本発明の積層ポリエステルフィルムの基材フィルムは、ポリエステルからなるものである。かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合しても構わない。
本発明のポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの走行性を確保したり、キズが入ることを防いだりする等の目的で粒子を含有させることができる。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
用いる粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径に関しては、通常は0.01〜5.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりする。平均粒径が0.01μm未満では、表面粗度が小さすぎて、十分な易滑性が得られない場合がある。粒子含有量については、ポリエステルに対し、通常0.0003〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合がある。なおフィルムの透明性、平滑性などを特に確保したい場合には、実質的に粒子を含有しない構成とすることもできる。また、適宜、各種安定剤、潤滑剤等をフィルム中に加えることもできる。
本発明のフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、まず溶融押出によって得られたシートを、ロール延伸法により、70〜145℃で2〜6倍に延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルムを得、次いで、テンター内で先の延伸方向とは直角方向に80〜160℃で2〜6倍に延伸し、さらに、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことでフィルムが得られる。さらにこの際、熱処理のゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、単層または多層構造である。多層構造の場合は、表層と内層、あるいは両表層や各層を目的に応じ異なるポリエステルとすることができる。
本発明におけるポリエステルフィルムは少なくとも片面に塗布層を有するが、フィルムの反対面に同様のあるいは他の塗布層や機能層を設けていても、本発明の概念に当然含まれるものである。
本発明における塗布層は、フィルムの製膜中に塗布層を設ける、いわゆるインラインコーティング、特に塗布後に延伸を行う塗布延伸法が好適に用いられる。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかにコーティングする。特に塗布延伸法としては、一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。
かかる方法によれば、製膜と塗布層塗設を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、コーティング後に延伸を行うために、薄膜で均一なコーティングとなるために塗布層の特性が安定する。また、二軸延伸される前のポリエステルフィルム上を、まず塗布層を構成する樹脂層で被覆し、その後フィルムと塗布層を同時に延伸することで、基材フィルムと塗布層が強固に密着することになる。また、ポリエステルフィルムの二軸延伸は、テンタークリップによりフィルム端部を把持しつつ横方向に延伸することで、フィルムが長手/横手方向に拘束されており、熱固定において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかける事ができる。それゆえ、コーティング後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、また塗布層とポリエステルフィルムが強固に密着する。塗布層を設けたポリエステルフィルムとして、塗布層の均一性、造膜性の向上および塗布層とフィルムの密着は好ましい特性を生む場合が多い。
この場合、用いる塗布液は、取り扱い上、作業環境上、安全上の理由から水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を超えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
次に本発明においてフィルムに設ける塗布層について述べる。
本発明において塗布層を形成するための塗布液に含有される、ポリウレタン樹脂(A)(B)とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことであり、通常ポリオールとイソシアネートの反応により作成される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類などが挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
なお、ポリウレタン樹脂(A)はポリオールとしてポリカーボネートポリオールを構成単位として含有する必要がある。
ポリカーボネートポリオール類は、例えばジエチルカーボネートなどの低級ジアルキレンカーボネートや、あるいはジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルと、ジオールとのエステル交換反応を用いるか、ジオールに直接ホスゲンを反応させることで得られるものが挙げられる。本発明では、ジオールとして、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1.5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン等を用いたポリカーボネートポリオールを使用することができる。これらのポリカーボネートポリオールのなかでも、ジオールとして1,6−ヘキサンジオールを用いたものが、特に接着性が良好であり、しかも工業的に入手しやすい点で好ましい。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるもの、ポリカプロラクトン等のラクトン化合物の誘導体ユニットを有するもの等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
各種の上塗り層との密着性を向上させるためにはポリカーボネートポリオール類の他にポリエステルポリオール類を併用することが好ましい。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。また、これらのポリイソシアネート化合物は2量体やイソシアヌル環に代表されるような3量体、あるいはそれ以上の重合体であっても良い。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1 ,8−オクタンジアミン、1 ,9−ノナンジアミン、1 ,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロビリチンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1 ,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
また、本発明において塗布層を形成するための塗布液に含有される、ポリウレタン樹脂(A)は、分子中に3級アミノ基を有する鎖延長剤の3級アミノ基を4級化した化合物を構成単位として含むことが必要である。これによりポリウレタン樹脂(A)は自己乳化性となり、特に乳化剤を添加しなくとも、水を主体とする媒体中で安定した分散体となすことが可能となる。特に本発明の塗布液の安定性や塗布外観を良好とすることができる。
本発明のポリウレタン樹脂(A)で使用する鎖延長剤としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミン等のN−アルキルジアミノアルキルアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。これらの3級アミノ基を有する鎖延長剤は単独または2種以上併用して用いることができる。また、これらの鎖延長剤の添加量は、ポリウレタン樹脂(A)に対して5〜15重量%が好ましい。
本発明においては、上記ポリウレタン樹脂に導入された上記3級アミノ基を有する鎖延長剤を、酸で中和するか、あるいは4級化剤で4級化した化合物を含むカチオン性ポリウレタン樹脂とする必要がある。3級アミノ基を酸で中和する場合には、酸として、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸等の有機酸、および塩酸、燐酸、硝酸等の無機酸を挙げることができる。これらの酸は単独または2種以上併用して用いることができる。また、3級アミノ基を4級化剤で4級化する場合には、4級化剤として、ベンジルクロライド、メチルクロライド等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等の硫酸エステル等を挙げることができる。これらの4級化剤は単独または2種以上併用して用いることができる。
本発明で用いるポリウレタン樹脂(A)は、ポリイソシアネートとポリカーボネートポリオールと分子中に3級アミノ基を有する鎖延長剤を添加して反応させた後、4級化させることで得られるが、初めから4級化された化合物を鎖延長剤として反応させることもできる。
本発明におけるウレタン樹脂は、溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ウレタン樹脂を水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ウレタン樹脂の骨格中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性、密着性に優れており好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)は上記3級アミノ基を有する鎖延長剤の3級アミノ基を4級化した化合物で自己乳化させることが好ましく、炭素−炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂(B)に導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等、種々のものが挙げられるが、カルボキシル基が好ましい。
ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましい。
特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。かかるポリウレタン樹脂は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。これにより、塗布前の液の状態での安定性に優れる上、得られる塗布層の耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等をさらに改善することが可能となる。
本発明において塗布層を形成するための塗布液に含有される、ポリウレタン樹脂(B)は炭素−炭素二重結合部を含有する必要がある。
本発明における塗布層は、特に無溶剤型の活性エネルギー線硬化性層との密着性を向上させることができるものである。
密着性向上の推測メカニズムは、活性エネルギー線硬化性層を形成する際に照射する紫外線により、本発明のフィルムの塗布層中の炭素−炭素二重結合と、活性エネルギー線硬化性層の形成に用いられる化合物の炭素−炭素二重結合とを反応させ、共有結合を形成させるというものである。
本発明のフィルムの塗布層の形成に使用する、炭素−炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂(B)の炭素−炭素二重結合とは、活性エネルギー線硬化性層を形成する化合物中に含有する炭素−炭素二重結合と反応するものであれば従来公知の材料を使用することができる。また、主鎖中に炭素−炭素二重結合を含有するポリウレタン樹脂よりも末端基に炭素−炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂の方が、活性エネルギー線硬化性層を形成する化合物中に含有する炭素−炭素二重結合と効率的に反応し、優位である。従来公知の材料として、例えば、ポリウレタン樹脂にアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、アリル基等の形で導入することが挙げられる。
炭素−炭素二重結合には各種の置換基を導入することができ、例えば、メチル基やエチル基等のアルキル基、フェニル基、ハロゲン基、エステル基、アミド基等やあるいは共役二重結合のような構造を有していても良い。また、置換基の量としては、特に制限はなく、1置換体、2置換体、3置換体、あるいは4置換体いずれも使用することが可能であり、反応性を考慮すると1置換体、あるいは2置換体が好ましく、さらには1置換体がより好ましい。
一つのポリウレタンの分子中に3級アミノ基を有する鎖延長剤の3級アミノ基を4級化した化合物と、ポリカーボネートポリオールと、炭素−炭素二重結合とを構成成分単位として含む化合物が工業的に入手可能であれば、ポリウレタン樹脂(A)と炭素−炭素二重結合を有するポリウレタン樹脂(B)を併用する代わりに使用することができ、本発明の概念に含まれる。
本発明において塗布層を形成するための塗布液に含有される、カチオン性高分子帯電防止剤としては、分子内に4級化されたアンモニウム基を有する化合物を指し、水溶性化合物であることが好ましい。
本発明では例えば、4級アンモニウム基を有する単量体を成分として含む重合体を用いることができる。
かかる重合体の具体的な例としては、例えば下記式1または下記式2で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体が挙げられる。これらの単独重合体や共重合体、さらに、その他の複数の成分を共重合していても構わない。
上記式中、R1は水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基、R2は−O−または−NH−、R3は炭素数が1〜6のアルキレン基または式1の構造を成立しうるその他の構造、R1、R2、R3はそれぞれが、水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基、X−は1価の陰イオンである。
上記式中、R1およびR2はそれぞれ、水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基、X−は1価の陰イオンである。
上記式1で示される構成要素を持つ重合体は、得られる塗布層の透明性に優れ好ましい。ただし塗布延伸法においては、耐熱性に劣る場合があり、塗布延伸法に用いる場合、X−はハロゲンではないことが好ましい。
上記式2で示される構成要素や、その他の4級アンモニウム塩基が高分子骨格内にある化合物は、耐熱性に優れており、塗布延伸法においても帯電防止性が得られやすい。
また、本発明では、塗布層を形成するための塗布液に含有される2種以上の架橋剤(D)としては、種々のものを例示しうるが、特にオキサゾリン系、エポキシ系、アミノ樹脂系、カルボジイミド系、イソシアネート系の架橋剤が好ましい。
本発明におけるオキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物を指し、原料モノマーの少なくとも一つとしてオキサゾリン基を含むモノマーを使用して合成することができる。かかるモノマー類としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−ビニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,−オキサジン、4,4,6−トリメチル−2−ビニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−アクリロイル−オキシメチル−2,4−ジメチル−2−オキサゾリン、4−メタクリロイル−オキシメチル−2,4−ジメチル−2−オキサゾリン、4−メタクリロイル−オシメチル−2−フェニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−(4−ビニルフェニル)−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン、4−エチル−4−ヒドロキシメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−エチル−4−カルボエトキシメチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等を例示することができる。これらあるいはその他のオキサゾリン基含有モノマーの1種以上を使用することができる。
また、本発明においては、オキサゾリン基を含有しない、その他の成分を共重合していることが好ましい。ここで、その他の成分とは、オキサゾリン基含有モノマーと共重合し得るモノマーであれば特に限定されない。例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン系モノマー等の、ビニル基を含有するモノマーを用い、ビニルオキサゾリンモノマーと共重合した樹脂は、反応性も高く、工業的に得やすい。
本発明におけるエポキシ系架橋剤とは、例えば、分子内にエポキシ基を有する化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
本発明におけるアミノ樹脂系架橋剤とは、メラミン系、尿素系、ベンゾグアナミン系の骨格を有する架橋剤のことである。本発明では特に、メラミン系が好ましい。メラミン系のアミノ樹脂とは、分子中にメラミン骨格を有する化合物のことである。例えば、アミノ基をアルキロール化し、さらにそのメチロール基の一部をアルキル化したものが使用できる。本発明では特に、アミノ基をメチロール化し、さらにその一部をメチル化しメトキシ基としたものが、水溶性と反応性に優れ使用しやすい。また、アミノ樹脂系架橋剤としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。また、アミノ樹脂同士を共縮合したものを使用することができる。特にメラミン系と尿素系の共縮合物は、得られる塗布層の外観に優れ好ましい。また、有機酸系の架橋触媒を併用することもできる。
本発明におけるカルボジイミド系架橋剤とは、分子中にカルボジイミド基を有するものを指し、特に分子中に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物が好適である。例えば、特開平10−316930号公報や特開平11−140164号公報に示されるように、有機ポリイソシアネート、特に好ましくは有機ジイソシアネートを主たる合成原料として製造される。
これらのジイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、シクロブチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,6−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレン−1,12−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリカルボジイミドの製造にあたっては、これらの有機ジイソシアネートの1種もしくは2種以上の混合物を用いることができる。また、ジイソシアネート以外の有機ポリイソシアネートを用いることもできる。さらに、分子中の共重合成分として、これら以外のモノマーを含んでいても構わない。
本発明におけるイソシアネート系架橋剤とは、分子中にイソシアネート基を有するものを指し、特に分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物が好適である。
特に本発明では、水溶型または水分散型のポリイソシアネート系架橋剤が使用できる。
かかるポリイソシアネート系架橋剤は、一分子中の2個以上のイソシアネート基および親水基を組成として有する。
なお、イソシアネート系架橋剤としては、ブロック化イソシアネート化合物を用いることも可能である。ブロック化イソシアネートは、イソシアネート基とブロック化剤とを付加反応させて得ることができ、加熱によりブロック化剤が外れて、イソシアネート基が生成するような化合物である。ブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類、アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類、芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類、重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。また塗布液には、その他の架橋剤を含有しても構わない。
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、塗布層表面の滑り性の付与や耐ブロッキング性の向上を目的として、無機や有機の微粒子を添加することができる。この微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、シリカ−アルミナ複合体、シリカ−酸化チタン複合体、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂などの微粒子、あるいは酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物微粒子、アンチモン−スズ複合酸化物微粒子などの導電性微粒子から選ばれた少なくとも1種以上を含有させることが好ましい。添加する微粒子は、平均粒子径が5〜200nmであることが好ましく、その添加量も塗布層全体に対して10重量%以下であることが好ましい。
本発明における二軸延伸ポリエステルフィルムの塗布層には、界面活性剤を添加することができる。この界面活性剤には、塗布液のヌレ性の改善を目的に、アルキレンオキサイド付加重合物で置換されたアセチレグリコール誘導体などのノニオン系界面活性剤を好ましく用いることができる。また、フィルムと共に塗布層が延伸される工程での塗布層の透明性の維持を目的として、グリセリンのポリアルキレンオキサイド付加物、あるいはポリグリセリンのポリアルキレンオキサイド付加物などを用いることができる。
その他塗布層には、必要に応じて上記で述べた成分以外に、例えば、消泡剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等を添加することもできる。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
本発明における二軸延伸ポリエステルフィルムの塗布層は、その塗工量としては、乾燥・固化された後の、あるいは二軸延伸・熱固定等を施された後の最終的な乾燥皮膜として、0.005〜1.0g/m2、さらには0.01〜0.5g/m2の範囲とするのが好ましい。この塗工量が0.005g/m2未満では、帯電防止性能や接着性が不十分となることがあり、1.0g/m2を超える場合には、もはや帯電防止性能や接着性は飽和しており、逆にブロッキングの発生等の弊害が発生しやすくなる傾向がある。
本発明の上記塗布層の表面固有抵抗値は、通常1×1012Ω以下、好ましくは1×1011Ω以下、さらに好ましくは1×1010Ω以下であり、下限は特に限定されないが、通常1×108Ωである。
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター、バーコーター等のような技術が挙げられる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価方法は下記のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ポリエステルフィルム中に添加する粒子の平均粒径(d50)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定した。
(3)塗布組成物の平均粒径
塗布組成物の水分散体を適当な濃度に希釈し、日機装製マイクロトラックUPAにて、個数平均の50%平均径を測定した。
(4)帯電防止性
日本ヒューレット・パッカード製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、表面固有抵抗値を測定した。
(5)初期接着性
ガラス板上に、下記に示すとおりの活性エネルギー線硬化樹脂組成物を滴下し、その上から、ポリエステルフィルムを、塗布層と活性エネルギー線硬化樹脂組成物が触れる向きに重ね、荷重4kg、幅50cmのローラーで硬化後の厚さが15μmになるように均して、次いで160W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離150mmにて約10秒間、フィルム側から照射し、硬化を行ったのちガラス板からフィルムを剥し、<ポリエステルフィルム/塗布層/活性エネルギー線硬化樹脂層>という構成の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの活性エネルギー線硬化樹脂層に、1インチ幅に碁盤目が100個になるようクロスカットを入れ、直ちに24mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−24)を貼り付け、180度の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面積によりその密着性を評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:碁盤目剥離個数=0
○:1≦碁盤目剥離個数≦10
△:11≦碁盤目剥離個数≦20
×:21<碁盤目剥離個数
××:全面が剥離
硬化樹脂組成物:NKエステルA−LEN−10(新中村化学社製)45部と、NKエステルA−TMPT(新中村化学社製)13部と、ニューフロンティアBPE−4(第一工業製薬社製)40部と、IRGACURE651(チバスペシャルティケミカル社製)2部とからなる組成物。
(6)耐久接着性
上記初期接着性評価において、硬化樹脂組成物を硬化させた積層フィルムを、恒温恒湿槽で80℃、90%RHの環境下、48時間放置した後、同様にクロスカット評価を行った。
実施例、比較例中で使用したポリエステル原料は次のとおりである。
(ポリエステル1):実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレート
(ポリエステル2):平均粒径(d50)が1.6μmの非晶質シリカを0.3重量%含有する、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート
また、塗布組成物としては以下を用いた。
(E1):下記式1−1の構成単位と、下記式1−2の構成単位と、下記式1−3の構成単位を重量比率で80/10/10の比率で共重合した、数平均分子量21000の高分子化合物。
(U1):1,6−ヘキサンジオールとジエチレルカーボネートとの反応により得られるポリカーボネートポリオール(GCPでの数平均分子量約1000)を76.7部と、ポリエチレングリコール(第一工業製薬社製、商品名PEG600、分子量600)を6.4部とトリメチロールプロパンを2.0部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを19.9部と、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを86.7部と、MEK87部を反応容器に取り、70〜75℃で反応を行い、ウレタンポリマーを得た。このウレタンポリマーにジメチル硫酸を16.8部添加し、50〜60℃で反応させて、カチオン性ウレタンポリマーを得た。これに水623部添加して乳化させた後、MEKを回収することにより、ポリウレタン樹脂の水分散体。
(B1):ヒドロキシエチルアクリレートユニット:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートユニット:ヘキサメチレンジイソシアネート3量体ユニット:カプロラクトンユニット:エチレングリコールユニット:ジメチロールプロパン酸ユニット=18:12:22:26:18:4(mol%)から形成される炭素−炭素二重結合部の重量が2.0重量%であるポリウレタン樹脂。
(B2):ヒドロキシエチルアクリレートユニット:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートユニット:ヘキサメチレンジイソシアネート3量体ユニット:カプロラクトンユニット:エチレングリコールユニット:ジメチロールプロパン酸ユニット=6:10:20:38:22:4(mol%)から形成される炭素−炭素二重結合部の重量が0.7重量%であるポリウレタン樹脂。
(C1):2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとアクリル系モノマーとの共重合ポリマー型架橋剤水溶液、オキサゾリン基量=4.5mmol/g
(C2):ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
(C3):末端がポリエチレングリコールメチルエーテルウレタンで変性されたポリ(1,2−シクロヘキシルカルボジイミド)
(C4):イミノ基/メチロール基/メトキシ基が1.5/2/2.5のモル比である、ヘキサメトキシメチロール化メラミン
(F1):平均粒径0.07μmのシリカゾル水分散体
(S1):アセチレングリコール骨格へのポリエチレンオキサイド付加物
比較例1:
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比で92/8でブレンドしたものをA層、ポリエステル1のみのものをB層の原料として、二台のベント式二軸押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して再外層(表層)、B層を中間層とする二種三層(A/B/A)の層構成で共押出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、厚み構成比がA/B/A=3/94/3となる未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール郡を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、フィルム厚みが100μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。このフィルムの特性を表2に示す。
実施例1:
比較例1と同様の工程において得られた一軸配向フィルムの片面に、表1−1に示すとおりの塗布液を塗布した。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、その熱を利用して塗布組成物の乾燥を行いつつ、比較例1と同様の工程によって、フィルム厚みが100μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記表1および2に示す量の塗布層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表2に示す。
実施例2〜4、比較例2〜5:
実施例1と同様の工程において、塗布液を表1および2に示すように変更し、フィルム厚みが100μmの基材フィルムの上に表1に示す量の塗布層を設けた塗布フィルムを得た。このフィルムの特性を表2に示す。