JP5532842B2 - グリセリン改質装置及びグリセリン改質方法 - Google Patents

グリセリン改質装置及びグリセリン改質方法 Download PDF

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Description

本発明は、グリセリン精製装置及び精製方法並びにグリセリン改質装置及び改質方法に関する。
近年、大豆油、菜種油、ひまわり油等の植物性油脂を原料として、バイオディーゼル燃料を生産する方法が提案されている。バイオディーゼル燃料の一般的な生産方法として、油脂にメタノールとアルカリ触媒を加えてエステル交換反応を起こさせた後、これに酸を加えて中和させ、脂肪酸メチルエステルとグリセリンに分離する。分離した脂肪酸メチルエステルから触媒を取り除き、さらにメタノールを除去すると、バイオディーゼル燃料となる。このように、アルカリ触媒を用いた方法では、原理的にグリセリンの発生を抑制することは難しく、原料油脂の10%程度のグリセリンが副生する。
下記の特許文献1には、副生グリセリンの精製工程を有するバイオディーゼル燃料の製造方法が開示されている。この特許文献1によれば、エステル交換反応で副生したアルカリ性のグリセリン含有液を希硫酸で中和した後、蒸留して遠心分離することで高純度のグリセリンを精製して有効利用できる。
グリセリンは現在、医薬品分野や化粧品、樹脂、塗料などといった分野で消費されているが、その消費量は限定されている。一方、地球温暖化対策として期待が高まっているバイオディーゼル燃料の生産量増加に伴い、副生グリセリンが余剰となることが予測される。現在、副生グリセリンはその多くが焼却処分により熱回収されているのが現状である。
以上の背景の下、副生グリセリンの市場において、グリセリンの余剰量がますます拡大すること、焼却処分によって資源の利用価値が低下すること、などが課題となっている。
特開2005−350630号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたグリセリンの精製方法では、精製したグリセリンの新規用途については記載がない。
また、グリセリン含有液は強アルカリ性であり、その中和には多量の硫酸が必要となり、処理コストが高くなるという問題があった。
副生グリセリンを有価物として利用するためには、高純度グリセリンとする必要があるが、中和処理でのアルカリ成分の除去は理論的には容易であるが、産業的に行う際には、中和処理に加えて、分離、洗浄を多段で行う必要があり、実用的ではないという問題があった。特に、中和処理で用いる硫酸や塩酸に含まれる硫黄や塩素は、例えば副生グリセリンを水素ガスとして再利用する水蒸気改質反応の触媒の被毒成分であるので、更なる精製が必要になるという問題もあった。
したがって、低コストでバイオディーゼル燃料の副生グリセリン(粗製グリセリン)を高純度に精製できる装置と方法の提供が求められている。これに加えて、副生グリセリン(粗製グリセリン)を精製して得られた精製グリセリンを有価物化する装置と方法の提供も求められている。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、以下の点を目的とするものである。
(1)グリセリンとアルカリ化合物とを含有したグリセリン含有液からアルカリ化合物を低コストで除去する。
(2)グリセリンを効率よく有価ガスに転換する。
上記目的を達成するために、本発明では、グリセリン精製装置に係る第1の解決手段として、アルカリ化合物とグリセリンとを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱し、グリセリンを気化させて分離し、内部に前記アルカリ化合物を析出させるグリセリン蒸発器を備えてなる、という手段を採用する。
このような構成を採用することによって、グリセリンが気化する一方で、アルカリ化合物は固体として析出するので、気化したグリセリンを分離するだけで、グリセリンの精製が完了する。よって洗浄等に必要とされる多段の複数装置が不要となるばかりでなくグリセリン含有液に他の薬剤を添加する必要がないので、低コストでグリセリンの精製を行うことができる。
グリセリン精製装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、気化したグリセリンに付随したアルカリ化合物を捕捉するフィルターを備えてなる、という手段を採用する。
このような構成を採用することによって、グリセリン含有液から微細粉状で固化したアルカリ化合物をフィルターで捕捉することができるので、気化したグリセリンと固化したアルカリ化合物とを効率よく分離することができる。よって、気化したグリセリン中にアルカリ化合物が混入することがなくなり、高純度のグリセリンが得られる。
グリセリン精製装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、グリセリン蒸発器に水を供給することにより、内部に析出したアルカリ化合物又は/及びフィルターに捕捉されたアルカリ化合物をアルカリ水溶液としてグリセリン蒸発器から除去する、という手段を採用する。
アルカリ化合物はいずれも水溶性のものであり、グリセリン蒸発器に供給された水に溶解してアルカリ水溶液となるので、機械的な処理や他の薬剤添加を必要とせず、水による洗浄のみで、固化したアルカリ化合物の除去を容易に行うことができる。また、アルカリ化合物を水溶液として回収できるので、これをバイオディーゼル燃料製造などに再利用することができる。
グリセリン精製装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、グリセリン蒸発器は、グリセリン含有液を管路に挿通させて熱源と熱交換させてなる、という手段を採用する。
このような構成を採用することによって、管路内のグリセリン含有液は均一かつ効率的に所定温度で加熱されることとなり、グリセリンが気化する一方でアルカリ化合物が管路内に析出するので、気体と固体との分離が容易である。また、簡単な汎用装置をグリセリン精製装置とすることができ、低コストでのグリセリン精製が可能となる。
グリセリン精製装置に係る第5の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、グリセリン蒸発器は、貯留槽内に貯留されたグリセリン含有液に熱源が挿通する管路を浸漬させてなる、という手段を採用する。
このような構成を採用することによって、簡単な汎用装置をグリセリン精製装置とすることができ、低コストでのグリセリン精製が可能となる。
グリセリン精製装置に係る第6の解決手段として、上記第1〜第5の解決手段において、グリセリン含有液は、原料油とアルコールとをアルカリ触媒の存在下で反応させてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生されたものである、という手段を採用する。
このような構成を採用することによって、アルカリ触媒由来のアルカリ成分をアルカリ化合物として析出させて除去することができ、グリセリン含有液から精製グリセリンを得ることができる。また、精製に他の薬剤の添加が必要なく、汎用装置を採用することにより、市場に対して余剰な粗製の副生グリセリンを低コストで高純度の精製グリセリンとすることができ、産業的に有用である。
また、本発明では、グリセリン改質装置に係る第1の解決手段として、アルカリ化合物とグリセリンとを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離し、内部にアルカリ化合物を析出させるグリセリン蒸発器を複数個備えてなるグリセリン精製装置と、内部に触媒が収容され、グリセリン精製装置で分離されたグリセリンと、少なくとも水蒸気を含む反応ガスとの間で触媒を用いて改質反応を生じさせ、グリセリンを改質する改質反応器とが、備えられ、グリセリン蒸発器の少なくとも1つにグリセリン含有液が供給されて、グリセリンが分離される一方で、他のグリセリン蒸発器に水が供給されて、析出したアルカリ化合物がアルカリ水溶液として除去されるように、グリセリン蒸発器のそれぞれに、グリセリン含有液又は水が交互に供給されて、グリセリンが連続的に分離され、改質反応後に生じた改質後ガスの熱が、グリセリン蒸発器の熱源とされる、という手段を採用する。
グリセリン精製装置で精製されたグリセリンが改質反応器に供給され、改質反応器内において、触媒作用によりグリセリンと水蒸気との間の水蒸気改質反応が起こる。この反応によりグリセリンが改質され、水素、一酸化炭素、二酸化炭素等の有価ガスに転換することができる。
また、水蒸気改質反応は例えば数百℃といった高温で進行するため、相当の高温の改質後ガスが改質反応器から排出されるので、これをグリセリン蒸発器の熱源とすることで、グリセリンを精製する際に必要な熱源を外部から導入する必要がなく、エネルギーの利用効率の高いグリセリン改質装置となる。
本発明のグリセリン改質装置に備えられたグリセリン精製装置にあっては、内部に析出したアルカリ化合物を除去する際にグリセリン含有液の供給を休止する必要があり、グリセリンの精製が断続的になる。このため、グリセリン精製装置を複数個備えることによって、連続的なグリセリンの精製を可能とする。
すなわち、複数個のグリセリン精製装置のうちの少なくとも1つでグリセリンの精製を行い、他のグリセリン精製装置でアルカリ化合物を除去を行うことで、それぞれの装置は断続的な精製であっても、いずれかの装置が必ず精製を行っていることとなるので、連続的なグリセリンの分離、精製が行え、改質反応器に連続して精製されたグリセリンが供給される。
このようにして改質反応器に連続的に供給される精製グリセリンは、水蒸気改質反応の触媒の被毒成分を含まないので、改質反応の反応速度の低下を招くことなく、グリセリン改質装置の長時間の連続運転が可能となる。また、得られる改質後ガスも不純物を含まないものとなり、水素燃料や化学合成品の原料として利用できる。
グリセリン改質装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、グリセリン精製装置は、上記第2〜第6の解決手段のいずれかのグリセリン精製装置である、という手段を採用する。
このような構成を採用することによって、グリセリン含有液からグリセリンを低コストで精製し、これを水蒸気改質して、有価ガスに転換することができるので、焼却処分による熱回収を行っていた従来のグリセリン処理方法に比べて、エネルギーの利用効率を高めることができる。
グリセリン改質装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、改質反応器を収容する容器と、燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させる燃焼器とが、備えられ、容器の内部に燃焼排ガスが導入され、燃焼排ガスの熱により改質反応器が加熱される、という手段を採用する。
このような構成を採用することによって、燃焼排ガスの熱により改質反応器内の加熱が可能である。また、改質反応器と容器とにより一つの熱交換器が構成されることになり、改質反応器の壁面を通じて燃焼排ガスの熱が伝熱され、改質反応器内の加熱が効率良く行える。
グリセリン改質装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、改質反応後に生じた改質後ガスから水素を分離する水素分離部が備えられた、という手段を採用する。
このような構成を採用することによって、より高純度の水素ガスを得ることができる。
このような水素ガスを燃料として利用すれば、燃料電池による高効率発電が可能となるばかりでなく、その他の水素利用分野への転用も可能である。
一方、水素ガスを精製した後、水素分離部からは一酸化炭素、二酸化炭素、微量の水素が排出されるが、その排ガスを燃焼器での燃料として再利用することで、より一層とエネルギー効率の良いグリセリン改質装置とすることができる。
グリセリン改質装置に係る第5の解決手段として、上記第3又は第4の解決手段において、グリセリン蒸発器の熱源として燃焼排ガスを用いる、という手段を採用する。
また、本発明では、グリセリン精製方法に係る第1の解決手段として、グリセリンとアルカリ化合物とを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離すると共に、アルカリ化合物を析出させる、という手段を採用する。
グリセリン精製方法に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、グリセリンとアルカリ化合物とを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離すると共に、アルカリ化合物を析出させる、という手段を採用する。
グリセリン精製方法に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、析出したアルカリ化合物を水に溶解させてアルカリ水溶液として回収する、という手段を採用する。
グリセリン精製方法に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3の解決手段において、グリセリン含有液は、原料油とアルコールとをアルカリ触媒の存在下で反応させてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生されたものである、という手段を採用する。
また、本発明では、グリセリン改質方法に係る第1の解決手段として、グリセリンとアルカリ化合物とを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離すると共に、アルカリ化合物を析出させる分離工程と、アルカリ化合物を水に溶解してアルカリ水溶液として回収する洗浄工程とを、備えてなるグリセリン精製工程と、内部に触媒が収容され、グリセリン精製工程で精製されたグリセリンと、少なくとも水蒸気を含む反応用ガスとの間で触媒を用いて改質反応を生じさせ、グリセリンを改質する改質工程と、を備え、グリセリン精製工程を複数系統設けて、少なくとも一系統で分離工程が行われる一方で、他系統で洗浄工程が行われるように、系統のそれぞれで分離工程と洗浄工程とを交互に行うことによって、グリセリンを連続的に分離し、改質反応後に生じた改質後ガスの熱によって、グリセリン含有液を加熱する、という手段を採用する。
グリセリン改質方法に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段におけるグリセリン精製工程は、上記第2〜第4の解決手段のいずれかのグリセリン精製方法に基づくものである、という手段を採用する。
本発明に係るグリセリン精製装置及び精製方法によれば、グリセリン含有液に他の薬剤を添加する必要がなく、簡単な汎用装置と方法によるので、低コストでの精製が可能となる。また、析出したアルカリ化合物はアルカリ水溶液として回収可能であるので、これによっても低コスト化が図れる。
特に、本発明に係るグリセリン精製装置及び精製方法を、バイオディーゼル燃料製造に伴って副生された副生グリセリン(粗製グリセリン)の精製に使用すれば、市場に対して過剰供給の副生グリセリンを低コストで高純度化できるので、産業的に有用である。
本発明に係るグリセリン改質装置及び改質方法によれば、グリセリン含有液はグリセリン精製装置で精製された後、改質反応器で水蒸気改質されて、有価ガスに転換される。
また、複数個のグリセリン精製装置を備えることで、精製されたグリセリンを連続的に供給できる。精製されたグリセリンは、水蒸気改質反応の触媒の被毒成分を含まないので、改質反応の反応速度の低下を招くことがなく、グリセリン改質装置の長時間の連続運転が可能となる。また、得られる有価ガスも不純物を含まないものとなり、水素燃料や化学合成品の原料として有効利用できる。
また、改質反応ガスをグリセリン蒸発器の熱源とすることで、グリセリンを精製する際に必要な熱源を外部から導入する必要がなく、エネルギーの利用効率の高いグリセリン改質装置となる。
本発明の第1実施形態に係るグリセリン精製装置1の概略構成図である。 本発明の第2実施形態に係るグリセリン精製装置11の概略構成図である。 本発明の第2実施形態に係るグリセリン精製装置11の概略構成図である 本発明の一実施形態に係るグリセリン改質装置100の概略構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に、第1実施形態に係るグリセリン精製装置及び精製方法について、図1を参照して説明する。
本第1実施形態に係るグリセリン精製装置1は、図1に示すように、グリセリン蒸発器2とフィルター3とによって概略構成されている。グリセリン蒸発器2は、二重管式の蒸発管21を備えた熱交換器からなり、その一端には供給管22が接続されており、他端には排出管23が接続されており、排出管23の途中部位にはフィルター3が配設されている。本実施形態においては、蒸発管21はコイル状の管路からなる。二重管式の蒸発管21の各管には、グリセリン含有液と高温ガスとが挿通されている。二重管の内管にグリセリン含有液を、外管に高温ガスを挿通すると、熱交換が効率良く行えるので、好適である。内管に挿通されたグリセリン含有液と外管に挿通された高温ガスとは管壁を介して熱交換され、グリセリン含有液が高温ガスによって加熱される。
グリセリン含有液は、アルカリ化合物とグリセリンとを含有してなるものであって、例えば、油脂などの原料油にアルコール(例えば低級アルコール)とアルカリ触媒を加えてエステル交換反応させてバイオディーゼル燃料を製造した際に副生したグリセリンを含有する溶液である。この溶液中には、アルカリ触媒として一般的に使用されている水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ化合物が不純物として含有されている。
高温ガスはグリセリン含有液を加熱する熱源となるものであって、グリセリンの沸点以上、アルカリ化合物の融点未満の温度範囲に加熱されて、蒸発管21に挿通される。グリセリンの沸点は290℃、水酸化ナトリウムの融点は319℃、水酸化カリウムの融点は326℃であるので、高温ガスの供給温度は、290℃以上319℃未満とするが、圧力による沸点及び融点の変動を考慮して、300〜315℃が好ましい。
沸点及び融点は、いずれも常圧を基準としたものである。このグリセリン精製装置1にあっては、精製を行うに従って、蒸発管21の圧力損失が増大し、加圧状態となっていく。加圧されると、グリセリンの沸点が上昇して、アルカリ化合物の融点との差が小さくなってしまい、グリセリンの分離が困難になるので、蒸発管21の圧力は常圧〜100kPa以下とする。
グリセリン含有液は、供給管22から蒸発管21に供給されて加熱される。蒸発管21は高温ガスによって加熱されており、300〜315℃の温度範囲であるので、グリセリン含有液中のグリセリンは気化して、グリセリン蒸気として排出管23から排出される。一方、グリセリン含有液中に溶解していたアルカリ化合物は、溶媒であるグリセリンと水とが気化するので、蒸発管21の内表面に析出する。蒸発管21の温度はアルカリ化合物の融点以下であるので、これが液化することはない。アルカリ化合物は、水酸化物塩もしくは金属の状態で析出する。
アルカリ化合物の大部分は蒸発管21の内表面に析出するが、その一部は、微細粉となってグリセリン蒸気に付随する。この微細粉は、グリセリン蒸気と共に排出管23から排出されるが、フィルター3で捕捉することで、グリセリン蒸気から分離することができる。フィルター3を通過し、排出管23から排出されるグリセリン蒸気を捕集すれば、精製グリセリンを得ることができる。
蒸発管21に析出したアルカリ化合物とフィルター3で捕捉されたアルカリ化合物の除去は、供給管22からのグリセリン含有液の供給を休止して、水を供給することで容易に行うことができる。既述のように、析出するアルカリ化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、金属ナトリウム、金属カリウムであるので、いずれも水によく溶ける。よって、供給管22から蒸発管21へ水を供給することで、これらのアルカリ化合物を溶解して、アルカリ水溶液として除去することができる。このようにして得られたアルカリ水溶液は、フィルター3を透過して排出管23から排出される。この際にフィルター3も水で充分に洗浄されて、清浄になる。このアルカリ水溶液を回収すれば、アルカリ触媒として再利用することができる。アルカリ化合物除去のために供給される水の温度は特に限定されるものではないが、温水を用いると、アルカリ化合物の溶解度が高くなるので、好適である。
本グリセリン精製装置1にあっては、グリセリンの精製を連続して行うと、蒸発管21及びフィルター3がアルカリ化合物によって閉塞を起こすので、グリセリン精製とアルカリ化合物除去とを交互に行なう必要がある。供給管22からグリセリン含有液と水とを交互に供給することにより、グリセリン精製とアルカリ化合物除去とを交互に行うことができる。
この切り替えは、蒸発管21またはフィルター3の閉塞の度合いに応じて行うことが好ましい。蒸発管21の内表面とフィルター3にアルカリ化合物が析出すると、蒸発管21の圧力損失が増加するので、供給管22から供給するグリセリン含有液の供給圧を管理しておき、所定圧を超えた時点で、グリセリン含有液の供給を休止し、水の供給に切り替える。この時点で、高温ガスの挿通も停止する。高温ガスが挿通されていると、供給された水が水蒸気となってしまい、洗浄を行うことができないためである。この後、供給管22から水を供給して、アルカリ化合物を溶解して除去する。一定量の水を供給した後、グリセリン含有液の供給と高温ガスの挿通を再開すれば、グリセリン精製が再開される。なお、蒸発管21の内圧管理をせずに、グリセリン含有液の供給時間や供給量を管理して、時間毎や供給量毎で交互に切り替える方式を採用してもよい。
以上説明したように、本第1実施形態によれば、中和処理による精製のように、グリセリン含有液に他の薬剤を添加する必要がない上に、アルカリ分を除去した後のグリセリンを高純度化するための洗浄処理や多段の精製工程を必要としないので、低コストで精製を行うことができる。
また、グリセリン含有液を加熱し、気化したグリセリンを分離するだけで、グリセリンの精製を行うことができ、簡単な汎用装置と方法とを用いると共に、析出したアルカリ化合物は水で洗浄して、容易に除去でき、アルカリ水溶液として回収して再利用できるので、更に低コスト化が図れる。
特に、本第1実施形態をバイオディーゼル燃料製造に伴って副生された副生グリセリン(粗製グリセリン)の精製に使用すれば、市場に対して過剰供給の副生グリセリンを低コストで高純度化できるので、産業的に有用である。
次に、第2実施形態に係るグリセリン精製装置及びグリセリン精製方法について、図2及び図3を参照して説明する。
図2及び図3は、いずれも本第2実施形態に係るグリセリン精製装置11の概略構成図であって、図2はグリセリン精製を行っている状態、図3はアルカリ化合物除去を行っている状態をそれぞれ示している。
本グリセリン精製装置11の基本構成は、第1実施形態に係るグリセリン精製装置1と同様であり、グリセリンを気化させるグリセリン蒸発器2の構成が第1実施形態に係るグリセリン精製装置1と異なるのみである。従って、図2及び図3において、図1と共通の構成要素は同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
本グリセリン精製装置11にあっては、グリセリン貯留槽24と熱媒体管路25とからなるタンクコイル式熱交換器がグリセリン蒸発器2として配設されている。グリセリン貯留槽24の上側部には供給管22が、頂部には排出管23が、底部には排水管26が、それぞれ接続されている。排出管23の途中部位にはフィルター3が配設されている。グリセリン貯留槽24とフィルター3は、筐体27内に収容されている。筐体27は、グリセリン精製装置11を保温するためのものであって、図示しない保温及び加熱手段が備えられており、高温ガスと同様の温度範囲、すなわちグリセリンの沸点以上、アルカリ化合物の融点未満の温度、好ましくは300〜315℃でグリセリン精製装置11を保温、加熱する。
本グリセリン精製装置11にあっては、図2に示したように、グリセリン含有液は供給管22から供給され、グリセリン貯留槽24で貯留される。グリセリン貯留槽24内には、熱媒体管路25が配設されており、貯留されたグリセリン含有液中に浸漬されている。熱媒体管路25はコイル状の管路であって、その内部に熱媒体としての高温ガスが挿通されており、この高温ガスを熱源として、グリセリン貯留槽24内に貯留されたグリセリン含有液が加熱される。この加熱によって気化したグリセリンは、頂部の排出管23から排気されて精製グリセリンとなる。一方、アルカリ化合物は、グリセリン貯留槽24の内壁と熱媒体配管25の外表面とに析出する。また、この外表面に析出しないミスト状(微細粉状)のアルカリ化合物はフィルター3で捕捉される。
本グリセリン精製装置11にあっては、アルカリ化合物を洗浄・除去するための水は、図3に示したように、供給管22と排出管23との両方から供給される。このように水を供給することで、フィルター3で捕捉されたアルカリ化合物をグリセリン貯留槽24にアルカリ性溶液として流下させる。アルカリ性水溶液は、グリセリン貯留槽24の底部の排水管26から排水された後、回収される。このような本グリセリン精製装置11においても、グリセリン含有液からグリセリンを低コストで精製することができる。
次に、本実施形態に係るグリセリン改質装置及び改質方法について、図4を参照して説明する。
本グリセリン改質装置100は、図4に示すように、改質反応器4と燃焼器5とを内部に収容する容器6と、第1のグリセリン精製装置1aと、第2のグリセリン精製装置1bと、ガス精製器7とを主な構成要素として構成されている。
容器6の内部には、バイオディーゼル燃料副生グリセリン(以下、副生グリセリンと称する。)を燃焼器5に導入するための副生グリセリン導入配管12、空気を燃焼器5に導入するための空気導入配管13、ガス精製器7から排出される排ガスを燃焼器5に導入するための排ガス導入配管14がそれぞれ設けられており、これら配管12、13、14が燃焼器5にそれぞれ接続されている。この構成により、副生グリセリンと、空気と、排ガスとが燃焼器5内に供給される。燃焼器5では、副生グリセリンと排ガスとが燃料として燃焼し、高温の燃焼排ガスが排出される。この燃焼排ガスは、改質反応器4を加熱するように容器6内を流通した後、容器6に設けられた燃焼排気管17から外部に排気される。
なお、副生グリセリンとガス精製器7の排ガスとを燃焼器5の燃料として用いることに代えて、都市ガス、LPG、水素ガス等を燃焼器5の燃料として用いてもよい。また、必ずしも副生グリセリンと排ガスとを導入しなくてもよいが、これらを用いれば、外部燃料を導入するよりも低コストでエネルギー効率の良い運転ができる。また、燃焼器5の設置場所については、容器6の内部に限らず、容器6の外部でもよい。
副生グリセリン導入配管12は、分岐点12Aで分岐しており、一方の配管12aは燃焼器5に接続されて、他方の配管12bは第1のグリセリン精製装置1aに装入されて、グリセリン蒸発管21aに接続されている。配管12bは分岐点12Bでさらに分岐されており、分岐された配管12cは第2のグリセリン精製装置1bに装入されて、グリセリン蒸発管21bに接続されている。分岐点12Aで分岐された2つの配管12a、12bの始点には、副生グリセリンの流入を調節するための仕切り弁1、B2が配設されている。分岐点12Bで分岐された2つの配管12b、12cの始点にも、同様に副生グリセリンの流入を調節するための仕切り弁B3、B4が配設されている。
各仕切り弁B1、B2、B3、B4を開閉することで、副生グリセリンを各配管12a、12b、12cに振り分けて供給できる。配管12aと配管12bの途中には、各流路の流量を調節するためにポンプ18a、18bが設置されており、副生グリセリンを配管12a、12b、12cに圧送できるようなっている。この構成により、副生グリセリンは、燃焼器5と、第1のグリセリン精製装置1aと、第2のグリセリン精製装置1bとに、適宜振り分けて供給される。
容器6の内部には、水蒸気を改質反応器4に導入するための水蒸気導入配管15、精製グリセリンを改質反応器4に導入するための精製グリセリン導入配管16が、それぞれ装入されており、これら導入配管15、16が改質反応器の反応上流側の一端部に接続されている。この構成により、改質反応器4内に精製グリセリンと水蒸気とが供給される。
改質反応器4と第1のグリセリン精製装置1aとは、精製グリセリン導入配管16と改質後ガス輸送配管19とによって接続されている。第1のグリセリン精製装置1aの蒸発管21aは、排出管23aを経て、合流点16Aで精製グリセリン導入配管16と接続されている。改質反応器4と第2のグリセリン精製装置1bとは、同様に精製グリセリン導入配管16と改質後ガス輸送配管19とによって接続されている。第2のグリセリン精製装置1bの蒸発管21bは、排出管23bを経て、合流点16Aで精製グリセリン導入配管16に接続されている。排出管23a、23bの途中には、切り替えバルブB5、B6がそれぞれ配設されている。切り替えバルブB5、B6を開閉することで、精製グリセリン導入配管16への精製グリセリンの供給が管理される。この構成により、第1のグリセリン精製装置1a又は第2のグリセリン精製装置1bで精製された精製グリセリンは改質反応器4へ導入される。
改質反応器4の内部では、精製グリセリンと水蒸気により、グリセリンの水蒸気改質反応(下記の反応式(1))が生じ、グリセリンが水素、一酸化炭素、二酸化炭素を含む改質後ガスに変換される。改質反応器4での反応温度は、使用する触媒によって異なるが、400℃〜900℃に調整されている。
(OH)+HO → 5H+2CO+CO (1)
水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、これを促進するためには熱が必要である。そこで、燃焼器5で得られた高温の燃焼排ガスが利用される。容器6内を流通した燃焼排ガスと改質反応器4の壁面を介して熱交換がなされ、改質反応器4内の温度は、反応上流部で700〜800℃、反応下流部で400℃程度に昇温される。通常、水蒸気改質反応は200℃以上であれば進行するが、本グリセリン改質装置100では、改質後ガスをグリセリン精製装置1a、1bの熱源として使用するので、改質後ガスの温度が400℃未満とならないようにする。
また、水蒸気改質反応には触媒が必要であるため、改質反応器4内には触媒が収容され、図示しない触媒層が形成されている。ここで用いる触媒としては、例えばNi/Al、Rh/CeO/Al、Ni/MgO、Rh/Pt/CeO、Ru/Yなどが考えられる。ただし、グリセリンの水蒸気改質では、炭素析出による触媒の劣化が一つの問題となっている。したがって、炭素を極力析出させないために、スチームカーボン比(水蒸気と一酸化炭素の量論比)を2〜10とすることが望ましい。また、炭素析出が生じにくい触媒として、Pt,Pd,Rh等の貴金属を担持させたMgO触媒(貴金属/MgO触媒)、NiとMgOの固溶体であるNi−MgO触媒、貴金属/MgO触媒とNi−MgO触媒の物理混合触媒などを用いることが望ましい。触媒反応を効率良く進めるため、触媒層が充填層もしくは流動層の形態を取るようにするのが望ましい。
改質反応器4と、第1のグリセリン精製装置1aまたは第2のグリセリン精製装置1bと、ガス精製器7とは、改質後ガス輸送配管19によって接続されている。改質後ガス輸送配管19は、分岐点19Aで分岐された後、合流点19Bで合流されて、ガス精製器7に接続されている。分岐点19Aで分岐された一方の配管19aには第1のグリセリン精製装置1aが、他方の配管19bには第2のグリセリン精製装置1bがそれぞれ接続されている。
配管19aと第1のグリセリン精製装置1aとの接続部には、改質後ガスの流入を調整する切り替えバルブB7と、改質後ガスの排出を調整する切り替えバルブB8とがそれぞれ設置されている。配管19bと第2のグリセリン精製装置1bとの接続部にも、同様に改質ガスの流入を調整する切り替えバルブB9と、改質後ガスの排出を調整する切り替えバルブB10とがそれぞれ設置されている。この構成により、改質反応器4から排出された改質後ガスは、第1のグリセリン精製装置1a又は第2のグリセリン精製装置1bに導入される。改質後ガスは、熱源として蒸発管21a、21bに挿通されて、グリセリン含有液の加熱に利用されて冷却された後に、ガス精製器7に導入される。このように、改質後ガスをグリセリン精製装置1a、1bの熱源として利用することで、グリセリン精製装置1a、1bを運転するための外部エネルギーの導入が不必要となるので、副生グリセリンを低コストで精製して、有価ガスに転換できる。グリセリン精製装置1a、1bの熱源として、燃焼排気の熱を用いても良い。
改質後ガスに含まれる一酸化炭素、二酸化炭素等はガス精製器7で吸着除去され、高純度の水素ガスを得ることができる。ガス精製器7は、例えば圧力スイング吸着式分離装置(PSA装置)や水素分離膜等、周知のものが使用可能である。ガス精製器7には、水素ガス排出管28が接続されており、精製された高純度の水素ガスが排出されて、種々の用途に供される。一方、水素ガスが分離された残部は、排ガスとして排出され、排ガス導入配管14を経て燃焼器4に燃料として供給される。
副生グリセリン導入配管12bの途中には、合流点12Cが設けられており、切り替えバルブB11を備えた水供給配管29aが接続されており、副生グリセリン導入配管12bに水が供給される。同様に、副生グリセリン導入配管12cの途中には、合流点12Dが設けられており、切り替えバルブB12を備えた水供給配管29bが接続されており、副生グリセリン導入配管12cに水が供給される。
水供給配管29aから供給された水は、配管12bを経て、第1のグリセリン精製装置1aに導入され、蒸発管21aに析出したアルカリ化合物とフィルター(図示せず)で捕捉されたアルカリ化合物をアルカリ性水溶液とする。第1のグリセリン精製装置1aの排出管23aには、切り替えバルブB13を備えた排水管30aが分岐点23Aで接続されており、アルカリ性水溶液は排出管23aを経て排水管30aから排出される。
同様に、水供給配管29bから供給された水は、配管12cを経て、第2のグリセリン精製装置1bに導入され、蒸発管21bに析出したアルカリ化合物とフィルター(図示せず)で捕捉されたアルカリ化合物をアルカリ性水溶液とする。第2のグリセリン精製装置1bの排出管23bには、切り替えバルブB14を備えた排水管30bが分岐点23Bで接続されており、アルカリ性水溶液は排出管23bを経て排水管30bから排出される。
以下に、このように構成された本グリセリン改質装置100を用いたグリセリンの改質方法について説明する。
なお、本グリセリン改質装置100は、後述するように2つのグリセリン精製装置、つまり第1、第2のグリセリン精製装置1a、1bで副生グリセリンの精製とアルカリ化合物の除去とを交互に行うことにより、精製グリセリンを改質反応器4に連続的に供給可能とするものである。
最初に、第1のグリセリン精製装置1aで副生グリセリンの精製を行い、第2のグリセリン精製装置1bでアルカリ化合物の除去を行う場合について説明する。
副生グリセリンは、副生グリセリン導入配管12から本グリセリン改質装置100内に導入される。本グリセリン改質装置100では、副生グリセリン導入配管12の仕切り弁B1を開放し、副生グリセリンの一部を燃焼器5に供給することにより燃料として利用する。
また、仕切り弁B2と仕切り弁B3とを開放し、仕切り弁B4を閉じると、副生グリセリンは第1のグリセリン精製装置1aに供給されて精製され、精製グリセリンとなる。そして、切り替えバルブB5を開放する一方、切り替えバルブB13を閉じて、精製グリセリンを第1のグリセリン精製装置1aから改質反応器4に導入する。精製グリセリンは、改質反応器4で水蒸気改質されて、有価ガスを含む改質後ガスとなる。
さらに、改質後ガス輸送配管19における切り替えバルブB9と切り替えバルブB10とを閉じ、かつ、切り替えバルブB7と切り替えバルブB8とを開放すると、上記改質後ガスは配管19aに導入され、第1のグリセリン精製装置1aを経てガス精製器7へ導入される。改質後ガスの熱は、第1のグリセリン精製装置1aでグリセリンの気化とアルカリ化合物の析出とに利用される。ガス精製器7では、改質後ガスから水素が有価物として回収され、排ガスは燃焼器5へ導入され、燃料として利用される。
一方、第2のグリセリン精製装置1bには、配管12cの仕切り弁B4が閉じているため、副生グリセリンが導入されない。この状態で、切り替えバルブB12を開放して、水供給配管29bから水を配管12cに供給する。排出管23bに設けられた切り替えバルブB6を閉じ、かつ、切り替えバルブB14を開放すると、水は配管12cから第2のグリセリン精製装置1bに供給され、蒸発管21bと、図示しないフィルターとを通過する際に、アルカリ化合物を溶解してアルカリ水溶液となり、排出管23bを経て排水管30bから排出される。これにより、第2のグリセリン精製装置1b内からアルカリ化合物が除去される。排水管30bから排出されたアルカリ水溶液は、回収されてバイオディーゼル燃料製造用のアルカリ触媒の原料として再利用される。
このような運転を一定時間に亘って行うと、第1のグリセリン精製装置1a内にアルカリ化合物が析出するので、第1のグリセリン精製装置1aへの副生グリセリンの供給を休止し、アルカリ化合物の除去を行う。第1のグリセリン精製装置1aでアルカリ化合物の除去を行っている間、副生グリセリンを第2のグリセリン精製装置1bに供給して、グリセリンを精製すれば、改質反応器4に連続して精製グリセリンが供給できる。
第1のグリセリン精製装置1aでアルカリ除去を行い、第2のグリセリン精製装置1bでグリセリン精製を行うようにするためには、各仕切り弁B1〜B4及び切り替えバルブB5〜B12の開閉状態を上述の状態と逆に切り替えればよい。この結果、第1のグリセリン精製装置1aに水が供給され、第2のグリセリン精製装置1bに副生グリセリンが供給される。
第1のグリセリン精製装置1aからアルカリ化合物が除去されたら、各仕切り弁B1〜B4及び切り替えバルブB5〜B12の開閉状態を再度切り替える。この結果、第1のグリセリン精製装置1aに副生グリセリンが供給され、第2のグリセリン精製装置1bに水が供給されて、第2のグリセリン精製装置1bのアルカリ化合物が除去される。
これら仕切り弁B1〜B4及び切り替えバルブB5〜B12の開閉の切り替えタイミングは、蒸発管21a、21bの内圧を監視しておき、圧力損失が増大して所定値に達したところで切り替える方式とするほか、所定時間毎に自動的に切り替える方式などが採用できる。
このように、第1、第2のグリセリン精製装置1a、1bに副生グリセリンと水とを交互に供給することで、グリセリン精製とアルカリ化合物除去とが交互に行われる。そして、少なくとも一方のグリセリン精製装置でグリセリン精製を常時行うようにしておけば、精製グリセリンを連続的に改質反応器4へ供給することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、副生グリセリンからグリセリンを精製し、これを水蒸気改質させて、有価ガスに転換することができる。精製されたグリセリンは、水蒸気改質反応の触媒の被毒成分を含まないので、改質反応の反応速度の低下を招くことがなく、グリセリン改質装置100の長時間の連続運転が可能となる。また、得られる有価ガスも不純物を含まないものとなり、水素燃料や化学合成品の原料として有効利用できる。また、改質後ガスをグリセリン蒸発器2の熱源とすることで、エネルギーの利用効率の高いグリセリン改質装置100となり、より低コストで副生グリセリンを有価ガスに転換することができる。したがって、本実施形態によれば、バイオディーゼル燃料の副生グリセリンを低コストで水蒸気改質することが可能である。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態のグリセリン精製装置1、11はフィルター3を備えているが、このフィルター3は必ずしも必要なものではない。微細粉となってグリセリン蒸気に付随するアルカリ化合物が発生しない状態、又は上記微細粉のグリセリン蒸気への混入を無視できる場合には、フィルター3を省略することが可能である。
(2)上記グリセリン精製装置1、11において、プレート式熱交換器等、他の構成の熱交換器を蒸発器2として採用しても良い。
(3)上記グリセリン改質装置100は2つのグリセリン精製装置、つまり第1、第2のグリセリン精製装置1a、1bを備えるものであるが、更に多くのグリセリン精製装置を備える構成としても良い。
(4)上記グリセリン改質装置100は第1実施形態に係るグリセリン精製装置1を備えるものであるが、第1実施形態に係るグリセリン精製装置1に代えて第2実施形態に係るグリセリン精製装置11を備えるようにしても良い。
1、11…グリセリン精製装置、1a…第1のグリセリン精製装置、1b…第2のグリセリン精製装置、2…グリセリン蒸発器、21…蒸発管、24…グリセリン貯留槽、25…熱媒体管路、3…フィルター、4…改質反応器、5…燃焼器、6…容器、7…ガス精製器、100…グリセリン改質装置

Claims (13)

  1. アルカリ化合物とグリセリンとを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離し、内部に前記アルカリ化合物を析出させるグリセリン蒸発器を備えてなる複数個のグリセリン精製装置と、
    内部に触媒が収容され、前記グリセリン精製装置で分離されたグリセリンと、少なくとも水蒸気を含む反応ガスとの間で前記触媒を用いて改質反応を生じさせ、前記グリセリンを改質する改質反応器とが、備えられ、
    前記グリセリン蒸発器の少なくとも1つにグリセリン含有液が供給されて、グリセリンが分離される一方で、他の前記グリセリン蒸発器に水が供給されて、析出した前記アルカリ化合物がアルカリ水溶液として除去されるように、前記グリセリン蒸発器のそれぞれに、前記グリセリン含有液又は前記水が交互に供給されて、グリセリンが連続的に分離され、
    前記改質反応後に生じた改質後ガスの熱が、前記グリセリン蒸発器の熱源とされることを特徴とするグリセリン改質装置。
  2. 前記グリセリン精製装置は、
    アルカリ化合物とグリセリンとを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱し、グリセリンを気化させて分離し、内部に前記アルカリ化合物を析出させるグリセリン蒸発器と、
    気化したグリセリンに付随したアルカリ化合物を捕捉するフィルターと
    を備えることを特徴とする請求項1記載のグリセリン改質装置。
  3. 前記グリセリン蒸発器に水を供給することにより、内部に析出したアルカリ化合物又は/及びフィルターに捕捉されたアルカリ化合物をアルカリ水溶液として前記グリセリン蒸発器から除去することを特徴とする請求項2記載のグリセリン改質装置。
  4. 前記グリセリン蒸発器は、グリセリン含有液を管路に挿通させて熱源と熱交換させてなることを特徴とする請求項2又は3記載のグリセリン改質装置。
  5. 前記グリセリン蒸発器は、貯留槽内に貯留されたグリセリン含有液に熱源が挿通する管路を浸漬させてなることを特徴とする請求項2又は3記載のグリセリン改質装置。
  6. 前記グリセリン含有液は、原料油とアルコールとをアルカリ触媒の存在下で反応させてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のグリセリン改質装置。
  7. 前記改質反応器を収容する容器と、
    燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させる燃焼器とが、備えられ、
    前記容器の内部に前記燃焼排ガスが導入され、前記燃焼排ガスの熱により前記改質反応器が加熱されることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載のグリセリン改質装置。
  8. 前記改質反応後に生じた改質後ガスから水素を分離する水素分離部が備えられることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のグリセリン改質装置。
  9. 前記グリセリン蒸発器の熱源として前記燃焼排ガスを用いることを特徴とする請求項7又は請求項8記載のグリセリン改質装置。
  10. グリセリンとアルカリ化合物とを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離すると共に、前記アルカリ化合物を析出させる分離工程と、
    前記アルカリ化合物を水に溶解してアルカリ水溶液として回収する洗浄工程とを、備えてなるグリセリン精製工程と、
    内部に触媒が収容され、前記グリセリン精製工程で精製されたグリセリンと、少なくとも水蒸気を含む反応用ガスとの間で前記触媒を用いて改質反応を生じさせ、前記グリセリンを改質する改質工程とを、備え、
    前記グリセリン精製工程を複数系統設けて、少なくとも一系統で分離工程が行われる一方で、他系統で前記洗浄工程が行われるように、前記系統のそれぞれで前記分離工程と前記洗浄工程とを交互に行うことによって、グリセリンを連続的に分離し、
    前記改質反応後に生じた改質後ガスの熱によって、前記グリセリン含有液を加熱することを特徴とするグリセリン改質方法。
  11. 前記グリセリン精製工程では、グリセリンとアルカリ化合物とを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離すると共に、前記アルカリ化合物を析出させ、気化したグリセリンに付随するアルカリ化合物をフィルターによって除去することを特徴とする請求項10記載のグリセリン改質方法。
  12. 析出した前記アルカリ化合物を水に溶解させてアルカリ水溶液として回収することを特徴とする請求項11記載のグリセリン改質方法。
  13. 前記グリセリン含有液は、原料油と低級アルコールとをアルカリ触媒の存在下で反応させてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生されたものであることを特徴とする請求項10又は11記載のグリセリン改質方法。
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