JP5565262B2 - 加工性に優れたクラッド材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な加工性に優れたクラッド材及びその製造方法に関する。
最近の電子機器や自動車などの工業製品では、銅線も過酷に使われることが多い。これらのニーズに対処するために、連続鋳造圧延法などで製造でき、かつ導電性と伸び特性を純銅レベルに保持しつつ、強度を純銅よりも高めた希薄銅合金材料の開発が行われている。
希薄銅合金材料は、汎用の軟質銅線として、また、やわらかさが必要とされる軟質銅材として、導電率98%以上、更に102%以上の軟質導体が求められてきており、その用途としては、民生用太陽電池向け配線材、モーター用エナメル線用導体、200〜700℃で使う高温用軟質銅材料、焼きなましが不要な溶融半田めっき材、熱伝導に優れた銅材料、高純度銅代替え材料としての使用が挙げられ、これら幅広いニーズに応えるものである。
希薄銅合金材料としての素材は、銅中の酸素を、10mass ppm以下に制御する技術をべ一スに用いており、このべ一スの銅原子に、Tiなどの金属を微量添加して、原子状に固溶させることで、生産性が高く、導電率、軟化温度、表面品質に優れた希薄銅合金材料が得られることが期待されている。
従来、軟質化については、非特許文献1に示されるように、電解銅(99.996質量%以上)に、Tiを4〜28mol ppm添加した試料は、添加しないものに比べて、軟化が早く起こる結果が得られている。この原因はTiの硫化物形成による固溶Sの減少のためと結論づけている。
特許文献1〜3では、連続鋳造装置において、無酸素銅に微量のTiを添加した希薄合金を用いて連続鋳造することが提案されている。
ここで、連続鋳造圧延法で酸素を低くする方法についても、特許文献4、5に示されるように知られている。
特許文献6では、連続鋳造圧延法にて、銅溶湯から直接銅材を製造する際に、酸素量0.005質量%以下の銅溶湯に、Ti、Zr、Vなどの金属を微量(0.0007〜0.005質量%)添加することで軟化温度を低下させることが提案されている。しかし、特許文献6では、導電率に関する検討はなされておらず導電率と軟化温度を両立する製造条件範囲は不明である。
一方、特許文献7では、軟化温度が低く、かっ導電率の高い無酸素銅材の製造方法が提案されており、上方引き上げ連続鋳造装置にて、酸素量が0.0001質量%以下の無酸素銅に、Ti、Zr、Vなどの金属を微量(0.0007〜0.005質量%)添加した銅溶湯から銅材を製造する方法が提案されている。
しかし、上述したように希薄銅合金材料のべ一ス素材のように、酸素が微量含まれるもの、すなわち酸素濃度がppmオーダーで含まれるものに関しては、いずれの特許文献でも検討されていない。
また、銅と異種金属を一体化させたクラッド材は、各種検討されており、例えば、銅(Cu)の高い導電性や熱伝導性と、アルミニウム(Al)の軽量特性を併せ持つCuとAlクラッド材は、半導体デバイスの冷却に使用されるヒートシンクや電子デバイス用のケースなどに適用が検討されている。
また、CuとAlクラッド材の変形例として、CuとAlの中間層としてNiやAgを配置した構造が提案されている(特許文献8、9、10)。
一般的なCuとAlクラッド材の製造方法としては、熱間或いは冷間圧延による方法があるが、熱間圧延の場合、Cu箔とAl箔の張り合わせ時に加えられる熱、及び、CuとAlクラッド材を所定の厚さに加工した後に材料軟質化のために加えられる熱により、CuとAlの接続界面にはCu−Alの金属間化合物が形成される。また、冷間圧延の場合には、CuとAlを張り合わせるために熱間圧延よりも高い圧力(加工度)が必要とされるため、張り合わせ及び所定の厚さへの加工により硬化した材料を軟化させるためには、より高い熱処理温度あるいは長い時間を必要とする。これらの熱処理によって形成されたCuとAl金属間化合物は、脆い性質をもつため、厚くなればなるほど材料使用時の強度信頼性の低下を引き起こす。また、この金属間化合物の存在は、プレスや曲げ、深絞り加工の際にCuとAl界面にクラックを生じ、材料の加工性を著しく低下させる。
特許文献8、9、10は、Cu/Al金属間化合物の形成を抑制するため、CuとNiとAl、CuとAgとAlの構造が提案されているが、中間層にCuやAlよりも高価なNiやAgが使用されているため材料コストが高くなる。また、例えば、Alの両面にCuを配置したCuとAlとCUを作製しようとした場合、CuとNiとAlとNiとCu或いはCuとAgとAlとAgとCuと5層のクラッド或いはめっきとクラッドを組み合わせた構造にせざるを得ないため、各層の厚さコントロールや接続安定性等が複雑になり、製造コストが著しく高くなる。
特開平1−264110号公報 特開平2−104629号号公報 特開平2−163330号公報 特開平2−120050号公報 特開2001−314950号公報 特開2006−274384号公報 特開2008−255417号公報 特開昭54−39342号公報 特開平11−156995号公報 特開2004−1069号公報
鈴木寿、菅野幹宏:鉄と鋼(1984)15号1977−1983
よって、電子機器や自動車などの工業製品においては、生産性が高く、導電率、軟化温度、表面品質に優れた実用的希薄銅合金線とその組成の検討が望まれていた。
また、製造方法について検討すると、上述したように連続鋳造による無酸素銅にTiを添加して軟銅化する方法が知られているが、これはケークやビレットとして鋳造材を製造した後、熱間押出や熱間圧延を行いワイヤロッドを作製している。そのため、製造コストが高く工業的に使うには経済性に問題があった。
また、上方引き上げ連続鋳造装置にて、無酸素銅にTiを添加する方法が知られているが、これも生産速度が遅く経済性に問題があった。
そこで、発明者らは、経済性に優れたSCR連続鋳造圧延システム(South wire Continuous Rod System)の検討を行った。
SCR連続鋳造圧延法は、SCR連続鋳造圧延装置の溶解炉内で、べ一ス素材を溶解して溶湯とし、その溶湯に所望の金属を添加して溶解し、この溶湯を用いて荒引き線(例えばφ8mm)を作製し、その荒引き線を、熱間圧延により例えばφ2.6mmに伸線加工するものである。またφ2.6mm以下のサイズ或いは板材、異形材にも同様に加工することができる。更に、丸型線材を角状に或いは異形条に圧延しても有効であるし、鋳造材をコンフォーム押出成形し、異形材を製作することもできる。
本発明者等が検討した結果、SCR連続鋳造圧延を用いる場合、べ一ス素材としてのタフピッチ銅では表面傷が発生しやすく、添加条件により軟化温度の変動、チタン酸化物の形成状況が不安定であることがわかった。
そして、0.0001質量%以下の無酸素銅を用いて検討すると、軟化温度と導電率、表面品質を満足する条件は極めて狭い範囲にあり、また、軟化温度の低下に限界があり、より低い、高純度銅並みの軟化温度の低下が望まれた。
本発明の目的は、上記課題を解決し、加工性及び生産性が高く、導電率、軟化温度、表面品質に優れたクラッド材及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、安価に界面の金属間化合物の生成を抑制することができるクラッド用希薄銅合金材料とそれを用いた希薄銅合金板及びクラッド材並びにそれらの製造方法を提供することにある。
本発明は、異種金属材料同士を接合してなるクラッド材において、前記異種金属材料の一方が、4〜55mass ppmのiと2〜12mass ppmの硫黄と、2mass ppmを越え30mass ppm以下の酸素とを含有し、残部が不可避的不純物及び銅からなる希薄銅合金材料であり、前記異種金属材料の他方が、純Al、純鉄、JIS規格のSUS405及びJIS規格のSUS304のいずれかであることを特徴とする。
添加元素として、Ti、Mg、Zr、Nb、Ca、V、Ni、Mn及びCrからなる群から選択されこれらの元素は他の元素と結合しやすい活性元素であり、Sと結合しやすいためSをトラップすることができ、銅母材(マトリクス)を高純度化することができ、特にTiが有効である。添加元素は1種以上含まれていてもよい。また、合金の性質に悪影響を及ぼすことのないその他の元素および不純物を合金に含有させることもできる。
また、以下に説明する好適な実施の形態においては、酸素含有量が2mass ppmを越える超え30mass ppm以下が良好であることを説明しているが、添加元素の添加量およびSの含有量によっては、合金の性質を備える範囲において、2mass ppmを越え400mass ppmを含むことができる。
本発明は、前記異種金属材料の一方が、硫黄2〜12massppm、酸素2mass ppmを越えて30mass ppm以下及びTi4〜55mass ppmを含有すること、その軟化温度が0.8mmの厚さで130〜148℃であることが好ましい。
本発明において、前記硫黄と酸素とTiとは、主に、TiO、TiO、TiS及びTi−O−Sの形で化合物又は凝集物を形成し、少量の前記硫黄とTiとが前記希薄銅合金材料中に固溶していること、又、前記化合物又は凝集物の粒径は、前記TiOが200nm以下、前記TiOが1000nm以下、前記TiSが200nm以下及びTi−O−Sが300nm以下で、前記希薄銅合金材料の結晶粒内に分布し、500nm以下の粒子の数前記化合物又は凝集物の全体の90%以上であることが好ましい。
本発明は、前記異種金属材料の他方が、純Alであることが好ましい。
本発明は、4〜55mass ppmのiと2〜12mass ppmの硫黄と、2mass ppmを越え30mass ppm以下の酸素とを含有し、残部が不可避的不純物及び銅からなる希薄銅合金材料を、連続鋳造圧延により、1100〜1320℃の鋳造温度で溶湯とし、鋳造材を作製する工程と、該鋳造材を最初の圧延ロールでの圧延温度880℃以下、及び、最終の圧延ロールでの圧延温度550℃以上で熱間圧延後冷間圧延して希薄銅合金板を作製する工程と、前記希薄銅合金板と純Al、純鉄、JIS規格のSUS405及びJIS規格のSUS304のいずれかである金属板とを接合し、異種金属板を作製する工程と、該接合後に熱処理を加える熱処理工程とを備えたことを特徴とするクラッド材の製造方法にある。
前記熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの圧延温度が880℃以下、及び、最終の圧延ロールでの圧延温度が550℃以上であること、前記熱処理工程における加熱温度が130〜190℃及び加熱時間が0.5〜5時間であることが好ましい。
本発明は、クラッド材となる希薄銅合金材料のべ一スとなる銅は、シャフト炉で溶解の後、還元ガス(CO)雰囲気シールド等の還元システムの下で、希薄合金の構成元素の硫黄濃度、Ti濃度、酸素濃度を制御して鋳造した後、圧延することによって製造できる。
本発明に係る希薄銅合金材料を、双ロール式連続鋳造圧延及びプロペルチ式連続鋳造圧延法により、鋳造温度を1100〜1320℃として、ワイヤロッドを作製し、そのワイヤロッドを、熱間圧延しかつその熱間圧延温度が、最初の圧延ロールでの温度が880℃以下、最終圧延ロールでの温度が550℃以上とて熱間圧延することによって製造することができる。
先ず、本発明は、SCR連続鋳造設備を用い、表面傷が少なく、製造範囲が広く、安定生産が可能であり、またワイヤロッドに対する加工度90%(例えば直径φ8mm→φ2.6mm)での軟化温度が148℃以下と導電率98%IACS(万国標準軟銅(International Anneld Copper Standard)抵抗率1.7241×10−8Ωmを100%とした導電率)、100%IACS、更には102%IACSを満足する軟質型銅材としての希薄銅合金材料を得ることにあり、また同時にその製造方法を得ることにある。
この際、高純度銅(6N、純度99.9999%)に関しては、加工度90%での軟化温度は130℃である。したがって130℃以上で148℃以下の軟化温度で軟質材の導電率が98%IACS以上、100%IACS以上、更に導電率が102%IACS以上である軟質銅を安定して製造できる希薄銅合金材料としての素材とその製造条件を求めることが本発明の課題である。
ここで、酸素濃度1〜2mass ppmの高純度銅(4N)を用い、実験室にて小型連続鋳造機(小型連鋳機)を用いて、溶湯にチタンを数mass ppm添加した溶湯から製造した8mmtのロッドを2.5mmt(加工度90%)にして軟化温度を測ると160〜168℃であり、これ以上低い軟化温度にはならない。また、導電率は、101.7%IACS程度である。よって、酸素濃度を低くして、Tiを添加しても、軟化温度を下げることができず、また高純度銅(6N)の導電率102.8%IACSよりも悪くなることがわかった。
この原因は、溶湯の製造中に不可避i的不純物として、硫黄を数mass ppm以上含み、この硫黄とチタンとでTiS等の硫化物が十分形成されないために、軟化温度が下がらないものと考えられる。
そこで、本発明では、軟化温度を下げることと、導電率を向上させるために、2つの方策を検討し、2つの効果を合わせることで目標を達成した。
(a)素材の酸素濃度を2mass ppmを越える量に増やしてチタンを添加する。これにより、先ず溶銅中ではTiSとチタン酸化物(TiO)やTi−O−S粒子が形成されると考えられる(図1、図3のSEM像と図2、図4の分析結果参照)。なお、図2、図4、図6において、Pt及びPdは観察のための蒸着元素である。図1におけるTiS粒子の粒径が約150nm、図3におけるTiO粒子の粒径が約1000nmである。
(b)次に熱間圧延温度を、通常の銅の製造条件(最初の圧延温度950℃〜最終の圧延温度600℃)よりも低く設定(最初の圧延温度880〜最終の圧延温度550℃)することで、銅中に転位を導入し、Sが析出し易いようにする。これによって転位上へのSの析出又はチタンの酸化物(TiO)を核としてSを析出させ、その一例として溶銅と同様Ti−O−S粒子等を形成させる(図5のSEM像と、図6の分析結果参照)。図5におけるTi−O−S粒子の粒径が約300nmである。図1〜6は、表1の実施例1の上から三段目に示す酸素濃度、硫黄濃度、Ti濃度をもつφ8mmの銅線(ワイヤロッド)の横断面をSEM観察及びEDX分析にて評価したである。観察条件は、加速電圧15keV、エミッション電流10μAとした。
(a)と(b)により、銅中の硫黄の晶出と析出を行い、冷間伸線加工後に軟化温度と導電率を満足する銅ロッドができる。
次に、本発明では、SCR連続鋳造圧延設備で製造条件として(1)〜(4)とするものである。
(1)合金組成
導電率が98%IACS以上の軟質銅材を得る場合、〜12mass ppmの硫黄と、2mass ppmを越え30mass ppm以下の酸素と、4〜55mass ppmのTiを含み、残部が不可避的不純物及び銅(べ一ス素材)からなる希薄銅合金材料でロッド(荒引き材)を製造するものである。2mass ppmを越え30mass ppm以下の酸素を含有していることから、この実施の形態では、いわゆる低酸素銅(LOC)を対象としている。
ここで、導電率が100%IACS以上の軟質銅材を得る場合には、不可避的不純物を含む純銅に2〜12mass ppmの硫黄と、2mass ppmを越え、30mass ppm以下の酸素と4〜37mass ppmのTiを含む希薄銅合金材料をロッドとするのがよい。
さらに、導電率が102%IACS以上の軟質銅材を得る場合、不可避的不純物を含む純銅に2〜12mass ppmの硫黄と、2mass ppmを越え、30mass ppm以下の酸素と、4〜25mass ppmのTiを含む希薄銅合金材料をロッドとするのがよい。
通常、純銅の工業的製造において、電気銅を製造する際に、硫黄が銅中に取り込まれてしまうため、硫黄を3mass ppm以下とするのは難しい。汎用電気銅の硫黄濃度上限は12mass ppmである。
制御する酸素は、上述したように、少ないと軟化温度が下がり難いので2mass ppm以上とする。また酸素が多すぎると、熱間圧延工程で、表面傷が出やすくなるので30mass ppm以下とする。
(2)分散物質
分散粒子のサイズは小さく沢山分布することが望ましい。その理由は、硫黄の析出サイトとして働くためサイズが小さく数が多いことが要求される。
硫黄及びチタンは、TiO、TiO、TiS、Ti−O−Sの形で化合物又は凝集物を形成し、残りのTiとSが固溶体の形で存在している。粒径でTiOが200nm以下、TiOは1000nm以下、TiSは200nm以下、Ti−O−Sは300nm以下で銅合金の結晶粒内に分散させる。結晶粒とは銅の結晶組織のことを意味する。
但し、鋳造時の溶銅の保持時間や冷却状況により、形成される粒子サイズが変わるので鋳造条件の設定も必要である。
(3)連続鋳造圧延条件について
SCR連続鋳造圧延システム(South Continuous Rod System)は、SCR連続鋳造圧延装置の溶解炉内で、べ一ス素材を溶解して溶湯とし、その溶湯に所望の金属を添加して溶解し、この溶湯を用いて荒引き線(例えばφ8mm)を作製し、その荒引き線を、熱間圧延により例えばφ2.6mmに伸線加工するものである。またφ2.6mm以下のサイズ或いは板材、異形材にも同様に加工することができる。更に、丸型線材を角状に或いは異形条に圧延しても有効であるし、鋳造材をコンフォーム押出成形し、異形材を製作することもできる。
SCR連続鋳造圧延により、鋳塊ロッドの加工度が90%(30mm)〜99.8%(5mm)でロッドを造る、一例として、加工度99.3%で8mmtのロッドを造る方法を用いる。
(a)溶解炉内での溶銅温度は、1120℃以上1320℃以下とする。溶銅の温度が高いとブローホールが多くなり、傷が発生するとともに粒子サイズが大きくなる傾向にあるので1320℃以下とする。1120℃以上としたのは、銅が固まりやすく製造が安定しないためであるが、溶銅温度は、出来るだけ低い温度が望ましい。
(b)熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの圧延温度が880℃以下、最終圧延ロールでの圧延温度が550℃以上とするのがよい。
通常の純銅製造条件と異なり、溶銅中での硫黄の晶出と熱間圧延中の硫黄の析出が課題であるので、その駆動力である固溶限をより小さくするためには、溶銅温度と熱間圧延温度を(a)、(b)とするのがよい。
従来の熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの圧延温度が950℃以下、最終圧延ロールでの圧延温度が600℃以上であるが、固溶限をより小さくするためには、本発明では、最初の圧延ロールでの圧延温度を880℃以下、最終圧延ロールでの圧延温度を550℃以上に設定する。
550℃以上にする理由は、この温度以下ではロッドの傷が多いので製品にならないためである。熱間圧延温度は、最初の圧延ロールでの圧延温度が880℃以下、最終圧延ロールでの圧延温度が550℃以上で、できるだけ低い方が望ましい。こうすることで、軟化温度(φ8mm〜φ.6mmに加工後)が限りなく高純度銅(6N、軟化温度130℃)に近くなる。
(c)φ8mmサイズのワイヤロッドの導電率が98%IACS以上、99%IACS以上、更に102%IACS以上であり、冷間伸線加工後の線材(例えばφ2.6mm)の軟化温度が130℃〜148℃である希薄銅合金線又は板状材料を得ることができる。
工業的に使うためには、電気銅から製造した工業的に利用される純度の軟質銅線にて98%IACS以上必要であり、軟化温度はその工業的価値から見て148℃以下である。Tiを添加しない場合の軟化温度は、160〜165℃である。高純度銅(6N)の軟化温度は127〜130℃であったので、得られたデータから限界値を130℃とする。このわずかな違いは、高純度銅(6N)にない不可避的不純物にある。
導電率は、無酸素銅のレベルで101.7%IACS程度であり、高純度銅(6N)で102.8%IACSであるため、出来るだけ高純度銅(6N)に近い導電率であることが望ましい。
(4)鋳造における雰囲気と添加材の条件
銅はシャフト炉で溶解の後、還元状態の樋になるように制御した、すなわち還元ガス(CO)雰囲気下で、希薄合金の構成元素の硫黄濃度、Ti濃度、酸素濃度を制御して鋳造し、圧延するロッドを安定して製造する方法がよい。銅酸化物の混入や粒子サイズが大きいので品質を低下させる。
ここで、添加物としてTiを選択した理由は次の通りである。
(a)Tiは溶融銅の中で硫黄と結合し化合物を造りやすいためである。
(b)Zrなど他の添加金属に比べて加工でき扱いやすい。
(c)Nbなどに比べて安価である。
(d)酸化物を核として析出しやすいからである。
以上により、本発明に係るクラッド用希薄銅合金材料は、生産性が高く、導電率、軟化温度、表面品質に優れた実用的な希薄銅合金材料を得ることが可能となる。
また、本発明は、従来技術のようにCuとAlの金属間化合物の形成を抑制するいわゆるバリア層を形成する必要はないが、本合金に悪影響を及ぼさない限りにおいて、異種金属材料間にめっき層などの中間層を形成することを妨げるものではない。
また、上述の本発明では、SCR連続鋳造圧延法によりロッドを作製し、熱間圧延にて軟質材を作製する例で説明したが、双ロール式連続鋳造圧延法又はプロペルチ式連続鋳造圧延法により製造することができる。
本発明によれば、加工性及び生産性が高く、導電率、軟化温度、表面品質に優れた実用的なクラッド用希薄銅合金材料とそれを用いたクラッド材及びその製造方法を提供できるという優れた効果が発揮されるものである。
又、本発明によれば、異種金属材料同士を接合するにあたって、その界面に生成する金属間化合物を安価な方法で制御することができるものである。
TiS粒子のSEM像を示す図である。 図1の分析結果を示す図である。 TiO粒子のSEM像を示す図である。 図3の分析結果を示す図である。 Ti−O−S粒子のSEM像を示す図である。 図5の分析結果を示す図である。 本発明に係るクラッド材の断面模式図である。 本発明に係るクラッド材の断面模式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を詳述する。
[実施形態1]
本実施形態におけるSCR連続鋳造圧延装置では、還元性の雰囲気で燃焼が行われ、COガス等による還元性雰囲気とした溶解炉内で、べ一ス素材を溶解して溶湯とし、その溶湯に所望の金属を添加して溶解し、この溶湯をタンデッシュに貯留され、ノズルを通して鋳造輪と無端ベルトとの間に形成される鋳型にて荒引き材(直径φ8mm)を作製し、その荒引き材を、冷間伸線加工により直径φ2.6mmに加工し、クラッド用の希薄銅合金材料の製造を行った。また、φ2.6mm以下のサイズ或いは板材、異形材にも同様に加工することができる。更に、荒引き材を角状に或いは異形条に圧延しても有効であるし、鋳造材をコンフォーム押出成形し、異形材を製作することもできる。
表1は、本発明の実施材及び比較材の酸素濃度、S濃度及びTi濃度と半軟化温度、導電率、分散粒子サイズ及びこれらに関する総合評価を示すものである。
Figure 0005565262
先ず、実験材として、表1に示した酸素濃度、硫黄濃度、Ti濃度で、φ8mmtの銅の荒引き材(ロッド):加工度99.3%をそれぞれ作製した。φ8mmの銅線は、SCR連続鋳造圧延により、熱間圧延加工を施したものである。Tiは、シャフト炉で溶解された銅溶湯を還元ガス雰囲気で樋に流し、樋に流した銅溶湯を同じ還元ガス雰囲気の鋳造ポットに導き、この鋳造ポットにて、Tiを添加した後、これをノズルを通して鋳造輪と無端ベルトとの間に形成される鋳型にて鋳塊ロッドを作成した。この鋳塊ロッドを熱間圧延加工してφ8mmの銅線を作成したものである。その実験材を冷間圧延して、φ2.6mmのサイズにおける半軟化温度と導電率を測定し、またφ8mmの銅材における分散粒子サイズを評価した。
酸素濃度は、酸素分析器(レコ(Leco;商標)酸素分析器)で測定した。硫黄、Tiの各濃度はICP発光分光分析器で分析した結果である。
φ2.6mmのサイズにおける半軟化温度の測定は、400℃以下で各温度1時間の保持後、水中急冷し、引張試験を実施しその結果から求めた。室温での引張試験の結果と400℃で1時間のオイルバス熱処理した軟質銅材の引張試験の結果を用いて求め、引張強さの差の半分の値を示す強度に対応する温度を半軟化温度と定義し求めた。
分散粒子のサイズは小さく沢山分布することが望ましい。その理由は、硫黄の析出サイトとして働くためサイズが小さく数が多いことが要求される。すなわち直径500nm以下の分散粒子が90%以上である場合を合格とした。ここに「サイズ」とは化合物のサイズであり、化合物の形状の長径と短径のうちの長径のサイズを意味する。また、「粒子」とは前記TiO、TiO、TiS、Ti−O−Sのことを示す。また、「90%」とは、全体の粒子数に対しての該当粒子数の割合を示すものである。
比較材1は、表1において、実験室でAr雰囲気においてφ8mmの銅材を試作した結果であり、銅溶湯にTiを0〜18mass ppm添加したものである。
このTi添加で、添加量ゼロの半軟化温度215℃に対して、13mass ppmの添加は160℃まで低下して最小となり、15、18mass ppmの添加で高くなっており、要望の軟化温度148℃以下にはならなかった。しかし、工業的に要望がある導電率は98%IACS以上であり満足していたが、総合評価は×であった。
そこで、次にSCR連続鋳造圧延法にて、酸素濃度を7〜8mass ppmに調整してφ8mm銅材(ロッド)の比較材2の試作を行った。
比較材2は、SCR連続鋳造圧延法で試作した中でTi濃度の少ないもの(0、2mass ppm)であり、導電率は102%IACS以上であるが、半軟化温度が164℃、157℃であり、要求の148℃以下を満足しないので、総合評価で、×となった。
実施材1は、酸素濃度と硫黄が、ほぼ一定(7〜8mass ppm、5mass ppm)、Ti濃度の異なる(4〜55mass ppm)試作材の結果である。
このTi濃度4〜55mass ppmの範囲では、軟化温度148℃以下であり、導電率も98%IACS以上、102%IACS以上であり、分散粒子サイズも500nm以下の粒子が90%以上であり良好である。そしてロッドの表面もきれいであり、いずれも製品性能として満足している(総合評価○)。
ここで、導電率100%IACS以上を満たすものは、Ti濃度が4〜37mass ppmのときであり、102%IACS以上を満たすものは、Ti濃度が4〜25mass ppmのときである。Ti濃度が13mass ppmのとき導電率が最大値である102%IACSを示し、この濃度の周辺では、導電率は、僅かに低い値であった。これは、Tiが13mass ppmのときに、銅中の硫黄分を化合物として捕捉することで、高純度銅(6N)に近い導電率を示したためである。
よって、酸素濃度を高くし、Tiを添加することで、半軟化温度と導電率の双方を満足させることができる。
比較材3は、Ti濃度を60mass ppmと高くした試作材である。この比較材3は、導電率は要望を満足しているが、半軟化温度は148℃以上であり、製品性能を満足していない。さらにロッドの表面傷も多い結果であり、製品にすることは難しかった。よって、Tiの添加量は60mass ppm未満がよい。
実施材2は、硫黄濃度を5mass ppmとし、Ti濃度を13〜10mass ppmとし、酸素濃度を変えて、酸素濃度の影響を検討した試作材である。
酸素濃度に関しては、2mass ppmを越え30mass ppm以下まで、大きく濃度が異なる試作材とした。但し、酸素が2mass ppm未満では、生産が難しく安定した製造できないため、総合評価は△とした。また酸素濃度を30mass ppmと高くしても半軟化温度と導電率の双方を満足することがわかった。
比較材4に示すように、酸素が40mass ppmの場合には、ロッド表面の傷が多く、製品にならない状況であった。
よって、酸素濃度が2mass ppmを越え30mass ppm以下の範囲とすることで、半軟化温度、導電率102%IACS以上、分散粒子サイズいずれの特性も満足させることができ、またロッドの表面もきれいであり、いずれも製品性能を満足させることができる。
実施材3は、それぞれ酸素濃度とTi濃度とを比較的同じ近い濃度とし、硫黄濃度を12mass ppmと変えた試作材の例である。この実施材3においては、硫黄が2mass ppmより少ない試作材は、その原料面から実現できなかったが、Tiと硫黄の濃度を制御することで、半軟化温度と導電率の双方を満足させることができる。
比較材5の硫黄濃度が18mass ppmで、Ti濃度が13mass ppmの場合には、半軟化温度が162℃で高く、必要特性を満足できなかった。また、特にロッドの表面品質が悪いので、製品化は難しかった。
以上より、硫黄濃度が2〜12mass ppmの場合には、半軟化温度、導電率102%IACS以上、分散粒子サイズいずれの特性も満足しており、ロッドの表面もきれいですべての製品性能を満足することがわかった。
比較材6は、高純度銅(6N)を用いた検討結果を示したが、半軟化温度127〜130℃であり、導電率も102.8%IACSであり、分散粒子サイズも、500μm以下の粒子はまったく認められなかった。
Figure 0005565262
表2は、製造条件としての、溶融銅の温度及び圧延温度と半軟化温度、導電率、表面品質、分散粒子サイズ及び総合評価との関係を示したものである。
比較材7は、溶銅温度が高めの1330〜1350℃で且つ圧延温度が950℃〜600℃でφ8mmのロッドを試作した結果を示したものである。
この比較材7は、半軟化温度と導電率は満足するものの、分散粒子のサイズに関しては、1000nm程度のものもあり、500nm以上の粒子も10%を超えていた。よってこれは不適なものである。
実施材4は、溶銅温度が1200〜1320℃で且っ圧延温度が低めの880℃〜550℃でφ8mmのロッドを試作した結果を示したものである。この実施材4については、ロッド表面品質、分散粒子サイズも良好で、総合評価は○であった。
比較材8は、溶銅温度が1100℃で且つ圧延温度が低めの880℃〜550℃でφ8mmのロッドを試作した結果を示したものである。この比較材8は、溶銅温度が低いため、ロッドの表面傷が多く製品には適さなかった。これは、溶銅温度が低いため、圧延時に傷が発生しやすいためである。
比較材9は、溶銅温度が1300℃で且つ圧延温度が高めの950℃〜600℃でφ8mmのロッドを試作した結果を示したものである。この比較材9は、熱間圧延温度が高いため、ロッドの表面品質が良いが、分散粒子サイズも大きなものがあり、総合評価は×である。
比較材10は、溶銅温度が1350℃で且つ圧延温度が低めの880℃〜550℃でφ8mmのロッドを試作した結果を示したものである。この比較材10は、溶銅温度が高いため、分散粒子サイズが大きなものがあり、総合評価は×である。
Figure 0005565262
表3は、SCR連続鋳造圧延により、鋳造温度と圧延温度を変化させ、幅200mm×厚さ8mmの板材を作製したときの、製造条件としての、溶融銅の溶解温度及び圧延温度と半軟化温度、導電率、表面品質、分散粒子サイズ及び総合評価との関係を示したものである。半軟化温度及び導電率は、厚さ8mmから0.8mmまで冷間圧延したものを試料として評価した。
比較材11は、溶銅温度が高めの1330〜1350℃で且つ圧延温度が950〜600℃で平板を試作した結果を示したものである。この比較材11は、半軟化温度と導電率は満足するものの、分散粒子のサイズに関しては、1000nm程度のものがあり、500nm以上の粒子が10%を超えていた。よってこの総合評価は×であった。
実施材5は、溶銅温度が1200〜1320℃で且つ圧延温度が低めの880℃〜550℃で、幅20mm×厚さ1.0mmの平板を試作した結果を示したものである。この実施材5については、板材の表面品質、分散粒子サイズも良好で、総合評価は○であった。
比較材12は、溶銅温度が1100℃で且つ圧延温度が低めの880℃〜550℃で幅20mm×厚さ1.0mmの平板を試作した結果を示したものである。この比較材12は、溶銅温度が低いため、板材の表面傷が多く製品には適さなかった。これは、溶銅温度が低いため、圧延時に傷が発生しやすいためである。
比較材13は、溶銅温度が1300℃で且つ圧延温度が高めの950℃〜600℃で幅20mm×厚さ1.0mmの平板を試作した結果を示したものである。この比較材13は、熱間圧延温度が高いため、板材の表面品質が良いが、分散粒子サイズも大きなものがあり、総合評価は×であった。
比較材14は、溶銅温度が1350℃で且つ圧延温度が低めの880℃〜550℃で幅20mm×厚さ1.0mmの平板を試作した結果を示したものである。この比較材14は、溶銅温度が高いため、分散粒子サイズが大きなものがあり、総合評価は×であった。
[実施形態2]
図7は、本発明のクラッド材を示す断面図である。本発明のクラッド材は、アルミ或いはアルミ合金からなる層と、銅層が複合一体化されている。複合一体化の方法としては、冷間圧延法が挙げられる。冷間圧延によって作製したCuとAlクラッド材は、製品に合わせた所定厚さにまで圧延を行い、その後のプレス、曲げ、深絞り加工が可能となるよう130〜190℃で熱処理を行う。
本発明のクラッド材のCu層は、前述の希薄銅合金材料で構成される。また、本発明のクラッド材は、2層構造に限るものでなく、図8に示すような3層以上の構造でも同様の効果が得られる。
更に、本発明のクラッド材は、CuとAlの組み合わせに限るものではなく、Cuとの組み合わせで加熱によって金属間化合物を形成するFeやフェライト系、オーステナイト系ステンレス鋼などの金属、合金材でも同様の効果が得られる。
本発明のクラッド材は、冷間加工による通常のクラッド材の製造において、Cuと異種金属接続及びその後の圧延により硬化した材料を軟化させるために行われる熱処理の温度或いはその加熱時間を従来よりも大幅に低減できる。そのため、Cuと異種金属界面に形成される脆い金属間化合物の成長が抑制され、材料強度を著しく低下させるCu/異種金属界面のクラック発生を抑えることで、クラッド材としてのプレス性、曲げ、絞り加工性を著しく向上できる。
また、本発明は、従来のCuに代わり本発明の希薄銅合金材料を適用することで、本特性を達成するため、第三の高価な材料を加えたり、クラッド積層構造によって複雑になることによる材料や製造コストが上昇することはない。
実施材1の上から3番目の素材を、溶銅温度1320℃で且つ熱間圧延温度が最初の圧延ロール温度880℃〜最終の圧延ロール温度550℃で厚さ8mmの鋳造材を得て、さらにこれを冷間圧延して幅200mm、厚さ0.8mmの銅合金板を得た。この銅合金条と純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、130℃×1hの熱処理を行った。
実施例1と同様の方法で銅合金板を得て、これと純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、190℃×1hの熱処理を行った。
アルミ(厚さ0.8mm)の上下両面を実施例1と同様の方法で得た銅合金条(厚さ0.8mm)ではさみ、純冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとAlとCuクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、190℃×1hの熱処理を行った。
[比較例1]
実施例1と同様の方法で得た銅合金条(厚さ0.8mm)と純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとAlクラッド材を厚さ0.4まで圧延加工した後、120℃×1hの熱処理を行った。
[比較例2]
実施例1と同様の方法で得た銅合金条(厚さ0.8mm)と純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、200℃×1hの熱処理を行った。
[比較例3]
純度99.99%の銅条(厚さ0.8mm)と純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、130℃×1hの熱処理を行った。
[比較例4]
純度99.99%の銅条(厚さ0.8mm)と純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、190℃×1h熱処理を行った。
[比較例5]
純度99.99%の銅条(厚さ0.8mm)と純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、200℃×1hの熱処理を行った。
[従来例1]
純度99.99%の銅条(厚さ0.8mm)の片面にNiめっき(10μm)処理をした後、純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとNiとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、130℃×1hの熱処理を行った。
[従来例2]
純度99.99%の銅条(厚さ0.8mm)の片面にNiめっき(10μm)処理をした後、純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとNiとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、190℃×1hの熱処理を行った。
[従来例3]
純度99.99%の銅条(厚さ0.8mm)の片面にNiめっき(10μm)処理をした後、純アルミ(厚さ0.8mm)を冷間圧延法により複合一体化させた。更にそのCuとNiとAlクラッド材を厚さ0.4mmまで圧延加工した後、200℃×1hの熱処理を行った。
Figure 0005565262
表4は、実施例、比較例及び従来例のそれぞれのクラッド材について、加工性、経済性(材料コスト、製造コスト)を判定し、総合評価を行った結果を示すものである。加工性については、JIS−Z−2247に準じてエリクセン試験を実施し、エリクセン値が10mm以上を合格(○)、7mm以上〜10mm未満を可(△)、7mm未満を不可(×)とした。
表4に示すように、本発明に関わる実施例1〜3は、加工性、経済性ともに優れた特性と評価できた。比較例1は、該当の熱処理では圧延による加工硬化を十分に取り除くことができず材料の伸びが得られなかった。一方、熱処理温度がより高い比較例2は、CuとAl界面での脆い金属間化合物の形成が破断の起点となり、良い特性が得られなかった。比較例3、4も比較例1と同様、該当の熱処理では、加工に必要な伸びが得られておらず、逆に熱処理温度を高くし、加工に必要な伸びを得ようとした比較例5では、比較例2と同様に、CuとAl界面に脆い金属問化合物を形成し、早期の破断に至ることがわかった。
従来例1及び従来例2では、加工性が悪かったが、更に熱処理温度を高くした従来例3では加工性が向上した。これは、本構造ではCuとAlの金属間化合物の生成が抑制されていることによると考えられる。しかし、層構造が複雑な従来例1〜3は、材料コスト及び製造コストが高くなることは明らかである。
以上の結果より、加工性及び経済性に優れたクラッド材は、本発明である実施例1〜3であると評価できた。そして、本検討で実施したCuとAlのクラッド材は、温度130〜190℃、1hの熱処理条件で、優れた加工性を示すことがわかった。
実施例1〜3のクラッド材のCuとAlの組み合わせの他に、Cuとの組み合わせで加熱によって金属間化合物を形成する純鉄、SUS405のフェライト系ステンレス鋼、SUS304のオーステナイト系ステンレス鋼とにおいても実施例1〜3と同様にクラッド材を得ることができ、同様の効果も得られている。
実施例1〜3のCuとAlクラッド材は、特に、軟化温度が低く、表面品質に優れていることから、半導体デバイスの冷却に使用されるヒートシンク、電子デバイス用のケース、電池用ケースなどに適用され、優れた効果が得られている。
1・・・銅層、2・・・Al層、Al合金層、Cuと金属間化合物を形成する金属層又はその合金層。

Claims (8)

  1. 異種金属材料同士を接合してなるクラッド材において、
    前記異種金属材料の一方が、4〜55mass ppmのiと2〜12mass ppmの硫黄と、2mass ppmを越え30mass ppm以下の酸素とを含有し、残部が不可避的不純物及び銅からなる希薄銅合金材料であり、前記異種金属材料の他方が、純Al、純鉄、JIS規格のSUS405及びJIS規格のSUS304のいずれかであることを特徴とするクラッド材。
  2. 請求項1において、前記希薄銅合金材料は、軟化温度が0.8mmの厚さで、130〜148℃であることを特徴とするクラッド材。
  3. 請求項1又は2において、前記硫黄と酸素とTiとは、主に、TiO、TiO 、TiS及びTi−O−Sの形で化合物又は凝集物を形成し、少量の前記硫黄とTiとが前記希薄銅合金材料中に固溶していることを特徴とするクラッド材。
  4. 請求項3において、前記化合物又は凝集物の粒径は、前記TiOが200nm以下、前記TiO が1000nm以下、前記TiSが200nm以下及び前記Ti−O−Sが300nm以下で、前記希薄銅合金材料の結晶粒内に分布し、500nm以下の粒子の数が前記化合物又は凝集物の全体の90%以上であることを特徴とするクラッド材。
  5. 請求項1〜のいずれかにおいて、前記異種金属材料の他方が、前記純Alであることを特徴とするクラッド材。
  6. 4〜55mass ppmのTiと、2〜12mass ppmの硫黄と、2mass ppmを越え30mass ppm以下の酸素とを含有し、残部が不可避的不純物及び銅からなる希薄銅合金材料を、連続鋳造圧延により、1100〜1320℃の鋳造温度で溶湯とし、鋳造材を作製する工程と、該鋳造材を最初の圧延ロールでの圧延温度880℃以下、及び、最終の圧延ロールでの圧延温度550℃以上で熱間圧延後冷間圧延して希薄銅合金板を作製する工程と、前記希薄銅合金板と純Al、純鉄、JIS規格のSUS405及びJIS規格のSUS304のいずれかである金属板とを接合し、異種金属板を作製する工程と、該接合後に熱処理を加える熱処理工程とを備えたことを特徴とするクラッド材の製造方法
  7. 請求項6において、前記熱処理工程における加熱温度が130〜190℃及び加熱時間が0.5〜5時間であることを特徴とするクラッド材の製造方法。
  8. 請求項6又は7において、前記金属板が、前記純Alであることを特徴とするクラッド材の製造方法。
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