JP5531376B2 - 非破壊検査装置及び非破壊検査方法 - Google Patents

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Description

本発明はガイド波で円筒部材の欠陥を検査する非破壊検査装置及び非破壊検査方法に関する。
流体が流通する配管(例えば、発電プラント及び化学プラント等のプラントの配管、石油を輸送するパイプラインのパイプ、製油所内のパイプ、地中に埋設されている水道管及びガス管等)や液体等が貯蔵されるタンク等、円筒状に成形された部材(以下、円筒部材とする)は、施設してから長期間が経過すると、内外面からの腐食または侵食に起因した劣化が進行する。ついには、その腐食または侵食が円筒部材の肉厚を貫通するまでに至る。この場合には、液体及び気体といった円筒部材内の流体が外部に漏洩してしまう。このような状態を避けるため、円筒部材の非破壊検査を定期的に行って円筒部材の肉厚を評価し、内部流体の漏洩が生じる前に、円筒部材の交換(または補修)といった対策を施す必要がある。
ところで、配管の肉厚を検査する非破壊測定手段の代表的なものに超音波厚み計がある。超音波厚み計は円筒部材の肉厚を測定する装置である。超音波厚み計を利用して円筒部材の肉厚を測定する一般的な方法としては、電気と音響を相互に変換する圧電素子を有する超音波センサを配管外面に設置することで検査対象の配管にバルク波を励起し、同一若しくは別の超音波センサを利用して配管内面で反射した弾性波を受信するものがある。
超音波厚み計は、検査範囲が狭いため、長尺の配管に対する検査には長い時間を要する。また、超音波厚み計を用いた検査では保温材が取り巻いている配管を対象にする場合に肉厚測定箇所ごとで保温材を取り除く必要があるので、検査前の保温材の取り外し作業及び検査後の保温材の取り付け作業に要する時間も多大になる。さらに、コンクリート及び地中に埋設された配管の検査も容易ではない。
超音波厚み計の有するこのような課題への1つの対応策として、ガイド波(配管や板のように境界面を有する物体中を反射やモード変換しながら進行する縦波・横波の干渉によって形成される弾性波)を用いた配管の非破壊検査が提案されている(特許文献1等参照)。ガイド波を用いた非破壊検査は、配管の長距離区間を一括して検査することができる。ガイド波を用いることにより、保温材を取り外す箇所も著しく低減される。特許文献1に記載された非破壊検査装置は、複数の超音波探触子を配管全周にわたって配置した第1探触子群、第2探触子群及び第3探触子群を有しており、配管の一方向にガイド波を送信するために、これらの探触子群を検査対象である配管の軸方向に並べて配置している。
特表平10−507530号公報
ところで、特許文献1に記載された上記の非破壊検査装置は、複数の探触子を配管全周に渡って配置して形成した探触子群を用いて非破壊的検査を行うので、配管の口径が大きくなるにつれて探触子群のサイズもまた大きくなってしまう。また、検査対象の配管の口径が変われば、それに合わせた大きさの探触子群を別途用意する必要も生じる。
本発明の目的は円筒部材の口径に依存することなく欠陥の測定ができる非破壊検査装置を提供することにある。
(1)本発明は上記目的を達成するために、ガイド波で円筒部材の欠陥を検査する非破壊検査装置において、複数の超音波探触子を前記円筒部材の周方向の一部に所定の間隔を介して配列して形成された第1超音波探触子列と、複数の超音波探触子を前記円筒部材の周方向の一部に所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して設けられた第2超音波探触子列と、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列に含まれる前記複数の超音波探触子に送信信号を印加するタイミングを制御することで、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列から送信されるガイド波の伝搬角度を制御するガイド波送信部とを備え、前記ガイド波送信部は、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列からガイド波が送信される時刻が前記円筒部材の軸方向における前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の距離をガイド波が伝搬するために要する時間だけずれるように、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列に送信信号を印加前記第1超音波探触子列における各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とは、それぞれ、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波とは波長の異なる前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満とする。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とは、それぞれ、前記波長の最も短いガイド波の波長の半分に近づくように設定する。
(3)上記(1)において、好ましくは、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列における前記複数の超音波探触子のうち前記円筒部材の周方向の両端部分に配置された少なくとも1つの超音波探触子から送信されるガイド波の強度が、前記円筒部材の周方向の端部に近い探触子から送信されるものほど弱くなるように、前記複数の超音波探触子から送信されるガイド波の強度を調整する強度調整部をさらに備える。
(4)上記(3)において、前記強度調整部は、好ましくは、前記複数の超音波探触子の前記円筒部材の周方向における配置位置に応じて、前記円筒部材の外周面に対して前記複数の超音波探触子を押し付ける力を調整する付勢力調整機構とする。
(5)上記(3)において、前記強度調整部は、好ましくは、前記複数の超音波探触子の前記円筒部材の周方向における配置位置に応じて、前記複数の超音波探触子に作用する負荷インピーダンスを調整する負荷インピーダンス調整機構とする。
(6)上記(1)において、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列における前記複数の超音波探触子は、磁石吸着機構を介して前記円筒部材に固定されている。
(7)上記(1)において、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列における前記複数の超音波探触子は、エア吸着機構を介して前記円筒部材に固定されている
(8)上記(1)において、好ましくは、前記第1超音波探触子列又は前記第2超音波探触子列の前記複数の超音波探触子は、前記円筒部材の周方向に複数配列された支持部材に固定されており、この支持部材は、前記円筒部材の周方向に隣接する支持部同士が軸を介して揺動自在に連結されている。
(9)上記(1)において、好ましくは、 複数の超音波探触子を前記円筒部材の周方向の一部に所定の間隔を介して配列して形成された第3超音波探触子列と、複数の超音波探触子を前記円筒部材の周方向の一部に所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の前記円筒部材の軸方向における間隔の分だけ前記第3超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して設けられた第4超音波探触子列とをさらに有し、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列によってガイド波を送信し、前記第3超音波探触子列と前記第4超音波探触子列によってガイド波を受信し、前記第3超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第4超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とは、それぞれ、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波とは波長の異なる前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満とする。
(10)本発明は上記目的を達成するために、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成された第1超音波探触子列からガイド波が送信される時刻と、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して取り付けられた第2超音波探触子列からガイド波が送信される時刻とが、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波が前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の間を通過する際に要する時間分だけずれるように、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列からガイド波を送信する手順と、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列から送信されたガイド波を受信する手順と、受信した受信信号を処理して検査情報を生成する手順と、前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波によるノイズが低減するように、前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とを、それぞれ、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波とは波長の異なる前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満に調整する手順とを備える。
(11)上記(10)において、好ましくは、前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とは、それぞれ、前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち最も短いガイド波の波長の半分以上で、前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満とする。
(12)本発明は上記目的を達成するために、ガイド波で円筒部材の欠陥を検査する非破壊検査方法において、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成された第1超音波探触子列からガイド波が送信される時刻と、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して取り付けられた第2超音波探触子列からガイド波が送信される時刻とが、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波が前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の間を通過する際に要する時間分だけずれるように、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列からガイド波を送信する手順と、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列から送信されたガイド波を受信する手順と、受信した受信信号を処理して検査情報を生成する手順と、前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波によるノイズが低減するように、前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とを、それぞれ、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波とは波長の異なる前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満に調整する手順と、前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波によるノイズを低減させるために、前記第1超音波探触子列及び前記第2超音波探触子列から送信されるガイド波の強度が前記円筒部材の周方向の端部に配置されたものほど減少するように、前記第1超音波探触子列及び前記第2超音波探触子列から送信されるガイド波の強度を調整する手順とを備える。
(13)本発明は上記目的を達成するために、ガイド波で円筒部材の欠陥を検査する非破壊検査方法において、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成された第1超音波探触子列から任意の設定角度でガイド波が送信される時刻と、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して取り付けられた第2超音波探触子列から前記設定角度でガイド波が送信される時刻とが、前記設定角度で送信されるガイド波が前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の間を通過する際に要する時間分だけずれるように、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列からガイド波を送信する手順と、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列から送信されたガイド波を受信する手順と、受信した受信信号を処理して検査情報を生成する手順と、前記設定角度と直交する方向に前記円筒部材を伝搬するガイド波によるノイズが低減するように、前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とを、前記設定角度と直交する方向に前記円筒部材を伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満に調整する手順とを備える。
(14)上記(10)から(13)のいずれかにおいて、好ましくは、前記円筒部材に対して前記ガイド波センサを設置する箇所を前記円筒部材の周方向に沿って変更する手順をさらに備える。
本発明によれば、円筒部材の周方向の一部に設置した探触子列で欠陥を測定できるので、円筒部材の口径に依存しない非破壊検査を実施することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る非破壊検査装置の構成図、図2は図1中のガイド波センサ3の構造図、図3は図1中のガイド波送受信器4の構成図である。
図1に示す非破壊検査装置10は、ガイド波センサ3と、ガイド波送受信器4と、アナログ/テジタル変換器(A/D変換器)5と、コンピュータ(電子計算機)6と、表示装置7を備えている。
ガイド波センサ3は、ガイド波を送受信するもので、第1超音波探触子列1と、第2超音波探触子列2を有している。
第1超音波探触子列(以下、第1探触子列という)1は、複数の超音波探触子(以下、探触子という)を配列して形成されるもので、本実施の形態では例えば4組の探触子1a,1b,1c,1dによって形成されている。探触子1a〜1dは、ガイド波の送受信機能を有しており、それぞれ2つの探触子で構成されている。探触子としては、例えば、圧電素子を利用することができる。なお、各探触子は、複数の探触子を並列接続して(または送信用の探触子及び受信用の探触子を並列接続)構成することも可能である。第2超音波探触子列(以下、第2探触子列という)2は、第1探触子列1同様に複数の探触子(本実施の形態では4組の探触子2a,2b,2c,2d)で形成されており、第1探触子列1から配管9の軸方向に所定の間隔(「Da」とする)を介した位置に配置されている。第1探触子列1と第2探触子列2は、同数の探触子で形成することが好ましく、本実施の形態では第1探触子列1と第2探触子列2はそれぞれ4組の探触子(1a〜1d,2a〜2d)から形成されている。
なお、本実施の形態では、探触子1a〜1d,2a〜2dはそれぞれ2つの探触子から構成されているが、本発明が適用可能な探触子列1,2の構成はこれのみに限られず、各探触子列1,2が複数の探触子で構成されていれば良い。
図2(a)はガイド波センサ3を配管9の軸方向から見た図、図2(b)はガイド波センサ3を配管9の径方向から見た図、図2(c)は図2(a)の拡大図である。
図2において、複数の探触子1a〜1d,2a〜2dは、それぞれ、配管(円筒部材)9の周方向の一部に配管9の周方向に沿って配列されている。配管9の周方向における各探触子1a〜1d,2a〜2dの配置間隔(「Dc」(図2(c)参照)とする)は、配管9の周方向に伝搬するガイド波(以下、適宜、周方向ガイド波8bとする)8bのうち波長の最も短いガイド波の波長(以下、最短波長λ1とする)の半分(2分の1波長)に近づくように設定されている。このように探触子1a〜1d,2a〜2dを配置すると、ガイド波センサ3が受信する受信信号の中に、周方向ガイド波8bによるノイズが含まれることが低減されるので、より小さな欠陥を認識することができる。なお、これは、配置間隔Dcを最短波長λ1未満に設定すれば、周方向ガイド波8bの振幅低減効果が認められ得るという、発明者らが得た知見に基づいている。
また、探触子1a〜1d,2a〜2dは、それぞれ、シリンダ11を介して支持部材12に取り付けられている。シリンダ12は探触子1a〜1d,2a〜2dを配管9の外周面に対して付勢するものであり、探触子1a〜1d,2a〜2dはシリンダ12のロッドの先端に取り付けられている。支持部材12は、配管(円筒部材)9の曲率に合わせて形成された扇形の部材であり、複数のシリンダ11を配管9の軸方向から挟み込むように固定している。支持部材12は、支持ロープ13を介して配管9に固定されている。支持ロープ13は、ガイド波センサ3(探触子1a〜1d)を配管9の外周面に固定するもので、配管9に掛け回されている。なお、ガイド波センサ3は、第1探触子列1と第2探触子列2が配管9の軸方向に所定間隔を介して固定されるように1組の支持部材12で一体的に構成してもよいし、第1探触子列1と第2探触子列2をそれぞれ1組の支持部材12で固定してこれらが配管9の軸方向に所定間隔を保持するように配管9に取り付けてもよい。
ガイド波送受信器4は、探触子1a〜1d,2a〜2dからガイド波を送信するためにこれらに送信波形(送信信号)を印加するとともに、各探触子1a〜1d,2a〜2dが受信した受信波形(受信信号)を増幅するものである。
図3において、ガイド波送受信器4は、制御器21と、第1探触子列1用の信号発生器22a、パワーアンプ23a、及び素子切替器24aと、第2探触子列2用の信号発生器22b、パワーアンプ23b、及び素子切替器24bと、第1探触子列1及び第2探触子列2共通の素子切替器25、及び受信アンプ26を備えている。
信号発生器22a,22b、パワーアンプ23a,23b、及び素子切替器24a,24bは、探触子列1,2の各探触子1a〜1d,2a〜2dからガイド波を送信するための機構である。また、素子切替器25と受信アンプ26は、探触子列1,2が発信したガイド波の反射信号を各探触子1a〜1d,2a〜2dで受信するための機構である。
制御器21は、信号発生器22a,22bと、素子切替器24a,24bと、素子切替器25に接続されている。また、制御器21は、コンピュータ6と接続されている。
信号発生器22a,22bは、パワーアンプ23a,23bを介して素子切替器24a,24bに接続されている。
素子切替器24a,24bは、制御器21からの切替指令に基づいて、パワーアンプ23a,23bと各探触子1a〜1d,2a〜2dの接続を切り替えるものである。素子切替器24a,24bは、探触子1a〜1d,2a〜2dに接続されている。素子切替器24a,24bと探触子1a〜1d,2a〜2dの接続は、同軸ケーブルを介して行われている。
素子切替器25は、制御器21からの切替指令に基づいて、受信アンプ26と探触子1a〜1d,2a〜2dの接続を切り替えるものである。素子切替器25は、受信アンプ26を介して探触子1a〜1d,2a〜2dと接続されている。素子切替器25と探触子1a〜1d,2a〜2dの接続は、同軸ケーブルを介して行われている。受信アンプ26は同軸ケーブルを介してA/D変換器5に接続されている。
A/D変換器5は、アナログ信号であるガイド波の受信波形をテジタル信号(テジタル波形)に変換するものである。A/D変換器5は、コンピュータ6の信号処理装置6bと接続されており、受信アンプ26から入力された各受信信号(受信波形)をテジタル信号に変換して信号処理装置6b(後述)に出力している。なお、A/D変換器5としては、例えば、市販の外付けA/D変換器、またはコンピュータ組み込み式のボードタイプのA/D変換器等が利用できる。
コンピュータ6は、検査装置全体に関わる制御処理を行うもので、中央制御部6aと信号処理部6bとして主に機能する。
中央制御部6aは、ガイド波送信指令等の制御指令を制御器21に出力したり、信号処理部6bからの検査情報を表示装置7に出力したりする部分である。また、中央制御部6aは、キーボード、マウス等の入力装置(図示せず)と接続されており、オペレータの指示を受け付けている。信号処理部6bは、A/D変換器5からのデジタル信号(受信波形)を処理して画像情報等の検査情報を生成する部分である。信号処理部6bで生成された検査情報は、中央制御部6aによって表示装置7に送信される。
表示装置7は、信号処理部6bで生成された画像情報等の検査情報を表示し、さらに、A/D変換器5を介して信号処理装置6bに入力されたテジタル信号(受信アンプ26からの出力信号)を必要に応じてそのまま表示するものである。表示装置7はコンピュータ6と接続されている。
次に上記のように構成される非破壊検査装置を用いた検査手順について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態に係る非破壊検査装置による検査のフローチャートである。図5(a)は探触子1a〜1dに印加される第1励起信号を示す図で、図5(b)は探触子2a〜2dに印加される第2励起信号を示す図である。
上記のように構成される非破壊検査装置によって配管9の検査を行う際には、まず、超音波センサ3を配管9の検査箇所に配置する。このとき、配管9が保温材等で取り巻かれている場合には保温材の一部を予め取り外す。超音波センサ3の取付けが完了したら、オペレータは入力装置から中央制御部6aに検査開始信号を入力する。検査開始信号が入力された中央制御部6aは、制御器21(ガイド波送受信器4)に対してガイド波送信指令(送信制御信号)を出力する。
ガイド波送信指令が入力された制御器21は、素子切替器24aに切替指令(切替制御信号)を出力する。この切替指令に基づいて、素子切替器24aは、探触子1a〜1dを実質的に同時にパワーアンプ23aに接続する。また、ガイド波送信指令が入力された制御器21は、第1探触子列1(探触子1a〜1d)からガイド波を発信するための第1励起指令(第1励起制御信号)を信号発生器22aに出力する。信号発生器22aは、制御器21からの第1励起指令に基づいて、探触子1a〜1dに向けて第1励起信号を出力する。信号発生器22aから出力された第1励起信号は、パワーアンプ23aによって増幅されて第1送信波形(第1送信信号)(図5(a)参照)となり、制御器21によって切り替えられた素子切替器24aを介して探触子1a〜1dに実質的に同時に印加される(S101)。
一方、中央制御部6aからガイド波送信指令が入力された制御器21は、素子切替器24bにも切替指令を出力する。素子切替器24bは、この切替指令に基づいて、探触子2a〜2dを実質的に同時にパワーアンプ23bに接続する。また、ガイド波送信指令を入力された制御器21は、信号発生器22aに第1励起指令を出力した時刻から、配管9の軸方向における第1探触子列1と第2探触子列2の距離(Da)をガイド波が伝搬するのために要する時間(以下、遅延時間Tdとする)だけ遅延して、第2探触子列2(探触子2a〜2d)からガイド波を発信するための第2励起指令(第2励起制御信号)を信号発生器22bに出力する。信号発生器22bは、第2励起指令に基づいて、探触子2a〜2dに向けて第2励起信号を出力する。信号発生器22bから出力された第2励起信号は、パワーアンプ23bによって増幅されて第2送信波形(第2送信信号)(図5(b)参照)となり、制御器21によって切り替えられた素子切替器24bを介して探触子2a〜2dに実質的に同時に印加される(S102)。
上記のように、制御器21が第2励起指令を出力する時刻を、第1励起信号を出力した時刻よりも遅延時間Tdだけ遅延させると、第1探触子列1及び第2探触子列2から図1中の右方向に向かって発信されるガイド波が互いに同位相になるので、右方向に向かって発信されるガイド波の振幅を増大させることができる。一方、これにより第1探触子列1及び第2探触子列2から図1中の左方向に向かって発信されるガイド波は互いに逆位相になるので、左方向に向かって発信されるガイド波の振幅を減少させることができる。
なお、上記では第2励起指令を出力する時刻を第1励起指令が出力される時刻よりも遅延させたが、図6に示す場合には第2励起指令を出力する時刻を遅延時間Tdだけ早くしても良い。図6(a)は第1励起指令が出力される時刻よりも第2励起指令を出力する時刻を遅延時間Tdだけ早くした場合に探触子1a〜1dに印加される第1送信信号を示す図で、図6(b)はそのときに探触子2a〜2dに印加される第2送信信号を示す図である。図6において、探触子2a〜2dに入力される第2送信信号(図6(b)参照)は、探触子1a〜1dに入力される第1送信信号(図6(a)参照)と絶対値が同じで符号の正負が異なっている。図6に示した波形の第1及び第2送信信号を印加すると、図5に示した方法に比べて、図1中の右側に向かって発信されるガイド波の振幅を増大させる効果が相対的に低くなるが、左側に向かって発信されるガイド波の振幅の減少させる効果を相対的に大きくすることができる。
図5及び図6に示す第1及び第2送信信号を印加する方法のいずれの場合でも、第1送信信号が印加された探触子1a〜1dと、第2送信信号が印加された探触子2a〜2dは、振動することによって配管9にガイド波をそれぞれ発生させる。探触子1a〜1d,2a〜2dから発信されたガイド波8は配管9の軸方向に伝搬する。軸方向に伝搬したガイド波8は、その先の配管9に管端部9a(図1参照)や欠陥(減肉部9b(図1参照)または亀裂等)が存在する場合、管端部9aや欠陥で反射されて反射波(反射信号)となって逆方向に進行する。この反射波は、超音波探触子列1,2の探触子1a〜1d,2a〜2dによって受信される(S103)。
制御器21は、第1励起指令及び第2励起指令を出力した後に、素子切替器25に切替指令(切替制御信号)を出力する。切替指令が入力された素子切替器25は、探触子1a〜1d,2a〜2dを受信アンプ26に接続する。上記のように反射波を受信した第1及び第2探触子列1,2は、その受信信号(受信波形)である第1受信信号(第1探触子列1の受信信号)と第2受信信号(第2探触子列2の受信信号)を素子切替器25を介して受信アンプ26に出力する。受信アンプ26に入力された第1及び第2受信信号は、受信アンプ26で増幅されて、A/D変換器5に出力される。
ところで、制御器21は、中央制御部6aから入力されたガイド波送信指令に基づいて、A/D変換器5にトリガ信号を出力している。A/D変換器5は、このトリガ信号に基づいて、アナログ信号である第1及び第2受信信号をディジタル信号に変換する処理を開始し、受信アンプ26から入力された第1及び第2受信信号をディジタル信号に変換する。A/D変換器5は、ディジタル変換した第1及び第2受信信号をコンピュータ6の信号処理部6bに出力する。A/D変換器5から入力された第1及び第2受信信号は、コンピュータ6内のメモリ等の記憶装置(図示せず)に記憶される。
次に、中央制御部6aは、第1探触子列1と第2探触子列2の両方から受信信号が入力されたか否かを判定する(S104)。中央制御部6aは、記憶装置内に記憶された受信信号の入力情報に基づいて、第1受信信号と第2受信信号の両方が入力されているか否かを判定する。この判定結果が「YES」であれば次の処理(S105)を実行し、その判定結果が「NO」であればS101からの処理を再度実行する。S101〜S104の処理により、信号処理部6bには、第1及び第2波探触子列1,2の両方から出力された第1及び第2受信信号のディジタル信号が入力される。このように入力される第1及び第2受信信号は、同じ反射源(例えば、配管9の管端部9aまたは減肉部9b)からの反射信号となる。
なお、本実施の形態では、2つの探触子列1,2に対して受信アンプ26が1つしかないので、S104の判定処理を行うものとしている。しかし、2つの探触子列1,2に対して個別の受信アンプを用意できる場合にはS104は省略することができる。
第1受信信号と第2受信信号の両方が入力されていることが判定されると、信号処理部6bは第1受信信号と第2受信信号の合成処理を行う(S105)。ここで、第1受信信号と第2受信信号の合成処理の一例を図7を用いて説明する。
図7は、第1及び第2探触子1,2で受信した受信信号S1,S2の波形データと、合成信号S0p,S0mの波形データを示す図である。
この図において、図7(a)は第1探触子列1によって受信された第1受信信号S1の波形データを示し、図7(b)は第2探触子列2によって受信された第2受信信号S2の波形データを示している。
信号処理部6bは、まず、第2受信信号S2を遅延時間Tdだけ遅らせる補正処理を行い、第2受信信号S2pの波形データ(図7(c)参照)を得る。次に、信号処理部6bは、第1受信信号S1の波形データ(図7(a))と、補正処理によって得た第2受信信号S2p(図7(c))を加算し、合成信号S0pの波形データ(図7(e)参照)を得る。この受信信号の合成処理によって、図1中の右側から左側に向かって探触子列1,2に進行してくるガイド波(反射波)を抽出することができる。
なお、この合成処理は、第2受信信号S2を遅延時間Tdだけ進ませる補正処理を行って得た第2受信信号S2mの波形データ(図7(d)参照)を利用して行っても良い。この場合、信号処理部6bは、第1受信信号S1の波形データ(図7(a))と、補正処理によって得た第2受信信号S2m(図7(d))を減算し、合成信号S0mの波形データ(図7(f)参照)を得る。このように得られる合成信号S0mは、合成信号S0pに比べて、図1中の右側から左側に向かって探触子列1,2に進行してくるガイド波の振幅を増大させる効果が相対的に小さい。しかしながら、合成信号S0mは、合成信号S0pに比べて、図1中の左側から右側に向かって探触子列1,2に進行してくるガイド波の振幅を減少させる効果が相対的に大きくなる(理論的にはゼロにできる)。これは、図5、図6を用いて説明したガイド波の送信原理と同様の現象である。そのため、探触子列1,2よりも左側に管端などの反射源がある場合には、合成信号S0mを利用する方がSN比の観点から有利である場合が多い。
ところで、上記の一連の処理において、探触子1a〜1d,2a〜2dからガイド波が発信される際(S101,S102)には、配管9の軸方向に伝搬する軸方向ガイド波8aだけでなく、配管9の周方向に伝搬する周方向ガイド波8b(図1参照)も発生する。この周方向ガイド波8bは、配管9を周方向に伝搬して探触子1a〜1d,2a〜2dの位置に周回して戻るたびに受信されるので、配管9の軸方向に伝搬して欠陥(減肉9b等)で反射した信号に対してノイズとなる。すなわち、配管9の周方向の一部にガイド波センサをただ取り付けるだけでは、周方向ガイド波の影響によって充分な検査ができない場合がある。そのため、本実施の形態では、発明者らが見出した新たな知見に基づいて、周方向ガイド波8bを抑制する手段(ノイズ抑制手段)を講じている。すなわち、発明者らは、探触子配置に関する種々の検討から、(1)配管9の周方向における各探触子1a〜1d,2a〜2dの配置間隔(Dc)の調整、または、(2)各探触子1a〜1d,2a〜2dから送信されるガイド波の振幅(ガイド波の強度)の調整によって、周方向ガイド波8bを抑制できるという新たな知見を得た(図8参照)。以下、この知見について説明する。
まず、(1)各探触子1a〜1d,2a〜2dの配置間隔Dcを調整して周方向ガイド波を低減する方法について説明する。
この方法は、探触子列を構成する複数の探触子の配置間隔Dcが、最短波長λ1未満になるように各探触子を配置するというものである。このように各探触子1a〜1d,2a〜2dの配置間隔を最短波長λ1未満になるように設定すると、数個の隣接する探触子間で位相が逆転することでガイド波が打ち消されるので、周方向ガイド波の振幅を低減することができる。なお、発明者らは、最短波長λ1の半分に近づくように配置間隔Dcを設定すると、周方向ガイド波を著しく低減することができるという知見を得た。本実施の形態の探触子1a〜1d,2a〜2dは、この知見に基づき、配置間隔Dcが最短波長λ1の半分に近づくように設定してある。次に、配置間隔Dcを最短波長λ1未満に設定したときの効果を図8を用いて説明する。
図8は、軸方向ガイド波と周方向ガイド波の振幅を示す図である。この図の各グラフでは、軸方向に伝搬するガイド波の振幅を右側の縦軸(右軸)で示し、周方向に伝搬するガイド波の振幅を左側の縦軸(左軸)で示している。
図8(a)は、探触子の周方向の配置間隔をDc=34mm、周方向探触子数を24個、周波数を40kHz、軸方向に伝搬するガイド波の速度を3200m/s、周方向に伝搬するガイド波の位相速度を1717m/sとしたときの解析結果である。
この場合、周方向ガイド波の波長(λ1)は約43mm(1717/40)であり、配置間隔Dc(34mm)はλ1より小さく設定されている。これにより周方向ガイド波の振幅は、図が示すように、軸方向ガイド波の約20分の1となる。周方向ガイド波と軸方向ガイド波の振幅比がこの程度であれば、配管断面積比1%の減肉(欠陥)を検出する前提(例えば、原子力プラント内の配管の検査)ではノイズとなる可能性があるが、それ以上の大きさの欠陥を検出すれば足りる検査には適用可能な範囲である。
図8(b)は、探触子の配置間隔をDc=20mm、周方向探触子数を24個、その他の条件を図8(a)と同じとした場合の解析結果である。
この場合、配置間隔Dc(20mm)は図8(a)のときと比較して、λ1の2分の1波長(約21.5mm)に近づくように設定されている。このとき、周方向ガイド波の振幅は軸方向ガイド波の約40分の1となり、周方向ガイド波によるノイズは図8(a)のときより更に低減される。周方向ガイド波と軸方向ガイド波の振幅比がこの程度であれば、配管断面積比1%の減肉を検出できる可能性があるので、例えば原子力プラントの配管検査にも対応することができる。
次に、(2)各探触子1a〜1d,2a〜2dから送信されるガイド波の振幅(ガイド波の強度)を調整して周方向ガイド波を低減する方法について説明する。
この方法は、探触子列を構成する探触子のうち円筒部材(配管9)の周方向の両端部分にそれぞれ配置される1つ又は複数の探触子から送信されるガイド波の強度が、円筒部材の周方向の端部に近い探触子から送信されるものほど弱くなるように、複数の探触子から発信されるガイド波の強度を調整するものである(例えば、探触子列1において両端にそれぞれ配置される1つの探触子を強度調整の対象とすれば、ガイド波の強度を減少させるものは探触子1aと探触子1dとなる)。
まず、図9を用いて、複数の探触子に作用させる印加電圧を変更してガイド波の強度を調整する方法について説明する。図9中の横軸は探触子列を構成する複数の探触子(図中のものは14個)の周方向における配置位置を示し、縦軸は各探触子に印加する電圧を示している。
図9(a)は印加電圧に重み付けを行っていない場合の図であり、図9(b)は両端の3個に重み付けを行った場合の図である。図9(b)では、周方向の両端部から数えてそれぞれ3つの探触子に対して、周方向の配置位置に応じて調整された電圧が印加されるように調整(重み付け)がされている。すなわち、両端部の3つの探触子では、周方向の端部の近くに位置するものほど、印加電圧が段階的に減少するように構成されている。このように周方向の端部に位置する探触子ほど送信するガイド波の強度が減少するように、各探触子が送信するガイド波の強度を調整すると、数個の隣接する探触子間で位相が逆転することでガイド波が打ち消されるので、周方向ガイド波の振幅を低減することができる。
なお、上記のようにガイド波の強度を調整する装置(強度調整部)の構成例としては、各探触子に作用させる負荷インピーダンスを調整し、各探触子への印加電圧を変更する負荷インピーダンス調整機構がある。これは、例えば、探触子(圧電素子)に至る経路に、抵抗、キャパシタ、インダクタ、又はこれらを組み合わせたもの等を取り付け、周方向における探触子の配置位置に応じて印加電圧が変化するように構成したものである。この他の例としては、ガイド波送受信器4を用いて、探触子1a〜1d,2a〜2dに印加する送信波形(送信信号)を個別に変化させ、ガイド波の強度調整を行っても良い。
また、上記では各探触子に印加する電圧を変化させることによってガイド波の強度調整を行ったが、円筒部材の外周面に対して各探触子を押し付ける力(付勢力)を変更する付勢力調整機構を設け、これによりガイド波の強度調整を行ってもよい。
この付勢力調整機構としては、上記で説明したシリンダ11を利用することができる。例えば、シリンダ11をエアシリンダで構成すれ場合には、シリンダ12に供給する空気圧を利用して探触子に作用させる付勢力を調整すれば良い。なお、シリンダ11は、油圧シリンダで構成しても良い。また、その他のものとしては、ばね力を用いたばね機構等を利用しても良い。
ここで図8に戻る。図8(c)は、図9に示すように探触子に印可する電圧を段階的に変化させるか、又は円筒部材の外周面に探触子を押し付ける力を段階的に変化させ、その他の条件を図8(b)と同じとした場合の解析結果である。なお、本実施の形態では、24個のうち周方向の両端から5個ずつの探触子(合計10個)に重み付けを行い、他の14個には重み付けを行わなかった。
このように構成した検査装置によると、数個の隣接する探触子間で位相が逆転することでガイド波が打ち消され、周方向ガイド波の振幅が抑制されるので、図8(b)のときよりノイズは更に低減される。これにより、周方向ガイド波の振幅を、図が示すように、軸方向ガイド波の振幅の約1000分の1に達するまで低減することができる。
図10は、周方向の探触子数をパラメータにし、重み付け送受信を実施した場合と実施しない場合とで、周方向ガイド波の抑制効果を比較した図であるが、この図が示すように、重み付け送受信を実施した場合には、非破壊検査に必要な放射比率を達成でき、配管断面積比1%の減肉を検出できる可能性が高くなる。
なお、上記の説明では、周方向の両端に配置された複数個の探触子においてガイド波の強度を変化させたが、周方向の両端における少なくとも1つの探触子で強度を調整すれば、上記のような周方向ガイド波8bの抑制効果は発揮される。
上記のように、本発明者らが得た知見に基づけば、周方向ガイド波の振幅を低減することができる。これにより円筒部材の周の一部にガイド波センサ3を設置するだけで、ノイズの少ない解析結果を得ることができる。なお、ノイズを充分に低減できる探触子間の配置間隔Dcや、探触子に与える印加電圧・付勢力は検査対象によって異なるので、検査ごとに設定することが好ましい。また、これらの設定プロセスは、テストを行う等して最適な設定を事前に求めておいても良いし、例えば、図のS105とS106の間等に検査プロセスの1つとして組み込んでも良い。
上記のように周方向ガイド波の振幅を低減するなどし、欠陥等から反射してくるガイド波の抽出が完了したら、その波形に基づいて減肉部の面積を算出する手順に進む(S106)。減肉部とは、配管の内面から外側に向かってえぐられた部分であり、配管の内面に形成される窪みである。減肉部の面積とは、配管の横断面(配管の軸心に直交する断面)におけるその窪み部分の面積を意味する。上記のように得た合成信号S0p(または合成信号S0m)の波形において、管端9aからの反射信号の振幅に対する減肉部9bからの反射信号の振幅の比率は、配管9の断面積に対する減肉部(反射源)9bの面積の比率にほぼ比例する。そのため、その比率に関して予め定めておいた係数を合成信号S0p(または合成信号S0m)の波形の振幅値に積算することによって、配管9に存在する減肉部9bの面積を算出できる。
ここで上記の係数について具体的に説明する。配管9の断面積がs0、配管9の管端からの反射信号の合成信号S0pの振幅がa0、減肉部9bの面積がs、減肉部9bからの反射信号の合成信号S0pの振幅がaであるとき、「s/a≒s0/a0」の関係がある。したがって、減肉部9bからの反射信号の振幅aから減肉部9bの面積sを算出するときの係数は「s0/a0」となり、減肉部9bの面積sは「s=a×(s0/a0)」で求められる。
なお、配管9の検査において、配管9の管端9aからのガイド波の反射信号が測定可能な場合には、上記の係数(s0/a0)は、配管9にガイド波センサ3(探触子1a〜1d,2a〜2d)を取り付けるたびに算出することが好ましい。すなわち、ガイド波センサ3を配管9に取り付けるごとに係数(s0/a0)を求め、この係数をコンピュータ6内の記憶装置に予め記憶させ、面積sの算出に用いれば良い。このように、探触子を配管に取り付けるたびに係数(s0/a0)を算出すると、算出された面積sの精度を向上することができる。これは、係数(s0/a0)は、探触子1a〜1d,2a〜2dと配管9との接触状態やガイド波の減衰度合いの影響を受けるため、検査ごとに変化する傾向があるからである。ところで、配管9の管端9aが存在しない場合等には、例えば、試験データを用いて予め算出しておいた係数(s0/a0)を用いて面積sを求めれば良い。
次に、本実施の形態による測定結果の一例を、図11から図15を用いて説明する。
図11は、本実施の形態の効果の確認試験に用いた配管試験体41(公称外径508mm、厚さ9.5mm)の仕様の説明図である。
図11に示すように、配管試験体41の内面には、厚さ1mm以上のポリエチレンライニング41aが施工されており、配管試験体41の欠陥としては、模擬剥離41bと、模擬減肉41cと、模擬減肉41dが設けられている。
模擬剥離41bは、ポリエチレンライニング41aを局部的に除去したもので、図11中の横断面図における0〜90°の間に位置するように設けられている。模擬減肉部41cは、配管試験体41の断面積に対する面積比率が3%の減肉部で、同断面図における180°付近の位置に設けられている。模擬減肉部41dは、配管試験体41の断面積に対する面積比率が5%の減肉部で、同断面図における270°付近の位置に設けられている(各減肉部41c,41dではポリエチレンライニングも除去されている)。
このような配管試験体41に対して、まず、ガイド波センサ3を配管41の横断面図における30°の位置に設置し、ガイド波8を送信した結果を図12に示す。この場合には、図12に示すように、剥離41b、減肉41dが検出できることが分かる。次に、ガイド波センサ3を配管41の横断面図における120°の位置に設置し、ガイド波8を送信した結果を図13に示す。この場合には、ガイド波センサ3の正面になる減肉や剥離がないため、信号レベルが低い。次に、ガイド波センサ3を配管41の横断面図における210°の位置に設置し、ガイド波8を送信した結果を図14に示す。この場合には、剥離41b、減肉41c、減肉41dが検出できることが分かる。最後に、ガイド波センサ3を配管41の横断面図における300°の位置に設置し、ガイド波8を送信した結果を図14に示す。この場合には、減肉41dが検出できることが分かる。
このように、本実施の形態の非破壊検査装置によれば、ガイド波センサ3を設置する箇所を配管41の周方向に沿って変更する手順を行うことによって、配管41の全周における欠陥位置を確認することができる。また、本実施の形態によれば、円周方向ガイド波8bを抑制することができるので、各信号のSN比は欠陥の検出に充分であり、細かい欠陥も検出することができる。
なお、図12から図15に示したように、本実施の形態のガイド波センサ3の周方向長さは、配管41の周の4分の1以上に亘っており、上記のように90°ずつ設置箇所を変更した場合、先に取り付けた箇所と重なり部分ができるようになっている。このように重なり部分ができるように取り付け箇所を選定すると、ガイド波センサ3の両端部で発生しがちな検査漏れを防止することができる。
次に本実施の形態の非破壊検査装置の効果を比較例を参照しながら説明する。
本実施の形態の非破壊検査装置の比較例としては、複数の超音波探触子を配管全周にわたって配置した第1探触子群、第2探触子群及び第3探触子群を有しており、配管の一方向にガイド波を送信するためにこれらの探触子群を検査対象である配管の軸方向に並べて配置した非破壊検査装置がある(特許文献1等参照)。しかしながら、この検査装置は、複数の探触子を配管全周に渡って配置して形成した探触子群を用いて検査を行うので、検査対象である配管の口径が大きくなるにつれて探触子群のサイズもまた大きくなってしまう。また、検査対象の配管の口径が変われば、それに合わせた大きさの探触子群を別途用意する必要が生じることがある。
これに対して、本実施の形態の非破壊検査装置は、周方向ガイド波8bのうち波長の最も短いガイド波の波長(λ1)未満の配置間隔Dcで複数の探触子1a〜1dを配管9の周方向の一部に配列して形成された第1探触子列1、及び、複数の探触子2a〜2dを配置間隔Dcで配管9の周方向の一部に配列して形成され、第1探触子列1から配管9の軸方向に配置間隔Daを介して設けられた第2探触子列2を有するガイド波センサ3と、第1探触子列1と第2探触子列2からガイド波が送信される時刻が、軸方向ガイド波8aが配置間隔Da分の距離を伝搬するために要する時間(Td)だけずれるように、第1探触子列1と第2探触子列2に送信信号を印加するガイド波送受信器4を備えている。
このように構成された非破壊検査装置によれば、第1探触子列1からガイド波が送信される時刻と第2探触子列2からガイド波が送信される時刻がTdだけずれているので、ガイド波の反射波の振幅を増幅することができるとともに、探触子1a〜1d,2a〜2dの周方向の間隔Dcが周方向ガイド波8bの波長未満になっているので、周方向ガイド波8bによるノイズを低減することができる。これにより、ノイズの少ない反射波を受信することができるので、周方向の一部にガイド波センサ3を設けた場合にも充分な非破壊検査を行うことができる。このように、本実施の形態によれば、円筒部材の周方向の一部に設置した探触子列で欠陥を測定できるので、円筒部材の口径に依存しない非破壊検査を実施することができる。また、本実施の形態によれば、ガイド波センサを従来より小型化できるので、従来よりも容易に検査することができる。
また、上記の構成において、探触子1a〜1d,2a〜2dの周方向の配置間隔Dcを最短波長λ1の半分に近づくように設定すれば、図8(b)に示すように周方向ガイド波8bをさらに抑制することができるので、より小さい欠陥も検出することができる。
さらに、上記の構成に対して、ガイド波センサ3から送信されるガイド波の強度を調整する強度調整部を加えれば、配管9の周方向の端部に近い探触子から送信されるガイド波ほど強度を弱くすることにより、図8(c)に示すように周方向ガイド波8bの影響をさらに小さくすることができるので、より一層小さい欠陥も検出することができる。
なお、上記では、第1探触子列1と第2探触子列2によってガイド波の送信と受信を行う構成について説明したが、第1探触子列1と第2探触子列2を送信専用にし、受信専用の探触子列(第3探触子列、第4探触子列)を他に設けてガイド波センサを構成しても良い。具体的には、第1探触子列1と第2探触子列2における周方向配置間隔Dcと軸方向配置間隔Daを同様に適用して、第1探触子列1から送信されたガイド波を受信する第3探触子列と、第2探触子列2から送信されたガイド波を受信する第4探触子列を設けることが好ましい。このようにガイド波の受信と送信を個別の探触子列で行うと、ガイド波の残響による影響が低減されるので、ガイド波の送受信を同じ探触子列で行う場合と比較して、ガイド波センサに近い欠陥を検出することができる。
次に、ガイド波センサの他の構成について図16と図17を用いて説明する。下記で説明するガイド波センサ3Aは、支持ロープ13で固定されたガイド波センサ3に対して、円筒部材への固定方法が異なっている。
図16(a)はガイド波センサの変形例の上面図、図16(b)はガイド波センサの変形例の立面図、図17は図16に示したガイド波センサが円筒部材に設置された状態を示す説明図である。
これらの図に示すガイド波センサ3Aは、エアシリンダ52、探触子支持材53a,53b、ブラケット54、吸着パッド51を備えている。
エアシリンダ52のロッドの先端には探触子が取り付けられている。エアシリンダ52によって各探触子は円筒部材の外周面に押し付けられるように付勢されている。
探触子支持材53a,53bは、エアシリンダ52を固定支持し、探触子を支持するものである。各探触子支持材53a,53bは、円筒部材の軸方向に配置される2つのエアシリンダ52を支持しており、その2つのエアシリンダ52には、第1探触子列1と第2探触子列2を構成する探触子がそれぞれ取り付けられている。また、探触子支持材53aと探触子支持材53bは、探触子の配置方向(円筒部材の周方向)に沿うように隣り合って配列される部材であり、探触子列の配置方向(円筒部材の軸方向)から挿入されるピン(軸)55によって互いに揺動自在に連結されている。探触子列の配置方向におけるシリンダ支持部材53aの両側面には、ブラケット54を介して吸着パッド51が取り付けられている。吸着パッド51は、円筒部材の外周面と接触してガイド波センサ3Aを固定するものである。
このように構成されるガイド波センサ3Aは、図17に示すように、探触子支持材53a,53b、ピン55、及び吸着パッド51等によって構成されるエア吸着機構により、検査対象(円筒部材)の口径に適した姿勢で各探触子を固定する。このように構成したガイド波センサ3Aによれば、ガイド波センサ3Aを任意の口径の円筒部材に取り付けることができるので、検査をさらに容易にすることができる。
なお、上記の場合では、探触子支持材53を円筒部材に固定するものとして、吸着パッド51を利用する場合について説明したが、検査対象が磁性体である場合には、吸着パッド41の替わりに磁石(図示せず)を取り付けた磁石吸着機構を利用しても良い。
次に本発明の第2の実施の形態を図18を用いて説明する。本実施の形態は、ガイド波センサ3をタンクの探傷検査に用いた例である。
図18は、本発明の第2の実施の形態に係る非破壊検査方法の説明図である。
この図において、ガイド波センサ3は円筒状のタンク61に取り付けられており、タンク61は上端部61aと減肉部(欠陥)61bを有している。タンク61のように、ガイド波センサ3に対して外周が巨大な構造物を対象に検査を実施する場合には、第1の実施の形態で説明したようなガイド波センサ3の設置箇所を円筒部材の周方向に沿って変更する手順を実施するには手間がかかる。そのため、タンク61を検査する場合には、下記のような手順で行うことが好ましい。
すなわち、本実施の形態では、図中のガイド波8cやガイド波8dのように、円筒部材の軸方向に対して角度をつけてガイド波を送信して検査を実施するものとする。このように円筒部材の軸方向に対して任意に設定した角度(以下、設定角度)でガイド波を送信するためには、ガイド波送受信器4によって、各探触子列における周方向の一方側端部の探触子から他方側端部の探触子に向かって所定の間隔で送信信号を印加すれば良い。例えば、ガイド波8cのように図中の左方向に伝搬するガイド波を第1探触子列1から送信させるには、まず、図中の右端に位置する探触子1dからガイド波を送信した後に、所定の間隔をあけて左隣りの探触子1cからガイド波を送信する。これ以後は、探触子1dと探触子1cに送信信号を印加したときと同じ間隔で、探触子1b、探触子1aの順にガイド波を送信する。また、ガイド波8dのように図中の右方向に伝搬するガイド波を送信させるには、図中の左端に位置する探触子1aから右端の探触子1dに向かってガイド波を送信させれば良い。なお、ガイド波が伝搬する角度は、各探触子に送信信号を印加する間隔によって決定される。これは第2探触子列2においても同様である。
実際の検査では、ガイド波センサ3に対して、欠陥(減肉等)がどの方向に存在するかは不明であるため、ガイド波送受信器4を用いて各探触子1a〜1d,2a〜2dに送信信号を印加する間隔を制御し、ガイド波が伝搬する角度を数度ピッチで切り替えて受信信号を得る。そして、このようにして得た受信信号を表示装置7に映像信号として表示する。図中の表示装置7の表示画面には、上端部61aが像62aとして、減肉部61bが像62bとして表示されている。
より具体的には、第1探触子列1から任意の設定角度θでガイド波が送信される時刻と、第1探触子列1からタンク61の軸方向に間隔(Da)を介して取り付けられた第2探触子列2から設定角度θでガイド波が送信される時刻とが、設定角度θで送信されるガイド波が第1探触子列1と第2探触子列2の間を通過する際に要する時間(遅延時間)だけずれるように、第1探触子列1と第2探触子列2からガイド波を送信する。そして、第1の実施の形態で説明したように、受信信号のノイズを低減するために、複数の探触子の円筒部材の周方向における配列間隔を変更したり、周方向の両端部のいくつかの探触子が送信するガイド波の強度調整をする等して、設定角度θと直交する方向に伝搬するガイド波を低減する処理を行えば良い。
以上、説明したように、本実施の形態の非破壊検査装置によれば、タンクのような大型の構造物に対してもガイド波センサ3を利用して非破壊検査が実施できるので、大型円筒構造物の検査にかかる費用と手間を大幅に削減することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る非破壊検査装置の構成図。 図1中のガイド波センサ3の構造図。 図1中のガイド波送受信器4の構成図。 本発明の第1の実施の形態に係る非破壊検査装置による検査のフローチャート。 探触子1a〜1d,2a〜2dに印加される送信信号を示す図。 探触子1a〜1d,2a〜2dに印加される送信信号を示す図。 探触子列1,2によって受信された受信信号の波形データと、それを補正、合成処理した波形データの図。 軸方向ガイド波と周方向ガイド波の振幅を示す図。 探触子列の探触子に印加される電圧を示す図。 周方向の探触子数をパラメータにし、重み付け送受信を実施した場合と実施しない場合の周方向ガイド波の抑制効果の比較図。 本発明の第1の実施の形態の確認試験に用いた配管試験体の説明図。 図11に示した配管試験体の第1の試験結果を示す図。 図11に示した配管試験体の第2の試験結果を示す図。 図11に示した配管試験体の第3の試験結果を示す図。 図11に示した配管試験体の第4の試験結果を示す図。 本発明の第1の実施の形態に用いる他のガイド波センサの構成図。 図16に示したガイド波センサの設置状態を示す図。 本発明の第2の実施の形態に係る非破壊検査方法の説明図。
符号の説明
1 第1超音波探触子列
1a〜1d 超音波探触子
2 第2超音波探触子列
2a〜2d 超音波探触子
3 ガイド波センサ
4 ガイド波送受信器
5 A/D変換器
6a 中央制御部
6b 信号処理部
7 表示装置
8 ガイド波
8b 周方向ガイド波
9 配管
9a 管端
9b 欠陥
11 シリンダ
12 支持部材
Dc 周方向配置間隔
Da 軸方向配置間隔
Td 遅延時間
λ1 周方向ガイド波の最短波長
52 エアシリンダ
53 シリンダ支持部
54 ブラケット
55 吸着パッド
61 タンク
61a タンク上端部
62b 減肉部

Claims (14)

  1. ガイド波で円筒部材の欠陥を検査する非破壊検査装置において、
    複数の超音波探触子を前記円筒部材の周方向の一部に所定の間隔を介して配列して形成された第1超音波探触子列と、
    複数の超音波探触子を前記円筒部材の周方向の一部に所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して設けられた第2超音波探触子列と、
    前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列に含まれる前記複数の超音波探触子に送信信号を印加するタイミングを制御することで、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列から送信されるガイド波の伝搬角度を制御するガイド波送信部とを備え、
    前記ガイド波送信部は、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列からガイド波が送信される時刻が前記円筒部材の軸方向における前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の距離をガイド波が伝搬するために要する時間だけずれるように、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列に送信信号を印加し、
    前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とは、それぞれ、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波とは波長の異なる前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満であることを特徴とする非破壊検査装置。
  2. 請求項1記載の非破壊検査装置において、
    前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とは、それぞれ、前記波長の最も短いガイド波の波長の半分に近づくように設定されていることを特徴とする非破壊検査装置。
  3. 請求項1又は2記載の非破壊検査装置において、
    前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列における前記複数の超音波探触子のうち前記円筒部材の周方向の両端部分に配置された少なくとも1つの超音波探触子から送信されるガイド波の強度が、前記円筒部材の周方向の端部に近い探触子から送信されるものほど弱くなるように、前記複数の超音波探触子から送信されるガイド波の強度を調整する強度調整部をさらに備えることを特徴とする非破壊検査装置。
  4. 請求項3記載の非破壊検査装置において、
    前記強度調整部は、前記複数の超音波探触子の前記円筒部材の周方向における配置位置に応じて、前記円筒部材の外周面に対して前記複数の超音波探触子を押し付ける力を調整する付勢力調整機構であることを特徴とする非破壊検査装置。
  5. 請求項3記載の非破壊検査装置において、
    前記強度調整部は、前記複数の超音波探触子の前記円筒部材の周方向における配置位置に応じて、前記複数の超音波探触子に作用する負荷インピーダンスを調整する負荷インピーダンス調整機構であることを特徴とする非破壊検査装置。
  6. 請求項1記載の非破壊検査装置において、
    前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列における前記複数の超音波探触子は、磁石吸着機構を介して前記円筒部材に固定されていることを特徴とする非破壊検査装置。
  7. 請求項1記載の非破壊検査装置において、
    前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列における前記複数の超音波探触子は、エア吸着機構を介して前記円筒部材に固定されていることを特徴とする非破壊検査装置。
  8. 請求項1記載の非破壊検査装置において、
    前記第1超音波探触子列又は前記第2超音波探触子列の前記複数の超音波探触子は、前記円筒部材の周方向に複数配列された支持部材に固定されており、
    この支持部材は、前記円筒部材の周方向に隣接する支持部同士が軸を介して揺動自在に連結されていることを特徴とする非破壊検査装置。
  9. 請求項1記載の非破壊検査装置において、
    複数の超音波探触子を前記円筒部材の周方向の一部に所定の間隔を介して配列して形成された第3超音波探触子列と、
    複数の超音波探触子を前記円筒部材の周方向の一部に所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の前記円筒部材の軸方向における間隔の分だけ前記第3超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して設けられた第4超音波探触子列とをさらに有し、
    前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列によってガイド波を送信し、前記第3超音波探触子列と前記第4超音波探触子列によってガイド波を受信し、
    前記第3超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第4超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とは、それぞれ、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波とは波長の異なる前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満であることを特徴とする非破壊検査装置。
  10. ガイド波で円筒部材の欠陥を検査する非破壊検査方法において、
    前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成された第1超音波探触子列からガイド波が送信される時刻と、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して取り付けられた第2超音波探触子列からガイド波が送信される時刻とが、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波が前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の間を通過する際に要する時間分だけずれるように、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列からガイド波を送信する手順と、
    前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列から送信されたガイド波を受信する手順と、
    受信した受信信号を処理して検査情報を生成する手順と、
    前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波によるノイズが低減するように、前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とを、それぞれ、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波とは波長の異なる前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満に調整する手順とを備えることを特徴とする非破壊検査方法。
  11. 請求項10記載の非破壊検査方法において、
    前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とは、それぞれ、前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち最も短いガイド波の波長の半分以上であり、前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満であることを特徴とする非破壊検査方法。
  12. ガイド波で円筒部材の欠陥を検査する非破壊検査方法において、
    前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成された第1超音波探触子列からガイド波が送信される時刻と、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して取り付けられた第2超音波探触子列からガイド波が送信される時刻とが、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波が前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の間を通過する際に要する時間分だけずれるように、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列からガイド波を送信する手順と、
    前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列から送信されたガイド波を受信する手順と、
    受信した受信信号を処理して検査情報を生成する手順と、
    前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波によるノイズが低減するように、前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とを、それぞれ、前記円筒部材の軸方向に伝搬するガイド波とは波長の異なる前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満に調整する手順と、
    前記円筒部材の周方向に伝搬するガイド波によるノイズを低減させるために、前記第1超音波探触子列及び前記第2超音波探触子列から送信されるガイド波の強度が前記円筒部材の周方向の端部に配置されたものほど減少するように、前記第1超音波探触子列及び前記第2超音波探触子列から送信されるガイド波の強度を調整する手順とを備えることを特徴とする非破壊検査方法。
  13. ガイド波で円筒部材の欠陥を検査する非破壊検査方法において、
    前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成された第1超音波探触子列から任意の設定角度でガイド波が送信される時刻と、前記円筒部材の周方向の一部に複数の超音波探触子を所定の間隔を介して配列して形成され、前記第1超音波探触子列から前記円筒部材の軸方向に間隔を介して取り付けられた第2超音波探触子列から前記設定角度でガイド波が送信される時刻とが、前記設定角度で送信されるガイド波が前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列の間を通過する際に要する時間分だけずれるように、前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列からガイド波を送信する手順と、
    前記第1超音波探触子列と前記第2超音波探触子列から送信されたガイド波を受信する手順と、
    受信した受信信号を処理して検査情報を生成する手順と、
    前記設定角度と直交する方向に前記円筒部材を伝搬するガイド波によるノイズが低減するように、前記第1超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離と、前記第2超音波探触子列における隣接する各超音波探触子の前記円筒部材の周方向における中心間距離とを、前記設定角度と直交する方向に前記円筒部材を伝搬するガイド波のうち波長の最も短いガイド波の波長未満に調整する手順とを備えることを特徴とする非破壊検査方法。
  14. 請求項10から13いずれか記載の非破壊検査方法において、
    前記円筒部材に対して前記ガイド波センサを設置する箇所を前記円筒部材の周方向に沿って変更する手順をさらに備えることを特徴とする非破壊検査方法。
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