JP5567343B2 - 下結節伸展部を用いた心臓ペーシング - Google Patents

下結節伸展部を用いた心臓ペーシング Download PDF

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Description

本開示は、心臓ペーシングに関する。特に、本開示の実施形態は、右心房(「RA」)の下結節伸展部(「INE」)を用いた心臓ペーシングに関する。
健康な心臓において、心拍は洞房(「SA」)結節のRAにおいて生じる。興奮は、両心房を通って房室(「AV」)結節にすばやく広がり、興奮の波を遅延させる。この遅延により、両心房が収縮した後に両心室が収縮することが可能となる。興奮は、AV結節により遅延された後、AV結節を出てヒス(His)束に伝わり、ヒス束を興奮させる。このヒス束の興奮は、プルキンエ線維からなる心室伝導系を介して心室まで、精密なパターン状に広がる。心室伝導系を介して興奮が広まることにより、各心室細胞が正確な時間に興奮され、心室収縮の調和が取られる。
さまざまな理由により、AV結節はブロックされ(「AVブロック」という)、心臓伝導系の正常な利用が抑制され、あるいは阻止される。AVブロックは、心房細動のある患者の心拍数を制御するために、治療上誘発されることもある。
AVブロックのために正常な心臓伝導系を用いることができない場合、心室ペーシングが心拍障害の治療に用いられてきた。心臓の機械的機能を最適にするためには心室細胞における高度な電気同期が必要だが、心室ペーシングによりこの電気同期が得られるわけではない。最近発見されたことだが、長期的に見た場合、電気同期が得られないことで、鬱血性心不全を起こすことが多くなる。
心室ペーシングとして、具体的には、心臓の右心室(「RV」)心尖部からペーシングを行うものがある。リードの種類が安定しており、リード配置が簡易であるため、RVペーシングが用いられてきた。RVペーシング用の静脈ペーシングリードおよび電極としては、特許文献1に記載されたものがある。しかし、直接RVペーシングは、非同期収縮、陰性変力効果、心室組織における組織学的な変化や超微形態的な変化、鬱血性心不全の問題の危険性、さらに死亡など、心室動作としては不良な状態をまねく可能性がある。
RVペーシングにはこれらの欠点があるため、ペーシング中の心血行動態を高めるために、代替のペーシング部位についても研究されてきた。代替ペーシング部位としては、右室流出路(「RVOT」)やさまざまな中隔部位がある。また、両心室ペーシングなど、複数の心室ペーシング部位を用いることにより、再同期治療が改善されてきた。しかしながら、これらの代替ペーシング方法によっても、生理学的に必要な同期を得られないことがある。また、RVOTの臨床的帰結については知られていない。
直接ヒス束ペーシングも、心室伝導系に損傷のない患者の心室収縮を同期させるようという試みに用いられてきた。しかしながら、ヒトのヒス束をペーシングする場合、いくつかの制約がある。たとえば、ヒス束の比較的小さな部分をペーシングする難しさや、膜性中隔にペーシングリードを挿入する難しさについて、研究により報告されている。また、ヒス領域では線維の含有量が多いため、ヒスペーシングでは、RVペーシングよりも高いペーシング閾値と低い感知閾値が必要となる。また、ヒスペーシング部位は大動脈近くであるため、大動脈を損傷するという破壊的帰結をまねく可能性がある。
米国特許第6,094,596号明細書
このため、従来の心臓ペーシングに見られる上記の欠陥を克服して改善された、心臓ペーシング装置および方法が求められている。
本開示の各実施形態にかかる心臓ペーシングの方法およびシステムは、INEとヒス束の結合を利用して、小型AV結節を介さずヒス束を興奮させる。一実施形態において、このことは、RAに位置するINEを用いてヒス束を直接興奮させ、AV結節を効果的に迂回することによって達成される。
一実施形態において、心臓の下結節伸展部に刺激を与える方法は、電極を備えるリードを設けるステップと、電極を心臓の下結節伸展部近くに配置するステップと、下結節伸展部に刺激を与えるために、電極の作動、停止、および調整のうちの1つ以上を行うステップとを含む。
別の一実施形態において、心臓のペーシングを行う方法は、電極を備えるリードを設けるステップと、電極を、下結節伸展部に刺激を与えるために、解剖学的な有効距離内、すなわち、ヒトの心臓のコッホ(Koch)の三角内で、三尖弁から5ミリメートル〜6ミリメートルの範囲内に配置するステップと、心臓のヒス束を興奮させて心室収縮を同期させるために、電極の作動、停止、および調整のうちの1つ以上を行うステップとを含む。
さらなる一実施形態において、心臓の下結節伸展部に刺激を与える方法は、電極を備えるリードを設けるステップと、電極が心臓の下結節伸展部近くに位置するようにリードの動きを指示するステップと、下結節伸展部に刺激を与えるために、電極の作動、停止、および調整のうちの1つ以上を行うステップとを含む。
下結節伸展部を刺激する装置は、第一電極および第二電極を備えた先端部と、基端部とを有するリードと、先端部に設けられたねじ部とを備え、ねじ部は、リードの先端部のチップから延在し、基端部に向かって第一電極と第二電極を越えて延在している。
心臓の断面図。 コッホの三角を含む、図1に示す心臓の一部を拡大した概略図。 第一の実施形態にかかるペーシングリードを部分的に破線で示した、INEへの心内膜アプローチを示す図。 図3に示すリードのチップの拡大図。 第二の実施形態にかかるペーシングリードを部分的に破線で示した、INEへの静脈アプローチを示す図。 図4に示すリードのチップの拡大図。 第三の実施形態にかかる電極の電気回路図。 (A)明確にするために、移行細胞(「TC」)の図示を省略した、コッホの三角の概略図。心房中隔(「IAS」)のペーシングは、ボックス(1)で示す位置から行われた。コッホの三角において、ローミング電極を別のボックスで示す場所まで移動した。双極電極の位置を、複数の小さな円で示し、速い伝導路(「FP」)と遅い伝導路(「FP」)とへ入る位置を概略的に示す、(B)図8(A)に示すローミング電極から与えられる0.5ミリ秒の端極性パルスの振幅が0.33ミリアンペアから10ミリアンペアまで上昇した結果を示す棒グラフ。2ミリ秒の双極IASのペーシングは、2X閾値(2ミリアンペア)で一定であった。各ランプパルスは、IASペーシングのパルス前40ミリ秒〜60ミリ秒に印加した。 心房組織、ヒス、結節、SP、心室、および中間の軌跡について、同じ部位で記録した電位図および光学興奮電位(「OAP」)を選択し、その比較を示す図。双極の下ヒス電位図(「IHE」)の軌跡の時間(各300ミリ秒)を点線で示す。 (A)SPおよびヒスを興奮させる、SP(SP電極)上のローミング電極から与えたSPペーシングに対応する、上ヒス電位図(「SHE」)を示す図。A、H、Vはそれぞれ、IHEの心房、ヒス、心室の成分を示す、(B)高位IASの最初に興奮した心房組織に行ったIASペーシングに対応する、SHEの軌跡を示す図。A、H、Vはそれぞれ、IHEの心房、ヒス、心室の成分を示す。 8回の表面かん流実験で得られた、コッホの三角における興奮パターンと刺激閾値との簡略図。四角は、光学マッピングの視野を示す。 IHEに近い領域で記録したOAPと、IHE、分界稜(「CrT」)、およびIASペーシング電極で計測した電位図とを示す図。ランプアーチファクトは、エイリアシングのために異なる(1.5ミリ秒のパルスを、一秒ごとに1,500個の試料でサンプリングした)。ランプが閾値を超える前に、標本をIASからペーシングした。ランプが閾値を超えると、2:1の割合でAVブロックが生じた。 (A)心房およびFPの興奮に関わる刺激とヒス興奮の間隔(S−H間隔)を示すグラフ、(B)すべての表面かん流の実験について、SPおよびヒスの興奮に関わる刺激とヒス興奮との間隔(S−H間隔)を、ヒス電極からの距離との関係で示すグラフ、(C)SPを興奮させた刺激ランプの終端と、IASからペーシングしたその後の脈拍とを記録した電位図。単極ランプの電位図において、双極IASのペーシングよりも大きな刺激アーチファクトが生じた。 SPを介してヒス束へ伝播する早期刺激を示す概略図。
図1にヒトの心臓10を示す。図1に示す心臓10は、RA12、左心房(「LA」)14、RV16、左心室(「LV」)18、上大静脈(「SVC」)20、下大静脈(「IVC」)21、大動脈弓22、および肺動脈24から構成される。
図2に、心臓10の一部を拡大した構成を示す。心臓10は、INE26、三尖弁輪28、冠状静脈洞(「CS」)30、冠静脈洞入口部32、小型AV結節34、心房中隔36、下結節束38、ヒス束40、トダロ腱索42、および心室中房44から構成される。心臓10における別の構成として、房室結節の血管46と、その小孔48が破線で示される。房室結節の血管46と小孔48とにより、AV結節34からCS30内のINE26へのアプローチが与えられる。
図2において、AV結節34は、AV結節34を周囲の心房心筋に接続する、少なくとも二つの入力部をもつ。この入力部は、速い伝導路(FP)と、遅い伝導路(SP)/INEであり、それぞれ独自の電気生理学的特質をもつ。AV結節34へのFP入力部は、RA12のコッホの三角の頂点近くに位置する。FPでは、伝導速度が比較的速く、不応期が比較的長い。一方、SP入力部は、RA12の三尖弁輪28と冠静脈洞入口部32の間の狭部にある、三尖弁近くに位置する。SPは伝導速度が比較的遅く、不応期は比較的短い。FPとSPとの機能特性の差異は、房室結節回帰頻拍(「AVNRT」)として臨床的に示される。
INE26をヒス束40に結合することにより、この接続を用いて、小型AV結節34を介さずヒス束40を興奮させることができる。図2および後述する図5に示すように、INEへのアプローチは、AV結節の血管46からCS30内に存在し、これにより電極配置を容易にすることができる。AV結節の血管46が開き、コッホの三角に直接通じる
場合もある。
INEを用いた心臓ペーシング
INEを電気的に刺激し、正常な心臓伝導系を介して心室収縮を同期させることができる。INEのペーシングにより生じる興奮は、コネキシン43陽性の下結節束を介して心臓の小型AV結節を迂回するため、AVブロックのある患者に使用することができる。特に、ペーシング電極の配置部位としてINEを用いることにより、さまざまな度合いのAVブロックのある患者のAV伝導を回復することができる。また、ペーシング電極の配置部位としてINEを用いることにより、特殊化した心臓の伝導系を介して、正常に興奮を同期させることができる。
INEをペーシングする利点としては、ペーシングリードを心臓弁に通す必要がないことが挙げられる。ペーシングリードを心臓弁に通した場合、心臓弁の機能が低下してしまう。また、心室収縮の同期に関しては、心臓の左側にペーシングリードを置く必要がないことも利点である。
また、INEをペーシングすることにより、従来のRVおよび両心室のペーシングに見られた、電気的同期および機械的同期の問題が解消される。INEのペーシングによって心室収縮を同期させることにより、ペーシングに誘発されて患者が心不全を起こす可能性を抑えることができる。
RAにINE/SPの「副伝導路」が存在することにより、INEを、長期的に同期ペーシングに用いることができる。少なくとも下記の理由により、ペーシング部位の配置を容易に探し出すことができる。理由として、(1)INE/SPは、電位図において独自の軌跡を描き、電気生理学者は移植時にこの軌跡を用いることができること、(2)INE/SPはAVNRTのアブレーションの対象として好まれてきたため、電気生理学者はINE/SPを探すのに必要な用具を既に開発しているということ、そして(3)INE/SPの捕獲部の閾値は、周囲の心房組織の閾値よりも高くてもよく、この閾値により、下心房組織の捕獲部に対してINE/SPの捕獲部が区別されることが挙げられる。
また、INE/SPからのペーシングには、ヒス束直接のペーシングに比べていくつかの利点がある。利点として、(1)INE/SPを興奮させるために、RAの比較的大きな部分をペーシングすることができ、大動脈近くの小さなヒス領域をペーシングするという困難が緩和される、(2)INE/SPペーシングにより、RVOTのペーシングを回避することができること、(3)ヒス束周囲の線維組織のために、INE/SPペーシングの閾値は、ヒス束ペーシングに必要な閾値よりも低くてよいこと、(4)INE/SPペーシングにより、通常のAV結節の伝導路は介さず心室収縮を同期させることができ、これにより、直接ヒス束ペーシングで組織が損傷するのを防ぐことができること、そして(5)INE/SPへの静脈アプローチにより、安定なリード配置部位が得られ、直接ヒス束ペーシングでずれるリードの数が低減されることが挙げられる。一例として、間欠的にAVブロックを生じる患者の場合、INE/SPペーシングは治療の解決法になりうる。これは、自然な歩調取りおよび伝導系で心臓のペーシングが可能となり、INE/SPペーシングにより、必要に応じて心室収縮を同期させることができるためである。
図3および図5で詳述するように、心内膜アプローチ(図3)や静脈アプローチ(図5)など、INEへのアプローチはいくつか存在する。各種実施形態のINEペーシングで用いられる、静脈と心房のペーシングリードおよび電極については、米国特許第6,745,081号明細書、特許文献1、第6,085,119号明細書、第6,070,081号明細書、第5,545,204号明細書、第4,136,703号明細書、および第3,729,008号明細書、並びに国際公開第2006/042295/号および国際
公開第96/10961/号に記載されている。これらはすべて、本明細書において参照として援用される。参照による援用については、本明細書における明確な開示に反する主題を援用されないこと、上記文献に記載のない請求項は、参照として援用されないこと、また本明細書に明示されないかぎり、上記文献に記載された定義を参照として援用しないことなどの制約がある。
図3を参照し、INEへの第一のアプローチは、心内膜アプローチである。装置100は、リード102とカテーテル104とからなる。リード102は、基端部106と先端部108を有する。カテーテル104と、リード102の先端部108は、SVCを介してRAに挿入される。リード102のチップ110を、たとえばねじって、INE26上部の心房組織に差し込んでもよい。心房組織における挿入部位は、INEに刺激を与えるために、解剖学的な有効距離内にあってもよい。たとえば、挿入部位は、ヒトの心臓のコッホの三角内で、三尖弁から5ミリメートル〜6ミリメートルの範囲内にあってよい。各種実施形態において、心房組織における挿入位置は、ヒトのINE26から約3ミリメートルの範囲内であってもよい。別の実施形態において、心房組織における挿入部位は、ヒトのINE26から約5ミリメートルの範囲内であってもよい。心房組織における挿入位置は、INEから約5ミリメートルより大きくても、約3ミリメートル未満であってもよいことを、当業者には理解されたい。リード102をINE26上部の心房組織に挿入したあと、カテーテル104を引き抜いてもよいし、あるいはリード102に取り付けたままにしておいてもよい。ヒトのINEとINEへの静脈アプローチとについては、ハッカーら著の「コネキシン43の発現により説明される、ヒトの房室接合部の2つの伝導路(Connexin 3 Expression delineates two discrete pathways in the human atrioventricular junction)」、解剖記録2007年に記載されている。この文献は、本明細書において付録Aとして援用されている。
図4を参照し、本実施形態のリードチップ110は、第一電極112a,第二電極112b,第三電極112cと、最先端部の二つの電極112a,112bを取り囲むねじ部114とを備える。リードチップ110はさらに尖頭部116を備える。尖頭部116は、INEをペーシングおよび感知するために心房組織に挿入される。そして、ねじ部114がリードチップ110を心房組織に押し込むようにリードチップ110をねじることにより、リードチップ110は、INE26上部の心房組織にねじ込まれる。心室収縮を遠距離場で感知するために、第三電極112cを用いてもよい。
上記アプローチで長期的にペーシングを行うために、ねじ部114は、長さが約2.0ミリメートル〜約3.0ミリメートルであってもよい。また、ねじ部114は、電極を取り囲んでペーシングし、任意で電極を感知してもよい。ペーシング電極(たとえば、112a,112b)は、心房組織に埋め込まれてもよい。ペーシングリード102には4個以上または3個未満の電極が含まれてよいことを、当業者には理解されたい。また、ねじ部114の長さが約2.0ミリメートルより短く、約3.0ミリメートルより長くてもよく、その他の方法を用いてリードチップ110をINE26のペーシング部位に固定してもよいことについても、当業者には理解されたい。
図5に、AV結節の血管アプローチを示す。装置200は、リード202とカテーテル204とからなる。リード202は、基端部206と先端部208を有する。図2に戻り、INE26へのアプローチは、AV結節の血管46からCS30内に存在する。また、AV結節の血管46が開き、コッホの三角に直接通じる場合もある。カテーテル204と、リード202の先端部208は、SVC20を介してRA12へ、CS30の小孔32を介してCS30へ、そしてINE26へのAV結節の血管46へ挿入される。本実施形態のリード202のチップ210は、第一電極212a,第二電極212b,第三電極2
12c,および第四電極212dを備えてもよい。
CSの誘導や心臓へのカテーテルおよびリードの挿入を可能にするカテーテル挿入方法および設計がある。こうした挿入方法として、本明細書において援用される米国特許第6,745,081号明細書、第6,070,081号明細書、および第5,545,204号明細書に記載されたものがある。参照による援用については、本明細書における明確な開示に反する主題を援用されないこと、上記文献に記載のない請求項は、参照として援用されないこと、また本明細書に明示されないかぎり、上記文献に記載された定義を参照として援用しないことなどの制約がある。
従来のカテーテル設計との違いとして、各種実施形態のカテーテル設計は、心外膜のペーシングに用いられるカテーテルに比べて長さが短いこと、また、カテーテルチップがAV結節の血管に入るように操作できることが挙げられる。たとえば、AV結節の血管に入るようにするために、カテーテルのチップは、約10度〜約60度の角度でわずかに曲がっていてもよい。別の実施形態において、カテーテルのチップは、約10度未満の角度および約60度より大きい角度で曲がっていてもよいことを、当業者には理解されたい。
図4および図6を参照し、実施形態のリードチップ110,210は、感知機能からペーシング機能に切り替え可能な複数の電極(それぞれ3個の電極、4個の電極)を備えてもよい。別の実施形態では、5個以上、3個未満の電極がリードチップに含まれることを、当業者には理解されたい。各リードの単極感知により、どのリードが最も確実に信号を伝導する遅い伝導路であるかを決定することができる。そして、リードを切り替えてペーシングリードとし、このリードでSPペーシングを行ってもよい。ペーシングを行わないリードを用いてペーシング中に心拍数をモニタしてもよく、このモニタは双極モードで行うことができる。
図7の回路は、リード300の各リード電極がどのようにペーシング機能から感知機能に切り替わるかについて、一実施形態を示している。二つのリード電極312a,312bは、明確にするために図示されている。回路300は、複数のスイッチ302a,302b,302c,302d,302eと、第一の接地304aおよび第二の接地304bと、容量器306と、バッテリ308と、心電図(「ECG」)感知回路310と、複数の電極312a,312bとからなる。
スイッチ302aが閉じると、キャパシタは充電可能であり、スイッチ302aが開くと、キャパシタ306はバッテリ308との接続が切られる。スイッチ302c,302dが閉じているとき、単極のECGがリード312a,312b両方で感知される。このとき、ECG感知回路310の基準リードは装置の容器である。ECG感知回路310は、どのリードが最も遅い伝導路のECGを示すかを決定する。そして、スイッチ302c,302dを開き、ECG感知回路310により制御されるスイッチ302b,302eを閉じて、最も遅い伝導路の可能性があるリードをキャパシタ306に接続し、単極ペーシングとする。電気刺激を供給する方法には電気的に何通りもの方法があり、波形、周波数、電圧、およびタイミングも何通りもあることを、当業者には理解されたい。
心室ペーシングの同期については、本明細書に援用として参照される、ハッカー等著の「房室結線のAV遅延の有無に伴う房室伝導:ウサギの心臓におけるヒス束への2つの伝導路(Atrioventricular Conduction with and without AV Nodal Delay:Two Pathways to the Bundle of His in the Rabbit Heart)」Am.J.Physiol.Heart Cir.Physiol.、2007年10月、293(2):H1122−30に記載されている。
実験例
設定
ニュージーランド白ウサギ(n=18、2.5〜3ヶ月齢、2〜3kg)に、ペントバービタルナトリウム100mg/kgおよびヘパリン1,000IUを静脈注射して麻酔をかけた。その後、胸骨を開いて心臓を摘出した。心臓を摂氏37度で酸素化タイロード(95%O,5%CO)によりランゲンドルフ(Langendorff)灌流し、5μMのDi−4−ANEPPS(オレゴン州ユージンのMolecular Probes社製)を5分間で50マイクロリットル得た。この実験を、表面かん流し、分離したAV接合部(n=8)と、ランゲンドルフかん流した心臓(n=10)とで行った。なお、AV接合部は右心房を介して露出した状態とした。表面かん流の実験では、冷タイロード(摂氏0度)中でAV接合部を切開し、洞房結節を摘出した。動きアーチファクトを防ぐために、この標本を、15mMの興奮収縮連関2,3−ブタンジオンモノオキシム(ミズーリ州セントルイスのシグマ(Sigma)社製)を含むタイロードを用い、30mL/分で表面かん流した。光学マッピングシステムでは、16×16のフォトダイオードアレイを用いた。そして、光信号を1.5キロヘルツでサンプリングし、平均化し、120ヘルツで低域フィルタリングした。光学的な興奮マップにより、興奮波面に対応した光信号の伝搬を示した。
電位図の記録
電極をIASおよびCrTに配置し、ヒス束上の四重電極で上ヒス電位図(SHE)および下ヒス電位図(IHE)両方を記録し、速いヒス興奮および遅いヒス興奮をモニタした。
特定のペーシングプロトコールや、伝導路が交互になることが原因でAV結節の興奮伝導路に生じる変化に伴い、ヒス興奮と、ヒス電位図の形態も変化し得る。AV結節とヒスはSPにより興奮させられ(すなわち、遅いヒス興奮)、IHEは、AV結節がFPにより興奮させられる場合よりも大きな振幅を示す。反対に、FPによりAV結節とヒスを興奮させる場合(すなわち、速いヒス興奮)、SHEは遅いヒス興奮の場合よりも大きい振幅を示す。
各電極の位置を、図8(A)に示す。第四ローミング電極を用いて、コッホの三角内の電位図を記録した。コッホの三角の概略は、図8(A)に示すとおりである。基準リードは、電極チップから3ミリメートル離して配置した。臨床用の半球チップを模倣するために、テフロン(登録商標)で被覆された0.13ミリメートルPt/Ir配線チップを〜0.07ミリメートルまで剥いた。この電極を力変換器(FORT25:フロリダ州サラソタのワールドプレシジョンインスツルメンツ社(World Precision Instruments)製)に搭載して、接触力を制御した。これにより、接触力を最小にし、地点間で一定となることを保証している。電動式極微操作装置により、このローミング電極をコッホの三角内で1ミリメートルずつ動かした(図8(A)のグリッド)。電位図を1.5キロヘルツ(テキサス州オースティンのナショナルインスツルメンツ社(National Instruments)製のものによる)で記録し、各電極の位置をデジタル撮影した。
刺激プロトコル
標本を、IAS電極とローミング電極との二つの電極でペーシングした(図8(A))。IASペーシングは、2X閾値(最大2ミリアンペア)、パルス2ミリ秒、周期長300ミリ秒で、一定に行った(図8(B))。IASペーシングにより、静脈洞のペーシングを刺激し、SPを起源とする房室接合部調律を隠すのに用いられた。また、IASペーシングは、ローミング電極が場所から場所へ移動したとき、組織の興奮を一定の状態に保
持するのに用いられた。刺激閾値は、単極性パルス(パルス0.5ミリ秒、周期長300ミリ秒、振幅0.33ミリアンペア〜10ミリアンペアの範囲内で、パルスごとに0.33ミリアンペア増加:図8(B))のランプで決定した。各ランプパルスは、IASペーシングのパルスの45ミリ秒〜60ミリ秒前に供給した(図8(B))。ペーシングランプは、どの場所に対してもローミング電極、すなわちコッホの三角(図8(A)のグリッド)内の14箇所ないし24箇所から供給した。これにより、場所それぞれの閾値を速やかに決定することができた。ペーシング閾値は、IASペーシングからの興奮パターンにおいて、ローミング電極が与える刺激に対しずれを生じたランプパルスの振幅として定義した。
結果―SPの識別
図8(A)の概略図は、SPおよびFPへの入力位置を大まかに示したものである。SPの解剖学的基質はINEと考えられることが多いが、FPの解剖学的基質は十分に定義されておらず、小型AV結節に重なる複数のTCから構成される。
IASペーシング中に記録した電位図とOAPを比較した。IASペーシング時に記録を開始し、300ミリ秒間行った。図9は、同じ部位について記録した電位図とOAPを直接比較したものである。IASペーシング中、AV結節にはFPによって興奮が伝えられ、SPは袋小路の伝導路として機能した。心房組織の電位図はすべて、ペーシングアーチファクト直後に鋭い信号を示している。これは、心房心筋内での伝導が速いことを表している。心房組織のOAPは、心房の興奮電位を形態化したものである。ヒスの電位図は、(心房組織の軌跡に見られるタイミングと同様に)ペーシングアーチファクト直後の速い信号と、最大80ミリ秒後に見られた、ヒス興奮を反映した鋭いスパイクとを含んでいる。ヒスのOAPには、心房の興奮とヒスの興奮の合計である、二つのスパイクがある。第一のスパイクは心房興奮に対応しており、第二のスパイクはヒスの興奮に特有の停滞期である。結節の電位図とSPの電位図とは、複数の成分を含んでいる。最初の成分は、心房組織の電位図で見られる信号と、時間的に一致している。また、最初の成分のあとには、低振幅で複雑な二相性の記録が続く。この二相性の記録は、心房興奮とヒス興奮との間に見られる遅い伝導に一致するものである。結節の電位図は、AV結節の解剖学的位置近くのものであり、結節のOAPは結節を形態化したものである。SPの電位図およびOAPは、SPに沿ったものである。結節およびSPの電位図およびOAPには、重複する特徴がある。
図9に戻り、電位図の鋭いスパイクは、蛍光信号の最大張力発生速度(dF/dtmax)に対応している。結節およびSPの軌跡において、電位図が示す遅い伝導特性は、同じ場所のOAPと相関関係にある。例外としては、結節の電位図に見られる、OAPの停滞期に生じたスパイクがある。双極のIHEに対するこのスパイクのタイミングを踏まえると、結節における結節−ヒス(NH)領域の興奮または下結節束(LNB)の興奮を、このスパイクは反映していると思われる。なお、NHおよびLNBでは、ヒス束に向かって興奮の速度が上がる。
コッホの三角内で与えられるペーシングの刺激は、与えられる場所によって異なる興奮パターンを形成する。IASペーシングにより生じる興奮パターンはIAS電極を起源とした。そして、コッホの三角内の伝導系上部に位置する、心房組織およびTCにすばやく広がった。この結果、AV結節のFPに興奮が伝わった。興奮マップはdF/dtを示しているため、例外的にAV結節の伝導が遅い場合(低振幅のdF/dtである場合)、〜50ミリ秒乃至70ミリ秒の間は伝導が見られない。この期間のあと、LNB領域を起源とするヒス興奮が生じた。IASペーシングとヒス興奮との間隔は、最大で70ミリ秒であった。
コッホのトライアングル内の多数のペーシング位置において、ローミング電極によるペーシングを行った。その結果、IASペーシングで見られるパターンと同様の心房およびFPの興奮パターンが生じた。
ローミング電極を、コッホの三角内で三尖弁から最大2ミリメートルの範囲内に置くと、SPが興奮した。SPの興奮は、コッホの三角の頂点に向かってゆっくり移動した狭い興奮パターンのように見える。AV結節の領域に到達した後、興奮は途切れなくヒス束に向かって続き、逆にIASに広がった。SHEの軌跡においては、SPペーシング中に小振幅で、ヒス電位図の形態が遅いヒス形態へと変化した。そして、ランプの終了後はもとの形態に戻った。刺激とヒス興奮との間隔(S−H間隔)は、矛盾しているようであるが、遅いヒス興奮よりも速いヒス興奮において長い。遅いヒス電位図は、8回の表面かん流の実験中、6回観察された。
SPの興奮と、心房およびFPの興奮とでは、同様の光学的興奮パターンが、ランゲンドルフ灌流した心臓のAV接合部で観察された。SPペーシングの興奮マップとして、IHEの軌跡を図10に示す。心臓全体のSPペーシングは、遅くて狭い興奮パターンを形成し、続いてヒスが興奮状態となった。無傷の心臓においては、ヒスの興奮に続き、覆いとなっている心房組織で強い心室光信号が見られることがあった。心房興奮は、心室興奮より〜10ミリ秒乃至15ミリ秒先行した。
IASペーシングにより、興奮の速波が生じ、心房組織およびTCに広がった。心房興奮のあと、興奮はAV結節の領域から二方向に広がった。ヒス興奮の波面はヒス電極に向かって広がった。一方、減衰伝導の波面は下方に向かってSPに広がり、消えた。そして、ヒスの興奮に続き、心室が興奮状態となった。図10に示すように、IASペーシングを行った場合のIHEは、小振幅で速いヒス電位である(すなわち、IASペーシングよりもSPペーシングを行った場合、IHEの偏位が大きい)。
コッホの三角内でのペーシング
図9および図10は、SPの位置が電位図とOAPの形態で識別されること、また、表面かん流した部分の心臓と心臓全体の両方において、SPとFPの興奮が、興奮パターンとヒス電位図の形態で区別されることを示している。興奮パターンとヒス形態の両方を用いることにより、コッホの三角内の複数のペーシング位置に、どの興奮パターンが生じたかが識別された。
図11は、表面かん流の実験において、異なる興奮パターンが生じた位置と、ペーシング閾値とについてまとめたものである。コッホの三角の頂点近くをペーシングした場合、三尖弁から2ミリメートルの範囲内で与えられたペーシング刺激により、SPまたはヒスが直接興奮した。直接ヒス刺激は、刺激直後の速い伝導として定義した。すなわち、S−H間隔が最大で10ミリ秒で、ヒス電極近くの小さな領域に生じたものである。平均して、SPおよびヒスのペーシングの閾値は、4.4±2.2ミリアンペアであった。さらに離れた三尖弁から与えられたペーシングの刺激は、ほとんどの場合心房組織を興奮させ、AV結節のFPを興奮させた。このときの平均的な刺激閾値は、2.4±1.6ミリアンペア(SPおよびヒスのペーシングの閾値との比較でP<0.001)であった。さらに、冠状静脈洞と三尖弁との間に、ペーシング閾値が非常に高い領域があった(8.6±1.4ミリアンペア、心房およびFPの閾値との比較でP<0.001)。この領域をペーシングすることにより、心房組織とAV結節のFPとが興奮した。この領域のOAPは、多くのノイズを含んでおり、コッホの三角のその他の領域で記録された、大振幅の心房のOAPとはかなり異なった。高いペーシング閾値と非常に低いOAP振幅とにより、この領域にはわずかな興奮細胞があると言える。異なる閾値で、特に、より高い刺激強度でSPまたはヒスの興奮を伴う心房興奮が生じたとき、興奮パターンが異なる場合もあった。
ランゲンドルフ灌流した心臓において、各種の興奮で同様のペーシング閾値が観察された。一方、SPおよびヒスの閾値は、右心室のペーシング閾値と統計的に同じであった。
ヒス束のSPが一度興奮状態になると、刺激ランプの間、SPはヒス束を1:1の割合で興奮させる。しかし、FPを興奮させたすべてのペーシング位置では、このような興奮状態は見られなかった。図12に示すように、AV結節の上縁近くでペーシングすると、2:1の割合で房室ブロックが生じて房室伝導が中断したり、あるいはAV伝導が長引くことが多かった。図12に示す例では、ヒス束の上部で記録された電位図とOAPの両方で見られるように、刺激ランプが閾値を超える前に、IASペーシングが1:1でヒスに伝わった。刺激ランプが閾値を超えると、(OAPおよびCrT両方の軌跡でずれが見られるように)心房組織が興奮した。しかし、興奮はヒスまでは伝播しなかった。次の脈では、(OAPおよびIHEで見られるように)興奮がヒスまで伝播し、伝導が2:1の割合で続いた。このため、この位置でペーシングすると、AV伝導が中断した。コッホの三角のこの領域にペーシングの刺激を与えると、8回の実験のうち5回で、2:1のAVブロックが生じるか、あるいはAV伝導が長引いた。5回の実験のうちで、AV伝導の中断後、完全に回復したものはなかった。これはこの領域でのペーシングの効果が神経学的には媒介されなかったことを示唆している。S−H間隔は、各ペーシング位置で測定した。
閾値に達したあと、S−H間隔は通常3拍から5拍で一定となり、この安定した値を計測した。遠距離場の刺激でより多くの組織が脱分極化したと思われる刺激強度が高いS−H間隔は、分析から外した。これは、ランプ終端でのS−H間隔が、一定したS−H間隔とは異なったためである。稀に、ランプ全体をとおしてS−H間隔は一定にならず、直線的に減少した。この場合、S−H間隔の範囲について注釈を付した。図12に示すように、AV伝導が中断したあと記録したS−H間隔は、分析から外した。S−H間隔は、心房およびFPの興奮に関係するものと、SPおよびヒスの興奮に関係するものとの、二つのグループに分類した。ヒス電極からの水平距離に対してグラフにすると、心房のS−H間隔は、距離に依存しない(Pは有意でない;図13(A))が、81±19ミリ秒で一定のレベルにとどまることが分かる。心房の刺激とヒスの興奮との間の一定の間隔が、AV遅延である。SPおよびヒスの興奮と関係するS−H間隔は、ヒス電極からの距離と強い関係があることを示している(P<0.001;図13(B))。SPの興奮によりAV遅延が生じた場合、ヒス電極からわずかに離れた場所で生じた直接ヒス興奮から、81±19ミリ秒のAV遅延の値またはそれ以上の値へ、直線的でない急激な上昇が予想される。さらに、SPペーシング中のS−H間隔は、房室およびFPの興奮で計測したAV遅延よりかなり短いままとなる(FPの興奮では81±19ミリ秒の遅延、SPの興奮では53±25ミリ秒の遅延≧ヒス電極から4ミリメートル;P<0.001)。
図13(C)には、最後のランプ刺激(SPを興奮させた)とランプ後の最初のIASペーシングパルスとによりSPペーシングおよびIASペーシング中に計測されるS−H間隔の一例を示す。S−H間隔は、最後のランプ刺激で31ミリ秒であり、IASペーシングによりヒス束を刺激すると64ミリ秒まで長くなった。これに矛盾し、SPのS−H間隔はFPのS−H間隔よりも短かった。遅いヒス電位から速いヒス電への移行は、IHEとSHEとの両方の軌跡で見られる。ランゲンドルフかん流した心臓において、房室およびSPの興奮では、同様のS−H間隔が観察された。一方、SPのS−H間隔は、FPのS−H間隔よりも平均して短かった。
考察
コッホの三角内に複数の伝導層が存在するという以前の知見が、この結果により裏付けられた。また、これらの層が、さまざまな刺激強度およびペーシング位置と特異的な関係をもつことが明らかになった。冠状静脈洞下部のある領域を除いて、心房興奮の刺激閾値が、SPおよびヒスの興奮の閾値よりもかなり低いことが分かった。遅いヒス電位図だけ
でなく、光学マッピングに記録した興奮パターンを用いることにより、SPの興奮が確認された。また、SPを興奮させるために刺激位置をヒス束に近づけると、S−H間隔は直線的に減少するが、心房およびFPの興奮に関係するS−H間隔はほぼ一定にとどまることが分かった。また、矛盾するが、SPのS−H間隔は、FPの興奮で記録したS−H間隔よりも短いことも分かった。
AV接合部の研究にはさまざまなモダリティを用いるため、構成要素について「共通の用語が十分でない」。たとえば、過去の研究の多くは、CSと三尖弁との間の峡部にあるAV結節の伸展部を、「後方結節伸展部」と呼んでいた。心臓を解剖学的に位置付けると、INEが心臓の場所を正確に表すものだと命名委員会は示唆している。INE、AV結節、およびヒス束など、コッホの三角内の伝導系の構成要素を覆う心房細胞およびTCの層については、過去の研究により説明がなされている。INEがSPの解剖学的基質であることは、機能的研究により明らかになっている。しかしながら、INE自体、INEを覆うTC、またはINEとTCとの組み合わせがSPの真の基質であるかについては、議論がなされている。今回の結果では、どの細胞層またはどの細胞構造によってSPが興奮したかが識別できなかった。しかし、光学マッピングの結果、コッホの三角内で三尖弁から2ミリメートルの範囲内で与えた刺激をペーシングすると、SPが確実に興奮させることが確認された。ヒス電極からの距離に対する、心房興奮のS−H間隔をグラフにしたところ、相互関係は見られなかった(図13(A))。心房興奮のS−H間隔は、心房層およびFPの伝導時間(S−AV結節の間隔)と、ヒス束へのAV結節伝導(AV遅延)との、二つの間隔からなる。心房層の伝導が速いため(最大で毎秒35センチメートル)、刺激電極とヒス電極との距離にわずかな変化が生じても、S−AV結節の間隔はあまり変化しない。このため、S−H間隔の主な決定要因はAV遅延であり、これは本質的には変わらない。
一方、SPの興奮のS−H間隔と、ヒス電極からの距離との関係をグラフにすると、強い相互関係が見られる(図13(B))。SPの興奮は、その名が表すように伝導が遅いため(最大で毎秒7センチメートル)、距離に大きく依存することが予想される。このため、刺激とAV結節との距離が短くなるにつれ、S−AV結節の間隔もわずかに減少することが予想される。しかし、SPの伝導時間が一度小さくなると、S−H間隔をAV遅延によって決定しなくてはならず、心房興奮のデータによると81±19ミリ秒である(図13(A))。ヒス束がさらに近づくと、ヒス直接の興奮が生じた場合、S−H間隔は非常に小さい値へと変化する。図13(B)の生データおよび統計データは、S−H間隔がほぼ全体で81ミリ秒未満であること、また、ヒス電極が近づくとS−H間隔が直線的に減少することを示している。SPペーシングの興奮パターンは、SPの興奮が途切れなくヒス束に向かって直線的に進んでいることを示している。これらのデータは、SPおよびヒスのS−H間隔がAV遅延に依存していないことを示唆しており、SPの興奮によりAV遅延が回避され、ヒス束を直接興奮させていることを暗示している。
高位右房またはCrTにペーシングの刺激を与えることにより、早期刺激との関係で、SPとFPの速度依存の特性が研究されてきた。これらの研究を踏まえ、SPは、ヒス束へ興奮が達する時間がFPに比べて長かったため、SPと命名された。しかしながら、SPの興奮は、FPの興奮よりも速くヒス束へ達したことが分かった。こうした明らかな矛盾もあったが、二つの理由により、今回の結果は、SPについて立証されてきた大部分のものと完全に一致した。第一に、過去の研究では、SPの興奮はSPの長さ全体に伝わった。すなわち、S−H間隔がFPの興奮のS−H間隔と同様であったことが、データにより示されている(図13(B)、右)。この興奮の時間は、期外収縮との関係でさらに長くなることもある。ペーシングの刺激をSPへ直接与えないとき、早期刺激を難易性のFPに与えると、ヒスに対するSPの伝導だけが生じる(図14)。SPの長さ全体を伝導するのに要する時間は、AV遅延とほぼ同じ時間であるため(あるいは、早期刺激を与え
た場合、より長い時間を要するため)、SPの伝導によってAV遅延が回避されたとは認識しがたい。SPをその長さにわたってペーシングすることによってのみ、SPの興奮がFPの興奮と同様のAV遅延を生じないことが明らかとなる。第二に、SPを直接用いたことにより、SPと心房組織とのインターフェースで生じ得る伝導遅延が回避された(図14)。このインターフェースにより、SPの伝導をさらに遅くする伝導遅延を回避することができる。
AV結節近くのコッホの三角内で、300ミリ秒間ペーシングを行った。データの解釈としては、ヒス束が近かったために、三尖弁輪から2ミリメートルの範囲内で刺激を与えたとき、ペーシングの刺激によりヒス束が直接興奮し、SPは関係しなかったといえる。ヒス束を直接刺激することにより、S−H間隔は確かに短くなるといえる。しかし、二つの理由によりこの可能性は低い。第一に、SPの興奮は、光学マッピングで視覚化することにより確認された。第二に、ヒス束にさらに近い場所でペーシングの刺激を与えると、ペーシングランプの全体にわたり、80ミリ秒以上のAV遅延が生じるとともに、房室興奮も生じた。したがって、ペーシングの刺激により初期に捕獲された組織領域は、かなり小さかったと思われる。また、分析したS−H間隔は、ペーシングランプが閾値に達したあと、3拍から5拍測定したもの(すなわち、ペーシング閾値を2倍したもの以下)であった。このことも、ペーシングランプのこの地点で興奮した組織の範囲を制限している。
形態的、分子的、機能的根拠に基づき、ヒス、LNB、およびINEにより、小型AV結節組織とは異なる連続した構造が形成されることが、文献における一致した見解となりつつある。これまで提言されてきた共通の伝導路に代わって、ヒス束への伝導路は二つあることがデータにより示唆されている。すなわち、一方は小型結節を介するもので、他方はLNBを介するものである。INEはLNBを介してヒス束に接続すること、また、FPは小型結節を介して設けられることが、同様に論議されている。ヒスへの二つの伝導路という概念は、ヒス電位図の形態変化によって裏付けられている(すなわち、遅いヒス電位図と速いヒス電位図)。FPまたはSPの興奮の差異を示すヒス電位図の軌跡は、伝導路を興奮状態にすることにより、ヒス束がどのように分極化されるか、あるいはヒス束のどの部分が分極化されるかに影響を与えることを示している。
二重伝導路の概念に基づき、SPの興奮が下方のTCまたはINEで始まり、勾配をもった伝導速度でLNB内のヒス束までINEを介して伝わることが、データにより示唆されている。興奮がヒスに近づくと、ヒス束に達するまでコネキシン43のレベルが上昇し、伝導速度は上がる。AV結節を取り囲む心房組織で生じたFPの興奮は、AV結節を覆うTCを介して小型結節内に伝わる。AV結節の遅延は、小型結節の組織と、それに接続しているTCが原因で生じる。この遅延のあと、興奮はヒスに伝わる。興味深いことに、CSの下方に、刺激閾値が周囲の心筋よりもかなり高い小さな領域が確認された。この領域は、ブロックの局所的な領域として機能し、心房心筋に異方性を与え得る。また、この領域は、通常の心房粗動を維持する領域のブロック区域と同様に、心房の粗動および細動の役割も果たし得る。
RAにSPの「副伝導路」が存在するため、ヒス束を直接ペーシング処理することにより、ペーシングにより興奮可能となるヒス束の領域が拡大される。また、大動脈近くの小さなヒス領域をペーシングすることが容易になる。SPペーシングの位置は、図9に示すように、SP電位図に示される遅い伝導特性に基づいて探すことができる。この特性は、AVNRTの処理中にSPのアブレーションを行うときにも用いられる。ヒス束を取り囲む線維組織のために、SPペーシングでは、ヒス束のペーシングに必要な閾値よりも低いペーシング閾値を用いてもよい。ウサギの実験では、SPのペーシングと直接ヒスペーシングとで用いた閾値が、統計的には差異のないものであった。しかし、ウサギでは、ヒス束の心内膜側がわずかな結合組織で覆われているだけであるのに対し、ヒトでは、ヒス束
が中心の線維体の線維組織に完全に包まれてしまう。このため、ヒトのSPペーシングには、ヒス束のペーシングよりも低い閾値を用いることが可能となるのであろう。加えて、右心室の心外膜のペーシングと、SPおよびヒスのペーシングとで用いた閾値は、心臓全体の実験において、統計的に差異が見られなかった。このことは、臨床的なSPペーシングの閾値が、右心室のペーシングの閾値と近いものになり得ることを示唆している。しかし、この研究は正常なウサギのAV接合部で行われたものであり、AV伝導を中断しないことを意図したものではなかった。伝導の曲線は、AV結節の二重伝導路という電気生理学を調査するうえで、望ましい基準となるものである。調査したペーシング位置の数が多いため、それぞれについて伝導の曲線を作成することはできなかった。伝導の曲線は、臨床的手段として大変有用であるが、光学マッピングにより、FPおよびSPの興奮パターンに差異があることが確認された。また、SP興奮の光学マッピングは、標準のS1−S2プロトコル基づくSPの光学マッピングに対応している。さらに、FPとSPとの間に伝導的な関係があることが、遅いヒス電位により裏付けられている。
より詳しくは、本明細書に援用として参照される、ハッカー等著の「房室結線のAV遅延の有無に伴う房室伝導:ウサギの心臓におけるヒス束への2つの伝導路(Atrioventricular Conduction with and without AV Nodal Delay:Two Pathways to the Bundle
of His in the Rabbit Heart)」Am.J.Physiol.Heart Cir.Physiol.、2007年8月、293(2):H1122−30に記載されている。
生理的なペースメーカとしてのINE
INEは、生体ペースメーカ治療にも使用可能である。特に、INEは、補助的な心臓の生理的ペースメーカである。また、変更を加えることにより、静脈洞結節のペースメーカに不具合が生じたときには主要ペースメーカとなる。生理的に正常な心拍数を得るために、INEの歩調取りの固有特性を向上させてもよい。特に、INEの心筋を取り囲む、心臓の自律神経系における交感神経枝の要素に対して、電気的に交感神経刺激を与えることにより、INEの歩調取りの特性は向上される。
副閾値の高周波数(約20ヘルツから約400ヘルツ)の電流が供給されることにより、INEを取り囲む内因性自律神経支配が刺激され、INEで生理ペースメーカを加速することができる。また、INEの心筋内にある、心臓の自律神経系における交感神経枝の要素に対して、電気刺激を与えることにより、INEの歩調取りの特性は向上されてもよい。より詳しくは、本明細書に参照として援用される、ハッカー等著の「房室結合部ペースメーカの自動制御と神経支配(Automatic Control and Innervation of the Atrioventricular Junctional Pacemaker)」、Heart Rhythm、2007年10月、4(10)、1326頁−1335頁に記載がある。この副閾値アプローチは、従来必要とされた心室ペースメーカのリードに代わり得るものである。副閾値の刺激は、上記の装置設計に基づいて与えられてよく、あるいは他の周知の電気設計に基づいて与えられてもよい。
INEの電気調整
臨床的電気生理学において共通するさまざまな状態を治療するために、INEを電気的に調整してもよい。たとえば、徐脈および頻脈を含む、上室に起源をもつ複数の心臓不整脈の治療において、INEに刺激を与えてもよい。また、除脈性不整脈(心拍数の減少)のペーシング治療において、配置装置の部位として、INEに刺激を与えてもよい。具体的には、徐脈の治療において、ペーシングの部位として、すなわち、INEの固有速度を速めることによりSA結節に代わる生物学的ペースメーカの部位として、あるいはINE
の歩調取りの固有速度を上げるために自動的に刺激を与える部位としてINEを用いてもよい。
細胞治療の部位としてのINE
INEは、生物学的なペースメーカを再構成する、細胞治療の部位として用いられる。その理由として、心房心筋および心室筋と比べ、INEはAV結節の血管を介してアクセスしやすいこと、また固有の歩調取りの特性や、生理的に高い自律神経調節力を備えていることが挙げられる。INEに対して遺伝子治療または細胞治療をすることにより、上記の装置、たとえばカテーテルは液体を溶出するチップを備えており、遺伝子治療薬や細胞治療薬を含む、生理食塩水を供給することができる。カテーテルは、カテーテルチップから伸張して組織に孔を開ける伸縮自在の針と、INEを探し出す感知電極とをさらに備えていてもよい。細胞治療は、上記の二つのアプローチ、すなわち心内膜アプローチ、およびAV結節の血管アプローチのいずれで行ってもよい。
遺伝子治療の部位としてのINE
INEは、遺伝子治療の部位としても用いられる。具体的には、ペースメーカチャネルのイソ型がHCN1,HCN2,HCN3,またはHCN4として符号化される電気穿孔カテーテルを介して、あるいは自律神経系の要素を介して遺伝子を供給することにより、INEの固有の歩調取りの特性は向上される。
遺伝子治療は、下記の方法により行われる。液体を溶出するカテーテルを、AV結節の血管に置き、緩徐電位が最も大きい部位を探す。第二のカテーテルにより、INEの心内膜表面で緩徐電位を探す。副閾値の交流電流(たとえば、約1.0マイクロアンペア〜約50.0マイクロアンペアの範囲)を、各カテーテルのチップから供給して二つのリード間のインピーダンスを最小にし、遅い伝導路を探す。静脈壁に孔を開けるために、静脈内カテーテルの流体を溶出する針を伸張させてもよい。二つのカテーテルに電流を供給してもよく、同時に、遺伝子治療薬を含む生理食塩水を流してもよい。別の実施形態において、約1マイクロアンペア未満、または約50マイクロアンペアを超える電流が用いられることを、当業者には理解されたい。
心拍制御に用いられるINE
INEは、心房粗動、心房細動、およびAVNRTを含む、心房性の上室性頻脈性不整脈が生じたとき、心拍数を制御するのに用いられる。たとえば、AVMRTが生じたとき、刺激パルス(または一連のパルス)をINEに与えることにより、高周波アブレーションの必要なく不整脈を抑えたり、この治療で生じ得る予測される合併症(AVブロック)を抑えることができる。
INEの解剖学的な神経支配を刺激することにより、短い不応期などが原因で心房細動が生じたとき、心拍数を制御し、効果的に治療することができる。INEに副交感神経刺激を与えることにより、遅い伝導路において興奮をブロックすることができる。両心室の興奮はFPを介して伝わり、不応期が長くなるため、AV結節のフィルタリング特性が向上されることになる。INEをペーシングすることにより、遅い伝導路と下結節束を介して伝導が行われる。この伝導は、FPおよび小型AV結節を介する伝導に比べ、安全性が高い。この結果、INEをペーシングすることにより、発作的および慢性的な心房性の上室性頻脈性不整脈をもつ患者に対し、心房性不整脈が生じた場合に、AV結節のアブレーションをすることなく、安全に心拍数を制御することができる。
一般的なAVNRTは、リエントリー性不整脈の一つの伝導路としてINEに関係する。また、AVNRTは、高周波アブレーションでINE上もしくはINE付近を損傷させることにより、治療される。別の実施形態において、AVNRTが生じたとき、INEに
刺激パルス、または一連のパルスを与えることにより、高周波アブレーションの必要なく不整脈を抑えたり、予測される合併症を抑えることができる。上記のカテーテルの設計により、INEへの心内膜アプローチ、もしくは静脈アプローチを用いて、頻脈性不整脈の治療が行える。
上記の実施形態は説明のためのものであり、制限を意図したものではない。この他の実施形態も請求項の範囲に含まれる。また、本発明は実施形態により記載されているが、発明の精神と範囲から逸脱することなく、形式や詳細について変更が可能であることを、当業者には理解されたい。参照として援用される上記の文献から、本明細書における明確な開示に反する主題は援用されないものとする。
付録A
ハッカー(Hucker):ヒト房室接合部におけるCx43
2007年11月5日
コネキシン43の発現により説明される、ヒトの房室接合部の2つの経路
ウィリアムJ.ハッカー、ミーガンL.マケイン、ジェイコブI.ラーフナー、ポールA.アイエイゾ、*イゴールR.エフィーモフ
ミズーリ州セントルイス、ワシントン大学および*ミネソタ州ミネアポリス、ミネソタ大学
連絡先:米国ミズーリ州セントルイス、ワシントン大学、生物医学工学部、イゴールR.エフィーモフ
本研究が受けた支援:0750031Zに対する米国心臓協会の助成金。
要約
ギャップジャンクションの発現は多くの生物種の房室接合部(AVJ)で研究されてきたが、ヒトにおけるAVJの分布は不明である。ギャップ結合タンパク質であるコネキシン43(Cx43)のAVJにおける発現は生物種に依存する。そこで、我々はヒトAVJにおけるCx43の分布について詳細に調べた。方法:組織学的手法であるマッソン三色染色を用いて、我々はヒトの正常な心臓を3つおよび拡張型心筋症の心臓1つのAVJを三次元再構成した。Cx43の細胞由来を明らかにするために、Cx43をビメンチンおよびα−アクチニンで免疫標識し、以下の構造、すなわち、心房中隔(IAS)、ヒス束、緻密結節(CN)、下結節束(LNB)、左側および右側結節拡張部(LEおよびRE)、および心臓内、左側、下移行細胞について定量化した。結果:組織学手法により、3/4の心臓で2つの結節拡張部が明らかになった。Cx43は筋細胞に認められたが、AVJの線維芽細胞には認められなかった。LEおよびCNのCx43はIASより少なく(P<0.05)、またRE、LNBおよびヒス束ではIASでの発現のおよそ半分で全て同様に発現した(RE:44±36%、LNB:50±26%、ヒス束:48±12%、IASと比較した場合のP=NS)。移行細胞におけるCx43レベルは、IASと同様だった(P=NS)。結論:Cx43はヒトAVJの筋細胞に認められた。その発現パターンは2つの別々の連続的な構造を明らかにしており、一方のLEおよびCNからなるCx43が少ない構造、および他方のヒス束、LNBおよびREからなるIASのCx43の半分の量を発現する構造だった。Cx43発現の違いは、AVJから発生する不整脈の一因となる、他とは異なる伝導特性をもつ各構造をもたらし得る。
キーワード:房室結節、二重伝導路電気生理学、コネキシン43、遅い伝導路、房室結節回帰性頻拍(AVNRT)。
序論
多数の動物モデルにおける房室接合部(AVJ)の詳細な研究で、この構造が細胞および組織の形態、機能特性、ならびにタンパク質分布の点で非常に複雑であることが示されている。ヒトAVJで多くの組織学的研究が行われ、臨床電気生理学的研究がインビボで
のAVJの機能に関するかなりの量の情報を提供してきた一方で、ヒト組織をタイミング良く調達することが本来難しいことから、ヒトAVJの分子研究の数は非常に限られている(デイビスら(Davis et al.)、1995年)。それにもかかわらず、このような研究は、房室結節回帰性頻拍(AVNRT)および房室ブロックなどの臨床上関連する現象の基礎的理解に、また動物モデルでは扱いが難しい年齢などの変数の理解を深めるために絶対に必要である。また、タンパク質の発現パターンに種間差があることから、動物のデータをヒトに当てはめて推定するには限度がある恐れがある(コッペンおよびサーバーズ(Coppen and Severs)、2002年;コッペンら(Coppen et al.)、2003年)。従って、ヒトAVJにおける発現パターンが枠組みとなり、その中で動物モデルでの研究が解釈されるであろうことから、ヒトにおける分子研究は重要である。
心房−ヒス束伝導には複数の問題が関係し、本研究では、AVJという用語はこれら全てを含んで用いられる(ビレット(Billette)、2002年)。AVJの特化した伝導組織は、近位では、冠状静脈洞(CS)入口部近くから結節自体に広がる下結節拡張部で構成される(イノウエおよびベッカー(Inoue and Becker)、1998年)。以前は、これらの拡張部は「下」ではなく「後部」と称されていたが(イノウエおよびベッカー(Inoue and Becker)、1998年;ドブジニスキら(Dobrzynski et al.)、2003年)、心臓を解剖学的に正しい方向に配置した場合、これらの拡張部は実際にはCNの下を通ることから、本研究において、我々は「下結節拡張部」という用語を用いる(コシオら(Cosio et al.)、1999年)。下結節拡張部は融合して房室結節(AVN)となる。AVNは次に、中心線維体を貫いて、ヒス束となる(タワラ(Tawara)、1906年)。AVNおよび結節拡張部を結合して心房組織を取り巻いているのは、移行細胞である。移行細胞は、AVNに対する位置に基づいて、心臓内の面でAVNと接する心臓内移行細胞、心房中隔(IAS)の左側からAVNに近づく左側移行細胞、および冠静脈洞入口部近くのAVNに接近する下移行細胞の3つのグループに分けることができる(アンダーソンおよびホー(Anderson and Ho)、2002年;アンダーソンおよびホー(Anderson and Ho)、2000年)。
この複雑な生理的役割に対応するために、AVJは、心臓の他のどこよりも多種類のギャップジャンクションタンパク質を発現して、非常に異質なギャップジャンクションの発現を発達させてきた。具体的には、これまでに4種類の心臓性コネキシン(Cx43、Cx40、Cx45、およびCx30.2/31.9)が記載されており、これらの各タンパク質はAVJの動物研究において発見されている(ボエットら(Boyett et al.)、2006年)。Cx43およびCx40は、共に迅速に伝導を行う心臓組織に関連し(Cx40はCx43より伝導性が高い)、Cx45、およびCx30.2/31.9は、緩慢な伝導を行う組織に関連する(ボエットら(Boyett et al.)2006年)。AVJにおけるこれらのコネキシンの発現パターンは、生物種に大きく依存し、ラットの心臓はAVJではCx43または40を発現しないが、ウサギでは両方を発現する(コッペンおよびサーバーズ(Coppen and Severs)、2002年;ドブジニスキら(Dobrzynski et al.)、2003年)。我々が知る限りでは、わずか一件の研究がヒトのAVJでのコネキシンの発現を示しただけであり(デイビスら(Davis et al.)、1995年)、Cx43、Cx40、およびCx45がすべて存在することが発見された。しかしながら、この研究はAVJのどこでコネキシンが発現されたかについては調査を行っていない。
従来、コネキシンは隣接する筋細胞間にギャップジャンクションを形成すると推測されてきた。しかし、近年の研究発表は、機能するギャップジャンクションは、おそらくCx43の結合を介して(ゴールドスミスら(Goldsmith et al.)、200
4年)筋細胞と線維芽細胞の間に形成される(カメリティら(Camelliti et
al.)、2005年)、ということも示唆している。本研究では、我々はAVJの様々な組織を通じたCx43の発現、およびCx43が筋細胞と線維芽細胞の間にギャップジャンクションを形成するか否かについて研究した。我々は、機能的な因果関係がある可能性がある(組織学的手法でははっきりとは見えない)AVJの領域をCx43の発現パターンが明らかにすることを示している、マッソン三色染色組織学手法から構築されたAVJの三次元再構成と、Cx43免疫蛍光とを関連づけた。
方法
研究のためのヒト心臓の使用は、ワシントン大学およびミネソタ大学の施設内倫理委員会により承認された。3つの検体は北部中西部臓器調達機関(Upper Midwest Organ Procurement Organization, LifeSource, St. Paul, MN;この団体は、本プロトコルの事前承認も行った)から提供された。これらの心臓は、移植用としては存続不可能と判断された。さらなる検体は、突発性拡張型心筋症(DCM)の移植患者の外植された心臓だった。各検体に関して既知の臨床データを表1に示す。これらの検体は、凍結組織包埋剤(Histo Prep(商標)、フィッシャーサイエンティフィックフェアラウン社[米国ニュージャージー州所在])中に置き、ドライアイス詰めでワシントン大学に移送されるまで、ミネソタ大学の−80℃の冷凍庫内に保存した。その後、解剖前に4℃で解凍した。コッホ三角を露出し、コッホ三角の頂点で組織の約4×4cm2の領域を切り取り(図1A)、−80℃で再凍結した。組織塊を16μmに凍結薄切し、Superfrost Plus(商標)ガラススライド(フィッシャーサイエンティフィックフェアラウン社[米国ニュージャージー州所在])上に載せ、使用時まで−80℃で保存した。各組織切片の位置は、薄切の過程を通じて記録した。
三次元再構築
房室接合部の三次元再構成を行うために、およそ0.5〜1.0mm離れた各組織切片(図1B)をマッソン三色染色で染色した。組織像用切片は、2×レンズで写真撮影し、組織切片のモザイク画像を作成した。各切片の画像をウィンドウズ(登録商標)用Rhinoceros NURBSモデリング、バージョン3.0(ロバート・マクニール・アソシエイツ社(Robert McNeel & Associates)に取り込み、脂肪および埋め込まれたあらゆる移行細胞の房、IAS/移行細胞、心室中隔、結合組織(中心繊維体、僧帽弁および三尖弁)、伝導系(ヒス束、緻密房室結節、下結節束、左側および右側下結節拡張部)、および主要な動脈および静脈の部分を分けて輪郭線を描いた(図1C)。移行細胞の境界線は、決めるのは困難であり、また非常に不規則であることから、移行細胞は伝導系を取り巻くIASまたは脂肪組織の領域に組み込んだ。その結果、移行細胞の三次元再構成画像は分かりにくく不鮮明になった。それにも関わらず、図1Cでは、各矢印は脂肪組織内に位置する移行細胞を指し示し、各矢じりは左心房からの移行細胞を指し示している。各切片から得られた一連の輪郭を回転させて前の切片の輪郭に位置を合わせた。各切片の正確な三次元配置は、組織の凍結薄切中に記録した距離を用いて決定した。図1Dは、その結果得られた、DCM患者から外植された心臓における、正確に配置され位置付けられた伝導系の輪郭を示す。各組織型について、一連の輪郭線をロフト化して三次元ボリュームに近似させたメッシュを作成し(図1E)、次にレンダリングを行って、連続的な三次元ボリューム画像を作成した(図1F)。
免疫組織化学
免疫組織化学については、組織切片をまず固定し、透過処理を行い、3.7%ホルムアルデヒドに5分間、0.15%Tritonに15分間、および10%正常ウマ血清に60分間浸漬してブロッキングを行った。免疫組織化学により、我々は3種類のタンパク質、すなわち、ギャップジャンクションタンパク質であるCx43、筋細胞マーカーであり
筋細胞のサルコメアに発現するα−アクチニン、ならびに中間径フィラメントタンパク質であり、線維芽細胞および内皮細胞の細胞骨格中間径フィラメントで発現するビメンチンを視覚化した(カメリッティら(Camelliti et al.)、2005年)。心臓組織では、線維芽細胞は心筋組織全体にわたって存在するのに対して、内皮細胞は血管に存在する。従って、組織内の位置に基づいて線維芽細胞を内皮細胞と識別することができる。我々は、心筋内の線維芽細胞を視覚化するためにこのマーカーを用いた。次の一次抗体、すなわち、ウサギ抗Cx43抗体(Sigma、1:1000)、マウス抗α−アクチニン抗体(サルコメア特異的、Sigma、1:1600)、およびモルモット抗ビメンチン抗体(Progen、1:800)は、4℃で一晩適用した。次の二次抗体、すなわち、Alexa Fluor 555ヤギ抗ウサギIgG(Molecular Probes、1:800)、Alexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG1(Molecular Probes、1:800)、Alexa Fluor 647ヤギ抗モルモットIgG(Molecular Probes、1:800)は、室温で2時間適用した。ヒト心臓組織での免疫蛍光研究は、自己蛍光のために非常に困難である可能性がある(ビリントンおよびナイト(Billinton and Knight)、2001年)。そこで、ヒト組織に見られるリポフスチン粒子から由来の自家蛍光を減らすために、各切片を1%スダンブラック(Sigma)溶液に10分間浸漬した(スネルら(Schnell et al.)、1999年)。次に、組織切片をDAPI含有ProLong Gold褪色防止剤(Invitrogen)と共にマウントした。
コネキシンの定量
共焦点免疫組織化学像は40×のレンズを用いて採取し、個別の画像を統合してAVJ内の異なる3平面でのモザイク画像を作成した。第1の平面は下結節拡張部を通る切片であり、第2の平面は緻密房室結節(CN)を通る平面であり、また第3の平面はヒス束を通る平面だった。第1の平面では、左側下結節拡張部、右側拡張部、下移行細胞、およびIASでCx43の定量を行った。第2の平面では、CN、下結節束(LNB)、心臓内移行細胞、左心房移行細胞、およびIASでCx43の定量を行った。最後に、第3の平面では、ヒス束および心房中隔(IAS)でCx43の定量を行った。組織の様々な領域内のコネキシン密度は、注文プログラム(MATLAB(商標)、マスワークス社(Mathworks)、[マサチューセッツ州ナティック(Natick)所在])を用いて測定した。アルゴリズムの全説明は過去に発表されており(ハッカーら(Hucker et al.)、2007年a)、補足オンラインデータに提供されている。簡単に述べると、興味ある領域のモザイク画像の閾値処理を2度行って、Cx43用チャネルの2つの白黒画像を生成する。第1の閾値には画像のCx43陽性染色を選択した。第2の閾値は第1の閾値よりはるかに低く、画像中の任意の組織を選択した。それぞれの面積を補正し、Cx43の面積を組織面積で割り、Cx43染色に一致する組織面積のパーセンテージを得た(オンラインデータ補足を参照)。
共局在
どの細胞タイプがCx43を発現しているかを明らかにするため、共局在プロットを用いた。3チャネルの三次元共焦点Zスタックで、各ボクセルは、赤、緑および青染色にそれぞれ1つずつ、3つのシグナル強度値がある。Volocity(インプロビジョンインコーポレイティッド社(Improvision, Inc.)[米国マサチューセッツ州レキシントン(Lexington)所在])で生成した共局在プロットは、これらのシグナル強度値の2つを互いの関数として表示する。定義によると、特定体積に相当するボクセルでこれら2つのタンパク質に相当する蛍光共同が高い場合、2つのタンパク質はこの特定体積で高度に共局在する。従って、2つのタンパク質が多数のボクセルで共存する場合、共局在プロットは顕著な対角線分布を含む。共局在の程度が最も高いボクセルは、右上の象限に示される。対照的に、2つのタンパク質が共局在しない場合、共局在プロットは各軸付近のボクセル値を示し、対角線成分は存在しない。
統計値
Cx43定量データは、平均±標準偏差として示されている。Cx43レベルは、ノンパラメトリック・クラスカル・ワリス検定(MATLAB(商標))を用いて比較した。p<0.05の値を統計的に顕著であると見なした。
結果
伝導系におけるCx43の発現
典型的なAVJ標本の一つについて、標本のマッソン三色組織化学像、Cx43免疫蛍光像、および三次元再構成画像を図2−4に示す。下方で、AVNは、長さおよび数が共に様々である下結節拡張部として始まる(イノウエおよびベッカー(Inoue and
Becker)、1998年)。本研究の4つの心臓のうち3つでは、下結節拡張部が2つあり、もう1つには1つのみであった。図2−4に示した標本は、左側および右側拡張部の両方があり、左側拡張部はIASの左側付近で始まり、一方、右側拡張部は、三尖弁の中隔尖に隣接して位置する(図2A)。右側拡張部はCx43を発現していたが(図2Eおよび2F)、一方で、左側拡張部にはCx43の存在は実質的に無かった(図2D)。この標本では、右側拡張部は下移行細胞の層に密接した近傍に位置しており、Cx43も発現していた(図2Eおよび2F)。4つの標本のうち3つで、移行細胞は右側拡張部に密接に関連して見いだされた。また、各標本で、図2A−Cに見られるように、大静脈は右側拡張部に密接した近傍に見いだされた。左側拡張部および右側拡張部の間に、緻密房室結節と共に上方に連続的な、不定量のCx43陰性の組織があった(図2C)。この組織の量は、標本間で様々だった。図2全体を通じて、ビメンチン染色(青)で示されるように、線維芽細胞が右側および左側拡張部の筋細胞の間に散在していることは明らかである。この標本の三次元再構成画像は図2Gに示されており、図2A−Cに示されるように、平面で分割展開して組織内の右側および左側拡張部を示している。
図3は、この標本のAVNのマッソン三色組織化学像、Cx43発現、および三次元再構成画像を説明する。図3Aに見られるように、AVNは中心繊維体(CVB)、AVNを心房組織と隔てる線維脂肪組織の層、および心臓内移行細胞の薄い層に隣接する。AVNの後面では、IASの左側をAVNに繋ぐ移行細胞がAVN組織に接触している。移行細胞の多数の房も繊維脂肪組織層内に位置しているが、これらの組織の房は、再構成像では輪郭線は分けて描かれていない。
AVNは、機能的形態的特性に基づいて緻密結節(CN)および下結節束(LNB)に分けることができる(アンダーソンら(Anderson, et al.)、1974年; ビレット(Billette)、2002年)。CNは小さく高密度に密集した不規則な形の細胞から成り、一方、LNB細胞はより大きく、互いに平行に位置している。我々は、これらの2つの構造の間に、Cx43発現の一貫した不均一性を認めた。心室に最も近いAVNの前方部分を占めるLNBは、心房に最も近いCN後方領域よりも多くのCx43を発現する(図3B、C、およびG)。下方では、CNが左側拡張部と連続し、LNBは右側拡張部と連続していた。従って、CNおよび左側拡張部は、再構成画像では一つの連続的な構造として輪郭線が描かれた。同様に、右側拡張部およびLNBは、一つのボリュームとして再構成された(図3H)。この切片で見ることができる、左側移行細胞および心臓内移行細胞、両方の一連の移行細胞は、IASと同様に、高レベルのCx43を発現していた(図3DおよびE)。図3に見られるように、AVN領域全体で、伝導系の筋細胞の周りに広範囲に及ぶ線維芽細胞のネットワークが存在していた(図3B、F,およびG)。
図4は、この標本のヒス束を示している。ヒス束は、組織化学像および三次元再構成画像の両方に見られるように、中心繊維体(CFB)の繊維組織に完全に取り囲まれている
(図4Aおよび4E)。ヒス束の近接端部は、タワラ(Tawara)により示唆された、AVNおよびヒス束間の移行点である(タワラ(Tawara)、1906年)、ANVが完全にCFBに取り囲まれた点として定義された。ヒス束は、この点からヒス束が心室中隔に結合する点まで、再構成された。
図4Bおよび4Cに見られるように、Cx43はヒス束全体にわたって不均一に発現していた。この例では、より高レベルのCx43発現がヒス束の心臓内面および寝室面上に見られた。しかし、このパターンに一貫性はなく、他の標本ではCx43はヒス束の心房との境界に高度に発現していた。ヒス束およびAVN間のTawaraの移行点は形態学的に便利であるが、我々は、タワラ(Tawara)によって定義されたようなヒス束の開始点にCx43発現の劇的な変化を認めなかった。代わりに、Cx43の発現はAVNに見られるCN/LNBパターンからヒス束に示されるパターンへと次第に変化した。図4Bおよび4Dに見られるように、ヒス束には、多数の線維芽細胞がヒス束筋細胞の大部分を取り囲んで存在している。
広範囲にわたる線維芽細胞ネットワークがAVJ全体に存在するにもかかわらず、図2−4に見られるように、我々はCx43の圧倒的な大部分が筋細胞内だけで発現し、線維芽細胞または筋細胞と線維芽細胞間のCx43は非常にわずかな例であることを見いだした。図5は、α−アクチニン、ビメンチン、およびCx43で標識された、2つの典型的な高解像度三次元共焦点画像スタックの最大投影像を示す。共局在プロットの方法を用いて、我々は各ボクセル内のCx43の細胞起源を測定した。パネルA−Cでは、LNBで記録されたデータが示されている。線維芽細胞が筋細胞を取り囲んでいる一方で、Cx43は筋細胞内および筋細胞間だけで発現されていることを、最大投影像が明らかにしている。パネルBでは、共局在プロットが撮像されたボリューム内の各ボクセルの赤と緑のシグナル強度値を明らかにしている。高い緑のシグナル強度を持つ(つまり、Cx43染色特異的な)ボクセルがα−アクチニン軸の値にわたって広がっており、Cx43染色がα−アクチニンも発現するボクセル内に存在することを示している。パネルCでは、同一ボリュームに由来する青と緑のシグナル強度値の共局在プロットが示されている。このプロットでは、特異的なCx43染色のボクセルがCx43軸に沿って一群になっており、Cx43の特異的染色が青のシグナル強度が無いボクセル内でのみ生じたことを示している。実際に、Cx43のシグナル強度の上位半分のうちのこの特定ボリューム内の14、490ボクセルでは、ビメンチンのシグナル強度の上位半分に含まれたのは1ボクセルのみだった。図5D−Fは、CNにおけるCx43発現の同じパターンを明らかにしている。CNでは、Cx43はLNBよりもはるかに少ないが(図3)、パネルEおよびFの共局在プロットは、CNで発現しているあらゆるCx43が筋細胞内または筋細胞間で発現しており、ボクセルの特異的Cx43染色が何らかの青のシグナル強度を持つのは非常にわずかであることを示している。このボリュームでは、Cx43染色のシグナル強度の上位半分の953ボクセルのうち、34ボクセルがビメンチン染色でも上位半分に含まれたが、これらのボクセルは、共に一ヶ所に一群となることはなかった。代わりに、これらのボクセルは、互いに独立した1つまたは2つのボクセルとして現れた。このことから、我々は、ヒトAVJにおける筋細胞および線維芽細胞間のギャップジャンクション形成の症候は非常にわずかであると結論した。
Cx43の定量
Cx43をAVJの様々な組織タイプにわたって定量した。比較として、各組織切片のIASのCx43を定量した。図6に示すように、Cx43の発現は、3グループの移行細胞およびIASの間で比較的一定だった。IASにおけるCx43に対するパーセンテージとして表現すると、心臓内移行細胞のCx43は112±32%、左側移行細胞で78±26%、および下移行細胞で89±35%だった(それぞれP=NS)。
各標本の伝導系でCx43を定量した場合、図7の棒グラフに示すように、明確なパターンが現れた。右側拡張部、LNB、およびヒス束は全て、互いに同様にCx43を発現した(IASに対する割合は、それぞれ44±36%、50±26%、および48±12%だった)。本研究での心臓数が少なかったことから、これらの構造それぞれにおけるCx43発現の平均はIASと統計的な差はなかったが、Cx43の発現がそれらの間で一定だったことは明らかである。しかし、左側拡張部およびCNにおけるCx43の発現は、IASにおける発現よりも共に統計的に低かった(それぞれ、IASのシグナルの5±4%、および412±11%、それぞれP<0.05)。左側拡張部およびCNにおけるCx43の発現も、LNBより統計的に低かった(それぞれ、P=0.03およびP=0.02)。
伝導系の再構成
左側および右側拡張部、CN、LNB、ならびにヒス束で構成される、各心臓由来の伝導系の三次元再構成を図8に2つの図で示す。各パネルは、一つの心臓の伝導系の再構成を示す。各パネルの左の図は、コッホ三角内での伝導系の方向、伝導系に密接した近傍に位置する血管、およびヒス束を包むCFBを示す。右の図は、伝導系自体、およびCx43を定量した3平面を示す。各標本のヒス束は、緑で示されている。LNBおよび右側拡張部は、連続的な構造として黄色で描かれている。左側拡張部およびCNは、連続的な構造としてシアンで描かれている。最後に、右側拡張部に密接に関連する下線維細胞の層は、オレンジ色で示されている。移行細胞および右側拡張部の間に密接に並置するこれらの領域は、心房心筋と結節拡張部の間の接触部分である可能性がある。2つの標本では(図8AおよびB)、右側拡張部は左側拡張部よりも長かった。図8Cに見られるように、1つの標本には右側拡張部はあるが左側拡張部がなく、最後のDCMの心臓では(パネルD)、左側拡張部は実際には右側拡張部よりもやや長かった。
DCMの心臓では(図8D)IASが他の3標本よりもはるかに厚く、この心臓では左側拡張部がIASの左心房側に向かって(背腹方向に)著しく突出している。従って、パネルA−Cに示した心臓内図から90°回転させた伝導系の追加図をパネルDに示す。図8Dに見られるように、DCMの心臓における伝導系は、正常の心臓よりも厚かった。パネルAのDCMの心臓の再構成画像のアニメーションがオンラインのデータ補足に提供されている。
考察
本研究で、我々はヒトAVJにおける伝導系の三次元生体構造を再構築し、Cx43の分布および細胞由来をマッピングした。我々の結果は、Cx43が同じようなレベルで発現する(およそ、IASでの発現レベルの半分)右側拡張部、LNB、およびヒス束の領域の筋細胞でCx43が不均一に分布し、一方、左側拡張部およびCNではCx43の発現はIASと比較して非常に少ないことを示した。
イノウエ(Inoue)およびベッカー(Becker)は、21個の一連の心臓について、7/21(33%)で右側拡張部のみで左側拡張部が無く、13/21(62%)で右側拡張部が左よりも長く、また1/21(5%)で左側拡張部のみだったと記載している(イノウエおよびベッカー(Inoue and Becker)、1998年)。我々の心臓試料はイノウエ(Inoue)およびベッカー(Becker)が述べたものに密接に類似しており、2/4(50%)で右側拡張部が左よりも長く、1/4(25%)が右側拡張部のみだった。興味深いことに、我々の研究のDCMの心臓では、左側拡張部が右側拡張部よりも実質的に長く、これはInoue and Beckerが観察しなかった変化である。この変化が単に稀であり、彼等の研究に現れなかっただけであったかどうか、あるいは、この試料の病理的状態に起因するかどうかは、我々の研究からは判断できない。この心臓は伝導系の全体的な形態が他と異なり(図1C)、本研究の他の心
臓よりも大きかったことから(図8D)、左側拡張部が長いことがDCMと関連しているとすることももちろん可能である。IASの厚さも、この心臓では他の心臓よりもはるかに厚く(データ補足動画2)、従って、背腹方向に向いていたことから、リモデルされた心筋のようにこの心臓では左側拡張部が選択的に長くなった可能性もある。我々は、この心臓におけるCx43の発現が、正常の心臓よりも高かったということも見いだした(図6および7)。しかし、過去の研究は、左心室のCx43発現はDCM患者では減少することが示されている(デュポンら(Dupont et al.)、2001年)。従って、AVJについて、今後、様々な心筋症の影響を明らかにする研究が必要である。
全体的に組織化学的研究に基づくイノウエ(Inoue)およびベッカー(Becker)の研究(1998年)では、LNBに関しては触れられなかった。ひとつには、これはヒトのLNBを組織学的手法のみで認識するのは困難であるという事実に起因するかもしれない。本研究では、Cx43マーカーを加えて使用することにより、我々は一貫してLNBを視覚化することができることを見いだし、その結果、形態的に類似した細胞および組織が非常に異なる分子特性をもつ可能性があることを示した。他のコネキシン・アイソフォームがヒトAVJにおいて同様の領域を明らかにするかどうかを検討する研究が今後必要だろう。
ヒトのAVJの実験モデルとしてウサギのAVJがしばしば用いられる。ウサギでは、ヒトの右側拡張部の位置と非常に似た、冠状静脈洞および三尖弁の間の心筋峡部で右心房心内膜下に位置する結節拡張部が1つ有るのみである。本研究では、Cx43の定量によりヒトAVJにおけるCx43発現の2つの軸、すなわち、いずれもCx43が互いに同程度に、またCNおよび左側拡張部よりも高レベルで発現する右側拡張部、LNB,およびヒス束が明らかになった。過去の研究は、ウサギもCx43発現の2つの領域を持つことが報告されている。コー(Ko)らは、ヒス束、下結節細胞、および結節拡張部がいずれもCx43を同程度発現すること、またCNは検出可能なCx43を発現しないことを見いだした(コーら(Ko et al.、2004年)。従って、ヒトおよびウサギの間では、左側拡張部/CNとは異なって右側拡張部/LNBがヒス束に接続されている点で一致している。本研究とウサギでの研究におけるデータ間の類似性は、ウサギはヒトの心臓伝導系の適切なモデルであるという更なる証拠を提供する(ローザンバーグおよびエフィーモフ(Rothenberg and Efimov)、2006年)。
共局在プロットの方法により、我々は線維芽細胞と筋細胞間のCx43を介した相互作用は、ヒトのAVJにおいてはもしあるとしても最低限であると結論づけた(図5)。共局在の手法は、三次元空間における免疫蛍光シグナルの局在の情報を得るのに有用である。また、この手法は定量的でもあり、画像スタック中の全ボクセルの数値を示し、結果からのあらゆる選択バイアスを除去する。しかし、この手法は、線維芽細胞がCx43を発現する場合、そのシグナルがビメンチンと共局在するであろうということを前提としている。ビメンチンは細胞質タンパク質であり、Cx43は、もし発現されて機能可能であるとすれば、膜に結合するであろうことから、この前提が正しい可能性も、正しくない可能性もある。しかし、本研究で用いられた光学的分解能では、共焦点画像のピクセル分解能はXおよびYで240nm(125×125μmの視野で512×512ピクセル)ならびにZで〜500nmであり、細胞内のタンパク質の分離に関して非常に大きい。おそらくビメンチン繊維が細胞膜の240nm以内で発現されるだろうというのは、筋が通っているようである。従って、我々の推論は妥当であると感じている。また、サルコメア特異的なα−アクチニンは筋細胞の細胞質で発現されるであろうことから、α−アクチニンおよびCx43の物理的な重なりに関しても同じ制約が適用されるが、共局在プロットは、α−アクチニンおよびCx43の間に共局在があることを示している。
機能的意味
二重伝導路電気生理学は、ヒトAVJの病理学的な特徴の一つであり、房室結節回帰性頻拍(AVNRT)などの回帰性不整脈の基質を提供する(モーら(Moe et al.)、1956年)。一般的に、AVJはAVNRTを引き起こす遅い伝導路と速い伝導路の2つの機能的経路を有すると説明される。解剖学的には、遅い伝導路の基質は、AVNRTを治療するために切除される冠状静脈洞および三尖弁間の心筋の峡部が関与し(ニコルスキら(Nikolski et al.)、2003年)、移行細胞が速い導電路として作用する。右側拡張部が遅い伝導路の基質であるという証拠があるが(イノウエら(Inoue et al.)1999年; メドカーら(Medkour et al.)、1998年)、右側拡張部、この拡張部と重複する下移行細胞、またはこの両方の組合せが本当に遅い伝導路の基質なのかどうかが議論されている(マクガイア(McGuire)、2000年)。もし右側拡張部が本当に遅い伝導路の基質であるなら、Cx43の発現は速い伝導を意味するはずであるので、右側拡張部が比較的多量のCx43を含むことを我々の結果が示していることは、興味深いことである。しかし、伝導速度はCx43の発現のみに依存するわけではなく、Cx40、Cx45、おそらくCx30.2/31.9(クロイツベルグら(Kreuzberg et al.)、2006年)、およびイオンチャンネルの発現も、もちろん結節拡張部の伝導速度に影響を与えるはずである。実際には、遅い伝導路の「遅い」性質に関与するのは下結節拡張部内の伝導時間ではないかもしれず、また、遅い伝導路に関与するのは下移行細胞および下結節拡張部の間の接点である可能性もある(ハッカーら(Hucker et al.)、2007年b;
(ニコルスキら(Nikolski et al.)、2003年)。しかし、AVNRTにおける結節拡張部の役割を完全に理解するためには、結節拡張部の機能的特性とCx40、Cx45、Cx30.2/31.9の分布およびイオンチャンネルの分布を関連させる今後の研究が必要であろう。
我々は、速い経路の基質と目される、CN周辺の移行細胞層を見いだした。この細胞層は、この細胞層内の速い伝導を機能的に支える心房中隔と同様のレベルでCx43を発現する。構造的にも機能的にも、これらの細胞は、活動電位特性および細胞形態の観点では、心房心筋およびAVNの間の介在物である(アンダーソンおよびホー(Anderson and Ho)、2002年; (ビレット(Billette)、1987年)。一方、Cx43の発現に関しては、移行細胞とCNの接点でCx43の滑らかな移行ではなく、移行細胞からCNへCx43の発現に劇的な減少があることを図3Cが示しており、これがCNへの活動電位の伝播を遅くする可能性がある(ショーおよびルーディー(Shaw and Rudy)、1997年)。
左拡張部/緻密結節の役割はあまり明らかでない。Cx43がほとんど発現しないことから、この構造はおそらくゆっくりと伝導し、1つ以上の遅い経路が観察されるAVNRTの場合、または結節内回帰において、ゆっくり伝導する経路を提供する可能性がある。この仮説と一致するのは、複数経路に関連するAVNRTが遅い1経路に関連するAVNRTよりも一般的でないという事実と、ヒトでは左側拡張部で発現に一貫性が無いことの間の相関である(イノウエおよびベッカー(Inoue and Becker)、1998年)。左側拡張部は、IASの左心房側と結節組織の間のゆっくり伝導する経路も提供する可能性もある(カトリッシスおよびベッカー(Katritsis and Becker)、2007年)。最後に、下移行細胞はいくつかの場合には左拡張部のすぐ近傍にあり(図4A−C)、従って、リエントリー回路は2つの結節拡張部と下移行細胞の間におそらく維持されるだろう。
右側INEからLNBおよびヒス束までのCx43の連続的な発現は、これらの構造が1つの連続的構造を形成し、また、左側拡張部とは異なって右側拡張部がヒス束に結合していることを意味する。ウサギでは、当研究室および他の研究室の機能的研究は、速い経路から広がる興奮とは異なり、下結節拡張部から広がる興奮がヒス束を刺激すること(ハ
ッカーら(Hucker et al.)、2007年b; チャンら(Zhang et al.)、2001年)、また特に、AV遅延が下結節拡張部の付近でペーシングすることにより回避できることを示した(ハッカーら(Hucker et al.)、2007年b)。本研究の我々のデータは、右側拡張部での興奮がLNBを介して緻密房室結節をバイパスするヒス束の明確なCx43陽性領域に広がるヒトにおいても、同じことが当てはまる可能性があることを示唆している。
右側拡張部およびヒス束間の独特のカップリングの可能性は、緻密房室結節の関与なしにヒス束の興奮を達成するためにこの結合を利用する可能性を開く。近年のペーシングの戦略は、同期的な心室収縮を得るため、ヒス束直接ペーシングなど別のペーシング部位を探索している(ラスケら(Laske et al.)、2006年; デシュムクおよびラマニシャイン(Deshmukh and Romanyshyn)、2004年;
ザノンら(Zanon et al.)、2006年)。ヒス束自体ではなく右側拡張部をペーシングする試みは、ペーシング用リードを埋め込むことができる右心房の底面の領域を広げるであろうし、また、右側拡張部はヒス束のような繊維状組織に包まれていないことから、おそらくペーシング閾値を更に下げる。
我々のヒトAVJの三次元再構成画像は、伝導系を取り囲む組織は血管が十分に発達していることを示した。AVJを取り囲む静脈は大きく、我々が再構成した4つのAVJでは、直径が0.29〜0.56mmの範囲だった。冠状静脈洞はAVJの非常に近くに位置することから、図8の三次元再構成画像に示された静脈は、冠状静脈洞と開口部のすぐ近くで結合するか、または右心房に直接流れ込むかのいずれかである。一部の患者ではCS開口部へのアクセスが困難である可能性があるものの(ヒルら(Hill et al.)、2006年)、(例えば、心房性細動の際にANVを調節するための)アブレーション、ペーシング、または局所的な薬剤送達のために、心筋に動作中のリード線をねじ込むことによって引き起こされる組織の損傷なしにこれらの血管をカテーテルで通過させることがまもなく可能になるかもしれない(シグら(Sigg et al.)、2006年)。
結論
我々の研究は、ヒトAVJにおける初のCx43マッピングを提示する。我々はヒトAVJにおける伝導系がCx43密度に関連して2つの領域、すなわち、いずれもCx43が互いに同程度発現する右側拡張部、LNB、およびヒス束と、一方で、非常にわずかなCx43を有する左側拡張部およびCN、を呈することを見いだした。これら2つの別個の領域は、不均一な伝導性とAVJから生じる上室性不整脈の一因となる、特有の伝導特性を有する可能性がある。
限定
我々の研究は、単一のコネキシン・アイソフォーム、Cx43に限定される。しかし、哺乳類のAVJでは、Cx45、Cx40、およびCx31.9・30.2など、他のアイソフォームが発現することが知られている。残念ながら、我々はヒトAVJで定量可能なシグナルを提供するような、これらのコネキシンに対する抗体を得ることができなかった。また、我々の研究は、免疫組織化学手法に基づいており、従って、Cx43の検出はこの手法の分解能により制限されている。Cx43から成るギャップジャンクションが免疫蛍光による検出を免れるほど少ないという可能性ももちろんある。
我々の研究は、過去に電気生理学研究室で解析が行われていないヒト心臓で行われた。
図および表の説明
表1:本研究に用いた各試料の患者特性
図1:ヒト房室接合部の解剖および三次元再構成。A:解剖学的ランドマークを付した、切り取られた房室接合部標本。B:Aにおいて四角で囲んだ領域の高解像度像。マッソン三色染色で染色された切片の位置に印が付いている。また、トダーロ腱(TT)、冠状静脈洞(CS)および三尖弁の中隔尖(TV)により境界される、コッホ三角の輪郭も描かれている。C:三次元再構築用に別の組織領域の輪郭線を描いた、Bにおいて赤線で印を付けた切片のマッソン三色染色像。D:全切片を三次元に配置した、伝導系の輪郭線。赤い輪郭線は、Cにおいて輪郭線が描かれた房室結節に相当する。E:ロフト化して三次
元メッシュを作成した伝導系の輪郭線。F:レンダリングを行って三次元ボリュームに近似させた、Eにおける三次元メッシュ。AVN:房室結節;CFB:中心繊維体;FO:卵円窩。IAS:心房中隔;LE:左側拡張部;RE:右側拡張部;VS:心室中隔;S,I,P,A:上、下、後ろ、前方向。
図2:結節拡張部におけるCx43の密度。A:結節拡張部のマッソン三色染色像。結節拡張部周囲の輪郭線が描かれた領域は、図BおよびCのパネルに示した免疫組織化学像に相当する。B:α−アクチニンを赤、ビメンチンを青、およびCx43を緑で示した、結節拡張部の免疫組織化学像。C:結節拡張部におけるCx43の発現。D−F:左側拡張部(D)、右側拡張部、および下移行細胞(EおよびF)におけるCx43、ビメンチン、およびα−アクチニンの発現の高倍率像。G:パネルA−Cで示した切片平面で分割展開した、AVJの三次元再構築像。CFB:中心繊維体;IAS:心房中隔;LE:左側拡張部;RE:右側拡張部;VS:心室中隔;P,A:前後方向。
図3:房室結節におけるCx43の密度。A:AVNのマッソン三色染色像。AVN周囲の輪郭線が描かれた領域は、パネルBおよびCで示した免疫組織化学像に相当する。B:α−アクチニンを赤、ビメンチンを青、およびCx43を緑で示した、AVNの免疫組織化学像。C:AVNにおけるCx43の発現。D−G:AVN部位の様々な領域におけるCx43、ビメンチン、およびα−アクチニンの発現の高倍率像。H:パネルA−Cで示した切片平面で分割展開した、AVJの三次元再構築像。CFB:中心繊維体;IAS:心房中隔;LNB:下結節束;VS:心室中隔;P,A:前後方向。
図4:ヒス束におけるCx43の密度。A:ヒス束のマッソン三色染色像。ヒス束周囲の輪郭線が描かれた領域は、パネルBおよびCで示した免疫組織化学像に相当する。B:α−アクチニンを赤、ビメンチンを青、およびCx43を緑で示した、ヒス束の免疫組織化学像。C:ヒス束におけるCx43の発現。D:ヒス束の様々な領域におけるCx43、ビメンチン、およびα−アクチニンの発現の高倍率像。E:パネルA−Cで示した切片平面で分割展開した、AVJの三次元再構築像。CFB:中心繊維体;IAS:心房中隔;VS:心室中隔;P,A:前後方向。
図5:Cx43の細胞発現。A:下結節束(LNB)における、Cx43の(緑)、α−アクチニン(赤)、およびビメンチン(青)染色の最大投影像。B:Cx43のシグナル強度が高いボクセルではα−アクチニンのシグナル強度も高いことを示す、Cx43およびα−アクチニンの共局在。C:Cx43のシグナル強度が高いボクセルではビメンチンのシグナル強度がないことを示す、Cx43およびビメンチンの共局在。D−E:緻密結節(CN)についての、A−Cと同様のデータ。詳細は本文を参照。
図6:AVJの移行細胞におけるCx43密度。心臓内(endo)、左側、および下移行細胞におけるCx43密度。全ての密度は心房中隔(IAS)のCx43の密度に対して標準化されている。DCM:拡張型心筋症。
図7:AVJの伝導系におけるCx43密度。全ての密度は心房中隔(IAS)のCx43の密度に対して標準化されている。CN:緻密房室結節;DCM:拡張型心筋症;LNB:下結節束;LE:左側拡張部;RE:右側拡張部。
図8:AVJ伝導系の三次元再構築。A−C:正常な各心臓の伝導系の心臓内図。各パネルの左側は、伝導系を取り囲む結合組織および血管、ならびに各標本のコッホ三角内における伝導系の位置を示す。各パネルの右側は、伝導系およびCx43を定量した3平面を示す。D:拡張型心筋症の心臓の伝導系再構成。パネル左側は、A−Cに示したものと同じ心臓内図を示す。中央のパネルは、左側拡張部をより明確に示すために、90°回転
させた伝導系を示す。CFB:中心繊維体;IAS:心房中隔;TT:トダーロ腱;VS:心室中隔;A−P、S−I、D−V:前後、上下、および背腹方向。
Cx43の定量
コッホ三角の3つの異なった場所、すなわちヒス束、緻密房室結節領域、下結節拡張部から組織切片を得た。心房中隔(IAS)および伝導系の組織のモザイク画像を作成した。Cx43染色の典型的な画像をデータ補足図1Aに示す。興味ある各領域について、3
段階のアルゴリズムでCx43染色に一致する各画像の面積を測定した。まず、画像の閾値処理を行った(データ補足図1B)。画像中の総ピクセル数のうちおよそ0.2%未満のピクセル数が収まる閾値を、画像シグナル強度値のヒストグラムから決定した。この閾値は、Cx43染色の領域を再現良く選択するよう、経験的に決定した。モザイク画像の閾値処理を行った時点で、閾値以上の領域内の穴を塗りつぶし、3μm2未満で閾値以上の任意の領域をノイズとして切り捨てた(図1D)。8ビット画像でシグナル強度値10の画像を閾値処理し、次いで小さい孔を塗りつぶして、各画像中の全組織の量を決定した(図1C)。コネキシン密度は、画像ごとにCx43面積を組織面積で割って算出した。伝導系のコネキシン密度を、心房中隔での密度と比較した。同一標本由来の全画像は同一設定で撮像し、同一標本由来の心房画像および伝導系画像には同一閾値を用いた。
図および動画の説明
データ補足図1:Cx43の定量。A:Cx43染色の写真。B:閾値処理を行ってCx43染色を選択した画像。C:閾値処理を行って、画像中の任意組織を選択した同一画像。D:閾値処理を行い、閾値以上の小面積を除去し、白いピクセルで完全に囲まれた黒い穴を塗りつぶしたBの画像。コネキシン密度は、
密度=[(Cx43面積)/(組織面積)*100]
として算出した。
データ補足動画1:右心臓内図から始まる、正常な心臓の三次元再構築像。心室中隔は赤、結合組織は青、心房組織はピンク、脂肪を白で示す。伝導系が見えるように、動画が進むにつれて伝導系を取り囲む組織の構成要素が取り除かれる。ヒス束は緑、緻密房室結節および左側拡張部はシアン、ならびに下結節束及び右側拡張部は黄色で示す。伝達系に密接に関わる血管は紫で示し、AVN動脈はえび茶色で示す。
データ補足動画2:右心臓内図から始まる、DCMの心臓の三次元再構築像。心室中隔は赤、結合組織は青、心房組織はピンク、脂肪を白で示す。伝導系が見えるように、動画が進むにつれて伝導系を取り囲む組織の構成要素が取り除かれる。ヒス束は緑、緻密房室結節および左側拡張部はシアン、ならびに下結節束及び右側拡張部は黄色で示す。右側拡張部と密接に関連する下移行細胞は、オレンジ色である。伝達系に密接に関わる血管は紫で示し、AVN動脈はえび茶色で示す。この心臓の左側拡張部は、心房中隔の左側に接近していることに注意。

Claims (10)

  1. 下結節伸展部に刺激を与える装置において、
    複数の電極を備えた先端部と、基端部とを有するリードであって、前記複数の電極は、ペーシング電極として機能しているときにペーシング信号を供給する、又は感知電極として機能しているときに心拍数をモニタするように構成される前記リードと、
    感知モード又はペーシングモードで選択的に機能するよう動作可能な回路と、を備え、
    前記回路は、前記複数の電極に電気的に接続されると共に、同複数の電極のうちのどれが前記下結節伸展部を含む遅伝導路において最も強い信号を示す電極であるかを決定し、その最も強い信号を示す電極にペーシング信号を供給し、それによって前記最も強い信号を示す電極を感知電極として機能する状態からペーシング電極として機能する状態に切り替える、装置。
  2. 前記複数の電極は2個の電極を含む、請求項1に記載の装置。
  3. 前記複数の電極は3個の電極を含む、請求項1に記載の装置。
  4. 前記リードは前記先端部に設けられたねじ部を備え、前記ねじ部は、前記リードの前記先端部のチップから延在し、前記基端部に向かって第一電極および第二電極を越えて延在するが、第一電極および第二電極を越えて第三電極までは延在していない、請求項1又は3に記載の装置。
  5. 前記複数の電極は4個の電極を含む、請求項1に記載の装置。
  6. 前記回路は、
    バッテリと、
    チャージスイッチを介して前記バッテリと電気的に並列接続されたキャパシタと、
    感知回路と、
    前記複数の電極の各々に対して少なくとも一つが対応するように設けられる複数のペーシングスイッチと、
    前記複数の電極の各々に対して少なくとも一つが対応するように設けられる複数の感知
    スイッチと、を備え、
    前記感知モード時、前記複数の感知スイッチが前記感知回路を前記複数の電極に電気的に接続すると共に、前記複数のペーシングスイッチが前記キャパシタを前記複数の電極から電気的に切り離し、
    前記ペーシングモード時、前記複数のペーシングスイッチのうちの一つが前記キャパシタを前記最も強い信号を示す電極に電気的に接続すると共に、前記感知スイッチのうちの一つが前記感知回路を前記最も強い信号を示す電極から電気的に切り離す、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
  7. 前記ペーシングモード時、前記最も強い信号を示す電極以外の全ての電極が感知電極として機能し続ける、請求項6に記載の装置。
  8. 前記ペーシング信号は、前記下結節伸展部に刺激を与えるために、前記ペーシング電極の作動、停止、および調整のうちの少なくとも一つを生じさせる、請求項1に記載の装置。
  9. 前記装置は房室結節の血管を通じて下結節伸展部に案内されるように構成され、前記装置はさらに、前記リードを房室結節の血管を通じて下結節伸展部に案内するカテーテルを備え、同カテーテルは湾曲部を持つチップを有する先端部を備えている、請求項1〜8の何れか一項に記載の装置。
  10. 前記湾曲部は10度〜60度の角度をなす、請求項9に記載の装置。
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