JP5526326B2 - 核酸配列増幅方法 - Google Patents

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Description

本発明は、定量的マイクロアレイ解析を可能にする核酸配列増幅方法、詳細には少数の細胞、好ましくは単一細胞レベルでの定量的マイクロアレイ解析を可能にする核酸配列増幅方法に関する。
生命現象はきわめて多くの遺伝子産物が複雑に相互作用することで成立するシステムであり、これを本質的に理解するためには、各遺伝子産物の発現動態を正確に把握することが出発点として必須である。システマティックな遺伝子発現解析の手段としてマイクロアレイによる解析が盛んに行われている。マイクロアレイ解析は、スライドガラス等の支持体上に数千から数万個のオリゴヌクレオチドスポットを作成し、解析する細胞または組織由来のRNAから調製した標的をハイブリダイゼーションさせ、得られたハイブリッド形成の強度を指標にして、各遺伝子の転写量を網羅的に測定する方法である。これは、生物の持つ全ての遺伝子の動的挙動を効率的かつ定量的に計測する手法として有用であり、様々な生命現象における遺伝子発現情報を与え、ひいては、医学、食品分野あるいは物質生産分野での効果的な応用へと広がる第一歩となり得る。
遺伝子発現量を網羅的かつ定量的に測定できる、現在主流となりつつあるAffymetrix社のオリゴヌクレオチドマイクロアレイGeneChipシリーズでは、まず細胞あるいは組織由来の総mRNAを逆転写してcDNAを調製し、次いでT7 RNAポリメラーゼを用いて試験管内転写反応を行いラベル化したcRNA(アンチセンス鎖)を合成し、その合成cRNAをアレイにハイブリダイズする。しかしながら、この技術は、総mRNAを抽出して標的を作製するために、1000から10万個程度の細胞を用意しなければならない。
人間を含めた多細胞生物の発生の過程や、神経、血球系、体性幹細胞、癌細胞などにおいては、きわめてその数が少ない極微少量の細胞群が重要な機能を果たしており、究極的には1個の細胞、即ち単一細胞レベルでの解析が不可欠であると考えられる。この単一細胞レベルでの解析において重要な点は、定量的マイクロアレイ解析のために、マイクロアレイ解析に適用可能なレベルにまで標的核酸配列を増幅する必要があり、また、その増幅は、単一細胞における遺伝子発現量の相対的な関係を可能な限り保持したままの増幅であることが必要な点である。
単一細胞レベルの極微少量のmRNAからcDNAを合成し、遺伝子発現量の相対的な関係を保持したまま増幅する手法は、90年にG.Bradyらによって初めて提唱され、改善が続けられている(非特許文献1、2)。また03年にはこの手法を用いて増幅したcDNAを蛍光ラベルして行ったマイクロアレイ実験が報告された(非特許文献3)。しかしながら、これらの技術には以下に述べる欠点があり、いまだ単一細胞レベルでの定量的マイクロアレイ解析は実用化されていない。
1)通常のPCR法による遺伝子発現量の相対的関係の歪み
PCR法は、鋳型を倍また倍にすることによって、DNAを指数関数的に増幅させる手法である。従って異なる遺伝子産物間のわずかな増幅効率の差異が、最終的には何倍もの差となって、遺伝子発現量の相対的な関係を大きくひずませてしまう。このことは特に、発現量が比較的少ない遺伝子産物について深刻であり、その検出感度が相対的に大きく引き下げられてしまう要因になっている。通常のPCR法による増幅過程における遺伝子発現量のこのような相対的関係の歪みは「システマティックな誤差(系統誤差)」と呼ばれる。
2)各遺伝子発現量の増幅過程でのばらつき
PCR法のもつ指数関数的増幅という特性ゆえに、増幅過程におけるランダムな誤差も、やはり指数関数的に増幅してしまう。増幅の各ステップで起きるわずかな誤差が最終的には何倍もの差となり、増幅後に各遺伝子産物の発現量を見積もる際、信頼性を著しく下げる重大な要因となっている。いわゆる、各遺伝子発現量の増幅過程でのランダムな誤差である。
近年になって、PCR法の持つ上記欠点を克服するため、単一細胞レベルの極微少量mRNAからcDNAの一次鎖を合成する際(一次鎖cDNA合成時)、3'側T7プロモーターを付加して、試験管内転写反応による増幅(線形増幅)を行う方法が報告され(非特許文献4)、この原理を利用したキットが商品化された(キット販売元:Epicentre社)。しかし、このキットを利用して、単一細胞レベルの極微少量のmRNAを遺伝子発現量の相対的な関係を保持したまま増幅するオリゴヌクレオチドマイクロアレイ実験を行うには、単一細胞からRNAを抽出する作業が必要であり、このレベルの極微少量RNAを抽出・精製することは通常は現実的でなく、この作業の時点で低コピーmRNAをロスしてしまう可能性を否定できない。また、線形増幅は、核酸配列の増幅効率がPCR法に比べ格段に劣るために得られる増幅産物の量が少なく、現状では一度の増幅実験で一度のマイクロアレイ実験しか行うことが出来ず、線形増幅では増幅産物が必然的にラベル化RNAであるため、DNAに比べて試料の保存が困難であり、増幅産物がラベル化RNAであるがゆえに増幅の成否を確認するための遺伝子特異的PCRの前に、再び逆転写反応を行わねばならない不便さがあり、さらにはRNAの合成と精製を繰り返す煩雑な実験作業ゆえに要求される高度な手技が必要なことから、実際の単一細胞レベルの解析には不向きであると思われる。
Brady, G., M. Barbara, et al. (1990). "Representative in vitro cDNA amplification from individual hemopoietic cells and colonies." Methods Molec. Cell. Biol. 2(17-25). Iscove, N. N., M. Barbara, et al. (2002). "Representation is faithfully preserved in global cDNA amplified exponentially from sub-picogram quantities of mRNA." Nat Biotechnol 20(9): 940-3. Tietjen, I., J. M. Rihel, et al. (2003). "Single-cell transcriptional analysis of neuronal progenitors." Neuron 38(2): 161-75. Kamme et.al, Single-Cell Microarray Analysis in Hippocampus CA1: Demonstration and Validation of Cellular Heterogeneity, The Journal of Neuroscience, May 1, 2003, 23(9):3607
このように、これまでの核酸配列増幅方法は、Affymetrix社を含む、大多数のオリゴヌクレオチドマイクロアレイ実験の標準プロトコルに適用できる水準には到達していないため、より効率的かつ簡便な核酸配列の増幅方法が求められる。
上記のとおり、Affymetrix社のオリゴヌクレオチドアレイGeneChipシリーズへ増幅産物を応用する場合、その増幅手法は効率性や簡便性の点からPCR法を採用するのが適切である。しかし、この場合、PCR法の増幅によって指数関数的に増加する上記の重大な誤差を避ける必要がある。
そこで、本発明では以下の手法により、単一細胞レベルでの極微少量のRNAからcDNAを合成し、遺伝子発現量の相対的な関係を可能な限り保持したままで増幅することによって、定量的マイクロアレイ解析を可能にした。
即ち、本発明は、
(1) 生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団を調製する方法であって、
(a)生物学的試料、具体的には真核生物の細胞、好ましくは1個から数個の細胞、より好ましくは1個の細胞から単離したmRNAを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマー、好ましくは配列番号1に示す核酸配列を有する第1のプライマーを用いて逆転写することにより一次鎖cDNAを調製し、好ましくは逆転写反応を5−10分行い一次鎖cDNAを調製し、あるいは長さがほぼ均一である一次鎖cDNAを調製し、
(b)工程(a)の反応の後、残存する第1のプライマーを失活させ、好ましくは残存する第1のプライマーをエキソヌクレアーゼIにて分解して失活させ、
(c)工程(a)により得られた一次鎖cDNAをポリAテーリング反応に付し、次いでこれを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマー、好ましくは配列番号2に示す核酸配列を有する第2のプライマーを用いて二次鎖である2本鎖DNAを調製し、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYは互いに配列が異なっており、
(d)第1のプライマーを添加し、PCR増幅を行い、好ましくはPCR増幅を10−30サイクル行い、さらに好ましくは工程(c)により得られた二次鎖2本鎖DNAを3−10個に小分けし、それぞれPCR増幅を行い、次いでそれぞれの増幅産物を一緒にまとめ、より好ましくはアニーリング温度をプライマーのTm値に近づけてPCR増幅を行い、次いで
(e)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、好ましくはPCR増幅を4−10サイクル行い、より好ましくはアニーリング温度をプライマーのTm値に近づけてPCR増幅を行う方法:
(1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
(2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、好ましくは配列番号3に示す核酸配列を有する第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット;
好ましくは、(f)工程(e)により得られた核酸集団にRNAポリメラーゼおよびラベル化したヌクレオチド3燐酸を適用し、ラベル化されたRNAからなる核酸集団を調製する工程、をさらに含む方法;
本発明の方法により調製される、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団であって、増幅産物がほぼ均一の長さを有している核酸集団;
該核酸集団をマイクロアレイに適用する、定量的マイクロアレイ解析方法;
配列番号1に示す核酸配列を有する核酸分子、配列番号2に示す核酸配列を有する核酸分子、配列番号3に示す核酸配列を有する核酸分子、および配列番号1に示す核酸配列を有する核酸分子、および配列番号2に示す核酸配列を有する核酸分子からなるプライマー対;
(2) 以下の工程を含む、核酸配列の増幅方法:
(a)生物学的試料、具体的には真核生物の細胞、好ましくは1個から数個の細胞、より好ましくは1個の細胞から単離したmRNAを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマー、好ましくは配列番号1に示す核酸配列を有する第1のプライマーを用いて逆転写することにより一次鎖cDNAを調製し、好ましくは逆転写反応を5−10分行い一次鎖cDNAを調製し、あるいは長さがほぼ均一である一次鎖cDNAを調製し、
(b)工程(a)の反応の後、残存する第1のプライマーを失活させ、好ましくは残存する第1のプライマーをエキソヌクレアーゼIにて分解して失活させ、
(c)工程(a)により得られた一次鎖cDNAをポリAテーリング反応に付し、次いでこれを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマー、好ましくは配列番号2に示す核酸配列を有する第2のプライマーを用いて二次鎖である2本鎖DNAを調製し、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYは互いに配列が異なっており、
(d)第1のプライマーを添加し、PCR増幅を行い、好ましくはPCR増幅を10−30サイクル行い、さらに好ましくは工程(c)により得られた二次鎖2本鎖DNAを3−10個に小分けし、それぞれPCR増幅を行い、次いでそれぞれの増幅産物を一緒にまとめ、より好ましくはアニーリング温度をプライマーのTm値に近づけてPCR増幅を行い、次いで
(e)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、好ましくはPCR増幅を4−10サイクル行い、より好ましくはアニーリング温度をプライマーのTm値に近づけてPCR増幅を行う方法:
(1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
(2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、好ましくは配列番号3に示す核酸配列を有する第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット;
好ましくは、(f)工程(e)により得られた核酸集団にRNAポリメラーゼおよびラベル化したヌクレオチド3燐酸を適用し、ラベル化されたRNAからなる核酸集団を調製する工程、をさらに含む方法;
より好ましくは、核酸配列が、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる方法;
(3)生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している核酸ライブラリーの調製方法であって、
(a)生物学的試料、具体的には真核生物の細胞、好ましくは1個から数個の細胞、より好ましくは1個の細胞から単離したmRNAを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマー、好ましくは配列番号1に示す核酸配列を有する第1のプライマーを用いて逆転写することにより一次鎖cDNAを調製し、好ましくは逆転写反応を5−10分行い一次鎖cDNAを調製し、あるいは長さがほぼ均一である一次鎖cDNAを調製し、
(b)工程(a)の反応の後、残存する第1のプライマーを失活させ、好ましくは残存する第1のプライマーをエキソヌクレアーゼIにて分解して失活させ、
(c)工程(a)により得られた一次鎖cDNAをポリAテーリング反応に付し、次いでこれを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマー、好ましくは配列番号2に示す核酸配列を有する第2のプライマーを用いて二次鎖である2本鎖DNAを調製し、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYは互いに配列が異なっており、
(d)第1のプライマーを添加し、PCR増幅を行い、好ましくはPCR増幅を10−30サイクル行い、さらに好ましくは工程(c)により得られた二次鎖2本鎖DNAを3−10個に小分けし、それぞれPCR増幅を行い、次いでそれぞれの増幅産物を一緒にまとめ、より好ましくはアニーリング温度をプライマーのTm値に近づけてPCR増幅を行い、次いで
(e)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、好ましくはPCR増幅を4−10サイクル行い、より好ましくはアニーリング温度をプライマーのTm値に近づけてPCR増幅を行う方法:
(1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
(2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、好ましくは配列番号3に示す核酸配列を有する第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット;
好ましくは、(f)工程(e)により得られた核酸集団にRNAポリメラーゼおよびラベル化したヌクレオチド3燐酸を適用し、ラベル化されたRNAからなる核酸集団を調製する工程、をさらに含む方法;
(4)マイクロアレイに適用するためのcDNA集団を調製するキットであって、
(a)生物学的試料、具体的には真核生物の細胞、好ましくは1個から数個の細胞、より好ましくは1個の細胞から単離したmRNAから一次鎖cDNAを調製するための、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマー、好ましくは配列番号1に示す核酸配列を有する第1のプライマー、
(b)第1のプライマーを失活させるための試薬、好ましくはエキソヌクレアーゼI、
(c)2本鎖DNAを調製するための、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマー、好ましくは配列番号2に示す核酸配列を有する第2のプライマー、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYは互いに配列が異なっており、
(d)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセット:
(1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
(2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、好ましくは配列番号3に示す核酸配列を有する第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセットを含むキット、
好ましくは、cDNA集団が、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなるキット;に関する。
本発明は、簡便なPCR法による、オリゴヌクレオチドマイクロアレイへ直接応用できる、信頼性の高い、定量的な極微少量cDNA増幅技術を提供する。本発明方法では、一日の実験で単一細胞からマイクロアレイ実験に十分な量の鋳型cDNAを合成・増幅することができる。従来法と本発明方法の比較を、いくつかの遺伝子産物をプローブにした、リアルタイムPCR実験を用いて行い、システマティック誤差(系統誤差)、ランダム誤差ともに疑う余地もなく著しく改善されていることが確認された。さらに、本発明方法を用いて行ったマイクロアレイ実験では、従来法よりも遥かに改善された、再現性の良い定量的な単一細胞レベルでの解析が可能となったことが確認された。
図1は、本発明の核酸配列増幅方法を説明するチャート図である。 図2は、従来のcDNA増幅方法および本発明増幅方法による遺伝子発現量を、系統誤差およびランダム誤差について比較したグラフである。 図3は、オリジナルRNAの量および本発明増幅方法による遺伝子発現量を、マイクロアレイ上でのシグナル強度について比較したグラフである。 図4は、本発明増幅方法により独立に増幅した二つの遺伝子発現量を、マイクロアレイ上でのシグナル強度について比較したグラフである。 図5は、本発明増幅方法による遺伝子産物のコピー数とマイクロアレイ上のシグナル強度との関係を示すグラフである 図6(a)は、ゲル電気泳動による精製(ゲル精製)の前後において相対的遺伝子発現量が維持されていることを示すグラフである。相対的遺伝子発現量はABI社のリアルタイムPCRを用いて定量した。縦軸はゲル精製前、横軸はゲル精製後の相対的遺伝子発現量である。遺伝子発現量はCycle of threshold(Ct値)で示した。図6(b)は、試験管内転写反応後における相対的遺伝子発現量の変化を示すグラフである。白抜きの四角はゲル精製後直接試験管内転写反応を行った場合を示す。黒四角はゲル精製後1サイクルPCRを行った後、試験管内転写反応を行った場合を示す。横軸はゲル精製後のDNAにおける相対的遺伝子発現量、縦軸は試験管内転写反応後のRNAにおける相対的遺伝子発現量である。RNAについては、逆転写反応によってDNAに変換した後、リアルタイムPCRにより相対的遺伝子発現量を定量した。1サイクルのPCRにより、相対的遺伝子発現量の維持が著しく改善された。
(1) 生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団を調製する方法
本発明は、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団を調製する方法、およびその方法により得られた核酸集団を提供する。
本発明において、「生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物」とは、生物学的試料における遺伝子産物群全体の構成がほぼ保持されている増幅産物であって、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ実験の標準プロトコルに適用できる水準、即ちマイクロアレイ解析に適用可能なレベルの産物量が確保されている増幅産物を意味する。
本発明において「生物学的試料」とは、mRNAの3’末端にポリAを持つ生物種、例えばヒトやマウスなどの哺乳類を含む動物、植物、菌類、原生生物などの真核生物の細胞を意味する。本発明は特に、生物学的試料として神経系もしくは血球系由来の細胞、または体性幹細胞または癌細胞への応用が期待される。
生物学的試料としての細胞の数は特に制限されないが、本発明が生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持したまま再現性良く増幅可能である点を考慮すると、細胞の数は100個以下、数十個、1個から数個、究極には1個の細胞レベルに応用可能である。
「定量的マイクロアレイ解析」とは、生物学的試料における遺伝子発現量をその発現量に応じた、例えば蛍光強度などの標識強度に反映させて表示できるマイクロアレイ解析である。マイクロアレイ解析はサイズの小さなガラス板支持体に遺伝子断片(プローブ)を高密度に固定し、そこに、遺伝子発現を解析するRNA(標的)を蛍光標識してハイブリダイズさせ、蛍光強度も基づき遺伝子発現量を調べる方法である。プローブとして固定する遺伝子断片の数を増やすことにより、より網羅的な遺伝子発現の解析が可能となる。
本発明方法の概要を示すと次の通りになる。第1のプライマーで一次鎖cDNAをつくり、第1のプライマーのうち未反応プライマーを失活させ、TdTでポリA付加し、第2のプライマーで二次鎖をつくり、再び第1のプライマーを加えてPCR増幅する。その産物に対して第3のプライマーと第2のプライマーを用いてさらにPCR増幅する。その後、所望により、明らかにmRNA由来ではない低分子量側の副産物を除去する。
本発明の方法の概要を図1に示す。図1はあくまでも本発明の方法の一例についての説明であり、当業者は適宜変更を加えて本発明を実施することができる。以下において本発明方法の各工程について図1を参照しつつ詳細に説明する。
(a)一次鎖cDNAの調製
生物学的試料から単離したmRNAを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマーを用いて逆転写することにより一次鎖cDNAを調製する。
以後のPCR反応における増幅効率が鋳型cDNAの長さに依存しないように、好ましくは逆転写反応の時間を5−10分、より好ましくは約5分間にまで短縮すればよい。これにより、全長の長いmRNAについて、長さのそろった一次鎖cDNAが合成される。「一次鎖cDNAの長さがほぼ均一」とは、このような全長の長いmRNAについて長さのそろった一次鎖cDNAが得られることを意味し、短いcDNAの存在を排除するものではない。
(b)残存する第1のプライマーを失活
工程(a)の反応の後、残存する第1のプライマーを分解その他の方法により除去する工程である。典型的にはエキソヌクレアーゼIまたはエキソヌクレアーゼTにより残存プライマーを分解すればよい。あるいは、残存プライマーの3’側をアルカリホスファターゼ等により修飾することにより、失活させることもできる。
これまでの方法では、増幅の過程で生じる副産物が全体の30%以上を占めてしまう(例えば、非特許文献2参照)。我々はこの副産物が、一次鎖cDNA合成での残存プライマーが、意図しない経路で増幅されたものであることを見いだし、それを失活させることにより、副産物生成を最小限に抑えた。
(c)ポリAテーリング反応、および第2のプライマーを用いた二次鎖2本鎖DNAの調製
工程(a)により得られた一次鎖cDNAをポリAテーリング反応に付し、次いでこれを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマーを用いて二次鎖である2本鎖DNAを調製する。
ここに使用する第2のプライマーと工程(a)にて用いる第1のプライマーとは、相互に核酸配列が異なるが、一定の同一性を有し、かつプロモーター配列を含まないことを特徴とする。
従来の極微少量cDNA増幅技術では、cDNAの3’側と5’側に対して同一のプライマーを用いるため、T7プロモーターを付加してcRNAだけを合成することができない。また、両側からラベル化RNAを合成したり、2本鎖cDNAをそのままラベル化してアレイにハイブリダイズしても、センス鎖とアンチセンス鎖が互いにハイブリダイズするため、アレイ上のオリゴヌクレオチドに定量的にハイブリダイズするとは限らず、オリゴヌクレオチドアレイの優れた再現性と定量性が深刻にスポイルされてしまう。
試行錯誤の後、互いに配列が異なり、相互に類似したプライマーセットがより効率的な増幅を行うことを見出した。
以下、第1および第2のプライマーについて、より詳細に説明する。
工程(a)にて用いる第1のプライマー: ポリT+任意の付加核酸配列X、および第2のプライマー: ポリT+任意の付加核酸配列Y、における付加核酸配列XおよびYは、互いに配列が異なる。cDNAの3’側と5’側に対して異なるプライマーを用いることによって、以後のPCR増幅において3’側と5’側を区別できる方向性をつけることができ、これにより、以後の工程においてcDNAの3’側にのみT7プロモーターを付加することがはじめて可能になった。増幅の初めからT7プロモーターを含むプライマーを用いると、システマティック誤差(系統誤差)とランダム誤差の両方が著しく増加する。この意味において、付加核酸配列XおよびYはプロモーター配列を含んではならない。
付加核酸配列XおよびYはさらに、XおよびYにおける共通配列のTm値が、第1および第2のプライマーにおけるTm値それぞれよりも低くなるように共通配列を選択し、かつ可能な限りその値が離れるようにする。そうすることで、以後のPCR反応におけるアニーリングの際に第1および第2のプライマーが互いに別の部位にアニールしてしまう望ましくないクロスアニーリングを防止できる。換言すれば、共通配列のTm値は、第1および第2のプライマーをアニーリングする以後のアニーリング温度を超えないように選択する。Tm値とは、DNA分子の半数が、相補鎖とアニールするときの温度である。なお、アニーリング温度はプライマーの対合を可能にする温度に設定し、通常、プライマーのTm値よりも低い温度にする。
好ましくは、第1のプライマーと第2のプライマーの核酸配列は77%以上、より好ましくは78%以上、さらに好ましくは80±1%、最も好ましくは79%の同一性を有する。配列同一性の上限は上記の通り、両プライマーの共通配列のTm値がアニーリング温度を超えない上限の%である。あるいは、第1のプライマーと第2のプライマーの核酸配列は、付加核酸配列XおよびYが55%以上、より好ましくは57%以上、さらに好ましくは60±2%の同一性を有している両配列、と規定することもできる。上限は、付加核酸配列XおよびYにおける共通配列のTm値が、PCR反応におけるアニーリング温度を超えない上限の%である。
使用する第1および第2のプライマーにおける付加核酸配列XおよびYは好ましくは、それぞれパリンドローム配列を有する。具体的には制限酵素部位、例えばAscI、BamHI, SalI, XhoI部位、その他EcoRI, EcoRIV, NruI, NotIなど、ほとんどすべての制限酵素部位はパリンドローム配列を有しているので、これらの配列を有することができる。従って、第1および第2のプライマーの具体例として、配列番号1に示す核酸配列を有する核酸分子および配列番号2に示す核酸配列を有する核酸分子のプライマー対が挙げられる。
第1および第2のプライマーの核酸配列における上記同一性は、遺伝子発現量の相対的関係を保持する増幅が良好でなかった次の実験例に基づく。
例1: 3'側プライマーとしてT7プロモーター、5'側プライマーとしてT7プロモーターの配列の5'から3'の順序を逆にした配列(T7-reverse)を用いた場合、これら2つのプライマーは塩基組成が同一でTm値も同一だが、遺伝子発現量の相対的関係は崩れていた。
例2: プライマーの組み合わせでV1(配列番号1)とIDT(Saito, H. Kubota, M.Roberts, R. W.Chi, Q.Matsunami, H. (2004).“RTP family members induce functional expression of mammalian odorant receptors” Cell 119 (5): 679-91.、TATAGAATTCGCGGCCGCTCGCGA(dT)24)を用いた場合、これら二つのプライマーは全体で74.5%の配列同一性をもっていたが、これも遺伝子発現量の相対的関係が崩れていた。
例3: V3(dT)24(配列番号3)の配列の内、制限酵素部位AscI(GGCGCGCC)をNotI(GCGGCCGC)に変えたもの(V3NotI(dT)24)をV1(dT)24と組み合わせて行った場合、これら二つのプライマーは全体で76.9%の同一性を持つが、やはり遺伝子発現量の相対的関係が崩れていた。
このようにして、最終的に、全体の約80%近くが同一の配列からなるプライマーセットによって、方向性のある増幅が誤差を抑制しながら効率よくおこなわれることを確認した。
さらに、用いる第1および第2のプライマーは、通常のPCRに使うよりも高いTm値を持っているプライマーであることが好ましい。通常のPCRに使うよりも高いTm値を持つプライマーを用いることにより、アニーリング温度をプライマーのTm値に近づけることができ、それにより非特異的なアニーリングを抑制できる。
アニーリング温度は典型的には55℃であるので、通常のPCRの使うTm値は60℃である。そこで、本発明に用いるプライマーのアニーリング温度は60℃以上90℃未満、好ましくは約70℃、最も好ましくは67℃である。
(d)PCR増幅
次に、第1のプライマーをさらに添加し、PCR増幅を行う。
システマティックな誤差(系統誤差)を抑えながらDNAを効率よく増幅することができる、適切なPCRサイクル数を決定する必要がある。1細胞レベルにまで希釈したES細胞由来のRNAを出発試料として、PCRを4−30サイクル行い、相対的な発現量が数倍から数百倍異なるいくつかの遺伝子産物の相対的な量を比較した実験を行った。その結果、それらの相対的関係が保持されながら効率的に増幅される最大のサイクル数として、24サイクルが決定された。ただし、このサイクル数は、PCRに用いる溶媒、温度、プライマー等により変動し得るので、本発明においてはPCR増幅を10−30サイクル、好ましくは約20サイクル行う。
工程(d)において、PCR増幅におけるアニーリング温度を、用いるプライマーのTm値に近づけることにより、非特異的なアニーリングを抑制することができる。例えば、配列番号1に示す核酸配列を有する核酸分子および配列番号2に示す核酸配列を有する核酸分子のプライマー対を用いる場合、アニーリング温度は、60℃以上90℃未満、好ましくは約70℃、最も好ましくは67℃である。
工程(d)では、同一の出発サンプルに由来する一次鎖cDNAを複数の、例えば3−10個、好ましくは約4個のチューブに小分けし、それぞれPCR反応を行い、最後に再び混合するのが好ましい。そうすることにより、ランダム誤差が平均化され、それを著しく抑制することができる。
(e)第3のプライマーを用い、PCR増幅
第3のプライマーは、第1のプライマーまたは第2のプライマーのいずれか一方のプライマーにおけるヌクレオチド配列中の付加核酸配列XまたはYの5’側にプロモーター領域が結合しているプライマーである。
よって、ここで用いるプライマーセットは、
(1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
(2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、のいずれかから選択する。
プロモーター領域は、RNAポリメラーゼが認識できる部位であれば特に制限されないが、好ましくはT7プロモーター領域、T3プロモーター領域、SP6プロモーター領域である。具体的には、配列番号3に示す核酸配列を有する核酸分子を用いる。
この工程では、上記プライマーセット(1)または(2)のいずれかを用い、PCR増幅を4−10サイクル、好ましくは5サイクル行う。このサイクル数は、プロモーター領域を含む増幅産物を充分な数で確保する観点から、少なくとも3サイクル以上必要である。
アニーリング温度は(d)項での説明と同様である。
上記工程(a)から(e)により、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団が調製される。本発明は別の態様として、上記工程(a)から(e)により調製される、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団であって、増幅産物がほぼ均一の長さを有している核酸集団を提供する。ここに、「ほぼ均一の長さを有している」とは、全長の長いmRNAについて長さのそろった増幅産物が得られることを意味し、短い長さの増幅産物の存在を排除するものではない。さらに、本発明の核酸集団中の増幅産物は3’側と5’側を区別できる方向付けがされている。
上記工程により得られる本発明の核酸集団は、定量的マイクロアレイ解析に適用するための試料、あるいは配列決定用の試料として有用であるが、本発明の方法で得られた増幅産物中には、mRNAに由来するcDNA(主に約500bp以下の長さをもつDNAの一部の集団)と副産物DNA(主に約200bp以下の長さをもつDNAの集団)の混合物である。かかる副産物が混入したままプロモーター領域を付加して試験管内転写反応を行うと、次工程(f)において副産物を鋳型としたRNAも合成されてしまう。これはマイクロアレイへのハイブリダイゼーション実験に悪影響を及ぼすおそれがある。すなわち、副産物が混入していると、必要なターゲットRNAの量を測定することが不可能になる。その理由は、RNA量を定量する際に副産物と「正しい」産物を見分けることが不可能だからである。したがって、増幅産物の用途によっては(例えば、これを試験管内転写反応によりRNAとし、Affymetrix社のオリゴヌクレオチドマイクロアレイGeneChipシリーズに適用する等)、増幅産物中の副産物DNAを除去することが必要となる。
かかる副産物DNAの除去工程はゲル濾過法、ゲル電気泳動法などの当該分野で公知のいずれの手段を用いて行ってもよいが、ゲル電気泳動による精製により副産物DNAを除去することが好ましい。その理由は、ゲル電気泳動は操作が簡便で、回収率が良好で、サイズ分離能が高く、安価だからである。除去される副産物DNAの長さは通常約300bp以下であり、例えば約200bp以下の長さのものを除去してもよい。副産物DNA除去のタイミングはプロモーター領域を付加する前、後のいずれであってもよいが、プロモーター領域付加後においては増幅されたcDNAが豊富に存在するので、精製効率や操作の安全(試料cDNAの喪失を防止)の面から、プロモーター領域を付加後が好ましい。
本発明者らは、上述のごとく副産物DNAを除去した集団を鋳型として試験管内転写反応を行うと、ある頻度で、転写産物であるRNAにおける相対的遺伝子発現量に変化が生じることを見出した。これを解消するためには、副産物DNA除去工程後、さらにPCRを行って、その増幅産物を鋳型にして試験管内転写反応を行うと、転写産物RNAにおける相対的遺伝子発現量が完全に維持されることがわかった(実施例2参照)。このPCRの条件は、目的とするDNA配列が増幅されるものであれば特に制限はないが、好ましいPCR条件は、工程(e)のプロモーター配列付加反応と同様の条件である。このPCRのサイクル数についても制限がないが、通常は数回で十分である。PCRにより相対的遺伝子発現量が変化するリスクを小さくするたにはサイクル数を減らすことが好ましく、1回だけでも十分効果がある。
上述のような副産物DNA除去工程、およびその後のPCR増幅工程は、本発明の、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団を調製する方法のみならず、下記の本発明の核酸増幅方法、ならびに生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している核酸ライブラリーの調製方法、ならびに本発明のキットのいずれにおいても適用可能である。
(f)本発明の核酸集団をRNAからなる核酸集団に変換
上記工程(a)から(e)により得られる本発明の核酸集団にRNAポリメラーゼおよびラベル化したヌクレオチド3燐酸を適用することにより、ラベル化されたRNAからなる核酸集団を調製することができる。このラベル化された核酸集団は、複数の遺伝子発現量を同時に測定できる、現在主流となりつつあるAffymetrix社のオリゴヌクレオチドマイクロアレイGeneChipシリーズに適用することができる。
(2)核酸配列増幅方法
本発明は別の態様として、本発明の核酸集団調製方法における工程(a)から(e)を含む、核酸配列の増幅方法を提供する。好ましくは、核酸配列は、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる。
(3)生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している核酸ライブラリーの調製方法
本発明はさらに別の態様として、本発明の核酸集団調製方法における工程(a)から(e)を含む、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持しているライブラリーの調製方法を提供する。
本方法により調製されるcDNAライブラリーは、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持しているライブラリーである。このcDNAライブラリーをクローニングしたプラスミドによって大腸菌を形質転換し、培地上で発育させれば、形質転換体それぞれに対応して幾万ものコロニーが生成される。次いで、それらをピックアップしてそれぞれのプラスミドの配列を決定し、データベース化すると、発現頻度の高い遺伝子であれば、それに対応する全く同一の配列がデータベース上その発現頻度に応じた回数で出現することになる。従って、このようにして頻度を算定することで、マイクロアレイを用いなくても、理論的には生物学的試料における遺伝子発現量の相対関係を知ることができる。即ち、本発明のcDNAライブラリーを調製すれば、網羅的な配列解析により同一配列の出現頻度を調べることで、ゲノム情報が既知であってもなくても、遺伝子発現量の相対的関係を知ることが出来る。
このようにして作製されたライブラリーに基づくデータベースは、expression sequence tag[EST]データベースと呼ばれる。既知のESTデータベースの中には、ESTの5'-,3'-の向きが不明であるものがあるが、本方法により作製されるライブラリーでは、その向きが明確に分かる。遺伝子発現量の相対的関係を再現性よく保った[有向]ESTライブラリーデータベースは、マイクロアレイの適用が困難な生物種、すなわち全ゲノム配列がまだ分かっていない大多数の生物種においても、マイクロアレイを用いずに単一細胞レベルで遺伝子発現の相対量がわかるという点で非常に有効である。また全ゲノムがわかっている生物種に関しても、遺伝子多型等の個体間の違いを考慮に入れた解析が、単一細胞レベルで可能になる。
(4)マイクロアレイに適用するためのcDNA集団を調製するキット
さらなる別の態様として本発明は、マイクロアレイに適用するためのcDNA集団を調製するためのキットを提供する。
本発明のキットは、
(a)生物学的試料から単離したmRNAから一次鎖cDNAを調製するための、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマー、
(b)第1のプライマーを失活させるための試薬、
(c)2本鎖DNAを調製するための、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマー、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYは互いに配列が異なっており、および
(d)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセット:
(1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
(2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、を含む。
本発明のキットは、他に核酸を増幅するための各種試薬を含むことができる。さらに、コントロール実験のためのプライマー等を含むこともできる。
本発明のキットに含まれる構成要素を例示すれば、以下の通りである: 以下の実施例に示す全ての試薬、Spike RNA、ES細胞由来RNA(コントロール実験用)、cDNA増幅用プライマー(V1[dT]24, V3[dT]24, T7V1)、DNAの精製キット(Qiagen)、コントロール実験のためのリアルタイムPCR用プライマー(Gapdh, Oct4, Nanog, Sox2, Ezh2, Yy1, Eras, Tiarの各遺伝子特異的プライマー)。
本発明のキットは、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなるcDNA集団を調製するものが好ましい。
本発明の上記キットは、本発明の、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団を調製する方法、核酸増幅方法、ならびに生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している核酸ライブラリーの調製方法を実施するために使用することができる。
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
実施例にて使用している各種緩衝液等はSaito, H. Kubota, M.Roberts, R. W.Chi, Q.Matsunami, H. (2004). “RTP family members induce functional expression of mammalian odorant receptors” Cell 119 (5): 679-91を参考にして調製したものであり、以下の組成を有する。

Figure 0005526326

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表1中、使用しているプライマーは次の通りである
Figure 0005526326
A.一次鎖cDNAの合成および指数関数的な増幅
工程1: プライマーV1 (dT)24の添加
まず、マウス初期胚(受精後6.5-8.5日胚)の尿膜基底部をグラスキャピラリーで切り取り、0.05%トリプシン処理して単一細胞にした後、マウスピペットで細胞を採取した。一回の実験で20個の細胞を採取した。0.5 ml thin-wall PCR チューブ中、得られた単一細胞(<0.5 μl)に細胞溶解緩衝液(表1の(1))4.5 μl を加え、15秒間、卓上遠心機にて遠心し、氷上に置いた。70℃に90秒間加温し(湯浴)、氷上に1分間おいた。次いで、卓上遠心機にて遠心し、氷上に置いた。
工程2: 逆転写
工程1にて調製した試料にRT 混合物(表1の(2))0.3 μlを加え、50℃にて5分反応させた(湯浴)。次いで、70℃にて10分間処理し(湯浴)、反応を停止させ、次いで、卓上遠心機にて遠心し、氷上に1分間置いた。
工程3: エキソヌクレアーゼ分解
工程2にて調製した試料にエキソヌクレアーゼ I 混合物(表1の(3))1 μlを加え、37℃にて30分反応させ、次いで80℃にて25分処理した(PCRマシン)。得られた処理物を遠心し、氷上にて1分間置いた。
工程4: ポリ(A)テーリング
工程3にて調製した試料に TdT ミックス(表1の(4))6 μlを加え、37℃にて15分反応させ(水浴)、次いで70℃で10分間処理し反応を停止させた(水浴)。次いで、卓上遠心機にて遠心し、氷上に1分間置いた。
工程5: プライマーV3 (dT)24の添加とPCR増幅
工程4にて調製した反応産物(ポリ-A テール化逆転写産物)12 μlをthin-wall 200 μl PCR チューブ 4本に1本あたり3 μl分注した。各チューブにPCR 混合物 I(表1の(5))20 μlを加え、95℃ 3分、50℃ 2分、72℃ 3分の条件にてDNA伸長反応を1 サイクル行い、氷上にて1 分静置し、卓上遠心機にて15秒遠心した。
各チューブにPCR 混合物 II(表1の(6))20 μlを加え、次いで各チューブにミネラルオイルを加え、95℃ 30分、67℃ 1分、72℃ 3分 (各サイクルについて付加的に6秒)の条件にてPCR増幅反応を20 サイクル行った。
工程6:
工程5にて得られた各チューブにおけるPCR 産物を混合した。
工程7:
Qiagen PCR 精製キットで精製し、EB 緩衝液 50 μlで溶出した。
B.T7プロモーターの付加
工程8:
T7プロモーターを付加するため、工程7にて調製したcDNA 10 μlを4本のthin-wall 200 μl チューブに分注し(1本あたり2.5 μl)、各チューブにPCR 混合物 III(表1の(7))47.5 μlを加え、さらにミネラルオイルを加えた。これに対して、95℃ 5分、64℃1分、72℃ 5分18秒を1 サイクル、次いで、95℃ 5分、67℃ 1分、72℃ 5分18秒 (各サイクルについて付加的に6秒)を4 サイクル行い、PCR増幅反応を行った。
工程9:
Qiagen PCR 精製キットで精製し、EB 緩衝液 50 μlで溶出した。
C.ゲル精製
工程10:
工程9にて得られた産物35 μlにDNA ローディング緩衝液 (Takara) 7 μlを加え、2% アガロースゲルにてBPB(ブロモフェノールブルー)がおおよそ2-3 cm移動するまで100Vで約10分間電気泳動した。
工程11:
スメアDNA (300 bp 以上のもの全部) を切り出し(およそ0.3 - 0.5 g)、Qiagen ゲル精製キットで精製した。
最終的なcDNA産物は、Ambion MEGA Scriptを用いた10 μlスケールのT7反応を2時間したとき(4 μlを鋳型として用いる)、約10 μgの非標識 RNAを与えた。
試験例1
従来のcDNA増幅方法(AL1法)と本発明のcDNA増幅方法(V1V3法)との比較
マウスES細胞由来のRNAを1細胞レベル(およそ10 ピコグラム)にまで希釈し、AL1法(非特許文献3)および本発明V1V3法を用いてcDNAを合成・増幅した。本発明V1V3法は実施例1に記載の方法である。すべての実験において、同一の未増幅RNA(以下、オリジナルRNAと称す)から希釈されたRNAから増幅を行った。それぞれの方法について、6回の独立した実験を行った。
増幅されたcDNA集団における各遺伝子の相対的発現量、すなわち各遺伝子産物mRNAに由来する増幅後のcDNAの量を、希釈も増幅もしていないオリジナルのES細胞由来RNA(1マイクログラム)における各遺伝子の相対的発現量と比較し、オリジナルRNAからの偏差がAL1法とV1V3法でどの程度違うのかを調べた。
ES細胞由来のRNAでは、数千から一万個の遺伝子が発現していると考えられる。その中から代表的な8つの遺伝子(Gapdh,Oct4,Sox2,Ezh2,Yy1,Nanog,Eras,Tiar)を選び、オリジナルRNAおよび増幅されたcDNAにおける各遺伝子の発現量を、リアルタイムPCR(参考:http://www.takara-bio.co.jp/prt/pdfs/prt1.pdf)によって測定した。Gapdhを用いて各遺伝子の発現量を規格化して相対量を算出した。
得られた結果を図2に示す。
図中、横軸には、オリジナルRNAにおける、Gapdhで規格化した各遺伝子の相対的発現量(Gapdhからの倍率変化、すなわちGapdhの何倍の発現量であるか)をプロットした。左から右に向かって相対的発現量が小さくなるように軸の向きをとった。Oct4の発現量がGapdhにもっとも近く(およそ1/1.2)、Tiarの発現量がもっとも少ない(およそ1/650)。すなわち、上記8つの遺伝子を選ぶことで、約650倍の範囲に及ぶ遺伝子発現量が調べられる。
縦軸には、増幅されたcDNA集団における、相対的遺伝子発現量のオリジナルからの倍率変化(Gapdhで規格化した各遺伝子の発現量が、オリジナルの何倍であるか)をプロットした。×100(=1倍)を中心として、上下にずれるほど偏差が大きくなっている。上にプロットされるほど、オリジナルのRNAよりも相対的発現量が小さく(実際よりも小さく見積もられている)、下にプロットされるほどオリジナルのRNAよりも相対的発現量が大きい(実際よりも大きく見積もられている)。黒丸および×印はそれぞれ、V1V3法およびAL1法によって増幅されたcDNA集団における、相対的遺伝子発現量のオリジナルからの偏差の平均値を示す。バーは各手法・各遺伝子発現量における標準偏差を示す。
図2から、AL1法およびV1V3法によるcDNA増幅過程で生じた、相対的遺伝子発現量のひずみの大きさを知ることが出来る。すなわち黒丸および×印によって系統誤差(再現性をもって生じる誤差)を、またバーの長さによってランダム誤差の大きさ(各実験間でのばらつきの大きさ)を知ることが出来る。
V1V3法(黒丸)では、すべての遺伝子についてオリジナルからのズレが0.5倍(2分の1)から0.25倍(4分の1)の範囲に収まっている。一方、AL1法(×印)ではオリジナルからのズレが遥かに大きく、多くの遺伝子が×10-1(10分の1)から×10-2(100分の1)の範囲にプロットされる。
さらに各遺伝子のバーの大きさに注目すると、V1V3法の方がAL1法よりもはるかに小さい幅の中に納まっていることが分かる。
これらのことから、V1V3法はAL1法よりも系統誤差・ランダム誤差ともに大幅に改善されていることが明らかになった。
試験例2
オリジナルRNAおよび増幅されたcDNA集団におけるマイクロアレイ上でのシグナル強度の比較
オリジナルのES細胞由来RNA(5 μg、約5×105細胞)を試料としてAffymetryx社のGeneChipマイクロアレイ解析を行った。また、ES細胞由来RNAを1細胞レベルにまで希釈し(およそ10 pg)、それを本発明のV1V3法により増幅したcDNA集団を試料とし、同様にGeneChipマイクロアレイ解析を行った。
得られた結果を図3に示す。図3から、オリジナルの遺伝子発現量の相対的関係が、cDNA増幅過程でどの程度保たれているかを知ることが出来る。
図中、横軸にオリジナルRNAにおける各遺伝子のシグナル強度をプロットし、縦軸に増幅cDNA集団における各遺伝子のシグナル強度をプロットした。オリジナルからの倍率変化が、2倍、5倍、10倍、1/2倍、1/5倍、1/10倍に対応する線をグラフ上に示した。
図3は、全遺伝子の90%以上が、1/2倍から2倍の範囲の中に納まることを示している。さらに、増幅cDNA集団とオリジナルRNAのシグナル強度間のR2値は0.88であった(R2値=相関係数Rの二乗)。これらのことから、V1V3法による増幅が、もともとの遺伝子発現の相対的関係を大きく歪ませていないことが明らかになった。この結果は図2に示す、代表的な8つの遺伝子についてリアルタイムPCR実験で測定した結果とも良く一致する。
試験例3
独立に増幅した二つのDNA集団におけるシグナル強度の比較
ES細胞由来のRNAを1細胞レベルにまで希釈し、そのうち2つを選択しそれぞれを別個のチューブで独立に増幅し、cDNA集団#1およびcDNA集団#2を得た。これらについてGeneChipマイクロアレイ解析を行った。
得られた結果を図4に示す。図4から、cDNA増幅がどの程度再現性良く行われるかを知ることが出来る。
図中、横軸に、増幅したcDNA集団#1を、縦軸に、増幅したcDNA集団#2をプロットした。全遺伝子の90%以上が、1/2倍から2倍の範囲の中に納まった。二つのcDNA集団のシグナル強度間のR2値は0.92であった。
各遺伝子のプロットは対角線付近に集まり、倍率変化2倍以内の遺伝子が90%以上であった。これらのことから、V1V3法による増幅が再現性良く行われることが明らかになった。
試験例4
遺伝子産物のコピー数とマイクロアレイ上のシグナル強度の対応
マイクロアレイ上でのシグナル強度とmRNAのコピー数を関係付けるために、「Spike法」と呼ばれる実験を行った。
Spike法とは、マウスゲノム上に存在しないRNA(Spike RNA)をcDNAの合成・増幅・ラベリング等の反応系に添加して、ポジティブコントロールとする手法である。Affymetrix GeneChipでは、枯草菌(Bacillus subtilis)由来の遺伝子lys, dap, phe, thr, trpをターゲットとしたプローブを用意しているので、これらの遺伝子をSpike RNAとして用いることが出来る。これらの遺伝子は原核生物の枯草菌に由来するため3’末端にポリAが存在しないので、そのままでは我々のcDNA増幅系で増幅することが出来ない。このためlys, dap, phe, thr, trp遺伝子の3’末端にポリdAを付加し、擬似的な真核生物様のmRNAをコードするようにした人工遺伝子が、プラスミドにクローニングされている。これらの人工遺伝子を鋳型として、(cDNA合成・増幅実験とは別に)mRNAを合成・精製して保存しておく。これらのmRNAは、どれだけの量をcDNA増幅反応系に添加するのかを、実験者が自由に決めることができ、添加されたRNAのコピー数と、そのRNAに由来するシグナル強度を関係付けることが出来る。
ここでは、3’末端に人工的にポリA が付加されたLys, Dap, Phe, Thr RNAを、それぞれ一細胞あたり1000, 100, 20, 5コピーになるように添加し、ES細胞由来RNAとともにcDNAを合成・増幅した。
得られた結果を図5に示す。
図中、横軸に加えたコピー数、縦軸にマイクロアレイ上でのシグナル強度をプロットした。黒い菱形がオリジナルRNA(5 μg、約5×105細胞)に添加された未増幅のSpike RNAを示す(5×105細胞分添加した)。白抜きの四角、菱形、三角、×印は、1細胞レベルに希釈されたES細胞由来RNAに添加されたSpike RNAを示す。これらのSpike RNAは1細胞分添加されている。Lys, Dap, Phe RNAは再現性良く増幅されたが、Thr RNA (5コピー/細胞)は再現性良く増幅されなかった。Lys, Dap, Phe RNAのコピー数とシグナル強度の間のR2係数は0.93であった。
図5の結果は、コピー数とシグナル強度が20コピーから1000コピーの間で良い相関を有することを示している。このことから、すくなくとも20コピー以上のmRNAについては、シグナル強度からmRNAのコピー数を見積もることが出来るほどの定量性が、本発明の増幅方法にあることがわかった。
実施例1の工程9にて得られた産物 μlを2%アガロースゲル電気泳動でサイズ分画したのち、エチジウムブロミド染色によってDNAを可視化し、約300bp以下のサイズのDNAを含む部分のゲルを市販のカミソリを用いて切り取り、QiagenゲルDNA抽出キット(Qiaquick GelExtraction kit)を用いてゲル断片からDNAを抽出した。
こうして副産物を除去したDNA集団について、ランダムに40のcDNAの配列を読んだところ、副産物は1つも含まれていなかった。また、ゲル精製の前後で、cDNAにおける相対的遺伝子発現量には変化がなかった(図6(a))。
ゲル断片から抽出されたDNAを、プロモーター配列付加反応と同一の、バッファー、基質、酵素の組成で1サイクルのPCRを行った。反応液組成は下記のとおりであった:
10xExTaq buffer (Takara) 20.0 μl
2.5mM each dNTP(dATP, dCTP, cGTP, dTTP) (Takara) 20.0 μl
H2O 141.2 μl
cDNA (副産物除去を行ったDNA) 8.8 μl
ExTaq Hot Start version (Takara) 2.0 μl
Total 200.0 μl
上記PCRの温度条件は:
95℃ 5分30秒 → 67℃1分 → 72℃16分
であった。
上記のようにして得られたPCR産物を鋳型に試験管内転写反応を行うと、転写産物RNAにおける相対的遺伝子発現量は完全に維持されることが判明した(図6(b))。このようにして得られたRNA集団は、例えばAffymetrix社のオリゴヌクレオチドマイクロアレイGeneChipシリーズでの使用に極めて好適である。
本発明は、生化学的研究分野、医学、食品分野あるいは物質生産分野等において利用可能である。

Claims (29)

  1. 生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる核酸集団を調製する方法であって、
    (a)生物学的試料から単離したmRNAを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマーを用いて5−10分間逆転写することにより一次鎖cDNAを調製し、
    (b)工程(a)の反応の後、残存する第1のプライマーを失活させ、
    (c)工程(a)により得られた一次鎖cDNAをポリAテーリング反応に付し、次いでこれを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマーを用いて二次鎖である2本鎖DNAを調製し、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYはプロモーター配列を含まず、かつ互いに配列が異なっており、付加核酸配列XおよびYは55%以上の同一性を有し、付加核酸配列XおよびYにおける共通配列のTm値が第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるTm値それぞれよりも低くなるように共通配列が選択されており、第1のプライマーと第2のプライマーの核酸配列は77%以上の同一性を有し、
    (d)第1のプライマーを添加し、PCR増幅を10−30サイクル行い、次いで
    (e)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセットを用いてPCR増幅を4−10サイクル行う方法:
    (1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
    (2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット。
  2. 上記工程(b)において、残存する第1のプライマーをエキソヌクレアーゼIにて分解して失活させることを特徴とする、請求項1記載の方法
  3. (f)工程(e)により得られた核酸集団にRNAポリメラーゼおよびラベル化したヌクレオチド3燐酸を適用し、ラベル化されたRNAからなる核酸集団を調製する工程、をさらに含む、請求項1または2記載の方法
  4. 工程(d)において、工程(c)により得られた二次鎖2本鎖DNAを3−10個に小分けし、それぞれPCR増幅を行い、次いでそれぞれの増幅産物を一緒にまとめる、請求項1−までのいずれか記載の方法。
  5. さらに、下記工程:
    工程(e)において、プライマー配列を付加した後に、増幅産物中の副産物DNAを除去し、その後、PCR増幅を行う
    を含む、請求項1−までのいずれか記載の方法。
  6. 生物学的試料が真核生物の細胞である、請求項1からまでのいずれか記載の方法。
  7. 生物学的試料が1個から数個の細胞である、請求項記載の方法。
  8. 生物学的試料が1個の細胞である、請求項記載の方法
  9. 第1のプライマーが配列番号1に示す核酸配列を有し、第2のプライマーが配列番号2に示す核酸配列を有し、第3のプライマーが配列番号3に示す核酸配列を有する、請求項1からまでのいずれか記載の方法。
  10. プロモーター配列が、RNAポリメラーゼで認識される部位であることを特徴とする、請求項1〜までのいずれか記載の方法。
  11. RNAポリメラーゼで認識される部位がT7プロモーター領域、T3プロモーター領域、またはSP6プロモーター領域である、請求項10記載の方法。
  12. 配列番号1に示す核酸配列を有する核酸分子。
  13. 配列番号2に示す核酸配列を有する核酸分子。
  14. 配列番号3に示す核酸配列を有する核酸分子。
  15. 配列番号1に示す核酸配列を有する核酸分子、および配列番号2に示す核酸配列を有する核酸分子からなるプライマー対。
  16. 以下の工程を含む、核酸配列の増幅方法:
    (a)生物学的試料から単離したmRNAを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマーを用いて5−10分間逆転写することにより一次鎖cDNAを調製し、
    (b)工程(a)の反応の後、残存する第1のプライマーを失活させ、
    (c)工程(a)により得られた一次鎖cDNAをポリAテーリング反応に付し、次いでこれを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマーを用いて二次鎖である2本鎖DNAを調製し、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYはプロモーター配列を含まず、かつ互いに配列が異なっており、付加核酸配列XおよびYは55%以上の同一性を有し、付加核酸配列XおよびYにおける共通配列のTm値が第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるTm値それぞれよりも低くなるように共通配列が選択されており、第1のプライマーと第2のプライマーの核酸配列は77%以上の同一性を有し、
    (d)第1のプライマーを添加し、PCR増幅を10−30サイクル行い、次いで
    (e)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセットを用いてPCR増幅を4−10サイクル行う方法:
    (1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
    (2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット。
  17. さらに、下記工程:
    工程(e)において、プライマー配列を付加した後に、増幅産物中の副産物DNAを除去し、その後、PCR増幅を行う
    を含む、請求項16記載の方法。
  18. 核酸配列が、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる、請求項16または17記載の方法。
  19. プロモーター配列が、RNAポリメラーゼで認識される部位であることを特徴とする、請求項1618までのいずれか記載の方法。
  20. RNAポリメラーゼで認識される部位がT7プロモーター領域、T3プロモーター領域、またはSP6プロモーター領域である、請求項19記載の方法。
  21. 生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している核酸ライブラリーを調製する方法であって、
    (a)生物学的試料から単離したmRNAを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマーを用いて5−10分間逆転写することにより一次鎖cDNAを調製し、
    (b)工程(a)の反応の後、残存する第1のプライマーを失活させ、
    (c)工程(a)により得られた一次鎖cDNAをポリAテーリング反応に付し、次いでこれを鋳型として、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマーを用いて二次鎖である2本鎖DNAを調製し、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYはプロモーター配列を含まず、かつ互いに配列が異なっており、付加核酸配列XおよびYは55%以上の同一性を有し、付加核酸配列XおよびYにおける共通配列のTm値が第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるTm値それぞれよりも低くなるように共通配列が選択されており、第1のプライマーと第2のプライマーの核酸配列は77%以上の同一性を有し、
    (d)第1のプライマーを添加し、PCR増幅を10−30サイクル行い、次いで
    (e)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセットを用いてPCR増幅を4−10サイクル行う方法:
    (1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
    (2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット。
  22. さらに、下記工程:
    工程(e)において、プライマー配列を付加した後に、増幅産物中の副産物DNAを除去し、その後、PCR増幅を行う
    を含む、請求項21記載の方法。
  23. プロモーター配列が、RNAポリメラーゼで認識される部位であることを特徴とする、請求項21または22記載の方法。
  24. RNAポリメラーゼで認識される部位がT7プロモーター領域、T3プロモーター領域、またはSP6プロモーター領域である、請求項23記載の方法。
  25. マイクロアレイに適用するためのcDNA集団を調製するためのキットであって、
    (a)生物学的試料から単離したmRNAから一次鎖cDNAを調製するための、ポリTと任意の付加核酸配列Xとからなる第1のプライマー、
    (b)第1のプライマーを失活させるための試薬、
    (c)2本鎖DNAを調製するための、ポリTと任意の付加核酸配列Yとからなる第2のプライマー、ここに、第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるそれぞれ付加核酸配列XおよびYはプロモーター配列を含まず、かつ互いに配列が異なっており、付加核酸配列XおよびYは55%以上の同一性を有し、付加核酸配列XおよびYにおける共通配列のTm値が第1のプライマーおよび第2のプライマーにおけるTm値それぞれよりも低くなるように共通配列が選択されており、第1のプライマーと第2のプライマーの核酸配列は77%以上の同一性を有し、および
    (d)下記(1)または(2)いずれかのプライマーセット:
    (1)付加核酸配列Xとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第2のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、または
    (2)付加核酸配列Yとその5’側に結合するプロモーター配列とからなる第3のプライマー、および第1のプライマーの組み合わせからなるプライマーセット、
    を含むキット。
  26. cDNA集団が、生物学的試料における遺伝子発現量の相対的な関係を保持している増幅産物からなる、請求項25記載のキット。
  27. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法を行うためのものである、請求項25または26記載のキット。
  28. プロモーター配列が、RNAポリメラーゼで認識される部位であることを特徴とする、請求項2527までのいずれか記載のキット。
  29. RNAポリメラーゼで認識される部位がT7プロモーター領域、T3プロモーター領域、またはSP6プロモーター領域である、請求項28記載のキット。
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