JP5580812B2 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、(メタ)アクリル酸を製造するための方法に関するものである。
(メタ)アクリル酸は、一般的に、気相接触酸化反応により得られる(メタ)アクリル酸含有反応ガスを凝縮塔または捕集塔に導いて粗(メタ)アクリル酸溶液とし、さらに精製することにより製造される。かかる精製方法としては、蒸留や放散、抽出などの他に晶析が用いられる。
粗溶液からの(メタ)アクリル酸の晶析は、通常、2段階で実施される。即ち、先ず、冷却により(メタ)アクリル酸を結晶化し、液体部分を分離する。次いで、得られた(メタ)アクリル酸結晶を融解し、次工程へ移送する。特に結晶の純度をより一層高めるために、融解工程の前に発汗工程を行う場合もある。発汗工程とは、結晶を部分的に融解して主に表面に存在する不純物を除去する操作である。このように晶析精製では、(メタ)アクリル酸を結晶化するための冷熱と、得られた結晶を融解させるための温熱が必要となる。
冷熱と温熱の両方を発生させるためには、冷凍機が用いられる。冷凍機としては、吸収式冷凍機や圧縮式冷凍機など様々な種類のものがある。
吸収式の冷凍機では、液状の冷凍機用冷媒を蒸発させ、この際に発生する気化熱により冷熱媒を冷却し、外部へ供給する。気化した冷凍機用冷媒は吸収液に吸収した後に精留塔などで分離する。得られた冷凍機用冷媒ガスを再び凝縮して液化させ、この際に発生する凝縮熱により温熱媒を加熱し、外部へ供給する。圧縮式の冷凍機では、冷凍機用冷媒を吸収および再生するための吸収液を用いず、冷凍機用冷媒ガスを直接圧縮して凝縮熱を得る。いずれにせよ、冷凍機では冷凍機用冷媒の気化と液化を繰り返し、冷熱媒と温熱媒の両方を効率的に供給することができる。
上記のとおり、(メタ)アクリル酸の晶析精製では冷熱と温熱の両方が必要となるので、これら冷熱と温熱を発生できる冷凍機が一般的に用いられている。よって、冷凍機を使って(メタ)アクリル酸を効率的に製造するための技術が開発されている。
例えば特許文献1には、(メタ)アクリル酸などの有機酸を製造するに当たり、反応熱や廃棄物の燃焼熱を回収し、吸収式冷凍機の熱源とする技術が開示されている。当該技術によれば、それまで廃棄されていたエネルギーを有効に活用でき、製品コストを削減することが可能になる。
特開2007−277182号公報
上述したように、従来、(メタ)アクリル酸の晶析精製においては、冷凍機が一般的に使用されていた。しかし、その運転条件の検討は十分にされておらず、従来技術では十分でない場合があった。
前述したように、(メタ)アクリル酸の晶析精製では結晶化と融解等が行われるため、冷熱媒と温熱媒の両方が必要となる。よって、例えば結晶化工程と融解工程を並行して実施する場合には、冷凍機から得られる冷熱媒と温熱媒が両方とも利用され、冷凍機には冷却側と加熱側の両方の負荷がかかるので、冷凍機をほぼ定常状態で運転することも可能である。
しかし、晶析精製の初期には結晶化工程のみが行われるので、冷凍機には冷却負荷のみがかかることになる。より詳しくは、晶析精製の初期においては、冷凍機から供給された冷熱媒は粗(メタ)アクリル酸溶液の冷却に用いられ、晶析器で温められた上で冷凍機へ返送される。それに対して、温熱媒は晶析器において熱の授受を行うことなく冷凍機へ返送される。その結果、冷凍機には冷却が求められる一方で加熱する必要はないので、冷凍機はその冷却能力を十分に発揮することができず、排出する冷熱媒の温度が設定値よりも高くなってしまう。最終的には、晶析器へ供給される冷熱媒の温度が高くなるので粗(メタ)アクリル酸溶液を十分に冷却できず、安定な結晶化が実施できなくなってしまう。
そこで本発明は、複数の晶析器を用い、冷凍機から冷熱媒と温熱媒の両方を供給して晶析器の温度を適温に保ちつつ晶析により(メタ)アクリル酸を精製するに当たり、冷凍機を安定的に運転して適温の熱媒の供給を維持し、(メタ)アクリル酸を効率的に製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた。その結果、(メタ)アクリル酸の晶析を開始する前に、冷凍機へ供給される温熱媒の温度を設定温度よりも事前に下げておけば、冷熱媒のみが求められる晶析初期においても設定温度の冷熱媒を安定的に供給でき、ひいては(メタ)アクリル酸を効率的に製造できることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る(メタ)アクリル酸の製造方法は;少なくとも、(メタ)アクリル酸の結晶化工程と、当該結晶化工程で得られた(メタ)アクリル酸結晶の融解工程とを含み;2以上の晶析器を用い;上記結晶化工程と上記融解工程とを別の晶析器で並行して行う場合には、冷凍機より、(メタ)アクリル酸を結晶化するために結晶化工程を行う晶析器へ冷熱媒を供給し、また、(メタ)アクリル酸の結晶を融解するために融解工程を行う晶析器へ温熱媒を供給し;上記融解工程を行う前であって上記結晶化工程のみを行う場合には、上記結晶化工程のみを行う前において、冷凍機に供給する温熱媒の温度を上記融解工程用の設定温度より予め下げておくことを特徴とする。
本発明方法においては、上記結晶化工程を完了し融解工程のみを行う場合に、冷凍機の冷却負荷を上記結晶化工程用の冷却負荷より下げることが好ましい。結晶化工程が終了し、融解工程のみが行われる場合には、温熱媒のみが利用され、冷熱媒は晶析器で熱の授受を行わずにそのまま冷凍機へ供給される。その際、冷凍機の冷却負荷を、冷熱媒の冷熱が晶析器で利用される際の冷却負荷のままにしておくと、バッファータンクに蓄えられている比較的高温度の冷熱媒が消費されてしまい、冷凍機へ供給される冷熱媒の温度が低くなり得る。その結果、冷凍機の冷却負荷が無くなり、温熱媒を安定して供給できなくなるおそれがある。そこで、冷凍機の冷却負荷を下げることによって、バッファータンクに蓄えられた比較的高温度の冷熱媒を徐々に使用し、最低限の冷却負荷を比較的長い時間冷凍機へ付与してやれば、冷凍機は温熱媒を安定的に供給することがより確実に可能になる。
本発明方法では、晶析精製のスタート時で上記結晶化工程のみを行う前において、予め冷凍機に供給する温熱媒の温度を上記融解工程用の設定温度より5℃以上、35℃以下低くしておくことが好ましい。冷凍機に供給する温熱媒の温度を融解工程用の設定温度より5℃以上低くしておけば、温熱媒の融解工程用の設定温度との差により冷凍機には十分な加熱負荷が生じ、結晶化工程のみを行い、晶析器で利用されるのが冷熱媒のみであっても、冷凍機は冷熱媒を安定して供給することが可能になる。一方、冷凍機へ供給される温熱媒温度が設定温度に比べて35℃を超えて低いと、事前運転において時間とエネルギーを過剰に消費することとなるので、当該温度差は35℃以下とすることが好ましい。
本発明方法で、晶析精製の終了時で上記融解工程のみを行う場合において、冷凍機の冷却負荷が冷凍機定格能力の10%以上、40%以下となるように設定することが好ましい。冷凍機に供給する冷熱媒の設定温度を結晶化工程用の設定温度より下げておき、冷凍機の冷却負荷が冷凍機定格能力の10%以上になるようにしておけば、融解工程のみを行い、晶析器で利用されるのが温熱媒のみであっても、冷凍機には十分な冷却負荷があるので、冷凍機は温熱媒を安定して供給することが可能になる。一方、上記冷却負荷が冷凍機定格能力の40%を超えると、***媒は晶析器で利用されないのでかかる冷却負荷はバッファータンクの蓄熱能力に依存せざるを得ず、この蓄熱能力では対応できなくなるおそれがあるので、上記冷却負荷としては冷凍機定格能力の40%以下が好ましい。
本発明に係る親水性樹脂の製造方法および吸水性樹脂の製造方法は、上記本発明に係るアクリル酸の製造方法により製造される(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合する工程を含むことを特徴とする。
図1は、本発明方法で用いる冷凍機の一例の概略図である。図中、1は精留器であり、2は凝縮器であり、3は蒸発器であり、4は吸収器であり、5は発生器である。 図2は、本発明方法を実施するための、(メタ)アクリル酸の晶析精製用システムの一例の概略図である。図中、6は冷凍機であり、7A〜7Cは晶析器であり、8A〜8Cはバッファータンクである。
本発明に係る(メタ)アクリル酸の製造方法は;少なくとも、(メタ)アクリル酸の結晶化工程と、当該結晶化工程で得られた(メタ)アクリル酸結晶の融解工程とを含み;2以上の晶析器を用い;上記結晶化工程と上記融解工程とを別の晶析器で並行して行う場合には、冷凍機より、(メタ)アクリル酸を結晶化するために結晶化工程を行う晶析器へ冷熱媒を供給し、また、(メタ)アクリル酸の結晶を融解するために融解工程を行う晶析器へ温熱媒を供給し;上記融解工程を行う前であって上記結晶化工程のみを行う場合には、上記結晶化工程のみを行う前において、冷凍機に供給する温熱媒の温度を上記融解工程用の設定温度より予め下げておくことを特徴とする。
本発明方法は、少なくとも、粗(メタ)アクリル酸溶液から晶析により(メタ)アクリル酸結晶を得る結晶化工程と、当該(メタ)アクリル酸結晶の融解工程とを含む。
粗(メタ)アクリル酸溶液は、目的化合物である(メタ)アクリル酸に加えて不純物を含むものであれば、特に制限されない。例えば、接触気相酸化反応により得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを、捕集液に接触させるか或いは凝縮することにより得られる粗(メタ)アクリル酸溶液を挙げることができる。(メタ)アクリル酸含有ガスを捕集液に接触させるか或いは凝縮することにより得られる粗(メタ)アクリル酸溶液には、(メタ)アクリル酸や未反応原料の他、水、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、アセトン、アクロレイン、フルフラール、ホルムアルデヒドなどの副生不純物が含まれている。
また、より高純度の(メタ)アクリル酸を得るために、いったん晶析精製した(メタ)アクリル酸を溶融した上で粗(メタ)アクリル酸溶液の代わりに晶析器へ供給し、晶析精製を2回以上繰り返してもよい。
本発明方法では、晶析器を使って(メタ)アクリル酸を晶析精製するが、晶析器の種類は特に制限されない。例えば、伝熱面を有しており、伝熱面での熱交換によって、(メタ)アクリル酸が結晶化するものを用いることができる。この場合、晶析器の内部は、伝熱面によって、冷熱媒または温熱媒が供給される部分(熱媒存在部)と、(メタ)アクリル酸含有溶液および/または(メタ)アクリル酸結晶化物が存在する部分(結晶化物存在部)とに区分されていることが好ましい。
晶析器が伝熱面を有するものである場合、結晶化工程では、(メタ)アクリル酸含有溶液から伝熱面上での熱交換によって(メタ)アクリル酸が結晶化し、融解工程で、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する。詳細には、結晶化工程では、晶析器に冷熱媒が供給されるとともに、晶析器に(メタ)アクリル酸含有溶液が供給され、伝熱面を介して冷熱媒により粗(メタ)アクリル酸溶液が冷却され、(メタ)アクリル酸が結晶化する。融解工程では、晶析器に温熱媒が供給され、結晶化した(メタ)アクリル酸それ自体が伝熱面を介して温熱媒により加温され、融解する。または、温熱媒により加温された(メタ)アクリル酸溶液によって、(メタ)アクリル酸結晶化物を融解してもよい。
伝熱面を有する晶析器としては、一般に熱交換器として用いられる装置を採用することができ、特に液体同士で熱交換を行う熱交換器として用いられる装置を採用することが好ましい。例えば、一枚のプレートが配置され、または複数枚のプレートが間隔を隔てて積層され、熱媒存在部と結晶化物存在部とがプレートを介して交互に配置されたプレート式熱交換器;複数本の管が容器内に配列され、管の内外で熱交換を行う多管式(シェル・アンド・チューブ式)熱交換器;外管の中に内管が配置され、内管の内外で熱交換を行う二重管式熱交換器;一本の管がコイル状に容器内に配置され、管の内外で熱交換を行うコイル式熱交換器;断面が二分された中心管に2枚の伝熱板を渦巻き状に巻き、2つの渦巻き状の流路が形成されたスパイラル式熱交換器等を採用することができる。なお、多管式熱交換器、二重管式熱交換器、コイル式熱交換器、スパイラル式熱交換器で用いられる管の断面形状は特に限定されない。
アクリル酸の融点は13.5℃であり、メタクリル酸の融点は16℃である。結晶化工程においては、粗(メタ)アクリル酸溶液は不純物を含むことから(メタ)アクリル酸の凝固点はこれら融点よりも低くなるものの、十分に冷却することにより、(メタ)アクリル酸を結晶化させる。この冷却は、段階的に行ってもよい。即ち、化合物の結晶の純度は、比較的低い温度で短時間で得られたものよりも、比較的高い温度で時間をかけて得られたものの方が高いといえる。また、結晶化初期の結晶純度を高めれば、その後に成長する結晶の純度も高められることが知られている。そこで、結晶化初期における粗(メタ)アクリル酸溶液の冷却温度は比較的高くし、純度の高い結晶を得た後、冷却温度を低くして結晶を十分に成長させることも可能である。
結晶化工程後においては、(メタ)アクリル酸結晶と溶液を分離する。分離するための手段は特に制限されるものではなく、濾過や遠心分離などを用いればよい。また、落下被膜型の晶析器などを用いた場合には、溶液は自然に排出される。
結晶化工程により得られた(メタ)アクリル酸は、融解工程に付す。この融解工程は、(メタ)アクリル酸を液状にして次工程への運搬を容易にしたり、結晶を晶析器から排出するためのものであるが、純度を高めるための発汗操作も含まれるものとする。
結晶化工程において、(メタ)アクリル酸の結晶化が進行するにつれて溶液中に存在する不純物の量が相対的に増えるため、(メタ)アクリル酸結晶の表面には不純物が付着する場合がある。そこで、(メタ)アクリル酸結晶の表面を部分的に融解し、融解部分を排出することにより、結晶の純度を高めることが可能になる。かかる部分的な融解処理を、発汗操作という。
融解工程は、(メタ)アクリル酸結晶を融点以上に温めることにより実施すればよい。結晶化工程と同様に、それぞれ温度の異なる温熱媒を複数用い、融解工程を段階的に実施することも可能である。
本発明方法においては、2以上の晶析器と、冷熱媒と温熱媒の両方を供給することのできる冷凍機を用いる。
冷凍機の種類は、冷熱媒と温熱媒の両方を供給できるものであれば特に制限されないが、例えば、アンモニア吸収式や水−臭化リチウム式などの吸収式冷凍機、圧縮式冷凍機、吸着式冷凍機などを用いることができる。
本発明で用いる冷凍機であって、吸収式冷凍機の一例を図1に示す。図1に示す冷凍機は、一種類の温熱媒と二種類の冷熱媒を供給できる型のものであるが、もちろん本発明で用いる冷凍機はこれに限定されるものではない。
図1の冷凍機中、冷凍機用冷媒水溶液は、精留器1で冷凍機用冷媒ガスと冷凍機用冷媒希溶液とに分離される。冷凍機用冷媒としては、沸点が低く比較的気化し易く且つ水溶性のものであれば特に制限されないが、例えばアンモニアやメタノールが用いられる。精留器で気化した冷凍機用冷媒は、凝縮器2で冷却されて液化する。その際に発生する凝縮熱により、温熱媒を設定温度まで加熱することが可能になる。この際の加熱温度は、冷凍機用冷媒ガスの一部を別の凝縮器2’へ供給することにより調節できる。残存する冷凍機用冷媒の一部は、冷却水により凝縮される。
液化した冷凍機用冷媒は、蒸発器3で気化される。この際に発生する気化熱により、冷熱媒を設定温度まで冷却する。冷却の度合いは、二つの蒸発器に供給される冷凍機用冷媒の分配量や、液化冷凍機用冷媒の温度、蒸発時の圧力などにより調節することができる。
蒸発器3で気化された冷凍機用冷媒ガスは、吸収器4において冷凍機用冷媒希溶液(吸収液)に吸収される。ここで得られた冷凍機用冷媒水溶液は精留器へ運ばれ、冷凍機用冷媒ガスと冷凍機用冷媒希溶液とに分離される。
なお、本発明の冷凍機で冷却または加熱すべき熱媒の種類は特に制限されないが、例えば、エチレングリコール水溶液、グリセリン水溶液、メタノール水溶液などを用いることができる。
上記では吸収式冷凍機を例に挙げて説明したが、もちろん、冷熱媒と温熱媒の両方を供給できる圧縮式冷凍機や吸着式冷凍機も用いることができる。例えば圧縮式冷凍機は、同容量の吸収式冷凍機に比べて排熱量が少なく、冷却装置を小型にすることができるという利点がある。また、吸着式冷凍機はメンテナンスが容易であり、安全に操作できるという利点がある。
以上のとおり、冷熱媒と温熱媒の両方を供給できる冷凍機は、冷熱媒の冷却と温熱媒の加熱とを、冷凍機用冷媒を介した熱交換により行うことができる。本発明方法では、2以上の晶析器を用いることから、結晶化工程と融解工程を並行して行うことが可能となり、定常時においては冷凍機から供給される冷熱媒と温熱媒の両方を利用できることから、効率的な(メタ)アクリル酸の製造が可能となる。
上述したように、本発明方法では、2以上の晶析器と、冷熱媒と温熱媒の両方を供給できる冷凍機とを用い、(メタ)アクリル酸を効率的に製造することができる。特に、結晶化工程と融解工程を並行して行う場合の製造効率は高い。
しかし、晶析精製の初期には結晶化工程のみが行われるために、冷凍機からは冷熱媒と温熱媒の両方が供給されても、晶析器で利用されるのは冷熱媒のみである。よって、冷熱媒は晶析器で粗(メタ)アクリル酸溶液を冷却する代わりに自らは加温される一方で、温熱媒は利用されることなくそのまま冷凍機へ供給される。その結果、冷凍機では、晶析器で加温された冷熱媒を冷却するための冷却負荷のみが生じる。図1のとおり、冷熱媒の冷却は、液状の冷凍機用冷媒をガス化する際に生じる気化熱を熱媒から奪うことにより行われるが、加熱負荷がなければ、冷凍機用冷媒ガスを再び液化する際に生じる熱は、冷却水のみで吸収しなければならない。よって、冷熱媒の冷却負荷が冷凍機の能力を超え、冷熱媒を設定温度まで冷却できなくなり、(メタ)アクリル酸を十分に結晶化できなくなることがある。
そこで本発明方法では、融解工程を行う前であって結晶化工程のみを行う場合には、結晶化工程のみを行う前において、予め温熱媒用ラインから冷凍機へ供給される温熱媒の温度を融解工程用の設定温度より事前に下げておく。
以下、具体例を挙げながら本発明の実施条件を説明するが、本発明はかかる具体例に限定されるものではない。
図2に、本発明方法を実施するためのシステムの概略図を示す。図2のシステムでは3つの晶析器を用いるが、もちろん、実際には晶析器数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
冷熱媒と温熱媒は、それぞれ1つのみ使用してもよいし、温度の異なる2種以上の冷熱媒または温熱媒を使用してもよい。例えば、比較的高温度で時間をかけてより純度の高い結晶を得、次いで比較的低温度で粗溶液をさらに冷却することにより、結晶化を十分に促進してもよい。
例えばアクリル酸を精製する場合、晶析器の伝熱面を融点以下まで冷却するため、比較的高温度の冷熱媒の設定温度を−10℃以上、10℃以下程度、比較的低温度の冷熱媒の設定温度を−30℃以上、−10℃以下程度とすることができる。
融解工程のために晶析器へ供給する温熱媒の設定温度は、アクリル酸の場合、+20℃以上、+40℃以下程度とすることができる。
もちろん、上記の各設定温度は一例であって、実際の設定温度は、晶析器の伝熱面の面積、粗(メタ)アクリル酸溶液の晶析器への供給量、熱媒の供給量などに応じて適宜設定できる。
一般的に、(メタ)アクリル酸の晶析精製の前には、各晶析器へ熱媒を供給して温度を安定化しておく。例えば図2のシステムでは、晶析精製の前に、晶析器7Aに比較的温度の高い冷熱媒を供給し、晶析器7Bに比較的温度の低い冷熱媒を供給してそれぞれ冷却しておき、且つ晶析器7Cに温熱媒を供給しておけばよい。但し、晶析精製初期においては結晶化工程を実施しない晶析器へは熱媒を供給せず、冷凍機から供給された熱媒はバッファータンク8A〜8Cを経由させて冷凍機へ供給してもよい。
但し本発明方法においては、晶析精製の前に、冷凍機に供給される温熱媒の温度を融解工程用の設定温度より予め下げておく。即ち、冷凍機から排出される温熱媒の温度を融解工程で用いられる温熱媒の設定温度よりも下げて冷凍機を運転し、融解工程用の温度より低い温度の温熱媒がバッファータンク内に十分に存在するようにしておく。
その結果、(メタ)アクリル酸の晶析精製の前には、冷熱媒は、結晶化工程用の設定温度とほぼ同じ温度でバッファータンクに蓄えられる一方で、温熱媒は、融解工程用の温度よりも低い温度でバッファータンクに蓄えられることになる。この際、冷凍機において加熱負荷よりも冷却負荷がかかり、冷凍機の冷却能力が大幅に低下する可能性があるが、晶析精製前であれば、冷凍機から供給される熱媒の温度に乱れが生じても問題は無いため、時間をかけて冷熱媒と温熱媒が所定温度となるまで冷凍機を運転すればよい。
晶析精製前の事前運転における温熱媒の温度は、結晶化工程時において粗(メタ)アクリル酸溶液が結晶化するに十分な程度に冷熱媒を冷却するために冷凍機で発生する冷却負荷に応じて、融解工程の設定温度よりも下げる。具体的な当該温度は、粗(メタ)アクリル酸溶液の供給量、冷熱媒の設定温度や供給量、融解工程における温熱媒の設定温度、温熱媒の供給量などに応じて適宜決定すればよいが、例えば、融解工程用の設定温度より5℃以上、35℃以下低い温度とすることが好ましい。冷凍機へ供給される温熱媒の温度を融解工程用の設定温度よりも5℃以上低くしておけば、晶析精製初期で結晶化工程のみが行われる場合であっても、冷凍機において、冷熱媒の冷却のために生じる冷却負荷を十分に解消することができる。それに対して、冷凍機へ供給される温熱媒の温度を、融解工程用の設定温度よりも35℃を超えて低くすると、事前運転において時間とエネルギーを過剰に消費することとなるので、当該温度差は35℃以下とすることが好ましい。
上記事前運転により、晶析器へ供給される冷熱媒の温度が結晶化工程用の設定温度に安定化され、また、温熱媒用のバッファータンクには融解工程用の設定温度よりも低い温度の温熱媒が十分に蓄えられる。次に、冷凍機から晶析器へ供給される温熱媒の温度を融解工程用の設定温度に安定化する。その後、晶析精製を開始するには、晶析器へ粗(メタ)アクリル酸溶液を供給する。図2のシステムにおいては、先ず、比較的温度の高い冷熱媒を供給している晶析器7Aに粗(メタ)アクリル酸溶液を供給する。
図2に示すシステムによれば、晶析器7Aに比較的温度の高い冷熱媒を供給して冷却しておき、粗(メタ)アクリル酸溶液を結晶化する。この一段階目の結晶化に要する時間は、粗(メタ)アクリル酸溶液の濃度や冷却温度などに依存するが、通常は5分間以上、90分間以下程度とすることができる。但し、製造効率の向上の観点からは、当該時間は、結晶化の状況を観察しながら適宜短縮することが好ましい。
晶析精製の初期において、結晶化工程のみが行われる場合には、冷凍機では加熱負荷が生じない一方で冷却負荷のみが生じる。よって、晶析器における粗(メタ)アクリル酸の冷却のために加熱された冷熱媒を冷却するために、冷凍機では液状の冷凍機用冷媒を気化させて冷熱媒から気化熱を奪わなければならないが、継続してかかる凝縮熱を得るためには、生じた冷凍機用冷媒ガスを再び凝縮させて液状にしなければならない。
二段階で結晶化工程を行う場合において、比較的高い温度の冷熱媒を使った一段階目の晶析のみを行う場合には、上記のとおり冷凍機用冷媒ガスの凝縮により生じた凝縮熱を冷却水でのみ除去することも可能であり得る(図1を参照)。しかし、かかる凝縮熱を冷却水のみで除去することができない場合には、冷凍機は冷熱媒を設定温度まで冷却することができず、(メタ)アクリル酸の結晶化が十分に進行しなくなるおそれがある。その場合には、バッファータンク内に予め蓄えておいた比較的温度の低い温熱媒を冷凍機へ供給する。それにより、冷凍機へ供給する温熱媒の温度と融解工程用温度との差に応じた加熱負荷が冷凍機にかかるので、冷凍機を安定的に運転することができ、設定温度の冷熱媒を安定して供給することが可能になる。
より詳しくは、事前運転において、温熱媒の温度を融解工程用の設定温度よりも低く設定しておくことにより、温熱媒用のバッファータンクには、融解工程用の設定温度よりも低い温度の温熱媒が満たされている。この温熱媒は晶析器で利用されないので、その温度は晶析器を経てもほとんど変化しないが、バッファータンクはより低温の温熱媒で満たされているため、晶析器から返送される温熱媒をバッファータンクの上部に供給し、下部から温熱媒を抜き出すことにより、事前運転における温度の温熱媒を冷凍機へ供給できる。その結果、冷凍機には、事前運転における設定温度と融解工程用の設定温度との差による加熱負荷が生じるため、晶析器で利用されるのが冷熱媒のみであっても、冷凍機には冷却負荷と加熱負荷の両方がかかるため、冷凍機は設定温度の冷熱媒を安定して供給できる。
ここで、本発明方法で用いられるバッファータンクにつき説明する。
本発明方法で用いられるバッファータンクは、上方開口と下方開口の2つの開口を有しており、縦長形状を有し、外部に対して断熱構造を有することから蓄熱が可能であるものとする。
バッファータンクが、内部に存在する熱媒の温度勾配を保持するためには、縦長構造とし、且つ内部で熱媒の攪拌や対流が起こらないようにする。その結果、例えば、バッファータンク内に存在する熱媒よりも高温度の熱媒をバッファータンクの上部に供給し、下部から冷凍機へ返送する熱媒を抜き出せば、バッファータンク内の熱媒に温度勾配を持たせることができる。
バッファータンクの形状は、縦長構造であれば特に限定されないが、円柱や角柱等の略柱体が好ましい。バッファータンクの直胴部分の長さは、バッファータンクの最大断面長さの1倍以上であることが好ましい。当該比率が1倍以上であれば、バッファータンク内の熱媒の温度勾配を十分に保持することができる。なお、バッファータンクの最大断面長さとは、例えば、バッファータンクが円柱形状を有するものであれば、底面の円の直径となる。バッファータンクが四角柱形状を有するものであれば、底面の四角形の対角の長さがバッファータンクの最大断面長さとなる。バッファータンクが下部を除いた部分が柱体形状を有し、下部が下にすぼんだ錐体形状を有するものであれば、柱体形状部分の断面最大長さがバッファータンクの最大断面長さとなる。バッファータンクが高さ方向の中間付近が膨らんだ形状を有するものであれば、中間付近の最も膨らんだ部分での断面最大長さがバッファータンクの最大断面長さとなる。
バッファータンクにおける熱媒の温度勾配を保持するためには、熱媒の対流が起こり難くなるようにする必要がある。例えば、熱媒をバッファータンク内に供給するためのパイプを、バッファータンクの断面中央部まで伸ばし、且つ上部の熱媒供給用パイプの開口を上部に向けることが考えられる。また、これら開口部に、熱媒の噴出をできるだけ抑制するための整流器を設けてもよい。
以上のとおり、バッファータンクでは温度勾配を維持することが可能である。よって、融解工程用の設定温度の温熱媒が熱の授受を行わずにバッファータンクへ供給されても、当該温熱媒をバッファータンクの上部に供給し、予備工程でバッファータンクに蓄えた比較的低温度の温熱媒を抜き出して冷凍機へ供給することにより、冷凍機には加熱負荷を付与することが可能になる。その結果、晶析精製の初期において晶析器で利用されるのが冷熱媒のみであっても、冷凍機には冷却負荷と加熱負荷の両方がかかるため、冷凍機は設定温度の冷熱媒を安定して供給することができる。
図2のシステムでは、晶析精製のスタート時においては、晶析器7Aでのみ結晶化工程が行われる。よって冷凍機には冷却負荷のみが生じるが、この冷却負荷を解消できる場合、即ち、図1に示す冷凍機の概略図において、冷熱媒を冷却するための冷熱を発生させるために気化させた冷凍機用冷媒を再び液化させる際に生じる凝縮熱を冷却水で除去できる場合には、上記のように、予め温熱用バッファータンク内に蓄えておいた比較的低温度の温熱媒を使用する必要はない。
しかし、図2のシステムにおいて結晶化工程を続行すると、冷凍機で生じた冷却負荷を冷却水のみでは解消できなくなり得る。即ち、晶析器7Aにおける一段階目の晶析が完了した後には、続いて熱媒ラインのバルブを切り替え、晶析器7Aに比較的低温度の冷熱媒を供給し、晶析器7Bには比較的高温度の冷熱媒を供給する。晶析器7Bの温度が安定した後、晶析器7Bには粗(メタ)アクリル酸溶液を供給する。よって、冷凍機から供給される2種類の冷熱媒は両方とも晶析器で利用されて加温され、これらを再び設定温度まで冷却するための冷却負荷が冷凍機にかかることから、加熱負荷が無ければ、冷却水のみでは安定的に冷凍機を運転できなくなり得る。
そこでかかる場合には、予め温熱用バッファータンク内に蓄えておいた比較的低温度の温熱媒を利用して冷凍機へ供給される温熱媒の温度を低くし、冷凍機に加熱負荷を課すことにより、冷凍機の安定的な運転が可能になり、結晶化工程のみが行われる場合においても冷熱媒を安定して供給することが可能になる。
二段階の結晶化を行う場合には、二段階目の結晶化は、晶析器へより低い温度の冷熱媒を供給し、伝熱面をさらに冷却すればよい。この二段階目の結晶化に要する時間は、一段階目の結晶化と同様に、粗(メタ)アクリル酸溶液の濃度や冷却温度などに依存するが、通常は5分間以上、90分間以下程度とすることができる。但し、製造効率の向上の観点からは、当該時間は、結晶化の状況を観察しながら適宜短縮することが好ましい。
図2のシステムにおいて、晶析器7Aにおける二段階目の結晶化と晶析器7Bにおける一段階目の結晶化が完了した後は、晶析器7Aには温熱媒を、晶析器7Bには比較的低温度の冷熱媒を、晶析器7Cには比較的低温度の冷熱媒を供給し、晶析器7Aでは融解工程、即ち発汗操作または融解操作を行い、晶析器7Bでは二段階目の結晶化を行い、晶析器7Cでは一段階目の結晶化を行う。この場合、晶析器では温熱媒と冷熱媒の両方が利用されるため、冷凍機には冷却負荷と加熱負荷の両方が課されることから、冷凍機の安定的な運転が可能となり、ひいては冷熱媒と温熱媒の安定的な供給が可能となる。
融解工程のうち発汗操作は、(メタ)アクリル酸結晶の表面のみを部分的に溶解して分離し、表面に付着している不純物や、結晶表面部により多く存在する不純物を除去するものである。
融解操作の時間は特に厳密に決定する必要はなく、(メタ)アクリル酸結晶が十分に融解するまで加熱し続ければよい。よって、発汗操作と融解操作を含む融解工程の時間は、他の晶析器で行われる結晶化工程に合わせることができる。
以降は、晶析器ごとに結晶化工程と融解工程を繰り返せば、常に温熱媒と冷熱媒の両方が利用され、冷凍機を安定的に運転することができ、(メタ)アクリル酸を安定して晶析精製できる。
なお、一工程の間でも、熱媒の利用度合いは変化する。例えば、工程と工程との間には、他の晶析器における結晶化等が完了していないときは待機する場合があり、待機中においては熱媒の熱はほとんど利用されない。そのような場合には、バッファータンクを利用して、冷凍機へ供給される熱媒の温度変化を抑制し、冷凍機の負荷を一定にすることが好ましい。
冷凍機へ供給される熱媒の温度変化を抑制するためには、バッファータンクを利用する。例えば、冷熱媒が晶析器で高度に加温された場合には、晶析器を経たバッファータンクの上部へ供給し、比較的温度の低い下部から冷熱媒を抜き出して冷凍機へ供給するほか、冷熱媒の一部を晶析器へ供給せずにバッファータンク下部から抜き出した冷熱媒と混合することも考えられる。逆に、晶析器を経た冷熱媒の温度が当初より低くなったときには、かかる冷熱媒の一部をバッファータンクに供給しつつ、その分、上部から比較的温度の高い冷熱媒を抜き出し、残りの冷熱媒と混合して温度を調節することが考えられる。
上記のとおり、2以上の晶析器を使って結晶化工程と融解工程とを並行して実施する場合には、冷熱媒と温熱媒の両方が利用されるため、定格能力内で冷凍機を安定して運転することができる。その一方で、晶析精製の開始時のみならず、終了時にも問題が生じ得る。
例えば図2のシステムにおいて、晶析器7Aで融解工程を、晶析器7Bで二段階目の結晶化工程を、晶析器7Cで一段階目の結晶化工程を実施した後、次いで晶析器7Bで融解工程を行い且つ晶析器7Cで二段階目の結晶化工程を行う場合には、晶析器7Bには温熱媒を供給し、晶析器7Cには比較的低温度の冷熱媒を供給し、晶析器7Aには比較的高温度の冷熱媒を供給することになる。或いは、比較的高温度の冷熱媒は、晶析器へ供給されずバイパスを経由してそのまま冷凍機へ供給される。この場合、冷熱媒の冷熱は利用されないので、冷凍機においては冷却負荷に比べて加熱負荷が高くなるが、この程度であれば、定格内で冷凍機の運転は可能であり得る。
しかしさらに、晶析器7Bにおける融解工程が終了した後には、晶析器7Cで融解工程が実施されるだけであるので、もはや晶析器で利用されるのは温熱媒のみであり、冷熱媒は利用されない。その結果、冷凍機における冷却負荷に対して加熱負荷が過剰に高まり、温熱媒を設定温度まで加熱できなくなる場合がある。
融解工程では精製された(メタ)アクリル酸を融解するのみであり、過剰に加熱しない限り(メタ)アクリル酸の品質には悪影響はほとんど生じないので、温熱媒を設定温度まで加熱できなくとも、時間をかけて融解すればよいという考えもある。しかし、発汗操作において加熱温度に乱れが生じると(メタ)アクリル酸の純度が低下するおそれがあるので、発汗操作においては温熱媒温度を設定値に維持すべきである。また、融解操作においても、基本的に(メタ)アクリル酸の品質には影響は無いといっても、時間をかければ生産効率が低下するので、同様に設定温度の温熱媒の供給を維持すべきである。
そこで本発明方法においては、結晶化工程を完了し融解工程のみを行う場合、冷凍機の冷却負荷を結晶化工程用の冷却負荷より下げることが好ましい。この操作により、冷熱媒用バッファータンク内に蓄えられた比較的温度の高い冷熱媒を徐々に使用でき、冷凍機には、最小限の冷却負荷を比較的長い時間継続して付与することが可能になる。
冷凍機の冷却負荷を結晶化工程用の冷却負荷より下げるには、例えば、冷凍機に供給される冷熱媒の設定温度を結晶化工程用の設定温度より下げればよい。より具体的には、晶析器を経た冷熱媒をバッファータンクの下部へ供給し、比較的温度の高い冷熱媒を上部から抜き出して冷凍機へ供給すればよい。冷凍機に供給される冷熱媒の温度は、例えば、冷凍機から供給された冷熱媒の一部をバッファータンクを介さずに直接冷凍機へ供給し、残部をバッファータンクへ供給してその代わりに比較的高温度の冷熱媒をバッファータンクから抜き出して冷凍機へ供給するに当たり、これらの量を調整することにより調整することができる。
上記の場合において、冷凍機の冷却負荷は、冷凍機定格能力の10%以上、40%以下となるように設定することが好ましい。当該冷却負荷を冷凍機定格能力の10%以上にしておけば、融解工程のみを行う場合であっても、温熱媒の加熱に要する冷凍機の負荷を冷却負荷により十分に相殺することができる。一方、当該冷却負荷が定常状態の40%を超えるようにすると、冷熱媒用のバッファータンク内に存在する比較的高温度の冷熱媒がすぐに消費されてしまい、冷熱媒の温度調節ができなくなってしまうおそれがあるので、当該冷却負荷を冷凍機定格能力の40%以下とすることが好ましい。なお、冷凍機の定格能力とは、各冷凍機に定められている冷凍機の最大能力である。冷凍機によっては、この冷凍機定格能力以上の性能を発揮できる場合もあるが、冷凍機定格能力はその冷凍機が性能を十分に発揮できるものとして定められており、本発明ではカタログ値やメーカーが設定している冷凍機定格能力を基準にすればよいものとする。
本発明に係る結晶化工程に付す(メタ)アクリル酸は特に制限されず、任意の方法で製造されたものを用いることができる。例えば、グリセリンまたはβ−メチルグリセリンを脱水することにより(メタ)アクロレインを得る工程と、(メタ)アクロレインを酸化することにより(メタ)アクリル酸を得る工程により、或いは、ヒドロキシプロピオン酸(以下「HP」とも称する)または2−メチルヒドロキシプロピオン酸を脱水することにより(メタ)アクリル酸を得る工程によりを製造することが可能である。以下にグリセリンを脱水し、さらに酸化して粗アクリル酸を得る工程と、HPを脱水して粗アクリル酸を得る工程を説明する。グリセリンを脱水し、さらに酸化して粗メタクリル酸を得る工程と、2−メチルHPを脱水して粗メタクリル酸を得る工程は、原料を変更すること以外、同様に実施することができる。但し、一般的には、β−メチルグリセリンよりもグリセリンの方が、また、2−メチルHPよりもHPの方が安価で入手し易いので、グリセリンを脱水し、さらに酸化して粗アクリル酸を得る工程と、HPを脱水して粗アクリル酸を得る工程を実施することが好ましい。
(1) グリセリンを脱水してアクロレインを製造する方法
アクロレインを製造する方法は、触媒の存在下においてグリセリンを脱水させてアクロレインを生成する方法である。
前記触媒としては、酸性質を有する固体触媒が挙げられる。酸性質を有する固体酸触媒としては、固体酸性を有する化合物であれば良く、例えば、(a)結晶性メタロシリケート、(b)金属酸化物、(c)粘土鉱物、(d)鉱酸をα−アルミナやシリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機担体に担持したもの、(e)リン酸や硫酸の金属塩およびそれらをα−アルミナやシリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機担体に担持したもの、等が挙げられる。
(a)結晶性メタロシリケートとしては、Al、B、Fe、Ga等から選ばれる1種または2種以上の元素をT原子とし、その結晶構造としては、LTA、CHA、FER、MFI、MOR、BEA、MTW等がある。(b)金属酸化物としては、Al23、TiO2、ZrO2、SnO2、V25、などの単独金属酸化物以外に、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、TiO2−WO3、WO3−ZrO2等の複合酸化物があり、(c)粘土鉱物としては、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイトなどがあり、(d)鉱酸を無機担体に担持したものとして、リン酸や硫酸をアルミナやシリカ、ジルコニアなどに担持したもの等があり、(e)リン酸や硫酸の塩としては、MgSO4、Al2(SO43、K2SO4、AlPO4、BPO4、Zr3(PO44等が例示される。
具体的には、国際公開WO2006/087083号公報およびWO2006/087084号公報に開示されている固体酸、具体的には、リン酸、硫酸または酸化タングステンを担持している酸化ジルコニウムなどを使用することもできる。
これらの中で、脱水反応時や再生処理時において、触媒は高温で酸化雰囲気や還元雰囲気に曝されることから、安定性の良い固体触媒が好ましく、結晶性メタロシリケート、金属酸化物および粘土鉱物等が好適であり、結晶性メタロシリケートとしてはT原子がAlでMFI構造のHZSM5が、金属酸化物としては結晶性のリン酸塩化合物が好ましく、リン酸アルミニウムが特に好適である。
HZSM5の酸強度は、ハメットの酸強度関数H0で−9および−16付近にピークを持つ強酸性を示し(橋本健治ら,触媒,Vol.29,No.6,p.406−409(1987))、またリン酸アルミニウムの酸強度については、調製方法や結晶系により異なるが、ハメットの酸強度関数H0で+1.5〜+4.8と弱い固体酸性を示すことが知られている(坂本清子ら,日本化学会誌,Vol.9,p.681〜688(1995))。
アクロレインの製造方法としては、例えば、固定床反応器、流動床反応器、移動床反応器などから任意に選択された反応器内で、グリセリンガスを含有する反応ガスと触媒とを接触させる気相脱水反応によりアクロレインを生成する方法を挙げることができる。なお、グリセリンガスを含有する反応ガスと触媒とを接触させる気相脱水反応に限定されるものではなく、グリセリン溶液と触媒とを接触させる液相脱水反応を適用することも可能である。後者の場合、液相脱水反応は、固定床と蒸留塔を組み合わせた方法、攪拌槽と蒸留塔を組み合わせた方法、一段式の攪拌槽を用いる方法、多段式の攪拌槽を用いる方法、多段式の蒸留塔を用いる方法、および、これらを組み合わせた方法など、従来公知の様々な方法で実施することができる。これらの方法は、バッチ式または連続式のいずれでもあってもよいが、通常は連続式で実施される。
以下では、アクロレインの工業的生産性に優れた気相脱水反応を利用するアクロレインの製造方法を例に挙げて説明する。
反応ガスは、グリセリンのみで構成されるガスであっても、反応ガス中のグリセリン濃度を調整するために、グリセリンの脱水反応に不活性なガスを含有していてもよい。不活性ガスとしては、例えば、水蒸気、窒素ガス、二酸化炭素ガス、空気などが挙げられる。反応ガス中におけるグリセリン濃度は、通常は0.1〜100モル%、好ましくは1モル%以上であり、アクロレインの製造を経済的かつ高効率に行うために、より好ましくは5モル%以上である。
本発明の触媒は、アクロレイン選択率が高いグリセリン脱水用触媒であるので、反応ガスの流量を大きく設定してもアクロレインを高収率で得ることができる。反応ガスの流量は、触媒の単位容積あたりのガス空間速度(GHSV)で表すと、通常は50〜20000hr-1、好ましくは10000hr-1以下であり、アクロレインの製造を経済的かつ高効率で行うために、より好ましくは4000hr-1以下である。
反応温度は、通常は200〜500℃、好ましくは250〜450℃、より好ましくは300〜400℃である。
反応ガスの圧力は、グリセリンが凝縮しない範囲の圧力であれば、特に限定されるものではないが、通常は0.001〜1MPaであるとよく、好ましくは0.01〜0.5MPa、より好ましくは0.3MPa以下である。
グリセリンの脱水反応を連続的に行うと、触媒の表面に炭素状物質が付着して触媒の活性が低下することがある。特に、アクロレイン選択率が低下し、プロピオンアルデヒド選択率が上昇する。このような場合には、触媒と再生用ガスとを高温で接触させる再生処理を行えば、触媒の表面に付着した炭素状物質を除去して触媒の活性を復活させることができる。再生用ガスとしては、例えば、酸素、酸素を含有する空気などの酸化性ガスが挙げられる。再生用ガスには、必要に応じて、窒素、二酸化炭素、水蒸気などの再生処理に不活性なガスを含有させてもよい。触媒と酸素との接触により、急激な発熱が懸念される場合には、その急激な発熱を抑制するためにも、不活性ガスを再生用ガスに含有させることが推奨される。再生処理の温度は、触媒を熱劣化させることなく、炭素状物質を除去できる温度であれば、特に限定されるものではないが、触媒製造の際の焼成温度以下であることが好ましい。
グリセリンの脱水反応により得られた粗アクロレインは、副生成物を含んでいる。そこで、得られた粗アクロレインを精製することが好ましい。副生成物としては、プロピオンアルデヒド以外に、例えば、フェノール、1−ヒドロキシアセトン、アリルアルコールなどが挙げられる。粗アクロレインを精製する際には、主として、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去する。これらの副生成物を除去することにより、アクロレインからアクリル酸を製造する際におけるアクリル酸の収率が向上する。特に、1−ヒドロキシアセトンを除去すれば、酢酸の発生量を減らすことができる。
アクリル酸の収率が向上することを考慮すれば、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンの除去量を多くすることが好ましいと考えられる。そこで、精製後のアクロレイン(A)とフェノール(Ph)との質量比Ph/A、および、精製後のアクロレイン(A)と1−ヒドロキシアセトン(H)との質量比H/Aは、いずれも、好ましくは0.020以下、より好ましくは0.010以下、さらに好ましくは0.005以下である。しかし、フェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンの除去量を多くすれば、アクロレインの損失が増大することやアクロレインの精製が煩雑になることがある。このことを考慮すれば、質量比Ph/Aおよび質量比H/Aは、好ましくは1×10-9以上、より好ましくは1×10-7以上、さらに好ましくは1×10-5以上である。
アクロレイン、フェノールおよび1−ヒドロキシアセトンの沸点は、それぞれ、約53℃、約182℃および約146℃である。この沸点差を利用すれば、粗アクロレインからフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去することができる。その方法としては、例えば、液状の粗アクロレインを蒸留塔で処理して除去目的物よりも低沸点のアクロレインを分留する方法、ガス状の粗アクロレインを凝集塔で処理してアクロレインよりも高沸点の除去目的物を凝集する方法、蒸散塔内に導入した粗アクロレインにガスを吹き込んで除去目的物よりも低沸点のアクロレインを気化させる方法などが挙げられる。
また、アクロレイン、フェノールおよび1−ヒドロキシアセトンの融点は、それぞれ、約−87℃、約43℃および約−17℃である。この融点差を利用すれば、粗アクロレインからフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンを除去することができる。その方法としては、例えば、粗アクロレインを冷却してフェノールおよび/または1−ヒドロキシアセトンの析出物を除去する方法などが挙げられる。
なお、プロピオンアルデヒドについては、その沸点が約48℃、融点が約−81℃であり、アクロレインとの沸点差または融点差を利用して、粗アクロレインから除去することも可能であるが、アクロレインとの沸点差および融点差がいずれも小さいので、アクロレインの損失が多くなることがある。それゆえ、脱水反応で生じたプロピオンアルデヒドについては、アクロレインから除去せずに、アクリル酸の原料であるアクロレインに同伴させて使用するほうが好ましい。
(2) アクロレインの酸化によるアクリル酸の製造方法
上記のような製造方法により得られたアクロレインを酸化することによりアクリル酸を製造することが可能である。
本発明においてバイオディーゼル由来のグリセリンを原料に用いた場合、得られた粗アクロレインは、精製することなくアクリル酸の製造に用いてもよいが、副生成物として、フェノール、1−ヒドロキシアセトン、メトキシアセトン、3−メトキシプロパナールなどを含んでいる。これらの副生成物が触媒活性の低下や収率の低下を引き起こす原因や、アクリル酸中に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、3−メトキシプロピオン酸などの副生成物が含まれる原因となるので、精製してから用いてもよい。精製を行う場合は、従来公知の方法により行うことができ、反応組成物の凝集液や捕集溶剤を用いて得られた捕集液を蒸留方法や、特開2008−115103号公報記載の捕集塔および放散塔を備えた精製器を用いる方法が例示される。粗製アクロレインを精製しない場合は、後工程でアクリル酸を精製することにより、アクリル酸中の不純物を除去すればよい。工程を簡略化し、製造コストを低減できる点で、粗製アクロレインを精製しないで用いることが好ましい。
アクリル酸を製造するには、アクロレインを含有するガス(以下では「アクロレイン含有ガス」ということがある。)と、アクロレインを酸化するための触媒(以下では「アクロレイン酸化用触媒」ということがある。)とを、固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器などから任意に選択された酸化反応器内に共存させ、温度200〜400℃で、アクロレインを気相酸化することが好ましい。なお、アクロレインの酸化に伴って、プロピオンアルデヒドからプロピオン酸が生成する。
アクロレイン酸化用触媒としては、分子状酸素または分子状酸素含有ガスを用いたアクロレインの接触気相酸化によりアクリル酸を製造する場合に用いられる従来公知のアクロレイン酸化用触媒であれば、特に限定されるものではないが、例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化銅などの金属酸化物の混合物や複合酸化物などが挙げられる。これらの触媒のうち、モリブデンおよびバナジウムを主成分とするモリブデン−バナジウム系触媒が特に好適である。また、アクロレイン酸化用触媒は、上記のような金属酸化物の混合物や複合酸化物が担体に担持された担持型の触媒であってもよい。かかる担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどの無機酸化物や複合酸化物、炭化ケイ素などの無機物を挙げることができる。
アクリル酸の製造に用いられるアクロレイン含有ガスに対する酸素の添加量は、酸素が多すぎると、アクロレインの燃焼が生じて爆発の危険を伴うおそれがあるので、その上限値を適宜設定する必要がある。
アクロレインの気相酸化反応により、粗アクリル酸を含有するガス状物が得られる。捕集工程では、このガス状物を冷却凝縮や溶剤捕集などにより液化して粗アクリル酸溶液を得ることができる。この粗アクリル酸溶液は本発明の晶析工程に供することができる。
次に、再生可能な資源であるバイオマスなどを利用して、アクリル酸を製造する方法を示す。バイオマスからアクリル酸への直接的経路は存在しないが、天然物であり容易に入手可能な乳酸(以下、「2−ヒドロキシプロピオン酸」または「2HP」とも称す)やセルロース等を分解して得られる糖類をさらに発酵して調製される3−ヒドロキシプロピオン酸(以下、「3HP」とも称す)等のヒドロキシカルボン酸を脱水することにより、比較的容易にアクリル酸を調製できる。ヒドロキシカルボン酸の塩を脱水してもアクリル酸を得ることができる。
(3) ヒドロキシプロピオン酸の製造方法
ヒドロキシカルボン酸および/またはその塩は種々の源から得ることができ、好適には地球温暖化及び環境保護の観点から、炭素源としてリサイクル可能な生物由来資源を用いるのがよく、天然物から入手した2−ヒドロキシプロピオン酸や、セルロース等を分解して得られる糖類をさらに発酵により調製された2−ヒドロキシプロピオン酸または3−ヒドロキシプロピオン酸を用いることができる。
2−ヒドロキシプロピオン酸水溶液は、公知の方法により入手可能であり、例えば、Advances in Applied Microbiology,42巻,45〜95頁(1996年)記載の乳酸菌を用いた発酵や、Enzyme and Microbial Technology,26巻,87〜107頁(2000年)に記載されているカビ(Rhizopus oryzae)を用いた発酵により得ることが可能である。
3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液もまた、公知の方法で入手可能であり、例えば国際公開第2008/027742号に記載されている、Streptomyces griseus ATCC21897由来beta-alanine aminotransferase遺伝子導入大腸菌を用いた、グルコースを炭素源とした発酵により得ることができる。また、国際公開第2001/016346号に記載されている、Klebsiella pneumoniae由来グリセリン脱水酵素および大腸菌由来アルデヒド酸化酵素導入大腸菌を用いた、グルコースを炭素源とした発酵によっても得ることができる。3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液の入手方法の例として上記公知文献を記載したが、本特許公報の方法を用いる限り、発酵に用いる細菌または組換え細菌は特に限定されず、3−ヒドロキシプロピオン酸生成能を有する生物を用いた発酵により入手した3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液であれば本特許記載の方法で利用可能である。また、発酵以外にも原料とする糖類と生物とを接触させることで生成した3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液でも本特許記載の方法でアクリル酸へ変換することができる。糖類と生物を接触させるとは、原料として利用する糖類の存在下で微生物又はその処理物を用いて反応を行うことをも包含する。該処理物としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体、菌死体、凍結乾燥菌体、菌体破砕物、菌体を破砕した無細胞抽出物、これらから酵素を抽出した粗酵素液、精製酵素等が挙げられる。また、常法により担体に固定化した菌体、該処理物、酵素等を用いて反応を行うことにより入手した3−ヒドロキシプロピオン酸水溶液も用いることができる。
(4) ヒドロキシプロピオン酸の脱水によるアクリル酸の製造方法
ヒドロキシプロピオン酸を脱水して粗アクリル酸を得る方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、特表2005−521718号公報に記載の方法は、発酵などにより得られた2−または3−ヒドロキシカルボン酸(2HPと3HP)又はその塩を含む水溶液または溶液を準備し、その溶液を脱水触媒の存在または非存在の下で加熱することにより脱水を施し不飽和カルボン又はその塩を製造する方法である。国際公開第2005/095320号公報は、2−または3−ヒドロキシカルボン酸を含む水溶液を不活性なセラミック等や酸又は塩基の固体触媒を保持したところへ導入して加熱することにより2,3−不飽和カルボン酸を調製する方法である。国際公開第2007/106100号公報は、3−ヒドロキシカルボニル化合物を含む物質を実質的に液体で反応器に導入し、反応器中で転化して2,3−不飽和カルボン酸化合物を含む反応生成物を得る方法である。この場合、反応器中では酸触媒、塩基触媒等が用いられている。
上記方法により、粗アクリル酸を含有する液状物またはガス状物が得られる。液状物はそのまま粗アクリル酸溶液として本発明に用いることができる。ガス状物は、捕集工程で冷却凝縮や溶剤捕集などにより液化することにより、粗アクリル酸溶液とすることができ、この粗アクリル酸溶液は本発明の晶析工程に使用することができる。
本発明方法で製造される(メタ)アクリル酸は、品質が安定していることから、吸水性樹脂や水溶性樹脂などの親水性樹脂を製造するための単量体として用いた場合、重合反応の制御がし易くなり、ひいては親水性樹脂の品質が安定し、吸収性能や無機材料分散性などの各種性能が改善される。特に本発明方法で製造されるアクリル酸は、品質が安定しており重合反応の制御がし易いので、吸水性能が高く高品質の吸水性樹脂を製造するための原料として非常に有用である。
以下、本発明の吸水性樹脂に関する定義や、製造するための好適な態様につき説明する。
(1) 「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。なお、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸水倍率)が通常5g/g以上であることをいい、また、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExt(水可溶分)が通常0〜50重量%であることをいう。
上記吸水性樹脂は、その用途に応じて適宜設計可能であり、特に限定されるものではないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、全量(100質量%)が重合体である形態に限定されず、上記性能を維持する範囲内において、添加剤等を含んでもよい。
本発明においては、任意にグラフト成分を含み、繰り返し単位としてアクリル酸および/またはその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を主成分とする吸水性樹脂を意味する。具体的には、重合に用いられる総単量体(架橋剤を除く)のうち、アクリル酸(塩)を通常50モル%以上、100モル%以下含む重合体をいい、好ましくは70モル%以上、100モル%以下、より好ましくは90モル%以上、100モル%以下、特に好ましくは実質100モル%含む吸水性樹脂をいう。
(2) EDANAおよびERT
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recomeded Test Method)の略称である。なお、本発明においては、特に断りのない限り、2002年改定のERT原本に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
(a) CRC − ERT441.2−02
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称することもある)を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対する30分間の自由膨潤後さらに遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位:g/g)である。
本発明で得られる吸水性樹脂のCRCは20g/g以上、100g/g以下、好ましくは25g/g以上、50g/g以下、27g/g以上、45g/g以下が好ましいとされる。
(b) AAP − ERT442.2−02
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対する1時間、2.06kPaでの荷重下膨潤後の吸水倍率(単位:g/g)であるが、本発明においては、1時間、4.83kPa荷重下での吸水倍率(単位:g/g)とする。
本発明で得られる吸水性樹脂のAAPは20g/g以上、30g/g以下、好ましくは22g/g以上、30g/g以下が好ましいとされる。
(c) Ext − ERT470.2−02
「Ext」は、Extractablesの略称であり、水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200gに対して、吸水性樹脂1gを500rpmで16時間攪拌した後、溶解したポリマー量をpH滴定で測定した値(単位:質量%)である。本発明で得られる吸水性樹脂のExtは0g/g以上、30g/g以下、好ましくは0g/g以上、20g/g以下が好ましいとされる。
(d) FSC − ERT440.2−02
「FSC」は、Free Swell Capacityの略称であり、自由膨潤倍率を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に吸水性樹脂0.20gを30分浸漬した後、遠心分離機で水切りを行わないで測定した吸水倍率(単位:g/g)である。
(e) Residual Monomers − ERT410.2−02
「Residual Monomers(RM)」とは、吸水性樹脂中に残存しているモノマー量を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200cm3に吸水性樹脂1.0gを投入し500rpmで1時間攪拌後、該水溶液に溶出したモノマー量を高速液体クロマトグラフィーで測定した値(単位:ppm)である。本発明で得られる吸水性樹脂のRMは1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましいとされる。
(f) PSD − ERT420.2−02
「PSD」とは、Particle Size Disributionの略称であり、ふるい分級により測定される粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径(D50)および粒子径分布幅は欧州公告特許第0349240号明細書7頁25〜43行に記載された「(1) Average Particle Diameter and Distribution of Particle Diameter」と同様の方法で測定する。
(3) 通液性
荷重下または無荷重下における膨潤ゲルの粒子間を流れる液の流れを「通液性」という。この「通液性」の代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity)や、GBP(Gel Bed Permeability)がある。
「SFC(生理食塩水流れ誘導性)」は、荷重0.3psiにおける吸水性樹脂に対する0.69重量%生理食塩水の通液性をいう。米国特許第5669894号明細書に記載されたSFC試験方法に準じて測定される。単位は(cm3・s・10−7/g)である。
「GBP」は、荷重下または自由膨張における吸水性樹脂に対する0.69重量%生理食塩水の通液性をいう。国際公開第2005/016393号パンフレットに記載されたGBP試験方法に準じて測定される。
本発明で得られる吸水性樹脂のSFCは1以上、5以上が好ましいとされる。
(4) 製造するための好適な態様
本発明方法で製造されるアクリル酸および/またはその塩を単量体の主成分とし、アクリル酸および/またはその塩に対して0.01モル%以上、5モル%以下程度の架橋剤と、0.001モル%以上、2モル%以下程度のラジカル重合開始剤を用いて架橋重合させ、乾燥および粉砕することにより吸水性樹脂が得られる。
吸水性樹脂の生産性向上の点で好ましい製造方法は、例えば、米国特許第6867269号公報、米国特許第6906159号公報、米国特許第7091253号公報、国際公開第01/038402号パンフレット、国際公開第2006/034806号パンフレットに記載されている。
特に、本発明方法で得られるアクリル酸の重合方法としては、特に限定されないが、連続ベルト重合(米国特許第4893999号,同第6241928号,米国特許出願公開第2005/215734号等に開示)、連続ニーダー重合、バッチニーダー重合(米国特許第6987151号,同第6710141号等に開示)が好ましく適応される。
前記で得られた重合物は、米国特許第4920202号、同5264495号、同5275773号、同6207796号、同6164455号、同6207796号、同6291636号、同6875511号等に開示する製造方法により、好ましくは粒子状の吸水性樹脂とされる。
さらに、吸水性樹脂の目的や用途に応じて、特に衛生材料に使用する場合は、吸水性樹脂を表面架橋することが好ましい。具体的な態様としては、欧州特許第0349240号、同第0605150号、同第0450923号、同第0812873号、同第0450924号、同第0668080号、日本国特開平7−242709号、同平7−224304号、米国特許第5409771号、同第5597873号、同第5385983号、同第5610220号、同第5633316号、同第5674633号、同第5462972号、国際公開第99/42494号、同第99/43720号、同第99/42496号等に開示する製造方法が好ましい。
上記公報は、参照により、本明細書に組み入れられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1 アクリル酸の晶析精製の開始
(1) 事前処理
図2に示すように、3個の晶析器へ冷熱媒と温熱媒を供給するシステムとして、3種の温度の熱媒を供給することができる冷凍機と、晶析器を経た熱媒を冷凍機へ供給する前に蓄積するバッファータンクを有するものを用いた。晶析器としては、薄膜降下式晶析器を用いた。冷凍機用冷媒としては、40%メタノール水溶液を用いた。また、バッファータンクの断面形状は直径4.0mの円形であり、その高さは17.5mであった。なお、熱媒供給用パイプは、熱媒の供給によりバッファータンク内の熱媒が攪拌されることで温度勾配が解消されないよう、熱媒を静かに供給できるよう設計した。
先ず、冷凍機を運転し、2つの冷熱媒用バッファータンクに蓄えられる冷熱媒の温度を全体的にそれぞれ−10℃と−23℃とし、温熱媒用バッファータンクに蓄えられる温熱媒の温度を全体的に+10℃となるようにした。
(2) 粗アクリル酸溶液
反応器(図示せず)内でプロピレンを接触気相酸化反応に付した。得られた反応ガスを捕集塔(図示せず)に導入し、捕集液と接触させ、捕集塔の塔底より粗アクリル酸溶液を得た。当該粗アクリル酸溶液の組成は、アクリル酸94.3質量%、水2.3質量%、酢酸2.0質量%、マレイン酸0.4質量%、その他の不純物1.0質量%であった。
(3) スタート期I
−10℃の冷熱媒を22m3/分の速度で供給している第一晶析器へ、上記(2)で得られた粗アクリル酸溶液(総量:86.8トン)を伝熱面に沿って17m3/分の速度で供給することにより30分間かけてアクリル酸を晶出させた。第一晶析器より排出される冷熱媒の温度は最高で14.5℃まで上昇したが、温度の高い冷熱媒をバッファータンクの上部へ供給し、温度の低い下部の冷熱媒を抜き出したり、或いはバッファータンク下部から抜き出した温度の低い冷熱媒を温度の高い冷熱媒と混合したりすることにより、冷凍機に供給する冷熱媒を−6〜−4℃に維持した。
この場合、+10℃の温熱媒は冷却されないまま冷凍機に供給されるために、冷凍機には加熱側の負荷が無い。しかし、冷却に使用されているのは−10℃の冷熱媒のみであるので、冷却側の負荷も大きなものではなく、冷凍機内において冷熱媒を冷却するために気化した冷凍機用冷媒を凝縮した際に生じた熱は、冷却水のみで回収することができた。
結果として、30分間にわたり、−10℃の冷熱媒を安定供給できるように冷凍機を運転することができた。
(4) スタート期II
第一晶析器へ供給していた−10℃の冷熱媒を−23℃の冷熱媒に切り替え、アクリル酸の結晶化をさらに促進した。この際、第一晶析器を経た冷熱媒温度は最高で3.8℃まで上昇したが、上記(3)と同様にして、冷凍機に供給される冷熱媒を−22〜−16℃に維持した。かかる二段階目の結晶化は、30分間行った。
−10℃の冷熱媒は22m3/分の速度で第二晶析器へ供給し、また、上記(2)で得た粗アクリル酸溶液を上記(3)と同様にして第二晶析器へ供給し、アクリル酸を晶析させた。
また、粗アクリル酸溶液を第二晶析器へ供給すると共に、温熱媒の冷凍機入口設定温度を+10℃から+35℃に変更した。それにより第三晶析器を経てバッファータンクへ送られる温熱媒温度は+35℃になるが、この温熱媒はバッファータンクの上部へ供給し、冷凍機へ返送する温熱媒は下部から抜き出すことにより、冷凍機へ返送される温熱媒の温度を30〜32℃に維持した。
以上の運転条件下では、−10℃と−23℃の冷熱媒は両方とも晶析器で加熱されるために冷凍機には大きな冷却負荷がかかるが、冷凍機には30〜32℃の温熱媒を+35℃まで加熱するための加熱負荷がかかるため、これら負荷は相殺された。その結果、実際に使用されているのは冷熱媒のみであるにもかかわらず、冷凍機を安定的に運転することができ、−10℃と−23℃の冷熱媒の安定供給を維持することができた。
(5) 定常期
第一晶析器へ供給していた−23℃の冷熱媒を+35℃の温熱媒に切り替え、アクリル酸結晶の部分溶解を開始した。10分間かけてアクリル酸結晶の表面を融解し、当該融解部分は晶析器から排出した後、さらに10分間加熱してアクリル酸結晶を完全に融解した。得られたアクリル酸の融解液を分析したところ、純度は97.9%であり、また、収量は60.5トンであった。
第二晶析器へ供給していた−10℃の冷熱媒は−23℃の冷熱媒に切り替え、アクリル酸の結晶化をさらに促進した。
さらに第三晶析器へ供給していた+35℃の温熱媒を−10℃の冷熱媒に切り替え、伝熱面の温度を−10℃に安定させた。次いで、上記(2)で得た粗アクリル酸溶液を第二晶析器へ供給し、上記(3)と同様にしてアクリル酸を結晶化させた。
以上の運転条件下では、冷熱媒と温熱媒の両方が晶析器で利用されることから、冷凍機には冷却負荷と加熱負荷の両方がかかるので、冷凍機を安定的に運転することができた。
比較例1 アクリル酸の晶析精製の開始
上記実施例1において、(1)の事前処理を実施することなく、冷凍機から供給される冷熱媒の温度を−10℃と−23℃に、温熱媒の温度を+35℃に最初から設定し、それぞれ晶析器に供給した。
−10℃の冷熱媒を供給している第一晶析器へ、実施例1(2)の粗アクリル酸溶液を供給した。当該冷熱媒は晶析器において最高で14.5℃まで加熱され、冷凍機には冷却負荷が生じたが、かかる冷却負荷により生じた気体状の冷凍機用冷媒の凝縮熱は、冷却水のみで回収することができた。
次いで、上記実施例1(4)と同様に、第一晶析器と第二晶析器へそれぞれ−10℃と−23℃の冷熱媒を供給し、アクリル酸の結晶化を行った。
以上の条件下では、温熱媒は冷却されずそのまま返送されるので加熱負荷は生じない一方で、これら冷熱媒の両方が晶析器で加熱されることになり、冷凍機には冷却負荷のみがかかり、冷熱媒を設定温度まで冷却することができなくなった。冷凍機から供給される冷熱媒の温度は、最高でそれぞれ−2℃と−13℃となった。その結果、晶析器においてアクリル酸を十分に冷却することができなくなり、上記実施例では−10℃と−23℃での結晶化時間はそれぞれ30分間とすれば十分であったのに対して、事前処理を行わなかった比較例1では、十分な結晶化のためには−20℃での結晶化時間を倍の60分間にしなければならず、全体の生産性が低下してしまった。また、得られたアクリル酸の融解液を分析したところ、純度は96.2%に低下してしまっていた。
実施例2 アクリル酸の晶析精製の終了
(1) ストップ期I
上記実施例1(5)の定常期運転を繰り返した後、第一晶析器から停止作業に入った。具体的には、第一晶析器においてアクリル酸を融解して回収した。かかる回収の後では、第一晶析器に熱的負荷は無くなる。よって、アクリル酸を融解するために第一晶析器に供給していた+35℃の温熱媒は、融解操作後に−10℃の冷熱媒へ変更したが、この冷熱媒は冷凍機出口温度(−10℃)のままバッファータンクへ送られる。
また、第二晶析器へ供給していた−23℃の冷熱媒を+35℃の温熱媒に変更し、発汗操作と融解操作を開始した。
第三晶析器では、−10℃の冷熱媒を−23℃の冷熱媒に変更し、さらに結晶化を促進した。
以上の運転条件下では、−10℃の冷熱媒は利用されないが、その負荷は同一ではないものの、冷凍機には冷却負荷と加熱負荷の両方が課されていたことから、冷凍機は定格内で運転が可能であり、−23℃の冷熱媒と+35℃の温熱媒を安定的に供給することができた。
(2) ストップ期II
第二晶析器において、融解した精製アクリル酸を回収した。次いで、利用されなくなった−23℃の冷熱媒を、第一晶析器へ供給した。
第三晶析器においては、−23℃の冷熱媒を+35℃の温熱媒に変更し、発汗操作と融解操作を開始した。
以上の運転条件下では、−10℃と−23℃の冷熱媒は晶析器で利用されないため、晶析器を経ても温度は変化しない。その一方で、+35℃の温熱媒は晶析器へ熱を付与するために冷却され、冷却された温熱媒は冷凍機で再び+35℃まで加熱しなければならないことから、冷凍機には加熱負荷のみがかかることになる。
そこで、それまで−6〜−4℃と−22〜−16℃に調整してきた冷凍機に供給する冷媒の温度を、それぞれ−8.8〜−7.6℃と−22.2〜−20.3℃に下げた。それにより、冷熱媒の冷熱が晶析器で利用されない代わりに、バッファータンクに蓄熱された温熱が徐々に利用されるようになり、冷凍機へ最小限の冷却負荷を継続的に付与することが可能になる。なお、この際における冷凍機の合計の冷却負荷は、定常状態の20〜35%であった。
その結果、実際に晶析器で利用されるのは温熱媒のみであるにもかかわらず、冷凍機へ最小限の冷却負荷を継続的に付与することができ、発汗操作から融解操作を通じて冷凍機の加熱負荷を相殺することができるので、冷凍機を安定的に運転することができ、+35℃の温熱媒を安定供給することが可能となった。なお、発汗操作を経て精製されたアクリル酸の融解液を得るまで40分間を要したが、融解工程が完了するまでバッファータンクの緩衝能力の範囲内で、冷凍機に供給する冷熱媒と温熱媒の温度を所定範囲に維持することができた。
比較例2 アクリル酸の晶析精製の終了
上記実施例2(1)と同様の操作を行った後、冷凍機に供給する冷熱媒の温度の調節を行わなかった以外は上記実施例2(2)と同様にして、アクリル酸の晶析精製を終了した。
即ち、上記実施例2(2)において、冷凍機に供給する冷熱媒の温度をそれぞれ−6〜−4℃と−22〜−16℃に調整したままにしていた。第三晶析器における融解工程の開始から5分後に、−10℃と−23℃の冷熱媒用のバッファータンクで比較的温度の高い冷熱媒が消費されてしまい、冷凍機に供給される冷熱媒の温度がそれぞれ−10℃と−23℃となり、冷凍機の冷却負荷が無くなってしまった。よって、冷凍機は温熱媒を安定して供給できなくなり、冷凍機から供給される温熱媒温度は最低で+10℃まで低下した。
その結果、晶析器を十分に加熱できない状態となり、アクリル酸結晶は結晶状のまま晶析器に保持され、融解液を得るために多大な時間を要することとなった。
本発明方法によれば、冷熱媒と温熱媒を同時に供給できる冷凍機を用い、且つ複数の晶析器を使って(メタ)アクリル酸を晶析精製するに当たり、冷熱媒のみが利用されるスタート時においても冷熱媒の安定供給を可能にし、安定的な結晶化が可能になり、ひいては(メタ)アクリル酸の効率的な製造を維持できる。よって本発明方法は、(メタ)アクリル酸の工業的な大量生産に資するものとして、産業上極めて有用である。
また、本発明方法で製造される(メタ)アクリル酸は、品質が安定していることから、吸水性樹脂や水溶性樹脂などの親水性樹脂を製造するための単量体として用いた場合、重合反応の制御がし易くなり、ひいては親水性樹脂の品質が安定し、吸収性能や無機材料分散性などの各種性能が改善される。よって、本発明方法は、親水性樹脂の工業的な大量生産にも好適に適用可能であり、産業上極めて有用である。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリル酸を製造するための方法であって;
    少なくとも、(メタ)アクリル酸の結晶化工程と、当該結晶化工程で得られた(メタ)アクリル酸結晶の融解工程とを含み;
    2以上の晶析器を用い;
    上記結晶化工程と上記融解工程とを別の晶析器で並行して行う場合には、冷凍機より、(メタ)アクリル酸を結晶化するために結晶化工程を行う晶析器へ冷熱媒を供給し、また、(メタ)アクリル酸の結晶を融解するために融解工程を行う晶析器へ温熱媒を供給し;
    上記融解工程を行う前であって上記結晶化工程のみを行う場合には、上記結晶化工程のみを行う前において、冷凍機に供給する温熱媒の温度を上記融解工程用の設定温度より予め下げておくことを特徴とする方法。
  2. 上記結晶化工程を完了し融解工程のみを行う場合には、冷凍機の冷却負荷を上記結晶化工程用の冷却負荷より下げる請求項1に記載の方法。
  3. 上記結晶化工程のみを行う前において、冷凍機に供給する温熱媒の温度を上記融解工程用の設定温度より5℃以上、35℃以下予め低くしておく請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記融解工程のみを行う場合において、冷凍機の冷却負荷が冷凍機定格能力の10%以上、40%以下となるように設定する請求項2に記載の方法。
  5. さらに、グリセリンまたはβ−メチルグリセリンを脱水することにより(メタ)アクロレインを得る工程と、(メタ)アクロレインを酸化することにより(メタ)アクリル酸を得る工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. さらに、ヒドロキシプロピオン酸または2−メチルヒドロキシプロピオン酸を脱水することにより(メタ)アクリル酸を得る工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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