JP5574881B2 - 固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Description
その一例として、特許文献1には、組成物La1-xSrxMnO3〔ただし、0<x≦0.5〕100重量部に対し、Si,Ti,Fe,Al,B,Cu,Co及びMnからなる群より選ばれた一種以上の金属の酸化物を合計量で2.0重量部以下含有させたセラミックス素材からなるセラミックス電極が、強度が高く、電気的特性が高く、化学的安定性が高く、電解質等との熱膨張の整合を実現でき、また電池製造プロセス中の破損を防止でき、燃料電池運転中の耐久性に優れたセラミックス電極であるとして開示されている。
本発明は以下の第1から第6の要旨を有する。
第1に、固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末であって
ぺロブスカイト構造を有し、一般式(I)
A1-xCaxMnO3 (I)
(ただし、式中Aは、La及びSrを示し、0<x≦0.6である。)
を有する粉末を準備し、当該粉末にさらにSiO2を混合してなるものであり、当該SiO2 はその体積平均粒径が0.1〜10μm、その含有量が質量基準で50ppm以上、1000ppm以下である固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末であり、
当該固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末は、その成型体を焼成した焼結体の相対密度が80%以上で97%以下のときに、理論密度に換算した800℃での導電率が400S/cm以上、520S/cm以下であることを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末、を要旨とするものである。
ぺロブスカイト構造を有し、一般式(I)
A1-xCaxMnO3 (I)
(ただし、式中Aは、La及びSrを示し0<x≦0.6である。)
を有する粉末に、その体積平均粒径が0.1〜10μmのSiO2粉末を、その含有量が質量基準で50ppm以上、1000ppm以下混合することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法、を要旨とするものである。
上記組成式において、Aはランタン及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、特にランタンとストロンチウムとが同時に含有されていることが好ましい。
また、酸素は、上記結晶構造がペロブスカイト構造を保持する範囲において、一部欠損していても、過剰に存在していても構わない。
以下、本発明に係る一般式(I)A1-xCaxMnO3で表される組成を有する固体酸化物型燃料電池用空気極材料の製造方法について説明する。
本発明に係る一般式(I)A1-xCaxMnO3で表される組成を有する固体酸化物型燃料電池用空気極材料の原料となる粉末は、通常使用されるものを好適に使用することができ、たとえばA元素(La、Sr)を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドなどと、Ca元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドなどと、Mn元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドなどである。
特に環境的な側面、入手し易さの理由から、炭酸塩、水酸化物または酸化物が好ましい。また、原料は1つの元素につき炭酸塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩またはアルコキシドなどから選ばれた任意の2種類以上の化合物を元素源として選択することもできる。
上記の原料粉末をA元素とCa元素とMn元素とが一般式(I)で表わされる目的の組成になるように秤量する。
次に、秤量した各原料粉末を、均一に混合する。混合は、乾式混合によってもよいが、比較的短時間で均質な原料粉末を得られることから、湿式混合法により混合を実施することが好ましい。この混合時に合わせて同時に粉砕処理を行ってもよい。
本発明における湿式混合法においては、分散媒中に原料中のA元素、Ca元素またはMn元素を含有する原料化合物と錯体を形成する有機酸を加えることが好ましい。有機酸が金属元素と錯体を形成することにより、A元素、Ca元素及びMn元素がより一層均質に混合できるという有利な効果があるからである。有機酸としてはクエン酸、リンゴ酸、ギ酸、酢酸及びシュウ酸からなる群より選択される1種以上の酸が挙げられる。特に、クエン酸、リンゴ酸またはシュウ酸は原料の分散性が良好であるので好ましい。
無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸及びフッ化水素酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸が挙げられる。特に、硝酸、塩酸及びフッ化水素酸は原料粉末を溶解するのに十分な酸性度を有しているので好ましい。
以上のごとく湿式混合法による混合は、比較的短時間で均質な原料粉末を得られることから、乾式による混合よりも好ましい。
湿式混合法による混合を行った場合には、分散媒を取り除くために、乾燥処理が必要となる。この乾燥処理は、箱型(棚段)乾燥機、バンド乾燥機、またはスプレードライヤーなどを用いて行うことができる。
(粗焼成)
粗焼成工程においては、焼成炉の温度を20〜800℃/時の昇温速度で目的の焼成温度(300〜500℃)まで上げる操作を行う。昇温速度が20℃/時未満であると、目的の焼成温度まで達成するのに時間を要し、生産性が低下するので好ましくない。また、昇温速度が800℃/時を超えると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行しないので好ましくない。
粗焼成時の焼成温度は、300〜500℃が好ましく、350〜450℃がより好ましい。300℃未満であると炭素成分が残留するので好ましくない。また、500℃を超えると構成元素が偏析するので好ましくない。
粗焼成を行う際の焼成炉の雰囲気は、酸素含有雰囲気であり、空気中(大気中)または酸素濃度が20体積%以下の雰囲気中であることが好ましい。酸素濃度が20体積%を超えると原料混合粉中の炭素成分が燃焼し、部分的に酸化反応が進む結果、生成物の構成元素が局在化する場合があるので好ましくない。酸素濃度は15体積%以下であるのが好ましい。
次いで、粗焼成工程で得られた酸化物を解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどの粉砕機を用い、一般に乾式で行う。解砕後の体積平均粒径としては10〜50μmが好ましい。より好ましくは10〜20μmである。
引き続き、上記の解砕された粗焼成粉を仮焼成温度(500〜800℃)で仮焼成する。
仮焼成工程においては、焼成炉の温度を100〜800℃/時、好ましくは100〜400℃/時の昇温速度で目的の焼成温度まで上げる。昇温速度が100℃/時未満であると、目的の焼成温度まで達成するのに時間を要し、生産性が低下するので好ましくない。また、昇温速度が800℃/時を超えると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行しない可能性があるので好ましくない。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。4時間未満であると、炭素成分が残留するので好ましくない。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性が低下するので好ましくない。
仮焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、100〜800℃/時が好ましく、100〜400℃/時がより好ましい。100℃/時未満であると生産性が落ちるので好ましくない。また、800℃/時を超えると目的とする物質が生成しないので好ましくない。
さらに、この仮焼成粉を、本焼成温度(800〜1400℃)で本焼成する。
本焼成工程においては、焼成炉の温度を50〜800℃/時、好ましくは100〜400℃/時の昇温速度で目的の焼成温度まで上げる。昇温速度が50℃/時未満であると、目的の焼成温度まで達成するのに時間を要し、生産性が低下するので好ましくない。また、昇温速度が800℃/時を超えると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行せずに、反応物質が不均一な状態で目的の焼成温度に到達するため、焼成物中に副生成物を生じる場合があるので好ましくない。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、5〜20時間がより好ましい。4時間未満であると、未反応物質が目的とする酸化物中に混在し、また、単一の結晶相であっても目的とする結晶相が得られないので好ましくない。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性が低下するので好ましくない。
本焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、50〜800℃/時が好ましい。50℃/時未満であると生産性が落ちるので好ましくない。また、800℃/時を超えると目的とする物質が生成しないので好ましくない。
次いで、本焼成で得られた酸化物を粗焼成の後に行ったのと同様に解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどの粉砕機を用い、一般に乾式で行う。解砕後の粉体の体積平均粒径は10〜50μmが好ましい。より好ましくは10〜20μmである。その後、必要に応じて粒度調整のために湿式で粉砕しても良い。
次に、解砕により得られたA1-xCaxMnO3からなる粉体に、本発明で規定する、50から1000ppmのSiO2粉末を混合する。好ましいSiO2粉末の混合量は50から500ppmであり、より好ましい混合量は50から250ppmである。
SiO2粉末の混合量が50ppm未満であると成型体の機械的強度が小さく、成型体が脆弱となるので好ましくなく、1000ppmを超えると導電率の大きな低下をもたらすので好ましくない。SiO2粉末の混合量が50ppmから250ppmが特に好ましい理由は、SiO2の混合量がこの範囲では、焼結体の導電率の低下量が少ないからである。
その後、SiO2混合粉末の成型体を作成する。すなわち、SiO2と混合した、一般式(I)A1-xCaxMnO3の粉末をバインダーと混合し、一定の体積を有する金型に充填し、上から圧力をかけることにより、SiO2と混合した一般式(I)A1-xCaxMnO3の粉末の成型体を作成する。
圧力をかける方法は、機械的一軸プレス、冷間等方圧(CIP)プレス等特に限定されない。
熱処理時間は、2〜24時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。
相対密度は、次式(1)を用いて測定することができる。
ここで、測定密度とは焼結体の重量と体積から求めた密度であり、理論密度とはペロブスカイト型の結晶構造より計算される結晶密度(6.00g/cm3)である。
(1)(原料粉末及び有機酸の準備)
La源としての酸化ランタン(La2O3)と、Sr源としての炭酸ストロンチウム(Sr2(CO3)3)と、Ca源としての炭酸カルシウム(CaCO3)とMn源としての炭酸マンガン(Mn(CO3)2)とをLa:Sr:Ca:Mnが原子比で0.50:0.25:0.25:1.00となるように原料粉末の合計3499gを秤量した。一方で、原料粉末中に含まれる金属イオンのモル数とその価数の積の合計である当量数と等しい当量数のクエン酸5000gを55℃の純水7.0L(リットル)に加えてクエン酸溶液を調製した。
(2)(中間生成物)
上記のクエン酸溶液に原料粉末を投入し、55℃で2時間混合しながら反応させた。
反応終了後、得られたスラリーを105℃で48時間脱水乾燥して中間生成物である複合クエン酸塩を得た。
得られた複合クエン酸塩を大気中において、400℃で10時間粗焼成した。室温から400℃までの昇温速度は300℃/時とし、400℃から室温までの降温速度は300℃/時とした。
得られた粗焼成粉をカッタ−ミルで解砕し、その後、大気中において、600℃で10時間仮焼成した。室温から600℃までの昇温速度は300℃/時とし、600℃から室温までの降温速度は300℃/時とした。
得られた仮焼成粉をカッターミルで解砕し、その後、大気中において、1200℃で6時間本焼成した。室温から1200℃までの昇温速度は100℃/時とし、1200℃から室温までの降温速度は100℃/時とした。
(4)(最終粉末)
この本焼成により得られたLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO3をカッターミルにて解砕した。当該解砕粉100gを1L(リットル)のポットに分取した。このポットに、直径5mmのジルコニアボールと、フッ素化合物系の有機溶剤である旭硝子社製のAK−225AEを入れて140回転/分の回転速度で3時間ボールミル粉砕した。粉砕したスラリーをステンレス製のバットにあけ、60℃で24時間乾燥した後、カッターミルで解砕し、La0.50Sr0.25Ca0.25MnO3の組成の最終粉末を得た。
少量のLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO3の最終粉末を分取し、以下のようにイオン交換水に分散させて試料を調製した。分散剤として和光純薬社製の二リン酸ナトリウム十水和物を使用した濃度0.24質量%の水溶液を用い、約0.1gのLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO3と分散液とから全体が10mlとなるように分散液を調製し、3分間超音波を照射したものを試料とした。その試料からLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO3の粒度分布をHORIBA社製のレーザー回折/散乱式粒度分布装置LA−950を用いて測定した。測定の直前に180秒間出力30Wの超音波処理を施した。その結果、D50は2.5μmであった。
格子定数から計算される理論密度(結晶密度)は6.00g/cm3であった。
SiO2濃度が50ppmとなるように、La0.50Sr0.25Ca0.25MnO310gと東ソー社製、体積平均粒径1μmのSiO20.0005gを、内容積250mlのジルコニア製ポットに入れ、直径5mmのジルコニアボールとともにレッチュ社製の遊星ミルを用いて100rpmの回転速度で10分間粉砕混合した。
得られた粉砕混合粉を直径30mmφの金型に充填し、成型圧400kg/cm2で1分間一軸成型し、成型体とした。金型から取り出した成型体を1400℃で6時間熱処理し焼結体とした。1400℃までの昇温速度は100℃/時間とし、1400℃から室温までの降温速度は100℃/時間とした。その焼結体から密度測定用の試料を削り出した。
焼結体試料の重さと体積から求めた焼結密度は4.80g/cm3であり、式(1)より計算した相対密度は80%であった。
上述の焼結体から4mm×4mm×20mmの直方体を削りだし、導電率測定用の焼結体とした。この焼結体に白金電極を焼き付け、直流四端子法により焼結体の抵抗率の25℃〜1000℃の温度範囲における温度依存性をケースレー製ソースメーター2400を用いて測定した。測定された抵抗率から導電率の測定値を導き出し、更に式(2)を用いて各測定温度における理論密度での導電率を計算した。
800℃における理論密度での導電率は514S/cmであった。
当該焼結体の800℃における理論密度における導電率及び相対密度を表1にまとめて示す。
SiO2の混合量を200ppmとした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。当該焼結体の実施例1と同様にして求めた相対密度は89%であり、800℃における理論密度での導電率は441S/cmであった。結果を表1に示した。
SiO2の混合量を500ppmとした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。当該焼結体の実施例1と同様にして求めた相対密度は96%であり、800℃における理論密度での導電率は428S/cmであった。結果を表1に示した。
SiO2の混合量を1000ppmとした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。当該焼結体の実施例1と同様にして求めた相対密度は97%であり、800℃における理論密度での導電率は400S/cmであった。結果を表1に示した。
La:Sr:Ca:Mnの原子比を0.40:0.05:0.55:1.00とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は81%であり、800℃における理論密度での導電率は520S/cmであった。結果を表1に示した。
La:Sr:Ca:Mnの原子比を0.40:0.55:0.05:1.00とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は82%であり、800℃における理論密度での導電率は513S/cmであった。結果を表1に示した。
La:Sr:Ca:Mnの原子比を0.60:0.05:0.35:1.00とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は80%であり、800℃における理論密度での導電率は480S/cmであった。結果を表1に示した。
La:Sr:Ca:Mnの原子比を0.60:0.35:0.05:1.00とした以外は、実施例1と同様にして試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は81%であり、800℃における理論密度での導電率は475S/cmであった。結果を表1に示した。
実施例1と同様の組成に秤量した酸化ランタンと炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムと炭酸マンガンとからなる原料粉末と、クエン酸5000gと、フッ素化合物系の有機溶剤である旭硝子社製のAK−225AE7.0L(リットル)と、直径5mmのジルコニアボールとを30L(リッター)のポットに入れた。
このポットを70回転/分の回転速度で12時間回転させ、原料粉をボールミル粉砕した。得られたスラリーからジルコニアボールを取り除き、スラリーを55℃で2時間混合しながらクエン酸と原料粉末を反応させた。続いて、このスラリーを乾燥し、得られた乾燥粉をカッターミルで解砕した。
その後、実施例1の粗焼成とその後の解砕をすることなく、実施例1と同様にして仮焼成及び本焼成を行い、La0.50Sr0.25Ca0.25MnO3を得た。
なお、SiO2を混合し焼成する工程も実施例1と同様に行った。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は81%であり、800℃における理論密度での導電率は508S/cmであった。結果を表1に示した。
クエン酸の代わりに硝酸を使用し、沈殿剤としてアンモニアを使用した以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は82%であり、800℃における理論密度での導電率は503S/cmであった。結果を表1に示した。
クエン酸の代わりに塩酸:硫酸=1:1を使用し、沈殿剤としてアンモニアを使用した以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は82%であり、800℃における理論密度での導電率は502S/cmであった。結果を表1に示した。
クエン酸の代わりにリンゴ酸とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は81%であり、800℃における理論密度での導電率は505S/cmであった。結果を表1に示した。
クエン酸の代わりにギ酸とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は80%であり、800℃における理論密度での導電率は501S/cmであった。結果を表1に示した。
クエン酸の代わりに酢酸とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は82%であり、800℃における理論密度での導電率は503S/cmであった。結果を表1に示した。
SiO2を添加しない以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は74%であり、800℃における理論密度での導電率は514S/cmであった。結果を表1に示した。
SiO2含有量を1200ppmとした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は98%であり、800℃における理論密度での導電率は220S/cmであった。結果を表1に示した。
原料に炭酸カルシウム(CaCO3)を用いず、La:Sr:Mnの原子比を0.50:0.50:1.00とした以外は、実施例1と同様にしてLa0.50Sr0.50MnO3を作成した。実施例1と同様にして求めたその焼結体の相対密度は75%であり、800℃における理論密度での導電率は200S/cmであった。結果を表1に示した。
SiO2濃度が50ppmであり、かつAl2O3濃度が100ppmとなるように、実施例1で作成したLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO310gと東ソー社製、体積平均粒径1μmのSiO20.0005gと、体積平均粒径1μmのAl2O30.001gとを、内容積250mlのアルミナ製ポットに入れ、直径5mmのアルミナ製ボールとともにレッチュ社製の遊星ミルを用いて100rpmの回転速度で10分間粉砕混合した。得られた粉砕混合粉から実施例1と同様にして焼結体を得た。その焼結体から密度測定用の試料を削り出した。
試料の重さと体積から求めた焼結密度は5.3g/cm3であり、式(1)より計算した相対密度は88%であった。
上述の焼結体から4mm×4mm×20mmの直方体を削りだし、導電率測定用の焼結体とした。この焼結体に白金電極を焼き付け、実施例1と同様にして測定した800℃における理論密度での導電率は360S/cmであった。結果を表1に示した。
SiO2濃度が500ppmであり、かつAl2O3濃度が200ppmとなるようにした以外は、比較例4と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は97%であり、800℃における理論密度での導電率は320S/cmであった。結果を表1に示した。
SiO2濃度が1000ppmであり、かつAl2O3濃度が250ppmとなるようにした以外は、比較例4と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた相対密度は98%であり、800℃における理論密度での導電率は160S/cmであった。結果を表1に示した。
上記したように、実施例1から実施例14と、比較例1から比較例6の試料を用いて作成した焼結体の800℃での理論密度における導電率及び相対密度を表1にまとめて示しているが、図1は、当該表から、そのSiO2の添加量と焼結体の導電率の関係を示したグラフである。
図2は実施例及び比較例で合成したLa1-x-ySrxCayMnO3にSiO2を添加したときのSiO2添加量に対する焼結体の相対密度依存性を示したグラフである。図2から分かるように、焼結体の相対密度は、SiO2の添加量の増加とともに500ppmまで増加し、その後ほぼ一定となった。したがって、SiO2添加量を制御することにより、焼結体の密度を高めることができ、相対密度の向上により強度の増加が期待できる。したがって、SiO2の添加量が50ppm〜1000ppmの範囲では、導電率と強度の両立が可能であると考えられる。
Claims (6)
- 固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末であって
ぺロブスカイト構造を有し、一般式(I)
A1-xCaxMnO3 (I)
(ただし、式中Aは、La及びSrを示し、0<x≦0.6である。)
を有する粉末を準備し、当該粉末にさらにSiO2を混合してなるものであり、当該SiO2 はその体積平均粒径が0.1〜10μm、その含有量が質量基準で50ppm以上、1000ppm以下である固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末であり、
当該固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末は、その成型体を焼成した焼結体の相対密度が80%以上で97%以下のときに、理論密度に換算した800℃での導電率が400S/cm以上、520S/cm以下であることを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末。 - 請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を成型し焼成してなることを特徴とするその焼結体。
- 請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法であって、一般式(I)A 1-x Ca x MnO 3 を有する当該固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を構成する金属元素を含有する原料化合物として、A元素(La、Sr)を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドと、Ca元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドと、Mn元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドを準備し、これをクエン酸、リンゴ酸、ギ酸、酢酸及びシュウ酸からなる群より選択される1種以上の有機酸、または無機酸の溶液に加えて、当該原料化合物と、当該有機酸または無幾酸とを反応させ、中間生成物である複合有機酸塩または複合無機酸塩を製造し、当該中間生成物を乾燥し、焼成することにより得られた、
ぺロブスカイト構造を有し、一般式(I)
A1-xCaxMnO3 (I)
(ただし、式中Aは、La及びSrを示し0<x≦0.6である。)
を有する粉末に、その体積平均粒径が0.1〜10μmのSiO2粉末を、その含有量が質量基準で50ppm以上、1000ppm以下混合することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法。 - 前記原料化合物が、A元素(La、Sr)を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩、Ca元素を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩、及びMn元素を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩であることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法。
- 有機酸または無機酸のうち無機酸のみを使用するとき、前記無機酸が塩酸、硝酸、硫酸、リン酸及びフッ化水素酸からなる群より選択される1種以上の酸であることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法。
- 請求項3記載の粉末の製造方法によって製造したSiO2含有固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を成型し、焼成することを特徴とする、その成型体の製造方法。
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