が好ましい。これは、フラーレンが主鎖に含有されているポリマーは、ポリマーが分岐構造を有さないため、固体化した際に高密度なパッキングができ、結果として高い移動度を得ることができるためではないかと推定される。
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、特に塗布法が好ましい。
そして、光電変換部のバルクヘテロジャンクション層は、光電変換率を向上すべく、製造工程中において所定の温度でアニール処理され、微視的に一部結晶化されている。
有機薄膜型太陽電池では、基板を介して陽極から入射された光は、光電変換層のバルクヘテロジャンクション構造における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、陽極と陰極の仕事関数が異なる場合では陽極と陰極との電位差によって、電子は電子受容体間を通り、また正孔は電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。例えば、陽極の仕事関数が陰極の仕事関数よりも大きい場合では、電子は陽極へ、正孔は陰極へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば電子と正孔は、これとは逆方向に輸送される。また、陽極と陰極との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
光電変換部は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するために、塗布法が好ましい。塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び前述のような半導体材料の化学反応を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。
〔中間層〕
また、上述のバルクヘテロ接合型の有機薄膜型太陽電池は、順次に基板上に積層された陽極、バルクヘテロジャンクション層の光電変換部及び陰極で構成されたが、これに限られず、例えば陽極や陰極と光電変換部との間に正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、あるいは平滑化層等の他の層を有してバルクヘテロ接合型の有機薄膜型太陽電池が構成されてもよい。これらの中でも、バルクヘテロジャンクション層と陽極(通常、陽極側)との中間には正孔輸送層または電子ブロック層を、陰極(通常、陰極側)との中間には電子輸送層または正孔ブロック層を形成することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
〔正孔輸送層〕
正孔輸送層(電子ブロック層)として好ましく用いられる材料としては、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、WO2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、溶液塗布法で形成することが好ましい。
〔タンデム型構成〕
太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、有機薄膜型太陽電池を積層した、タンデム型の構成としてもよい。タンデム型構成の場合、基板上に、順次陽極、第一の光電変換部を積層した後、電荷再結合層を積層した後、第二の光電変換部、次いで陰極を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。第二の光電変換部は、第一の光電変換部の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。また、電荷再結合層の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等が好ましい。
〔封止〕
また、作製した有機薄膜型太陽電池が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機薄膜型太陽電池上を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)を直接堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
さらには、バリア層を透過した水分に対し、ゲッターを梱包した形で封止する構成も本発明において好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
実施例
《有機薄膜型太陽電池SC−101の作製》
〔陽極の形成〕
バリア付きポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(バリア層はCHC−PENの上にCVD法により製膜)上に、真空環境条件で厚さ140nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタリング法により製膜し(シート抵抗12Ω/□)、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用い、10mm×100mmの大きさの陽極を一定間隔で5列形成した。
パターン形成した陽極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素フローによる乾燥を行い、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
〔正孔輸送層の形成〕
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、H.C.スタルク社製 CLEVIOUS P AI 4083)を40質量%に対し、純水30質量%、イソプロパノール30質量%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として、上記陽極を含むPEN基板上に塗布した。塗布はスリットコーターを使用し、液厚みが約30μm、乾燥後の厚みが50〜70nmになるように製膜し、陽極と同じ形状になるように拭き取り部材を接触させて拭き取ることでパターニングを行い、続けて大気中150℃で30分間乾燥・加熱処理し正孔輸送層を形成した。
〔光電変換層の形成〕
前記基板を水分濃度が1ppmの窒素雰囲気下に移動し、正孔輸送層上に、クロロベンゼンにP3HT(プレクストロニクス社製:レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン)とPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を1:0.8で混合した溶液を調製し、スリットコーターを使用し、液厚みが約30μm、乾燥後の膜厚が180〜200nmになるように塗布を行い、室温で放置して乾燥し、光電変換層を形成した。
〔電子輸送層の形成〕
次に上記基板を大気中に移動し、脱水メタノールにTi−イソプロポキシドを0.02mol/Lになるように溶解した液を調製し、膜厚10nmになるように塗布を行い、大気中に放置して電子輸送層を製膜した。
上記陽極上に塗布された光電変換層及び電子輸送層を、拭き取り部材を接触させて拭き取ることでパターニングを行い、光電変換層及び電子輸送層を形成した。
〔陰極の形成〕
作製した試料を真空蒸着チャンバーに搬送し、5×10−4Paまで減圧した真空条件にて、真空蒸着法にてマスクパターンを通し、厚さ100nmのアルミニウムからなる陰極)を形成した。マスクパターンは、5列の素子が長辺側(100mm側)で直列接続(5直列)になるように製膜した。
〔封止部材の貼合〕
次いで、上記作製した素子を水分濃度が1ppm以下の窒素環境化に移動し、5列直列で接続した最左端の第1の電極からなる部位(有機層をパターニング除去した領域)、最右端の第2の電極と繋がったリード部を除き、その内部の領域に熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を複数のノズルから滴下して厚さ30μmで塗設し、厚さ100μmのアルミ箔を重ねてロールラミネート法(押圧約0.1MPa)により貼合し、150℃で30分間加熱処理をすることで接着剤を硬化させ封止した。
上述した一連の作製法により有機薄膜型太陽電池SC−101を作製した。
《有機薄膜型太陽電池SC−102の作製》
有機薄膜型太陽電池SC−101の作製において、陰極を以下のとおり作製した以外は同様にして、有機薄膜型太陽電池SC−102を作製した。
〔陰極の形成〕
有機薄膜型太陽電池SC−101と同様にして電子輸送層まで製膜した試料に、帯状に塗工されるスリットコーターを使用し、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート水分散液(PEDOT/PSS、H.C.スタルク社製 CLEVIOS PH510)を83質量%に対し、イソプロパノール10質量%、DMSO7質量%を混合した溶液を、上述した陰極パターンと同じ形になるように塗工し、大気中、150℃で15分間加熱処理を行い、乾燥膜厚が約280〜300nmの導電性高分子からなる陰極を製膜した。続けて基板を水分濃度が1ppm以下の窒素雰囲気下に移動し、150℃で20分間乾燥した。
《有機薄膜型太陽電池SC−103の作製》
有機薄膜型太陽電池SC−102の作製において、電子輸送層と陰極を各々以下のとおり作製した以外は同様にして、有機薄膜型太陽電池SC−103を作製した。
〔電子輸送層の形成〕
光電変換層に続き、水分濃度が1ppm以下の窒素雰囲気下において、脱水テトラフルオロプロパノール(TFPO)70質量%と、n−ブタノール30質量%とを混合した液に、ET−Aを1.0質量%となるように溶解し、スリットコーター塗布することで乾燥膜厚20nmの電子輸送層を製膜した。
有機薄膜型太陽電池SC−101と同様に光電変換層及び電子輸送層を、拭き取り部材を接触させて拭き取ることでパターニングを行い、光電変換層及び電子輸送層を形成した。
〔陰極の形成〕
超純水(18MΩ・cm)200mlに硝酸銀0.6gを溶解し、ヒドロキシメチルセルロース0.3gを加え、液温を10℃に保温した。強撹拌下0.2M水酸化ナトリウム水溶液10mlを液中に高速添加した後、撹拌速度を下げ、10分かけて液温を40℃まで上昇させ、そのまま20分間撹拌して酸化銀の懸濁液を得た。
上記作製した懸濁液を、限外ろ過装置を用い50mlまで濃縮後、メタノール:水=1:1の液を150ml加え希釈した。上記の濃縮−希釈を3回繰り返して液洗浄した後、75mlまで濃縮した。続けて還元剤としてエチレングリコール3gを加え、銀化合物ペーストを作製した。
上記作製したペーストを、250メッシュ−テトロン版(乳剤厚10μm)を用い、スクリーン印刷法により上述した陰極パターンと同じ形になるよう大気中で塗工し、150℃で30分間熱処理して、厚さ約2μmの塗布銀からなる陰極を製膜した。続けて基板を水分濃度が1ppm以下の窒素雰囲気下に移動し、150℃で20分間乾燥した。
《有機薄膜型太陽電池SC−104の作製》
有機薄膜型太陽電池SC−103の作製において、電子輸送層を以下のとおり作製した以外は同様にして、有機薄膜型太陽電池SC−104を作製した。
〔電子輸送層の形成〕
光電変換層に続き、水分濃度が1ppm以下の窒素雰囲気下において、脱水テトラフルオロプロパノール(TFPO)70質量%と、n−ブタノール30質量%とを混合した液に、ET−Aを1.0質量%、有機アルカリ金属塩としてCHCOOCsを0.1質量%となるように溶解し、スリットコーター塗布することで乾燥膜厚20nmの電子輸送層を製膜した。
有機薄膜型太陽電池SC−101と同様に光電変換層及び電子輸送層を、拭き取り部材を接触させて拭き取ることでパターニングを行い、光電変換層及び電子輸送層を形成した。
《有機薄膜型太陽電池SC−105の作製》
有機薄膜型太陽電池SC−104の作製において、陰極を以下のとおり作製した以外は同様にして、有機薄膜型太陽電池SC−105を作製した。
〔第2の電極(陰極)の形成〕
超純水(18MΩ・cm)200mlに硝酸銀0.6gを溶解し、ヒドロキシメチルセルロース0.3gを加え、液温を10℃に保温した。強撹拌下0.2M水酸化ナトリウム水溶液10mlを液中に高速添加した後、撹拌速度を下げ、10分かけて液温を40℃まで上昇させ、そのまま20分間撹拌して酸化銀の懸濁液を得た。作製した懸濁液を、限外ろ過装置を用い50mlまで濃縮後、メタノール:水=1:1の液を150ml加え希釈した。上記の濃縮−希釈を3回繰り返して液洗浄した。
別途用意した容器に、テレフタル酸4.2gをメタノール50mlに溶解した溶液を強撹拌したところに、水酸化ナトリウム1.0gを50mlの超純水に溶解した水溶液をゆっくり添加した。続けて、5.0gの硝酸銀を50mlの超純水に溶解した水溶液を添加し、そのまま20分間撹拌して有機銀からなる懸濁液を得た。この懸濁液を、限外ろ過装置を用い50mlまで濃縮後、メタノール:水=1:1の液を150ml加え希釈した。上記の濃縮−希釈を3回繰り返して液洗浄した後、ろ過してテレフタル酸銀を得た。
上記作製した酸化銀の分散液に、テレフタル酸銀2.5gを加えた後、限外ろ過装置を用い75mlまで濃縮した。
続けて、エタノールアミン3g、エチレングリコール3gを加え、有機銀及び酸化銀を含む銀化合物ペーストを作製した。
上記作製したペーストを、250メッシュ−テトロン版(乳剤厚10μm)を用い、スクリーン印刷法により上述した陰極パターンと同じ形になるように塗工し、150℃で60分間熱処理して、厚さ約2μmの塗布銀からなる第2の電極(陰極)を製膜した。続けて基板を水分濃度が1ppm以下の窒素雰囲気下に移動し、150℃で20分間乾燥した。
《有機薄膜型太陽電池SC−106の作製》
有機薄膜型太陽電池SC−105の作製において、電子輸送層を以下のとおり作製した以外は同様にして、有機薄膜型太陽電池SC−106を作製した。
〔電子輸送層の形成〕
光電変換層に続き、水分濃度が1ppm以下の窒素雰囲気下において、脱水テトラフルオロプロパノール(TFPO)70質量%と、n−ブタノール30質量%とを混合した液に、ET−Aを1.0質量%、有機アルカリ金属塩としてHCOOCsを0.13質量%となるように溶解し、スリットコーター塗布することで乾燥膜厚20nmの電子輸送層を製膜した。
有機薄膜型太陽電池SC−101と同様に光電変換層及び電子輸送層を、拭き取り部材を接触させて拭き取ることでパターニングを行い光電変換層及び電子輸送層を形成した。
《有機薄膜型太陽電池SC−107の作製》
有機薄膜型太陽電池SC−105の作製において、電子輸送層を二層積層構造とし、以下のとおり作製した以外は同様にして、有機薄膜型太陽電池SC−107を作製した。
〔電子輸送層の形成〕
光電変換層に続き、水分濃度が1ppm以下の窒素雰囲気下において、脱水テトラフルオロプロパノール(TFPO)70質量%と、n−ブタノール30質量%とを混合した液に、化2の材料を1.0質量%、有機アルカリ金属塩としてCHCOOCsを0.05質量%となるように溶解し、スリットコーター塗布することで乾燥膜厚20nmの電子輸送層1を製膜した。
続けて、脱水テトラフルオロプロパノール(TFPO)に、ET−Aを1.0質量%、有機アルカリ金属塩としてCHCOOCsを0.15質量%となるように溶解し、スリットコーター塗布することで乾燥膜厚20nmの電子輸送層2を製膜した。
X線光電子分光測定装置(XPS)を用い、上述と同様にして別途作製した電子輸送層1及び電子輸送層2の積層膜のCs原子分布を確認したところ、Cs濃度の異なる積層構造であった。
《有機薄膜型太陽電池SC−108の作製》
有機薄膜型太陽電池SC−107の作製において、電子輸送層を以下のとおり作製した以外は同様にして、有機薄膜型太陽電池SC−108を作製した。
〔電子輸送層の形成〕
光電変換層に続き、水分濃度が1ppm以下の窒素雰囲気下において、脱水テトラフルオロプロパノール(TFPO)70質量%と、n−ブタノール30質量%とを混合した液に、化2の材料を1.0質量%となるように溶解し、スリットコーター塗布することで乾燥膜厚20nmの電子輸送層1を製膜した。
続けて、脱水テトラフルオロプロパノール(TFPO)に、ET−Aを1.0質量%、有機アルカリ金属塩としてCHCOOCsを0.15質量%となるように溶解し、スリットコーター塗布することで、乾燥膜厚20nmの電子輸送層2を製膜した。
X線光電子分光測定装置(XPS)を用い、上述と同様にして別途作製した電子輸送層1及び電子輸送層2の積層膜のCs原子分布を確認したところ、電子輸送層1側にはCs原子が確認できない領域(電子輸送層1と電子輸送層2の界面から電子輸送層1側に約10nmはCs原子の拡散領域が見られた)があった。
《有機薄膜型太陽電池の評価》
〔エネルギー変換効率〕
上記作製した有機薄膜型太陽電池について、ソーラーシミュレーターを用い、AM1.5Gフィルター、100mW/cmの強度の光を照射し、I−V特性を評価し、特性値として、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、フィルファクターffから式1を用いてエネルギー変換効率η(%)を得た。エネルギー変換効率は、有機薄膜型太陽電池SC−101のエネルギー変換効率を100とする相対値で表す。なお、短絡電流密度は、有機太陽電池パネルの有効発電部に相当する面積で規格化して算出した。
式1 η(%)=Jsc(mA/cm)×Voc(V)×ff
〔光、熱耐久性〕
上記作製した有機薄膜型太陽電池について、65℃の環境下、150mW/cmの放射強度になるようメタルハロゲンランプ光源の光を1000時間光照射し、照射前後のエネルギー変換効率を上述の方法と同様にして評価し、式2に従って耐久性の指標となる保持率(%)を算出した。
式2 保持率(%)=(光照射後のエネルギー変換効率)/(光照射前のエネルギー変換効率)×100
評価の結果を表1に示す。
表1より、本発明の有機薄膜型太陽電池は、従来の蒸着法で形成した陰極を有するSC−101に対し、フレキシブル基材上に形成可能なプロセスで作製しながら、エネルギー変換効率に優れ、光照射に対する耐久性にも優れることが明らかである。
特に有機薄膜型太陽電池SC−104においては、有機の電子輸送層に酢酸Csをドープし、陰極を酸化銀のペーストから作製することで、ドープしない有機薄膜型太陽電池SC−103に対して、明らかにエネルギー変換効率と、光照射に対する耐久性に優れていることが分かる。また、陰極第2の電極を酸化銀と有機銀の併用とすることで、有機薄膜型太陽電池SC−105に見られるように、さらに高い耐久性が得られている。
有機薄膜型太陽電池SC−107では、酢酸Csのドープ量が異なる電子輸送層の積層構造とすることで、エネルギー変換効率と、光照射に対する耐久性が大きく改善し、特に光電変換層に隣接する電子輸送層が酢酸Csを含まない構成とすることで、有機薄膜型太陽電池SC−108に見られるように、本発明の高い効果が得られていることが分かった。
11 基板
12 陽極(陽極)
13 光電変換層
14 陰極(陰極)
21 基板
22 陽極(陽極)
23 正孔輸送層
24 光電変換層
25 電子輸送層
26 陰極(陰極)

Claims (9)

  1. 基板上に、少なくとも陽極、光電変換層、電子輸送層及び陰極を有する有機薄膜型太陽電池であって、
    前記陰極が少なくとも銀化合物及び還元剤を含む塗布液から形成され、かつ、
    前記電子輸送層の少なくとも1層が、前記陰極に隣接した層であり、有機アルカリ金属塩を含有し、
    前記有機アルカリ金属塩が、ギ酸Li、ギ酸K、ギ酸Na、ギ酸Cs、酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、プロピオン酸Li、プロピオン酸Na、プロピオン酸K、プロピオン酸Cs、シュウ酸Li、シュウ酸Na、シュウ酸K、シュウ酸Cs、マロン酸Li、マロン酸Na、マロン酸K、マロン酸Cs、コハク酸Li、コハク酸Na、コハク酸K、コハク酸Cs、安息香酸Li、安息香酸Na、安息香酸K、および安息香酸Csから成る群から選択され、
    前記電子輸送層が前記有機アルカリ金属塩を1.5〜35質量%で含有し、
    前記電子輸送層の電子輸送材料が以下の群から選択されることを特徴とする有機薄膜型太陽電池。
  2. 前記銀化合物が酸化銀微粒子を含有するペーストであることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜型太陽電池。
  3. 前記銀化合物がさらに有機銀化合物を含有するペーストであることを特徴とする請求項に記載の有機薄膜型太陽電池。
  4. 前記有機アルカリ金属塩が脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機薄膜型太陽電池。
  5. 前記電子輸送層が複数の層からなり、光電変換層側の電子輸送層に対し、陰極側の電子輸送層が前記有機アルカリ金属塩の濃度が高いことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機薄膜型太陽電池。
  6. 前記光電変換層に最も近い電子輸送層が前記有機アルカリ金属塩を0〜4.8質量%で含有することを特徴とする請求項に記載の有機薄膜型太陽電池。
  7. 前記光電変換層に最も近い電子輸送層が有機アルカリ金属塩を含有しないことを特徴とする請求項またはに記載の有機薄膜型太陽電池。
  8. 基板上に、少なくとも陽極、光電変換層、電子輸送層及び陰極を積層する有機薄膜型太陽電池の製造方法であって、該陰極が、酸化銀、有機銀の少なくとも1種または2種以上と還元剤とを含むインキの印刷によって形成され、かつ、前記電子輸送層が少なくとも光電変換層と陰極の間にあり、該電子輸送層が、有機アルカリ金属塩がドープされた電荷輸送材料を含有する溶液の塗布によって形成され、
    前記有機アルカリ金属塩が、ギ酸Li、ギ酸K、ギ酸Na、ギ酸Cs、酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、プロピオン酸Li、プロピオン酸Na、プロピオン酸K、プロピオン酸Cs、シュウ酸Li、シュウ酸Na、シュウ酸K、シュウ酸Cs、マロン酸Li、マロン酸Na、マロン酸K、マロン酸Cs、コハク酸Li、コハク酸Na、コハク酸K、コハク酸Cs、安息香酸Li、安息香酸Na、安息香酸K、および安息香酸Csから成る群から選択され、
    前記電子輸送層が前記有機アルカリ金属塩を1.5〜35質量%で含有し、
    前記電子輸送層の電子輸送材料が以下の群から選択されることを特徴とする有機薄膜型太陽電池の製造方法。
  9. 有機アルカリ金属塩がドープされていない層を光電変換層上に形成した後、ドープされた層を形成し、続けて陰極を形成することを特徴とする請求項に記載の有機薄膜型太陽電池の製造方法。
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