以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の参考例1について説明する。
−装置の全体構成−
図1は、参考例1に係る空気調和装置(1)を建物(2)の室内(空調対象空間)(3)に設置した状態を示す概略図であり、図1(A)が冷却動作(吸熱動作)の運転状態を示し、図1(B)が加熱動作(放熱動作)の運転状態を示している。実施形態1の空気調和装置(1)は、冷房専用機として構成されている。
この空気調和装置(1)は、ケーシング(10)と、ケーシング(10)内に収納された冷却加熱モジュール(20)と、冷却加熱モジュール(20)に空気を流すファン(30)と、冷却加熱モジュール(20)に付与する引張力を調節する切換制御部(35)とを備えている。冷却加熱モジュール(20)と切換制御部(35)とにより冷却加熱ユニット(5)が構成されている。また、ケーシング(10)とその内部に設けられた機能部品により室内ユニット(U)が構成されている。
ケーシング(10)内には、該ケーシング(10)内に導入された空気を冷却加熱モジュール(20)に通すための空気通路(P)が形成されている。具体的には、室内(3)からケーシング(10)内に吸い込まれた空気は空気通路(P)を通る際に冷却加熱モジュール(20)で処理されて室内(3)に戻される。また、この空気調和装置(1)は、後述するように間欠的に室内(3)を冷やすように構成されており、室内(3)の冷却を休止しているときには、室外からケーシング(10)内に吸い込まれた空気が空気通路(P)を通る際に冷却加熱モジュール(20)から熱を奪って再び室外に放出される。
以上の空気流れを実現するために、この空気調和装置(1)は、室内からの吸込空気、室内への吹出空気、室外からの吸込空気、及び室外への吹出空気が混合しないように、図示していない仕切板やダンパ等でケーシング(10)内が区画されている。
−冷却加熱モジュール−
冷却加熱モジュール(20)は、概略の構成を図2(A)に示すように、熱歪材料(21)と、該熱歪材料(21)に引張力を付与するアクチュエータ(22)とを備えている。尚、この熱歪材料(21)に付与される引張力は、本発明に係る張力を構成している。
上記熱歪材料(21)は、例示として形状記憶合金によって構成され、張力をかけることで対象物を加熱する一方、張力を解除することで対象物を冷却するものである。具体的には、図21に示すように、熱歪材料(21)に張力をかけると、母相(オーステナイト相)からマルテンサイト相へと相変化することで、エントロピーが減少し、その分、発熱して熱歪材料(21)自身が加熱される(IからII)。熱歪材料(21)に張力をかけたまま、該熱歪材料(21)を加熱対象物に接触させると、熱歪材料(21)の熱が加熱対象物に伝わる(IIからIII)。こうすることで、熱歪材料(21)の温度は下がる。そして、熱歪材料(21)にかけられている張力を除去(解除)すると、マルテンサイト相から母相(オーステナイト相)に変化する(IIIからIV)。このとき、熱歪材料(21)が断熱されていると、熱歪材料(21)の温度が下がる。温度が下がった熱歪材料に冷却対象物を接触させると、該冷却対象物の熱が熱歪材料(21)に伝わる(IVからI)。
したがって、図3(A)に示すように、熱歪材料(21)に引張力を付与すると、熱歪材料(21)が発熱する。冷却加熱モジュール(20)を通過した空気は温度が上昇する。逆に図3(B)に示すように熱歪材料(21)への引張力を解除すると、熱歪材料(21)が吸熱する。冷却加熱モジュール(20)を通過した空気は温度が低下する。この空気調和装置(1)では、熱歪材料(21)の加熱動作と冷却動作が交互に行われ、冷却動作を用いた冷房運転が間欠的に行われる。
なお、熱歪材料(21)は、冷却加熱中には動作開始から能力のピークを越えると能力が低下する。そのため、冷却動作と加熱動作が交互に切り換えられる。
熱歪材料(21)の具体例として、Ti/Ni/Cu合金を挙げることができる。特に、上記合金の組成範囲を表すと、Tiが40〜80%、Niが20〜60%、Cuが0〜30%のものを用いることができる。
上記アクチュエータ(22)は、熱歪材料(21)に引張力を付与するためのものである。アクチュエータ(22)は、切換制御部(35)に接続され、該切換制御部(35)によって熱歪材料(21)への引張力の付与と解除とが制御される。
−引張力付与動作−
上記切換制御部(35)は、アクチュエータ(22)を制御して、熱歪材料(21)への引張力の付与と解除を制御するものである。切換制御部(35)は、図22(A〜C)において、アクチュエータ(22)における熱歪材料(21)に付与する引張力の大きさを変化させることにより該熱歪材料(21)の発熱量を調整し、冷却加熱能力を調整するように構成されている。
また、上記切換制御部(35)は、図23(A〜C)において、各熱歪材料(21)の全体のうち、引張力を付与する熱歪材料(21)の割合を変化させることにより該熱歪材料(21)の発熱力を調整し、冷却加熱能力を調整するようにしてもよい。
さらに、上記切換制御部(35)は、上記冷却動作と加熱動作を繰り返す時間間隔を変化させることにより上記熱歪材料(21)の発熱量を調整し、冷却加熱能力を調整するように構成してもよい。
−運転動作−
この空気調和装置(1)では冷房運転のみが行われる。
具体的には、図1(A)の冷却動作においては、それまで加熱されていた冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除される。そうすると、図2,図3の熱歪材料(21)が冷却され、冷却加熱モジュール(20)が空気(室内空気(RA))から吸熱する。したがって、図1(A)に示すように、ケーシング(10)内に導入された室内空気(RA)が冷却され、その空気が供給空気(SA)として室内に戻されて室内が冷房される。
図1(B)の加熱動作時は、ファン(30)の回転方向が切り換えられ、室外空気(OA)がケーシング(10)に取り込まれるとともに冷却加熱モジュール(20)で処理されてから排出空気(EA)として室外へ放出される。このとき、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。そうすると、熱歪材料(21)が加熱され、冷却加熱モジュール(20)が放熱する。したがって、この加熱動作のときには、冷却加熱モジュール(20)を通って加熱された空気が室外に排出される。
参考例1では、図1(A)の冷却動作と図1(B)の加熱動作を繰り返し行うことにより、冷房運転が間欠的に行われる。
−参考例1の効果−
参考例1によれば、冷却加熱モジュール(20)には、ゴムなどの弾性体は採用していない。ここで、ゴムのような弾性体を冷却加熱モジュールに用いると、上記弾性体を伸縮させるための機構が必要になり、空気調和装置(1)の構造が複雑になるとともに装置(1)が大型化してしまうのに対して、本実施形態によれば、上記冷却加熱モジュール(20)に上記弾性体を用いていないので、空気調和装置(1)の大型化や構造の複雑化を防止することができる。
また、参考例1では、熱歪材料(21)の発熱量を調整し、冷却加熱能力を調整することができるので、空調負荷に応じた運転をすることが可能である。
−実施形態1−
図4に示す実施形態1は、2つの室内ユニット(U1,U2)を空調対象の室内(3)に設置するように構成したものである。図では、部屋の対向する壁面の一方(図の右側の壁面)に第1室内ユニット(U1)が設置され、壁面の他方(図の左側の壁面)に第2室内ユニット(U2)が設置されている。各室内ユニット(U1,U2)の構成は図1の空気調和装置(1)の室内ユニット(U)と同じであるため、各室内ユニット(U1,U2)の構成については説明を省略する。なお、室内ユニット(U1,U2)には、それぞれ空気通路(P1,P2)が形成されている。
図4(A)は、第1室内ユニット(U1)で冷却動作を行い、第2室内ユニット(U2)で加熱動作を行う状態を示している。第1室内ユニット(U1)では、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、第1室内ユニット(U1)の冷却加熱モジュール(20)が吸熱し、ケーシング(10)に取り込まれた室内空気(RA)が冷却される。そして、冷却された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第2室内ユニット(U2)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、冷却加熱モジュール(20)の熱を室外空気(OA)が奪い、排出空気(EA)として室外へ放出される。
図4(B)は、第2室内ユニット(U2)で冷却動作を行い、第1室内ユニット(U1)で加熱動作を行う状態を示している。第2室内ユニット(U2)では、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、第2室内ユニット(U2)の冷却加熱モジュール(20)が吸熱し、ケーシング(10)に取り込まれた室内空気(RA)が冷却される。そして、冷却された空気が供給空気(SA)として室内へ供給される。
一方、第1室内ユニット(U1)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、冷却加熱モジュール(20)の熱を室外空気(OA)が奪い、排出空気(EA)として室外へ放出される。
このように、実施形態1によれば、いずれか一方の室内ユニット(U1,U2)で空気を冷却して、その空気を室内(3)へ供給するときに、他方の室内ユニット(U2,U1)では室外へ熱を排出する図4(A)の運転と図4(B)の運転を交互に切り換えることにより、冷房運転を連続して行うことができる。
(実施形態1の変形例1)
図5に示す実施形態1の変形例1は、2つの室内ユニット(U1,U2)を空調対象の室内(3)に設置するように構成している点は図4の装置(1)と共通している。図4の変形例1と異なる点は、第1室内ユニット(U1)と第2室内ユニット(U2)の両方を、図の右側の壁面に設置した点である。各室内ユニット(U1,U2)の構成は、図1及び図4の空気調和装置(1)と同じである。
図5(A)は、第1室内ユニット(U1)で冷却動作を行い、第2室内ユニット(U2)で加熱動作を行う状態を示している。第1室内ユニット(U1)では、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、第1室内ユニット(U1)の冷却加熱モジュール(20)が吸熱し、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が冷却される。そして、冷却された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第2室内ユニット(U2)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、冷却加熱モジュール(20)の熱を室外空気(OA)が奪い、排出空気(EA)として室外へ放出される。
図5(B)は、第2室内ユニット(U2)で冷却動作を行い、第1室内ユニット(U1)で加熱動作を行う状態を示している。第2室内ユニット(U2)では、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、第2室内ユニット(U2)の冷却加熱モジュール(20)が吸熱し、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が冷却される。そして、冷却された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第1室内ユニット(U1)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、冷却加熱モジュール(20)の熱を室外空気(OA)が奪い、排出空気(EA)として室外へ放出される。
このように、実施形態1の変形例1によれば、いずれか一方の室内ユニット(U1,U2)で空気を冷却して、その空気を室内(3)へ供給するときに、他方の室内ユニット(U2,U1)では室外へ熱を排出する図5(A)の運転と図5(B)の運転を交互に切り換えることにより、冷房運転を連続して行うことができる。
(実施形態1の変形例2)
図6に示す実施形態1の変形例2は、空気調和装置(1)のケーシング(10)内に2つの冷却加熱モジュール(20)を設け、一方の冷却加熱モジュール(20)(第1冷却加熱モジュール(20a))を通過した空気を室内(3)に供給して他方の冷却加熱モジュール(20)(第2冷却加熱モジュール(20b))を通過した空気を室外へ放出する第1の運転動作と、第2冷却加熱モジュール(20b)を通過した空気を室内(3)に供給して第1冷却加熱モジュール(20a)を通過した空気を室外へ放出する第2の運転動作とを切り換えるように構成したものである。
空気調和装置(1)は、具体的には図7,8に示すように構成されている。この空気調和装置(1)は、2つの冷却加熱モジュール(20a,20b)と2つのファン(30a,30b)を1つのケーシング(10)内に収納した一体型の構成で、天井裏に設置されている。図7は、第1冷却加熱モジュール(20a)を冷却側にして第2冷却加熱モジュール(20b)を加熱側にする第1の運転動作を示し、図8は、第2冷却加熱モジュール(20b)を冷却側にして第1冷却加熱モジュール(20a)を加熱側にする第2の運転動作を示している。また、図7及び図8において、それぞれ、(A)図は平面構造図(装置を平面から見て内部構造を示す図)、(B)図は左側面構造図、(C)図は右側面構造図である。
この空気調和装置(1)のケーシング(10)は、四角い箱形に形成されている。このケーシング(10)の1つの側壁面には、室内空気(RA)をケーシング(10)内に取り入れる第1吸込口(11)と、室外空気(OA)をケーシング(10)内に取り入れる第2吸込口(12)が設けられている。また、上記各吸込口(11,12)が設けられている側壁面の左右の側壁面には、供給空気(SA)を室内(3)に供給する第1吹出口(13)と、排出空気(EA)を室外に排出する第2吹出口(14)が設けられている。これらの第1吸込口(11)、第2吸込口(12)、第1吹出口(13)及び第2吹出口(14)には、それぞれ図6に模式的に矢印で示すダクト(4a,4b,4c,4d)が接続されている。
上記ケーシング(10)内は、上記冷却加熱モジュール(20)が配置された冷却加熱室(C1,C2)と、ファン(30a,30b)が配置されたファン室(C3,C4)が設けられている。冷却加熱室(C1,C2)は、図7,図8においてケーシング(10)内の左右に隣り合って位置する第1冷却加熱室(C1)と第2冷却加熱室(C2)とから構成されている。上記ファン室(C3,C4)は、同じくケーシング(10)の左右に隣り合って位置する第1ファン室(C3)と第2ファン室(C4)とから構成されている。第1ファン室(C3)には給気ファン(30a)が配置され、第2ファン室(C4)には排気ファン(30b)が配置されている。
また、上記各吸込口(11,12)と冷却加熱室(C1,C2)の間には入口側通風室(C5,C6)が形成されている。入口側通風室(C5,C6)は、上記ケーシング(10)の上下2段に配置された第1入口側通風室(C5)と第2入口側通風室(C6)とから構成されている。第1入口側通風室(C5)には第1吸込口(11)が設けられ、第2入口側通風室(C6)には第2吸込口(12)が設けられている。各入口側通風室(C5,C6)と各冷却加熱室(C1,C2)との間には、開閉可能なダンパ(D1,D2,D3,D4)が1枚ずつ、合計4枚設けられている。
上記冷却加熱室(C1,C2)と上記ファン室(C3,C4)との間には出口側通風室(C7,C8)が形成されている。出口側通風室(C7,C8)は、上記ケーシング(10)の上下2段に配置された第1出口側通風室(C7)と第2出口側通風室(C8)とから構成されている。各冷却加熱室(C1,C2)と各出口側通風室(C7,C8)との間には、開閉可能なダンパ(D5,D6,D7,D8)が1枚ずつ、合計4枚設けられている。
各出口側通風室(C7,C8)は、上記各ファン室(C3,C4)と連通している。上記第1吹出口(13)はケーシング(10)の第1ファン室(C3)側に設けられ、上記第2吹出口(14)はケーシング(10)の第2ファン室(C4)側に設けられている。
以上の構成においては、第1の運転動作のとき、第1ダンパ(D1)、第4ダンパ(D4)、第5ダンパ(D5)及び第8ダンパ(D8)が開かれ、第2ダンパ(D2)、第3ダンパ(D3)、第6ダンパ(D6)及び第7ダンパ(D7)は閉じられる。また、第2の運転動作のとき、第2ダンパ(D2)、第3ダンパ(D3)、第6ダンパ(D6)及び第7ダンパ(D7)が開かれ、第1ダンパ(D1)、第4ダンパ(D4)、第5ダンパ(D5)及び第8ダンパ(D8)は閉じられる。
このようにダンパ(D1〜D8)の開閉状態を制御することにより、第1の運転動作においては、図7に示すように、第1吸込口(11)からケーシング(10)内に導入された室内空気(RA)が、第1ダンパ(D1)、第1冷却加熱モジュール(20a)及び第5ダンパ(D5)を通って第1吹出口(13)から室内(3)へ供給されるとともに、第2吸込口(12)からケーシング(10)内に導入された室内空気が、第4ダンパ(D4)、第2冷却加熱モジュール(20b)及び第8ダンパ(D8)を通って第2吹出口(14)から室外へ排出される。また、第2の運転動作においては、図8に示すように、第1吸込口(11)からケーシング(10)内に導入された室内空気(RA)が、第3ダンパ(D3)、第2冷却加熱モジュール(20b)及び第7ダンパ(D7)を通って第1吹出口(13)から室内(3)へ供給されるとともに、第2吹出口(14)からケーシング(10)内に導入された室外空気(OA)が、第2ダンパ(D2)、第1冷却加熱モジュール(20a)及び第6ダンパ(D6)を通って第2吹出口(14)から室外へ排出される。
そして、この実施形態1の変形例2では、ダンパの開閉状態を切り換えることにより、図7の第1運転動作と図8の第2運転動作が交互に繰り返される。
この空気調和装置(1)は冷房専用機として構成されているので、室内(3)へ供給される空気が通過する冷却加熱モジュール(20)は、第1冷却加熱モジュール(20a)と第2冷却加熱モジュール(20b)のどちらに切り換わっても、冷却動作が行われる方の冷却加熱モジュール(20)である。したがって、室内(3)へは、冷却された空気が連続して供給される。また、室外へ排出される空気が通過する冷却加熱モジュール(20)は、第2冷却加熱モジュール(20b)と第1冷却加熱モジュール(20a)のどちらに切り換わっても加熱動作が行われる方の冷却加熱モジュール(20)である。したがって、室外へ放出される空気は冷却加熱モジュール(20)の熱を奪った空気である。
このように、実施形態1の変形例2によれば、いずれか一方の冷却加熱モジュール(20a,20b)で空気を冷却して、その空気を室内(3)へ供給するときに、他方の冷却加熱モジュール(20b,20a)から排出空気(EA)が熱を奪う図7の運転と図8の運転を交互に切り換えることにより、冷房運転を連続して行うことができる。
(参考例2)
図9に示す参考例2は、ロータ式の冷却加熱モジュール(20)を用いた空気調和装置(1)に関する例である。この空気調和装置(1)も、図1〜図8の例と同様に冷房専用機として構成されている。
この空気調和装置(1)のケーシング(10)には、給気側通路(P1)と排気側通路(P2)が設けられている。給気側通路(P1)には給気ファン(30a)が設けられ、排気側通路(P2)には排気ファン(30b)が設けられている。上記冷却加熱モジュール(20)は円板状に形成され、上記ケーシング(10)内で給気側通路(P1)と排気側通路(P2)に跨って配置されている。この冷却加熱モジュール(20)は、回転軸を中心として回転することにより、給気側通路(P1)の中に位置していた部分が排気側通路(P2)の中へ移動し、排気側通路(P2)の中に位置していた部分が給気側通路(P1)の中へ移動できるように構成されている。
この参考例2の空気調和装置(1)では、給気側通路(P1)で冷却動作が行われ、排気側通路(P2)で加熱動作が行われる。具体的には、冷却加熱モジュール(20)が給気側通路(P1)に位置する部分には引張力が付与されずに熱歪材料(21)が吸熱し、空気が冷却される。また、冷却加熱モジュール(20)が排気側通路(P2)に位置する部分には引張力が付与されて熱歪材料(21)が空気に放熱する。
この参考例2では、冷却動作と加熱動作は冷却加熱モジュール(20)を連続的または間欠的に回転させながら行われる。したがって、排気側通路(P2)で冷却加熱モジュール(20)から空気に放熱しながら、同時に給気側通路(P1)では冷却加熱モジュール(20)で空気を冷却することができるから、その冷却された空気を連続して室内(3)へ供給する連続冷房運転が可能である。
《発明の実施形態2》
図10に示す参考例3は、図1に示す実施形態1の空気調和装置(1)を暖房専用機として構成した例である。
この空気調和装置(1)は、図1の空気調和装置(1)と同様に、ケーシング(10)と、ケーシング(10)内に収納された冷却加熱モジュール(20)と、冷却加熱モジュール(20)に空気を流すファン(30)と、冷却加熱モジュール(20)に引張力を付与する切換制御部(35)とを備え、ケーシング(10)とその内部に設けられた機能部品により室内ユニット(U)が構成されている。また、ケーシング(10)内には、該ケーシング(10)内に導入された空気を冷却加熱モジュール(20)に通すための空気通路(P)が形成されている。
この参考例3の空気調和装置(1)は、上記冷却加熱モジュール(20)で加熱処理した空気を空気通路(P)から室内(3)に導入することにより、暖房運転を行うことができるようになっている点が図1の空気調和装置(1)と異なっている。
この空気調和装置(1)では、図10(A)において、それまで冷却されていた冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。そうすると、熱歪材料(21)が加熱され、冷却加熱モジュール(20)が放熱する。したがって、冷却加熱モジュール(20)を通過して加熱された空気が供給空気(SA)として室内(3)に供給される。
一方、図10(B)においては、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、冷却加熱モジュール(20)に室外空気(OA)が熱を与え、排出空気(EA)として室外へ放出される。
このように、参考例3によれば、図10(A)の加熱動作と図10(B)の冷却動作を交互に繰り返すことにより、間欠暖房運転を行うことができる。
−実施形態2−
図11に示す実施形態2は、図4の空気調和装置(1)を暖房専用機として構成した例である。部屋の対向する壁面の一方(図の右側の壁面)に第1室内ユニット(U1)が設置され、壁面の他方(図の左側の壁面)に第2室内ユニット(U2)が設置されている構成は、図4の空気調和装置(1)と同じである。また、各室内ユニット(U1,U2)の構成は図10の参考例3と同じである。
図11(A)は、第1室内ユニット(U1)で加熱動作を行い、第2室内ユニット(U2)で冷却動作を行う状態を示している。第1室内ユニット(U1)では、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、第1室内ユニット(U1)の冷却加熱モジュール(20)が放熱し、ケーシング(10)に取り込まれた室内空気(RA)が加熱される。そして、加熱された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第2室内ユニット(U2)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、室外空気(OA)が冷却加熱モジュール(21)に熱を奪われ、排出空気(EA)として室外に放出される。
図11(B)は、第2室内ユニット(U2)で加熱動作を行い、第1室内ユニット(U1)で冷却動作を行う状態を示している。第2室内ユニット(U2)では、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、第2室内ユニット(U2)の冷却加熱モジュール(20)が放熱し、ケーシング(10)に取り込まれた室内空気(RA)が加熱される。そして、加熱された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第1室内ユニット(U1)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、室外空気(OA)が冷却加熱モジュール(21)に熱を奪われ、排出空気(EA)として室外に放出される。
このように、この実施形態2によれば、いずれか一方の室内ユニット(U1,U2)で空気を加熱して、その空気を室内(3)へ供給するときに、他方の室内ユニット(U2,U1)では冷却動作を行う図11(A)の運転と図11(B)の運転を交互に切り換えることにより、暖房運転を連続して行うことができる。
(実施形態2の変形例1)
図12に示す実施形態2の変形例1は、2つの室内ユニット(U1,U2)を空調対象の室内(3)に設置するように構成したものであり、図5に示す実施形態1の変形例1の空気調和装置(1)を暖房専用機として構成した例である。この変形例では、第1室内ユニット(U1)と第2室内ユニット(U2)の両方が、図の右側の壁面に設置されている。
図12(A)は、第1室内ユニット(U1)で加熱動作を行い、第2室内ユニット(U2)で冷却動作を行う状態を示している。第1室内ユニット(U1)では、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、第1室内ユニット(U1)の冷却加熱モジュール(20)が放熱し、ケーシング(10)に取り込まれた室内空気(RA)が加熱される。そして、加熱された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第2室内ユニット(U2)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、室外空気(OA)が冷却加熱モジュール(21)に熱を奪われ、排出空気(EA)として室外に放出される。
図12(B)は、第2室内ユニット(U2)で加熱動作を行い、第1室内ユニット(U1)で冷却動作を行う状態を示している。第2室内ユニット(U2)では、冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、第2室内ユニット(U2)の冷却加熱モジュール(20)が放熱し、ケーシング(10)に取り込まれた室内空気(RA)が加熱される。そして、加熱された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第1室内ユニット(U1)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、室外空気(OA)が冷却加熱モジュール(21)に熱を奪われ、排出空気(EA)として室外に放出される。
このように、この実施形態2の変形例1によれば、いずれか一方の室内ユニット(U1,U2)で空気を加熱して、その空気を室内(3)へ供給するときに、他方の室内ユニット(U2,U1)では冷却動作を行う図12(A)の運転と図12(B)の運転を交互に切り換えることにより、暖房運転を連続して行うことができる。
(実施形態2の変形例2)
図13に示す実施形態2の変形例2は、図6〜図8に示す実施形態1の変形例2の空気調和装置(1)を暖房専用機として構成した例である。この空気調和装置(1)は、具体的には、図6〜図8と同様に、ケーシング(10)内に2つの冷却加熱モジュール(20a,20b)を設け、一方の冷却加熱モジュール(20)(第1冷却加熱モジュール(20a))を通過した空気を室内(3)に供給して他方の冷却加熱モジュール(20)(第2冷却加熱モジュール(20b))を通過した空気を室外へ放出する第1の運転動作と、第2冷却加熱モジュール(20b)を通過した空気を室内(3)に供給して第1冷却加熱モジュール(20a)を通過した空気を室外へ放出する第2の運転動作とを切り換えるように構成されている。
空気調和装置(1)は、具体的には図14,15に示すように構成されている。この空気調和装置(1)は、2つの冷却加熱モジュール(20a,20b)と2つのファン(30a,30b)を1つのケーシング(10)内に収納した一体型の構成で、天井裏に設置されている。図14は、第1冷却加熱モジュール(20a)を加熱側にして第2冷却加熱モジュール(20b)を冷却側にする第1の運転動作を示し、図15は、第2冷却加熱モジュール(20b)を加熱側にして第1冷却加熱モジュール(20a)を冷却側にする第2の運転動作を示している。また、図14及び図15において、それぞれ、(A)図は平面構造図(装置を平面から見て内部構造を示す図)、(B)図は左側面構造図、(C)図は右側面構造図である。
この空気調和装置(1)のケーシング(10)は、四角い箱形に形成されている。このケーシング(10)の1つの側壁面には、室内空気(RA)をケーシング(10)内に取り入れる第1吸込口(11)と、室外空気(OA)をケーシング(10)内に取り入れる第2吸込口(12)が設けられている。また、上記各吸込口(11,12)が設けられている側壁面の左右の側壁面には、供給空気(SA)を室内(3)に供給する第1吹出口(13)と、排出空気(EA)を室外に排出する第2吹出口(14)が設けられている。これらの第1吸込口(11)、第2吸込口(12)、第1吹出口(13)及び第2吹出口(14)には、それぞれ図13に模式的に矢印で示すダクト(4a,4b,4c,4d)が接続されている。
上記ケーシング(10)内は、上記冷却加熱モジュール(20)が配置された冷却加熱室(C1,C2)と、ファン(30a,30b)が配置されたファン室(C3,C4)が設けられている。冷却加熱室(C1,C2)は、図14,図15においてケーシング(10)内の左右に隣り合って位置する第1冷却加熱室(C1)と第2冷却加熱室(C2)とから構成されている。上記ファン室(C3,C4)は、同じくケーシング(10)の左右に隣り合って位置する第1ファン室(C3)と第2ファン室(C4)とから構成されている。第1ファン室(C3)には給気ファン(30a)が配置され、第2ファン室(C4)には排気ファン(30b)が配置されている。
また、上記各吸込口(11,12)と冷却加熱室(C1,C2)の間には入口側通風室(C5,C6)が形成されている。入口側通風室(C5,C6)は、上記ケーシング(10)の上下2段に配置された第1入口側通風室(C5)と第2入口側通風室(C6)とから構成されている。第1入口側通風室(C5)には第1吸込口(11)が設けられ、第2入口側通風室(C6)には第2吸込口(12)が設けられている。各入口側通風室(C5,C6)と各冷却加熱室(C1,C2)との間には、開閉可能なダンパ(D1,D2,D3,D4)が1枚ずつ、合計4枚設けられている。
上記冷却加熱室(C1,C2)と上記ファン室(C3,C4)との間には出口側通風室(C7,C8)が形成されている。出口側通風室(C7,C8)は、上記ケーシング(10)の上下2段に配置された第1出口側通風室(C7)と第2出口側通風室(C8)とから構成されている。各冷却加熱室(C1,C2)と各出口側通風室(C7,C8)との間には、開閉可能なダンパ(D5,D6,D7,D8)が1枚ずつ、合計4枚設けられている。
各出口側通風室(C7,C8)は、上記各ファン室(C3,C4)と連通している。上記第1吹出口(13)はケーシング(10)の第1ファン室(C3)側に設けられ、上記第2吹出口(14)はケーシング(10)の第2ファン室(C4)側に設けられている。
以上の構成においては、第1の運転動作のとき、第1ダンパ(D1)、第4ダンパ(D4)、第5ダンパ(D5)及び第8ダンパ(D8)が開かれ、第2ダンパ(D2)、第3ダンパ(D3)、第6ダンパ(D6)及び第7ダンパ(D7)は閉じられる。また、第2の運転動作のとき、第2ダンパ(D2)、第3ダンパ(D3)、第6ダンパ(D6)及び第7ダンパ(D7)が開かれ、第1ダンパ(D1)、第4ダンパ(D4)、第5ダンパ(D5)及び第8ダンパ(D8)は閉じられる。
このようにダンパ(D1〜D8)の開閉状態を制御することにより、第1の運転動作においては、図14に示すように、第1吸込口(11)からケーシング(10)内に導入された室内空気(RA)が、第1ダンパ(D1)、第1冷却加熱モジュール(20a)及び第5ダンパ(D5)を通って第1吹出口(13)から室内(3)へ供給されるとともに、第2吸込口(12)からケーシング(10)内に導入された室外空気(OA)が、第4ダンパ(D4)、第2冷却加熱モジュール(20b)及び第8ダンパ(D8)を通って第2吹出口(14)から室外へ排出される。また、第2の運転動作においては、図15に示すように、第1吸込口(11)からケーシング(10)内に導入された室内空気(RA)が、第3ダンパ(D3)、第2冷却加熱モジュール(20b)及び第7ダンパ(D7)を通って第1吹出口(13)から室内(3)へ供給されるとともに、第2吹出口(14)からケーシング(10)内に導入された室外空気(OA)が、第2ダンパ(D2)、第1冷却加熱モジュール(20a)及び第6ダンパ(D6)を通って第2吹出口(14)から室外へ排出される。
そして、この実施形態2の変形例2では、ダンパの開閉状態を切り換えることにより、図14の第1運転動作と図15の第2運転動作が交互に繰り返される。
この空気調和装置(1)は暖房専用機として構成されているので、室内(3)へ供給される空気が通過する冷却加熱モジュール(20)は、第1冷却加熱モジュール(20a)と第2冷却加熱モジュール(20b)のどちらに切り換わっても、加熱動作が行われる方の冷却加熱モジュール(20)である。したがって、室内(3)へは、加熱された空気が連続して供給される。また、室外へ排出される空気が通過する冷却加熱モジュール(20)は、第2冷却加熱モジュール(20b)と第1冷却加熱モジュール(20a)のどちらに切り換わっても冷却動作が行われる方の冷却加熱モジュール(20)である。したがって、室外へ放出される空気は、冷却加熱モジュール(20)に熱を奪われた空気である。
このように、実施形態2の変形例3によれば、いずれか一方の冷却加熱モジュール(20a,20b)で空気を加熱して、その空気を室内(3)へ供給するときに、他方の冷却加熱モジュール(20b,20a)に熱を与える図14の運転と図15の運転を交互に切り換えることにより、暖房運転を連続して行うことができる。
(参考例4)
図16に示す参考例4は、ロータ式の冷却加熱モジュール(20)を用いた空気調和装置(1)に関するものである。この空気調和装置(1)も、実施形態2及びその変形例1、2と同様に暖房専用機として構成されている。
この空気調和装置(1)のケーシング(10)には、給気側通路(P1)と排気側通路(P2)が設けられている。給気側通路(P1)には給気ファン(30a)が設けられ、排気側通路(P2)には排気ファン(30b)が設けられている。上記冷却加熱モジュール(20)は円板状に形成され、上記ケーシング(10)内で給気側通路(P1)と排気側通路(P2)に跨って配置されている。この冷却加熱モジュール(20)は、回転軸を中心として回転することにより、給気側通路(P1)の中に位置していた部分が排気側通路(P2)の中へ移動し、排気側通路(P2)の中に位置していた部分が給気側通路(P1)の中へ移動できるように構成されている。
この参考例4の空気調和装置(1)では、給気側通路(P1)で加熱動作が行われ、排気側通路(P2)で冷却動作が行われる。具体的には、冷却加熱モジュール(20)が給気側通路(P1)に位置する部分には引張力が付与されて熱歪材料(21)が放熱し、空気が加熱される。また、冷却加熱モジュール(20)が排気側通路(P2)に位置する部分には引張力が付与されずに熱歪材料(21)が吸熱し、空気の熱が奪われる。
この参考例4では、加熱動作と冷却動作は冷却加熱モジュール(20)を連続的または間欠的に回転させながら行われる。したがって、排気側通路(P2)で空気から冷却加熱モジュール(20)に熱を与えながら、同時に給気側通路(P1)では冷却加熱モジュール(20)で空気を加熱することができるから、その加熱された空気を連続して室内(3)へ供給する連続暖房運転が可能である。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。
図17に示す実施形態3は、図5に示す実施形態1の変形例1に係る空気調和装置(1)が暖房専用機であるのに対して、空気の加湿もできるように構成した例である。この空気調和装置(1)も図5の例と同様に2つの室内ユニット(U1,U2)を備え、第1室内ユニット(U1)と第2室内ユニット(U2)の両方が図の一つの壁面(右側の壁面)に設置されている。
この空気調和装置(1)では、第1室内ユニット(U1)と第2室内ユニット(U2)に、上記冷却加熱モジュール(20)に加えて、空気に対する水分の放湿と吸湿を行うように構成した上記調湿モジュール(24)が設けられている。上述したように、この調湿モジュール(24)は、図2(B)において、熱歪材料(21)と、この熱歪材料(21)に引張力を付与するアクチュエータ(22)と、その表面に形成された吸着層(23)とを有している。調湿モジュール(24)では、引張力を付与すると空気を加湿することができ、引張力を解除すると空気を減湿することができる。
この実施形態3では、第1室内ユニット(U1)と第2室内ユニット(U2)のいずれについても、空気は冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)を通過する。したがって、この空気調和装置(1)では、空気の吸湿処理及び放湿処理を行うことに加えて、空気の冷却処理と加熱処理も行うことができる。
図17(A)は、第1室内ユニット(U1)で冷却吸湿動作を行い、第2室内ユニット(U2)で加熱放湿動作を行う状態を示している。第1室内ユニット(U1)では、冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が減湿されるとともに冷却される。そして、減湿されるとともに冷却された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第2室内ユニット(U2)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)により加熱加湿処理された空気が排出空気(EA)として室外へ放出される。このとき、調湿モジュール(24)の吸着層は水分を放出して再生される。
図17(B)は、第2室内ユニット(U2)で冷却吸湿動作を行い、第1室内ユニット(U1)で加熱放湿動作を行う状態を示している。第2室内ユニット(U2)では、冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。したがって、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が減湿されるとともに冷却される。そして、減湿されるとともに冷却された空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第1室内ユニット(U1)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)により加熱加湿処理された空気が排出空気(EA)として室外へ放出される。このとき、調湿モジュール(24)の吸着層は水分を放出して再生される。
このように、実施形態3によれば、いずれか一方の室内ユニット(U1,U2)で空気の冷却と減湿を行って、その空気を室内(3)へ供給するときに、他方の室内ユニット(U2,U1)では加熱処理と放湿処理を行う図17(A)の運転と図17(B)の運転を交互に切り換えることにより、除湿冷房運転を連続して行うことができる。
なお、この実施形態では、空気の流れに対して冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)を直列に配置して、空気の顕熱処理と潜熱処理を直列で行って室内に供給するようにしているが、冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)を並列に配置して、顕熱処理をした空気と潜熱処理をした空気を混合して室内に供給するようにしてもよい。このように構成してもよいことは、以下の変形例においても同様である。
(参考例5)
図18に示す参考例5は、ロータ式の冷却加熱モジュール(20)を用いた空気調和装置(1)に関するものである。この空気調和装置(1)は、ロータ式の冷却加熱モジュール(20)に加えて、ロータ式の調湿モジュール(24)も備え、除湿冷房を行えるように構成されている。
この空気調和装置(1)のケーシング(10)には、給気側通路(P1)と排気側通路(P2)が設けられている。給気側通路(P1)には給気ファン(30a)が設けられ、排気側通路(P2)には排気ファン(30b)が設けられている。上記冷却加熱モジュール(20)は円板状に形成され、上記ケーシング(10)内で給気側通路(P1)と排気側通路(P2)に跨って配置されている。この冷却加熱モジュール(20)は、回転軸を中心として回転することにより、給気側通路(P1)の中に位置していた部分が排気側通路(P2)の中へ移動し、排気側通路(P2)の中に位置していた部分が給気側通路(P1)の中へ移動できるように構成されている。
また、調湿モジュール(24)も円板状に形成され、上記ケーシング(10)内で給気側通路(P1)と排気側通路(P2)に跨って配置されている。この調湿モジュール(24)は、回転軸を中心として回転することにより、給気側通路(P1)の中に位置していた部分が排気側通路(P2)の中へ移動し、排気側通路(P2)の中に位置していた部分が給気側通路(P1)の中へ移動できるように構成されている。
この参考例5の空気調和装置(1)では、給気側通路(P1)で冷却吸湿動作が行われ、排気側通路(P2)で加熱放湿動作が行われる。具体的には、冷却加熱モジュール(20)が給気側通路(P1)に位置する部分には引張力が付与されずに熱歪材料(21)が吸熱し、空気が冷却される。また、調湿モジュール(24)が給気側通路(P1)に位置する部分にも引張力が付与されずに熱歪材料(21)が吸熱して吸着剤が冷却され、空気中の水分が吸着剤に吸着される。そして、冷却されて減湿された空気が供給空気(SA)として室内(3)に供給される。
一方、冷却加熱モジュール(20)が排気側通路(P2)に位置する部分には引張力が付与されて熱歪材料(21)が放熱し、空気が加熱される。また、調湿モジュール(24)が排気側通路(P2)に位置する部分にも引張力が付与されて熱歪材料(21)が放熱して吸着剤が加熱され、吸着剤に含まれている水分が空気に放出されて吸着剤が再生される。そして、加熱されるとともに水分が与えられた空気が排出空気(EA)として室外へ放出される。
この参考例5では、冷却吸湿動作と加熱放湿動作は冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)を連続的または間欠的に回転させながら行われる。したがって、冷却加熱モジュール(20)の放熱処理と調湿モジュール(24)の放湿処理を排気側通路(P2)で行いながら、同時に給気側通路(P1)で吸湿冷却処理することができるから、減湿かつ冷却された空気を連続して室内(3)へ供給することができる。
(実施形態3の変形例1)
図19に示す実施形態3の変形例1は、図17に示した実施形態3に係る空気調和装置(1)が除湿冷房機であるのに対して、加湿暖房機として構成した例である。この変形例においても、第1室内ユニット(U1)と第2室内ユニット(U2)の両方が、図の右側の壁面に設置されている。
この空気調和装置(1)においても、第1室内ユニット(U1)と第2室内ユニット(U2)に、上記冷却加熱モジュール(20)に加えて、空気の冷却と加熱を行うように構成した上記調湿モジュール(24)が設けられている。
第1室内ユニット(U1)と第2室内ユニット(U2)は、図17の実施形態3と同様に構成されている。
図19(A)は、第1室内ユニット(U1)で加熱放湿動作を行い、第2室内ユニット(U2)で冷却吸湿動作を行う状態を示している。第1室内ユニット(U1)では、冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が加熱されるとともに加湿され、その空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第2室内ユニット(U2)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。冷却加熱モジュール(20)での冷却処理と調湿モジュール(24)での吸湿処理の行われた空気が排出空気(EA)として室外に放出される。
図19(B)は、第2室内ユニット(U2)で加熱放湿動作を行い、第1室内ユニット(U1)で冷却吸湿動作を行う状態を示している。第2室内ユニット(U2)では、冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)の熱歪材料(21)に引張力が付与される。したがって、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が加熱されるとともに加湿され、その空気が供給空気(SA)として室内(3)へ供給される。
一方、第1室内ユニット(U1)では、室外空気(OA)をケーシング(10)に取り入れて処理した後に排出する方向へファン(30)が回転し、同時に冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)の熱歪材料(21)への引張力が解除される。冷却加熱モジュール(20)での冷却処理と調湿モジュール(24)での吸湿処理の行われた空気が排出空気(EA)として室外に放出される。
この実施形態3の変形例1によれば、いずれか一方の室内ユニット(U1,U2)で空気の加湿と加熱を行って、その空気を室内(3)へ供給するときに、他方の室内ユニット(U2,U1)では空気の冷却と吸着層(23)での吸湿を行う図19(A)の運転と図19(B)の運転を交互に切り換えることにより、加湿暖房運転を連続して行うことができる。
(参考例6)
図20に示す参考例6は、図18に示す参考例5に係る空気調和装置(1)が除湿冷房機であるのに対して、加湿暖房機として構成した例である。この変形例においても、ロータ式の冷却加熱モジュール(20)に加えて、ロータ式の調湿モジュール(24)が用いられている。
この空気調和装置(1)のケーシング(10)、冷却加熱モジュール(20)及び調湿モジュール(24)は図18と同様に構成されている。
具体的には、空気調和装置(1)のケーシング(10)に、給気側通路(P1)と排気側通路(P2)が設けられている。給気側通路(P1)には給気ファン(30a)が設けられ、排気側通路(P2)には排気ファン(30b)が設けられている。上記冷却加熱モジュール(20)は円板状に形成され、上記ケーシング(10)内で給気側通路(P1)と排気側通路(P2)に跨って配置されている。この冷却加熱モジュール(20)は、回転軸を中心として回転することにより、給気側通路(P1)の中に位置していた部分が排気側通路(P2)の中へ移動し、排気側通路(P2)の中に位置していた部分が給気側通路(P1)の中へ移動できるように構成されている。また、調湿モジュール(24)も円板状に形成され、上記ケーシング(10)内で給気側通路(P1)と排気側通路(P2)に跨って配置されている。この調湿モジュール(24)は、回転軸を中心として回転することにより、給気側通路(P1)の中に位置していた部分が排気側通路(P2)の中へ移動し、排気側通路(P2)の中に位置していた部分が給気側通路(P1)の中へ移動できるように構成されている。
この参考例6の空気調和装置(1)では、給気側通路(P1)で加熱放湿動作が行われ、排気側通路(P2)で冷却吸湿動作が行われる。具体的には、冷却加熱モジュール(20)が給気側通路(P1)に位置する部分には、引張力が付与されることにより熱歪材料(21)が発熱し、空気が加熱される。また、調湿モジュール(24)が給気側通路(P1)に位置する部分には、引張力が付与されることにより熱歪材料(21)が発熱して吸着剤が加熱され、吸着剤に含まれている水分が空気に与えられる。
一方、冷却加熱モジュール(20)が排気側通路(P2)に位置する部分には、引張力が解除されて熱歪材料(21)が空気から吸熱する。また、調湿モジュール(24)が排気側通路(P2)に位置する部分には、引張力が解除されて熱歪材料(21)が吸熱して吸着剤が冷却され、空気中の水分が吸着剤に吸着される。
この参考例6では、加熱放湿動作と冷却吸湿動作は冷却加熱モジュール(20)を連続的または間欠的に回転させながら行われる。したがって、排気側通路(P2)で冷却処理と吸湿処理を行いながら、同時に給気側通路(P1)で加熱処理と放湿処理をすることができるから、加熱と加湿のされた空気を連続して室内(3)へ供給する運転を行うことができる。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4について説明する。
参考例7の空気調和装置(1)は、図1及び図10に示す空気調和装置(1)において、冷却加熱モジュール(20)で冷却処理した空気を室内(3)に導入する冷却動作と、冷却加熱モジュール(20)で加熱処理した空気を室内(3)に導入する加熱動作とを切り換え可能に構成したものである。
例えば、図1の空気調和装置(1)において、ケーシング(10)に取り込まれた室内空気(RA)を処理するときに、図1(A)に示すように冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)への引張力を解除する運転と、図10(A)に示すように冷却加熱モジュール(20)の熱歪材料(21)に引張力を付与する運転とを切り換え可能に構成され、ケーシング(10)に取り込まれた室外空気(OA)を処理するときに、図1(B)に示すように冷却加熱モジュール(20)に引張力を付与する運転と、図10(B)に示すように冷却加熱モジュール(20)への引張力を解除する運転とを切り換え可能に構成される。
このように構成すれば、1つの冷却加熱モジュール(20)を備えた室内ユニット(U)を有する空気調和装置(1)において、室内(3)を間欠的に冷房する運転と、室内(3)を間欠的に暖房する運転とを切り換えて行うことが可能になる。
−実施形態4−
実施形態4は、図4及び図11の空気調和装置(1)において、引張力の付与状態を切り換えることにより、図4(A)の運転と図11(A)の運転とを切り換え可能に構成するとともに、図4(B)の運転と図11(B)の運転とを切り換え可能に構成したものである。装置の基本的な構成は図4及び図11と同様であるため、具体的な説明は省略する。
この空気調和装置(1)において、図4(A),(B)の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する冷却加熱モジュール(20)へ引張力が付与される。また、図11(A),(B)の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する冷却加熱モジュール(20)に引張力が付与され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除される。
このように構成すれば、2つの室内ユニット(U1,U2)を部屋の対向する壁面に設置した空気調和装置(1)において、室内(3)を連続的に冷房する運転と、室内(3)を連続的に暖房する運転とを切り換えて行うことが可能になる。
(実施形態4の変形例1)
実施形態4の変形例1は、図5及び図12の空気調和装置(1)において、引張力の付与状態を切り換えることにより、図5(A)の運転と図12(A)の運転とを切り換え可能に構成するとともに、図5(B)の運転と図12(B)の運転とを切り換え可能に構成したものである。装置の基本的な構成は図5及び図12と同様であるため、具体的な説明は省略する。
この空気調和装置(1)において、図5(A),(B)の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する冷却加熱モジュール(20)へ引張力が付与される。また、図12(A),(B)の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する冷却加熱モジュール(20)に引張力が付与され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除される。
このように構成すれば、2つの室内ユニット(U1,U2)を部屋の一方の壁面に設置した空気調和装置(1)において、室内(3)を連続的に冷房する運転と、室内(3)を連続的に暖房する運転とを切り換えて行うことが可能になる。
(実施形態4の変形例2)
実施形態4の変形例2は、図6〜図8及び図13〜図15の空気調和装置(1)において、引張力の付与状態を切り換えることにより、図7の運転と図14の運転とを切り換え可能に構成するとともに、図8の運転と図15の運転とを切り換え可能に構成したものである。装置の基本的な構成は図6〜図8及び図13〜図15と同様であるため、具体的な説明は省略する。
この空気調和装置(1)において、図7,8の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する冷却加熱モジュール(20)へ引張力が付与される。また、図14,15の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する冷却加熱モジュール(20)に引張力が付与され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除される。
このように構成すれば、2つの冷却加熱モジュール(20)を備えたケーシング(10)内で空気の流通経路を切り換え可能なユニットを用いた空気調和装置(1)において、室内(3)を連続的に冷房する運転と、室内(3)を連続的に暖房する運転とを切り換えて行うことが可能になる。
(参考例8)
参考例8は、図9の空気調和装置(1)と図16の空気調和装置(1)を1つの装置として構成し、引張力の付与状態を切り換えることにより、図9の運転と図16の運転を切り換え可能に構成したものである。装置の基本的な構成は図9及び図16と同様であるため、具体的な説明は省略する。
この空気調和装置(1)において、図9の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する部分において冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する部分において冷却加熱モジュール(20)へ引張力が付与される。また、図16の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する部分において冷却加熱モジュール(20)に引張力が付与され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する部分において冷却加熱モジュール(20)への引張力が解除される。
このように構成すれば、ロータ式の冷却加熱モジュール(20)を備えた空気調和装置(1)において、室内(3)を連続的に冷房する運転と、室内(3)を連続的に暖房する運転とを切り換えて行うことが可能になる。
(実施形態4の変形例3)
実施形態4の変形例3は、図17及び図19の空気調和装置(1)において、引張力の付与状態を切り換えることにより、図17(A)の運転と図19(A)の運転とを切り換え可能に構成するとともに、図17(B)の運転と図19(B)の運転とを切り換え可能に構成したものである。装置の基本的な構成は図17及び図19と同様であるため、具体的な説明は省略する。
この空気調和装置(1)において、図17(A),(B)の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)への引張力が解除され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)へ引張力が付与される。また、図19(A),(B)の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)に引張力が付与され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)への引張力が解除される。
このように構成すれば、2つの室内ユニット(U1,U2)のそれぞれに冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)を設けた空気調和装置(1)において、室内(3)を連続的に除湿冷房する運転と、室内(3)を連続的に加湿暖房する運転とを切り換えて行うことが可能になる。
(参考例9)
参考例9は、図18の空気調和装置(1)と図20の空気調和装置(1)を1つの装置として構成し、引張力の付与状態を切り換えることにより、図18の運転と図20の装置の運転を切り換え可能に構成したものである。装置の基本的な構成は図18及び図20と同様であるため、具体的な説明は省略する。
この空気調和装置(1)において、図18の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する部分において冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)への引張力が解除され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する部分において冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)へ引張力が付与される。また、図20の運転では、ケーシング(10)内に取り込まれた室内空気(RA)が通過する部分において冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)に引張力が付与され、ケーシング(10)内に取り込まれた室外空気(OA)が通過する部分において冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)への引張力が解除される。
このように構成すれば、ロータ式の冷却加熱モジュール(20)と調湿モジュール(24)を備えた空気調和装置(1)において、室内(3)を連続的に除湿冷房する運転と、室内(3)を連続的に加湿暖房する運転とを切り換えて行うことが可能になる。
《発明の実施形態5》
本発明の実施形態5について説明する。図24に示す実施形態5は、冷却加熱モジュール(20)の具体的な構成に関するものである。本実施形態5に係る冷却加熱モジュール(20)では、切換制御部(35)によって、可動板(41a,41b)の位置を調節することで、熱歪材料(21)へ付与される引張力の付与と解除を切り換えている。
本実施形態5に係る冷却加熱モジュール(20)は、図24に示すように、第1および第2冷却加熱モジュール(20a,20b)で構成されている。図24において、第1冷却加熱モジュール(20a)が右側に配置され、第2冷却加熱モジュール(20b)が左側に配置されているものとする。
各冷却加熱モジュール(20a,20b)は、それぞれが熱歪材料(21)と、アクチュエータ(22)と、切換制御部(35)とを備えている。そして、両冷却加熱モジュール(20a,20b)の間は、仕切板(43)によって左右に仕切られている。
上記熱歪材料(21)は、上下に延びるワイヤ状に形成されている。この熱歪材料(21)は、例示として形状記憶合金によって構成され、引張力をかけることで対象物を加熱する一方、引張力を解除することで対象物を冷却するものである。具体的には、図21に示すように、熱歪材料(21)に引張力をかけると、母相(オーステナイト相)からマルテンサイト相へと相変化することで、エントロピーが減少し、その分、発熱して熱歪材料(21)自身が加熱される(IからII)。熱歪材料(21)に引張力をかけたまま、該熱歪材料(21)を加熱対象物に接触させると、熱歪材料(21)の熱が加熱対象物に伝わる(IIからIII)。こうすることで、熱歪材料(21)の温度は下がる。そして、熱歪材料(21)にかけられている引張力を除去(解除)すると、マルテンサイト相から母相(オーステナイト相)に変化する(IIIからIV)。このとき、熱歪材料(21)が断熱されていると、熱歪材料(21)の温度が下がる。温度が下がった熱歪材料に冷却対象物を接触させると、該冷却対象物の熱が熱歪材料(21)に伝わる(IVからI)。
上記アクチュエータ(22)は、固定部である固定板(40)と、可動部である第1および第2可動板(41a,41b)と、変位機構である第1および第2カム(46,47)と回転軸(39)とを備えている。上記固定板(40)は、略長方形状の薄板に形成されている。固定板(40)の下面は、仕切板(43)によって左右の領域に仕切られ、右側の領域に第1冷却加熱モジュール(20a)(第1冷却加熱部)の熱歪材料(21)の一端が取り付けられ、左側の領域に第2冷却加熱モジュール(20b)(第2冷却加熱部)の熱歪材料(21)の一端が取り付けられている。
上記仕切板(43)は、第1および第2冷却加熱モジュール(20a,20b)の間を左右に仕切るものである。仕切板(43)は、略T字状に形成された部材である。仕切板(43)は、固定板(40)と直交方向の下方に延びる矩形の薄板に形成される本体部(44)と、固定板(40)と略平行に延びる矩形の薄板に形成されるフランジ部(45)とで形成されている。仕切板(43)は、本体部(44)の基端が固定板(40)に対して取り付けられ、フランジ部(45)は、熱歪材料(21)の他端と略同じ高さ位置に配置されている。
上記第1および第2可動板(41a,41b)は、熱歪材料(21)に引張力を付与するための部材であって、第1冷却加熱モジュール(20a)および第2冷却加熱モジュール(20b)に対応して設けられている。第1可動板(41a)は、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)の他端に取り付けられ、固定板(40)と対向して配置されている。また、第2可動板(41b)は、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)の他端に取り付けられ、固定板(40)と対向して配置されている。第1可動板(41a)と固定板(40)との間には、第1空気通路(42a)が形成され、第2可動板(41b)と固定板(40)との間には、第2空気通路(42b)が形成されている。
また、第1および第2可動板(41a,41b)は、略矩形状の薄板に形成されると共に、所定の重量を有している。このため、第1および第2可動板(41a,41b)は、その重みによって熱歪材料(21)に荷重がかかることで、該熱歪材料(21)に下方への引張力が付与される。したがって、第1および第2可動板(41a,41b)は、熱歪材料(21)に対して引張力を付与可能な重さを有している。
上記第1および第2カム(46,47)は、第1および第2可動板(41a,41b)の幅方向(図24の奥行き方向)に延びる略円筒形状に形成された部材である。第1カム(46)には、円形の外周部(48)と、半円部分が切り欠かれた小径部(49)とが形成されている。また、第1カム(46)には、回転軸(39)がその中心に挿通され、回転軸(39)の回転方向に回転可能となるように取り付けられている。第2カム(47)には、円形の外周部(48)と、半円部分が切り欠かれた小径部(49)とが形成されている。また、第2カム(47)には、回転軸(39)がその中心に挿通され、回転軸(39)の回転方向に回転可能となるように取り付けられている。回転軸(39)には、切換制御部(35)が接続され、切換制御部(35)によって、第1および第2カム(46,47)の回転位置が制御される。
そして、第1および第2カム(46,47)は、左右で互いに180°位相がずれるようになっている。すなわち、第1可動板(41a)に対して、第1カム(46)の外周部(48)が接触した場合、第2可動板(41b)に対して、第2カム(47)の小径部(49)が接触するように構成されている。こうすることで、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)に対して第2可動板(47b)の荷重がかかり、引張力が付与される。このため、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)が発熱されて、周囲を流れる空気が加熱される。一方、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)は、第1可動板(47a)の荷重が第1カム(46)に支えられ、引張力が解除されている。このため、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)が冷却されて、周囲を流れる空気が冷却される。
この実施形態5の冷却加熱モジュール(20)は、簡単な構成で実用化できるとともにモジュール自体を小型化できるので、例えば図1に示した実施形態1の空気調和装置(1)に適用することにより、空気調和装置(1)の構成が複雑化するのを抑え、同時に装置(1)を小型化することもできる。
また、本形態では、加熱と冷却とを切り換えて行うことができるため、上記実施形態におけるバッチ切換型の空気調和装置(1)に対して好適である。
尚、各回転軸(39,39)には、それぞれにモータを取り付けて2つのカム(46,47)の位相が180°になるように制御してもよいし、1つのモータからギヤなどを介して連動するようにしてもよい。
また、カムの形状は、図25に示すように、小径部(49)と外周部(48)との割合を異ならせたり、図26に示すように、単に回転軸(39)を偏心させて構成するようにしてもよいし、図27に示すように、外周部(48)の曲率を異ならせ、且つ回転軸(39)を偏心させるようにしてもよい。
−実施形態5の変形例−
(変形例1)
次に、実施形態5の変形例1について説明する。本変形例1は、上記実施形態1とは、アクチュエータ(22)の構成が異なっている。尚、切換制御部(35)の図示は省略している。
具体的には、図28に示すように、本変形例1に係る第1および第2カム(46,47)は、第1および第2可動板(41a,41b)の長手方向に向かって延び、同軸上に配置されている。そして、第1および第2カム(46,47)には、一の回転軸(39)が挿通されている。第1および第2カム(46,47)は、互いに180°位相をずらして回転軸(39)に取り付けられている。切換制御部(35)によって、回転軸(39)が回転することで、第1および第2カム(46,47)が共に回転するように構成されている。その他の構成、作用・効果は実施形態5と同様である。
(変形例2)
次に、実施形態5の変形例1について説明する。本変形例2は、上記実施形態1とは、アクチュエータ(22)の構成が異なっている。尚、切換制御部(35)の図示は省略している。
具体的には、図29に示すように、本変形例2に係るアクチュエータ(22)は、上記実施形態5に係るアクチュエータ(22)のように、重量を有する第1および第2可動板(41b)を備えておらず、代わりに第1および第2可動ハウジング(50a,50b)を有している。この第1可動ハウジング(50a)は、第1冷却加熱モジュール(20a)(第1冷却加熱部)に対応して設けられ、第2可動ハウジング(50b)は、第2冷却加熱モジュール(20b)(第2冷却加熱部)に対応して設けられている。
第1および第2可動ハウジング(50a,50b)は、それぞれ側面が開口した直方体状の箱体に形成され、上面壁が左右に突出して形成されている。第1および第2可動ハウジング(50a,50b)の上面壁には、熱歪材料(21)の他端が取り付けられている。第1可動ハウジング(50a)の内部には、第1カム(46)と回転軸(39)とが配置され、第2可動ハウジング(50b)の内部には、第2カム(47)と回転軸(39)とが配置されている。第1および第2カム(46,47)は、切換制御部(35)によって、左右で180°位相がずれるようになっている。すなわち、図29に示すように、第1可動ハウジング(50a)の内面下部に第1カム(46)の小径部(49)が接触すると、第2可動ハウジング(50b)の内面下部に第2カム(47)の外周部(48)が接触するように構成されている。こうすることで、第2可動ハウジング(50b)が、第2カム(47)の外周部(48)によって下方に引っ張られ、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)が下方に引っ張られる。
そして、各回転軸(39,39)が回転すると、位相が180°ずれ、第2可動ハウジング(50b)の内面下部に第2カム(47)の小径部(49)が接触し、第1可動ハウジング(50a)の内面下部に第1カム(46)の外周部(48)が接触する。こうすることで、第1可動ハウジング(50a)が、第1カム(46)の外周部(48)によって下方に引っ張られ、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)が下方に引っ張られる。
(変形例3)
次に、実施形態5の変形例3について説明する。本変形例3は、上記変形例1とは、アクチュエータ(22)の構成が異なっている。尚、切換制御部(35)の図示は省略している。
具体的には、図30に示すように、本変形例3に係る第1および第2カム(46,47)は、第1および第2可動ハウジング(50a,50b)の長手方向に向かって延び、同軸上に配置されている。そして、第1および第2カム(46,47)には、一の回転軸(39)が挿通されている。第1および第2カム(46,47)は、切換制御部(35)によって、互いに180°位相をずらして回転軸(39)に取り付けられている。この回転軸(39)が回転することで、第1および第2カム(46,47)が共に回転するように構成されている。
この変形例3では、熱歪材料(21)の引張力が解除される際の反発力が、回転軸(39)の回転動力として回収される。具体的に、例えば図30に示すように、第2カム(47)の外周部(48)と第2可動ハウジング(50b)とが接触する状態(即ち、第2調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)に引張力が付与された状態)から第2カム(47)の外周部(48)と第2可動ハウジング(50b)とが離間する状態(即ち、第2調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)の引張力が解除された状態)に至ると、回転軸(39)を駆動するモータの通電が一時的に停止され、回転軸(39)が一時的にフリーな状態になる。すると、回転軸(39)は、第2調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)の反発力によって回転駆動される。この結果、回転軸(39)の動力を低減でき、装置の省エネルギー化を図ることができる。同様にして、第1調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)の引張力が解除される際にも、回転軸(39)を駆動するモータの通電が一時的に停止される。この結果、第1調湿モジュール(20a)の熱歪材料(21)の反発力が回転軸(39)の動力として回収される。
(変形例4)
次に、実施形態5の変形例4について説明する。本変形例4は、上記変形例3とは、アクチュエータ(22)の構成が異なっている。尚、切換制御部(35)の図示は省略している。
具体的には、図31に示すように、本変形例4に係る冷却加熱モジュール(20)は、熱歪材料(21)と、固定部である第1および第2固定板(40a,40b)と、可動ハウジング(50)と、変位機構であるカム(46)と、回転軸(39)とを備えている。
上記第1および第2固定板(40a,40b)は、それぞれが略長方形状の薄板に形成されている。第1固定板(40a)は、第1冷却加熱モジュール(20a)に対応して右端寄りに縦配置され、第2固定板(40b)は、第2冷却加熱モジュール(20b)に対応して左端寄りに縦配置されている。第1固定板(40a)の左端面には、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)の一端が接続され、第2固定板(40b)の右端面には、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)の一端が接続されている。
上記可動ハウジング(50)は、第1および第2固定板(40a,40b)の間に設けられるものである。可動ハウジング(50)は、第1および第2可動板(41a,41b)と、2枚の連結板(59,59)とを備えている。
第1および第2可動板(41a,41b)は、それぞれが略矩形状の薄板に形成されている。第1可動板(41a)は、第1固定板(40a)と対向するように縦配置され、第2可動板(41b)は、第2固定板(40b)と対向するように縦配置されている。第1可動板(41a)は、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)の他端に取り付けられ、第2可動板(41b)は、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)の他端にそれぞれ取り付けられている。そして、第1固定板(40a)と第1可動板(41a)との間は、第1空気通路(42a)に形成され、第2固定板(40b)と第2可動板(41b)との間は、第2空気通路(42b)に形成されている。
上記各連結板(59,59)は、略矩形の薄板状に形成され、第1および第2可動板(41a,41b)の間に、高さ方向に所定の間隔を有して配置されている。つまり、第1および第2可動板(41a,41b)、および連結板(59,59)は、一体として移動するように構成されている。
上記可動ハウジング(50)の内部には、カム(46)と回転軸(39)とが配置されている。上記カム(46)は、第1および第2可動板(41a,41b)の幅方向(図31の奥行き方向)に延びる略円筒形状に形成された部材である。カム(46)には、円形の外周部(48)と、該外周部(48)の半円部分が切り欠かれて形成される小径部(49)とが形成されている。また、回転軸(39)は、カム(46)の中心に挿通され、該カム(46)をその周方向に回転可能となるように取り付けられている。すなわち、カム(46)が回転することで、第1可動板(41a)に対して、カム(46)の外周部(48)が接触した場合、第2可動板(41b)にカム(46)の小径部(49)が接触するように構成されている。こうすることで、可動ハウジング(50)が右方向に移動し、第2可動板(41b)が右方向に引っ張られ、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)が右方向に引っ張られる。
逆に、カム(46)が回転することで、第2可動板(41b)に対して、カム(46)の外周部(48)が接触した場合、第1可動板(41a)にカム(46)の小径部(49)が接触するように構成されている。こうすることで、可動ハウジング(50)が左方向に移動し、第1可動板(41a)が左方向に引っ張られ、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)が左方向に引っ張られる。
この変形例4においても、熱歪材料(21)の引張力が解除される際の反発力が、回転軸(39)の回転動力として回収される。具体的に、例えば図31に示すように、カム(46)の外周部(48)と第1可動板(41a)とが接触する状態(即ち、第2調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)に引張力が付与された状態)からカム(46)の外周部(48)と第1可動板(41a)とが離間する状態(即ち、第2調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)の引張力が解除された状態)に至ると、回転軸(39)を駆動するモータの通電が一時的に停止され、回転軸(39)が一時的にフリーな状態になる。すると、回転軸(39)は、第2調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)の反発力によって回転駆動される。この結果、回転軸(39)の動力を低減でき、装置の省エネルギー化を図ることができる。同様にして、第1調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)の引張力が解除される際にも、回転軸(39)を駆動するモータの通電が一時的に停止される。この結果、第1調湿モジュール(20a)の熱歪材料(21)の反発力が回転軸(39)の動力として回収される。
(変形例5)
次に、実施形態5の変形例5について説明する。本変形例5は、図32に示すように、上記実施形態1とは、アクチュエータ(22)の構成が異なっている。尚、切換制御部(35)の図示は省略している。
具体的には、本変形例5に係るアクチュエータ(22)は、第1および第2アーム(51,52)と、回転軸(39)と、ステッピングモータ(図示なし)とを備えているものである。
上記回転軸(39)は、その軸方向が可動板(41a,41b)の幅方向(図32の奥行き方向)に延びる回転軸である。回転軸(39)は、仕切板(43)の下方に配置されている。回転軸(39)には、第1および第2アーム(51,52)が取り付けられている。この回転軸(39)は、ステッピングモータに接続され、該ステッピングモータによって周方向に自在に回転可能に構成されている。
上記第1および第2アーム(51,52)は、細長い板状部材に形成され、回転軸(39)に対して取り付けられている。第1アーム(51)の先端には、第1可動板(41a)に接触させる第1支持部(51a)が形成され、第2アーム(52)の先端には、第2可動板(41b)に接触させる第2支持部(52a)が形成されている。第1アーム(51)は、その基端が回転軸(39)に取り付けられ、その先端が第1可動板(41a)に向かって延びている。また、第2アーム(52)は、その基端が回転軸(39)に取り付けられ、その先端が第2可動板(41b)に向かって延びている。
そして、図32に示すように、回転軸(39)が反時計回りに回転した場合、回転に伴って第1アーム(51)の先端の第1支持部(51a)が上昇し、反対に第2アーム(52)の先端の第2支持部(52a)が下降する。このとき、第1アーム(51)の第1支持部(51a)が下方から第1可動板(41a)を押し上げることで、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)に第1可動板(41a)の重みが、かからなくなって引張力が解除され、反対に、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)へ第2可動板(41b)の重みがかかり、引張力が付与される。
逆に、図32に示すように、回転軸(39)が時計回りに回転した場合、第1アーム(51)の第1支持部(51a)が下降して第1可動板(41a)から離れることで、第1冷却加熱モジュール(20a)に第1可動板(41a)の重みがかかる。このため、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)へ引張力が付与される。
尚、本変形例5では、ステッピングモータの1ステップあたりの回転角を調整することで、各可動板(41a,41b)の重量を調整するようにしてもよい。こうすることで、熱歪材料(21)へ付与される引張力を調整して発熱量を調整することができる。
(変形例6)
次に、実施形態5の変形例6について説明する。本変形例6は、上記変形例2および5とは、アクチュエータ(22)の構成が異なっている。
具体的には、図33に示すように、本変形例6に係るアクチュエータ(22)は、第1および第2可動ハウジング(50a,50b)と、変位機構である第1および第2アーム(51,52)と回転軸(39)とを備えている。第1アーム(51)は、第1可動ハウジング(50a)に対して取り付けられ、第2アーム(52)は、第2可動ハウジング(50b)に対して取り付けられている。このため、第1アーム(51)の第1支持部(51a)の上昇に伴って第1可動ハウジング(50a)が上昇する一方、第2アーム(52)の第2支持部(52a)の下降に伴って第2可動ハウジング(50b)が下降するように構成されている。その他の構成、作用・効果は、上記変形例2と同様である。
この変形例6では、一熱歪材料(21)の引張力が解除される際の反発力が、回転軸(39)の回転動力として回収される。具体的に、変形例6では、第1アーム(51)が下端に位置する状態や、第2アーム(52)が下端に位置する状態において、回転軸(39)を駆動するモータの通電が一時的に停止され、回転軸(39)がフリーな状態となる。例えば図33に示すように、第2調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)に引張力が付与された状態から、回転軸(39)がフリーな状態になると、第2調湿モジュール(20b)の熱歪材料(21)の引張力が解除され、この際の反発力によって回転軸(39)が回動される。同様にして、第1調湿モジュール(20a)の熱歪材料(21)に引張力が付与された状態から、回転軸(39)がフリーな状態になると、第1調湿モジュール(20a)の熱歪材料(21)の引張力が解除され、この際の反発力によって回転軸(39)が回動される。これにより、変形例6では、装置の省エネルギー化を図ることができる。
(変形例7)
次に、実施形態5の変形例7について説明する。本変形例7は、上記実施形態5とは、アクチュエータ(22)と切換制御部(35)の構成が異なっている。
具体的には、図34に示すように、本変形例7に係るアクチュエータ(22)は、固定板(40)と、第1および第2可動板(56,57)と、第1および第2電磁石(53,54)とを備えている。
上記固定板(40)は、第1冷却加熱モジュール(20a)の下方に配置されている。第1可動板(56)は、第1冷却加熱モジュール(20a)の上方に配置され、第2可動板(57)は、第2冷却加熱モジュール(20b)の上方側に配置されている。固定板(40)と第1可動板(56)とは、互いに対向して配置され、固定板(40)と第2可動板(57)とは互いに対向して配置されている。この第1および第2可動板(56,57)は、それぞれ磁石又は鉄などの磁性金属によって構成されている。第1電磁石(53)は、第1可動板(56)の近傍で、且つ対向するように配置され、第2電磁石(54)は、第2可動板(57)の近傍で、且つ対向するように配置されている。第1および第2電磁石(53,54)は、共に切換制御部(35)に接続され、切換制御部(35)によって通電が切換制御されている。
上記切換制御部(35)は、第1および第2電磁石(53,54)に対して付与する通電を制御するものである。すなわち、第1冷却加熱モジュール(20a)に対して引張力を付与する場合、第1電磁石(53)の極性を対向する第1可動板(56)の磁性と逆極性にすることで、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)に引張力を付与する。このとき、第2電磁石(54)への通電を停止することで、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)への引張力を解除する。
一方、第2冷却加熱モジュール(20b)に対して引張力を付与する場合、第2電磁石(54)の極性を対向する第2可動板(57)の磁性と逆極性にすることで、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)に引張力を付与する。このとき、第1電磁石(53)への通電を停止することで、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)への引張力を解除する。
(変形例8)
次に、実施形態5の変形例8について説明する。本変形例8は、上記実施形態5の変形例7とは、アクチュエータ(22)の構成が異なっている。本変形例8では、上記変形例7と異なる部分についてのみ説明する。
具体的には、図35に示すように、本変形例8に係るアクチュエータ(22)では、固定板(40)が冷却加熱モジュール(20)の上方に配置されている。第1および第2可動板(56,57)は、冷却加熱モジュール(20)の下方に固定板(40)と対向して配置され、これらの第1および第2可動板(56,57)と対向するように第1および第2電磁石(53,54)が配置されている。
上記第1および第2可動板(56,57)は、磁石又は鉄などの磁性金属によって構成されると共に、所定の重量を有している。
第1冷却加熱モジュール(20a)に対して引張力を付与する場合、第1電磁石(53)への通電を停止することで、第1可動板(56)の重量によって第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)に引張力を付与する。このとき、第2電磁石(54)の極性を対向する第2可動板(57)の磁性と同極として、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)への引張力を解除する。
一方、第2冷却加熱モジュール(20b)に対して引張力を付与する場合、第2電磁石(54)への通電を停止することで、第2可動板(57)の重量によって第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)に引張力を付与する。このとき、第1電磁石(53)の極性を対向する第1可動板(56)の磁性と同極として、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)への引張力を解除する。
尚、本変形例8では、第1および第2可動板(56,57)は、所定の重量を有するようにしていたが、第1および第2可動板(56,57)を、磁石又は鉄などの磁性金属によって構成され、且つ比較的軽量な部材で構成するようにしてもよい。
この場合、第1冷却加熱モジュール(20a)に対して引張力を付与する際、第1電磁石(53)の磁性を第1可動板(56)の極性と逆極性にして第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)に引張力を付与する。このとき、第2電磁石(54)への通電を停止することで、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)への引張力を解除する。
一方、第2冷却加熱モジュール(20b)に対して引張力を付与する際、第2電磁石(54)の磁性を第2可動板(57)の極性と逆極性にして第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)に引張力を付与する。このとき、第1電磁石(53)への通電を停止することで、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)への引張力を解除する。
(変形例9)
次に、実施形態5の変形例9について説明する。本変形例9は、上記実施形態5の変形例7とは、アクチュエータ(22)の構成が異なっている。本変形例8では、上記変形例7と異なる部分についてのみ説明する。
具体的には、図36に示すように、本変形例4に係るアクチュエータ(22)は、熱歪材料(21)と、第1および第2可動板(56,57)と、第1および第2電磁石(53,54)と、仕切板(43)と、を備えている。
上記第1および第2可動板(56,57)は、それぞれが略長方形状の薄板に形成されている。第1可動板(56)は、第1冷却加熱モジュール(20a)の右端寄りに縦配置され、第2可動板(57)は、第2冷却加熱モジュール(20b)の左端寄りに縦配置されている。第1可動板(56)の左端面には、第1冷却加熱モジュール(20a)の熱歪材料(21)の一端が接続され、第2可動板(57)の右端面には、第2冷却加熱モジュール(20b)の熱歪材料(21)の一端が接続されている。
上記仕切板(43)は、第1冷却加熱モジュール(20a)と第2冷却加熱モジュール(20b)との間に、第1および第2可動板(56,57)と対向するように配置されるものである。仕切板(43)には、第1冷却加熱モジュール(20a)および第2冷却加熱モジュール(20b)のそれぞれの熱歪材料(21)の他端が接続されている。
《参考形態1》
本発明の他の参考形態1について説明する。図37および図38に示す参考形態1は、冷却加熱モジュール(20)の具体的な構成に関するものである。参考形態1に係る冷却加熱モジュール(20)では、ケーシング(60)内に熱歪材料(21)で形成された複数のフィン(70)を搬送させる駆動部材であるベルト搬送装置(65)を備え、空気通路(P)内で熱歪材料(21)への張力の付与と解除を切り換えるようにしたものである。
上記ケーシング(60)は、長方形の箱体に形成され、内部に空気通路(P)が形成されている。ケーシング(60)の内部は、図37における手前から奥側に向かって空気が流れるように構成されている。ケーシング(60)の内部は、上下仕切板(61)によって上下に仕切られ、上側空気通路(62)と下側空気通路(63)が形成されている。そして、上下仕切板(61)には、ベルト搬送装置(65)を配置するための開口が形成されている。
上記ベルト搬送装置(65)は、ガイドレール(69)と、ベルト(67)と、2つのホイール(66,66)とを備えている。
上記ホイール(66,66)は、略円筒状に形成された回転体である。ホイール(66,66)は、ベルト(67)を搬送可能となるように構成されている。ホイール(66,66)は、ケーシング(60)内の左右に2つ並んで配置され、互いに反時計回りに回転するように構成されている。
上記ベルト(67)は、シート状の部材に形成され、外周ベルト(67a)と内周ベルト(67b)とで構成されている。
上記内周ベルト(67b)は、上記2つのホイール(66,66)に対して接触して取り付けられ、内側を移動するものである。つまり、一対のホイール(66,66)が反時計回りに回転することで、内周ベルト(67b)は、ケーシング(60)内の上側空気通路(62)内を通過する際は、左方向へ搬送され、下側空気通路(63)を通過する際は、右方向へ搬送される。内周ベルト(67b)は、幅方向の両端部に、熱歪材料(21)の形成部分よりも外側に突き出た突出部(68)が形成されている。この突出部(68)は、後述する内周レール(69b)との摺動する部分になる。
上記外周ベルト(67a)は、熱歪材料(21)を介して内周ベルト(67b)に取り付けられ、外側を移動するものである。すなわち、外周ベルト(67a)と熱歪材料(21)と内周ベルト(67b)とは、一体となって搬送されるものである。外周ベルト(67a)は、幅方向の両端部に、熱歪材料(21)の形成部分よりも外側に突き出た突出部(68)が形成されている。この突出部(68)は、後述する外周レール(69a)との摺動する部分になる。
図38に示すように、上記ガイドレール(69)は、外周ベルト(67a)および内周ベルト(67b)をガイドするものである。ガイドレール(69)は、外周レール(69a)と内周レール(69b)とで構成されている。
上記外周レール(69a)は、上記外周ベルト(67a)の幅方向の両端に設けられるレール部材である。外周レール(69a)は、外側に凹む凹部に外周ベルト(67a)の側端部を引っ掛けることで、該外周ベルト(67a)を案内するように構成されている。
上記内周レール(69b)は、上記内周ベルト(67b)の幅方向の両端に設けられるレール部材である。内周レール(69b)は、外側に凹む凹部に内周ベルト(67b)の側端部を引っ掛けることで、該内周ベルト(67b)を案内するように構成されている。
外周レール(69a)と内周レール(69b)との間の距離は、ケーシング(60)の上方と下方とで異なっている。具体的には、外周レール(69a)と内周レール(69b)との間の距離は、ケーシング(60)の上方(上側空気通路(62))では、拡がる一方、ケーシング(60)の下方(下側空気通路(63))では、狭くなっている。
また、上記冷却加熱モジュール(20)は、熱歪材料(21)からなるフィン(70)を備えている。
各フィン(70)は、ケーシング(60)の幅方向(図37の奥行き方向)に延びる板状に形成されている。各フィン(70)は、一端が外周ベルト(67a)に取り付けられ、他端が内周ベルト(67b)に取り付けられている。
ホイール(66,66)を同時に回転させると、外周ベルト(67a)、内周ベルト(67b)およびフィン(70)が搬送される。そして、ケーシング(60)の上側空気通路(62)を搬送される際、外周ベルト(67a)と内周ベルト(67b)との間の距離が拡がることで、フィン(70)を構成する熱歪材料(21)が上方向に引っ張られる。
一方、ケーシング(60)の下側空気通路(63)を搬送される際、外周ベルト(67a)と内周ベルト(67b)との距離が縮まることで、フィン(70)を構成する熱歪材料(21)への引張力が解除される。つまり、ケーシング(60)内において、上側空気通路(62)は、空気を加熱する領域に形成され、下側空気通路(63)は、空気を冷却する領域に形成されている。したがって、加熱と冷却とを連続して行うことができるため、上記参考例におけるロータ型の空気調和装置(1)に対して好適である。
−参考形態1の変形例−
(変形例1)
次に、他の参考形態1の変形例1について説明する。本変形例1は、図39に示すように、上記参考形態1とは、ベルト搬送装置(65)の構成が異なっている。
具体的には、本変形例1に係るベルト搬送装置(65)は、外周レール(69a)と、内周レール(69b)との間の距離を、ケーシング(60)の左右で異なるように構成したものである。その他の構成、作用・効果は参考形態1と同様である。
(変形例2)
次に、参考形態1の変形例2について説明する。本変形例2は、図40に示すように、上記参考形態1とは、駆動部材の構成が異なっている。
具体的に、本変形例2では、ベルト搬送装置(65)の代わりに、ロータ装置(71)を設けたものである。上記ロータ装置(71)は、外周体(73)と、偏心軸(72)とを備えている。
上記偏心軸(72)は、その軸方向が、ケーシング(60)の奥行き方向に亘って延びる回転軸である。偏心軸(72)は、後述する外周体(73)の内部であって、ケーシング(60)内の上下仕切板(61)とほぼ同じ高さ位置に配置されている。偏心軸(72)の外周には、周方向に多数のフィン(70)が取り付けられ、放射状に延びている。また、偏心軸(72)は、図示しないモータに接続され、該モータによって回転可能に構成されている。
上記外周体(73)は、ロータ装置(71)の外周部分を形成する部材である。外周体(73)は、略円筒形状に形成され、ケーシング(60)内において回転可能に配置されている。このとき、外周体(73)は、図示しないガイドレールに沿って定位置で回転するように構成されている。外周体(73)の内周面には、フィン(70)の外周端が取り付けられている。
偏心軸(72)が回転すると、フィン(70)および外周体(73)が一体に回転する。外周体(73)に対して偏心軸(72)が偏心しているため、ケーシング(60)の上側空気通路(62)を通過する際に、熱歪材料(21)が引っ張られる一方、下側空気通路(63)を通過する際に、熱歪材料(21)への引張力が解除される。つまり、ケーシング(60)の上側空気通路(62)は、空気を加熱する領域に形成され、ケーシング(60)の下側空気通路(63)は、空気を冷却する領域に形成されている。その他の構成、作用・効果は実施形態6と同様である。
(変形例3)
次に、参考形態1の変形例3について説明する。本変形例3は、図41に示すように、上記変形例3とは、ロータ装置(71)の構成が異なっている。
具体的に、本変形例3に係るロータ装置(71)では、フィン(70)をハニカム構造に構成したものである。その他の構成、作用・効果は上記変形例2と同様である。
(変形例4)
次に、参考形態1の変形例4について説明する。本変形例4は、図42〜図44に示すように、上記参考形態1とは、駆動部材の構成が異なっている。
具体的に、本変形例4では、ベルト搬送装置(65)の代わりに、回転装置(99)を設けたものである。
本変形例4に係るケーシング(80)は、仕切板(81)によって内部が左右に仕切られ、右側が第1空気通路(82)に形成され、左側が第2空気通路(83)に形成されている。そして、ケーシング(60)内に、回転装置(99)が設けられている。
上記回転装置(99)は、回転軸(84)と、該回転軸(84)に取り付けられる第1回転板(85)と、回転軸(84)の一端に取り付けられる連結部(88)と、該連結部(88)を介して回転軸(84)に取り付けられる傾斜軸(86)と、傾斜軸(86)に取り付けられる第2回転板(87)とを備えている。そして、第1回転板(85)と第2回転板(87)との間に、熱歪材料(21)からなるワイヤ状のフィン(70)が取り付けられている。また、仕切板(81)には、フィン(70)の通過位置にスリットが形成されている。本変形例4では、回転装置(99)の側方(すなわち、図43における第1回転板(85)と第2回転板(87)との間の奥行き方向)に空気が流れるように構成されている。
上記傾斜軸(86)は、回転軸(84)に対して所定の角度だけ傾斜して取り付けられている。そして、回転軸(84)は、図示しないモータに接続されて回転可能に構成されている。このため、回転軸(84)が回転すると、該回転軸(84)と共に傾斜軸(86)も回転する。したがって、第1回転板(85)と第2回転板(87)との傾斜分だけ両者の距離が離れることとなる。このため、フィン(70)が第1空気通路(82)を通過する際には、第1回転板(85)と第2回転板(87)との距離が離れるため、フィン(70)を形成する熱歪材料(21)に引張力が付与される。一方、フィン(70)が第2空気通路(83)を通過する際には、第1回転板(85)と第2回転板(87)との距離が近づくため、フィン(70)を形成する熱歪材料(21)の引張力が解除される。
(変形例5)
次に、参考形態1の変形例5について説明する。本変形例5は、図45〜図47に示すように、上記変形例4とは、回転装置(99)の構成が異なっている。
具体的に、本変形例5に係る回転装置(99)は、第1回転板(85)と第2回転板(87)に厚み方向に貫通する孔(89)が形成されている。そして、第1回転板(85)と第2回転板(87)との間において、回転軸(84)および傾斜軸(86)から放射状に延びると共に、シート状の熱歪材料(21)からなるフィン(70)が形成されている。
すなわち、本変形例5では、回転装置(99)の上下方向(すなわち、図46における第1回転板(85)と第2回転板(87)との間の上下方向)に空気が流れるように構成されている。
尚、本変形例5では、仕切板(81)と、同位置にフィン(70)を配置することで、ケーシング(60)内を左右に仕切っている。
《発明の参考形態2》
本発明の参考形態2について説明する。尚、切換制御部(35)の図示は省略している。図48および図49に示す参考形態2は、冷却加熱モジュール(20)の具体的な構成に関するものである。参考形態2に係る冷却加熱モジュール(20)では、ワイヤ状に形成された熱歪材料(21)の基端に設けられる回転軸(105)と、該熱歪材料(21)の先端に設けられる第1錘部(107a)および第2錘部(107b)とを備え、回転軸(105)を回転させることで空気通路(P)内で上記熱歪材料(21)への張力の付与と解除を切り換えるように構成されている。冷却加熱モジュール(20)は、空気通路(P)が形成されるケーシング(100)内に設けられている。
ケーシング(100)は、長方形状の箱体に形成され、上下仕切板(101)によって内部が上下に仕切られている。ケーシング(100)は、内部の上側が上側空気通路(103)に形成され、下側が下側空気通路(104)に形成されている。上側空気通路(103)の出口側には、ファン(30)が設けられる一方、下側空気通路(104)の出口側にもファン(30)が設けられてる。そして、上記上下仕切板(101)には、開口部(102)が形成され、ケーシング(100)内に調湿モジュール(20)が設けられている。
上記ケーシング(100)の長手方向の一側面には、上部および下部にそれぞれ空気流入口(100a,100b)が形成され、他側面には、上部および下部にそれぞれ空気流入口(100a,100b)に対応する空気流出口が形成されている。そして、空気流入口(100a,100b)からケーシング(100)内に空気が取り込まれる一方、空気流出口からケーシング(100)外に空気が排出されるように構成されている。
上記冷却加熱モジュール(20)は、ケーシング(100)の幅方向に延びる回転軸(105)と、該回転軸(105)に取り付けられるモータ軸(108)と、回転軸(105)から一方に向かって延びる第1熱歪材料(21a)と、第1錘部(107a)と、回転軸(105)から第1熱歪材料(21a)と反対方向に向かって延びる第2熱歪材料(21b)と、第2錘部(107b)と、回転軸(105)に対して取り付けられる閉鎖板(106)とを備えている。
上記第1熱歪材料(21a)は、ワイヤ状に形成されている。第1熱歪材料(21a)は、その基端が回転軸(105)の外周に取り付けられる一方、その先端が回転軸(105)から上方に延びて形成されている。第1熱歪材料(21a)は、回転軸(105)の軸方向に沿って多数設けられている。各第1熱歪材料(21a)の先端には、第1錘部(107a)が取り付けられている。第1錘部(107a)は、細長の円柱状に形成され、回転軸(105)と略平行となるように配置されている。
上記第2熱歪材料(21b)は、ワイヤ状に形成されている。第2熱歪材料(21b)は、その基端が回転軸(105)の外周に取り付けられる一方、その先端が回転軸(105)から下方に延びて形成されている。第2熱歪材料(21b)は、回転軸(105)の軸方向に沿って多数設けられている。各第2熱歪材料(21b)の先端には、第2錘部(107b)が取り付けられている。第2錘部(107b)は、細長の円柱状に形成され、回転軸(105)と略平行となるように配置されている。
つまり、回転軸(105)が図示しないモータによって回転すると、第1熱歪材料(21a)および第2熱歪材料(21b)は、180°ずつ移動するよう構成されている。そして、回転軸(105)が回転して、第1錘部(107a)が下方に位置した場合は、第1熱歪材料(21a)に引張力が付与される。また、回転軸(105)が回転して、第2錘部(107b)が下方に位置した場合は、第2熱歪材料(21b)に引張力が付与される。
上記閉鎖板(106)は、回転軸(105)に対して水平に取り付けられている。閉鎖板(106)は、回転軸(105)の回転に伴って開口部(102)を常時閉鎖するように構成されている。
−参考形態2の変形例−
(変形例)
次に、参考形態2の変形例について説明する。本変形例は、図50〜図52に示すように、上記参考形態2とは、冷却加熱モジュール(20)の構成が異なっている。
本変形例に係る冷却加熱モジュール(20)は、回転軸(105)と、回転軸(105)に取り付けられるモータ軸と、回転軸(105)から放射状に延びる多数の熱歪材料(21)と、各熱歪材料(21)の先端に取り付けられる錘部(107)とを備えている。
本変形例では、ケーシング(100)内の上側空気通路(103)と、下側空気通路(104)のそれぞれに冷却加熱モジュール(20)が設置されている。
熱歪材料(21)は、ワイヤ状に形成されている。熱歪材料(21)は、その基端が回転軸(105)の外周に取り付けられる一方、その先端が回転軸(105)の径方向外方に向かって延びて形成されている。熱歪材料(21)は、回転軸(105)の一周あたり、16本設けられ、回転軸(105)の軸方向に沿って連続して形成されている。
つまり、回転軸(105)の回転によって回転する熱歪材料(21)には、錘部(107)によって生じる遠心力が加わる。これによって、熱歪材料(21)に引張力が付与される。反対に回転軸(105)の回転を停止することで、熱歪材料(21)への引張力は解除される。
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態に係る冷却加熱モジュール(20)において、図53〜図56に示すアクチュエータ(22)を用いて構成してもよい。
図53に係るアクチュエータは、ヒータ(111)とバイメタル(110)により構成されている。図54に係るアクチュエータは、ピエゾ素子(112)により構成されている。図55に係るアクチュエータは、駆動アーム(113)により構成されている。図56に係るに係るアクチュエータは、ソレノイド(114)により構成されている。
また、例えば、上記各実施形態においては、ケーシング(10)内に取り込んだ室内空気を冷却加熱モジュール(20)で処理して室内(3)に供給する一方、ケーシング(10)内に取り込んだ室外空気を冷却加熱モジュール(20)で処理して室外に排出する循環方式を採用しているが、ケーシング(10)内に取り込んだ室外空気を冷却加熱モジュール(20)で処理して室内(3)に供給する一方、ケーシング(10)内に取り込んだ室内空気を冷却加熱モジュール(20)で処理して室外に排出する換気方式を採用してもよい。
また、上記各実施形態において説明している冷却加熱モジュール(20)の具体的な構成は、空気調和装置(1)の装置構成に応じて適宜変更してもよい。
さらには、空気調和装置(1)の構成も、冷房運転や暖房運転、あるいは除湿冷房運転や加湿暖房運転を行える限りは適宜変更してもよい。