JP5544750B2 - 電動機 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機に関する。
従来、異なる複数の磁極数に相当する磁石磁束を、その表面に合算して発生させる磁束発生部材を有する回転子と、複数の磁極数に対応した複数の電流磁界を合算し、かつ、回転子を回転させることができるように電流を与えられる固定子とを備えた電動機が知られている(特許文献1参照)。
特開2007−174885号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、複数の磁極数に相当する磁石磁束を組み合わせた際に生じる、トルクに寄与しない高調波成分の影響によって、モータの損失が増加し、電動機の効率が低下してしまうという問題点があった。
本発明による電動機は、異なる複数の磁極数に相当する磁石磁束を、その表面に合算して発生させる磁束発生部材を有する回転子と、複数の磁極数に対応した複数の電流磁界を合算し、かつ、回転子を回転させることができるように電流を与えられる固定子とを備え、複数の磁極数成分の磁束の位相差を、磁束発生に寄与する基本波成分に対する、基本波成分とは異なる高調波成分の比率である歪率が最小となるように設定した。特に、nを2以外の偶数とした場合に、多極側の極対数が少極側の極対数に対してn倍の場合には、位相差を0に設定し、nを3以外の奇数とした場合に、多極側の極対数が少極側の極対数に対してn倍の場合には、位相差をπ/nに設定したことを特徴とする。
また、本発明による電動機は、異なる複数の磁極数に相当する磁石磁束を、その表面に合算して発生させる磁束発生部材を有する回転子と、複数の磁極数に対応した複数の電流磁界を合算し、かつ、回転子を回転させることができるように電流を与えられる固定子と、を備え、複数の磁極数成分の磁束の位相差を、磁束発生に寄与する基本波成分に対する、該基本波成分とは異なる高調波成分の比率である歪率が最小となるように設定したものであり、多極側の極対数が少極側の極対数に対してs/p倍(s>p>1、かつ、sとpは互いに素)であることを特徴とする。
本発明によれば、モータの損失を抑制することができるので、電動機の効率を向上させることができる。
異なる極対数の複数の回転子を一体に統合した電動機について説明するための図である。 異なる極対数成分を組み合わせる際の位相の定義について説明するための図である。 図3(a)〜(c)はそれぞれ、1極対の磁石と2極対の磁石とを、異なる位相差φで配置した場合に、着磁方向の異なる磁石が張り合わせてある部分から磁石を排除して、残った磁石を示す図である。 3極対の磁石を外周側に、5極対の磁石を内周側に配置した図である。 図4に示す磁石配置に対して、異なる磁性の磁石を排除して、同一磁性の磁石のみを残したロータと、9スロットのステータとを備えるモータの断面構成図を示す図である。 図6(a)は、3極対の磁石を有するロータを回転駆動させるための正弦波の電流波形を示す図、図6(b)は、5極対の磁石を有するロータを回転駆動させるための正弦波の電流波形を示す図、図6(c)は、図6(a)に示す電流波形と図6(b)に示す電流波形とを複合させた複合電流の波形の一例を示す図である。 極対数およびスロット数と、巻線係数との関係を示す図である。 組み合わせる極対数に応じた歪率をまとめた図である。 位相差φに応じて、組み合わせる極対数の比が1:3の場合のときの基本波の歪率と、n次基本波(n=3)の歪率とを示す図である。 図10(a)は、位相差を0とした場合に、様々な極対数の基本波とn次基本波とを組み合わせた際の基本波歪率の一例を示す図であり、図10(b)は、位相差を0とした場合に、様々な極対数の基本波とn次基本波とを組み合わせた際のn次基本波歪率の一例を示す図である。 図11(a)は、位相差をπとした場合に、様々な極対数の基本波とn次基本波とを組み合わせた際の基本波歪率の一例を示す図であり、図11(b)は、位相差をπとした場合に、様々な極対数の基本波とn次基本波とを組み合わせた際のn次基本波歪率の一例を示す図である。
一実施の形態における電動機は、異なる極対数の複数の回転子を一体に統合して形成されている。まず始めに、異なる極対数の複数の回転子を一体に統合した電動機について説明する。
図1(a)は、18スロットのステータ(固定子)1と、6極対の磁石を有するロータ(回転子)2により構成されるモータ3の断面図である。各スロットには、巻線4が集中的に巻かれている。図1(b)は、18スロットのステータ5と、3極対の磁石を有するロータ6により構成されるモータ7の断面図であり、各スロットには、巻線8が集中的に巻かれている。スロットに巻かれている巻線は、6個おきに配置されている3個が1セット(トータル6セット)となっており、直列、あるいは並列に接続され、その一方が中性点として他の相の一方と接続され、他方は、図示しないインバータの内部で、電源ラインのP側・N側にスイッチング素子を介して接続されている。
なお、ステータ1、5は分割されたコアにより構成されているが、分割されていないコアとしてもよいし、スロットレス型であってもよい。また、巻線は、集中巻に限らず分布巻でもよい。
図1(c)は、図1(a)のロータ2を抽出した図であり、図1(d)は、図1(b)のロータ6を抽出した図である。
図1(e)は、図1(c)に示すロータ2の磁石を内周側に、図1(d)に示すロータ5の磁石を外周側に重ねて配置した図である。図1(e)を見ると、着磁方向の異なる2種類の磁石(N極、S極)が幾つかの位置で互いに接している。周知のように、着磁方向の異なる磁石を張り合わせた場合、双方の磁力が同じであれば、磁石が無いものと等価である。
図1(f)は、径方向に見て異なる着磁の磁石が張り合わせてある部分から磁石を排除したモータの断面構成を示す図である。図1(f)に示すように、このモータのロータは、3つのN極磁石11〜13と、6つのS極磁石14〜19とを有し、これらの磁石は、3極対と6極対の2種類の極対数を備える2組の磁石として機能する。ここで、3極対、6極対の極対数とは、ロータが一周(0deg〜360deg)する間に、ロータ表面に現れる磁束のことである。この場合の2組の磁石は、概念的なものであり、部材が明確に分離されているものではなく、ステータの巻線に供給される複合電流を構成する1つの電流に対して、3極対の磁石のセットとして振る舞う磁石の組が1つあり、複合電流を構成するもう1つの電流に対して、6極対の磁石のセットとして振る舞う磁石の組が1つあることを意味するものであり、各磁石11〜13、14〜19が同時に双方の組の磁石として機能するものである。これらの磁石11〜19が複合磁束を発生する。この場合、基本波3極対、n次基本波6極対(n=6/3=2)の複合起磁力分布モータとなる。
なお、図1(f)では、不要な磁石を除去した領域は空間となっており、空気がその領域を占めているが、この空気が占める領域は、磁束を通さない機能を果たしている。すなわち、磁石を除去したこの領域には、鉄などの磁束を通しやすい素材以外の部材を置く必要があるが、通常は、空間(空気)でこと足りる。もちろん、当該領域には、空気以外の磁束を通しにくい部材が設置されていてもかまわない。
図2は、異なる極対数成分を組み合わせる際の位相の定義について説明するための図である。ここでは、基本波1極対、n次基本波2極対(n=2)の複合起磁力分布モータを例に挙げて説明する。図2において、N極の磁束をプラス(+)、S極の磁束をマイナス(−)と便宜的に表現し、上から順に、基本波、n次基本波、基本波にn次基本波を重畳させた複合波形をそれぞれ示している。
基本波に対して、n次基本波を重畳する場合に、基本波の位相が0度の位置を基準として、n次基本波の0度位置との差を、位相差φと定義する。以下、位相差φによって、複合起磁力分布を得るために必要な磁石数が異なることを説明する。図2に示す例では、複合波形から明らかなように、必要な磁石が3つとなる。
図3(a)〜(c)はそれぞれ、1極対の磁石と2極対の磁石とを、異なる位相差φで配置した場合に、着磁方向の異なる磁石が張り合わせてある部分から磁石を排除して、残った磁石を示す図である。
図3(a)は、位相差φを0とした場合である。この場合、磁石数は2となる。一方、図3(b)および(c)は、位相差φが0ではない場合である。この場合、図3(b)および(c)にそれぞれ示すように、磁石数は3となる。
一般に、磁石の個数が増える(1個あたりの磁石の大きさは小さくなる)と、磁石端部における磁束漏洩の影響によって起磁力が減少するので、位相差φについては考慮が必要である。
図4は、3極対の磁石41を外周側に、5極対の磁石42を内周側に配置した図である。上述したように、異なる磁性の磁石を排除して、同一磁性の磁石のみを残したロータ51と、9スロットのステータ52とを備えるモータの断面構成図を図5に示す。
図6(a)は、3極対の磁石を有するロータを回転駆動させるための正弦波の電流波形を、図6(b)は、5極対の磁石を有するロータを回転駆動させるための正弦波の電流波形をそれぞれ示している。ただし、図6(b)は、3極対の磁石に対する5極対の磁石の位相差φをπとした場合の電流波形を示している。また、図6(c)は、図6(a)に示す電流波形と図6(b)に示す電流波形とを複合させた複合電流の波形の一例を示している。図6(c)に示すような複合電流をティースに巻かれた巻線に流すことにより、3極対と5極対のロータのトルクを合算したトルクを得ることができる。
なお、この極対数の組み合わせでは、磁石数は合計6個となっている(図5参照)。ここで、スロット数に対して、極対数が決まったときの巻線係数について説明する。ここでの巻線係数とは、短節係数のことであり、その値が大きいほど、トルク特性に優れていることを示す。
図7は、極対数およびスロット数と、巻線係数との関係を示す図である。横軸が極対数を、縦軸がスロット数をそれぞれ示している。上述した9スロット3極対の場合の巻線係数は、0.866であり、9スロット5極対の場合の巻線係数は、0.985と高い値になっており、トルク特性に優れている。
本実施の形態では、異なる極対数を組み合わせる際の位相差を、磁束発生に寄与する基本波成分に対する、磁束発生に寄与しない高調波成分の比率として定義される歪率が最小となるように設定する。以下、歪率について説明する。
基本波の歪率δbは、次式(1)により定義される。
また、n次基本波の歪率δnは、次式(2)により定義される。
ここで、複合磁石配置時の磁束密度波形は、次式(3)により表される。
ただし、xは位相、φは上述した基本波に対するn次基本波の位相差である。
以下では、極対数p、極対数s(p<s)の磁石を組み合わせる場合において、少極側の極対数pに対する多極側の極対数sの割合n(n=s/p)が整数であるか、分数であるかで場合分けをして、式(1)および式(2)で定義される歪率を算出する。
<nが整数で、かつ、偶数の場合>
nが偶数の場合、複合波形に含まれる第m次の振幅について考える。式(3)より、kは奇数なので、nが偶数の場合には、任意のnおよびkにおいて、式(3)の第1項および第2項は独立である。従って、
・m=1、3、5、…の時、第m次の振幅Ac_mは、次式(4)で表される。
・m=n、3n、5n、…の時、第m次の振幅Ac_mは、k=m/nの場合のみ存在し、次式(5)で表される。
ここで、各次数の振幅を整理すると、基本波の振幅は2/π、n次基本波の振幅は2/πである。また、高調波の振幅は、
・m=1、3、5、…の場合は、2/(πm)
・m=n、3n、5n、…の場合は、2n/(πm)
である。
従って、基本波歪率δb、δnはそれぞれ、式(1)、(2)より、次式(6)、(7)で表される。
<nが整数で、かつ、奇数の場合>
nが奇数の場合、式(3)の第2項nkも奇数となるため、第1項のみで記述される場合と、第1項および第2項の和で記述される場合に分けて考察する必要がある。
m=1、3、5、…であって、かつ、m≠n×kの場合、第m次の項は、式(3)において、k=mの時のみ存在し得るので、第m次の振幅Ac_mは、次式(8)で表される。
また、m=n、3n、5n、…の時に、第m次の項は、k=mの場合、および、k=m/nの場合において、それぞれ以下の式(9)、(10)の合成関数の振幅で表される。
式(9)および(10)の合成関数の振幅Ac_mは、次式(11)で表される。
ここで、各次数の振幅を整理すると、基本波の振幅は、2/π、n次基本波の振幅は2/(πn)×{n2+2ncos(−nφ)+1}1/2と表される。また、高調波の振幅は、
・m=1、3、5、…で、かつ、m≠nkの場合に、2/(πm)
・m=n、3n、5n、…の場合に、2/(πm)×{n2+2ncos(−mφ)+1}1/2
である。
従って、基本波歪率δbおよびn次基本波歪率δnは、それぞれ、次式(12)、(13)で表される。
<nが分数の場合>
基本波の極対数pおよびsが互いに素な自然数であり、n(n=s/p)が分数になる場合、複合磁束密度波形は、次式(14)により表される。
式(14)より、pk1≠sk2の場合には、第1項および第2項は独立の次数となるが、pk1=sk2が成立する条件下でのみ、第m次の振幅は、第1項および第2項によって構成される合成関数の振幅となる。
ここで、k=1、3、5、…の条件下で、pk1=sk2が成立するためには、次式(15)が成り立つ必要があり、pおよびsがいずれも奇数の場合にのみ、成立することがわかる。
以下では、p、sのうち、少なくとも一方が偶数の場合、および、p、sの両方が奇数の場合に場合分けをして説明する。
<<p、sのうち、少なくとも一方が偶数の場合>>
この場合、式(15)が成り立たないので、式(14)の第1項および第2項が独立の次数をとる。m=p・g(g=1、3、5、…)の次数成分が生じるのは、k=m/pの場合のみであり、その第m次の振幅Ac_mは、次式(16)で表される。
また、m=s・g(g=1、3、5、…)の次数成分が生じるのは、k=m/sの場合のみであり、その第m次の振幅Ac_mは、次式(17)で表される。
ここで、各次数の振幅を整理すると、基本波の振幅は、2/π、n次基本波の振幅は2/π、高調波の振幅は、
・m=pg(g=1、3、5、…)の場合に、2p/(πm)
・m=sg(g=1、3、5、…)の場合に、2s/(πm)
となる。
従って、p次基本波歪率δp、およびs次基本波歪率δsは、次式(18)、(19)のように表される。
<<p、s共に奇数の場合>>
p、s共に奇数の場合、式(14)より、pk1≠sk2の場合には、第1項および第2項は独立の次数となるが、k=1、3、5、…の条件下でpk1=sk2が成立する場合のみ、第m次の振幅は、第1項および第2項によって構成される合成関数の振幅となる。つまり、k1=sg、k2=pg(ただし、g=1、3、5、…)の場合に、第m次(ただし、m=psg)の振幅は、次式(20)、(21)の合成関数の振幅となる。
式(20)および(21)の合成関数の振幅は、次式(22)で表される。
pk1≠sk2の場合、m=pg(g=1、3、5、…)の次数成分が生じるのは、k=m/pの場合のみであり、その第m次の振幅Ac_mは、次式(23)で表される。
また、m=sg(g=1、3、5、…)の次数成分が生じるのは、k=m/sの場合のみであり、その第m次の振幅Ac_mは、次式(24)で表される。
ここで、各次数の振幅を整理すると、基本波の振幅は、2/π、n次基本波の振幅は2/π、高調波の振幅は、
・m=pg(g=1、3、5、…)の場合(ただし、m≠psg)に、2p/(πm)
・m=sg(g=1、3、5、…)の場合(ただし、m≠psg)に、2s/(πm)
・m=psg(g=1、3、5、…)の場合に、2/(πm)×{p2+2ps×cos(−mφ)+s21/2
である。
従って、p次基本波歪率δp、およびs次基本波歪率δsは、次式(25)、(26)のように表される。
図8は、n(n=s/p)が整数、分数のそれぞれの場合の歪率をまとめた図である。図8から明らかなように、組み合わせ次数nが整数で、かつ奇数の場合の基本波(式(12))、および、n次基本波の歪率(式(13))、組み合わせ次数nが分数で、かつ、pおよびsがそれぞれ奇数の場合の歪率(式(25)、(26))は、組み合わせ位相差φに依存する関数となるが、それ以外の歪率については、位相差φには依存しない。ただし、上述したように、組み合わせ位相差φによって、磁石の個数が異なるため、それぞれの得失が生じる。
nが整数で、かつ、偶数の場合、歪率は組み合わせ位相差φに依存しない。この場合、組み合わせ位相差φを0に設定することにより、配置する磁石の個数が必要最低限となるため、磁石端部での磁束漏洩による起磁力の低下を抑制することができ、また、組立作業性も向上する。
また、式(13)、(25)、(26)から分かるように、組み合わせ次数nが小さければ小さいほど、歪率は小さくなる。従って、歪率が最も小さくなる極対数の組み合わせは、組み合わせ次数nが整数でかつ奇数の場合には、1:3となり、組み合わせ次数が分数で、かつ、次数pおよびsがそれぞれ奇数の場合は、3:5となる。また、歪率が最も小さくなる位相差φは、cos(−mφ)が−1になる時であって、極対数が1:3の場合には、φ=π/m、3π/m、5π/m、…(ただし、m=n、3n、5n、…)であり、極対数が3:5の場合には、φ=π/m、3π/m、5π/m、…(ただし、m=ps、3ps、5ps、…)である。
図9は、位相差φに応じて、組み合わせる極対数の比が1:3の場合(組み合わせ次数n=3)のときの基本波(p=1)の歪率と、n次基本波(n=3)の歪率とを示す図である。上述したように、位相差φ=π/m、3π/m、5π/m、…(ただし、m=n、3n、5n、…)のときに、基本波の歪率は最小となるので、n=3の場合には、図9に示すように、π/3、π、5π/3の時に、歪率は最小となる。
特に、n=3の時に、位相差φをπとすることにより、着磁方向の異なる磁石が張り合わせてある部分から磁石を排除することによって配置される磁石の数を必要最低限とすることができる。これにより、磁石端部での磁束漏洩による起磁力の低下を抑制することができ、また、組立作業性も向上する。
図10(a)は、位相差を0とした場合に、様々な極対数の基本波とn次基本波とを組み合わせた際の基本波歪率の一例を示す図である。また、図10(b)は、位相差を0とした場合に、様々な極対数の基本波とn次基本波とを組み合わせた際のn次基本波歪率の一例を示す図である。この場合、図10(a)に示すように、3次基本波、5次基本波の組み合わせの時に、歪率は最も大きくなる。また、基本波およびn次基本波のいずれかの次数が偶数の場合には、いずれの次数も奇数の場合に比べて、歪率は相対的に小さい。さらに、基本波およびn次基本波ともに、次数を大きくすることにより、歪率は小さくなる。
図11(a)は、位相差をπとした場合に、様々な極対数の基本波とn次基本波とを組み合わせた際の基本波歪率の一例を示す図である。また、図11(b)は、位相差をπとした場合に、様々な極対数の基本波とn次基本波とを組み合わせた際のn次基本波歪率の一例を示す図である。この場合、1次基本波、3次基本波の組み合わせの時に、基本波歪率は最も小さくなり、3次基本波、5次基本波の組み合わせの時に、n次基本波歪率は最も小さくなる。基本波およびn次基本波のいずれかの次数が偶数の場合には、いずれの次数も奇数の場合に比べて、歪率は相対的に大きくなる。さらに、基本波およびn次基本波ともに、次数を小さくすることにより、歪率は小さくなる。
ここで、図7に示すように、スロット数SLが偶数の場合、極対数SL/2のときに、巻線係数は1.0で最大となり、極対数がSL/2から離れていくに従って、巻線係数が小さくなる。従って、ステータのスロット数SLが偶数の場合、多極側の極対数をSL/2+1、少極側の極対数をSL/2−1とすることにより、多極側および少極側の巻線係数をそれぞれ高く設定する設定することができ、高いトルク特性を得ることができる。
また、スロット数SLが偶数で、かつ、SL/2も偶数の場合、多極側の極対数をSL/2+1、少極側の極対数をSL/2−1とすると、極対数はそれぞれ奇数となり、かつ、互いに素な自然数となる。従って、上述したように、位相差φ=π/m、3π/m、5π/m、…(ただし、m=ps、3ps、5ps、…)の時に、歪率は小さくなるので、位相差φをπ/psとすることにより、歪率を小さくしつつ、高いトルク特性を得ることができる。
また、スロット数SLが奇数の場合、図7より、多極側の極対数を(SL+1)/2、少極側の極対数を(SL−1)/2とすることにより、多極側および少極側それぞれの巻線係数を高く設定することができ、高いトルク特性を得ることができる。
一実施の形態における電動機によれば、異なる複数の磁極数に相当する磁石磁束を、その表面に合算して発生させる磁束発生部材を有する回転子と、複数の磁極数に対応した複数の電流磁界を合算し、かつ、回転子を回転させることができるように電流を与えられる固定子とを備えた電動機であって、複数の磁極数成分の磁束の位相差を、磁束発生に寄与する基本波成分に対する、基本波成分とは異なる高調波成分の比率である歪率が最小となるように設定した。これにより、電動機の鉄損を低減して、電動機の効率を向上させることができる。
また、多極側の極対数が少極側の極対数に対してn倍(nは偶数)であり、かつ、位相差を0に設定するので、配置する磁石の個数が必要最低限となり、磁石端部での磁束漏洩による起磁力の低下を抑制することができる。また、配置する磁石の個数を必要最低限とすることにより、組立作業性も向上する。
多極側の極対数が少極側の極対数に対してn倍(nは奇数)であり、かつ、位相差をπ/nに設定することにより、トルクに寄与しない高調波成分の含有率である歪率を低くすることができる。これにより、電動機の鉄損を低減して、電動機の効率を向上させることができる。特に、n=3とすることにより、歪率をより小さくすることができる。また、n=3であって、かつ、位相差をπとすることにより、結果的に配置する磁石の数を必要最低限とすることができるので、磁石端部での磁束漏洩による起磁力の低下を抑制することができ、また、組立作業性も向上する。
また、多極側の極対数が少極側の極対数に対してs/p倍(s>p>1、かつ、sとpは互いに素)とすることにより、s/pが整数となる場合に比べて、少極側および多極側の極対数をそれぞれ巻線係数の高い極対数に設定することができる。これにより、歪率を低く抑えつつ、高いトルク特性を得ることができる。
さらに、スロット数SLを偶数とした場合に、多極側の極対数をSL/2+1、少極側の極対数をSL/2−1とすることにより、多極側および少極側の巻線係数をそれぞれ高く設定する設定することができるので、歪率を低く抑えつつ、高いトルク特性を得ることができる。
また、スロット数SLが偶数で、かつ、SL/2も偶数の場合、多極側の極対数をSL/2+1、少極側の極対数をSL/2−1とすることにより、歪率を小さくしつつ、高いトルク特性を得ることができる。
スロット数SLが奇数の場合には、多極側の極対数を(SL+1)/2、少極側の極対数を(SL−1)/2とすることにより、多極側および少極側それぞれの巻線係数を高く設定することができ、高いトルク特性を得ることができる。
また、多極側の極対数sおよび少極側の極対数pが共に奇数の場合に、位相差をπ/(sp)に設定することにより、歪率を小さくすることができる。特に、s=5、p=3とすることにより、歪率を最も小さくすることができ、鉄損の小さい高効率の電動機とすることができる。
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、ステータのスロット数、駆動相数、磁束の次数は、上述した一実施の形態で説明した数値に限定されることはない。また、インナーロータ、アウターロータ、アキシャルロータといったモータ形状や、集中巻き、分布巻きといったステータ形状、埋め込み磁石、表面磁石といったロータ形状、分割磁石、棒方磁石、円弧磁石等の磁石形状にも、本発明は依存しない。
1…ステータ
2…ロータ
3…モータ
4…巻線
5…ステータ
6…ロータ
7…モータ
8…巻線
51…ロータ
52…ステータ

Claims (7)

  1. 異なる複数の磁極数に相当する磁石磁束を、その表面に合算して発生させる磁束発生部材を有する回転子と、
    前記複数の磁極数に対応した複数の電流磁界を合算し、かつ、前記回転子を回転させることができるように電流を与えられる固定子と、
    を備え、
    前記複数の磁極数成分の磁束の位相差を、磁束発生に寄与する基本波成分に対する、該基本波成分とは異なる高調波成分の比率である歪率が最小となるように設定したものであり、
    nを2以外の偶数とした場合に、多極側の極対数が少極側の極対数に対してn倍の場合には、前記位相差を0に設定し、nを3以外の奇数とした場合に、多極側の極対数が少極側の極対数に対してn倍の場合には、前記位相差をπ/nに設定したことを特徴とする電動機。
  2. 異なる複数の磁極数に相当する磁石磁束を、その表面に合算して発生させる磁束発生部材を有する回転子と、
    前記複数の磁極数に対応した複数の電流磁界を合算し、かつ、前記回転子を回転させることができるように電流を与えられる固定子と、
    を備え、
    前記複数の磁極数成分の磁束の位相差を、磁束発生に寄与する基本波成分に対する、該基本波成分とは異なる高調波成分の比率である歪率が最小となるように設定したものであり、
    多極側の極対数が少極側の極対数に対してs/p倍(s>p>1、かつ、sとpは互いに素)であることを特徴とする電動機。
  3. 前記固定子のスロット数SLが偶数の場合に、多極側の極対数をSL/2+1、少極側の極対数をSL/2−1としたことを特徴とする請求項に記載の電動機。
  4. 前記固定子のスロット数SLが偶数であり、かつ、SL/2も偶数の場合に、前記位相差をπ/(sp)に設定したことを特徴とする請求項に記載の電動機。
  5. 前記固定子のスロット数SLが奇数の場合に、多極側の極対数を(SL+1)/2、少極側の極対数を(SL−1)/2としたことを特徴とする請求項に記載の電動機。
  6. 前記sおよび前記pが共に奇数の場合に、前記位相差をπ/(sp)に設定したことを特徴とする請求項に記載の電動機。
  7. 前記多極側の極対数を5、少極側の極対数を3、前記位相差をπ/(sp)に設定したことを特徴とする請求項に記載の電動機。
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