JP5526672B2 - Ad変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、AD変換器に関する。
情報処理技術の発達に伴い、アナログ信号をデジタル信号へ変換する装置類が急速に普及している(例えば、特許文献1〜3を参照)。
特開平11−112348号公報 特開2003−198370号公報 特開2007−116337号公報
AD変換の精度を向上させる場合、信号帯域幅を絞ったり、サンプリング周波数を高くしたり、分解能を大きくしたりする方法がある。ここで、分解能を大きくする場合、例えば、逐次比較型のAD変換器であれば更なるビット分の容量を新たに加える必要が生ずるし、パイプライン型のAD変換器であればMDAC(乗算型DAコンバータ)の段数を増やす必要が生ずるので、不可避的に回路規模が大面積となる。また、これらの技術では原理的に分解能よりも細かい測定をすることはできない。
このため、回路規模を大きくすること無くAD変換の分解能を大きくできる技術が望まれる。
開示された実施形態によると、アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換部と、
前記AD変換部で生じる、特定のタイミングで標本化したアナログ信号を量子化する際に生じる量子化誤差を保存する量子化誤差保存部と、
前記量子化誤差保存部が保存した前記量子化誤差を、前記特定のタイミングよりも後に標本化されたアナログ信号に加える量子化誤差加算部と、
前記AD変換部から出力されるデジタル信号のデジタル量を既定サンプル数で平均化することにより、該デジタル量の変動を減衰させる減衰部と、を備える、
AD変換器を提供する。
回路規模を大きくすること無く分解能を大きくできる。
量子化誤差低減装置を適用した逐次比較型AD変換器の構成図。 AD変換器のタイミングチャート(1)。 AD変換器のタイミングチャート(2)。 AD変換器のタイミングチャート(3)。 AD変換器の状態図(CLK=0〜1の場合)。 AD変換器の状態図(CLK=2の場合)。 AD変換器の状態図(CLK=3の場合)。 AD変換器の状態図(CLK=4、MSBが“1”の場合)。 AD変換器の状態図(CLK=4、MSBが“0”の場合)。 AD変換器の状態図(CLK=10の場合)。 AD変換器の状態図(CLK=11の場合)。 AD変換器の状態図(CLK=12〜13の場合)。 AD変換器の状態図(CLK=14の場合)。 AD変換器の入出力関係を比較した表。 1次のFIRフィルタの構成図。 1次のFIRフィルタの入出力関係を比較した表。 5次のFIRフィルタの構成図。 5次のFIRフィルタの入出力関係を比較した表。 Nビットのパイプライン型AD変換器に量子化誤差低減装置を適用した場合の構成図。 8ビットのパイプライン型AD変換器に量子化誤差低減装置を適用した場合の構成図。 AD変換器の状態図(その1)。 AD変換器の状態図(その2)。 AD変換器の状態図(その3)。 量子化誤差低減装置の適用例を示す図。
図1は、量子化誤差低減装置を適用した、コンデンサアレイを用いた8ビット逐次比較型AD変換器(アナログデジタル変換器)を示す構成図である。なお、ここでは8ビットの場合を例に説明するが、如何なるビット数であってもよい。AD変換器1は、図1に示すように、オペアンプAMP、比較器COMP、ラッチ3、逐次比較制御回路4、デジタルフィルタ5を備える。また、AD変換器1は、上部電極が比較器COMPの入力と繋がり、下部電極がスイッチSW0と繋がる基準容量C0を備える。スイッチSW0は、逐次比較制御回路4からの制御信号φCを受けて動作する切り替えスイッチであり、基準容量C0の下部電極をオペアンプAMPの出力端子に繋いだり、或いはフローティングさせたり接地したりする。なお、オペアンプAMP、基準容量C0、及びスイッチSW0が量子化誤差低減装置2を構成する。また、AD変換器1は、上部電極が基準容量C0の出力および比較器COMPの入力と繋がり、下部電極がスイッチSW1〜8にそれぞれ繋がる比較容量C1〜8を備える。スイッチSW1〜8は、比較容量C1〜8の下部電極にアナログ入力電圧VIN、高圧基準電圧VRH、或いは低圧基準電圧VRLを印加する切り替えスイッチであり、逐次比較制御回路4からの制御信号φCを受けて動作する。基準容量C0の上部電極はオペアンプAMPの入力端子に接続されている。アナログ入力電圧VINは、AD変換器1に入力されるアナログ信号の電圧である。高圧基準電圧VRHおよび低圧基準電圧VRLは任意に設定される。なお、比較容量C1〜8の上部電極には、スイッチSW9を介して閾値電圧VCMを印加可能なように構成されている。比較容量C1〜8の容量の大きさは、図1に示すように、それぞれ1C,2C,4C,8C,16C,32C,64C,128Cである。また、基準容量C0の容量の大きさは、基準容量C0および比較容量C1〜8の全容量の合計値の256分の1の大きさ、すなわち1Cである。
このように構成されるAD変換器1は、比較器COMPの入力電圧が閾値電圧VCMに近づくように、次のような処理を行う。すなわち、比較器COMPの入力側に接続される基準容量C0および比較容量C1〜8にサンプリングされている入力アナログ量に、各ビットのレンジの2分の1の大きさのアナログ量を加算あるいは減算する処理を、最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)まで順次繰り返していく。そして、各ビットの判定において、比較器COMPの入力電圧が閾値電圧VCMよりも高ければ当該ビットを“0”、閾値電圧VCMよりも低ければ当該ビットを“1”と判定するものとする。具体的には、逐次比較制御回路4が、アナログ入力信号をサンプリング後、比較容量C1〜
8のうち判定対象ビットに対応する比較容量の下部電極に、アナログ入力信号の大きさの判定のために高圧基準電圧VRHを印加する。このときの比較器COMPの入力側の電位が閾値電圧VCMより低い場合、逐次比較制御回路4は、当該ビットを“1”と判定し、当該ビットに対応する比較容量の下部電極に高圧基準電圧VRHを印加した状態で維持する。一方、比較器COMPの入力側の電位が閾値電圧VCMより高い場合、逐次比較制御回路4は、当該ビットを“0”と判定し、当該ビットに対応する比較容量の下部電極に低圧基準電圧VRLを印加する。逐次比較制御回路4は、この処理を最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)まで順次繰り返す。
図2A〜Cは、AD変換器1の動作例を示すタイミングチャートである。AD変換器1は、図2A〜Cのタイミングチャートが示すように、12クロックで1サンプリング周期としている。以下、図2A〜Cのタイミングチャートに沿ったAD変換器1の動作について説明する。
図3Aは、1回目のアナログ入力のサンプリング時(CLK=0〜1)のAD変換器1の状態図である。逐次比較制御回路4は、図3Aに示すように、制御信号φRでスイッチSW0を制御して基準容量C0の下部電極を一旦接地した後にフローティングとし、制御信号φCでスイッチSW1〜8を制御して比較容量C1〜8の下部電極にアナログ入力電圧VINを印加する。また、逐次比較制御回路4は、制御信号φSでスイッチSW9を閉じて比較器COMPおよび比較容量C1〜8の上部電極に閾値電圧VCMを印加する。このとき、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(1)で表される。
Figure 0005526672
式(1)において、q0が基準容量C0に蓄えられる電荷、qkが各比較容量C1〜8に蓄えられる電荷を表す。kは1から8までの整数を表しており、例えば、q1は比較容量C1に蓄えられる電荷を意味する。また、式(1)において、C0やCkは、基準容量C0や比較容量C1〜8の容量の大きさを表しており、例えば、C0であれば1C、C1〜8であればそれぞれ1C,2C,4C,8C,16C,32C,64C,128Cである。初期状態では、基準容量C0に蓄えられている電荷の量は不定である。このため、基準容量C0の下部電極を一旦接地し、上部電極に閾値電圧VCMを印加することで基準容量C0の初期値q0が確定する。すなわち、基準容量C0にはC0×VCMの大きさの電荷が蓄えられることになる。また、比較器COMPには閾値電圧VCMが加わることになる。
図3Bは、1回目の比較準備時(CLK=2)のAD変換器1の状態図である。逐次比較制御回路4は、図3Bに示すように、制御信号φRでスイッチSW0を制御して基準容量C0の下部電極を接地し、制御信号φCでスイッチSW1〜8を制御して比較容量C1〜8の下部電極に低圧基準電圧VRLを印加する。また、逐次比較制御回路4は、制御信号φSでスイッチSW9を開くことで基準容量C0の上部電極および比較容量C1〜8の上部電極に印加されていた閾値電圧VCMを切り離す。このとき、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(2)で表される。
Figure 0005526672
ここで、VXは、比較器COMPの入力側の電圧を表す。1回目の比較準備時(CLK=2)の比較器入力電圧VXは、1回目のアナログ入力のサンプリング時(CLK=0〜1)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(1)のq0とqkとを足し合わせた値)と、1回目の比較準備時(CLK=2)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(2)のq0とqkとを足し合わせた値)とが、電荷保存則より互いに同じであることから、式(1)、式(2)を用いて下記の式(3)で表される。
Figure 0005526672
式(3)より、1回目の比較準備時(CLK=2)の比較器入力電圧VXはアナログ入力とAD変換器1のビット数によって一意に決まる。また、式(3)より、“VX−VCM”は、比較容量C1〜8の下部電極に印加されている電圧がアナログ入力電圧VINから低圧基準電圧VRLへ変化したときの比較器COMPの入力側の電位の変化量である。比較器COMPの入力側に繋がっている全容量のうち、“VX−VCM”は、下部電極の電位が変動しない基準容量C0を除いた比較容量C1〜8が占める割合に、比較容量C1〜8の下部電極の電圧変動量“VIN−VRL”を乗算したものであることが判る。
図3Cは、1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)のAD変換器1の状態図である。各ビットを判定する際は、基準容量C0の下部電極を接地し、判定対象ビットの比較容量の下部電極に高圧基準電圧VRHを印加し、これより下位のビットの比較容量の下部電極に低圧基準電圧VRLを印加する。最上位ビット(MSB)の判定時であれば、図3Cに示すように、スイッチSW8で比較容量C8の下部電極に高圧基準電圧VRHを印加し、スイッチSW0〜7,9はそのままにすることで比較容量C1〜7の下部電極に低圧基準電圧VRLを印加する。このとき、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(4)で表される。
Figure 0005526672
なお、1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)の比較器入力電圧VXは、式(3)の導出時と同様の方法で求めることができる。すなわち、1回目のアナログ入力のサンプリング時(CLK=0〜1)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(1)のq0とqkとを足し合わせた値)と、1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(4)のq0〜kを足し合わせた値)とが、電荷保存則より互いに同じであることから、式(1)、式(4)を用いて下記の式(5)で表される。
Figure 0005526672
ここで、1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)の比較器入力電圧VXと1回目の比較準備時(CLK=2)の比較器入力電圧VXとの電位差は、式(5)で示される比較器入力電圧VXから式(3)で示される比較器入力電圧VXを減算した下記の式(6)で表される。
Figure 0005526672
式(6)が示すように、1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)の比較器入力電圧VXと1回目の比較準備時(CLK=2)の比較器入力電圧VXとの電位差は、高圧基準電圧VRHと低圧基準電圧VRLによって一意に決まっており、最上位ビット(MSB)のレンジ(VRH〜VRL)の2分の1の大きさであることが判る。従って、1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)における比較器入力電圧VXも、1回目の比較準備時(CLK=2)の比較器入力電圧VXにこの電位差を加算した値、換言すれば、式(3)で示される比較器入力電圧VXに式(6)で示される電位差“1/2・(VRH−VRL)”を加算した値となり、具体的には下記の式(7)で表される。
Figure 0005526672
上記の式(7)より、1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)における比較器入力電圧VXは、閾値電圧VCMと高圧基準電圧VRHと低圧基準電圧VRL及びアナログ入力電圧VINによって一意に決まることが判る。なお、式(7)から明らかなように、最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)において比較器入力電圧VXが閾値電圧VCMよりも大きいか否かは、換言すると、最上位ビット(MSB)が“0”と判定されるか否かは、次のようにして定まることが判る。すなわち、低圧基準電圧VRLからアナログ入力電圧VINを減算し、最上位ビット(MSB)のレンジの2分の1の大きさのアナログ量を加算した値が正となるか否かにより定まることが判る。なお、式(7)の右辺第2項のアナログ入力電圧VINに乗算されている値(255/256)は、8ビットのAD変換における最大振幅(レンジ)である255の半分である2分の1の位置を128とするための係数である。式(7)の右辺第3項の低圧基準電圧VRLに乗算されている値もまた然りである。
各ビットの判定においては、比較器COMPが閾値電圧VCMと比較器入力電圧VXとを比較する。逐次比較制御回路4は、比較器入力電圧VXが閾値電圧VCMよりも下回っていれば当該ビットを“1”と判定してスイッチSW1〜8のうち当該ビットに対応するスイッチを高圧基準電圧VRH側とする。また、逐次比較制御回路4は、比較器入力電圧VXが閾値電圧VCMよりも上回っていれば当該ビットを“0”と判定する。そして、逐次比較制御回路4は、スイッチSW1〜8のうち当該ビットに対応するスイッチを低圧基準電圧VRL側とする。ここでは図2Cに示すように、最上位ビット(MSB)の判定において比較器入力電圧VXが閾値電圧VCMよりも下回っている場合を想定しているので最上位ビット(MSB)は“1”と判定され、図3Dに示すように、スイッチSW8が高圧基準電圧VRH側に設定される。
図3Dは、1回目の第二位ビット(MSB−1)の判定時(CLK=4)のAD変換器1の状態図であり、最上位ビット(MSB)が“1”だった場合を例示している。第二位ビット(MSB−1)を判定する際は、図3Dに示すように、スイッチSW7を切り替えて判定対象ビットである第二位ビット(MSB−1)に対応する比較容量C7の下部電極に高圧基準電圧VRHを印加する。判定対象ビットではないビットに対応する比較容量C1〜6の下部電極には低圧基準電圧VRLを印加したままにする。このとき、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(8)で表される。
Figure 0005526672
ここで、1回目の第二位ビット(MSB−1)の判定時(CLK=4)の比較器入力電圧VXは、式(5)の導出時と同様、1回目のアナログ入力のサンプリング時(CLK=0〜1)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(1)のq0とqkとを足し合わせた値)と、1回目の第二位ビット(MSB−1)の判定時(CLK=4)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(8)のq0〜kを足し合わせた値)とが、電荷保存則より互いに同じであることから、式(1)及び式(8)を用いて次の式(9)で表される。
Figure 0005526672
また、1回目の第二位ビット(MSB−1)の判定時(CLK=4)の比較器入力電圧VXと1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)の比較器入力電圧VXとの電位差は、式(9)で示される比較器入力電圧VXから式(5)で示される比較器入力電圧VXを減算した下記の式(10)で表される。
Figure 0005526672
なお、最上位ビット(MSB)が“0”だった場合、AD変換器1は図3Eに示す状態になる。図3Eに示されるように、最上位ビット(MSB)が“0”の場合は、当該最上位ビット(MSB)に対応する基準容量C8の下部電極に低圧基準電圧VRLが印加される。また、判定対象ビットである第二位ビット(MSB−1)に対応する比較容量C7の下部電極には高圧基準電圧VRHが印加され、その他の判定されていない比較容量C1〜6の下部電極には低圧基準電圧VRLが印加される。このとき、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(11)で表される。
Figure 0005526672
ここで、1回目の第二位ビット(MSB−1)の判定時(CLK=4)の比較器入力電圧VXは、式(9)の導出時と同様、1回目のアナログ入力のサンプリング時(CLK=0〜1)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(1)のq0とqkとを足し合わせた値)と、1回目の第二位ビット(MSB−1)の判定時(CLK=4)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(11)のq0〜kを足し合わせた値)とが、電荷保存則より互いに同じであることから、式(1)及び式(11)を用いて次の式(12)で表される。
Figure 0005526672
また、1回目の第二位ビット(MSB−1)の判定時(CLK=4)の比較器入力電圧VXと1回目の最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)の比較器入力電圧VXとの電位差は、式(12)で示される比較器入力電圧VXから式(5)で示される比較器入力電圧VXを減算した下記の式(13)で表される。
Figure 0005526672
ところで、式(10)と式(13)とを比較すると判るように、第二位ビット(MSB−1)の判定時(CLK=4)の比較器入力電圧VXと最上位ビット(MSB)の判定時(CLK=3)の比較器入力電圧VXとの電圧の変化量は、最上位ビット(MSB)が“1”と判定された場合と“0”と判定された場合の何れの場合も、共に1/22(VRH
−VRL)である。また、その正負は、式(9)および式(12)の右辺第3項に高圧基準電圧VRHと低圧基準電圧VRLの何れが含まれているか、換言すると、判定対象ビットより1つ上のビット(ここでは最上位ビット(MSB))の判定結果により決定されることが分かる。コンデンサアレイの規則性と式(6)、式(10)、式(13)により、コンデンサアレイを用いたNビット逐次比較型AD変換器において、比較器入力電圧VXのm回目の判定時とm+1回目の判定時の電位差ΔVX(m)は、次の式(14)で表される(mは2≦m≦Nの正整数)。
Figure 0005526672
上記の式(14)より、AD変換器1では、最上位ビット(MSB)から最下位ビット(LSB)までの各ビットの判定処理を逐次行っていく過程で、比較器入力電圧VXが閾値電圧VCMに近づくように、各ビットのレンジの2分の1の大きさのアナログ量を加算あるいは減算する処理が実行されることが判る。
例えば、式(14)において、N−(m−1)ビット目が“1”と判定された場合にはΔVX(m)が正となり、N−(m−1)ビット目が“0”と判定された場合にはΔVX(m)が負となる。式(14)より、ΔVX(m)は、コンデンサアレイを用いた逐次比較型AD変換器の分解能Nと、最上位ビット(MSB)からm−1番目のビット値により決定されることは明らかであるから、式(3)、式(14)より、コンデンサアレイを用いたNビット逐次比較型AD変換器において、m回目の判定時の比較器入力電圧VX(m)は次の式(15)で表される。
Figure 0005526672
図3Fは、1回目の最下位ビット(LSB)の判定時(CLK=10)のAD変換器1の状態図である。最上位ビット(MSB)から第7位ビット(MSB−6)までの各ビットについて判定が終わると、最下位ビット(LSB)の判定が行なわれる。最下位ビット(LSB)の比較を行う際は、上位ビットの時と同様、基準容量C0の下部電極は接地され、判定対象ビットである最下位ビット(LSB)に対応する比較容量C1の下部電極には高圧基準電圧VRHが印加される。最上位ビット(MSB)から第7位ビット(MSB−6)までの各ビットがそれぞれ“1”、“0”、“0”、“1”、“0”、“1”、“0”と判定された場合、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(16)で表される。
Figure 0005526672
1回目の最下位ビット(LSB)の判定時(CLK=10)の比較器入力電圧VXは、式(3)や式(5)の導出時と同様、1回目のアナログ入力のサンプリング時(CLK=0〜1)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(1)のq0とqkとを足し合わせた値)と、1回目の最下位ビット(LSB)の判定時(CLK=10)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量(すなわち、式(16)のq0〜kを足し合わせた値)とが、電荷保存則より互いに同じであることから、式(1)、式(16)を用いて下記の式(17)で表される。
Figure 0005526672
また、式(15)を用いると、比較器入力電圧VXは下記の式(18)のように表され、式(17)と一致する。
Figure 0005526672
ここで、比較器COMPの入力側の量子化誤差分の電圧は、最下位ビット(LSB)決定時の電圧と閾値電圧VCMとの差で表される。コンデンサアレイを用いたNビット逐次
比較型AD変換器の、比較器COMPの入力側の量子化誤差分の電圧VQ(N)を、式(15)を用いて表すと、下記の式(19)のように表される。
Figure 0005526672
図3Gは、1回目の残留誤差検出時(CLK=11)のAD変換器1の状態図である。図3Gに示すように、基準容量C0の下部電極はオペアンプAMPと接続されており、比較容量C1〜8の下部電極には判定結果に応じた電圧が印加されている。基準容量C0の下部電極がオペアンプAMPの出力側と接続されていることから、比較器入力電圧VXのアナログ量がオペアンプAMPにフィードバックされる。オペアンプAMPの入力インピーダンスが理想的な無限大であるとすると、オペアンプAMPの入力端子間はイマジナリショートとなる。従って、比較器COMPの入力側の電圧がオペアンプAMPに入力されている閾値電圧VCMと同じ電圧になる。従って、このときのオペアンプAMPの出力電圧をVAMPとすると、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(20)で表される。
Figure 0005526672
ここで、1回目のアナログ入力のサンプリング時(CLK=0〜1)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量と、1回目の残留誤差検出時(CLK=11)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量とが、電荷保存則より互いに同じであることから、VAMPは式(1)、式(20)を用いて下記の式(21)で表される。
Figure 0005526672
最下位ビット(LSB)判定時の比較器入力電圧VXから閾値電圧VCMを減算した電圧、つまり、式(17)の右辺からVCMを減算した値が量子化誤差分の電圧となる。よって、1回目の最下位ビット(LSB)の判定時(CLK=10)の比較器入力電圧VXを示す式(17)と1回目の残留誤差検出時(CLK=11)の比較器入力電圧VXを示す式(21)とを比較する。そして、基準容量C0が比較器COMPの入力側に繋がる全容量値(基準容量C0および比較容量C1〜8の各容量の合計値)の256分の1の大きさであることを考慮すると、式(21)で示されるVAMPには確かに量子化誤差分の電圧が現れている。すなわち、比較器COMPの入力側の電圧がVCMなので、基準容量C0には量子化誤差分の電荷が蓄えられる。
図3Hは、1回目の残留誤差保存時、換言すると2回目のアナログ入力サンプリング時(CLK=12〜13)のAD変換器1の状態図である。図3Hに示すように、1回目のアナログ入力サンプリング時と同様、基準容量C0の下部電極はフローティングさせる。基準容量C0の下部電極がフローティングすることにより、基準容量C0に蓄えられている量子化誤差分の電荷が逃げないように保持される。また、比較容量C1〜8の下部電極にはアナログ入力電圧VINが印加され、比較器COMPの入力側には閾値電圧VCMが印加される。基準容量C0の下部電極の電圧は、比較器COMPの入力側の電圧が閾値電圧VCMであることと、基準容量COの下部電極がフローティングしていることから、式(21)と同じになる。このとき、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(22)で表される。
Figure 0005526672
ここで、式(22)の「VIN,2」は、2回目のサンプリング時のアナログ入力値を示す。基準容量C0に蓄えられている電荷について、式(1)と式(22)とを比較すると、基準容量C0には−C0×VAMP分の電荷が蓄えられている。式(21)より、VAMPは量子化誤差を表す電圧である。従って、基準容量C0の下部電極をフローティングさせることで、基準容量C0に量子化誤差分の電荷が保存されている。なお、SW9が
オンとなるので、比較器COMPの入力側の電位は閾値電圧VCMである。
図3Iは、1回目の残留誤差追加時、換言すると2回目の比較準備時(CLK=14)のAD変換器1の状態図である。1回目の比較準備時(CLK=2)と同様、基準容量C0の下部電極は接地され、比較容量C1〜8の下部電極には低圧基準電圧VRLが印加される。フローティングしていた基準容量C0の下部電極を接地することで、基準容量C0に保持されていた量子化誤差分の電荷が比較器COMPの入力側へ戻される。また、スイッチSW9を開くことで、比較器COMPの入力側に印加されていた閾値電圧VCMを切り離す。このとき、基準容量C0、及び比較容量C1〜8に蓄えられる電荷は下記の式(23)で表される。
Figure 0005526672
なお、2回目の比較準備時(CLK=14)の比較器入力電圧VXは、2回目のアナログ入力のサンプリング時(CLK=12〜13)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量と、2回目の比較準備時(CLK=14)に基準容量C0と比較容量C1〜8に蓄えられている電荷の総量とが、電荷保存則より互いに同じであることから、式(22)、式(23)を用いて下記の式(24)で表される。
Figure 0005526672
式(17)と式(24)とを比較すると、比較器COMPの入力側には1回目の残留誤差分の電圧が追加されている。
このように、基準容量C0に蓄えておいた前回の比較時の変換誤差分の電荷を次回の比較で用い、デジタル出力(DOUT1)の平均を取ることで高い分解能が実現できる。図4は、量子化誤差を電荷で蓄えていき、デジタルフィルタ5でデジタル出力(DOUT1)の平均をとる本実施形態に係るAD変換器1の出力と、量子化誤差を蓄えない従来のAD変換器の出力を示した表である。AD変換器1であれば、図4の表に示すように、アナログ入力電圧が「1.20V」、「1.33V」、「1.50V」、「1.75V」のように小数点以下が0でない場合であっても、デジタルフィルタ5で平均をとることにより
、実際のアナログ信号に近いデジタル信号(DOUT2)を得ることができる。すなわち、図2Cの拡大部分が示すような量子化誤差がサンプリング毎に蓄積されていくので、蓄積された量子化誤差が最下位ビットを反転させる大きさに至れば、デジタルフィルタ5に入力されるデジタル信号(DOUT1)のデジタル量が一時的に増える。量子化誤差によるこのようなデジタル量(DOUT1)の一時的な変動は、デジタルフィルタ5による平均化処理によって減衰される。よって、デジタルフィルタ5から出力されるデジタル量(DOUT2)、換言すると、AD変換器1から出力されるデジタル量は、量子化誤差をほとんど含まないものとなり、結果的に高精度な変換結果を得ることができる。なお、図4の表の例では、10回分のサンプリング結果を平均化していたが、平均化する際のサンプル数はAD変換器1に対して要求されている応答速度や分解能等の仕様に応じて適宜調整可能である。平均化するサンプル数を増やせば分解能が優れる反面、アナログ信号の変動がデジタル信号に即座に現れにくくなるので応答速度が劣る。他方、平均化するサンプル数を減らせばアナログ信号の変動がデジタル信号に即座に現れるので応答速度が優れる反面、分解能が劣る。
AD変換器の分解能を上げる場合、従来までは、ビット数を増やすためにN+1ビットに相当する大面積の容量素子を追加する必要があったが、上記AD変換器1であれば大面積の容量素子を要することなく高精度化を図ることが可能である。すなわち、高精度なアナログデジタル変換器を小面積で実現できる。
なお、上記デジタルフィルタ5は、例えば、次のようなもので構成される。
図5は、1次のFIR(Finite impulse response)フィルタの構成図である。分解能
は劣っていても優れた応答速度を求める場合には、図5に示すような1次のFIRフィルタ6Aを用いる。FIRフィルタ6Aは、図5に示すように、遅延素子7Aと加算器8A、及び乗算器9Aで構成される。乗算器9Aの定数は1/2である。FIRフィルタ6Aの入出力関係は下記の式(25)で表される。
Figure 0005526672
また、FIRフィルタ6Aの入出力関係の一例を図6の表に示す。1次のFIRフィルタ6Aを上記AD変換器1のデジタルフィルタ5として用いると、図6の表に示すように、アナログ入力電圧として「1.50V」、「1.75V」が入力された場合に、小数点以下が0でない「1.50V」というデジタル出力を得ることができる。
図7は、5次のFIR(Finite impulse response)フィルタの構成図である。応答速
度は劣っても優れた分解能を求める場合には、図7に示すような5次のFIRフィルタ6Bを用いる。FIRフィルタ6Bは、図7に示すように、加算器8Bと、5つの遅延素子7B、及び6つの乗算器9Bで構成される。乗算器9の定数は1/6である。このときの入出力関係は下記の式(26)で表される。
Figure 0005526672
5次のFIRフィルタ6Bの入出力関係の一例を図8の表に示す。5次のFIRフィルタ6Bを上記AD変換器1のデジタルフィルタ5として用いると、図8の表に示すように、アナログ入力電圧として「1.20V」、「1.33V」、「1.50V」、「1.75V」が入力された場合に、小数点以下が0でない「1.17V」、「1.50V」、「1.67V」というデジタル出力を得ることができる。
なお、量子化誤差低減装置は、例えば、図9に示すようなNビットのパイプライン型AD変換器に適用することも可能である。8ビットのパイプライン型AD変換器に量子化誤差低減装置を適用した場合の構成を図10に示す。図10に示すAD変換器11は、最下位ビット(LSB)を検出する8段目のMDAC(Multiplying digital-to-analog converter)のアナログ出力端子にスイッチSWXが接続される。また、下部電極がスイッチ
SWXに繋がった容量素子CXの上部電極が、最上位ビット(MSB)を検出する1段目のMDACのオペアンプAMPの入力側に接続されている。AD変換器11は8ビットのパイプライン型AD変換器であるため、容量素子CXの容量は、最上位ビット(MSB)を検出する1段目のMDACで使われている容量素子CF,CRの大きさの1/256倍(NビットのAD変換器の場合であれば1/2N倍)の大きさである。すなわち、オペア
ンプAMPの入力側に繋がる容量素子CFと容量素子CRの大きさが共に1Cであるのに対し、容量素子CXの大きさは1/256Cである。
AD変換器11は、既述した逐次比較型AD変換器1と異なり、クロックごとに次々と入力データが取り込まれてAD変換が行われる。アナログ信号が最上位ビット(MSB)から順に、各段のMDACでアナログ値が徐々に差し引かれながら次段のMDACへと引き継がれていき、最下位ビット(LSB)を決定するMDAC8へ到達する。パイプライン型のAD変換器11の動作を以下に説明する。
図11Aは、MDAC1がアナログ入力をサンプリングする際のAD変換器11の状態図である。AD変換器11は、図11Aに示すように、容量素子CFの下部電極と容量素子CRの下部電極にアナログ入力電圧VIを印加する。これにより、容量素子CFと容量素子CRにアナログ入力電圧VIがそれぞれ記憶される。なお、各MDACに入力されるアナログ信号の電圧をVI(k)とする。また、各MDACから出力されるアナログ信号の電圧をVO(k)とする。なお、k=1,2,3…,Nとする。
図11Bは、MDAC1がアナログ入力電圧VI(1)をホールドする際のAD変換器11の状態図である。AD変換器11は、容量素子CFと容量素子CRにアナログ入力電圧VIを記憶させた後、図11Bに示すように、容量素子CFの下部電極をオペアンプAMPの出力側と繋ぐ。オペアンプAMPの他方の入力端子、すなわち、オペアンプAMPが有する2つの入力端子のうち容量素子CFの上部電極が接続された側ではない方の端子は接地されているため、容量素子CFの下部電極をオペアンプAMPの出力側と繋ぐことにより、オペアンプAMPの出力電圧がアナログ入力電圧VI(1)と同じになり、MDAC1に入力されるアナログ信号がホールドされた状態になる。AD変換器11は、ホールドしているアナログ信号の電圧VI(k)を以下の式(27)に示す条件に基づいて判別し、最上位ビット(MSB)のデジタル出力を得る。
Figure 0005526672
図11Cは、MDAC1がMDAC2へ送るアナログ信号を生成する際のAD変換器11の状態図である。AD変換器11は、最上位ビット(MSB)のデジタル出力を得たら、容量素子CRの下部電極を接地するか、VREFH(+VREF)或いはVREFL(−VREF)を印加する。デジタル出力が“1”であればVREFLが印加され、デジタル出力が“0”であれば接地され、デジタル出力が“−1”であればVREFHが印加される。容量素子CRの下部電極に印加される電圧がVREFLに変化した場合は、CR・(VI−VREF)の量の電荷が容量素子CFに流れ込む。容量素子CRの下部電極が接地された場合は、CR・VIの量の電荷が容量素子CFに流れ込む。容量素子CRの下部電極に印加される電圧がVREFHに変化した場合は、CR・(VI+VREF)の量の電荷が容量素子CFに流れ込む。容量素子CFと容量素子CRの大きさは同じなので、容量素子CRの下部電極に印加される電圧がVREFLに変化した場合は、オペアンプAMPの出力電圧VO(1)が2VI−VREFとなる。また、容量素子CRの下部電極が接地された場合は、オペアンプAMPの出力電圧VO(1)が2VIとなる。また、容量素子CRの下部電極に印加される電圧がVREFHに変化した場合は、オペアンプAMPの出力電圧VO(1)が2VI+VREFとなる。各MDACのオペアンプAMPの出力電圧をMDAC1〜8について一般化すると、以下の式(28)で示される。
Figure 0005526672
図11A〜Cに示される上記一連の処理を、最上位ビット(MSB)を判定するMDAC1から最下位ビット(LSB)を判定するMDAC8までの各MDACが順次実行することにより、最下位ビット(LSB)を判定するMDAC8から出力されるアナログ出力は以下の式(29)のようになる。なお、下記の式(29)では、最下位ビット(LSB)の判定を行なうMDACから出力されるアナログ出力をビット数Nとして一般化したものである。
Figure 0005526672
ここで、量子化誤差低減装置12が存在しない場合、最下位ビット(LSB)の判定を行なうMDACから出力されるアナログ出力は量子化誤差となる。しかし、このAD変換器11では、最下位ビット(LSB)を決定後、スイッチSWXを8段目のMDACのアナログ出力端子に接続する(図11A参照)。これにより、量子化誤差の検出と保存が実現される。8段目のMDACのアナログ出力は量子化誤差の2N倍=256倍であるので
、容量素子CXには下記の式(27)で表される量の電荷が蓄えられる。
q=256×(量子化誤差)×C1/256=C1×(量子化誤差) ・・・式(30)
上記の式(30)より、量子化誤差低減装置12に、1段目のMDACの容量素子の1/2N倍の容量値を持つ容量素子を用いることで、量子化誤差分の電荷が容量素子CXに
蓄えられる。
ここで、1段目のMDACが新たなAD変換を開始すると同時に、スイッチSWXを動かして容量素子CXの下部電極を接地する(図11B参照)。これにより、容量素子CXに蓄えられていた量子化誤差分の電荷が入力電圧のアナログ量に加わる。
AD変換器11でサンプリング周期毎にこれらの処理が繰り返されることで、量子化誤差が蓄積されていき、やがて最下位ビットが反転する。蓄積された量子化誤差は、やがて最下位ビットを反転させる。これにより、デジタルフィルタ5に入力されるデジタル信号に含まれる量子化誤差が大幅に低減され、その結果、デジタルフィルタ5から出力されるデジタル信号が高精度になる。容量素子CXは1段目のMDACの1/2N倍の容量値を
持つ容量素子とスイッチ回路のみで実現できるため、従来よりも高精度なAD変換器を小面積で実現できる。なお、量子化誤差低減装置2が量子化誤差分の電荷を加えるMDACは、1段目のMDACのみに限られるものでなく、2段目以降の何れかのMDACに加えても良い。
上述したAD変換器1やAD変換器11以外の態様として、図12に示すような実施形態がある。この実施形態は、AD変換器21から量子化誤差を抽出し、抽出した量子化誤差をAD変換器21のアナログ入力に加える。具体的には、量子化誤差低減装置22において、変換誤差抽出装置23がAD変換器21から量子化誤差を抽出する。変換誤差抽出装置23が抽出した量子化誤差は、次にアナログ入力がサンプリングされるまで変換誤差
保存装置24へ保存される。次のアナログ入力がサンプリングされる際、加算器28が、変換誤差保存装置24から量子化誤差を読み出し、これをアナログ入力へ加算する。これにより、AD変換時の量子化誤差が、AD変換器21から出力されるデジタル信号のデジタル量に加味されるようになるので、回路面積を大幅に増大させることなく高精度なデジタル信号を出力できる。
なお、本願は、以下の付記的事項を含む。
(付記1)
アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換部と、
前記AD変換部で生じる、特定のタイミングで標本化したアナログ信号を量子化する際に生じる量子化誤差を保存する量子化誤差保存部と、
前記量子化誤差保存部が保存した前記量子化誤差を、前記特定のタイミングよりも後に標本化されるアナログ信号に加える量子化誤差加算部と、
前記AD変換部から出力されるデジタル信号のデジタル量を既定の間隔で平均化することにより、該デジタル量の変動を減衰させる減衰部と、を備える、
AD変換器。
(付記2)
前記量子化誤差保存部は、アナログ信号を標本化する容量素子に該アナログ信号の量子化後に残留している電荷を、前記量子化誤差として保存し、
前記量子化誤差加算部は、前記量子化誤差保存部が前記量子化誤差として保存した電荷を、アナログ信号を標本化する容量素子に蓄えられている前記特定のタイミングよりも後に標本化されるアナログ信号の電荷に加える、
付記1に記載のAD変換器。
(付記3)
前記量子化誤差保存部は、逐次比較型AD変換器のコンデンサアレイに接続される容量素子に前記量子化誤差を保存し、
前記量子化誤差加算部は、前記逐次比較型AD変換器でアナログ信号の量子化が行われると、前記容量素子に保存した前記量子化誤差を、前記コンデンサアレイに標本化されるアナログ量へ加える、
付記1または2に記載のAD変換器。
(付記4)
前記量子化誤差保存部は、複数の要素AD変換器を複数段接続し、前段でのAD変換値を除いたアナログ残量を後段でDA変換すると共に、前段において次のアナログ入力値に対するDA変換を実行するパイプライン型AD変換器から出力される量子化誤差を容量素子に保存し、
前記量子化誤差加算部は、前記容量素子に保存した前記量子化誤差を、前記パイプライン型AD変換器の何れかのビットを判定する要素AD変換器へ加える、
付記1または2に記載のAD変換器。
(付記5)
アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換部で生ずる、特定のタイミングで標本化したアナログ信号を量子化する際に生じる量子化誤差を保存し、
保存した前記量子化誤差を、前記特定のタイミングよりも後に標本化されるアナログ信号に加え、
前記AD変換部から出力されるデジタル信号のデジタル量を既定の間隔で平均化することにより、該デジタル量の変動を減衰させる、
AD変換方法。
(付記6)
アナログ信号を標本化する容量素子に該アナログ信号の量子化後に残留している電荷を、前記量子化誤差として保存し、
前記量子化誤差保存部が前記量子化誤差として保存した電荷を、アナログ信号を標本化
する容量素子に蓄えられている前記特定のタイミングよりも後に標本化されるアナログ信号の電荷に加える、
付記5に記載のAD変換方法。
(付記7)
逐次比較型AD変換器のコンデンサアレイに接続される容量素子に前記量子化誤差を保存し、
前記逐次比較型AD変換器でアナログ信号の量子化が行われると、前記容量素子に保存した前記量子化誤差を、前記コンデンサアレイに標本化されるアナログ量へ加える、
付記5または6に記載のAD変換方法。
(付記8)
複数の要素AD変換器を複数段接続し、前段でのAD変換値を除いたアナログ残量を後段でDA変換すると共に、前段において次のアナログ入力値に対するDA変換を実行するパイプライン型AD変換器から出力される量子化誤差を容量素子に保存し、
前記容量素子に保存した前記量子化誤差を、前記パイプライン型AD変換器の何れかのビットを判定する要素AD変換器へ加える、
付記5または6に記載のAD変換方法。
オペアンプAMP
比較器COMP
1,11,21・・AD変換器
2,12,22・・量子化誤差低減装置
3・・ラッチ
4・・逐次比較制御回路
5・・デジタルフィルタ
6A,6B・・FIRフィルタ
7A,7B・・遅延素子
8A,8B,28・・加算器
9A,9B・・乗算器
23・・変換誤差抽出装置
24・・変換誤差保存装置

Claims (3)

  1. アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換部と、
    前記AD変換部で生じる、特定のタイミングで標本化したアナログ信号を量子化する際に生じる量子化誤差を保存する量子化誤差保存部と、
    前記量子化誤差保存部が保存した前記量子化誤差を、前記特定のタイミングよりも後に標本化されるアナログ信号に加える量子化誤差加算部と、
    前記AD変換部から出力されるデジタル信号のデジタル量を既定の間隔で平均化することにより、該デジタル量の変動を減衰させる減衰部と、を備え、
    前記量子化誤差保存部は、アナログ信号を標本化する容量素子に該アナログ信号の量子化後に残留している電荷を、前記量子化誤差として保存し、
    前記量子化誤差加算部は、前記量子化誤差保存部が前記量子化誤差として保存した電荷を、アナログ信号を標本化する容量素子に蓄えられている前記特定のタイミングよりも後に標本化されるアナログ信号の電荷に加える、
    AD変換器。
  2. 前記量子化誤差保存部は、逐次比較型AD変換器のコンデンサアレイに接続される容量素子に前記量子化誤差を保存し、
    前記量子化誤差加算部は、前記逐次比較型AD変換器でアナログ信号の量子化が行われると、前記容量素子に保存した前記量子化誤差を、前記コンデンサアレイに標本化されるアナログ量へ加える、
    請求項1に記載のAD変換器。
  3. 前記量子化誤差保存部は、複数の要素AD変換器を複数段接続し、前段でのAD変換値を除いたアナログ残量を後段でDA変換すると共に、前段において次のアナログ入力値に対するDA変換を実行するパイプライン型AD変換器から出力される量子化誤差を容量素子に保存し、
    前記量子化誤差加算部は、前記容量素子に保存した前記量子化誤差を、前記パイプライン型AD変換器の何れかのビットを判定する要素AD変換器へ加える、
    請求項1に記載のAD変換器。
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