JP5509925B2 - 繊維シート状物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不織布と織編物をニードルパンチにより一体化させる製造工程において、織編物の損傷を抑制することができる繊維シート状物の製造方法に関するものである。
従来から人工皮革は、天然皮革に類似した柔軟性と機械的性能を得るために、一般的に極細繊維からなる不織布に高分子弾性体を付与して作られている。さらに、人工皮革がカーシートや椅子などの表皮材に使用される場合には、長期の繰り返し使用により表皮材に歪みが生じてしまうことがあるため、不織布内部もしくは片側に織編物を絡合一体化させることにより、高強力で低伸度かつ柔軟性に富んだ人工皮革とする方法が用いられてる。特に、ニードルパンチで不織布と織編物を一体化させる方法をとる場合、ニードルのバーブによって織編物は損傷を受け、補強布としての機能が失われてしまうことがあるため、ニードルバーブ寸法と織編物を構成する繊維糸条の関係を規定することによって、織編物の損傷を軽減させる方法について、これまでに種々の提案がされている。
例えば、織編物の損傷を避けるため、ニードルのバーブが織編物と直角に当たらないように斜め向き、具体的には、バーブを織編物を構成する経糸方向および緯糸方向に対して45°に向けてニードルパンチする方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、不織布はニードルパンチによりシート進行方向と直角方向(幅方向)に収縮し、織編物もこれに追随して収縮するため、幅方向に対応する織編物の繊維糸条は弛むことになる。弛んだ繊維糸条は、ニードルのバーブによって持ち込まれ易く、損傷も受けやすい。バーブの向きが45°であれば、経糸と緯糸のいずれも引っ掛けてしまう角度であり、損傷を抑制する効果は十分に得られない。
また、シートの幅収縮によって弛んだ繊維糸条を選択的に引っ掛ける方向にバーブを向けることにより、織編物を構成する繊維糸条を不織布側表面に露出させ、異外観品位を出すという提案がなされている(特許文献2参照。)。しかしなから、この提案は、織編物の補強布としての機能を度外視しているため、目的を逸脱している。
また別に、織編物を構成する繊維糸条の直径とニードルバーブのトータルバーブデプス(バーブ深さ)、バーブの向きを規定した提案がなされている(特許文献3参照。)。この提案では、シートの進行方向に対して直角角度を0°とした場合に、バーブの向きを35°〜55°(好ましくは40〜50°)とすることにより顕著な効果があるとされている。結果的には、前記特許文献1の提案と同じような内容であり、織編物の損傷を十分に抑制する効果は得られない。
特公平4−1113号公報 特開2004−277891号公報 WO2006/040992号公報
そこで本発明の目的は、高強力で形態安定性に優れ、かつ柔軟性に富んだ不織布と織編物を一体化させてなる繊維シート状物の製造方法を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明の繊維シート状物の製造方法は、不織布と織編物からなるシートをニードルパンチにより一体化させる繊維シート状物の製造工程において、前記織編物がポリエチレンテレフタレート繊維からなり、前記織編物に進行方向に対して0.35N/cm以上の張力をかけながら前記不織布と積層し、ニードルブレード部の断面が三角形のニードルを用い、(図1に示す)前記シートの進行方法に対して直角角度を0°とした場合、ニードルのバーブを|0°〜30°|に方向規制し、かつバーブの向きβを次の式(1)の範囲内に規制してニードルパンチを行うことを特徴とする繊維シート状物の製造方法である
≦β≦|α/2| (1)
但し、α=図2に示すニードルブレードの三角形断面のバーブが存在する一角の角度
β=図2に示すバーブの向き
本発明の繊維シート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の織編物における繊維糸条の長径とニードルのスロートデプスが次の式(2)と式(3)を満たすことである。
D1≧2J (2)
D2≧(D1)/2 (3)
但し、J=図3に示すニードルのスロートデプス
D1=シートの進行方向に対して平行角度に対応する織編物の繊維糸条の長径
D2=シートの進行方法に対して垂直角度に対応する織編物の繊維糸条の長径。
本発明の繊維シート状物の製造方法を適用することにより、不織布と織編物をニードルパンチにより絡合一体化させるときの織編物の損傷を抑制することができるため、スクリム損傷を見越した織編物増密が不要であり、軽量で柔軟性に富む繊維シート状物、すなわち、高強力で形態安定性に優れ、かつ軽量で柔軟性に富んだ皮革様物を得ることができる繊維シート状物が得られる。さらに、不織布と織編物からなるシートの進行方向に対して垂直な方向(シート幅方向)に対応する織編物の繊維糸条は極めて損傷しにくいため、総繊度や撚数および織密度を下げることが可能であり、このため、さらなる軽量化および柔軟化が可能となる。
本発明により得られる繊維シート状物を用いたスエード調人工皮革および銀つき調人工皮革は、インテリア用途、特にカーシートおよび椅子やソファの表皮材および衣料用途全般等に最適である。
図1は、本発明の織編物を構成する繊維糸条と、不織布と織編物からなるシートの進行方向およびニードルのバーブの向きの関係を説明するための概略断面図である。 図2は、図1においてニードルブレード部が三角形断面の場合を具体的に説明するための概略断面図である。 図3は、本発明で用いられる織編物を構成する繊維糸条の長径D1およびD2と、ニードルのトータルデプスJ寸法の関係を説明するための概略断面図である。
本発明者らは、極細繊維または極細化可能な繊維からなる不織布の内部や片側、もしくは両面に織編物を絡合一体化させて得られる繊維シート状物において、高強力、形態安定および柔軟化を合わせて付与すべく鋭意検討し解決策を得、本発明に到達した。以下に、その詳細について説明する。
本発明の目的を達成するための具体的な手段の例としては、不織布を形成した後、この不織布と織編物を重ねてニードルパンチし、不織布自体の絡合と、不織布および織編物との絡合を十分高めて不離一体構造を形成する。
本発明では、このニードルパンチにおいて、不織布と織編物が重ねられたシートの進行方法に対して直角角度を0°とした場合、ニードルのバーブを|0°〜30°|に方向規制することを骨子とし、これにより織編物を構成する繊維糸条は、ニードルのバーブにおける損傷とシート厚み方向への持ち込みを大幅に減少させることができる。
図1は、本発明の織編物を構成する繊維糸条と、不織布と織編物からなるシートの進行方向およびニードルのバーブの向きの関係を説明するための概略断面図である。
図1において、ニードル1は、シート進行方向(矢印←方向)に対して直角角度を0°とした場合、ニードル1のバーブ2は0°の方向に向いており、ニードル3のバーブは30°の方向に向いていることを表している。シートの進行方向に対して平行な織編物の繊維糸条4は、工程張力によって常に緊張状態にあるため、ニードルのバーブによって不織布の内層部に持ち込まれ難い。
これに対し、シートの進行方向に対して直角角度の織編物の繊維糸条5は、ニードルパンチによって不織布は幅方向に収縮し、織編物はそれに追随するため、弛みが生じる。弛んだ織編物の繊維糸条5は、ニードルのバーブによって不織布の内層部に持ち込まれ、製品表面に織編物の繊維が露出し易く、損傷も受け易い。さらに、後工程でスライス(スプリット)を前提とするプロセスを取る場合、繊維糸条5をシートの厚み方向に持ち込むと繊維糸条5を切断することになるため、織編物による高強力化や形態安定化の効果が得られず、外観品位も低下させる。
これらのことから、ニードルパンチに際して、ニードルのバーブ2は繊維糸条5を持ち込みにくい方向に向けることが好ましい。具体的には、シートの進行方向に対して直角角度を0°とした場合、ニードルのバーブ2を|0°〜30°|に向けてニードルパンチすることが重要である。
ニードルのバーブ2を有しているニードルブレード部の断面は正三角形(図1左側のニードル1、3)が主流で、不織布のニードルパンチに好ましく用いられている。このニードルのバーブを30°の方向に向けた場合、ニードルのバーブ2に隣接する三角形の稜線の一方は、シートの進行方向に対して直角角度の織編物の繊維糸条5と平行になる。この状態では繊維糸条5が正三角形断面の一方の稜線に沿う形となり、ニードルのバーブ2は繊維糸条5を引っ掛け難いと言える。また、ニードルのバーブ2が30°以内の角度であれば、ニードルブレード部の断面形状に問わず、例えば、円形断面(図1右側のニードル1)に対しても、その効果は十分にあると言える。これらのことから、ニードルのバーブを|0°〜30°|に向けることが重要であり、好ましくは|0°〜15°|であり、最も好適には0°である。
図2は、図1においてニードルブレード部が三角形断面の場合を具体的に説明するための概略断面図である。
ニードルブレード部の断面が正三角形の場合は前述のとおりであるが、ニードルブレード部の断面が正三角形に限らず、他の形状の三角形においても、ニードルのバーブ2を有するニードルブレード部の三角形断面の一角(バーブ2が存在する一角)の角度をαとした場合、バーブ2の向きβを次の式(1)の範囲内に規定してニードルパンチすることが好ましい。
0≦β≦|α/2| (1)
ここに、バーブ2の向きβは、図2に示すとおり、シートの進行方向に直角な角度0°に対する向き(角度)である。
このバーブ2をα/2の方向に向けた場合(図2の右側の図のニードル6)、前述の場合と同様、ニードル6のバーブ2に隣接する三角形の稜線の一方は、シートの進行方向に対して直角角度の織編物の繊維糸条5と平行になり、ニードル6のバーブ2は繊維糸条5を引っ掛け難いと言える。
シートの進行方向に対して平行な織編物の繊維糸条4は、既述のとおり、工程張力によって常に緊張状態にあるため、ニードル6のバーブ2によって不織布の内層部に持ち込まれ難い。これらのことから、ニードルのバーブは0≦β≦|α/2|の範囲内に向けることが好ましく、最も好適には0≦β≦|α/4|である。
図3は、本発明で用いられる織編物を構成する繊維糸条4の長径D1および繊維糸条5の長径D2と、ニードルのスロートデプスJ寸法の関係を説明するための概略断面図である。
本発明では、これらの織編物を構成する繊維糸条4の長径D1および繊維糸条5の長径D2と、ニードルのスロートデプスJが、次の式(2)と式(3)を満たすことが好ましい態様である。
D1≧2J (2)
D2≧(D1)/2 (3)
但し、J=図3に示すニードルのスロートデプス
D1=シートの進行方向に対して平行角度に対応する織編物の繊維糸条の長径
D2=シートの進行方法に対して垂直角度に対応する織編物の繊維糸条の長径。
本発明において、ニードルのバーブ2の向きを|0°〜30°|にする場合、前述のとおり、ニードルのバーブ2はシート進行方向に対して平行角度に対応する織編物の繊維糸条4に直接当たることになる。
ニードルパンチ加工時に織編物がニードルから受ける損傷を最小限に抑制する方法として、織編物を構成する繊維糸条の直径とニードルパンチに使用されるニードルのスロートデプスの関係を明示し、強度低下を抑制する製造方法が提案されている(特公平7−13344号公報。)。織編物の繊維糸条4とニードルのスロートデプスJは、この提案の方法のとおり、D1≧2Jの関係式を満たすことが好ましい。一方で、ニードルのバーブ2の向きを|0°〜30°|にすることにより、シート進行方向に対して直角角度に対応する織編物の繊維糸条5は、ニードルのバーブ2によって引っ掛けられ難くなるため、D1≧2Jの関係式を満たす必要はなく、織編物の繊維糸条は目的に応じて自由に設計することができる。例えば、軽量化を目的に総繊度を下げ、繊維糸条5の長径を小さくすることや(図3の右図)、撚数および織密度を下げることも可能である。
上記の式(2)と式(3)の関係式でいう繊維糸条の長径D1、D2とは、織編物を構成する繊維糸条の織編物中で実測された実測値の平均値であって、該繊維糸条を構成する個々の単繊維、原糸の繊度および加工条件等より算出された計算値を意味するものではない。この実測値は、織編物をサンプリングし、走査型電子顕微鏡により写真撮影を行い測定されるものであって、また平均値の算出にあたっては、画像中最も太く見える部分と最も細く見える部分とそれ以外の任意の8点計10点の径を測定した平均値である。
本発明によって得られる繊維シート状物を人工皮革用に用いる場合は、用いられる織編物の目付を20〜200g/mにすることが望ましく、最も好適には目付が30〜150g/mの範囲の織編物を用いることである。
織編物の目付が20g/m未満になると織編物としての形態が極めてルーズになり、織編物を不織布と不織布の中層部にはさみ込んだとき、あるいは織編物を不織布の表面に重ねる際にシワが発生し、均一に広げることが困難になる傾向がある。また、織編物の目付が200g/mを超えると織編物の組織が密になり、織編物に対する不織布単繊維の貫通が不十分で不織布と織編物との絡合が進まず不離一体化した構造物を作るのが概して困難になる傾向がある。
本発明において用いられる織物は、基本組織として平組織が好ましく用いられる。織物組織としてツイルやサテンを用いても良いが、組織に異方性があるため斜め方向の外力に対して挙動が異なること、また取り扱い上織物密度が低いと目ずれが発生しやすく、したがって平組織が好ましい。また、編物としては、経編やトリコット編で代表される緯編、レース編およびそれらの編み方を基本とした各種の編物が挙げられる。
本発明で用いられる織編物を構成する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維およびアラミド系繊維等の合成繊維などが好ましく使用される。これらの繊維種は、染色堅牢度の点から、不織布を構成する繊維と同様の素材を用いることが好ましい。もちろん、これに限定されず、木綿、羊毛および絹などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、さらにアセテートなどの半合成繊維など、編織可能な繊維ならどのような繊維も使用することができる。また、高強力ポリビニルアルコール系合成繊維(高強力ビニロン繊維)や全芳香族性ポリアミド繊維(アラミド繊維)などに代表される高強力繊維で構成しても何ら問題を生じることはない。
織編物に使用する繊維糸条の種類としては、フィラメントヤーン、紡績糸、革新紡績糸およびフィラメントヤーンと紡績糸の混合複合糸などが挙げられる。紡績糸はその構造上表面に毛羽が多数存在し不織布と織物を絡合する際、その毛羽が脱落し表面に露出すると欠点となるため、フィラメントヤーンを用いることが好ましい。フィラメントヤーンには、大別すると単繊維1本で構成されたモノフィラメントと複数本で構成されたマルチフィラメントがあるが、本発明で用いられる織編物では、マルチフィラメントを用いることが好ましい。モノフィラメントでは、繊維の剛性が高くなりすぎるため人工皮革の風合いを損ねることがある。
本発明で用いられる織編物を構成するマルチフィラメントヤーンは、その単繊維繊度が好ましくは0.0001dtex以上3dtex以下であり、より好ましくは1.5dtex以下であり、さらに好ましくは1dtex以下である。
上記のフィラメントヤーンについての単繊維繊度は、フィラメントヤーン以外の紡績糸や革新紡績糸にも適用される。
また、マルチフィラメントヤーンの総繊度は、30dtex〜170dtexであることが好ましい。総繊度が30dtex未満のマルチフィラメントヤーンを用いた場合、本発明で定めるところのニードルバーブ寸法との関係式が満たせなくなることがあり、織編物を構成する繊維糸条がニードルのバーブに引っ掛かり易くなる。一般にバーブのスロートデプスJの値の下限は10μmまでが実際的であるが、繊維の絡合および織編物との一体化を進める上では、ニードルのスロートデプスJの範囲は好ましくは30μm〜100μmであり、より好適には50μm〜80μmの範囲のものが使用される。そのため、マルチフィラメントヤーンの総繊度は30dtex以上であることが好ましい。但し、シートの進行方向に対して直角角度に対応する糸条2に関してはこの限りではなく、自由に選定できるが、糸条1の長径D1とのバランスを考慮してD1の半分以上であることが好ましい。
また、マルチフィラメントヤーンの総繊度が170dtexを超えると織編物の目付が大きくなるため、ひいては人工皮革の目付が大きくなる。それだけでなく、織編物の剛性が高くなるため、結果として人工皮革として満足するほどの十分な柔軟性を得ることができないことがある。
織編物を構成する繊維糸条の総繊度は、剛性および目付等の理由から、より好ましくは50dtex〜150dtexである。
マルチフィラメントヤーンの形態は、仮撚加工糸と捲縮を持たない生糸に大別されるが、本発明ではどちらを用いても良い。ただし、仮撚加工糸を用いると捲縮により糸条に膨らみが発生するため、ニードルにより損傷を受けやすくなる傾向がある。従って、本発明では生糸を用いることが好ましい。
本発明で用いられる織編物には、上記の繊維糸条に実撚を施し使用することができる。撚り数は、繊維糸条の収束状態を決定する上で重要であり、かつ繊維糸条の総繊度によりその値は異なるため、下記算式を満たす撚り数とすることが好ましく採用される。
3000/(DT1/2)≦T≦30000/(DT1/2)
T :織編物を構成する繊維糸条の実撚数(T/m)
DT:織編物を構成する繊維糸条の総繊度(dtex)
実撚数Tが1000/(DT1/2)以下であると、繊維の収束状態が弱く、各単糸がばらけた状態となるため、ニードルのバーブに掛かりやすく、単糸が切れたり、損傷を受けたりすることにより強度低下が発生する傾向がある。逆に撚り数が、30000/(DT1/2)以上を超えると緻密充填構造を超えてしまうため、二重旋回構造となることがある。実撚数Tのより好ましい範囲は5000/(DT1/2)≦T≦30000/(DT1/2)であり、さらに好ましい範囲は12000/(DT1/2)≦T≦30000/(DT1/2)である。このとき、経糸と緯糸の実撚数は同じである必要はないが、同じ実撚数とすることが好ましい。
次に、本発明の繊維シート状物の製造方法においては、使用する織編物の織編密度、ニードルパンチに使用するニードルのバーブ位置でのブレードサイズ、および織編物を構成する繊維糸条の長径を考慮して条件設定することが特に重要である。
繊維糸条の長径が小さくかつ密度が高い場合、ニードルのバーブに織物を構成する繊維糸条が掛かり易く、繊維が切断されたり、損傷を受けたりしてしまうことがある。
ところが、バーブのスロートデプスJの値が大きくなると、それに対応して使用する織編物を構成する繊維糸条の長径を大きくしなければならず、その結果として、織編物の目付を一定にした場合は織編密度を小さくしなければならず、織編密度を一定にした場合は目付を高くしなければならない。一方、バーブのスロートデプスJの値が小さすぎると、バーブが不織布を構成する繊維を把持する効率が低下し、不織布間および不織布と織編物間の絡合を十分高めることが困難になる。
このような理由から、本発明に用いられるバーブのスロートデプスJは、前述の関係式を満足していることが好ましいが、ニードルを継続使用した場合、摩耗により形状変化が発生して関係式を満たさなくなることがある。それを避けるようにするため、ニードルに耐摩耗性を有する皮膜を付与することが好ましい。具体的に、好ましくはニードル先端部から少なくとも最も遠いバーブまでの部分が耐摩耗性の被膜で被覆されたパンチング用ニードルを用いることができる。ニードル先端部を被覆する被膜としては、具体的には、硬質クロムやDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の耐摩耗性で低摩擦特性に優れた材質からなる被膜が好ましく、特に一般的で比較的低コストな硬質クロム被膜が好ましく用いられる。
次に、本発明で使用される不織布について説明する。
本発明で用いられる不織布としては、天然繊維、再生繊維および合成繊維等の短繊維を、カード、クロスラッパーおよびランダムウェバー等を通して積層されたもの、スパンボンドやメルトブローン等のように長繊維が積層されたものが挙げられる。さらに、これらの積層された繊維層が、空気流、液体流およびニードルパンチ等により予め予備的な絡合が付与されたものであってもよい。
また、本発明の繊維シート状物の製造方法によって得られた繊維シート状物を人工皮革の製造に利用する場合、不織布を構成する繊維は、極細繊維または極細化可能な繊維であることが望ましい。
極細繊維または極細化可能な繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸およびポリエステルエラストマ等のポリエステル系重合体、ナイロン6、ナイロン66およびポリアミドエラストマ等のポリアミド系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリオレフィン系重合体およびアクリロニトリル系重合体などの繊維形成能を有する重合体からなる繊維が好適である。これらの中でも、加工した製品の風合および実用性能の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6およびナイロン66からなる繊維が特に好ましく用いられる。
また、海島型繊維のように複合繊維を構成する一部の重合体を除去または相互に剥離することによって極細繊維化されるものについては、被除去成分として、島成分を構成するポリマーよりも溶解性や分解性の高い化学的性質を有するという点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合成分とした共重合ポリエステル、ポリ乳酸および共重合ポリアミド等の1種または2種を用いることができる。
海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよび共重合ポリスチレンの場合は、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤が用いられ、また、海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができ、熱水可溶性のポリエステルやポリビニルアルコールの場合は熱水が用いられ、溶剤や溶液中に海島型複合繊維を浸漬し、窄液を行うことによって、海成分を除去することができる。特に、ニードルパンチしたときの繊維の高絡合化による表面繊維の高密度化の観点から、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリエステル、共重合ポリエステルおよびポリ乳酸が好ましく使用される。
本発明で用いられる不織布を構成する極細繊維の単繊維繊度は、皮革様物としての性能、すなわち柔軟性、触感、外観品位および強力特性などを高めるために、0.0001dtex以上1.0dtex以下であることが好ましい。
このような極細繊維は、次のような極細繊維発生型繊維から得られる。すなわち、極細繊維発生型繊維としては、例えば、2種以上の重合体からなる高分子配列体繊維(特公昭44−18369号公報)や、互いに相溶性の小さい2種の重合体が隣接してなる易分割型複合繊維(特公昭53−37456号公報)などが挙げられる。しかしながら、本発明はこれらにとらわれるものではなく、その技術的思想を基に発展的形態の繊維が適用可能である。
次に、本発明における不織布と織編物の関係についての説明をする。
本発明においては、不織布と織編物を重ねたシートをニードルパンチで一体化させるが、不織布に対する織編物の重量割合は70%以下であることが望ましく、最も好適には10〜50%である。不織布に対する織編物の重量割合が70%を超えると、不織布表面に織編物を構成する繊維が露出しやすくなるからである。
不織布と織編物の絡み合わせには、不織布の片面もしくは両面に織編物を積層するか、あるいは複数枚の不織布の間に織編物を挟んで、ニードルパンチによって繊維同士を絡ませることができる。
不織布と織編物を一体化させる方法としては、不織布の片面側に織編物を均一に広げて積層し、不織布側からニードルパンチを行い、不織布を構成する繊維を織編物側に突き出すことで絡合一体化させ、その後は目標とするシート密度が得られるまで織編物側と不織布側から交互にニードルパンチを行うのが一般的である。不織布の両面に織編物を積層する場合は、前記の方法で片面側に織編物を積層後、不織布側に織編物を積層し、反対側の面(最初に積層した織編物側の面)からニードルパンチを行い、一体化させる方法が一般的である。複数枚の不織布の間に織編物を挟む方法についても織編物と不織布を前記の方法で一体化させた後に不織布を織編物側の面に積層させてニードルパンチを行い、一体化させる方法が一般的である。
前記の積層構造の違いによる機能の差は特にないが、不織布の両面に織編物を積層させたシートは、後工程でスライス(スプリット)することで2枚のシートが得られる点からコスト面で有利である。
このとき、不織布が前述したような何らかの手段で予備的な絡合が与えられていることが、不織布と織編物をニードルパンチで不離一体化させる際のシワ発生をより防止するために望ましい態様である。その場合、ニードルパンチにより、あらかじめ予備的絡合を与える方法を採用する場合には、そのパンチ密度は20本/cm以上で行なうことが効果的であり、好適には100本/cm以上のパンチ密度で予備絡合を与えることがよく、より好適には300本/cm〜1300本/cmのパンチ密度で予備絡合を与えることである。
予備絡合が、前述の20本/cmより少ないパンチ密度では、不織布の幅が、織編物との絡合時およびそれ以降のニードルパンチにより、狭くなる余地を残しているため、幅の変化に伴い織編物にシワが生じ平滑な繊維シート状物を得ることができなくなるからである。また、予備絡合のパンチ密度が1300本/cmを超えると、不織布自身の絡合が進みすぎて、織編物を構成する繊維との絡合を十分に形成するだけの移動余地が少なくなるので、不織布と織編物が強固に絡合した不離一体構造を実現するには不利となるからである。
織編物と不織布とを絡合一体化させるに際しては、パンチ密度の範囲を300本/cm〜6000本/cmとすることが好ましく、パンチ密度の範囲はより好ましくは1000本/cm〜3000本/cmである。
ニードルによる織編物を構成する繊維および繊維糸条の損傷の程度は、不織布と織編物とをニードルパンチで絡合一体化させた後の織編物の引張強さ保持率により評価することができる。その値は、次式により算出することができる。
引張強さ保持率=(織編物と不織布とを絡合一体化させて得られた複合シート中の織編物引張強さ)/(織編物自体の引張強さ)
上記式の引張強さ保持率が高いほど、剛軟度の低い柔軟な織編物を設計することが可能となるため、柔軟な人工皮革基体を得るためには、上記式の引張強さ保持率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは75%以上である。
次に、得られた繊維シート状物中の極細繊維発生型繊維を、繊維構成ポリマーのうちの少なくとも1成分(好ましくは海成分構成ポリマー)を溶解剤若しくは分解剤で処理して、または機械的もしくは化学的処理により極細繊維あるいは極細繊維束に変性して人工皮革用基体を得る。
このとき、極細繊維発生型繊維の変性処理に前後して、高分子弾性体液を付与するが、この順序についてはどちらも可能である。高分子弾性体液付与前に変性処理を行う場合には、極細繊維と高分子弾性体が接着しないようにポリビニルアルコールなどの溶解除去可能な仮充填剤を不織布に付与した後に高分子弾性体液を付与し、その後に該仮充填剤を除去することが繊維シート状物の柔軟性を得る上で好ましい態様である。また、高分子弾性体を分散剤に溶解あるいは分散させて得た重合体液を不織布に含浸し、高分子弾性体の非溶剤で処理して湿式凝固させるあるいは、そのまま加熱乾燥し、ゲル化させる方法で繊維シート状物を得る。このようにして、人工皮革用基体を製造することができる。
上記で得られた人工皮革用基体は、スエード調人工皮革あるいは銀付き調人工皮革のいずれにも仕上げることができる。スエード調人工皮革に仕上げる場合は、上記の人工皮革用基体をスライスやバフィング等により所望の厚みに調整した後、サンドペーパー等でバフィングすることにより、上記の基体表面の極細繊維束を起毛し、染色することによりスエード調人工皮革となる
また、銀付き調人工皮革に仕上げる場合は、上記の人工皮革用基体をスライス、バフィング等により所望の厚みに調整した後、表面に乾式法や湿式法等の方法により銀面を形成し、銀付き調人工皮革とすることができる。
物性等の測定は、次の方法によった。
[織編物を構成する繊維糸条の長径D1とD2]:
平らな台の上で織編物組織をサンプリングして、そのサンプルを上から観察できる向きに設置し、走査型電子顕微鏡により100倍程度で写真撮影を行った。繊維糸条の最も太く見える部分と最も細く見える部分2点と他の任意の8点計10点を実測し、その平均値から算出した。
[織編物の強力保持率]:
まず、織編物あるいは織編物と不織布とを絡合一体化させて得られた繊維シート状物の引張強さを、次の方法で求めた。不織布部分を除去した織編物単体とパンチ前の織編物をそれぞれからタテ20cm、ヨコ5cmの試験片を切り出し、JIS L1096(1999)のA法にしたがって、テンシロン引張試験機を用い、つかみ間隔10cmで試験片をつかんで、毎分10cmで定速伸長させてタテ方向の強力を測定した。測定はそれぞれ3回行い、平均値を算出した。
この不織布部分を除去した織編物単体の測定値をパンチ前の織編物の測定値で除して強力保持率を百分率で求め、強力保持率が70%以上で判定を合格○とし、70%未満で判定を不合格×とした。
[織編物の繊維糸条の露出]:
織編物と不織布とを絡合一体化させて得られた繊維シート状物について、不織布側表面の任意の範囲(10cm×10cm)をマイクロスコープ(モリテックス社製Inf−500、倍率:50倍)で観察し、織編物を構成する繊維糸条が露出した点数を数えた。但し、シート状物の厚さが2mm以上の場合もしくは不織布の上下両面に織編物を積層する場合はシート状物の厚み方向にスプリット(スライス)後に不織布側から観察した。また、効果を検証するに当たって、織編物と不織布が同色であったため、予め織編物を染色してから評価した。織編物の繊維糸条の露出は後工程でスライス(スプリット)を前提とするプロセスを取る場合、繊維糸条を切断することになるため、織編物による高強力化や形態安定化の効果が得られず、外観品位も低下させるため、10点以下にする方が好ましい。
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート、海成分としてポリスチレンからなる質量成分比80/20、島数16本、複合繊維の単繊維繊度3.8dtex、繊維長51mm、捲縮数14山/インチの海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパーの工程を経て不織布を作成した。次いで、プレパンチ300本/cmのニードルパンチを行い、目付重量250g/mの不織布(フェルト)を作成した。得られた不織布を進行方向に対して0.69N/cmの張力をかけながらを搬送し、その不織布の上面もしくは下面に84dtex(長径D=125μm)−72フィラメント、撚数2500T/mのポリエチレンテレフタレート生糸使いの繊維糸条1と繊維糸条2からなる平織物(織密度:95×76本/cm)を進行方向に対して0.35N/cmの張力をかけながら均一に広げて積層してシートとし、スロートデプスJ=60μm、ニードルブレード部の断面が正三角形(α=60°)のニードルをバーブの向きθ=0°方向に植えたニードルボードで、まずシートの不織布側から300本/cm、その後織物側から300本/cmと交互に計2700本/cmのニードルパンチを行い、目付重量が370g/m、見掛密度が0.215g/cmの繊維シート状物を得た。
このとき、パンチ前の織物の引張強さに対する強力保持率は、シート進行方向で76%、幅方向で85%であった。このとき、不織布側の表面への繊維糸条1と繊維糸条2の露出はいずれも0点であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
上記の実施例1において、シート進行方向に対して垂直角度に対応する織編物の繊維糸条2の長径を70μmに変更したこと以外は、実施例1と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、織物の強力保持率は、シート進行方向で76%、幅方向で84%、不織布側表面への繊維糸条1と繊維糸条2の露出はいずれも0点であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
上記の実施例1において、バーブの向きθを30°方向に変更したこと以外は、実施例1と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、織物の強力保持率は、シート進行方向で78%、幅方向で83%、不織布側表面への繊維糸条1と繊維糸条2の露出はいずれも0点であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
上記の実施例2において、バーブの向きθを30°方向に変更したこと以外は、実施例2と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、織物の強力保持率は、シート進行方向で76%、幅方向で85%、不織布側表面への繊維糸条1と繊維糸条2の露出はいずれも0点であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
上記の実施例1において、繊維糸条1の長径を100μmに変更した他は、実施例1と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、織物の強力保持率は、シート進行方向で71%、幅方向で85%であり、繊維糸条1の長径D1とニードルのスロートデプスJの関係式を満たしていないため、繊維糸条1の露出は7点あったものの10点以下であったため、判定は○とした。結果を表1に示す。
[実施例6]
島成分としてポリエチレンテレフタレート、海成分としてポリスチレンからなる質量成分比55/45、島数36本、複合繊維の単繊維繊度3.1dtex、繊維長51mm、捲縮数14山/インチの海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパーの工程を経て不織布を作成した。次いで、プレパンチ300本/cmのニードルパンチを行い、目付重量400g/mの不織布(フェルト)を作成した。得られた不織布を進行方向に対して0.69N/cmの張力をかけながらを搬送し、その不織布の片面に84dtex(長径D=125μm)−72フィラメント、撚数2500T/mのポリエチレンテレフタレート生糸使いの繊維糸条1と56dtex(長径D=90μm)−12フィラメント、撚数1500T/mの潜在捲縮型ポリエチレンテレフタレート糸使いの繊維糸条2からなる平織物A(織密度:69×83本/cm)を進行方向に対して0.35N/cmの張力をかけながら均一に広げて積層してシートとし、スロートデプスJ=60μm、ニードルブレード部の断面が正三角形(α=60°)のニードルをバーブの向きθ=0°方向に植えたニードルボードで、シートの不織布側から300本/cmのニードルパンチを行い、不織布と平織物Aを一体化させ、次いで平織物Aを積層した反対側の面に平織物Aと同設計の平織物Bを積層し、最初に積層した平織物A側の面から300本/cmのニードルパンチを行い、織物/不織布/織物の積層シート得、その後さらに300本/cmずつ交互に計2800本/cmのニードルパンチを行い、目付重量が500g/m、見掛密度が0.220g/cmの繊維シート状物を得た。
このとき、パンチ前の織物の引張強さに対する強力保持率は、シート進行方向で81%、幅方向で88%であった。このとき、不織布側の表面への繊維糸条1と繊維糸条2の露出はいずれも0点であった。結果を表1に示す。
[実施例7]
上記の実施例1において、目付重量250g/mの不織布(フェルト)を2枚作成し、うち1枚と織物を実施例1と同一条件で積層し、まずシートの不織布側から300本/cmのニードルパンチを行い、不織布と織物を絡合一体化させたシートを得た。その後、該シートの織物側の面に作成したもう一方の目付250g/mの不織布を積層し、積層した不織布側の面から実施例1と同一条件で300本/cm、次いで反対側の面から300本/cmと交互に計2400本/cmのニードルパンチを行い、目付重量が650g/m、見掛密度が0.220g/cmの繊維シート状物を得た。
このとき、パンチ前の織物の引張強さに対する強力保持率は、シート進行方向で77%、幅方向で80%であった。このとき、不織布側の表面への繊維糸条1と繊維糸条2の露出はいずれも0点であった。結果を表1に示す。
[実施例8]
上記の実施例1において、補強布を84dtex(長径D=125μm)−72フィラメント、撚数2500T/mのポリエチレンテレフタレート生糸使い、50ウェール、45コースの平編物に変更したこと以外は、実施例1と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、編物の強力保持率は、シート進行方向で72%、幅方向で75%、不織布側表面への繊維糸条の露出は0点であった。結果を表1に示す。
[比較例1](実施例1においてバーブの向きが外れた場合)
上記の実施例1において、バーブの向きを40°に変更した他は、実施例1と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、織物の強力保持率は、シート進行方向で78%、幅方向で66%まで低下し、繊維糸条2の露出が17点であった。結果を表1に示す。
[比較例2](実施例2においてバーブの向きが外れた場合)
上記の実施例2において、バーブの向きを40°に変更した他は、実施例2と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、織物の強力保持率は、シート進行方向で79%、幅方向で49%まで低下し、繊維糸条2の露出が29点であった。結果を表1に示す。
[比較例3](実施例1においてバーブの向きが外れた場合)
上記の実施例1において、バーブの向きを60°に変更した他は、実施例1と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、織物の強力保持率は、シート進行方向で78%、幅方向で55%まで低下し、繊維糸条2の露出が27点であった。結果を表1に示す。
[比較例4](実施例1においてバーブの向きが外れた場合)
上記の実施例1において、バーブの向きを90°に変更した他は、実施例1と同一条件で加工して繊維シート状物を得た。このとき、織物の強力保持率は、シート進行方向で81%、幅方向で38%まで低下し、繊維糸条2の露出が34点であった。結果を表1に示す。
Figure 0005509925
表1中、関係式の欄において、関係式を満たしている場合を○で表し、満たしていない場合を×で表す。
1:ニードル
2:ニードルのバーブ
3:ニードル
4:繊維糸条
5:繊維糸条
α:ニードルブレード部の三角形断面の一角の角度
β:バーブの向き
6:ニードル
J:ニードルのスロートデプス

Claims (2)

  1. 不織布と織編物からなるシートをニードルパンチにより一体化させる繊維シート状物の製造工程において、前記織編物がポリエチレンテレフタレート繊維からなり、前記織編物に進行方向に対して0.35N/cm以上の張力をかけながら前記不織布と積層し、ニードルブレード部の断面が三角形のニードルを用い、前記シートの進行方法に対して直角角度を0°とした場合、ニードルのバーブを|0°〜30°|に方向規制し、かつバーブの向きβを次の式(1)の範囲内に規制してニードルパンチを行うことを特徴とする繊維シート状物の製造方法。
    0≦β≦|α/2| (1)
    但し、α=図2に示すニードルブレードの三角形断面のバーブが存在する一角の角度
    β=図2に示すバーブの向き
  2. 織編物における繊維糸条の長径とニードルのスロートデプスが、次の式(2)と式(3)を満たすことを特徴とする請求項1記載の繊維シート状物の製造方法。
    D1≧2J (2)
    D2≧(D1)/2 (3)
    但し、J=図3に示すニードルのスロートデプス
    D1=シートの進行方向に対して平行角度に対応する織編物の繊維糸条の長径
    D2=シートの進行方法に対して直角角度に対応する織編物の繊維糸条の長径
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