JP5573692B2 - 窪地の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、浚渫土を用いて水底の窪地を埋め戻す方法に関する。
土砂の採取を目的とした浚渫作業等により、海や湖沼等の水底に形成された窪地が問題となっている。例えば、東京湾では、周辺の海底よりも特に深く掘り下げられた浚渫窪地が約1億m3存在すると言われており、これらの浚渫窪地内では、海水の交換が不足することが原因したり、河川から流入する汚染物質やプランクトンの死骸等の有機物の分解によって酸素が消費されて、極端に酸素が少ない貧酸素水塊が形成されてしまう。そして、貧酸素水塊が形成された環境下では、嫌気性細菌の働きによって、有機物に含まれる硫化物や海水中に含まれる硫酸イオンが還元され、毒性の強い硫化水素ガス(H2S)や硫化物イオン(HS-)が発生する。特に夏場には、硫化物の発生頻度が増し、また、浚渫窪地内に蓄積した汚染物質等からリンが再溶出して問題となる。
上記のように硫化物やリンを含んだ貧酸素水塊が周辺流域に流出すると、直ちに水質を悪化させ、生物の生息環境に多大な影響を与えてしまうことから、近年では、窪地の処理について種々の検討がなされており、また、実際に窪地を埋め戻す作業が各地で行われている。
これまで主に採用されてきた窪地の処理として、天然砂を用いて埋め戻す方法がある。ところが、山砂や海砂等の天然砂を採取することは、自然環境に影響を与えることになり、近年では、天然砂に代わって、例えば、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグを用いて窪地を埋め戻す方法(特許文献1参照)や、浄水場から排出される浄水ケーキを粉砕した粒状浄水ケーキを用いて、閉鎖性水域の底泥表面を被覆する方法(特許文献2参照)などが提案されている。
また、上記に加え、天然砂に代わるものとして、航路の確保等の目的で浚渫された浚渫土を用いて、窪地を埋め戻す方法もある。浚渫土については、一部が埋立て資材等に使用されているものの、その高い含水比が問題となり、処理方法やリサイクル技術の確立が望まれている。そのため、水底に形成された窪地の埋め戻しに浚渫土が利用できれば、浚渫土の処理の面でも極めて有効である。しかしながら、海底等から浚渫された浚渫土は、それ自体が多量の有機物を含んでいることがあり、埋め戻した窪地からの硫化物の発生やリンの溶出を完全に封じることはできない。
特開2004−223514号公報 特開2009−142783号公報
ところで、海底の浚渫窪地等を埋め戻すには、例えば、埋め戻し材料を土運船により投入場所まで運搬し、土運船から埋め戻し材を窪地に直接投入する土運船工法や、埋め戻し材料を土運船により投入場所まで運搬し、グラブ船のバケットを窪地の海底面付近まで下ろして埋め戻し材を投入するグラブ船工法のほか、土運船で投入場所まで運搬した埋め戻し材料を、トレミー管を介して窪地に投入するトレミー管工法などが採用されている。
そして、浚渫土を再利用しながら窪地を処理するために、例えば、浚渫土で基礎地盤を形成して、その表面に被覆層を設けて硫化物やリン等の溶出を阻止しようとすると、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、浚渫土は含水比が高くて軟弱であるため、このような浚渫土からなる基礎地盤に対し、トレミー管等を用いて、被覆層を形成する材料を投入すると、その材料が浚渫土に減り込み、被覆層の上を浚渫土が覆ってしまったり、被覆層を形成する材料が浚渫土によってかき混ぜられてせん断変形を起したりして、結果的に、設計どおりに被覆層が形成されないことが予想される。その結果、埋め戻した窪地からの硫化物の発生やリンの溶出を、完全に封じることができなくなってしまう。
そこで、本発明者等は、上記のような問題を回避しながら、浚渫土を有効利用して窪地を処理する手段について鋭意検討した結果、浚渫土で形成した基礎地盤に対して、所定の設計・施工式に基づいて、その表面を被覆する被覆層を形成していくことで、浚渫土への減り込みやせん断変形を防いで、制度良く確実に被覆することができるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の目的は、浚渫土を用いて窪地を処理することができ、しかも、硫化物やリン等の溶出を封じることができる方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、水底に形成された窪地に浚渫土を投入して基礎地盤を形成した後、基礎地盤の表層面に対して、所定の小領域毎に製鋼スラグを含んだ改質浚渫土を順次投入しながら、基礎地盤の表層面を改質浚渫土層で被覆する窪地の処理方法において、
浚渫土の密度及び改質浚渫土の密度から、下記式(1)に基づき、小領域内に投入される改質浚渫土の施工厚みDと、この改質浚渫土の最下点から、次に改質浚渫土が投入される隣接小領域内の基礎地盤における盛り上がり最高地点までの高さで表される改質浚渫土の沈み込み量Hとの関係を予測し、これらHとDの比(H/D)が1.0以下となるようにして改質浚渫土を投入していき、改質浚渫土層を形成することを特徴とする窪地の処理方法である。
Figure 0005573692
〔ここで、式(1)中のA〜Cは浚渫土が備える定数であって、以下のようにして求めた値である。
A:密度が異なる浚渫土の粘着力の変化について、「浚渫土の密度(kN/m3)」をx軸にし、「浚渫土の粘着力(kN/m2)」をy軸にしてグラフを作成し、このグラフから求められる線形近似式(2)の傾きである。
B:前記線形近似式(2)の切片である。
C:粘着力の異なる少なくとも2種類の浚渫土に対して載荷盤で荷重w(kN/m2)をかけて、載荷盤の最下点から浚渫土の盛り上がり最高点までの高さで表される沈み込み量h(mm)を調べる載荷試験を行い、「荷重w(kN/m2)/浚渫土の粘着力(kN/m2)」をx軸にし、「沈み込み量h(mm)」をy軸にして浚渫土毎にグラフを作成し、それぞれのグラフから求められる線形近似式(3)の傾きを平均した値である。〕
本発明における窪地の処理方法では、例えば図1に示すように、窪地内で基礎地盤を形成する浚渫土2に対し、トレミー管等の投入手段4を用いて、製鋼スラグを含んだ改質浚渫土3を投入していき、所定量の投入が済んだら、この投入手段4を移動させて、再び改質浚渫土3を投入する。このような動作を繰り返して、基礎地盤の表層面を所定の小領域bに区画して、改質浚渫土3を順次投入していき、図3に示すように、窪地1に投入した浚渫土2の表面を覆うように、その上部に改質浚渫土3からなる層(改質浚渫土層)を設けて、水底5に形成された窪地1を処理する。
ここで、図2は、基礎地盤を形成した浚渫土2に対して改質浚渫土3が投入された様子を示す断面模式図である。投入された所定量の改質浚渫土3は、その自重によって軟弱な浚渫土2に一部が減り込まれて、この小領域b1と隣接する他の小領域b2の浚渫土の表面を盛り上げて、***2aを形成する。そして、この***2aの高さが、先に投入された小領域b1の改質浚渫土3の高さを超えていると、次に小領域b2に改質浚渫土3が投入された際、***2aの一部が小領域b1の改質浚渫土3の上に覆いかぶさってしまったり、浚渫土2と改質浚渫土3とがかき混ぜられたりして、結果的に、改質浚渫土層がせん断変形したような状態となって、目的どおりに正しく基礎地盤の表層面を覆うことができなくなるおそれがある。
そこで、本発明では、小領域b1に投入された改質浚渫土3の施工厚みDと、この改質浚渫土3の厚み方向の最下点から、次に改質浚渫土を投入する予定の隣接小領域b2における浚渫土の***2aの最高地点までの高さで表される沈み込み量Hとの関係を、下記式(1)に基づき予測し、これらHとDの比(H/D)が1.0以下となるようにし、好ましくはH/Dが0.8以下となるようにして、改質浚渫土層を形成する。
Figure 0005573692
これまで窪地を処理する工法では、主に埋め戻し材の投入量のみによってその施工厚みを制御していたところ、本発明では、「浚渫土の密度」及び「改質浚渫土の密度」をパラメータに含んだ式(1)を用いることで、改質浚渫土の施工厚みと、その沈み込み量との関係を事前に予測することが可能となり、軟弱な浚渫土からなる基礎地盤の表層面に確実に改質浚渫土層を形成することができるようになる。事前に予測したH/Dが1.0を超えるような場合には、例えば、改質浚渫土における製鋼スラグと浚渫土との配合割合を調整して、H/Dが1.0以下となるように制御して施工するようにすれば良い。
ここで、式(1)中のA〜Cは浚渫土が備える定数であって、以下のようにして求めた値である。本発明者等は、浚渫土の密度と粘着力とが相関関係を有することに着目して、次のようにして定数A〜Cを特定することで、沈み込みの条件を浚渫土と改質浚渫土の密度の比で表せることを見出した。
先ず、定数Aは、密度が異なる浚渫土の粘着力の変化に関して、「浚渫土の密度(kN/m3)」をx軸にとり、「浚渫土の粘着力(kN/m2)」をy軸にとってグラフを作成し、このグラフから求められる線形近似式(2)の傾きである。また、定数Bは、その線形近似式(2)の切片である。一方、定数Cは、粘着力の異なる少なくとも2種類の浚渫土に対して載荷盤で荷重w(kN/m2)をかけて、載荷盤の最下点から浚渫土の盛り上がり最高点までの高さで表される沈み込み量h(mm)を調べる載荷試験を行い、「荷重w(kN/m2)/浚渫土の粘着力(kN/m2)」をx軸にし、「沈み込み量h(mm)」をy軸にして、加水調整した浚渫土毎にグラフを作成し、それぞれのグラフから求められる線形近似式(3)の傾きを平均した値である。
本発明において、窪地に投入する浚渫土は、港湾、河川、運河等の航路や泊地を拡げる目的や、河川、湖沼、ダム等の水底や海底の汚泥・底質汚染を除去する目的等を含め、総じて浚渫作業により生じた土粒子と水とを含んだものである。これら浚渫土は、水と土粒子との質量比率(水/土粒子)で表される含水比が一般に70〜250%程度であり、例えばダンプトラック等に山積みして搬送するのが困難であったり、その上を人が歩けない程度の軟弱なものである。本発明では、先ず、このような浚渫土を窪地に投入して、窪地内に基礎地盤を形成する。この浚渫土は、土運船等によって投入する窪地まで運搬した後、例えば土運船から窪地に直接投入したり(土運船工法)、グラブ船のバケット等を窪地内に下ろして投入してもよく(グラブ船工法)、或いはトレミー管を介して窪地に投入してもよく(トレミー管工法)、特にその投入方法に制限はない。また、その投入量については、窪地の形状や窪地の容積等によっても異なるが、次いで投入する改質浚渫土からなる改質浚渫土層と共に、最終的に窪地を処理する目的等に応じて適宜設定することができる。
改質浚渫土層を形成する改質浚渫土は、浚渫土に製鋼スラグを混ぜ合わせたものである。製鋼スラグは、鉄鋼製造プロセスで副産物として産出されるものであり、転炉や電気炉等の製鋼炉において、銑鉄やスクラップから鋼を製造する際に発生するスラグの総称である。一般に、製鋼スラグは、高温の状態でヤードやピット等に流し込み、自然放冷と適度の散水によってゆっくりと冷却させて製造するが、この製鋼スラグは、f-CaO(可溶性石灰)の含有量が高く、水と接触すると膨張し易い特性があるため、屋外エージング処理や蒸気等を用いた促進エージング処理により、膨張防止対策を施すこともある。本発明では、このようなエージング処理を施した製鋼スラグであってもよく、未エージング処理の製鋼スラグを用いてもよい。
製鋼スラグは、Ca、Si、Al、Fe等の化合物からなり、しかも1500℃程度の高温で処理されているため、浚渫土のように外部から流入した汚染物質やプランクトンの死骸等の有機物は含まれておらず、硫酸還元菌の生息も考えにくい。そのため、製鋼スラグを混合することで、改質浚渫土中の有機物割合や硫酸還元菌の数は自ずと減少する。また、製鋼スラグは弱い水硬性を有し、特に浚渫土と混ぜ合わされることで、浚渫土から供給される溶解性シリカと、製鋼スラグ中のカルシウムとが反応して固化が進むと考えられる。そして、改質浚渫土からなる改質浚渫土層がある程度固化されれば、基礎地盤を形成する浚渫土から溶出するおそれのある硫化物、リン、窒素等の富栄養化物質を封じることができると共に、改質浚渫土に含まれる浚渫土からこれらの富栄養化物質が溶け出すことを防ぐことができる。
このような観点から、改質浚渫土における製鋼スラグと浚渫土との配合割合(製鋼スラグ質量:浚渫土質量)は、好ましくは10:90〜50:50であるのがよく、より好ましくは20:80〜40:60であるのがよい。製鋼スラグの配合割合が上記範囲未満であると、基礎地盤の浚渫土から富栄養化物質が溶出するのを封じる効果、又は、改質浚渫土層から富栄養化物質が溶出するのを抑える効果のいずれかが不十分になるおそれがあり、反対に上記範囲を超えると、改質浚渫土層の近辺のpHを上昇させてしまい、特に海底ではpHが9.5を超えてMg2+がMg(OH)2となって析出してしまうことがある。また、製鋼スラグの固化促進の観点から、その50%粒径10mm未満の製鋼スラグを50質量%以上含むことが望ましい。粒径が10mm以上の製鋼スラグは、pHは上昇し難いものの、逆に、固化促進に必要なカルシウムイオンやシリカの溶解速度が低下するため、固化速度が低下するおそれがある。なお、特開2005−47789号公報にあるように、炭酸ガスを含んだ相対湿度75〜100%のガスで処理した炭酸化製鋼スラグを用いると、水中でのpH上昇を抑えることができるため、改質浚渫土における製鋼スラグの配合割合の上限を高めることも可能である。ただし、炭酸化処理後の製鋼スラグでは、カルシウムの溶出が減少するため、固化促進を優先させる場合には、炭酸化処理を施していない製鋼スラグを用いるのが望ましい。また、改質浚渫土には、改質浚渫土層の目的から外れない範囲で他の成分(骨材、天然石等)が含まれてもよい。
改質浚渫土を投入する手段については、基礎地盤の表層面に対して小領域毎に順次投入可能な方法であれば特に制限されないが、先に投入した浚渫土の撒き上げを少なくしたり、施工厚みをほぼ均一にできることなどから、好適には、トレミー管等を介して基礎地盤の表層面に投入するようにするのが良い。また、トレミー管工法では、例えばGPSで位置情報を確認しながら、3m×3m程度の小領域に区画して窪地を処理していくのが一般的であり、本発明では、このような公知の工法を利用して、改質浚渫土を投入することができる。改質浚渫土を投入して形成する改質浚渫土層の施工厚みDは、処理対象の窪地の形状や水底の状況等によっても異なるが、好ましくは50cm以上であるのが良く、より好ましくは100cm以上500cm以下であるのが良い。施工厚みDが50cm以上であれば、基礎地盤の浚渫土から富栄養化物質が溶出するのを十分に防ぐことができる。なお、先に述べたように、改質浚渫土に含まれる製鋼スラグは、水中のpHを上昇させる可能性があるため、事前にバッチ試験等を実施して、改質浚渫土の硫化物等の溶出抑制効果(基礎地盤の封じ込め、及び自己溶出)を確認すると共に、pH上昇の影響を把握するようにするのが望ましい。
また、本発明では、例えば図4に示すように、改質浚渫土層を2層以上で構成するようにしても良い。すなわち、上述したように、式(1)に基づき、小領域内に投入される改質浚渫土の施工厚みDと、その改質浚渫土の沈み込み量Hとの関係を予測し、H/Dが1.0以下となるようにして、所定の小領域毎に改質浚渫土を順次投入して、基礎地盤の表層面に第一の改質浚渫土層3aを形成した後、第一の改質浚渫土層3aの表面に対して、再度、所定の小領域毎に改質浚渫土を順次投入して第二の改質浚渫土層3bを形成して、基礎地盤の表層面を複数の改質浚渫土層で被覆するようにしても良い。このようにすれば、第一の改質浚渫土層3aを形成して固化が促進した後に、第二の層3bを形成するための改質浚渫土を投入できるため、より確実に軟弱な浚渫土からなる基礎地盤の表層面に改質浚渫土層を形成することができる。
本発明によれば、軟弱な浚渫土からなる基礎地盤の表層面に、確実にかつ精度良く改質浚渫土層を形成することができる。そのため、窪地に投入した浚渫土から硫化物やリン等の溶出を抑えて、周辺環境に悪影響を与えることなく窪地を処理することができる。
図1は、本発明における窪地の処理方法を模式的に示した斜視説明図である。 図2は、本発明における窪地の処理方法を模式的に示した断面説明図である。 図3は、本発明によって処理した窪地の様子を模式的に示した断面説明図である。 図4は、本発明によって処理した窪地の様子を模式的に示した断面説明図の変形例である。 図5は、本発明に係る実施の形態において、式(1)の定数A及びBを求めるのに用いた線形近似式(2)を示すグラフである。 図6は、本発明に係る実施の形態において、式(1)の定数Cを求める載荷試験の様子を示すものであり、(a)は使用した試験装置の写真、(b1)は載荷試験の様子を示す平面模式図、(b2)は試験装置の水槽内での浚渫土の様子を示す側面模式図である。 図7は、本発明に係る実施の形態における載荷試験で得たグラフであり、浚渫土への荷重に対する沈み込み量の関係を示す。 図8は、図7におけるグラフの横軸(x軸)を「荷重w/浚渫土の粘着力」にしてグラフ化したものである。 図9は、浚渫土の密度と、その表層面に投入される改質浚渫土の密度との関係について、実施の形態で求めた式(1)=1.0を境界線として示したグラフである。
以下、本発明における窪地の処理方法について、設計・施工の予測に用いる式(1)の定数A〜Cの求め方の一例を示しながら、具体的に説明する。
(定数A及びBについて)
先ず、東京湾で採取された浚渫土X1(含水比174.0%、湿潤密度12.91kN/m3、粘着力1.5kN/m2)と、これに水を加えて粘着力が1.0kN/m2になるように2軸強制練りミキサーで2分間混練した浚渫土X2(含水比190.3%、湿潤密度12.79kN/m3、粘着力1.0kN/m2)を用意した。また、三河湾で採取された浚渫土X3(含水比141.4%、湿潤密度13.30kN/m3、粘着力3.5kN/m2)と、これに水を加えて粘着力が1.0kN/m2になるように2軸強制練りミキサーで2分間混練した浚渫土X4(含水比189.6%、湿潤密度12.72kN/m3、粘着力1.0kN/m2)を用意した。ここで、各浚渫土の湿潤密度(kN/m3)は、添加水を含めた調整後の浚渫土の単位体積あたりの質量であって、JIS A 1225の土の湿潤密度試験にて求めた値である。また、粘着力(kN/m2)は、原位置ベーンせん断試験(「地盤調査の方法と解説」(社)地盤工学会 平成16年6月1日発行 310-312頁)にて求めた値である。これらをまとめて表1に示す。
Figure 0005573692
次に、上記で用意した浚渫土X14について、x軸に湿潤密度(kN/m3)をとり、y軸に粘着力(kN/m2)をとってプロットして、図5に示すグラフを得た。このグラフの一次回帰直線から、浚渫土の粘着力と密度との関係を示す線形近似式(2)を算出し、その傾き「4.5522」を浚渫土の定数Aとし、切片「−57.11」を浚渫土の定数Bとした。なお、図5のグラフでは、便宜上、x軸の密度を12.6(kN/m3)から表記している。
Figure 0005573692
(定数Cについて)
次に、線形近似式(2)を算出するのに用いた浚渫土X2(粘着力1.0kN/m2)と、浚渫土X3に水を加えて別途用意した浚渫土X5(粘着力2.0kN/m2、湿潤密度13.18kN/m3)とを用いて、以下のようにして、載荷荷重に対する沈み込み量の関係を調べる載荷試験を行った。先ず、図6(a)に示したように、内径が縦220mm×横375mm×高さ300mmの水槽6に浚渫土X2を入れ、図6(b1)に示したように、投入した浚渫土X2の平面横方向の中心部に幅75mm×長さ220mmの発泡スチロール製の載荷盤7が位置するように、荷重試験機8を取り付けて、載荷盤7の底面が浚渫土X2の表面に触れるところまで下ろして固定した(この時点で浚渫土に対する荷重はゼロである)。なお、荷重試験における変位が分り易くするために、水槽に入れた浚渫土X2は、図6(b2)に示すように、厚さ40mm毎に色分けをして合計200mmの高さにしているが、これら5層の浚渫土はいずれも浚渫土X2からなる。
上記のようにして準備した試験装置を用いて、荷重試験機8で鉛直方向に荷重w(kN/m2)をかけていき、その時の載荷盤7の最下点から水槽6内の浚渫土X2の盛り上がり最高点までの高さで表される沈み込み量h(mm)を求めて、荷重w(kN/m2)をx軸にとり、沈み込み量h(mm)をy軸にとってプロットして、グラフを得た。ここで、沈み込み量hを決める際には、浚渫土X2をプレスした面の載荷盤7の四隅を基準とし(最下点とし)、そこから浚渫土X2の盛り上がりが最高となる地点までの高さを求めて、4つの高さの平均値を算出した。このような載荷試験を浚渫土X5についても同様にして行い、浚渫土の粘着力c(kN/m2)に応じた関係性を確認するため、図7に示すように、ひとつのグラフにまとめた。
次いで、上記のようにして2種類の浚渫土X2及び浚渫土X5について求めた、載荷盤による荷重wと載荷盤の沈み込み量hとの関係性について、浚渫土のそれぞれの粘着力cを、図7におけるx軸の変数に加えてグラフ化すると、図8のようになる。すなわち、このグラフは、x軸を浚渫土の粘着力を加味した「荷重w(kN/m2)/浚渫土の粘着力(kN/m2)」とし、y軸を「沈み込み量h(mm)」としてプロットしたものであって、浚渫土が備える支持力(地盤耐力)を正しく反映するものである。そして、この図8のグラフをそれぞれ原点を通る一次回帰の直線に置き換えて、粘着力C=1.0(kN/m2)の場合の線形近似式の傾きと粘着力c=2.0(kN/m2)の場合の傾きの平均値「32.4」を用いれば、載荷試験における荷重wと沈み込み量hとの関係について、浚渫土の粘着力に応じた関数で書き表すことができる。すなわち、次のような線形近似式(3)が得られる。そして、この傾きの平均値「32.4」を浚渫土の定数Cとした。
Figure 0005573692
(式(1)について)
上記で求めた線形近似式(3)については、先に求めた線形近似式(2)を使って書き改めると、以下の式(4)のようになる。
Figure 0005573692
ここで、実際の施工を考えた場合、荷重wは、改質浚渫土層を形成する改質浚渫土の密度とその施工厚みDとの積になることに着目し、これを考慮して上記(4)を変形すると、次の式(5)が得られる。
Figure 0005573692
そして、浚渫土は高い含水比を有し、その粘着力は極めて小さいことから、上記の載荷試験における水槽の壁面との摩擦係数は殆んど無視することができることから、「沈み込み量h」は、そのまま実際の施工における「沈み込み量H」とみなすことができる。よって、設計・施工の予測に用いる式(1)は、次のとおりに表される。
Figure 0005573692
実際に窪地を処理する際には、基礎地盤を形成する浚渫土の密度と改質浚渫土層を形成する改質浚渫土の密度から、上記で得られた式(1)に基づき、小領域内に投入される改質浚渫土の施工厚みDと、この改質浚渫土の最下点から、次に改質浚渫土が投入される隣接小領域内の基礎地盤における盛り上がり最高地点までの高さで表される改質浚渫土の沈み込み量Hとの関係を予測し、これらHとDの比(H/D)が1.0以下となるようにして改質浚渫土を投入していけばよい。このようにして、改質浚渫土層を形成することで、窪地に投入した浚渫土から硫化物やリン等の溶出を抑えて、周辺環境に悪影響を与えることなく窪地を処理することができる。ここで、H/D=1.0として式(1)をグラフ化すると図9のようになり、実線より上方は改質浚渫土が減り込まない領域である。すなわち、改質浚渫土が基礎地盤に減り込んでしまう現象は浚渫土と改質浚渫土の密度の比で表されることから、この減り込みを防止するには、基礎地盤を形成する浚渫土に対する改質浚渫土の密度条件が定められる。そのため、例えば改質浚渫土の配合割合等を調整することで、適切な改質浚渫土層を形成することができる。
本発明の方法は、海や湖沼等の水底に形成された窪地を埋め戻して処理する方法であって、周辺よりも深く掘り下げられたような海底の浚渫窪地を処理するのに好適な方法である。
1:窪地
2:浚渫土
3:改質浚渫土
3a:第一の改質浚渫土層
3b:第二の改質浚渫土層
4:投入手段
5:水底
6:水槽
7:載荷盤
8:荷重試験機

Claims (4)

  1. 水底に形成された窪地に浚渫土を投入して基礎地盤を形成した後、基礎地盤の表層面に対して、所定の小領域毎に製鋼スラグを含んだ改質浚渫土を順次投入しながら、基礎地盤の表層面を改質浚渫土層で被覆する窪地の処理方法において、
    浚渫土の密度及び改質浚渫土の密度から、下記式(1)に基づき、小領域内に投入される改質浚渫土の施工厚みDと、この改質浚渫土の最下点から、次に改質浚渫土が投入される隣接小領域内の基礎地盤における盛り上がり最高地点までの高さで表される改質浚渫土の沈み込み量Hとの関係を予測し、これらHとDの比(H/D)が1.0以下となるようにして改質浚渫土を投入していき、改質浚渫土層を形成することを特徴とする窪地の処理方法。
    Figure 0005573692
    〔ここで、式(1)中のA〜Cは浚渫土が備える定数であって、以下のようにして求めた値である。
    A:密度が異なる浚渫土の粘着力の変化について、「浚渫土の密度(kN/m3)」をx軸にし、「浚渫土の粘着力(kN/m2)」をy軸にしてグラフを作成し、このグラフから求められる線形近似式(2)の傾きである。
    B:前記線形近似式(2)の切片である。
    C:粘着力の異なる少なくとも2種類の浚渫土に対して載荷盤で荷重w(kN/m2)をかけて、載荷盤の最下点から浚渫土の盛り上がり最高点までの高さで表される沈み込み量h(mm)を調べる載荷試験を行い、「荷重w(kN/m2)/浚渫土の粘着力(kN/m2)」をx軸にし、「沈み込み量h(mm)」をy軸にして浚渫土毎にグラフを作成し、それぞれのグラフから求められる線形近似式(3)の傾きを平均した値である。〕
  2. 改質浚渫土における製鋼スラグと浚渫土との配合割合を調整して、H/Dが1.0以下となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の窪地の処理方法。
  3. 改質浚渫土における製鋼スラグと浚渫土との配合割合(製鋼スラグ:浚渫土)が、1:9〜5:5である請求項1又は2に記載の窪地の処理方法。
  4. H/Dが1.0以下となるように、所定の小領域毎に改質浚渫土を順次投入して、基礎地盤の表層面に第一の改質浚渫土層を形成した後、第一の改質浚渫土層の表面に対して、所定の小領域毎に改質浚渫土を順次投入して第二の改質浚渫土層を形成して、基礎地盤の表層面を改質浚渫土層で被覆する請求項1〜3のいずれかに記載の窪地の処理方法。
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