JP5507581B2 - フィードバックなしの周波数領域アクティブ・マトリクス・デコードのための方法およびシステム - Google Patents

フィードバックなしの周波数領域アクティブ・マトリクス・デコードのための方法およびシステム Download PDF

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Description

〈関連出願への相互参照〉
本願は、2009年1月14日に出願され、ここにその全体において組み込まれる米国特許仮出願第61/144,482号の優先権を主張する。
〈1.発明の分野〉
本発明は、いくつかのオーディオ入力信号(たとえば二つの入力チャネル)をより多数のオーディオ出力信号(たとえば五つの出力チャネルで、これはフル周波数出力チャネルであってもよい)にデコードするためのアクティブ・マトリクス・デコーダ・システムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、周波数領域で動作し、フィードバックを使うことなく生成される利得制御値を使ってアクティブ・マトリクス要素がステアリングされるそのようなマトリクス・デコーダ・システムおよび方法に関する。
〈2.発明の背景〉
特許請求の範囲を含む本開示を通じて、用語「デコーダ」および「デコーダ・システム」は同義に使われる。
特許請求の範囲を含む本開示を通じて、信号またはデータ「に対して」動作(たとえばフィルタリングまたは変換)を実行するという表現は、広義に、該信号またはデータに対して直接、あるいは該信号またはデータの処理されたバージョンに対して(たとえば、該動作の実行に先立って予備的なフィルタリングを受けた該信号のバージョンに対して)該動作を実行することを表すために使われる。
特許請求の範囲を含む本開示を通じて、「後方(rear)」位置という表現(たとえば「後方ソース位置」)は、聴取者の頭の背後の位置を表し、「前方(front)」位置という表現(たとえば「前方出力位置」)は、聴取者の頭の前の位置を表す。同様に、「前方」スピーカーは、聴取者の頭の前に位置するスピーカーを表し、「後方」スピーカーは、聴取者の頭の背後に位置するスピーカーを表す。
特許請求の範囲を含む本開示を通じて、「システム」という表現は、広義で、デバイス、システムまたはサブシステムを表すために使われる。たとえば、デコーダを実装するサブシステムがデコーダ・システムと称されることもあり、そのようなサブシステムを含むシステム(たとえば、複数入力に応答してX個の出力信号を生成するシステム。ここでは、サブシステムが入力のうちのM個を生成し、残りのX−M個の入力は外部ソースから受け取られる)もデコーダ・システムと称されることがある。
特許請求の範囲を含む本開示を通じて、スピーカーによる信号の「再生」という表現は、該信号の必要とされる増幅および/またはその他の処理があればそれを実行するなどして、該信号に応答してスピーカーに音を発生させることを表す。
オーディオ・マトリクス・デコーダは、X個のばらばらなオーディオ・チャネル(X個の入力信号によって決定される)を再生のためにY個のチャネル(Y個の出力信号によって決定される)にデコードするはたらきをする。ここで、XおよびYは整数であり、YはXより大きい。入力チャネルは時に、より多数のチャネルからマトリクス・エンコードされる。マトリクス・エンコーダ/デコーダ技術の例としては、四チャンネル・ステレオ(Quadraphonic Stereo)(たとえば非特許文献1に記載)、アンビソニックス(Ambisonics)(たとえば非特許文献2に記載)、ドルビー・プロ・ロジックII(Dolby Pro Logic II)技術(たとえば非特許文献3に記載)およびドルビー・プロ・ロジック(Dolby Pro Logic)技術が含まれる。
図1は、パッシブ・マトリクス・デコーダとして知られる型の、簡単な通常の2チャネルから4チャネルへのデコーダの例である。パッシブ・マトリクス・デコーダは入力信号を解析しようとせず、その代わり、入力信号のエンコード(もしあれば)について想定をする。図1では、入力信号、左トータル(Lt)および右トータル(Rt)が左(L)出力および右(R)出力に直接供給される。中央(C)出力は、入力信号LtおよびRtを合計要素2において合計し、結果として得られる和信号を、それに利得を適用する増幅器1にアサートすることによって導出される。サラウンド(S)出力は、減算要素4において入力信号LtおよびRtの差を生成し、結果として得られる差信号を低域通過フィルタ(LPF: low pass filter)3において低域通過フィルタ処理することによって導出される。
図2は、アクティブ・マトリクス・デコーダとして知られる型の通常の2チャネルから5チャネルへのデコーダの例である。図2のデコーダは、アクティブ・デコード・マトリクス6を含む。マトリクス6は、左トータル(Lt)および右トータル(Rt)入力信号を受け取るよう結合され、これらの入力信号およびステアリング要素7からの制御信号に応答して、五つの出力信号(左出力「L」、右出力「R」、中央出力「C」、左サラウンド出力「Ls」および右サラウンド出力「Rs」)を生成するよう構成される。図2のアクティブ・マトリクス・デコーダは、合計要素2において入力信号を合計し、減算要素4において入力信号の差を生成する。要素2および4から出力される和信号および差信号は、(図1のように)出力チャネルに直接供給されるのではない。その代わり、要素2および4から出力される和信号および差信号は、入力信号LtおよびRtとともに、ステアリング要素7に対してアサートされる。それらの信号に応答して、ステアリング要素7は、デコード・マトリクス6を連続的にステアリングできるようにする仕方で、入力信号を解析する。アクティブ・マトリクス6は、要素7からそれにアサートされるステアリング制御信号に基づいて出力チャネル混合を決定する。
フィードバックを使ってアクティブ・マトリクス要素を制御するための利得制御信号を生成するステアリング要素を用いて時間領域でアクティブ・デコードをいかにして実装するかはよく知られている。たとえば、ドルビー・ラボラトリーズ・ライセンシング・コーポレーションに譲渡された特許文献1および特許文献2はそのようなデコードを記載している。
特許文献1のアクティブ・マトリクス・デコーダは、アクティブ・マトリクス要素によって適用されるべきマトリクス係数を生成するための制御信号を生成するためにフィードバックを用いるサーボ回路を含むステアリング要素(たとえば、図16Aの要素230)を含んでいる。たとえば、特許文献1の図16Aの要素230は、制御信号gL、gR、gF、gB、gLBおよびgRBを生成するためにフィードバックを使う図17〜19のサーボ回路を含むことができる。これらの利得制御信号は、図16Aの適応マトリクス214によって適用されるべき更新されたマトリクス係数を生成するために使われる。たとえば、図17のサーボ回路は、オーディオ信号サンプルLt'およびRt'に応答して制御信号gLおよびgRを生成する。これは、入力Lt'およびRt'に対するフィードバックとして信号gLおよびgRをアサートする(そして要素242、240、252および250において信号gLおよびgRを入力Lt'およびRt'とそれぞれ組み合わせる)ことなどによる。要素240および250の出力はそれぞれ(1−gL)Lt'および(1−gR)Rt'であるが、これらは制御信号LRの値を更新するために使われる。信号LRの更新された値は、制御信号gLおよびgRの更新された値を決定する。
フィードバックを使わずにアクティブ・マトリクス要素を制御するための利得制御信号を生成するステアリング要素を用いて時間領域でアクティブ・デコードを実装することも知られている。そのようなアクティブ・デコーダは、たとえば、ドルビー・ラボラトリーズ・ライセンシング・コーポレーションに譲渡された特許文献3に記載されている。しかしながら、特許文献3に記載されるアクティブ・マトリクス・デコードは、入力オーディオ信号の完全な周波数範囲のうちの臨界周波数帯域を(知覚的に動機付けられた考察に基づいて)決定することなく実行される。特許文献3に記載されるアクティブ・マトリクス・デコードはまた、そのような臨界周波数帯域の種々のものについて利得制御値を生成することなく、かつそのような入力オーディオ信号をフィルタ処理してそれぞれ異なる臨界周波数帯域内にある入力サブバンド信号を生成したり複数の臨界周波数帯域のそれぞれについて異なるアクティブ・マトリクスを実装したりすることなく、実行される。
(一つまたは複数のオーディオ信号の集合の完全な周波数範囲のうちの)「臨界周波数帯域(critical frequency bands)」という表現は、本稿では、完全な周波数範囲のうちの、知覚的に動機付けされた考察に基づいて決定される周波数帯域を表す。典型的には、完全な可聴周波数範囲を分割する臨界周波数帯域は、完全な可聴周波数範囲を通じて周波数とともに増大する幅をもつ。
入力オーディオ信号の複数の臨界周波数帯域のうちの種々のものについての利得制御値の生成とともに、時間領域でアクティブ・マトリクス・デコードを実行することが提案されている。たとえば、その表紙においてデジタル・シアター・システムズ社(Digital Theater Systems, Inc.)に譲渡されていることを示す特許文献4は、時間領域で実装されるアクティブ・マトリクス・デコーダを教示している。このデコーダは、帯域通過フィルタをオーディオ入力信号に適用して、それぞれが入力信号の完全な周波数範囲のうちの異なる周波数帯域を示す入力サブバンド信号の集合を生成し、それらのサブバンド信号をデコードする。特許文献4は、それらのサブバンド信号が、それぞれが入力信号の完全な周波数範囲のうちの異なる(「バーク・バンド(bark band)」として知られる型の)臨界周波数帯域を示す、より少数のグループ化された信号に組み合わされることができ、次いでグループ化された信号がデコードされることができることを教示している。しかしながら、特許文献4は、入力オーディオ信号をフィルタ処理してそれぞれが異なる臨界周波数帯域内にある入力サブバンド信号を生成し、臨界周波数帯域のそれぞれについて独立に利得制御値を生成し、入力サブバンド信号のそれぞれに異なるアクティブ・マトリクスを適用することなどによって、周波数領域においていかにしてアクティブ・デコードを実装するかは教示しない(そのことは、本発明まで知られていなかった)。特許文献4はまた、アクティブ・オーディオ信号デコードが周波数領域で実装されるべきであることやいかにしてそのような周波数領域アクティブ・デコードを効率的な仕方で(たとえば低いプロセッサ・スピード(たとえば、低いMIPS)要求をもって)実装するかは提案していない。
米国特許第7,280,664号 米国特許第6,920,223号 米国特許第4,799,260号 米国特許第7,003,467号
Bauer, Benjamin B., et al. "Quadraphonic Matrix Perspective -- Advances in SQ Encoding and Decoding Technology", J. Audio Engineering Society., vol. 21, 9 pp., June 1973 Michael Gerzon, "Surround-sound psychoacoustics, Criteria for the design of matrix and discrete surround-sound systems", Wireless World, December 1974, pp.483-485 Kenneth Gundry, "A new active matrix decoder for surround sound", Proc. AES 19th International Conference on Surround Sound, June 2001
入力オーディオ信号の異なる臨界周波数帯域を、(たとえば入力オーディオの異なる臨界周波数帯域をデコードするための利得制御値を生成することなどによって)各臨界周波数帯域における入力オーディオ内容に合わせて調整された仕方でデコードして、効率的な仕方で、かつ低いプロセッサ・スピード(たとえば、低いMIPS)要求で実装可能な仕方で、改善された音パフォーマンスを達成するアクティブ・マトリクス・デコーダが必要とされている。本発明の典型的な実施形態は、周波数領域入力オーディオの異なる臨界周波数帯域を、各臨界周波数帯域における入力オーディオ内容に合わせて調整された仕方(入力オーディオの種々の臨界周波数帯域をデコードするための利得制御値を生成することなどによる)でデコードすることによって、低減した計算要件で、改善された音パフォーマンス(知覚的なアーチファクトのないより大きな周波数選択性を含む)を達成する。
本発明まで、入力信号を周波数領域に変換し(入力信号がすでに周波数領域にあるのでない場合)、結果として得られる入力周波数成分をアクティブ・マトリクス要素に対してアサートし、該アクティブ・マトリクス要素がそれに応答してM個の出力ストリームの周波数成分を生成し、フィードバックを使うことなくアクティブ・マトリクス要素をステアリングすることなどによる、N個(たとえばN=2)のオーディオ入力チャネルをM個(MはNより大きい)のフル周波数のオーディオ出力チャネルに変換する知覚的に動機付けされたオーディオ・マトリクス・デコーダをいかにして実装するかは知られていなかった。また、パワーを非線形な仕方で整形しスケーリングすることなどにより、パワー比(臨界周波数帯域の集合における各臨界周波数帯域について、周波数領域入力オーディオから生成される)を使って決定される前記ステアリングについての基準をもって、いかにしてそのようなステアリングを実装するかも知られていなかった。
あるクラスの諸実施形態では、本発明は、N個のオーディオ入力信号(入力チャネル)を示す、N個のストリームの入力周波数成分をデコードして、M個のオーディオ出力信号(典型的にはフル周波数の出力チャネル)を決定するM個のストリームの出力周波数成分を生成するよう構成された、知覚的に動機付けされたアクティブ・マトリクス・デコーダである。ここで、MおよびNは整数であり、MはNより大きい。本デコーダは、(N個のオーディオ入力信号を示す)N個のストリームの入力周波数成分に応答してM個のオーディオ出力信号を決定するM個のストリームの出力周波数成分を生成するよう構成されたアクティブ・マトリクス・サブシステムと;前記アクティブ・マトリクス・サブシステムに結合され、フィードバックを使うことなく前記入力周波数成分に応答して利得制御値を生成し、前記出力周波数成分の生成の際に前記アクティブ・マトリクス要素をステアリングするために前記利得制御値を前記アクティブ・マトリクス・サブシステムに対してアサートするよう構成された制御サブシステムとを含む。前記制御サブシステムは、前記入力周波数成分に応答してパワー比を生成するよう構成されている。前記パワー比は、臨界周波数帯域の集合における各臨界周波数帯域について(前記入力周波数成分の各ブロックについて)少なくとも一つのパワー比を含む。前記制御サブシステムはまた、前記パワー比に応答して前記利得制御値を生成するよう構成されている。それは、前記パワー比を非線形な仕方で整形すること(および任意的には前記パワー比をスケーリングおよび平滑化すること)によるものを含む。
典型的には、本アクティブ・マトリクス・サブシステムは、マトリクス係数の複数の集合を適用する。マトリクス係数の各集合は、臨界周波数帯域の異なるもののためである。たとえば、いくつかの実施形態では、各臨界周波数帯域についての利得制御値は、その臨界周波数帯域内に変換周波数ビンがある入力周波数成分に前記アクティブ・マトリクス・サブシステムが適用するための、マトリクス係数の異なる集合を決定する。臨界周波数帯域の一つに属する各変換周波数ビン内の(入力周波数成分の各ブロックの)入力周波数成分は、その臨界周波数帯域に対応する臨界周波数帯域についての前記マトリクス係数によって行列乗算される。
いくつかの実施形態では、デコーダは、N個の入力信号を時間領域から周波数領域に変換し、それによりN個の入力信号に応答してN個のストリームの入力周波数成分を生成するよう構成された入力変換サブシステムをも含む。いくつかの実施形態では、デコーダはまた、前記ストリームの出力周波数成分を周波数領域から時間領域に変換し、それにより前記出力周波数成分に応答してM個の出力信号を生成するよう構成された出力変換サブシステムをも含む。典型的にはN=2、M=5である。また、典型的には、制御サブシステムは、前記臨界周波数帯域の集合内の各臨界周波数帯域について一対のパワー比を(入力周波数係数の各ブロックについて)生成し、前記パワー比から前記臨界周波数帯域のそれぞれについて五つの利得制御値を(入力周波数係数の各ブロックについて)生成するよう構成される。たとえば、デコーダが二つのオーディオ入力信号をデコードして五つのオーディオ出力信号(左チャネル出力信号、右チャネル出力信号、中央チャネル出力信号、右サラウンド・チャネル出力信号および左サラウンド・チャネル出力信号)を生成するよう構成されるいくつかの実施形態では、パワー比の各対は:左と右のチャネルのパワー測定の比と、前方および後方のチャネルのパワー測定の比を含む。好ましくは、臨界周波数帯域は、ステアリングを、音響心理学に基づく周波数領域に分割する。
あるクラスの諸実施形態では、本発明は、N個のオーディオ入力信号をデコードして、M個のオーディオ出力信号(典型的にはフル周波数の出力チャネル)を決定するマトリクス・デコード方法である。ここで、MおよびNは整数であり、MはNより大きい。本方法は:
(a)アクティブ・マトリクス・サブシステムを動作させて、N個のオーディオ入力信号を示すN個のストリームの入力周波数成分に応答してM個のオーディオ出力信号を決定するM個のストリームの出力周波数成分を生成する段階と;
(b)フィードバックを使うことなく、前記入力周波数成分からパワー比を決定する段階であって、前記パワー比は、臨界周波数帯域の集合における各臨界周波数帯域について少なくとも一つのパワー比を含む、段階と;
(c)フィードバックを使うことなく非線形な仕方で前記パワー比を整形する(shaping)ことなどによって、前記パワー比から前記臨界周波数帯域のそれぞれについての利得制御値を決定する段階と;
(d)ステップ(a)を実行する間、前記利得制御値を使って前記アクティブ・マトリクス要素をステアリングする段階とを含む。
いくつかの実施形態では、段階(c)は、フィードバックを使うことなく、前記パワー比をスケーリングおよび平滑化する段階を含む。典型的にはN=2、M=5であり、段階(b)は、臨界周波数帯域のそれぞれについて(入力周波数係数の各ブロックについて)二つのパワー比を決定する段階を含み、段階(c)は臨界周波数帯域のそれぞれについて(入力周波数係数の各ブロックについて)五つの利得制御値を決定する段階を含む。いくつかの実施形態では、本方法はまた:オーディオ入力信号を時間領域から周波数領域に変換し、入力周波数成分の前記ストリームを生成する段階と、出力周波数成分の前記ストリームを周波数領域から時間領域に変換し、それにより前記M個の出力信号を生成する段階とのうちの少なくとも一方を含む。
典型的な実施形態では、本発明のデコーダは、本発明の方法のある実施形態を実行するようソフトウェア(またはファームウェア)をプログラムされたおよび/またはその他の仕方で構成された汎用または専用目的のプロセッサであるまたはそのようなプロセッサを含む。いくつかの実施形態では、本発明のデコーダは、オーディオ入力信号を示す入力データを受け取るよう結合され、本発明の方法のある実施形態を実行することによって該入力データに応答してオーディオ出力信号を示す出力データを生成するよう(適切なソフトウェアで)プログラムされた汎用プロセッサである。他の実施形態では、本発明のデコーダは、構成設定可能なオーディオ・デジタル信号プロセッサ(DSP)を(たとえばプログラムすることによって)適切に構成設定することによって実装される。該オーディオDSPは、入力オーディオに対して多様な動作の任意のものを実行するよう構成設定可能な(たとえば適切なソフトウェアもしくはファームウェアによってプログラム可能なまたは制御データに応答して他の仕方で構成設定可能な)通常のオーディオDSPであることができる。動作では、本発明に基づくアクティブ・マトリクス・デコードを実行するよう構成されたオーディオDSPは、複数のオーディオ入力信号を受け取るよう結合され、該DSPは典型的には、デコードに加えて入力オーディオに対して多様な操作を実行する。本発明のさまざまな実施形態によれば、オーディオDSPは入力オーディオ信号に対して本発明の方法を実行することによって、入力オーディオ信号に応答して出力オーディオ信号を生成するよう構成設定された(たとえばプログラムされた)のちに、本発明の方法のある実施形態を実行するよう動作可能である。本発明の諸側面は、本発明の方法のいずれかの実施形態を実行するよう構成された(たとえばプログラムされた)システムおよび本発明のいずれかの実施形態を実装するためのコードを記憶するコンピュータ可読媒体(たとえばディスク)を含む。
通常のオーディオ・マトリクス・デコーダのブロック図である。 別の通常のオーディオ・マトリクス・デコーダのブロック図である。 本発明のアクティブ・マトリクス・デコーダ・システムのある実施形態のブロック図である。 図3のデコーダの適応マトリクス16のある実装のブロック図である。 図3の要素17の左/右制御回路のある実装のブロック図である。 図3の要素17の前/後制御回路のある実装のブロック図である。 図3の要素17のサラウンド制御回路のある実装のブロック図である。 図3のデコーダのある実装で(たとえば図5の要素32および42において)用いられる、k=1024個のフーリエ変換ビン内の周波数成分を、フィルタ処理された周波数成分のb=40個の臨界周波数帯域にグループ化するフィルタのグラフである。 本発明のデコード・システムの実施形態であるオーディオ・デジタル・信号プロセッサ(DSP)のブロック図である。
本発明の多くの実施形態が技術的に可能である。それらをどのようにして実装するかは本開示から当業者には明白であろう。本発明のシステム、方法および媒体の実施形態について、図3〜図9を参照しつつ述べる。
図3は、本発明のアクティブ・マトリクス・デコーダ・システムのある実施形態のブロック図である。図3のシステムは、時間領域入力信号「左トータル(Left Total)」(Lt)を受け取り、周波数成分Lt'を生成するよう結合および構成された時間領域‐周波数領域変換段10を含む。この変換は、時間領域から周波数領域への変換(たとえば離散フーリエ変換だが代替的には修正離散コサイン変換または直交ミラー・フィルタバンク(Quadrature Mirror Filterbank)での変換または他の時間領域から周波数領域への変換)を入力信号Ltに対して実行することによる。周波数成分Lt'は複数の部分集合を含み、各部分集合は異なる周波数ビン(周波数変換ビン)内にある。図3のシステムはまた、時間領域入力信号「右トータル(Right Total)」(Rt)を受け取り、周波数成分Rt'を生成するよう結合および構成された時間領域‐周波数領域変換段11をも含む。この変換は、時間領域から周波数領域への変換(たとえば離散フーリエ変換だが代替的には修正離散コサイン変換または直交ミラー・フィルタバンク(Quadrature Mirror Filterbank)での変換または他の時間領域から周波数領域への変換)を入力信号Rtに対して実行することによる。周波数成分Rt'は複数の部分集合を含み、各部分集合は異なる周波数ビン(周波数変換ビン)内にある。各周波数ビン内の周波数成分Lt'およびRt'は、適応デコード・マトリクス16およびステアリング要素17において別個に解析され、処理される。
アクティブ(適応)デコード・マトリクス16は、ステアリング要素17からの制御信号および入力周波数成分Lt'およびRt'に応答して、出力周波数成分の五つのシーケンスを生成するよう構成される。その五つは、図3では、左出力データL'(左前方ソースからの音を表す)、右出力データR'(右前方ソースからの音を表す)、中央出力データC'(中央前方ソースからの音を表す)、左サラウンド出力データLs'(左後方ソースからの音を表す)および右サラウンド出力データRs'(右後方ソースからの音を表す)として同定されている。
各周波数成分Lt'は、対応する周波数成分Rt'と合計要素14において加算されて周波数成分Ft'(本稿では「前チャネル(front channel)」周波数成分と称する)のシーケンスを生成する。各周波数成分Rt'は、対応する周波数成分Lt'から減算要素14において減算されて周波数成分Bt'(本稿では「後チャネル(back channel)」周波数成分と称する)のシーケンスを生成する。周波数成分Lt'およびRt'は、簡単な処理を受けて左右軸に沿った信号優勢(signal dominance)を示すことができ、ステアリング要素17によって、利得制御値gLおよびgRを決定するパワー比値のシーケンスを生成するために使われる。周波数成分Ft'およびBt'は、簡単な処理を受けて前後軸(左右軸に垂直)に沿った信号優勢を示すことができ、ステアリング要素17によって、利得制御値gFおよびgBを決定するパワー比値のシーケンスを生成するために使われる。入力オーディオ信号が(ある臨界周波数帯域において)主としてあるソース方向(たとえば左前方)からの音を示す場合、ステアリング要素は、入力オーディオ信号が(前記臨界周波数帯域において)主として別の方向(たとえば右後方)からの音を示す場合とは異なる利得制御値の集合を(前記臨界周波数帯域について)生成する。
周波数成分Ft'およびBt'ならびに周波数成分Lt'およびRt'はステアリング要素17に対してアサートされる。応答して、ステアリング要素17は各臨界周波数帯域において周波数成分Lt'およびRt'を解析して、各臨界周波数帯域についてマトリクス16を構成設定するための利得制御値gL、gR、gF、gB、gLBおよびgRBを生成する(そして適応デコード・マトリクス16に対してアサートする)。各周波数帯域についての利得制御値gL、gR、gF、gB、gLBおよびgRBに応答して、適応マトリクス16は、(そのような各臨界周波数帯域内の各周波数ビンにおける)成分シーケンスL'、R'、C'、Ls'およびRs'の周波数成分を生成する。各成分シーケンスL'、R'、C'、Ls'およびRs'のすべての部分集合(該部分集合のそれぞれは前記周波数帯域のうちの異なるものにある)は、任意的に、後処理段18において後処理を受ける。段18の出力は、周波数領域‐時間領域変換段20において、周波数領域から時間領域への変換(典型的には逆短時間離散フーリエ変換(inverse Short-Time Discrete Fourier Transform)あるいは「iSTDFT」だが代替的には逆修正離散コサイン変換または直交ミラー・フィルタバンク(Quadrature Mirror Filterbank)での変換または他の周波数領域から時間領域への変換)を受ける。五つの離散的な時間領域信号(左チャネル出力信号L'、右チャネル出力信号R'、中央チャネル出力信号C'、左サラウンド・チャネル出力信号Ls'および右サラウンド・チャネル出力信号Rs')が段20から出力される。
このように、図3のシステムは、二つの時間領域オーディオ入力信号(Lt、Rt)を解析および処理のために変換周波数ビン内の周波数領域データに変換する。システムの制御経路(図3に示される要素12、13、14、15および17を含む)は、この周波数領域データから、臨界周波数帯域の集合のそれぞれについて、パワー測定値を生成し、該パワー測定値を適応マトリクス16を構成設定するための利得制御値を生成するために使う。図3のシステムの、制御経路中の要素以外の要素は、時に、「信号経路」と称される。システムの制御経路は、周波数領域データをフィルタ12および13において帯域通過フィルタ処理することによって、周波数領域データを整形する。フィルタ処理された周波数領域データに応答して、周波数成分Ft'およびBt'が決定される。成分Ft'は和信号Ft(ここでは「前チャネル」または「前」信号と称される)を示す。成分Bt'は差信号Bt(ここでは「後チャネル」または「後」信号と称される)を示す。周波数成分Ft'およびBt'は、フィルタ処理された入力信号LtおよびRtを表すフィルタ処理された周波数成分とともに、臨界帯域のパワー値(臨界周波数帯域それぞれについてのパワー測定値)に変換され、それらのパワー値が臨界周波数帯域のそれぞれについての利得制御値gL、gR、gF、gB、gLBおよびgRBを生成するために使われる。
図3の制御経路も信号経路もフィードバックを含まない。その代わり、制御経路は、臨界帯域のパワー値の非線形表現の解析に頼る。アクティブ・デコード・マトリクス16は、臨界周波数帯域内でステアリングされて、出力チャネル・データ(出力チャネルのそれぞれについて変換周波数ビンのそれぞれにおける諸周波数成分を含む)を生成する。マトリクス16は、二チャネル入力オーディオを表す周波数成分(Lt'、Rt')に適切な混合マトリクス係数を乗算し、結果として得られる出力チャネル周波数成分は段18において任意的な後処理を受け、次いで段20において時間領域に変換し戻される。
好ましい実施形態では、(入力周波数成分の各ブロックについての)アクティブ・マトリクス16についての利得制御値は、諸パワー比(たとえば、図5および図6を参照して述べる回路の要素37および57によって生成されるパワー比の諸対)を使って決定される。該パワー比は、(たとえば図5および図6の回路38および58において)非線形な仕方で整形され、(たとえば図5および図6の回路38および58において)スケーリングされ(たとえば図5および図6の要素33、43、45、46、53、63、65および66において)平滑化される。入力周波数成分の各ブロックについてのパワー比は、臨界周波数帯域のそれぞれについて生成される。臨界周波数帯域は、ステアリングを、音響心理学に基づく周波数領域に分割する。そうすることにより、ステアリングは、知覚上のアーチファクトなしに、より大きな周波数選択性をもつことになる。結果として、アクティブ・マトリクスは、変換ビンではなく、臨界周波数帯域を使ってステアリングされる。
図3のシステムの典型的な実装では、変換回路10および11は、離散的な入力オーディオ(Lt、Rt)のサンプルを時間領域から周波数領域に変換するのを、入力信号LtおよびRtのそれぞれのサンプルのm個の連続するブロックのそれぞれの集合に対して、k個の周波数ビンおよびb個の臨界周波数帯域を用いて短時間離散フーリエ変換(STDFT: Short-Time Discrete Fourier Transform)を適用することによって行う。典型的には、入力オーディオ・サンプルのそのような集合それぞれの、連続する二ブロック毎の間に重なり(たとえば50%の重なり)がある。典型的には、bは20から40の範囲の整数である。典型的には、回路10および11のそれぞれによって変換される入力オーディオの各ブロックは、入力オーディオの1024(または512)個のサンプルからなる。また、典型的には、そのような各ブロックに応答しての回路10および11のそれぞれの出力は、512(または256)個のビン内の周波数成分の集合である(すなわち、各成分が512または256個の周波数のうちの異なる周波数をもつ周波数成分の集合)。
図3のアクティブ・マトリクスは、マトリクス係数の集合b個を使って、各臨界周波数帯域内の入力周波数係数に対して行列乗算を実行するよう構成される。マトリクス係数の集合はそれぞれb個の臨界周波数帯域のうちの異なるものに対応する。マトリクス係数の各集合(ある臨界周波数帯域についての集合)は、図4に示されるようにラベル付けされた70個の係数からなっていてもよい。二つの入力チャネルに応答して五つより多くの出力チャネルをアサートするよう構成された図3および図4の実施形態に対する変形では、各臨界周波数帯域についてアクティブ・マトリクスによって用いられるマトリクス係数の各集合は、典型的には70個より多くの係数からなる。
アクティブ・マトリクス16は、典型的には、変換周波数ビンがそれぞれ異なる臨界周波数帯域内にある入力オーディオの周波数成分に対して、マトリクス係数の異なる集合を適用するよう形成される。臨界周波数帯域の一つに属する各変換周波数ビン内の(入力周波数成分の各ブロックの)周波数成分は、その臨界周波数帯域に対応する臨界周波数帯域についてのマトリクス係数を行列乗算される。
臨界周波数帯域のそれぞれについて要素16によって適用されるマトリクスは、固定部分(図4のマトリクス係数a1ないしa10によって決定される)および可変部分(図4の係数b1ないしg10および要素17によってマトリクス16に対してアサートされる利得制御値によって決定される)を含む。各マトリクスの固定部分は、マトリクス16に対してアサートされる利得制御値からは独立である。各マトリクスの可変部分は、利得制御値に依存する。各ブロックmおよび臨界周波数帯域bについて、ステアリング要素17は、利得制御値gL、gR、gF、gB、gLBおよびgRBの集合を生成し、これらの利得制御値がマトリクス係数のb番目の集合(b番目の臨界周波数帯域についてのマトリクス16のマトリクス係数)に適用され、b番目の臨界周波数帯域についての混合マトリクス値v1,…,v10が計算される。それを式1に示す。
Figure 0005507581
各臨界周波数帯域についてのマトリクス係数(a1,b1,c1,…,g10)の多様な好適な選択が当業者には明白であろう。典型的には、マトリクス係数は、(比較的高い周波数をもつ臨界周波数帯域については)マトリクスが高めの周波数の音を拡散させるためにより拡散しており(diffuse)、(比較的低い周波数の臨界周波数帯域については)マトリクスが低めの周波数の音をより局在化させる(たとえば、システムによって生成される出力信号をスピーカーによって再生したときに、低周波音を聴取者のまわりの位置から位置へと「パン」させることができる)ように選ばれる。
各ブロック(m番目のブロック)および各臨界周波数帯域(b番目の周波数帯域)についての周波数成分L'、R'、C'、Ls'、Rs'を生成するために、その周波数帯域内の入力信号係数(Lt'、Rt')が二行五列の行列(その係数はその周波数帯域についての式1からの混合マトリクス値v1,…,v10である)と行列乗算される。それを式2に示す。
Figure 0005507581
本発明のシステムのいくつかの実装では、後処理段(たとえば図3の後処理段18)が、次のユーザー制御可能な機能のうちの少なくともいくつかを提供する:出力オーディオ・チャネルの一部または全部の従属または独立した仕方でのフィルタ処理;出力オーディオ・チャネルの一部または全部の、互いとまたは外部ソースとの混合;出力チャネルの総数を減らすためのオーディオ・チャネルの組み合わせ;一つまたは複数の出力チャネルを複製することによる出力チャネルの総数の拡大;および下方混合〔ダウンミックス〕変形について補償するための出力オーディオ・チャネルの一つまたは複数の位相反転。このように、図3に示される後処理段18は五つの入力チャネルおよび五つの出力チャネルを有するが、本発明のシステムの他の実装では、五つより多いまたは五つより少ない出力チャネルをもつ。本発明のシステムの他の実装では、後処理段は省略され、アクティブ・マトリクス(たとえばマトリクス16)から出力された周波数成分がシステムの出力に、あるいは直接、周波数領域‐時間領域変換段(たとえば段20)に、渡される。
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは。各出力チャネルの各臨界周波数帯域に対して調整可能な利得を適用する(たとえば、各周波数帯域に異なる、独立して調整可能な利得を適用する)よう構成された回路を含む。たとえば、段18はそのような利得調整回路を含むことができる。
図3のステアリング要素17は、三つのサブシステムを含む:図5に示されるような左/右制御回路;図6に示されるような前/後制御回路および図7に示されるようなサラウンド制御回路である。
図5の左/右制御回路は、共役要素30および40、乗算要素31および41、帯域分け(banding)要素32および42、平滑化要素33および43、減算要素34、加算要素35および36、除算要素37および整形、平滑化およびスケーリング回路38を含む。これらは図のように接続され、次のように動作する。フィルタ処理された周波数成分Lt'およびRt'(図3のフィルタ12および13から)の複素共役が要素30および40において生成される。要素30および40から出力されるフィルタ処理された周波数成分Lt'およびRt'は、それぞれ要素31および41においてそれぞれの複素共役を乗算され、ビンごとにパワー指標が得られる。
図3のシステムは、k個の変換ビン(典型的にはk=512またはk=256)のそれぞれの中の周波数成分を、より少数b個の臨界周波数帯域(たとえばb=20個の帯域またはb=40個の帯域)の中の成分に組み合わせる。典型的には、回路10および11のそれぞれによって変換された入力オーディオの各ブロックは、入力オーディオの1024(または512)個のサンプルからなり、そのような各ブロックに応答しての回路10および11のそれぞれの出力は、512(または256)個のビン内の周波数成分の集合である。
要素32は、(周波数ビンのそれぞれについて)要素31から出力されるパワー指標を、臨界周波数帯域の集合のそれぞれについての(たとえば臨界または聴覚フィルタ・スケールでの)パワー指標に組み合わせる。要素42は、(周波数ビンのそれぞれについて)要素41から出力されるパワー指標を、臨界周波数帯域のそれぞれについてのパワー指標に組み合わせる。これらのビンを臨界周波数帯域ごとに分割することは、好ましくは、人間の聴覚系、特に蝸牛を模倣する。要素32および42のそれぞれは、(臨界周波数帯域のそれぞれについて)周波数ビン内のパワー指標に、適切なフィルタを適用することによって重み付けし、前記帯域について前記フィルタによって決定された重み付けされたパワー指標を合計することによって、臨界周波数帯域それぞれについてのパワー指標を生成する。
典型的には、各臨界周波数帯域について異なるフィルタが適用され、これらのフィルタは適切に丸められた指数関数型を示し、等価長方形帯域幅(ERB: Equivalent Rectangular Bandwidth)スケール上で一様に離間している。ERBスケールは、音響心理学において使われる尺度で、聴覚フィルタの帯域幅および離間を近似する。図8は、1 ERBの離間をもつフィルタの好適な集合を描いており、結果として、1024個の周波数ビンkのそれぞれにおけるパワー指標に適用するための合計40個の臨界周波数帯域bを与えている。パワー指標を臨界周波数帯域に帯域分けすることは、そうでなければシステムがビンごとに機能する場合に起こりうる出力データにおける可聴アーチファクトを解消する助けになる。
臨界的にバンド分けされたパワー指標は次いで(要素33および43において)時間的に(すなわち、隣接するブロックを横断して)平滑化され、要素33においては各ブロックmおよび臨界周波数帯域bについて平滑化されたパワー指標Plt'(m,b)を、要素43においては各ブロックmおよび臨界周波数帯域bについて平滑化されたパワー指標Prt'(m,b)を、生成する。
このように、入力周波数成分Lt'の各ブロックについて、要素32はk個の周波数ビンに含まれる周波数成分をb個の臨界帯域パワー指標Plt'に変換する。各臨界周波数帯域について一つの臨界帯域パワー指標である。同様に、入力周波数成分Rt'の各ブロックについて、要素42はk個の周波数ビンに含まれる周波数成分をb個の臨界帯域パワー指標に変換する。各臨界周波数帯域について一つの臨界帯域パワー指標である。パワー指標Plt'は、DFTブロック・サイズmおよび帯域数bに関して適切な時定数をもって単極(single pole)平滑化要素33を使って平滑化される。パワー指標Prt'は、DFTブロック・サイズmおよび帯域数bに関して適切な時定数をもって単極平滑化要素43を使って平滑化される。要素33および43におけるパワー指標Prt'およびPlt'の平滑化は、要素37の出力においてアサートされるパワー比を平滑化する。本発明の代替的な実施形態では、アクティブ・マトリクスをステアリングするための利得制御値を生成するために用いられるパワー比は、他の仕方で平滑化される。
次に、入力周波数成分の各ブロックおよび各臨界周波数帯域について、パワー指標の和(Plt'+Prt')が要素35において生成され、パワー指標の差(Plt'−Prt')が要素34において生成される。要素36では、除算におけるエラーを避けるために、和(Plt'+Prt')のそれぞれに小さなオフセットA1が加えられる。要素37では、各差(Plt'−Prt')が同じ帯域およびブロックについての和(Plt'+Prt'+A1)で除算され、規格化されたパワー比が得られる。このように、規格化されたパワー比は、左と右のチャネルのパワー指標の比である。(各ブロックおよび臨界周波数帯域について)要素37において決定されたパワー比を表す信号が回路38に対してアサートされる。
回路38は、要素37において決定されたパワー比に対してスケーリングおよび整形を実行する。回路38は、それぞれ六つの段を含む二つの分枝を含む。第一の分枝は、それぞれの臨界周波数帯域およびブロックについて利得制御値gL(m,b)を生成する。第二の分枝は、それぞれの臨界周波数帯域およびブロックについて利得制御値gR(m,b)を生成する。第一の分枝の第一段は、各パワー比に小さなオフセット値A2を加える。第二の分枝の第一段は、オフセット値A2から各パワー値を減算する。第一の分枝の第二段は第一の分枝の第一段の出力に係数A3を乗算し、第二の分枝の第二段は第二の分枝の第一段の出力に同じ係数A3を乗算する。第一の分枝の第三段は第一の分枝の第二段の各出力値X(m,b)を累乗して値XA4(m,b)=Pl(m,b)を生成する。典型的には、係数A4は3(または実質的に3に等しい数)に等しい。A4=3の場合、第一の分枝の第三段は各値X(m,b)の累乗を、X(m,b)に自分自身を乗算しその積にX(m,b)を乗算することによって行う。第一の分枝の第三段から出力される値は、帯域内平滑化要素45において、臨界周波数帯域ごとに平滑化される。隣接する帯域どうしが大幅に異なることを防ぐためである。第二の分枝の第三段は第二の分枝の第二段の各出力値Y(m,b)を累乗して値YA4(m,b)=Pr(m,b)を生成する。第二の分枝の第三段から出力される値は、帯域内平滑化要素46において、臨界周波数帯域ごとに平滑化される。隣接する帯域どうしが大幅に異なることを防ぐためである。結果として得られる値Pl(m,b)およびPr(m,b)を表す信号は図7のサラウンド制御回路に渡される。このように、第三段は、第二段からの出力値を非線形性A4によって修正し、それによりパワー比(要素37)を非線形な仕方で整形する。
第一の分枝の第四段は、第一の分枝の第三段の出力に係数A5を乗算し、第二の分枝の第四段は、第二の分枝の第三段の出力に同じ係数A5を乗算する。第一の分枝の第五段は第一の分枝の第四段の出力にオフセット値A6を加え、第二の分枝の第五段は第二の分枝の第四段の出力に同じオフセット値A6を加える。第一の分枝の第六段は第一の分枝の第五段の出力にオフセット値A7を加えてそれぞれの臨界周波数帯域およびブロックについての利得制御値gL(m,b)を生成する。第二の分枝の第六段は第二の分枝の第五段の出力に同じオフセット値A7を加えてそれぞれの臨界周波数帯域およびブロックについての利得制御値gR(m,b)を生成する。
このように、回路38は、フィードバックを使うことなく、パワー比をスケーリング、平滑化および整形する。より一般には、図5の回路は、フィードバックを使うことなく、入力周波数成分から利得制御値gL(m,b)およびgR(m,b)を生成する。利得制御値gL(m,b)およびgR(m,b)がマトリクス16に対してアサートされる。
図5の回路のある好ましい実施形態では、値A1、A2、A3、A4、A5およびA6は典型的な周波数帯域について次のようになる:A1=0.001、A2=1.001、A3=0.499、A4=3、A5=0.95およびA6=0.01。各周波数帯域についての値A1、A2、A3、A4、A5およびA6の個別的な選択は、好ましくは、適用される周波数帯域に依存する。その仕方は、本記載を与えられれば当業者には明白であろう。
図6の前/後制御回路は、共役要素50および60、乗算要素51および61、帯域分け要素52および62、帯域分け要素52および62、平滑化要素53および63、減算要素54、加算要素55および56、除算要素57および整形、平滑化およびスケーリング回路58を含む。これらは図のように接続され、次のように動作する。フィルタ処理された周波数成分Ft'およびBt'(図3の要素14および15から)の複素共役が要素50および60において生成される。要素50および60から出力されるフィルタ処理された周波数成分Ft'およびBt'は、それぞれ要素51および61においてそれぞれの複素共役を乗算され、ビンごとにパワー指標が得られる。
要素52は、(周波数ビンのそれぞれについて)要素51から出力されるパワー指標を、臨界周波数帯域の集合のそれぞれについての(たとえば臨界または聴覚フィルタ・スケールでの)パワー指標に組み合わせる。要素62は、(周波数ビンのそれぞれについて)要素61から出力されるパワー指標を、臨界周波数帯域のそれぞれについてのパワー指標に組み合わせる。要素52および62のそれぞれは、(臨界周波数帯域のそれぞれについて)周波数ビン内のパワー指標に、適切なフィルタを適用することによって重み付けし、前記帯域について前記フィルタによって決定された重み付けされたパワー指標を合計することによって、臨界周波数帯域それぞれについてのパワー指標を生成する。典型的には、各臨界周波数帯域について異なるフィルタが適用され、これらのフィルタは図5の上記の要素32および42によって適用されるフィルタと同じである。
臨界的にバンド分けされたパワー指標は次いで(要素53および63において)時間的に(すなわち、隣接するブロックを横断して)平滑化され、要素53においては各ブロックmおよび臨界周波数帯域bについて平滑化されたパワー指標Pft'(m,b)を、要素63においては各ブロックmおよび臨界周波数帯域bについて平滑化されたパワー指標Pbt'(m,b)を、生成する。
このように、周波数成分Ft'の各ブロックについて、要素52はk個の周波数ビンに含まれる周波数成分をb個の臨界帯域パワー指標Pft'に変換する。各臨界周波数帯域について一つの臨界帯域パワー指標である。周波数成分Bt'の各ブロックについて、要素62はk個の周波数ビンに含まれる周波数成分をb個の臨界帯域パワー指標Pbt'に変換する。各臨界周波数帯域について一つの臨界帯域パワー指標である。パワー指標Pft'は、DFTブロック・サイズmに関して適切な時定数をもって単極平滑化要素53を使って平滑化される。パワー指標Pbt'は、DFTブロック・サイズmに関して適切な時定数をもって単極平滑化要素63を使って平滑化される。要素53および63におけるパワー指標Pft'およびPbt'の平滑化は、要素57の出力においてアサートされるパワー比を平滑化する。本発明の代替的な実施形態では、アクティブ・マトリクスをステアリングするための利得制御値を生成するために用いられるパワー比は、他の仕方で平滑化される。
次に、入力周波数成分の各ブロックおよび各臨界周波数帯域について、パワー指標の和(Pft'+Pbt')が要素55において生成され、パワー指標の差(Pft'−Pbt')が要素54において生成される。要素56では、除算におけるエラーを避けるために、和(Pft'+Pbt')のそれぞれに小さなオフセットA1が加えられる。要素57では、各差(Pft'−Pbt')が同じ帯域およびブロックについての和(Pft'+Pbt'+A1)で除算され、規格化されたパワー比が得られる。このように、規格化されたパワー比は、前と後のチャネルのパワー指標の比である。(各ブロックおよび臨界周波数帯域について)要素57において決定されたパワー比を表す信号が回路58に対してアサートされる。
回路58は、要素57において決定されたパワー比のシーケンスに対してスケーリング、平滑化および整形を実行する。回路58は、それぞれ六つの段を含む二つの分枝を含む。第一の分枝は、それぞれの臨界周波数帯域およびブロックについて利得制御値gF(m,b)を生成する。第二の分枝は、それぞれの臨界周波数帯域およびブロックについて利得制御値gB(m,b)を生成する。第一の分枝の第一段は、各パワー比に小さなオフセット値A2を加える。第二の分枝の第一段は、オフセット値A2から各パワー値を減算する。第一の分枝の第二段は第一の分枝の第一段の出力に係数A3を乗算し、第二の分枝の第二段は第二の分枝の第一段の出力に同じ係数A3を乗算する。第一の分枝の第三段は第一の分枝の第二段の各出力値X(m,b)を累乗して値XA4(m,b)=Pf(m,b)を生成する。典型的には、係数A4は3(または実質的に3に等しい数)に等しい。A4=3の場合、第一の分枝の第三段は各値X(m,b)の累乗を、X(m,b)に自分自身を乗算しその積にX(m,b)を乗算することによって行う。第一の分枝の第三段から出力される値は、帯域内平滑化要素65において、臨界周波数帯域ごとに平滑化される。隣接する帯域どうしが大幅に異なることを防ぐためである。第二の分枝の第三段は第二の分枝の第二段の各出力値Y(m,b)を累乗して値YA4(m,b)=Pb(m,b)を生成する。第二の分枝の第三段から出力される値は、帯域内平滑化要素66において、臨界周波数帯域ごとに平滑化される。隣接する帯域どうしが大幅に異なることを防ぐためである。結果として得られる値Pf(m,b)およびPb(m,b)を表す信号は図7のサラウンド制御回路に渡される。このように、第三段は、第二段からの出力値を非線形性A4によって修正し、それによりパワー比(要素57)を非線形な仕方で整形する。
第一の分枝の第四段は、第一の分枝の第三段の出力に係数A5を乗算し、第二の分枝の第四段は、第二の分枝の第三段の出力に同じ係数A5を乗算する。第一の分枝の第五段は第一の分枝の第四段の出力にオフセット値A6を加えて、それぞれの臨界周波数帯域およびブロックについての利得制御値gF(m,b)を生成する。第二の分枝の第五段は第二の分枝の第四段の出力に同じオフセット値A6を加えて、それぞれの臨界周波数帯域およびブロックについての利得制御値gB(m,b)を生成する。このように、回路58は、フィードバックを使うことなく、パワー比を単にスケーリングおよび整形する。より一般には、図6の回路は、フィードバックを使うことなく、入力周波数成分から利得制御値gF(m,b)およびgB(m,b)を生成する。利得制御値gF(m,b)およびgB(m,b)がマトリクス16に対してアサートされる。
図6の回路のある好ましい実施形態では、値A1、A2、A3、A4、A5およびA6は典型的な周波数帯域について次のようになる:A1=0.001、A2=1.001、A3=0.499、A4=3、A5=0.95およびA6=0.01。各周波数帯域についての値A1、A2、A3、A4、A5およびA6の個別的な選択は、好ましくは、適用される周波数帯域に依存する。その仕方は、本記載を与えられれば当業者には明白であろう。
図7のサラウンド制御回路は、図5および図6の回路からのPl(m,b)、Pr(m,b)、Pf(m,b)およびPb(m,b)の値に応じて、利得制御値gLB(m,b)およびgRB(m,b)を生成する。図7の回路は、減算要素68および69、乗算要素70、73、80および83ならびに比較要素71、72、74、81、82および84を図のように接続された形で含む。動作では、要素68は、それぞれのブロックおよび臨界周波数帯域についての値Pl(m,b)およびPr(m,b)に応じて差の値LR(m,b)=Pl(m,b)−Pr(m,b)を出力し、要素69は、それぞれのブロックおよび臨界周波数帯域についての値Pf(m,b)およびPb(m,b)に応じて差の値FB(m,b)=Pf(m,b)−Pb(m,b)を出力する。
左後(gLB)経路では、各値LR(m,b)は要素70において反転される(要素70において値B1=−1を乗算される)。右後(gRB)経路では、各値FB(m,b)は要素80において値B2を乗算される。
左後経路では、比較要素71は、現在の反転されたLR(m,b)およびFB(m,b)の値の大きいほう(最大のもの)を出力し、比較要素72は、要素71の出力と定数B3のうちの小さいほう(最小のもの)を出力する。要素73は、要素72の出力を、定数B4を乗算することによってスケーリングする。比較要素74は、定数B5の出力および要素73のスケーリングされた出力のうちの小さいほう(最小のもの)を出力する。要素74の出力は、現在のブロックおよび臨界周波数帯域についての利得制御値gLB(m,b)である。利得制御値gLB(m,b)のシーケンスが要素74の出力から要素16に対してアサートされる。それぞれのブロックおよび臨界周波数帯域について一つの利得制御値である。
右後経路では、比較要素81は、現在のLR(m,b)の値および現在の反転されたFB(m,b)の値の大きいほう(最大のもの)を出力し、比較要素82は、要素81の出力と定数B3のうちの小さいほう(最小のもの)を出力する。要素83は、要素82の出力を、定数B4を乗算することによってスケーリングする。比較要素84は、定数B5の出力および要素83のスケーリングされた出力のうちの小さいほう(最小のもの)を出力する。要素84の出力は、現在のブロックおよび臨界周波数帯域についての利得制御値gLB(m,b)である。利得制御値gRB(m,b)のシーケンスが要素84の出力から要素16に対してアサートされる。それぞれのブロックおよび臨界周波数帯域について一つの利得制御値である。
図7のある好ましい実施形態では、値B1、B2、B3、B4およびB5は典型的な周波数帯域について次のとおりである:B1=−1、B2=0.61、B3=0.0、B4=−2.1およびB5=0.99。それぞれの周波数帯域についての値B1、B2、B3、B4およびB5の個別的な選択は、好ましくは、適用される周波数帯域に依存する。その仕方は、本記載を与えられれば当業者には明白であろう。
もう一つのクラスの諸実施形態では、本発明は、N個のオーディオ入力信号をデコードして、M個のオーディオ出力信号(典型的にはフル周波数の出力チャネル)を決定するマトリクス・デコード方法である。ここで、MはNより大きい。本方法は:
(a)アクティブ・マトリクス・サブシステムを動作させて、N個のオーディオ入力信号を示すN個のストリームの入力周波数成分に応答してM個のオーディオ出力信号を決定するM個のストリームの出力周波数成分を生成する段階と;
(b)フィードバックを使うことなく、前記入力周波数成分からパワー比を決定する段階であって、前記パワー比は、臨界周波数帯域の集合における各臨界周波数帯域について少なくとも一つのパワー比を含む、段階と;
(c)フィードバックを使うことなく非線形な仕方で前記パワー比を整形することなどによって、前記パワー比から前記臨界周波数帯域のそれぞれについての利得制御値を決定する段階と;
(d)ステップ(a)を実行する間、前記利得制御値を使って前記アクティブ・マトリクス要素をステアリングする段階とを含む。
いくつかの実施形態では、段階(c)は、フィードバックを使うことなく、前記パワー比をスケーリングおよび平滑化する段階を含む。典型的にはN=2、M=5であり、段階(b)は、臨界周波数帯域のそれぞれについて(入力周波数係数の各ブロックについて)二つのパワー比を決定する段階を含み、段階(c)は臨界周波数帯域のそれぞれについて(入力周波数係数の各ブロックについて)五つの利得制御値を決定する段階を含む。いくつかの実施形態では、本方法はまた:オーディオ入力信号を時間領域から周波数領域に変換し、入力周波数成分の前記ストリームを生成する段階と、出力周波数成分の前記ストリームを周波数領域から時間領域に変換し、それにより前記M個の出力信号を生成する段階とのうちの少なくとも一方を含む。
図9は、本発明の方法のある実施形態を実行するよう構成されたプログラム可能なオーディオDPSであるデコード・システム(デコーダ)120のブロック図である。システム120は、オーディオ入力信号(たとえば、図3を参照して述べた型の二つの入力信号LtおよびRt)を受け取るよう結合されたプログラム可能なDSP回路122(システム120のアクティブ・マトリクス・デコーダ・サブシステム)を含む。回路122は、制御インターフェース121からの制御データに応答して、本発明の方法のある実施形態を実行し、オーディオ入力信号に応答して複数の出力オーディオ信号(たとえば図3のシステムによって生成される型の左出力「L」、右出力「R」、中央出力「C」、左サラウンド出力「Ls」および右サラウンド出力「Rs」)を生成するよう構成される。システム120をプログラムするためには、外部プロセッサから制御インターフェース121に適切なソフトウェアがアサートされ、インターフェース121はそれに応じて、回路122が本発明の方法を実行するよう構成するために、適切な制御データを回路122にアサートする。
動作では、本発明に基づくアクティブ・マトリクス・デコードを実行するよう構成されたオーディオDSP(たとえば図9のシステム120)は、N個のオーディオ入力信号を受け取るよう結合され、該DSPは典型的には、デコードに加えて入力オーディオ(またはその処理されたバージョン)に対して多様な操作を実行する。たとえば、図9のシステム120は、処理サブシステム123において(回路122の出力に対して)他の操作を実行するよう実装されてもよい。本発明のさまざまな実施形態によれば、オーディオDSPは入力オーディオ信号に対して本発明の方法を実行することによって、入力オーディオ信号に応答して出力オーディオ信号を生成するよう構成設定された(たとえばプログラムされた)のちに、本発明の方法のある実施形態を実行するよう動作可能である。
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、複数のオーディオ入力チャネルを表す入力データを受け取るまたは生成するよう結合され、本発明の方法の実施形態を含む入力データに対する多様な操作のうちのいずれかを実行するようソフトウェア(またはファームウェア)でプログラムされたおよび/または(たとえば制御データに応じて)他の仕方で構成設定された汎用プロセッサである、またはそのような汎用プロセッサを含む。そのような汎用プロセッサは典型的には入力装置(たとえば、マウスおよび/またはキーボード)、メモリおよび表示装置に結合される。たとえば、図3のシステムは汎用プロセッサにおいて、実装されることができる。その際、入力LtおよびRtがエンコードされた左および右のオーディオ入力チャネルを表すデータとなり、出力L、C、R、LsおよびRsがデコードされた出力オーディオ信号を表す出力データとなる。通常のデジタル‐アナログ変換器(DAC: digital-to-analog converter)は、この出力データに対して作用して、物理的なスピーカーによる再生のための前記出力オーディオ信号のアナログ・バージョンを生成することができる。
本発明の個別的な実施形態および本発明の応用について本稿で記載してきたが、当業者には、本願において記載される実施形態および応用に対する多くの変形が可能であることは明白であろう。
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
N個のオーディオ入力信号をデコードしてM個のオーディオ出力信号を決定するマトリクス・デコード方法であって、MおよびNは整数であり、MはNより大きく、当該方法は:
(a)アクティブ・マトリクス・サブシステムを動作させて、前記N個のオーディオ入力信号を示すN個のストリームの入力周波数成分に応答して前記M個のオーディオ出力信号を決定するM個のストリームの出力周波数成分を生成する段階と;
(b)フィードバックを使うことなく、前記入力周波数成分から、臨界周波数帯域の集合における各臨界周波数帯域について少なくとも一つのパワー比を含むパワー比を決定する段階と;
(c)フィードバックを使うことなく非線形な仕方で前記パワー比を整形することによるものも含め、前記パワー比から前記臨界周波数帯域のそれぞれについての利得制御値を決定する段階と;
(d)ステップ(a)を実行する間、前記利得制御値を使って前記アクティブ・マトリクス要素をステアリングする段階とを含む、
方法。
〔態様2〕
態様1記載の方法であって、段階(c)が、フィードバックを使うことなく、前記パワー比をスケーリングおよび平滑化する段階を含む、方法。
〔態様3〕
態様1記載の方法であって、N=2かつM=5であり、段階(b)が、前記臨界周波数帯域のそれぞれについて、前記入力周波数係数の各ブロックについて二つのパワー比を決定する段階を含み、段階(c)が、前記臨界周波数帯域のそれぞれについて、前記入力周波数係数の各ブロックについて五つの利得制御値を決定する段階を含む、方法。
〔態様4〕
態様1記載の方法であって:
前記オーディオ入力信号を時間領域から周波数領域に変換して前記入力周波数成分の前記ストリームを生成する段階をも含む、
方法。
〔態様5〕
態様1記載の方法であって:
前記オーディオ入力信号を時間領域から周波数領域に変換して前記入力周波数成分の前記ストリームを生成する段階;および
出力周波数成分の前記ストリームを周波数領域から時間領域に変換し、それにより前記M個のオーディオ出力信号を生成する段階をも含む、
方法。
〔態様6〕
態様1記載の方法であって、N=2かつM=5であり、段階(a)が、左チャネル出力ストリーム、右チャネル出力ストリーム、中央チャネル出力ストリーム、右サラウンド・チャネル出力ストリームおよび左サラウンド・チャネル出力ストリームを含む出力周波数成分の五つのストリームを生成する段階を含み、段階(b)が、前記臨界周波数帯域のそれぞれについて、前記入力周波数係数の各ブロックについて一対のパワー比を決定する段階を含み、前記一対のパワー比は、左および右のチャネルのパワー指標の比と、前および後のチャネルのパワー指標の比とを含む、方法。
〔態様7〕
態様6記載の方法であって、段階(a)、(b)、(c)および(d)は、前記アクティブ・マトリクス・サブシステムおよび該アクティブ・マトリクス・サブシステムに結合された制御サブシステムを含むオーディオ・デジタル信号プロセッサを動作させることによって実行され、段階(b)および(c)は、前記入力周波数成分から前記パワー比を決定し、前記利得制御値を決定するために前記制御サブシステムを動作させることによって実行される、方法。
〔態様8〕
態様1記載の方法であって、前記非線形な仕方で前記パワー比を整形することは、前記パワー比のうちの少なくとも一つから決定される少なくとも一つの値を累乗する段階を含む、方法。
〔態様9〕
N個のオーディオ入力信号を示す、N個のストリームの入力周波数成分をデコードして、M個のオーディオ出力信号を決定するM個のストリームの出力周波数成分を生成するよう構成されたアクティブ・マトリクス・デコーダであって、MおよびNは整数であり、MはNより大きく、当該デコーダは:
前記N個のストリームの入力周波数成分に応答して前記M個のオーディオ出力信号を決定する前記M個のストリームの出力周波数成分を生成するよう構成されたアクティブ・マトリクス・サブシステムと;
前記アクティブ・マトリクス・サブシステムに結合され、フィードバックを使うことなく前記入力周波数成分に応答して利得制御値を生成し、前記出力周波数成分の生成の際に前記アクティブ・マトリクス要素をステアリングするために前記利得制御値を前記アクティブ・マトリクス・サブシステムに対してアサートするよう構成された制御サブシステムとを含み、前記制御サブシステムは、
前記入力周波数成分に応答してパワー比を生成するよう構成されており、前記パワー比は、臨界周波数帯域の集合における各臨界周波数帯域について、前記入力周波数成分の各ブロックについて、少なくとも一つのパワー比を含み、前記制御サブシステムはまた、フィードバックを使うことなく非線形な仕方で前記パワー比を整形することによることも含め、前記パワー比から、前記利得制御値を生成するよう構成されており、前記利得制御値は複数の部分集合を含み、各部分集合は前記臨界周波数帯域のうちの異なるものに対応する、
デコーダ。
〔態様10〕
態様9記載のデコーダであって、前記制御サブシステムは、フィードバックを使うことなく前記パワー比をスケーリングおよび平滑化することによることも含め、前記パワー比から前記利得制御値を生成するよう構成されている、デコーダ。
〔態様11〕
態様9記載のデコーダであって、前記アクティブ・マトリクス・サブシステムは、前記入力周波数成分にマトリクス係数の複数の集合を適用し、マトリクス係数の各集合は、前記臨界周波数帯域のうちの異なるもののためである、デコーダ。
〔態様12〕
態様11記載のデコーダであって、各臨界周波数帯域についての利得制御値は、前記入力周波数成分のうち前記各臨界周波数帯域内に周波数がある入力周波数成分に前記アクティブ・マトリクス・サブシステムによって適用されるための、前記マトリクス係数の複数の集合のうちの異なる集合を決定する、デコーダ。
〔態様13〕
態様9記載のデコーダであって:
前記N個の入力信号を時間領域から周波数領域に変換し、それにより前記N個の入力信号に応答して前記N個のストリームの入力周波数成分を生成するよう構成された入力変換サブシステムをも含む、
デコーダ。
〔態様14〕
態様13記載のデコーダであって、各臨界周波数帯域についての利得制御値は、前記入力周波数成分のうち前記各臨界周波数帯域内に変換周波数ビンがある入力周波数成分に前記アクティブ・マトリクス・サブシステムによって適用されるための、前記マトリクス係数の複数の集合のうちの異なる集合を決定する、デコーダ。
〔態様15〕
態様9記載のデコーダであって:
前記ストリームの出力周波数成分を周波数領域から時間領域に変換し、それにより前記出力周波数成分に応答して前記M個の出力信号を生成するよう構成された出力変換サブシステムをも含む、
デコーダ。
〔態様16〕
態様9記載のデコーダであって、N=2かつM=5であり、前記制御サブシステムは、前記臨界周波数帯域の集合内の各臨界周波数帯域について一対のパワー比を、前記入力周波数係数の各ブロックについて生成し、前記パワー比から前記臨界周波数帯域のそれぞれについて五つの利得制御値を、前記入力周波数係数の各ブロックについて生成するよう構成される、デコーダ。
〔態様17〕
態様16記載のデコーダであって、前記デコーダが入力周波数成分の二つのストリームをデコードして、左チャネル出力信号、右チャネル出力信号、中央チャネル出力信号、右サラウンド・チャネル出力信号および左サラウンド・チャネル出力信号を含む五つのオーディオ出力信号を決定する出力周波数成分の五つのストリームを生成するよう構成されており、前記パワー比の各対は:左と右のチャネルのパワー指標の比と、前および後のチャネルのパワー指標の比とを含む、デコーダ。
〔態様18〕
態様9記載のシステムであって、前記制御サブシステムが、前記パワー比のうちの少なくとも一つから決定される少なくとも一つの値を累乗することによることも含めて、前記パワー比から前記利得制御値を生成するよう構成されている、システム。
〔態様19〕
態様9記載のシステムであって、前記デコーダがオーディオ・デジタル信号プロセッサである、システム。
〔態様20〕
態様9記載のシステムであって、前記デコーダが、前記アクティブ・マトリクス・サブシステムおよび前記制御サブシステムを実装するよう構成された回路を含むオーディオ・デジタル信号プロセッサである、システム。

Claims (15)

  1. N個のオーディオ入力信号をデコードしてM個のオーディオ出力信号を決定するマトリクス・デコード方法であって、MおよびNは整数であり、MはNより大きく、N=2であり、当該方法は:
    前記N個のオーディオ入力信号を時間領域から周波数領域に変換して入力周波数成分のN個のストリームを生成する段階と;
    入力周波数成分の前記ストリームから、臨界周波数帯域の集合における各臨界周波数帯域について少なくとも一つのパワー比を含むパワー比を決定する段階と
    非線形な仕方で前記パワー比を整形することによることを含め、前記パワー比から前記臨界周波数帯域のそれぞれについての利得制御値を決定する段階であって、前記非線形な仕方で前記パワー比を整形することは、前記パワー比のうちの少なくとも一つから決定される少なくとも一つの値を、少なくとも実質的に3に等しい指数で累乗する段階を含む、段階と;
    アクティブ・マトリクス・サブシステムによって、入力周波数成分の前記ストリームにマトリクス係数の複数の集合を適用して出力周波数成分のM個のストリームを生成する段階であって、前記臨界周波数帯域の一つについてのマトリクス係数の集合はその臨界周波数帯域について決定された利得制御値を使って調整される、段階と;
    出力周波数成分の前記ストリームを周波数領域から時間領域に変換し、それにより前記M個のオーディオ出力信号を生成する段階とを含む、
    方法。
  2. 請求項1記載の方法であって、パワー比を決定する前記段階がフィードバックを使うことなく実行され、利得制御値を決定する前記段階がフィードバックを使うことなく実行される、方法。
  3. 請求項2記載の方法であって、利得制御値を決定する前記段階が、フィードバックを使うことなく、前記パワー比をスケーリングおよび平滑化する段階を含む、方法。
  4. 請求項1ないし3のうちいずれか一項記載の方法であって、M=5であり、パワー比を決定する前記段階が、前記臨界周波数帯域のそれぞれについて、入力周波数成分の前記ストリームの各ブロックについて二つのパワー比を決定する段階を含み、利得制御値を決定する前記段階が、前記臨界周波数帯域のそれぞれについて、入力周波数成分の前記ストリームの各ブロックについて五つの利得制御値を決定する段階を含む、方法。
  5. 請求項1ないし3のうちいずれか一項記載の方法であって、M=5であり、アクティブ・マトリクス・サブシステムを動作させる前記段階が、左チャネル出力ストリーム、右チャネル出力ストリーム、中央チャネル出力ストリーム、右サラウンド・チャネル出力ストリームおよび左サラウンド・チャネル出力ストリームを含む出力周波数成分の五つのストリームを生成する段階を含み、パワー比を決定する前記段階が、前記臨界周波数帯域のそれぞれについて、入力周波数係数の前記ストリームの各ブロックについて一対のパワー比を決定する段階を含み、前記一対のパワー比は、左および右のチャネルのパワーの比と、前および後のチャネルのパワーの比とを含む、方法。
  6. 請求項5記載の方法であって、各段階は、前記アクティブ・マトリクス・サブシステムおよび該アクティブ・マトリクス・サブシステムに結合された制御サブシステムを含むオーディオ・デジタル信号プロセッサを動作させることによって実行され、パワー比を決定する前記段階および利得制御値を決定する前記段階は、入力周波数成分の前記ストリームから前記パワー比を決定し、前記利得制御値を決定するために前記制御サブシステムを動作させることによって実行される、方法。
  7. N個のオーディオ入力信号をデコードして、M個のオーディオ出力信号を生成するよう構成されたアクティブ・マトリクス・デコーダであって、MおよびNは整数であり、MはNより大きく、N=2であり、当該デコーダは:
    前記N個の入力信号を時間領域から周波数領域に変換し、それにより前記N個の入力信号に応答して入力周波数成分のN個のストリームを生成するよう構成された入力変換サブシステムと;
    入力周波数成分の前記ストリームに応答して利得制御値を生成することを、
    入力周波数成分の前記ストリームに応答してパワー比を生成するする段階であって、前記パワー比は、臨界周波数帯域の集合における各臨界周波数帯域について、入力周波数成分の前記ストリームの各ブロックについて、少なくとも一つのパワー比を含、段階と;
    非線形な仕方で前記パワー比を整形することによること含め、前記パワー比から、前記利得制御値を生成する段階であって、前記利得制御値は複数の部分集合を含み、各部分集合は前記臨界周波数帯域のうちの異なるものに対応し、前記非線形な仕方で前記パワー比を整形することは、前記パワー比のうちの少なくとも一つから決定される少なくとも一つの値を、少なくとも実質的に3に等しい指数で累乗する段階を含む、段階とによって行う制御サブシステムと;
    前記制御サブシステムに結合され、入力周波数成分の前記N個のストリームにマトリクス係数の複数の集合を適用して出力周波数成分のM個のストリームを生成するよう構成されたアクティブ・マトリクス・サブシステムであって、前記制御サブシステムは、出力周波数成分の前記M個のストリームの生成の間、前記アクティブ・マトリクス・サブシステムに対して前記利得制御値をアサートするよう構成されており、前記臨界周波数帯域の一つについてのマトリクス係数の集合はその臨界周波数帯域について決定された利得制御値を使って調整される、アクティブ・マトリクス・サブシステムと;
    出力周波数成分の前記M個のストリームを周波数領域から時間領域に変換し、それにより出力周波数成分の前記ストリームに応答して前記M個の出力信号を生成する、出力変換サブシステムとを有する、
    デコーダ。
  8. 請求項記載のデコーダであって、前記制御サブシステムが前記パワー比をフィードバックを使うことなく生成し、前記利得制御値をフィードバックを使うことなく生成するよう構成されている、デコーダ。
  9. 請求項または記載のデコーダであって、前記制御サブシステムは、フィードバックを使うことなく前記パワー比をスケーリングおよび平滑化することによることも含め、前記パワー比から前記利得制御値を生成するよう構成されている、デコーダ。
  10. 請求項ないしのうちいずれか一項記載のデコーダであって、各臨界周波数帯域についての利得制御値は、前記入力周波数成分のうち前記各臨界周波数帯域内に周波数がある入力周波数成分に前記アクティブ・マトリクス・サブシステムによって適用されるための、前記マトリクス係数の複数の集合のうちの異なる集合を決定する、デコーダ。
  11. 請求項ないしのうちいずれか一項記載のデコーダであって、各臨界周波数帯域についての利得制御値は、前記入力周波数成分のうち前記各臨界周波数帯域内に変換周波数ビンがある入力周波数成分に前記アクティブ・マトリクス・サブシステムによって適用されるための、前記マトリクス係数の複数の集合のうちの異なる集合を決定する、デコーダ。
  12. 請求項ないしのうちいずれか一項記載のデコーダであって、M=5であり、前記制御サブシステムは、前記臨界周波数帯域の集合内の各臨界周波数帯域について一対のパワー比を、入力周波数係数の前記ストリームの各ブロックについて生成し、前記パワー比から前記臨界周波数帯域のそれぞれについて五つの利得制御値を、入力周波数係数の前記ストリームの各ブロックについて生成するよう構成される、デコーダ。
  13. 請求項12記載のデコーダであって、前記デコーダが入力周波数成分の二つのストリームをデコードして、左チャネル出力信号、右チャネル出力信号、中央チャネル出力信号、右サラウンド・チャネル出力信号および左サラウンド・チャネル出力信号を含む五つのオーディオ出力信号を決定する出力周波数成分の五つのストリームを生成するよう構成されており、前記パワー比の各対は:左と右のチャネルのパワーの比と、前および後のチャネルのパワーの比とを含む、デコーダ。
  14. 請求項ないし13のうちいずれか一項記載のシステムであって、前記デコーダがオーディオ・デジタル信号プロセッサである、システム。
  15. 請求項ないし13のうちいずれか一項記載のシステムであって、前記デコーダが、前記アクティブ・マトリクス・サブシステムおよび前記制御サブシステムを実装するよう構成された回路を含むオーディオ・デジタル信号プロセッサである、システム。
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