JP5557121B2 - マグネシウム合金 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウムを主成分とするマクネシウム合金に関する。
マグネシウム合金は、高強度のものが近年開発され、アルミニウム合金に変わる新素材として、自動車、航空機などの構成材料への応用が注目されている。
しかし、そのような工業用材料として使用するためには、マグネシウム合金には加工性が悪いという問題があり、この問題を改善するために開発が勢力的に行われているが、未だ十分な解決は得られていない。
たとえば、延性を向上させるための方策として押出加工材とすることが検討されてもいるが、この場合、圧縮強度を向上させるのが難しく、また、圧縮降伏応力と引張降伏応力の比である変形異方性比が強くなり、軽量構造材料としての利用が困難となるという問題がある。
一方、本出願人は、下記特許文献1において、結晶構造を制御することによって、高強度でありながら十分な加工性を有するマグネシウム合金が提供可能であることを明らかにしたが、実用的にはさらなる強度および延性の向上が望まれている。
WO2009/044829A1
本発明は、上記のとおりの実情に鑑み、従来では不可能とされていた強度および延性を実現したマグネシウム合金を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明のマグネシウム合金は、化学組成がMg−Amass%Zn−Bmass%Z(Mg:マグネシウム、Zn:亜鉛、Z:他の金属元素)で表され、不可避的不純物を含有するマグネシウム合金であって、6≦A<10のとき、Zは、Al、Zr、Ca、Sn、Li、Agまたは希土類元素のうちのいずれか一種であり、0<B<10であり、0<A<6のとき、Zは、Alであり、6≦B<10であり、溝ロール圧延により断面減少率が90%以上である加工ひずみが導入され、方位差角が15度以上の粒界である大傾角粒界を有し、この大傾角粒界に囲まれた結晶粒の内部が亜結晶粒から形成され、亜結晶粒の内部に、平均粒径が10nm以上1μm以下の微細な粒子が分散していることを特徴としている。
本発明のマグネシウム合金においては、結晶粒の平均粒径が5μm以下で、亜結晶粒の平均粒径が1.5μm以下であることが好ましい。
また、本発明のマグネシウム合金においては、粒径が5μm以下の結晶粒が、全結晶粒の70%以上を占めることが好ましい。
また、本発明のマグネシウム合金においては、微細な粒子の亜結晶粒における密度が15%以下(ただし、0%を含まない)であることが好ましい。
本発明のマグネシウム合金によれば、従来では不可能とされていた強度および延性を実現することができる。
実施例1のマグネシウム合金の透過型電子顕微鏡による微細組織観察写真である。 マグネシウム合金の室温引張試験により得られた公称応力−公称ひずみ曲線を示すグラフである。 実施例2のマグネシウム合金の透過型電子顕微鏡による微細組織観察写真である。 実施例3のマグネシウム合金の透過型電子顕微鏡による微細組織観察写真である。 実施例6のマグネシウム合金のSEM/EBSDによる微細組織観察写真である。 比較例4のマグネシウム合金の透過型電子顕微鏡による微細組織観察写真である。 マグネシウム合金の作製中の外観写真である。 実施例8のマグネシウム合金の透過型電子顕微鏡による微細組織観察写真である。 実施例8のマグネシウム合金のSEM/EBSDによる微細組織観察写真である。
本発明のマグネシウム合金の化学組成は、これまでの一般的なマグネシウム合金と同様に、マグネシウムを主成分とし、亜鉛やアルミニウムなどの金属元素が1種または2種以上添加されたものである。たとえば、亜鉛との二元系をはじめ、亜鉛とその他の金属元素との三元系や多元系などが例示される。化学組成をMg−Amass%Zn−Bmass%Z(Mg:マグネシウム、Zn:亜鉛、Z:他の金属元素)と表す場合、0<A<10、0<B<10とするのが好ましい。Znおよびその他の元素を10mass%以上添加すると、後述する微細な粒子の亜結晶粒における密度が15%を超えることになり、マグネシウム合金の作製が難しくなったり、延性が低下する要因となったりしやすい。上記化学組成において、Zには、Al、Zr、Ca、Sn、Li、Agなどの金属元素の他、Y、Ho、Gd、Tb、Dy、Erなどの希土類元素なども例示される。
一方、本発明のマグネシウム合金は、その結晶構造に特に特徴を有している。その結晶構造は、
1) 大傾角粒界を有する、
2) 大傾角粒界に囲まれた結晶粒、すなわち、大傾角粒の内部が亜結晶粒である、
3) 亜結晶粒の内部に、準結晶粒子や第二相析出粒子などの微細な粒子が分散している、
ことを基本としている。
「大傾角粒界」は、方位差角が15度以上の粒界と定義される。このような大傾角粒界は、SEM/EBSD(Scanning Electron Microscopy:走査型電子顕微鏡/Electron Back-Scattered Diffraction:電子線後方散乱回折)による結晶方位マッピングや透過型電子顕微鏡による方位差計測などによって確認される。
この大傾角粒界に囲まれた結晶粒の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは、3μm以下である。また、粒径が5μm以下の結晶粒が、全結晶粒の70%以上を占めることが好ましい。粒径が5μm以下の結晶粒が、全結晶粒の70%以上を占めると、塑性変形時に双晶が形成しにくくなり、圧縮応力が良好となる。このため、等方変形能の両立がより可能となる。このような結晶粒は、マグネシウム母相から形成され、マグネシウム母相は、具体的には、マグネシウムと、マグネシウムに固溶する原子から構成されている。
「亜結晶粒」は、方位差角が5度以下の粒界を有するものと定義される。この亜結晶粒の平均粒径は、1.5μm以下、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、0.5μm以下である。亜結晶粒もまたマグネシウム母相から形成されるものであるが、上記結晶粒、すなわち、大傾角粒との違いは、隣り合う亜結晶粒との方位差が5度以下であることである。
亜結晶粒の内部に分散している微細な粒子の平均粒径は、好ましくは、10nm以上1μm以下、より好ましくは、25nm以上500nm以下である。平均粒径が10nm未満であると、高強度化への寄与が小さくなりやすく、平均粒径が1μmを超えると、塑性変形中に粒子が破壊の起点となりやすく、マグネシウム合金の延性が低減する傾向が大きくなる。また、この微細な粒子の亜結晶粒における密度は、好ましくは、15%以下、より好ましくは、10%以下である(ただし、0%は含まない)。密度が15%を超えると、塑性変形中に粒子が破壊の起点となりやすく、マグネシウム合金の延性が低減する傾向が大きくなる。微細な粒子の平均粒径と密度が、好ましい上限を超えると、たとえば図7に示したように、マグネシウム合金の作製中に割れやクラックなどが発生し、上記1)、2)の特徴を有する健全なマグネシウム合金を作製することが難しくなる場合がある。このような微細な粒子とマグネシウム母相の界面は、整合であっても、非整合であってもよい。整合または非整合は、微細な粒子を構成する化学組成や材料創製法によって決まる。微細な粒子は、マグネシウムに対して固溶しない原子や固溶しきれない原子が金属間化合物などとして析出したものである。また、微細な粒子には準結晶粒子が含まれる。準結晶粒子とは、マグネシウム母相と整合な界面を形成するだけでなく、結晶配列が存在しないものである。その化学組成は、Mg−Zn−RE、Mg−Zn−Alなどと示される。
上記のとおりの結晶構造を有する本発明のマグネシウム合金は、330MPa以上の引張強さを実現する。また、本発明のマグネシウム合金は、300MPa以上の引張降伏応力(A)と、220MPa以上の圧縮降伏応力(B)を実現し、0.7以上の降伏応力異方性比(B/A)を実現する。
このように、本発明のマグネシウム合金は、従来では不可能とされていた強度および延性を実現する。このような優れた特性は、亜結晶粒の存在により結晶粒自体の変形が可能になる一方、結晶粒間の滑りが阻止されるととともに、微細な粒子の存在により転位運度が阻害されるからであると推測される。本発明のマグネシウム合金では、上記のとおりの結晶構造により、高強度化と、変形異方性の低減、すなわち、等方変形能の両立が図られている。
本発明のマグネシウム合金を製造するためには、加工ひずみの導入が有効である。
「加工ひずみ」は、所定の温度で荷重を加えて永久変形させることと定義される。このような加工ひずみの導入は、たとえば、溝ロール圧延や高押出比での押出加工、高圧下率での圧延、ECAE(Equal-channel-angular-extrusion:等断面積側方押出加工)のような高ひずみせん断加工などにより実現される。
溝ロール圧延は、表面に、三角形などの断面形状を有する溝が設けられた圧延ロールを用いた圧延であり、三角形の断面形状の場合、上下の圧延ロールを接触させたときに、ダイヤモンド形状の穴が形成されるという特徴を有している。本発明のマグネシウム合金の製造においては、このような溝ロール圧延は好ましい方式である。圧延ロールの溝形状については、上記ダイヤモンド形状の他、六角形形状、楕円形状などの穴を形成することができるものが例示される。圧延時の圧延ロールの周速度は、1〜50m/分の範囲が好ましく例示される。また、溝ロール圧延に際しては、あらかじめ材料を100〜500℃の温度範囲で5〜120分間熱処理しておくことが好ましい。
上記のとおりの溝ロール圧延をはじめとする各種の方式による加工ひずみの導入の際には、材料が割れることのない温度で材料全体が均一になるように加熱保持し、その後、繰り返しひずみを導入することが好適である。材料の断面減少率は、加工ひずみの導入のための諸条件との関係において適宜設定することができる。つまり、上記結晶構造が形成されることを条件として断面減少率を設定することができる。たとえば、断面減少率は、92%、95%などと設定することができる。90%以上の断面減少率で加工ひずみを導入することにより、良好な延性を低下させずに強度を増加させることが顕著に可能となる。ひずみを繰り返し導入する場合には、連続して行うことが好ましく、その際の単パスで導入するひずみは、総断面減少率が90%以上となるように、たとえば、断面減少率が10〜20%程度のもので十分である。
大傾角粒界に囲まれた結晶粒については、断面減少率を大きくするなどによって加工ひずみ導入を大きくするほど、粒径が5μm以下のものが占める割合が増大し、断面減少率が90%以上になると、粒径5μm以下の結晶粒の占める割合は90%以上となる。また、断面減少率が90以上になると、結晶粒内の亜結晶粒の平均粒径が1.5μm以下となり、しかも、亜結晶粒の内部に、平均粒径が10nm以上1μm以下の微細な粒子が、15%以下(ただし、0%を含まない)の密度で分散する。
このような加工ひずみの導入は、断面積の大きなものや複雑な形状を有する長尺材にも適用が可能であり、材料の大型化にも対応が可能であるため、実用的である。
以下、実施例を示し、本発明のマグネシウム合金についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
商用純マグネシウム(純度99.95%)に7.5質量%の亜鉛と1.7質量%のイットリウムを溶解し、鋳造して母合金を作製した。この母合金を溶体化処理した後、機械加工により直径40mmの圧延用ビレットを作製した。この圧延用ビレットを350℃に昇温した炉内で時間保持した後、溝ロール圧延を行った。圧延ロールの表面温度は室温とし、圧延ロールのロール周速度は30m/分とした。また、断面減少率を1パスあたり18%とし、19回繰り返し溝ロール圧延を行った。総断面減少率は95%であった。
得られた圧延材の微細組織を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。観察部位は、圧延方向に対して平行な断面とした。図1は、大傾角粒の内部の微細組織の例である。結晶粒界が鮮明ではなく、方位差角が小さい亜結晶粒から微細組織が形成されていることが分かる。図1図中の符号Sは、亜結晶粒を示している。同様の模様とコントラストで示された領域も亜結晶粒である。また、亜結晶粒の平均粒径が約1μmであることが分かる。図1図中の符号Iは、準結晶粒子を示し、亜結晶粒の内部に粒径100nmの微細な粒子が分散していることが確認される。
このような圧延材から、平行部の直径が3mm、長さ15mmの引張試験片を、また、直径4mm、高さ8mmの圧縮試験片をそれぞれ採取した。いずれの試験片の採取方向も、圧延方向に対して平行方向とした。初期引張・圧縮ひずみ速度は、1×10−3−1とした。図2に室温引張により得られた公称応力−公称ひずみ曲線を示した。また、表1に機械的特性を示した。なお、降伏応力には、0.2%ひずみのオフセット値を使用した。降伏異方性比が1に近い値を示し、等方変形することが可能なマグネシウム合金が得られている。後述の比較例1と比べると、ほぼ同じ断面減少率のひずみ加工を行っているが、実施例1のマグネシウム合金は、34%高い引張強度を示すことが分かる。また、亜結晶粒組織を有するが、微細な粒子が存在しない、後述の比較例4と比べると、降伏異方性の改善が認められる。比較例4の商用マグネシウム合金押出材は、亜鉛およびアルミニウムがすべてマグネシウムに固溶していると考えられるため、微細な粒子が析出しにくいと推定される。
商用純マグネシウム(純度99.95%)に8質量%の亜鉛と4質量%のアルミニウムを溶解し、鋳造して母合金を作製した。この母合金を溶体化処理した後、機械加工により直径40mmの圧延用ビレットを作製した。その後、加工温度を200℃にした以外は実施例1と同様にして圧延材を作製した。図3は、TEMを用いた微細組織の観察例である。図1と同様の微細組織、すなわち、亜結晶粒Sから形成された微細組織が確認される。また、亜結晶粒の平均結晶粒径は約0.5μmであり、亜結晶粒の内部に平均粒径が約50nm程度の微細な粒子として準結晶粒子Iの分散が確認される。この圧延材についても、実施例1と同じ条件で引張・圧縮試験を行った。得られた結果を図2と表1に示した。実施例2のマグネシウム合金は、後述の比較例2と比べ、37%高い引張強度を示すことが分かる。比較例2では、温間押出加工を行っているので、亜結晶粒が形成されにくく、亜結晶粒の存在割合が少なかったのではないかと推定される。また、亜結晶粒組織を有するが、微細な粒子が存在しない比較例4と比べると、6%高い引張強度を示し、微細な粒子の存在がより高強度化に寄与することが分かる。
商用純マグネシウム(純度99.95%)に6質量%の亜鉛と3質量%のアルミニウムを溶解し、鋳造して母合金を作製した。この母合金を溶体化処理した後、機械加工により直径40mmの圧延用ビレットを作製した。その後、加工温度を200℃にしたこと以外は実施例1と同様にして圧延材を作製した。図4は、TEMを用いた微細組織の観察例である。図1と同様の微細組織、すなわち、亜結晶粒から形成された微細組織が確認される。また、亜結晶粒の平均結晶粒径は約0.5μmであり、亜結晶粒の内部に平均粒径が約50nm程度の微細な粒子として準結晶粒子の分散が確認される。この圧延材についても、実施例1と同じ条件で引張・圧縮試験を行った。得られた結果を図2と表1に示した。実施例3のマグネシウム合金は、後述の比較例3と比べ、59%高い引張強度を示すことが分かる。また、亜結晶粒組織を有するが、微細な粒子が存在しない比較例4と比べると、7%高い引張強度を示し、微細粒子の存在がより高強度化に寄与することが分かる。
商用マグネシウム合金押出材(ZK60:6質量%の亜鉛と0.5質量%のジルコニウムを添加)を使用し、機械加工により、直径40mmの圧延用ビレットを作製した。その後、加工温度を200℃にしたこと以外は実施例1と同様にして圧延材を作製した。この圧延材についても、実施例1と同じ条件で引張・圧縮試験を行った。得られた結果を表1に示した。実施例4のマグネシウム合金は、降伏異方性比が1に近い値を示し、等方変形することが可能なマグネシウム合金が得られている。また、比較例4と比べると、5%高い引張強度を示し、微細な粒子の存在がより高強度化に寄与することが分かる。なお、微細な粒子は、マグネシウム母相と非整合界面を形成し、MgZnからなる第二相析出粒子である。
実施例2と同じ材料を使用し、加工温度を300℃としたことと、溝ロール圧延を15回繰り返し、総断面減少率を92%にしたこと以外は実施例1と同様にして圧延材を作製した。得られた圧延材についても、実施例1と同じ条件で引張・圧縮試験を行った。得られた結果を表1に示した。総断面減少率が同じであるが、微細な粒子が存在しない比較例5と比べると、微細な粒子である準結晶粒子が、亜結晶粒の内部に分散している実施例5のマグネシウム合金は、降伏異方性の改善が認められる。比較例5の商用マグネシウム合金押出材は、亜鉛およびアルミニウムがすべてマグネシウムに固溶していると考えられるため、微細な粒子が析出しにくいと推定される。
実施例3と同じ材料を使用し、加工温度が300℃としたことと、溝ロール圧延を15回繰り返し、総断面減少率を92%にしたこと以外は実施例1と同様にして圧延材を作製した。図5は、SEM/EBSDによる微細組織の観察例である。図5図中の符号RDが溝ロール圧延に平行な方向であり、符号TDが溝ロール圧延に垂直な方向である。図5図中には、EBSDによる結晶方位解析による、方位差角が15度以上である大傾角粒界を黒色の曲線群で示している。図5図中に符号Gで示したのが、大傾角粒界で囲まれた結晶粒、すなわち、大傾角粒の一つであり、このような結晶粒の平均粒径は、1.7μmであった。結晶粒は、全体的に均一なサイズで分布していることが確認される。この圧延材についても、実施例1と同じ条件で引張・圧縮試験を行った。得られた結果を表1に示した。総断面減少率が同じであるが、微細な粒子が存在しない比較例5と比べると、微細な粒子である準結晶粒子が、亜結晶粒の内部に分散している実施例6のマグネシウム合金は、降伏異方性の改善が認められる。準結晶粒が亜結晶粒の内部に分散していることは、TEM観察により確認した。
実施例4と同じ材料を使用し、加工温度を200℃としたことと、溝ロール圧延を15回繰り返し、総断面減少率を92%としたこと以外は実施例1と同様にして圧延材を作製した。この圧延材についても、実施例1と同じ条件で引張・圧縮試験を行った。得られた結果を表1に示した。総断面減少率が同じであるが、微細な粒子が存在しない比較例5と比べると、微細な粒子が、亜結晶粒の内部に分散している実施例7のマグネシウム合金は、6%高い引張強度を示すとともに、降伏異方性の改善が認められる。なお、微細な粒子は、マグネシウム母相と非整合界面を形成し、MgZnからなる第二相析出粒子である。
商用マグネシウム合金押出材(AZ61:1質量%の亜鉛6と質量%のアルミニウムを添加)を使用し、機械加工により直径40mmの圧延用ビレットを作製した。その後、加工温度を200℃にしたことと、溝ロール圧延を15回繰り返し、総断面減少率を92%としたこと以外は、実施例1と同じ条件で圧延材を作製した。この圧延材について、実施例1と同じ条件で引張・圧縮試験を行った。得られた結果を表1に示した。降伏異方性比が1に近い値を示し、等方変形することが可能なマグネシウム合金が得られている。図8および図9は、それぞれ、実施例8のマグネシウム合金のTEM、SEM/EBSDによる微細組織の観察例である。図8において、符号Pで示した、約100nm程度の微細な粒子の分散が確認される。この微細な粒子は、マグネシウム母相と非整合界面を形成し、Mg17Al12からなる第二相析出粒子である。また、図9において、符号Gで代表される、大傾角粒界で囲まれた結晶粒の平均粒径は、2.2μmであり、全体的に均一なサイズで分布していることが確認される。また、比較例5と比べると、実施例8に示したマグネシウム合金は、15%高い引張強度および30%以上高い圧縮強度を示し、微細な粒子の存在がより高強度化に寄与することが分かる。
[比較例1]
商用純マグネシウム(純度99.95%)に7.5質量%の亜鉛と1.7質量%イットリウムを溶解し、鋳造して母合金を作製した。この母合金を溶体化処理した後、機械加工により直径40mmの押出ビレットを作製した。この押出ビレットを約230℃に昇温した押出コンテナに投入し、30分程度保持した後、断面減少率が94%となる押出比25:1で温間押出加工を行い、直径8mmの押出材を得た。この押出材について、実施例1と同じ条件にて引張試験を行った。その結果を図2と表1に示した。
[比較例2]
商用純マグネシウム(純度99.95%)に8質量%の亜鉛と4質量%のアルミニウムを溶解し、鋳造して母合金を作製した。その後の加工は比較例1と同じとした。得られた押出材について、実施例1と同し条件で引張試験を行った。その結果を図2と表1に示した。
[比較例3]
商用純マグネシウム(純度99.95%)に6質量%の亜鉛と3質量%のアルミニウムを溶解し、鋳造して母合金を作製した。その後の加工は比較例1と同じとした。得られた押出材について、実施例1と同し条件で引張試験を行った。その結果を図2と表1に示した。
[比較例4]
商用マグネシウム合金押出材(AZ31:1質量%の亜鉛と3質量%のアルミニウムを添加)を使用し、機械加工により直径40mmの圧延用ビレットを作製した。その後、加工温度を200℃にしたこと以外は実施例1と同様にして圧延材を作製した。図6は、この圧延材のTEMによる微細組織の観察例である。実施例1のマグネシウム合金と同様に、亜結晶粒から微細組織が形成されているが、亜結晶粒の内部に微細な粒子は存在していない。比較例4の圧延材についても、実施例1と同じ条件で引張・圧縮試験を行った。その結果を表1に示した。
[比較例5]
比較例4と同じ材料を使用し、加工温度を200℃としたこと、溝ロール圧延を15回繰り返し、総断面減少率を92%としたこと以外は実施例1と同じ条件で圧延材を作製した。この圧延材についても、実施例1と同し条件で引張・圧縮試験を行った。その結果を表1に示した。
本発明のマグネシウム合金は、強度および延性の向上が図られ、より実用的なマグネシウム合金であり、工業用材料としての使用が見込まれる。

Claims (4)

  1. 化学組成がMg−Amass%Zn−Bmass%Z(Mg:マグネシウム、Zn:亜鉛、Z:他の金属元素)で表され、不可避的不純物を含有するマグネシウム合金であって、
    6≦A<10のとき、Zは、Al、Zr、Ca、Sn、Li、Agまたは希土類元素のうちのいずれか一種であり、0<B<10であり、
    0<A<6のとき、Zは、Alであり、6≦B<10であり、
    溝ロール圧延により断面減少率が90%以上である加工ひずみが導入され、方位差角が15度以上の粒界である大傾角粒界を有し、この大傾角粒界に囲まれた結晶粒の内部が亜結晶粒から形成され、前記亜結晶粒の内部に、平均粒径が10nm以上1μm以下の微細な粒子が分散していることを特徴とするマグネシウム合金。
  2. 前記結晶粒の平均粒径が5μm以下で、前記亜結晶粒の平均粒径が1.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金。
  3. 粒径が5μm以下の結晶粒が、全結晶粒の70%以上を占めることを特徴とする請求項2に記載のマグネシウム合金。
  4. 前記微細な粒子の前記亜結晶粒における密度が15%以下(ただし、0%を含まない)であることを特徴とする請求項3に記載のマグネシウム合金。
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