JP5532842B2 - グリセリン改質装置及びグリセリン改質方法 - Google Patents
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以上の背景の下、副生グリセリンの市場において、グリセリンの余剰量がますます拡大すること、焼却処分によって資源の利用価値が低下すること、などが課題となっている。
また、グリセリン含有液は強アルカリ性であり、その中和には多量の硫酸が必要となり、処理コストが高くなるという問題があった。
副生グリセリンを有価物として利用するためには、高純度グリセリンとする必要があるが、中和処理でのアルカリ成分の除去は理論的には容易であるが、産業的に行う際には、中和処理に加えて、分離、洗浄を多段で行う必要があり、実用的ではないという問題があった。特に、中和処理で用いる硫酸や塩酸に含まれる硫黄や塩素は、例えば副生グリセリンを水素ガスとして再利用する水蒸気改質反応の触媒の被毒成分であるので、更なる精製が必要になるという問題もあった。
したがって、低コストでバイオディーゼル燃料の副生グリセリン(粗製グリセリン)を高純度に精製できる装置と方法の提供が求められている。これに加えて、副生グリセリン(粗製グリセリン)を精製して得られた精製グリセリンを有価物化する装置と方法の提供も求められている。
(1)グリセリンとアルカリ化合物とを含有したグリセリン含有液からアルカリ化合物を低コストで除去する。
(2)グリセリンを効率よく有価ガスに転換する。
このような構成を採用することによって、グリセリンが気化する一方で、アルカリ化合物は固体として析出するので、気化したグリセリンを分離するだけで、グリセリンの精製が完了する。よって洗浄等に必要とされる多段の複数装置が不要となるばかりでなくグリセリン含有液に他の薬剤を添加する必要がないので、低コストでグリセリンの精製を行うことができる。
このような構成を採用することによって、グリセリン含有液から微細粉状で固化したアルカリ化合物をフィルターで捕捉することができるので、気化したグリセリンと固化したアルカリ化合物とを効率よく分離することができる。よって、気化したグリセリン中にアルカリ化合物が混入することがなくなり、高純度のグリセリンが得られる。
アルカリ化合物はいずれも水溶性のものであり、グリセリン蒸発器に供給された水に溶解してアルカリ水溶液となるので、機械的な処理や他の薬剤添加を必要とせず、水による洗浄のみで、固化したアルカリ化合物の除去を容易に行うことができる。また、アルカリ化合物を水溶液として回収できるので、これをバイオディーゼル燃料製造などに再利用することができる。
このような構成を採用することによって、管路内のグリセリン含有液は均一かつ効率的に所定温度で加熱されることとなり、グリセリンが気化する一方でアルカリ化合物が管路内に析出するので、気体と固体との分離が容易である。また、簡単な汎用装置をグリセリン精製装置とすることができ、低コストでのグリセリン精製が可能となる。
このような構成を採用することによって、簡単な汎用装置をグリセリン精製装置とすることができ、低コストでのグリセリン精製が可能となる。
このような構成を採用することによって、アルカリ触媒由来のアルカリ成分をアルカリ化合物として析出させて除去することができ、グリセリン含有液から精製グリセリンを得ることができる。また、精製に他の薬剤の添加が必要なく、汎用装置を採用することにより、市場に対して余剰な粗製の副生グリセリンを低コストで高純度の精製グリセリンとすることができ、産業的に有用である。
グリセリン精製装置で精製されたグリセリンが改質反応器に供給され、改質反応器内において、触媒作用によりグリセリンと水蒸気との間の水蒸気改質反応が起こる。この反応によりグリセリンが改質され、水素、一酸化炭素、二酸化炭素等の有価ガスに転換することができる。
また、水蒸気改質反応は例えば数百℃といった高温で進行するため、相当の高温の改質後ガスが改質反応器から排出されるので、これをグリセリン蒸発器の熱源とすることで、グリセリンを精製する際に必要な熱源を外部から導入する必要がなく、エネルギーの利用効率の高いグリセリン改質装置となる。
すなわち、複数個のグリセリン精製装置のうちの少なくとも1つでグリセリンの精製を行い、他のグリセリン精製装置でアルカリ化合物を除去を行うことで、それぞれの装置は断続的な精製であっても、いずれかの装置が必ず精製を行っていることとなるので、連続的なグリセリンの分離、精製が行え、改質反応器に連続して精製されたグリセリンが供給される。
このようにして改質反応器に連続的に供給される精製グリセリンは、水蒸気改質反応の触媒の被毒成分を含まないので、改質反応の反応速度の低下を招くことなく、グリセリン改質装置の長時間の連続運転が可能となる。また、得られる改質後ガスも不純物を含まないものとなり、水素燃料や化学合成品の原料として利用できる。
このような構成を採用することによって、グリセリン含有液からグリセリンを低コストで精製し、これを水蒸気改質して、有価ガスに転換することができるので、焼却処分による熱回収を行っていた従来のグリセリン処理方法に比べて、エネルギーの利用効率を高めることができる。
このような構成を採用することによって、燃焼排ガスの熱により改質反応器内の加熱が可能である。また、改質反応器と容器とにより一つの熱交換器が構成されることになり、改質反応器の壁面を通じて燃焼排ガスの熱が伝熱され、改質反応器内の加熱が効率良く行える。
このような構成を採用することによって、より高純度の水素ガスを得ることができる。
このような水素ガスを燃料として利用すれば、燃料電池による高効率発電が可能となるばかりでなく、その他の水素利用分野への転用も可能である。
一方、水素ガスを精製した後、水素分離部からは一酸化炭素、二酸化炭素、微量の水素が排出されるが、その排ガスを燃焼器での燃料として再利用することで、より一層とエネルギー効率の良いグリセリン改質装置とすることができる。
特に、本発明に係るグリセリン精製装置及び精製方法を、バイオディーゼル燃料製造に伴って副生された副生グリセリン(粗製グリセリン)の精製に使用すれば、市場に対して過剰供給の副生グリセリンを低コストで高純度化できるので、産業的に有用である。
また、複数個のグリセリン精製装置を備えることで、精製されたグリセリンを連続的に供給できる。精製されたグリセリンは、水蒸気改質反応の触媒の被毒成分を含まないので、改質反応の反応速度の低下を招くことがなく、グリセリン改質装置の長時間の連続運転が可能となる。また、得られる有価ガスも不純物を含まないものとなり、水素燃料や化学合成品の原料として有効利用できる。
また、改質反応ガスをグリセリン蒸発器の熱源とすることで、グリセリンを精製する際に必要な熱源を外部から導入する必要がなく、エネルギーの利用効率の高いグリセリン改質装置となる。
最初に、第1実施形態に係るグリセリン精製装置及び精製方法について、図1を参照して説明する。
本第1実施形態に係るグリセリン精製装置1は、図1に示すように、グリセリン蒸発器2とフィルター3とによって概略構成されている。グリセリン蒸発器2は、二重管式の蒸発管21を備えた熱交換器からなり、その一端には供給管22が接続されており、他端には排出管23が接続されており、排出管23の途中部位にはフィルター3が配設されている。本実施形態においては、蒸発管21はコイル状の管路からなる。二重管式の蒸発管21の各管には、グリセリン含有液と高温ガスとが挿通されている。二重管の内管にグリセリン含有液を、外管に高温ガスを挿通すると、熱交換が効率良く行えるので、好適である。内管に挿通されたグリセリン含有液と外管に挿通された高温ガスとは管壁を介して熱交換され、グリセリン含有液が高温ガスによって加熱される。
図2及び図3は、いずれも本第2実施形態に係るグリセリン精製装置11の概略構成図であって、図2はグリセリン精製を行っている状態、図3はアルカリ化合物除去を行っている状態をそれぞれ示している。
本グリセリン精製装置11の基本構成は、第1実施形態に係るグリセリン精製装置1と同様であり、グリセリンを気化させるグリセリン蒸発器2の構成が第1実施形態に係るグリセリン精製装置1と異なるのみである。従って、図2及び図3において、図1と共通の構成要素は同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
本グリセリン改質装置100は、図4に示すように、改質反応器4と燃焼器5とを内部に収容する容器6と、第1のグリセリン精製装置1aと、第2のグリセリン精製装置1bと、ガス精製器7とを主な構成要素として構成されている。
C3H5(OH)3+H2O → 5H2+2CO+CO2 (1)
なお、本グリセリン改質装置100は、後述するように2つのグリセリン精製装置、つまり第1、第2のグリセリン精製装置1a、1bで副生グリセリンの精製とアルカリ化合物の除去とを交互に行うことにより、精製グリセリンを改質反応器4に連続的に供給可能とするものである。
副生グリセリンは、副生グリセリン導入配管12から本グリセリン改質装置100内に導入される。本グリセリン改質装置100では、副生グリセリン導入配管12の仕切り弁B1を開放し、副生グリセリンの一部を燃焼器5に供給することにより燃料として利用する。
(1)上記実施形態のグリセリン精製装置1、11はフィルター3を備えているが、このフィルター3は必ずしも必要なものではない。微細粉となってグリセリン蒸気に付随するアルカリ化合物が発生しない状態、又は上記微細粉のグリセリン蒸気への混入を無視できる場合には、フィルター3を省略することが可能である。
(3)上記グリセリン改質装置100は2つのグリセリン精製装置、つまり第1、第2のグリセリン精製装置1a、1bを備えるものであるが、更に多くのグリセリン精製装置を備える構成としても良い。
Claims (13)
- アルカリ化合物とグリセリンとを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離し、内部に前記アルカリ化合物を析出させるグリセリン蒸発器を備えてなる複数個のグリセリン精製装置と、
内部に触媒が収容され、前記グリセリン精製装置で分離されたグリセリンと、少なくとも水蒸気を含む反応ガスとの間で前記触媒を用いて改質反応を生じさせ、前記グリセリンを改質する改質反応器とが、備えられ、
前記グリセリン蒸発器の少なくとも1つにグリセリン含有液が供給されて、グリセリンが分離される一方で、他の前記グリセリン蒸発器に水が供給されて、析出した前記アルカリ化合物がアルカリ水溶液として除去されるように、前記グリセリン蒸発器のそれぞれに、前記グリセリン含有液又は前記水が交互に供給されて、グリセリンが連続的に分離され、
前記改質反応後に生じた改質後ガスの熱が、前記グリセリン蒸発器の熱源とされることを特徴とするグリセリン改質装置。 - 前記グリセリン精製装置は、
アルカリ化合物とグリセリンとを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱し、グリセリンを気化させて分離し、内部に前記アルカリ化合物を析出させるグリセリン蒸発器と、
気化したグリセリンに付随したアルカリ化合物を捕捉するフィルターと
を備えることを特徴とする請求項1記載のグリセリン改質装置。 - 前記グリセリン蒸発器に水を供給することにより、内部に析出したアルカリ化合物又は/及びフィルターに捕捉されたアルカリ化合物をアルカリ水溶液として前記グリセリン蒸発器から除去することを特徴とする請求項2記載のグリセリン改質装置。
- 前記グリセリン蒸発器は、グリセリン含有液を管路に挿通させて熱源と熱交換させてなることを特徴とする請求項2又は3記載のグリセリン改質装置。
- 前記グリセリン蒸発器は、貯留槽内に貯留されたグリセリン含有液に熱源が挿通する管路を浸漬させてなることを特徴とする請求項2又は3記載のグリセリン改質装置。
- 前記グリセリン含有液は、原料油とアルコールとをアルカリ触媒の存在下で反応させてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のグリセリン改質装置。
- 前記改質反応器を収容する容器と、
燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させる燃焼器とが、備えられ、
前記容器の内部に前記燃焼排ガスが導入され、前記燃焼排ガスの熱により前記改質反応器が加熱されることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載のグリセリン改質装置。 - 前記改質反応後に生じた改質後ガスから水素を分離する水素分離部が備えられることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のグリセリン改質装置。
- 前記グリセリン蒸発器の熱源として前記燃焼排ガスを用いることを特徴とする請求項7又は請求項8記載のグリセリン改質装置。
- グリセリンとアルカリ化合物とを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離すると共に、前記アルカリ化合物を析出させる分離工程と、
前記アルカリ化合物を水に溶解してアルカリ水溶液として回収する洗浄工程とを、備えてなるグリセリン精製工程と、
内部に触媒が収容され、前記グリセリン精製工程で精製されたグリセリンと、少なくとも水蒸気を含む反応用ガスとの間で前記触媒を用いて改質反応を生じさせ、前記グリセリンを改質する改質工程とを、備え、
前記グリセリン精製工程を複数系統設けて、少なくとも一系統で分離工程が行われる一方で、他系統で前記洗浄工程が行われるように、前記系統のそれぞれで前記分離工程と前記洗浄工程とを交互に行うことによって、グリセリンを連続的に分離し、
前記改質反応後に生じた改質後ガスの熱によって、前記グリセリン含有液を加熱することを特徴とするグリセリン改質方法。 - 前記グリセリン精製工程では、グリセリンとアルカリ化合物とを含有してなるグリセリン含有液を、グリセリンの沸点以上、前記アルカリ化合物の融点未満の温度で加熱して、グリセリンを気化させて分離すると共に、前記アルカリ化合物を析出させ、気化したグリセリンに付随するアルカリ化合物をフィルターによって除去することを特徴とする請求項10記載のグリセリン改質方法。
- 析出した前記アルカリ化合物を水に溶解させてアルカリ水溶液として回収することを特徴とする請求項11記載のグリセリン改質方法。
- 前記グリセリン含有液は、原料油と低級アルコールとをアルカリ触媒の存在下で反応させてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生されたものであることを特徴とする請求項10又は11記載のグリセリン改質方法。
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