JP5564022B2 - 鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、船舶・発電機等の動力伝達部品、または反応容器などに適用される鍛造部品の製造時に鍛造鋼材品中に含有される水素により突然割れが生じる現象(水素割れ)について評価する鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法に関する。
一般に、船舶や発電機用等の動力伝達用部品等に使用される鍛造用鋼として、従来からISO規格の36CrNiMo、DIN規格の32CrMo12、またはISO規格の42CrMoに代表される、いわゆるCr−Mo鋼が使用されている。また、船舶のエンジンや発電機の高性能化に伴い、より軽量で高性能の品質、つまりより高疲労強度を示す製品が求められている。前記した鋼材あるいは製品は、その使用中に過酷な繰り返し応力が付加される。よって、疲労強度を高める改善策として、疲労破壊の起点となる介在物(MnS等)の極力低減された高清浄なCr−Mo鋼を用いることが挙げられる。
しかし、この様なCr−Mo鋼に高清浄度化を進めると、水素割れが発生しやすいといった問題がある。また反応容器などに使用される鍛造用鋼として、アメリカ機械工学会規格のASME508,Cl3(Mn−Mo−Ni鋼)等が適用されているが、水素割れが発生しやすいといった問題がある。
そこで、これらの大型の鍛造鋼材品の水素割れを抑制すべく、製錬技術改善、鋼の材質改善、および水素性欠陥防止のための熱扱いなど、多方面から技術的な検討が行われている。精錬技術の改善として、例えば、溶鋼の精錬時における水素量の上限値を規制し、それを超える時には脱水素処理することが行われている。また、鋼の材質の改善として、鋼中に水素トラップサイトとなるような物質を存在させるなどが知られている。さらに、水素性欠陥防止のための熱扱いとして、例えば、非特許文献1に記載の様に鍛錬段階での高温長時間加熱により鋼中水素を十分に拡散させ局部的な水素濃化の抑制が行われている。現在これらの技術を適用することにより、耐水素割れ性のより高いCr−Mo鋼からなる大型の鍛造加工品(鍛鋼品)が製造されている。
前記した様に、大型な鍛造鋼材品の耐水素割れ性の改善技術は、製錬、材質改善の観点から進んでいる。またこれら方法を用いて製造された鋼の水素割れ性を判定する評価技術は、例えば、特許文献1等に提案されている方法によって比較的精度良く判断することができる。また、高強度鋼の水素割れ性(水素脆化)の判定方法として、例えば非特許文献2等にその手法が紹介されている。
特開2010−54494号公報
水素性欠陥防止のための熱扱い法データ集 日本鋳鍛鋼会 鍛鋼研究部会 平成8年2月(発行) pp25‐28 N. Suzuki et al. : WIRE JOURNAL INTERNATIONAL, Vol.19, (1986),pp.36‐47
しかし、前記した従来のそれぞれの判定方法では、以下に示すような問題点が存在していた。
特許文献1に記載の方法では、鋼材の耐水素割れ性に対する優劣の評価にも数十時間以上と多大な時間を要してしまうこと、また、大型の鍛造鋼材品の製造時に行う熱扱いに対して生成する組織や、それらに対しての水素分配を考慮することができない。
非特許文献1に記載の方法では、鍛造・焼鈍工程での水素性欠陥防止のための熱扱い法が紹介されているが、鋼材の水素割れ性感受性に応じて種々の熱扱い例が紹介されているだけであり、どの熱扱い法が水素割れ性の適切な方法か判断ができない。
非特許文献2に記載の方法では、鋼材を酸に浸漬して水素チャージするため、任意の拡散性水素量を鋼中に侵入させることが難しいこと、及び、試験を大気中で実施するため、チャージされた拡散性水素が時間の経過と共に減少し、試験時に希望する拡散性水素量を確保することが難しい。
つまり、従来技術で示されている手法は、いずれも最終製品に対して陰極チャージや強酸に浸漬する等の方法により外部から強制的に鋼中に水素を導入して鋼材を脆化させ、破断までに要する時間や破断強度で判断しているため、実際の製造過程における鍛造鋼材品中に存在する水素が製造中の熱履歴に応じて生じる組織形成、およびそれに伴って生じる各相や粒界への分配、介在物周りへの水素集積を再現できていない。また従来技術の評価では数十時間以上と多大な時間を要してしまう。
本発明は、前記した問題点に鑑み創案されたものであり、鍛造鋼材品中での降温過程における鋼組織への水素分配、および介在物等への水素集積によって生じると考えられる水素割れを簡便、迅速、高感度に評価する鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の発明者等は、実際の製造過程における鍛造鋼材品中に存在する水素が製造中の熱履歴に応じて生じる組織形成、およびそれに伴って生じる各相や粒界への配分、介在物周りへの水素集積を再現できないこと、また評価に数十時間以上と多大な時間を要すること、低歪み速度試験機等の特別な試験機が必要といった問題に対して、鍛造鋼材品の製造工程で行われる熱扱いに応じた鋼材の水素割れ性の評価方法を確立する必要があることに着目し、例えば、大型な鍛造鋼材品の製造時に生じる水素割れについて、熱扱いとそれに伴うフェライト、パーライト、ベイナイトなどの組織の形成、形成した組織への水素分配、および介在物等への水素集積の観点から、水素割れ性を精度良く迅速かつ簡便に評価する方法を確立すべく鋭意研究を行った。
具体的には、まず従来法である最終製品から採取した試験片に対して一定、もしくは一定周期の変動応力を負荷しながら陰極チャージや強酸浸漬等の方法により外部から水素を侵入させる評価試験では、上述の通り形成する各相や相界面、介在物周りに水素が飽和状態で分配されない、といった問題を解消すべく研究を行った。その結果、大型な鍛造鋼材品の製造時において熱扱いにより造塊時に含有されている鋼中の水素が、その後の降温過程において生成するフェライト、パーライト、ベイナイトなどの各組織やこれらの相界面、および生成する介在物周りに飽和状態で水素を分配させ、その水素分配状態で破断特性の評価を行えば良いことを見出した。
したがって、前記の知見に鑑み本発明に係る方法は、以下のような手順で行っている。すなわち、鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法であって、鍛造用鋼材の造塊を鍛造して鍛造鋼材の供試材を形成する工程と、前記供試材を、水素濃度30%以上100%以下の水素濃度範囲、300℃以上1500℃未満の温度雰囲気下で熱処理することにより鋼中に水素を導入する工程と、前記水素を導入した供試材の割れ特性について評価試験を行い評価する工程を含む手順とした。また、鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法において、前記鋼中に水素を導入する工程は、前記鍛造用鋼材が予め設定された複合組織の前記鍛造鋼材となるように、300℃以上1500℃未満の前記熱処理の範囲内において、任意の加熱速度及び冷却速度で行うようにしてもよい。
なお、鍛造用鋼材の代表的な組織形態であるベイナイト単相組織の鍛造材である場合には、前記鋼中に水素を導入する工程として、前記鍛造用鋼材が予め設定されたベイナイト単相組織の前記鍛造材となるように、Ac1以上1500℃未満、水素濃度30%以上100%以下の雰囲気で保持した後、5℃/min以上の冷却速度でBs点以下まで冷却し、そのBs点以下の温度で保持するようにしている。
かかる手順により、鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法では、任意の条件により鍛造して供試材を形成し、水素を導入する工程により、所定の温度範囲で、所定の水素濃度雰囲気下で熱処理することで鋼中に水素を導入しているので、高温となる所定の温度範囲では鋼中での水素固溶度や水素拡散係数が増加して、従来法の常温での水素導入よりも短時間で均一に多量の水素を鋼中に導入することができる。次いで予め設定した実機での熱扱いを考慮した任意の加熱速度及び冷却速度となる降温過程を取ることにより、最終製品の代表的な組織形態であるフェライト、パーライト、ベイナイトなどの各相を形成させる。そして、鋼温度の低下により水素の固溶度が低下するため、生成した各相や相界面、介在物周りでは飽和量の水素が分配されることになる。以上のことにより、水素導入工程で導入する水素を擬似的に大型な鍛造鋼材品の本来の水素割れメカニズムである「内部起因型水素」とすることができる。なお、鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法では、場合によっては各相の生成に伴い固溶し切れない水素により鋼材の割れ、すなわち水素割れが生じることを確認することができる。
本発明に係る鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法は、以下に示すような優れた効果を奏するものである。
鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法は、鍛造した鍛造鋼材を所定範囲の水素濃度で、所定温度範囲の雰囲気下で熱処理することで鋼中に水素を導入して、鍛造時から温度が下がる降温過程で形成される組織や相界面あるいは生成する介在物周りに飽和状態で水素を分配させ、その水素分配状態で評価試験により破断特性の評価を行っている。そのため、鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法では、導入した水素を擬似的に製品本来の水素割れメカニズムである内部起因型水素とすることができ、供試材の水素割れ性を簡便、迅速、高感度に実質的な製品状態と同等に評価することが可能となる。また、この方法では、高温で水素を導入することにより水素の導入に要する時間を短縮し、評価試験を迅速に行うことができる。
鍛造鋼材の水素割れ性評価方法は、水素導入工程において鍛造時から所定範囲内において温度を下げる範囲や速度を変えることで、例えば、大型な鍛造鋼材品での一般的な組織形態であるフェライト、パーライト、ベイナイト、あるいは、残留γなどの複合組織からなる鍛造鋼材を対象とすることが可能であるので、完成品と同等の品質において水素割れ性評価を行うことが可能となる。
本発明に係る鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法の各工程を模式的に示す模式図である。 (a)は本発明の水素の導入状態を模式的に示し、(b)は従来技術の水素の導入状態を模式的に示し、本発明に係る鍛造鋼材の水素の導入および水素の分配状態を従来技術の状態と並べて比較する模式図である。
以下、本発明に係る鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法について図面を参照して説明する。
図1に示すように、鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法Sは、例えば、船舶、発電機用等の動力伝達用部品、反応容器を含む鍛造鋼材部品に用いられる鍛造鋼材の耐水素割れ性についての評価方法である。この鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法Sは、製銑工程S1と、製鋼工程S2と、鍛造・供試材形成工程S3と、水素導入工程S4と、評価工程S5と、を行う手順により構成されている。
製銑工程S1は、電気炉で銑鉄を製造する工程である。この製銑工程S1は、鉄スクラプ等から銑鉄を溶銑として取り出す一般的な工程により行われる。
製鋼工程S2は、製銑工程S1により製造された銑鉄から鋼材を製造する工程である。この製鋼工程S2は、例えば、溶銑を転炉等により溶銑予備処理を行い、その後、二次精錬を行って鋼材を製造する工程である。この製鋼工程S2により鍛造鋼材を鍛造することができる鍛造用鋼の形状とする。
鍛造・供試材形成工程S3は、鍛造用鋼を鍛造して鍛造鋼材とし評価工程S5で評価するときの供試材の形状に形成する工程である。この鍛造・供試材形成工程S3では、鍛造した形状が供試材の形状であってもよく、鍛造した鍛造鋼材から切り出して供試材としても構わない。なお、供試材の形状は、評価工程S5における評価実験に対応して形成されることが望ましい。例えば、評価工程S5において引張試験を行うのであれば、供試材は、引張試験に対応した引張試験片の形状に形成される。また、試験片となる供試材は、試験前に砥粒番号#600以上の研削材を用いて表面仕上げを行い、焼鈍時に不要な反応物の生成を避けるためにアセトンやエタノール等で脱脂を行うことが好ましい。この様に供試材は、表面仕上げ(表面仕上げ工程)を行うことによって、表面状態の影響(例えば試験片作製時の切り出しキズ、不要な表面生成物による鋼材中への水素侵入の抑制)を低減できる。
なお、前記した製銑工程S1、製鋼工程S2及び鍛造・供試材形成工程S3において、水素割れ性評価の対象である鋼材の成分、強度および製法ならびに供試材の形状、寸法は、特に限定されるものではない。例えば、一般的な船舶や発電機用等の動力伝達用部品に使用される鍛造用鋼、または反応容器等に使用される鍛造用鋼の製法として提案されている各種製法にて製造すれば良い。また、例えば、動力伝達部品ではISO規格の36CrNiMo、圧力容器鋼ではJIS G 3120で規格化されているSQV2A、アメリカ機械工学会規格のASME508,Cl3等を用い、これらを真空誘導熔解や電極アーク加熱機能を備える溶鋼処理設備によって溶製し、凝固した鋼塊を脱型した後、約1200℃まで加熱を施し鍛造材とし、その後鍛造材から耐水素割れ性の評価用の供試材である試験片を適宜採取すれば良い。
評価に供する供試材(試験片)の形状と寸法も、本発明では特に限定されないが、破断特性から耐水素割れ性を評価するため、例えば、試験片形状としては引張試験片形状とする。なお従来法のような常温での水素導入とは異なり、後記するように本発明では高温水素ガス雰囲気で鋼中に平衡量に達するまで水素を導入し、その後の降温過程で鋼材温度の低下に伴い固溶仕切れない水素が鋼中に放出される。このことから、供試材の鋼中の各組織、およびこれら相界面、介在物周りに水素が飽和量で分布しているので、従来法で使用するJIS Z 2201(4号試験片等)に規定されているようなダンベル状の試験片よりも、丸棒の中央部にVまたはU字状の切り欠きとなる溝を周方向に有する様な形状の引張試験片とすることがさらに好ましい。
図1に示すように、水素導入工程S4は、試験片として形成した供試材に水素を導入する工程である。この水素導入工程S4は、水素濃度30%以上100%以下で、導入温度として300℃以上1500℃未満の雰囲気下で熱処理することにより鋼中に水素を導入している。水素導入工程S4では、水素濃度を設定する場合に、窒素あるいはアルゴン等の未反応ガスを併せて用い、その水素濃度を維持できる、例えば、熱処理炉を使用することにより行うことができる。この水素導入工程S4において、300℃以上1500℃未満の温度範囲での熱扱いとすることにより、大型な鍛造鋼材品の鍛錬段階で適用される水素性欠陥防止のための熱扱いを考慮することができる。
なお、水素導入工程S4において、300℃未満では水素ガス雰囲気下での鋼中への水素導入が促進されず、また水素量のバラツキが大きいこと、1500℃以上では鋼が溶融してしまい後の評価が実施できなくなるおそれがある。そして、好ましくは、実際の大型な鍛造鋼材品の鍛錬で適用される温度範囲であり、水素吸蔵量の多いオーステナイト組織が形成し始めるAc1以上1500℃未満とする。さらに好ましくは、水素吸蔵量の多いオーステナイト組織単相となるAc3以上1200℃未満とする。水素導入工程S4では、導入温度と併せて、保持温度においても300℃以上1500℃未満の範囲内としている。この水素導入工程S4で導入から保持までの熱処理における時間は、鍛鋼材のサイズなどに応じて適宜設定すればよいが、例えば、1時間〜24時間であることが望ましい。
また、水素導入工程S4において、前記の熱扱いを行う水素ガス雰囲気については、ガス中の水素濃度を30%以上100%以下とすることにより、鋼中への水素導入を効率よく行うことができる。ここで、水素導入工程S4において、水素濃度が30%未満であると、鋼中へ十分な水素を導入することができないおそれがある。したがって、水素導入工程S4により効率的に鋼中に水素を導入するために、ガス中の水素濃度を50%以上とするのが好ましい。なお、水素導入工程S4において、安全上の観点および試験片表面に不要なスケールの付着を防止する観点から、雰囲気の残部は未反応ガス(NやArなど)とするのが好ましい。
また、水素導入工程S4において、前記した温度領域、及び、水素濃度雰囲気の範囲中で鋼材を300℃以上1500℃未満の範囲において任意の保持温度で保持し、あるいは、300℃以上1500℃未満の範囲において、任意の加熱速度で加熱、任意の冷却速度で冷却することにより、フェライト、パーライトからなる組織、ベイナイトや残留オーステナイトを含む組織、及び、高強度鋼で代表的なマルテンサイト組織とすることができる。なお、大型な鍛造鋼材品に対する水素割れ性を評価するにあたっては、好ましくはフェライト、パーライトやベイナイト、一部残留オーステナイトを有する組織になるように供試材の保持温度及び加熱・冷却速度を調整する。
例えば、オーステナイト単相(Ac3点)以上に数℃/分程度で加熱後、パーライト変態開始温度(Ps)を通らないように急冷すれば、マルテンサイト組織とすることができる。それに対してパーライト変態開始温度(Ps)を通る様に、冷却速度を数℃/分程度で鋼塊を冷却すれば、フェライト−パーライト混合組織を得ることができる。また冷却の途中でパーライト変態開始温度を避けながらベイナイト変態開始温度(Bs)で一定時間以上保持すれば、ベイナイト組織を得ることができる。一例としては、5℃/min以上(例えば5〜20℃/min)の冷却速度でBs点以下まで冷却しその冷却した温度で一定時間(例えば1時間)保持することで、ベイナイト組織を得る。
また、前記した水素雰囲気で焼鈍(設定温度範囲の温度)を行うには、水素、窒素、アルゴンなど各種ガスで雰囲気調整が可能な熱処理炉を用いればよい。したがって、予め設定された複合材料の組織となるように、水素導入工程S4において加熱速度、冷却速度等を設定することで、本製品と同じ素材の組織で後記する評価を行うことができる。
なお、後記する評価工程S5において例えば、引張試験を行う場合であれば、引張試験片を高温水素ガス雰囲気で焼鈍することにより鋼中に水素を導入した水素導入工程S4の終了後、試験片を冷却するため水中で室温まで急冷し、その後、試験片の腐食を避けるため速やかに水中から試験片を引き上げ乾燥させる。なお乾燥の際、鋼中に導入した水素の逃散を避けるため、乾燥時間は出来る限り短くし、さらに試験片の温度が上がらない様に冷風乾燥するのが好ましい。
この様に、水素導入工程S4までを行うことで、高温水素ガス雰囲気で鋼中に水素を導入することにより、図2(a)に示すように、高温では鋼中での水素固溶度や水素拡散係数が増加するため、従来法の常温での水素導入よりも短時間で均一に多量の水素を鋼中に導入することができる(図2(a)左図参照)。次いで、水素導入工程S4において、実機での熱扱いを考慮した降温過程を取ることにより、最終製品の代表的な組織形態であるフェライト、パーライト、ベイナイトなどの各相を形成させる。そして、水素導入工程S4において、鋼温度の低下により水素の固溶度が低下するため、生成した各相や相界面、介在物周りでは飽和量の水素が分配されることになる(図2(a)右図参照)。図2(a)(b)において、右図の黒色部分と白色部分は混合組織の状態を模式的に示している。
なお、従来法の常温での水素導入方法では、図2(b)に示すように、水素が常温で導入されるので時間がかかる上に(図2(b)左図参照)、組織に対して不均一な導入状態(図2(b)の右図参照)となってしまう。以上のことにより、水素導入工程S4では、導入した水素を擬似的に大型な鍛造鋼材品の本来の水素割れメカニズムである「内部起因型水素」とすることができる。したがって、製品の耐水素割れ性評価を本来の製品と同等に行うことができる。また場合によっては各相の生成に伴い固溶し切れない水素により鋼材の割れ、すなわち水素割れが生じることの評価を行うこともできる。
評価工程S5は、水素導入工程S4で供試材に水素を導入したものを引張試験、曲げ試験等の評価試験をそれぞれの試験機を使用して行い評価する工程である。この評価工程S5は、室温になった供試材を例えば引張試験により破断特性の評価を行う場合、水素導入工程S4で水素を導入した供試材について、一般的な試験機において一般的な形状大きさの供試材である引張試験片を用いて引張試験を行えば良い。なお、引張速度については鋼中に含有する水素の逃散を防止するため、0.1mm/min以上とする。評価時間の観点からは0.5mm/min以上とするのが好ましい。また、引張速度の上限については特に規定しないが、一般的な引張試験と同等である1mm/min程度とすればよい。なお、評価工程S5では、従来法で使用するような特別な試験装置(低歪み速度引張試験機や疲労試験機)を使用する必要はない。
評価工程S5において、鋼中水素量の評価については、所定の水素ガス雰囲気で任意の熱扱いを行った後に試験片を取り出し、評価を行えば良い。水素量の定量方法については、鋼材を溶融させることにより鋼材中に含有される水素量を測定する方法を取ってもよいし、水素脆化に影響を及ぼすと言われる拡散性水素(室温付近で結晶格子内を比較的自由に移動できる水素)を昇温脱離分析などで分析してもよい。
以上説明したように、鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法Sでは、鍛造・供試材形成工程S3、水素導入工程S4、評価工程S5を行うことで、例えば大型な鍛造鋼材品の製造に用いる鍛造用鋼等の熱扱いと耐水素割れ性の関係を、精度良く迅速かつ簡便に評価することができる。また、水素導入工程S4は、例えば、供試材を炉中に入れて加熱する導入過程、加熱した供試材を、炉温度を下げて降温させる降温過程、降温の所定温度の状態で保持する保持過程までをいう。その後、供試材を溶媒中につけて冷却する溶媒中冷却過程については評価試験を行うまでに鋼中から水素が発散しないように行う過程であり、組織の形成に影響を及ぼすものではないものとしている。さらに、水素導入工程S4は、導入過程から保持過程までを複数繰り架す過程をとる場合であることや、導入過程から保持過程まで本発明となる所定範囲内の同じ温度で行い、その後、水焼入れにより冷却することであっても構わない。
以下、本発明における一実施例を説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学成分を含有した150kgの鍛造用鋼を真空炉でスラグ塩基度を3.0に調整して溶製し、鋳造してインゴットを得た。各インゴットを鍛造して鍛造鋼材とし冷却後に供試材を得た。なお、供試材のそれぞれの鋼種A〜Dの耐水素割れ性については、経験的にA→D→B→Cの順で優れていることが分かっている。
Figure 0005564022
次いで鋼種A〜Dの各鋼から丸棒型、長さ100mm、中心部にKt=3となる切り欠きを設けた試験片(供試材)を作製し表2に記載の水素導入温度および保持温度で1時間保持する熱扱いを行った(実験No.1〜10)。なお、実験No.5については850℃で水素導入後、すぐに水焼き入れを行った。つまり、実験No.5は導入温度と保持温度が同じ温度になるように温度条件が設定された。実験No.1〜4、および実験No.6、7についてはフェライト−パーライト混合組織となる熱処理条件であり、No.5はマルテンサイト単相組織となる熱処理条件である。
なお、所定の熱扱いとなる水素導入工程S4を行った後は試験片に侵入した鋼中水素の逃散防止のため、破断特性の評価まで液体窒素中にて保管した。次いで破断特性の評価は試験片を液体窒素から取り出し、エタノールにて試験片温度を常温まで戻した後、引張速度1mm/minにて引張試験を行なった。
また、破断強度の比較は100%窒素雰囲気下で同様の熱処理を行った試験片との比(本試験での値/窒素雰囲気下での値)とした(破断強度比=1は脆化しない意味で、数値が下がるほど脆化、すなわち水素割れしやすいことを示している)。これらの評価に要した時間は水素雰囲気下での焼鈍を含めても合計8時間未満であった。
参考までに、比較のため従来法(特開2010‐54494号)により、表2において実験No.11〜13について、従来法の記載の方法で評価した。実験No.11およびNo.12は、実験No.4と同様の熱処理を100%窒素雰囲気下で行い、実験No.4と同じ材料を用いた。実験No.13については、熱処理時の鋼中への水素侵入の防止および実験No.5と同等の鋼組織を得るために、鋼材を100%窒素中で850℃で1時間保持後、すぐに水焼き入れを行った。なお、実験No.11〜13は、いずれも1M(mol/l)の硫酸と、0.01M(mol/l)のKSCN(チオシアン酸のカリウム塩)の酸性溶液中に、試験片を陰極として用い電流密度を0.05mA/mmで水素をチャージ(水素導入)する陰極チャージにより行った。そして、陰極チャージした試験片をSSRTで破断強度比、あるいは定荷重試験で試験片が割れるまでの時間を求めた。これらの結果を合わせて、鋼材の水素割れ性の評価が行えたものを○、評価が行えなかったもの、または評価に長時間(50時間以上)要したものを×として表2に示す。
なお、表2において、SSRTとは、低歪み速度で応力を負荷して試験片(高強度鋼)を強制破断させ、該高強度鋼の遅れ破壊を迅速に評価する(SlowStrain Rate Technique)法(低歪み速度引張試験法)を示す。また、表2中における定荷重とは、定荷重試験を示し、てこ式定荷重試験機を用い、おもりとてこの原理で試験片の細径部に、狙い付加応力(200〜400MPa)が付与されるように調整して行った。そして、この定荷重試験では、試験片に割れが生じるまでの時間を求めた。
Figure 0005564022
実験No.1〜7については適切な雰囲気温度条件、水素濃度で試験を行ったため、適切に評価を行うことができた。それに対して実験No.8は雰囲気中の水素濃度が低すぎたため鋼中に水素が十分侵入せず、適切な評価が行えなかった。実験No.9は雰囲気温度が高すぎたために試験片が溶解してしまい評価が行えなかった。実験No.10は雰囲気温度が低すぎたため鋼中に水素が十分侵入せず、適切な評価が行えなかった。
実験No.11〜13は従来技術を用いた評価である。実験No.11〜No.13は、いずれも試験に長時間(数十時間以上)を要し、迅速な評価が行えなかったり、結果の順列の逆転が生じたりするなどの問題が生じた。実験No.13については、窒素を導入するときの熱処理により、水素割れ感受性の高い焼入れのままマルテンサイト組織、つまり、組織形態が水素割れ感受性の高い組織となっていたため、陰極チャージ定荷重振幅による水素導入時点で鋼中に多量の水素が導入されることで試験片が破断してしまい、評価を行えなかった。
次に、表3で示す成分について同様の実験を行い、表4で示す試験結果を得た。
すなわち、母材組織がベイナイトである鍛造用鋼材について、前記したように所定の条件下において一実施例を説明する。
この実施例では、表3に示す化学成分を含有した150kgの鍛造用鋼を真空炉でスラグ塩基度を3.0に調整して溶製し、鋳造してインゴットを得た。各インゴットを鍛造して鍛造鋼材とし冷却後に供試材を得た。なお、供試材のそれぞれの鋼種B,E,Fの耐水素割れ性については、経験的にB→F→Eの順で優れていることが分かっている。
Figure 0005564022
次いで鋼種B,E,Fの各鋼から丸棒型、長さ100mm、中心部にKt=3となる切り欠きを設けた試験片(供試材)を作製し表4に記載の水素導入温度および冷却速度でBs点以下まで冷却、当該冷却した温度以下である保持温度で1時間保持する熱扱いを行った(実験No.14,15)。実験No.14,15についてはベイナイト単相となる熱処理条件である。
なお、所定の熱扱いとなる水素導入工程S4を行った後は試験片に侵入した鋼中水素の逃散防止のため、破断特性の評価まで液体窒素中にて保管した。次いで破断特性の評価は試験片を液体窒素から取り出し、エタノールにて試験片温度を常温まで戻した後、引張速度1mm/minにて引張試験を行なった。
また、破断強度の比較は100%窒素雰囲気下で同様の熱処理を行った試験片との比(本試験での値/窒素雰囲気下での値)とした(破断強度比=1は脆化しない意味で、数値が下がるほど脆化、すなわち水素割れしやすいことを示している)。これらの評価に要した時間は水素雰囲気下での焼鈍を含めても合計8時間未満であった。
参考までに、比較のため従来法(特開2010‐54494)により、表4において実験No.16,17について、従来法の記載の方法で評価した。実験No.16、17については実験No.14と同様の熱処理を100%窒素雰囲気下で行い、実験No.14と同じ材料を用いた。なお、実験No.16,17は、いずれも1M(mol/l)の硫酸と、0.01M(mol/l)のKSCN(チオシアン酸のカリウム塩)の酸性溶液中に、試験片を陰極として用い電流密度を0.05mA/mmで水素をチャージする陰極チャージにより行った。そして、陰極チャージした試験片をSSRTで破断強度比、あるいは定荷重試験で試験片が割れるまでの時間を求めた。これらの結果を合わせて、鋼材の水素割れ性の評価が行えたものを○、評価が行えなかったもの、または評価に長時間(50時間以上)要したものを×として表4に示す。
Figure 0005564022
実験No.14,15については適切な雰囲気温度条件、冷却速度、水素濃度で試験を行ったため、適切に評価を行うことができた。
実験No.16,17は従来技術を用いた評価である。これらはいずれも試験に長時間(数十時間以上)を要し、迅速な評価が行えなかったり、結果の順列の逆転が生じたりするなどの問題が生じた。
以上説明したように、本発明を適用することにより、鍛造用鋼等の熱扱いと耐水素割れ性の関係を、精度良く迅速かつ簡便に評価することができる。したがって、本発明は、例えば船舶、発電機用等の動力伝達用部品、反応容器などの大型(例えば質量10t以上)の鍛造鋼材部品に用いられる鍛造鋼材の評価試験に特に好適である。
S 鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法
S1 製銑工程
S2 製鋼工程
S3 鍛造・供試材形成工程(鍛造鋼材の供試材を形成する工程)
S4 水素導入工程(鋼中に水素を導入する工程)
S5 評価工程(評価試験を行い評価する工程)

Claims (3)

  1. 船舶、発電機用等の動力伝達用部品、反応容器を含む鍛造鋼材部品に用いられる鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法であって、
    鍛造用鋼材の造塊を鍛造して鍛造鋼材の供試材を形成する工程と、
    前記供試材を、水素濃度30%以上100%以下の水素濃度範囲、300℃以上1500℃未満の温度雰囲気下で熱処理することにより鋼中に水素を導入する工程と、
    前記水素を導入した供試材の割れ特性について評価試験を行い評価する工程を含むことを特徴とする鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法。
  2. 前記鋼中に水素を導入する工程は、前記鍛造用鋼材が予め設定された複合組織の前記鍛造鋼材となるように、300℃以上1500℃未満の前記熱処理の範囲内において、任意の加熱速度及び冷却速度で行うことを特徴とする請求項1に記載の鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法。
  3. 前記鋼中に水素を導入する工程は、前記鍛造用鋼材が予め設定されたベイナイト単相組織の前記鍛造材となるように、Ac1以上1500℃未満、水素濃度30%以上100%以下の雰囲気で保持した後、5℃/min以上の冷却速度でBs点以下まで冷却し、そのBs点以下の温度で保持することを特徴とする請求項1に記載の鍛造鋼材の耐水素割れ性評価方法。
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