JP5504717B2 - 耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法 - Google Patents
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C :0.01〜0.08%、
Si:0.1〜0.5%、
Mn:1.0〜1.5%、
Nb:0.010〜0.060%、
Ca:0.001〜0.004%、
Ti:0.005〜0.060%、
V :0.005〜0.039%
を含有し、
Al:0.08%以下、
P: 0.015%以下、
S: 0.0010%以下、
O: 0.0030%以下、
N: 0.0050%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
Ca、O、及び、Sの含有量[質量%]が、
1.05≦Ca(1−124O)/1.25S≦1.97
上式を満足し、下記(式1)で求められるCeqが0.22〜0.30である電縫鋼管に、下限温度を1250Ceq+225℃以上、上限温度を前記電縫鋼管のオーステナイトへの変態開始温度(Ac1点)又は700℃のどちらか低い方とする熱処理を施すことを特徴とする耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法。
Ceq=C+Mn/6+(Ni+Cu)/15+(Cr+Mo+V)/5 ・・(式1)
ここで、C、Mn、Ni、Cu、Cr、Mo、Vは各元素の含有量[質量%]である。
Ni:0.5%以下、
Cu:0.5%以下、
Cr:0.5%以下、
Mo:0.5%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法。
B:0.0020%以下
を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法。
C:0.01〜0.08%
C:Cは、鋼の強度を向上させる元素であり、その有効な量として、0.01%以上の添加が必要である。一方、C量が0.08%を超えると、炭化物の生成が促進されて、耐HIC性が損なわれるので、上限を0.08%とする。また、さらに耐HIC性の低下を抑制するには、C量は、0.06%以下が好ましい。
Si:Siは、脱酸元素であり、0.1%以上の添加が必要である。一方、Si量が0.5%を超えると、電縫溶接部の靱性を低下させるので、上限を0.5%とする。
Mn:Mnは、強度及び靱性を向上させる元素であり、1.0%以上の添加が必要である。一方、Mnは、MnSを生成して、耐サワー性を劣化させる元素であるので、HICを抑制するには、Mn量の上限を1.5%とすることが必要である。
Nb:Nbは、未再結晶温度域を拡大して結晶粒径を微細化し、炭化物、窒化物を形成し、強度の向上に寄与する元素であり、0.010%以上の添加が必要である。一方、中心偏析部に粗大な炭化物生成による、耐HIC性の低下を抑制するには、上限を0.060%にすることが必要である。
Ca:Caは、硫化物CaSを生成し、圧延方向に伸長するMnSの生成を抑制し、耐HIC性の改善に顕著に寄与する元素である。Caの添加量が0.001%未満では、効果が得られないため、下限値を0.001%とする。一方、Caの添加量が0.004%を超えると、酸化物が集積し、耐HIC性を損なうため、上限を0.004%とする。
Ti:Tiは、脱酸剤や窒化物形成元素として結晶粒の細粒化に利用される元素であり、0.005%以上を添加する必要がある。一方、Tiを過剰に添加すると、Nbと同様に粗大な窒化物の形成によって、耐HIC性が低下するので、上限を0.060%とする。
V:Vは、炭化物、窒化物を形成し、強度の向上に寄与する元素であり、効果を得るためには、0.005%以上の添加が好ましい。一方、0.060%を超えるVを添加すると、靱性の低下を招くことがあるので、上限を0.060%とすることが好ましい。V量の上限は、実施例に基づいて、0.039%以下とする。
Al:Alは、脱酸元素であるが、添加量が0.08%を超えると、Al酸化物の集積クラスターが生成し、耐サワー性が損なわれるので、0.08%以下に制限する。また、靭性が要求される場合には、Al量の上限を0.03%にすることが好ましい。Al量の下限は特に限定しないが、溶鋼中の酸素量を低減させるためには、Alを0.0005%以上添加することが好ましい。
P:Pは、不純物であり、含有量が0.015%を超えると、耐HIC性を損なう。したがって、Pの含有量の上限を0.015%とする。
S:Sは、熱間圧延時に圧延方向に延伸するMnSを生成して、耐HIC性を低下させる元素である。したがって、本発明では、S量を低減することが必要であり、上限を0.0010%に制限する。S量は、少ないほど好ましいが、0.0001%未満にすることは困難である。また、製造コストの観点からも、0.0001%以上にすることが好ましい。
N:Nは、不純物であり、Nの含有量が0.0050%を超えると、TiとNbの炭窒化物が集積しやすくなり、耐HIC性を損なう。したがって、N量の上限を0.0050%とする。またTiN、NbNなどの窒化物を利用し、加熱時のオーステナイト粒径の微細化を図る場合は、0.0010%以上のNを含有させることが好ましい。
O:Oは、不純物であり、酸化物の集積を抑制して耐HIC性を向上させるためには、上限を0.0030%に制限することが必要である。MnSの生成を抑制するCaが有効にSと結びつくためには、O量を0.0020%以下とすることが好ましい。
本発明では、Ca(1−124O)/1.25S、即ち、ESSP値を大きくすることが必要である。なお、Ca、O、Sは、各元素の含有量を質量%で表記したものである。ESSP値は、Caが酸化物を形成することを考慮し、CaSを生成させるために必要な、S量に対するCa量の比である。耐HIC性を向上させるには、ESSP値は1を超えることが必要である。一方、ESSP値を2超にするには、S量を低減させることが必要になり、製造コストが増加する。したがって、ESSP値は1超、2以下とする。ESSP値は、実施例に基づいて、1.05以上、1.97以下とする。
Ceqは、下記の式で定義される焼入れ性の指標であり、本発明では、耐サワー性の観点から、加熱温度の下限値にも影響する重要な指標である。Ceqが0.22未満であると、熱処理後、X65以上の強度を確保することができない。一方、耐サワー性を向上させるために、本発明では、熱処理の加熱温度の下限値を、1250Ceq+225℃以上としている。そのため、Ceqが0.30を超えると、耐サワー性を向上させるための加熱温度の範囲が狭くなる。したがって、Ceqは、0.22〜0.30とする。
Ceq=C+Mn/6+(Ni+Cu)/15+(Cr+Mo+V)/5 ・・(式1)
Ni:Niは、靱性及び強度の改善に有効な元素であり、耐食性の向上にも寄与するため、0.01%以上の添加が好ましい。一方、Niは高価な元素であり、製造コストを削減するためには、上限を、0.5%に制限することが好ましい。
Cu:Cuは、強度の上昇に有効な元素であり、耐食性の向上にも寄与するため、0.01%以上の添加が好ましい。一方、Cuも高価な元素であり、製造コストを削減するためには、上限を、0.5%に制限することが好ましい。
Cr:Crは、強度の上昇に有効な元素であり、0.01%以上の添加が好ましい。一方、多量に添加すると、焼入れ性が高くなり、靱性が低下することがあるため、上限を0.5%とすることが好ましい。
Mo:Moは、焼入れ性を向上させると同時に、炭窒化物を形成し強度を改善する元素であり、その効果を得るためには、0.01%以上の添加が好ましい。一方、Moは高価な元素であり、製造コストを削減するために、上限を0.5%にすることが好ましい。また、鋼の強度が上昇すると、HIC性及び靱性が低下することがあるので、好ましい上限を0.3%とする。
B:Bは、鋼の粒界に偏析して焼入れ性の向上に著しく寄与する元素である。この効果を得るには、0.0001%以上のBの添加が好ましい。一方。Bを過剰に添加すると、粒界への偏析が過剰になり、靱性の低下を招くことがあるので、上限を0.0020%とすることが好ましい。
Claims (3)
- 引張強度が530MPa以上である耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法であって、質量%で、
C :0.01〜0.08%、
Si:0.1〜0.5%、
Mn:1.0〜1.5%、
Nb:0.010〜0.060%、
Ca:0.001〜0.004%、
Ti:0.005〜0.060%、
V :0.005〜0.039%
を含有し、
Al:0.08%以下、
P: 0.015%以下、
S: 0.0010%以下、
O: 0.0030%以下、
N: 0.0050%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
Ca、O、及び、Sの含有量[質量%]が、
1.05≦Ca(1−124O)/1.25S≦1.97
を満足し、下記(式1)で求められるCeqが0.22〜0.30である電縫鋼管に、下限温度を1250Ceq+225℃以上、上限温度を前記電縫鋼管のオーステナイトへの変態開始温度(Ac1点)又は700℃のどちらか低い方とする熱処理を施すことを特徴とする耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法。
Ceq=C+Mn/6+(Ni+Cu)/15+(Cr+Mo+V)/5
・・・(式1)
ここで、C、Mn、Ni、Cu、Cr、Mo、Vは各元素の含有量[質量%]である。 - 前記電縫鋼管が、更に、質量%で、
Ni:0.5%以下、
Cu:0.5%以下、
Cr:0.5%以下、
Mo:0.5%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法。 - 前記電縫鋼管が、更に、質量%で、
B:0.0020%以下
を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法。
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JP2009161942A JP5504717B2 (ja) | 2009-07-08 | 2009-07-08 | 耐サワーラインパイプ用電縫鋼管の製造方法 |
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