JP5569104B2 - 難燃性ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、ハロゲン系の難燃剤を使用せず、高度の難燃性を有し、高温下長期間の耐熱試験後の強度保持率が優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物に関する。
ポリアルキレンテレフタレートなどに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた特性から、電気および電子部品、自動車部品などに広く使用されている。近年、特に家電、電気およびOA関連部品では、火災に対する安全性を確保するため、高度な難燃性が要求される例が多く、このため、種々の難燃剤の配合が検討されている。
ハロゲン系難燃剤を用いずに樹脂組成物を難燃化する方法としては、金属酸化物を用いる方法、リン化合物を用いる方法などがある。金属酸化物を用いる方法では、多量に用いないと所望の難燃特性が得られ難く、また、多量に用いると、元来樹脂が持つ特性を低下させてしまうという問題があった。
リン化合物を用いて樹脂を難燃化する方法としては、有機(縮合)リン酸エステル化合物を用いる方法、または赤燐を用いる方法が従来公知である。較的低分子量である有機(縮合)リン酸エステルは揮発性、昇華性、耐熱性の点で不十分であり、また、樹脂組成物を高温下で長時間使用すると、難燃剤がブリードアウトする問題があった。さらに、ハロゲン系難燃剤を用いた系に比べ、長期の物性低下が大きいなどの問題があった。赤燐では樹脂組成物の乾燥中や成形中に有毒性のホスフィンガスを発生するという問題があった。
特許文献1、及び2には、本願組成物の構成物の一つである下記一般式1と同一の構造を有する有機リン系難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物に関する技術が開示されている。しかし、本系によって有機(縮合)リン酸エステルを用いた系に比べ、高温下長期間の耐熱試験後の強度保持率はある程度改善されるものの、ハロゲン系難燃剤を用いた系に比べまだ劣っており、更なる改善が必要であった。
Figure 0005569104
特開昭53−128195号公報 国際公開WO2007/040075パンフレット
ハロゲン系難燃剤を使用せず、高度の難燃性を有し、高温下長期間の耐熱試験後の強度保持率が優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物を得ることである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性ポリエステル系樹脂に、特定の構造を有するリン系難燃剤と、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系樹脂、及びポリアリレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の非晶性熱可塑性樹脂(C)を配合することで、上記課題が解決可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)100重量部と、下記一般式1で表される有機リン系難燃剤(B)5〜80重量部と、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン系樹脂、及びポリアリレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の非晶性熱可塑性樹脂(C)1〜20重量部と、を含有する難燃性ポリエステル系樹脂組成物に関する。
Figure 0005569104
(式中、nは2〜40の整数である)
好ましい実施態様は、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)を、ポリアルキレンテレフタレートとすることである。
好ましい実施態様は、前記難燃性ポリエステル系樹脂組成物であって、さらに、無機フィラー(D)5〜120重量部を含有する難燃性ポリエステル系樹脂組成物とすることである。更に好ましい実施態様では、前記無機フィラー(D)として、ガラス繊維、タルク及び/又はマイカを含む。
また、本発明は、前記難燃性ポリエステル系樹脂組成物の成型品に関する。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤を使用せずに優れた難燃性を発現し、高温下長期間の耐熱試験後の強度保持率が高い。そのため、耐熱環境下で使用される家電、電気、OA部品等の成形材料として好適に使用でき、工業的に有用である。
(熱可塑性ポリエステル系樹脂(A))
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)とは、酸成分としてテレフタル酸等の2価の酸、又はエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価のアルコール、又はエステル形成能を有するそれらの誘導体等を用いて得られる飽和ポリエステル樹脂をいう。これらの中でも、加工性、機械的特性、電気的性質、耐熱性などのバランスに優れるという点で、ポリアルキレンテレフタレート樹脂が好ましい。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂が挙げられ、この中でも、耐熱性および耐薬品性が優れるという点で、特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
本発明で使用する熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)は必要に応じ、物性を大きく低下させない程度の割合で、他の成分を共重合することができる。共重合の成分としては、公知の酸成分、アルコール成分および/またはフェノール成分、あるいは、エステル形成能を持つこれらの誘導体が使用できる。
共重合可能な酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。共重合可能な酸成分の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4’−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いられる。これらのなかでも、得られた樹脂の物性、取り扱い性および反応の容易さに優れるという理由から、テレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレンジカルボン酸が好ましい。
共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたは、フェノール、及びエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。 共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分の具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、などの化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。これらの中でも、得られた樹脂の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由から、エチレングリコールおよびブタンジオールが好ましい。
さらに、ポリアルキレングリコール単位を一部共重合させてもよい。ポリオキシアルキレングリコールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、および、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中では、共重合時の熱安定性が良好で、かつ、本発明の樹脂組成物から得られる成形品の耐熱性があまり低下しにくい等の理由から、分子量500〜2000のビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物が好ましい。
これら熱可塑性ポリエステル樹脂は、単独で使用してもよく、または、2種以上併用してもよい。
本発明における熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)の製造方法は、公知の重合方法、例えば、溶融重縮合、固相重縮合、溶液重合等によって得ることができる。また、重合時に樹脂の色調を改良するために、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸メチルジエチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等の化合物を、1種または2種以上添加してもよい。
さらに、得られた熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化度を高めるために、重合時に通常よく知られた有機または無機の各種結晶核剤を、単独で添加してもよく、または、2種以上併用してもよい。
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)の固有粘度(フェノール/テトラクロロエタンが重量比で1/1の混合溶液中、25℃で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.6〜1.0dl/gがより好ましい。前記固有粘度が0.4dl/g未満では、機械的強度や耐衝撃性が低下する傾向があり、1.2dl/gを超えると成形時の流動性が低下する傾向がある。
(有機リン系難燃剤(B))
本発明における有機リン系難燃剤(B)とは、下記一般式1で表されるものであり、分子中にリン原子を含み、nの繰り返し単位の下限値はn=2であり、好ましくは、n=3、特に好ましくはn=5である。nの繰り返し単位の上限値の規定は特にないが、過度に分子量を高めると分散性等に悪影響を及ぼす傾向にある。そのため、nの繰り返し単位の上限値は、n=40であり、好ましくは、n=35、特に好ましくはn=30である。n=2未満であると、ポリエステル樹脂の結晶化を阻害したり、機械的強度が低下したりする傾向がある。
Figure 0005569104
(式中、nは2〜40の整数である)
本発明に用いられる有機リン系難燃剤(B)の製造方法は、特に限定されず、一般的な重縮合反応によって得られるものであり、例えば、以下の方法で得られる。
すなわち、下記一般式2で表される9,10−ジヒドロー9−オキサー10−フォスファフェナントレンー10−オキシドに対し、必要量のイタコン酸、およびイタコン酸に対し約2倍モル以上のエチレングリコールを混合し、窒素ガス雰囲気下、120〜200℃の間で加熱し、攪拌することにより、9,10−ジヒドロー9−オキサー10−フォスファフェナントレンー10−オキシド、イタコン酸およびエチレングリコールの反応物を得る。得られた反応物に、三酸化アンチモンおよび酢酸亜鉛を加え、1Torr以下の真空減圧下にて、さらに設定温度を245℃として維持し、エチレングリコールを留出しながら重縮合反応させる。約5時間後エチレングリコールの留出量が極端に減少した時点で、反応終了とみなす。得られた有機リン系難燃剤は、分子量4000〜12000の固体であり、リン含有量が8.3%である。
Figure 0005569104
(式中、R4、R5、R6は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であり、それぞれ同一でも、異なっていても良い。)
前記有機リン系難燃剤(B)の、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対する、含有量は5〜80重量部であることを要し、難燃性の観点から、10重量部以上が好ましく、成形性、及び成形体の機械的強度の観点から、70重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましい。
(非晶性熱可塑性樹脂(C))
本発明では、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系樹脂、及びポリアリレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の非晶性熱可塑性樹脂(C)を添加することにより、高温下長期間の耐熱試験後の強度保持率を向上させることができる。これらは単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、他ポリマーとのポリマーアロイやポリマーブレンドのような混合品を用いることもできる。
本発明におけるポリエーテルイミド樹脂とは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有するポリマーで有れば特に限定されない。また、本発明の効果を阻害しない範囲で有れば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミド、エーテル結合以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていても良い。本発明では、溶融成形性やコストの観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物(例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社から“ウルテム”(登録商標)として市販されている。)が好ましく使用される。
本発明におけるポリスルホン系樹脂とは、主鎖に芳香環基とその結合基としてスルホン基を有する熱可塑性樹脂であり、一般にポリスルホンと、ポリエーテルスルホンと、ポリフェニルスルホンとに大別される。
ポリスルホン樹脂は、代表的には下記の一般式3で表される構造をもつポリマーである。本明細書では、溶融成形性やコストの観点から、ソルベイアドバンストポリマーズ社から市販されている“ユーデル”(登録商標)を使用した。
Figure 0005569104
ポリエーテルスルホン樹脂は、ジフェニルエーテルクロロスルホンのフリーデルクラフツ反応により得られ、代表的には下記の化学式4で表される構造をもつポリマーである。本明細書では、溶融成形性やコストの観点から、ソルベイアドバンストポリマーズ社から市販されている“レーデル A”(登録商標)を使用した。
Figure 0005569104
ポリフェニルスルホン樹脂は、代表的には下記の化学式5で表される構造をもつポリマーである。本明細書では、溶融成形性やコストの観点から、ソルベイアドバンストポリマーズ社から市販されている“レーデル R”(登録商標)を使用した。
Figure 0005569104
本発明におけるポリアリレート樹脂とは、芳香族ジカルボン酸とビスフェノール類を繰り返し単位とする樹脂である。
ビスフェノール類の具体例として、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、あるいは、2種類以上を混合して使用してもよい。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが経済的な観点から好ましい。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4,4´−ジカルボキシジフェニルエーテル、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、4,4´−ジカルボキシジフェニルスルホン等が挙げられ、なかでもテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
前記非晶性熱可塑性樹脂(C)の、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対する添加量は、高温下長期間の耐熱試験後の強度保持率を向上させる観点から、1〜20重量部であることを要し5重量部以上が好ましく、成型加工性の観点、即ち流動性の低下を防止する観点、及び成形体の初期の機械強度の低下や製品のコストアップを防止する観点から、15重量部以下が好ましい。
(無機充填剤)
本発明の難燃性ポリエステル系樹脂組成物には、機械的性質や耐熱性、高温下長期間の耐熱試験後の強度保持率を向上させる目的で、無機充填剤を添加することができる。
本発明で使用される無機充填剤は、繊維状および/または粒状の無機充填剤であれば、特に限定されないが、無機充填剤を添加することにより、強度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることができる。
本発明で使用される無機充填剤の具体例としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリュウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。
本発明で使用されるガラス繊維としては、通常一般的に使用されている公知のガラス繊維を用いることができるが、作業性の観点から、集束剤にて処理されたチョップドストランドガラス繊維を用いるのが好ましい。
本発明で使用されるガラス繊維は、樹脂とガラス繊維との密着性を高めるため、ガラス繊維の表面をカップリング剤で処理したものが好ましく、バインダーを用いたものであってもよい。前記カップリング剤としては、例えば、γ - アミノプロピルトリエトキシシラン、γ - グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物好ましく使用され、また、バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が好ましく使用されるが、これらに限定されるものではない。上記ガラス繊維は、単独で使用してもよく、また、2種以上を併用してよい。
本発明におけるガラス繊維の繊維径は1〜20μmが好ましく、かつ、繊維長は0.01〜50mmが好ましい。繊維径が1μm未満であると、期待するような補強効果が得られない傾向があり、繊維経が20μmを超えると、成形品の表面性や流動性が低下する傾向がある。また、繊維長が0.01mm未満であると、期待するような樹脂補強効果が得られない傾向があり、繊維長が50mmを超えると、成形品の表面性、流動性が低下する傾向がある。
本発明における無機充填剤の含有量は、本発明に係る熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、下限値としては、5重量部が好ましく、10重量部がより好ましく、15重量部がさらに好ましい。無機充填剤含有量の下限値が5重量部未満では、耐熱性や剛性の改善効果が十分でない場合がある。無機充填剤含有量の上限値としては、120重量部が好ましく、100重量部がより好ましく、80重量部が更に好ましい。無機充填剤含有量の上限値が120重量部を超えると、流動性が下がり、薄肉成形性が損なわれたり、成形品の表面性が低下したりする場合がある。
本発明の難燃性ポリエステル系樹脂組成物においては、初期に対する、190℃または200℃における耐熱試験後のASTM D−638に準拠した引張強度保持率が50%に達する時間(以下半減期という)が、それぞれ3000時間および6000時間以上であることが好ましく、3500時間および7000時間であること更に好ましい。本材料の劣化機構がアレニウスの10℃2倍則に従うとした場合、前記190℃および200℃の半減期が3000時間および6000時間以下となると、実際の使用温度、例えば150℃での半減期が10万時間以下となる可能性が高くなり、実使用上問題となる場合がある。また、電気的性質(絶縁破壊強度や耐トラッキング性)や衝撃強度(Izod衝撃強度や引張衝撃強度)も同様に、上記のような高温下における半減期を示すことが好ましい。
(添加剤)
本発明の難燃性ポリエステル系樹脂組成物には、必要に応じて、窒素化合物、滴下防止剤、顔料、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤等を添加することができる。
(製造方法)
本発明の難燃性ポリエステル系樹脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)、有機リン系難燃剤(B)、及び非晶性熱可塑性樹脂(C)を、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練する方法をあげることができる。混練機の例としては、一軸押出機、二軸押出機などが挙げられ、特に、混練効率の高い二軸押出機が好ましい。
(用途)
本発明で得られる難燃性ポリエステル系樹脂組成物は、ハロゲン系の難燃剤を使用せず、長期の耐熱性試験後の物性劣化が抑制されているため、特に、長期の耐熱性が要求されるような、家電、OA機器等に好適に使用される。
次に、具体例をあげて本発明の組成物を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
以下に、実施例、及び比較例において使用した樹脂、及び原料類を示す。
[ポリエステル樹脂(A1)]ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名:EFG−70、ベルポリエステルプロダクツ社製)
[有機リン系難燃剤(B1)]製造例1にて合成したもの。
[有機リン系難燃剤(B2)]1,3−フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート(製品名:PX−200、第八化学工業株式会社製)
[非晶性熱可塑性樹脂(C1)]ポリアリレート樹脂(製品名:U−ポリマー(登録商標)U−100、ユニチカ株式会社製)
[非晶性熱可塑性樹脂(C2)]ポリスルホン樹脂(製品名:ユーデル(登録商標)P−1700、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製)
[非晶性熱可塑性樹脂(C3)]ポリフェニルスルホン樹脂(製品名:レーデル(登録商標)R−5000、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製)
[非晶性熱可塑性樹脂(C4)]ポリエーテルイミド樹脂(製品名:ULTEM1000(登録商標)、SABICイノベーティブプラスチックス社製)
[非晶性熱可塑性樹脂(C5)]ポリスチレン樹脂(商品名:トーヨースチロール(登録商標)GP HRM24N、東洋スチレン株式会社製)
[非晶性熱可塑性樹脂(C6)]ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン(登録商標)A2200、出光興産株式会社製)
[非晶性熱可塑性樹脂(C7)]ポリフェニレンエーテル樹脂(製品名:ユピエース(登録商標)PX−100L、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)
[無機化合物(D1)]ガラス繊維(製品名:T−187H、日本電気硝子株式会社製)
[無機化合物(D2)]タルク(製品名:ローズタルク、日本タルク株式会社製)
[無機化合物(D3)]マイカ(製品名:A−41S、株式会社ヤマグチマイカ製)
[窒素化合物(E1)]メラミン・シアヌレート(製品名:MC4000、日産化学株式会社製)
[リン化合物(F1)]9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10フォスファフェナントレン−10−オキシド(製品名:HCA、三光株式会社製)
本明細書における評価方法は以下の通りである。
<難燃性>
得られたペレットを120℃で3時間乾燥後、射出成形機(JS36SS型締め圧:35トン)を用い、シリンダー設定温度250℃〜280℃および金型温度60℃の条件にて射出成形を行い、127mm×12.7mm×厚み1.6mmの試験片を得た。UL94基準V−0試験に準拠し、得られた厚さ1.6mmのバー形状試験片を用いて燃焼性を評価した。
<引張の半減期>
得られたペレットを120℃にて3時間乾燥後、射出成形機(東芝機械株式会社製、IE−75E−2A(型締め圧:75トン))を用い、シリンダー設定温度250℃〜280℃、金型温度60℃、射出率30cm3/sec.の条件にて射出成形を行い、ASTM D−638に準じたダンベル試験片を作製した。得られた測定用試験片を用いて、ASTM D−638に準拠して引張試験を行い、23℃での引張強度を測定した。次に、下記耐熱試験方法に準じた試験を終了したサンプルを上記同様方法で引張試験を行い、耐熱試験前の引張強度の50%に達した時間をその温度の半減期とした。
<耐熱試験>
ギアオーブン(GPHH−200、タバイ社製)に上記で得られたダンベルを190℃および200℃で水平に静置し一定時間毎にサンプルを取り出し、上記の耐熱試験後の引張試験に用いた。
(製造例1)
蒸留管、精留管、窒素導入管、及び攪拌基を有する縦型重合器に、リン含有化合物(F1)、(F1)に対して等モルのイタコン酸60重量部、及びイタコン酸に対し2倍モル以上のエチレングリコール160重量部を投入し、窒素ガス雰囲気下、120〜200℃まで徐々に昇温加熱し、約10時間攪拌した。次いで、三酸化アンチモンおよび酢酸亜鉛0.1重量部を加え、1Torr以下の真空減圧にて、温度220℃で維持し、エチレングリコールを留出させながら重縮合反応させた。約5時間後、エチレングリコールの留出量が極端に減少したことで、反応終了とみなした。
(実施例1〜7)
表1に示した原料と配合組成(単位:重量部)に従い、予めドライブレンドした。ベント式44mmφ同方向2軸押出機(TEX44、日本製鋼所(株)製)を用い、前記ドライブレンド物をホッパー孔から供給し、シリンダー設定温度250〜280℃にて溶融混練を行い、ペレット化し、前記記載の評価方法にて評価した。評価結果を、表1に示す。実施例1〜7では、非晶性熱可塑性樹脂(C)として、実施例1ではポリアリレート樹脂を、実施例2ではポリスルホン樹脂を、実施例3ではポリフェニレンスルホン樹脂を、実施例4〜7ではポリエーテルイミド樹脂を各々用いた。
Figure 0005569104
(比較例1〜5)
表2に示した配合組成(単位:重量部)に従い、実施例1〜8と同様に、ペレット化および射出成形を行い、試験片を得、同様の評価方法にて実験を行った。比較例1〜4における評価結果を、表2に示す。比較例1、及び2では非晶性熱可塑性樹脂(C)を用いず、比較例3〜5では、非晶性熱可塑性樹脂として、比較例3ではポリスチレン樹脂を、比較例4ではポリカーボネート樹脂を、比較例5ではポリフェニレンエーテル樹脂を各々用いた。
Figure 0005569104
実施例1〜7と比較例1〜5とを比較すると、本発明に係る特定の構造を有するリン系難燃剤(B)と、本発明に係る特定の非晶性熱可塑性樹脂(C)とを、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)に配合することで、ハロゲン系難燃剤を使用せず、高度の難燃性を有し、高温下長期間の耐熱試験後の強度保持率が優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物を得ることができることが判る。

Claims (7)

  1. 熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)100重量部と、下記一般式1で表される有機リン系難燃剤(B)5〜80重量部と、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン系樹脂、及びポリアリレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の非晶性熱可塑性樹脂(C)1〜20重量部と、を含有する難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
    Figure 0005569104
    (式中、nは2〜40の整数である)
  2. 前記熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)が、ポリアルキレンテレフタレートである請求項1に記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
  3. 請求項1、又は2に記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物であって、さらに、無機フィラー(D)5〜120重量部を含有する難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
  4. 前記無機フィラー(D)としてガラス繊維を含む請求項3に記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
  5. 前記無機フィラー(D)としてタルクを含む請求項3又は4に記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
  6. 前記無機フィラー(D)としてマイカを含む請求項3〜5の何れかに記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜の何れかに記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物の成型品。
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