JP5574881B2 - 固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、SiO2を含有する低温作動型固体酸化物型燃料電池用空気極材料とその製造方法に関するものである。
固体酸化物型燃料電池は、電解質として酸素イオン導電性を示す固体電解質を用いた燃料電池で、起電力を生じる電気化学反応が水素の酸化反応であるため、クリーンエネルギーとして注目されている。固体酸化物型燃料電池は、一般に、酸化物である空気極と固体電解質と燃料極とからなる単セルをインターコネクターによって接続したスタック構造を採っており、その動作温度は、通常1000℃程度であり、種々の検討により、近年低温化してきているものの、実用化されているものの最低温度は600℃以上と依然として高温である。
このセル構造と高い動作温度のため、空気極を構成する空気極材料には、(1)酸素イオン導電性が高いこと、(2)電子伝導性が高いこと、(3)電解質と熱膨張が同等あるいは近似していること、(4)化学的な安定性が高く、他の構成材料との両立性が高いこと、(5)焼結体が多孔質であり、一定の強度を有すること等の特性が基本的に要求される。
これらの特性を満足する材料として、La1-xSrxMnO3が精力的に研究開発されている。これはランタンマンガナイドのランタンサイトの一部をストロンチウムで置換したものである。しかしながら、La1-xSrxMnO3の導電率は、高出力、長寿命の固体酸化物型燃料電池を実現するためには充分ではない。そこで、La1-xSrxMnO3のSr元素をさらにCaに置換することにより、導電率の向上を図る試みがなされている。一方で、SrをCaで置換していないLa1-xSrxMnO3からなる空気極は、一般に強度が低く、燃料電池の製造中や、熱サイクルにより破損するという強度上の問題点があった。
このような電極の強度を向上する方法の一つとして、SiO2やCr23等の焼結助剤を用いて、電極の焼結密度を上げる方法がある。
その一例として、特許文献1には、組成物La1-xSrxMnO3〔ただし、0<x≦0.5〕100重量部に対し、Si,Ti,Fe,Al,B,Cu,Co及びMnからなる群より選ばれた一種以上の金属の酸化物を合計量で2.0重量部以下含有させたセラミックス素材からなるセラミックス電極が、強度が高く、電気的特性が高く、化学的安定性が高く、電解質等との熱膨張の整合を実現でき、また電池製造プロセス中の破損を防止でき、燃料電池運転中の耐久性に優れたセラミックス電極であるとして開示されている。
一方で、空気極材料の焼結密度を制御することは、空気極電極の強度を制御することにつながる。特許文献1にはLa0.95Sr0.05MnO3100重量部にSiO2を0.1重量部から3.0重量部のSiO2を添加すると、その四点曲げ強度及び気孔率が変化することが記載されている。その気孔率は、SiO2の添加量の増加とともに増加している。換言すると、焼結体の相対密度がSiO2の添加量の増加とともに減少していると考えられる。
しかしながら、我々がこの組成物について詳細に実験したところ、一般式A1-xCaxMnO3(ただし、AはLa、Srからなる群から選択される1種類以上の元素である。)、の組成物、例えばLa1-x-ySrxCayMnO3に対し、特許文献1のSiO2添加量よりもずっと少ない添加量の範囲、すなわち添加量が50ppmから1000ppmの範囲のSiO2を添加したところ、SiO2の添加量の増加とともに、焼結体の相対密度が増加するという予想外の結果を得た。また、特許文献1に記載されているように、La0.95Sr0.05MnO3100重量部に対して、SiO2を3.0重量部添加したときの電気伝導度は、0.1重量部添加したときのそれと比較して低くなっている。このような電気伝導度の低下は燃料電池の過電圧の増加につながるので好ましくない。
一方また、特許文献2には、一般式(A1-mmz(Mn1-nn)O3±δで表され、AはY及び希土類元素の群から選ばれた少なくとも1種の元素、BはCa、Ba及びSrのアルカリ土類元素の群から選ばれた少なくとも1種の元素、CはNi、Co、Fe、Cr、Ce及びZrの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含み、m、n及びzが、0.10≦m≦0.90、0≦n≦0.50、0.80≦z≦1.10を満足することを特徴とする導電性セラミックスであって、Al、Si量の総和が1000ppm以下の導電性セラミックスが記載され、不純物として混入するAlとSiを極力少なくすることが導電率の観点から望ましいとされている。
すなわち、特許文献2の趣旨は、不純物であるAl、Siを極力含有させないことであるのに対し、本願発明は、あえてSiO2を、微小量(50ppm〜1000ppm)含有させることにより、通常は実現困難な、導電率と強度の両立を図ることにある。
特許第2810104号公報 特開平07-247165号
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、空気極材料においてSiO2を微少量添加することにより、導電率をほとんど変化させずに、焼結体の相対密度の高い空気極材料とその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記のような課題を達成するため鋭意検討したところ、固体酸化物型燃料電池用空気極材料に微量かつ特定量のSiO2を添加することにより、導電率をほとんど低下させることなく、かつ、相対密度を高めることができることを見出した。
本発明は以下の第1から第の要旨を有する。
第1に、固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末であって
ぺロブスカイト構造を有し、一般式(I)
1-xCaxMnO3 (I)
(ただし、式中Aは、La及びSrを示し、0<x≦0.6である。)
を有する粉末を準備し、当該粉末さらにSiO2混合てなるものであり、当該SiO2 はその体積平均粒径が0.1〜10μm、その含有量が質量基準で50ppm以上、1000ppm以下である固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末であり
当該固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末は、その成型体を焼成した焼結体の相対密度が80%以上で97%以下のときに、理論密度に換算した800℃での導電率が400S/cm以上、520S/cm以下であることを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末、を要旨とするものである。
第2に、第1の要旨に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を成型し焼成してなることを特徴とする、その焼結体、を要旨とするものである。
第3に、第1の要旨に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法であって、一般式(I)A 1-x Ca x MnO 3 を有する当該固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を構成する金属元素を含有する原料化合物として、A元素(La、Sr)を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドと、Ca元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドと、Mn元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドを準備し、これをクエン酸、リンゴ酸、ギ酸、酢酸及びシュウ酸からなる群より選択される1種以上の有機酸、または無機酸の溶液に加えて、当該原料化合物と、当該有機酸または無幾酸とを反応させ、中間生成物である複合有機酸塩または複合無機酸塩を製造し、当該中間生成物を乾燥し、焼成することにより得られた、
ぺロブスカイト構造を有し、一般式(I)
1-xCaxMnO3 (I)
(ただし、式中Aは、La及びSrを示し0<x≦0.6である。)
を有する粉末に、その体積平均粒径が0.1〜10μmのSiO2粉末を、その含有量が質量基準で50ppm以上、1000ppm以下混合することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法、を要旨とするものである。
第4に、第の要旨に記載の前記原料化合物が、A元素(La、Sr)を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩、Ca元素を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩、及びMn元素を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩であることを特徴とする第3の要旨に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法、を要旨とするものである。

に、前記有機酸または無機酸のうち無機酸のみを使用するとき、前記無機酸が塩酸、硝酸、硫酸、リン酸及びフッ化水素酸からなる群より選択される1種以上の酸であることを特徴とする第3の要旨に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法、を要旨とするものである。
に、第3の要旨に記載の粉末の製造方法によって製造したSiO2含有固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を成型し、焼成することを特徴とする、その成型体の製造方法、を要旨とするものである。

以下に詳述するように、本発明によれば、特定量のSiO2を含有させた固体酸化物型燃料電池用空気極材料を使用することにより、空気極の導電率を低下させることなく、その相対密度を高めることができ、機械的強度を増加させることができる。
この電極を使用した固体酸化物型燃料電池は、従来のSiO2を添加しない固体酸化物型燃料電池用空気極材料を使用した燃料電池と比較して、過電圧の増加を起こさないという有利な効果を有する。
また、本発明に係る製造方法によれば、比較的簡便な方法により、相対密度が高く、かつ導電率の高い固体酸化物型燃料電池用空気極材料の成型体を製造することができる。したがって、本発明に係るSiO2含有のペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物は、固体酸化物型燃料電池用空気極材料として有用である。
実施例及び比較例における導電率のSiO2含有量依存性を示したグラフである。 実施例及び比較例における相対密度のSiO2含有量依存性を示したグラフである。
本発明は、基本的に 一般式(I)A1-xCaxMnO3で表される組成を有するペロブスカイト型結晶構造を有する固体酸化物型燃料電池用空気極材料に関するものである。
上記組成式において、Aはランタン及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、特にランタンとストロンチウムとが同時に含有されていることが好ましい。
ここでCaの組成を表すxの範囲は、0<x≦0.6が好ましく、0.05≦x≦0.4が更に好ましい。
また、酸素は、上記結晶構造がペロブスカイト構造を保持する範囲において、一部欠損していても、過剰に存在していても構わない。
以下、本発明に係る一般式(I)A1-xCaxMnO3で表される組成を有する固体酸化物型燃料電池用空気極材料の製造方法について説明する。
(原料粉末)
本発明に係る一般式(I)A1-xCaxMnO3で表される組成を有する固体酸化物型燃料電池用空気極材料の原料となる粉末は、通常使用されるものを好適に使用することができ、たとえばA元素(La、Sr)を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドなどと、Ca元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドなどと、Mn元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドなどである。
特に環境的な側面、入手し易さの理由から、炭酸塩、水酸化物または酸化物が好ましい。また、原料は1つの元素につき炭酸塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩またはアルコキシドなどから選ばれた任意の2種類以上の化合物を元素源として選択することもできる。
(原料粉末の混合)
上記の原料粉末をA元素とCa元素とMn元素とが一般式(I)で表わされる目的の組成になるように秤量する。
次に、秤量した各原料粉末を、均一に混合する。混合は、乾式混合によってもよいが、比較的短時間で均質な原料粉末を得られることから、湿式混合法により混合を実施することが好ましい。この混合時に合わせて同時に粉砕処理を行ってもよい。
湿式混合法とは、それ自体原料粉末を実質的に溶解しない適当な分散媒を用い、当該分散媒中に上記原料粉末を分散させた状態(スラリー状態)で実施される混合方法をいう。分散溶媒としては、水、メタノールやエタノールなどのアルコール類、またはフッ素系溶剤などの有機溶剤が挙げられる。特に、環境への負荷の観点から水が好ましい。また、生成物中の不純物が酸素イオン伝導度に影響を与えるので、水としては純水またはイオン交換水が好ましく、特にイオン交換水が好ましい。また、原料を構成する元素が実質的に溶媒に溶出しないので、フッ素系溶剤などの有機溶剤も好ましい。
湿式混合法を実施するための装置としては特に限定するものではないが、同時に粉砕を実施するものが好ましい。たとえば、ボールミル、ビーズミル、アトリションミル、コロイドミル等が好ましい。そのうち特に、ジルコニアボールのような、粉砕媒体を使用する形式のもの、例えばボールミル、ビーズミルなどが、より好ましく使用される。例えば原料粉末に上記の分散媒を加え、ボールミルを用いて12〜24時間粉砕混合しても良い。ボールミル等の粉砕媒体による粉砕混合を行うと、より強い剪断力を付与でき、より均質な原料混合粉末が得られるので好ましい。
(有機酸、無機酸の使用)
本発明における湿式混合法においては、分散媒中に原料中のA元素、Ca元素またはMn元素を含有する原料化合物と錯体を形成する有機酸を加えることが好ましい。有機酸が金属元素と錯体を形成することにより、A元素、Ca元素及びMn元素がより一層均質に混合できるという有利な効果があるからである。有機酸としてはクエン酸、リンゴ酸、ギ酸、酢酸及びシュウ酸からなる群より選択される1種以上の酸が挙げられる。特に、クエン酸、リンゴ酸またはシュウ酸は原料の分散性が良好であるので好ましい。
原料化合物の分散媒に有機酸に代えて無機酸を使用することもできる。無機酸を使用する場合は、無機酸が原料粉末を溶解し、元素レベルでの均質な混合が可能となるので好ましい。なお、無機酸を用いる場合には、系は均一液相系の操作になるので、反応終了後、アンモニアなどの弱塩基で溶液を中和した後、シュウ酸、クエン酸などの酸を沈殿剤としてその溶液に添加し、原料混合粉末を沈殿させることが好ましい。
無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸及びフッ化水素酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸が挙げられる。特に、硝酸、塩酸及びフッ化水素酸は原料粉末を溶解するのに十分な酸性度を有しているので好ましい。
(乾燥、焼成)
以上のごとく湿式混合法による混合は、比較的短時間で均質な原料粉末を得られることから、乾式による混合よりも好ましい。
湿式混合法による混合を行った場合には、分散媒を取り除くために、乾燥処理が必要となる。この乾燥処理は、箱型(棚段)乾燥機、バンド乾燥機、またはスプレードライヤーなどを用いて行うことができる。
次に、乾燥させた混合原料粉末を焼成容器に移し、焼成炉にて焼成する。焼成は基本的には粗焼成、仮焼成、本焼成の焼成温度の異なる3工程からなるのが好ましいが、粗焼成と本焼成の2工程でも良く、仮焼成と本焼成の2工程でも良く、また本焼成のみからなる工程でも良い。焼成容器の材質は、アルミナを除けば特に限定されず、例えばムライト、コージュライトなどが挙げられる。
焼成炉は、熱源として、電気式またはガス式のシャトルキルンでも、場合によってはローラーハースキルンでもロータリーキルンでも良く、特に限定されない。
(粗焼成)
粗焼成工程においては、焼成炉の温度を20〜800℃/時の昇温速度で目的の焼成温度(300〜500℃)まで上げる操作を行う。昇温速度が20℃/時未満であると、目的の焼成温度まで達成するのに時間を要し、生産性が低下するので好ましくない。また、昇温速度が800℃/時を超えると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行しないので好ましくない。
粗焼成時の焼成温度は、300〜500℃が好ましく、350〜450℃がより好ましい。300℃未満であると炭素成分が残留するので好ましくない。また、500℃を超えると構成元素が偏析するので好ましくない。
粗焼成の焼成時間は、4〜24時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。4時間未満であると、炭素成分が残留するので好ましくない。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性が低下するので好ましくない。
粗焼成を行う際の焼成炉の雰囲気は、酸素含有雰囲気であり、空気中(大気中)または酸素濃度が20体積%以下の雰囲気中であることが好ましい。酸素濃度が20体積%を超えると原料混合粉中の炭素成分が燃焼し、部分的に酸化反応が進む結果、生成物の構成元素が局在化する場合があるので好ましくない。酸素濃度は15体積%以下であるのが好ましい。
粗焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、100〜800℃/時が好ましく、100〜400℃/時がより好ましい。降温速度が100℃/時未満であると生産性が落ちるので好ましくない。また、これが800℃/時を超えると用いる焼成容器が熱衝撃のために割れてしまう可能性があるので好ましくない。
次いで、粗焼成工程で得られた酸化物を解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどの粉砕機を用い、一般に乾式で行う。解砕後の体積平均粒径としては10〜50μmが好ましい。より好ましくは10〜20μmである。
(仮焼成)
引き続き、上記の解砕された粗焼成粉を仮焼成温度(500〜800℃)で仮焼成する。
仮焼成工程においては、焼成炉の温度を100〜800℃/時、好ましくは100〜400℃/時の昇温速度で目的の焼成温度まで上げる。昇温速度が100℃/時未満であると、目的の焼成温度まで達成するのに時間を要し、生産性が低下するので好ましくない。また、昇温速度が800℃/時を超えると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行しない可能性があるので好ましくない。
仮焼成の温度は、500〜800℃が好ましく、600〜800℃がより好ましい。500℃未満であると炭素成分が残留するので好ましくない。また、800℃を超えると焼成粉が過度に焼結するので好ましくない。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、8〜20時間がより好ましい。4時間未満であると、炭素成分が残留するので好ましくない。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性が低下するので好ましくない。
仮焼成を行う際の焼成炉の雰囲気は、粗焼成時と同様の酸素含有雰囲気が好ましい。
仮焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、100〜800℃/時が好ましく、100〜400℃/時がより好ましい。100℃/時未満であると生産性が落ちるので好ましくない。また、800℃/時を超えると目的とする物質が生成しないので好ましくない。
次いで、仮焼成で得られた酸化物を粗焼成の後に行ったのと同様に解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどの粉砕機を用い、一般に乾式で行なう。解砕後の体積平均粒径としては10〜40μmが好ましい。より好ましくは10〜20μmである。
(本焼成)
さらに、この仮焼成粉を、本焼成温度(800〜1400℃)で本焼成する。
本焼成工程においては、焼成炉の温度を50〜800℃/時、好ましくは100〜400℃/時の昇温速度で目的の焼成温度まで上げる。昇温速度が50℃/時未満であると、目的の焼成温度まで達成するのに時間を要し、生産性が低下するので好ましくない。また、昇温速度が800℃/時を超えると、各温度での反応物質の化学変化が十分に進行せずに、反応物質が不均一な状態で目的の焼成温度に到達するため、焼成物中に副生成物を生じる場合があるので好ましくない。
本焼成の温度は、800〜1400℃が好ましく、1000〜1400℃がより好ましい。800℃未満または1400℃を超えると、目的とする結晶相が生成しないので好ましくない。
焼成時間は、4〜24時間が好ましく、5〜20時間がより好ましい。4時間未満であると、未反応物質が目的とする酸化物中に混在し、また、単一の結晶相であっても目的とする結晶相が得られないので好ましくない。また、24時間を超えても、生成物に変化はないが、生産性が低下するので好ましくない。
本焼成を行う際の焼成炉の雰囲気は、粗焼成または仮焼成時と同様の酸素含有雰囲気中であることが好ましい。
本焼成を所定時間行った後、室温まで降温する。降温速度は、50〜800℃/時が好ましい。50℃/時未満であると生産性が落ちるので好ましくない。また、800℃/時を超えると目的とする物質が生成しないので好ましくない。
次いで、本焼成で得られた酸化物を粗焼成の後に行ったのと同様に解砕する。解砕にはカッターミル、ジェットミル、アトマイザーなどの粉砕機を用い、一般に乾式で行う。解砕後の粉体の体積平均粒径は10〜50μmが好ましい。より好ましくは10〜20μmである。その後、必要に応じて粒度調整のために湿式で粉砕しても良い。
(SiO2添加)
次に、解砕により得られたA1-xCaxMnO3からなる粉体に、本発明で規定する、50から1000ppmのSiO2粉末を混合する。好ましいSiO2粉末の混合量は50から500ppmであり、より好ましい混合量は50から250ppmである。
SiO2粉末の混合量が50ppm未満であると成型体の機械的強度が小さく、成型体が脆弱となるので好ましくなく、1000ppmを超えると導電率の大きな低下をもたらすので好ましくない。SiO2粉末の混合量が50ppmから250ppmが特に好ましい理由は、SiO2の混合量がこの範囲では、焼結体の導電率の低下量が少ないからである。
添加混合するSiO2の体積平均粒径は0.1〜10μmが好ましい。体積平均粒径が0.1μm未満であると焼成中にSiO2粒子が凝集し均一に分散しないので好ましくなく、10μmを超えると成型し、熱処理した後に得られる焼結体の焼結密度が小さくなるので好ましくない。
一般式(I)A1-xCaxMnO3の粉末と、SiO2粉末との混合には、遊星ミル、ジェットミル、ボールミル、カッターミルなどの、粉砕混合機を用い、乾式混合法により行うのが好ましい。この工程は、A1-xCaxMnO3粉末の粉砕も兼ねている。ボールミルにおけるボールの材質はジルコニアなどが利用できる。アルミナボールを使用すると、粉砕混合中に微量のアルミナが不純物として生成物中に混入し、導電率を落とすので好ましくない。ボールの大きさは0.1〜20mmが好ましい。より好ましくは2〜5mmの範囲である。
(成型体、焼結体)
その後、SiO2混合粉末の成型体を作成する。すなわち、SiO2と混合した、一般式(I)A1-xCaxMnO3の粉末をバインダーと混合し、一定の体積を有する金型に充填し、上から圧力をかけることにより、SiO2と混合した一般式(I)A1-xCaxMnO3の粉末の成型体を作成する。
圧力をかける方法は、機械的一軸プレス、冷間等方圧(CIP)プレス等特に限定されない。
次に、上述の成型体を熱処理し焼結体を得る。熱処理温度は、1100〜1450℃が好ましく、1200〜1400℃がより好ましい。熱処理温度が1100℃未満では成型体の機械的強度が不足し、また1450℃を超えると生成したA1-xCaxMnO3が分解し、分解して生成した不純物の影響により、導電率が低下してしまうので好ましくない。
熱処理時間は、2〜24時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。
本発明に係るSiO2を含有した一般式(I)A1-xCaxMnO3の焼結体結体の相対密度は80〜97%であることが好ましい。特に好ましくは、89〜96%である。相対密度が80%未満であるとその酸化物を成型して燃料電池の空気極として用いた場合に、強度が小さくなるので好ましくない。また、97%を超えると、空気極の導電率が低下するので好ましくない。
相対密度は、次式(1)を用いて測定することができる。
Figure 0005574881

ここで、測定密度とは焼結体の重量と体積から求めた密度であり、理論密度とはペロブスカイト型の結晶構造より計算される結晶密度(6.00g/cm3)である。
以下に、本発明の具体的な実施例(実施例1−14)を、比較例(比較例1−6)と対比して説明する。しかしながら、これら実施例は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明がこれらの実施例に特に限定されるものではなく、また、これにより限定的に解釈されたりするものではない。なお、以下%とあるものは、とくに断りなき限り、質量%である。
〔実施例1〕
(1)(原料粉末及び有機酸の準備)
La源としての酸化ランタン(La23)と、Sr源としての炭酸ストロンチウム(Sr2(CO33)と、Ca源としての炭酸カルシウム(CaCO3)とMn源としての炭酸マンガン(Mn(CO32)とをLa:Sr:Ca:Mnが原子比で0.50:0.25:0.25:1.00となるように原料粉末の合計3499gを秤量した。一方で、原料粉末中に含まれる金属イオンのモル数とその価数の積の合計である当量数と等しい当量数のクエン酸5000gを55℃の純水7.0L(リットル)に加えてクエン酸溶液を調製した。
(2)(中間生成物)
上記のクエン酸溶液に原料粉末を投入し、55℃で2時間混合しながら反応させた。
反応終了後、得られたスラリーを105℃で48時間脱水乾燥して中間生成物である複合クエン酸塩を得た。
(3)(粗焼成、仮焼成、本焼成)
得られた複合クエン酸塩を大気中において、400℃で10時間粗焼成した。室温から400℃までの昇温速度は300℃/時とし、400℃から室温までの降温速度は300℃/時とした。
得られた粗焼成粉をカッタ−ミルで解砕し、その後、大気中において、600℃で10時間仮焼成した。室温から600℃までの昇温速度は300℃/時とし、600℃から室温までの降温速度は300℃/時とした。
得られた仮焼成粉をカッターミルで解砕し、その後、大気中において、1200℃で6時間本焼成した。室温から1200℃までの昇温速度は100℃/時とし、1200℃から室温までの降温速度は100℃/時とした。
(4)(最終粉末)
この本焼成により得られたLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO3をカッターミルにて解砕した。当該解砕粉100gを1L(リットル)のポットに分取した。このポットに、直径5mmのジルコニアボールと、フッ素化合物系の有機溶剤である旭硝子社製のAK−225AEを入れて140回転/分の回転速度で3時間ボールミル粉砕した。粉砕したスラリーをステンレス製のバットにあけ、60℃で24時間乾燥した後、カッターミルで解砕し、La0.50Sr0.25Ca0.25MnO3の組成の最終粉末を得た。
(5)(成分分析)
少量のLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO3の最終粉末を分取し、以下のようにイオン交換水に分散させて試料を調製した。分散剤として和光純薬社製の二リン酸ナトリウム十水和物を使用した濃度0.24質量%の水溶液を用い、約0.1gのLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO3と分散液とから全体が10mlとなるように分散液を調製し、3分間超音波を照射したものを試料とした。その試料からLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO3の粒度分布をHORIBA社製のレーザー回折/散乱式粒度分布装置LA−950を用いて測定した。測定の直前に180秒間出力30Wの超音波処理を施した。その結果、D50は2.5μmであった。
次いで、La0.50Sr0.25Ca0.25MnO3の結晶相を同定するためCuKαをX線源とする粉末X線回折測定を行った。X線回折測定にはリガク社製のRINT2200Vを用いた。その結果a=5.428Å、b=7.630Å、c=5.463Åの斜方晶ペロブスカイト構造であった。
格子定数から計算される理論密度(結晶密度)は6.00g/cm3であった。
(6)(SiO2添加、成型、焼成)
SiO2濃度が50ppmとなるように、La0.50Sr0.25Ca0.25MnO310gと東ソー社製、体積平均粒径1μmのSiO20.0005gを、内容積250mlのジルコニア製ポットに入れ、直径5mmのジルコニアボールとともにレッチュ社製の遊星ミルを用いて100rpmの回転速度で10分間粉砕混合した。
得られた粉砕混合粉を直径30mmφの金型に充填し、成型圧400kg/cm2で1分間一軸成型し、成型体とした。金型から取り出した成型体を1400℃で6時間熱処理し焼結体とした。1400℃までの昇温速度は100℃/時間とし、1400℃から室温までの降温速度は100℃/時間とした。その焼結体から密度測定用の試料を削り出した。
(7)(焼成密度、導電率)
焼結体試料の重さと体積から求めた焼結密度は4.80g/cm3であり、式(1)より計算した相対密度は80%であった。
上述の焼結体から4mm×4mm×20mmの直方体を削りだし、導電率測定用の焼結体とした。この焼結体に白金電極を焼き付け、直流四端子法により焼結体の抵抗率の25℃〜1000℃の温度範囲における温度依存性をケースレー製ソースメーター2400を用いて測定した。測定された抵抗率から導電率の測定値を導き出し、更に式(2)を用いて各測定温度における理論密度での導電率を計算した。
Figure 0005574881

800℃における理論密度での導電率は514S/cmであった。

当該焼結体の800℃における理論密度における導電率及び相対密度を表1にまとめて示す。
〔実施例2〕
SiO2の混合量を200ppmとした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。当該焼結体の実施例1と同様にして求めた相対密度は89%であり、800℃における理論密度での導電率は441S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
SiO2の混合量を500ppmとした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。当該焼結体の実施例1と同様にして求めた相対密度は96%であり、800℃における理論密度での導電率は428S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
SiO2の混合量を1000ppmとした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。当該焼結体の実施例1と同様にして求めた相対密度は97%であり、800℃における理論密度での導電率は400S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例5〕
La:Sr:Ca:Mnの原子比を0.40:0.05:0.55:1.00とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は81%であり、800℃における理論密度での導電率は520S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例6〕
La:Sr:Ca:Mnの原子比を0.40:0.55:0.05:1.00とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は82%であり、800℃における理論密度での導電率は513S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例7〕
La:Sr:Ca:Mnの原子比を0.60:0.05:0.35:1.00とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は80%であり、800℃における理論密度での導電率は480S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例8〕
La:Sr:Ca:Mnの原子比を0.60:0.35:0.05:1.00とした以外は、実施例1と同様にして試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は81%であり、800℃における理論密度での導電率は475S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例9〕
実施例1と同様の組成に秤量した酸化ランタンと炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムと炭酸マンガンとからなる原料粉末と、クエン酸5000gと、フッ素化合物系の有機溶剤である旭硝子社製のAK−225AE7.0L(リットル)と、直径5mmのジルコニアボールとを30L(リッター)のポットに入れた。
このポットを70回転/分の回転速度で12時間回転させ、原料粉をボールミル粉砕した。得られたスラリーからジルコニアボールを取り除き、スラリーを55℃で2時間混合しながらクエン酸と原料粉末を反応させた。続いて、このスラリーを乾燥し、得られた乾燥粉をカッターミルで解砕した。
その後、実施例1の粗焼成とその後の解砕をすることなく、実施例1と同様にして仮焼成及び本焼成を行い、La0.50Sr0.25Ca0.25MnO3を得た。
なお、SiO2を混合し焼成する工程も実施例1と同様に行った。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は81%であり、800℃における理論密度での導電率は508S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例10〕
クエン酸の代わりに硝酸を使用し、沈殿剤としてアンモニアを使用した以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は82%であり、800℃における理論密度での導電率は503S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例11〕
クエン酸の代わりに塩酸:硫酸=1:1を使用し、沈殿剤としてアンモニアを使用した以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は82%であり、800℃における理論密度での導電率は502S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例12〕
クエン酸の代わりにリンゴ酸とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は81%であり、800℃における理論密度での導電率は505S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例13〕
クエン酸の代わりにギ酸とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は80%であり、800℃における理論密度での導電率は501S/cmであった。結果を表1に示した。
〔実施例14〕
クエン酸の代わりに酢酸とした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は82%であり、800℃における理論密度での導電率は503S/cmであった。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
SiO2を添加しない以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は74%であり、800℃における理論密度での導電率は514S/cmであった。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
SiO2含有量を1200ppmとした以外は、実施例1と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は98%であり、800℃における理論密度での導電率は220S/cmであった。結果を表1に示した。
〔比較例3〕
原料に炭酸カルシウム(CaCO3)を用いず、La:Sr:Mnの原子比を0.50:0.50:1.00とした以外は、実施例1と同様にしてLa0.50Sr0.50MnO3を作成した。実施例1と同様にして求めたその焼結体の相対密度は75%であり、800℃における理論密度での導電率は200S/cmであった。結果を表1に示した。
〔比較例4〕
SiO2濃度が50ppmであり、かつAl23濃度が100ppmとなるように、実施例1で作成したLa0.50Sr0.25Ca0.25MnO310gと東ソー社製、体積平均粒径1μmのSiO20.0005gと、体積平均粒径1μmのAl230.001gとを、内容積250mlのアルミナ製ポットに入れ、直径5mmのアルミナ製ボールとともにレッチュ社製の遊星ミルを用いて100rpmの回転速度で10分間粉砕混合した。得られた粉砕混合粉から実施例1と同様にして焼結体を得た。その焼結体から密度測定用の試料を削り出した。
試料の重さと体積から求めた焼結密度は5.3g/cm3であり、式(1)より計算した相対密度は88%であった。
上述の焼結体から4mm×4mm×20mmの直方体を削りだし、導電率測定用の焼結体とした。この焼結体に白金電極を焼き付け、実施例1と同様にして測定した800℃における理論密度での導電率は360S/cmであった。結果を表1に示した。
〔比較例5〕
SiO2濃度が500ppmであり、かつAl23濃度が200ppmとなるようにした以外は、比較例4と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた焼結体の相対密度は97%であり、800℃における理論密度での導電率は320S/cmであった。結果を表1に示した。
〔比較例6〕
SiO2濃度が1000ppmであり、かつAl23濃度が250ppmとなるようにした以外は、比較例4と同様にして焼結体の試料を作成した。実施例1と同様にして求めた相対密度は98%であり、800℃における理論密度での導電率は160S/cmであった。結果を表1に示した。
(結果の考察)
上記したように、実施例1から実施例14と、比較例1から比較例6の試料を用いて作成した焼結体の800℃での理論密度における導電率及び相対密度を表1にまとめて示しているが、図1は、当該表から、そのSiO2の添加量と焼結体の導電率の関係を示したグラフである。
図1から分かるように、焼結体の導電率はSiO2の添加量が50ppmから1000ppmまでは低下したが、その低下量は小さい。このことから、この添加量では、SiO2は焼結助剤となり、導電率低下にはほとんど影響を与えないことがわかる。しかし、この添加量を超えると、相対密度は若干上昇するが、導電率が急激に低下することが分かる。
実施例1と比較例4を比較すると、SiO250ppmに加えて、Al23を100ppm加えた試料では、Al23の添加により相対密度は上昇したが、導電率が大きく低下した。このことから、Al23は、焼結助剤として働くが、電子伝導は阻害するものと考えられる。
また、実施例1と比較例3を比較すると、La0.5Sr0.5MnO3のSrの一部をCaで置換することにより、導電率が向上していることが分かる。
図2は実施例及び比較例で合成したLa1-x-ySrxCayMnO3にSiO2を添加したときのSiO2添加量に対する焼結体の相対密度依存性を示したグラフである。図2から分かるように、焼結体の相対密度は、SiO2の添加量の増加とともに500ppmまで増加し、その後ほぼ一定となった。したがって、SiO2添加量を制御することにより、焼結体の密度を高めることができ、相対密度の向上により強度の増加が期待できる。したがって、SiO2の添加量が50ppm〜1000ppmの範囲では、導電率と強度の両立が可能であると考えられる。
Figure 0005574881
上記詳述したように、本発明によれば、固体酸化物型燃料電池において、特定量のSiO2を含有させた固体酸化物型燃料電池用空気極材料を使用することにより、空気極の導電率を低下させることなく、その相対密度を高めることができ、機械的強度を増加させることができるので、その産業上の利用可能性は大きい。
また、本発明によれば、この電極を使用した固体酸化物型燃料電池は、従来のSiO2を添加しない固体酸化物型燃料電池用空気極材料を使用した燃料電池と比較して、過電圧の増加を起こさないという有利な効果を有するので、大きな産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末であって
    ぺロブスカイト構造を有し、一般式(I)
    1-xCaxMnO3 (I)
    (ただし、式中Aは、La及びSrを示し、0<x≦0.6である。)
    を有する粉末を準備し、当該粉末にさらにSiO2を混合してなるものであり、当該SiO2 はその体積平均粒径が0.1〜10μm、その含有量が質量基準で50ppm以上、1000ppm以下である固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末であり、
    当該固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末は、その成型体を焼成した焼結体の相対密度が80%以上で97%以下のときに、理論密度に換算した800℃での導電率が400S/cm以上、520S/cm以下であることを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末。
  2. 請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を成型し焼成してなることを特徴とするその焼結体。
  3. 請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法であって、一般式(I)A 1-x Ca x MnO 3 を有する当該固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を構成する金属元素を含有する原料化合物として、A元素(La、Sr)を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドと、Ca元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドと、Mn元素を含む酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩またはアルコキシドを準備し、これをクエン酸、リンゴ酸、ギ酸、酢酸及びシュウ酸からなる群より選択される1種以上の有機酸、または無機酸の溶液に加えて、当該原料化合物と、当該有機酸または無幾酸とを反応させ、中間生成物である複合有機酸塩または複合無機酸塩を製造し、当該中間生成物を乾燥し、焼成することにより得られた、
    ぺロブスカイト構造を有し、一般式(I)
    1-xCaxMnO3 (I)
    (ただし、式中Aは、La及びSrを示し0<x≦0.6である。)
    を有する粉末に、その体積平均粒径が0.1〜10μmのSiO2粉末を、その含有量が質量基準で50ppm以上、1000ppm以下混合することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法。
  4. 前記原料化合物が、A元素(La、Sr)を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩、Ca元素を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩、及びMn元素を含む酸化物、水酸化物または炭酸塩であることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法。
  5. 有機酸または無機酸のうち無機酸のみを使用するとき、前記無機酸が塩酸、硝酸、硫酸、リン酸及びフッ化水素酸からなる群より選択される1種以上の酸であることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末の製造方法。
  6. 請求項3記載の粉末の製造方法によって製造したSiO2含有固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末を成型し、焼成することを特徴とする、その成型体の製造方法。
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