JP5552447B2 - 超音波計測方法、及び超音波計測装置 - Google Patents
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Description
従来、品質検査は、電極製造ラインで製造される電極から任意に抜き取った所定形状のサンプルを、アウトラインで、電極ペースト塗布前との重量差を計測して行っているほか、X線またはβ線による計測装置(以下、「放射線計測装置」という。)を用いて行っている。
そこで、出願人は、例えば、特許文献1に開示されているような超音波計測装置を用いて、電極製造ラインで製造される電極に対し、その電極ペーストの目付け量及び目付けプロファイルを、インライン上で全数検査ができないかを考えた。
図22に、特許文献1に開示された超音波計測装置の説明図を示す。特許文献1は、図22に示すように、一対の超音波送信手段81と超音波受信手段82とを計測対象物90の上方に配置し、超音波送信手段81から送信された入射波を計測対象物90に透過させ、計測対象物90からの反射波を超音波受信手段82で受信する超音波計測装置である。超音波送信手段81及び超音波受信手段82は、超音波の伝播がスポットタイプのセンサである。
金属箔に対し、電極ペーストの塗布前後の重量差を計測する方法は、稼動中の電極製造ラインに適用できないため、電極製造ラインからサンプリングした電極を対象に、アウトラインで実施していたが、電極ペーストの重量差によるこの方法では、作業者が、電極ペーストの目付け量及び目付けプロファイルについて、正確に確認できない。
しかも、このような放射線計測装置は、線源から放射線を集束して被計測物の測定部位に照射することにより、被計測物における測定部位の厚みを計測するようになっているため、厚みが測定できる範囲として、例えば、Φ0.3(mm)等、非常に微小な領域でしか計測できない。そのため、電極を電極製造ラインからサンプリングして計測しているが、そのサンプリングした電極でさえも、放射線計測装置では、電極に、密度の高い金属箔を含んでいるため、電極ペーストの目付け量及び電極ペーストの目付けプロファイルを、信頼性が高い測定精度で計測することができない。
また、電極ペーストの目付けプロファイルの検査は、電極ペーストのエッジ部で厚みを所定範囲にかけて測定することにより、エッジ部全体の形状を把握する検査であることから、スポットタイプの超音波センサでは、電極ペーストの目付けプロファイルを、信頼性が高い測定精度で計測することができない。
従って、従来の超音波計測装置では、電極製造ラインで製造される電極に対し、その電極ペーストの目付け量及び目付けプロファイルの品質検査を、インライン上で広範囲にわたって満遍なく実施することができない問題があった。
(1)第1超音波センサと第2超音波センサとを一対で有し、ロール状に捲回されていた金属製の基材の片面または両面に塗布材を塗布した塗布製品の厚み方向に対し、一方側に第1超音波センサを、他方側に第2超音波センサを、それぞれ空気層を介して配置し、第1超音波センサと第2超音波センサとの間で超音波を伝播させることにより、塗布材の厚みを計測する超音波計測方法において、第1超音波センサに、超音波の伝播がフラットタイプの送信センサを用いること、第2超音波センサに、超音波の伝播がフラットタイプの受信センサを用いること、を特徴とする。
また、「超音波の伝播がフラットタイプの受信センサ」とは、第2超音波センサで超音波を受波する第2振動面が、1つの振動面、または複数に分割された振動面からなり、第2振動面の全体形状が、例えば、矩形状、円形状等に形成された超音波センサである。また、第1超音波センサから送波、照射されて塗布製品を少なくとも透過した超音波(透過波)を、空気層を介して第2振動面で受波することができる超音波センサをいう。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載する超音波計測方法において、空気層を伝播する超音波を受波する受波側超音波センサで、受波後、時間の経過と共に、生じる複数群の音波波形のうち、最初に検出される音波波形を第1群音波波形と、第1群音波波形に次いで検出される音波波形を第2群音波波形としたときに、第2群音波波形と第1群音波波形とが重ならない条件の下、少なくとも第1超音波センサ及び第2超音波センサの各周波数を、塗布材の厚みに応じて、より低く設定することを特徴とする。
(7)(5)または(6)に記載する超音波計測方法において、塗布製品を挟み、第1超音波センサと第2超音波センサとを、第1超音波センサで超音波振動する第1振動面、及び第2超音波センサで超音波振動する第2振動面に対し垂直方向に、第1振動面と第2振動面との距離が100mm以下で、配置すること、第2群音波波形で、振幅が最大値となる状態にあるときに、塗布材の厚みを計測することを特徴とする。
(8)(7)に記載する超音波計測方法において、塗布材の厚さを、第1群音波波形による受信信号に基づいて計測することを特徴とする。
(10)(9)に記載する超音波計測装置において、第1超音波センサ及び第2超音波センサは、超音波を送信及び受信が可能なセンサであり、第1超音波センサ及び第2超音波センサに対し、超音波の送受信を制御する超音波発振制御手段を有し、第1超音波センサが送波し、第2超音波センサが受波する状態を第1状態とし、第1超音波センサが受波し、第2超音波センサが送波する状態を第2状態としたときに、超音波発振制御手段は、第1超音波センサと第2超音波センサとに対し、互いに異なるよう、第1状態と第2状態とを交互に置換させることを特徴とする。
(12)(9)乃至(11)のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、第1超音波センサが超音波を送波し、第2超音波センサが第1超音波センサから送波した超音波を受波すること、第1超音波センサと第2超音波センサとの間で、超音波が伝播するのを阻む超音波阻害手段を備え、超音波阻害手段は、塗布製品と第2超音波センサとの間のうち、塗布材のエッジ部の周囲に相当する位置に移動可能に設けられていることを特徴とする。
(14)(9)乃至(13)のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、第1超音波センサ乃至第3超音波センサのうち、受波側超音波センサで受波した超音波の減衰率に基づいて、塗布材の厚みを算出する厚み演算手段を備えていることを特徴とする。
(16)(15)に記載する超音波計測装置において、厚み演算手段は、第1群音波波形による受信信号に基づいて、塗布材の厚さを計測することを特徴とする。
(17)(9)乃至(16)のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、空気層の密度の変化を抑止する空気対流抑止手段が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする。
(19)(17)または(18)に記載する超音波計測装置において、空気対流抑止手段には、空気層の温度を測定する温度計測手段が設けられていることを特徴とする。
(20)(9)乃至(19)のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、空気対流抑止手段は、少なくとも第1超音波センサ及び第2超音波センサに、対地からの外部振動が伝播するのを阻止する防振手段を備えていることを特徴とする。
(21)(9)乃至(20)のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、基材は、塗布製品である電池の電極に用いる金属箔であり、塗布材は、金属箔に塗布された電極ペーストであることを特徴とする。
本発明の超音波計測方法では、
(1)第1超音波センサと第2超音波センサとを一対で有し、ロール状に捲回されていた金属製の基材の片面または両面に塗布材を塗布した塗布製品の厚み方向に対し、一方側に第1超音波センサを、他方側に第2超音波センサを、それぞれ空気層を介して配置し、第1超音波センサと第2超音波センサとの間で超音波を伝播させることにより、塗布材の厚みを計測する超音波計測方法において、第1超音波センサに、超音波の伝播がフラットタイプの送信センサを用いること、第2超音波センサに、超音波の伝播がフラットタイプの受信センサを用いること、を特徴とするので、例えば、電池製造工程において、金属箔(基材)に電極ペースト(塗布材)を塗布して電極(塗布製品)を製造する製造ラインで、塗布材の目付け量、及び目付けプロファイル等、塗布材の厚みを、インラインで計測する場合、第1超音波センサから送波した超音波が、塗布製品に対し広い面積にわたって照射されて塗布製品中の基材と塗布材とを透過し、第2超音波センサが、より広範囲にわたって基材及び塗布材を透過した超音波(透過波)を受波することにより、塗布材の厚みを求めるための受信信号が、特許文献1のような従来のスポットタイプの超音波センサに比べ、塗布製品の広い範囲で得られる。
これにより、第1超音波センサが、送波した超音波を、空気層を介して、塗布製品のうち、第1振動面と対向するエリア内に少なくとも伝播させ、第2超音波センサが、第1超音波センサより送波、照射されて塗布製品を少なくとも透過した超音波(透過波)を、空気層を介して第2超音波センサの第2振動面で受波する。
よって、本発明の超音波計測方法では、第2超音波センサにおいて、塗布材の厚みを求めるための受信信号が、スポットタイプの超音波センサに比べて、塗布製品の広い範囲で得られ、例示したような電極ペーストの目付け量や目付けプロファイル等、塗布材の厚みに係る品質検査を、塗布製品の製造ライン上で実施することができる。
その一方で、塗布材の目付けプロファイル等の検査は、塗布材のエッジ部で塗布材の厚みを所定範囲にかけて測定することにより、エッジ部全体の形状を把握することから、塗布製品において塗布材の厚みをより広い範囲で検出できる分、塗布材の目付けプロファイル等の検査を、放射線計測装置や、特許文献1のような従来のスポットタイプの超音波センサによる従来の検査方法に比べ、より精度良く計測することができる。
従って、本発明の超音波計測方法によれば、製造ラインで製造される塗布製品に対し、インライン上で、塗布製品に塗布された塗布材の厚みを、低コストで、信頼性の高い計測精度で計測することができる、という優れた効果を奏する。
超音波センサは、同じ周波数帯でも厳密に言えば、個々の超音波センサ毎に微妙に周波数が異なっており、それぞれ固有の周波数となっているのが一般的である。本発明の超音波計測方法は、超音波センサの性能上、このような周波数差が必然的に生じ得る現象を、第1超音波センサと第2超音波センサとに利用している。
すなわち、第1超音波センサは、周波数f1(f)を固有の特性値とし、第2超音波センサは、周波数f2(f)を固有の特性値とする超音波センサであり、周波数f1と周波数f2とは、f1≒f2の関係にある。
(1)音速
C=f×λ…式1
C:音速(m/sec)、f:周波数(kHz)、λ:波長(m)
また、
C=331.5+(0.61×t)…式2
t:温度(℃)
(2)密度
ρ=1.293×(273.15/(273.15+t))×(P/1013.25)…式3
ρ:密度(kg/m3)(ntp)、t:温度(℃)、P:気圧(atm)
(3)音響インピーダンス
Z=ρ×C…式4
Z:音響インピーダンス(Pa・s/m)
λ2=Z2/f2/ρ2
λ2:第2超音波センサで受波する超音波の波長(m)、Z2及びρ2:定数
また、第2状態のときに、周波数f2(f)の第2超音波センサから送波した超音波が塗布製品を透過し、周波数f1(f)の第1超音波センサで受波した透過波の波長λ1(第1受波信号)は、波長λ2と同様、式5より、
λ1=Z1/f1/ρ1
λ1:第1超音波センサで受波する超音波の波長(m)、Z1及びρ1:定数
となり、定数は、Z1≒Z2、ρ1≒ρ2の関係にあり、周波数は、f1≒f2の関係にあることから、第1受波信号である波長λ1と、第2受波信号である波長λ2とは、λ1≒λ2の関係となる。
これに対し、本発明の超音波計測方法では、超音波発振制御手段により、第1超音波センサと第2超音波センサとに対し、互いに異なるよう、第1状態と第2状態とを交互に置換させている。
これにより、計測時の空気の温度変化に対応しつつ、塗布材の厚みを求めるのに、第1状態のときに、第2超音波センサで受波した超音波の第2受波信号(λ2)と、第2状態のときに、第1超音波センサで受波した超音波の第1受波信号(λ1)との2種類の受信信号に基づいて計測できている。
特に、超音波センサでは、音波伝播の特性上、超音波の受信パワー(超音波強度)の大きさと受波する超音波の波長の大きさとの間には、一般的に相関関係がある。超音波強度は、ある波長の大きさをピーク値とする正規分布で変化し、波長の大きさがこのピーク値から前後に外れると、超音波強度が上記ピーク値より大きく低下する特性がある。
そのため、第1受波信号と第2受波信号とがλ1≒λ2の関係になると、第1受波信号λ1に対応する超音波強度のピーク値と、第2受波信号λ2に対応する超音波強度のピーク値とが、いずれもほぼ同じ大きさのピーク値に近づき、第1受波信号及び第2受波信号による超音波強度も同じような大きさとなる。
従って、第1受波信号と第2受波信号とに基づき、塗布材の厚みを高精度に求めることができる。
本発明の超音波計測方法では、第1超音波センサから送波した超音波が、横波として、基材一面側の塗布材を介して基材に伝播し、第3超音波センサが、基材で正反射した反射波を、再び基材一面側の塗布材を介して受波する。
これにより、第3超音波センサが、基材の一面で正反射した反射波を受波するときの基材反射信号を取得し、この基材反射信号に基づき、基材一面側の塗布材の厚み、あるいは基材一面側の塗布材の目付け量を把握する。
これにより、第2超音波センサが、基材の他面側まで透過した透過波を受波するときの塗布製品透過信号を取得し、この塗布製品透過信号に基づき、塗布製品の厚みを算出し、算出した塗布製品の厚みから、基材の厚みと、基材一面側の塗布材の厚みとを減算し、基材他面側の塗布材の厚みを求める。
従って、基材一面側の塗布材の厚みは、第3超音波センサで受波した超音波の横波による受信信号に基づいて、基材他面側の塗布材の厚みは、第2超音波センサで受波した超音波の縦波による受信信号に基づいて、それぞれ同時に計測することができ、塗布材の厚み計測する設備の簡素化を図ることができる。
第1超音波センサと第2超音波センサとのキャリブレーションは、超音波発振制御手段により、送波側と受波側とを相互に切り換えて行う。また、第1超音波センサと第3超音波センサとのキャリブレーションは、超音波発振制御手段により、送波側と受波側とを相互に切り換えて行う。
よって、超音波阻害手段によりエッジ部周囲の形状がほとんど露出せず、例示した電極ペーストの目付けプロファイル等、塗布材のエッジ部の形状が、第2超音波センサで受信された受信信号に基づき、塗布材の厚みに対応してはっきりと検出できる。
第2群音波波形は、送波した超音波が塗布製品を透過せず塗布製品でいったん反射した後に、塗布製品を透過して受波された第1反射波による受信信号と、送波した超音波が塗布製品を透過して受波側超音波センサ側でいったん反射した後、塗布製品に戻ってここで反射して受波された第2反射波による受信信号とを含むエコーであり、塗布材の厚みを求めるのに必要な受信信号にとってノイズとなることがある。
従って、第1群音波波形と第2群音波波形とが重ならない条件が前提となる。
これにより、塗布材を伝播するときに生じる超音波の減衰をより小さく抑えることができると共に、受波側超音波センサで受波した受信信号の分解能をより高くして、塗布材の厚みが高精度に求められる。
超音波の減衰率は、媒質の密度及び媒質の厚さをパラメータとして変化する。基材を透過するとき超音波の減衰率と基材の目付け量とに関する検量線、及び塗布製品において超音波の減衰率と塗布材の目付け量に関する検量線に基づき、塗布製品の目付け量から基材の目付け量を減算することにより、塗布材の目付け量を求めることができる。
よって、塗布製品の目付け量と基材の目付け量との差から、塗布材の目付け量が簡単に得られる。
その一方で、塗布材が基材の一面に塗工された塗布製品向けの片面塗工実測用検量線により、塗布製品の目付け量を得ておき、この塗布製品の目付け量から基材の目付け量を減算し、基材の一面側の塗布材の目付け量を得る。
よって、塗布製品の目付け量と基材の目付け量との差から、塗布材の目付け量が簡単に得られる。
特に、第1振動面及び第2振動面に対し、第1超音波センサの第1振動面と第2超音波センサの第2振動面との距離が100mm以下で配置されていると、第1群音波波形以降の奇数群の音波波形については、第1群音波波形と同様の傾向となるが、送信後、伝播距離が長くなり超音波の減衰が大きくなり、超音波強度が小さくなる。そのため、塗布材の厚みを求めるのには、第1群音波波形による受信信号を用いるのが適切である。
また、第2群音波波形は、前述したように、第1反射波による受信信号と第2反射波とによる受信信号とを共に含むエコーとなり、塗布材の厚みを求めるのに必要な受信信号にとってノイズとなる。
(a)塗布製品が第1超音波センサと第2超音波センサとのちょうど中央位置にある場合
この場合には、第2群音波波形は、前述の第1反射波と第2反射波とが同周期で合成し、このときの合成波の振幅は最大となる。
(b)塗布製品が第1超音波センサと第2超音波センサとの中央位置から少し片側寄りに位置する場合
この場合には、第2群音波波形は、前述の第1反射波と第2反射波との位相がずれて干渉し合い、第1反射波と第2反射波との位相が半周期ずれたところで、第2群音波波形の振幅は最小となる。
(c)塗布製品が第1超音波センサと第2超音波センサとの中央位置から大きく片側寄りに位置する場合
この場合には、第2群音波波形は、第1反射波と第2反射波との位相が完全にずれてしまい、第1反射波と第2反射波とが2つに分離する。
なお、第1群音波波形は、上記の(a)乃至(c)の何れの場合においても、送波した超音波が基材と塗布材とを透過した透過波だけの受信信号となり、第1反射波及び第2反射波による多重反射波の影響を受けない。
従って、計測時に、製造ラインに製造される塗布製品が、第1超音波センサと第2超音波センサとのちょうど中央位置に配置され、ロール状に捲回されていた基材にうねりがなく、作業者は、良好な状態にある基材に塗布材が塗布されていることを確認することができる。
(9)第1超音波センサと第2超音波センサとを一対で有し、ロール状に捲回されていた金属製の基材の片面または両面に塗布材を塗布した塗布製品の厚み方向に対し、一方側に第1超音波センサを、他方側に第2超音波センサを、それぞれ空気層を介して配置し、第1超音波センサと第2超音波センサとの間で超音波を伝播させることにより、塗布材の厚みを計測する超音波計測装置において、第1超音波センサは、超音波の伝播がフラットタイプの送信センサであること、第2超音波センサは、超音波の伝播がフラットタイプの受信センサであること、を特徴とするので、前述で例示したように、電池製造工程において、金属箔(基材)に電極ペースト(塗布材)を塗布して電極(塗布製品)を製造する製造ラインで、塗布材の目付け量、及び目付けプロファイル等、塗布材の厚みを、インラインで計測する場合、第1超音波センサから送波した超音波が、塗布製品に対し広い面積にわたって照射されて塗布製品中の基材と塗布材とを透過し、第2超音波センサが、より広範囲にわたって基材及び塗布材を透過した超音波(透過波)を受波することにより、塗布材の厚みを求めるための受信信号が、塗布製品の広い範囲で得られる。
特に、製造ラインで製造される塗布製品に対し、塗布材の目付け量及び目付けプロファイル等の品質検査を、品質管理上、インライン上で広範囲にわたって満遍なく実施したい場合でも、次々と製造される塗布製品に対し、塗布材の厚みを、インラインで全数検査ができるようになる。
また、塗布製品において塗布材の厚みをより広い範囲で検出できる分、塗布材の目付けプロファイル等の検査が、放射線計測装置や、特許文献1のような従来のスポットタイプの超音波センサによる従来の検査方法に比べ、より精度良く計測できる。
また、本発明の超音波計測装置の設備コストは、放射線計測装置に比して安価であり、塗布製品に反映されるコストが大きく削減できる。
従って、本発明の超音波計測装置では、製造ラインで製造される塗布製品に対し、インライン上で、塗布製品に塗布された塗布材の厚みを、低コストで、信頼性の高い計測精度で計測することができる、という優れた効果を奏する。
これに対し、本発明の超音波計測装置では、超音波発振制御手段により、第1超音波センサと第2超音波センサとに対し、互いに異なるよう、第1状態と第2状態とを交互に置換させている。
これにより、計測時の空気の温度変化に対応しつつ、塗布材の厚みを求めるのに、第1状態のときに、第2超音波センサで受波した超音波の第2受波信号(λ2)と、第2状態のときに、第1超音波センサで受波した超音波の第1受波信号(λ1)との2種類の受信信号に基づいて計測できている。
本発明の超音波計測装置では、第1超音波センサから送波した超音波が、横波として、基材一面側の塗布材を介して基材に伝播し、第3超音波センサが、基材で正反射した反射波を、再び基材一面側の塗布材を介して受波する。
これにより、第3超音波センサが、基材の一面で正反射した反射波を受波するときの基材反射信号を取得し、この基材反射信号に基づき、基材一面側の塗布材の厚み、あるいは基材一面側の塗布材の目付け量を把握する。
これにより、第2超音波センサが、基材の他面側まで透過した透過波を受波するときの塗布製品透過信号を取得し、この塗布製品透過信号に基づき、塗布製品の厚みを算出し、算出した塗布製品の厚みから、基材の厚みと、基材一面側の塗布材の厚みとを減算し、基材他面側の塗布材の厚みを求める。
従って、基材一面側の塗布材の厚みは、第3超音波センサで受波した超音波の横波による受信信号に基づいて、基材他面側の塗布材の厚みは、第2超音波センサで受波した超音波の縦波による受信信号に基づいて、それぞれ同時に計測することができ、塗布材の厚み計測する設備の簡素化を図ることができる。
第1超音波センサと第2超音波センサとのキャリブレーションは、超音波発振制御手段により、送波側と受波側とを相互に切り換えて行う。また、第1超音波センサと第3超音波センサとのキャリブレーションは、超音波発振制御手段により、送波側と受波側とを相互に切り換えて行う。
よって、超音波阻害手段によりエッジ部周囲の形状がほとんど露出せず、例示した電極ペーストの目付けプロファイル等、塗布材のエッジ部の形状が、第2超音波センサで受信された受信信号に基づき、塗布材の厚みに対応してはっきりと検出できる。
超音波の減衰率は、媒質の密度及び媒質の厚さをパラメータとして変化する。基材を透過するとき超音波の減衰率と基材の目付け量とに関する検量線、及び塗布製品において超音波の減衰率と塗布材の目付け量に関する検量線に基づき、塗布製品の目付け量から基材の目付け量を減算することにより、塗布材の目付け量を求めることができる。
このような場合、超音波が伝播する媒質の一つでもある空気層の密度が、超音波センサで計測する部分と、その他の部分とで異なると、塗布材の厚みをより正確に計測することができない。
受波側超音波センサが、このような合成波を受波すると、外部振動の影響を受けずに送信側超音波センサから送波された超音波の波長と、受波側超音波センサで受波した合成波の波長に差異が生じてしまい、受信感度が悪化する問題がある。
(17)本発明の超音波計測装置では、空気層の密度の変化を抑止する空気対流抑止手段が少なくとも1つ設けられているので、塗布製品の製造ライン上で、塗布された塗布材の目付け量や目付けプロファイル等、塗布材の厚みをインラインで計測するときに、空気対流抑止手段により、空気層を伝播する超音波の波長が変動し難く、塗布材の厚みを、より正確で高精度に計測することができる。
このような製造ラインは、温度管理された場所で設置されているため、製造ラインで次々と連続して製造される塗布製品に対し、その基材及び塗布材そのものの温度は、ライン稼働中、変化せず一定とみなすことができる。そのため、ライン稼働中、超音波が基材及び塗布材を透過するときには、基材及び塗布材における音響インピーダンスは変化しないため、塗布材の厚みの計測時に、基材及び塗布材の各温度による影響は生じない。
本発明の超音波計測装置は、温度管理された雰囲気の下に設置されるものの、設置室内には空気の対流が生じ得るため、本発明の超音波計測装置の空気層に、空気密度の変化を抑止する空気対流抑止手段を少なくとも1つ設けている。
これにより、本発明の超音波計測装置の空気層には、空気等の気体の対流に起因して空気の温度にバラツキがほとんど生じず、例えば、第1超音波センサと塗布製品との間の温度分布、塗布製品と第2超音波センサとの間の温度分布、場合によって第3超音波センサと塗布製品との間の温度分布、及び塗布製品を挟む両側の温度分布等、空気層全体で温度差を持たないより均一な温度分布とすることができる。
また、前述した式2乃至式4より、空気層全体が均一な温度分布になることで、音響インピーダンスは変化しない。
前述したように、第1超音波センサは、周波数f1(f)を固有の特性値とし、第2超音波センサは、周波数f2(f)を固有の特性値とし、第3超音波センサは、周波数f3(f)を固有の特性値とする超音波センサである。
第1超音波センサと塗布製品との間の空気層では、周波数f1(f)の第1超音波センサが伝播する超音波の波長λ1は変化しない。第3超音波センサがある場合、第3超音波センサと塗布製品との間の空気層では、周波数f3(f)の第3超音波センサが伝播する超音波の波長λ3は変化しない。
また、塗布製品と第2超音波センサとの間の空気層では、周波数f2(f)の第2超音波センサが伝播する超音波の波長λ2は変化しない。
これにより、塗布製品を透過する透過波(超音波)も、超音波強度が最も大きい状態で、塗布製品に伝播し、この塗布製品から再び空気層を伝播して第2超音波センサで受波される超音波についても、超音波強度が最も大きい状態で、伝播し受波される。
従って、受波した超音波において、その波長の大きさ、到達時間、減衰率等の受信信号に基づいて塗布製品の塗布材の厚みを計測すると、塗布製品ごと、あるいは塗布製品の測定部位ごとによって、厚みの測定誤差は生じ難く、塗布材の厚みを高精度に計測することができる。
本実施形態に係る超音波計測装置は、電池製造工程において、金属箔(基材)に電極ペースト(塗布材)を塗布して電極(塗布製品)を製造する電極製造ラインにインラインで設置され、乾燥した電極ペーストの目付け量、及び目付けプロファイルの品質検査を行う目的で設置される。
また、本実施形態に係る超音波計測方法は、この超音波計測装置を用いて電極ペーストの目付け量、及び目付けプロファイルの品質検査を行うときの方法である。
本実施例では、電極ペーストを金属箔片面に塗工する場合について説明する。
図1は、第1実施例に係る超音波計測装置を示す斜視図である。図2は、図1中、A−A矢視断面図であり、図3は、図2中、C−C矢視断面図であり、図2及び図3は、超音波計測装置の主要部を説明する図である。図4は、第1実施例に係る超音波計測装置の構成を説明する図である。図5は、図1中、A−A矢視に相当する方向から見た電極の断面図を示す。図6は、電極ペーストの目付けプロファイルを検査する様子を説明する図である。
本発明において、基材は、塗布製品である電池の電極に用いる金属箔であり、塗布材は、金属箔に塗布された電極ペーストである。
具体的には、電極60は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の電源として、二次電池に用いる電極であり、図5に示すように、Al,Cu等の金属箔61の一面61aに電極ペースト62を塗布してなる。
電極60は、電極ペースト62を金属箔61に押圧してから乾燥させた後、電極ペースト62の厚みが40〜50μm程度に形成され、コンベア50により、連続的に製造される電極60の切断等、次工程に向けて送出される。
超音波計測装置1は、前述したように、電極製造ラインで電極ペースト62を乾燥させた後、図1に示すように、コンベア51により電極60を次工程に送出する前の位置に、配設されている。
超音波計測装置1は、ロール状に捲回されていた金属箔61の一面61aに電極ペースト62を塗布した電極60の厚み方向TDに対し、一方側に第1超音波センサ11を、他方側に第2超音波センサ12を、それぞれ空気層ARを介して配置している。この超音波計測装置1は、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12との間で超音波USを伝播させることで、電極60中の電極ペースト62の厚みを計測する。
第1超音波センサ11は、超音波USの伝播がフラットタイプの送信センサであり、超音波の受信をも可能とする超音波センサである。
フラットタイプの送信センサとは、第1超音波センサ11で超音波USを送波する第1振動面11aが、本実施形態では、1つであり、第1振動面11aの全体形状が矩形状に形成された超音波センサである。また、送波した超音波USを、空気層ARを介して、電極60のうち、第1振動面11aと対向するエリア内に少なくとも伝播させることができる超音波センサをいう。
第2超音波センサ12が送信側になる場合についても、第1振動面11aが第2振動面12aに変わるだけで、第1超音波センサ11と実質的に同じである。
フラットタイプの受信センサとは、第2超音波センサ12で超音波USを受波する第2振動面12aが、本実施形態では、1つであり、第2振動面12aの全体形状が矩形状に形成された超音波センサである。また、第1超音波センサ11から送波、照射されて電極60を少なくとも透過した超音波(透過波)USを、空気層ARを介して第2振動面12aで受波することができる超音波センサをいう。
第1超音波センサ11が受信側になる場合についても、第2振動面12aが第1振動面11aに変わるだけで、第2超音波センサ12と実質的に同じである。
第1,第2超音波センサ11,12のうち、空気層ARを伝播する超音波USを受波する受波側超音波センサ12Aで、受波後、時間の経過と共に、生じる複数群の音波波形のうち、最初に検出される音波波形を第1群音波波形と、第1群音波波形に次いで検出される音波波形を第2群音波波形とする(図9及び図10等参照)。
第1超音波センサ11及び第2超音波センサ12は、電極ペースト62の厚みtに応じて、第2群音波波形が第1群音波波形と重ならない条件を満たす周波数のうち、周波数をより低くした超音波センサであり、具体的には、周波数400kHz以下の超音波センサである。
第1超音波センサ11と、第2超音波センサ12とは、公称周波数として同じ周波数帯の超音波センサである。
センサ取付け部30は、図2及び図3に示すように、開口部32を有したコ字型形状の本体部31と、この本体部31から下方に立設された支柱を介して接続する平板状の支持部33とからなる。
カバー35は、電極60の送出経路である送出口36を除き、センサ取付け部30の開口部32と本体部31との周囲をすっぽりと覆い、センサ取付け部30と一体で形成されている。
また、4つの第2超音波センサ12は、本体部31の下部で、幅方向WDに対し所定の間隔で一列に配列され、各第2超音波センサ11の第2振動面12aが、何れも鉛直方向上方に向けて配置されている。
4つの第1超音波センサ11は、図1及び図6に示すように、電極60の幅方向WDに対し、両側にあるエッジ部62Cを含む電極ペースト62全体の照射エリアMBに、超音波USを照射できるようになっている。電極60中の金属箔61の他面61bでは、照射エリアMBにおいて、4つの第1超音波センサ11により送波された超音波USが、4つの第2超音波センサ12に向けて空気層ARを伝播するようになっている。
センサ取付け部30及びカバー35は、図1に示すように、電極ペースト62の厚みを求める計測エリアMA内で、長手方向LD及び幅方向WDに対し、図示しない駆動源により、防振プレート38と相対的に移動可能に配設されている。
第1超音波発振器11Fと第2超音波発振器12Fとは、超音波発振制御部10と電気的に接続されている。
具体的には、第1超音波センサ11が送波し、第2超音波センサ12が受波する状態を第1状態とし、第1超音波センサ11が受波し、第2超音波センサ12が送波する状態を第2状態としたときに、超音波発振制御部10が、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とに対し、互いに異なるよう、第1状態と第2状態とを交互に置換させる。
具体的には、第1群音波波形と第2群音波波形については、後に詳述するが、厚み演算部20は、第2群音波波形で、振幅が最大値となる状態にあるときに、第1群音波波形による受信信号に基づいて、電極ペースト62の厚みを計測する。
RAMには、超音波が空気層ARを伝播するときの減衰率、超音波が金属箔61を透過するときの減衰率または金属箔61の厚み、温度計37により計測した空気層ARの温度、第1振動面11aと第2振動面12aとのプローブ間距離、空気層ARにおいて、温度に対応した音速、密度、及び音響インピーダンス等が、設定値として入力できるようになっている。
マスク40は、センサ取付け部30の本体部31の開口部32において、電極60と第2超音波センサ12との間に空気層ARのうち、図2に示すように、電極60の幅方向WD両側にある電極ペースト62のエッジ部62Cの周囲に相当する位置に、図示しない駆動源により、長手方向LD及び幅方向WDに移動可能に設けられている。
第1超音波センサ11が超音波USを送波し、第2超音波センサ12が第1超音波センサ11から送波した超音波USを受波する前述の第1状態のときに、マスク40は、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12との間で、超音波USが伝播するのを阻む。このマスク40は、幅方向WDに対する電極60の大きさと、金属箔61に形成されたエッジ部62Cの位置に対応する位置に固定されるようになっている。
図7に、電極を透過する超音波の減衰率と、電極の目付け量との関係を示す検量線のグラフを示す。超音波計測装置1により、電極ペースト62の目付け量及び目付けプロファイルを検査するには、電極ペースト62の厚みを計測する前に、第1,第2超音波センサ11,12のキャリブレーションを行うほか、図7に示すような検量線を、予め作成しておく必要がある。
特に、計測対象である電極60において、金属箔61の厚みや電極ペースト62の塗工条件によっては、受波側となる超音波センサの周波数が高くなると、分解能の高い目付け量が検量線から得られる。
また、検量線は、図7に示す電極60向けの実測用検量線のほか、後述する第1,第2超音波センサ11,12のキャリブレーション向けに用いる検量線、及び金属箔61向けの実測用検量線を予め作成しておく必要がある。
電極60向けの実測用検量線は、電極ペースト62の実測時に用いるもので、電極60(金属箔61及び電極ペースト62)を透過する透過波USの減衰率に基づいて、電極60の目付け量を算出した検量線である。
キャリブレーション向けの検量線、金属箔61向けの実測用検量線、及び電極60向けの実測用検量線を作成するときには、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とも同じ超音波センサを用い、それぞれの検量線毎に、第1超音波センサ11の周波数と第2超音波センサ12の周波数とがそれぞれ変化しないようにしておく。
検量線は、室内において、温度一定、及び湿度10%以下で一定に保たれた雰囲気の下、一対の送信側超音波センサ及び受信側超音波センサにより、厚みが異なる複数種の基準被検体に対し、送波した超音波をそれぞれの基準被検体に透過させ、このときに受信側超音波センサで受波する透過波(超音波)の減衰率を求める。
キャリブレーション向けの検量線を求めるのに用いる基準被検体は、酸化等に起因した材質変化のない材質として、Cu製の箔を用いる。基準被検体は、所定厚さのものを用いられる。勿論、Cuの密度は、JIS規格等の機械的性質で自明となっている。
電極ペースト等の目付け量は密度と同じディメンジョンであり、基準被検体の厚さは定数であることから、次式により、
目付け量=A/超音波の減衰率
A:定数(基準被検体の厚み、密度の単位換算に必要な係数、及び温度変化に対応した補正係数)
の関係が得られる。
第1,第2超音波センサ11,12では、第1状態の場合と第2状態の場合の何れの場合でも、キャリブレーションは、実質的に同じ手順で行われるため、ここでは、第1状態のキャリブレーションの手順を代表して、図8を用いて説明する。図8は、第1,第2超音波センサのキャリブレーションの手順を示すフローチャート図である。
次に、ステップS12では、下記の式2乃至式4と、8つの温度計37により検出された温度(例えば、開口部32内の8箇所の平均温度等)とに基づき、空気層ARの温度に対応した音速、密度、及び音響インピーダンスを、補正定数として決定する。
〔空気における音速、密度、及び音響インピーダンス〕
(1)音速
C=f×λ…式1
C:音速(m/sec)、f:周波数(kHz)、λ:波長(m)
また、
C=331.5+(0.61×t)…式2
t:温度(℃)
(2)密度
ρ=1.293×(273.15/(273.15+t))×(P/1013.25)…式3
ρ:密度(kg/m3)(ntp)、t:温度(℃)、P:気圧(atm)
(3)音響インピーダンス
Z=ρ×C…式4
Z:音響インピーダンス(Pa・s/m)
ステップS14では、基準被検体を透過して受波した超音波USで、所定回数分のパルスの音波波形を、厚み演算部20により、正弦波に近似させた音波波形に補正し、補正した正弦波近似波形の最大の振幅値F1を算出する。
ステップS16では、第1超音波センサ11から第2超音波センサ12に直接受波した超音波USで、所定回数のパルス分の音波波形を、厚み演算部20により、正弦波に近似させた音波波形に補正し、補正した正弦波近似波形の最大の振幅値F2を算出する。
次に、ステップS18では、予め作成したキャリブレーション向けの検量線により、ステップS17で算出された減衰率αに対応する目付け量、すなわち基準被検体の密度を算出する。
整合(NO)していなければ、再度ステップS11に戻り、基準被検体の密度が規定の密度と整合するまで、上述した流れのステップを実行する。
電極ペースト62における目付け量及び目付けプロファイルを検査するのに、超音波計測装置1が用いられる。
すなわち、本実施形態に係る超音波計測方法は、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とを一対で有し、ロール状に捲回されていた金属製の金属箔61の一面61aに電極ペースト62を塗布した電極60の厚み方向TDに対し、上方側に第1超音波センサ11を、下方側に第2超音波センサ12を、それぞれ空気層ARを介して配置する。
このような第1,第2超音波センサ11,12に対し、超音波USの送受信を制御する超音波発振制御部10を備えておく。
以下、超音波USを送波する超音波センサを送波側超音波センサ11Aと称し、透過した超音波USを受波する超音波センサを受波側超音波センサ12Aと称する。
この第2群音波波形と第1群音波波形とが重ならない条件の下、第1超音波センサ11及び第2超音波センサ12の各周波数を、電極ペースト62の厚みtに応じて、より低く設定する。具体的には、第1超音波センサ11及び第2超音波センサ12を、周波数400kHz以下の超音波センサとし、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12に、公称周波数として同じ周波数帯の超音波センサを用いる。
また、電極60を挟み、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とを、第1超音波センサ11で超音波振動する第1振動面11a、及び第2超音波センサ12で超音波振動する第2振動面12aに対し垂直方向に、第1振動面11aと第2振動面12aとのプローブ間距離を100mm以下(本実施形態では、70(mm))にして配置する。
その上で、第2群音波波形で、振幅が最大値となる状態にあるときに、第1群音波波形による受信信号、すなわち第1群音波波形の減衰率に基づいて、電極ペースト62の厚みを計測する。
図9は、電極が、送波側超音波センサ及び受波側超音波センサに対し、その中央位置にある場合を模式的に示す説明図であり、電極が図9に示す位置に配置された場合、受波側超音波センサで受波される超音波の音波波形を、図10に示す。
図11は、電極が、送波側超音波センサ及び受波側超音波センサに対し、その中央位置から少し片側寄りに位置する場合を模式的に示す説明図であり、(a)は送波側超音波センサ側寄りの場合、(b)は受波側超音波センサ側寄りの場合である。電極が図11に示す位置に配置された場合に、受波側超音波センサで受波される超音波の音波波形を、図12に示す。
図13は、電極が、送波側超音波センサ及び受波側超音波センサに対し、その中央位置から大きく片側寄りに位置する場合を模式的に示す説明図であり、(a)は送波側超音波センサ側寄りの場合、(b)は受波側超音波センサ側寄りの場合である。電極が図13に示す位置に配置された場合に、受波側超音波センサで受波される超音波の音波波形を、図14に示す。
第1反射波による受信信号は、送波した超音波USが電極60の照射エリアMBを透過せず電極60でいったん反射した後に、電極60を透過して受波された受信信号である。
第2反射波による受信信号は、送波した超音波USが電極60の照射エリアMBを透過して受波側超音波センサ側12Aでいったん反射した後、電極60に戻ってここで反射して受波された受信信号である。
(1)図9に示すように、電極60が送波側超音波センサ11Aと受波側超音波センサ12Aとのちょうど中央位置にある場合
この場合には、図10に示すように、第2群音波波形は、第1反射波と第2反射波とが同周期で合成し、このときの合成波の振幅は最大となる。
(2)図11に示すように、電極60が送波側超音波センサ11Aと受波側超音波センサ12Aとの中央位置から少し片側寄りに位置する場合
この場合には、第2群音波波形は、第1反射波と第2反射波との位相がずれて干渉し合い、第1反射波と第2反射波との位相が半周期ずれたところで、第2群音波波形の振幅は最小となる。
この場合には、第2群音波波形は、第1反射波と第2反射波との位相が完全にずれてしまい、第1反射波と第2反射波とが2つに分離する。
なお、第1群音波波形は、上記の(1)乃至(3)の何れの場合においても、送波側超音波センサ11Aにより送波した超音波USが金属箔61と電極ペースト62とを透過した透過波だけの受信信号となり、第1反射波及び第2反射波による多重反射波の影響を受けない。
従って、第1群音波波形と第2群音波波形とが重ならない条件が前提となる。
その一方で、超音波USの伝播距離が同じでも、周波数がより低いと、伝播時間は長くなることから、第1群音波波形に第2群音波波形が重なる現象が生じ得る。
その一方で、電極ペースト62を伝播させる超音波USの周波数をむやみに高くすると、超音波USの伝播距離が同じである場合、伝播時間はより短くなるが、電極ペースト62を伝播するときに生じる超音波USの減衰はより大きくなり、超音波USの波長から得られる分解能は悪化する。
よって、第2群音波波形と第1群音波波形とが重ならない条件の下で、送波側超音波センサ11A及び受波側超音波センサ12A(第1超音波センサ11及び第2超音波センサ12)の各周波数を、前述したように、電極ペースト62の厚みt(図5参照)に応じて、周波数400kHz以下の範囲内でより低く設定することが好ましい。
受波側超音波センサ12Aの作動時間が長くなると、当該受波側超音波センサ12Aで発熱し、図10に示すように、受波側超音波センサ12A自体の温度が上昇するにつれ、受波した超音波を電圧に変換した受信パワーは低下する。
電極ペースト62の目付け量及び目付けプロファイルの計測時に、第1超音波センサ11及び第2超音波センサ12を冷却して、受波側超音波センサ12A自体の温度上昇を防ぎ、受信パワーの低下を抑止しておくことが好ましい。
また、図1に示すように、図示しない電極製造ライン上にある電極60に対し、その電極ペースト62の目付け量を計測する計測エリアMAで、電極ペースト62の厚みが計測できるよう、カバー35と一体のセンサ取付け部30を移動させておく。
次に、ステップS32では、前述した式2乃至式4と、8つの温度計37により検出された温度(例えば、開口部32内の8箇所の平均温度等)とに基づき、空気層ARの温度に対応した音速、密度、及び音響インピーダンスを、補正定数として決定する。
このとき、第1超音波センサ11及び第2超音波センサ12の公称周波数が400kHz近傍で、第1,第2超音波センサ11,12のプローブ間距離が70(mm)程度の場合には、第1超音波センサ11を1回発振させると、第2超音波センサ12で、受信信号が、被検体、金属箔61を透過した約30パルス分の超音波US(透過波)による音波波形となって得られる。
このとき、第2超音波センサ12を1回発振させると、第1超音波センサ11で、受信信号が、金属箔61、被検体を透過した約30パルス分の超音波US(透過波)による音波波形となって得られる。
ステップS33では、第1状態、第2状態に関わらず、取得する透過波US約30パルス分の音波波形は、図9及び図10に示すように、送波側超音波センサ11Aと受波側超音波センサ12Aとのちょうど中央位置に電極60を配置した場合に生じる第2群音波波形で、この波形の振幅が最大値となる状態を前提とした第1群音波波形である。
具体的には、取得した透過波US約30パルス分のうち、立ち上がりまでのはじめの約5パルス分の透過波USについては、安定した受信信号として取得できないため、安定化する残りの約25パルス分の透過波USを、平均化等により正弦波に近似させた音波波形に補正し、補正した正弦波近似波形の最大振幅値F3を算出する。
最大振幅値F3は、第1状態と第2状態の場合で2種類得られる。
具体的には、減衰率βは、ステップS34で算出した最大振幅値F3と、図8中、ステップS14で算出した最大振幅値F1とに基づいて算出され、F3/F1×100の積で求められる。
具体的には、例えば、第1状態において、受波側超音波センサ12Aが周波数165kHzのセンサで、減衰率βが1.0%であった場合には、電極ペースト62の目付け量は、図7に示す実測向けの検量線から、約75(g/m2)であると読み取れる。
また、上記第1状態から置換された第2状態において、受波側超音波センサ12Aが周波数92kHzのセンサで、減衰率βが1.7%であった場合には、電極ペースト62の目付け量は、図7に示す電極60向けの実測用検量線から、約80(g/m2)であると読み取れる。
すなわち、ステップS36で例示した場合において、第1状態において、周波数165kHzの受波側超音波センサ12Aで、金属箔61を透過する透過波の減衰率がγ1であった場合には、金属箔61の目付け量は、予め用意した金属箔61向けの実測用検量線からs1(g/m2)を読み取る。
また、第2状態において、周波数92kHzの受波側超音波センサ12Aで、金属箔61を透過する透過波の減衰率がγ2であった場合には、金属箔61の目付け量は、予め用意した金属箔61向けの実測用検量線からs2(g/m2)を読み取る。
また、第2状態で算出した電極ペースト62の目付け量約80(g/m2)から、同じ第2状態で算出した金属箔61の目付け量s2(g/m2)を減算し、この差が、第2状態で算出される電極ペースト62の目付け量t2(g/m2)となる。
電極ペースト62の目付け量t1,t2(g/m2)の算出値が、正常値として判断されれば、出力として、2種類の目付け量t1,t2(g/m2)について、平均化等の演算処理を行い、演算処理後の計測値が、ライン上で計測した電極60の電極ペースト62の目付け量として得られ、計測を終了する(YES)。
4つの第1超音波センサ11の照射エリアMB(図1参照)内に、幅方向WD両側にエッジ部62Cが入るよう、4つの第1超音波センサ11のうち、幅方向WD両側にある2つの第1超音波センサ11と、これらの第1超音波センサ11の対となる第2超音波センサ12とが配置されていることが前提となる。
本実施形態に係る超音波計測方法は、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12との間で、超音波USが伝播するのを阻むマスク40を用い、電極60と第2超音波センサ12との間のうち、電極ペースト62のエッジ部62Cの周囲に相当する位置に、マスク40を移動させて配置した後、第1超音波センサ11が電極ペースト62のエッジ部62Cに向けて超音波USを送波し、第2超音波センサ12で受波する。
電極60には、電極ペースト62の幅方向WD両側にエッジ部62Cが存在する。エッジ部62Cは、図5及び図6に示すように、金属箔61の一面61aに対して傾斜しており、電極ペースト62の厚みtがt=0から徐々に大きく変化している部分である。
2つのマスク40は、このような電極ペースト62のエッジ部62Cの位置するところまでそれぞれ移動させ、図6に示すように、マスク開口部41の内側に相当する部分にエッジ部62Cが配置されたところで停止させる。
第1超音波センサ11はフラットタイプの送信センサであり、第2超音波センサ12はフラットタイプの受信センサであるため、第1超音波センサ11から送波した超音波USは、図6に示すように、電極60を透過した後、マスク40へ伝わる部分と、マスク40のマスク開口部41を通過して第2超音波センサ12に受波される部分とに分かれる。
マスク40に伝わった超音波USは、マスク40から透過しないよう、マスク40に吸収させる。
本実施例では、電極ペーストを金属箔両面に塗工する場合について説明する。
本実施例は、第3超音波センサ13の有無、第1,第2超音波センサ11,12の配置等の点で、実施例1と異なるが、それ以外の部分は、実施例1と同様である。
従って、実施例2は、実施例1とは異なる部分を中心に説明し、その他について説明を簡略または省略する。
第3超音波センサ13は、第1,第2超音波センサ11,12と同様、超音波の受信をも可能とする超音波センサであり、周波数400kHz以下の同じ周波数帯の超音波センサである。
第1超音波センサ11と第2超音波センサ12は、電極60の金属箔61に対し、例えば、θ=13°の角度に配置され、第3超音波センサ13は、第1超音波センサ11から送波した超音波USが電極60で正反射する角度に配置されている。
第1超音波発振器11F、第2超音波発振器12F、及び第3超音波発振器13Fは、超音波発振制御部10と電気的に接続されている。
第1超音波センサ11と第3超音波センサ13との間で行うキャリブレーションは、実施例1で説明した第1超音波センサ11と第3超音波センサ13との間で行うキャリブレーションと同じ要領で、超音波発振制御部10により、送波側と受波側とを相互に切り換えて行う。
金属箔61の一面61aと他面61bの両面に塗工した電極ペースト62の目付け量を、一面61a側と他面61b側で検査するのに、超音波計測装置101を用いる。
検査の前には、電極60を透過するときの超音波USの減衰率と、金属箔61を透過するときの超音波USの減衰率βとを予め把握し、第1超音波センサ11乃至第3超音波センサ13でキャリブレーションを完了しておく。
電極ペースト62が金属箔61の一面61aと他面61bの両面に塗工された電極60向けの両面塗工実測用検量線、電極ペースト62が金属箔61の一面61aに塗工された電極60向けの片面塗工実測用検量線、及び金属箔61向けの実測用検量線を予め作成しておく。
本実施形態に係る超音波計測方法では、
(1)第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とを一対で有し、ロール状に捲回されていた金属箔61の一面61aまたは両面61a,61bに電極ペースト62を塗布した電極60の厚み方向TDに対し、一方側に第1超音波センサ11を、他方側に第2超音波センサ12を、それぞれ空気層ARを介して配置し、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12との間で超音波USを伝播させることにより、電極ペースト62の厚みtを計測する超音波計測方法において、第1超音波センサ11に、超音波USの伝播がフラットタイプの送信センサを用いること、第2超音波センサ12に、超音波USの伝播がフラットタイプの受信センサを用いること、を特徴とするので、電池製造工程において、金属箔61に電極ペースト62を塗布して電極60を製造する製造ラインで、電極ペースト62の目付け量、及び目付けプロファイル等、電極ペースト62の厚みtを、インラインで計測する場合、第1超音波センサ11から送波した超音波USが、電極60に対し広い面積(照射エリアMB)にわたって照射されて電極60中の金属箔61と電極ペースト62とを透過し、第2超音波センサUSが、より広範囲にわたって金属箔61及び電極ペースト62を透過した超音波(透過波)USを受波することにより、電極ペースト62の厚みtを求めるための受信信号が、特許文献1のような従来のスポットタイプの超音波センサに比べ、電極60の広い範囲で得られる。
これにより、第1超音波センサ11が、送波した超音波USを、空気層ARを介して、電極60のうち、第1振動面11aと対向するエリア内に少なくとも伝播させ、第2超音波センサ12が、第1超音波センサ12より送波、照射されて電極60を少なくとも透過した超音波(透過波)USを、空気層ARを介して第2超音波センサ12の第2振動面12aで受波する。
よって、本実施形態に係る超音波計測方法では、第2超音波センサ12において、電極ペースト62の厚みtを求めるための受信信号が、スポットタイプの超音波センサに比べて、電極60の広い範囲で得られる。そのため、電極ペースト62の目付け量や目付けプロファイル等、電極ペースト62の厚みtに係る品質検査を、電極60の製造ライン上で実施することができる。
その一方で、電極ペースト62の目付けプロファイルの検査は、電極ペースト62のエッジ部62Cで電極ペースト62の厚みを所定範囲にかけて測定することにより、エッジ部62C全体の形状を把握することから、電極60において電極ペースト62の厚みtをより広い範囲で検出できる分、電極ペースト62の目付けプロファイルの検査を、放射線計測装置や、特許文献1のような従来のスポットタイプの超音波センサによる従来の検査方法に比べ、より精度良く計測することができる。
図19に示すように、フラット型の超音波センサでは、プローブ間距離が大きく変化しても、受波側超音波センサで受波される受信波の振幅の大きさは、プローブ間距離によって大きく変化しない。
これに対し、特許文献1のような従来のスポット型の超音波センサでは、フラット型の超音波センサと比較して、同じプローブ間距離の範囲でも、プローブ間距離がたとえ1(mm)ずれても、受波側超音波センサで受波される受信波の振幅の大きさは、プローブ間距離によっては10%〜20%も低下してしまう。
よって、電極ペースト62の目付け量や目付けプロファイルの検査では、フラット型の超音波センサを用いると、プローブ間距離が多少変化しても、計測精度に影響が少なくなく、高精度に計測することができる。
従って、本実施形態に係る超音波計測方法によれば、製造ラインで製造される電極60に対し、インライン上で、電極60に塗布された電極ペースト62の厚みtを、低コストで、信頼性の高い計測精度で計測することができる、という優れた効果を奏する。
超音波センサは、同じ周波数帯でも厳密に言えば、個々の超音波センサ毎に微妙に周波数が異なっており、それぞれ固有の周波数となっているのが一般的である。本実施形態に係る超音波計測方法は、超音波センサの性能上、このような周波数差が必然的に生じ得る現象を、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とに利用している。
すなわち、第1超音波センサ11は、周波数f1(f)を固有の特性値とし、第2超音波センサ12は、周波数f2(f)を固有の特性値とする超音波センサであり、周波数f1と周波数f2とは、f1≒f2の関係にある。
(1)音速
C=f×λ…式1
C:音速(m/sec)、f:周波数(kHz)、λ:波長(m)
また、
C=331.5+(0.61×t)…式2
t:温度(℃)
(2)密度
ρ=1.293×(273.15/(273.15+t))×(P/1013.25)…式3
ρ:密度(kg/m3)(ntp)、t:温度(℃)、P:気圧(atm)
(3)音響インピーダンス
Z=ρ×C…式4
Z:音響インピーダンス(Pa・s/m)
λ2=Z2/f2/ρ2
λ2:第2超音波センサ12で受波する超音波USの波長(m)、Z2及びρ2:定数
また、第2状態のときに、周波数f2(f)の第2超音波センサ12から送波した超音波USが電極60を透過し、周波数f1(f)の第1超音波センサ11で受波した透過波USの波長λ1(第1受波信号)は、波長λ2と同様、式5より、
λ1=Z1/f1/ρ1
λ1:第1超音波センサ11で受波する超音波USの波長(m)、Z1及びρ1:定数
となり、定数は、Z1≒Z2、ρ1≒ρ2の関係にあり、周波数は、f1≒f2の関係にあることから、第1受波信号である波長λ1と、第2受波信号である波長λ2とは、λ1≒λ2の関係となる。
これに対し、本実施形態に係る超音波計測方法では、超音波発振制御部10により、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とに対し、互いに異なるよう、第1状態と第2状態とを交互に置換させている。
これにより、計測時の空気の温度変化に対応しつつ、電極ペースト62の厚みtを求めるのに、第1状態のときに、第2超音波センサ12で受波した超音波USの第2受波信号(λ2)と、第2状態のときに、第1超音波センサ11で受波した超音波USの第1受波信号(λ1)との2種類の受信信号に基づいて計測できている。
超音波センサでは、音波伝播の特性上、超音波の受信パワー(超音波強度)の大きさと受波する超音波の波長の大きさとの間には、一般的に相関関係がある。超音波強度は、図20に示すように、ある波長の大きさをピーク値とする正規分布で変化し、波長の大きさがこのピーク値から前後に外れると、超音波強度が上記ピーク値より大きく低下する特性がある。また、図20に示すように、受波する超音波P,Qの波長が異なり、波長のピーク値が異なると、受波する超音波P,Qの超音波強度の大きさに大きく差異が生じる。
第1受波信号と第2受波信号とがλ1≒λ2の関係になると、第1受波信号λ1に対応する超音波強度のピーク値と、第2受波信号λ2に対応する超音波強度のピーク値とが、いずれもほぼ同じ大きさのピーク値に近づき、超音波強度も同じような大きさとなる。
従って、第1受波信号と第2受波信号とに基づき、電極ペースト62の厚みtを高精度に求めることができる。
本実施形態に係る超音波計測方法では、第1超音波センサ11から送波した超音波USが、横波として、金属箔61の一面61a側の電極ペースト62を介して金属箔61に伝播し、第3超音波センサ13が、金属箔61で正反射した反射波USを、再び金属箔61の一面61a側の電極ペースト62を介して受波する。
これにより、第3超音波センサ13が、金属箔61の一面61aで正反射した反射波USを受波するときの基材反射信号を取得し、この基材反射信号に基づき、金属箔61の一面61a側の電極ペースト62の目付け量(厚みt)を把握する。
これにより、電極透過信号に基づき、電極60の目付け量を算出し、算出した電極60の目付け量から、金属箔61の目付け量と、金属箔61の一面61a側の電極ペースト62の目付け量とを減算し、金属箔61の他面61b側の電極ペースト62の目付け量(厚みt)を求める。
よって、電極60において両面61a,61bに塗布された電極ペースト62の厚みをそれぞれ計測する設備の簡素化を図ることができる。
よって、カバー40によりエッジ部62C周囲の形状が露出せず、電極ペースト62の目付けプロファイル、すなわち電極ペースト62のエッジ部62Cの形状が、第2超音波センサ12で受信された受信信号に基づき、電極ペースト62の厚みtに対応してはっきりと検出できる。
特に、第1振動面11a及び第2振動面12aに対し、第1超音波センサ11の第1振動面11aと第2超音波センサ12の第2振動面12aとの距離が100mm以下で配置されていると、第1群音波波形以降の奇数群の音波波形については、第1群音波波形と同様の傾向となり、送信後、伝播距離が長くなり超音波USの減衰が大きくなり、超音波強度が小さくなる。そのため、電極ペースト62の厚みtを求めるのには、第1群音波波形による受信信号を用いるのが適切である。
また、第2群音波波形は、前述したように、第1反射波による受信信号と第2反射波とによる受信信号とを共に含むエコーとなり、電極ペースト62の厚みtを求めるのに必要な受信信号にとってノイズとなる。
従って、計測時に、製造ラインに製造される電極60が、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とのちょうど中央位置に配置され、ロール状に捲回されていた金属箔61にうねりがなく、作業者は、良好な状態にある金属箔61に電極ペースト62が塗布されていることをも確認することができる。
(9)第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とを一対で有し、ロール状に捲回されていた金属箔61の一面61aまたは両面61a,61bに電極ペースト62を塗布した電極60の厚み方向TDに対し、一方側に第1超音波センサ11を、他方側に第2超音波センサ12を、それぞれ空気層ARを介して配置し、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12との間で超音波USを伝播させることにより、電極ペースト62の厚みtを計測する超音波計測装置1,101において、第1超音波センサ11は、超音波USの伝播がフラットタイプの送信センサであること、第2超音波センサ12は、超音波USの伝播がフラットタイプの受信センサであること、を特徴とするので、電池製造工程において、金属箔61に電極ペースト62を塗布して電極60を製造する製造ラインで、電極ペースト62の目付け量、及び目付けプロファイル等、電極ペースト62の厚みtを、インラインで計測する場合、第1超音波センサ11から送波した超音波USが、電極60に対し広い面積(照射エリアMB)にわたって照射されて電極60中の金属箔61と電極ペースト62とを透過し、第2超音波センサUSが、より広範囲にわたって金属箔61及び電極ペースト62を透過した超音波(透過波)USを受波することにより、電極ペースト62の厚みtを求めるための受信信号が、電極60の広い範囲で得られる。
特に、製造ラインで製造される電極60に対し、電極ペースト62の目付け量及び目付けプロファイル等の品質検査を、品質管理上、インライン上で広範囲にわたって満遍なく実施したい場合でも、次々と製造される電極60に対し、電極ペースト62の厚みtを、インラインで全数検査ができるようになる。
また、電極60において電極ペースト62の厚みtをより広い範囲で検出できる分、電極ペースト62の目付けプロファイルの検査が、放射線計測装置や、特許文献1のような従来のスポットタイプの超音波センサによる従来の検査方法に比べ、より正確に精度良く計測できる。
また、超音波計測装置1,101の設備コストは、放射線計測装置に比して安価であり、電極60に反映されるコストが大きく削減できる。
特に、超音波計測装置1,101は、電極60を製造する製造ラインに対し、新設または既設にかかわらず容易に組み込むことができるため、超音波計測装置1,101を製造ラインに設備するときのコストも安価である。
従って、本実施形態に係る超音波計測装置1,101では、製造ラインで製造される電極60に対し、インライン上で、電極60に塗布された電極ペースト62の厚みtを、低コストで、信頼性の高い計測精度で計測することができる、という優れた効果を奏する。
これに対し、超音波計測装置1,101は、超音波発振制御部10により、第1超音波センサ11と第2超音波センサ12とに対し、互いに異なるよう、第1状態と第2状態とを交互に置換させている。
これにより、計測時の空気ARの温度変化に対応しつつ、電極ペースト62の厚みtを求めるのに、第1状態のときに、第2超音波センサ12で受波した超音波USの第2受波信号(λ2)と、第2状態のときに、第1超音波センサ11で受波した超音波USの第1受波信号(λ1)との2種類の受信信号に基づいて計測できている。
超音波計測装置101では、第1超音波センサ11から送波した超音波USが、横波として、金属箔61の一面61a側の電極ペースト62を介して金属箔61に伝播し、第3超音波センサ13が、金属箔61で正反射した反射波USを、再び金属箔61の一面61a側の電極ペースト62を介して受波する。
これにより、第3超音波センサ13が、金属箔61の一面61aで正反射した反射波USを受波するときの基材反射信号を取得し、この基材反射信号に基づき、金属箔61の一面61a側の電極ペースト62の目付け量(厚みt)を把握する。
これにより、厚み演算部20が、電極透過信号に基づき、電極60の目付け量を算出し、算出した電極60の目付け量から、金属箔61の目付け量と、金属箔61の一面61a側の電極ペースト62の目付け量とを減算し、金属箔61の他面61b側の電極ペースト62の目付け量(厚みt)を求める。
よって、電極60において両面61a,61bに塗布された電極ペースト62の厚みをそれぞれ計測する設備の簡素化を図ることができる。
よって、カバー40によりエッジ部62C周囲の形状が露出せず、電極ペースト62の目付けプロファイル、すなわち電極ペースト62のエッジ部62Cの形状が、第2超音波センサ12で受信された受信信号に基づき、電極ペースト62の厚みtに対応してはっきりと検出できる。
超音波の減衰率は、媒質の密度及び媒質の厚さをパラメータとして変化する。金属箔61を透過するとき超音波USの減衰率γと金属箔61の目付け量に関する検量線、及び電極60において超音波USの減衰率βと電極60の目付け量に関する検量線に基づき、電極60の目付け量から金属箔61の目付け量を減算することにより、電極ペースト62の目付け量を求めることができる。
よって、電極60の目付け量と金属箔61の目付け量との差から、電極ペースト62の目付け量が簡単に得られる。
その一方で、電極ペースト62が金属箔61の一面61aに塗工された電極60向けの片面塗工実測用検量線により、電極60の目付け量を得ておき、この電極60の目付け量から金属箔61の目付け量を減算し、金属箔61の一面61a側の電極ペースト62の目付け量を得る。
よって、電極60の目付け量と金属箔61の目付け量との差から、電極ペースト62の目付け量が簡単に得られる。
このような場合、超音波が伝播する媒質の一つでもある空気層の密度が、超音波センサで計測する部分と、その他の部分とで異なると、塗布材の厚みを正確に計測することができない。
受波側超音波センサが、このような合成波を受波すると、外部振動の影響を受けずに送信側超音波センサから送波された超音波の波長と、受波側超音波センサで受波した合成波の波長に差異が生じてしまい、受信感度が悪化する問題がある。
(17)本実施形態に係る超音波計測装置1,101では、空気層ARの密度の変化を抑止するカバー35が少なくとも1つ設けられているので、電極60の製造ライン上で、塗布された電極ペースト62の目付け量や目付けプロファイル等、電極ペースト62の厚みtをインラインで計測するときに、カバー35により、空気層ARを伝播する超音波USの波長が変動し難く、電極ペースト62の厚みを、より正確で高精度に計測することができる。
このような製造ラインは、温度管理された場所で設置されているため、製造ラインで次々と連続して製造される電極60に対し、その金属箔61及び電極ペースト62そのものの温度は、ライン稼働中、変化せず一定とみなすことができる。そのため、ライン稼働中、超音波USが金属箔61及び電極ペースト62を透過するときには、金属箔61及び電極ペースト62における音響インピーダンスは変化しないため、電極ペースト62の厚みtの計測時に、金属箔61及び電極ペースト62の各温度による影響は生じない。
超音波計測装置1,101は、温度管理された雰囲気の下に設置されるものの、設置室内には空気の対流が生じ得るため、超音波計測装置1,101の空気層ARに、空気密度の変化を抑止するカバー40を少なくとも1つ設けている。
これにより、超音波計測装置1,101の空気層ARには、空気等の気体の対流に起因して空気の温度にバラツキがほとんど生じず、例えば、第1超音波センサ11と電極60との間の温度分布、電極60と第2超音波センサ12との間の温度分布、場合によって第3超音波センサ13と電極60との間の温度分布、及び電極60を挟む両側の温度分布等、空気層AR全体で温度差を持たないより均一な温度分布とすることができる。
また、前述した式2乃至式4より、空気層AR全体が均一な温度分布になることで、音響インピーダンスは変化しない。
超音波センサには、音波伝播の特性上、図21に示すような相関関係があり、音響インピーダンスが変化しなければ、超音波の音圧透過率も変化しない。
前述したように、第1超音波センサ11は、周波数f1(f)を固有の特性値とし、第2超音波センサ12は、周波数f2(f)を固有の特性値とし、第3超音波センサ13は、周波数f3(f)を固有の特性値とする超音波センサである。
第1超音波センサ11と電極60との間の空気層ARでは、周波数f1(f)の第1超音波センサ11が伝播する超音波USの波長λ1は変化しない。第3超音波センサ13がある場合、第3超音波センサ13と電極60との間の空気層ARでは、周波数f3(f)の第3超音波センサ13が伝播する超音波USの波長λ3は変化しない。
また、電極60と第2超音波センサ12との間の空気層ARでは、周波数f2(f)の第2超音波センサ12が伝播する超音波USの波長λ2は変化しない。
これにより、電極60を透過する透過波(超音波)USも、超音波強度が最も大きい状態で、電極60に伝播し、この電極60から再び空気層ARを伝播して第2超音波センサ12で受波される超音波USについても、超音波強度が最も大きい状態で、伝播し受波される。
従って、受波した超音波USにおいて、その波長の大きさ、到達時間、減衰率等の受信信号に基づいて電極60の電極ペースト62の厚みを計測すると、電極60ごと、あるいは電極60の測定部位ごとによって、厚みの測定誤差は生じ難く、電極ペースト62の厚みtを高精度に計測することができる。
また、電極ペースト62の目付け量及び目付けプロファイル等の品質検査を、インライン上で広範囲にわたって満遍なく実施することができるようになることから、品質管理上、信頼性の高い品質検査を行うことが可能となる。
10 超音波発振制御部(超音波発振制御手段)
11 第1超音波センサ
11a 第1振動面
12 第2超音波センサ
12a 第2振動面
13 第3超音波センサ
12A 受波側超音波センサ
20 厚み演算部(厚み演算手段)
35 カバー(空気対流抑止手段)
37 温度計(温度計測手段)
38 防振プレート(防振手段)
40 マスク(超音波阻害手段)
60 電極(塗布製品)
61 金属箔(基材)
61a 一面
61b 他面
62 電極ペースト(塗布材)
62C エッジ部62
t (塗布材の)厚み
LD 長手方向
WD 幅方向
TD 厚み方向
AX 軸心方向
US 超音波
AR 空気層
MA 計測エリア
Claims (19)
- 第1超音波センサと第2超音波センサとを一対で有し、ロール状に捲回されていた金属製の基材の片面または両面に塗布材を塗布した塗布製品の厚み方向に対し、一方側に前記第1超音波センサを、他方側に前記第2超音波センサを、それぞれ空気層を介して配置し、前記第1超音波センサと前記第2超音波センサとの間で超音波を伝播させることにより、コンベアにより運ばれながら前記塗布材の厚みを計測する超音波計測方法において、
前記第1超音波センサに、超音波の伝播がフラットタイプの送信センサを用いること、
前記第2超音波センサに、超音波の伝播がフラットタイプの受信センサを用いること、
空気層を伝播する超音波を受波する受波側超音波センサで、受波後、時間の経過と共に、生じる複数群の音波波形のうち、最初に検出される音波波形を第1群音波波形と、前記第1群音波波形に次いで検出される音波波形を第2群音波波形としたときに、
前記第2群音波波形と前記第1群音波波形とが重ならない条件の下、少なくとも前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサの各周波数を、前記塗布材の厚みに応じて、より低く設定すること、
を特徴とする超音波計測方法。 - 請求項1に記載する超音波計測方法において、
前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサには、超音波を送信及び受信が可能なセンサが用いられ、
前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサに対し、超音波の送受信を制御する超音波発振制御手段を備え、
前記第1超音波センサが送波し、前記第2超音波センサが受波する状態を第1状態とし、
前記第1超音波センサが受波し、前記第2超音波センサが送波する状態を第2状態としたときに、
前記超音波発振制御手段は、前記第1超音波センサと前記第2超音波センサとに対し、互いに異なるよう、前記第1状態と前記第2状態とを交互に置換させ、
前記第1状態と前記第2状態とのそれぞれの状態で、前記塗布材の厚みを計測し、計測したそれぞれの厚みを比較すること、
を特徴とする超音波計測方法。 - 請求項1または請求項2に記載する超音波計測方法において、
第3超音波センサとして、超音波の伝播がフラットタイプのセンサが用いられ、
前記第1超音波センサと前記第3超音波センサとを、前記空気層を介して前記塗布製品の前記一方側に、超音波が前記第1超音波センサと前記第3超音波センサとの間で正反射する位置に配置すること、
前記第2超音波センサを、前記第1超音波センサの軸心方向に向けて前記塗布製品を透過した位置に配置すること、
を特徴とする超音波計測方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載する超音波計測方法において、
前記第1超音波センサと前記第2超音波センサとの間で、超音波が伝播するのを阻む超音波阻害手段を備え、
前記塗布製品と前記第2超音波センサとの間のうち、前記塗布材のエッジ部の周囲に相当する位置に、前記超音波阻害手段を移動させて配置した後、前記第1超音波センサが前記塗布材のエッジ部に向けて超音波を送波し、前記第2超音波センサで受波することを特徴とする超音波計測方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載する超音波計測方法において、
前記塗布材の厚みを、少なくとも前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサを含む超音波センサのうち、前記受波側超音波センサで受波した超音波の減衰率に基づいて算出することを特徴とする超音波計測方法。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載する超音波計測方法において、
前記塗布製品を挟み、前記第1超音波センサと前記第2超音波センサとを、前記第1超音波センサで超音波振動する第1振動面、及び前記第2超音波センサで超音波振動する前記第2振動面に対し垂直方向に、前記第1振動面と前記第2振動面との距離が100mm以下で、配置すること、
前記第2群音波波形で、振幅が最大値となる状態にあるときに、前記塗布材の厚みを計測することを特徴とする超音波計測方法。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載する超音波計測方法において、
前記塗布材の厚さを、前記第1群音波波形による受信信号に基づいて計測することを特徴とする超音波計測方法。 - 第1超音波センサと第2超音波センサとを一対で有し、ロール状に捲回されていた金属製の基材の片面または両面に塗布材を塗布した塗布製品の厚み方向に対し、一方側に前記第1超音波センサを、他方側に前記第2超音波センサを、それぞれ空気層を介して配置し、前記第1超音波センサと前記第2超音波センサとの間で超音波を伝播させることにより、コンベアにより運ばれながら前記塗布材の厚みを計測する超音波計測装置において、
前記第1超音波センサは、超音波の伝播がフラットタイプの送信センサであること、
前記第2超音波センサは、超音波の伝播がフラットタイプの受信センサであること、
空気層を伝播する超音波を受波する受波側超音波センサで、受波後、時間の経過と共に、生じる複数群の音波波形のうち、最初に検出される音波波形を第1群音波波形と、前記第1群音波波形に次いで検出される音波波形を第2群音波波形としたときに、
少なくとも前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサは、前記塗布材の厚みに応じて、前記第2群音波波形が前記第1群音波波形と重ならない条件を満たす周波数のうち、周波数をより低くしたセンサであること、
を特徴とする超音波計測装置。 - 請求項8に記載する超音波計測装置において、
前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサは、超音波を送信及び受信が可能なセンサであり、
前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサに対し、超音波の送受信を制御する超音波発振制御手段を有し、
前記第1超音波センサが送波し、前記第2超音波センサが受波する状態を第1状態とし、
前記第1超音波センサが受波し、前記第2超音波センサが送波する状態を第2状態としたときに、
前記超音波発振制御手段は、前記第1超音波センサと前記第2超音波センサとに対し、互いに異なるよう、前記第1状態と前記第2状態とを交互に置換させ、
前記第1状態と前記第2状態とのそれぞれの状態で、前記塗布材の厚みを計測し、計測したそれぞれの厚みを比較すること、
を特徴とする超音波計測装置。 - 請求項8または請求項9に記載する超音波計測装置において、
超音波の伝播がフラットタイプのセンサである第3超音波センサを有し、
前記第1超音波センサと前記第3超音波センサとが、前記空気層を介して前記塗布製品の前記一方側で、超音波が前記第1超音波センサと前記第3超音波センサとの間で正反射する位置に配置されていること、
前記第2超音波センサは、前記第1超音波センサの軸心方向に向けて前記塗布製品を透過した位置に配置されていること、
を特徴とする超音波計測装置。 - 請求項8乃至請求項10のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、
前記第1超音波センサが超音波を送波し、前記第2超音波センサが前記第1超音波センサから送波した超音波を受波すること、
前記第1超音波センサと前記第2超音波センサとの間で、超音波が伝播するのを阻む超音波阻害手段を備え、
前記超音波阻害手段は、前記塗布製品と前記第2超音波センサとの間のうち、前記塗布材のエッジ部の周囲に相当する位置に移動可能に設けられていることを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項8乃至請求項11のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、
少なくとも前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサを含む超音波センサのうち、前記受波側超音波センサで受波した超音波の減衰率に基づいて、前記塗布材の厚みを算出する厚み演算手段を備えていることを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項8乃至請求項12のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、
前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサは、前記塗布製品を挟み、前記第1超音波センサで超音波振動する第1振動面、及び前記第2振動面に対し垂直方向に、前記第1振動面と前記第2振動面との距離が100mm以下で、配置されていること、
前記第2群音波波形で、振幅が最大値となる状態にあるときに、前記厚み演算手段が、前記塗布材の厚みを計測することを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項13に記載する超音波計測装置において、
前記厚み演算手段は、前記第1群音波波形による受信信号に基づいて、前記塗布材の厚さを計測することを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項8乃至請求項14のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、
前記空気層の密度の変化を抑止する空気対流抑止手段が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項15に記載する超音波計測装置において、
捲回されている前記基材は、長尺状であり、
少なくとも前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサは、前記空気対流抑止手段の内部に、前記基材の短辺に沿う幅方向に少なくとも1対または1組設けられ、
前記空気対流抑止手段は、前記塗布材の厚みを求める計測エリア内で、前記基材の長辺に沿う長手方向と前記幅方向とに対し、移動可能に設けられていることを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項15または請求項16に記載する超音波計測装置において、
前記空気対流抑止手段には、前記空気層の温度を測定する温度計測手段が設けられていることを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項15乃至請求項17のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、
前記空気対流抑止手段は、少なくとも前記第1超音波センサ及び前記第2超音波センサに、対地からの外部振動が伝播するのを阻止する防振手段を備えていることを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項8乃至請求項18のいずれか1つに記載する超音波計測装置において、
前記基材は、前記塗布製品である電池の電極に用いる金属箔であり、前記塗布材は、前記金属箔に塗布された電極ペーストであることを特徴とする超音波計測装置。
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