JP5513659B1 - フォトニック結晶光検出器 - Google Patents

フォトニック結晶光検出器 Download PDF

Info

Publication number
JP5513659B1
JP5513659B1 JP2013094062A JP2013094062A JP5513659B1 JP 5513659 B1 JP5513659 B1 JP 5513659B1 JP 2013094062 A JP2013094062 A JP 2013094062A JP 2013094062 A JP2013094062 A JP 2013094062A JP 5513659 B1 JP5513659 B1 JP 5513659B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photonic crystal
light absorption
region
medium
absorption region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013094062A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014216549A (ja
Inventor
謙悟 野崎
慎治 松尾
雅也 納富
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2013094062A priority Critical patent/JP5513659B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5513659B1 publication Critical patent/JP5513659B1/ja
Publication of JP2014216549A publication Critical patent/JP2014216549A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Light Receiving Elements (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)

Abstract

【課題】、微小サイズ、高い応答速度、高い検出効率を有する光検出器を提供する。
【解決手段】屈折率の異なる第1の媒質と第2の媒質とが規則的に配列されたフォトニック結晶に、光吸収領域が埋め込まれたフォトニック結晶光検出器において、前記光吸収領域の光軸上における前記第2の媒質を、前記第1の媒質に置換した入力導波路を備え、該入力導波路の幅は、前記光吸収領域の幅よりも広い。
【選択図】図2

Description

本発明は、フォトニック結晶光検出器に関し、より詳細には、屈折率の異なる第1の媒質と第2の媒質とが規則的に配列されたフォトニック結晶に、光吸収領域が埋め込まれたフォトニック結晶光検出器に関する。
光通信システムにおいて、光信号を電気信号に変換するための素子として光検出器がある。シリコンチップ(電気集積回路)の間を光導波路で接続する技術である光インターコネクションを適用する光検出器においては、微小サイズ、かつ応答速度の向上、高い検出効率等が望まれている。光検出器の一般的な構造として、p−i−n構造を有する光導波路型構造がある。この構造は、光導波路中に光吸収層を形成することにより入射した光を吸収し、光導波路の両側に形成したp−i−n接合に逆バイアス電圧を印可することにより、光吸収により生成されたキャリアを引き抜いて電流に変換する。近年、光素子の作製技術の向上により、サブマイクロメートルのサイズに加工された様々な光素子を実現することができるようになり、ナノフォトニクス技術と呼ばれている。光検出器においても、ナノフォトニクス技術を用いることにより、微小かつ高い性能を実現することが期待されている。
ナノフォトニクス技術の一つとして、フォトニック結晶と呼ばれる微細構造がある。特に、数百nm厚の半導体薄膜(スラブ)に、周期的に円孔を形成した構造は、フォトニック結晶スラブ構造と呼ばれている。この構造を利用した光導波路、光共振器を基盤として、様々な光素子が非常に微小なサイズで実現されている。フォトニック結晶スラブ構造を利用した光検出器としては、シリコンを材料としたフォトニック結晶光共振器を用いた報告例がある(例えば、非特許文献1参照)。この光検出器は、フォトニック結晶導波路の円孔位置を局所的にわずかに移動することにより光共振器を形成し、光共振器中の非線形光吸収効果を利用している。
しかしながら、光通信によく使用される波長1.55μmの光に対して吸収効率が小さいため、最大でも10%程度の検出効率である。また、共振器構造を用いているため、光検出器のQ値(光の漏れの少なさを表す指標であり、共振器中への光の捕獲時間に比例し、共振器が許容する光の波長幅に逆比例する。)が非常に高いことにより、検出可能な波長範囲が10pm以下と非常に狭いという問題があった。
波長1.55μmの光に対しては、吸収係数が高いInGaAsを吸収層に用いることが一つの解決方法であり、一般的な1.55μm帯の光検出器においては、実際によく使用されている。ただし、フォトニック結晶スラブ構造を利用する場合は、光を入射するために吸収がない導波路領域と、InGaAsからなる光吸収領域とを分離・接合させる必要がある。近年、InPを材料としたフォトニック結晶導波路の中に微小なInGaAsPを埋め込む技術が開発されている(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。このような埋め込み型構造では、InPとInGaAsPとの屈折率差により、InGaAsPが埋め込まれた部分に光を閉じ込める作用と、バンドギャップ差により生成キャリアを閉じ込める作用とが両立する。そのため、InGaAsPが埋め込まれた部分を動作領域、それに接続されたInP部分を光導波領域とすることにより、フォトニック結晶導波路を基盤とした様々な光素子を作製するのに有効である。そして、このような構造は微小な光検出器の作製にも有効と考えられる。
国際公開第2011/027555号
T. Tanabe, H. Sumikura, H. Taniyama, A. Shinya, and M. Notomi, "All-silicon sub-Gb/s telecom detector with low dark current and high quantum efficiency on chip," Applied Physics Letters, vol. 96, p. 101103, 2010 S. Matsuo, A. Shinya, T. Kakitsuka, K. Nozaki, T. Segawa, T. Sato, Y. Kawaguchi, and M. Notomi, "High-speed ultracompact buried heterostructure photonic-crystal laser with 13 fJ of energy consumed per bit transmitted," Nature Photonics, vol. 4, pp. 648-654, 2010
p−i−n構造を有する光導波路型の検出器は、一般的に、応答速度がCR時定数とキャリアドリフト時間とにより制限されることが多い。前者の要因は、光検出器全体の容量Cと抵抗Rによって応答速度が制限され、CとRの一方もしくは両方が低い方がよい。この構造では、光検出器中に形成される空乏層が容量成分となるため、光検出器の全長を短くするか、またはi領域を広げることにより、容量Cを小さくすることが望ましい。その結果、CR時定数を低減させ、応答速度を向上することができる。後者の要因は、生成されたキャリアが引き抜かれる際、キャリアドリフト時間によって応答速度が制限される。CR時定数の場合とは逆に、i領域を狭めることにより、キャリアドリフト時間を減少させ、応答速度を向上することができる。特許文献1に記載された埋め込み型のフォトニック結晶導波路を利用すると、光とキャリアの閉じ込め効果によって、i領域の幅を狭くすることができるため、キャリアドリフト時間を減少させ応答速度を向上することができる。
上述した埋め込み型構造を光検出器に適用する場合、InP導波路領域よりもInGaAs埋め込み領域の方が高い屈折率を有する。両者の導波波長帯域が異なるため、単純に導波路同士を接続しただけでは使用できない帯域が発生する。
このことから、解決すべき課題の第1は、導波帯域を整合させ、高効率に光を吸収させるための方法を見出すことである。また、i領域の幅を狭くする場合、上述したように、CR時定数の増加による応答速度の低下が懸念される。これを防ぐための方法として、検出器の全長を短くすることにより、容量Cを低下させる方法が考えられる。
一方、全長を短くしすぎると、光が一往復する間に十分に吸収されないため、光の検出効率が低下するというトレードオフが生ずる。従って、解決すべき課題の第2は、全長を短くした場合に、高い吸収効率を維持するための方法を見出すことである。
本発明の目的は、微小サイズ、高い応答速度、高い検出効率を有する光検出器を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、第1の実施態様は、屈折率の異なる第1の媒質と第2の媒質とが規則的に配列されたフォトニック結晶に、光吸収領域が埋め込まれたフォトニック結晶光検出器において、前記光吸収領域の光軸上における前記第2の媒質を、前記第1の媒質に置換した入力導波路を備え、該入力導波路の幅は、前記光吸収領域の幅よりも広いことを特徴とする。
第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記入力導波路の前記光吸収領域の入射端において、前記入力導波路を挟んだ2つの第2の媒質の大きさは、周囲の第2の媒質の大きさよりも拡大されていることを特徴とする。
第3の実施態様は、第1または第2の実施態様において、前記光吸収領域に対して、前記入力導波路とは反対側の光軸における前記第2の媒質を、前記第1の媒質に置換した出力導波路をさらに備えたことを特徴とする。
以上説明したように、第1の実施態様によれば、入力導波路の幅を光吸収領域の幅よりも広くすることにより、入力導波路における導波バンドと光吸収領域における導波バンドとが重なり、低群速度帯を利用することができるので、実効的に光路長が延伸され、吸収効率を増加させることができる。
第2の実施態様によれば、入力導波路を挟んだ2つの第2の媒質の大きさを、周囲の第2の媒質の大きさよりも拡大して、共振器を構成することにより、光検出器の全長を短くした場合であっても、高検出効率かつ高速応答が可能となる。
第3の実施態様によれば、入力導波路への戻り光の発生を防ぐことができるので、検出効率を上げることができる。
光吸収領域の群屈折率およびミラーの反射率に対する吸収効率を示す図である。 本発明の第1の実施形態にかかるフォトニック結晶光導波路を用いた光検出器を示す図である。 フォトニック結晶光導波路の導波バンド構造のシミュレーション結果を示す図である。 電気的接合部の第1の実施例を示す図である。 電気的接合部の第2の実施例を示す図である。 電気的接合部の第3の実施例を示す図である。 電気的接合部の第4の実施例を示す図である。 第1の実施形態の2次元モデルによる評価結果を示す図である。 第1の実施形態の光検出器の作製方法を示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかるフォトニック結晶光導波路を用いた光検出器を示す図である。 本発明の第3の実施形態にかかるフォトニック結晶光導波路を用いた光検出器を示す図である。 第3の実施形態の2次元モデルによる評価結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。上述した課題を解決するために、第1の手段として、InGaAs埋め込み領域の低群速度帯を利用する。フォトニック結晶導波路中で光の群速度が低下する効果を利用することにより、実効的に光路長が延伸され、吸収効率を増加させることができる。第2の手段として、共振器構造を利用する。InGaAsからなる光吸収領域の入射端において反射ミラーを形成することにより、光吸収領域を光共振器とし、共鳴条件に合う波長の光を循環させることで吸収効率を増加させる。これらの手段によって、光検出器の全長を短くした場合であっても、高検出効率かつ高速応答が可能となる。
図1を参照して、光吸収領域の単純なモデルを用いて吸収効率を計算する。図1(a)は、光吸収領域の単純なモデルであり、全長Lの光吸収領域の両端に、振幅反射率rおよびrのミラーが取り付けられている。振幅反射率rのミラーから入射した光に対する吸収効率Aは下記の式で表される。
Figure 0005513659
ここで、Rは光パワー反射率、Γ(=0.5)はInGaAs埋め込み領域への光閉じ込め係数、α(=10000cm−1)はInGaAsの光パワー吸収係数、nは導波路の群屈折率、n(=3.5)は材料屈折率である。r=1と仮定した。また、φは、長さLを光が伝搬するときの位相変化であり、共振条件ではπの整数倍である。
図1(b)に、群屈折率nに対する吸収効率を示す。r=1と仮定し、全長Lを1、3、10μmと変化させた場合を示している。L=10μmと十分に長い場合は、群屈折率nに依らず吸収効率は100%である。全長Lが短くなると、群屈折率nが小さい場合には吸収効率が低下する。一方、群屈折率nを増加させることにより吸収効率は増加し、例えばL=1μmではn=20のときに100%に近づく。以上は、光の群屈折率を増加させる(群速度を減少させる)ことにより、短い検出器でも吸収効率を増加させる効果を示している。
図1(c)は、反射率rに対する吸収効率を示す。n=n=3.5と仮定し、全長Lを0.4、1、3、10μmと変化させた場合を示している。これより、L=10μmと十分に長い場合は、反射率rが0のときに吸収効率が最大となる。一方、全長Lが短くなると、有限の反射率rを与えて共振器とすることにより、吸収効率が最大となる。例えば、L=0.4μmの場合にr=約67%、L=1μmの場合にr=約39%とすればよい。実際には、Γ、α、n、nの値によってrの値は変化し、式(1)において、与えられた各々の値に対して左辺の吸収効率が1となるようなrを設定する必要がある。以上は、光共振器を形成することにより、短い検出器でも吸収効率を増加させる効果を示している。
(第1の実施形態)
(光検出器の構造)
図2に、本発明の第1の実施形態にかかるフォトニック結晶光導波路を用いた光検出器を示す。図2(a)は上面図、図2(b)は光導波路の光軸方向の断面図、図2(c)は光軸に垂直な光吸収領域を含む断面図である。フォトニック結晶光検出器10は、フォトニック結晶11に、光吸収領域(埋め込み領域)12が埋め込まれている。フォトニック結晶11は、屈折率の異なる第1の媒質(InP)と第2の媒質(空気)とが規則的に配列されている。具体的には、InPからなる媒質に、円孔15が三角格子状に配列されている。InGaAsからなる埋め込み領域12での光吸収によって生成されたキャリアを引き抜くために、埋め込み領域12に近接してドーピングを施した領域が形成されている。具体的には、埋め込み領域12の光軸に平行した一方の辺に近接してnドープ領域13が形成され、対向する他方の辺に近接してpドープ領域14が形成されている。フォトニック結晶11の上下は空気層である。また、埋め込み領域12の光軸上において、第2の媒質を第1の媒質に置換して、埋め込み領域12に接続されるフォトニック結晶光導波路(入力導波路)を形成している。
円孔の周期をa[nm]としたとき、円孔の直径を0.48a、InPフォトニック結晶11の厚さを0.6a、InGaAs埋め込み領域12の高さ0.36a、幅0.71aとする。InGaAs埋め込み領域12の長さは、1aから20aとする。
ここで、設計上の重要なポイントとなる光導波路の幅について説明する。図3に、フォトニック結晶導波路の導波バンド構造のシミュレーション結果を示す。図3(a)は、均一に円孔が配列されたフォトニック結晶に対して、埋め込み領域12の光軸上の円孔を1列だけ形成せずに、光導波路とした場合の導波バンド構造を示している。このときの光導波路の幅をWと定義する。B1で示した周波数領域は、入力導波路における偶モード導波バンドであり、B2で示した周波数領域は、埋め込み領域における偶モード導波バンドである。
入力導波路と埋め込み領域の幅が等しい(W)とき、両者の導波バンド位置がずれている。すなわち、B1とB2が重なる部分が少ないため、埋め込み領域へ光を入射できない周波数帯域が広いという問題が生じる。埋め込み領域の導波バンドの低周波数側は、光の群速度が低い周波数帯域であるが、この構造では、低周波数側を利用することができない。
上記の問題を解決するため、InPフォトニック結晶11中の入力導波路の幅を拡大し、逆にInGaAs埋め込み領域12の幅を縮小する。本実施形態では、入力導波路の幅を1.0Wから1.2Wの間で変化させ、埋め込み領域の幅を0.8Wから1.0Wの間で変化させる。図3(b)は、一例として、入力導波路の幅を1.1Wに拡大し、埋め込み領域の幅を0.95Wに縮小した場合の導波バンド構造を示している。入力導波路の導波バンドB3と埋め込み領域の導波バンドB4とが重なる部分が広くなり、埋め込み領域の低周波数側を利用することができる。これにより光の群速度が低い周波数帯域活用することができる。
図4に、電気的接合部の第1の実施例を示す。図2に示した光検出器では、埋め込み領域12からキャリアを引き抜くための電気的接合部は、p−i−n構造であった。第1の実施例では、nドープ領域13a,13bのみで電気的接合部を構成し、n−i−n構造とする。このような電気的接合部は、フォトコンダクタと呼ばれ、光の入射によって接合部のコンダクタンスを変化させることにより、光検出を行う。なお、pドープ領域素子のみで電気的接合部を構成(p−i−p構造)してもよく、2のドープ領域に、同じ不純物をドーピングする。
図5に、電気的接合部の第2の実施例を示す。nドープ領域13と埋め込み領域12との間、埋め込み領域12とpドープ領域14との間の円孔の列数を、1−3列程度とした構造である。すなわち、それぞれのドープ領域に形成される金属電極16a,16b(典型的にはTi/Au)が、埋め込み領域12の近くに形成できるように、金属電極16と埋め込み領域12との間の円孔の列数を、入力導波路の両側の円孔の列数よりも少なくした構造である。このため、接合抵抗Rを低減させることができ、CR時定数の低減、すなわち高速化を図ることができる。
図6に、電気的接合部の第3の実施例を示す。p−i−n構造の代替として、すなわちnドープ領域と埋め込み領域を形成する代わりに、金属電極17a,17bを埋め込み領域12に近接して設ける。金属電極17a,17bは、InPに対してショットキー接触となる材料を用いる。このようなショットキー電極型構造では、p−i−n構造に比べると、暗電流が高くなり易いという問題点があるが、接合抵抗Rを低くすることができ、高速化することができる。
図7に、電気的接合部の第4の実施例を示す。第3の実施例と同じくショットキー電極型構造であり、埋め込み領域12の直上に櫛形の金属電極18a,18bを配置した構造である。このような櫛形の電極構造では、櫛の周期、幅を調整することにより、入射光に対して分布帰還反射を引き起こすことができ、吸収効率の向上を図ることができる。また、図6に示した横方向の電極配置に比べると、電極間距離を狭めることができるため、キャリア移動時間の低減、すなわち高速化することができる。
一般的な分布帰還条件として、入射光の波長λ、等価屈折率neff、櫛の周期Λ、整数mとすると、
mλ/neff=2Λ
の関係式からΛを決めればよい。例えば、入射光の波長λを1550nm、InGaAs埋め込み領域12の等価屈折率neff=2.78、整数mを1とすると、Λは約279nmとなる。ただし、分布帰還条件は、有限の帯域幅をもつため、厳密にこの周期に設定する必要性はなく、ここではΛ=0〜2μmの間の値とし、このとき金属電極18a,18bの櫛の幅は、0−Λの間の値とする。
(光検出器の特性)
図8に、第1の実施形態の2次元モデルによる評価結果を示す。2次元モデルによる有限要素法を用いて、光吸収特性を計算結果した結果である。InGaAs埋め込み領域12の長さLを1a、2a、3a、6aとした。埋め込み領域12の幅は300nm、屈折率の虚部(すなわち光消失係数)k=0.123とした。InPフォトニック結晶11の等価屈折率を2.57、埋め込み領域12の等価屈折率を2.78とした。フォトニック結晶11中の入力導波路の幅を1.1Wに拡大し、埋め込み領域12の幅を0.95Wに縮小している。
図8は、入射波長に対する光吸収パワーを計算した結果である。波長1.62μmより短波長側がフォトニック結晶導波路の導波可能帯域である。まず、L=6aのとき、波長1.5μm付近で100%に近い吸収効率が得られることがわかる。すなわち、第1の実施形態によれば、埋め込み領域12の入射端での反射を抑制し、良好な光結合が得られていることと、埋め込み領域12で十分な光吸収が得られていることを示している。
一方、埋め込み領域12の全長Lが3a以下と短くなると、1往復の光の伝搬では十分に吸収しきれないため、吸収効率が低下する。ただし、導波帯域の上限である1.62μmに近づくほど、吸収効率が維持されていることがわかる。これは、1.62μmに近づくほど、光の群速度は低くなり(高い群屈折率nを有する)、全長Lが短くなったとしても、高い群屈折率nによって、高い吸収効率が得られるからである。
(作製方法)
図9に、第1の実施形態の光検出器の作製方法を示す。InP基板21上にInGaAs犠牲層22(1μm)、InP層23(50nm)、InGaAs活性層24(150nm)、InP層25(50nm)をエピタキシャル成長した基板を用意する(図9(a))。SiO層26(300nm)をエッチングマスクとして堆積させ、電子ビーム描画とドライエッチング、ウェットエッチングによりInGaAs埋め込み領域24aを形成する(図9(b))。InGaAs埋め込み領域24aの周囲をInP層27を再成長させる(図9(c))。
Zn拡散法によりnドープ領域27aと、Siイオン注入法によりpドープ領域27bを形成する(図9(d))。電子ビーム描画とドライエッチングにより、フォトニック結晶の円孔28の配列を形成する(図9(e))。金属電極29a,29bを形成した後、ウェットエッチングによりフォトニック結晶下部のInGaAs犠牲層24を除去する(図9f))。最後にInP基板21から切り離すことにより、上下が空気層となるフォトニック結晶からなる光検出器を得ることができる。
(第2の実施形態)
図10に、本発明の第2の実施形態にかかるフォトニック結晶光導波路を用いた光検出器を示す。図2に示した第1の実施形態において、InPフォトニック結晶11中に出力導波路を設けた構造である。InGaAs埋め込み領域12に対して、入力導波路とは反対側の光軸上において、円孔を1列だけ形成せずに(第2の媒質を第1の媒質に置換)出力導波路を形成している。第1の実施形態では、埋め込み領域12において吸収しきれなかった光は、入射導波路へ戻ることになる。このような戻り光が、入射導波路に接続されたレーザ光源などへ帰還した場合、レーザ光源の発振動作を不安定化させる原因になる。そこで、出力導波路を設けて、戻り光の発生を防ぐことができる。このような構造は、図4〜7に示したいずれの電気的接合部にも適用することができる。
(第3の実施形態)
(光検出器の構造)
図11に、本発明の第3の実施形態にかかるフォトニック結晶光導波路を用いた光検出器を示す。図2に示した第1の実施形態において、InGaAs埋め込み領域12の長さを3a以下と、短くした構造である。InPフォトニック結晶11中の入力導波路および埋め込み領域12の幅は、第1の実施形態と同じである。ここで、共振器を形成するために、反射ミラーを形成する必要である。ここでは、入力導波路の埋め込み領域12の入射端において、入力導波路挟んだ2つの円孔15a,15bの径を、周囲の円孔の径の1〜2倍の範囲で拡大する。円孔15a,15bの大きさを調整することにより、反射率rを調整する。
なお、第3の実施形態においても、第2の実施形態のように出力導波路を設けることができる。
(光検出器の特性)
図12に、第3の実施形態の2次元モデルによる評価結果を示す。第1の実施形態と同様に、2次元モデルによる有限要素法を用いて、光吸収特性を計算結果した結果である。InGaAs埋め込み領域12の長さLを1aに固定し、その他のパラメータは、第1の実施形態に同じである。埋め込み領域12の幅は300nm、屈折率の虚部(すなわち光消失係数)k=0.123とし、InPフォトニック結晶11の等価屈折率を2.57、埋め込み領域12の等価屈折率を2.78とした。入力導波路の幅を1.1Wに拡大し、埋め込み領域12の幅を0.95Wに縮小している。
共振器の構造を比較するため、埋め込み領域12の入射端における入力導波路の両側の円孔15a,15bを、周囲の円孔の1倍、1.4倍、1.7倍、2倍とした。
拡大率1.7倍とした場合に、1.5μm付近での吸収効率が高くなっていることがわかる。これは、光の共振によって吸収率が増加する効果を反映している。吸収スペクトルの帯域幅は、40nm以上であり、従来のフォトニック結晶光共振器を用いた光検出器に比べて、非常に広い波長領域での光検出を行うことができる。
10 フォトニック結晶光検出器
11 フォトニック結晶
12 光吸収領域(埋め込み領域)
13,27a nドープ領域
14,27b pドープ領域
15 円孔
16,17,18,29 金属電極
21 InP基板
22 InGaAs犠牲層
23,25,27 InP層
24 InGaAs活性層
26 SiO

Claims (8)

  1. 屈折率の異なる第1の媒質と第2の媒質とが規則的に配列されたフォトニック結晶に、光吸収領域が埋め込まれたフォトニック結晶光検出器において、
    前記光吸収領域の光軸上における前記第2の媒質を、前記第1の媒質に置換した入力導波路を備え、
    該入力導波路の幅は、前記光吸収領域の幅よりも広いことを特徴とするフォトニック結晶光検出器。
  2. 前記入力導波路の前記光吸収領域の入射端において、前記入力導波路を挟んだ2つの第2の媒質の大きさは、周囲の第2の媒質の大きさよりも拡大されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトニック結晶光検出器。
  3. 前記光吸収領域に対して、前記入力導波路とは反対側の光軸における前記第2の媒質を、前記第1の媒質に置換した出力導波路をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のフォトニック結晶光検出器。
  4. 前記第1の媒質はInPからなり、前記光吸収領域はInGaAsからなることを特徴とする請求項1、2または3に記載のフォトニック結晶光検出器。
  5. 前記光吸収領域からキャリアを引き抜くために、前記光吸収領域の光軸に平行した一方の辺に近接した第1のドープ領域と、対向する他方の辺に近接して第2のドープ領域とが形成され、前記第1及び第2のドープ領域には、同じ不純物がドーピングされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフォトニック結晶光検出器。
  6. 前記光吸収領域からキャリアを引き抜くために、前記光吸収領域の光軸に平行した一方の辺に近接した第1のドープ領域と、対向する他方の辺に近接して第2のドープ領域とが形成され、
    前記第1及び第2のドープ領域の各々に金属電極が形成されており、
    前記金属電極と前記光吸収領域との間の前記第2の媒質が形成された領域を、前記入力導波路の両側の前記第2の媒質が形成された領域よりも狭くしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフォトニック結晶光検出器。
  7. 前記光吸収領域からキャリアを引き抜くために、前記光吸収領域の光軸に平行した一方の辺に近接した第1のショットキー電極と、対向する他方の辺に近接して第2のショットキー電極とが形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフォトニック結晶光検出器。
  8. 前記第1および前記のショットキー電極は、前記光吸収領域において櫛型の構造を有することを特徴とする請求項7に記載のフォトニック結晶光検出器。
JP2013094062A 2013-04-26 2013-04-26 フォトニック結晶光検出器 Active JP5513659B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013094062A JP5513659B1 (ja) 2013-04-26 2013-04-26 フォトニック結晶光検出器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013094062A JP5513659B1 (ja) 2013-04-26 2013-04-26 フォトニック結晶光検出器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5513659B1 true JP5513659B1 (ja) 2014-06-04
JP2014216549A JP2014216549A (ja) 2014-11-17

Family

ID=51031177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013094062A Active JP5513659B1 (ja) 2013-04-26 2013-04-26 フォトニック結晶光検出器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5513659B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115207150A (zh) * 2022-07-21 2022-10-18 北京工业大学 一种全通信波段覆盖的高速光电探测器

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6371231B2 (ja) * 2015-02-10 2018-08-08 日本電信電話株式会社 光波長変換回路
JP6574050B2 (ja) * 2015-08-14 2019-09-11 ゼノリクス ゲー・エム・ベー・ハーSENORICS GmbH 赤外電磁ビームを検出する方法および赤外電磁ビームを変換する方法
FR3057398B1 (fr) 2016-10-10 2018-10-12 Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives Photodiode a double heterojonction
CN110678793B (zh) * 2017-05-30 2020-11-03 国立大学法人横浜国立大学 光接收器阵列和光学雷达装置
CN113299775B (zh) * 2021-05-14 2023-02-17 北京工业大学 一种高速短波通信探测器

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003035845A (ja) * 2001-07-24 2003-02-07 Matsushita Electric Works Ltd 光電変換装置
JP2006043830A (ja) * 2004-08-05 2006-02-16 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> ナノ結晶成長方法および装置
JP2007013065A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Matsushita Electric Works Ltd 近赤外光検出素子
WO2007105593A1 (ja) * 2006-03-13 2007-09-20 Nec Corporation フォトダイオード、およびその製造方法、ならびに光通信デバイスおよび光インタコネクションモジュール
JP2008311562A (ja) * 2007-06-18 2008-12-25 Panasonic Corp 受光素子
WO2011027555A1 (ja) * 2009-09-01 2011-03-10 日本電信電話株式会社 フォトニック結晶デバイス

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003035845A (ja) * 2001-07-24 2003-02-07 Matsushita Electric Works Ltd 光電変換装置
JP2006043830A (ja) * 2004-08-05 2006-02-16 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> ナノ結晶成長方法および装置
JP2007013065A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Matsushita Electric Works Ltd 近赤外光検出素子
WO2007105593A1 (ja) * 2006-03-13 2007-09-20 Nec Corporation フォトダイオード、およびその製造方法、ならびに光通信デバイスおよび光インタコネクションモジュール
JP2008311562A (ja) * 2007-06-18 2008-12-25 Panasonic Corp 受光素子
WO2011027555A1 (ja) * 2009-09-01 2011-03-10 日本電信電話株式会社 フォトニック結晶デバイス

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014012176; Takasumi Tanabe et al: 'All-silicon sub-Gb/s telecom detector with low dark current and high quantum efficiency on chip' Applied physics letters vol. 96, 2010, p. 101103 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115207150A (zh) * 2022-07-21 2022-10-18 北京工业大学 一种全通信波段覆盖的高速光电探测器
CN115207150B (zh) * 2022-07-21 2023-10-10 北京工业大学 一种全通信波段覆盖的高速光电探测器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014216549A (ja) 2014-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9525084B2 (en) Microstructure enhanced absorption photosensitive devices
JP5513659B1 (ja) フォトニック結晶光検出器
US8994004B2 (en) Hybrid silicon optoelectronic device and method of formation
US7474811B1 (en) Nanowire photonic apparatus employing optical field confinement
JP5170110B2 (ja) 半導体受光素子及び光通信デバイス
JP5981086B2 (ja) 光検出器
JP5282887B2 (ja) フォトダイオード、光通信デバイスおよび光インタコネクションモジュール
US20140353583A1 (en) Polarization independent photodetector with high contrast grating and two dimensional period structure
US7391801B1 (en) Electrically pumped Group IV semiconductor micro-ring laser
JP2008526003A (ja) ゲルマニウムオンシリコンの光検出器
EP3769343B1 (en) Photodetector
JP7024976B2 (ja) 受光素子及び近赤外光検出器
JP2007013065A (ja) 近赤外光検出素子
JP2011091163A (ja) 半導体集積素子
EP3462555B1 (fr) Source laser a membrane suspendue a base de germanium et guide d&#39;onde integre participant a former la cavite optique
JPWO2018021127A1 (ja) 受光素子及び近赤外光検出器
JP6371231B2 (ja) 光波長変換回路
JP3831707B2 (ja) 入射光を光吸収層内で繰り返し伝搬させる半導体受光素子及びその製造方法
US20190109244A1 (en) Semiconductor light receiving element and method for manufacturing the same
Liu et al. Monolithic reflector-integrated waveguide photodetector with optical mesa isolation
Zhou et al. High-efficiency photo detection at 2 µm realized by GeSn/Ge multiple-quantum-well photodetectors with photon-trapping microstructure
US10935721B2 (en) Integrated photodiode with unique waveguide drift layer
Goykhman et al. Silicon plasmonics
JP2013257455A (ja) 導波路集積化フォトダイオード

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140327

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5513659

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150