JP5578112B2 - 誘導加熱装置の冷却方法 - Google Patents

誘導加熱装置の冷却方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5578112B2
JP5578112B2 JP2011045391A JP2011045391A JP5578112B2 JP 5578112 B2 JP5578112 B2 JP 5578112B2 JP 2011045391 A JP2011045391 A JP 2011045391A JP 2011045391 A JP2011045391 A JP 2011045391A JP 5578112 B2 JP5578112 B2 JP 5578112B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bushing
induction heating
refractory
outer case
molten metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011045391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012180573A (ja
Inventor
元邦 板楠
英彰 曽根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2011045391A priority Critical patent/JP5578112B2/ja
Publication of JP2012180573A publication Critical patent/JP2012180573A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5578112B2 publication Critical patent/JP5578112B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Waste-Gas Treatment And Other Accessory Devices For Furnaces (AREA)
  • Furnace Details (AREA)

Description

本発明は、誘導炉に設置されているチャンネル型誘導加熱装置の冷却方法に関する。
高炉から出銑した溶融金属はトピードカー(混銑車)や溶銑鍋等を介して転炉(精錬炉)へ供給される。その際、高炉から出銑される溶融金属(以下では、「溶湯」と呼ぶこともある。)の量や転炉での溶鋼生産量の変動により転炉への溶湯供給条件が変動するため、誘導炉に溶湯を一旦貯蔵している。この誘導炉は、貯蔵されている溶湯の保熱及び加熱を行う誘導加熱装置を備えている。
誘導加熱装置には、ループ状の溶湯流路が形成されている。ループ状の溶湯流路(以下では、「湯道」と呼ぶこともある。)で囲まれた領域の中央部には、誘導加熱コイルが巻かれた鉄心が配置されている。誘導加熱コイルを1次回路、湯道を流れる溶湯を2次回路として変圧器回路を構成することにより溶湯の加熱が行われる。
チャンネル型(溝型)の湯道が形成されたチャンネル型(溝型)誘導加熱装置では、電力効率を上げるため、湯道に面する耐火物の厚みを必要最小限の厚みとし、誘導加熱コイルと湯道を可能な限り接近させている。その結果、湯道に面する耐火物の溶損又は亀裂等によって湯漏れが発生した場合、誘導加熱装置を覆う外装ケースや誘導加熱コイルが損傷し、さらに亀裂が成長して誘導加熱装置に付設されている水冷管に到達すると、冷却水と溶湯が反応して水蒸気爆発を誘発する危険性がある。
そのため、湯道に面する耐火物中に湯漏れ検知アンテナを埋め込んでおき、この湯漏れ検知アンテナと溶湯との間に電圧を印加して、耐火物を介して溶湯と湯漏れ検知アンテナとの間に流れる電流を監視することにより、湯漏れ(溶湯の漏洩)を検知することが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
湯漏れ検知システムの電気回路の場合、平常時は電気抵抗が大きいため、電流は殆ど流れていないが、湯漏れが発生すると、湯漏れ検知アンテナと湯道が短絡して回路が閉じることにより電流が流れ、湯漏れが検知される。このため、例えば湯漏れ検知アンテナから延出するリード線が破損切断等して湯漏れ検知システムに設備的な異常が発生した場合、これに気付かない危険性が高い。そこで、特許文献4では、湯漏れ検知アンテナ1基について2本以上のリード線を引き出しておくことにより、これらのリード線間で電流を導通させてリード線の断線の有無を判定するようにしている。
実開昭53−48231号公報 特開平9−133601号公報 特開2008−267758号公報 特開2008−170062号公報
上述したように、湯漏れ検知システムは、耐火物中に埋め込まれた湯漏れ検知アンテナと溶湯との間に電圧を印加することにより、耐火物を介して溶湯と湯漏れ検知アンテナの間に流れる電流を監視し、その電流値の挙動によって湯漏れを判定する。つまり、誘導炉内の溶湯と湯漏れ検知アンテナの間の電気抵抗値が、ある基準値を下回った場合に、湯漏れが発生したと判断するものである。
しかし、この電気抵抗値が低下する要因は湯漏れだけではなく、他の要因によって電気抵抗値が低下し、湯漏れが発生したと誤認する(湯漏れ誤検知)場合がある。具体的には、チャンネル型誘導加熱装置の印加電力を低出力状態(保熱操業)、即ちスクラップや型銑等の冷鉄源を溶解せず、溶湯を維持するのみの最低限の電力のみを印加している状態から高出力状態(加熱操業)、即ち誘導加熱装置の定格出力を用いて最大限の冷鉄源を溶解する状態に移行する際に、一時的に湯漏れ誤検知が起きることがある。
本発明者等は、後述するように、上記湯漏れ誤検知の原因がチャンネル型誘導加熱装置内で生じる結露が原因であることを発見した。そこで、本発明では、チャンネル型誘導加熱装置の冷却方法を改善することにより、保熱操業から加熱操業に移行する際に一時的に発生する湯漏れ誤検知を防止することを目的とする。
本発明者等は、保熱操業から加熱操業に移行する際に一時的に発生する湯漏れ誤検知が、誘導加熱装置内に存在する水分に起因していることを発見した。
誘導加熱装置内には、電力効率を上げるため、必要最小限の厚みとした耐火物を湯道に面して配置し、誘導加熱コイルと湯道を可能な限り接近させている。このため、湯道を構成する耐火物として、ドライスタンプ材(乾式ラミング材とも言う)と呼ばれる、水を添加しない粉粒状の不定形耐火物が適用されることが多い。ドライスタンプ材を適用すると、高温に曝される湯道の稼働面近傍が焼き固まって焼結体となり湯道壁面が形成される。一方、その背面はドライで未焼結な粉粒圧密体の状態が維持される。これにより、焼結体に亀裂が入り当該亀裂に溶湯が浸入(湯漏れの開始)しても、その溶湯の熱によって背面の粉粒圧密体が焼結し、それ以上の湯漏れの進展が阻止される。その結果、外装ケースに達するような湯漏れが回避される。
しかし、ドライスタンプ材を適用する場合でも、誘導加熱装置を構成する耐火物には微量の自由水や結晶水が含まれている。また、誘導加熱装置内には、誘導加熱装置の施工時に大気中に含まれていた水分が閉じ込められている。本発明者等は、これらの水分が湯道近傍の高温部で蒸発し、水冷構造とされている外装ケースやブッシング(湯道を形成する耐火物と誘導加熱コイルとの間に設けられる隔壁)の近傍で結露して付近の耐火物中に湿潤部を形成することにより、外装ケースと湯漏れ検知アンテナとの間の耐火物湿潤部を経由して電気抵抗値が低下することを発見した。
チャンネル型誘導加熱装置は出力(印加電力)が大きいため、外装ケース及びブッシングを水冷構造とし、誘導発熱から外装ケース及びブッシングを保護する場合が多い。一方、湯漏れ検知アンテナは、耐火物の背面近傍、即ち、外装ケース及びブッシングの近傍に埋設される場合が多い。ブッシング及び/又は外装ケースに誘導電流が流れることによるブッシング及び/又は外装ケースの異常発熱を防止するため、ブッシングは外装ケースから電気的に絶縁して設置されることが多いことから、特許文献3に記載のようにブッシング自体に湯漏れ検知アンテナの機能を兼用させる場合もある。
従って、チャンネル型誘導加熱装置が稼働中でも、湯漏れ検知アンテナの近傍は比較的低温が維持されており、チャンネル型誘導加熱装置の湯道を構成する耐火物の稼働面近傍から脱離した水蒸気が湯漏れ検知アンテナの近傍で結露し、外装ケースと湯漏れ検知アンテナとの間の電気抵抗値を低下させる。また、ブッシング自体に湯漏れ検知アンテナの機能を兼用させる場合、湯漏れ検知アンテナ自体を強力に冷却して多量に結露させることと等価となるため、湯漏れ検知アンテナ(即ちブッシング)と耐火物湿潤部の接触抵抗が低下し易くなる。その結果、湯漏れ検知アンテナ(即ちブッシング)と外装ケースの間の絶縁抵抗値が低下し易くなり、湯漏れ誤検知に至る傾向が強い。
一般に、溶湯排出口の耐火物稼働面から炉体鉄皮にかけて架橋するように付着する地金が存在し、該地金によって炉内溶湯と炉体鉄皮との間に電気的な導通が存在することが多い。また、外装ケースは炉体鉄皮にボルト・ナットを用いて強固に締結されるため、外装ケースと炉体鉄皮との間に電気的な導通が存在することが多い。即ち、外装ケースと誘導炉内の溶湯との間に電気的な導通が存在する場合が多い。そのため、外装ケースと湯漏れ検知アンテナとの間の電気抵抗値の低下と、溶湯と湯漏れ検知アンテナとの間の電気抵抗値の低下とが区別できず、湯漏れ誤検知が発生する。
特に、誘導炉を待機状態(保熱操業状態)からスクラップ溶解状態(加熱操業状態)へ移行させる過渡期においては、チャンネル型誘導加熱装置の印加電力が低出力状態から高出力状態へ移行し、チャンネル型誘導加熱装置の湯道を構成する耐火物の稼働面近傍の温度が大きく上昇する。これに伴って、湯道近傍の高温部から発生した水蒸気が湯漏れ検知アンテナの近傍で結露することにより、湯漏れ誤検知が発生する。但し、チャンネル型誘導加熱装置が高出力状態になると、外装ケース及びブッシングの温度も印加電力による発熱等によって上昇するため、概ね1〜6時間後には結露がなくなり、湯漏れ誤検知は解消される。
要するに、保熱操業から加熱操業に移行する際に一時的に発生する湯漏れ誤検知の原因は、チャンネル型誘導加熱装置が低出力状態から高出力状態へ移行して湯道温度が上昇するのに伴って、湯道稼働面近傍から蒸発した水分が、まだ温度上昇していない外装ケース及びブッシングの内面で結露することによるものである。また、高出力状態が続くと、外装ケース及びブッシングの温度も徐々に上昇するため、外装ケース及びブッシングの内面で結露した水分が再び蒸発することにより、湯漏れ誤検知が解消される。
チャンネル型誘導加熱装置に付設される冷却設備は、チャンネル型誘導加熱装置の定格出力に見合った冷却能力を発揮するように設計されるため、低出力状態では冷却過剰となっている。そこで、本発明では、チャンネル型誘導加熱装置の冷却方法を改善することにより、保熱操業から加熱操業に移行する際に一時的に発生する湯漏れ誤検知を防止する。
即ち、本発明は、溶融金属が流れるループ状の流路を形成する耐火物と、前記耐火物を被覆する外装ケースと、前記耐火物の内周面に内張りされたブッシングと、前記外装ケース及び前記ブッシングに付設された水冷管と、前記ブッシングで画成された空洞部の中央に配置された誘導加熱コイルと、前記耐火物中に埋設された湯漏れ検知アンテナとを備えるチャンネル型誘導加熱装置の冷却方法に関するものであって、
前記水冷管を流れる冷却水の温度が、前記冷却水と前記外装ケース及び前記ブッシングのそれぞれとが熱交換を開始する位置である、前記外装ケース及び前記ブッシングの各入口で40℃以上、且つ前記冷却水と前記外装ケース及び前記ブッシングのそれぞれとが熱交換を終了する位置である、前記外装ケース及び前記ブッシングの各出口で100℃未満であることを特徴としている。
一般に、チャンネル型誘導加熱装置の外装ケース及びブッシングを冷却する冷却設備では、印加電力の大小にかかわらず、チラー(冷却装置)の設定や冷却水の流量は一定とされている。このため、低出力状態では冷却過剰となっている。一方、低出力状態から高出力状態へ移行すると、外装ケース及びブッシングの近傍では露点が上昇するため、外装ケース及びブッシングの近傍温度が露点より低くなる。その結果、低出力状態から高出力状態へ移行する際に、外装ケース及びブッシングの近傍において結露が発生しやすくなる。
上記現象に対して、本発明では、外装ケース及びブッシングへ供給される冷却水の温度を制御し、低出力状態においても冷却水温度が40℃以上となるようにする。これにより、低出力状態から高出力状態へ移行する際も、外装ケース及びブッシングの近傍温度が露点より高い温度に維持され、結露の発生が抑制される。なお、冷却水の温度の上限値は沸点(100℃)未満としている。
本発明に係る誘導加熱装置の冷却方法では、外装ケース及びブッシングへ供給される冷却水の温度が低出力状態においても40℃以上となるように制御するので、外装ケース及びブッシングの近傍における結露の発生が抑制され、保熱操業から加熱操業に移行する際に一時的に発生する湯漏れ誤検知を防止することができる。
誘導炉の模式図である。 (A)はチャンネル型誘導加熱装置の平断面図、(B)はA−A矢視断面図である。 従来の誘導加熱装置の冷却方法を用いた時の外装ケース近傍における耐火物温度及び露点の温度分布を操業状態ごとに示したグラフである。 本発明の一実施の形態に係る誘導加熱装置の冷却方法を用いた時の外装ケース近傍における耐火物温度及び露点の温度分布を操業状態ごとに示したグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態に付き説明し、本発明の理解に供する。
溶湯(溶融金属)を貯蔵する誘導炉10は、図1に示すように、両端面が封止された円筒形状とされ、炉体の中心軸が水平となるように支持台26上に設置されている。誘導炉10は鉄皮で覆われており、鉄皮の内側には耐火物層が形成されている。
誘導炉10の両側面下部には、誘導炉10の中心軸方向に間隔をあけてチャンネル型誘導加熱装置11(以下では、単に「誘導加熱装置」と呼ぶ。)が複数設置されている(本実施の形態では、片側3基、計6基設置されている。)。また、誘導炉10の一方の側面には、スクラップを装入するためのスクラップ装入口12が、他方の側面には、溶湯を投入するための受銑口(図示省略)と溶湯を排出するための出銑口(図示省略)が設けられている。
各誘導加熱装置11は扁平な角柱状とされ(図2(B)参照)、誘導炉10の側面から外方に向けて突出するように設置されている。誘導加熱装置11は、溶湯が流れる流路13と、流路13に面して配置された耐火物18、19と、誘導加熱装置11を覆う鉄製の外装ケース17と、溶湯を加熱するための誘導加熱手段とを備え(図2(A)参照)、誘導炉10に貯蔵された溶湯の保熱及び加熱を行う。
流路13は平面視して略「山」の字状とされ、誘導加熱装置11の中心軸に沿って形成された中央流路14と、中央流路14を挟んで両側部に形成された一対の側部流路15と、中央流路14及び一対の側部流路15と連通する、誘導加熱装置11の先端部に形成された端部流路16とから構成されている。誘導炉10に貯蔵された溶湯は、中央流路14から誘導加熱装置11内に流入し、端部流路16で左右に分岐した後、一対の側部流路15から誘導炉10へ向けて流出するループ状の湯道とされている。
中央流路14と側部流路15との間に配置された耐火物19は平面視して「ロ」の字状とされ、耐火物19の内周面には銅製のブッシング20が内張りされている(図2(A)参照)。また、ブッシング20で画成された空洞部21の中央には、溶湯を加熱するための誘導加熱手段である誘導加熱コイル22が巻かれた鉄心23が配置されている。各空洞部21に配置された鉄心23は横架材24によって連結され、立面視して「ロ」の字状のヨークを構成している(図2(B)参照)。
誘導加熱コイル22に交流電流を流すことにより、鉄心23に磁束が発生する。この磁束が、流路13内を流れる溶湯からなる溶湯電路と鎖交することにより、溶湯電路内に誘導電流が発生し、この誘導電流によるジュール熱により溶湯が加熱される。一般に、1ターンの溶湯電路に発生する誘導電流は大電流となる。
耐火物18、19の溶損又は亀裂等による湯漏れ(溶湯の漏洩)を検知するため、外装ケース17に接する耐火物18には外装ケース17に沿って、またブッシング20に接する耐火物19にはブッシング20に沿って、それぞれ湯漏れ検知アンテナ25が埋設されている。流路13と外装ケース17及びブッシング20との距離、則ち耐火物18、19の厚さは各々100mm〜400mm程度である。
また、外装ケース17とブッシング20には、各々を冷却するための水冷管(図示省略)が付設されている。外装ケース17及びブッシング20が水冷ジャケットとなっていることが多い。誘導加熱装置11に付設される水冷設備は、誘導加熱装置11の定格出力に見合った冷却能力を発揮するように設計されるため、低出力状態では冷却過剰となっている。
次に、本発明の一実施の形態に係る誘導加熱装置の冷却方法について説明する。
耐火物18、19はドライスタンプ材あるいは乾式ラミング材と呼ばれる粉粒状の不定形耐火物で構成されており、耐火物18、19には微量の自由水や結晶水が含まれている。また、スタンプ材はランマーで打ち込み施工されるため、誘導加熱装置11の施工に伴って、大気中に含まれる水分が誘導加熱装置11内に閉じ込められることになる。大気中に含まれる水分は施工時季によって変化するため、誘導加熱装置11内に閉じ込められる水分量も施工時季によって変化するが、夏の室温・湿度と冬の室温・湿度の間、概ね温度5〜35℃、湿度40〜70%の大気に含まれる水分量と考えてよい。
上述したように、誘導加熱装置11内には必ず水分が存在しており、この不可避的に存在する水分が湯漏れ誤検知を誘発する。則ち、保熱操業から加熱操業に移行する際に、流路13の近傍から蒸発した水分が、まだ温度上昇していない外装ケース17及びブッシング20の近傍で結露して付近の耐火物中に湿潤部を形成する。その結果、外装ケース17と湯漏れ検知アンテナ25との間の耐火物湿潤部を経由して電気抵抗値が低下して湯漏れ誤検知が発生する。
これをさらに詳細に説明する。誘導加熱装置11では、流路13内の溶湯を二次コイルとして扱い、二次コイルに流れる電流によって発生するジュール熱によって溶湯を加熱するため、耐火物18、19は、流路13近傍が最も高温となり、水冷されている外装ケース17及びブッシング20に接する側が最も低温となる温度分布を示す。
誘導加熱装置11の出力を低出力状態から高出力状態へ移行させた場合、印加電力により流路13の温度が上昇する。これに伴って、耐火物18、19の温度分布が高温側へシフトするため、誘導加熱装置11内において水分が液体として存在可能な領域が減少し、耐火物18、19内の高温側から追い出された水分は外装ケース17及びブッシング20の内面近傍に集積して結露して付近の耐火物中に湿潤部を形成する。その結果、外装ケース17と湯漏れ検知アンテナ25との間の耐火物湿潤部を経由して電気抵抗値が低下して湯漏れ誤検知が発生する。
そこで、本実施の形態に係る誘導加熱装置の冷却方法では、水冷管を流れる冷却水の温度が、外装ケース17及びブッシング20の各入口(各水冷ジャケットの入口)で40℃以上、且つ外装ケース17及びブッシング20の各出口(各水冷ジャケットの出口)で100℃未満とする。
図3は、従来の誘導加熱装置の冷却方法を用いた際の外装ケース近傍における耐火物温度及び露点の温度分布を操業状態ごとに示したグラフである。なお、耐火物厚さは100〜400mm、溶湯温度は1300〜1500℃とし、実際に操業に使用されている範囲とした。また、炉体の放散熱量は温度によらず一定とした。
図中、A1の線は保熱操業時の耐火物温度を、Bの線は加熱操業時の耐火物温度を表している。また、C1の線は保熱操業から加熱操業に移行する過渡期の耐火物温度であって、出力の上昇速度が速い場合(0.1MW/分超)を表している。一方、A0の線は保熱操業時の露点を、B0は加熱操業時の露点を表している。また、C0は保熱操業から加熱操業に移行する過渡期の露点を表している。
図3より以下のことがわかる。
(a)外装ケース17が冷却されているため、外装ケース17に近づくほど耐火物温度が低くなっており、保熱操業時における外装ケース17(耐火物厚み0mm)の温度は30℃、加熱操業時における外装ケース17の温度は40℃である。保熱操業から加熱操業に移行すると、誘導加熱される流路13の溶湯温度が上昇し、タイムラグを伴って外装ケース17の温度も上昇を開始する。
(b)耐火物温度が100℃以上の領域では、耐火物中の吸着水が蒸発し、水分量が減少する。逆に、耐火物温度が100℃未満の領域は水分量が多い(露点が高い)。但し、耐火物は通気性を有しているため、水分量に大きな偏りは無いものと考えられる。
(c)加熱操業時は、保熱操業時に比べて100℃未満の領域が減少するため、100℃未満の領域の水分量(露点)が上昇する。則ち、保熱操業から加熱操業への移行に伴って、外装ケース17の近傍では露点が上昇する。
(d)耐火物温度が露点より低い場合、結露する可能性が高い。結露が発生すると、湯漏れ検知アンテナ25と外装ケース17との間の耐火物中に湿潤部が形成されるため、これを介することにより湯漏れ検知アンテナ25と外装ケース17の間の電気抵抗値が低下し、湯漏れ誤検知の原因となる。保熱操業から加熱操業に急速に移行すると、外装ケース17に近接する部位の耐火物温度が40℃へ上昇する前に当該部位の露点が上昇してしまう。このため、外装ケース17に近接する部位ではC1<C0となり、一時的に結露が発生して湯漏れ誤検知を引き起こす。
一方、図4は、本実施の形態に係る誘導加熱装置の冷却方法を用いた際の外装ケース近傍における耐火物温度及び露点の温度分布を操業状態ごとに示したグラフである。図中、A2の線は保熱操業時の耐火物温度を、C2の線は保熱操業から加熱操業に移行する過渡期の耐火物温度であって、出力の上昇速度が速い場合(0.1MW/分超)を表している。他の線は図3と同様である。また、試験条件も図3と同様である。
図4より以下のことがわかる。
(e)保熱操業から加熱操業に急速に移行した場合でも、外装ケース17に近接する部位の耐火物温度が常に40℃以上であるため、C2>C0となり、結露は発生しない。
なお、ブッシング20近傍においても図3及び図4と同様の現象が発生する。
ここで、本実施の形態に係る誘導加熱装置の冷却方法を実現する具体的なハードウェア構成について二通り挙げておく。
(1)冷却水の温度が40℃になった時点でチラーがOFF、冷却水の温度が100℃になった時点でチラーがONとなるように、サーモスタット等の温度調節器を用いてチラーをON/OFF制御する。
(2)冷却水の一部がチラーを迂回するバイパス経路を設けておく。冷却水の温度が40℃未満になった場合は、冷却水の一部がバイパス経路を流れるようにすることで、冷却水の温度が40℃以上となるようにする。
なお、冷却水の流量を抑えると、外装ケース17及びブッシング20の各出口における水温は高くなるが、外装ケース17及びブッシング20の各入口における水温は高くならない。即ち、外装ケース17及びブッシング20の各入口近傍において結露が発生するリスクが残る。但し、外装ケース17は30〜40mm、ブッシング20は10mm程度の厚みがあるため、その熱抵抗により、冷却水の流量制御のみでも湯漏れ検知アンテナ25近傍の耐火物温度を40℃以上に維持することが、条件次第で可能となる可能性はある。
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
10:誘導炉、11:チャンネル型誘導加熱装置(誘導加熱装置)、12:スクラップ装入口、13:流路、14:中央流路、15:側部流路、16:端部流路、17:外装ケース、18、19:耐火物、20:ブッシング、21:空洞部、22:誘導加熱コイル、23:鉄心、24:横架材、25:湯漏れ検知アンテナ、26:支持台

Claims (1)

  1. 溶融金属が流れるループ状の流路を形成する耐火物と、前記耐火物を被覆する外装ケースと、前記耐火物の内周面に内張りされたブッシングと、前記外装ケース及び前記ブッシングに付設された水冷管と、前記ブッシングで画成された空洞部の中央に配置された誘導加熱コイルと、前記耐火物中に埋設された湯漏れ検知アンテナとを備えるチャンネル型誘導加熱装置の冷却方法であって、
    前記水冷管を流れる冷却水の温度が、前記冷却水と前記外装ケース及び前記ブッシングのそれぞれとが熱交換を開始する位置である、前記外装ケース及び前記ブッシングの各入口で40℃以上、且つ前記冷却水と前記外装ケース及び前記ブッシングのそれぞれとが熱交換を終了する位置である、前記外装ケース及び前記ブッシングの各出口で100℃未満であることを特徴とする誘導加熱装置の冷却方法。
JP2011045391A 2011-03-02 2011-03-02 誘導加熱装置の冷却方法 Active JP5578112B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011045391A JP5578112B2 (ja) 2011-03-02 2011-03-02 誘導加熱装置の冷却方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011045391A JP5578112B2 (ja) 2011-03-02 2011-03-02 誘導加熱装置の冷却方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012180573A JP2012180573A (ja) 2012-09-20
JP5578112B2 true JP5578112B2 (ja) 2014-08-27

Family

ID=47012006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011045391A Active JP5578112B2 (ja) 2011-03-02 2011-03-02 誘導加熱装置の冷却方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5578112B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3623660A1 (de) * 1986-07-12 1988-01-14 Thyssen Stahl Ag Feuerfestes giessrohr
JP3147185B2 (ja) * 1991-10-03 2001-03-19 株式会社木村鋳造所 鋳鉄溶解用誘導炉
JPH08257739A (ja) * 1995-03-22 1996-10-08 Nippon Steel Corp 溶湯の誘導加熱装置
JPH09145266A (ja) * 1995-11-22 1997-06-06 Toyota Motor Corp 高周波溶解炉
JP3022764B2 (ja) * 1996-03-18 2000-03-21 東京窯業株式会社 誘導炉用センサ
JP2005003286A (ja) * 2003-06-12 2005-01-06 Nissei Ltd 溶融炉の出湯装置
JP2004061033A (ja) * 2002-07-30 2004-02-26 Nissei Ltd 溶融炉の出湯装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012180573A (ja) 2012-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2015150290A (ru) Электромагнитная индукционная печь и ее использование для расплавления смеси металла (металлов) и оксида (оксидов), представляющей собой кориум
JP5745588B2 (ja) 誘導加熱炉用坩堝
JP5578112B2 (ja) 誘導加熱装置の冷却方法
US2286481A (en) Induction furnace
JP2013508252A (ja) 多結晶半導体材料、特にシリコンを取得する装置及び該装置内の温度を制御するための方法
JP5578111B2 (ja) 溶融金属の誘導加熱昇温方法
KR20130076931A (ko) 변압기
JP5445744B2 (ja) 三相交流電極式円形電気炉とその炉体の冷却方法
JP6380990B2 (ja) スラグ凝固層厚が調整された電気炉及びこれを用いた金属製錬方法
JP5747286B2 (ja) 三相交流電極式円形電気炉の冷却方法及びその三相交流電極式円形電気炉
JP2005205479A (ja) はんだ付け装置
JP4912758B2 (ja) 三相交流電極式円形電気炉とその冷却方法
JP2014105348A (ja) フェロニッケル製錬用電気炉の操業方法
CN102802293A (zh) 具有不需要冷却的感应线圈
KR101517377B1 (ko) 내구성을 가진 고온용융물 온도 측정 장치
CN202885526U (zh) 一种中频无芯感应排放阀
JP5309282B2 (ja) 誘導加熱溶解装置
CN105135883A (zh) 一种中频炉高温烧结用隔热工装
US6208682B1 (en) Channel inductor and melt furnace comprising such channel inductor
JP3480786B2 (ja) 誘導溶解炉の湯漏れ検出装置
JP2007253230A (ja) ダイカストマシン用高周波誘導加熱装置
JPH0682171A (ja) るつぼ形誘導炉
CN217275613U (zh) 一种排放-截止一体式排渣口
KR20140110318A (ko) 배출장치 및 배출관
KR20130061358A (ko) 비수냉 코일을 이용한 고주파 유도가열방법 및 이를 이용한 고주파 유도로

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140401

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140610

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140623

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5578112

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350