以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る型枠分解装置Xは、図1〜図3に示す型枠K、すなわち横桟W1及び縦桟(外縦桟W2、2本の中間縦桟W3)を相互にフレーム状に組み付けた枠材Wにパネル板Pを多数のスクリュー釘等の固定具Nによって固定した型枠Kを、枠材Wとパネル板Pとに分解する装置である。型枠Kは、長手寸法、長手寸法に直交する方向の寸法(以下、「幅寸法」或いは「短辺方向」と称する)、縦桟のうち両端に配される外縦桟W2同士の間に設けられる中間縦桟W3の数、また、各桟(外縦桟W2、中間縦桟W3、横桟W1)の厚み寸法や高さ寸法、幅方向に隣り合う縦桟(外縦桟W2、中間縦桟W3)同士間のピッチは規格化されているものの多少の誤差がある。なお、図5以下の図面では各桟にパターンを付している。
本実施形態に係る型枠分解装置Xは、図4に示すように、型枠Kの搬送方向Vに複数の搬送用ローラG1を配置した搬送フレームGと、搬送フレームGを支持する搬送フレーム支持体Hとを備え、さらに、図5に示すように、型枠Kの枠材Wを構成する各桟(外縦桟W2、中間縦桟W3、横桟W1)をそれぞれ厚み方向から挟み込む複数の挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)と、これら挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)により少なくとも縦桟(外縦桟W2、中間縦桟W3)を厚み方向から挟み込んだ状態においてパネル板Pを枠材Wから離間する方向に押し上げる押し上げ機構Eとを備えている。なお、図4では、各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)や押し上げ機構Eを配置する領域、及び各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)によって桟を挟み込む方向、押し上げ機構Eの動作方向を概略的に示すのみにとどめている。
搬送フレームGは、対向配置される一対の長辺フレームG2と、搬送フレームGの短辺方向に所定ピッチで配され、且つ両端部をそれぞれ長辺フレームG2に回転可能に支持させた複数の搬送用ローラG1と、搬送用ローラG1の軸方向に対して平行に配される補強フレームG3とを備え、型枠Kの平面寸法と同一ないし若干大きい平面寸法を有するものである。搬送用ローラG1は、長辺フレームG2や補強フレームG3よりも優先して型枠Kに接触するように外周面を長辺フレームG2や補強フレームG3の上端部よりも上方に表出させている(図4参照)。また、片方の長辺フレームG2には、枠材Wのうち外縦桟W2の内側に接触して搬送方向VにガイドするガイドローラG4を長手方向に所定ピッチ或いは間欠的に複数設けている。本実施形態では、この搬送フレームGを型枠Kの搬送方向Vである長手方向にほぼ三分割した領域のうち中央領域を除く搬送方向V上流側領域と、搬送方向V下流側領域とにそれぞれ複数(図示例では3本)の搬送用ローラG1を所定ピッチで配し、中央領域に後述する各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)及び押し上げ機構Eを配している。
搬送フレーム支持体Hは、矩形状をなす底フレームH1と、底フレームH1の四隅に起立姿勢で配される起立フレームH2とを一体的に備えたものである。
また、本実施形態に係る型枠分解装置Xは、挟持機構として、図5及び図6に示すように、枠材Wの横桟W1を挟持する横桟挟持機構A、枠材Wの縦桟のうち両サイドに配される外縦桟W2を挟持する外縦桟挟持機構(第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C)、及び枠材Wのうち外縦桟W2間に配される中間縦桟W3を挟持する中間縦桟挟持機構Dを備えている。
横桟挟持機構Aは、図7〜図11(図8、図9はそれぞれ図7におけるα方向矢視図、β方向矢視図であり、図10、図11は挟み込み状態(Z)にある横桟挟持機構Aの図7対応図、図9対応図である)に示すように、横桟W1を厚み方向から挟み込む一対の第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2と、これら挟持部材(第1挟持部材A1、第2挟持部材A2)を相互に接近する方向及び離間する方向(接離方向)に接離動作させる駆動手段A3とを備えている。
第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2は、フレーム支持体Hに一体的に連結した共通のベースA4上に起立姿勢で配される概略プレート状をなすものであり、相互に接離方向にスライド移動可能に構成されている。向かい合って配置される第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2の何れか一方に、挟持した横桟W1に対する滑り止め機能を発揮する滑り止め手段A5を設けている。本実施形態では、第1挟持部材A1のうち第2挟持部材A2に対向する面に設けた複数の滑り止め用鋲A5によって滑り止め手段を構成している。滑り止め用鋲A5としては、釘の先端部や、鑢(やすり)等の小突起が挙げられる。本実施形態の横桟挟持機構Aは、滑り止め用鋲A5を第1挟持部材A1の高さ方向、幅方向にそれぞれ複数列(図示例では高さ方向に3列、幅方向に4列)に並べた態様を採用しているが、滑り止め用鋲A5を列毎に半ピッチずつずらして配置したり、或いは不規則に配置しても構わない。また、本実施形態では、複数の滑り止め用鋲A5を共通のプレート体A6に一体的に設け、挟持部材(第1挟持部材A1)に形成した凹部にプレート体A6を装着している。プレート体A6を凹部にボルトAb1を利用して取り付けた状態において、プレート体A6と挟持部材(第1挟持部材A1)とが面一ないしほぼ面一になるように凹部の凹み寸法を設定している(図9参照)。
また、横桟挟持機構Aには、これら挟持部材(第1挟持部材A1、第2挟持部材A2)の接離動作をガイドするガイド軸A7を設けている。ガイド軸A7は、両端部をそれぞれ第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2に形成したガイド軸用挿通孔に挿通させた状態で、ベースA4上に設けたガイド軸受けA8に支持されている。本実施形態では、第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2に形成したガイド軸用挿通孔に筒状のガイドメタルA9(すべり軸受け)を装着し、ガイド軸A7をこれらガイドメタルA9に挿通させている。本実施形態の横桟挟持機構Aは、第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2の下端部近傍領域に2本のガイド軸A7を幅方向に離間させて設けている。なお、ガイド軸受けA8はボルトAb2によってベースA4上に固定されている。
また、本実施形態では駆動手段A3としてエアシリンダA3を適用している。エアシリンダA3は、シリンダ本体A31とシリンダ本体A31内への圧縮エアの給排に応じて進退駆動するシリンダロッドA32とを備え、シリンダロッドA32を引き込み動作させる(シリンダ本体A31側に後退させる)引き込み駆動状態と、シリンダロッドA32を突出動作させる(シリンダ本体A31側から前進させる)突出駆動状態と、シリンダロッドA32を静止させる非駆動状態との間で切替可能なものである。そして、シリンダ本体A31を第1挟持部材A1のうち第2挟持部材A2に背向する面に取り付けるとともに、シリンダロッドA32を第1挟持部材A1に形成したロッド挿通孔に挿通させた状態で先端部を第2挟持部材A2に固定している。なお、シリンダ本体A31及びシリンダロッドA32はそれぞれボルトAb3、ボルトAb4によってシリンダ本体A31、第2挟持部材A2に固定されている。本実施形態では、シリンダロッドA32を第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2の高さ方向中央部近傍に配置し、第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に横桟W1を位置付けた状態でシリンダロッドA32が横桟W1に干渉しないように構成している(図9参照)。また、シリンダロッドA32の進退方向(突没方向)は、ガイド軸A7の軸方向と平行に設定され、第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2の安定した接離動作を可能にしている。なお、各図ではシリンダ本体A31に圧縮エアを供給するコンプレッサ及び配管は省略している。
このような横桟挟持機構Aは、図7及び図9に示す開放状態(Y)、つまりシリンダロッドA32を突出させて第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間隔(具体的には第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との内法)を横桟W1の厚み寸法よりも十分に大きく設定し、これら第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に横桟W1を位置付けることは可能であるが横桟W1を挟み込むことは不可能な開放状態(Y)と、図10及び図11に示す挟み込み状態(Z)、つまり第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2を相互に近付く方向にスライド移動させて第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間隔(具体的には第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との内法)が横桟W1の厚み寸法と同一ないしほぼ同一になり、これら第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に横桟W1を挟み込むことが可能な挟み込み状態(Z)との間で切替可能である。なお、横桟挟持機構Aの開放状態(Y)と挟み込み状態(Z)との間の動作及び作用については後述する。
また、本実施形態の横桟挟持機構Aは、搬送フレームGの短辺方向に延びる共通のベースA4上に、対をなす第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2の組をベースA4の延伸方向に所定寸法離間させて複数組(図示例では2組)配置している。これにより、横桟W1の複数箇所(本実施形態では2箇所)を厚み方向から挟み込むことができるように構成している。本実施形態では、横桟W1の両端部近傍をこれら2組の第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2によって挟持できるように各組同士の離間寸法を設定している(図6参照)。
本実施形態に係る型枠分解装置Xは、このような横桟挟持機構Aを、搬送フレームGの長手方向(型枠Kの搬送方向V)に沿って所定距離離間させた位置に対称配置している(図5及び図6参照)。そして、相対的に搬送方向V下流側に配置した横桟挟持機構Aが、型枠Kの枠材Wのうち搬送方向V下流側に配される横桟W1を挟持する機構となり、相対的に搬送方向V上流側に配置した横桟挟持機構Aが、枠材Wのうち搬送方向V上流側に配される横桟W1を挟持する機構となる。
また、本実施形態に係る型枠分解装置Xは、図9及び図12に示すように、横桟挟持機構Aを、横桟W1を挟持可能な高さ位置と、横桟W1を挟持不能な高さ位置との間で上下動させる上下動機構Fを備えている。
上下動機構Fは、横桟挟持機構AにおけるベースA4を上下動させることによって横桟挟持機構A全体を上下動させるものである。本実施形態では、ベースA4の長手方向中央部の下方領域に配置したエアシリンダF1を用いて上下動機構Fを構成している。具体的には、シリンダ本体F11に対して突没動作(進退動作)可能なシリンダロッドF12の先端部をベースA4の長手方向中央部に固定するとともに、シリンダ本体F11を搬送フレーム支持体Hに一体的に設けた台座H3に固定し、シリンダロッドF12を高さ方向に突没動作させることによってベースA4、ひいては横桟挟持機構A全体を上下動させるようにしている。また、本実施形態の上下動機構Fは、これらシリンダロッドA32の突没動作、換言すれば横桟挟持機構Aの上下動をガイドするガイド軸F2を備えている。ガイド軸F2は、上端部を横桟挟持機構AのベースA4に固定し、下端部を台座H3に脱落不能に装着したガイドメタルF3(すべり軸受け)に挿通させている。本実施形態の上下動機構Fには、エアシリンダF1からベースA4の長手方向に等距離離間した位置にそれぞれガイド軸F2を配置している(図5及び図6参照)。
枠材Wの縦桟のうち両サイドに配される外縦桟W2を挟持する外縦桟挟持機構(第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C)、枠材Wのうち外縦桟W2間に配される中間縦桟W3を挟持する中間縦桟挟持機構Dは、横桟挟持機構Aと同様ないしほぼ同様の構造を有するものであり、以下では、外縦桟挟持機構(第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C)、中間縦桟挟持機構Dについて横桟挟持機構Aと異なる点を中心に説明する。なお、以下の説明において、特に言及しない部材であって且つ横桟挟持機構Aの各部材と対応する部材については、図13〜図21において符号の先頭を「A」から「B」、「C」又は「D」に適宜変更して付している。
第1外縦桟挟持機構Bは、図13〜図15(図14は図13におけるα方向矢視図であり、図15は挟み込み状態(Z)にある第1外縦桟挟持機構Bの図13対応図である)に示すように、搬送フレームGの長手方向(型枠Kの搬送方向V)に延びる共通のベースB4上に、対をなす第1挟持部材B1及び第2挟持部材B2の組をベースB4の延伸方向に所定寸法離間させて複数組(図示例では2組)配置している。これにより、外縦桟W2の複数箇所(本実施形態では2箇所)を厚み方向から挟み込むことができるように構成している。なお、ベースB4はフレーム支持体Hに一体的に連結されている。また、本実施形態では、第1挟持部材B1及び第2挟持部材B2のうち相対的に搬送フレームGの幅方向(短辺方向)中央側に配される挟持部材(図示例では第2挟持部材B2)に、型枠Kの枠材Wにおける横桟W1との干渉を回避する切欠部Bkを形成している。なお、滑り止め用鋲B5を第1挟持部材B1に設けている点は横桟挟持機構Aと同じである。
このような第1外縦桟挟持機構Bは、図13及び図14に示す開放状態(Y)、つまりシリンダロッドB32を突出させて第1挟持部材B1と第2挟持部材B2との間隔(具体的には第1挟持部材B1と第2挟持部材B2との内法)を外縦桟W2の厚み寸法よりも十分に大きく設定し、これら第1挟持部材B1と第2挟持部材B2との間に外縦桟W2を挟み込むことが不可能な開放状態(Y)と、図15に示す挟み込み状態(Z)、つまり第1挟持部材B1と第2挟持部材B2との間隔(具体的には第1挟持部材B1と第2挟持部材B2との内法)が外縦桟W2の厚み寸法と同一ないしほぼ同一になり、これら第1挟持部材B1と第2挟持部材B2との間に外縦桟W2を挟み込むことが可能な挟み込み状態(Z)との間で切替可能である。
第2外縦桟挟持機構Cは、図16〜図18(図17は図16におけるα方向矢視図であり、図18は挟み込み状態(Z)にある第2外縦桟挟持機構Cの図16対応図である)に示すように、第1外縦桟挟持機構Bとほぼ同様の構成を有するものであるが、第1挟持部材C1又は第2挟持部材C2のうち何れか一方の挟持部材(本実施形態では第1挟持部材C1)のみを他方の挟持部材(本実施形態では第2挟持部材C2)に対して接離する方向にスライド移動可能に設定し、他方の挟持部材(本実施形態では第2挟持部材C2)をスライド移動不能に設定している点で異なる。具体的には、第2挟持部材C2をベースC4に固定することによって第2挟持部材C2自体のスライド移動を規制し、第1挟持部材C1がシリンダロッドC32の進退動作に応じて第2挟持部材C2に接離する方向スライド移動可能に構成している。なお、フレーム支持体Hに一体的に連結されて搬送フレームGの長手方向(型枠Kの搬送方向V)に延びる共通のベースC4上に、対をなす第1挟持部材C1及び第2挟持部材C2の組をベースC4の延伸方向に所定寸法離間させて複数組(図示例では2組)配置している点、第1挟持部材C1及び第2挟持部材C2のうち相対的に搬送フレームGの幅方向(短辺方向)中央側に配される挟持部材(図示例では第2挟持部材C2)に、型枠Kの枠材Wにおける横桟W1との干渉を回避する切欠部Ckを形成している点、滑り止め用鋲C5を第1挟持部材C1に設けている点は第1外縦桟挟持機構Bと同じである。
このような第2外縦桟挟持機構Cは、図16及び図17に示す開放状態(Y)、つまりシリンダロッドC32を突出させて第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との間隔(具体的には第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との内法)を外縦桟W2の厚み寸法よりも十分に大きく設定し、これら第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との間に外縦桟W2を挟み込むことが不可能な開放状態(Y)と、図18に示す挟み込み状態(Z)、つまり第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との間隔(具体的には第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との内法)が外縦桟W2の厚み寸法と同一ないしほぼ同一になり、これら第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との間に外縦桟W2を挟み込むことが可能な挟み込み状態(Z)との間で切替可能である。
中間縦桟挟持機構Dは、図19〜図21(図20は図19におけるα方向矢視図であり、図21は挟み込み状態(Z)にある中間縦桟挟持機構Dの図19対応図である)に示すように、フレーム支持体Hに一体的に連結されて搬送フレームGの短辺方向に延びる共通のベースD4上に、対をなす第1挟持部材D1及び第2挟持部材D2の組をベースD4の延伸方向に所定寸法離間させて複数組(図示例では2組)配置している。これにより、枠材Wの短辺方向に所定ピッチで設けた複数(図示例では2本)の中間縦桟W3を同時ないしほぼ同時に厚み方向から挟み込むことができるように構成している。本実施形態に係る型枠分解装置Xは、このような中間縦桟挟持機構Dを、搬送フレームGの長手方向(型枠Kの搬送方向V)に沿って所定距離離間させて複数(図示例では2つ)設けている。そして、これら複数の中間縦桟挟持機構Dによって、1本の中間縦桟W3に対して複数箇所(本実施形態では2箇所)を挟み込むことができるように構成している。また、中間縦桟挟持機構Dは、滑り止め用鋲D5を第2挟持部材D2に設けている。
このような中間縦桟挟持機構Dは、図19及び図20に示す開放状態(Y)、つまりシリンダロッドD32を突出させて第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との間隔(具体的には第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との内法)を中間縦桟W3の厚み寸法よりも十分に大きく設定し、これら第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との間に中間縦桟W3を挟み込むことが不可能な開放状態(Y)と、図21に示す挟み込み状態(Z)、つまり第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との間隔(具体的には第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との内法)が外縦桟W2の厚み寸法と同一ないしほぼ同一になり、これら第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との間に中間縦桟W3を挟み込むことが可能な挟み込み状態(Z)との間で切替可能である。
このように、本実施形態に係る型枠分解装置Xは、複数の挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)のうち、1つの挟持機構(本実施形態では第2外縦桟挟持機構C)を、一方の挟持部材(本実施形態では第1挟持部材C1)をスライド移動可能に構成し、他方の挟持部材(本実施形態では第2挟持部材C2)をスライド移動不能に構成し、この挟持機構(第2外縦桟挟持機構C)におけるスライド移動不能な挟持部材(第2挟持部材C2)、すなわち固定された挟持部材に、枠材Wにおける1本の桟(本実施形態では外縦桟W2)をあてがうことによって本装置(型枠分解装置X)に対する型枠Kの相対位置を決めることができる。すなわち、スライド移動不能な挟持部材(第2挟持部材C2)を備えた挟持機構(第2外縦桟挟持機構C)が、本装置(型枠分解装置X)に型枠Kをセットする際、及び分解作業をする際において本装置(型枠分解装置X)に対する型枠Kの相対位置を決める位置決め手段として機能する(図5及び図6参照)。
型枠Kのパネル板Pを押し上げる押し上げ機構Eは、図5、図6、図9及び図22に示すように、パネル板Pの下向き面に接触可能な押し上げプレートE1と、押し上げプレートE1を上下動させる上下動駆動手段E2とを備えたものである。
押し上げプレートE1は、搬送フレームGの長手方向(型枠Kの搬送方向V)に延びる平板状をなすものである。本実施形態では、押し上げプレートE1の長手寸法を、外縦桟挟持機構(第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C)において搬送フレームGの長手方向(型枠Kの搬送方向V)に離間して設けた第1挟持部材B1同士、第1挟持部材C1同士の内法よりも大きい寸法に設定している(図2参照)。
上下動駆動手段E2には、シリンダ本体E21内への圧油の給排によって、先端部を押し上げプレートE1に連結したシリンダロッドE22を高さ方向に突没動作させる油圧シリンダを適用している。また、本実施形態では、シリンダロッドE22の先端部を押し上げプレートE1に連結した状態で押し上げプレートE1が水平軸E3回りに揺動(シーソー動作、首振り動作)し得るように設定している。これにより、パネル板Pが押し上げプレートE1によって押し上げられる過程で弓なりに反る方向に傾斜した場合や、パネル板Pの裏面(下向き面)にコンクリートが付着するなどして平らになっていない場合であっても押し上げプレートE1をパネル板Pの下向き面に当て続けることが可能になる。
本実施形態に係る型枠分解装置Xは、図5及び図6に示すように、このような押し上げ機構Eを、搬送フレームGの幅方向に隣り合う縦桟(外縦桟W2、中間縦桟W3)同士の間にそれぞれ配置している。また、本実施形態では、各挟持機構と干渉しないスペース内において最大限ないしほぼ最大限の平面寸法を有する押し上げプレートE1を適用している。
次に、このような型枠分解装置Xの使用手順及び作用について説明する。
先ず、全ての挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)を開放状態(Y)に設定しておき、また、横桟挟持機構Aを、横桟W1を挟持不可能な高さ位置に設定しておく。そして、パネル板Pが枠材Wの上側となる表向き姿勢の型枠Kを搬送フレームG上にセットする。本実施形態では、型枠Kを搬送フレームG上にセットする前の時点で、図12に示すように、押し上げプレートE1の上向き面が、横桟W1を挟持不可能な高さ位置に設定した横桟挟持機構Aの上端(具体的には第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2の上端)よりも低くなるように構成しているため、型枠Kを搬送フレームG上にセットする場合(型枠Kを搬送方向V下流側に搬送する場合も含む)に押し上げプレートE1が不意に型枠Kに干渉することを防止している。型枠Kを搬送フレームG上にセットする際には、型枠Kのうち搬送方向V下流側の横桟W1が平面視において搬送方向V下流側の横桟挟持機構Aにおける第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に位置付けられるようにする(図5参照)。本実施形態では、予め開放状態(Y)に設定した第2外縦桟挟持機構Cのうち搬送方向V下流側の第2挟持部材C2に形成した切欠部Ckに、枠材Wのうち搬送方向V下流側の横桟W1を接触させる(押し当てる)ことによって、搬送方向V下流側の横桟W1が平面視において搬送方向V下流側の横桟挟持機構Aにおける第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に位置付けることができるように設定している(図5参照)。
また、第2挟持部材C2に形成した切欠部Ckに、枠材Wのうち搬送方向V下流側の横桟W1を接触させる(押し当てる)とともに、第2外縦桟挟持機構Cにおける第2挟持部材C2のうち第1挟持部材C1に対向する面に外縦桟W2を接触させる(押し当てる)ことによって、枠材Wの四隅のうち一つの隅部(コーナー部)を第2外縦桟挟持機構Cの一部(本実施形態では第2挟持部材C2)に緊密ないしほぼ緊密にあてがうことができる。
本実施形態に係る型枠分解装置Xは、共通の操作部に対して所定の操作力を付与することによって、各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)を、開放状態(Y)と挟み込み状態(Z)との間で同時ないしほぼ同時に切替可能に構成している。以下では、本実施形態の型枠分解装置Xの動作及び作用を明らかにするために各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)ごとに説明する。
型枠Kにおける枠材Wの四隅のうち一つの隅部(コーナー部)を第2外縦桟挟持機構Cの一部(本実施形態では第2挟持部材C2)に緊密ないしほぼ緊密に接触させた状態で第2外縦桟挟持機構Cが開放状態(Y)から挟み込み状態(Z)に切り替わる動作及び作用は以下の通りである。第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との間に外縦桟W2を位置付けた状態で、エアシリンダC3を引き込み駆動状態にすると、シリンダロッドC32の先端部に固定した第2挟持部材C2はスライド移動不能なものであるため、シリンダロッドC32の後退動作(引き込み動作)に伴って第1挟持部材C1が第2挟持部材C2に近付く方向にスライド移動する。そして、第1挟持部材C1が外縦桟W2に当接する位置までシリンダロッドC32を後退させ、さらにエアシリンダC3を引き込み駆動状態に維持し続けると、第2外縦桟挟持機構Cは、一対の挟持部材(第1挟持部材C1、第2挟持部材C2)によって外縦桟W2を厚み方向から挟み込んだ挟み込み状態(Z)になる(図18参照)。また、本実施形態では、第1挟持部材C1に設けた滑り止め用鋲C5が外縦桟W2に突き刺さるため、第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との間に一旦挟み込んだ外縦桟W2は、シリンダロッドC32を引き込み駆動状態から突出駆動状態に切り替えない限り、外縦桟W2に対して外力が作用した場合であっても挟み込み状態(Z)を維持することが可能である。また、ガイド軸C7に沿った第1挟持部材C1のスライド移動は、スムーズ且つ安定した動作となる。
このようにして、位置決め手段として機能する第2外縦桟挟持機構Cによって枠材Wの一部(具体的には外縦枠W2)を挟持することにより、搬送フレームGに対する型枠Kの相対位置を固定する。
また、本実施形態に係る型枠分解装置Xは、第2外縦桟挟持機構Cによって外縦桟W2を挟持する前の時点で、上下動機構Fを駆動させて搬送方向V下流側の横桟挟持機構Aを、横桟W1を挟持不可能な高さ位置(図12参照)から横桟W1を挟持可能な高さ位置(図9参照)に移動させる。上下動機構Fを駆動させるタイミング及び操作は作業者自身の判断に基づくタイミング及び作業者自身による操作であってもよいが、本実施形態に係る型枠分解装置Xでは、図17に示すように、型枠Kの搬送方向V下流端(型枠Kの先頭)を検知する位置検知手段S1を所定箇所に設け、この位置検知手段S1によって型枠Kの搬送方向V下流端を検知した場合に、上下動機構Fを作動させて搬送方向V下流側の横桟挟持機構Aが横桟W1を挟持不可能な高さ位置から横桟W1を挟持可能な高さ位置に自動的に移動するように構成している。位置検知手段S1としては、例えば各種スイッチやセンサ等が挙げられるが、本実施形態ではリミットスイッチを用いて位置検知手段S1を構成している。本実施形態の型枠分解装置Xは、このような位置検知手段S1を、外縦桟挟持機構(例えば第2外縦桟挟持機構C)における搬送方向V下流側の端部に設けている。
また、搬送方向V下流側の横桟挟持機構Aが開放状態(Y)から挟み込み状態(Z)に切り替わる動作及び作用は以下の通りである。先ず、搬送方向V下流側の横桟挟持機構Aを開放状態(Y)に設定して、第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に搬送方向V下流側の横桟W1を位置付けた状態で、エアシリンダA3を引き込み駆動状態にすると、シリンダロッドA32の先端部に固定した第2挟持部材A2がシリンダ本体A31側、すなわち第1挟持部材A1に近付く方向にスライド移動する。そして、第2挟持部材A2が横桟W1に当接する位置までシリンダロッドA32を後退させ、さらにエアシリンダA3を引き込み駆動状態に維持し続ける。ここで、上述したように外縦桟W2を位置決め挟持機構(第2外縦桟挟持機構C)で挟持することにより型枠K全体は搬送フレームGに対して移動不能な状態であるため、横桟W1に当接した第2挟持部材A2がそれ以上第1挟持部材A1に近付く方向へスライド移動することはできない。したがって、第2挟持部材A2が横桟W1に当接した後もエアシリンダA3を引き込み駆動状態に維持し続けてシリンダロッドA32をさらに後退させる(引き込ませる)と、第1挟持部材A1が第2挟持部材A2に近付く方向にスライド移動する。すると、間もなく第1挟持部材A1が横桟W1に当接し、搬送方向V下流側の横桟挟持機構Aは、一対の挟持部材(第1挟持部材A1、第2挟持部材A2)によって横桟W1を厚み方向から挟み込んだ挟み込み状態(Z)になる(図10及び図11参照)。また、本実施形態では、第1挟持部材A1に設けた滑り止め用鋲A5が横桟W1に突き刺さるため、第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に一旦挟み込んだ横桟W1は、シリンダロッドA32を引き込み駆動状態から突出駆動状態に切り替えない限り、横桟W1に対して外力が作用した場合であっても挟み込み状態(Z)を維持することが可能である。また、各挟持部材(第1挟持部材A1、第2挟持部材A2)はガイド軸A7に沿ってスライド移動するため、スムーズ且つ安定した動作になる。
また、第1外縦桟挟持機構Bが開放状態(Y)から挟み込み状態(Z)に切り替わる動作及び作用は以下の通りである。先ず、第1外縦桟挟持機構Bを開放状態(Y)に設定し、第1挟持部材B1と第2挟持部材B2との間に外縦桟W2を位置付けた状態で、エアシリンダB3を引き込み駆動状態にすると、シリンダロッドB32の先端部に固定した第2挟持部材B2がシリンダ本体B31側、すなわち第1挟持部材B1に近付く方向にスライド移動する。そして、第2挟持部材B2が外縦桟W2に当接する位置までシリンダロッドB32を後退させ、さらにエアシリンダB3を引き込み駆動状態に維持し続けると、外縦桟W2に当接している第2挟持部材B2がそれ以上第1挟持部材B1に近付く方向へスライド移動することは規制され、シリンダロッドB32の後退移動(引き込む方向への移動)により第1挟持部材B1が第2挟持部材B2に近付く方向にスライド移動する。すると、やがて第1挟持部材B1が外縦桟W2に当接し、第1外縦桟挟持機構Bは、一対の挟持部材(第1挟持部材B1、第2挟持部材B2)によって外縦桟W2を厚み方向から挟み込んだ挟み込み状態(Z)になる(図15参照)。また、第1外縦桟挟持機構Bのうち搬送方向V下流側の第1挟持部材B1と第2挟持部材B2とによって、外縦桟W2における搬送方向V下流側の端部を挟持した場合、枠材Wのうち搬送方向V下流側の横桟W1は、第2挟持部材B2に形成した切欠部Bkに当接又は近接することにより、この横桟W1が第2挟持部材B2に干渉することを回避することができる(図15参照)。また、本実施形態では、第1挟持部材B1に設けた滑り止め用鋲B5が外縦桟W2に突き刺さるため、第1挟持部材B1と第2挟持部材B2との間に外縦桟W2を強固に挟み込むことができる。さらに、第1挟持部材B1及び第2挟持部材B2はガイド軸B7に沿ってスムーズ且つ安定した状態でスライド移動する。
また、各中間縦桟挟持機構Dが開放状態(Y)から挟み込み状態(Z)に切り替わる動作及び作用は以下の通りである。先ず、各中間縦桟挟持機構Dを開放状態(Y)に設定し、第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との間にそれぞれ中間縦桟W3を位置付けた状態で、エアシリンダD3を引き込み駆動状態にすると、シリンダロッドD32の先端部に固定した第2挟持部材D2がシリンダ本体D31側、すなわち第1挟持部材D1に近付く方向にスライド移動する。そして、第2挟持部材D2が外縦桟W2に当接する位置までシリンダロッドD32を後退させ、さらにエアシリンダD3を引き込み駆動状態に維持し続けると、中間縦桟W3に当接している第2挟持部材D2の第1挟持部材D1側へのスライド移動が規制され、シリンダロッドD32の後退移動により第1挟持部材D1が第2挟持部材D2に近付く方向にスライド移動する。すると、間もなく第1挟持部材D1が中間縦桟W3に当接し、中間縦桟挟持機構Dは、一対の挟持部材(第1挟持部材D1、第2挟持部材D2)によって外縦桟W2を厚み方向から挟み込んだ挟み込み状態(Z)になる(図21参照)。なお、滑り止め用鋲D5が外縦桟W2に突き刺さることにより、第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との間に中間縦桟W3を強固に挟み込むことができる点、及び第1挟持部材D1及び第2挟持部材D2をガイド軸D7に沿ってスムーズ且つ安定した状態でスライド移動させることができる点は、上述した各挟持機構と同様である。
本実施形態に係る型枠分解装置Xは、位置決め手段として機能する第2外縦桟挟持機構C以外の挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、中間縦桟挟持機構D)における第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2(第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2、第1挟持部材B1及び第2挟持部材B2、第1挟持部材D1及び第2挟持部材D2)を何れも相対する挟持部材に対して接離動作可能に構成している。これにより、型枠Kごとに、幅方向に隣り合う縦桟(外縦桟W2、中間縦桟W3)同士間のピッチや各桟(外縦桟W2、中間縦桟W3、横桟W1)の厚み寸法に多少の誤差が生じていても、各挟持機構単位で、第1挟持部材及び第2挟持部材のスライド移動距離が、挟む対象の桟を基準にして自動的に変更し、各桟を厚み方向の両側面から均等ないしほぼ均等に押圧した状態で強固に挟持することができる。これにより、桟の厚み方向の両側面から不均等な押圧力が作用した場合に生じる不具合、すなわち、桟をへし折る方向への押圧力が桟に作用することによって桟が変形或いは破損することを防止できる。
上述した実施形態は、各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)の開放状態(Y)から挟み込み状態(Z)への切替を同時ないしほぼ同時に行う態様を例示したが、位置決め手段として機能する挟持機構(第2外縦桟挟持機構C)を開放状態(Y)から挟み込み状態(Z)へ切り替えた後に、残りの挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、中間縦桟挟持機構D)を順次或いは同時ないしほぼ同時に開放状態(Y)から挟み込み状態(Z)へ切り替えるように構成しても構わない。また、上下動機構Fによる横桟挟持機構Aの上方への移動を、第2外縦桟挟持機構Cによって外縦桟W2を挟持した後に行うようにしてもよい。
そして、各挟持機構(搬送方向V下流側の横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)により枠材Wの各桟(搬送方向V下流側の横桟W1、外縦桟W2、中間縦桟W3)をそれぞれ厚み方向から挟持した状態で、押し上げ機構Eによりパネル板Pを枠材Wから離間する方向に押し上げる。具体的には、シリンダ本体E21内へ作動油(圧油)を供給し、先端部を押し上げプレートE1に連結したシリンダロッドE22を上方へ突出させて、押し上げプレートE1をパネル板Pの下向き面に押し当てて、さらに、シリンダロッドE22を上方へ突出させることにより、押し上げプレートE1がパネル板Pを押し上げながら上方へ移動する。その結果、パネル板Pが枠材Wから浮き上がり、所定距離浮き上がると固定具N(釘)によるパネル板Pと枠材Wとの固定状態が解除され(すなわち、枠材Wから釘Nが抜け)、押し上げられたパネル板Pが枠材Wに対してフリーな状態になる(図22参照)。なお、図9、図11、図12、図22では、外縦桟W2を挟持する外縦桟機構(第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C)を省略している。本実施形態の型枠分解装置Xは、図5及び図6に示すように、隣り合う縦桟(外縦桟W2、中間縦桟W3)同士の間にそれぞれ押し上げ機構Eを設けているため、これら複数の押し上げ機構Eを同期させて駆動させることによりパネル板Pの幅方向全体に均等ないしほぼ均等な押し上げ力を作用させて枠材Wから浮き上がらせることができる。また、シリンダロッドE22の先端部に押し上げプレートE1を水平軸E3回りに揺動可能に連結しているため、押し上げ機構Eによってパネル板Pを枠材Wから浮き上がらせる過程でパネル板Pが反る方向に撓み変形した場合であっても、パネル板Pの変形量に応じて押し上げプレートE1が適宜揺動することにより押し上げプレートE1全体ないしほぼ全体をパネル板Pの下向き面に接触させて押し上げることができる。
本実施形態では、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、及び中間縦桟挟持機構Dの全長を、枠材Wの外縦桟W2及び中間縦桟W3の全長よりも短く設定しているため、上記手順によって枠材Wから浮き上がってフリーになるパネル板Pは搬送方向V下流側の領域だけである。したがって、上記手順に準じた作業を複数回繰り返すことによってパネル板P全体を枠材Wから引き離すことができる。以下、その作業手順を説明する。
押し上げ機構Eによってパネル板Pにおける搬送方向V下流側の領域を枠材Wから分離させた状態で、押し上げ機構Eによるパネル板Pの押し上げ状態を解除する。具体的には、シリンダ本体E21内の作動油を排出し、先端部を押し上げプレートE1に連結したシリンダロッドE22を下方へ引き込ませて、押し上げプレートE1を型枠Kの下端部(桟の下向き面)よりも下方へ移動させる。
次に、各挟持機構(搬送方向V下流側の横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟W3機構)を挟み込み状態(Z)から開放状態(Y)に同時ないしほぼ同時に切り替える。なお、各挟持機構搬(搬送方向V下流側の横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟W3機構)を順次挟み込み状態(Z)から開放状態(Y)に切り替えるようにしてもよい。
ここで、挟み込み状態(Z)から開放状態(Y)へ切り替わる挟持機構の動作及び作用を搬送方向V下流側の横桟挟持機構Aを例にして説明する。先ず、挟み込み状態(Z)において、エアシリンダA3を、シリンダロッドA32を突出動作させる(シリンダ本体A31側から前進させる)突出駆動状態に切り替える。すると、第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2のうち滑り止め用鋲A5を設けていない方の挟持部材(本実施形態の横桟挟持機構Aであれば第2挟持部材A2)が他方の挟持部材(第1挟持部材A1)よりも優先して横桟W1から離間する方向にスライド移動する。なお、何れの挟持部材(第1挟持部材A1、第2挟持部材A2)にも滑り止め手段A5(滑り止め用鋲A5)を設けていない態様であれば、エアシリンダA3を突出駆動状態にするとエアシリンダA3の先端部に固定した挟持部材(第2挟持部材A2)が他方の挟持部材(第1挟持部材A1)よりも優先して横桟W1から離間する方向にスライド移動するが、本実施形態のように、挟挟み込み状態(Z)において一方の挟持部材(第1挟持部材A1)に設けた滑り止め用鋲A5が横桟W1に突き刺さっているため、上述したように、第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2のうち滑り止め用鋲A5を設けていない方の挟持部材(本実施形態の横桟挟持機構Aであれば第2挟持部材A2)が他方の挟持部材よりも優先して横桟W1から離間する方向にスライド移動する。
そして、第2挟持部材A2(滑り止め用鋲A5を設けていない方の挟持部材)が、ベースA4上に設けたガイド軸受けA8に当接する位置までスライド移動すると、それ以上同一方向(横桟W1から離間する方向)へのスライド移動は規制される。さらにエアシリンダA3を突出駆動状態に維持し続けてシリンダロッドA32をさらに前進させる(突出させる)と、第1挟持部材A1が横桟W1から離間する方向にスライド移動する。これにより、横桟挟持機構Aは開放状態(Y)になる(図7及び図9参照)。なお、第1挟持部材A1はベースA4上に設けたガイド軸受けA8に当接する位置までスライド移動する。このように、対をなすガイド軸受けA8は、ガイド軸A7を支持するのみならず、第1挟持部材A1及び第2挟持部材A2のスライド移動幅を規定する部材として機能する。
以上のような作動により、全ての挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)を挟み込み状態(Z)から開放状態(Y)に切り替えた後、上下動機構Fを駆動させて横桟挟持機構Aを、横桟W1を挟持可能な高さ位置から横桟W1を挟持不可能な高さ位置に移動させる(図12参照)。引き続いて、パネル板Pのうち固定具Nによる固定状態が維持されている領域が搬送フレームGの長手方向中央領域まで到達する位置まで型枠Kを搬送方向V下流側に搬送する。この際、搬送フレームGの搬送用ローラG1が回転することによって軽い力で型枠Kを搬送することができ、また、搬送フレームGのガイドローラG4に外縦桟W2の内向き面を当てながらガイドさせることにより、型枠Kの搬送をスムーズ且つ適切に行うことができる。なお、型枠Kを搬送方向V下流側に押す操作力を付与することによって搬送用ローラG1が回転する態様、又は所定の操作部への操作に基づいて搬送用ローラG1を回転駆動させる態様、これら何れの態様であってもよい。
そして、各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)を開放状態(Y)から挟み込み状態(Z)に切り替えて、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構Dによって外縦桟W2及び中間縦桟W3をそれぞれ挟持して固定した状態で、押し上げ機構Eによりパネル板Pを枠材Wから離間する方向に押し上げると、パネル板Pのうち各挟持機構(第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)の全長に相当する領域で釘Nによる枠材Wとの固定状態が解除される。
このように、パネル板Pの全長に応じて、上記手順、つまり第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構Dによって外縦桟W2、中間縦桟W3を挟持するステップ、押し上げ機構Eによりパネル板Pを押し上げるステップ、押し上げ機構Eによるパネル板Pの押し上げ状態を解除する(押し上げプレートE1を下げる)ステップ、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構Dによる外縦桟W2、中間縦桟W3の挟持状態を解除するステップ、型枠Kを搬送方向V下流側に搬送するステップを繰り返す。
そして、最後にパネル板Pのうち搬送方向V上流側の領域を枠材Wから引き離す際は、型枠Kのうち搬送方向V上流側の横桟W1が平面視において搬送方向V上流側の横桟挟持機構Aにおける第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に位置付けられるように型枠Kを搬送フレームG上にセットする。本実施形態では、予め開放状態(Y)に設定した第2外縦桟挟持機構Cのうち搬送方向V上流側の第2挟持部材C2に形成した切欠部Ckに、枠材Wのうち搬送方向V上流側の横桟W1を押し当てることによって、搬送方向V上流側の横桟W1が平面視において搬送方向V上流側の横桟挟持機構Aにおける第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との間に位置付けることができるように設定している。また、第2挟持部材C2に形成した切欠部Ckに、枠材Wのうち搬送方向V上流側の横桟W1を接触させる(押し当てる)とともに、第2外縦桟挟持機構Cにおける第2挟持部材C2のうち第1挟持部材C1に対向する面に外縦桟W2を接触させる(押し当てる)ことによって、枠材Wの四隅のうち一つの隅部(コーナー部)を第2外縦桟挟持機構Cの一部(本実施形態では第2挟持部材C2)に緊密ないしほぼ緊密に当接させることができる。
そして、図23に示すように、上下動機構Fを駆動させて搬送方向V上流側の横桟挟持機構Aを、横桟W1を挟持不可能な高さ位置から横桟W1を挟持可能な高さ位置に移動させて、搬送方向V上流側の横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構Dによって搬送方向V上流側の横桟W1、外縦桟W2、中間縦桟W3をそれぞれ挟持する。この際、第1外縦桟挟持機構Bのうち搬送方向V上流側の第1挟持部材B1と第2挟持部材B2とによって、外縦桟W2の搬送方向V上流側端部を挟持した場合、枠材Wのうち搬送方向V上流側の横桟W1は、第2挟持部材B2に形成した切欠部Bkに当接又は近接することにより、この横桟W1が第2挟持部材B2に干渉することを回避することができる。なお、上下動機構Fを駆動させるタイミング及び操作は、上述した通り、作業者自身の判断に基づくタイミング及び作業者自身による操作であってもよいが、本実施形態に係る型枠分解装置Xでは、図17に示すように、型枠Kの搬送方向V上流端(型枠Kの後尾)を検知する位置検知手段S2を所定箇所に設け、この位置検知手段S2によって型枠Kの搬送方向V上流端を検知した場合に、上下動機構Fを作動させて搬送方向V上流側の横桟挟持機構Aが横桟W1を挟持不可能な高さ位置から横桟W1を挟持可能な高さ位置に自動的に移動するように構成している。位置検知手段S2としては、例えばリミットスイッチや近接スイッチ等が挙げられ、このような位置検知手段S2を、外縦桟挟持機構(例えば第2外縦桟挟持機構C)における搬送方向V上流側の端部に設けている。
そして、各挟持機構(搬送方向V上流側の横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)により枠材Wの各桟(搬送方向V上流側の横桟W1、外縦桟W2、中間縦桟W3)をそれぞれ厚み方向から挟持した状態で、押し上げ機構Eによりパネル板Pを枠材Wから離間する方向に押し上げることによって、パネル板Pが枠材Wから浮き上がり、釘Nによるパネル板Pと枠材Wとの固定状態が解除され(すなわち、枠材Wから釘Nが抜け)、パネル板Pが枠材Wに対して完全にフリーな状態になる(図23参照)。
以上の手順により、固定具Nを付帯したパネル板Pを枠材Wから完全に取り外すことができる。なお、各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)を開放状態(Y)と挟み込み状態(Z)との間で切り替える操作や、押し上げ機構Eを作動させて押し上げプレートE1の高さ位置を変更する操作は、所定箇所に設けた操作ボタンや操作レバー等の操作部に対して所定の操作力を付与することによって行うことができる。また、各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)を作動させる操作部、及び押し上げ機構Eを作動させる操作部をそれぞれ両手で同時に操作可能な位置に配置し、本実施形態に係る型枠分解装置Xによる型枠Kの分解作業中(当該実施形態では型枠Kを搬送フレームGの長手方向に搬送する工程を除く)は両手を常に操作部に置くように誘導することにより、分解作業中に手が挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)や押し上げ機構Eに不意に接触することを防止している。また、操作部を作業者の足下に配置していない点も安全性向上に資する。
なお、本実施形態に係る型枠分解装置Xによって枠材Wから引き離したパネル板Pには釘Nが刺さり、釘Nの胴部及び先端部が下方に突出した状態となっているが、この釘Nは別途適宜の工具等を用いてパネル板Pから除去すればよい。
そして、それぞれ分解したパネル板P及び枠材Wは再度型枠Kとして、或いは型枠K以外の用途に再利用することが可能となる。
このように、本実施形態に係る型枠分解装置Xは、各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)によって枠材Wの桟(横桟W1、外縦桟W2、中間縦桟W3)を挟持した状態で押し上げ機構Eによりパネル板Pを枠材Wから引き離す方向に押し上げるように構成しているため、例えば各釘Nの周辺部位を刳り抜いて枠材Wとパネル板Pとを分解する態様と比較して、各型枠Kごとに釘Nの打ち込み箇所が多少異なっていても、パネル板P自体を枠材Wから引き離す方向へ押し上げることにより固定具N(釘)による枠材Wとパネル板Pとの固定状態を解除することができ、作業効率が格段に向上する。
しかも、本実施形態では、この型枠分解装置Xに型枠Kをセットする際、及び分解作業をする際において型枠分解装置Xに対する型枠Kの相対位置を決める位置決め手段として機能する第2外縦桟挟持機構C以外の挟持機構、つまり横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、中間縦桟挟持機構Dにおいて、対向配置した挟持部材同士(第1挟持部材A1と第2挟持部材A2との組、第1挟持部材C1と第2挟持部材C2との組、第1挟持部材D1と第2挟持部材D2との組)を相互に接近する方向及び離間する方向に移動可能に構成しているため、桟の厚み寸法や、枠材Wの組付精度に誤差がある場合であっても、各挟持部材の移動距離や挟持部材同士の離間寸法を適宜変更することにより、各桟を厚み方向の両側面から均等ないしほぼ均等に押圧した状態で的確且つ強固に挟持することができる。したがって、各桟をへし折る方向に無理な押圧力が作用することを回避することができ、分解作業中に桟が割れて破損する事態を防止することができる。
さらに、1つの挟持機構(具体的には第2外縦桟挟持機構C)に、型枠分解装置Xに型枠Kをセットする際、及び分解作業をする際において型枠分解装置Xに対する型枠Kの相対位置を決める位置決め手段としての機能を担わせているため、別途専用の位置決め手段(ストッパ等の位置決め部材や、大掛かりな位置決め機構)を設ける態様と比較して、構造の簡素化及びコストの削減を図ることができる。
また、本実施形態に係る型枠分解装置Xは、挟持部材(第1挟持部材A1、第2挟持部材A2、第1挟持部材B1、第1挟持部材C1、第2挟持部材C2、第1挟持部材D1、第2挟持部材D2)を接離動作させる駆動手段としてエアシリンダ(エアシリンダA3、エアシリンダB3、エアシリンダC3、エアシリンダD3)を適用しているため、各挟持部材の安定した直線的な往復動作を構造の複雑化を招来することなく実現できる。また、エアシリンダによって駆動手段を構成することにより、メンテナンス性やコスト面においても有利なものとなる。
さらに、各挟持機構(横桟挟持機構A、第1外縦桟挟持機構B、第2外縦桟挟持機構C、中間縦桟挟持機構D)には、挟み込み状態(P)において桟に引っ掛かってスパイク機能を発揮する滑り止め手段A5(滑り止め用鋲A5、滑り止め用鋲B5、滑り止め用鋲C5、滑り止め用鋲D5)を設けているため、挟み込み状態(P)において押し上げ機構Eによってパネル板Pを上方へ押し上げる際に、パネル板Pの上方への移動に伴って桟が挟持部材間から抜ける方向へ滑ることを防止することができ、良好な挟持状態を維持し、パネル板Pと枠材Wとを確実に分解することができる。
また、本実施形態に係る型枠分解装置Xでは、パネル板Pの下向き面に接触可能な押し上げプレートE1と、押し上げプレートE1を上下動させる上下動駆動手段E2とを用いて押し上げ機構Eを構成し、上下動駆動手段E2として油圧シリンダE2を適用しているため、油圧シリンダE2の加圧調整によりシリンダロッドE22の細かい加減速度を調整することができ、押し上げプレートE1の上下方向への移動速度を微調整することが可能である。したがって、押し上げプレートE1がパネル板Pに接触しない範囲内における押し上げプレートE1の移動速度を相対的に早く設定する一方で、押し上げプレートE1がパネル板Pに接触して上方へ移動する範囲内における押し上げプレートE1の移動速度を相対的に遅く設定することにより、パネル板Pに対してゆっくりと押し上げる力を作用させることができ、固定具Nによる固定状態が解除されたパネル板Pが上方へ跳ね上がる不具合を抑制することが可能であり、安全性に優れている。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、挟持機構として、第1挟持部材と第2挟持部材との組を2組有する態様を例示したが、第1挟持部材と第2挟持部材との組を3組以上有する挟持機構、或いは、第1挟持部材と第2挟持部材との組を1組のみ有する挟持機構を採用してもよい。
また、全ての挟持機構における第1挟持部材と第2挟持部材とを相互に接離方向に移動可能に構成してもよい。この場合、本装置(型枠分解装置)に型枠をセットする際、及び分解作業をする際において本装置(型枠分解装置)に対する型枠の相対位置を決める位置決め手段を、挟持機構以外の部材を用いて構成すればよい。このようにすれば、上述した実施形態における第2外縦桟挟持機構を第1外縦桟挟持機構と同一ないしほぼ同一の構造にすることができる。
また、複数の挟持機構のうち一つの挟持機構に位置決め手段としての機能を担わせる場合、どの挟持機構に位置決め手段としての機能を担わせるかは適宜選択・変更可能である。特に、分解作業中に桟と接触ないし近接して型枠の移動範囲を正常な分解処理を行うことが可能な所定処理スペース内に規制することが可能な挟持機構に位置決め手段としての機能を担わせることが好適である。上述した実施形態では、横桟挟持機構が、横桟を挟持可能な高さ位置と、横桟を挟持不能な高さ位置との間で上下動可能なものであり、この横桟挟持機構を、横桟を挟持不能な高さ位置に設定した場合には桟と接触ないし近接せず、型枠の移動範囲を所定処理スペース内に規制することができないため、第1外縦桟挟持機構、第2外縦桟挟持機構、中間縦桟挟持機構の何れかに位置決め手段としての機能を担わせることが好ましい。
また、上述した実施形態では、各挟持機構において挟持部材をスライド移動させる駆動手段(駆動源)としてエアシリンダを適用したが、エアシリンダ以外のもの、例えばガスシリンダ、油圧シリンダ、電動シリンダ、電気アクチュエータ、或いはモータを挟持機構の駆動手段として用いることもできる。さらに、部品点数は多くなるものの、各挟持機構における各挟持部材をそれぞれ単独の駆動手段によって駆動させるようにしてもよい。この場合、各駆動手段は同種のもの、または異なる種類のもの、何れであっても構わない。
また、上述した実施形態では、押し上げ機構において押し上げプレートを上下動させる上下動駆動手段(駆動源)として油圧シリンダを適用したが、油圧シリンダ以外のもの、例えばガスシリンダ、エアシリンダ、電動シリンダ、電気アクチュエータ、或いはモータを挟持機構の駆動手段として用いることもできる。
なお、これら駆動手段(上下動駆動手段を含む)として各種シリンダを適用する場合、シリンダロッドを単純に突没動作させる態様の他、シリンダロッドの全長を伸縮させることによって挟持部材または押し上げプレートを所定方向に往復動させるシリンダであっても勿論構わない。
また、上述した実施形態では、各挟持機構において対向配置された挟持部材のうち何れか一方の挟持部材にのみ滑り止め手段を設けた態様を例示したが、両方の挟持部材にそれぞれ滑り止め手段を設けてもよい。なお、本発明者らが、両方の挟持部材にそれぞれ滑り止め手段を設けた挟持機構を有する型枠分解装置によって型枠の分解作業を行ったところ、桟を挟持部材間に挟み込んだ状態から開放状態へ切り替える動作をスムーズに行うことができず、また、桟を開放状態にある挟持部材間を通過させながら型枠全体を搬送方向へ搬送する際に、桟が滑り止め手段に引っ掛かりやすく、搬送処理をスムーズに行うことが困難であった。しかしながら、これらの不具合が、両方の挟持部材にそれぞれ滑り止め手段を設ける技術的思想を本発明の範疇から除外するものではない。
また、上述した実施形態では、横桟挟持機構を、外縦桟挟持機構(第1外縦桟挟持機構、第2外縦桟挟持機構、中間縦桟挟持機構)よりも型枠の搬送方向下流側、及び搬送方向上流側にそれぞれ設けた態様を例示したが、横桟挟持機構を外縦桟挟持機構よりも型枠の搬送方向下流側にのみ設けた態様であってもよい。この場合、型枠のうち搬送方向上流側の領域を分解する際には、型枠の先頭と後尾とが入れ替わるように型枠を反転させて、分解作業当初は搬送方向上流側にあった横桟を搬送方向下流側に位置付け、この横桟を外縦桟挟持機構よりも型枠の搬送方向下流側に設けた横桟挟持機構によって挟持するようにすればよい。このような態様であれば、型枠を反転させるという工程が増えるものの、横桟挟持機構が1つでよいため、構造の簡素化及び各挟持機構を集約する領域のコンパクト化を図ることができる。
また、型枠は、通常、スクリュー釘等の強固な固定状態を維持し得る固定具によって型枠とパネル板とを固定しているため、上述の実施形態で示すように、型枠を長手方向に複数の領域に分けて領域毎に分解処理を行うことによって、挟持機構及び押し上げ機構に過度の挟持力、押し上げ力を要求せずとも好適に分解処理を行うことができる。
また、押し上げ機構における押し上げプレートは各挟持機構と干渉しないスペース内において最大限ないしほぼ最大限の平面寸法を有するものとし、パネル板との接触面積を大きく確保することが好ましく、その平面形状は矩形以外の形状であってもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。