JP5572095B2 - 非抗凝固性多糖組成物 - Google Patents

非抗凝固性多糖組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5572095B2
JP5572095B2 JP2010532314A JP2010532314A JP5572095B2 JP 5572095 B2 JP5572095 B2 JP 5572095B2 JP 2010532314 A JP2010532314 A JP 2010532314A JP 2010532314 A JP2010532314 A JP 2010532314A JP 5572095 B2 JP5572095 B2 JP 5572095B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polysaccharide
formulation
pharmaceutical composition
less
molecular weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010532314A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011503001A (ja
Inventor
マルリク サンダラム
タカシ ケイ キシモト
スチャリタ ロイ
Original Assignee
モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド filed Critical モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
Publication of JP2011503001A publication Critical patent/JP2011503001A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5572095B2 publication Critical patent/JP5572095B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08BPOLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
    • C08B37/00Preparation of polysaccharides not provided for in groups C08B1/00 - C08B35/00; Derivatives thereof
    • C08B37/006Heteroglycans, i.e. polysaccharides having more than one sugar residue in the main chain in either alternating or less regular sequence; Gellans; Succinoglycans; Arabinogalactans; Tragacanth or gum tragacanth or traganth from Astragalus; Gum Karaya from Sterculia urens; Gum Ghatti from Anogeissus latifolia; Derivatives thereof
    • C08B37/0063Glycosaminoglycans or mucopolysaccharides, e.g. keratan sulfate; Derivatives thereof, e.g. fucoidan
    • C08B37/0075Heparin; Heparan sulfate; Derivatives thereof, e.g. heparosan; Purification or extraction methods thereof
    • C08B37/0078Degradation products
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/715Polysaccharides, i.e. having more than five saccharide radicals attached to each other by glycosidic linkages; Derivatives thereof, e.g. ethers, esters
    • A61K31/726Glycosaminoglycans, i.e. mucopolysaccharides
    • A61K31/727Heparin; Heparan
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/04Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for ulcers, gastritis or reflux esophagitis, e.g. antacids, inhibitors of acid secretion, mucosal protectants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • A61P13/08Drugs for disorders of the urinary system of the prostate
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P15/00Drugs for genital or sexual disorders; Contraceptives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/06Immunosuppressants, e.g. drugs for graft rejection
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Description

背景
マスト細胞により産生され、かつ自然源から単離されたヘパリン、高硫酸化ヘパリン様グリコサミノグリカン(HLGAG)は、広く使用されている臨床的抗凝固薬である。しかしながら、天然または未分画ヘパリンの作用は、予想するのが難しく、過剰または過小抗凝固を防ぐために患者を厳重にモニターしなければならない。高分子ヘパリンの分画または解重合の様々な方法によって得られる低分子量ヘパリン(LMWH)は、未分画ヘパリン(UFH)よりも、抗凝固薬として予測可能な薬理作用、少ない副作用、持続性抗血栓活性、および優れたバイオアベイラビリティを有する。数種類のLMWHは、血栓症状の外来患者の治療に認可されている。
癌患者の管理における抗血栓剤の潜在的な役割への関心が高まっている。最近のいくつかの臨床試験の結果から、LMWHで治療された特定タイプの癌患者に対する延命効果が示唆されている(Lemoine,2005,Journal of Clinical Oncology,23:2119−20(非特許文献1)に概説されている)。
Lemoine,2005,Journal of Clinical Oncology,23:2119−20
本発明は、実質的な抗凝固活性を欠くが(例えば、実質的に抗凝固活性を持たない多糖製剤)、他の非凝固媒介生物学的プロセスにおける活性を保持する多糖製剤、例えばヘパリンから誘導される多糖の製剤の開発、ならびにそれを製造する方法に一部基づく。これらの化合物は以下の特徴:1)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性;2)抗転移、抗血管新生、抗線維化および/または抗炎症活性;のうちの1つまたは複数を有し得る。本明細書に開示される多糖は、他の多糖(例えば、市販のヘパリン)と区別される構造的特徴も有する。例えば、本明細書で提供される多糖製剤は、以下の特徴:50%未満のグリコール分割ウロン酸残基を有する;多糖鎖1本当たり3個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U)を有する;40%を超えるU2SNS,6S二糖残基を有する;製剤の脱硫酸化度が40%未満である;製剤中の1つまたは複数の多糖鎖が、非還元性ウロン酸末端残基の4,5−不飽和を有する;製剤中の1つまたは複数の多糖鎖が、還元性末端に2,5−アンヒドロマンニトール残基を有する;製剤の重量平均分子量が3,500〜7,000ダルトンである;のうちの1つまたは複数を有し得る。この開示内容は、これらの特性および特徴のうちの1つまたは複数を有する製剤ならびにかかる製剤を製造する方法および使用する方法を包含する。この開示内容は、かかる製剤を使用する方法も特徴とする。
したがって、第1の局面において、本発明は、以下の特性:(a)重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトン;(b)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性(例えば、抗Xa活性約40IU/mg、30IU/mg、20IU/mg、15IU/mg、または10IU/mg未満、抗IIa活性約40IU/mg、30IU/mg、20IU/mg、10IU/mg、5IU/mg、4IU/mg、または3IU/mg未満);(c)製剤中のグリコール分割ウロン酸残基50%未満(例えば、グリコール分割ウロン酸残基40%、30%、25%、または20%未満);を有する多糖製剤(例えば、ヘパリン誘導製剤)を特徴とする。一部の実施形態において、製剤は、グリコール分割ウロン酸残基5〜50%(例えば、グリコール分割ウロン酸残基5〜40%、5〜30%、10〜50%、10〜40%、または10〜30%)を含有する。
第2の局面において、本発明は、以下の特性:(a)重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトン;(b)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性(例えば、抗Xa活性約40IU/mg、30IU/mg、20IU/mg、15IU/mg、または10IU/mg未満、抗IIa活性約40IU/mg、30IU/mg、20IU/mg、10IU/mg、5IU/mg、4IU/mg、または3IU/mg未満);(c)製剤の多糖鎖が、多糖鎖1本当たり3個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U)を有する(例えば、各多糖鎖が、多糖鎖1本当たり2個以下または1個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U)を有する);を有する多糖製剤(例えば、ヘパリン誘導製剤)を特徴とする。
第3の局面において、本発明は、以下の特性:(a)重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトン;(b)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性(例えば、抗Xa活性約40IU/mg、30IU/mg、20IU/mg、15IU/mg、または10IU/mg未満、抗IIa活性約40IU/mg、30IU/mg、20IU/mg、10IU/mg、5IU/mg、4IU/mg、または3IU/mg未満);(c)製剤の多糖鎖が、多糖鎖1本当たり3個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U)を有する(例えば、多糖鎖1本当たり平均で2.5個以下、2個以下、1.5個以下、または1個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U));を有する多糖製剤(例えば、ヘパリン誘導製剤)を特徴とする。
第4の局面において、本発明は、以下の特性:(a)重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトン;(b)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性(例えば、抗Xa活性約40IU/mg、30IU/mg、20IU/mg、15IU/mg、または10IU/mg未満、抗IIa活性約40IU/mg、30IU/mg、20IU/mg、10IU/mg、5IU/mg、4IU/mg、または3IU/mg未満);(c)40%を超えるU2SNS,6S二糖残基(例えば、50%、60%、70%、または80%を超えるU2SNS,6S二糖残基);を有する多糖製剤(例えば、ヘパリン誘導製剤)を特徴とする。一部の実施形態において、製剤は、脱硫酸化度40%未満(例えば、30%、20%、または10%未満)を有する。
第5の局面において、本発明は、実質的な抗凝固活性を欠く(例えば、実質的に抗凝固活性を持たない)多糖製剤(例えば、ヘパリン誘導製剤)を特徴とし、その製剤は、式I:
[U−Hx,y,z〜[U−Hx,y,z
を含む多糖を含み、
式中、Uは、ウロン酸残基を示し、Hは、ヘキソサミン残基を示し;
mおよびnは、
m=4〜16(例えば、4〜8、4〜9、4〜10、4〜11、4〜12、4〜13、4〜14、または4〜15);
n=1〜4(例えば、1〜2または1〜3);であるような整数であり;
w=−2OSまたは−2OHであり;
x=−NSまたは−NAcであり;
y=−3OSまたは−3OHであり;
z=−6OSまたは−6OHであり;

Figure 0005572095
であり;
式中、記号〜が、mおよびnで示される単位が多糖鎖に沿って分布しており、かつ必ずしも順序どおりではないことを示し、w、x、y、およびzがそれぞれ、mで示される各単位で同一または異なり、かつx、y、およびzがそれぞれ、nで示される各単位で同一または異なる。
第6の局面において、本発明は、実質的な抗凝固活性を欠き(例えば、実質的に抗凝固活性を持たない)、かつ抗転移活性を有する多糖製剤(例えば、ヘパリン誘導製剤)を特徴とし、その製剤は、式II:
[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z
を含む多糖を含み、
式中、Uは、ウロン酸残基を示し、Hは、ヘキソサミン残基を示し;
m〜rは、
m=0〜10;
n=0〜3;
o=0〜10;
p=0〜3;
q=0〜10;であるような整数であり;
w=−2OSまたは−2OHであり;
x=−NSまたは−NAcであり;
y=−3OSまたは−3OHであり;
z=−6OSまたは−6OHであり;

Figure 0005572095
であり;w、x、y、およびzがそれぞれ、m、n、o、p、またはqで示される各単位で同一または異なる。一部の実施形態において、n+pの合計は4以下(例えば、3、2、1、または0以下)である。一部の実施形態において、製剤は、重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトンを有する。
本発明は、本明細書に記載の(例えば、上述の)製剤のいずれかの薬学的に許容される塩および本明細書に記載の製剤を含む組成物(例えば、医薬組成物)および/またはその薬学的に許容される塩も包含する。
本明細書に記載の製剤のいずれか、例えば上述の製剤は、他の特性を有し得る。例えば、上述の製剤または医薬組成物のいずれかはさらに、以下に示す機能的または構造的特性のうちの1つまたは複数を有し得る。
一実施形態において、製剤における多糖鎖のうちの少なくとも1つは、非還元性末端に以下の構造のうちの1つを有する:
Figure 0005572095
式中、XはHまたはMeであり、RはHまたはSOである。例えば、製剤または医薬組成物の非還元性末端の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または実質的にすべてが、その構造を有する。
一実施形態において、製剤または医薬組成物における多糖鎖のうちの少なくとも1つが、還元性末端に2,5−アンヒドロマンニトール残基を含む。例えば、製剤または医薬組成物における多糖鎖の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または実質的にすべてが、還元性末端に2,5−アンヒドロマンニトール残基を含む。
一実施形態において、製剤または医薬組成物は、製剤のオリゴ糖の10〜50%(例えば、10〜40%、10〜30%、15〜30%または15〜25%)が3000ダルトン未満の分子量を有し;オリゴ糖の40〜65%(例えば、45〜65%、50〜65%、または55〜65%)が3000〜8000ダルトンの分子量を有し、オリゴ糖の5〜30%(例えば、10〜30%、15〜30%、10〜25%、または15〜25%)が8000ダルトンを超える分子量を有するような分子量分布を有する。
一実施形態において、製剤は、多分散性指数約1.2〜1.7(例えば、約1.3〜1.7、1.2〜1.6、または1.3〜1.6)を有する。
一実施形態において、製剤または組成物は、抗転移活性を有する。
一実施形態において、製剤または組成物は、VEGF、FGF、SDF−1−α、またはP−セレクチンのうちの1つまたは複数に特異的に結合する、または、VEGF、FGF、SDF−1−α、またはP−セクションのうちの1つまたは複数の活性を抑制する。
一実施形態において、製剤または組成物は、ナトリウム含有率30%、25%、20%、15%、10%未満を有する。一実施形態において、製剤または組成物は、ヨウ素20ppm、15ppm、10ppm、5ppm未満;硫黄30%、25%、20%、15%、10%未満;ホウ素50、40、30、20、15ppm未満;を含む。
他の局面において、本発明は、製剤を製造する方法を特徴とする。この方法は、UFHと亜硝酸(HONO)を合わせて、多糖製剤を生成する工程と;亜硝酸処理後に、反応を行って、製剤におけるウロン酸残基の少なくとも一部のグリコール分割を生成する工程と;を含む。
他の局面において、製剤を製造する方法は、UFHを解重合する工程と(例えば、化学的加水分解または酵素的解重合によって);解重合に続いて、反応を行い、製剤におけるウロン酸残基の少なくとも一部のグリコール分割を生成する工程と;を含む。
一実施形態において、製剤におけるウロン酸残基の少なくとも一部のグリコール分割を生成する反応は、過ヨウ素酸で多糖製剤を酸化する工程と;酸化された多糖製剤を水素化ホウ素ナトリウムで還元する工程と;を含む。例えば、この方法は、温度約0〜10℃にて多糖製剤を過ヨウ素酸で約10〜20時間酸化する工程と;酸化に続いて、pH約5.0〜8.0、温度約0〜10℃にてその試料を水素化ホウ素ナトリウムで還元する工程と;を含む。
他の局面において、本発明は、製剤を製造する方法を特徴とする。この方法は:(1)未分画ヘパリン(UFH)を解重合して(例えば、亜硝酸解重合、加水分解的解重合、または酵素的解重合によって)、多糖製剤を生成する工程と;(2)その多糖製剤を過ヨウ素酸で酸化する工程と;(3)酸化された多糖製剤を水素化ホウ素ナトリウムで還元する工程と;(4)多糖製剤を単離し(例えば、塩と極性有機溶媒で沈殿させることによって、またはクロマトグラフ分離または精製にかけることによって)、その結果製剤が製造される工程と;を含む。
一実施形態において、解重合の工程は、pH約2〜4で約1〜5時間、温度約10〜30℃にて約0.01〜0.05M(例えば、約0.02〜0.04M)亜硝酸でUFHを処理することを含む。
一実施形態において、酸化の工程は、温度約0〜10℃にて約0.05〜0.2M過ヨウ素酸で多糖製剤を約10〜20時間処理することを含む。
一実施形態において、還元の工程は、pH約6.0〜7.0および温度約0〜10℃にて、酸化多糖製剤を約0.5〜2.0%(w/v)水素化ホウ素ナトリウムで約0.5〜3時間処理することを含む。
一実施形態において、多糖製剤を製造または生産する方法は、製剤中のホウ素の量を減らすことを含む。
一実施形態において、製剤は、生物活性について、例えば抗転移活性;VEGF、FGF、SDF−1α、およびP−セレクチンのいずれかへの結合;または;VEGF、FGF、SDF−1α、およびP−セレクチンのいずれかの活性の抑制について評価される。
本明細書で使用される、実質的な抗凝固活性を欠く多糖製剤は、それぞれ100IU/mg未満(例えば、80IU/mg、70IU/mg、または60IU/mg未満)の抗Xaおよび抗IIa活性を有する製剤である。一部の実施形態では、多糖製剤は実質的に抗凝固活性を持たず、すなわち、それぞれ50IU/mg未満の抗Xaおよび抗IIa活性を有する。一部の実施形態では、多糖製剤は、それぞれ40、30、20、25、20、15、10または5IU/mg未満の抗Xaおよび抗IIa活性を有する。
本明細書で使用される脱硫酸化度は、未分画ヘパリンと比較して、二糖単位モル数当たりの硫酸塩モル数で還元%として定義される。
本明細書で使用される硫酸化度は、二糖単位モル数当たりの硫酸塩モル数の平均数として定義される。
他の局面において、本発明は、本明細書に記載の方法によって製造された多糖製剤を特徴とする。
他の局面において、本発明は、本明細書に記載の多糖製剤を製造または分析する方法のいずれかから得られる中間体または反応混合物を含む。
他の局面において、本発明は、本明細書に記載の多糖製剤を含む医薬組成物を特徴とする。
一実施形態において、この医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
他の局面において、本発明は、本明細書に開示される治療有効量の多糖製剤を被検者に投与することを含む、被検者を治療する方法を特徴とする。「治療すること」、「治療」等は、目的の薬理学的、生理学的または臨床的効果を得るために、被検者または被検者の細胞もしくは組織に製剤を投与することを意味する。本明細書に記載の多糖製剤での治療は、既存の望ましくない状態を和らげ、低減し、軽減し、寛解させ、遅らせるか、またはその既存の望ましくない状態またはその開始もしくは症状を予防し得る。「治療有効量」とは、被検者において目的の薬理学的、生理学的または臨床的効果を達成するのに必要な投薬量での、および達成するのに必要な期間の、有効な量を意味する。
本発明は、転移性疾患(例えば、癌、例えば、癌腫または他の固形癌および血液の癌)に罹患している、または罹患するリスクのある被験者を治療する方法を含む。これらの被験者において、治療としては、限定されないが、腫瘍成長の抑制、腫瘍量の低減、転移性病変のサイズまたは数の低減、新たな転移性病変の発生の抑制、生存期間の延長、無増悪生存期間の延長、進行期間の延長、および/または生活の質の向上が挙げられる。他の実施形態において、被検者は、炎症性疾患、自己免疫疾患、線維性疾患または線維増殖性疾患またはアトピー性疾患からなる群から選択される疾患または状態を有し得る。炎症性疾患の例としては、限定されないが、慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎など)、多発性硬化症、乾癬、虚血再灌流障害、敗血症性ショック、加齢性黄斑変性症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、心血管疾患、脈管炎、I型およびII型糖尿病、メタボリック症候群、糖尿病性網膜症、再狭窄が挙げられる。自己免疫疾患の例としては、限定されないが、喘息、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブス病、ギランバレー症候群、自己免疫性肝炎、重症筋無力症が挙げられる。線維性疾患の例としては、限定されないが、強皮症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病性腎症、サルコイドーシス、特発性肺線維症、肝硬変、嚢胞性線維症、神経線維腫症、子宮内膜症、術後の類線維腫、再狭窄が挙げられる。アトピー性疾患の例としては、限定されないが、アトピー性皮膚炎、アトピー性喘息、およびアレルギー性鼻炎が挙げられる。本発明の組成物は、その疾患または状態を治療するのに有効な量で、その疾患のうちの1種または複数種に罹患している、または発症するリスクのある被検者に投与される。
好ましい実施形態において、被検者は、癌または転移性疾患(例えば、癌腫)に罹患している、または罹患するリスクがある。例えば、被検者は、原発腫瘍を発症し、その原発腫瘍の転移を発症し、または発症するリスクがある。
一実施形態において、多糖製剤は、静脈内または皮下投与される、または吸入される。
一実施形態において、多糖製剤は、他の療法、例えば他の治療薬、例えば、細胞毒性剤または細胞***阻害剤、およびその組み合わせと併用して投与される。
一実施形態において、多糖製剤は、例えば、特定の期間にわたって少なくとも2回、例えば6ヶ月間に少なくとも2回、長期的に投与される。一実施形態において、多糖製剤は、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上の期間にわたって2回投与される。多糖製剤は、毎日(例えば、1日1回、2回、または3回または4回)、一日おきに、週に1回(例えば、週に1回、2回、または3回)、隔週ごとに、1ヶ月に1回、または他の長期的投与スケジュールで投与することができる。
本明細書に記載の範囲のいずれに関しても、例えば、所定の構造または活性については、その範囲は、開示されるその範囲ならびに他の範囲であることができる。例えば、所定の構成単位または活性に関する、1つの範囲の下限の終点から構成される範囲を、例えば、所定の構成単位または活性に関する、もう1つの範囲の上限の終点と組み合わせて、ある範囲が得られる。
「単離(された)」または「精製(された)」多糖製剤は、多糖がそれから誘導される、細胞または組織源からの細胞物質または他の混入タンパク質を実質的に含有しない、または化学的に合成した場合に化学的前駆物質または他の化学物質を実質的に含有しない。「実質的に含有しない」とは、製剤が、少なくとも50%(wt/wt)の純度であることを意味する。好ましい実施形態、製剤は、非ヘパリン誘導多糖、タンパク質または製造から生じる化学的前駆物質または他の化学物質を約30%、20%、10%未満、さらに好ましくは5%未満(乾燥重量による)有する。これらは、本明細書において「混入物」とも呼ばれる。本明細書で提供される多糖製剤に存在し得る混入物の例としては、限定されないが、ナトリウム、硫黄、ホウ素、酵素(例えば、ヘパリナーゼ酵素)、メタノール、エタノール、ヨウ素、および塩化物が挙げられる。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかであるであろう。
[請求項101]
以下の特性:
(a)重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトン;
(b)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性;ならびに
(c)5%を超え、かつ50%未満のグリコール分割ウロン酸残基;
を有する多糖製剤。
[請求項102]
グリコール分割ウロン酸残基を30%未満有する、請求項101に記載の製剤。
[請求項103]
グリコール分割ウロン酸残基を10〜30%有する、請求項101に記載の製剤。
[請求項104]
以下の特性:
(a)重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトン;
(b)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性;
(c)グリコール分割ウロン酸残基(U G )を有する多糖鎖;ならびに
(d)それぞれ3個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U G )を有する多糖鎖;
を有する多糖製剤。
[請求項105]
各多糖鎖が、2個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U G )を有する、請求項104に記載の製剤。
[請求項106]
以下の特性:
(a)重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトン;
(b)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性;ならびに
(c)多糖鎖1本当たり平均0.2〜3個のグリコール分割ウロン酸残基(U G )を有する多糖鎖;
を有する多糖製剤。
[請求項107]
多糖鎖1本当たり平均1個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U G )を有する、請求項106に記載の製剤。
[請求項108]
以下の特性:
(a)重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトン;
(b)それぞれ50IU/mg未満の抗Xa活性および抗IIa活性;ならびに
(c)40%を超えるU 2S H NS,6S 二糖残基を有する多糖鎖;
を有する多糖製剤を含む組成物。
[請求項109]
70%を超えるU 2S H NS,6S 二糖残基を有する、請求項108に記載の組成物。
[請求項110]
脱硫酸化度40%未満を有する、請求項108に記載の組成物。
[請求項111]
脱硫酸化度30%未満を有する、請求項108に記載の組成物。
[請求項112]
脱硫酸化度10%未満を有する、請求項108に記載の組成物。
[請求項113]
実質的な抗凝固活性を欠く多糖製剤を含む組成物であって、前記製剤が、以下の式Iを含む多糖から本質的になる、組成物:
[U w -H x,y,z ] m 〜[U G -H x,y,z ] n
式中、Uは、ウロン酸残基を示し、Hは、ヘキソサミン残基を示し;
mおよびnは、
m=4〜16;
n=1〜4;であるような整数であり;
w=-2OSまたは-2OHであり;
x=-NSまたは-NAcであり;
y=-3OSまたは-3OHであり;
z=-6OSまたは-6OHであり;
U G =
Figure 0005572095
であり;
式中、記号〜は、mおよびnで示される単位が多糖鎖に沿って分布しており、かつ必ずしも順序どおりではないことを示し、w、x、y、およびzがそれぞれ、mで示される各単位で同一または異なり、かつx、y、およびzがそれぞれ、nで示される各単位で同一または異なる。
[請求項114]
重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトンおよび低減された抗凝固活性を有する多糖製剤を含む組成物であって、前記製剤が、以下の式Iを含む多糖を含む、組成物:
[U w -H x,y,z ] m 〜[U G -H x,y,z ] n
式中、Uは、ウロン酸残基を示し、Hは、ヘキソサミン残基を示し;
mおよびnは、
m=4〜16;
n=1〜4;であるような整数であり;
w=-2OSまたは-2OHであり;
x=-NSまたは-NAcであり;
y=-3OSまたは-3OHであり;
z=-6OSまたは-6OHであり;
U G =
Figure 0005572095
であり;
式中、記号〜は、mおよびnで示される単位が多糖鎖に沿って分布しており、かつ必ずしも順序どおりではないことを示し、w、x、y、およびzがそれぞれ、mで示される各単位で同一または異なり、かつx、y、およびzがそれぞれ、nで示される各単位で同一または異なる。
[請求項115]
実質的な抗凝固活性を欠いた組成を有し、抗転移活性を有し、かつ以下の式IIを含む多糖から本質的になる、多糖および薬学的に許容されるその塩の製剤:
[U w -H x,y,z ] m -[U G -H x,y,z ] n -[U w -H x,y,z ] o -[U G -H x,y,z ] p -[U w -H x,y,z ] q
式中、Uは、ウロン酸残基を示し、Hは、ヘキソサミン残基を示し;
m〜rは、
m=0〜10;
n=0〜3;
o=0〜10;
p=0〜3;
q=0〜10;であるような整数であり;
w=-2OSまたは-2OHであり;
x=-NSまたは-NAcであり;
y=-3OSまたは-3OHであり;
z=-6OSまたは-6OHであり;
U G =
Figure 0005572095
であり、
式中、w、x、y、およびzがそれぞれ、m、n、o、p、またはqで示される各単位で同一または異なる。
[請求項116]
n+pの合計が3以下である、請求項115に記載の製剤。
[請求項117]
重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトンを有する、請求項115に記載の製剤。
[請求項118]
前記組成物における多糖鎖の非還元性末端ウロン酸が、4,5-不飽和を有する、請求項101〜117のいずれか一項に記載の組成物または製剤。
[請求項119]
前記組成物における前記非還元性ウロン酸の約30%が、4,5-不飽和を有する、請求項118に記載の組成物または製剤。
[請求項120]
前記4,5-不飽和が、ヘパリナーゼ消化またはベンジルエステル化に続くβ脱離の結果である、請求項118に記載の組成物または製剤。
[請求項121]
前記還元性末端が、2,5-アンヒドロマンニトール残基をさらに含む、請求項101〜117のいずれか一項に記載の組成物または製剤。
[請求項122]
前記還元性末端の約50%が、2,5-アンヒドロマンニトール残基を含む、請求項121に記載の組成物または製剤。
[請求項123]
前記組成物が医薬組成物である、請求項101〜122のいずれか一項に記載の組成物または製剤。
[請求項124]
前記製剤のオリゴ糖の10〜50%が3000ダルトン未満の分子量を有し;前記オリゴ糖の40〜65%が3000〜8000ダルトンの分子量を有し、かつ前記オリゴ糖の5〜30%が8000ダルトンを超える分子量を有する、請求項101〜123のいずれか一項に記載の組成物または製剤。
[請求項125]
前記多糖が、
UFHを解重合して、解重合ヘパリンを生成する工程と;
解重合に続いて、前記解重合ヘパリンにグリコール分割反応を行う工程と;
を含む方法によって生成される、請求項101〜124のいずれか一項に記載の組成物または製剤。
[請求項126]
グリコール分割工程が:
前記解重合ヘパリンを過ヨウ素酸で酸化することと;
酸化された解重合ヘパリンを水素化ホウ素ナトリウムで還元することと;
を含む、請求項125に記載の組成物または製剤。
[請求項127]
被験者における、転移性疾患、VEGF-、FGF-、SDF-1α-および/またはセレクチン仲介疾患;炎症性疾患、感染症、自己免疫疾患、繊維症、または血管形成を伴う疾患を治療する方法であって、請求項101〜142のいずれか一項に記載の組成物または製剤を前記被験者に投与する工程を含む、方法。
[請求項128]
前記組成物または製剤が長期的に投与される、請求項127に記載の方法。
[請求項129]
前記疾患が癌である、請求項127に記載の方法。
[請求項130]
前記癌が乳癌、結腸癌、または前立腺癌である、請求項129に記載の方法。
[請求項131]
前記組成物または製剤が、外科手術、放射線療法、化学療法薬、抗体またはチロシンキナーゼ阻害剤と併せて投与される、請求項129に記載の方法。
[請求項132]
前記組成物または製剤が、投与量5〜50mg/kgで被験者に投与される、請求項129に記載の方法。
[請求項133]
(1)未分画ヘパリン(UFH)を亜硝酸(HONO)で解重合して、多糖製剤を生成する工程と;
(2)前記多糖製剤を過ヨウ素酸で酸化する工程と;
(3)前記酸化多糖製剤を水素化ホウ素ナトリウムで還元する工程と;
(4)前記多糖製剤を単離し、それによってLMWH組成物を製造する工程と;
を含む、製剤を製造する方法。
[請求項134]
解重合工程が、pH約2〜4、温度約10〜30℃にて約1〜5時間、約0.02〜0.04M亜硝酸で前記UFHを処理することを含む、請求項133に記載の方法。
[請求項135]
酸化工程が、温度約0〜10℃にて約10〜20時間、約0.05M〜0.2M過ヨウ素酸で前記多糖製剤を処理することを含む、請求項133に記載の方法。
[請求項136]
還元工程が、pH約6.0〜7.0および温度約0〜10℃にて約0.5〜1.5時間、約0.5〜2.0%(w/v)水素化ホウ素ナトリウムで前記酸化多糖製剤を処理することを含む、請求項133に記載の方法。
マウス黒色腫の実験転移(B16F10i.v.)モデルにおける本明細書に記載の多糖製剤の効果を示す棒グラフである。B16F10細胞2×10個を静脈内注入され、かつ注入直前にMONC402(バッチR−1−5)、ダルテパリン(フラグミン(Fragmin)(登録商標))、またはMONC202(ネガティブコントロール,N−脱硫酸化多糖)の単回投与(10mg/kg)で前処置されたメスのC57BL/6マウス(9〜10週齢)に関して、肺の腫瘍量(肺重量−正常な肺の重量)を決定した。「正常」とは、未投与かつ未処置のマウスを意味する。 肺への乳癌の転移の4T1治療モデルにおける、本明細書に記載の多糖製剤の効果を示す棒グラフである。4T1細胞8×10個の***脂肪パッド内注射を受け、かつ4日目に開始して、示されるように処置されたメスのBALB/cマウス(8週齢)について、32日目に肺腫瘍量(肺重量−正常な肺の重量)を決定した。
詳細な説明
最適化された多糖
多くの臨床的状況において、市販のLMWH製剤は、より予測可能な薬物動態学を有し、皮下投与することができるため、UFH製剤よりも抗凝固薬として好ましい。しかしながら、その抗凝固作用のために出血の合併症の可能性があるため、市販のLMWH製剤は、非凝固仲介疾患の治療、および/または高い用量または長期的投与計画を必要とする疾患には、あまり適していない。本発明は、臨床的に有利な特性を保持すると同時に、実質的な抗凝固活性を欠くように設計された多糖製剤を特徴とする。多糖製剤の特性としては、例えば、実質的な抗凝固活性を欠くこと、例えば実質的に抗凝固活性を持たないこと(例えば、抗IIa活性50IU/mg未満、抗Xa活性50IU/mg未満)、および抗転移性、抗血管新生性および/または抗炎症活性を持つことが挙げられる。
かかる多糖製剤の例は、
式中、Uは、ウロン酸残基を示し、Hは、ヘキソサミン残基を示し、mおよびnは、m=6〜18;n=1〜4;であるような整数であり、w=−2OSまたは−2OH、x=−NSまたは−NAc、y=−3OSまたは−3OH、z=−6OSまたは−6OHであり、

Figure 0005572095
であり、
式中、記号〜は、mおよびnで示される単位が多糖鎖に沿って分布しており、かつ必ずしも順序どおりではないことを示し、w、x、y、およびzがそれぞれ、mで示される各単位で同一または異なり、かつx、y、およびzがそれぞれ、nで示される各単位で同一または異なる、
[U−Hx,y,z〜[U−Hx,y,z
式中、Uは、ウロン酸残基を示し、Hは、ヘキソサミン残基を示し、m〜rは、m=0〜10;n=0〜3;o=0〜10;p=0〜3;q=0〜10;であるような整数であり、w=−2OSまたは−2OH;x=−NSまたは−NAc;y=−3OSまたは−3OH;z=−6OSまたは−6OHであり;

Figure 0005572095
であり、
式中、w、x、y、およびzがそれぞれ、m、n、o、p、またはqで示される各単位で同一または異なる、
[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z
を含む鎖を含有する。
抗IIa活性
実質的に低減された抗IIa活性、例えば約0〜50IU/mg、約0〜40IU/mg、約0〜30IU/mg、約0〜25IU/mg、約0〜20IU/mg、約0〜10IU/mg、約0〜5IU/mg、約5〜10IU/mg、約5〜15IU/mg、約5〜20IU/mgの抗IIa活性を提供する多糖製剤が本明細書に開示されている。平行線検定のための統計的方法を用いて、1ミリグラム当たりの抗IIa活性の国際単位で計算される。本明細書に記載の抗IIa活性レベルは、以下の原理を用いて測定される。
多糖(PS)+ATIII→[PS・ATIII]
IIa
PS・ATIII→[PS・ATIII・IIa]+IIa(過多)
IIa(過多)+基質→ペプチド+pNA(分光光度法で測定)
抗第IIa因子活性は、トロンビンの抑制においてアンチトロンビン(ATIII)への効果を増強する試料によって決定される。トロンビンの過多は間接的に、分光光度法で測定することができる。例えば、クロモゲニクス社(Chromogenix)から市販の試薬(S−2238基質、トロンビン(53nkat/バイアル)、およびアンチトロンビン)を使用して、Diagnostica Stago分析器またはACL Futura3 Coagulationシステム、または同等ないずれかのシステムで、抗第IIa因子活性を測定することができる。分析器の応答は、低分子量ヘパリンに対する第二国際基準を用いて較正される。
抗Xa活性
好ましくは、本明細書で提供される多糖製剤は、抗Xa活性約0〜50IU/mg、例えば、約0〜40IU/mg、約0〜30IU/mg、約0〜25IU/mg、約0〜20IU/mg、約0〜10IU/mg、約0〜5IU/mg、約5〜10IU/mg、約5〜15IU/mg、約5〜20IU/mgを有する。製剤の抗Xa活性は、平行線検定のための統計的方法を用いて、1ミリグラム当たりの抗第Xa因子活性の国際単位で計算される。本明細書に記載の製剤の抗第Xa因子活性は、以下の原理を用いて測定される。
PS+ATIII→[PS・ATIII]
FXa
PS・ATIII→[PS・ATIII・FXa]+FXa(過多)
FXa(過多)+基質→ペプチド+pNA(分光光度法で測定)
抗第Xa因子活性は、活性化第Xa因子(FXa)の抑制においてアンチトロンビン(ATIII)への効果を増強する試料によって決定される。第Xa因子の過多は間接的に分光光度法で測定することができる。例えば、スタクロム(Stachrom)(登録商標)ヘパリンテストキットを用いてDiagnostica Stago分析器で、クロモゲニクス社(Chromogenix)から市販のコアテスト(Coatest)(登録商標)ヘパリンキットを用いてACL Futura3 Coagulationシステムで、同等ないずれかのシステムで、抗第Xa因子活性を測定することができる。分析器の応答は、低分子量ヘパリンに対するNIBSC国際基準を用いて較正することができる。
分子量および鎖長
製剤の重量平均分子量が決定される場合、重量平均分子量約3500〜7000ダルトン、約3500〜6300ダルトン、好ましくは約4000〜6000ダルトン、約4200〜5900、または約4300〜5800ダルトンは、多糖製剤におけるかなりの数の鎖が十分な鎖長の鎖であることを意味する。
本明細書で使用される「重量平均分子量」とは、ウロン酸/ヘキソサミン二糖の反復の鎖の重量平均(ダルトン)を意味する。非ウロン酸および/または非ヘキソサミン構成単位の存在は、重量平均分子量の決定に含まれていない。したがって、製剤の1つまたは複数の鎖内の非ウロン酸および/または非ヘキソサミンの分子量は、重量平均分子量の決定に含まれない。重量平均分子量(M)は、以下の等式:M=Σ(c)/Σcから計算される。変数cは、スライスiにおけるポリマーの濃度であり、mは、スライスiにおけるポリマーの分子量である。総和は、データの多くのスライスを含有する、クロマトグラフのピークについて算出される。データのスライスは、クロマトグラフのピーク対時間のプロット上で垂線として描かれる。したがって、溶離ピークは、多くのスライスに分割される。重量平均分子量の計算値は、濃度および分子量のすべてのスライスの総和に従属的な平均値である。重量平均分子量は、例えばワイアット・アストラ(Wyatt Astra)ソフトウェアまたは適切ないずれかのソフトウェアを使用して測定することができる。本明細書に記載の重量平均分子量は、直列に2つのカラムを備えた高速液体クロマトグラフィー、例えば、多角度光散乱(MALS)検出器および屈折率検出器が直列で連結されたTSK G3000 SWXLおよびG2000 SWXLによって決定される。使用される溶離剤は、0.2M硫酸ナトリウム、pH5.0、および0.5mL/分である。
多糖製剤が十分な鎖長を含むかどうかの決定は、例えば、製剤中の鎖の平均鎖長を決定することによって、かつ/または製剤中の鎖の重量平均分子量を決定することによって行われる。平均鎖長を決定する場合、二糖の反復が約5〜22個、例えば約7〜18個、一般に約7〜14個または8〜13個の平均鎖長は、製剤における十分な数の鎖が十分な鎖長であることを意味する。
本明細書で使用される「平均鎖長」とは、鎖内に存在するウロン酸/ヘキソサミン二糖の反復の平均鎖長を意味する。非ウロン酸および/または非ヘキソサミン構成単位(例えば、付属的PEG部位)の存在は、平均鎖長の決定に含まれない。平均鎖長は、その数平均分子量(Mn)を二糖(500ダルトン)の数平均分子量で割ることによって決定される。SEC−MALSを用いた数平均分子量を決定する方法は、以下に記述される。
グリコール分割ウロン酸
本明細書に記載の多糖製剤は、従来から還元−酸化(RO)誘導体と呼ばれている、グリコシド環の開環を含み得る。これらの製剤において、ビシニルジオールを有する1つまたは複数のグリコシド環は、酸化作用に続いて還元によって、例えばC2とC3の間の結合で開環される。本明細書で言及される化合物は、「グリコール分割(Glycol Split)」誘導体とも呼ばれる。
本明細書に記載の更なる実施形態において、グリコール分割残基は、その後の官能基化にそれ自体を貸す。したがって、その化合物は、グリコール分割から誘導される第1級ヒドロキシ基の代わりに、同じまたは異なる基、例えば、単一のサッカリドまたはアミノ酸から、1単位を超える長さ、例えば2または3単位の長さまでの範囲の、アルデヒド基、メトキシ基、またはオリゴ糖もしくはペプチド基も有し得る。
一部の実施形態において、ウロン酸残基の50%未満は、グリコール分割ウロン酸残基である(例えば、ウロン酸残基の40%、30%、25%、または20%未満がグリコール分割ウロン酸残基である)。
還元性末端構造
一部の場合において、本明細書に記載の多糖製剤中の鎖の少なくとも約50%が、2,5−アンヒドロマンノース残基またはアルコールを形成するように還元された2,5−アンヒドロマンノースなどの修飾還元性末端構造を有する。一部の実施形態において、還元性末端が、2,5−アンヒドロマンノース残基およびアルコールを形成するように還元された2,5−アンヒドロマンノースを含有するように、製剤中の鎖の少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、修飾還元性末端構造を有する。
多分散性
本明細書で提供される多糖製剤の多分散性指数は、約2以下、例えば、1.7以下、例えば、約1.7または1.6〜1.2、約1.4〜1.5、およびその間の数である。
「多分散系」または「多分散性」という用語は、数平均分子量(Mn)で割った組成物の重量平均分子量(Mw)を意味する。数平均分子量(Mn)は以下の等式:Mn=Σci/(Σci/mi)から計算される。変数ciは、スライスiにおける多糖の濃度であり、Miはスライスiにおける多糖の分子量である。その総和は、データの多くのスライスを含有する、クロマトグラフのピークについて算出される。データのスライスは、クロマトグラフのピーク対時間のプロット上で垂線として描かれる。したがって、溶離ピークは、多くのスライスに分割される。数平均分子量は、データの各スライスでの分子量および濃度に従属的な計算値である。重量平均分子量を決定する方法は上述されており、それを用いて多分散性も決定した。
多糖製剤の製造方法
多糖製剤、例えば本明細書に記載の製剤を製造する様々な方法も企図される。一方法は、7000ダルトンを超える重量平均分子量または7〜18個を超える二糖鎖長を有するヘパリン前駆物質製剤を提供すること、そのヘパリン前駆物質製剤を処理して(例えば、酵素的または化学的解重合によって、例えば、亜硝酸解重合によって)、重量平均分子量約3000〜7000ダルトンまたは二糖約7〜18個の平均鎖長を有する多糖製剤を得ることを含む。例えば、ヘパリン前駆物質製剤は、未分画ヘパリンであることができる。
ヘパリン前駆物質製剤は、解重合(例えば、亜硝酸処理、加水分解、または酵素的解重合による)に続いてグリコール分割反応を含む方法によって処理することができる。例えば、温度約10〜30℃、pH約2〜4にて指定の時間(例えば、約1〜5時間)、亜硝酸(例えば、約0.02〜0.04M亜硝酸)でヘパリン前駆物質製剤(例えばUFH)を処理することによって、亜硝酸解重合を達成することができる。グリコール分割反応は、過ヨウ素酸塩(例えば、約0.05M〜0.2M過ヨウ素酸ナトリウム)を使用した、温度約0〜10℃で約10〜20時間の過ヨウ素酸酸化を伴う。一部の実施形態において、塩またはジエチレングリコール(DEG)などの残留不純物は引き続き、クロマトグラフ法、例えばゲル濾過クロマトグラフィーによって除去することができる。任意に、次いで、pH約6.0〜7.0および温度約0〜10℃にて還元剤(例えば、約0.5〜2.0%(w/v)水素化ホウ素ナトリウム)で約0.5〜3時間処理することによって、酸化製剤が還元される。
ヘパリン前駆物質製剤は、酵素的消化、化学的消化またはその組み合わせを用いて処理することができる。化学的消化の例としては、例えば、HまたはCuおよびHを用いた酸化的解重合、例えば、亜硝酸イソアミルまたは亜硝酸を用いた脱アミノ切断(deaminative cleavage)、例えば、ベンジルエステルでの、かつ/またはアルカリ処理によるβ−脱離切断が挙げられる。酵素的消化は、1つまたは複数のヘパリン分解性酵素の使用を含み得る。例えば、ヘパリン分解性酵素は、例えば、1種または複数種のヘパリナーゼ、ヘパリンリアーゼ、ヘパリン硫酸グリコアミノグリカン(HSGAG)リアーゼ、ヘパリンを分解することもできるグリコアミノグリカン(GAG)リアーゼとして記載されているリアーゼであることができる。好ましくは、その酵素は、非硫酸化ウロン酸の1つまたは複数のグリコシド結合にて切断する。
生物活性
本明細書に記載の製剤は、C57/BLマウスの尾静脈に注入されたB16F10黒色腫細胞が、肺内で静止し、孤立性の肺病巣として増殖する、動物の転移モデルでアッセイされる抗転移活性を有する。このアッセイは一般に、Gabriら,2006,Clin.Cancer Res.,12:7092−98に記述されている。製剤はさらに、C170HM2ヒト結腸直腸癌細胞系が腹膜腔内に注入され、その転移の原発部位が肝臓である、C170HM2アッセイなどの他の実験転移モデルにおいて活性を有し得る。本明細書に記載の製剤は、AP5LVヒト結腸直腸癌細胞が腹膜壁内に移植され、かつ肺への自然転移を示すAP5LVモデル、または4T1マウス乳癌腫細胞が***脂肪パッドに移植され、かつ肺および他の臓器への自然転移を示す4T1モデルなどの自然転移モデルにおける抗転移活性を示し得る。
本明細書に記載の製剤は、VEGF、FGF、SDF−1α、およびP−セレクチンのうちの1つまたは複数に結合し、かつ/またはその1つまたは複数の活性を調節(例えば、抑制)することができる。一部の実施形態において、製剤の標的タンパク質(例えば、VEGF、FGF、SDF−1α、またはP−セレクチン)との相互作用(例えば、結合)を生体外で(in vitro)、例えば当技術分野で公知の方法を用いてアッセイすることができる。結合または活性の調節(例えば、抑制)を検出する多くの方法および技術、例えば、標準受容体競合アッセイ、蛍光エネルギー移動(FET)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)(例えば、米国特許第5,631,169号明細書;米国特許第4,868,103号明細書)、および蛍光偏光法(FP)が知られている。一部の実施形態において、標的タンパク質への多糖製剤の結合の評価は、例えば生体分子相互作用解析(BIA)(例えば、Sjolander and Urbaniczky(1991)Anal.Chem.,63:2338−2345およびSzaboら(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.,5:699−705参照)を用いた、結合相互作用のリアルタイムのモニタリングを含み得る。表面プラズモン共鳴または「BIA」は、相互作用のいずれも標識化することなく、リアルタイムで生体分子特異的な相互作用を検出する(例えば、BIAcore)。
生体外(in vitro)および生体内(in vivo)でのVEGF、FGF、およびP−セレクチンの活性は、当技術分野でよく知られている。VEGF、FGF、またはP−セレクチンの活性を調節する(例えば、抑制する)多糖製剤の活性は、生体外または細胞ベースのアッセイまたは生体内で生物においてアッセイすることができる。例えば、内皮細胞、例えばヒト臍静脈上皮細胞の増殖を調節する(例えば、刺激する)VEGF、FGF、またはP−セレクチンの活性を調節する(例えば、抑制する)多糖製剤の能力をアッセイすることができる。FGF活性の調節を決定する例示的な方法が、米国特許第5,733,893号明細書に記載されている。細胞ベースのアッセイは、単細胞、または少なくとも2つ以上の細胞の収集物を用いて行うことができる。細胞は、酵母細胞(例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))または哺乳動物細胞、例えば、細胞系であることができる。
医薬組成物
本明細書に記載の製剤を含み、薬学的に許容される担体と配合される、組成物、例えば薬学的に許容される組成物が提供される。
本明細書で使用される、「薬学的に許容される担体」とは、非経口投与と生理学的に適合性である、いずれかのおよびすべての溶媒、分散培地、等張化剤および吸収遅延剤等を包含する。担体は、非経口投与、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、眼内、経直腸、吸入または脊髄内投与(例えば、注射または注入による)に適している。
本発明の組成物は様々な剤形をとる。これらの剤形としては、例えば、溶液(例えば、注射可能な、かつ注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、およびリポソームなどの液体、半固形および固形剤形が挙げられる。好ましい剤形は、意図する投与形式および治療用途に応じて異なる。好ましい投与形式は、非経口的(例えば、静脈内、皮下、眼内、腹腔内、筋肉内)投与である。好ましい実施形態において、製剤は、静脈内注入または注射により投与される。他の好ましい実施形態において、筋肉内または皮下注射により製剤が投与される。
本明細書で使用される「非経口投与」および「非経口的に投与される」という表現は、通常注射による、経腸的および局所投与以外の投与形式を意味し、制限されないが、静脈内、筋肉内、皮下、動脈内、髄腔内、関節内、眼窩内、硝子体内、心腔内、皮内、腹腔内、気管内、吸入、皮下、表皮下、関節腔内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外および胸骨内注射および注入を包含する。
治療組成物は一般に、製造および保管条件下にて無菌かつ安定性であるべきである。組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散液、リポソーム、または高濃度に適している他の規則構造として配合される。注射可能な無菌溶液は、上記で列挙される成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に必要量の活性化合物(すなわち、多糖製剤)を組み込み、続いて濾過滅菌することによって製造することができる。一般に、基本的分散媒を含有する無菌賦形剤中に活性成分および上記で列挙される成分からの他の必要な成分を組み込むことによって、分散液が調製される。注射可能な無菌溶液を調製するための無菌粉末の場合において、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、活性成分の粉末に加えて、予め滅菌濾過されたその溶液から更なる所望の成分が得られる。レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合には必要とされる粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、溶液の適切な流動性を維持することができる。注射可能な組成物の遅延吸収は、吸収を遅らせる作用物質、例えば、種々のポリマー、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含有させることによって生じさせることができる。
多くの治療用途に関して、好ましい投与経路/投与形式は、静脈内注射または注入である。当業者によって理解されるように、投与経路および/または形式は、所望の結果に応じて異なる。
注射用の製剤形態は、単位剤形で、例えばアンプル、シリンジ、シリンジペンで、または例えば、保存剤が添加された複数回投与容器で表される。組成物は、油性または水性賦形剤中の懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態をとり、かつ懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの配合剤を含有し得る。
吸入による投与については、製剤は、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレーの形状で便利に送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、定量を送達するためのバルブを設けることによって決定される。化合物とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末ベースとの粉末混合物を含有する吸入器または注入器で使用される、例えばゼラチンのカプセルまたはカートリッジを製剤化することができる。さらに、吸入治療用の乾燥粉末の形成は、本発明の範囲内にある。かかる乾燥粉末配合物は、例えば、国際公開第02/32406号パンフレットに開示されるように調製することができる。
上述の組成物に加えて、デポ製剤として化合物を配合することもできる。かかる長時間作用性配合物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョン)またはイオン交換樹脂と、またはやや可溶性の誘導体として、例えばやや可溶性の塩として配合することができる。
医薬組成物は、適切な固形またはゲル相担体または賦形剤も含み得る。組成物は、投与説明書とともに容器、パック、またはディスペンサー内に含まれる。
製剤は、短期間または長期間用埋め込みデバイス、例えばステントで投与することもできる。製剤は、皮下に埋め込むことができ、組織または臓器内(例えば、冠動脈、頚動脈、腎臓動脈および他の末梢動脈、静脈、腎臓、心臓、角膜、硝子体、大脳等)に埋め込むことができ、または組織および臓器周囲の生理学的空間(例えば、腎周囲被膜、心膜、胸腔または腹腔空間)に埋め込むことができる。
製剤を使用して、様々な医療器具をコーティングすることもできる。例えば、製剤を使用して、ステントまたは体外回路をコーティングすることができる。製剤のかかる配合は、例えば、徐放性ビーズ、ゲルまたは微小球ならびに種々のポリマー、例えばPLGA、セルロース、アルジネートまたは他の多糖を使用することを含み得る。
投与計画は、所望の最適な反応(例えば、治療反応)を提供するように調節される。例えば、1回のボーラスを投与することができ、いくつかに分割された用量を時間の経過にしたがって投与することができ、あるいは治療状況の緊急性により示されるように、用量をそれに応じて低減または増加することができる。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、非経口的組成物を投薬単位形態で配合することは特に有利である。本明細書で使用される投薬単位とは、治療される被験者の単位投薬量として適している物理的に別々の単位を意味し;各単位は、必要とされる薬剤担体と共に目的の治療効果を発揮するように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態の詳細は、(a)活性化合物の固有の特性および達成されるべき特定の治療効果;(b)個体における感受性の治療のためにかかる活性化合物を配合することの、当技術分野における固有の制限;によって示され、それに直接依存する。
投薬量の値は、緩和される症状の種類および重症度に応じて変動することを留意されたい。特定の被験者に関して、具体的な投与計画は、個人の要求および投与する人または組成物の投与を監督する人の専門家としての判断に応じて、時間の経過にしたがって調節すべきであることはさらに理解されよう。
本発明の医薬組成物は、治療有効量の製剤を含有し得る。治療有効量の製剤は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの因子に応じて異なり、1つを超える投与量単位を含み得る。治療有効量は、治療的に有利な効果が製剤の毒性または有害作用を上回る量でもある。治療有効量は、測定可能なパラメーター、例えば、VEGF活性、FGF活性、P−セレクチン活性、または転移性病変のサイズまたは成長率、例えば、未治療の被験者に対して少なくとも約20%、さらに好ましくは少なくとも約25%、30%、40%、またさらに好ましくは少なくとも約50%、60%、さらに好ましくは少なくとも約70%、80%を抑制し得る。測定可能なパラメーター、例えば、転移または血管形成を抑制する化合物の能力は、動物モデルシステムまたはヒトにおいて(例えば、前臨床モデルまたは臨床試験において)評価することができる。代替方法としては、組成物の性質は、生体外でのアッセイにおいて化合物の活性を調べることによって評価することができる。多糖製剤の静脈内または皮下投与の例示的な用量は、約0.03mg/kg〜0.45mg/kg、例えば、0.03mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.22mg/kg、0.25mg/kg、0.27mg/kg、0.3mg/kg、0.35mg/kg、0.37mg/kg、0.4mg/kg、0.44mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.35mg/kg、0.4mg/kg、0.44mg/kg、0.47mg/kg、0.5mg/kg、0.55mg/kg、0.60mg/kg、0.7mg/kg、好ましくは約0.30〜0.50mg/kg、例えば、0.30mg/kg、0.35mg/kg、0.40mg/kg、0.42mg/kg、0.44mg/kg、0.47mg/kgまたは0.50mg/kgである。一部の実施形態において、多糖製剤は、用量1〜80mg/kg、1〜40mg/kg、1〜30mg/kg、例えば、5〜50mg/kg/日で投与することができる。
本明細書で提供される多糖製剤を含むキットもまた、本発明の範囲内である。このキットは、使用説明書;他の試薬、例えば治療薬;投与のために、多糖製剤を準備するための器具または他の材料;薬学的に許容される担体;被検者に投与するための器具または他の材料;を含む1つまたは複数の他の要素を含み得る。説明書は、例えば、疾患、例えば本明細書に記載の疾患を有する患者における、示される投与量および/または投与形式などの治療的適用の説明書を含み得る。このキットはさらに、1種または複数種の異なる医薬製剤において適宜配合される、診断薬または治療薬、例えば本明細書に記載の診断薬または治療薬などの少なくとも1種類の更なる試薬を含有し得る。
用途
被検者を治療するために、多糖製剤が使用される。本明細書で使用される、被検者とは、哺乳動物、例えば、非ヒトの実験用哺乳動物、家畜哺乳動物、またはヒトである。非ヒト哺乳動物としては、霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたはげっ歯類が挙げられる。
本明細書で提供される製剤を使用して、例えば転移性疾患(例えば、癌、例えば、癌腫または他の固形癌または血液の癌)を治療または予防することができる。本明細書で使用される、「癌」という用語は、病理組織学的種類または侵襲段階に無関係の、すべての種類の癌成長または発癌プロセス、転移組織または悪性形質転換細胞、組織または臓器を包含することを意味する。本明細書に開示される方法および組成物は、癌に伴う転移性病変を治療する、またはそのサイズ、数または成長速度を低減するのに特に有用である。
癌の例としては、限定されないが、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、造血器腫瘍および転移性病変が挙げられる。固形腫瘍の例としては、悪性疾患、例えば、様々な臓器システムの肉腫、腺癌、および癌腫、例えば頭および首(咽頭など)、甲状腺、肺(小細胞または非小細胞肺癌腫)、胸、リンパ系、消化器系(例えば、口、食道、胃、肝臓、膵臓、小腸、結腸および直腸、肛門管)、生殖器および尿生殖路(例えば、腎臓、尿路上皮、膀胱、卵巣の、子宮、子宮頚部、子宮内膜、前立腺、精巣)、CNS(例えば、神経細胞またはグリア細胞、例えば、神経芽細胞または神経膠腫)、皮膚(例えば、黒色腫)に影響する腫瘍が挙げられる。治療することができる造血器癌の例としては、多発性骨髄腫、リンパ腫および白血病および脊髄形成異常症が挙げられる。本明細書に開示される方法および組成物は、前述の癌に伴う転移性病変を治療するのに、例えば低減または遅らせるのに特に有用である。一部の実施形態において、患者は、組織の外科的切除、化学療法、または抗癌療法のうちの1つまたは複数を受け、その主要な、または唯一の標的は、転移性病変、例えば、骨またはリンパ節または肺または肝臓または腹膜腔またはCNSまたは他の臓器における転移となり得る。
本発明の方法、例えば治療方法はさらに、腫瘍のサイズ;癌患者の癌マーカーのレベル;例えばスキャンにおける新たな病変のサイズまたは出現率;新たな疾患関連症状の出現;軟部組織塊のサイズ、例えば減少または安定化;生活の質、例えば、疾患に伴う痛み、例えば骨痛の程度;または臨床的結果に関連する他のパラメーター;のうちの1つまたは複数の変化(例えば、増加または減少)について被験者をモニターする工程を含み得る。以下の期間:治療の開始前;治療中;または治療の1つまたは複数の要素が施された後;のうちの1つまたは複数において被験者はモニターされる。モニタリングを用いて、同じ製剤での更なる治療の必要性または追加の作用物質を用いる追加の治療の必要性を評価することができる。一般に、上述のパラメーターのうちの1つまたは複数の減少は、被験者の状態の改善を表す。
本明細書に記載の製剤を単回または複数回投与で被験者に投与し、転移性または癌疾患、例えば本明細書に記載の癌疾患を治療または予防することができる。
本明細書に記載の製剤を使用して、炎症性疾患、自己免疫疾患、線維性疾患、線維増殖性疾患、アトピー性疾患、または血管新生疾患も治療することができる。炎症性疾患の例としては、限定されないが、慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎など)、多発性硬化症、乾癬、虚血再灌流障害、敗血症性ショック、加齢性黄斑変性症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、心血管疾患、脈管炎、I型およびII型糖尿病、メタボリック症候群、糖尿病性網膜症、再狭窄が挙げられる。自己免疫疾患の例としては、限定されないが、喘息、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブス病、ギランバレー症候群、自己免疫性肝炎、重症筋無力症が挙げられる。線維性疾患の例としては、限定されないが、強皮症、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病性腎症、サルコイドーシス、特発性肺線維症、肝硬変、嚢胞性線維症、神経線維腫症、子宮内膜症、術後類線維腫、再狭窄が挙げられる。アトピー性疾患の例としては、限定されないが、アトピー性皮膚炎、アトピー性喘息、およびアレルギー性鼻炎が挙げられる。
線維増殖性疾患の例としては、全身性および局所性強皮症、ケロイドおよび肥厚性瘢痕、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、線維肉腫、神経線維腫症、および慢性関節リウマチが挙げられる。外傷に伴う瘢痕化の例としては、手術が原因の瘢痕化、化学療法により誘発される繊維症、放射線により誘発される繊維症、外傷および火傷に伴う瘢痕化が挙げられる。
一実施形態において、多糖製剤は、血管形成の抑制に、例えば血管新生疾患を治療するために使用される。本明細書で使用される血管形成とは、新生血管の不適切な形成である。血管新生疾患としては、限定されないが、腫瘍、眼の新生血管疾患、子宮内膜症、黄斑変性症、骨粗鬆症、乾癬、関節炎、癌および心臓血管性疾が挙げられる。いくつかの疾患は、本明細書に記載の疾患の複数のカテゴリーに含まれるであろうことは理解されたい。
本明細書に記載の製剤を使用して、例えばマラリアなどの感染症を治療または予防することもできる。
併用療法
本発明の方法および組成物は、他の治療方式と併せて使用することができる。本明細書で使用される「併せて」施されるとは、患者への治療の効果が、ある時点で重なるように、2種類(またはそれ以上)の異なる治療が、疾患に伴う被験者の苦痛の過程中に被検者に施されることを意味する。一部の実施形態において、1つの治療の施行は、第2の施行が開始した際にまだ行われており、その結果、施行に一部重なりがある。これは時に、本明細書において「同時」または「併用施行」と呼ばれる。他の実施形態では、1つの治療の施行は、他の治療の施行が開始する前に終わる。いずれの場合でも一部の実施形態において、治療は、併用投与がされるために、より有効である。例えば、第2の治療はより有効であり、例えば、より少ない第2の治療で同等の効果が見られるか、または第2の治療は、第1の治療なしで第2の治療が施された場合に見られるよりも、より大幅に症状を低減するか、または類似の状況が第1の治療で見られる。一部の実施形態において、施行は、症状、または疾患に関連する他のパラメーターの低減が、他の治療なしで施される1つの治療で観察されるものよりも大きいような施行である。2つの治療の効果は、部分的に相加的、完全に相加的、または相加的よりも大きい。その施行は、施された第1の治療の効果が、第2の治療が施された場合にまだ検出可能であるような施行である。
一実施形態において、本発明の方法は、1つまたは複数の追加の治療法、例えば手術、放射線療法、または他の治療製剤の投与と併せて、本明細書に記載の製剤を被験者に投与することを含む。一実施形態において、追加の療法は、化学療法、例えば、細胞毒性剤を含み得る。一実施形態において、追加の療法は、標的療法、例えばチロシンキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プロテアーゼ阻害剤を含み得る。一実施形態において、追加の療法は、抗炎症性、抗血管新生性、抗線維化、または抗増殖性化合物、例えば、ステロイド、生物学的免疫調節薬、モノクローナル抗体、抗体断片、アプタマー、siRNA、アンチセンス分子、融合たんぱく質、サイトカイン、サイトカイン受容体、気管支拡張薬、スタチン、抗炎症剤(例えば、メトトレキセート)、NSAIDを含み得る。他の実施形態において、追加の療法は、異なる種類の療法の併用を含み得る。多糖製剤および追加の療法は、同時にまたは逐次、施行される。
多糖製剤と併せて投与することができる例示的な細胞毒性剤としては、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、タンパク質合成および分解阻害剤、有糸***阻害剤、アルキル化剤、白金酸塩剤(platinating agent)、核酸合成阻害剤、ヒストンデアセチラーゼおよびDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、窒素マスタード、ニトロソウレア、エチレンイミン、スルホン酸アルキル、トリアゼン、葉酸類似体、ヌクレオシド類似体、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、ビンカアルカロイド、タキサン、エポシロン、挿入剤、シグナル伝達経路に干渉することができる作用物質、アポトーシスを促進する作用物質および放射線、表面タンパク質に結合して毒性剤を送達する抗体コンジュゲートが挙げられる。一実施形態において、本明細書に記載の製剤と共に投与することができる細胞毒性剤は、白金、シクロホスファミド、ダカルバジン、メトトレキセート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ヒドロキシウレア、トポテカン、イリノテカン、アザシチジン、ボリノスタット(vorinostat)、イクサベピロン、ボルテゾミブ、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、コルヒチン、アントラサイクリン(ドキソルビシンおよびエピルビシン)、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、リシン、およびマイタンシノイドが挙げられる。
併用療法は、1種または複数種の追加の治療薬、例えば1種または複数種の抗癌剤、細胞毒性または細胞***阻害剤、ホルモン治療、受容体型チロシンキナーゼおよび他のチロシンキナーゼ、例えばHER−2、EGFR、VEGFR、BCR−ABL、c−KIT(ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブなど)またはmTOR(テムシロリムス、エベロリムス、ラパマイシンなど)などの小分子阻害剤、またはサイトカインまたはケモカイン、ワクチン、細胞膜受容体経路に対する抗体、例えばEGF−EGFR、VEGF−VEGFR、CD19、CD20、CD3、CTLA−4(トラスツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、トシツモマブなど)および/または他の免疫療法と同時に処方される、かつ/または同時投与される本発明の組成物も含み得る。
他の実施形態
本発明は、限定的であると解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに説明される。本出願全体に記載されるすべての参考文献、特許および公開特許出願の内容は、参照により本明細書に援用される。
実施例1:多糖製剤の製造
この実施例では、本明細書に記載の多糖製剤の製造を説明する。
概要:制御された亜硝酸解重合に続いて、酸化的グリコール分割を行い、次にアルコールに還元することによって、グリコール分割低分子量ヘパリンアルコール(GS−LMWH−CH−OH)を未分画ヘパリン(UFH)から生成した。第1工程において、UFHを解重合し、多糖の還元性末端にアンヒドロマンノース部位を有する解重合ヘパリン(DPH−CHO)を得た。これに続いて、解重合ヘパリン中に存在する2,3−ジオールの工程IIの酸化的切断を過ヨウ素酸ナトリウムで行い、ヘパリン鎖に沿って開環グリコール分割残基(GS−DPH−CHO)が形成された。工程IIIは、水素化ホウ素ナトリウムを使用して、アルデヒド部位がアルコールに転化され、グリコール分割低分子量ヘパリンアルコールが生成される、還元工程を含んだ。
方法の概要:
以下のパラグラフでは、本明細書に記載の多糖製剤の製造および性質を説明する。
1.解重合:
室温と平衡させた脱イオン水100mLに未分画ヘパリン(10g)を溶解した。続いて、この溶液のpHをpH3.1に下げ、その後に亜硝酸ナトリウム(0.03M)を添加した。この反応溶液を3時間攪拌し、続いて、pHを中性にした後に塩化ナトリウム(10g)を添加した。塩を完全に溶解した後、常時攪拌しながら、メタノール(200mL)をこの溶液に添加した。次いで、得られた沈殿物を6℃で2時間エージングした。次いで、この沈殿物を濾過し、乾燥させて、収率80〜85%で、以下の特性を有するDPHを得た。
Mw:5300〜6100
Mw分布:(i)<3000ダルトン:23〜30%
(ii)3000〜8000ダルトン:50〜55%
(iii)>8000ダルトン:15〜22%
抗Xa活性:80〜120IU/mg
抗IIa活性:40〜70IU/mg
2.過ヨウ素酸酸化
5℃に平衡させた水50mLに、工程Iで得られたアルデヒド(5g)を溶解した。この溶液に、NaIO冷却溶液(0.1M,50mL)を添加し、反応混合物を光の非存在下にて16時間攪拌した。完了したら、ジエチレングリコール(10mL)を添加することによって反応を停止し、それに続いて、温度を室温に戻した。次いで、塩化ナトリウム5gをこの溶液に添加し、続いてメタノール150mLを添加することによって、ヘパリンを沈殿させた。この沈殿物を6℃で2時間エージングした後に、濾過し、乾燥させて、以下の特性を有するグリコール分割多糖(収率95〜98%)を得た。
Mw:5000〜5800
Mw分布:(i)<3000ダルトン:25〜30%
(ii)3000〜8000ダルトン:55〜60%
(iii)>8000ダルトン:15〜20%
3.還元
5℃で維持された水40mLに、上記の工程IIで得られたグリコール分割多糖(4g)を溶解した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.4g)を添加し、続いて反応混合物を1時間攪拌した。1時間後、反応混合物を室温に戻し、続いて塩化ナトリウム(4g)を添加した。塩が溶解した後、常時攪拌されているこの溶液にメタノール(80mL)を添加した。このようにして得られた沈殿物を6℃で2時間エージングさせた後、濾過および乾燥して、所望の生成物を得た。このように、以下の特性を有する多糖製剤が、収率55〜60%で得られた。
Mw:5500〜6200
Mw分布:(i)<3000ダルトン:17〜23%
(ii)3000〜8000ダルトン:56〜62%
(iii)>8000ダルトン:17〜22%
抗Xa活性:5〜20IU/mg
抗IIa活性:1〜10IU/mg
実施例2:多糖製剤の抗転移性
この実施例では、多糖製剤が、複数の転移モデルにおいて抗癌活性および抗転移活性を有することを示す。
モデルA:マウス黒色腫実験転移(B16F10iv)モデル
実施例1に記載のように製造された多糖製剤(本明細書で「MONC402」と呼ばれる)は、マウス黒色腫実験転移モデルにおいて抗転移活性を示した。
B16F10細胞2×10個を静脈内注射する直前に、MONC402、ダルテパリン/フラグミン(Fragmin)(登録商標)(転移を減らすと報告されているLMWH)、またはMONC202(ネガティブコントロール、N−脱硫酸化多糖)を単回投与(10mg/kg)して、メスのC57BL/6マウス(9〜10週齢)を1回処置した。マウスを21日目に屠殺し、肺重量−正常な肺の重量として腫瘍量を計算した。図1に示すように、MONC402は、プールされた未処置のコントロールに対して肺のB16F10コロニー形成を有意に抑制した。
モデルB:肝臓への結腸癌転移
MONC402は、同所性肝臓転移モデルにおいて予防的抗転移活性を示した。
肝臓転移は、オスのMF1無胸腺ヌード(nu/nu)マウスにC170HM2ヒト結腸直腸腫瘍細胞を腹腔内注射することによって開始された。5FU/ロイコボリンがポジティブコントロールとして使用された。
CO5%および加湿条件において10%(v/v)熱失活ウシ胎児血清および2mM L−グルタミンを37℃で含有するRPMI培地(シグマ社(Sigma))中で、C170HM2細胞を生体外にて維持した。サブコンフルエントな単層からの細胞を0.025%EDTAで収集し、培地中で洗浄し、生体内投与するために滅菌リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4(PBS)に再懸濁させた。体積1mlの細胞1.5×10個をマウス65匹に腹腔内注射し、そのマウスを以下のように処置群に割り当てた。
1群:n=10 賦形剤コントロール
2群:n=10 5FU/ロイコボリン25mg/kg;1、3、5、7日目に静脈内投与
3群:n=10 化合物1(ダルテパリン)5mg/kg;1日1回皮下投与
4群:n=10 化合物2(MONC402)5mg/kg;1日1回皮下投与
5群:n=10 化合物2 15mg/kg;1日1回皮下投与
6群:n=10 化合物2 30mg/kg;1日1回皮下投与
7群:n=5 未処置
細胞を注入して1日目に処置を開始し、35日目まで、または動物の臨床症状から終了することが必要となるまで処置を続けた。5群および6群は5日目に1回分用量を抜かした。腫瘍を有するマウスにおける試験化合物の副作用は認められなかった。
この研究は35日目に終了し、肝臓における腫瘍を切除し、計量した。肺結節の数もカウントした。肝臓腫瘍平均重量および断面積を表1に示す。
Figure 0005572095
MONC402は、腫瘍取り込み率(tumor take rate)の低減に有意な影響を有した。MONC402 15mg/kgおよび30mg/kgのどちらも、肝臓腫瘍サイズをそれぞれ90%(p=0.007)および97%(p=0.004)有意に低減し、5FU/ロイコボリン(それぞれ、p=0.041およびp=0.011)よりも有意に有効でもあった。ダルテパリン(3群)は、賦形剤コントロール群と比較した場合に、肝臓腫瘍重量を約81%(p=0.017)低減した。同様に、腫瘍の断面積もまた、ダルテパリン(p=0.027)ならびにMONC402 15mg/kgおよび30mg/kg(それぞれ、p=0.016およびp=0.004)で有意な減少を示した。
研究の間、マウスの体重をモニターした。各群のマウスの体重は、研究期間全体を通してすべての群に関して許容可能な範囲内のままであった。
モデルC:肺への乳癌転移
MONC402は、乳癌転移の同系同所性モデル(4T1)における抗転移活性も示した。
8週齢(WOA)のメスBALB/cマウスに、4T1細胞8×10個を***脂肪パッド内注射した。週1回のシスプラチンでの処置と併せての、または処置なしの、生理食塩水またはMONC402での1日1回の処置を5日目で開始した。原発腫瘍を9日目で切除し、計量した。
表2に示すように、MONC402(10、20、30mg/kg)と併用されたシスプラチンは、肺重量および腫瘍結節数(p<0.05、一元配置分散分析)により決定されるように、生理食塩水コントロール群と比較して、肺転移の統計学的に有意な減少を示した。併用療法群(シスプラチン+MONC402 10/20/30mg/kg)は、実験終了前の最後の3日間、***腫瘍再成長、胸腔腫瘍転移、および体重減少(>2g)の発生率が低かった。併用療法群では、手術の翌週に一時的な体重減少(>2g)の発生率が高かったが、1週間で回復した。
Figure 0005572095
第2の4T1実験では、8週齢のメスBALB/cマウスに、4T1細胞8×10個を***脂肪パッド内注射した。週1回の生理食塩水またはシスプラチンでの処置と併せて、生理食塩水またはMONC402の連続浸透圧ポンプ送達を4日目に開始した。原発腫瘍を9日目に切除した。群の間で原発腫瘍重量の有意差はなかった。しかしながら、シスプラチンおよびM−ONC402の組み合わせで処置したマウスからの腫瘍の微小血管密度の有意な減少が、免疫組織学的解析によって示された。実験は32日目に終了し、異なる試料を採取した。マウス6匹が死亡しているのを発見し、または全体状態が悪化したために早期に終了した。
肺重量によって、結節数、サイズおよび腫瘍体積計算値を含む肺腫瘍結節定量化、ならびに組織定量化によって、4T1肺転移を決定した。結果を図2に示す。MONC402(20mg/kg/日)単独療法群は、4T1肺転移が有意に抑制されなかった。シスプラチン(1.25mg/kg)単独療法は、有意な抗腫瘍有効性(p<0.05)を示した。シスプラチン(1.25mg/kg)とMONC402(20mg/kg/日)の組み合わせは、肺転移の低減(p<0.0005)および微小血管密度の低減に有効性を示した。重要なことには、併用療法群は、肺重量(p<0.02)、腫瘍結節数、組織学による肺腫瘍範囲(lung tumor coverage)、および肺腫瘍微小血管密度(p<0.05,t−試験)によって決定される、シスプラチン単独療法群と比較して、優れた抗腫瘍有効性を示し、M−ONC402はシスプラチンの抗腫瘍有効性を高めることが実証された。
モデルD:ヒト前立腺癌腫PC−3Mモデル:併用療法
8週齢のオスSCID/ベージュマウスの前立腺内にPC−3M−ルシフェラーゼ前立腺癌腫細胞5×10個を注入した。週1回のシスプラチンでの処置と併せての、または処置なしの、生理食塩水またはMONC402での1日1回の処置を3日目で開始した。キセノゲン社(Xenogen)のイメージングシステムでマウスを毎週モニターした。実験を32日目に終了した。それぞれの臓器を単離し、重量およびキセノゲン社(Xenogen)のイメージングによって、腫瘍転移を評価した。
MONC402(30mg/kg)単独療法は、腹膜におけるPC−3M転移を抑制した。MONC402(30mg/kg)と併用されたシスプラチンは、生体内イメージングによって決定されるように、生理食塩水およびMONC402単独療法群と比較して、腫瘍成長を低減した。特定の実験条件下での、原発腫瘍重量および転移における併用療法(シスプラチン+MONC402 30mg/kg)とシスプラチン単独療法の間の有意差はなかった。

Claims (74)

  1. 以下の特性を有する多糖製剤を含む薬学的組成物:
    (a)20IU/mg未満の抗Xa活性および20IU/mg未満の抗IIa活性
    (b)5%を超え、かつ25%未満のグリコール分割ウロン酸残基;ならびに
    (c)前記多糖製剤が、該製剤の10〜40%のオリゴ糖が<3000 Daの分子量を有し、45〜65%のオリゴ糖が3000〜8000 Daの分子量を有し、かつ15〜30%のオリゴ糖が>8000 Daの分子量を有するような分子量分布を有する
  2. 前記製剤が、グリコール分割ウロン酸残基を5%を超えかつ20%未満有する、請求項1に記載の薬学的組成物
  3. 前記製剤が、グリコール分割ウロン酸残基を10〜20%有する、請求項1に記載の薬学的組成物
  4. 前記多糖製剤が、グリコール分割ウロン酸残基を有する1つまたは複数の鎖を有し、かつ該製剤の各多糖鎖が、3個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U)を有する、請求項1記載の薬学的組成物
  5. 前記製剤の各多糖鎖が、2個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U)を有する、請求項4に記載の薬学的組成物
  6. 前記製剤の各多糖鎖が、平均0.2〜3個のグリコール分割ウロン酸残基(U)を有する、請求項1記載の薬学的組成物
  7. 前記製剤の各多糖鎖が、1個以下のグリコール分割ウロン酸残基(U)を有する、請求項6に記載の薬学的組成物
  8. 前記製剤が、40%を超えるU2SNS,6S二糖残基を有する多糖鎖を有する、請求項1記載の薬学的組成物
  9. 前記多糖鎖が、70%を超えるU2SNS,6S二糖残基を有する、請求項8に記載の薬学的組成物
  10. 前記製剤が、脱硫酸化度40%未満を有する、請求項1記載の薬学的組成物。
  11. 前記製剤が、脱硫酸化度30%未満を有する、請求項1記載の薬学的組成物。
  12. 前記製剤が、脱硫酸化度10%未満を有する、請求項1記載の薬学的組成物。
  13. 記製剤が、以下の式Iを含む多糖を含み
    [U−Hx,y,z〜[U−Hx,y,z
    式中、Uの存在それぞれ、ウロン酸残基を示し、 Hの存在それぞれ、ヘキソサミン残基を示し;
    式中、mおよびnは、
    m=4〜16;
    n=1〜4;であるような整数であり;
    w、x、yおよびzはそれぞれ独立して、[U −H x,y,z ]の各存在で同一または異なることができ、かつx、yおよびzはそれぞれ独立して、[U −H x,y,z ]の各存在で同一または異なることができ、
    w=−2OSまたは−2OHであり;
    x=−NSまたは−NAcであり;
    y=−3OSまたは−3OHであり;
    z=−6OSまたは−6OHであり;かつ

    Figure 0005572095
    であり;
    式中、記号〜は、mおよびnで示される単位が多糖鎖に沿って分布しており、かつ必ずしも順序どおりではないことを示す、請求項1記載の薬学的組成物
  14. 前記製剤が、以下の式IIを含む多糖から本質的になり:
    [U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z−[U−Hx,y,z
    式中、Uの存在それぞれ、ウロン酸残基を示し、Hの存在それぞれ、ヘキソサミン残基を示し;
    式中、m〜は、
    m=0〜10;
    n=0〜3;
    o=0〜10;
    p=0〜3;
    q=0〜10;であるような整数であり;
    n+pの合計が3、2、1、または0以下であり、m+n+o+p+qの合計が2より大きく;
    w、x、yおよびzはそれぞれ独立して、[U −H x,y,z ]の各存在で同一または異なることができ、かつx、yおよびzはそれぞれ独立して、[U −H x,y,z ]の各存在で同一または異なることができ、
    w=−2OSまたは−2OHであり;
    x=−NSまたは−NAcであり;
    y=−3OSまたは−3OHであり;
    z=−6OSまたは−6OHであり;かつ

    Figure 0005572095
    である、請求項1記載の薬学的組成物
  15. 前記製剤が重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトンを有する、請求項1に記載の薬学的組成物
  16. 前記製剤の多糖が、非還元性末端ウロン酸を有する、請求項1に記載の薬学的組成物
  17. 前記製剤中の多糖の還元性末端が、2,5−アンヒドロマンニトール残基をさらに含む、請求項1に記載の薬学的組成物
  18. 前記還元性末端の50%が、2,5−アンヒドロマンニトール残基を含む、請求項17に記載の薬学的組成物
  19. 前記多糖製剤が、
    未分画ヘパリン(UFHを解重合して、解重合ヘパリンを生成する工程と;
    解重合に続いて、前記解重合ヘパリンにグリコール分割反応を行う工程と;
    を含む方法によって生成される、請求項1に記載の薬学的組成物
  20. グリコール分割工程が:
    前記解重合ヘパリンを過ヨウ素酸で酸化することと;
    酸化された解重合ヘパリンを水素化ホウ素ナトリウムで還元することと;
    を含む、請求項19に記載の薬学的組成物
  21. 前記製剤が1.2〜1.7の多分散性を有する、請求項1記載の薬学的組成物。
  22. ナトリウム含有率30%未満;ヨウ素20 ppm未満;硫黄30%未満;およびホウ素50 ppm未満のうち1つまたは複数を有する、請求項1記載の薬学的組成物。
  23. 前記製剤が、非還元性末端にグリコール分割ウロン酸を有する多糖を含む、請求項1記載の薬学的組成物。
  24. 前記多糖製剤が15 IU/mg未満の抗Xa活性を有する、請求項1記載の薬学的組成物。
  25. 前記多糖製剤が10 IU/mg未満の抗Xa活性を有する、請求項1記載の薬学的組成物。
  26. 前記多糖製剤が3 IU/mg以下の抗IIa活性を有する、請求項1記載の薬学的組成物。
  27. 前記多糖の還元性末端が2,5−アンヒドロマンニトール残基を含む、請求項13記載の薬学的組成物。
  28. 前記多糖の還元性末端の50%が2,5−アンヒドロマンニトール残基を含む、請求項13記載の薬学的組成物。
  29. 前記製剤が1.2〜1.7の多分散性を有する、請求項13記載の薬学的組成物。
  30. ナトリウム含有率30%未満;ヨウ素20 ppm未満;硫黄30%未満;およびホウ素50 ppm未満のうち1つまたは複数を有する、請求項13記載の薬学的組成物。
  31. 前記製剤の前記多糖が非還元性末端にウロン酸を有する、請求項13記載の薬学的組成物。
  32. 前記製剤の前記多糖が非還元性末端にグリコール分割ウロン酸を有する、請求項13記載の薬学的組成物。
  33. 前記多糖製剤が15 IU/mg未満の抗Xa活性を有する、請求項13記載の薬学的組成物。
  34. 前記多糖製剤が10 IU/mg未満の抗Xa活性を有する、請求項13記載の薬学的組成物。
  35. 前記多糖製剤が3 IU/mg以下の抗IIa活性を有する、請求項13記載の薬学的組成物。
  36. 以下の特性を有する多糖製剤を含む薬学的組成物:
    (a)20 IU/mg未満の抗Xa活性および3 IU/mg以下の抗IIa活性; (b)5%を超えかつ30%未満のグリコール分割ウロン酸残基;ならびに
    (c)前記多糖製剤が、該製剤の10〜40%のオリゴ糖が<3000 Daの分子量を有し、45〜65%のオリゴ糖が3000〜8000 Daの分子量を有し、かつ15〜30%のオリゴ糖が>8000 Daの分子量を有するような分子量分布を有する。
  37. 前記製剤が3,500〜7,000 Daの重量平均鎖分子量を有する、請求項36記載の薬学的組成物。
  38. 以下の特性を有する多糖製剤を含む薬学的組成物:
    (a)20 IU/mg未満の抗Xa活性および3 IU/mg以下の抗IIa活性; (b)5%を超えかつ50%未満のグリコール分割ウロン酸残基;
    (c)前記多糖製剤が、該製剤の10〜40%のオリゴ糖が<3000 Daの分子量を有し、45〜65%のオリゴ糖が3000〜8000 Daの分子量を有し、かつ15〜30%のオリゴ糖が>8000 Daの分子量を有するような分子量分布を有する;ならびに
    (d)前記製剤の多糖が非還元性末端にウロン酸を有する。
  39. 以下の特性:
    (a)前記製剤の10〜40%のオリゴ糖が<3000 Daの分子量を有し、45〜65%のオリゴ糖が3000〜8000 Daの分子量を有し、かつ15〜30%のオリゴ糖が>8000 Daの分子量を有するような分子量分布;
    (b)5%を超えかつ50%未満のグリコール分割ウロン酸残基;ならびに
    (c)20 IU/mg未満の抗Xa活性および3 IU/mg以下の抗IIa活性
    を有する多糖製剤を含む薬学的組成物であって、
    前記製剤が、以下の式Iを含む多糖から本質的になり:
    [U −H x,y,z 〜[U −H x,y,z
    式中、Uの存在はそれぞれ、ウロン酸残基を示し、Hの存在はそれぞれ、ヘキソサミン残基を示し;
    式中、mおよびnは、
    m=4〜16; および
    n=1〜3
    であるような整数であり;
    w、x、yおよびzはそれぞれ独立して、[U −H x,y,z ]の各存在で同一または異なることができ、かつx、yおよびzはそれぞれ独立して、[U −H x,y,z ]の各存在で同一または異なることができ、
    w=−2OSまたは−2OHであり;
    x=−NSまたは−NAcであり;
    y=−3OSまたは−3OHであり;
    z=−6OSまたは−6OHであり;かつ

    Figure 0005572095
    であり;
    式中、記号〜は、mおよびnで示される単位が多糖鎖に沿って分布しており、かつ必ずしも順序どおりではないことを示し;かつ
    前記製剤中の複数の多糖が、還元性末端に2,5−アンヒドロマンニトール残基を、非還元性末端に非天然型ウロン酸を有する、薬学的組成物。
  40. 前記製剤が重量平均鎖分子量3,500〜7,000ダルトンを有する、請求項39に記載の薬学的組成物。
  41. 被験者における、転移性疾患、VEGF−、FGF−、SDF−1α−および/またはセレクチン仲介疾患;炎症性疾患、感染症、自己免疫疾患、繊維症、または血管形成を伴う疾患治療に使用するための、請求項1〜40のいずれか一項記載の薬学的組成物
  42. 期的に投与される、請求項41に記載の使用のための組成物
  43. 前記疾患が癌である、請求項41に記載の使用のための組成物
  44. 前記癌が乳癌、結腸癌、膵臓癌または前立腺癌である、請求項43に記載の使用のための組成物
  45. 科手術、放射線療法、化学療法薬、抗体またはチロシンキナーゼ阻害剤と併せて投与される、請求項43に記載の使用のための組成物
  46. 前記製剤が、投与量5〜50mg/kgで被験者に投与される、請求項43に記載の使用のための組成物
  47. (1)未分画ヘパリン(UFH)を亜硝酸(HONO)で解重合して、多糖製剤を生成する工程と;
    (2)前記多糖製剤を過ヨウ素酸で酸化する工程と;
    (3)前記酸化多糖製剤を水素化ホウ素ナトリウムで還元する工程と;
    (4)前記多糖製剤を単離し、それによって低分子量ヘパリン(LMWH組成物を製造する工程と;
    を含む、請求項1〜40のいずれか一項で定義される多糖製剤を製造する方法。
  48. 解重合工程が、pH2〜4、温度10〜30℃にて1〜5時間、0.02〜0.04M亜硝酸で前記UFHを処理することを含む、請求項47に記載の方法。
  49. 酸化工程が、温度0〜10℃にて10〜20時間、0.05M〜0.2M過ヨウ素酸で前記多糖製剤を処理することを含む、請求項47に記載の方法。
  50. 還元工程が、pH6.0〜7.0および温度0〜10℃にて0.5〜1.5時間、0.5〜2.0%(w/v)水素化ホウ素ナトリウムで前記酸化多糖製剤を処理することを含む、請求項47に記載の方法。
  51. 前記癌が膵臓癌である、請求項43記載の使用のための組成物。
  52. 前記癌が結腸直腸癌である、請求項43記載の使用のための組成物。
  53. 前記製剤が実質的な抗凝固活性を欠いている、請求項41記載の使用のための組成物。
  54. 前記癌が転移性癌である、請求項43記載の使用のための組成物。
  55. 前記転移性癌が転移性膵臓癌である、請求項54記載の使用のための組成物。
  56. 静脈内に投与される、請求項41記載の使用のための組成物。
  57. 皮下に投与される、請求項41記載の使用のための組成物。
  58. 毎日投与される、請求項41記載の使用のための組成物。
  59. 第二の療法と併せて投与される、請求項41記載の使用のための組成物。
  60. 前記第二の療法が1つまたは複数の治療薬の投与を含む、請求項59記載の使用のための組成物。
  61. 前記治療薬が細胞毒性剤または細胞***阻害剤またはそれらの組み合わせである、請求項60記載の使用のための組成物。
  62. 前記1つまたは複数の治療薬がドセタキシル、ロイコボリン、またはフルオロウラシルを含む、請求項60記載の使用のための組成物。
  63. 前記1つまたは複数の治療薬がゲムシタビンを含む、請求項60記載の使用のための組成物。
  64. タキサンをゲムシタビンと併用して投与する工程をさらに含む、請求項63記載の使用のための組成物。
  65. 請求項1〜40のいずれか一項記載の多糖製剤を含む、請求項41〜46および51〜64のいずれか一項記載の使用のための組成物。
  66. 請求項1〜40のいずれか一項記載の薬学的組成物を含むキット。
  67. 使用説明書;治療薬などの他の試薬;投与のために前記薬学的組成物を準備するための器具または他の材料;薬学的に許容される担体;および被験者に投与するための器具または他の材料のうち1つまたは複数をさらに含む、請求項66記載のキット。
  68. 前記説明書が、例えば疾患を有する患者における、推奨投与量および/または投与形式を記載する、請求項67記載のキット。
  69. 診断薬または治療薬などの少なくとも1種類のさらなる試薬をさらに含む、請求項67記載のキット。
  70. さらなる治療薬と併用して使用するための説明書をさらに含む、請求項66記載のキット。
  71. さらなる治療薬が化学療法薬である、請求項70記載のキット。
  72. 診断薬または治療薬などの少なくとも1種類のさらなる試薬をさらに含む、請求項71記載のキット。
  73. 前記化学療法薬がゲムシタビンである、請求項71記載のキット。
  74. 前記化学療法薬がタキサンと併用したゲムシタビンである、請求項71記載のキット。
JP2010532314A 2007-11-02 2008-11-03 非抗凝固性多糖組成物 Active JP5572095B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US98512307P 2007-11-02 2007-11-02
US60/985,123 2007-11-02
PCT/US2008/082223 WO2009059283A1 (en) 2007-11-02 2008-11-03 Non-anticoagulant polysaccharide compositions

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014132643A Division JP5816342B2 (ja) 2007-11-02 2014-06-27 非抗凝固性多糖組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011503001A JP2011503001A (ja) 2011-01-27
JP5572095B2 true JP5572095B2 (ja) 2014-08-13

Family

ID=40227772

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010532314A Active JP5572095B2 (ja) 2007-11-02 2008-11-03 非抗凝固性多糖組成物
JP2014132643A Active JP5816342B2 (ja) 2007-11-02 2014-06-27 非抗凝固性多糖組成物

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014132643A Active JP5816342B2 (ja) 2007-11-02 2014-06-27 非抗凝固性多糖組成物

Country Status (10)

Country Link
EP (1) EP2207811B1 (ja)
JP (2) JP5572095B2 (ja)
KR (1) KR101561860B1 (ja)
CN (1) CN101842392B (ja)
AU (1) AU2008318343B2 (ja)
CA (1) CA2703848C (ja)
MY (1) MY151984A (ja)
RU (2) RU2010122324A (ja)
SG (1) SG185925A1 (ja)
WO (1) WO2009059283A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014205704A (ja) * 2007-11-02 2014-10-30 モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド 非抗凝固性多糖組成物

Families Citing this family (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8569262B2 (en) 2007-11-02 2013-10-29 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Polysaccharide compositions and methods of use for the treatment and prevention of disorders associated with progenitor cell mobilization
US8592393B2 (en) 2007-11-02 2013-11-26 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Polysaccharide compositions and methods of use for the treatment and prevention of disorders associated with progenitor cell mobilization
EP2205642B1 (en) 2007-11-02 2016-01-27 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Non-anticoagulant polysaccharide compositions
EP2558506B1 (en) * 2010-04-16 2019-06-26 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Tissue targeting
US10017585B2 (en) * 2010-06-17 2018-07-10 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Methods and compositions for promoting hair growth
WO2013095279A1 (en) * 2011-12-19 2013-06-27 Dilafor Ab Non anti-coagulative glycosaminoglycans comprising repeating disaccharide unit and their medical use
AU2014274377A1 (en) 2013-05-28 2015-11-12 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Pharmaceutical compositions
GB2515315A (en) * 2013-06-19 2014-12-24 Dilafor Ab New Processes
ITLO20130006A1 (it) * 2013-11-06 2015-05-07 He E Biochimiche G Ronzoni S R Derivati carbossilati di glucosamminoglicani e loro uso come farmaci
AU2015287703A1 (en) 2014-07-09 2017-02-16 Cadena Bio, Inc. Oligosaccharide compositions and methods for producing thereof
CN104142405A (zh) * 2014-07-31 2014-11-12 温州市中心医院 硼替佐米对k562细胞株中dna甲基转移酶表达的检测方法
WO2016122887A1 (en) 2015-01-26 2016-08-04 Midori Usa, Inc. Oligosaccharide compositions for use animal feed and methods of producing thereof
CN104593347B (zh) * 2015-03-05 2018-08-28 深圳市海普瑞药业集团股份有限公司 来自Sphingobacterium daejeonense的肝素酶及其制备和应用
CA2983236A1 (en) * 2015-04-23 2016-10-27 Kaleido Biosciences, Inc. Glycan therapeutics and methods of treatment
US10464911B2 (en) 2015-07-27 2019-11-05 Chong Kun Dang Pharmaceutical Corp. 1,3,4-oxadiazole sulfamide derivative compounds as histone deacetylase 6 inhibitor, and the pharmaceutical composition comprising the same
MY190301A (en) 2015-07-27 2022-04-13 Chong Kun Dang Pharmaceutical Corp 1,3,4-oxadiazole amide derivative compound as histone deacetylase 6 inhibitor, and pharmaceutical composition containing same
US10538498B2 (en) 2015-07-27 2020-01-21 Chong Kun Dang Pharmaceutical Corp. 1,3,4-oxadiazole sulfonamide derivative compounds as histone deacetylase 6 inhibitor, and the pharmaceutical composition comprising the same
DK3331864T3 (da) 2015-08-04 2021-12-13 Chong Kun Dang Pharmaceutical Corp 1,3,4-Oxadiazolderivat-forbindelser som histon-deacetylase-6-hæmmer, og den farmaceutiske sammensætning omfattende disse
KR101839137B1 (ko) 2015-10-12 2018-03-26 주식회사 종근당 히스톤 탈아세틸화효소 6 억제제로서의 옥사다이아졸 아민 유도체 화합물 및 이를 포함하는 약제학적 조성물
CN108424474B (zh) * 2017-02-15 2023-07-25 清华大学 去抗凝肝素衍生物及其用于炎症性肠病的治疗
KR102316234B1 (ko) 2018-07-26 2021-10-22 주식회사 종근당 히스톤 탈아세틸화효소 6 억제제로서의 1,3,4-옥사다이아졸 유도체 화합물 및 이를 포함하는 약제학적 조성물
AU2020310172A1 (en) 2019-07-09 2022-03-03 Optimvia Llc Methods for synthesizing anticoagulant polysaccharides
WO2021041532A1 (en) * 2019-08-26 2021-03-04 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. Use of heparin to promote type 1 interferon signaling
EP4182452A1 (en) 2020-07-14 2023-05-24 Optimvia, LLC Methods for synthesizing non-anticoagulant heparan sulfate

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5744457A (en) * 1995-03-31 1998-04-28 Hamilton Civic Hospitals Research Development Inc. Compositions and methods for inhibiting thrombogenesis
ATE224918T1 (de) * 1995-03-31 2002-10-15 Hamilton Civic Hospitals Res Zusammensetzung zur hemmung der thromboseentstehung
IT1316986B1 (it) * 2000-01-25 2003-05-26 Sigma Tau Ind Farmaceuti Derivati glicosamminoglicani parzialmente desolfatati nonanticoagulanti ad attivita' antiangiogenica.
US7781416B2 (en) * 2000-01-25 2010-08-24 Sigma-Tau Research Switzerland S.A. Derivatives of partially desulphated glycosaminoglycans as heparanase inhibitors, endowed with antiangiogenic activity and devoid of anticoagulating effect
US7767420B2 (en) * 2005-11-03 2010-08-03 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Heparan sulfate glycosaminoglycan lyase and uses thereof
EP2207811B1 (en) * 2007-11-02 2017-01-04 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Non-anticoagulant polysaccharide compositions

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014205704A (ja) * 2007-11-02 2014-10-30 モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド 非抗凝固性多糖組成物

Also Published As

Publication number Publication date
EP2207811A1 (en) 2010-07-21
CA2703848A1 (en) 2009-05-07
CN101842392A (zh) 2010-09-22
AU2008318343B2 (en) 2013-07-18
JP2011503001A (ja) 2011-01-27
JP5816342B2 (ja) 2015-11-18
JP2014205704A (ja) 2014-10-30
KR20100094984A (ko) 2010-08-27
AU2008318343A1 (en) 2009-05-07
KR101561860B1 (ko) 2015-10-20
CA2703848C (en) 2016-10-11
RU2013139154A (ru) 2015-02-27
SG185925A1 (en) 2012-12-28
EP2207811B1 (en) 2017-01-04
MY151984A (en) 2014-07-31
CN101842392B (zh) 2014-08-27
WO2009059283A1 (en) 2009-05-07
RU2010122324A (ru) 2011-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5816342B2 (ja) 非抗凝固性多糖組成物
EP2205642B1 (en) Non-anticoagulant polysaccharide compositions
US9358252B2 (en) Polysaccharide compositions and methods of use for the treatment and prevention of disorders associated with progenitor cell mobilization
US9212233B2 (en) Polysaccharide compositions and methods of use for the treatment and prevention of disorders associated with progenitor cell mobilization
JP5371167B2 (ja) 抗脈管形成活性を有し、かつ、抗凝固作用がない、部分脱硫酸グリコサミノグリカンの誘導体
JP5721274B2 (ja) 多糖組成物の活性を評価する方法
Park et al. Molecular Targeting of VEGF with a Suramin Fragment–DOCA Conjugate by Mimicking the Action of Low Molecular Weight Heparins. Biomolecules 2021, 11, 46

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111003

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130703

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131001

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131008

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131029

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140609

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140627

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5572095

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250