JP5515856B2 - 積層体およびそれを使用した包装材料 - Google Patents
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Description
上記のバリア材料、あるいは、遮光性材料として、最も一般的なものとしては、金属箔あるいは無機蒸着フィルムがあり、特に金属としてはアルミニウム箔あるいはアルミニウム蒸着フィルム等が使用されている。
また接着剤層として、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有する酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることを特徴とする包装材料も開示されているが、ポリオレフィン成分としてはエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体が用いられており、より難接着性であるポリプロピレン樹脂への接着性は十分なものではなかった(例えば、特許文献2参照)。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂層(1)としては、ポリオレフィン樹脂からなる層であれば特に制限はないが、使用する樹脂としては例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、ポリプロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂が用いられ、中でも包装材料としての内容物の保護や低温シール性などの点からポリエチレン系樹脂、またはポリプロピレン系樹脂が好ましく、ポリプロピレンまたはプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等が特に好ましく用いられる。
本発明の積層体は、酸変性ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を、(A):(B)=100:1〜100:100(重量比)の割合で結合させてなる重合体(C)からなる接着剤層(2)を有する。
本発明における接着剤層(2)の成形方法は追って記載するが、重合体(C)を従前知られる方法により層状に成形すれば良い。例えば前記ポリオレフィン系樹脂層(1)に代表される基材の上に塗布などの方法で成形しても構わないし、樹脂そのものをフィルム状またはシート状に成形した上で積層しても構わない。重合体(C)は接着性を有するものであるため、適当な溶媒により溶解、希釈または分散した状態で基材上に塗布により成形することが好ましい。
酸変性ポリオレフィン(A)の主成分であるオレフィン成分は特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数2〜8のアルケンが好ましく、これらの単独重合体だけでなく共重合体または混合物を用いてもよい。この中で、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、特に好ましい重合体は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体のようなプロピレン系重合体である。重合体中のプロピレン成分の含有量は50モル%以上が好ましく、より好ましくは75モル%以上である。これらのポリオレフィン樹脂はその一部が塩素化されていても良い。ポリオレフィン中の塩素の含有率は通常は30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましいのは10重量%以下、更に好ましいのは5重量%以下である。塩素含有率が30%よりも高くなると、ポリオレフィン基材への密着性が低下する傾向にある。市販品として入手可能なポリオレフィンとしては、ウィンテック(日本ポリプロ社製)、タフマーXM(三井化学社製)、タフセレン(住友化学社製)、LMPO(出光興産社製)、リコセンPP(クラリアント社製)、スーパークロン、アウローレン(日本製紙ケミカル社製)、ハードレン(東洋化成工業社製)などが挙げられる。
本発明において親水性高分子とは、25℃の水に10重量%の濃度で溶解させたときに不溶分が1重量%以下の高分子を言う。親水性高分子(B)としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に限定されず用いることができ、合成高分子、半合成高分子、天然高分子のいずれも用いることができる。これらは反応性基を有していてもよい。
本発明における無機層(3)は常温で固形状態の無機物からなる層であれば特に制限されないが、本発明の無機層(3)に用いられる無機物として好適なものには、金属、金属酸化物、ガラス等が挙げられる。無機層(3)に用いられる金属としては特に制限されないが、アルミニウム、金、銅、鉄等が挙げられ、金属酸化物として用いられるのもこれらの酸化物である。
無機層(3)の基材として、本発明の積層体において必須ではないが、熱可塑性樹脂層(4)を用いることもできる。熱可塑性樹脂層(4)を形成することにより、これが、本発明に係る遮光性、バリア性積層体、包装用袋等を構成する素材となると共に、これに金属箔または蒸着膜を設けることから、機械的、物理的、化学的に優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有するものとなる。特に蒸着膜の場合には、膜を形成する条件等に耐え、蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得る、樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明の積層体を製造する方法に特に定めはないが、例えば、酸変性ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を結合させてなる重合体(C)を溶媒に溶解または分散させて塗工剤とし、これを無機層(3)に塗布して媒体を乾燥させる方法、剥離紙上に重合体(C)を溶解または分散させた塗工剤を塗布して媒体を乾燥させた接着剤層を金属膜層上に転写する方法、Tダイにより重合体(C)を無機層(3)上に直接溶融押出する方法等が挙げられる。中でも、環境面や性能面の点から重合体(C)を水性媒体中に溶解または分散させた塗工剤(水性樹脂分散体)を基材に塗布して媒体を乾燥させる方法が、接着剤層(2)の量を調整しやすく、特に、厚みを薄く制御し易い点から好ましい。水性樹脂分散体を使用する場合には、特許文献2に記載されているように、アルミニウム層(本発明でいうところの無機(3))に水性樹脂分散体を塗布、乾燥して接着性樹脂層(本発明でいうところの接着剤層(2))を形成し、次いでインラインでポリオレフィン樹脂を溶融押出(押出ラミネート)することによってポリオレフィン樹脂層を積層する方法も可能であり、好ましい方法として用いることができる。上記のような方法に適したポリオレフィン樹脂の水性樹脂分散体としては、例えば、特許文献3、特許文献4に記載されたものが挙げられる。
本発明の積層体を包装材料として用いた場合は、通常、金属箔または蒸着膜の無機層(3)を有する熱可塑性樹脂層(4)を外側、ポリオレフィン系樹脂層(1)を内側(内容物側)として使用される。しかしながら、包装材料の用途、或いは包装材料として要求される剛性や耐久性などを考慮した場合、必要に応じて他の層を積層することができる。通常は、無機層(3)の外側にさらに熱可塑性樹脂フィルム、合成紙、紙等の基材を伴って使用される。また、包装材料の意匠性をあげるために、印刷層を設けることも一般的に行われている。
本発明の包装材料として製袋する時の形態は、その用途に合わせて選択が可能で特に定めはないが、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋など種々あり、最内層のポリオレフィン系樹脂層(1)にポリプロピレン樹脂製チャックを設けて、チャック付き包装袋とすることもできる。また、プラスチック層を錠剤や部品の形にへこませてアルミニウムフィルムなどで封をしたいわゆるPTP(press through package) 包装やブリスターパック(Blister pack)などともすることができる。
・重量平均分子量[Mw]および分子量分布[Mw/Mn]
はじめに試料5mgを10mlのバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHT250ppm含有のテトラヒドロフランを5g添加し50℃で完全に溶解させる。室温に冷却後孔径0.45μmのフィルターでろ過し、ポリマー濃度0.1重量%の試料溶液を調製した。次に、カラムとしてTSKgel GMHXL−L(30cm×2本)にガードカラムTSKguardcolumnHXL−Hを装着した東ソー(株)社製GPC HLC−8020を使用しGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液のインジェクション量:50μl、カラム温度:40℃、溶媒:テトラヒドロフラン、流量1.0ml/分で測定した。
分子量の算出に際しては、標準試料として市販の単分散のポリスチレン標準試料を測定し、標準試料の保持時間と分子量から検量線を作成し算出を行った。
セイコーインスツルメント(株)社製 示差走査熱量計 DSC 220Cを使用して測定した。
試料5±1mgをAlパンに入れAl蓋をし、空のAlパンをリファレンスとして検出器にのせた。200℃まで100℃/分の速度で昇温した。同温度で5分間保持した後、10℃/分の速度で冷却し、−10℃まで0.5秒間隔で熱量を検出した。同温度で1分保持した後10℃/分の速度で200℃まで昇温させ、0.5秒間隔で熱量を検出した。
各試料とも冷却過程において発熱ピークが1つ、最後の昇温過程において吸熱ピークが1つ観測された。最後の昇温過程におけるピークのピークトップ時の温度を融点[Tm]とした。
重合体200mgとクロロホルム4800mgを10mlのサンプル瓶に入れて50℃で30分加熱し完全に溶解させる。材質NaCl、光路長0.5mmの液体セルにクロロホルムを入れ、バックグラウンドとした。次に溶解した重合体溶液を液体セルにいれて、日本分光(株)製FT−IR460plusを用い、積算回数32回にて赤外線吸収スペクトルを測定した。無水マレイン酸のグラフト率は、無水マレイン酸をクロロホルムに溶解した溶液を測定し検量線を作成したものを用いて計算した。そしてカルボニル基の吸収ピーク(1780cm-1付近の極大ピーク、1750〜1813cm-1)の面積から、別途作成した検量線に基づき、重合体中の酸成分含有量を算出し、これをグラフト率(重量%)とした。
日機装(株)社製マイクロトラック UPA(モデル9340 バッチ型 動的光散乱法/レーザードップラー法)を用いて測定した。分散体の密度を0.9g/cm3、粒子形状を真球形、粒子の屈折率を1.50、分散媒を水、分散媒の屈折率を1.33として、測定時間120秒にて測定し、体積換算として粒径が小さい方からの累積で50%となる際の粒子径を求めた。
フィルム積層体から幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機を用い、180度ピール法により試験片の端部からバリア層とポリオレフィン樹脂層の界面を剥離して強度を測定した。測定は23℃、65%RHの雰囲気中、引張速度50mm/分で行った。
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン250g 、メタロセン触媒によって重合されたプロピレン− エチレン共重合体(プロピレンの含有率89mol%、ポリスチレン換算での重量平均分子量40,000、融点71℃)750g を入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110 ℃ に昇温した。昇温後、無水マレイン酸22.5g を加え、t − ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製:パーブチルI)7.5g を加え、7時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿・濾別を繰り返し、洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーが得られた。この変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量(グラフト率) は、2.1重量%(無水マレイン酸基として0.21mm ol/g、カルボン酸基として0.42mmol/g)であった。また酸変性後の重量平均分子量は 、70,000(ポリスチレン換算)であった。
なお実施例1で用いたメトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)−2−プロピルアミンは25 ℃ の水に10 重量%の濃度で溶解させたときに不溶分が1重量%以下であり、親水性高分子である。
ポリオレフィン樹脂をメタロセン触媒によって重合されたプロピレン− エチレン共重合体(プロピレンの含有率90mol%、ポリスチレン換算での重量平均分子量30,000、融点73℃)とした以外は製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。分散粒子径を測定した結果、50%粒子径は160nmであった。
無水マレイン酸の添加量を7.5g、パーブチルIの添加量を2.5gとした以外は製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。分散粒子径を測定した結果、50%粒子径は230nmであった。
無水マレイン酸基の添加量を15.0g、パーブチルIの添加量を5.0gとした以外は製造例1と同様にして水性樹脂分散体を得た。分散粒子径を測定した結果、50%粒子径は230nmであった。
表面にコロナ処理が施されたポリプロピレンフィルム(厚み60μm)をポリオレフィン系樹脂層(1)として用い、製造例1で製造された水性樹脂分散体をマイヤーバー(12番)を用いて塗布し、100℃、1分間乾燥したものを接着剤層(2)とした。接着剤層(2)の厚みは3μmであった。この上にバリア層(3)として、アルミを蒸着させた厚み12μmのポリエステルフィルム(熱可塑性樹脂層(4))をアルミ面と接着剤面が重なるようにあわせた後、加熱温度120℃、圧力1kgf/cm2、時間1秒で加熱して積層体を製造した。
この積層体を15mm幅に切断した試験片を用いて、ピール剥離試験を行った。結果を表1に記す。
接着剤層(2)として製造例2の水性樹脂分散体を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を製造し、ピール剥離試験を行った。結果を表1に記す。
接着剤層(2)として製造例3の水性樹脂分散体を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を製造し、ピール剥離試験を行った。結果を表1に記す。
接着剤層(2)として製造例4の水性樹脂分散体を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を製造し、ピール剥離試験を行った。結果を表1に記す。
接着剤層(2)として塩素化ポリオレフィンを界面活性剤にて乳化した塩素化ポリオレフィンエマルション(スーパークロンE−415・日本製紙ケミカル社製)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を作成し、ピール剥離試験を行った。結果を表1に記す。
接着剤層として(メタ)アクリル酸エステル変性された非塩素ポリオレフィンを界面活性剤を用いて乳化したポリオレフィンエマルション(アウローレンS6032・日本製紙ケミカル社製)を用い、接着時の圧力を2kgf/cm2、加熱時間を2秒とした以外は実施例1と同様にして積層体を作成し、ピール剥離試験を行った。結果を表1に記す。
Claims (8)
- 少なくとも、ポリオレフィン系樹脂層(1)、接着剤層(2)及び無機層(3)をこの順に有する積層体であって、該接着剤層(2)が、酸変性ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を、(A):(B)=100:1〜100:100(重量比)の割合で結合させてなる重合体(C)であり、該親水性高分子(B)がポリエーテルアミンであり、かつ該無機層(3)がアルミニウムを含む層である積層体。
- 酸変性ポリオレフィン(A)の酸変性率が0.1%以上、10%以下である請求項1に記載の積層体。
- 酸変性ポリオレフィン(A)の重量平均分子量が5,000以上、300,000以下である請求項1又は請求項2に記載の積層体。
- 更に、熱可塑性樹脂層(4)を有する積層体であって、該積層体が、ポリオレフィン系樹脂層(1)、接着剤層(2)、無機層(3)、熱可塑性樹脂層(4)をこの順に積層したものである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
- 熱可塑性樹脂層(4)がポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、または、ポリオレフィン系樹脂のいずれか1種からなる樹脂層である請求項4に記載の積層体。
- 酸変性ポリオレフィン(A)がメタロセン触媒によって重合されたポリプロピレン系樹脂であり、かつ融点が100℃以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
- 接着剤層(2)が酸変性ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を、(A):(B)=100:1〜100:100(重量比)の割合で結合させてなる重合体(C)が水性媒体中に分散してなる水性樹脂分散体を塗工、乾燥してなるものである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の積層体を用いてなる包装材料。
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