以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る洗濯機の外観を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図2は、図1に示される洗濯機の内部の構造を示す側面図である。図3は、図1に示される洗濯機の内部の構造を示す斜視図である。なお、説明を明確にするため、図1に示すように前後左右上下の方向を設定する。
図1に示すように、洗濯機Sは、外郭が鋼板と樹脂成型品とを組み合わせて構成された筐体1を有している。筐体1は、ベース1fを備えており、左右の側板1a,1b、前面カバー1c、背面カバー(図示せず)、及び上面カバー1eがベース1fの上方に取り付けられて、箱状の筐体1が形成されている。
前面カバー1cの略中央には、衣類等の洗濯物をドラム3(図2参照)内に出し入れする際に開閉されるドア7が、ヒンジ機構(図示せず)により開閉可能に取り付けられている。ドア7の右側には、ドア7のロック機構(図示せず)を解除するための取っ手7aが設けられている。取っ手7aを手前に引くことで、ロック機構が外れてドア7が開き、ドア7を前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じるようになっている。
筐体1の上部には、電源スイッチ、操作スイッチ、コース設定ダイヤル、表示器等を備えた操作パネル6が設けられている。操作パネル6の左側には、洗剤、仕上剤等を投入するための引出し式の洗剤ボックス(洗剤投入部)12が配置されている。なお、洗剤ボックス12の詳細については後記する。
図2に示すように、洗濯機Sは、筐体1内に、回転軸を中心に回転可能であり洗濯物を収容し得る内槽としてのドラム3を備える。ドラム3の前側端面には、洗濯物を出し入れするための開口部3aが形成されており、この開口部3aの半径方向外側には、ドラム3と一体の流体バランサ3bが設けられている。
本実施形態の洗濯機Sは、ドラム3の回転中心軸が水平に設定されたドラム式洗濯機である。但し、ドラム3の回転中心軸は、開口部3a側が高くなるように傾斜させられてもよい。なお、図2では、洗濯機Sの左の側板1a、背面カバー(図示せず)、及び上面カバー1eが外された状態が示されている(図3も同様)。
また、図2及び図3に示すように、洗濯機Sは、ドラム3が内部に配置された有底円筒形状の外槽(槽)2を、ドラム3と同軸上に備える。外槽2の後側端面の外側中央には、ドラム3を駆動するためのモータ4が取り付けられており、モータ4の回転軸は、外槽2を貫通し、ドラム3と結合している。
外槽2は、下側をベース1fに固定されたダンパ5で防振支持されている。外槽2の前側端面には開口部が設けられており、ドア7(図1参照)を閉じることで外槽2が水封されるようになっている。外槽2の後側の上部左側には、外槽2内へ水、洗剤、仕上剤等を含む液体が流入する給水口2aが設けられている。
筐体1内の上部左側には、外槽2内に水、洗剤、仕上剤等を含む液体を供給する液体供給ユニット10が設けられている。液体供給ユニット10の流出口14と外槽2の給水口2aとは、ゴム製の蛇腹管20で接続されている。
図示省略するが、外槽2の最下部に設けられた排水口にホースが接続され、このホースは、排水弁を介して排水ホースに繋がっており、排水ホースから機外へ洗濯水が排水されるように構成されている。
また、筐体1の背面の上部左側には、水道栓からの給水ホース接続口8が設けられている。給水ホース接続口8は給水弁装置9に連結されており、給水弁装置9は、第1電磁弁9a及び第2電磁弁9bを含んでいる。第1電磁弁9a及び第2電磁弁9bは、それぞれホース21,22を介して液体供給ユニット10に接続されている。
次に、液体供給ユニット10についてより詳細に説明する。
図4は、液体供給ユニットの拡大斜視図である。図5は、液体供給ユニットの外観を示す拡大図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図6は、洗剤ボックスを洗剤ケースとシャワーケースとの間に装着する様子を示す斜視図である。図7は、洗剤ケースとシャワーケースとの分解斜視図である。
図4及び図5に示すように、液体供給ユニット10は、洗剤ケース11と、洗剤ボックス12と、シャワーケース(給水部)13とを備えており、例えば樹脂製である。洗剤ケース11の底面には、外槽2内と連通する流出口14(図5(b)参照)が形成されており、この流出口14に蛇腹管20(図2、図3参照)が接続されている。洗剤ボックス12のトレイ部22(図6参照)は、洗剤ケース11の前面開口部15(図6参照)から引出し可能に、洗剤ケース11内に配置される。シャワーケース13は、ホース21,22(図3参照)を経て送られる水を、洗剤ボックス12の上面にシャワーのごとく供給するように構成されている。
図6に示すように、洗剤ボックス12は、洗剤ケース11の前面に開口された前面開口部15を通して、洗剤ケース11内に装着される。洗剤ボックス12は、洗剤ケース11の前面開口部15を閉止可能な扉部21と、扉部21の後面から後方に延伸し洗剤等が投入される部分であるトレイ部22とを備えている。扉部21の前面には、使用者が指を入れて洗剤ボックス12の出し入れ操作を行うための操作部23が形成されている。トレイ部22の上部の左右両側部には、前後方向に延びる左右一対のフランジ形状のガイド24,24が形成されており、洗剤ボックス12は、ガイド24,24により、洗剤ケース11とシャワーケース13との間で支持される。
図7に示すように、洗剤ケース11には、上面に開口された上面開口部16が形成されている。シャワーケース13は、上面開口部16を覆うようにして、洗剤ケース11の上側に取り付けられる。このとき、洗剤ケース11の上部の左右両外側面に設けられた複数の爪部18がシャワーケース13の左右両外側面に設けられた複数の係合孔17にそれぞれ係合し、シャワーケース13は洗剤ケース11にねじ部材19により固定される。そして、洗剤ケース11及びシャワーケース13は、図示しない構造部材を介して筐体1に固定される。
洗剤ケース11は、外槽2(図3参照)との干渉を防ぐために底面が斜めにカットされており、正面(前方)から見ると右側が浅く、左側が深くなっている(洗剤ボックス12も同様)。洗剤ケース11の後側壁面には切欠部31が設けられており、シャワーケース13を洗剤ケース11にセットすると、シャワーケース13の流入部42(図10参照)が切欠部31に嵌合するように構成されている。
洗剤ケース11の底面は、右奥側から手前側に向かい低くなった傾斜面32と、左手前側から奥側に向かい低くなった傾斜面33とを備えている。傾斜面33の奥側の低くなった部分は、洗剤ケース11の底面で最も低い位置であり、ここに流出口14(図2参照)が形成されている。このような構成によれば、洗剤ボックス12を引き出した状態で洗剤ケース11の前側底面上に洗剤を落下させてしまったとしても、給水された水が傾斜面32に沿って洗剤ケース11の前側底面に送られた後、洗剤と共に傾斜面33に沿って流出口14に向けて送られるため、落下した洗剤がその位置に残留して堆積してしまうことが回避される。
洗剤ケース11の左右両内側面には、前後方向に延びる左右一対の段状のガイドレール34,34(右側のガイドレールは図示せず)が形成されている。そして、ガイドレール34,34上に洗剤ボックス12のガイド24,24の下面が載り、洗剤ボックス12の下方向と左右方向の位置決めを行い、洗剤ボックス12を洗剤ケース11に対してスムーズに出し入れできるように構成されている。
図8は、洗剤ボックスの外観を示す拡大図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。図9は、洗剤ボックスの拡大斜視図であり、(a)は左手前側上方から見た斜視図、(b)は右手前側上方から見た斜視図である。図10は、シャワーケースの拡大斜視図であり、(a)は右手前側上方から見た斜視図、(b)は右奥側下方から見た斜視図である。
図8及び図9に示すように、洗剤ボックス12のトレイ部22には、本洗い用の洗剤投入室(第1の洗剤投入室)25、本洗い用の洗剤投入室25とは別に設けられた前洗い用の洗剤投入室(第2の洗剤投入室)26、及び仕上剤投入室27が、それぞれ洗剤ボックス12の引出し方向における奥側から手前側に向けて並行して延在させられて形成されている。本洗い用の洗剤投入室25は、本洗いに使用される洗剤(ここでは粉末洗剤、以下同様)を投入するための投入室であり、前洗い用の洗剤投入室26は、前洗いを行うコースを選択した場合に前洗いに使用される洗剤を投入するための投入室である。仕上剤投入室27は、最終のすすぎにおいて使用され洗濯物を柔軟に仕上げるための仕上剤(液体)を投入するための投入室である。
本洗い用の洗剤投入室25及び前洗い用の洗剤投入室26は、上部と奥側が開口した箱状を呈しており、その底面は手前が高く、奥側が低い傾斜面となっている。本洗い用の洗剤投入室25及び前洗い用の洗剤投入室26における洗剤や水が流出する奥側端縁25a,26aのやや手前側には、それぞれ異物通過防止柵25b,26bが設けられている。
また、洗剤ボックス12の奥側上部には、幅方向(左右方向)に延伸する変形抑制用の補強リブ25c,26cが設けられている。具体的には、補強リブ25cは、本洗い用の洗剤投入室25の奥側上部において、奥側端縁25aと異物通過防止柵25bとの間に位置され、左右両内側面間に橋架されるように幅方向に延伸して形成されており、補強リブ26cは、前洗い用の洗剤投入室26の奥側上部において、奥側端縁26aと異物通過防止柵26bとの間に位置され、左右両内側面間に橋架されるように幅方向に延伸して形成されている。
仕上剤投入室27は、上部が開口した箱状を呈している。仕上剤投入室27の奥側底面には、奥側が隔壁27bで区切られた仕上剤流出室27cが形成されており、この仕上剤流出室27cにサイホン28が備えられている。サイホン28は、仕上剤流出室27cに立設されたサイホンパイプ(図示せず)と、これに被せられるサイホンキャップ28aとから構成されている。仕上剤流出室27cからの仕上剤や水は、サイホンパイプに連通する流出口(図示せず)を経て奥側端縁27aから流出するように構成されている。
仕上剤投入室27は、洗剤ボックス12の引出し方向に直交する幅方向において、左側に設けられた本洗い用の洗剤投入室25と右側に設けられた前洗い用の洗剤投入室26との間に形成されている。このように構成すれば、後記するように、給水弁装置9における2つの電磁弁9a、9bを使用して、投入室25〜27に向けての3方向の給水の切替えを良好に実現できる。
仕上剤投入室27の手前側端縁27dは、本洗い用の洗剤投入室25の手前側端縁25d及び前洗い用の洗剤投入室26の手前側端縁26dよりも奥側に設定されている。また、洗剤ボックス12には、本洗い用の洗剤投入室25の手前側と前洗い用の洗剤投入室26の手前側とを区画する隔壁29が、仕上剤投入室27の手前側端壁の外面から手前側に向けて延在して形成されている。
このように構成すれば、3つの投入室25〜27の手前側端縁を概ね同一に揃えた場合と比較して、本洗い用の洗剤投入室25の手前側の開口幅W1、前洗い用の洗剤投入室26の手前側の開口幅W2を広く確保することができる。また、隔壁29を仕上剤投入室27の手前側端壁の外面から手前側に向けて延在させたので、開口幅W1、W2の両方をバランス良く広げることができる。更に、広い開口幅W1,W2を有する領域の奥行き寸法L1も、必要に応じて適宜設定することが可能となり、例えば開口幅W1,W2と同程度に設定することが好ましい。
図10に示すように、シャワーケース13は、薄型箱状の給水室41と、給水室41の奥側端部から下方に延伸され給水室41と一体に形成された流入部42とを有している。流入部42は、内部を隔壁(図示せず)で仕切られ2室に分かれており、各室にはホース21,22(図3参照)がそれぞれ接続される流入口43,44が開設されている。
給水室41は、内部を隔壁(図示せず)で仕切られ3室に分かれており、本洗い用給水室45と、前洗い用給水室46と、仕上剤用給水室47とを備えている。本洗い用給水室45は、シャワーケース13の左側に形成されて、洗剤ボックス12の本洗い用の洗剤投入室25の上方に位置しており、下面に複数の散水孔45aが開設されている。前洗い用給水室46は、シャワーケース13の右側に形成されて、洗剤ボックス12の前洗い用の洗剤投入室26の上方に位置しており、下面に複数の散水孔46aが開設されている。仕上剤用給水室47は、シャワーケース13の幅方向中央寄りに形成されて、洗剤ボックス12の仕上剤投入室27の上方に位置しており、下面に複数の散水孔47aが開設されている。
第1電磁弁9a(図3参照)がオン(開)されると、給水ホース接続口8から第1電磁弁9aを通って送られる水は、流入口43から流入部42に流入した後、P方向(図10(a)参照)に向けて吐出されて、本洗い用給水室45に送られるように構成されている。また、第2電磁弁9b(図3参照)がオン(開)されると、給水ホース接続口8から第2電磁弁9bを通って送られる水は、流入口44から流入部42に流入した後、Q方向に向けて吐出されて、前洗い用給水室46に送られるように構成されている。一方、第1電磁弁9a及び第2電磁弁9bが同時にオン(開)されると、給水ホース接続口8から両電磁弁9a,9bを通って送られる水は、それぞれ、流入口43及び流入口44から流入部42に流入した後、P方向及びQ方向に向けて同時に吐出され、両者が衝突して流れの向きがP方向とQ方向との中間に相当するR方向(前方)に変えられて、仕上剤用給水室47に送られるように構成されている。このように、2つの電磁弁9a、9bを使用して3方向の給水の切替えが可能となっている。
シャワーケース13の下面の左右両側部には、前後方向に延びる左右一対のガイド規制部48,48が形成されている。そして、ガイド規制部48,48の下に洗剤ボックス12のガイド24,24が位置され、洗剤ボックス12の上方向の位置決めを行うと共に、上方向移動を規制している。
次に、前記のように構成された洗濯機Sの作用について説明する。
図11は、洗剤ボックスを手前側に引き出した状態の洗濯機を示す平面図である。図12は、洗剤を洗剤ボックスに投入する際に使用される計量スプーンの一例を示す外観斜視図である。
図11に示すように、洗濯時、使用者は洗剤ボックス12の扉部21の操作部23(図6参照)を持って手前側に引くと、洗剤ボックス12のトレイ部22が、洗剤ケース11の前面開口部15(図6参照)から引き出される。
続いて、使用者は、図12に示すような計量スプーン50の容器部51の内部に規定量の洗剤を入れた後、取っ手部52を持って計量スプーン50内の洗剤を本洗い用の洗剤投入室25に投入する。前洗いを行うコースを選択した場合には、同様にして使用者は、前洗い用の洗剤投入室26にも洗剤を投入する。以下、前洗いが行われる場合について説明する。なお、必要に応じて漂白剤が洗剤に加えて投入される。更に、使用者は、仕上剤投入室27に仕上剤を投入する。洗剤及び仕上剤の投入が終了すると、使用者は、洗剤ボックス12の扉部21を奥側に押し込んで、トレイ部22を洗剤ケース11(図6参照)内に収納する。
前記したように、本洗い用の洗剤投入室25の手前側の開口幅W1(例えば70mm)、前洗い用の洗剤投入室26の手前側の開口幅W2(例えば70mm)は広く確保されている。一方、計量スプーン50の容器部51の大きさ(縦寸法L0及び横寸法W0)は、一般に60mm以下である。つまり、洗剤投入室25,26の開口幅W1,W2を、計量スプーン50の容器部51の大きさよりも広くできる。これにより、使用者は、洗剤を洗剤投入室25,26に投入し易くなる。
洗い工程が開始されると、まず前洗いが行われる。すなわち、給水弁装置9の第2電磁弁9bがオン(開)され、給水ホース接続口8からの水はシャワーケース13内においてQ方向(図10(a)参照)に送られて、前洗い用給水室46に流入する。水は前洗い用給水室46の下面に開設された複数の散水孔46aから洗剤ボックス12の前洗い用の洗剤投入室26に流下して万遍なく散水され、そこにある洗剤を洗剤ケース11に流し込む。そして、洗剤と共に水が洗剤ケース11の流出口14を経て、蛇腹管20を通り、外槽2の給水口2aから外槽2内に供給される。
外槽2内に規定の水位まで給水されて洗濯水が溜まると、洗濯機Sは、モータ4によりドラム3を回転させて、洗濯物の前洗いを開始する。前洗いが終了すると、洗濯機Sは、排水弁(図示せず)を開いて、外槽2内の洗濯水を排水し、ドラム3を回転させて遠心脱水する。
続いて、本洗いが行われる。すなわち、給水弁装置9の第1電磁弁9aがオン(開)され、給水ホース接続口8からの水はシャワーケース13内においてP方向(図10(a)参照)に送られて、本洗い用給水室45に流入する。水は本洗い用給水室45の下面に開設された複数の散水孔45aから洗剤ボックス12の本洗い用の洗剤投入室25に流下して万遍なく散水され、そこにある洗剤を洗剤ケース11に流し込む。そして、洗剤と共に水が洗剤ケース11の流出口14を経て、蛇腹管20を通り、外槽2の給水口2aから外槽2内に供給される。
外槽2内に規定の水位まで給水されて洗濯水が溜まると、洗濯機Sは、モータ4によりドラム3を回転させて、洗濯物の本洗いを開始する。本洗いが終了すると、洗濯機Sは、排水弁(図示せず)を開いて、外槽2内の洗濯水を排水し、ドラム3を回転させて遠心脱水する。
続いて、すすぎ工程が行われる。まず、例えば給水弁装置9の第1電磁弁9aがオン(開)されて、給水ホース接続口8からの水は、洗剤ボックス12の本洗い用の洗剤投入室25、洗剤ケース11を経て、外槽2内に供給される。なお、このとき、本洗い用の洗剤投入室25内の洗剤は、既に流されていて存在しない。
外槽2内に規定の水位まで給水されて洗濯水が溜まると、洗濯機Sは、モータ4によりドラム3を回転させて、洗濯物のすすぎを開始する。すすぎは、通常2〜3回行われる。
そして、最終のすすぎにおいて、給水弁装置9の第1電磁弁9a及び第2電磁弁9bが同時にオン(開)され、給水ホース接続口8からの水は、シャワーケース13内においてR方向(図10(a)参照)に送られて、仕上剤用給水室47に流入する。ここで、第1電磁弁9a及び第2電磁弁9bを同時にオン(開)させた場合、P方向に吐出される水とQ方向に吐出される水とが衝突して流れの向きがR方向(前方)に変えられる。この場合、水がP方向又はQ方向に多少流れたとしても、本洗い用の洗剤投入室25や前洗い用の洗剤投入室26の中に入れてあった洗剤は既に水と共に流された後なので、問題が生じることはない。
水は仕上剤用給水室47の下面に開設された複数の散水孔47aから洗剤ボックス12の仕上剤投入室27に流下して万遍なく散水される。仕上剤投入室27内に収容した仕上剤を水で薄めて水位を高めることにより、サイホン作用によって仕上剤と共に水がサイホン28のサイホンパイプから流出して、洗剤ケース11に流し込まれる。そして、仕上剤と共に水が洗剤ケース11の流出口14を経て、蛇腹管20を通り、外槽2の給水口2aから外槽2内に供給される。
すすぎ工程が終了すると、洗濯機Sは、外槽2内の洗濯水を排水して、ドラム3を回転させて遠心脱水し、洗濯を終了する。
前記したように、本実施形態の洗濯機Sの液体供給ユニット10は、外槽2内と連通する流出口14を有する洗剤ケース11と、洗剤ケース11に対して引出し可能に配置される洗剤ボックス12と、洗剤ボックス12に水を供給するシャワーケース13と、を備え、洗剤ボックス12には、本洗い用の洗剤投入室25、本洗い用の洗剤投入室25とは別に設けられた前洗い用の洗剤投入室26、及び仕上剤投入室27が、それぞれ上部に開口すると共に洗剤ボックス12の引出し方向における奥側から手前側に向けて並行して延在させられており、仕上剤投入室27の手前側端縁は、本洗い用の洗剤投入室25の手前側端縁及び前洗い用の洗剤投入室26の手前側端縁よりも奥側に設定されている。
本実施形態によれば、図13(a)に示すような洗剤ボックス112(比較例1)の3つの投入室125〜127の手前側端縁を概ね同一に揃えた場合と比較して、洗剤ボックス12全体の幅寸法を増やすことなく、本洗い用の洗剤投入室25の手前側の開口幅W1(図8(a)参照)、前洗い用の洗剤投入室26の手前側の開口幅W2(図8(a)参照)を広く確保することができる。
すなわち、省スペース化を図りつつ洗剤投入室25,26の開口幅W1,W2を広く確保した洗濯機Sを提供することができる。
したがって、使用頻度の高い洗剤投入室25,26の開口幅W1,W2を、一般的な計量スプーン50の容器部51の大きさよりも広くできる。これにより、使用者は、計量スプーン50を用いて、洗剤を洗剤投入室25,26に、簡単かつ誤り無く、投入することができ、使い勝手が良くなる。また、誤って仕上剤投入室27に洗剤が入ってしまうことを抑制でき、すすぎ性能を良好に保つことができる。
また、各投入室25〜27の容積が大容量必要な場合(容積を広げたい場合)には、洗剤ボックス12の奥行き寸法を大きくして対応することが可能である。つまり、各投入室25〜27が奥側から手前側に向けて並行して延在しているため、一つの投入室を奥側に延長しても、他の投入室の配置を変更する必要はない。したがって、各投入室25〜27の容積を広げても、使用者が洗剤や仕上剤を投入する際の操作性には影響を与えない。
更に、仕上剤投入室27が奥側に配置されているため、使用者が仕上剤投入室27に仕上剤(液体)が入った状態で洗剤ボックス12を引き出したとしても、仕上剤が飛び跳ねて洗剤ボックス12から飛び出してしまう事態を回避できる。
また、本実施形態では、仕上剤投入室27は、洗剤ボックス12の幅方向において、本洗い用の洗剤投入室25と前洗い用の洗剤投入室26との間に形成されている。このように構成すれば、給水弁装置9における2つの電磁弁9a、9bを使用して、投入室25〜27に向けての3方向の給水の切替えを良好に実現できる。
また、本実施形態では、本洗い用の洗剤投入室25の手前側と前洗い用の洗剤投入室26の手前側とを区画する隔壁29を、仕上剤投入室27の手前側端壁の外面から手前側に向けて延在させたので、開口幅W1、W2の両方をバランス良く広くすることができる。
一方、図13(b)に示すような、前洗い用の洗剤投入室226と仕上剤投入室227とをそれぞれ引出し方向の後と前に並べて、本洗い用の洗剤投入室225の開口幅を広くした洗剤ボックス212(比較例2)も考えられるが、この場合、次のような難点がある。すなわち、洗剤ボックス212の手前側にある仕上剤投入室227に仕上剤(液体)が入った状態で、洗剤ボックス212を引き出すと、その勢いで仕上剤が飛び跳ねて洗剤ボックス212から飛び出してしまう虞がある(機外への漏水)。また、仕上剤投入室227の容積が大容量必要な場合(容積を広げたい場合)には、前洗い用の洗剤投入室226が奥側に追いやられて配置されることになってしまうため、前洗い用の洗剤投入室226の容積が小さくなったり、使用者が前洗い用の洗剤を投入する際の操作性が悪化したりする。
また、前記比較例2において前洗い用の洗剤投入室と仕上剤投入室とを逆にした構成も考えられる。つまり、図13(b)において、仕上剤投入室226と前洗い用の洗剤投入室227とをそれぞれ引出し方向の後と前に並べて、本洗い用の洗剤投入室225の開口幅を広くした洗剤ボックス212(比較例3)も考えられるが、この場合、次のような難点がある。すなわち、前洗い用の洗剤投入室227の容積が大容量必要な場合(容積を広げたい場合)には、仕上剤投入室226が奥側に追いやられて配置されることになってしまうため、仕上剤投入室226の容積が小さくなったり、使用者が仕上剤を投入する際の操作性が悪化したりする。また、使用者が、前洗い用の洗剤投入室への給水中に、例えば仕上剤を入れ忘れたことに気付いて動作を一時停止させずに洗剤ボックス212を引き出してしまうと、仕上剤投入室226に意に反して給水されて仕上剤が流れ出てしまう虞がある。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
例えば、洗剤ボックス12の幅方向において、本洗い用の洗剤投入室25が右側に形成され、前洗い用の洗剤投入室26が左側に形成され、仕上剤投入室27が本洗い用の洗剤投入室25と前洗い用の洗剤投入室26との間に形成されていてもよい。また、洗剤ボックス12のトレイ部22の左右方向の幅寸法を奥側よりも手前側が大きくなるように形成して、本洗い用の洗剤投入室25の手前側の開口幅W1、及び前洗い用の洗剤投入室26の手前側の開口幅W2を更に広げてもよい。
また、前記した実施形態では、仕上剤投入室27は、洗剤ボックス12の幅方向において、本洗い用の洗剤投入室25と前洗い用の洗剤投入室26との間に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。図14(a)〜(c)は、変形例に係る洗剤ボックスの要部を模式的に示す平面図である。
図14(a)に示すように、仕上剤投入室27Aは、洗剤ボックス12Aの幅方向において、端部(図14(a)では右側端部であるが、左側端部でもよい)に形成されてもよい。ここで、前洗い用の洗剤投入室26Aは、仕上剤投入室27Aと反対側の端部に形成され、本洗い用の洗剤投入室25Aは、平面形状が略L字形状を呈し、前洗い用の洗剤投入室26Aと仕上剤投入室27Aとの間に形成されることが好ましい。このように構成すれば、使用頻度のより高い本洗い用の洗剤投入室25Aの手前側の開口幅を広く確保することができる。なお、この場合には、給水弁装置9は、各投入室25A,26A,27Aごとに給水するための例えば3つの電磁弁を備えるように構成される。但し、前記した実施形態においても、各投入室25〜27ごとに給水するための3つの電磁弁を備えていてもよい。
なお、図14(a)では、本洗い用の洗剤投入室25Aと前洗い用の洗剤投入室26Aとを区画する隔壁55Aは、平面視して前後方向(洗剤ボックス12Aの引出し方向)に直線形状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。図14(b)に示すように、洗剤ボックス12Bの本洗い用の洗剤投入室25Bと前洗い用の洗剤投入室26Bとを区画する隔壁55Bは、平面視して手前側において、手前側端部に近付く程本洗い用の洗剤投入室25B側(ここでは右側)に寄る傾斜面56Bを備えていてもよい。あるいは、図14(c)に示すように、洗剤ボックス12Cの本洗い用の洗剤投入室25Cと前洗い用の洗剤投入室26Cとを区画する隔壁55Cは、平面視して手前側において、本洗い用の洗剤投入室25B側(ここでは右側)に垂直に屈曲した段部56Cを備えていてもよい。このように構成すれば、本洗い用の洗剤投入室25B,25Cの手前側の開口幅を広く確保できると共に、前洗い用の洗剤投入室26B,26Cもある程度広く取ることができる。
また、洗剤ボックス12において、第1の洗剤投入室として、本洗い用の洗剤投入室25に代えて粉末洗剤(又は液体洗剤)用の洗剤投入室が設定され、第2の洗剤投入室として、前洗い用の洗剤投入室26に代えて液体洗剤(又は粉末洗剤)用の洗剤投入室が設定されてもよい。この場合、使用者は、粉末洗剤用の洗剤投入室、及び液体洗剤用の洗剤投入室のうちのいずれかに洗剤を投入し、洗濯工程において両洗剤投入室に水が供給されるように構成される。
また、前記した実施形態では、乾燥機能を備えていない洗濯機Sについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、乾燥機能を備えた洗濯機にも適用可能である。また、前記した実施形態では、ドラム式洗濯機を例に挙げたが、一般に縦型洗濯機と呼ばれている洗濯機にも適用可能である。