JP5514972B2 - インプラント - Google Patents
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Description
すなわち、特許文献1に記載の技術では、アバットメント自体にネジ構造を設けず、アバットメントねじによってネジ締結を行っているため、アバットメント自体にネジ構造を設けてインプラント体に直接螺着させたものよりは、繰り返しの使用によるアバットメントの回転方向へのがたつきは少ないが、やはりネジ締結方式を採用しているために、少なからずネジの緩みが生じてしまうと共に、取り付け作業の困難性を有し、さらにトルク管理が難しいという不都合があった。
また、従来、アバットメントの材料としては、純チタンが多く採用されているが、黒色のチタン色が人工骨表面に映ると共に、術後に歯茎が下がった場合、アバットメントが露出してチタン色が目立ってしまい、審美性に劣るという不都合もあった。このため、アバットメントを、審美性に優れた白色のセラミックスで形成することが検討されているが、アバットメント自体にネジ構造を設けた従来の固定方法では、非常に高硬度なジルコニア等のセラミックスでネジ締結を行うと、ネジが破損してしまうおそれがあった。また、特許文献1に記載の技術において、ネジ構造を設けていないアバットメントをセラミックスで形成することも考えられるが、アバットメントに複数の弾性指状部を設ける必要があり、やはり高硬度で弾性が極めて低いセラミックスでは弾性指状部として機能させることが不可能であるという不都合があった。
この構成によれば、インプラント体の軸芯にクランパを外挿する際に、軸芯とテーパ面との隙間に配置された可動部材が隙間の広い前記他方側に移動するので、軸芯またはテーパ面と可動部材との間にすべりが生じる。そのため、インプラント体に対してアバットメントを簡単に装着することができる。逆に、装着されたアバットメントに対して直接的に抜け力が作用しても、可動部材は隙間の狭い前記一方側に食い込むので、軸芯またはテーパ面と可動部材との間にすべりが生じない。そのため、インプラント体からアバットメントが抜けることはない。したがって、ネジ締結を使用することなく、容易にアバットメントをインプラント体に固定することができる。
この構成によれば、軸芯の周方向におけるアバットメントの回転を防止することができるので、ネジ締結を使用することなく、容易にアバットメントをインプラント体に固定することができる。
この構成によれば、固定部の雄ネジが緩んで固定部が前記他方側に移動するのを防止することができるので、固定部から前記一方側に向けて可動部材を確実に付勢することができる。これにより、可動部材は隙間の狭い前記一方側に食い込むので、軸芯またはテーパ面と可動部材との間にすべりが生じない。そのため、インプラント体からアバットメントが抜けることはない。したがって、ネジ締結を使用することなく、容易にアバットメントをインプラント体に固定することができる。
この構成によれば、クランパの雌ネジに前記他方側への力を作用させると、アバットメントに対して間接的に抜け力が作用するとともに、可動部材に前記他方側への力が作用する。これにより、可動部材は隙間の広い前記他方側に移動するので、軸芯またはテーパ面と可動部材との間にすべりが生じる。そのため、インプラント体からアバットメントを簡単に引き抜くことができる。
この構成によれば、ボールは貫通孔内を転がるので、前記厚さ方向にスムーズに移動させることができる。また、可動部材を簡単かつ低コストで形成することができる。
この構成によれば、付勢部を極めて簡単かつ安価に形成することができる。
また前記インプラントにおいて、前記インプラント体、前記アバットメントおよび前記可動部材が、ジルコニアで形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、審美性に優れたセラミックスで、インプラント体、アバットメントおよび可動部材を形成することができる。この場合でも、ネジ締結を使用することなく、容易にアバットメントをインプラント体に固定することができる。
この構成によれば、チタンまたはチタン合金は生体親和性に優れているため、クランパの生体親和性を確保することができる。
図1は、インプラントを歯科用に使用する場合の説明図である。インプラント10は、歯槽骨2に固定されるインプラント体11と、インプラント体11に対して着脱可能とされ、人工歯冠6が装着されるアバットメント20と、を備えている。インプラント体11の外周面には雄ネジ14が形成され、この雄ネジ14を歯槽骨2に形成した穴に螺合することで、インプラント体11が歯槽骨2に固定される。また、アバットメント20の外周面に接着剤等を用いて人工歯冠6が装着される。
アバットメント20は、審美性に優れた白色のセラミックス材料で形成されている。セラミックス材料として、本実施形態ではジルコニアが採用されている。アバットメント20は円筒状に形成されている。アバットメント20の内周の−Z側には、雌ネジ23が形成されている。アバットメント20の内周の+Z側には、テーパ面28が形成されている。テーパ面28は、アバットメント20の内径が−Z側から+Z側にかけて縮小するように形成されている。
図5(b)は、図4のB−B線における平面断面図である。図5(b)に示すように、本実施形態の周り止め孔26の内周には、周り止め軸16の角部近傍の外周面と当接する溝部が形成されている。
このキャップ部材50がクランパ30の−Z側に配置され、キャップ部材50の雄ネジ53がアバットメントの雌ネジ23に螺合されるとともに、キャップ部材50の+Z側の表面がクランパ30の頭部31における−Z側の表面に密着している。これにより、クランパ30の頭部31の雄ネジ33がアバットメント20の雌ネジ23から緩むのを防止することができる。
図5(a)は、図4のC−C線における平面断面図である。図5(a)に示すように、ボール保持部40は、先端部36の周方向に等角度間隔で複数箇所(本実施形態では3箇所)に形成されている。ボール保持部40には、クランパ30の筒壁を厚さ方向に貫通する貫通孔42が形成されている。貫通孔42の内部には、ボール48が配置されている。ボール48は、軸芯18およびアバットメント20と同様に、セラミックス材料で形成されている。セラミックス材料として、本実施形態ではジルコニアが採用されている。
図5(c)は、図4のE部の拡大図である。図5(c)に示すように、クランパ30の内周面における貫通孔42の開口部44の直径は、ボール48の直径より小さくなっている。これにより、ボール48がクランパ30の内側に脱落するのを防止している。なお、クランパ30の外周面から中心軸に向かって貫通孔42を形成することにより、開口部44の直径だけを小さく形成することができる。
図5(a)に示すように、貫通孔42の長さは、ボール48の直径より小さくなっている。そのためボール48は、クランパ30の内周面より内側に突出してインプラント体11の軸芯18に当接するとともに、クランパ30の外周面より外側に突出してアバットメント20のテーパ面28に当接している。
図6は、グランパの変形例の説明図である。図6(a)は斜視図であり、図6(b)は図6(a)のE−E線における断面図である。この変形例のクランパ130は、付勢部134の外形を矩形状としている。なお付勢部34の外形は、円形や矩形に限られず、他の形状としてもよい。
図7は、本実施形態のインプラントの取り付け方法の説明図である。ここでは、歯槽骨に埋め込まれたインプラント体11にアバットメント20を取り付ける場合について説明する。
まず、アバットメント20を+Z方向に移動させ、アバットメント20に装着されたクランパ30を、インプラント体11の軸芯18に外挿する。アバットメント20のテーパ面28と軸芯18との間にボール48が挟まれると、ボール48からテーパ面28に押圧力が作用するので、ボール48はテーパ面から摩擦力を受ける。これによりボール48は、テーパ面28上を−Z方向(矢印81の方向)に転がろうとする。ここで、テーパ面28と軸芯18との隙間は−Z方向にかけて広くなっているので、付勢部34が収縮することでボール48は−Z方向に移動することができる。そして、隙間の広い−Z方向に移動したボール48と、軸芯18またはテーパ面28との間にすべりが生じる。これにより、クランパ30を軸芯18に外挿することができる。
アバットメント20の取り外しには、取り外し治具70を使用する。取り外し治具70は、円柱状の本体部74と、本体部74の+Z側端部に形成された雄ネジ77と、本体部74の−Z側端部に形成された頭部71とを備えている。本体部74の外形は、クランパ30およびキャップ部材50の内径より小さくなっている。本体部74のZ方向長さは、クランパ30の付勢部34および頭部31並びにキャップ部材50のZ方向長さの合計より、長くなっている。雄ネジ77は、クランパ30の先端部36の内周面に形成された雌ネジ37と螺合するものである。
図10は実施形態の第1変形例のインプラントの説明図であり、図10(a)は図4の中央部の拡大図であり、図10(b)は可動部材の斜視図である。上述した実施形態のボールに代えて、図10(a)に示す第1変形例では可動部材148を採用している。
第1変形例の可動部材148は、ボールと同様にセラミックス材料で形成されている。図10(b)に示すように、可動部材148は、一定幅および一定高さのブロック状に形成されている。図10(a)に示すように、可動部材148は、矩形状の貫通孔142内に配置され、クランパ30の厚さ方向に沿って移動可能とされている。
図11は実施形態の第2変形例のインプラントの説明図であり、図11(a)は図4の中央部の拡大図であり、図11(b)は可動部材の斜視図である。上述した実施形態のボールに代えて、図11(a)に示す第2変形例では可動部材248を採用している。
第2変形例の可動部材248は、ボールと同様にセラミックス材料で形成されている。図11(b)に示すように、可動部材248は、一定幅および一定高さのブロック状に形成されている。図11(a)に示すように、可動部材248は、矩形状の貫通孔242内に配置され、クランパ30の厚さ方向に沿って移動可能とされている。
次に、インプラントの医療分野における使用例について説明する。
図12(a)はインプラントを使用した骨折治療方法の説明図であり、図12(b)は従来の骨折治療方法の説明図である。図12(b)に示すように、骨100が第1骨101と第2骨102に折れた場合の治療方法として、従来では、第1骨101と第2骨102に渡し掛けた補強板108をボルト109で骨100に固定している。また、第1骨101および第2骨102の中心軸に沿って中心穴101h,102hを設け、その中心穴にチタン等からなる補強棒105を挿入している。この状態で、第1骨101および第2骨102が成長して自然に再接合するのを待つ方法が取られている。
図13(a)に示す第1変形例のインプラント10は、インプラント体11が円筒状に形成され、その両端開口部に一対のアバットメント20a,20bを装着しうるようになっている。そして、インプラント体11が装着された第1アバットメント20aを第1骨101の中心穴101hに挿入する。次に、インプラント体11に第2骨102を外挿し、第1骨101と第2骨102とを当接させる。そして、第2骨102の端部から中心穴102hに第2アバットメント20bを挿入し、インプラント体11に装着する。なお、第1骨101と第2骨102とが再接合した後は、第2骨102の端部からインプラント10を引き抜くことができる。
図13(c)に示す第3変形例のインプラント10は、インプラント体11に加えて、アバットメント20の外周面にも雄ネジが形成されている。このアバットメント20が、第2骨102の中心穴102hにねじ込まれている。このインプラント10は、第1骨101と第2骨102とが再接合した後も、骨100の内部に埋設したままで使用される。
図14は、インプラントを使用した人工関節の説明図である。ここでは、骨盤111と大腿骨112との人工関節にインプラント10が使用されている。このインプラント10は、アバットメント20が大腿骨112に固定され、インプラント体11がジルコニア等により半球状に形成されている。一方、骨盤111にはチタン等からなるカップ113が固着され、カップ113の内面には超高分子ポリエチレン等からなるインサート114が装着されている。そして、インサート114の内側に半球状のインプラント体11が保持されている。このインサート114の内面上をインプラント体11が摺動することで、インプラント体11は自在に回転しうるようになっている。これにより、骨盤111に対して大腿骨112がヒンジ結合された状態になり、インプラント10は人工関節の一部として機能する。
また、実施形態ではクランパを構成する金属材料として生体親和性に優れたチタンを採用したが、チタン合金を採用してもよい。チタン合金として、例えばチタンとアルミニウムとの合金を採用することができる。
また、実施形態ではキャップ部材を構成する材料としてチタンを採用したが、チタン合金やセラミックス、樹脂等を採用することも可能である。
Claims (9)
- 骨に固定されるインプラント体と、
前記インプラント体に対して着脱可能なアバットメントと、を備えたインプラントであって、
筒状の前記アバットメントの内側に配置された筒状のクランパと、
前記クランパの中心軸方向の一方側に設けられ、前記クランパの筒壁を厚さ方向に貫通する貫通孔内に配置されて、前記厚さ方向に移動可能とされた可動部材と、
前記クランパの前記中心軸方向の他方側に設けられ、前記アバットメントに固定された固定部と、
前記固定部と前記可動部材との間に設けられ、前記可動部材を前記他方側から前記一方側に向けて付勢する付勢部と、
前記インプラント体に立設され、前記クランパが前記一方側から外挿された軸芯と、
前記アバットメントの内周の前記一方側に設けられ、前記アバットメントの内径が前記他方側から前記一方側にかけて縮小するテーパ面と、を備え、
前記可動部材は、前記クランパの内面より内側に突出して前記インプラント体の前記軸芯に当接するとともに、前記クランパの外面より外側に突出して前記アバットメントの前記テーパ面に当接していることを特徴とするインプラント。 - 請求項1に記載のインプラントにおいて、
前記軸芯の周方向における前記アバットメントの回転を防止する回転防止機構が設けられていることを特徴とするインプラント。 - 請求項1または2に記載のインプラントにおいて、
前記固定部では、前記クランパの外周面に形成された雄ネジが前記アバットメントの内周面に形成された雌ネジに螺合され、
前記クランパの前記他方側にキャップ部材が配置され、前記キャップ部材の外周面に形成された雄ネジが前記アバットメントの内周面に形成された前記雌ネジに螺合されるとともに、前記キャップ部材の前記一方側の表面が前記固定部の前記他方側の表面に密着していることを特徴とするインプラント。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインプラントにおいて、
前記付勢部の前記一方側における前記クランパの内周には、雌ネジが形成されていることを特徴とするインプラント。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインプラントにおいて、
前記可動部材は、ボールであることを特徴とするインプラント。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインプラントにおいて、
前記付勢部は、前記中心軸と交差する方向の両側から前記クランパに対して複数の切り込みを交互に入れることで形成されていることを特徴とするインプラント。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインプラントにおいて、
前記インプラント体、前記アバットメントおよび前記可動部材が、セラミックスで形成されていることを特徴とするインプラント。 - 請求項7に記載のインプラントにおいて、
前記インプラント体、前記アバットメントおよび前記可動部材が、ジルコニアで形成されていることを特徴とするインプラント。 - 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインプラントにおいて、
前記クランパが、チタンまたはチタン合金で形成されていることを特徴とするインプラント。
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