JP5516850B2 - 表示機能付き突起パターン形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、点字などの突起パターンを形成するとともにドットパターンの表示も可能な表示機能付き突起パターン形成装置に関する。
近年、バリアフリーあるいはユニバーサルデザインの一環として、様々なものに点字や点字に類似するものが併記されるようになり、視覚障害者の生活に多くの恩恵をもたらしている。点字は、人間が指などで触れる物体の表面に、突起した点を決まったルールで配置したものであり、文字や数字を表現するものである。一方、点字に類似するものは、文字や数字を直接表現するものではないが、物の識別や情報の伝達など様々な目的のために用いられるものであり、例えば日本の紙幣や道路における歩行者誘導用ブロックなどで使用されている。
ところで、近年の携帯情報端末装置の普及に伴い、この端末装置に種々の付加機能をもたせることが期待されている。その一つとして、例えば、電気的制御による微小変位を可能とするアクチュエータを端末装置に搭載することが考えられる。このようなアクチュエータの方式としては、主に圧電式が用いられるが、その他、静電引力式、超音波式、形状記憶合金式、高分子伸縮式なども考えられる。この高分子伸縮式のうち、イオン導電性高分子を用いた高分子アクチュエータや、高分子ハイドロゲルまたは高分子オルガノゲルを用いた高分子アクチュエータは、軽量であり、さらにその変形量が大きいことなどから、多くの検討がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に開示された、イオン導電性高分子を用いた高分子アクチュエータは、例えば、陽イオン物質が含浸されたイオン導電性高分子フィルム(イオン交換樹脂フィルム)とその表面に形成された一対の電極とからなり、電極間に電圧を印加することにより膨潤収縮がおこり、イオン導電性高分子フィルムに湾曲または変形を生じさせるものである。また、特許文献2に開示された、高分子ハイドロゲルまたは高分子オルガノゲルを用いた高分子アクチュエータは、例えば、電解液が含浸された高分子三次元架橋体とその表面に形成された一対の電極とからなり、電極間に電圧を印加することにより高分子三次元架橋体に酸化還元反応がおこり、高分子三次元架橋体に湾曲または変形を生じさせるものである。これらの高分子アクチュエータは軽量化や小型化が実現できることから、携帯情報端末へ適用することが可能である。
一方、芸術分野においては、突起パターンの形成に併せて映像表示を行うことが試みられている(例えば、非特許文献1参照)。このしくみは、スクリーンの背面に設置した複数のエアシリンダを動作させることにより、スクリーン上に突起パターンを形成するとともに、別に準備された映像をスクリーンへ投影するものである。
特開2007−143300号公報 特開2009−046649号公報
河口洋一郎、"超高精細映像と生命的立体造形が反応する新伝統芸能空間の創出技術"、[online]、平成19年9月、独立行政法人 科学技術振興機構、[平成21年7月1日検索]、インターネット〈 URL:http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/report/heisei18/html/mokuhyou/mokuhyou11.html 〉
上記した点字や点字に類似する情報(以下、点字等情報という。)は、通常、固定された内容のものであるが、これらの点字等情報を変更自在に表示することができる点字ディスプレイが実現できれば大変便利である。それを実現するには、上記したアクチュエータを利用することが考えられる。しかしながら、上記特許文献1、2に開示された高分子アクチュエータをそのまま携帯情報端末の表示装置に適用しても、突起パターンを形成することはできるものの、その突起パターンを視覚的に明確に確認することはできない。よって、ユーザは視覚障害者などに限定され、突起パターンを指などで触れて文字や記号などを認識することに不慣れな多くの健常者にとっては使用しにくいものとなる。
一方、上記非特許文献1に開示された技術では、突起パターンの形成および映像表示の両方を行うことができるようになっていることから、投影する映像として突起パターンに同期した内容のドットパターン映像を用いることにより、突起パターンとそのパターンに同期したドットパターンの投影とを同時に行うこともできると考えられる。しかしながら、この技術では、突起パターンを発生するために大きなエアシリンダを用いており、さらに映像を投影するための装置も別に必要になるなど、そのシステムの規模が大きい。よって、小型化や軽量化が必要とされる携帯情報端末に適用することは困難である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、突起パターンの形成とそのパターンに同期したドットパターンの表示を同時に行うことができ、かつ小型化と軽量化を実現できる表示機能付き突起パターン形成装置を提供することにある。
本発明の表示機能付き突起パターン形成装置は、弾性シートと、アクチュエータとを備えている。ここで、弾性シートは、透明であり、着色液体層を内層として有している。アクチュエータは、弾性シートの一方の面に沿って配置され、それぞれが電圧の印加に応じて弾性シートの面の方向に突出するように変形する複数のアクチュエータ素子を含む。この複数のアクチュエータ素子を選択的に駆動することにより、弾性シートに突起パターンが形成されると共に、着色液体層における着色液体が押しのけられることによりその突起パターンに対応したドットパターンが弾性シートに表示されるように構成されている。
本発明の表示機能付き突起パターン形成装置では、アクチュエータ素子が弾性シートの面の方向に突出するように変形動作すると、そのアクチュエータ素子の付近の弾性シートが押されて突起ができる。同時に、この押された部分では、着色液体層が圧迫されることにより、液体が押しのけられ視覚的に遮るものがなくなるため、弾性シートを通して、変形動作したアクチュエータ素子の突出先端部の一部が見える。この突出先端部の色は、着色液体層の液体の色と異なるようにするのが好ましい。例えば、突出先端部の色を黒色とし、その液体の色を白色にすることにより、アクチュエータ素子が弾性シートを押したとき、白色の液体が押しのけられた部分に黒色の突出先端部が見え、白地に黒ドットが表示されることとなる。この場合、弾性シートの着色液体層は、液体の偏りを防止するために、隔壁により複数領域に区分されている方が好ましい。
また、複数のアクチュエータ素子の選択的駆動を行うための駆動制御部によって、駆動すべきアクチュエータ素子の個数を変化させることにより、突起パターンの突起密度およびドットパターンのドット密度を変更するようにしてもよい。
アクチュエータ素子としては、イオン導電性高分子フィルムからなるシートをU字状に切り抜くことにより形成される舌状の作動片と、その両面にそれぞれ形成された駆動用電極とを有するものを使用することが可能である。この作動片は、その両面の駆動用電極に印加された電圧により、駆動用電極に垂直の成分をもって湾曲変形し、その先端部が弾性シートを押し上げる。イオン導電性高分子フィルムとしては、陽イオン交換樹脂が好適に用いられる。駆動用電極としては、カーボン粉末とイオン導電性樹脂からなるものを使用可能である。
また、アクチュエータ素子としては、高分子三次元架橋体を用いて構成されたものも使用可能である。
アクチュエータ素子のその他の具体例としては、次のようなものが可能である。例えば、アクチュエータ素子の突出先端部が球面状をなすように形成することができる。また、アクチュエータは、その突出先端部の色が互いに異なる複数のアクチュエータ素子を含んでいても良い。
本発明の表示機能付き突起パターン形成装置によれば、着色液体層を内層として有する弾性シートの面に沿って複数のアクチュエータ素子を配置したので、突起パターンの形成と、そのパターンに同期したドットパターンの表示を同時に行うことができ、かつ小型化と軽量化を実現できる。
本発明の第1の実施の形態に係る表示機能付き突起パターン形成装置の一構成例を表すブロック図である。 図1に示した表示機能付き突起パターン形成部の一構成例を表す斜視図である。 図2に示した弾性シートの一構成例を表す上面図および断面図である。 図2に示したアクチュエータの一構成例を表す分解斜視図である。 図2に示した表示機能付き突起パターン形成部のV−V矢視方向の概略断面構造を表す断面図である。 図2に示した表示機能付き突起パターン形成部のVI−VI矢視方向の概略断面構造を表す断面図である。 図5に示した高分子アクチュエータ素子の動作原理を表すものであり、(A)は駆動信号が印加されていない状態の模式図であり、(B)は駆動信号が印加されイオンが移動している状態の模式図であり、(C)駆動信号が印加されイオンが移動した状態の模式図である。 図5に示した表示機能付き突起パターン形成部の一表示要素の変形動作の一例を表すものであり、(A)は駆動信号が印加されていない状態の断面図であり、(B)は駆動信号が印加されている状態の断面図である。 図1に示した駆動制御部の動作を説明するための流れ図である。 図1に示した表示機能付き突起パターン形成装置の表示例を表すものであり、(A)は精細表示モードの模式図であり、(B)は粗表示モードの模式図である。 第1の実施の形態における一変形例を表すものであり、(A)はその一表示要素に係る高分子アクチュエータ素子の上面図であり、(B)は駆動信号が印加されていない状態の一表示要素の断面図であり、(C)は駆動信号が印加されている状態の一表示要素の断面図である。 第1の実施の形態における他の変形例を表すものであり、(A)はその一表示要素に係る高分子アクチュエータ素子の上面図であり、(B)は駆動信号が印加されていない状態の一表示要素の断面図であり、(C)は駆動信号が印加されている状態の一表示要素の断面図である。 第1の実施の形態における他の変形例を表すものであり、突起パターン形成部の一構成例を表す上面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る表示機能付き突起パターン形成装置の要部(表示機能付き突起パターン形成部)を表すものであり、(A)は駆動信号が印加されていない状態の断面図であり、(B)は駆動信号が印加されている状態の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る表示機能付き突起パターン形成装置の要部(表示機能付き突起パターン形成部)を表すものであり、(A)は駆動信号が印加されていない状態の断面図であり、(B)は駆動信号が印加されている状態の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.変形例
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示機能付き突起パターン形成装置の全体構成を表すものである。表示機能付き突起パターン形成装置1は、表示機能付き突起パターン形成部3と、駆動制御部11と、行選択部12と、列選択部13とを備えている。
駆動制御部11は、モード入力部21と、メモリ22と、モード制御部23とを有する。モード入力部21は、表示機能付き突起パターン形成部3での突起パターン形成およびドットパターン表示に関する2つの表示モードを外部から選択する際に使用される入力インターフェースである。ここで、2つの表示モードとは、文字や絵などの精細な情報を形成し表示する精細表示モードと、点字や図形など精細さを必要としない情報を形成し表示する粗表示モードである。メモリ22は、表示機能付き突起パターン形成部3にパターンを形成し表示する一フレーム分のデータを記憶するものである。モード制御部23は、モード入力部21から供給される信号に従ってメモリ22に記憶されたデータを加工し、行選択部12および列選択部13を制御するようになっている。
行選択部12は、モード制御部23から供給される制御信号に基づいて、表示機能付き突起パターン形成部3の行選択用の複数の電流供給用配線(後述)のうち一本を選択し、時分割的に順次走査するように駆動信号を印加する回路である。列選択部13は、モード制御部23から供給される制御信号に基づいて、表示機能付き突起パターン形成部3の列選択用の複数の電流供給用配線(後述)のうち駆動信号を印加する配線を選択し印加する回路である。
表示機能付き突起パターン形成部3は、弾性シート31とアクチュエータ33とを有する。アクチュエータ33は、行選択部12および列選択部13から供給される駆動信号に基づいて、突起パターンを形成するものである。弾性シート31は、アクチュエータ33で形成された突起パターンに基づいて、ドットパターンを表示する機能を有する。
(表示機能付き突起パターン形成部3の構成例)
図2は、表示機能付き突起パターン形成部3の構成例を斜視的に表すものである。表示機能付き突起パターン形成部3は、弾性シート(エラストマーシート)31と、高分子アクチュエータ素子32がマトリックス状に形成されたアクチュエータ33とを備えている。弾性シート31の表面は、表示機能付き突起パターン形成部3の突起パターン形成面およびドットパターン表示面として機能するものである。弾性シート31とアクチュエータ33とはお互いに重なり合うように接着されている。なお、その接着は全面でなされていても良く、もしくは一部でなされていても良い。
図3(A)は、弾性シート31の平面図を表し、図3(B)は(A)の弾性シート31のIII−III矢視方向の断面構成を表すものである。弾性シート31は、シリコンゴムを材料とした、透明で伸縮性に富むシートである。この弾性シート31は、その内部に中間層を有し、さらに、その中間層を面に対して複数の領域に区切る隔壁41を有している。隔壁41で区切られた中間層の各領域には白色の液体42が充填されている。なお、白色の液体42は、その他の特性として、不揮発性、油性、低い透過性などの特徴を有する方が望ましく、例えばシリコンオイルに酸化チタンを分散させたもの等が用いられる。
この弾性シート31の作製は、例えば、熱可塑性をもつ2枚のシリコンゴムシートの間に白色の液体を入れ、周囲および隔壁となる部分に熱を加えることにより行うことができる。その際、あらかじめ隔壁41が形成されたシリコンゴムシートを用いても良い。
図4は、アクチュエータ33の分解斜視構成を表すものである。アクチュエータ33は、イオン導電性高分子フィルム51と、駆動用電極52、53と、電流供給用配線55、56とを有している。イオン導電性高分子フィルム51は、後述するように、その両面に駆動信号を印加すると、その電位差に応じて湾曲するように変形するフィルムである。イオン導電性高分子フィルム51としては、例えばNafion(登録商標)(NRE−212)を使用することが可能である。駆動用電極52はイオン導電性高分子フィルム51の上面側にマトリックス状に配置され、同様に駆動用電極53はイオン導電性高分子フィルム51の下面側にマトリックス状に配置されており、それぞれがイオン導電性高分子フィルム51を挟んで並行平板を構成するようになっている。これらの駆動用電極52、53は、イオン導電性高分子フィルム51の両面に駆動信号を印加する電極として機能する。その材料は、カーボン粉末とイオン導電性樹脂であり、電極の色は黒色である。電流供給用配線55は、駆動用電極52のマトリックスの各列にそれぞれ1本ずつ準備され、その列の駆動用電極52に駆動信号を印加し電流を供給するようになっている。同様に、電流供給用配線56は、駆動用電極53のマトリックスの各行にそれぞれ1本ずつ準備され、その行の駆動用電極53に駆動信号を印加し電流を供給するようになっている。なお、駆動用電極52、53の表面には、この電流供給用配線55、56と接続するための金属層が形成されていても良い。この場合、駆動用電極52の表面は、例えば黒色に塗装されていることが好ましい。
イオン導電性高分子フィルム51には、駆動用電極52、53に挟まれる部分を周囲の3方向から取り囲むように、そしてそのイオン導電性高分子フィルム51を切り抜くように、切り込み54が形成されている。これは、後述するように、駆動用電極52、53に挟まれて、かつ切り込み54により囲まれたイオン導電性高分子フィルム51の一部分(舌状の作動片57)が湾曲する際、より大きく湾曲できるようにするためである。
イオン導電性高分子フィルム51は、フッ素樹脂、炭化水素系などを骨格としたイオン交換樹脂からなる。イオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂いずれでもよいが、このうち陽イオン交換樹脂が好適である。陽イオン交換樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基、カルボキシル基などの官能基が導入されたものが挙げられ、とくにフッ素樹脂にスルホン酸基、カルボキシル基などの官能基が導入された陽イオン交換樹脂が好ましい。
なお、少なくともイオン導電性高分子フィルム51に陽イオン物質が含浸されているが、この陽イオン物質とは、水及び金属イオン、水及び有機イオン、イオン液体のいずれかであることが好ましい。ここで、金属イオンとは例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられる。また、有機イオンとは例えば、アルキルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらのイオンはイオン導電性高分子フィルム51中において水和物として存在している。イオン導電性高分子フィルム51が水及び金属イオン、または水及び有機イオンを含み、含水状態となっている場合には、アクチュエータ33は、中からこの水が揮発しないように封止されていることが好ましい。
また、イオン液体とは、常温溶融塩とも言われる不燃性、不揮発性のイオンのみからな
る溶媒であり、例えばイミダゾリウム環系化合物、ピリジニウム環系化合物、脂肪族系化
合物のものを使用することができる。イオン導電性高分子フィルム51にイオン液体を含浸させている場合には、揮発する心配なく高温あるいは真空中でもアクチュエータ33を使用することができるようになる。
駆動用電極52、53は、カーボン粉末とイオン導電性樹脂とからなり、カーボン粉末同士がイオン導電性樹脂を介して結合している。カーボン粉末は、導電性をもつカーボンブラックの微細粉末であり、比表面積が大きなものほど駆動用電極52、53としてイオン導電性高分子フィルム51と接する表面積が大きくなり、より大きな変形量を得ることができる。例えばケッチェンブラック(登録商標)が好ましい。また、イオン導電性樹脂は、イオン導電性高分子フィルム51を構成する材料と同じものを使用することができる。
このアクチュエータ33の作製は、例えば以下の手順で行うことができる。まず、カーボン粉末(例えばケッチェンブラック(登録商標))とイオン導電性樹脂(例えばNafion(登録商標))の固形分比が1:1になるように調合し、さらに固形分が5%になるようにエタノール等の溶剤で希釈する。この混ぜ合わされたものを分散機にかけて分散することにより駆動電極用52、53の塗料を得る。この塗料を、例えばスプレー塗布装置を用いて、あらかじめ準備したイオン導電性高分子フィルム51(例えばNafion(登録商標)(NRE−212))の両面にマトリックス状に塗布し成膜する。さらに、これにイオン液体を含浸する。その後、切り込み54を形成する。最後に、電流供給用配線55、56を形成する。
図5は、図2の表示機能付き突起パターン形成部3のV−V矢視方向の概略断面構造を表し、図6は、図2の表示機能付き突起パターン形成部3のVI−VI矢視方向の概略断面構造を表すものである。作動片57は、駆動用電極52、53とともに高分子アクチュエータ素子32を構成する。
高分子アクチュエータ素子32は、弾性シート31内の隔壁41と重ならないように配置されている。これは、後述するように、ドットを表示するためには、高分子アクチュエータ素子32の上に白色の液体42が充填された中間層が必要なためである。
また、弾性シート31とアクチュエータ33とはお互いに重なり合うように接着されている。これにより、後述するように、アクチュエータ33の表面に配置されている高分子アクチュエータ素子32が湾曲した際、その形状の変化を弾性シート31に直接伝えるようになっている。
[動作および作用]
(全体の基本動作)
まず、本実施の形態の表示機能付き突起パターン形成装置1の全体動作を説明する。
モード入力部21は、外部から供給された表示モードの選択信号を受ける。モード制御部23は、メモリ22に記憶されている一フレーム分のデータを読み込み、モード入力部21から供給される信号に基づいてそのデータを加工する。より具体的には、精細表示モードのときは、メモリ22に記憶されている一フレーム分のデータそのものを用いて、行選択部12および列選択部13を制御するための信号を生成する。一方、粗表示モードのときは、メモリ22に記憶されている一フレーム分のデータから一部のデータを間引き、その加工されたデータを用いて行選択部12および列選択部13を制御するための信号を生成する。行選択部12は、モード制御部23から供給される制御信号を基に、表示機能付き突起パターン形成部3の複数の電流供給用配線56のうち1本ずつ選択し、時分割的に順次走査するように駆動信号を印加する。列選択部13は、モード制御部23から供給される制御信号を基に、表示機能付き突起パターン形成部3の複数の電流供給用配線55から駆動信号を印加する配線を選択し印加する。表示機能付き突起パターン形成部3は、行選択部12および列選択部13から供給されるこれらの駆動信号に基づいて、突起パターンの形成とそのパターンに同期したドットパターンの表示を同時に行う。
(高分子アクチュエータ素子32の動作例)
次に、高分子アクチュエータ素子32単体の動作原理について説明する。
図7は、高分子アクチュエータ素子32の動作を表すものであり、(A)は駆動信号が印加されていない状態を示し、(B)は駆動信号が印加されイオンが移動している状態を示し、(C)駆動信号が印加されイオンが移動した状態を示す。ここでは、イオン導電性高分子フィルム51内に陽イオン物質としてナトリウムイオンが含浸されているものとして説明する。
駆動用電極52、53に駆動信号が印加されていない状態では、図7(A)に示したように、その両面の電位差がないため、ナトリウムイオン61はイオン導電性高分子フィルム51の作動片57の内部に一様に存在する。
一方、駆動用電極52、53に駆動信号が印加されると、図7(B)に示したように、その両面の電位差により、作動片57内のナトリウムイオン61はそれぞれ低い電位が印加された駆動用電極に引き寄せられて移動する。この図では、駆動用電極53の電圧が駆動用電極52の電圧より低くなるように駆動信号を印加しており、ナトリウムイオン61はそれぞれ駆動用電極53に引き寄せられて移動している。この移動により、図7(C)に示したように、作動片57内の駆動用電極53の近傍では、ナトリウムイオン濃度が増加するため、この領域の体積は膨張し、一方、駆動用電極52の近傍では、ナトリウムイオン濃度が減少するため、この領域の体積は収縮する。この膨潤収縮の結果、作動片57内の駆動用電極52、53の近傍領域の間に体積差が生じることとなり、作動片57は駆動用電極52の方向に湾曲するようになる。
(表示機能付き突起パターン形成部3の動作例)
次に、表示機能付き突起パターン形成部3の動作および作用を説明する。まず、表示機能付き突起パターン形成部3の一表示要素の動作および作用について説明する。ここで、表示要素とは、表示機能付き突起パターン形成部3に表示される突起パターンおよびドットパターンを構成する最小要素を示し、液晶ディスプレイなどの表示装置における画素に相当するものである。
図8は、表示機能付き突起パターン形成部3の一表示要素の概略断面構造を表すものであり、(A)は駆動信号が印加されていない状態を示し、(B)は駆動信号が印加されている状態を示す。
駆動用電極52、53に駆動信号が印加されていない状態では、図8(A)に示したように、その表示要素に係る高分子アクチュエータ素子32は、その両面の電位差がないため、変形することなく平坦な形状を維持する。このとき、弾性シート31の表面もまた平坦な形状を維持することとなる。
また、弾性シート31は、高分子アクチュエータ素子32からの力を受けていないため、その中間層には充填された白色の液体42が均一に存在する。このとき、弾性シート31を上面側から見ると、弾性シート31の中間層に均一に存在する白色の液体42が、弾性シート31の上面を透過して見える。つまり、白色の状態が維持されることとなる。
一方、駆動用電極52、53に駆動信号が印加されている状態では、図8(B)に示したように、その表示要素に係る高分子アクチュエータ素子32は、それらの駆動信号の電位差に応じて湾曲するように変形する。駆動用電極52の電位は、駆動用電極53の電位より高くなっており、高分子アクチュエータ素子32は、高い電位が与えられている駆動用電極52の方向に湾曲変形する。作動片57は、図4に示したように、切り込み54により高分子アクチュエータ素子32の3方向がイオン導電性高分子フィルムから分離している。これにより、作動片57は、残りの一方向にあるイオン導電性高分子フィルム51に支持された部分を支点として大きく湾曲して突出し、弾性シート31を押し上げることができる。よって、この表示要素には、突起が形成されることとなる。
また、高分子アクチュエータ素子32は、弾性シート31を押し上げる際、中間層を圧迫するため、その中間層に存在する白色の液体42はその部分から押しのけられるように機能する。このとき、弾性シート31を上面側から見ると、白色の液体42が押しのけられた部分には、その下の湾曲変形した高分子アクチュエータ素子32の突出先端部が、弾性シート31を透過して見える。高分子アクチュエータ素子32の上面側の表面には黒色の駆動用電極52が形成されているため、外部からはこの駆動用電極52が見えることとなる。よって、この表示要素には、黒色のドットが表示されることとなる。
このように、表示機能付き突起パターン形成部3の一表示要素は、駆動用電極52、53に駆動信号が印加されていない状態では、平坦かつ白色のままとなる。一方、駆動用電極52、53に駆動信号が印加されている状態では、突起が形成され、さらにそれに同期して黒色のドットが表示される。
なお、この動作例から明らかなように、ドットを表示するためには、高分子アクチュエータ素子32の上に白色の液体42が充填された中間層が必要であるため、隔壁41と高分子アクチュエータ素子32とは重ならないように配置される必要がある。この隔壁41は、特に、弾性シート31として大きいものを用いる場合などに必要となる。つまり、例えば大きい弾性シートを傾けた場合などでは、白色の液体42が中間層内で移動することにより、表示面である弾性シート31に濃淡が発生するおそれがあるが、隔壁41を形成することにより、区分された領域はそれぞれ小さくなるため、この濃淡の発生を低減することができる。
以上、表示機能付き突起パターン形成部3の一表示要素の機能について説明したが、この一表示要素の機能が表示機能付き突起パターン形成部3の複数の表示要素で独立して実現することにより、点字や文字、画像などの2次元的な情報が突起パターンおよびそのパターンに同期したドットパターンとして表示されるようになる。以下に、その動作を詳細に説明する。
行選択部12は、モード制御部23から供給される制御信号に基づいて、表示機能付き突起パターン形成部3の行選択用の複数の電流供給用配線56のうち一本を選択し、駆動信号を印加する。これにより、選択された行に属する全ての高分子アクチュエータ素子の駆動用電極53に、この駆動信号が印加されることとなる。
一方、列選択部13は、モード制御部23から供給される制御信号に基づいて、表示機能付き突起パターン形成部3の列選択用の複数の電流供給用配線55から駆動信号を印加する配線を選択し印加する。駆動信号が印加される電流供給用配線55は、一本とは限らず、複数本の場合もあれば、一本も印加されない場合もある。これにより、選択された列に属する全ての高分子アクチュエータ素子の駆動用電極52に、この駆動信号が印加されることとなる。
高分子アクチュエータ素子32は、駆動用電極52、53の両方に駆動信号が印加されたときに、その電位差により湾曲するように変形し、それによりその表示要素に表示を行う。つまり、行選択部12が選択した行に属する表示要素(水平表示要素ライン)のうち、列選択部13が選択した列に属するものが、表示を行うことができる。表示機能付き突起パターン形成部3は、水平表示要素ラインごとに、線順次にその全面にわたって走査を行うことによって、一フレームの情報を表示するものである。
このアクチュエータ33の駆動方式は、いわゆるパッシブマトリックス方式に属するものである。これと対比されるものに、いわゆるアクティブマトリックス方式がある。アクティブマトリックス方式では各表示要素にトランジスタが必要となり、さらにこのトランジスタを駆動する回路も必要となるが、パッシブマトリックス方式ではこれらを必要としないため、システムの構成がシンプルになるという利点がある。
なお、表示機能付き突起パターン形成部3において、アクチュエータ33は突起パターンを形成する装置として機能し、弾性シート31はその突起パターンに基づいてドットパターンを表示する装置として機能している。これは、アクチュエータ33を動作させることにより、突起パターンの形成と、そのパターンに同期したドットパターンの表示を同時に行うことができることを示している。つまり、突起パターンを形成する手段とドットパターンを表示する手段とが同一である為、突起パターンの形成とドットパターンの表示とを同期して行うことが可能になっている。
(駆動制御部11の動作例)
次に、駆動制御部11の動作および作用を詳細に説明する。駆動制御部11の主な機能は、2つの表示モード(文字や絵などの精細な情報を表示する精細表示モードと、点字や図形など精細さを必要としない情報を表示する粗表示モード)に応じて、表示機能付き突起パターン形成部3に表示するデータを加工することである。
図9は、駆動制御部11の動作の流れ図を表すものである。
S101において、2つの表示モードの選択に関する情報が、外部よりモード入力部21を介して入力される。その情報は、人によって供給されてもよく、または他の装置から供給されてもよい。
次に、S103において、モード制御部23は、S101で入力された表示モードに従って、条件分岐する。
精細表示モードの場合、S105において、モード制御部23はメモリ22からデータを読み込み、S109において、そのデータに基づいて行選択部12および列選択部13を制御する。この場合、最終的に表示機能付き突起パターン形成部3に表示される情報は、メモリ22に記憶されているデータと一対一で対応している。つまり、表示機能付き突起パターン形成部3の全ての表示要素に係る高分子アクチュエータ素子は、メモリ22に記憶されているデータに対応して変形動作する。
一方、粗表示モードの場合、S115において、モード制御部23はメモリ22からデータを読み込んだ後、S117においてそのデータからその一部のデータを間引くようにデータを加工する。この加工は、例えば、読み込まれた一フレームのデータから、等間隔の表示要素でのデータのみを残して他を消去するようにして行われてもよい。その後、S109において、その加工されたデータに基づいて行選択部12および列選択部13を制御する。この場合、最終的に表示機能付き突起パターン形成部3に表示される情報は、メモリ22に記憶されているデータと一対一で対応しない。つまり、データを消去された表示要素に係る高分子アクチュエータ素子は変形動作せず、限られた数の高分子アクチュエータ素子だけが変形動作する。これにより、粗表示モードでは、突起パターンの突起密度およびドットパターンのドット密度を減少させることができる。
図10は、表示機能付き突起パターン形成装置1における表示例を表すものであり、(A)は精細表示モードでの表示例を示し、(B)は粗表示モードでの表示例を示す。精細表示モードは、全ての表示要素が動作できることに起因して、文字や絵などの精細な表示に適している。一方、精細表示モードで表示された情報を指などで突起パターンとして認識する場合、その認識分解能には限界があるため、十分に認識できない場合もありえる。粗表示モードはこのような場合に使用されるものであり、点字や図形などの表示に適している。
[効果]
このように、本実施の形態では、アクチュエータ33と弾性シート31を重ねてかつ接するように配置したので、突起パターンの形成と、そのパターンに同期したドットパターンの表示を同時に行うことができ、かつ小型化と軽量化を実現できる。さらに、アクチュエータ33を高分子アクチュエータ素子で構成したので、さらなる装置の小型化と軽量化を実現できる。
次に、本実施の形態の変形例について説明する。なお、本実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
(変形例1−1)
上記の実施の形態では、切り込み54は、図4に示したような、高分子アクチュエータ素子32の3方向を平面によりに取り囲むものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図11(A)に示したように、3方向を曲面により取り囲むように切り込み54Bを構成してもよい。さらに、それに併せて電極の形状も変形させてもよい。図11(B)、(C)は、図11(A)の高分子アクチュエータ素子32BのXI−XI矢視方向の断面構造を表すものであり、(B)は駆動用電極52B(上面側)、53B(下面側)間に駆動電圧が印加されていない状態での断面構造を示し、(C)は駆動用電極52B、53Bに駆動電圧が印加されている状態での断面構造を示す。図11(B)、(C)に示したように、高分子アクチュエータ素子32Bの先端部は3次元的にも曲面となっている。駆動用電極52B、53Bに駆動電圧が印加されると、図11(C)に示したように、高分子アクチュエータ素子32Bはその曲面で弾性シート31を押し上げることとなる。よって、弾性シート31を上面側から見ると、この表示要素が形成する突起および表示するドットの形状は、上記実施の形態よりも円形状となる。
(変形例1−2)
上記の実施の形態では、高分子アクチュエータ素子32が湾曲して弾性シート31を押し上げる際、駆動用電極52の平面で押し上げるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図12(A)に示したように、高分子アクチュエータ素子32Cの作動片57Cの先端部にスタンプ加工により半球状のボール58を形成し、このボール58の球面により弾性シート31を押し上げても良い。このボールの表面の形状は、図に示したような半球状の他、回転楕円体の表面のような形状でも良い。図12(B)、(C)は、図12(A)の高分子アクチュエータ素子32CのXII−XII矢視方向の断面構造を表すものであり、(B)は、駆動用電極52、53に駆動電圧が印加されていない状態での断面構造を示し、(C)は、駆動用電極52、53に駆動電圧が印加されている状態での断面構造を示す。駆動用電極52、53に駆動電圧が印加されると、図12(C)に示したように、高分子アクチュエータ素子32Cはボール58の広い球面で弾性シート31を押し上げることとなる。よって、弾性シート31を上面側から見ると、この表示要素が形成する突起および表示するドットの形状は、変形例1−1よりもさらに円形状となる。
(変形例1−3)
上記の実施の形態では、駆動用電極52は黒色であるとしたが、他の色に着色されていても良い。同様に、変形例1−2におけるボール58を着色しても良い。この着色された高分子アクチュエータ素子を使用することにより、その表示要素は、色のついたドットパターンを表示できるようになり、より自由度のある表示が可能となる。色は何色でも良いが、白色の液体42の色と、色相や明度が異なる色である方が望ましい。
(変形例1−4)
上記の実施の形態では、アクチュエータ33の全ての高分子アクチュエータ素子32の駆動用電極52は黒色としたが、これに限定されるものではない。例えば、図13に示したように、アクチュエータ33Dは、着色された駆動用電極(例えば、赤い駆動用電極52D、青い駆動用電極53D)をもつ複数の色の高分子アクチュエータ素子を有していても良い。この場合、複数の色のドットパターンを表示できるようになり、さらに自由度のある表示が可能となる。
(その他の変形例)
上記の実施の形態では、アクチュエータ33の上面側の電流供給配線55を列選択部13に接続し、下面側の電流供給配線56を行選択部12に接続したが、これに代えて、アクチュエータ33の上面側の電流供給配線55を行選択部12に接続し、下面側の電流供給配線56を列選択部13に接続してもよい。
上記の実施の形態では、上記の実施の形態では、駆動用電極52、53の材料はカーボン粉末とイオン導電性樹脂としたが、他のものでもよく、例えば金属であってもよい。
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る表示機能付き突起パターン形成装置について説明する。本実施の形態では、高分子アクチュエータ素子として、第1の実施の形態とは異なる種類のものを使用している。すなわち、第1の実施の形態(図8)では、イオン導電性高分子フィルム51を用いて高分子アクチュエータ素子32を構成したが、これに代えて、本実施の形態では、高分子三次元架橋体を用いて高分子アクチュエータ素子を構成している。その他の構成は、第1の実施の形態(図1)と同様である。
図14(A)は、表示機能付き突起パターン形成部7の一表示要素の断面構成例を表すものである。この一表示要素は、高分子アクチュエータ素子70と弾性シート31からなる。高分子アクチュエータ素子70は、高分子三次元架橋体71、およびこの高分子三次元架橋体71の両側に互いに分離して対向配置された一対の駆動用電極72、73および電解液74を備えている。電解液74は高分子三次元架橋体71に含浸されている。なお、電極72、73間に例えばポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレンなどからなるセパレータを設けるようにしてもよい。
高分子三次元架橋体71は、三次元に架橋された高分子材料からなり、例えば表裏一対の主面をもつ膜状の形状を有している。なお、その形状は膜状に限定されるものではなく、その他、短冊形状、円盤形状、棒形状(角柱形状,円柱形状,円筒形状)などとしてもよい。
高分子材料は、例えば下記化学構造式に示したように、電気化学的に可逆な酸化還元を生ずる第1部位A、すなわち電気的にイオンの価数が可逆的に変化する成分と、使用する電位範囲で電気的に安定であり、柔軟な第2部位B、すなわちイオンの価数が変化しない成分とが例えば、ランダム共重合体、交互共重合体あるいはブロック共重合体のように共重合したものである。
Figure 0005516850
高分子三次元架橋体71の第1部位Aは、例えば、キノン骨格を有する化合物、Os(オスミウム),Ru(ルテニウム),Fe(鉄),Co(コバルト)のいずれかの金属錯体、ジメチルビピリジニウムなどのビピリジニウム化合物、ニコチンアミド構造を有する化合物、リボフラビン構造を有する化合物およびヌクレオチド−リン酸構造を有する化合物からなり、これらの化合物を三次元に架橋したものである。
第2部位Bは、例えば、アルキル、エーテル、カルボニル、エステル、アルデヒド、ケトン、アミドおよびアミンのいずれか1種または複数を含むものである。このような第2部位Bはパイ共役系の連続した導電性高分子に比べて柔軟な構造を有している。これにより、本実施の形態では、酸化還元を生ずる第1部位Aの自由度が増しており、その結果第1部位Aがあたかもメディエータのように振る舞い、高分子三次元架橋体の電極から離れた部位(第1部位)への電子移動が可能となり、大変位が得られると共に高速な応答が可能になる。
駆動用電極72、73は、電気伝導度が高く、柔軟性に富んだ材料によって構成されている。例えば、Au(金),Pt(白金),カーボンブラック,ケッチェンブラック,カーボンナノチューブ,フラーレン,ポリアセチレン,ポリピロール,ポリチオフェン,ポリ−1,6−ヘプタジイン,ポリ−p−フェニレン,ポリフェニレンビニレンなどが挙げられ、これらを含む混合物であってもよい。
駆動用電極72、73は例えば膜状に形成されており、例えば高分子三次元架橋体711の長手方向の全長にわたって設けられている。なお、駆動用電極72、73は高分子三次元架橋体71の長手方向の一部にのみ配置するようにしてもよいが、大きな変位を得るためには全長に設けることが好ましい。駆動用電極72、73の形状は、フィルム(膜)以外にも、例えば、コイル、粒子、フィラーおよび多孔体などの形状とすることができる。さらに、駆動用電極72の表面は、例えば黒色に塗装されていることが好ましい。
電解液74は、高分子材料が膨潤するのに十分な溶媒と支持塩とを含む混合物、もしくは支持塩のみからなるが、これに限定されるものではない。本実施の形態の高分子アクチュエータ素子70(図14)のような湾曲変位素子の場合には、溶媒の電位窓(有意義な電気化学測定が可能な電位領域)内でレドックス(酸化還元反応)が生じないものを用いることが好ましい。一方、後述する高分子アクチュエータ素子80(図15)のような線方向変位素子の場合には、溶媒の電位窓内で可逆なレドックス(酸化還元反応)を生じる塩を選択することが好ましい。
電解液74としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル(AN)、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステルなどの非プロトン性有機溶媒、または水、イオン液体と、過塩素酸アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、キノン骨格を有する化合物、Os(オスミウム),Ru(ルテニウム),Fe(鉄),Co(コバルト)のいずれかの金属錯体、ジメチルビピリジニウムなどのビピリジニウム化合物、ニコチンアミド構造を有する化合物、リボフラビン構造を有する化合物およびヌクレオチド−リン酸構造を有する化合物との混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[動作および作用]
(高分子アクチュエータ素子70の動作例)
図14(B)は、駆動用電極72、73に対して電源Eより所定の電圧を印加し、高分子アクチュエータ素子70が湾曲変形した状態を表すものである。
正(+)電位が印加された駆動用電極73側では、高分子三次元架橋体71の第1部位Aが酸化され、電解液74との親和性が変化する。すなわち、高分子三次元架橋体の第1部位Aと電解液74の親和性が高まり、高分子三次元架橋体71中へ電解液74が含浸されて膨張する。
一方、負(−)電位が印加された駆動用電極72側では、駆動用電極73側とは反対の反応を生じる。すなわち、駆動用電極72側の第1部位Aが還元され、電解液74との親和性が悪化し、高分子三次元架橋体71中から電解液74が流出して収縮する。
このように、高分子三次元架橋体71では、駆動用電極73側において膨張し、駆動用電極72側において収縮するので、高分子アクチュエータ素子70全体が大きく湾曲変形する。なお、その後、電極72、73間を短絡放電させると上記膨張・収縮した部分は元の状態に戻って高分子アクチュエータ素子70は元の真っ直ぐな状態となる(図14(A))。
このように本実施の形態の高分子アクチュエータ素子70では、大きな変位および発生力を得ることができるが、その理由について更に具体的に説明する。すなわち、電圧印加により高分子三次元架橋体71の第1部位Aを酸化還元するためには、駆動用電極72、73と高分子三次元架橋体71との間において電子の受け渡しを行う必要があり、また、この酸化還元を高効率かつ高速に行うためには、駆動用電極72、73との電子の受け渡しに加えて、高分子三次元架橋体71の内部領域での電子輸送を円滑に行う必要がある。
ここで、高分子三次元架橋体71の第1部位Aは三次元に架橋され、化学構造が固定された状態となっており、円滑な電子輸送が困難である。円滑に電子輸送して酸化還元を行うには、第1部位Aが全て駆動用電極と接しているか、電極近傍に形成される電気二重層内に配置されているか、若しくはその第1部位A自身が電子伝導性を有する必要がある。しかし、それではアクチュエータ素子として適切ではない。
これに対して、本実施の形態では、高分子三次元架橋体71に使用する電位範囲で電気的に安定な第2部位Bを含むようにしている。この第2部位Bが柔軟な部分を有しているため、酸化還元可能な第1部位Aの自由度が増し、第1部位Aがあたかもメディエータ(電子移動媒体)のように振る舞う。これにより駆動用電極72、73から離れた位置の第1部位Aへの電子の移動、すなわち高分子三次元架橋体71の内部領域側への電子輸送が円滑に行われ、第1部位Aを高効率かつ高速に酸化還元し、大きな変位および発生力を得ることができる。また、高分子三次元架橋体はπ共役系の連続した導電性高分子に比べて柔軟な構造を有するために、アクチュエータ素子として大変位が得られ、しかも高速な応答が可能となる。
なお、本実施の形態では、電解液74には溶媒の電位窓(有意義な電気化学測定が可能な電位領域)内でレドックス(酸化還元反応)が生じないものを用いることが好ましい。レドックスが生じない電解液を用いることで、駆動用電極72側での酸化/還元反応と、駆動用電極73側での還元/酸化反応とを一対にして行うことができ、本実施の形態の高分子アクチュエータ素子70を大きく湾曲変形させることができる。
(表示機能付き突起パターン形成部7の動作例)
本実施の形態に係る表示機能付き突起パターン形成部7は、第1の実施の形態におけるアクチュエータ33を、上述した高分子アクチュエータ素子70が表面に配置されたアクチュエータ77に置き換えたものであり、その動作例も第1の実施形態と同様である。つまり、駆動用電極72、73に駆動信号が印加されていない状態では、図14(A)に示したように、高分子アクチュエータ素子70は、その両面の電位差がないため、変形することなく平坦な形状を維持し、弾性シート31は平坦かつ白色な状態を維持する。一方、駆動用電極72、73に駆動信号が印加されている状態では、図14(B)に示したように、高分子アクチュエータ素子70は、低い電位が与えられている駆動用電極72の方向に湾曲変形し、弾性シート31を押し上げることにより突起が形成される。同時に、弾性シート31内の白色の液体42は、その突起により押しのけられ、その部分に駆動用電極72の色に起因する黒色のドットが表示される。
さらに、以上に説明した一表示要素の機能が、表示機能付き突起パターン形成部7の複数の表示要素で独立して実現することにより、点字や文字、画像などの2次元的な情報が突起パターンおよびそのパターンに同期したドットパターンとして表示されるようになる。
[効果]
このように、本実施の形態では、高分子三次元架橋体71に第二部位Bを含むようにしたので、アクチュエータ素子の大変位および高速応答による、明確な突起パターン形成とドットパターン表示を実現できる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係る表示機能付き突起パターン形成装置について説明する。本実施の形態では、高分子アクチュエータ素子として、第1および第2の実施の形態とは異なる種類のものを使用している。すなわち、第2の実施の形態(図14)では、高分子三次元架橋体を用いて湾曲変形する高分子アクチュエータ素子70を構成したが、これに代えて、本実施の形態では、高分子三次元架橋体を用いて長さが変化する棒状の高分子アクチュエータ素子80を構成している。また、本実施の形態では、第1および第2の実施の形態とは異なり、高分子アクチュエータ素子80は、その長手方向が弾性シート31と直交する方向を向き、かつ、その長手方向の一端が弾性シート31の表面に接するように配置されている。その他の構成は、第1の実施の形態(図1)と同様である。
(表示機能付き突起パターン形成部8の一表示要素の構成例)
図15(A)は、表示機能付き突起パターン形成部8の一表示要素の断面構成例を表すものである。この一表示要素は、高分子アクチュエータ素子80と弾性シート31からなる。高分子アクチュエータ素子80は線方向変位素子として構成したものであり、棒状の高分子三次元架橋体81および棒状の駆動用電極82、83を容器86に収納させたものである。高分子三次元架橋体81には電解液85が含浸されている。尚、アクチュエータ88を構成する全ての高分子アクチュエータ素子80は、共通基板87により支持されている。非駆動状態(電圧が印加されていない状態)において、高分子アクチュエータ素子80の長手方向の一端側(容器86の一方の上面)は、弾性シート31の一方の表面に当接している。
高分子三次元架橋体81は、第2の実施の形態の高分子三次元架橋体71と同様の高分子材料からなり、その形状は長さのある立体形状である。高分子三次元架橋体81の上下の端部はそれぞれ容器86と接しており、この高分子三次元架橋体81の体積変化を変位として容器86およびその外部へ伝えられるようになっている。
駆動用電極82、83は、第2の実施の形態の駆動用電極72、73と同じ材料により構成することができるが、その長手方向が高分子三次元架橋体81の長手方向と同じ方向となるように揃えられており、一方の駆動用電極82は高分子三次元架橋体81と同じ長さを有している。駆動用電極82は、高分子三次元架橋体81に内包あるいは接触して配置されている。他方の駆動用電極83は、高分子三次元架橋体81を挟んで一方の駆動用電極82と対向すると共に、高分子三次元架橋体81からは電解液85を介して離間して配置されている。
ここで、駆動用電極82は、高分子三次元架橋体81の膨張収縮ともに伸縮可能な柔軟な導電性材料からなる。一方、駆動用電極83については、その両末端が容器86に接続されていない構造の場合、もしくは、駆動用電極83の末端が容器86に接続されていても、この駆動用電極83が分割されているなど駆動用電極の弾性が高分子アクチュエータ素子80の駆動を妨げない場合には、駆動用電極83を構成する導電性材料は柔軟性を有するものに限定されない。
電解液85は、少なくとも高分子アクチュエータ素子80の最大膨張時に高分子三次元架橋体81中に保持される量が容器86に収納されている。従って、容器86内では、高分子三次元架橋体81および駆動用電極82、83が電解液85に浸漬された状態となっている。なお、容器86を柔軟なものとし、高分子三次元架橋体81等を密閉して電解液85を保持することが好ましいが、多孔質体などの電解液を保持する層を備えるような構成としてもよい。なお、容器86の上面は、例えば黒色に塗装されていることが好ましい。
なお、本実施の形態では、第2の実施の形態の湾曲変形素子とは異なり、線方向変位素子であるので、電解液85としては、溶媒の電位窓内で可逆なレドックスを生じる塩を選択することが好ましい。例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル(AN)、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステルなどの非プロトン性有機溶媒、または水、イオン液体と、過塩素酸アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、キノン骨格を有する化合物、Os(オスミウム),Ru(ルテニウム),Fe(鉄),Co(コバルト)のいずれかの金属錯体、ジメチルビピリジニウムなどのビピリジニウム化合物、ニコチンアミド構造を有する化合物、リボフラビン構造を有する化合物およびヌクレオチド−リン酸構造を有する化合物との混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[動作および作用]
(高分子アクチュエータ素子80の動作例)
図15(B)は、駆動用電極82、83に対して電源Eより所定の電圧を印加し、高分子アクチュエータ素子80が湾曲変形した状態を表すものである。
正(+)電位が印加された駆動用電極82側では、高分子三次元架橋体81が駆動用電極82に接触していることから、高分子三次元架橋体81の第1部位Aが酸化されて高分子三次元架橋体81の大部分若しくは全てが酸化状態となり、長手方向に膨張することとなる。一方、負(−)が印加された駆動用電極83側では、電解液85中に含まれる電解質と、高分子材料における酸化還元体の対イオンとのいずれか、もしくはその両方が還元される反応が起こる。以上の反応により、高分子三次元架橋体81が容器86を長手方向に押し出す方向に膨張することから容器86が長手方向に伸びるように線方向に変位、すなわち、高分子アクチュエータ素子80が伸びる。
(表示機能付き突起パターン形成部8の動作例)
本実施の形態に係る表示機能付き突起パターン形成部8は、第1および第2の実施の形態におけるアクチュエータ33を、上述した高分子アクチュエータ素子80が表面に配置されたアクチュエータ88に置き換えたものであり、その動作例も第1の実施形態と同様である。つまり、駆動用電極82、83に駆動信号が印加されていない状態では、図15(A)に示したように、高分子アクチュエータ素子80は、それらの駆動用電極の電位差がないため、変形することなく平坦な形状を維持し、弾性シート31は平坦かつ白色な状態を維持する。一方、駆動用電極82、83に駆動信号が印加されている状態では、図15(B)に示したように、高分子アクチュエータ素子80は長手方向に伸び、弾性シート31を押し上げることにより突起が形成される。同時に、弾性シート31内の白色の液体42は、その突起により押しのけられ、その部分に容器86の上面の色に起因する黒色のドットが表示される。
さらに、以上に説明した一表示要素の機能が、表示機能付き突起パターン形成部8の複数の表示要素で独立して実現することにより、点字や文字、画像などの2次元的な情報が突起パターンおよびそのパターンに同期したドットパターンとして表示されるようになる。
[効果]
このように、本実施の形態では、駆動用電極82を取り囲むように高分子三次元架橋体81を配置したので、アクチュエータ素子の線方向変位による、明確な突起パターン形成とドットパターン表示を実現できる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
<4.変形例>
以上、いくつかの実施の形態およびその変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
上記の実施の形態では、弾性シート31は隔壁41を有しているが、これがなくてもよい。
上記の実施の形態では、弾性シート31の材料はシリコンゴムとしたが、他のものでも良い。その場合、透明で伸縮性のある材料が望ましい。
上記の実施の形態では、弾性シート31の中間層に白色の液体を充填したが、他の色の液体であっても良い。更に、隔壁41により区切られた中間層毎に、異なる色の液体を充填しても良い。これらにより、ドットパターンの表示に関して、その背景色を変えることができるようになり、より自由度のある表示が可能となる。色は何色でも良いが、ドットパターンの色となる駆動用電極などの色と、色相や明度が異なる色である方が望ましい。この場合でも、その液体の他の特性としては、不揮発性、油性、低い透過性などの特徴を有する方が望ましい。
上記の実施の形態では、アクチュエータ素子の動作状態として、駆動用電極間に電圧を印加したときと印加していないときの2状態のみを想定したが、印加する電圧を複数使用してもよい。この場合、その表示要素は、突起形成とドット表示に関して中間調を実現することが可能となる。
上記の実施の形態では、高分子アクチュエータ素子を駆動する方式はパッシブマトリックス方式に属するものとしたが、アクティブマトリックス方式に属するものであっても良い。
上記の実施の形態では、アクチュエータ素子として高分子アクチュエータ素子を用いたが、これに限定されるものではない。つまり、高分子アクチュエータ素子に代えて、他のアクチュエータ素子であっても良い。例えば、圧電体、誘電弾性体、形状記憶合金などをアクチュエータ素子として用いることができる。なお、これら場合でも、アクチュエータ素子の動作は、弾性シートとアクチュエータ素子の接した面に対して垂直の方向であれば良く、アクチュエータ素子の形状が弾性シート31を押し上げる程度に変化できるものであれば良い。
上記の実施の形態では、粗表示モードの際、突起パターンの突起密度およびドットパターンのドット密度を間引き処理によって元の表示データにより規定される密度よりも減少させているが、これに限定されるものではない。例えば、精細表示モードの際に、突起パターンの突起密度およびドットパターンのドット密度を元の表示データにより規定される密度よりも増加させてもよい。この場合、メモリ22にはあらかじめ突起密度およびドット密度が低い表示データを記憶しておく。そして、精細表示モードが選択されたとき、モード制御部がメモリ22の表示データを基にデータの補間を行うことにより表示データのドット個数を増加させる。これにより、表示機能付き突起パターン形成装置1には、精細な表示が可能となる。
第2および第3の実施の形態における高分子アクチュエータ素子は、第1の実施の形態と同様に、その突出先端部を球面もしくは回転楕円体の表面のような形状にしても良い。また、その突出先端部の色を着色しても良い。
第2および第3の実施の形態におけるアクチュエータは、第1の実施の形態と同様に、着色された突出先端部をもつ、複数の色の高分子アクチュエータ素子を有していても良い。
1…表示機能付き突起パターン表示装置、3、7、8…表示機能付き突起パターン形成部、11…駆動制御部、12…行選択部、13…列選択部、21…モード入力部、22…メモリ、23…モード制御部、31…弾性シート、32、32B、32C、70、80…高分子アクチュエータ素子、33、33D、77、88…アクチュエータ、41…隔壁、42…白色の液体、51…イオン導電性高分子フィルム、52、52B、52C、53、53B、53C、72、73、82、83…駆動用電極、52D…赤い駆動用電極、52E…青い駆動用電極、54、54B…切り込み、55、56…電流供給用配線、57、57B、57C…作動片、58…ボール、61…ナトリウムイオン、71、81…高分子三次元架橋体、74…電解液、84…端子、85…電解液、86…容器、87…共通基板、E…電源

Claims (11)

  1. 着色液体層を内層として有する透明な弾性シートと、
    前記弾性シートの一方の面に沿って配置され、それぞれが、電圧の印加に応じて前記弾性シートの面の方向に突出するように変形する複数のアクチュエータ素子を含むアクチュエータと
    を備え、
    前記複数のアクチュエータ素子を選択的に駆動することにより、前記弾性シートに突起パターンを形成すると共に、前記着色液体層における着色液体が押しのけられることによりその突起パターンに対応したドットパターンを前記弾性シートに表示する
    表示機能付き突起パターン形成装置。
  2. 前記複数のアクチュエータ素子の各々は、
    前記電圧の印加に応じて湾曲変形するイオン導電性高分子フィルムからなる作動片と、
    前記作動片の両面にそれぞれ形成された駆動用電極と
    を有する
    請求項1に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  3. 前記イオン導電性高分子フィルムは、陽イオン交換樹脂を用いて構成されている
    請求項2に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  4. 前記駆動用電極は、カーボン粉末とイオン導電性樹脂からなる
    請求項2に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  5. 前記作動片は、イオン導電性高分子フィルムからなるシートをU字状に切り抜くことにより形成される舌状部分として構成されている
    請求項2に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  6. 前記複数のアクチュエータ素子の各々は、高分子三次元架橋体を用いて構成されている 請求項1に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  7. 前記着色液体層の色と前記アクチュエータ素子の突出先端部の色とが異なる
    請求項1に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  8. 前記アクチュエータは、前記突出先端部の色が互いに異なる複数のアクチュエータ素子を含む
    請求項7に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  9. 前記アクチュエータ素子の突出先端部が球面状をなしている
    請求項1に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  10. 前記弾性シートは、前記着色液体層を複数領域に区分する隔壁を有する
    請求項1に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
  11. 前記複数のアクチュエータ素子の選択的駆動を制御する駆動制御部を備え、
    前記駆動制御部は、駆動すべきアクチュエータ素子の個数を変化させることにより、前記突起パターンの突起密度および前記ドットパターンのドット密度を変更する
    請求項1に記載の表示機能付き突起パターン形成装置。
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