以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。図1に示す制御装置1は、例えばフレンドマチック車に搭載され、運転者の運転補助を行う装置である。図1に示すように、制御装置1は、LED(Light Emitting Diode)制御部2と、EEG(Electroencephalogram)制御部3と、スイッチ制御部4と、制御部(制御対象制御手段)5と、電装品制御部6とを備えている。制御装置1は、車両を運転する運転者の脳波を検出し、検出された脳波に基づいて車両に搭載される電装系の機器(電装品:制御対象)を制御する装置である。より詳細には、制御装置1は、BMI(Brain-machine Interface)においてSSVEP(Steady-State Visual Evoked Potential:定常視覚刺激誘発電位)を利用して、電装品を制御する。SSVEPは、定常的な視覚刺激により脳の視覚野に現れる電位(脳波)である。
図2は、SSVEPを説明する図である。図2に示すように、SSVEPは、所定の周波数(数Hz〜数十Hz)で点滅している光源(視覚刺激)Kに対して、被験者Hが視線及び意識を向けることにより生じる網膜視細胞の興奮が視覚伝道路を経て大脳視覚野(後頭部)に達し、その結果として大脳視覚野にて生じる反応波である。視覚刺激を所定の周波数(例えば、4Hz以上)で被験者Hに与えると、刺激に同期した反応波が得られるようになる。この状態は、大脳が恒常状態(Steady-State)に達したことを意味する。
図1に戻って、LED制御部2は、LED輝度調整手段(点滅光源制御手段)21と、LED制御手段22とを有している。LED制御手段22には、複数(ここでは5個)のLED発光部(点滅光源手段)8が接続されている。LED発光部8は、それぞれ数Hzから数十Hzの異なった周波数で発振しており、最低でも1Hzの差を有している。LED発光部8は、発光装置(点滅光源手段)7を構成している。なお、LED発光部8には、癲癇の誘因となる10Hzの周波数を有するものは存在していない。
LED輝度調整手段21は、LED発光部8の輝度を調整する部分である。LED輝度調整手段21には、体温センサ23と、照度センサ24とが接続されている。体温センサ23は、運転者(対象者)の体温を検出するセンサであり、検出した体温を示す体温情報をLED輝度調整手段21に出力する。照度センサ24は、車両の運転室内周辺の照度を検出するセンサであり、検出した室内周辺の輝度を示す輝度情報をLED輝度調整手段21に出力する。
LED輝度調整手段21は、体温センサ23から出力された体温情報、及び照度センサ24から出力された照度情報を受け取ると、これら情報に基づいてLED発光部8の輝度を調整する。LED発光部8が設けられる車両の室内では、環境(時間、天候等)によって運転席の照度が大きく変化するため、周辺照度に対するLED発光部8のコントラストも変化する。図3(a)に示すように、LED発光部8の光源輝度が一定である場合、周辺照度が変化すると、周辺照度が高いときにはLED発光部8を認識することが難しくなる一方、周辺照度が低いときにはLED発光部8がまぶしいため煩わしく、運転者が選択的な注意を向けることが難しくなる。
このような運転席の照度の変化に応じて、運転者がLED発光部8からの発光を視認できる明るさ(コントラスト)が変化するため、運転者のSSVEPが不安定となることがある。図3(b)に示すように、コントラストC(=LED輝度−周辺輝度)が「0」以下の場合では、LED発光部8の発光よりも周辺の方が明るいため、LED発光部8の点滅による視細胞の興奮を得ることができず、SSVEPが発生しない。一方で、コントラストCが「α2」以上の場合では、視細胞数の上限にて興奮しているため、SSVEPも飽和する。
そこで、LED輝度調整手段21では、照度センサ24から出力された照度情報に基づいて、LED発光部8の輝度を調整する。具体的には、LED輝度調整手段21は、図4に示す関係に基づいてLED発光部8の輝度を調整する。図4に示すように、LED輝度調整手段21は、例えばコントラストCが「0」以下(C≦0)の場合には、周辺照度以上の輝度となる「CD1(定数)」となるように、LED発光部8の輝度を調整する。
より具体的なLED発光部8の輝度調整について、図5を参照しながら説明する。図5(a)に示すように、LED発光部8は、例えばLED10が4×4列の計16個配置されて構成されている。LED輝度調整手段21は、16個のLED10のうち、設定された輝度となるように点滅させるLED10の個数を設定する。LED輝度調整手段21は、周辺照度とLED発光部8とのコントラストを算出し、図6及び図7に示す関係に基づいてLED10の発光個数を選択することでLED10の輝度を設定する。コントラストは、運転席の周辺照度に定数Kc(=0.0573cd/m2)を乗算して輝度に換算して算出する。LED輝度調整手段21は、例えばコントラストCが「α2」以上(C≧α2)である場合には、図5(b)に示すように、16個のLED10のうち、真中に配置された4個のLED10を点滅させるLEDとして設定する。なお、図6において、「INT{}」は、整数を求める関数を示しており、小数点以下を切り下げる。また、「KD1」は、LED10の1個あたりの輝度を示している。
また、LED輝度調整手段21は、体温センサ23から出力された体温情報に基づいて、点滅させるLED10の個数を設定する。制御装置1が配置されるフレンドマチック車の運転者の中には、頚髄を損傷している運転者がいる。頚髄を損傷している場合、汗をかく、鳥肌を立てる、血管を収縮・拡張させるといった自立神経系の調整が機能しないことあるため、体温調整が困難となり、また、体温の上昇に気付きにくいことがある。
そこで、運転者に意図的に室温調整を促がして体温を適切に保つために、LED輝度調整手段21は、体温情報がT1<T<T2の関係を満たさない場合には、他の電装品よりもA/C(空調機器)13に対応するLED発光部8の輝度が高くなるようにLED10の個数を設定する。具体的には、図8に示すように、体温情報が示す体温が上記T1<T<T2(T1,T2は定数)の範囲内にない場合には、輝度が高くなるようにLED10の数を設定する。一方、LED輝度調整手段21は、体温情報が示す体温TがT1<T<T2の場合には、照度情報に基づいて設定された通常の輝度となるようにLED10の発光個数を設定する。LED輝度調整手段21は、設定したLED10の点滅個数を示す点滅情報をLED制御手段22に出力する。なお、上記のT1,T2は、任意に設定される値であり、実験データ等を基に設定されている。
LED制御手段22は、LED10の点滅制御を行う部分である。LED制御手段22は、LED輝度調整手段21から出力された点滅情報を受け取ると、点滅情報に応じた個数のLED10を点滅させるように、LED発光部8を制御する。なお、LED制御手段22は、後述するスイッチ制御部4のシステム開始スイッチ41において、制御装置1を起動させない状態(OFF)に設定されている場合には、LED発光部8の制御を実施しない。
発光装置7は、例えば略直方体状を呈しており、車両の室内において、運転者が前方を向いている状態において視界に入る位置(例えば、ダッシュボード上等)に設置されている。発光装置7には、LED発光部8が複数内蔵されており、LED発光部8が発光した光を運転者に対して表示する発光部位71が設けられている。図9は、発光装置の発光部位を示す図である。図9に示すように、発光部位71は、LED発光部8が対応付けられた電装品を表すように異なる形状を呈している。具体的には、例えばLED発光装置7の発光部位71は、図示左側から、ワイパー11、ヘッドランプ12、A/C13、ハザード14、オーディオ15の順に配置されている。発光部位71は、透光性を有する部材にて形成されている。なお、発光部位71は、図9に示すような電装品のイラスト及び文字の組み合わせであってもよいし、イラストだけであってもよい。
図1に戻って、EEG制御部3は、脳波計測手段(脳波検出手段)31と、信号解析手段32と、制御コマンド生成手段33とを有している。
脳波計測手段31は、運転者(被験者)の脳波を計測する部分である。脳波計測手段31には、複数(ここでは12本)のEEGセンサ34が接続されている。EEGセンサ34は、脳波を検出するためのセンサであり、国際10−20法に従って配置されている。具体的には、EEGセンサ34は、F3,Fz,F4,C3,Cz,C4,P3,Pz,P4,O1,Oz,O2の全てを配置するか、その一部の組み合わせとして、例えばCz,Pz,O1,Oz,O2の5極を配置する。なお、F3は左前頭部、Fzは正中前頭部、F4は右前頭部、C3は左中心部、Czは正中中心部、C4は右中心部、P3は左頭頂部、Pzは正中頭頂部、P4は右頭頂部、O1は左後頭部、Ozは後頭中央部、O2は右後頭部である。
脳波計測手段31は、EEGセンサ34にて検出されたLED発光部8の点滅を見た運転者の脳波データを計測し、脳波データをフィルタリングすると共に、フィルタリング後の脳波データを増幅する機能(手段)を有している。脳波計測手段31では、微弱な脳波データにおいてノイズとなる商用周波数(50,60Hz)を減衰させるフィルタと、100Hz以下の周波数を通過させるローパスフィルタとにより脳波データをフィルタリングする。脳波計測手段31は、データ処理した脳波データを信号解析手段32に出力する。
信号解析手段32は、脳波データからSSVEPを抽出する部分である。信号解析手段32は、脳波計測手段31から出力された脳波データを受け取ると、この脳波データからSSVEPを検出する。信号解析手段32は、脳波データにおいて、ワイパー11に対応するLED発光部8に応じたSSVEPである周波数f1、ヘッドランプ12に対応するLED発光部8に応じたSSVEPである周波数f2、A/C13に対応するLED発光部8に応じたSSVEPである周波数f3、ハザード14に対応するLED発光部8に応じたSSVEPである周波数f4、オーディオ15に対応するLED発光部8に応じたSSVEPである周波数f5のいずれかの周波数を検出する。
具体的には、信号解析手段32は、FFT(Fast Fourier Transform)解析により求めた周波数の信号強度(パワースペクトル:PS)が予め設定されたそれぞれの閾値を超えた場合に、周波数f1〜f5のいずれかであるとする。信号解析手段32は、検出した周波数f1〜f5に対応する周波数信号を制御コマンド生成手段33に出力する。なお、信号解析手段32では、脳波データにおいて微弱信号を検出するために、パワースペクトルの他に、クロスバイスペクトル(CBS)解析法、コヒーレンス(Coh)解析法を用いてもよい。
制御コマンド生成手段33は、検出された周波数に応じてコマンドを生成する部分である。制御コマンド生成手段33は、信号解析手段32から出力された周波数信号を受け取ると、この周波数信号が示す電装品を特定し、その電装品の動作を指示するコマンドを制御部5に出力する。具体的には、図10を参照しながら説明する。図10は、周波数と電装品の制御内容との関係を示す図である。図10に示すように、制御コマンド生成手段33は、信号解析手段32から出力された周波数信号が例えば周波数f1を示している場合には、制御すべき電装品がワイパー11であると特定し、ワイパー11の動作を指示するコマンドを制御部5に出力する。
図1に戻って、スイッチ制御部4は、各種スイッチ41〜46の制御を行う部分である。スイッチ制御部4は、制御装置1の起動・終了を設定するシステム開始スイッチ41、ワイパー11の制御をオフに設定するワイパーOFFスイッチ42、ヘッドランプ12の制御をオフに設定するヘッドランプOFFスイッチ43、A/C13の切替をオフに設定するA/C切替OFFスイッチ44、ハザード14の制御をオフに設定するハザードOFFスイッチ45、及びオーディオ15の切替をオフに設定するオーディオ切替OFFスイッチ46とを有している。各スイッチ41〜46は、例えば運転者によって操作されることで、スイッチングされる。各スイッチ41〜46は、スイッチ状態を示すスイッチ状態信号を制御部5に出力する。
制御部5は、電装品制御部6の制御を行う部分である。制御部5は、EEG制御部3から出力されたコマンドと、スイッチ制御部4から出力されたスイッチ状態信号とを受け取ると、コマンド及びスイッチ状態信号に基づいて電装品制御部6の制御を行う。制御部5は、EEG制御部3から出力されたコマンドにおいて、スイッチ制御部4にてコマンドに該当する電装品の状態信号が「ON」状態を示している場合には、コマンドが示す電装品の動作を指示する動作信号を後述する電装品制御部6のワイパー制御手段61、ヘッドランプ制御手段62、A/C切替手段63、ハザード制御手段64及びオーディオ切替手段65のいずれかに出力する。
電装品制御部6は、ワイパー制御手段61と、ヘッドランプ制御手段62と、A/C切替手段63と、ハザード制御手段64と、オーディオ切替手段65とを有している。ワイパー制御手段61には、ワイパー11を制御するアクチュエータ(モータ)等が接続されている。ワイパー制御手段61は、制御部5から出力された動作信号を受け取ると、動作信号に応じてワイパー11を制御する。具体的には、ワイパー制御手段61は、ウォッシャ液の噴出、INT(INTERVAL)、Lo、Hiの順に制御を行うようにワイパー11を制御する。ワイパー11の停止は、車両を停止した際に、運転者が既存のスイッチを操作することによって実施される。これにより、コマンド数を低減すると共に精度が向上し、運転中の負担の軽減が図られる。
ヘッドランプ制御手段62には、ヘッドランプ12が接続されている。ヘッドランプ制御手段62は、制御部5から出力された動作信号を受け取ると、動作信号に応じてヘッドランプ12を制御する。具体的には、ヘッドランプ制御手段62は、動作信号に応じて任意にヘッドランプ12を点灯させるようにヘッドランプ12を制御する。
A/C切替手段63には、A/C(エアコン)13が接続されている。A/C切替手段63は、制御部5から出力された動作信号を受け取ると、動作信号に応じてA/C13の切り替えを制御する。具体的には、A/C切替手段63は、A/C13のオン、事前設定位置、デフォッガー切替の順に制御を行うようにA/C13を制御する。
ハザード制御手段64には、ハザード14が接続されている。ハザード制御手段64は、制御部5から出力された動作信号を受け取ると、動作信号に応じて任意にハザード14を点灯させるようにハザード14を制御する。
オーディオ切替手段65には、オーディオ15が接続されている。オーディオ切替手段65は、制御部5から出力された動作信号を受け取ると、動作信号に応じてオーディオ15を制御する。具体的には、オーディオ切替手段65は、オーディオ15のオン、事前設定位置、交通情報等にチャンネル切替の順に制御を行うようにオーディオ15を制御する。なお、ワイパー11と同様に、ヘッドランプ12、A/C13、ハザード14及びオーディオ15の停止や調整は、運転者が停止時に行う。
続いて、制御装置1の動作について説明する。図11は、制御装置の動作を示すフローチャートである。
図11に示すように、エンジンが始動されると、まずシステム開始スイッチ41が「ON」であるか否かが判定される(ステップS1)。システム開始スイッチ41が「ON」であると判定された場合には、ステップS2に進む。一方、システム開始スイッチ41が「ON」であると判定されなかった場合には、各種電装品の制御が「OFF」に設定され(ステップS3)、ステップS1の処理に戻る。
ステップS2では、ワイパーOFFスイッチ42が「ON」であるか否かが判定される。ワイパーOFFスイッチ42が「ON」であると判定された場合には、ステップS4に進む。一方、ワイパーOFFスイッチ42が「ON」であると判定されなかった場合には、ワイパー11の制御が「OFF」に設定される(ステップS5)。
ステップS4では、ヘッドランプOFFスイッチ43が「ON」であるか否かが判定される。ヘッドランプOFFスイッチ43が「ON」であると判定された場合には、ステップS6に進む。一方、ヘッドランプOFFスイッチ43が「ON」であると判定されなかった場合には、ヘッドランプ12の制御が「OFF」に設定される(ステップS7)。
ステップS6では、A/C切替OFFスイッチ44が「ON」であるか否かが判定される。A/C切替OFFスイッチ44が「ON」であると判定された場合には、ステップS8に進む。一方、A/C切替OFFスイッチ44が「ON」であると判定されなかった場合には、A/C13の切替制御が「OFF」に設定される(ステップS9)。
ステップS8では、ハザードOFFスイッチ45が「ON」であるか否かが判定される。ハザードOFFスイッチ45が「ON」であると判定された場合には、ステップS10に進む。一方、ハザードOFFスイッチ45が「ON」であると判定されなかった場合には、ハザード14の制御が「OFF」に設定される(ステップS11)。
ステップS10では、オーディオ切替OFFスイッチ46が「ON」であるか否かが判定される。オーディオ切替OFFスイッチ46が「ON」であると判定された場合には、ステップS12に進む。一方、オーディオ切替OFFスイッチ46が「ON」であると判定されなかった場合には、オーディオ15の切替制御が「OFF」に設定される(ステップS13)。
ステップS12では、周波数f1〜f5にて発光(発振)するように各LED発光部8(LED10)の制御がLED制御手段22によって行われる。そして、LED発光部8の輝度制御の処理がLED制御部2において行われる(ステップS14)。
LED制御部2の制御処理について図12を参照しながら説明する。図12は、LED制御部の動作を示すフローチャートである。
図12に示すように、LED発光部8の輝度制御の処理では、まずコントラストの計算がLED輝度調整手段21にて行われる(ステップS21)。コントラストCは、照度センサ24にて検出された周辺照度に定数Kcを乗じて輝度に換算し、この輝度をLED発光部発光部の輝度から引くことで求められる(コントラストC=LED発光部の輝度−周辺照度×Kc)。
次に、LED発光部8において点滅させるべき輝度がLED輝度調整手段21にて算出される(ステップS22)。具体的には、図6に示す表に基づいて、計算されたコントラストに応じて点滅させるLED10の個数が設定される。続いて、体温センサ23にて検出された運転者の体温に基づいて、A/C13に対応するLED発光部8の輝度がLED輝度調整手段21にて設定される(ステップS23)。運転者の体温TがT1<T<T2の関係を満たしている場合には、図6に示す表に基づいて輝度が設定される。一方、運転者の体温TがT1<T<T2の関係を満たしていない場合には、図8に示すように、他の電装品よりもA/C13に対応するLED発光部8の輝度が高くなるように設定される。
そして、LED輝度調整手段21によって設定された輝度に基づいて、LED制御手段22によって各LED発光部8のLED10の発光が制御される(ステップS24)。
図11に戻って、LED制御部2において輝度制御の処理が行われると、制御実行処理が行われる(ステップS15)。図13は、制御実行処理を示すフローチャートである。
図13に示すように、制御実行処理では、まずEEGセンサ34にて検出された運転者の脳波が脳波計測手段31にて計測される(ステップS31)。次に、計測された脳波の周波数(f0)及び振幅(f0A)が信号解析手段32にて解析される(ステップS32)。そして、例えば図14に示すように、解析された周波数付近のピーク(fp)が抽出される(ステップS33)。図14においては、16Hzのピークが抽出されている。
続いて、抽出されたピーク(fp)が周波数f1と同じ(fp=f1)であるか否かが制御コマンド生成手段33にて判定される(ステップS34)。fp=f1であると判定された場合には、ワイパー11の制御処理が行われる(ステップS35)。一方、fp=f1であると判定されなかった場合には、ステップS36に進む。
ワイパー11の制御処理について、図15を参照しながら説明する。図15は、ワイパーの制御処理を示すフローチャートである。
図15に示すように、ワイパー11の制御処理においては、まず周波数f1の信号強度f1Aがワイパー11の制御開始のための閾値f1th以上(f1A≧f1th)であるか否かが判定される(ステップS51)。f1A≧f1thであると判定された場合には、ステップS52に進む。一方、f1A≧f1thであると判定されなかった場合には、処理が終了する。
ステップS52では、ワイパー11が現在オフ状態であるか否かが判定される。ワイパー11がオフ状態であると判定された場合には、ワイパー11の「INT」制御がワイパー制御手段61にて開始される(ステップS53)。一方、ワイパー11がオフ状態であると判定されなかった場合には、ワイパー11が現在「INT」となっているか否かが判定される(ステップS54)。ワイパー11が「INT」となっていると判定された場合には、ワイパー11の「Lo」制御がワイパー制御手段61にて開始される(ステップS55)。一方、ワイパー11が「INT」となっていると判定されなかった場合には、ワイパー11が現在「Lo」となっているか否かが判定される(ステップS56)。ワイパー11が「Lo」となっていると判定された場合には、ワイパー11の「Hi」制御がワイパー制御手段61にて開始される(ステップS57)。一方、ワイパー11が「Lo」となっていると判定されなかった場合には、処理が終了する。以上により、ワイパー11の制御処理が終了する。
図13に戻って、ステップS36では、抽出されたピーク(fp)が周波数f2と同じ(fp=f2)であるか否かが制御コマンド生成手段33にて判定される。fp=f2であると判定された場合には、ヘッドランプ12の制御処理が行われる(ステップS37)。一方、fp=f2であると判定されなかった場合には、ステップS38に進む。
ヘッドランプ12の制御処理について、図16を参照しながら説明する。図16は、ヘッドランプの制御処理を示すフローチャートである。
図16に示すように、ヘッドランプ12の制御処理においては、まず周波数f2の信号強度f2Aがヘッドランプ12の制御開始のための閾値f2th以上(f2A≧f2th)であるか否かが判定される(ステップS61)。f2A≧f2thであると判定された場合には、ステップS62に進む。一方、f2A≧f2thであると判定されなかった場合には、処理が終了する。
ステップS62では、ヘッドランプ12が現在オフ状態であるか否かが判定される。ヘッドランプ12がオフ状態であると判定された場合には、ヘッドランプ12の「ON」制御がヘッドランプ制御手段62にて開始される(ステップS63)。一方、ヘッドランプ12がオフ状態であると判定されなかった場合には、処理が終了する。以上により、ヘッドランプ12の制御処理が終了する。
図13に戻って、ステップS38では、抽出されたピーク(fp)が周波数f3と同じ(fp=f3)であるか否かが制御コマンド生成手段33にて判定される。fp=f3であると判定された場合には、A/C13の制御処理が行われる(ステップS39)。一方、fp=f3であると判定されなかった場合には、ステップS40に進む。
A/C13の制御処理について、図17を参照しながら説明する。図17は、A/Cの制御処理を示すフローチャートである。
図17に示すように、A/C13の制御処理においては、まず周波数f3の信号強度f3AがA/C13の制御開始のための閾値f3th以上(f3A≧f3th)であるか否かが判定される(ステップS71)。f3A≧f3thであると判定された場合には、ステップS72に進む。一方、f3A≧f3thであると判定されなかった場合には、処理が終了する。
ステップS72では、A/C13が現在オフ状態であるか否かが判定される。A/C13がオフ状態であると判定された場合には、A/C13の「ON」制御がA/C切替手段63にて開始され(ステップS73)、その後に、デフォッガーに切り替える制御を行われる(ステップS74)。一方、A/C13がオフ状態であると判定されなかった場合には、デフォッガーであるか否かが判定される(ステップS75)。デフォッガーであると判定された場合には、処理を終了する。一方、デフォッガーであると判定されなかった場合には、ステップS74に進む。以上により、A/C13の制御処理が終了する。
図13に戻って、ステップS40では、抽出されたピーク(fp)が周波数f4と同じ(fp=f4)であるか否かが制御コマンド生成手段33にて判定される。fp=f4であると判定された場合には、ハザード14の制御処理が行われる(ステップS41)。一方、fp=f4であると判定されなかった場合には、ステップS42に進む。
ハザード14の制御処理について、図18を参照しながら説明する。図18は、ハザードの制御処理を示すフローチャートである。
図18に示すように、ハザード14の制御処理においては、まず周波数f4の信号強度f4Aがハザード14の制御開始のための閾値f4th以上(f4A≧f4th)であるか否かが判定される(ステップS81)。f4A≧f4thであると判定された場合には、ステップS82に進む。一方、f4A≧f4thであると判定されなかった場合には、処理が終了する。
ステップS82では、ハザード14が現在オフ状態であるか否かが判定される。ハザード14がオフ状態であると判定された場合には、ハザード14の「ON」制御がハザード制御手段64にて開始される(ステップS83)。一方、ハザード14がオフ状態であると判定されなかった場合には、処理が終了する。以上により、ハザード14の制御処理が終了する。
図13に戻って、ステップS42では、抽出されたピーク(fp)が周波数f5と同じ(fp=f5)であるか否かが制御コマンド生成手段33にて判定される。fp=f5であると判定された場合には、オーディオ15の制御処理が行われる(ステップS43)。一方、fp=f5であると判定されなかった場合には、ステップS31に戻って処理を繰り返す。
オーディオ15の制御処理について、図19を参照しながら説明する。図19は、オーディオの制御処理を示すフローチャートである。
図19に示すように、オーディオ15の制御処理においては、まず周波数f5の信号強度f5Aがオーディオ15の制御開始のための閾値f5th以上(f5A≧f5th)であるか否かが判定される(ステップS91)。f5A≧f5thであると判定された場合には、ステップS92に進む。一方、f5A≧f5thであると判定されなかった場合には、処理が終了する。
ステップS92では、オーディオ15が現在オフ状態であるか否かが判定される。オーディオ15がオフ状態であると判定された場合には、オーディオ15の「ON」制御がオーディオ切替手段65にて開始され(ステップS93)、その後に、交通情報チャンネルに切り替える制御が行われる(ステップS94)。一方、オーディオ15がオフ状態であると判定されなかった場合には、交通情報チャンネルであるか否かが判定される(ステップS95)。交通情報チャンネルであると判定された場合には、処理を終了する。一方、交通情報チャンネルであると判定されなかった場合には、ステップS94に進む。以上により、オーディオ15の制御処理が終了する。以上により、オーディオ15の制御処理が終了する。
図20は、上述した制御装置における制御部の構成を示す図である。図20に示すように制御部5は、複数のAND回路100にて構成されており、EEG制御部3の制御コマンド生成手段33と、スイッチ制御部4の各スイッチ41〜46とがそれぞれ接続されている。AND回路100では、入力信号において「ON=“1”」、「OFF=“0”」となっている。EEG制御部3の制御コマンド生成手段33は、電装品の制御が選択された場合に、制御部5の該当するAND回路100に「1」を出力する。また、スイッチ制御部4の各スイッチ41〜46は、スイッチが「ON」状態の場合に、制御部5の該当するAND回路100に「1」を出力する。制御部5では、制御コマンド生成手段33及び各スイッチ41〜46からの出力がいずれも「1」である場合に、電装品制御部6の各手段61〜65のいずれかに「ON」を示す「1」の出力信号を出力する。
以上説明したように、制御装置1では、発光装置7において、発光部位71がそれぞれ異なる形状を呈している。これにより、運転者の注意を意図する電装品に向け易くすることができ、運転中であっても意図する電装品を良好に制御することができる。また、LED発光部8の輝度を周辺照度よりも高くすることにより、周辺照度の影響を受けにくくなり、運転者がLED発光部8(発光部位71)を良好に視認できる。これにより、脳波を安定的に検出することができるため、誤制御を防止できる。以上のように、制御装置1では、操作性の向上を図ることができる。
また、運転中に運転補助装置(フレンドマチック)を使った状態で電装品を操作できるため、運転者が運転に集中することができ、安全性の向上を図ることができる。また、運転者のLED発光部8の認識度合によっては、車両の進行方向から目を離すことなく電装品の操作が可能となる。
また、SSVEPの特性により、脳波のキャリブレーション(校正)が不要なため、装置構成を簡易化することができる。その結果、装置の小型化やコストの低減を図ることができる。
また、電装品の制御のオン・オフを切り替えるシステム開始スイッチ41を備えているため、制御装置1を使用しない運転者が運転する際に、制御対象の不要な動作や誤作動を防止することができる。また、各電装品に対応するスイッチ42〜46を設けることにより、運転者の残存機能や体調等の状態によって制御対象である電装品を選択することができる。
また、脳波計測手段31は、脳波データをフィルタリングすると共に、フィルタリング後の脳波データを増幅する機能を有している。脳波は微少な信号であるため、フィルタリングや増幅を行うことで、不要な周波数帯域を減衰させることができ、より良好に脳波を計測することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、LED発光装置7の発光部位71を、制御対象となる電装品を表す形状としていが、発光部位71の形状はこれに限定されない。発光部位71は、それぞれが異なる形状を呈していればよく、例えば、四角形状、三角形状、円形状、六角形状、十字形状等であってもよい。
また、上記実施形態では、LED発光部8を5つとしているが、LED発光部8の設置数はこれに限定されない。LED発光部8の設置数は、制御対象となる電装品の数によって設定されている。そのため、LED発光部8は、制御したい電装品の数に応じて適宜設定されればよい。また、LED発光部8を構成するLED10の数も、上記の16個に限定されず、設計に応じて適宜設定される。
また、上記実施形態では、発光装置7にLED発光部8が内蔵されているが、LED発光部8が個別に設けられてもよい。つまり、LED発光部8は、発光部位71を有するケース等にそれぞれ収納されてもよい。また、LED発光部8をインパネ等に埋め込んで配置する構成であってもよい。要は、LED発光部8の発光部位71がそれぞれ異なる形状であれば、LED発光部8の設置形態はどのような様態であってもよい。