JP5553974B2 - 椎間板人工器官 - Google Patents

Description

この発明は椎間板人工器官に関し、椎間板人工器官はベースプレートと、ベースプレートに対向するトッププレートとを有し、ベースプレートおよびトッププレートの中心を通って中心軸が延在し、さらに各々がループ形状部および２つの自由端を有する複数のばねを有し、当該ばねは中心軸の周りに配され、自由端はそれぞれベースプレートとトッププレートとに接続され、ループ形状部は人工器官の中心軸から離れるように方向付けされる。

ベースプレートとトッププレートの間に配される金属ばねを用いる椎間板人工器官はたとえばＵＳ ４，３０９，７７７から公知である。この人工椎間板は上側および下側円盤部分を含み、これらの上側および下側円盤部分は、上側円盤部分から下側円盤部分に延在するとともに、これらの円盤部分が互いから離れるよう屈曲可能に促す複数の弦巻ばねを有する。

ＵＳ ６，７７０，０９４ Ｂ２には、圧縮の際にばねによって互いに対して弾性的に支持される頭部円盤部および尾部円盤部を含む椎間板人工器官が記載される。これらのばねは、体温で超弾性を示す形状記憶金属合金からなる。一実施例では、これらのばねは、帯の形を有する板ばねによって形成され、その一端は上側円盤部上に搭載され、その他端は下側円盤部上に搭載される。

ＵＳ ７，２０１，７７６ Ｂ２には、各々が上側および下側脊椎の一方に取付けられる対向する端板構成要素の対と、端板構成要素の間に配置されるクッション構成要素と、クッション構成要素の中に含まれる充填材料とを含む人工板交換（ＡＤＲ）が開示される。一実施例では、クッション構成要素はタイヤ状の構成要素であり、タイヤ内に空気、流体、ゲル、または他の材料を保持する装置の中心にある金属ハブと協働する。
ＵＳ ４，３０９，７７７ ＵＳ ６，７７０，０９４ Ｂ２ ＵＳ ７，２０１，７７６ Ｂ２

市販の椎間板人工器官は、たとえば、自然の椎間板と比較すると、軸方向の制動がないこと、回転制御がないこと、復元がないこと、および過剰である可動域（ＲＯＭ）のようなあらゆる自由度において１つまたはいくつかの不利な点を有するかもしれない。

この発明の目的は、回転制御および屈曲／伸張制御と組合される改善された軸方向の制動を有する椎間板人工器官を提供することである。

この目的は、請求項１に記載の椎間板人工器官によって解決される。さらなる技術進歩が従属項において与えられる。

この発明に従った椎間板人工器官は、中心軸から離れるよう方向付けされるループ部分を有するループ形状ばねを用いて、高い軸方向の制動を達成する。これらのばねは、それらの自由端でベースプレートおよびトッププレートにそれぞれ接続されるので、回転制御が達成される。屈曲／伸張の際の可動域（ＲＯＭ）は約＋／−５°にまで低減され、これ
により取囲む関節、特に小関節面を保護する。

端部停止部は、好ましくはエラストマー材料からなり、付加的に軸方向の動きを制限および制動する。

ばねの間の空間の中に血管および組織が成長するのを柔軟性のある保護スリーブが防ぐ。

この発明のさらなる特徴および利点は、例示目的として示され記載されるこの発明の好ましい実施例の以下の記載から当業者には明らかとなるであろう。実現される場合、この発明はその他および異なる実施例でも可能であり、その詳細はさまざまな点において修正可能である。したがって、本質的に図面および記載は限定的ではなく、説明的であると見なされるべきである。

図１から図４からわかり得るように、椎間板人工器官は、ベースプレート１とベースプレートに対向するトッププレート２とを含む。ベースプレート１およびトッププレート２の各々はプレート部分１ａ、２ａと中心円筒形突出部１ｂ、２ｂとを有する。ベースプレート１およびトッププレート２は、円筒形突出部１ｂ、２ｂが互いに向かい合っているように配される。突出部１ｂ、２ｂの中心を通って中心軸Ｍが延在する。円筒形突出部１ｂ、２ｂと同軸であるねじ切り孔１１がベースプレート１およびトッププレート２の各々を通って延在する。プレート部分１ａ、２ａは、示される実施例では円形形状を有するが、任意の他の形状、特に近接の脊椎の端板の輪郭に適合される形状を有し得る。プレート部分１ａ、２ａは外方向に若干曲がり、各プレート部分は近接の脊椎の端板に留めるための複数の歯３を含む。

ベースプレート１およびトッププレート２は、チタニウムもしくはステンレス鋼のような生体適合性材料、またはたとえばポリアリールエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）のような生体適合性プラスチック材料からなる。

ベースプレート１とトッププレート２との間に複数のばね４が配される。図３に特に見られ得るように、各ばね４は板ばねに似た実質的に平坦な帯の形状を有し、２つの自由端部５ａ、５ｂと、これらの自由端部５ａ、５ｂの間にループ形状湾曲部６とを含む。好ましい実施例では、ばねは板ばねである。

端部５ａ、５ｂは、図１に特に見られ得るように、真っ直ぐな平坦部である。ばね４を形成する帯の幅は、複数、たとえば６つのばねが近接のばねの間に間隔をおいて中心軸Ｍの周りに配され得るような幅である。幅ｗは、図３で見られ得るように、ループ形状部６の最外部分で最も大きく、端部５ａ、５ｂに向かって減少する。端部５ａ、５ｂからループ形状部６の最外部分までのばね４の長さｌは、ばねが搭載されると、ループ形状部６がプレート部分１ａ、２ａの間に完全に入るような長さである。人工器官の中心軸Ｍに平行な方向におけるループ形状部６の最大直径ｄは、図１および図２に示される搭載状態において、ばね４と、ベースプレート１およびトッププレート２との間に距離があるような直径である。

ばね４は、任意の非常に柔軟性のある生体適合性材料からなり得る。たとえば、ばねは超弾性を示す形状記憶材料、特にニッケルチタニウム合金のような形状記憶金属からなり得る。この合金についての具体的な例はニチノールである。

図１、図３、および図５に見られ得るように、搭載ねじ７がベースプレート１とトップ
プレート２との間にばねを搭載するために設けられる。各搭載ねじ７は、ねじが切られたねじ部８と、ねじ込み道具との係合のための、その自由端にある窪み９とを含む。この自由端の反対側に搭載部７は円盤形状部分１０を含み、その直径は円筒形突出部１ｂ、２ｂの直径に対応する。各ねじ部８は同軸のねじ切り孔１１と係合し、それぞれ、ベースプレート１およびその円筒形突出部１ｂと、トッププレート２およびその円筒形突出部２ｂとを通って延在する。ねじ部の長さは、搭載ねじ７がそれぞれベースプレート１およびトッププレート２に接続され、円盤形状部分１０と円筒形突出部１ｂ、２ｂとによってばね４がクランプされる際に、窪み９がねじ込み道具と係合され得るような長さである。搭載ねじ７は、ベースプレートおよびトッププレートのように生体適合性材料からなる。搭載ねじ７の円盤形状部分１０同士の間には制動要素（減衰要素）１２が設けられる。制動要素は円盤として形作られるのが好ましく、ポリカーボネートウレタン（ＰＣＵ）のようなエラストマーの材料からなるのがより好ましい。この円盤の厚さは、搭載ねじ７同士の間の空間を充填するように選択される。この材料は所望の制動効果が達成され得るように選択される。

図１から図４に見られ得るように、ばね４を円周方向に取囲み、ベースプレート１からトッププレート２に延在する保護スリーブ１３が設けられる。半径方向において、スリーブ１３は、ばね４のループ形状部６を部分的に包含する。したがって、ループ形状部６はベースプレート１およびトッププレート２のプレート部分１ａ、２ａと直接接触しない。これにより、さらなる軸方向の制動がなされる。保護スリーブ１３は柔軟性のある材料からなり、特にポリカーボネートウレタン（ＰＣＵ）のようなエラストマー材料からなり得る。

椎間板人工器官は、ばね４が搭載ねじ７の円盤形状部分１０とベースプレート１およびトッププレート２の円筒形突出部１ｂ、２ｂとの間にそれぞれクランプされるように事前に組立てられる。制動要素１２は搭載ねじの円盤形状部分１０の自由側に、たとえば接着により固定されてもよい。すべてのねじがクランプされると、保護スリーブが搭載される。

使用に際しては、椎間板人工器官は椎間板を置き換えるよう２つの近接する脊椎の間に挿入される。ベースプレートおよびトッププレートの外側表面上の歯３は、近接の脊椎の端板の中へと係合する。屈曲および伸張の間、ばねが圧縮または伸張するように、背骨の圧力がばねの１つまたはいくつかにかかるか、またはそこから取除かれる。同時に、制動要素１２は純粋に軸方向の運動を制動する。さらにばね４は回転制御を提供する。なぜならば、端部５ａ、５ｂが固定され、これにより、ベースプレートおよびトッププレートのねじり運動が互いに対して起こると、ある程度までループ形状部６がねじれるからである。

ばねの弾性およびばねの形状によって、屈曲／伸張の際の可動域（ＲＯＭ）が約＋／−５°にまで制限され、これにより荷重に対して小関節面および靭帯のような近隣の組織を保護する。自然の椎間板の抑制（減衰）と似た実質的な軸方向の抑制(減衰）により、軸方向の圧縮力が生理学的な範囲にまで制限され、人工の椎間板と小関節面との弾性的な相互作用が可能になる（「小面をロック」）。

修正例が可能である。ベースプレートおよびトッププレートの形状は、脊椎の端板により解剖学的に嵌まるよう適合され得る。したがって、腎臓形状もしくは楕円形状または他の態様で形作られ得る。歯は示されるのとは別の形状を有し得る。たとえば、歯はくぎ状であり得、または非対称の形状を有し得る。さらに、ベースプレート１およびトッププレート２の外側表面は、端板の中への成長を高めるために粗くされ得るか、またはコーティングされ得る。

ばねは、それらをクランピング（締めつける）する代わりに、ベースプレート１またはトッププレート２の突出部１ｂ、２ｂにそれを直接ねじ込むことで搭載され得る。

制動要素１２は他の態様で、たとえばヒドロゲルクッションによって、または弦巻ばねもしくはディスクスプリングのような他の種類のばねによって実現され得る。

さらに、制動要素１２は省略され得るが、この場合は軸方向の制動の利点が低減される。さらに、保護スリーブは省略され得る。

この発明の実施例に従った椎間板人工器官の断面図を示す図である。 図１に従った椎間板人工器官の断面を部分的に示す斜視図を示す図である。 椎間板人工器官の分解斜視図を示す図である。 椎間板人工器官の側面斜視図を示す図である。 ばねをトッププレートにクランピングするために用いられる椎間板の部分を示す図である。

符号の説明

１ ベースプレート、 ２ トッププレート、 ４ ばね、 ６ ループ形状部、 ５ａ，５ｂ 自由端部。

Claims (12)

1. ベースプレート（１）と、
   トッププレート（２）とを含み、前記ベースプレートおよび前記トッププレートの中心を通って中心軸（Ｍ）が延在し、さらに、
   前記ベースプレートと前記トッププレートとの間に配される少なくとも２つのばね（４）を含み、前記ばねの各々はループ形状部（６）および２つの自由端部（５ａ、５ｂ）を有し、
   前記ベースプレートおよび前記トッププレートはそれぞれ、プレート部分（１ａ，２ａ）と、前記中心軸と同軸の中央突起部（１ｂ，２ｂ）とを有し、前記中央突起部（１ｂ，２ｂ）同士は互いに対向し、
   前記自由端部の一方（５ａ）は前記ベースプレート（１）の前記中央突起部（１ｂ）にクランプされ、前記自由端部の他方は前記トッププレート（２）の前記中央突起部（２ｂ）にクランプされ、
   各前記ループ形状部（６）は前記中心軸から離れるように方向付けされ、前記ベースプレート（１）および前記トッププレート（２）の前記プレート部分（１ａ，２ａ）のいずれとも直接接触しないように配置された、椎間板人工器官。
2. 前記少なくとも２つのばね（４）の外周を取り囲むとともに、前記ベースプレート（１）から前記トッププレート（２）まで、および半径方向に延びる保護スリーブ（１３）を備え、該保護スリーブは、前記少なくとも２つのばね（４）と各前記プレート部分（１ａ，２ａ）との直接の接触を防止するように、前記ループ形状部（６）を包囲する、請求項１に記載の椎間板人工器官。
3. 前記ばね（４）は実質的に平坦な帯である、請求項１または２に記載の椎間板人工器官。
4. 前記自由端部（５ａ、５ｂ）を前記ベースプレート（１）および前記トッププレート（２）のそれぞれにクランプするクランピング装置（７）が設けられる、請求項１〜３のい
   ずれか１項に記載の椎間板人工器官。
5. 前記ベースプレートおよび前記トッププレートのそれぞれの前記中央突起部（１ｂ，２ｂ）の間に制動要素（１２）が配され、前記制動要素はエラストマーから形成される、請求項１〜４のいずれか１項に記載の椎間板人工器官。
6. 前記ベースプレートおよび前記トッププレートのそれぞれの前記中央突起部（１ｂ，２ｂ）の間に制動要素（１２）が配され、前記制動要素はエラストマーから形成され、前記制動要素（１２）は円盤状をなし、かつ、相互に対向する前記中央突起部（１ｂ，２ｂ）の間、または、相互に対向する前記クランピング装置（７）同士の間の空間を埋める厚さを有する、請求項４に記載の椎間板人工器官。
7. 前記中心軸（Ｍ）の周りに円形配置で複数のループ形状ばね（４）が設けられる、請求項１〜６のいずれか１項に記載の椎間板人工器官。
8. 前記ばね（４）は超弾性を示す材料からなる、請求項１〜７のいずれか１項に記載の椎間板人工器官。
9. 前記ばね（４）は形状記憶合金を含む、請求項８に記載の椎間板人工器官。
10. 前記ベースプレートと前記トッププレートとの間に柔軟性のある保護スリーブ（１３）が配される、請求項１〜９のいずれか１項に記載の椎間板人工器官。
11. 前記ばね（４）に対向する、前記ベースプレートおよび前記トッププレートの側は、脊椎の近接の端板との係合のための係合構造（３）を含む、請求項１〜１０のいずれか１項に記載の椎間板人工器官。
12. 前記自由端部は前記ループ形状部の両端のそれぞれに連続する、請求項１〜１１のいずれか１項に記載の椎間板人工器官。

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