以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の各実施の形態においては、本発明の入力装置の一例として、携帯電話やPDAなどのような携帯端末であってタッチパネルを備えているものを想定して説明する。しかしながら、本発明の入力装置は、これらの携帯端末に限定されるものではなく、例えば、デジタルカメラ、ポータブルオーディオプレーヤ、ノートPC、ミニノートPCなどの、入力装置を備える種々の端末とすることができる。また、本発明の入力装置は、携帯端末に限定されるものでもなく、銀行のATMや駅の乗車券販売機など、入力装置を備える任意の端末とすることもできる。さらに、本発明の入力装置は、後述するように、タッチパネルを有する端末に限定されるものでもない。本発明は、操作者の操作入力を受け付けるタッチパネルまたは押しボタン(あるいはキー)などのスイッチと、そのスイッチにかかる押圧面積を検出できる機能を有するものであれば、任意の入力装置に適用することができる。
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る入力装置10の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図1に示すように、入力装置10は、制御部20と、タッチパネル30と、面積検出部40と、振動部50と、記憶部60と、音声出力部70と、を備えている。
制御部20は、携帯端末10の各機能ブロックをはじめとして携帯端末10の全体を制御および管理する。なお、この制御部20は、面積検出部40が検出する押圧面積の時間的な変化率を演算処理により算出する面積変化率算出部22を備えている。
本実施の形態では、タッチパネル30は、表示部32と、入力部34とを備えている。このタッチパネル30は、操作者の入力を受け付ける入力部34を、表示部32の前面に重畳させて配設することにより構成する。
タッチパネル30の表示部32は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)または有機ELディスプレイなどで構成する。この表示部32は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、入力部34への操作者の操作入力を受け付ける各種キーやボタンなどで構成するユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。以下、このように、タッチパネル30の入力部34に対する操作者の操作入力を受け付けるために、操作者が目視により認識できるように表示部32に表示する各種キーやボタンなどの画像を、単に「オブジェクト」と記す。表示部32をタッチパネル30のユーザインタフェースとして使用する場合、この表示部32には、キーまたは押しボタンやスライドレバー等の、操作関連のオブジェクトを表示する。
また、この表示部32の前面には、操作者の指やスタイラスペンなどによる入力を受け付けるマトリクススイッチ等で構成した入力部34を配設する。この入力部34は、操作者の指先などの接触(押圧)による入力を検知する(受け付ける)ことにより、当該接触(押圧)による入力が検知された位置に対応する信号を出力する。このような構成により、タッチパネル30は、操作者からの操作入力を受け付けると共に、各アプリケーションに応じて入力結果など各種情報の表示を行うことができる。
面積検出部40は、タッチパネル30(または入力部34)に対する押圧面積を検出するもので、例えば、マトリクススイッチで構成する。この面積検出部40は、操作者が操作入力を行う際の押圧による入力の押圧面積を検出する。例えば、操作者が指を使って押圧入力を行った場合、タッチパネル30(または入力部34)と指との接触面の面積を押圧面積として検出する。押圧面積検出部40は必ずしも、正確な押圧面積の数値を検出する必要はない。例えば、時間経過と共に押圧面積がどのように変化していくのか検出できればよく、マトリクススイッチにより、検出される入力が始めは1点のみであったのが、2点、3点と円環状に内側から外側へと順次検出されていくことにより押圧面積が増加していると、分かるものであれば良い。
このように、本願では、操作者が押圧入力をする際に使用する指やスタイラスペンなどの物体と、タッチパネル30(または入力部34)とが接触した面の面積を「押圧面積」と称する。
なお、入力部32および面積検出部40を、マトリクススイッチを用いて構成する場合は、マトリクススイッチを共用して、入力部32および面積検出部40を構成することができる。
振動部50は、タッチパネル30(または入力部34)に振動を伝えるもので、例えば、圧電素子または超音波振動子などを用いて構成する。この振動部50が振動することにより、入力部34を押圧している操作者の指などに対して振動を伝えることができる。この振動により、操作者の所定の入力がタッチパネル30に対して行われた際に、当該所定の入力が正常に受け付けられたことを操作者に報知することができる。したがって、本実施の形態では、振動部50が報知情報発生部を構成する。なお、報知情報発生部である振動部50が振動を発生することにより、ユーザに報知することができる所定の情報(振動による合図など)を、以下、「報知情報」と称する。
記憶部60は、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。特に、本実施の形態では、記憶部60は、面積検出部40が検出する操作者による押圧入力の押圧面積や、面積変化率算出部22が算出する押圧面積の時間的な変化率などを、制御部20が処理するために一時的に保持する。
以上のような構成により、面積検出部40が検出する押圧面積に段階的な閾値を設定すれば、入力装置10は、操作者による操作入力の押圧面積に応じて、複数段階の入力を受け付けることができる。
音声出力部70は、ブザーやスピーカなどで構成し、制御部20の制御により、操作者が聴覚により認識できるような音を発生する。すなわち、音声出力部70は、所定の音などを出力することにより、入力部34を押圧している操作者に対して、音による情報を伝えることができる。この音声出力部70から出力する音を、上述した振動部50が発生する振動の報知情報の代わりに、あるいは当該報知情報とともに用いることもできる。振動
とともに音も発生させることにより、操作者の所定の入力がタッチパネル30に対して行われた際に、当該所定の入力が正常に受け付けられたことを、一層確実に操作者に報知することができる。
図2(A)は、図1に示した入力装置10のタッチパネル30、面積検出部40、および振動部50の実装構造の一例を示す図である。なお、図2(A)は、入力装置10の要部断面図を示す。
図2(A)においては、操作者が、表示部32に表示されたボタンなどのオブジェクトの表示を押圧する際に、表示部32における当該オブジェクトの表示位置に対応する位置の入力部34を、指で押圧している様子を表している。入力部34は、操作者の指による入力の押圧を検出することにより、当該入力の押圧位置を検出する。また、面積検出部40は、操作者が入力部34を押圧している指と入力部34との接触面の面積を検出する。このため、面積検出部40は、入力部34にかかる押圧力に基づく押圧面積を伝達するように、入力部34の背面に配置する。振動部50は、面積検出部40が検出した押圧面積に基づいて、適切なタイミングで操作者の指に振動を与える。このため、振動部50は、入力部34に振動を伝達できるように、例えば入力部34に接触するように配置する。振動部50が発生する振動は、制御部20が、面積検出部40により検出された押圧面積に基づいて制御する。この際、制御部20が行う制御については後述する。
なお、上述したように、本実施の形態に係る入力装置は、タッチパネルを有するものに限定されない。図2(B)は、タッチパネルを用いずに構成した本実施の形態に係る入力装置10の実装構造の一例を示す図である。なお、図2(B)は、タッチパネルを用いない場合の入力装置10の要部断面図を示す。
図2(B)においては、入力装置10は、タッチパネルを用いないため表示部32が存在せず、入力結果などの情報を表示する必要がある場合には、表示部を別に設ける。したがって、図2(B)に示す入力装置10においては、操作者は、表示部に表示されたオブジェクトに対して押圧による入力(押圧入力)をするのではなく、物理的に存在するボタンまたはキーに対して押圧入力を行う。このように、入力部34を用いない構成においては、面積検出部40が入力部34を兼ねるものとすることができる。すなわち、この場合、面積検出部40が押圧面積を検出していれば入力部34に対する入力がオンであるとして扱い、また面積検出部40が押圧面積を検出していなければ入力部34に対する入力がオフであるとして扱うことができる。
図2(B)に示す例では、入力装置10の筐体(ベース部材)の凹部に面積検出部40を設置して、面積検出部40の上に振動部50を配置している。したがって、振動部50の上側表面は、操作者の押圧入力を直接受け付けることができ、面積検出部40は、振動部50が受け付ける押圧入力の押圧面積を検出する。また、振動部50は、面積検出部40が検出した押圧面積に基づいて、適切なタイミングで操作者の指に直接振動を与える。この場合、振動部50の上側表面はボタンまたはキーなどと同様の働きをするため、操作者の押圧入力を受け付ける振動部50の形状は、ボタンのキートップの形状とし、そのキートップに当該ボタンの機能などを明記することにより、当該機能を示すことができる。
なお、本実施の形態において、タッチパネルを用いない入力装置10の構造は、図2(B)に示したような構造に限定されるものではない。本実施の形態においては、入力装置10の入力に係る機能部としては、少なくとも、操作者の押圧による入力の押圧面積を検出する面積検出部40と、操作者に振動による報知情報を発生する報知情報発生部としての振動部50と、があればよい。したがって、例えば、従来のメカスイッチに面積検出部40および振動部50を付加することにより、あるいはこれらの機能を有する従来のスイッチを用いることにより、本発明の入力装置の入力に係る機能部を構成することもできる。
次に、本実施の形態に係る入力装置10による入力受付処理について説明する。図3は、本実施の形態に係る入力装置10による入力受付処理の流れを説明するフローチャートである。なお、本実施の形態において、入力装置10を用いた入力受付処理を行うに際し、この入力装置10の操作者は、入力装置10が押圧面積に応じて少なくとも2段階の複数段階の入力を受け付ける入力装置であることを認識しているものとする。
入力装置10において、制御部20は、入力部34に対して操作者の押圧入力がなされたことにより、面積検出部40が押圧面積を検出したか否かを監視している。入力装置10による入力受付処理は、面積検出部40が押圧面積を検出した時点から開始する。入力装置10による入力受付処理が開始すると、制御部20は、操作者の押圧入力による押圧面積が増すことにより、面積検出部40が、第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準を満たす押圧面積を検出したか否かを判定する(ステップS11)。
なお、第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準とは、基準となる所定の押圧面積の閾値である。この閾値を超える押圧面積を面積検出部40が検出した場合、制御部20は、入力装置10において規定された第1段階の入力が受け付けられたものとして処理する。また、この第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準は、予め設定された所定の押圧面積を閾値とするが、後から操作者の好みに応じて変更できるようにしてもよい。
ステップS11において、第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準を満たす押圧面積が検出されない場合は待ち状態となる。一方、ステップS11において第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準を満たす押圧面積が検出された場合、制御部20は、報知情報発生部が所定の報知情報を発生するように制御する(ステップS12)。すなわち、本実施の形態においては、制御部20は、振動部50が所定の態様の振動を発生するように制御する。振動部50が振動を発生させる際、制御部20は、予め記憶部60に記憶してある波形などの情報を読み出すことにより、振動部50が発生する振動の態様を制御する。これにより、操作者は、振動が発生した時点で、第1段階の入力が入力装置10に正常に受け付けられたことを認識することができる。
また、このような処理とともに、制御部20は、第1段階の入力を受け付けたことに応じて、入力装置10において規定された第1段階の入力に対応する動作を行うように処理を行う(ステップS13)。例えば、入力装置10がカメラのシャッターボタンに適用されている場合、ステップS13の処理は、入力装置10が「半押し」された場合の動作、すなわちAEやAFを調整する機能をオンにする動作を行うことに相当する。
図4は、面積検出部40によって検出される、操作者の押圧入力の押圧面積が変化する様子を表したグラフである。X軸方向は時間の推移を表し、Y軸方向は面積検出部40が検出する押圧面積を表す。図4(A)において、操作者がタッチパネル30の入力部34に触れた時点がP0であり、そのときの押圧面積がAr0であることを示している。この後、操作者が入力する押圧力を増大させたため、面積検出部40が検出する押圧面積は徐々増大し、ある時点P1において、第1段階の入力を受け付けるべく予め定めた第1の面積基準Ar1に達した様子を表している。
この時、振動の発生により第1段階の入力が正常に受け付けられたことを認識した操作者は、一気に第2段階の入力まで行われないようにしようとする意識が働くため、入力を行う押圧力を維持する(つまり押圧力の増大を抑制する)動作を行う。ここで、第1段階の入力が正常に受け付けられたことは、振動の発生により、どのような操作者であっても認識できる。しかしながら、第1段階の入力が受け付けられたと操作者が認識した後、その入力の押圧力を維持する際の押圧力は、操作者によってかなりの個人差がある。
例えば、図4(A)に示す押圧面積のグラフにおいては、押圧面積がAr1に達したP1の時点からも、操作者は押圧力を抑制させずにそのまま増大させてから、Psの時点で押圧力を(増大させずに)維持させている。普段からボタンなどを強く押圧する傾向のある操作者の場合、第1段階の入力が受け付けられて振動部50による振動が発生してすぐに押圧力を維持させたつもりでも、比較的大きな押圧力で押圧入力を維持することが想定される。
一方、図4(B)に示す押圧面積のグラフにおいては、操作者は、押圧面積がAr1に達したP1の時点から比較的すぐに押圧力の増大を抑制し、Psの時点で押圧力を維持させている。普段からボタンなどを弱く押圧する傾向のある操作者の場合、第1段階の入力が受け付けられて振動部50による振動が発生すると、すぐに押圧力を維持させることが想定される。
図4(A)に示すPsの時点における押圧面積Arsと、図4(B)に示すPsの時点における押圧面積Arsとを比較すると、図4(B)の押圧面積Arsの方がかなり小さな値であることがわかる。このように、第1段階の入力が受け付けられたと認識した後、操作者がその入力の押圧力を維持する際の押圧力は、かなり個人差があることがわかる。また、同じ操作者においても、操作の度に、第1段階の入力の押圧力を維持する際の押圧力は変動することが想定される。
そこで、本実施の形態では、第1段階の入力が受け付けられたと操作者が認識した後、操作者が入力の押圧力を維持する時点Psにおける押圧面積Arsを基準として、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2を設定する。すなわち、制御部20は、第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準を満たす押圧面積Ar1を面積検出部40が検出する毎に、第1の面積基準が満たされた後に面積検出部40が検出する押圧面積Arsに基づいて、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2を設定する。この時、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2は、第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準Ar1より大なる値とする。
このような処理を行うために、制御部20は、操作者が入力の押圧力を維持する時点Psにおける押圧面積Arsの決定を行う(ステップS14)。本実施の形態において、面積変化率算出部22は、面積検出部40が検出する押圧面積の時間的な変化率を算出する。そこで、面積検出部40が第1の面積基準を満たす押圧面積を検出した後であるステップS14において、制御部20は、面積変化率算出部22が算出する押圧面積の変化率が最初に所定値以下に減少した際の押圧面積を、押圧面積Arsとして決定する。したがって、制御部20は、面積検出部40が第1の面積基準を満たす押圧面積Ar1を検出した後、面積変化率算出部22が算出する押圧面積の変化率が最初に所定値以下に減少した際の押圧面積Arsに基づいて、第2の面積基準Ar2を設定する。
ここで、押圧面積の変化率が所定値以下に減少する場合の「所定値」とは、例えばゼロに近い小さな値などにして、操作者が入力の押圧力の増大を抑制して押圧力を維持している時点Psを特定できるようにするのが好適である。なお、図4のグラフに示した曲線の接線の傾きは、面積検出部40が検出する押圧面積の時間的な変化率を表している。したがって、本実施の形態では、図4において、面積検出部40が押圧面積Ar1を検出した時点P1の後、最初にグラフの接線の傾きがゼロに近くなる、すなわちY軸とほぼ平行になるような時点Psにおける押圧面積を押圧面積Arsとして決定する。
ステップS14において、押圧面積Arsが決定されたら、制御部20は、押圧面積Arsに所定の加算幅の値を加えたものを、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2として設定する(ステップS15)。このようにして設定された第2の面積基準Ar2は、図4(A)および(B)を対比すれば明らかなように、同じ加算幅の値を付加しても、操作者が入力の押圧力を維持した時点Psにおける押圧面積Arsに応じて異なるものになる。
この後、制御部20は、操作者の押圧入力による押圧面積が増すことにより、面積検出部40が、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準を満たす押圧面積を検出したか否かを判定する(ステップS16)。
第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準とは、上述の処理により設定した所定の押圧面積の閾値である。このように第2の面積基準が設定された後、この閾値を超える押圧面積を面積検出部40が検出した場合、制御部20は、入力装置10において規定された第2段階の入力が受け付けられたものとして処理する。
ステップS16において、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準を満たす押圧面積が検出されない場合は待ち状態となる。一方、ステップS16において第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準を満たす押圧面積が検出された場合、制御部20は、報知情報発生部が所定の報知情報を発生するように制御する(ステップS17)。すなわち、制御部20は、振動部50が所定の態様の振動を発生するように制御する。これにより、操作者は、振動が発生した時点で、第2段階の入力が入力装置10に正常に受け付けられたことを認識することができる。なお、この第2段階の入力を受け付けた際の報知情報は、上述した第1段階の入力を受け付けた際の報知情報と異なる態様の振動にすれば、操作者は入力の段階を容易に区別することができる。
また、このような処理とともに、制御部20は、第2段階の入力を受け付けたことに応じて、入力装置10において規定された第2段階の入力に対応する動作を行うように処理を行う(ステップS18)。例えば、入力装置10がカメラのシャッターボタンに適用されている場合、ステップS18の処理は、入力装置10が「全押し」された場合の動作、すなわちAE、AF機能が適切に動作した後にシャッターを切る動作を行うことに相当する。
このように、本実施の形態によれば、第1の面積基準が満たされた後の押圧面積に基づいて、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準を設定する。したがって、操作者が初めて入力装置10を操作する場合でも、押圧力の加減がわからずに、いきなり「全押し」をしてしまうリスクはない。また、複数の異なる操作者が同じ入力装置10を用いても、入力装置10が、それぞれの操作者の入力操作時の押圧力に順応して、適切な押圧面積の第2の面積基準を設定する。したがって、それぞれの操作者が入力装置10の要求する押圧面積に合わせて操作を行う必要はない。
また、本実施の形態の入力装置10は、操作者が一旦押圧力を維持する動作を行わないと(すなわちPsの時点における押圧面積Arsが決定されないと)、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準が設定されない。そのため、入力装置10は、第1段階の入力の処理を開始してから終了するまでに、すなわち第2段階の入力を受け付けるまでに、十分な時間を取ることが可能である。したがって、操作者がいきなり「全押し」の操作を行ったために、第1段階の入力に係る処理が正常に完了する前に第2段階の入力に係る処理が開始してしまう、という不都合を回避することもできる。
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係る入力装置について説明する。本発明の第2実施の
形態は、上述した第1実施の形態において、図3で説明したステップS14における押圧面積Arsの決定の仕方を変更する。それ以外の点については、第1実施の形態とほぼ同様に実施することができる。第2実施の形態に係る入力装置は、第1実施の形態で説明した入力装置10と同じ構成により実施することができ、制御部20(および面積変化率算出部22)の処理および動作が異なるものである。したがって、上述した第1実施の形態と同じ説明は適宜省略する。
第2実施の形態に係る入力装置10において、面積変化率算出部22は、面積検出部40が検出する押圧面積の時間的な変化率を算出することは、第1実施の形態と同じである。第2実施の形態においては、面積変化率算出部22はさらに、面積検出部40が押圧面積を検出してから第1の面積基準を満たす押圧面積を検出するまでの間における押圧面積の平均変化率を算出する。すなわち、面積変化率算出部22は、図4において、操作者の押圧入力による押圧面積Ar0を面積検出部40が検出した時点P0から、操作者が入力する押圧力を増大させて押圧面積が第1の面積基準Ar1に達した時点P1までの押圧面積の平均変化率を算出する。以上の処理が、図3におけるステップS11において行われる。
この後、ステップS12における報知情報の発生により、操作者は、ステップS13における第1段階の入力受付処理が行われることが認識できるため、入力を行う押圧力を維持しようとする(つまり押圧力の増大を抑制する)。
第2実施の形態では、このように、面積検出部40が第1の面積基準を満たす押圧面積Ar1を検出した後(つまりP1の後)、面積変化率算出部22は、所定期間の変化率を算出する。この「所定期間」とは、面積変化率算出部22が押圧力の時間的な変化率を算出するのに好適な、例えば0.1秒間隔などの期間を適当に規定する。操作者が入力を行う押圧力を維持しようとする時点Ps付近においては、面積変化率算出部22が算出する上述の所定期間における押圧面積の変化率は、P0の時点からP1の時点までの押圧面積の平均変化率に比べて、急激に減少する。
したがって、本実施の形態では、ステップS14において、制御部20が、上述した所定期間における押圧面積の減少する変化率と、面積変化率算出部22が算出した上述の平均変化率とを比較する。この比較の結果、制御部20は、上記所定期間における押圧面積の変化率が、上記平均変化率よりも所定値以上減少した際の押圧面積を、押圧面積Arsとして決定する。すなわち、本実施の形態では、図4において、P0の時点からP1の時点までのグラフの平均の傾きと比べて、その後の所定期間における曲線の接線の傾きが所定値以上に大きく減少した時点Psにおける押圧面積を押圧面積Arsとして決定する。
なお、この本実施の形態において「所定値」とは、あまり僅少な値を設定すると、操作者が入力を行う押圧力を維持しようとしていないにもかかわらず、その時点がPsと扱われて、その時点における押圧面積が押圧面積Arsとして決定されてしまう。したがって、この「所定値」は、ある程度の大きさを持つようにして、あまり僅少な値は設定しないようにする。
このように、本実施の形態においても、操作者が入力の押圧力を維持していると想定される時点Psにおける押圧面積Arsの決定を適切に行うため、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施の形態)
次に、本発明の第3実施の形態に係る入力装置について説明する。本発明の第3実施の形態は、上述した第2実施の形態同様に、第1実施の形態において、図3で説明したステップS14における押圧面積Arsの決定の仕方を変更する。第3実施の形態に係る入力装置は、第1実施の形態で説明した入力装置10と同じ構成により実施することができ、制御部20(および面積変化率算出部22)の動作が異なるものである。したがって、上述した第1および第2実施の形態と同じ説明は適宜省略する。
第3実施の形態に係る入力装置10においては、面積変化率算出部22は、面積検出部40が検出する押圧面積の時間的な変化率を所定期間毎に算出する。この「所定期間」は、操作者の入力による押圧面積が大きく変化した場合に、直前の所定期間と比較して当該変化を検出できるような、例えば0.2秒間隔などの期間を適当に規定する。
第3実施の形態では、図3のステップS11において、面積検出部40が第1の面積基準を満たす押圧面積Ar1を検出した後(つまりP1の後)、面積変化率算出部22は、所定期間毎の変化率を算出する。操作者が入力を行う押圧力を維持しようとする時点Ps付近においては、面積変化率算出部22が算出する上述の所定期間における押圧面積の変化率は、その直前の所定期間における押圧面積の変化率に比べて、急激に減少する。
したがって、本実施の形態では、ステップS14において、制御部20は、面積変化率算出部22が算出する第1の所定期間における押圧面積の変化率と、当該第1の所定期間の直前の第2の所定期間において面積変化率算出部22が算出した押圧面積の変化率とを比較する。この比較の結果、制御部20は、第1の所定期間の変化率が、第2の所定期間に比べて所定値以上減少した際の押圧面積を、押圧面積Arsとして決定する。すなわち、本実施の形態では、図4において、P1の時点以降の所定期間における曲線の接線の傾きが、その直前の所定期間における曲線の接線の傾きと比べて、所定値を超えて大きく減少した時点Psにおける押圧面積を押圧面積Arsとして決定する。
なお、この本実施の形態において「所定値」とは、あまり僅少な値を設定すると、操作者が入力を行う押圧力を維持しようとしていないにもかかわらず、その時点がPsと扱われて、その時点における押圧面積が押圧面積Arsとして決定されてしまう。したがって、この「所定値」は、ある程度の大きさを持つようにして、あまり僅少な値は設定しないようにする。
このように、本実施の形態においても、操作者が入力の押圧力を維持していると想定される時点Psにおける押圧面積Arsの決定を適切に行うため、上述した第1および第2実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第4実施の形態)
次に、本発明の第4実施の形態に係る入力装置について説明する。上述した第1〜第3実施の形態では、図4に示したように、面積検出部40が第1の面積基準を満たす押圧面積Ar1を検出した後(P1の後)、操作者が押圧力を維持しようとする時点Psにおける押圧面積Arsに基づいて、第2段階の入力を受け付ける押圧面積を設定した。本発明の第4実施の形態は、図5に示すように、Psの時点の後、操作者が入力を行う押圧力を維持しようとしていた状態から再び押圧力を増大させる時点Ps’における押圧面積Ars’に基づいて、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2’を設定する。それ以外の点については、第1〜第3実施の形態とほぼ同じように実施することができる。本実施の形態に係る入力装置は、第1〜第3実施の形態で説明した入力装置10と同じ構成により実施することができ、制御部20(および面積変化率算出部22)の動作が異なるものである。したがって、上述した各実施の形態と同じ説明は適宜省略する。
図5(A)に示すように、第1段階の入力がP1の時点で受け付けられたと操作者が認識した後、Psの時点から入力の押圧力を維持しようとしていても、以降の押圧面積が変動することも考えられる。これは、入力装置10に対して、いわゆる「半押し」の状態で押圧力を維持するためであり、操作者は一定の押圧力を維持したつもりであっても、実際には、その押圧力が徐々に逃げてしまうことも考えられる。
図5(A)に示す押圧面積のグラフでは、操作者はPsの時点から入力の押圧力を維持しているつもりであるが、その押圧力が徐々に逃げてしまい、面積検出部40が検出する押圧面積が徐々に減少している様子を示している。図5(A)においては、Psの時点で操作者が入力の押圧力を維持して第1段階の入力が受け付けられたと認識した後で、再び押圧力を増大させる時点Ps’までに(操作者が意図せずに)減少した押圧面積を、「変動幅」として示してある。
一方、図5(B)に示すように、第1段階の入力がP1の時点で受け付けられたと操作者が認識した後、Psの時点から入力の押圧力を維持しようとしていても、以降の押圧面積が徐々に増大することも考えられる。これは、操作者は一定の押圧力を維持したつもりであっても、実際には、その押圧力が意図せずに徐々に強まってしまうことも考えられるからである。
図5(B)に示す押圧面積のグラフでは、操作者はPsの時点から入力の押圧力を維持しているつもりであるが、その押圧力が徐々に強まってしまい、面積検出部40が検出する押圧面積が徐々に増大している様子を示している。図5(B)においては、Psの時点で操作者が入力の押圧力を維持して第1段階の入力が受け付けられたと認識した後で、再び押圧力を増大させる時点Ps’までに(操作者が意図せずに)増大した押圧面積を、「変動幅」として示してある。
このように、操作者の押圧力が意図せず徐々に弱まっている(または強まっている)場合、操作者は自らの押圧力を一定に維持しているという意識があると考えられる。そのため、このような場合に、押圧力の維持が開始されるPsの時点における押圧面積Arsに基づいて第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準を設定すると、この第2の面積基準は、操作者の予測に反して重く(または軽く)感じられる恐れがある。
すなわち、例えば、図5(A)のPsの時点における押圧面積Arsに基づいて第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準を設定すると、実際にはその後操作者の押圧力が若干弱まっているため、操作者にとって、第2の面積基準を満たす押圧面積は重く感じられる。一方、図5(B)のPsの時点における押圧面積Arsに基づいて第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準を設定すると、実際にはその後操作者の押圧力が若干強まっているため、操作者にとって、第2の面積基準を満たす押圧面積は軽く感じられる。あるいは、この場合、徐々に強まっている押圧力が、押圧面積Arsに基づいて設定された第2の面積基準に達してしまい、操作者の意図に反して第2段階の入力が受け付けられてしまう恐れもある。
したがって、本実施の形態では、操作者が押圧力の維持を開始する時点Psにおける押圧面積Arsではなく、操作者が押圧力を再び増大させる時点Ps’における押圧面積Ars’に基づいて、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2’を設定する。
第4実施の形態に係る入力装置10においては、面積変化率算出部22は、面積検出部40が検出する押圧面積の時間的な変化率を算出する。したがって、制御部20は、面積検出部40が第1の面積基準を満たす押圧面積Ar1を検出した後、面積変化率算出部22が算出する押圧面積の変化率に基づいて、押圧面積の維持が開始される時点Psの後で、押圧面積の増大が開始される時点Ps’を決定する。
すなわち、制御部20は、面積変化率算出部22が算出する押圧面積の変化率がPsの時点で一旦第1の所定値以下に減少(Ps)してから第2の所定値を超えて増大した際(Ps’)における押圧面積Ars’に基づいて、第2の面積基準Ars2’を設定する。ここで、上述の「第1の所定値」は、第1実施の形態で説明した、押圧面積の変化率が所定値以下に減少する場合の「所定値」と同様の技術的思想に基づいて設定する。また、「第2の所定値」は、操作者が押圧力を再び増大させて押圧面積が急激に変化する時点Ps’を適切に決定できるように、例えば図5(B)に示したPs〜Ps’間のように押圧面積が徐々に増大する際の変化率とは明確に区別できるような適当な値を設定する。
次に、本実施の形態に係る入力装置10による入力受付処理について説明する。図6は、本実施の形態に係る入力装置10による入力受付処理の流れを説明するフローチャートである。図6に示すフローチャートは、第1〜第3実施の形態にて説明した図3のフローチャートにおいて、ステップS14とステップS15との間に、新たにステップS21を挿入したものである。すなわち、ステップS14において、操作者が入力を行う押圧力を維持しようとしている時点Psにおける押圧面積Arsが決定されたら、次に、制御部20は、押圧面積Ars’が決定されたか否かを判定する(ステップS21)。
ステップS21において、押圧面積Ars’が決定されない場合は待ち状態となる。一方、ステップS21において押圧面積Ars’が決定された場合、制御部20は、ステップ15以降の処理を続行する。すなわち、ステップS21において、押圧面積Ars’が決定されたら、制御部20は、押圧面積Ars’に所定の加算幅の値を加えたものを、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2’として設定する(ステップS15)。以降の処理は、図3のフローチャートにて説明したものと同様になるため、説明を省略する。
このように、本実施の形態によれば、押圧力を再び増大させる時点Ps’における押圧面積Ars’に基づいて、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2’を設定する。このため、例えば図5(A)に示すように、操作者が押圧力の維持を開始したPsの時点から意図せずに押圧力を徐々に弱めてしまった場合でも、再び押圧力の増大を開始したPs’の時点の押圧面積Ars’に本来の加算幅を付加して第2の面積基準Ar2’とする。また、例えば図5(B)に示すように、操作者が押圧力の維持を開始したPsの時点から意図せずに押圧力を徐々に強まってしまった場合でも、再び押圧力の増大を開始したPs’の時点の押圧面積Ars’に本来の加算幅を付加して第2の面積基準Ar2’とする。そのため、これらのどちらの場合であっても、操作者がPsの時点から維持しているつもりでも実際には変動してしまった押圧力に基づいて、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2’が設定される。したがって、操作者は、自らの押圧力が意図せずに変動してしまった場合でも、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準が操作者の予測に反して重く(または軽く)感じられることはなくなり、違和感のない操作を行うことができる。
(第5実施の形態)
次に、本発明の第5実施の形態に係る入力装置について説明する。第5実施の形態に係る入力装置は、第4実施の形態で説明した入力装置10と同じ構成により実施することができ、制御部20(および面積変化率算出部22)の動作が異なるものである。したがって、上述した第4実施の形態と同じ説明は適宜省略する。
本発明の第5実施の形態は、上述した第4実施の形態と同様に、操作者が押圧力を再び増大させる時点Ps’における押圧面積Ars’に基づいて、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2’を設定する。第5実施の形態では、上述の第4実施の形態における押圧面積Ars’の決定の仕方を変更する。ここで、本実施の形態において押圧面積Ars’の決定の仕方を変更するに際しては、上述した第2実施の形態で第1実施の形態における押圧面積Arsの決定の仕方を変更したのと同様の手法により行う。
第5実施の形態に係る入力装置10において、面積変化率算出部22は、面積検出部40が検出する押圧面積の時間的な変化率を算出することは、第4実施の形態と同じである。第5実施の形態においては、面積変化率算出部22はさらに、面積検出部40が押圧面積を検出してから第1の面積基準を満たす押圧面積を検出するまでの間における押圧面積の平均変化率を算出する。すなわち、面積変化率算出部22は、図5において、操作者の押圧入力による押圧面積Ar0を面積検出部40が検出した時点P0から、操作者が入力する押圧力を増大させて押圧面積が第1の面積基準Ar1に達した時点P1までの押圧面積の平均変化率を算出する。以上の処理が、図6におけるステップS11において行われる。
この後、図6のステップS12における報知情報の発生により、操作者は、ステップS13における第1段階の入力受付処理が行われることが認識できるため、入力を行う押圧力を維持しようとする(つまり押圧力の増大を抑制する)。
第5実施の形態では、このように、面積検出部40が第1の面積基準を満たす押圧面積Ar1を検出した後(つまりP1の後)、面積変化率算出部22は、所定期間の変化率を算出する。この「所定期間」とは、面積変化率算出部22が押圧力の時間的な変化率を算出するのに好適な、例えば0.1秒間隔などの期間を適当に規定する。操作者が入力を行う押圧力を維持しようとする時点Ps付近においては、面積変化率算出部22が算出する上述の所定期間における押圧面積の変化率は、P0の時点からP1の時点までの押圧面積の平均変化率に比べて、一旦急激に減少する。
したがって、本実施の形態では、ステップS14において、制御部20は、面積変化率算出部22が算出した上述の所定期間における押圧面積の変化率が、第1の所定値以下まで減少したか否かを判定する。すなわち、本実施の形態では、ステップS14において、図5に示すP1の時点以降のグラフの傾きが第1の所定値以下まで大きく減少した時点Psを決定する。ここで、押圧面積の変化率が第1の所定値以下に減少する場合の「第1の所定値」とは、第1実施の形態で説明した「所定値」と同様の技術的思想に基づいて、例えばゼロに近い小さな値などにして、操作者が入力の押圧力の増大を抑制して押圧力を維持している時点Psを特定できるようにする。
ステップS14にて押圧面積Arsが検出される時点Psが決定されたら、制御部20は、面積変化率算出部40が算出する所定期間の変化率がその後増大する時点Ps’の押圧面積Ars’を決定する(ステップS21)。本実施の形態では、このPs’の時点の決定の際、制御部20は、上述した所定期間における押圧面積の変化率と、面積変化率算出部22が算出した上述の平均変化率とを比較する。この比較の結果、制御部20は、上記所定期間における押圧面積の変化率と、上記平均変化率との差が第2の所定値以内となった際の押圧面積を、押圧面積Ars’として決定する。すなわち、本実施の形態では、図5において、Psの時点以後の所定期間における曲線の接線の傾きが増大して、P0の時点からP1の時点までのグラフの平均の傾きと比べて、両者の差が第2の所定値以内となった時点Ps’における押圧面積を押圧面積Ars’として決定する。つまり、Psの時点以後の所定期間における曲線の接線の傾きが増大して、P0の時点からP1の時点までのグラフの平均の傾きと例えばほぼ同じになった時点Ps’における押圧面積を、押圧面積Ars’として決定する。
なお、本実施の形態において「第2の所定値」とは、例えばゼロに近い小さな値などにして、P0の時点からP1の時点までの押圧面積の平均変化率と、Psの時点以後の所定期間における変化率とがほぼ同じになった時点をPs’として決定できるようにする。
このように、本実施の形態においても、操作者が入力の押圧力を維持していると想定される時点Ps’における押圧面積Ars’の決定を適切に行うため、上述した第4実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第6実施の形態)
次に、本発明の第6実施の形態に係る入力装置について説明する。第6実施の形態に係る入力装置は、第4および第5実施の形態で説明した入力装置10と同じ構成により実施することができ、制御部20(および面積変化率算出部22)の動作が異なるものである。したがって、上述した第4および第5実施の形態と同じ説明は適宜省略する
本発明の第6実施の形態は、上述した第4および第5実施の形態と同様に、操作者が押圧力を再び増大させる時点Ps’における押圧面積Ars’に基づいて、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準P2’を設定する。第6実施の形態でも、上述の第4実施の形態における押圧面積Ars’の決定の仕方を変更する。ここで、本実施の形態において押圧面積Ars’の決定の仕方を変更するに際しては、上述した第3実施の形態で第1実施の形態における押圧面積Arsの決定の仕方を変更したのと同様の手法により行う。
第6実施の形態に係る入力装置10においては、面積変化率算出部22は、面積検出部40が検出する押圧面積の時間的な変化率を所定期間毎に算出する。この「所定期間」は、第3実施の形態で説明した「所定の期間」と同様に、操作者の入力による押圧面積が大きく変化した場合に、直前の所定期間と比較して当該変化を検出できるような、例えば0.2秒間隔などの期間を適当に規定する。
第6実施の形態では、図6のステップS11において、面積検出部40が第1の面積基準を満たす押圧面積Ar1を検出した後(つまりP1の後)、面積変化率算出部22は、所定期間毎の変化率を算出する。操作者が入力を行う押圧力を維持しようとする時点Ps付近においては、面積変化率算出部22が算出する上述の所定期間における押圧面積の変化率は、その直前の所定期間における押圧面積の変化率に比べて、一旦急激に減少する。
したがって、本実施の形態でも、第5実施の形態と同様に、ステップS14において、制御部20は、面積変化率算出部22が算出した上述の所定期間における押圧面積の変化率が、第1の所定値以下まで減少したか否かを判定する。すなわち、ステップS14において、図5に示すP1の時点以降のグラフの傾きが第1の所定値以下まで大きく減少した時点Psを決定する。ここで、上記「第1の所定値」とは、第5実施の形態と同様に、例えばゼロに近い小さな値などにして、操作者が入力の押圧力の増大を抑制して押圧力を維持している時点Psを特定できるようにする。
ステップS14にて押圧面積Arsが検出される時点Psが決定されたら、制御部20は、面積変化率算出部22が算出する第1の所定期間における押圧面積の変化率と、当該第1の所定期間の直前の第2の所定期間における押圧面積の変化率とを比較する。この比較の結果、制御部20は、第1の所定期間の変化率が、第2の所定期間に比べて第2の所定値以上増大した際の押圧面積を、押圧面積Ars’として決定する(ステップS21)。すなわち、本実施の形態では、図5において、P1の時点以降の所定期間における曲線の接線の傾きが、その直前の所定期間における曲線の接線の傾きと比べて、第2の所定値を超えて大きく増大した時点Ps’における押圧面積を押圧面積Ars’として決定する。
なお、この本実施の形態における「第2の所定値」は、あまり僅少な値を設定すると、わずかな押圧面積の変化により、その時点がPs’として扱われて、その時点における押圧面積が押圧面積Ars’として決定されてしまう。この場合、操作者が入力を行う押圧力を維持しようとしているにもかかわらず、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準P2’が勝手に設定されてしまう。したがって、この「第2の所定値」は、ある程度の大きさを持つようにして、あまり僅少な値は設定しないようにする。
このように、本実施の形態においても、操作者が入力の押圧力を維持していると想定される時点Ps’における押圧面積Ars’の決定を適切に行うため、上述した第4および第5実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第7実施の形態)
次に、本発明の第7実施の形態に係る入力装置について説明する。第7実施の形態に係る入力装置は、第4〜第6実施の形態で説明した入力装置10と同じ構成により実施することができ、制御部20(および面積変化率算出部22)の動作が異なるものである。したがって、上述した第4〜第6実施の形態と同じ説明は適宜省略する。
上述した第4〜第6実施の形態では、操作者が押圧力の維持を開始したPsの時点から意図せずに押圧力を徐々に弱めてしまった場合でも、再び押圧力の増大を開始したPs’の時点の押圧面積Ars’に本来の加算幅を付加して第2の面積基準Ar2’を設定した。しかしながら、押圧力の維持を開始したPsの時点から、操作者が意図せずに押圧力をかなり弱めてしまった場合、この時点Ps’の押圧面積Ars’に本来の加算幅を付加して第2の面積基準Ar2’を設定すると、この面積基準Ar2’も非常に小さな値となる。このように、第1の入力が受け付けられた後で、第2の入力を受け付ける第2の面積基準Ar2’があまりにも低い押圧面積の値になると、操作者が入力を行う押圧力の微妙なブレなどにより、意図せずに第2の入力が受け付けられてしまう恐れもある。
したがって、第7実施の形態では、図7に示すように、押圧力の増大が開始されたPs’の時点の押圧面積Ars’があまりにも小さな値の場合、本来の加算幅に演算を加えて大きくしたものを第2の面積基準Ar2’’とする。具体的には、Ps’の時点における押圧面積Ars’に所定の加算幅を付加した押圧面積Ar2’が第1の面積基準Ar1を下回ってしまう場合、制御部20は、この加算幅が第1の面積基準Ar1を超えるように加算幅を増大したものを第2の面積基準Ar2’’とする。
このように、本実施の形態によれば、第1の入力が受け付けられた後で、操作者が押圧力をかなり弱めてしまった場合でも、操作者が入力を行う押圧力の微妙なブレなどにより、意図せずに第2の入力が受け付けられてしまうことはなくなる。なお、この第7実施の形態において、Psの時点の後に、押圧面積があまりにも減少してしまった場合には、もはや「半押し」として扱うことが適切でない場合もあり得る。このような場合のために、一旦第1段階の入力がなされた後で、押圧面積が例えばゼロに近いような小さな値になってしまった際は、一度受け付けた第1段階の入力がリセットされるような、下限の閾値を設定するのが望ましい。
上述したような、操作者による押圧入力の押圧面積に応じて入力を複数段階で受け付ける入力装置は、カメラのシャッター以外にも、種々の他の用途を想定することができる。例えば、給湯器や給水器などにおいて、給湯や給水の量を調整するスイッチとして、このような入力装置を用いることもできる。すなわち、このような入力装置を給湯ボタンや給水ボタンとして用いれば、操作者がボタンを押圧する押圧面積に応じて、供給される湯や水の量を調整することができる。したがって、軽い押圧力による入力に対しては少量の湯や水が供給され、押圧力を増した入力に対しては湯や水の供給が増大するようにできる。
その他、入力装置に対する押圧面積に応じて、ライトの光の量を調整したり、モータの動力を調整したりするなどの各種動作を割り当てることも考えられる。
また、例えばマウスなどの入力デバイスのボタンなどに、押圧面積に応じて複数段階の入力を受け付ける入力装置を適用することもできる。この場合、ボタンの「半押し」に対してはシングルクリックに対応する動作を、また「全押し」に対してはダブルクリックに対応する動作を割り当てることなどが考えられる。
このように、押圧面積に応じて複数段階の入力を受け付ける入力装置は、特に、押圧力に応じて何かの量などを調整する処理を行う場合や、押圧力に応じた段階的な処理を割り当てる場合の入力装置に用いるのに好適である。
なお、本発明は、上述した各実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。例えば、上述した各実施の形態においては、各段階の入力が受け付けられた場合には、振動部50が振動することにより、操作者に報知情報を報知した。しかしながら、この報知情報は、必ずしも振動である必要はなく、入力装置10に入力が正常に受け付けられたことを操作者に認識させる情報であれば、任意の形態の情報とすることができる。
したがって、本発明に係る入力装置は報知情報発生部を備え、この報知情報発生部は、音、振動、表示のうち少なくとも1つを用いた報知情報を発生することにより、入力が正常に受け付けられたことを操作者に認識させる。具体的には、制御部20が、面積検出部40により検出される押圧面積が第1の面積基準を満たした際に、報知情報発生部が前記報知情報を発生するように制御する。第2の面積基準が満たされた際の報知情報についても同様である。この報知情報発生部は、振動部50の他、例えば音声出力部70から所定の音などを出力したり、表示部32または他のディスプレイなどの表示部に視覚的に認識できるような表示を表示することにより、操作者に報知情報を報知することができる。なお、上述したように、第1段階の入力を受け付けた際の報知情報と、第2段階の入力を受け付けた際の報知情報とを異なる態様の振動にすれば、操作者は入力の段階を容易に区別することができる。
また、上述の各実施の形態において、第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準P1は予め定めた固定値とすることを想定して説明したが、この第1の面積基準P1も可変にすることもできる。この場合、例えば、制御部20は、操作者が面積検出部40に対して日常的に押圧入力を行う際の押圧面積の履歴を記憶部60に蓄積しておき、この押圧面積の履歴に基づいて、第1段階の入力を受け付ける第1の面積基準P1を設定することも考えられる。また、この第1の面積基準P1の値は、予め設定するだけでなく、必要に応じて、操作者が適宜変更または調整できるようにするのが望ましい。このようにすれば、操作中に、操作者が第1の面積基準P1の設定について違和感を持った場合、自然な操作ができるように、その場で適宜設定を変更することができる。
なお、上述の説明では、面積基準の値を「押圧面積の閾値」に見立て、面積基準の値に達した場合に「面積基準を満たす」と判定する態様について説明した。しかしながら、「面積基準を満たす」と判定できる態様はこれに限定されるものではなく、いくつもの態様を含むことが想定できる。例えば、入力装置10に対する操作者の押圧入力による押圧面積が上記面積基準の値を超えた場合に「面積基準を満たす」と判定することもできる。また、上記面積基準の値を示す押圧面積が面積検出部40によって検出された場合に「面積基準を満たす」と判定することもできる。
また、上述の説明において、例えば、所定値「以上」または所定値「以下」のような表現の技術的思想が意味する内容は必ずしも厳密な意味ではなく、入力装置の仕様に応じて、基準となる値を含む場合または含まない場合の意味を包含するものとする。例えば、所定値「以上」とは、増大する値が所定値に達した場合のみならず、所定値を超えた場合も含意し得るものとする。また、例えば所定値「以下」とは、減少する値が所定値に達した場合のみならず、所定値を下回った場合、つまり所定値未満になった場合も含意し得るものとする。
このように、本実施の形態では、第1段階の入力を受け付けるたびに(毎に)、第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準P2を新たに設定する。つまり、新たな第1段階の入力を受け付ける前であって、面積検出部40により検出される押圧面積が第2段階の入力を受け付ける第2の面積基準P2を満たした際に、第2段階の入力を受け付けるようにする。これにより、以前操作した際に第2段階の入力を受け付けた第2の面積基準P2の設定が保持されることがないため、操作者が一気に押圧力を加えた場合であっても、第2段階の入力まで受け付けられてしまうという誤操作(操作者の意図しない操作)はなくなる。
また、本実施の形態では、押圧面積を各段階の入力を受け付ける基準としたが、押圧入力をする際に発生する表面電荷を基準としても、本発明の目的を達成することができる。各段階の入力を受け付ける基準を表面電荷に変更しただけであり、各実施の形態で説明した入力装置10と同じ構成により実施することができる。なお、表面電荷は、操作者の指先とタッチパネル30が、近接または接触(押圧)したことにより発生し、接触面積が大きくなるほど増加する特徴を有する。このため、操作者の指先とタッチパネル30が近接した場合でも表面電荷が発生することから、非接触の場合にも対応することができ、種々の装置に対応することが可能となる。