JP5533740B2 - 高圧燃料ポンプ - Google Patents
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Description
従来より、ディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)に高圧燃料を供給する高圧燃料ポンプとして、図15および図16に示したように、ポンプハウジングのカム室の周方向に放射状に配設された複数のプランジャと、これらのプランジャをその軸線方向に往復駆動するカム101、およびこのカム101の回転軸方向の両側に設けられる2つのジャーナル102、103を有するカムシャフトと、カム101の回転運動を複数のプランジャの往復運動に変換するカムリングと、2つのジャーナル102、103の周囲を取り囲む軸受けスリーブを有するハウジング104、105とを備えたサプライポンプが公知である(例えば、特許文献1〜3参照)。なお、カム101は、カムシャフトの回転軸に対して偏心して一体的に形成されている。
このようなサプライポンプは、カムシャフトの回転(カム101の偏心動作)に伴ってカム101の周りを公転するカムリングが、複数のシリンダのシリンダ孔内に嵌挿された各プランジャを往復駆動し、各プランジャが加圧室内の燃料を加圧して高圧化し、エンジン側に圧送供給するように構成されている。
また、カムシャフトが高速で回転すると、カムシャフトの各ジャーナル102、103とハウジング104、105の各軸受けスリーブとが焼き付く可能性があるので、カムシャフトの各ジャーナル102、103とハウジング104、105の各軸受けスリーブとの間にメタルブッシュ112、113が設置されている。なお、カムシャフトの各ジャーナル102、103と各メタルブッシュ112、113との間に燃料の一部を潤滑油として供給し、各ジャーナル102、103と各メタルブッシュ112、113との間に形成される油膜によって焼き付きを抑制している。
この場合には、カムシャフトのカム101から応力(ラジアル荷重)を受けるメタルブッシュ111のカム当接部に過大な面圧(高面圧F)が作用する。なお、各メタルブッシュ111においては、集中荷重が作用するカム101の中央部に対向する部位に高面圧Fが加わる。
また、図15(b)、(c)に示したように、カムシャフトの各ジャーナル102、103から応力(ラジアル荷重)を受ける各メタルブッシュ112、113のジャーナル当接部に過大な面圧(高面圧)Fが作用する。なお、各メタルブッシュ112、113においては、カム101からの距離が近い側の部位に高面圧Fが加わる。
また、サプライポンプの場合、カムシャフトの各ジャーナル102、103の外周の曲率半径と各メタルブッシュ112、113の内周の曲率半径とは、図16(a)に示した初期状態では異なるが、使用している間に、各ジャーナル102、103の外周の曲率半径と各メタルブッシュ112、113の内周の曲率半径とが徐々に近づく、これを「初期なじみ過程」と称する。このとき、各メタルブッシュ112、113の内周部は、各ジャーナル102、103の曲率半径と同程度の曲率半径となるように削られる。
これにより、カムシャフトのカム101からラジアル荷重を受けるメタルブッシュ111のカム当接部の受圧面積、カムシャフトの各ジャーナル102、103からラジアル荷重を受ける各メタルブッシュ112、113のカム当接部の受圧面積が増加するので、カムシャフトのカム101とメタルブッシュ111との接触面圧、カムシャフトの各ジャーナル102、103と各メタルブッシュ112、113との接触面圧が下がる。
その結果、カムシャフトのカム101とメタルブッシュ111との摺動部分、カムシャフトの各ジャーナル102、103と各メタルブッシュ112、113との摺動部分に潤滑油としての燃料が入り込み易くなるので、カム101とメタルブッシュ111との摺動部分、カムシャフトの各ジャーナル102、103と各メタルブッシュ112、113との摺動部分に油膜が形成される。
ところで、近年、エンジンの出力向上、並びにエンジンから排出されるNOxや黒煙等の排出量の低減を図るという目的で、燃料の噴射圧力の更なる高圧化が要求されている。 しかし、燃料の噴射圧力を高めるためには、高圧燃料ポンプによる燃料の加圧圧力を高め、高圧燃料ポンプより吐出される燃料の高圧化を図る必要がある。
燃料の高圧化を図ると、各プランジャの加圧圧送に伴う負荷が過大となり、特にカムシャフトのカム101とメタルブッシュ111との摺動部分、カムシャフトの各ジャーナル102、103と各メタルブッシュ112、113との摺動部分に大きな面圧(F)が発生することになる。
また、カムシャフトのカム101とメタルブッシュ111との摺動部分、カムシャフトの各ジャーナル102、103と各メタルブッシュ112、113との摺動部分の焼き付きが発生し易くなるという問題が発生する。
これにより、軸受け部材は、カムシャフト(4〜6)から荷重(ピストンの駆動力または駆動反力)を受けると、そのカムシャフト(4〜6)との当接部分に過大な面圧(高面圧)が発生する。
そこで、ブロック(11〜13)と軸受け部材(7〜9)との間には、カムシャフト(4〜6)から荷重を受けて高面圧が発生する方向への、軸受け部材(7〜9)の変形を許容するための変形逃げ部が設けられている。
これによって、軸受け部材(7〜9)がカムシャフト(4〜6)から荷重を受けて、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との間の面圧が局部的に高くなっても、軸受け部材(7〜9)の変形により軸受け部材(7〜9)の受圧面積を増加させることが可能となるので、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との間の面圧を低減することができる。
この結果、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との摺動部分の摩耗および焼き付きを防止することができる。また、軸受け部材(7〜9)の摩耗量を大幅に減少させることができる。また、軸受け部材(7〜9)の凝着摩耗を低減することができる。また、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との摺動部分の耐焼き付き性を向上できるので、高圧燃料ポンプの耐久性を向上することができる。
請求項3に記載の発明によれば、カムシャフト(4〜6)から荷重を受けて高面圧が発生する方向の、軸受け部材(7〜9)の外面に変形逃げ溝(64〜66)を形成することで、軸受け部材(7〜9)の変形を許容する隙間(S1〜S3)が設けられる。
なお、カムシャフト(4〜6)から荷重を受けて高面圧が発生する方向とは、ピストン(1〜3)の加圧圧送に伴う負荷(ピストンの駆動力または駆動反力)が、カムシャフト(4〜6)に荷重(応力)として作用する方向、あるいはこの方向とは180°逆方向(反対方向)のことである。
なお、軸受け部材(7〜9)の外面には、一般的に、所定の曲率半径を有する凸曲面形状の外周面が形成されている。そこで、軸受け部材(7〜9)の凸曲面形状の外周面の一部を切り欠いて(削って)、軸受け部材(7〜9)の中心軸線の垂直面に対して垂直な方向に延びる平面状の底面を形成するようにしても良い。
なお、軸受け部材(7〜9)の凸曲面形状の外周面の一部に、その軸受け部材(7〜9)の凸曲面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する凸曲面、つまり緩やかな凸曲面状の底面を形成するようにしても良い。また、変形逃げ溝(64〜66)の底面に平面と曲面とを設けても良い。
請求項7に記載の発明によれば、変形逃げ溝(64〜66)の底面が、軸受け部材(7〜9)の軸線方向(カムシャフトの回転軸方向と同一方向)の両端から中央へ向かって上り勾配となるように、軸受け部材(7〜9)の軸線方向に対して傾斜している。この場合、ブロック(11〜13)に対する軸受け部材(7〜9)の向きの区別が不要であり、ブロック(11〜13)の収容孔壁面に軸受け部材(7〜9)を組み付ける際の作業性(組み付け作業性)を向上することができる。
請求項9に記載の発明によれば、カムシャフト(4〜6)から荷重を受けず高面圧が発生しない方向の、ブロック(11〜13)と軸受け部材(7〜9)との間にのみ、前記軸受け部材(7〜9)のブロック側への変形を規制するための規制部品(81〜83)を挟み込むことで、軸受け部材(7〜9)の変形を許容する隙間(S1〜S3)が設けられる。
請求項12に記載の発明によれば、断面円形状のカム(4)が、カムシャフト(5、6)に設けられている。このカム(4)は、カムシャフト(5、6)の回転軸方向に対して偏心するように、カムシャフト(5、6)に設けられている。
請求項13に記載の発明によれば、ブロックとは、カム(4)の周りを公転するカムリング(11)のことである。また、収容孔とは、カム(4)を回転自在に収容するカム収容孔のことである。
請求項14に記載の発明によれば、ピストンとは、カムリング(11)の外面に接触してカムリング(11)の公転に追従して往復移動するプランジャ(1〜3)のことである。
請求項16に記載の発明によれば、ブロックとは、内部にカム室(20)が形成されたハウジング(12、13)のことである。
また、収容孔とは、2つのジャーナル(5、6)のうちの少なくとも一方のジャーナル(5、6)を回転自在に収容するジャーナル収容孔のことである。
なお、ハウジング(12、13)のカム室(20)を中心にして放射状に(しかもカム室の周方向に所定の角度間隔で)シリンダとプランジャ(ピストン)が複数設置されている。また、シリンダとプランジャ(ピストン)によって高圧燃料ポンプ本体(ポンプエレメント)が構成される。
請求項18に記載の発明によれば、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との摺動部分に潤滑油を供給する潤滑油供給手段(潤滑油供給流路等)を備えている。 これにより、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との摺動部分に潤滑油が入り込み易くなるので、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との摺動部分に効率良く油膜が形成されるため、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との摺動部分の潤滑が図られる。
この結果、カムシャフト(4〜6)と軸受け部材(7〜9)との摺動部分の耐摩耗性および耐焼き付き性を向上できるので、高圧燃料ポンプの耐久性を向上することができる。
本発明は、カムシャフトと軸受け部材との摺動部分の摩耗および焼き付きを防止するという目的、また、軸受け部材の摩耗量を減少し、軸受け部材の凝着摩耗を防止することで、カムシャフトと軸受け部材との摺動部分の耐焼き付き性を向上させるという目的を、ブロックと軸受け部材との間に、カムシャフトから荷重(応力)を受けて高面圧が発生する方向への、軸受け部材の変形を許容するための変形逃げ部を設けたことで実現した。
特に、変形逃げ部は、ブロックと軸受け部材との間に隙間を形成することで設けられる。また、変形逃げ部は、ブロックと軸受け部材との間に弾性体を挟み込むことで設けられる。
ここで、カムシャフトと軸受け部材との摺動部分に潤滑油としての燃料を供給する潤滑油供給流路等の潤滑油供給手段を備えている。これにより、カムシャフトと軸受け部材との摺動部分に潤滑油が入り込み易くなるので、カムシャフトと軸受け部材との摺動部分に効率良く油膜が形成され、カムシャフトと軸受け部材との摺動部分の耐摩耗性および耐焼き付き性がより向上する。
図1ないし図7は本発明の実施例1を示したもので、図1および図2は高圧燃料ポンプのカムシャフト軸受け構造を示した図である。
ここで、複数のインジェクタの各ニードルバルブを開閉動作させるアクチュエータへの供給電力は、エンジン制御ユニット(ECU)によって制御されるように構成されている。
ここで、オイルシール10は、カムシャフトのジャーナル6の外周とハウジング13の軸受けスリーブの内周との間の環状隙間をシールしている。
ここで、カムリング11の軸受けスリーブとは、内部にカムシャフトのカム4を回転方向に移動可能(回転可能)に収容する円筒状の軸受けホルダのことである。
また、ハウジング12、13の各軸受けスリーブとは、内部に各ジャーナル5、6を回転方向に移動可能(回転可能)に収容する円筒状の軸受けホルダのことである。また、ハウジング12に取り付けられるポンプカバー21の内部には、フィードポンプのインナロータ22およびアウタロータ23等が収容されている。
カムシャフトの回転軸方向の一端(先端)外周には、エンジンのクランクシャフトに結合されるクランクプーリによりベルト駆動されるドライブプーリ(図示せず)が取り付けられている。これにより、カムシャフトは、エンジンのクランクシャフトによって回転駆動される。
カムシャフトの回転軸方向の他端(後端)外周には、フィードポンプのインナロータ22が取り付けられている。フィードポンプは、燃料系の低圧側である燃料タンクから低圧燃料を汲み上げる低圧燃料ポンプである。
各シリンダ孔27〜29の軸線方向の一方側には、プランジャ1〜3の往復運動により燃料を加圧する燃料加圧室31〜33が形成されている。また、複数のシリンダボディ17〜19には、燃料供給流路を開閉する燃料吸入弁34〜36、燃料吐出流路を開閉する燃料吐出弁37〜39、内部に吐出ポート(燃料孔)が形成されたアウトレット41〜43がそれぞれ設置されている。
燃料吸入弁34〜36は、電磁式燃料調量弁から各燃料加圧室31〜33へ燃料を供給するための燃料供給流路を開閉するバルブ、このバルブを閉弁方向に付勢するリターンスプリング、各シリンダボディ17〜19の開口部を気密的に閉塞するプラグ、各シリンダボディ17〜19と各プラグとの間に挟み込まれたバルブボディ等によって構成されている。
燃料吐出弁37〜39は、各燃料加圧室31〜33から高圧燃料をコモンレール側へ圧送(吐出)するための燃料吐出流路を開閉するバルブ、このバルブを閉弁方向に付勢するリターンスプリング、およびこのリターンスプリングの荷重を受け止めるスプリング座等によって構成されている。
また、プランジャ1〜3の往復移動に伴って各燃料加圧室31〜33の内容積が拡縮することで加圧された高圧燃料は、シリンダボディ17〜19、燃料吐出弁37〜39のスプリング座、アウトレット41〜43内部に形成される燃料孔等よりなる各燃料流路によって構成される。
逆に、プランジャ1〜3が上昇して燃料加圧室31〜33内の燃料圧力が所定の圧力に達すると、燃料吐出弁37〜39が開弁して燃料加圧室31〜33内で加圧された高圧燃料が燃料吐出流路(燃料孔)、燃料配管を介してコモンレールへ圧送供給される。
各プランジャ1〜3の軸線方向のカム室側端部には、カム4の周囲を周方向に取り囲むように配設されたカムリング11の外面(直線状に形成される平面)に対して対向して配置されるタペット44〜46が一体的に設けられている。これらのタペット44〜46は、シリンダボディ17〜19の各シリンダ孔27〜29よりカム室20内に突出している。また、タペット44〜46は、プランジャ1〜3の中で最も外径の大きい最大外径部である。
カムリング11は、カムシャフトのカム4の周りを公転する。このカムリング11は、カム4の外周にメタルブッシュ7を介して摺動自在に保持されている。また、カムリング11の両側(図示上下)には、カムリング11の公転に追従して往復移動するプランジャ1〜3が配置されている。
カムリング11の内周部には、カムシャフトのカム4の周囲を周方向に取り囲む軸受けホルダが一体的に形成されている。この軸受けホルダの内部には、カム4の回転軸方向に延びるカム収容孔47が形成されている。このカム収容孔47は、カムシャフトのカム4を回転自在に収容するシャフト収容孔である。
ハウジング12は、メタルブッシュ8を介して、カムシャフトのジャーナル5を回転可能に支持するポンプハウジング(ハウジング本体)である。
ハウジング13は、メタルブッシュ9を介して、カムシャフトのジャーナル6を回転可能に支持する軸受けカバー(ベアリングカバー)である。
ハウジング12、13には、カムシャフトの各ジャーナル5、6の周囲を周方向に取り囲む軸受けホルダがそれぞれ一体的に形成されている。これらの軸受けホルダの内部には、各ジャーナル5、6の回転軸方向に延びるジャーナル収容孔48、49が形成されている。これらのジャーナル収容孔48、49は、カムシャフトの各ジャーナル5、6をそれぞれ回転自在に収容するシャフト収容孔である。
コイルスプリング14〜16は、プランジャ1〜3の各タペット44〜46を、カムリング11の外面に押し付ける方向に付勢している。つまり、各タペット44〜46は、コイルスプリング14〜16の付勢力(押圧荷重)によりカムリング11の座面51〜53に押し付けられている。
また、プランジャ1〜3の各タペット44〜46は、カムリング11の座面51〜53との当接面が平面形状に形成されている。これにより、カムリング11の自転が阻止されるため、カム4の回転に伴いカムリング11は、プランジャ1〜3の各タペット44〜46と摺動しながら自転することなく公転する。
また、カムシャフトが高速で回転すると、カムシャフトの各ジャーナル5、6とハウジング12、13とが焼き付く恐れがあるので、カムシャフトの各ジャーナル5、6とハウジング12、13の各軸受けスリーブとの間には、円筒状のメタルブッシュ8、9が設置されている。
そして、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、カムシャフトのカム4および各ジャーナル5、6とメタルブッシュ7〜9との摺動部分の摩耗および焼き付きを防止するという目的で、カムリング11および各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間に、カムシャフトのカム4および各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向への、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための変形逃げ部を備えている。
複数の隙間S1〜S3は、カムシャフトのカム4、各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向のメタルブッシュ7〜9の外周面、つまり高面圧発生部61〜63の背面をカムシャフト側に凹ませることで設けられる。具体的には、高面圧発生部61〜63の背面側に変形逃げ溝(凹部)64〜66を形成することで、複数の隙間S1〜S3が設けられる。
変形逃げ溝64〜66の溝幅方向の両側には、変形逃げ溝64〜66の底面とメタルブッシュ7〜9の外周面(凸曲面67〜69)との交差稜線EL1、EL2がそれぞれ設けられている。2つの交差稜線EL1、EL2は、メタルブッシュ7の円周方向に等間隔で設けられている。
また、変形逃げ溝64〜66の各底面は、平坦な平面形状の底面であって、2つの交差稜線EL1、EL2間に形成される平面形状の端面(外面)である。
なお、メタルブッシュ7〜9の各凸曲面67は、メタルブッシュ7〜9における最大外径部であり、カムリング11の収容孔壁面およびハウジング12、13の収容孔壁面に圧入嵌合される圧入面である。
次に、本実施例の高圧燃料ポンプ(サプライポンプ)の動作を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
そして、例えば上死点に位置する第1のプランジャ1が下降すると、燃料加圧室31内の燃料圧力が低下していく。そして、燃料供給流路(燃料孔等)内の燃料圧力が、燃料吸入弁34のリターンスプリングの付勢力と燃料加圧室31内の燃料圧力との合力よりも大きくなると、燃料吸入弁34のバルブが開弁する。すなわち、バルブがバルブボディのバルブシート面より離脱して燃料供給流路が開放される。これにより、フィードポンプより送り出された燃料は、電磁式燃料調量弁から燃料供給流路を経て燃料加圧室31内に吸入される。
そして、燃料加圧室31内の燃料圧力が吐出弁の開弁圧以上に上昇すると、燃料吐出弁37のバルブが開弁して、燃料加圧室31から燃料孔→吐出ポートおよび高圧ポンプ配管(燃料配管)を経てコモンレール内に高圧燃料が圧送供給される。
そして、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料は、インジェクタの電磁弁等のアクチュエータを任意の噴射時期に駆動することで、所定のタイミングで、エンジンの各気筒の燃焼室内へ噴射供給することができる。
次に、本実施例の高圧燃料ポンプ(サプライポンプ)の特徴を図1ないし図7に基づいて説明する。
一方、カムシャフトの各ジャーナル5、6の周囲を円周方向に取り囲むメタルブッシュ8、9には、図3(b)に示したように、各プランジャ1〜3の加圧圧送に伴ってカム4からラジアル荷重を受けて過大な面圧(高面圧F)が発生する高面圧発生部62、63が形成される。
なお、本実施例の高圧燃料ポンプでは、複数のプランジャ1〜3が、カム室20の周方向に所定の角度間隔(例えば120°等間隔)で設置されているので、複数の高面圧発生部61〜63もメタルブッシュ7〜9の内周方向に所定の角度間隔(例えば120°等間隔)で形成される。
また、メタルブッシュ8、9の高面圧発生部62、63において高面圧Fが発生する方向は、メタルブッシュ7の高面圧発生部61において高面圧Fが発生する方向に対して180°反転した方向となる。
なお、従来の高圧燃料ポンプにおいては、メタルブッシュ7〜9の周囲を円周方向に取り囲む軸受けホルダを有するカムリング11やハウジング12、13の各軸受けホルダが金属ブロック等の剛体で形成されている。これにより、メタルブッシュ7〜9の高面圧発生部61〜63の背面側が、仮にカム4や各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向へ曲がり変形しようとしても、軸受けホルダにより高面圧発生部61〜63の背面側の変形が規制されているので、カム4や各ジャーナル5、6により高面圧発生部61〜63が抉られるように摩耗する。
この結果、例えば初期なじみ過程で、メタルブッシュ7〜9の摩耗量が多くなるという問題がある。
この変形逃げ部は、カムリング11、ハウジング12、13の収容孔壁面とメタルブッシュ7〜9との間に隙間S1〜S3を形成することで設けられる。これにより、メタルブッシュ7〜9の変形代を確保することが可能となるので、メタルブッシュ7〜9の変形がし易くなる。つまりカムシャフトのカム4、各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向へ、メタルブッシュ7〜9が容易に変形することが可能となる。
これにより、カムシャフトのカム4、各ジャーナル5、6とメタルブッシュ7〜9の各高面圧発生部61〜63との摺動部分に潤滑油としての燃料が入り込み易くなるので、カムシャフトのカム4、各ジャーナル5、6とメタルブッシュ7〜9の各高面圧発生部61〜63との摺動部分に効率良く油膜が形成されるため、カムシャフトのカム4、各ジャーナル5、6とメタルブッシュ7〜9との摺動部分の潤滑が図られる。
カムシャフトのカム4および各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向への、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための変形逃げ部である複数の隙間S1〜S3は、図3に示した例と同様にして、メタルブッシュ7〜9の各高面圧発生部61〜63の背面に変形逃げ溝64〜66を形成することで設けられる。
先ず、図4(a)に示したメタルブッシュ7〜9の各変形逃げ溝64〜66には、平坦な平面形状の底面(平面FA)が設けられている。また、メタルブッシュ7〜9には、変形逃げ溝64〜66の底面とメタルブッシュ7〜9の外周面(凸曲面67〜69)との交差稜線EL1、EL2がそれぞれ設けられている。変形逃げ溝64〜66の底面は、2つの交差稜線EL1、EL2間に形成されている。そして、変形逃げ溝64〜66の底面は、メタルブッシュ7〜9の凸曲面形状の外周面の一部(高面圧発生部61〜63の背面部分)を切り欠いて(平面切削して)形成される。
これによって、変形逃げ溝64〜66の底面が平面FAのみで形成されるものと比べて、カムシャフトのカム4、各ジャーナル5、6とメタルブッシュ7〜9との間の接触面圧を均一に逃がすことが可能となる。
これによって、変形逃げ溝64〜66の底面に平面と凸曲面との両方が設けられることで、変形逃げ溝64〜66の底面が曲面CAのみで形成されるものと比べて、メタルブッシュ7〜9の変形代(隙間S1〜S3の断面積)を大きくとれるため、より高面圧Fへの対応が可能となる。
この図5に示したメタルブッシュ7〜9の各変形逃げ溝64〜66には、メタルブッシュ7〜9の中心軸線方向(カムシャフトの回転軸方向)に真っ直ぐに延びる平面形状の底面(FA)が形成される。これにより、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための変形逃げ部である複数の隙間S1〜S3は、メタルブッシュ7〜9の中心軸線方向(カムシャフトの回転軸方向)全体に渡って一様な断面積を備える。
なお、メタルブッシュ7〜9には、図4に示したメタルブッシュ7〜9と同様に、変形逃げ溝64〜66の底面(平面FA)とメタルブッシュ7〜9の外周面(凸曲面67〜69)との交差稜線EL1、EL2がそれぞれ設けられている。
図6に示したメタルブッシュ8の高面圧発生部62は、メタルブッシュ8の軸線方向の中央よりも一端側(カム4からの距離が近い側、図2において高圧燃料ポンプ(カムシャフト)の回転軸方向のリヤ(Re)側:図示左端側)寄りに設定(形成)される。また、図6に示したメタルブッシュ9の高面圧発生部63は、メタルブッシュ9の軸線方向の中央よりも一端側(カム4からの距離が近い側、図2において高圧燃料ポンプ(カムシャフト)の回転軸方向のフロント(Fr)側:図示左端側)寄りに設定(形成)される。
以上のように、メタルブッシュ8、9を高圧燃料ポンプの側面から見た場合、変形逃げ溝65、66をメタルブッシュ8、9の軸線方向の中央よりも一端側(図6において図示左側)寄りに形成することで、高面圧発生部62、63の背面側にのみ変形逃げ部である隙間S1〜S3を設定することが望ましい。
なお、凸曲面状の圧入面を有する嵌合部70は、メタルブッシュ8、9の円周方向に延びる円筒状の厚肉部(変形逃げ溝65、66を有する側を薄肉部とした場合、薄肉部と比べて厚肉とされた部位)であり、カムリング11の収容孔壁面およびハウジング12、13の収容孔壁面に圧入嵌合される円環状の部位である。
このようにメタルブッシュ8、9の軸線方向の一端側寄り、つまりカムシャフトのジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する高面圧発生部62、63の背面側にのみ変形逃げ部(隙間S1〜S3)を設けることができるので、ハウジング12、13の収容孔壁面におけるメタルブッシュ8、9の嵌合部70の圧入面(凸曲面68、69)に対する緊迫力(保持力)を維持することができる。
この場合、図6(b)に示したメタルブッシュ8、9と同様に、メタルブッシュ8、9の軸線方向の一端側寄り、つまりカムシャフトのジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する高面圧発生部62、63の背面側にのみ変形逃げ部(隙間S1〜S3)を設定できるので、ハウジング12、13の収容孔壁面におけるメタルブッシュ8、9の嵌合部70の圧入面(凸曲面68、69)に対する緊迫力(保持力)を維持することができる。
この場合、メタルブッシュ8、9の高面圧発生部62、63の軸線方向の位置に対応して変化する面圧分布に応じたメタルブッシュ8、9の変形代を確保することができる。
この場合、図6(b)、(c)に示したメタルブッシュ8、9と同様に、メタルブッシュ8、9の軸線方向の一端側寄り、つまりカムシャフトのジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する高面圧発生部62、63の背面側にのみ変形逃げ部(隙間S1〜S3)を設定できるので、ハウジング12、13の収容孔壁面におけるメタルブッシュ8、9の圧入面(凸曲面67〜69)に対する緊迫力(保持力)を維持することができる。
また、メタルブッシュ8、9の軸線方向の一端側の端面エッジ(交差稜線EL3)に対する応力集中を緩和できるので、カムシャフトのジャーナル5、6とメタルブッシュ8、9との摺動部分の摩耗および焼き付きを防止することができる。
この場合、図6(c)に示したメタルブッシュ8、9と同様に、メタルブッシュ8、9の高面圧発生部62、63の軸線方向の位置に対応して変化する面圧分布に応じたメタルブッシュ8、9の変形代を確保することができる。
ここで、図6に示した態様(変形例)をメタルブッシュ7に適用しても良い。この場合、メタルブッシュ7の中央付近に変形逃げ溝64を設定する。
メタルブッシュ8の場合には、高面圧発生部62、変形逃げ溝65および隙間S1〜S3の形成位置を、メタルブッシュ8の軸線方向の中央よりも一端側(カム4からの距離が近い側、図2において高圧燃料ポンプのRe側)寄りに設定している。また、メタルブッシュ9の場合には、高面圧発生部63、変形逃げ溝66および隙間S1〜S3の形成位置を、メタルブッシュ9の軸線方向の中央よりも一端側(カム4からの距離が近い側、図2において高圧燃料ポンプのFr側)寄りに設定している。
このように、カムシャフトのジャーナル5、6の外周面とハウジング12、13の収容孔壁面との間に設置されるメタルブッシュ8、9は、ハウジング12、13の収容孔壁面に対する圧入方向、組み付け方向が互いに逆向き(180°反対方向)となっている。
よって、各メタルブッシュ8、9の軸線方向の一端側(高面圧発生部形成側)の向きを考慮して、ハウジング12、13の収容孔壁面に圧入固定する必要があり、組み付け性が悪く、コストアップとなるという問題がある。
また、メタルブッシュ8、9の軸線方向の両端側には、高面圧発生部62、63および変形逃げ溝65、66がそれぞれ設定(形成)されている。
また、メタルブッシュ8、9は、図示左側の変形逃げ溝65の底面(平面FA)と嵌合部70の外周面(圧入面68、69)との間に形成される段差71、および図示右側の変形逃げ溝66の底面(平面FA)と嵌合部70の外周面(圧入面68、69)との間に形成される段差72を有している。
このようにメタルブッシュ8、9の軸線方向の両端側寄り、つまりカムシャフトのジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する各高面圧発生部62、63の背面側にのみ変形逃げ部(隙間S1〜S3)を設けることができるので、ハウジング12、13の収容孔壁面におけるメタルブッシュ8、9の圧入面(凸曲面68、69)に対する緊迫力(保持力)を維持することができる。
この場合、高圧燃料ポンプのハウジング12、13の収容孔壁面に対するメタルブッシュ8、9の圧入方向(組み付け方向)の向きの区別が不要となるので、ハウジング12、13の収容孔壁面にメタルブッシュ8、9を組み付ける際の作業性(組み付け作業性)を向上できる。これにより、高圧燃料ポンプの製造コストを低減できる。
この場合、図7(b)に示したメタルブッシュ8、9と同様に、メタルブッシュ8、9の軸線方向の両端側寄り、つまりカムシャフトのジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する高面圧発生部62、63の背面側にのみ変形逃げ部(隙間S1〜S3)を設定できるので、ハウジング12、13の収容孔壁面におけるメタルブッシュ8、9の嵌合部70の圧入面(凸曲面68、69)に対する緊迫力(保持力)を維持することができる。
なお、変形逃げ溝65、66の底面(傾斜面73、74)の傾斜角度を、メタルブッシュ8、9の高面圧発生部62、63の面圧分布に対応させるようにしても良い。この場合、メタルブッシュ8、9の高面圧発生部62、63の軸線方向の位置に対応して変化する面圧分布に応じたメタルブッシュ8、9の変形代を確保することができる。
この場合、図7(b)、(c)に示したメタルブッシュ8、9と同様に、メタルブッシュ8、9の軸線方向の両端側寄り、つまりカムシャフトのジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧が発生する高面圧発生部62、63の背面側にのみ変形逃げ部(隙間S1〜S3)を設定できるので、ハウジング12、13の収容孔壁面におけるメタルブッシュ8、9の圧入面(凸曲面68、69)に対する緊迫力(保持力)を維持することができる。
なお、変形逃げ溝65、66の底面(凸曲面75、76)の傾斜角度を、メタルブッシュ8、9の高面圧発生部62、63の面圧分布に対応させるようにしても良い。この場合、図7(c)に示したメタルブッシュ8、9と同様に、メタルブッシュ8、9の高面圧発生部62、63の軸線方向の位置に対応して変化する面圧分布に応じたメタルブッシュ8、9の変形代を確保することができる。
ハウジング12、13に回転自在に支持されるカムシャフトには、プランジャ1〜3を往復駆動するカム4およびこのカム4の回転軸方向の両側に設置される2つのジャーナル5、6が一体的に設けられている。
また、カムシャフトの各ジャーナル5、6とハウジング12、13との間には、各ジャーナル5、6の周囲を取り囲むように円筒状のメタルブッシュ8、9が設置されている。 なお、カムシャフトのカム4とメタルブッシュ7との摺動部分の焼き付きを抑制し、且つ各ジャーナル5、6と各メタルブッシュ8、9との摺動部分の焼き付きを抑制するという目的で、例えばカム室20またはフィードポンプから燃料が潤滑油として供給されるように構成されている。
そして、カムリング11および各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間には、カムシャフトのカム4および各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向への、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための変形逃げ部が設定されている。
メタルブッシュ7〜9の変形逃げ部は、カムリング11、各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間に複数(3つ)の隙間S1〜S3を形成することで設けられる。
以上のように、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための隙間S1〜S3をカムリング11、各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間に備えているので、ハウジング12、13の収容孔壁面におけるメタルブッシュ8、9の圧入面(凸曲面67〜69)に対する緊迫力(保持力)を維持できるとと共に、実施例1と同様な効果を達成することができる。
そして、カムリング11および各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間には、カムシャフトのカム4および各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向への、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための変形逃げ部が設定されている。
複数の隙間S1〜S3は、カムシャフトのカム4、各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けず高面圧Fが発生しない方向の、カムリング11および各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間にのみ、メタルブッシュ7〜9のカムリング側、ハウジング側への変形を規制するための断面円弧状の規制部品81を挟み込むことで設けられる。なお、規制部品81〜83は、メタルブッシュ7〜9およびカムリング11および各ハウジング12、13に対して別途設けられた別体部品であって、少なくともメタルブッシュ7〜9よりも硬い材質の剛体(金属製品)を使用することが望ましい。
ハウジング12、13に回転自在に支持されるカムシャフトには、プランジャ1、2を往復駆動するカム4およびこのカム4の回転軸方向の両側に設置される2つのジャーナル5、6が一体的に設けられている。
また、カムシャフトのカム4とカムリング11との間には、カム4の周囲を取り囲むように円筒状のメタルブッシュ7が設置されている。
なお、本実施例の高圧燃料ポンプでは、複数のプランジャ1、2が、カム室20の周方向に所定の角度間隔(例えば180°等間隔)で設置されているので、複数の高面圧発生部61〜63もメタルブッシュ7〜9の内周方向に所定の角度間隔(例えば180°等間隔)で形成される。
カムリング11および各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間には、カムシャフトのカム4および各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向への、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための変形逃げ部が設定されている。メタルブッシュ7〜9の変形逃げ部は、カムリング11、各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間に複数(2つ)の隙間S1、S2を形成することで設けられる。
以上のように、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための隙間S1、S2をカムリング11、各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間に備えているので、ハウジング12、13の収容孔壁面におけるメタルブッシュ8、9の圧入面(凸曲面68、69)に対する緊迫力(保持力)を維持できるとと共に、実施例1〜3と同様な効果を達成することができる。
そして、カムリング11および各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間には、カムシャフトのカム4および各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向への、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための変形逃げ部が設定されている。
メタルブッシュ7〜9の変形逃げ部は、カムリング11、各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間に複数(2つ)の隙間S1、S2を形成することで設けられる。
以上のように、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、実施例4と同様な効果を達成することができる。
そして、カムリング11および各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間には、カムシャフトのカム4および各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けて高面圧Fが発生する方向への、メタルブッシュ7〜9の変形を許容するための変形逃げ部が設定されている。
複数の隙間S1、S2は、カムシャフトのカム4、各ジャーナル5、6からラジアル荷重を受けず高面圧Fが発生しない方向の、カムリング11および各ハウジング12、13とメタルブッシュ7〜9との間にのみ、メタルブッシュ7〜9のカムリング側、ハウジング側への変形を規制するための断面円弧状の規制部品81〜83を挟み込むことで設けられる。なお、規制部品81〜83は、メタルブッシュ7〜9およびカムリング11および各ハウジング12、13に対して別途設けられた別体部品であって、少なくともメタルブッシュ7〜9よりも硬い材質の剛体(金属製品)を使用することが望ましい。
以上のように、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、実施例4及び5と同様な効果を達成することができる。
本実施例では、内燃機関(エンジン)として、複数の気筒を有するディーゼルエンジンを採用しているが、内燃機関(エンジン)として、複数の気筒を有するガソリンエンジンを採用していても良い。
本実施例では、2噴射1圧送タイプのコモンレール式燃料噴射システムを採用しているが、1噴射1圧送タイプのコモンレール式燃料噴射システムを採用しても良い。また、ポンプエレメントの個数は、2個または3個の他に、1個でも4個以上でも構わない。
また、本発明の高圧燃料ポンプを、フィードポンプと高圧燃料ポンプとが分離した燃料供給装置に適用しても良い。例えばフィードポンプを電動アクチュエータで回転駆動し、高圧燃料ポンプを内燃機関で回転駆動しても良い。また、逆でも良い。
複数のメタルブッシュ7〜9のうち少なくとも1つのメタルブッシュ(軸受け部材)とブロックとの間に隙間S1〜S3等の変形逃げ部を設けるようにしても良い。
2 プランジャ(ピストン)
3 プランジャ(ピストン)
4 カムシャフトのカム
5 カムシャフトのジャーナル
6 カムシャフトのジャーナル
7 メタルブッシュ(軸受け部材)
8 メタルブッシュ(軸受け部材)
9 メタルブッシュ(軸受け部材)
11 カムリング(ブロック)
12 ハウジング(ブロック、軸受けカバー)
13 ハウジング(ブロック、ハウジング本体)
14 コイルスプリング
15 コイルスプリング
16 コイルスプリング
17 シリンダボディ
18 シリンダボディ
19 シリンダボディ
20 カム室
61 高面圧発生部
62 高面圧発生部
63 高面圧発生部
64 変形逃げ溝(変形逃げ部、凹部)
65 変形逃げ溝(変形逃げ部、凹部)
66 変形逃げ溝(変形逃げ部、凹部)
81 規制部品
82 規制部品
83 規制部品
S1 隙間(変形逃げ部)
S2 隙間(変形逃げ部)
S3 隙間(変形逃げ部)
Claims (18)
- (a)シリンダ孔内を往復移動して燃料を加圧圧送するピストン(1〜3)と、
(b)このピストン(1〜3)をその移動方向に駆動するカムシャフト(4〜6)と、
(c)このカムシャフト(4〜6)を回転方向に移動可能に収容する収容孔を有するブロック(11〜13)と、
(d)このブロック(11〜13)の収容孔壁面に固定されて、前記カムシャフト(4〜6)を回転方向に摺動可能に支持する筒状の軸受け部材(7〜9)と、
(e)前記ブロック(11〜13)と前記軸受け部材(7〜9)との間に設けられて、前記カムシャフト(4〜6)から荷重を受けて高面圧が発生する方向への、前記軸受け部材(7〜9)の変形を許容するための変形逃げ部と
を備え、
前記変形逃げ部は、
前記ブロック(11〜13)と前記軸受け部材(7〜9)との間に隙間(S1〜S3)を形成することで設けられることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記隙間(S1〜S3)は、
前記カムシャフト(4〜6)から荷重を受けて高面圧が発生する方向の、前記軸受け部材(7〜9)の外面を前記カムシャフト側に凹ませることで設けられることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1または請求項2に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記隙間(S1〜S3)は、
前記カムシャフト(4〜6)から荷重を受けて高面圧が発生する方向の、前記軸受け部材(7〜9)の外面に変形逃げ溝(64〜66)を形成することで設けられることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項3に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記変形逃げ溝(64〜66)は、前記軸受け部材(7〜9)の周方向に2つ設けられて、前記軸受け部材(7〜9)の外面との交差稜線、および2つの交差稜線間に形成される平面形状の底面を有していることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項3または請求項4に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記変形逃げ溝(64〜66)は、前記軸受け部材(7〜9)の周方向に2つ設けられて、前記軸受け部材(7〜9)の外面との交差稜線、および2つの交差稜線間に形成される曲面形状の底面を有していることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記変形逃げ溝(64〜66)の底面は、
前記軸受け部材(7〜9)の軸線方向の一端から他端または中央へ向かって上り勾配となるように、前記軸受け部材(7〜9)の軸線方向に対して傾斜していることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記変形逃げ溝(64〜66)の底面は、
前記軸受け部材(7〜9)の軸線方向の両端から中央へ向かって上り勾配となるように、前記軸受け部材(7〜9)の軸線方向に対して傾斜していることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記隙間(S1〜S3)は、
前記カムシャフト(4〜6)から荷重を受けて高面圧が発生する方向の、前記ブロック(11〜13)の収容孔壁面を前記カムシャフト側に対して反対側に凹ませることで設けられることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記隙間(S1〜S3)は、
前記カムシャフト(4〜6)から荷重を受けず高面圧が発生しない方向の、前記ブロック(11〜13)と前記軸受け部材(7〜9)との間にのみ、前記軸受け部材(7〜9)の前記ブロック側への変形を規制するための規制部品(81〜83)を挟み込むことで設けられることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記軸受け部材(7〜9)は、前記カムシャフト(4〜6)から荷重を受ける高面圧発生部(61〜63)を有し、
前記変形逃げ部は、前記高面圧発生部(61〜63)の背面側にのみ設けられていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - (a)シリンダ孔内を往復移動して燃料を加圧圧送するピストン(1〜3)と、
(b)このピストン(1〜3)をその移動方向に駆動するカムシャフト(4〜6)と、
(c)このカムシャフト(4〜6)を回転方向に移動可能に収容する収容孔を有するブロック(11〜13)と、
(d)このブロック(11〜13)の収容孔壁面に固定されて、前記カムシャフト(4〜6)を回転方向に摺動可能に支持する筒状の軸受け部材(7〜9)と、
(e)前記ブロック(11〜13)と前記軸受け部材(7〜9)との間に設けられて、前記カムシャフト(4〜6)から荷重を受けて高面圧が発生する方向への、前記軸受け部材(7〜9)の変形を許容するための変形逃げ部と
を備え、
前記軸受け部材(7〜9)は、前記カムシャフト(4〜6)から荷重を受ける高面圧発生部(61〜63)を有し、
前記変形逃げ部は、前記高面圧発生部(61〜63)の背面側にのみ設けられていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記カムシャフトは、その回転軸方向に垂直な断面が円形状のカム(4)を有し、
前記カム(4)は、前記カムシャフト(5、6)の回転軸方向に対して偏心するように、前記カムシャフト(5、6)に設けられていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項12に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記ブロックとは、前記カム(4)の周りを公転するカムリング(11)のことであって、
前記収容孔とは、前記カム(4)を回転自在に収容するカム収容孔のことであることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項13に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記ピストンとは、
前記カムリング(11)の外面に摺動接触して前記カムリング(11)の公転に追従して往復移動するプランジャ(1〜3)のことであることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項12に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記カムシャフトは、2つのジャーナル(5、6)を有し、
前記2つのジャーナル(5、6)は、前記カム(4)の回転軸方向の両側に設けられていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項15に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記ブロックとは、内部にカム室(20)が形成されたハウジング(12、13)のことであって、
前記収容孔とは、前記2つのジャーナル(5、6)のうちの少なくとも一方のジャーナル(5、6)を回転自在に収容するジャーナル収容孔のことであることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1ないし請求項16のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記変形逃げ部は、
前記ブロック(11〜13)と前記軸受け部材(7〜9)との間に弾性体を挟み込むことで設けられることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項1ないし請求項17のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
前記カムシャフト(4〜6)と前記軸受け部材(7〜9)との摺動部分に潤滑油を供給する潤滑油供給手段を備えたことを特徴とする高圧燃料ポンプ。
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