JP5556736B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、突極性を有する回転機の端子と互いに相違する電圧値を有する電圧印加手段との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路の操作によって前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気角周波数よりも高い周波数を有する高周波電圧信号を前記電力変換回路の出力電圧に重畳する重畳手段と、該重畳された高周波電圧信号に応じて前記回転機に流れる高周波電流信号に基づき前記回転機の回転角度を推定する推定手段と、を備える回転機の制御装置に関する。
この種の制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、3相電動機の推定d軸の正方向および負方向に振動する高周波電圧信号を印加した際に電動機に実際に伝播する高周波電流信号に基づき電動機の電気角を推定するものも提案されている。
特許第3312472号公報
ところで、上記高周波電圧信号の周波数は、通常、可聴周波数帯域内のものとなるため、電気角の推定に際して人に知覚されるノイズが生じるおそれがある。このノイズを低減するためには、高周波電圧信号を小さくすることが有効である。ただし、この場合、電気角の推定精度が低下することが発明者らによって見出された。
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、回転機の電気角周波数よりも高い周波数を有する高周波電圧信号を前記電力変換回路の出力電圧に重畳することで検出される高周波電流信号に基づき、回転機の回転角度を推定する新たな回転機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、突極性を有する回転機の端子と互いに相違する電圧値を有する電圧印加手段との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路の操作によって前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気角周波数よりも高い周波数を有する高周波電圧信号を前記電力変換回路の出力電圧に重畳する重畳手段と、該重畳された高周波電圧信号に応じて前記回転機に流れる高周波電流信号に基づき前記回転機の回転角度を推定する推定手段と、を備える回転機の制御装置において、前記回転機は、互いに接続された複数の巻線を備えるものであり、前記高周波電流信号は、前記巻線のそれぞれを流れる電流を検出する検出手段の検出結果に基づき取得されるものであり、前記推定手段は、前記回転角度の推定処理に利用される前記高周波電流信号への前記巻線の電流の検出値の寄与度について、前記検出値のうち絶対値が規定値以下のものの寄与度を前記絶対値が規定値を上回るものの寄与度よりも小さくする寄与度可変手段を備えることを特徴とする。
回転機を流れる電流が小さい場合、検出手段の検出精度が低下しやすい。特に、回転機の巻線を流れる電流が小さい状況下、上記高周波電圧信号を小さくすると、その巻線を流れる高周波電流信号も小さくなり、ひいてはその検出精度が低下しやすくなる。上記発明では、この点に鑑み、巻線を流れる電流の検出値の絶対値が小さいものが推定処理に用いられる高周波電流信号に寄与する度合いを小さくする。これにより、精度の低い検出値の影響を低減することができ、ひいては回転角度の推定精度を向上させることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記寄与度可変手段は、前記巻線のうち電流の絶対値が規定値以下のものについての電流の検出値を用いることを禁止する禁止手段を備え、前記巻線のうち電流の絶対値が規定値を上回るものについての電流の検出値に基づき、前記高周波電流信号を取得することを特徴とする。
上記発明では、精度の低い検出値が推定処理に利用されないため、回転角度の推定精度をいっそう向上させることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記規定値は、前記検出手段の最小分解能以上の値に設定されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記回転機の前記巻線は、前記回転機の回転方向に対して均等な電気角毎に配置されるものであり、前記寄与度可変手段は、前記巻線の数をNとした場合に、電気角の「1/N」度毎に、前記寄与度を小さくする検出値を切り替えることを特徴とする。
上記発明では、巻線を流れる電流は、互いに位相が「2π/N」ずつずれることとなり、「π/N」毎にいずれかの巻線がゼロクロスするタイミングとなる。そして、こうした巻線を流れる電流の周期性を利用して、寄与度を小さくする検出値を切り替えることで、寄与度を小さくする処理を簡易に行なうことができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記推定手段は、前記検出結果から前記高周波電流信号の2次元座標系の成分を算出し、これを用いて前記回転角度を推定するものであり、前記検出手段の検出結果から、前記高周波電圧信号の周波数成分を選択的に透過させて前記推定手段に入力する選択透過手段を備えることを特徴とする。
上記発明では、選択透過手段を備えることで、2次元座標系の成分の算出に用いるパラメータにノイズが混入することを好適に抑制することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記検出手段の検出結果から、前記高周波電圧信号の周波数成分を選択的に増幅して前記推定手段に入力する選択増幅手段を備えることを特徴とする。
上記発明では、選択増幅手段を備えることで、巻線を流れる電流の振幅が小さい場合であっても、電流の検出精度を向上させることができる。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記検出手段は、前記回転機の各巻線のそれぞれに接続される配線の周囲の磁界を検出することで電流を検出する手段であり、前記配線のうちその外周に前記検出手段が対向する部分を電界シールドするシールド手段を備えることを特徴とする。
上記配線に電流が流れることで、電界効果によって検出手段に電荷が生じる場合、検出手段の検出精度が低下する。この点、上記発明では、シールド手段を備えることで、電界効果に起因した現象が生じることを好適に抑制することができる。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記電力変換回路は、前記回転機の端子を直流電圧源の正極および負極のそれぞれに選択的に接続するスイッチング素子および該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える直流交流変換回路を備え、前記正極に接続するスイッチング素子と前記負極に接続するスイッチング素子とのいずれか一方および他方がそれぞれオンおよびオフとなる状態からいずれか一方および他方がそれぞれオフおよびオンとなる状態に切り替えるに際し、双方がオフ状態となるデッドタイム期間が設けられ、前記デッドタイム期間において前記直流交流変換回路によって前記回転機の巻線の端部に印加されるデッドタイム電圧に起因して、実際に重畳される高周波電圧信号に生じる誤差を低減する誤差低減手段をさらに備えることを特徴とする。
上記直流交流変換回路を用いる場合、デッドタイム期間において回転機の端子(巻線の端部)に印加される電圧は、その端子に流れる電流の極性に依存する。そして、この間に回転機の端子に印加される電圧は、重畳手段によって重畳することが意図された高周波電圧信号に対して誤差となりうる。この誤差電圧が上記高周波電圧信号に占める割合は、高周波電圧信号を小さくするほど大きくなる。このため、高周波電圧信号が小さくなるほど、実際に重畳される高周波電圧信号が意図したものに対して大きな誤差を有することとなる。これは、回転角度の推定精度を低下させる要因であって且つ、検出手段の検出誤差とは別の要因である。上記発明では、この点に鑑み、誤差低減手段を備えた。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる回転角度の推定処理を示すブロック図。 同実施形態にかかるPWM処理を示すタイムチャート。 同実施形態にかかるデッドタイム補償処理を示すタイムチャート。 デッドタイムに起因して高周波電圧信号に生じる誤差を説明するタイムチャート。 デッドタイムに起因して高周波電圧信号に生じる誤差を示すベクトル図。 上記実施形態にかかる高周波電圧指令信号の設定を示す図。 デッドタイムに起因して高周波電圧信号に生じる誤差を説明するタイムチャート。 上記実施形態にかかるデッドタイムに起因した誤差の抑制原理を示す図。 電流センサに起因して高周波電流信号の検出値に生じる誤差を示すタイムチャート。 上記実施形態にかかる電流センサの使用の切り替え処理を示すタイムチャート。 同実施形態にかかるバンドパスフィルタのゲイン特定を示す図。 同実施形態にかかるバンドパスフィルタの回路構成を示す回路図。 同実施形態の効果を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかる電流センサの使用の切り替え処理を示すタイムチャート。 第3の実施形態にかかるシステム構成図。
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる回転機の制御装置を車載主機としての回転機の制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステム構成図を示す。
モータジェネレータ10は、3相の永久磁石同期モータである。また、モータジェネレータ10は、突極性を有する回転機(突極機)である。詳しくは、モータジェネレータ10は、埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)である。
モータジェネレータ10は、インバータIVおよびコンバータCVを介して高電圧バッテリ12に接続されている。ここで、インバータIVは、スイッチング素子S*p,S*n(*=u,v,w)の直列接続体を3組備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子S*p,S*nとして、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードD*p,D*nが逆並列に接続されている。一方、高電圧バッテリ12は、端子電圧がたとえば百V以上となる2次電池である。
本実施形態では、モータジェネレータ10やインバータIVの状態を検出する検出手段として、以下のものを備えている。まずモータジェネレータ10の各相を流れる電流iw,iv,iuを検出する電流センサ16,17,18を備えている。また、インバータIVの入力電圧(電源電圧VDC)を検出する電圧センサ19を備えている。ここで、電流センサ16,17,18は、ホール素子を備えて構成されるものであり、各相を流れる電流に応じてその周方向に生じる磁束を、電流と相関を有するパラメータとして検出する検出手段である。
上記各種センサの検出値は、インターフェース13を介して低圧システムを構成する制御装置14に取り込まれる。制御装置14では、これら各種センサの検出値に基づき、インバータIVおよびコンバータCVを操作する操作信号を生成して出力する。ここで、インバータIVのスイッチング素子S*p,S*nを操作する信号が、操作信号g*p,g*nである。また、コンバータCVを操作する信号が、操作信号gcp、gcnである。
図2に、制御装置14の行う処理を示す。以下では、まず「制御量の制御」について説明した後、「回転角度の推定処理」について説明する。
「制御量の制御」
指令電流設定部20は、要求トルクTrに基づき、回転2相座標系の電流の指令値であるd軸上の指令電流idrおよびq軸上の指令電流iqrを設定する。一方、モータジェネレータ10の各相を流れる電流iu,iv,iwは、dq変換部22において、回転2相座標系の実電流であるd軸上の実電流idとq軸上の実電流iqとに変換される。偏差算出部24は、d軸の指令電流idrと実電流idとの差を算出し、偏差算出部26は、q軸の指令電流iqrと実電流iqとの差を算出する。電流制御部28は、d軸上の実電流idを指令電流idrにフィードバック制御するための操作量としてのd軸上の指令電圧vdrと、q軸上の実電流iqを指令電流iqrにフィードバック制御するための操作量としてのq軸上の指令電圧vqrとを算出する。これら操作量は、対応する上記差を入力とする比例要素の出力と積分要素の出力との和とすればよい。
3相変換部30では、回転2相座標系の指令電圧vdr、vqrを、3相の指令電圧vur,vvr,vwrに変換して且つ、これを電源電圧VDCによって規格化することでデューティ信号Du,Dv,Dwを算出する。デッドタイム補償部34では、デューティ信号Du,Dv,Dwのそれぞれを、該当する相電流iu,iv,iwに基づきフィードフォワード補正するためのデッドタイム補正量Δvu,Δvv,Δvwを算出する。そして、補正部36,38,40のそれぞれでは、デッドタイム補正量Δvu,Δvv,Δvwのそれぞれに基づきデューティ信号Du,Dv,Dwのそれぞれを補正する。操作信号生成部32では、デューティ信号Du,Dv,Dwとキャリアとの大小比較に基づくPWM処理によって、操作信号g*#を生成する。
図3に、操作信号生成部32による処理の詳細を示す。本実施形態では、漸増速度と漸減速度とが同一であって且つ漸増期間と漸減期間とが同一となる三角波形状のキャリアCSと各相のデューティ信号Du,Dv,Dwとの大小比較に基づき、PWM信号gu,gv,gwを生成する。そして、PWM信号g*(*=u,v,w)に基づき、上側アームの操作信号g*pと下側アームの操作信号g*nとを生成する。この際、デッドタイム生成処理を行うことで、操作信号g*#(*=u,v,w;#=p,n)は、その立上りタイミングがPWM信号g*に対してデッドタイムDTだけ遅延したものとなる。なお、デューティ信号Du,Dv,Dw(指令電圧vur,vvr,vwr)の更新周期は、キャリアCSの更新周期と一致させる。より詳しくは、本実施形態では、キャリアCSがピークとなるタイミングにおいてデューティ信号Du,Dv,Dwを更新する。
図4に、デッドタイム補償部34の処理の詳細を示す。
図4(a)に示すように、相電流i*(*=u,v,w)が正である場合、デッドタイム期間の間、下側アームのダイオードD*nを介して電流が流れるため、操作信号g*pのオン期間は、PWM信号g*のオン期間と比較してデッドタイムDTだけ短くなり、且つその立上りエッジはデッドタイムDTだけ遅延する。このため、デッドタイム補償部34では、デューティ信号D*をデッドタイム補正量Δv*によって増加補正することで、PWM信号g*の立上りエッジおよび立ち下がりエッジの双方をデッドタイムDTの「1/2」ずつ補正する。これにより、操作信号g*pのオン期間を、補正前のPWM信号g*のオン期間と一致させることができ、また立上りエッジの遅延量を半減させることもできる。
図4(b)に示すように、相電流i*(*=u,v,w)が負である場合、デッドタイム期間の間、上側アームのダイオードD*pを介して電流が流れるため、操作信号g*pのオン期間は、PWM信号g*のオン期間と比較してデッドタイムDTだけ長くなる。このため、デッドタイム補償部34では、デューティ信号D*をデッドタイム補正量Δv*によって減少補正することで、PWM信号g*の立上りエッジおよび立ち下がりエッジの双方をデッドタイムDTの「1/2」ずつ補正する。これにより、操作信号g*pのオン期間を、補正前のPWM信号g*のオン期間と一致させることができる。ただし、この際、操作信号g*pの立上りエッジは、補正前のPWM信号g*の立上りエッジに対してデッドタイムDTの「1/2」だけ遅延する。
図4(c)に示すように、PWM信号g*の立上りから立下りまでの期間において相電流i*(*=u,v,w)が負から正に反転する場合、立上りに対応するデッドタイム期間の間、上側アームのダイオードD*pを介して電流が流れ、立下りに対応するデッドタイム期間の間、下側アームのダイオードD*nを介して電流が流れる。このため、操作信号g*pのオン期間は、PWM信号g*のオン期間に一致する。したがって、この場合には、デッドタイム補正量Δv*をゼロとする。
「回転角度の推定処理」
先の図2に示す高周波電圧信号設定部50では、高周波電圧指令信号Vhr=(vdhr,vqhr)を設定する。ここで、本実施形態では、vqhr=0として且つ、vdhrを、PWM処理の半周期毎にその極性を反転させる信号とする。重畳部52では、電流制御部28の出力するd軸の指令電圧vdrを、高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrで補正して3相変換部30に出力する。
一方、ハイパスフィルタ62は、後述する処理のなされた実電流id,iqから高調波成分(高周波電流信号idh,iqh)を抽出する。ここで、高周波成分とは、基本波成分よりも周波数の高い成分のことである。特に、ここでは、高周波電圧指令信号Vhrと同一の周波数成分を抽出する。このハイパスフィルタ62としては、たとえば実電流id,iqについてのPWM信号の半周期前後の値の差を出力する手段とすればよい。
外積演算部64では、高周波電圧指令信号Vhrと、高周波電流信号idh,iqhとの外積値を算出する。この外積値は、高周波電圧信号と高周波電流信号idh,iqhとのベクトル同士のなす角度と相関を有するものであり、ひいてはモータジェネレータ10の回転角度と相関を有するパラメータ(角度相関量)である。特に本実施形態では、回転角度θの誤差と相関を有する誤差相関量である。この誤差相関量としての外積値は、速度算出部66に入力される。速度算出部66では、上記外積値を入力とする比例要素および積分要素の和として電気角速度ωを算出する。そして、角度算出部68では、電気角速度ωの時間積分値として回転角度θを算出する。これにより、回転角度θは、外積値をその目標値であるゼロにフィードバック制御するための操作量となる。
上記外積値の目標値がゼロであるのは、モータジェネレータ10がIPMSMであるため、d軸のインダクタンスLdがq軸のインダクタンスLqよりも小さいためである。すなわちこの場合、インバータIVの出力電圧として、制御量の制御のための電圧にd軸方向の高周波電圧が重畳されるなら、高周波電流信号もd軸方向となり、外積値はゼロとなる。そして、外積値がゼロでない場合には、外積値がゼロとなるように回転角度θが操作され、回転角度θは、正しい角度に一致することとなる。
ただし、高周波電圧信号を小さくしていくことで、回転角度θの推定精度が低下する。これは、デッドタイムDTに起因した電圧誤差と、電流センサ16,17,18の検出誤差とによるものである。以下では、これら一対の原因のそれぞれと本実施形態にかかるそれらの解決手段とを順に説明する。
「デッドタイム誤差の補償について」
高周波電圧信号を小さくしていくことで、これを重畳したことによる操作信号g*#のオン時間やオフ時間の変化量についてのデッドタイムDTに対する比が小さくなる場合、実際に重畳される高周波電圧信号のデッドタイムDTに起因する誤差が大きくなり、ひいては回転角度θの推定精度を低下させる要因となる。こうした誤差は、上記デッドタイム補償部34を備えることで、PWM信号g*の立上りから立下りまでの期間において相電流i*(*=u,v,w)が負から正に反転する場合以外においては回避することができる。なぜなら、先の図4に示すように、デッドタイム補償部34による補償によって操作信号g*#のオン期間がPWM信号g*によって規定されたものとなって且つ、位相が「DT/2」だけ遅延するため、線間電圧は、補正前のPWM信号g*によって規定されたものに一致するからである。すなわち、この場合には、キャリアCSの位相を「DT/2」だけ遅角させてPWM処理を行なった場合と等価となり、線間電圧に誤差を生じないのである。
ただし、PWM信号g*の立上りから立下りまでの期間において相電流i*(*=u,v,w)が負から正に反転する場合には、その相の操作信号g*#の位相は遅れないため、その相のみ他の相と比較して「DT/2」だけ進角したのと等価となる。このためこの場合には、線間電圧が、補正前のPWM信号g*によって規定されたものからずれることとなり、ひいては高周波電圧信号に誤差が生じる。図5に、デッドタイム補償部34による処理の後のPWM信号g*を示す。図示される例では、U相がゼロクロス期間となっており、この場合、U相のみ電圧が「DT/2」だけ進角したのと同じ状態となる。換言すれば、キャリアCSの位相を「DT/2」だけ遅角させてPWM処理を行なうに際し、U相のみ電圧が「DT/2」だけ進角したのと等価となる。そしてこれにより、図中上方に一点鎖線にて示すように、高周波電圧信号(vdh)がPWMの半周期毎にそれぞれU軸の正および負の方向の信号に重畳されるとすると、図中下方に2点鎖線にて示すように、実際に重畳される高周波電圧信号はその振幅が増大する。なお、図5に一点鎖線にて示すものは、正確には、高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrが電源電圧VDCによって規格化されたものである。
このため、図6に示すように、相電流がゼロクロスする場合には、高周波電圧指令信号Vhrに対して実際に重畳される高周波電圧信号Vhは誤差を有することとなる。
そこで本実施形態では、図7に示すように、デッドタイムに起因した誤差電圧ベクトルと高周波電圧指令信号Vhrとを平行に設定する。詳しくは、制御量を制御するための主電流の指令値Ir=(指令電流idr,iqr)をq軸方向とする。さらに、高周波電圧指令信号Vhrをd軸正方向に重畳する期間をPWM処理の前半として且つ、d軸負方向に重畳する期間をPWM処理の後半とする処理と、d軸正方向に重畳する期間をPWM処理の後半として且つ、d軸負方向に重畳する期間をPWM処理の前半とする処理とを切り替える。これは、デッドタイムに起因した誤差電圧と高周波電圧指令信号とが逆方向となることを回避するための設定である。図8(a)に、回転角度θが誤差「±Δ」を有する場合と有しない場合とのそれぞれについて、外積値が示す誤差と電気角との関係を示す。
ここで、図8(b)に示す例では、デッドタイムに起因した誤差電圧と高周波電圧指令信号とが同方向であるため、実際に重畳される高周波電圧信号は高周波電圧指令信号よりも振幅値が大きくなるに過ぎない。これに対し、図8(c)に示す例では、デッドタイムに起因した誤差電圧と高周波電圧指令信号とが逆方向となるため、実際に重畳される高周波電圧信号は、高周波電圧指令信号よりも振幅値が小さくなる。そして、特にこの振幅の縮小量が大きくなる場合、実際に重畳される高周波電圧信号は高周波電圧指令信号とは逆方向の電圧信号となる。こうした現象が生じる場合には、角度相関量としての外積値が、回転角度θの情報を高精度に表現したものではなくなるおそれがある。ちなみに、誤差「±Δ」を有する場合に主電流を高周波電圧信号に直交させてもゼロクロス近傍で外積値が大きく変動し正しい値からずれるのは、高周波電圧指令信号を重畳しようとする方向がd軸からずれるため、d軸成分がデッドタイムに起因した誤差電圧よりも小さくなりやすいためである。
そこで本実施形態では、図9に示すように、モータジェネレータ10の固定子によって規定される電圧ベクトルによって区画される6つの領域A〜Fを主電流I(id,iq)が移動するに際し、高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrがPWM処理の周期Tcの前半において正となるか負となるかを交互に切り替える。これは、主電流Iの方向が回転することで、d軸の正方向および各相の正方向が一致する現象とd軸の正方向および各相の負方向が一致する現象との一対の現象について、これらの双方が生じることに鑑みたものである。すなわち、d軸の正方向が特定の相の正方向となる場合には、高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrをPWM処理の周期Tcの前半において正とすることで、先の図8(b)に示したケースとなる。これに対し、d軸の正方向が特定の相の負方向となる場合には、高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrをPWM処理の周期Tcの前半において正とすることで、先の図8(c)に示したケースとなる。このため、この場合には、高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrをPWM処理の周期Tcの前半において負とすることで、先の図8(b)に示したケースとする。
「電流センサ16,17,18の検出精度の補償について」
モータジェネレータ10の相電流iu,iv,iwにゼロクロスするものがある場合、電流センサ16〜18による検出値から算出される高周波電流信号idh,iqhには歪が生じるおそれがある。特に、図10に示すように、高周波電圧指令信号Vhrの実効値を小さくするなどすると、歪が生じやすい。図中、一点鎖線にて示す「実波形」は、実際のd軸の高周波電流であり、実線にて示す「電流センサ値」は、電流センサ16〜18による検出値から算出された高周波電流信号idhである。
そこで本実施形態では、先の図2に示すように、電流センサ16〜18の出力信号を、ゼロクロス電流算出部70に取り込む。ゼロクロス電流算出部70では、相電流iu,iv,iwのうちその絶対値が規定値以下のものがある場合、残りの2相の電流値に基づきこの相の電流値を算出する。ここでは、規定値を、電流センサ16〜18の最小分解能以上に設定する。特に本実施形態では、最小分解能の10倍以上に設定する。図11に、本実施形態にかかる電流センサ16〜18の検出値の使用領域を示す。
ゼロクロス電流算出部70の出力信号は、バンドパスフィルタ80に入力される。ここで、バンドパスフィルタ80は、図12に示すように、高周波電圧指令信号Vhrの周波数帯域Aを選択的に透過させて且つこれを増幅するアナログフィルタである。図13に、バンドパスフィルタ80の構成を例示する。図示されるように、バンドパスフィルタ80は、オペアンプ81を備えて構成される。オペアンプ81のプラス入力端子には、微分回路を構成するコンデンサ82および抵抗体の直列接続体の接続点が接続されている。上記直列接続体のコンデンサ82側の端部は、バンドパスフィルタ80の入力端子に接続されており、抵抗体83側の端部は、接地されている。オペアンプ81のマイナス入力端子は、抵抗体84を介して接地されるとともに、積分回路を構成する抵抗体85およびコンデンサ86の並列接続体を介してオペアンプ81の出力端子に接続されている。このオペアンプ81の出力端子が、バンドパスフィルタ80の出力端子である。
上記バンドパスフィルタ80の出力する3相の電流値は、先の図2に示すdq変換部60に取り込まれ、ここでdq変換されることで、ハイパスフィルタ62の入力信号としての実電流id,iqが算出される。
図14(a)に、本実施形態の効果を示す。図14(a)は、本実施形態において、回転角度θが正しい場合における外積値から定まる誤差と電気角との関係を示すものである。これに対し、図14(b)に示す比較例は、バンドパスフィルタ80による処理とゼロクロス電流算出部70の処理とのいずれも行わなかった場合のものである。この比較例では、ゼロクロス期間において、誤差が非常に大きくなっている。これは、先の図10に示した歪による影響に加えて、ノイズ等の影響にもよるものである。これに対し、本実施形態では、ゼロクロス期間における検出値を使用しないのみならず、バンドパスフィルタ80の周波数選択機能によって、ノイズの影響を除去することができる。すなわち、本実施形態では、高周波電圧指令信号Vhrの実効値を小さくするためにこれに伴う高周波電流信号idh,iqhが小さくなり、ひいては相電流iu,iv,iwの基本波成分の変化が誤差として大きな影響を及ぼすおそれがある。また、高周波電圧指令信号Vhrよりも周波数の高いノイズが混入した場合にも、その影響が大きくなるおそれがある。これらのために、利用する周波数帯域以外の信号を減衰させた。さらに、バンドパスフィルタ80の増幅機能によって、相電流iu,iv,iwの振幅が小さい場合であっても、これを増幅することで回転角度θの推定処理に際しての演算誤差の影響を低減することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)モータジェネレータ10の各相を流れる電流(固定子巻線の電流)の絶対値が規定値を上回るものについての電流の検出値のみに基づき、高周波電流信号idh,iqhを取得した。これにより、電流センサ16〜18による精度の低い検出値が推定処理に利用されないため、回転角度θの推定精度を向上させることができる。
(2)高周波電流信号idh,iqhを算出するために用いる相電流iu,iv,iwをバンドパスフィルタ80によってフィルタ処理した。これにより、高周波電圧指令信号Vhrよりも低周波のノイズ(相電流iu,iv,iwの基本波成分)や、高周波のノイズの影響を除去することができる。また、高周波電圧指令信号Vhrの周波数帯域を増幅することで、相電流iu,iv,iwの振幅自体が小さい場合であっても、回転角度θの算出処理における演算誤差を低減することができる。
(3)デッドタイムに起因した誤差電圧の方向を有する直線と高周波電圧指令信号の方向を有する直線とを平行に設定した。これにより、高周波電圧指令信号の方向を有する直線と実際に重畳される高周波電圧信号の方向を有する直線とのなす角度をゼロとすることができる。
(4)デッドタイムに起因した誤差電圧のベクトルの方向と高周波電圧指令信号のベクトルの方向とが一致するように高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrの極性を切り替えた。これにより、高周波電圧指令信号がデッドタイムに起因した誤差電圧によって打ち消される事態を好適に回避することができる。
(5)デッドタイム補償部34を備えた。これにより、相電流にゼロクロスするものがない場合には、デッドタイムに起因した高周波電圧信号の誤差が生じることを回避することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記第1の実施形態にかかるゼロクロス電流算出部70では、電流の絶対値が小さいものに対応する相について、残りの2相の電流の検出値に基づきその電流値を算出した。これに対し、本実施形態では、図15に示すように、モータジェネレータ10の回転角度θに応じて、残りの2相の電流の検出値に基づきその電流値を算出する相を「60°」毎に周期的に切り替える。ここで、電流センサ16〜18のうちの任意の1つの検出値が使用されない期間が「60°」であるのは、本実施形態では、回転子の電気角の1周期を均等分割するように固定子が配置されていることと関係している。この場合、相電流iu,iv,iwは、互いに「120°」ずつ位相がずれた正弦波とされるため、いずれかの相がゼロクロスするのは、電気角で「60°」ずつとなる。このため、この領域の進角側および遅角側を含む「60°」の領域を、使用されない期間とすることで、使用されない期間を簡易に設定することができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図16に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図16において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一のステップ番号を付している。
図示されるように、本実施形態では、モータジェネレータ10の各相に接続される配線中、その電流の流通方向に直交する方向に電流センサ16,17,18が配置されている部分を、シールド線92,94,96によって構成する。これらシールド線92,94,96は、電界をシールドする機能を有するものである。これにより、配線に電流が流れる際に生じる電界によって、電流センサ16,17,18に電荷が生じることを回避することができ、ひいては電流センサ16,17,18の電流の検出精度の低下をいっそう抑制することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「禁止手段について」
電流の絶対値が規定値以下となる相の電流値を、絶対値が規定値を上回る他の2相の検出値からキルヒホッフの法則によって算出するものに限らない。たとえば、dq変換の入力としては、3相中2相の電流値があればよいことに鑑み、絶対値が規定値を上回る他の2相の検出値をdq軸上の検出値に変換するものであってもよい。この場合、変換処理は、いずれの相の電流を用いないかに応じて相違するものとなる。
「寄与度可変手段について」
電流センサ16,17,18の検出値のうち、絶対値が規定値以下のものを用いないもの(禁止手段)に限らない。たとえば、絶対値が規定値以下の相の検出値、および規定値を上回る他の2相から算出される規定値以下の相の電流値の加重平均処理値と、上記他の相の電流の検出値とを用いて、高周波電流信号idh,iqhを算出してもよい。
「選択透過手段について」
選択透過手段としては、上記バンドパスフィルタ80に限らない。たとえば、高周波電流信号idh,iqhの周波数よりも高い成分を遮断するローパスフィルタであって且つ透過周波数帯域の信号を増幅する機能を備えるものであってもよい。この場合、実電流iu,iv,iwの基本波成分の変化をも透過させるものの、高周波ノイズについてはこれを十分に除去することができる。
また、アナログフィルタにも限らず、デジタルフィルタであってもよい。
さらに、透過させる周波数帯域を可変設定可能なものであってもよい。
なお、選択透過手段としては、透過させる周波数帯域の信号を増幅する機能を備えなくてもよい。
「選択増幅手段について」
たとえば特定の周波数を透過させるものの増幅機能を備えないバンドパスフィルタと、このバンドパスフィルタの出力を増幅する増幅器とから構成されるものであってもよい。またたとえば、高周波電流信号idh,iqhの周波数よりも高い成分を遮断するローパスフィルタであって且つ増幅機能を備えないものと、このローパスフィルタの出力信号を増幅する増幅器とから構成されるものであってもよい。
なお、これを備えなくてもよいことについては、「選択透過手段について」の欄に記載したとおりである。
「検出手段について」
ホール素子を備えるものに限らない。要は、電流の絶対値が小さくなることで、その検出精度が低下するものであるなら、本発明の適用は有効である。
「推定手段について」
高周波電圧信号と高周波電流信号との位相差(ベクトルの方向の差)をゼロにフィードバック制御するものとしては、外積値をゼロにフィードバック制御するものに限らない。たとえば、高周波電流信号idh,iqhのベクトルの方向とd軸正方向とのなす角度によって、高周波電流信号と高周波電圧信号との位相差を直接算出し、これをゼロにフィードバック制御するようにしてもよい。
また、角度相関量としては、高周波電流信号と高周波電圧信号との位相差を採用するものに限らない。たとえば特開2008−220289号公報に記載されているように、高周波電圧指令信号をd軸方向の電圧およびq軸方向の電圧のそれぞれとした場合の各高周波電流信号のベクトルノルム同士の積であってもよい。この場合、角度相関量としての上記積をゼロ以外の目標値に制御するための操作量として回転角度θが操作される。
角度相関量をその目標値にフィードバック制御すべく回転角度θを操作する手段としては、角度相関量をその目標値に制御すべくまず第1に電気角速度ωを操作するものに限らず、回転角度θを直接操作してもよい。
「誤差低減手段について」
上記各実施形態において例示したものに限らない。たとえば、デッドタイム補償部34におけるデッドタイム補正量Δv*(*=u,v,w)を、PWM処理のキャリアの半周期毎に次のように変更するものであってもよい。すなわち、キャリアの漸増期間においては、相電流i*が正ならデッドタイム補正量Δ*を上記第1の実施形態の2倍とする一方、相電流i*が負なら補正を行なわない。また、キャリアの漸減期間においては、相電流i*が負ならデッドタイム補正量Δ*を上記第1の実施形態の2倍とする一方、相電流i*が正なら補正を行なわない。こうすることで、先の図4に示した補償ありの実際のPWM信号とPWM信号g*とを常時一致させることができる。
また、インバータIVの出力電圧の操作によって誤差を低減するものに限らない。たとえば、デッドタイム期間の電圧に基づき正確な高周波電圧信号を算出し、これを、回転角度θの推定処理に用いさせるものであってもよい。
なお、誤差低減手段が上記のものの場合、指令電流idr,iqrの位相を可変設定することが可能となる。この場合、上記第2の実施形態における「60°」の期間を、指令電流idr,iqrの位相に応じて可変設定してもよい。このように可変設定するなら、いずれかの相がゼロクロスする位相を、上記使用されない期間の中央とすることができる。
「デッドタイム補償機能について」
デッドタイム補償手段としては、相電流の極性に基づき指令電圧(Duty信号)をフィードフォワード補正するものに限らない。たとえば、インバータの各相の出力電圧の検出値を指令値にフィードバック制御するものであってもよい。この場合であっても、オン操作指令期間の始点および終点を同一時間ずつずらすような補正を行うなら、ゼロクロス期間以外において高周波電圧信号に誤差が生じることを好適に回避することができる。
また、デッドタイムに起因した線間平均電圧の誤差を直接の制御量としてこれをゼロに制御するデッドタイム補償手段を備えなくても、たとえば先の図2に示した電流フィードバック制御によっても、相電流がゼロクロスするものがない場合には、デッドタイムに起因する線間電圧のずれは完全に補償される。このため、この場合であっても、フィードバック制御が追従するまでの期間を除けば、ゼロクロスするものがある場合に限って実際に重畳する高周波電圧に誤差が生じることとなる。ちなみに、ゼロクロスする相がある場合、その相におけるデッドタイムに起因する誤差は、先の図5の記載からもわかるように、高周波成分を有するもののPWM処理の1周期Tcにおける平均電圧の誤差としては寄与しない。このため、フィードバック制御によるデッドタイム補償機能によってもゼロクロス期間においては高周波電圧信号に誤差が生じる。
「キャリアCSについて」
キャリアCSとしては、三角波に限らず、漸増速度および漸減速度が互いに等しくて且つ漸増期間および漸減期間が互いに等しい設定とすることで、漸増期間と漸減期間とが対称性を有するものであればよい。この場合、デッドタイム補償機能によって、操作信号のオン操作指令期間の始点および終点を同一時間ずつずらす補正がなされる設定とすることが容易となる。
もっとも、これに限らず、たとえば鋸波であってもよい。この場合、制御量をフィードバック制御したとしても、ゼロクロス期間以外においても高周波電圧信号にデッドタイムに起因した誤差が生じうるため、「誤差低減手段」の欄に記載したようにデッドタイムによる誤差を算出して推定処理に用いることが望ましい。
「回転機について」
回転機としては、互いに接続された3つの固定子巻線を有する3相回転機に限らず、たとえば互いに接続された5つの固定子巻線を有する5相回転機であってもよい。ただし、この場合、先の第2の実施形態に示した手法を適用するに際しては、電流センサのうち利用されないものを、「(360°÷5)/n=72/n°:n=1,2,3…」毎に反転させることが望ましい。
「電力変換回路について」
回転機の端子と互いに相違する電圧値を有する電圧印加手段との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路としては、インバータIVに限らない。例えば、多相回転機の各相に3つ以上の互いに相違する値の電圧を印加する電圧印加手段と回転機の端子との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備えるものであってもよい。なお、回転機の端子に3つ以上の互いに相違する値の電圧を印加するための電力変換回路としては、例えば特開2006−174697号公報に例示されているものがある。
「そのほか」
モータジェネレータ10の最終的な制御量としては、トルクに限らず、例えば回転速度等であってもよい。また、電流ベクトル制御を行うものにも限らず、例えばトルクフィードバック制御を行うものであってもよい。この際、制御量の制御のための操作量として指令電圧を設定し、対称性を有するキャリアと指令電圧との大小比較に基づき操作信号を設定するものであるなら、制御量のフィードバック制御によってデッドタイム補償機能をもたせることができる。
構造上、突極性を有する回転機としては、上記モータジェネレータ10に限らない。例えば同期リラクタンスモータ(SynRM)でもよい。
回転機としては、車載主機に限らない。例えば車載パワーステアリングに搭載される電動機であってもよい。
10…モータジェネレータ、14…制御装置、50…高周波電圧信号設定部、60…外積演算部。

Claims (8)

  1. 突極性を有する回転機の端子と互いに相違する電圧値を有する電圧印加手段との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路の操作によって前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気角周波数よりも高い周波数を有する高周波電圧信号を前記電力変換回路の出力電圧に重畳する重畳手段と、該重畳された高周波電圧信号に応じて前記回転機に流れる高周波電流信号に基づき前記回転機の回転角度を推定する推定手段と、を備える回転機の制御装置において、
    前記回転機は、互いに接続された複数の巻線を備えるものであり、
    前記高周波電流信号は、前記巻線のそれぞれを流れる電流を検出する検出手段の検出結果に基づき取得されるものであり、
    前記推定手段は、前記回転角度の推定処理に利用される前記高周波電流信号への前記巻線の電流の検出値の寄与度について、前記検出値のうち絶対値が規定値以下のものの寄与度を前記絶対値が規定値を上回るものの寄与度よりも小さくする寄与度可変手段を備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記寄与度可変手段は、前記巻線のうち電流の絶対値が規定値以下のものについての電流の検出値を用いることを禁止する禁止手段を備え、前記巻線のうち電流の絶対値が規定値を上回るものについての電流の検出値に基づき、前記高周波電流信号を取得することを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 前記規定値は、前記検出手段の最小分解能以上の値に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の回転機の制御装置。
  4. 前記回転機の前記巻線は、前記回転機の回転方向に対して均等な電気角毎に配置されるものであり、
    前記寄与度可変手段は、前記巻線の数をNとした場合に、電気角の「1/N」度毎に、前記寄与度を小さくする検出値を切り替えることを特徴とする請求項1または2記載の回転機の制御装置。
  5. 前記推定手段は、前記検出結果から前記高周波電流信号の2次元座標系の成分を算出し、これを用いて前記回転角度を推定するものであり、
    前記検出手段の検出結果から、前記高周波電圧信号の周波数成分を選択的に透過させて前記推定手段に入力する選択透過手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  6. 前記検出手段の検出結果から、前記高周波電圧信号の周波数成分を選択的に増幅して前記推定手段に入力する選択増幅手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  7. 前記検出手段は、前記回転機の各巻線のそれぞれに接続される配線の周囲の磁界を検出することで電流を検出する手段であり、
    前記配線のうちその外周に前記検出手段が対向する部分を電界シールドするシールド手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  8. 前記電力変換回路は、前記回転機の端子を直流電圧源の正極および負極のそれぞれに選択的に接続するスイッチング素子および該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える直流交流変換回路を備え、
    前記正極に接続するスイッチング素子と前記負極に接続するスイッチング素子とのいずれか一方および他方がそれぞれオンおよびオフとなる状態からいずれか一方および他方がそれぞれオフおよびオンとなる状態に切り替えるに際し、双方がオフ状態となるデッドタイム期間が設けられ、
    前記デッドタイム期間において前記直流交流変換回路によって前記回転機の巻線の端部に印加されるデッドタイム電圧に起因して、実際に重畳される高周波電圧信号に生じる誤差を低減する誤差低減手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
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