JP5545173B2 - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)およびその製造方法に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置には、地球環境への影響配慮から、省エネルギー化が図られたシステムが求められている。画像形成装置の中でも多量のエネルギーを消費する定着システムに対する改良が日々進められており、定着システムの省エネルギー化を実現するために、トナーへの低温定着性の要求が高まっている。
昇温によって急激な溶融特性の変化が得られるポリエステル樹脂をトナーの結着樹脂として採用することは、低温定着性を実現する上で有効な手段の一つであるが、高温での溶融特性の良好さに起因して、耐高温オフセット性の確保が困難であること、形成された画像が過剰な光沢を有するものになってしまうなどの不具合が生じることがある。
このような問題を解決するために、トナーの結着樹脂として、高温下における弾性の著しい低下を抑制した架橋構造を有するポリエステル樹脂を採用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
然るに、特許文献1に開示されたトナーの製造方法は、粉砕法に係るものであって、粉砕法においては小粒径のトナーを製造するのに多大なエネルギーを要する。また、トナーの小粒径化には限界があり、近年、電子写真方式の画像形成装置に求められるもう一つの重要な品質項目である高画質化に困難をきたすことがある。
他方、小粒径のトナーを製造するために、粉砕法に対して重合法を採用することが有効であることは周知のことである。重合法とは、湿式下(水、水系媒体もしくは有機溶媒中)にて化学的手法でトナーを製造する方法の総称である。
低温定着性と耐高温オフセット性、形成される画像の光沢過多の抑制と、トナーの小粒径化による高画質の達成とを両立させる手段として、重合法によって架橋構造を有するポリエステル樹脂によるトナーを製造することが考えられるが、重合法においては、ポリエステル樹脂の微分散工程が含まれるところ、架橋構造を有するポリエステル樹脂の微分散は、できない、または多大のエネルギーを要するために、現状では前述の性能の両立は非常に困難である。
上記のような課題を解決するために、例えば、特許文献2,3には、イソシアネート基が導入されたポリエステル樹脂を用い、重合法によるトナー粒子の造粒時に架橋構造を形成させる製造方法が開示されている。
しかしながら、このようなトナーの製造方法においては、その工程においてイソシアネート基がきわめて高い反応性を有するため、反応のコントロールが難しく、安定的に製造することができない、という問題がある。
また、例えば特許文献4には、重合法による架橋構造を有するポリエステル樹脂を含有するトナーの製造方法として、結晶性ポリエステル樹脂微粒子、重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂微粒子よりなるコア粒子、さらにコア粒子の周面に重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂微粒子を付着させてコア−シェル型凝集粒子を製造し、このコア−シェル型凝集粒子にラジカル重合開始剤を作用させて重合性不飽和結合をラジカル重合して架橋構造を形成させることによりコア−シェル構造のトナーの製造方法が開示されている。
この製造方法によれば、重合法により架橋構造を有するポリエステル樹脂を含有するトナーの製造が可能となり、低温定着性と耐高温オフセット性、形成される画像の光沢過多の抑制と、トナーの小粒径化による高画質の達成との両立が可能となり得るが、一方で、製造工程におけるラジカル重合開始剤を作用させるタイミングによっては、重合性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂微粒子同士の凝集体が形成されてこれにもラジカル重合開始剤が作用してしまい、これの架橋体が生成されてしまうことなどによって製造収率が低下してしまうなどの製造上の不具合が生じることがある。また、製造されたトナーの粒径分布が広くなるために帯電特性の不均一性に起因する、形成された画像における濃度諧調の自然さが損なわれる、などの問題を生じることがある。
特開2009−223281号公報 特開2008−262166号公報 特開2008−256913号公報 特開2010−55092号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、基本的に高画質の画像を形成することができ、さらに、優れた低温定着性を有しながら優れた耐高温オフセット性を有し、かつ、形成される画像に適度な光沢を付与することができると共に高い濃度階調の再現性が得られるトナーを安定的に製造することができる、静電荷像現像用トナーの製造方法およびこれにより得られる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
(a−1)結晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
(a−2)重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
(b)水系媒体中において、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂による微粒子を凝集させてコア凝集粒子を形成する工程、
(c)前記コア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子を付着させて、コア−シェル型凝集粒子を形成する工程
を経た後、
(d)前記コア−シェル型凝集粒子にラジカル重合開始剤を添加してラジカル重合反応を行うことにより、コア凝集粒子の表面に架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂による層を形成する工程
を経ることを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法においては、前記工程(c)と前記工程(d)との間において、
(e)前記コア凝集粒子への重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の付着がなされる反応系に凝集停止剤を添加する工程
を経ることが好ましい。
本発明のトナーは、
少なくとも架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーであって、
(a−1)結晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
(a−2)重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
(b)水系媒体中において、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂による微粒子を凝集させてコア凝集粒子を形成する工程、
(c)前記コア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子を付着させて、コア−シェル型凝集粒子を形成する工程、
(e)前記コア凝集粒子への重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の付着がなされる反応系に凝集停止剤を添加する工程、
を経た後、
(d)前記コア−シェル型凝集粒子にラジカル重合開始剤を添加してラジカル重合反応を行うことにより、コア凝集粒子の表面に架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂による層を形成する工程
を経ることによって得られることを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法によれば、水系媒体においてコア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子を所望の状態に付着させ終えた後に架橋構造の形成が行われるために、確実に架橋構造を有するポリエステル樹脂を含有する重合トナーを製造することができ、しかも、当該製造されたトナーは所望の組成および構造を有するトナー粒子について高い収率が得られたもの、すなわちシャープな粒度分布を有するものとなる。その結果、優れた低温定着性を有しながら、トナー粒子内に形成された架橋構造を有するポリエステル樹脂による優れた耐高温オフセット性および耐熱保管性を有し、かつ、形成される画像に適度な光沢を付与することができ、さらに、シャープな粒度分布による良好な帯電特性のために高い濃度階調の再現性が得られるトナーを、少ないエネルギーで製造することができる。
コア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子を付着させ終えた後に架橋構造の形成が行われることによって所望の組成および構造を有するトナー粒子を高い収率で得ることができる理由としては、以下のように考えられる。
すなわち、ラジカル重合開始剤を作用させる時点において、重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子同士の凝集体の生成が抑制された状態とされるために、ラジカル重合反応により、水系媒体中に前記凝集体の架橋体などの意図しない粒子の生成が抑制されるためであると考えられる。
以下、本発明について具体的に説明する。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造方法は、
少なくとも架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂(以下、「架橋非晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)、および結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子からなるトナーを製造する方法であって、
(a−1)結晶性ポリエステル樹脂による微粒子(以下、「結晶性ポリエステル樹脂微粒子」ともいう。)の水系媒体分散液を調製する工程、
(a−2)重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
(b)水系媒体中において、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂微粒子を凝集させてコア凝集粒子を形成する工程、
(c)前記コア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂(以下、「不飽和非晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)による微粒子(以下、「不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子」ともいう。)を付着させて、コア−シェル型凝集粒子を形成する工程
を経た後、
(d)前記コア−シェル型凝集粒子にラジカル重合開始剤を作用させてラジカル重合反応を行うことにより、コア凝集粒子の表面に架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂による層を形成する工程
を経ることを特徴とする方法である。
<第1の実施の形態>
このようなトナーの製造方法の具体的な一例としては、
(1−A−1)結晶性ポリエステル樹脂を合成し、当該結晶性ポリエステル樹脂による結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を調製する結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、
(1−B−1)非晶性ポリエステル樹脂を合成し、当該非晶性ポリエステル樹脂による微粒子(以下、「非晶性ポリエステル樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を調製する非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、
(1−B−2)不飽和非晶性ポリエステル樹脂を合成し、当該不飽和非晶性ポリエステル樹脂による不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を調製する不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、
(1−C)必要に応じて、着色剤による微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)水系媒体中において、結晶性ポリエステル樹脂微粒子および必要に応じて非晶性ポリエステル樹脂微粒子などの結着樹脂の材料となる樹脂微粒子、着色剤微粒子、離型剤による微粒子、荷電制御剤による微粒子などのトナー構成成分の微粒子を凝集させてコア凝集粒子を形成する凝集工程、
(3)コア凝集粒子の表面に不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子を付着させ、コア−シェル型凝集粒子を形成する付着工程、
(4)不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子のコア凝集粒子の表面への付着を停止させ、所望のコア−シェル型凝集粒子を確保する凝集停止工程、
(5)確保されたコア−シェル型凝集粒子を融合させて未架橋のコア−シェル型トナー粒子を形成する融合工程、
(6)ラジカル重合開始剤を未架橋のコア−シェル型トナー粒子に作用させてラジカル重合反応を行うことにより、架橋非晶性ポリエステル樹脂によるシェル層を形成する架橋工程、
(7)得られたトナー粒子を水系媒体中より濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、
(8)洗浄処理されたトナー粒子の乾燥工程、
から構成され、必要に応じて
(9)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
を加えることができる。
(1−A−1)結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程
この結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程は、トナー粒子を構成する結着樹脂の材料となる結晶性ポリエステル樹脂を合成し、この結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に微粒子状に分散させて結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を調製する工程である。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量測定法(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂をいう。このような結晶性ポリエステル樹脂であれば、特に限定されず、例えば、結晶性ポリエステル樹脂による主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂について、この樹脂が上記のように明確な吸熱ピークを示すものであれば、本発明でいう結晶性ポリエステルに該当する。
本発明において使用される結晶性ポリエステル樹脂は、その融点が30〜99℃の範囲であることが好ましく、45〜88℃の範囲であることがより好ましい。
ここに、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、吸熱ピークのピークトップの温度を示し、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて示差走査熱量分析によってDSC測定したものである。
具体的には、結晶性ポリエステル樹脂0.5mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ただし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。
この結晶性ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)が好ましくは100〜10,000、さらに好ましくは800〜5,000、重量平均分子量(Mw)が好ましくは1,000〜50,000、さらに好ましくは2,000〜30,000である。
結晶性ポリエステル樹脂におけるTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)が1,000未満である場合は、後述する融合工程において非晶性ポリエステル樹脂と相溶してしまうことにより、得られるトナー粒子が全体的に融点の低いものとなって耐ブロッキング性に劣るものとなることがある。また、重量平均分子量が50,000より大きい場合は、得られるトナーが低温定着性に劣るものとなることがある。
GPCによる分子量測定は、以下のように行った。すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(結晶性ポリエステル樹脂)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。
結晶性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とから生成させることができる。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖型のものを用いることが好ましい。ジカルボン酸成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。上記の脂肪族ジカルボン酸の中でも、入手容易性の観点から、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸を用いることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸と共に用いることのできる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性および乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を用いることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジカルボン酸成分全体を100構成モル%とした場合の20構成モル%以下とされることが好ましく、より好ましくは10構成モル%以下、特に好ましくは5構成モル%以下である。芳香族ジカルボン酸の使用量が20構成モル%以下とされることにより、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を確保することができて製造されるトナーに優れた低温定着性が得られ、最終的に形成される画像に光沢性が得られると共に融点降下による画像保存性の低下が抑制され、さらに、当該結晶性ポリエステル樹脂を含む油相液を用いて油滴を形成させるときに、確実に乳化状態を得ることができる。
また、ジオール成分としては、脂肪族ジオールを用いることが好ましく、必要に応じて脂肪族ジオール以外のジオールを含有させてもよい。
ジオール成分としては、脂肪族ジオールの中でも、主鎖を構成する炭素原子の数が2〜22である直鎖型の脂肪族ジオールを用いることがより好ましく、さらに、入手容易性や確実な低温定着性の発現、高い光沢性を有する画像が得られるという観点から、主鎖を構成する炭素原子の数が2〜14である直鎖型の脂肪族ジオールを用いることが特に好ましい。
用いる直鎖型の脂肪族ジオールの主鎖を構成する炭素原子の数が2〜22であることにより、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸が併用される場合においても低温定着性が阻害されるレベルの融点を有するポリエステル樹脂が形成されることがなく、製造されるトナーに十分な低温定着性が得られ、また、最終的に形成される画像に高い光沢性が得られる。
ジオール成分としては、分岐型の脂肪族ジオールを用いることもできるが、この場合、結晶性の確保の観点から、直鎖型の脂肪族ジオールと共に使用し、かつ、当該直鎖型の脂肪族ジオールの割合を高めにして使用することが好ましい。このように直鎖型の脂肪族ジオールの割合を高めにして使用することによって、結晶性が確保されて製造されるトナーに優れた低温定着性が確実に得られ、最終的に形成される画像において融点降下による画像保存性の低下が抑制され、さらには耐ブロッキング性が確実に得られる。
ジオール成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジオール成分としては、脂肪族ジオールの含有量が80構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは90構成モル%以上である。ジオール成分における脂肪族ジオールの含有量が80構成モル%以上とされることにより、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を確保することができて製造されるトナーに優れた低温定着性が得られると共に最終的に形成される画像に光沢性が得られる。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールを用いることが好ましい。
脂肪族ジオール以外のジオールとしては、二重結合を有するジオール、スルホン酸基を有するジオールなどが挙げられ、具体的には、二重結合を有するジオールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール、4−オクテン−1,8−ジオールなどが挙げられる。
ジオール成分における二重結合を有するジオールの含有量は20構成モル%以下とされることが好ましく、より好ましくは2〜10構成モル%である。二重結合を有するジオールの含有量が20構成モル%以下であることにより、得られるポリエステル樹脂が融点の大幅に低減されたものとなることがなく、従って、フィルミングが発生するおそれが小さい。
上記のジオール成分とジカルボン酸成分との使用比率は、ジオール成分のヒドロキシル基[OH]とジカルボン酸成分のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5とされることが好ましく、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
ジオール成分とジカルボン酸成分との使用比率が上記の範囲にあることにより、所望の分子量を有する結晶性ポリエステル樹脂を確実に得ることができる。
以上のような結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、当該結晶性ポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解または分散させて油相液を調製し、油相液を、転相乳化などによって水系媒体中に分散させて、所望の粒径に制御された状態の油滴を形成させた後、有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
本発明において、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいい、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。
水系媒体の使用量は、油相液100質量部に対して、50〜2,000質量部であることが好ましく、100〜1,000質量部であることがより好ましい。
水系媒体の使用量を上記の範囲とすることで、水系媒体中において油相液を所望の粒径に乳化分散させることができる。
水系媒体中には、分散安定剤が溶解されていてもよく、また、この水系媒体中には、油滴の分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂微粒子などが添加されていてもよい。
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどの無機化合物を挙げることができるが、得られるトナー母体粒子中より分散安定剤を除去する必要があることから、リン酸三カルシウムなどのように酸やアルカリに可溶性のものを使用することが好ましく、または環境面の視点からは、酵素により分解可能なものを使用することが好ましい。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられ、また、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤も使用することができる。
また、分散安定性の向上のための樹脂微粒子としては、粒径が0.5〜3μmのものが好ましく、具体的には、粒径が1μmおよび3μmのポリメタクリル酸メチル樹脂微粒子、粒径が0.5μmおよび2μmのポリスチレン樹脂微粒子、粒径が1μmのポリスチレン−アクリロニトリル樹脂微粒子などが挙げられる。
油相液の調製に使用される有機溶媒としては、油滴の形成後の除去処理が容易である観点から、沸点が低く、かつ、水への溶解性が低いものが好ましく、具体的には、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
有機溶媒の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、通常1〜300質量部、好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
油相液の乳化分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、乳化分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられ、具体的には例えばTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)などを挙げることができる。
油滴の分散径は60〜1000nmとされることが好ましく、さらに好ましくは80〜500nmである。
油滴の分散径を上記の範囲とすることによって、油滴の表面積、すなわち架橋反応が生じる領域が好ましい大きさとなり、低温定着性と耐オフセット性をより高いレベルで両立することができる。
油滴の分散径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−750」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した体積基準のメジアン径である。この油滴の分散径は、乳化分散時の機械的エネルギーの大きさによりコントロールすることができる。
油滴の形成後における有機溶媒の除去は、トナー粒子が水系媒体中に分散された状態の分散液全体を、徐々に層流の撹拌状態で昇温し、一定の温度域において強い撹拌を与えた後、脱溶媒を行うなどの操作により行うことができる。
また、分散安定剤を用いてトナー粒子を形成する場合は、有機溶媒の除去処理に加えて、酸やアルカリを添加して混合することにより、当該分散安定剤の除去処理も行う。
(1−B−1)非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程
この非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程は、トナー粒子を構成する結着樹脂の材料となる非晶性ポリエステル樹脂を合成し、この非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に微粒子状に分散させて非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を調製する工程である。
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂とは、上記の結晶性ポリエステル樹脂以外のポリエステルをいい、通常は融点を有さず、比較的高いガラス転移点(Tg)を有するものである。
非晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを用い、上記の結晶性ポリエステル樹脂の合成工程と同様にして合成することができる。
この非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、20〜90℃であることが好ましく、特に35〜65℃であることが好ましい。
また、この非晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、80〜220℃であることが好ましく、特に80〜150℃であることが好ましい。
ここに、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)、および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて測定したものである。具体的には、非晶性ポリエステル樹脂4.50mgをアルミニウム製パン「KITNO.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得し、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点(Tg)として示す。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持する。
また、軟化点は、以下のように測定したものである。すなわち、まず、20℃、50%RHの環境下において、非晶性ポリエステル樹脂1.3gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成する。次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、非晶性ポリエステル樹脂の軟化点とした。
この非晶性ポリエステル樹脂は、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)が好ましくは2,000〜10,000、より好ましくは2,500〜8,000、重量平均分子量(Mw)が好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは4,000〜70,000である。
非晶性ポリエステル樹脂におけるTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)が3,000未満である場合は、得られるトナーが耐ブロッキング性に劣るものとなるおそれがあり、100,000より大きい場合は、得られるトナーが低温定着性が得られないものとなるおそれがある。
GPCによる分子量測定は、測定試料として非晶性ポリエステル樹脂のTHF可溶分を用いたことの他は結晶性ポリエステル樹脂の分子量測定と同様の方法によって行われる。
非晶性ポリエステル樹脂を形成すべき多価アルコール成分としては、例えば、上述の脂肪族ジオールに加え、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができ、また、3価以上の多価アルコール成分としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。さらに、製造コストや環境性から、シクロヘキサンジメタノールやネオペンチルアルコールなどを用いることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、非晶性ポリエステル樹脂を形成すべき多価カルボン酸成分としては、上述の脂肪族ジカルボン酸に加え、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられ、得られる非晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度を適当なものにする目的で、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を用いてもよい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成において、上記の多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との使用比率は、多価アルコール成分のヒドロキシル基[OH]と多価カルボン酸成分のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5とされることが好ましく、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との使用比率が上記の範囲にあることにより、所望の分子量を有する非晶性ポリエステル樹脂を確実に得ることができる。
以上のような非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる場合と同様に、当該非晶性ポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解または分散させて油相液を調製し、油相液を、転相乳化などによって水系媒体中に分散させて、所望の粒径に制御された状態の油滴を形成させた後、有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
油滴の分散径は60〜1000nmとされることが好ましく、さらに好ましくは80〜500nmである。
油滴の分散径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−750」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した体積基準のメジアン径である。この油滴の分散径は、乳化分散時の機械的エネルギーの大きさによりコントロールすることができる。
(1−B−2)不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程
この不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程は、トナー粒子を構成する結着樹脂の材料となる架橋非晶性ポリエステル樹脂を得るための不飽和非晶性ポリエステル樹脂を合成し、この不飽和非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に微粒子状に分散させて不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を調製する工程である。
本発明において、不飽和非晶性ポリエステル樹脂とは、その分子鎖内にラジカル重合をし得る重合性不飽和結合を含み、上記の結晶性ポリエステル樹脂とは異なり通常は融点を有さず、比較的高いガラス転移点(Tg)を有するものである。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂は、少なくともいずれかに重合性不飽和結合が含有されてなる多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを用い、上記の結晶性ポリエステル樹脂の合成工程と同様にして合成することができる。
少なくともいずれかに重合性不飽和結合が含有されてなる多価ジオールと多価ジカルボン酸とは、
(1)全部または一部が重合性不飽和結合を有する多価アルコール成分と、全く重合性不飽和結合を有さない多価カルボン酸成分、
(2)全く重合性不飽和結合を有さない多価アルコール成分と、全部または一部が重合性不飽和結合を有する多価カルボン酸成分、
(3)全部または一部が重合性不飽和結合を有する多価アルコール成分と、全部または一部が重合性不飽和結合を有する多価カルボン酸成分、
のいずれかの組み合わせをいう。
この不飽和非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、20〜90℃であることが好ましく、特に35〜65℃であることが好ましい。
また、この非晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、70〜220℃であることが好ましく、特に80〜180℃であることが好ましい。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点および軟化点の測定は、測定試料として不飽和非晶性ポリエステル樹脂を用いたことの他は非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点または軟化点と同様の方法によって行われる。
この不飽和非晶性ポリエステル樹脂は、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)が好ましくは1,000〜15,000、より好ましくは1,500〜10,000、重量平均分子量(Mw)が好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは2,000〜30,000である。
GPCによる分子量測定は、測定試料として不飽和非晶性ポリエステル樹脂のTHF可溶分を用いたことの他は結晶性ポリエステル樹脂の分子量測定と同様の方法によって行われる。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂を形成するために使用できる多価アルコール成分としては、上述の非晶性ポリエステル樹脂を合成するための多価アルコール成分が挙げられ、不飽和非晶性ポリエステル樹脂の重合性不飽和結合を多価アルコール成分から導入する場合は、不飽和非晶性ポリエステル樹脂を形成するために使用できる多価アルコール成分として、重合性不飽和結合を有する、2−ブテン−1,4ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール、4−オクテン−1,8−ジオ−ルなどのアルケンジオールなどを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、非晶性ポリエステル樹脂を形成するために使用できる多価カルボン酸成分としては、上述の非晶性ポリエステル樹脂を合成するための多価カルボンが挙げられ、不飽和非晶性ポリエステル樹脂の重合性不飽和結合を多価カルボン酸成分から導入する場合は、不飽和非晶性ポリエステル樹脂を形成するために使用できる多価カルボン酸成分として、重合性不飽和結合を有する多価カルボン酸、具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;およびこれらの酸無水物または酸塩化物などを挙げることができる。
また、コーヒー酸などの重合性不飽和結合を有するモノカルボン酸を少量併用してもよい。
これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂の合成において、上記の多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との使用比率は、多価アルコール成分のヒドロキシル基[OH]と多価カルボン酸成分のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5とされることが好ましく、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との使用比率が上記の範囲にあることにより、所望の分子量を有する不飽和非晶性ポリエステル樹脂を確実に得ることができる。
以上のような不飽和非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる場合と同様に、当該不飽和非晶性ポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解または分散させて不飽和非晶性ポリエステル樹脂液を調製し、この不飽和非晶性ポリエステル樹脂液を、転相乳化などによって水系媒体中に分散させて、所望の粒径に制御された状態の油滴を形成させた後、有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
油滴は、分散した状態で体積基準のメジアン径が50〜400nmとされることが好ましく、さらに好ましくは80〜200nmである。
(1−C)着色剤微粒子分散液調製工程
この着色剤微粒子分散液調製工程は、トナー粒子として着色剤を含有するものを所望する場合に必要に応じて行う工程であって、着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて着色剤微粒子の分散液を調製する工程である。
〔着色剤〕
着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知のものを任意に使用することができ、具体的には、有機顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15;3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができる。
着色剤微粒子は、分散した状態で体積基準のメジアン径が10〜300nmとされることが好ましく、さらに好ましくは100〜200nm、特に好ましくは100〜150nmである。
着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定されるものである。
(2)凝集工程
この凝集工程は、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液、並びに、必要に応じて、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液および/または不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液および/または着色剤微粒子の分散液および/または離型剤、荷電制御剤などの他のトナー粒子構成成分の分散液を添加、混合し、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径および粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂微粒子を含有するコア凝集粒子を形成する工程である。
界面活性剤としては、特に限定されずに公知の種々のものを用いることができるが、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩;オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの脂肪酸塩などのイオン性界面活性剤が挙げられる。
また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレノキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
この凝集工程において用いることができる凝集剤としては、例えば1価、2価または3価の金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成する金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;アルミニウムなどが挙げられる。前記金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
この凝集工程における結晶性ポリエステル樹脂微粒子の反応系への添加割合は、最終的に得られるトナー粒子中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量が20〜70質量%となるように調整されることが好ましい。これが20質量%より少ない場合は、得られるトナーが十分な低温定着性を得られないものとなるおそれがあり、70質量%よりも多い場合は、得られるトナーの機械的強度が損なわれるおそれがある。
本発明において、コア凝集粒子中に含有させる結着樹脂を形成する樹脂としては、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂が含まれている。また、非晶性ポリエステル樹脂やその他の樹脂がさらに含有されていてもよい。含有される非晶性ポリエステル樹脂は、重合性不飽和結合を含有するものであってもよく、重合性不飽和結合を有さないものであってもよく、その両者であってもよい。
コア凝集粒子中に非晶性ポリエステル樹脂または不飽和非晶性ポリエステル樹脂が含有されることによって、得られるトナーの機械的強度が向上する。
この非晶性ポリエステル樹脂微粒子および/または不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の反応系への添加割合は、最終的に得られるトナー粒子中における非晶性ポリエステル樹脂および不飽和非晶性ポリエステル樹脂の合計の含有量が10〜60質量%となるように調整されることが好ましい。これが10質量%より少ない場合は、得られるトナーが十分な機械的強度を有さないおそれがあり、60質量%よりも多い場合は、得られるトナーに十分な低温定着性が得られないおそれがある。
また、この凝集工程における結晶性ポリエステル樹脂微粒子と、非晶性ポリエステル樹脂微粒子および不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の合計の反応系への相対的な添加量比率は、質量比で85:15〜25:75であることが好ましく、より好ましくは70:30〜40:60である。結晶性ポリエステル樹脂微粒子が過多である場合は、得られるトナーが耐熱保管性に劣ったものとなることがあり、結晶性ポリエステル樹脂微粒子が過少である場合は得られるトナーに十分な低温定着性が得られないことがある。
この凝集工程における着色剤微粒子の反応系への添加割合は、最終的に得られるトナー粒子中における含有量が1〜10質量%となる割合とされることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%である。着色剤の含有量がトナー中に1質量%未満である場合は、所望の着色力が得られないおそれがあり、一方、着色剤の含有量がトナー中の10質量%を超える場合は、着色剤の遊離やキャリアなどへの付着が発生し、帯電性に影響を与える場合がある。
トナー粒子中に離型剤や荷電制御剤などの内添剤を導入する場合は、この凝集工程(2)の前に内添剤のみよりなる内添剤微粒子の分散液を調製し、この凝集工程(2)において、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液、不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液、着色剤微粒子の分散液と共に当該内添剤微粒子の分散液を混合する。
また例えば、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程(1−B−1)または不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程(1−B−2)において、非晶性ポリエステル樹脂微粒子または不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の内部に前述の内添剤を混在させてこれを用いることによりトナー粒子中に導入することもできる。
〔離型剤〕
離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの低分子量ポリオレフィン類;合成エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油などの植物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの鉱物、石油系ワックス;これらの変性物などが挙げられる。
離型剤の添加量は、最終的に得られるトナー粒子中における結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜25質量部、好ましくは3〜15質量部となる量とされる。
〔荷電制御剤〕
荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
荷電制御剤の添加量は、最終的に得られるトナー粒子中における結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部となる量とされる。
この凝集工程における反応系の温度、すなわち凝集温度は10〜35℃とされることが好ましく、20〜30℃とされることがより好ましい。凝集温度がこのような範囲とされることにより、コア凝集粒子の形成について適度な速度が確保されるため、コア凝集粒子を安定的に形成できる。
(3)付着工程
この付着工程は、形成されたコア凝集粒子の表面に不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子を付着させて、このコア凝集粒子の表面に当該不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子からなる層を被覆させて、コア−シェル型凝集粒子を形成する工程であり、具体的には、水系媒体中にコア凝集粒子が分散された反応系において、凝集剤の存在下において不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を添加することにより、行われる。
この付着工程においては、凝集剤として、上記の凝集工程(2)において添加された凝集剤をそのまま利用することができるため、新たに凝集剤を添加しなくてもよい。また、不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の付着の進行速度を調整する目的で、新たに凝集剤を添加することもできる。新たに添加される凝集剤としては、上記の挙げたものを使用することができ、この新たに添加される凝集剤は、上記の凝集工程(2)において使用される凝集剤と同じものであっても異なるものであってもよい。
この付着工程における不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の反応系への添加割合は、最終的に得られるトナー粒子中におけるポリエステル樹脂の総量を100質量部としたとき、2〜20質量部となる量であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量部である。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の添加割合がこの範囲であることにより、得られるトナーについて低温定着性と耐熱保管性の両立が確保しやすい。
この付着工程における反応系の温度、すなわち付着温度は10〜35℃とされることが好ましく、20〜30℃とされることがより好ましい。付着温度がこのような範囲とされることにより、コア凝集粒子の表面に不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子を高い均一性で付着させることができる。
(4)凝集停止工程
この凝集停止工程は、コア凝集粒子の表面への不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の付着を停止させることにより所望の組成および形状を有するコア−シェル型凝集粒子を確保する工程であり、具体的には、反応系内における微粒子の凝集作用を抑制するために、凝集工程(2)および付着工程(3)における微粒子の凝集作用が促進されるpH環境から脱する方向にpH調整することができる、塩基化合物からなる凝集停止剤を添加することにより、行われる。
凝集停止剤(塩基化合物)としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)およびそのナトリウム塩などのアルカリ金属塩、グルコナール、グルコン酸ナトリウム、クエン酸カリウムおよびクエン酸ナトリウム、ニトロトリアセテート(NTA)塩、GLDA(市販のL−グルタミン酸N,N二酢酸)、フミン酸およびフルビン酸、マルトールおよびエチルマルトール、ペンタ酢酸およびテトラ酢酸、カルボキシル基および水酸基の両方の官能基を有する公知の水溶性ポリマー類(高分子電解質)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)およびそのナトリウム塩などのアルカリ金属塩が特に好適に使用される。
(5)融合工程
この融合工程は、上記の凝集停止工程(4)を経た後、反応系を所期の融着温度に加温することにより、凝集停止工程(4)において得られたコア−シェル型凝集粒子を構成する不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子、結晶性ポリエステル樹脂微粒子および非晶性ポリエステル樹脂微粒子を融着させてコア−シェル型凝集粒子を融合して、未架橋のコア−シェル型トナー粒子を形成させる工程である。
この融合工程に係る融着温度は、不飽和非晶性ポリエステル樹脂または非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)以上、かつ、結晶性ポリエステル樹脂の融点以下の温度であることが好ましい。
また、加熱する時間、すなわち融着時間は、1時間以上であることが好ましく、より好ましくは1〜10時間、さらに好ましくは2〜5時間である。
以上のような融着温度および融着時間において融合されて得られたトナー粒子は、低温定着性と耐熱保管性の両立が確保されたものとなりやすい。
(6)架橋工程
この架橋工程は、反応系にラジカル重合開始剤を添加して、融合工程(5)を経て得られた未架橋のコア−シェル型トナー粒子中に存在する不飽和非晶性ポリエステル樹脂中の重合性不飽和結合をラジカル重合反応させてトナー粒子内に架橋構造を形成させ、特に、未架橋のコア−シェル型トナー粒子の表層に存在する不飽和非晶性ポリエステル樹脂に架橋構造を形成させることによってシェル層を形成する工程である。
この工程により、トナー粒子内に高弾性を発現する架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂を形成させることができ、トナーの機械的強度が向上し、画像形成の際の耐高温オフセット性が確保されると共に得られる画像における光沢過多が抑制できる。
この架橋工程において使用できるラジカル重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤であれば公知のものを使用することができ、具体的には、例えば2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩無水物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]など水溶性アゾ開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などの水溶性重合開始剤を挙げることができる。これら1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系に添加されるラジカル重合開始剤の添加量は、トナー粒子を構成するために使用される不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の総量を100質量%としたとき、1〜20質量%とされるが好ましく、さらに5〜15質量%とされることが好ましい。
反応系に添加されるラジカル重合開始剤の添加量が上記の範囲であると、反応系内において不要な粒子の生成が抑制され、高い製造収率が得られる。
架橋工程における架橋構造の形成に係る架橋温度は、使用するラジカル重合開始剤の分解温度以上、かつ、結晶性ポリエステル樹脂の融点以下であることが好ましい。
また、架橋工程における架橋構造の形成に係る架橋時間は、1時間以上であることが好ましく、より好ましくは1〜10時間、さらに好ましくは2〜5時間である。
このような架橋温度および架橋時間において架橋されて得られるトナー粒子は、低温定着性と耐熱保管性の両立が確保されたものとなりやすい。
(7)濾過・洗浄工程
この濾過・洗浄工程では、得られたトナー粒子の分散液を冷却し、この冷却されたトナー粒子の分散液からトナー粒子を固液分離してトナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。具体的な固液分離および洗浄の方法としては、遠心分離法、ヌッチェなどを使用する減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用する濾過法などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この乾燥工程では、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理が施される。この乾燥工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。なお、乾燥処理されたトナー粒子中の水分量は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。
ここに、トナー粒子の水分量の測定はカール・フィッシャー電量滴定法にて実施される。具体的には、水分計「AO−6、AQI−601」(AQ−6用インターフェイス)、加熱気化装置「LE−24S」からなる自動熱気化水分測定システム「AQS−724」(平沼産業社製)を用い、20℃、50%RHの環境下にて24時間放置したトナー粒子0.5gをガラス製20mlのサンプル管に精密に秤量して入れ、テフロン(登録商標)コートのシリコーンゴムパッキングを用いて密栓し、以下の測定条件および試薬にてこの密栓した環境中に存在する水分量の測定を行う。さらに、この密栓した環境中の水分量を補正するため、空のサンプルを同時に2本測定する。
・試料加熱温度:110℃
・試料加熱時間:1分
・窒素ガス流量:150mL/分
・試薬:対極液(陰極液);ハイドラナール クーロマット CG−K(HYDRANAL(R)−Coulomat CG−K)、発生液(陽極液);ハイドラナール クーロマット AK(HYDRANAL(R)−Coulomat AK)
また、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集して凝集体を形成している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサーなどの機械式の解砕装置を使用することができる。
(9)外添剤添加工程
この外添剤添加工程は、乾燥処理されたトナー粒子に、流動特性、帯電特性の調整およびクリーニング性の向上などの目的で、荷電制御剤や種々の無機微粒子、有機微粒子、および滑剤などの微粒子状の外添剤を添加する工程である。外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
外添剤として使用できる微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物粒子が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。
この外添剤の添加量は、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%であることが好ましい。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
<第2の実施の形態>
また、本発明のトナーの製造方法の具体的な別の一例として、第1の実施の形態における融合工程(5)と架橋工程(6)との順番を逆順に行うことの他は同様に行う方法を挙げることもできる。
具体的には、上述と同様に、(1−A−1)結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、(1−B−1)非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、(1−B−2)不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、(1−C)着色剤微粒子分散液調製工程、(2)凝集工程、(3)付着工程および(4)凝集停止工程を経て製造されたコア−シェル型凝集粒子に、融合が進行しない条件、かつ、不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子による重合性不飽和結合のラジカル重合反応が進行する条件において、反応系にラジカル重合開始剤を添加することにより、架橋工程を実施した後、架橋構造が形成されたコア−シェル型凝集粒子を融合させることにより、架橋非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂および非晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂中に着色剤、離型剤、荷電制御剤などを含有してなるトナー粒子を製造することができる。
<第3の実施の形態>
また、本発明のトナーの製造方法の具体的なさらに別の一例として、第1の実施の形態における融合工程(5)と架橋工程(6)とを同時に行うことの他は同様に行う方法を挙げることもできる。
具体的には、上述と同様に、(1−A−1)結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、(1−B−1)非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、(1−B−2)不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、(1−C)着色剤微粒子分散液調製工程、(2)凝集工程、(3)付着工程および(4)凝集停止工程を経て製造されたコア−シェル型凝集粒子に、不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子による重合性不飽和結合のラジカル重合反応が進行する条件、かつ、融合が進行する条件において、反応系にラジカル重合開始剤を添加することにより、架橋工程と融合工程とを同時に実施して、架橋非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂および非晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂中に、必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤などを含有してなるトナー粒子を製造することができる。
以上のようなトナーの製造方法によれば、水系媒体においてコア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子を所望の状態に付着させ終えた後に架橋構造の形成が行われるために、確実に架橋構造を有するポリエステル樹脂を含有する重合トナーを製造することができ、しかも、当該製造されたトナーは所望の組成および構造を有するトナー粒子について高い収率が得られたもの、すなわちシャープな粒度分布を有するものとなる。その結果、優れた低温定着性を有しながら、トナー粒子内に形成された架橋構造を有するポリエステル樹脂による優れた耐高温オフセット性および耐熱保管性を有し、かつ、形成される画像に適度な光沢を付与することができ、さらに、シャープな粒度分布による良好な帯電特性のために高い濃度階調の再現性が得られるトナーを、少ないエネルギーで製造することができる。
コア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子を付着させ終えた後に架橋構造の形成が行われることによって所望の組成および構造を有するトナー粒子を高い収率で得ることができる理由としては、以下のように考えられる。
すなわち、ラジカル重合開始剤を作用させる時点において、重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子同士の凝集体の生成が抑制された状態とされるために、ラジカル重合反応後に、水系媒体中に前記凝集体の架橋体の生成が抑制されるためであると考えられる。
〔トナー〕
本発明のトナーは、以上のような製造方法によって得られるものであって、具体的には、少なくとも架橋非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子からなるものである。
〔トナー粒子の粒径〕
以上のような製造方法によって得られるトナーは、転写特性の向上、画質の向上および低温定着性の観点から、その粒径が体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましい。
また、トナーの粒度分布は、CV値が0〜25%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましい。CV値がこの範囲であることにより、トナーの帯電特性の均一性が高くなり、形成される画像に高い濃度階調の再現性が得られる。
CV値は、下記式(x)によって求められるものである。ただし、算術平均粒径とは25,000個のトナー粒子について、体積基準の粒子径xの平均値である。
式(x):CV値(%)={(標準偏差)/(算術平均粒径)}×100
トナーの体積基準のメジアン径および算術平均粒径は「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)によって測定されるものである。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメジアン径とする。
〔トナーの平均円形度〕
また、以上のような製造方法によって得られるトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、帯電特性の安定性、低温定着性の観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、0.950〜0.995であることがより好ましい。
平均円形度が上記の範囲であることにより、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が抑制されてトナーの帯電性が安定し、また、記録材に転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。
トナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(y)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出した値である。HPF検出数が上記の範囲であれば、再現性が得られる。
式(y):
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
〔トナーのガラス転移点および軟化点〕
また、本発明のトナーは、そのガラス転移点(Tg)が30〜60℃、特に40〜55℃であることが好ましい。また、軟化点が70〜140℃、特に80〜110℃であることが好ましい。
ここに、ガラス転移点(Tg)および軟化点は、測定試料をトナーとしたことの他は前述の同様の方法によって測定されるものである。
〔トナーの機械的強度〕
さらに、本発明のトナーは、10%変形強度が9〜50MPaである機械的強度を有することが好ましい。
この10%変形強度は、微小圧縮試験機「MCT−W201」(島津製作所社製)を用いて圧縮試験モードで測定される値である。
〔現像剤〕
以上のようなトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子を用いることが好ましい。
キャリアとしては、その体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜60μmのものがより好ましい。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアとしては、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることができる。被覆用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂など使用することができる。
〔画像形成方法〕
以上のようなトナーは、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。画像形成方法としては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば像担持体上に静電的に形成された静電潜像を、現像装置において現像剤を摩擦帯電部材によって帯電させることにより顕在化させてトナー像を得、このトナー像を記録材に転写し、その後、記録材上に転写されたトナー像を接触加熱方式の定着処理によって記録材に定着させることにより、可視画像が得られる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、分子量、融点、ガラス転移点、軟化点は、上述の通りに測定した。
<結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液Aの製造>
加熱乾燥した3口フラスコに、脂肪族ジカルボン酸として1,8−セバシン酸312.5質量部、脂肪族ジオールとして1,6−ヘキサンジオール187.5質量部、並びに触媒としてテトラブトキシチタン2.0質量部とを入れ、減圧操作により容器内の空気を抜いた後、窒素ガスにより置換して不活性雰囲気とし、機械撹拌にて180℃で5時間還流処理を行った後、不活性雰囲気のまま徐々に昇温し、200℃で3時間撹拌を行って粘稠な液体状の生成物を得、さらに、空冷しながらこの生成物の分子量をGPCで測定しながら、質量平均分子量(Mw)が15,000になったところで減圧を解除して重縮合反応を停止させ、これにより、結晶性ポリエステル樹脂を合成した。得られた結晶性ポリエステル樹脂は、融点が88℃であった。
撹拌動力を与えるアンカー翼の備えられた反応容器に、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを添加し、その後、得られた結晶性ポリエステル樹脂をハンマーミルで粗粉砕したものを徐々に添加して撹拌し、完全に溶解させて油相となるポリエステル樹脂溶液を得た。次いで、撹拌されている油相に希アンモニア水溶液を数量滴下して、さらに、この油相をイオン交換水に滴下して転相乳化させた後、エバポレータで減圧しながら溶剤の除去を行った。反応系には結晶性ポリエステル樹脂微粒子が生成しており、さらに、この分散液にイオン交換水を追加して固形分を20質量%に調整して、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A〕を調製した。
得られた結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A〕中の結晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、185nmであった。
<不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液Bの製造>
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、多価カルボン酸成分として、フマル酸7.3質量部、テレフタル酸125質量部、イソフタル酸18質量部、5−スルホイソフタル酸2.3質量部、および、多価アルコール成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物(分子量=460)264質量部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物(分子量404)83.4質量部を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4 を2.0質量%となる量を投入し、さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、さらに240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、不飽和非晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた不飽和非晶性ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が3,100、ガラス転移点(Tg)が63℃、軟化点が88℃であった。
得られた不飽和非晶性ポリエステル樹脂を、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液の製造と同様の操作を行うことによって、固形分が20質量%である不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子が分散されてなる不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B〕を調製した。
得られた不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B〕中の不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、218nmであった。
<ブラック着色剤微粒子分散液Cの製造>
イオン交換水250質量部にn−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8質量部を混合溶解させ、カーボンブラック「リーガル330(キャボット社製)」を10質量部とC.I.ピグメントブルー15:3を40質量部とを入れてホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)により10分間分散させた後、超音波分散機で20分間分散処理することにより、ブラック着色剤微粒子の分散液を得た。得られた分散液にさらに、イオン交換水を添加して、固形分を20質量%に調整することにより、ブラック着色剤微粒子分散液〔C〕を調製した。得られたブラック着色剤微粒子分散液〔C〕中のブラック着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、215nmであった。
<離型剤微粒子分散液Dの製造>
イオン交換水240質量部にアニオン性界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製)5質量部およびクエン酸トリベヘネートワックス(融点83.2℃)60質量部を入れて95℃に加熱し、「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)にて十分に分散させた後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理することにより、離型剤微粒子の分散液を得た。得られた分散液にさらにイオン交換水を添加して、固形分を20質量%に調整することにより、離型剤微粒子分散液〔D〕を調製した。得られた離型剤微粒子分散液〔D〕中の離型剤微粒子の体積基準のメジアン径は、気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、240nmであった。
〔実施例1:トナーの製造例1〕
<凝集工程>
上記の結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A〕250質量部、不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B〕500質量部、ブラック着色剤微粒子分散液〔C〕80質量部、離型剤微粒子分散液〔D〕70質量部およびイオン交換水500質量部を、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)に投入し、20℃に温度を保ちながら15分間の混合し、次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム0.1質量部を添加し、pHが4.1〜4.3に維持されるように0.3モル/Lの硝酸水溶液または1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を適宜滴下しながら、2時間混合分散を継続した。反応系内の体積平均のメジアン径をコールターマルチタイザー(ベックマン・コールター社製)により計測し、コア凝集粒子の体積基準のメジアン径が3.2μmであることを確認した。
<付着工程>
コア凝集粒子が形成された反応系を丸型ステンレス製フラスコに移し、そこに不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B〕100質量部を添加し、60分間撹拌して、コア凝集粒子の表面にさらに不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子を付着させ、コア−シェル型凝集粒子を形成した。
<凝集停止工程>
その後、エチレンジアミンテトラ酢酸4Na2.5質量部を加え、pHが8〜8.5に維持されるように1モル/Lの水酸化ナトリウムを滴下して、不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子のコア凝集粒子の表面へのさらなる付着および反応系内に存在する粒子同士の凝集を停止させ、所望の組成を有するコア−シェル型凝集粒子を確保した。
この凝集停止工程を終えた直後、および1時間後のそれぞれのコア−シェル型凝集粒子の体積平均のメジアン径をコールターマルチタイザー(ベックマン・コールター社製)により測定したところ、それぞれ、6.61μm、6.59μmであり、粒径の大きな増加は観察されなかった。
<融合工程>
凝集停止工程において得られたコア−シェル型凝集粒子が形成された反応系を、80℃に加熱し、120分間撹拌することにより、コア−シェル型凝集粒子内のポリエステル樹脂微粒子を融着させることにより、未架橋のトナー粒子を得た。
<架橋工程>
融合工程において得られた未架橋のトナー粒子が形成された反応系に、過硫酸カリウム10.5質量部を添加し、80℃の温度で、さらに120分間の撹拌を継続してラジカル重合反応を行い、架橋構造を有するトナー粒子を得た。
<濾過・洗浄工程〜乾燥工程>
その後、多管式熱交換機を使用して、反応系を25℃まで冷却してから、ヌッチェ式吸引濾過機を用いて「No.5」(東洋濾紙社製)の濾紙を用いて濾過し、濾液のpHが6.5以下、かつ電気伝導度が12μS/cm以下となるまで洗浄と濾過を繰り返し、真空乾燥により12時間乾燥することにより、トナー粒子〔1X〕を得た。
得られたトナー粒子〔1X〕は、体積基準のメジアン径が6.51μm、CV値が16%であった。
また、使用後の濾紙における反応残査について、仕込み量より算出されるトナー粒子の生成量に対する反応残査量の割合を算出したところ、4質量%であった。
<外添剤添加工程>
得られたトナー粒子〔1X〕100質量部に対し、酸化セリウム粒子(個数体積平均粒径0.55μm)2.5質量部、チタニア粒子(ドデシルトリメトキシシラン処理済み、体積平均粒径30nm)0.8質量部およびシリカ粒子(ヘキサメチルジンラザン処理済み、体積平均粒径100nm)1.2質量部を添加し、「5Lヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により、装置内の温度が45℃に維持されるように冷却水を流しながら10分間の混合処理を行ない、得られた混合物を網目開き45μmの風力篩分機「ハイボルターNR300」(東京機械(株)製)によって粗大粒子を除去することにより、外添剤処理が施されたトナー〔1〕を製造した。
〔実施例2:トナー製造例2〕
トナーの製造例1において、融合工程と架橋工程の順番を逆順にして、以下のように行ったことの他は同様にして、トナー〔2〕を製造した。
<架橋工程>
凝集停止工程において得られたコア−シェル型凝集粒子が形成された反応系に、過硫酸カリウム10.5質量部を添加し、50℃の温度で、さらに240分間の撹拌を継続してラジカル重合反応を行い、架橋構造を有するコア−シェル型のトナー粒子を得た。
<融合工程>
凝集停止工程において得られた架橋構造を有するコア−シェル型のトナー粒子が形成された反応系を、80℃に加熱し、120分間撹拌することにより、コア−シェル型凝集粒子内のポリエステル樹脂微粒子を融着させることにより、未架橋のトナー粒子を得た。
得られたトナー〔2〕におけるトナー粒子は、体積基準のメジアン径が6.58μm、CV値が17%であった。
また、使用後の濾紙における反応残査について、仕込み量より算出されるトナー粒子の生成量に対する反応残査量の割合を算出したところ、6質量%であった。
〔実施例3:トナーの製造例3〕
トナーの製造例1において、以下のように架橋工程と融合工程を同時に、以下のように行ったことの他は同様にして、トナー〔3〕を製造した。
<架橋工程および融合工程>
凝集停止工程において得られたコア−シェル型凝集粒子の乳化液を80℃に加温し、過硫酸カリウム10.5質量部を添加し、150分間の撹拌を継続してラジカル重合反応を行うことにより、架橋構造を有するトナー粒子を得た。
得られたトナー〔3〕におけるトナー粒子は、体積基準のメジアン径が6.32μm、CV値が14%であった。
また、使用後の濾紙における反応残査について、仕込み量より算出されるトナー粒子の生成量に対する反応残査量の割合を算出したところ、3質量%であった。
〔比較例1:トナーの製造例4〕
<凝集工程>
上記の結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A〕250質量部、不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B〕500質量部、ブラック着色剤微粒子分散液〔C〕80質量部、離型剤微粒子分散液〔D〕70質量部およびイオン交換水500質量部を、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)に投入し、20℃に温度を保ちながら15分間の混合し、次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム0.1質量部を添加し、pHが4.1〜4.3に維持されるように0.3モル/Lの硝酸水溶液または1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を適宜滴下しながら、2時間混合分散を継続した。反応系内の体積平均のメジアン径をコールターマルチタイザー(ベックマン・コールター社製)により計測し、コア凝集粒子の体積基準のメジアン径が3.2μmであることを確認した。
<付着工程および架橋工程>
コア凝集粒子が形成された反応系を丸型ステンレス製フラスコに移し、そこに不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B〕100質量部および過硫酸カリウム10.5質量部を添加し、オイルバスを用いて65℃に加温しながら60分間撹拌して、コア凝集粒子の表面にさらに不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子を付着させながらラジカル重合反応を行い、架橋構造が形成されたコア−シェル型凝集粒子を作成した。
この付着工程および架橋工程を終えた直後、および1時間後のそれぞれのコア−シェル型凝集粒子の体積平均のメジアン径をコールターマルチタイザー(ベックマン・コールター社製)により測定して比較したところ、7.681μmから8.14μmに増加しており、CV値も23%から28%に増加していることが確認され、製造安定性の確保が困難であることが確認された。
<凝集停止工程>
付着工程および架橋工程を経た反応系に、エチレンジアミンテトラ酢酸4Na2.5質量部を加え、pHが8〜8.5に維持されるように1モル/Lの水酸化ナトリウムを滴下して、さらなる不飽和非晶性ポリエステル樹脂微粒子のコア凝集粒子表面への付着および反応系内に存在する粒子同士の凝集を停止させた。
この凝集停止工程を終えた直後、および1時間後のそれぞれの架橋構造が形成されたコア−シェル型凝集粒子の体積平均のメジアン径をコールターマルチタイザー(ベックマン・コールター社製)により測定したところ、それぞれ、7.79μm、7.82μm(CV値:27%、28%)であり、粒径の大きな増加は観察されなかった。
<融合工程>
凝集停止工程において得られた架橋構造が形成されたコア−シェル型凝集粒子が形成された反応系を、80℃に加熱して120分間撹拌することにより、架橋したコア−シェル型凝集粒子内のポリエステル樹脂微粒子を融着させて、架橋構造を有するトナー粒子を得た。
<濾過・洗浄工程〜乾燥工程>
その後、多管式熱交換機を使用して、反応系を25℃まで冷却してから、ヌッチェ式吸引濾過機を用いて「No.5」(東洋濾紙社製)の濾紙を用いて濾過し、濾液のpHが6.5以下、かつ電気伝導度が12μS/cm以下となるまで洗浄と濾過を繰り返し、真空乾燥により12時間乾燥することにより、トナー粒子〔4X〕を得た。
得られたトナー粒子〔4X〕は、体積基準のメジアン径が7.78μm、CV値が27%であった。
また、使用後の濾紙における反応残査について、仕込み量より算出されるトナー粒子の生成量に対する反応残査量の割合を算出したところ、40質量%であった。
<外添剤添加工程>
得られたトナー粒子〔4X〕100質量部に対し、酸化セリウム粒子(個数体積平均粒径0.55μm)2.5質量部、チタニア粒子(ドデシルトリメトキシシラン処理済み、体積平均粒径30nm)0.8質量部およびシリカ粒子(ヘキサメチルジンラザン処理済み、体積平均粒径100nm)1.2質量部を添加し、「5Lヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により、装置内の温度が45℃に維持されるように冷却水を流しながら10分間の混合処理を行ない、得られた混合物を網目開き45μmの風力篩分機「ハイボルターNR300」(東京機械(株)製)によって粗大粒子を除去することにより、外添剤処理が施されたトナー〔4〕を製造した。
〔評価1:耐熱保管性についての評価〕
上記のトナー〔1〕〜〔4〕について、それぞれ、トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めてタップデンサー「KYT−2000」(セイシン企業製)で600回振とうした後、蓋を取り温度57℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いでトナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に解砕しないよう注意しながら載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調節し10秒間振動を加えた後、篩上に残存した残存トナー量を測定し、下記式(1)によりトナー凝集率を算出し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
式(1):トナー凝集率(質量%)={残存トナー量(g)/0.5(g)}×100
−評価基準−
◎:トナー凝集率が15質量%未満(優良)。
○:トナー凝集率が20質量%以下、15質量%以上(良好)。
×:トナー凝集率が20質量%を超える(不良)。
〔評価2:定着オフセット性についての評価〕
製造されたトナー〔1〕〜〔4〕について、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径60μmのフェライトキャリアを、前記トナーの濃度が6質量%になるよう混合し、現像剤〔1〕〜〔4〕を調製した。
現像剤〔1〕〜〔4〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、A4(坪量80g/m2 )普通紙を縦送りで搬送し、搬送方向に垂直な方向に伸びる5mm幅のベタ帯画像を定着させた後、搬送方向に対して垂直方向に伸びる5mm幅のベタ帯画像および20mm幅のハーフトーン画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を100℃、105℃・・・と5℃刻みで増加させるよう変更しながら繰り返し行った。
低温オフセットによる画像汚れ、高温オフセットによる画像汚れが観察された定着実験における定着温度を、それぞれ、低温オフセット温度、高温オフセット温度として測定した。結果を表1に示す。
〔評価3:下限定着温度についての評価〕
現像剤〔1〕〜〔4〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、A4(坪量80g/m2 )普通紙上に、トナー付着量11mg/cm2 のベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を100℃から5℃刻みで増加させるように変更しながら繰り返し行った。
各定着温度に係る定着実験において得られたプリント物を、折り機でベタ画像に荷重をかけるように折り、これに0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、限度見本を参照して、折り目を下記の評価基準に示す5段階にランク付けし、ランク3となる定着実験における定着温度を、下限定着温度とした。結果を表1に示す。
−評価基準−
ランク5:全く折れ目なし。
ランク4:一部折れ目に従った剥離あり。
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり。
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり。
ランク1:大きな剥離あり。
〔評価4:濃度階調性についての評価〕
現像剤〔1〕〜〔4〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、定着用ヒートローラの表面温度を、上記の低温オフセット温度および下限定着温度のうちの高い方の温度(最低定着温度)に設定した状態で、厚み250g/m2 のアートコート紙上に、トナー付着量10mg/cm2 のベタ画像(100%画像)、30%、50%および70%のスクエアドット平網画像を形成し、平網画像におけるGI値を、4画像解析システム「GI−es−8500AAC」(NATIONAL INSTRUMENT社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。なお、GI値が0.25未満であれば、画像のザラツキ感が少なく、実用に耐えうると判断される。
〔評価5:光沢度〕
現像剤〔1〕〜〔4〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、定着用ヒートローラの表面温度を、上記の低温オフセット温度および下限定着温度のうちの高い方の温度(最低定着温度)に設定した状態で、厚み250g/m2 のアートコート紙上に、トナー付着量10mg/cm2 のベタ画像(100%画像)、および50%画像によるスクエアドットの平網画像を形成し、「Gardner micro−gloss 75°」を用いて100%画像の75°光沢を光沢度として測定した。結果を表1に示す。光沢度が60〜80である場合を、適度な光沢があり、かつ、ギラツキ感がないとして「○」、光沢度が80を超える場合を、ギラツキ感による違和感があるとして「×」、60未満である場合を、「不良」として評価した。
Figure 0005545173

Claims (3)

  1. 少なくとも架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
    (a−1)結晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
    (a−2)重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
    (b)水系媒体中において、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂による微粒子を凝集させてコア凝集粒子を形成する工程、
    (c)前記コア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子を付着させて、コア−シェル型凝集粒子を形成する工程
    を経た後、
    (d)前記コア−シェル型凝集粒子にラジカル重合開始剤を添加してラジカル重合反応を行うことにより、コア凝集粒子の表面に架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂による層を形成する工程
    を経ることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記工程(c)と前記工程(d)との間において、
    (e)前記コア凝集粒子への重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の付着がなされる反応系に凝集停止剤を添加する工程
    を経ることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 少なくとも架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーであって、
    (a−1)結晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
    (a−2)重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の水系媒体分散液を調製する工程、
    (b)水系媒体中において、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂による微粒子を凝集させてコア凝集粒子を形成する工程、
    (c)前記コア凝集粒子の表面に重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子を付着させて、コア−シェル型凝集粒子を形成する工程、
    (e)前記コア凝集粒子への重合性不飽和結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂による微粒子の付着がなされる反応系に凝集停止剤を添加する工程、
    を経た後、
    (d)前記コア−シェル型凝集粒子にラジカル重合開始剤を添加してラジカル重合反応を行うことにより、コア凝集粒子の表面に架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂による層を形成する工程
    を経ることによって得られることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
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