以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図8は、本発明の第1実施形態に係る移動体通信端末101の構成を表している。図8が示すように、移動体通信端末101は、送受信アンテナ111、無線部112、受信信号処理部113、受信データ処理部114、PCMコーデック115、受話増幅器116、レシーバ117、送話増幅器118、マイクロフォン119、制御部120、RSSI(Received Signal Strength Indicator)測定部121、操作部122、表示部123、記憶部124、SINR(Signal-to-interference-plus-Noise Ratio;信号対干渉・雑音比)測定部125、CQI(Channel Quality Indicator)情報生成部126、CQI情報制御部127、CQI情報記憶部128、送信データ処理部129、および送信信号処理部130を備える。
送受信アンテナ111は、移動体通信端末101が対応する移動体通信システムの電波を送波し、または、移動体通信端末1が対応する移動体通信システムの電波を受波する。図示せぬ送受信共用器は、サーキュレータやデュプレクサなどからなり、送受信アンテナ111で受波(受信)された電波を無線部112に送る。また、送受信共用器は、無線部112から入力された信号を送受信アンテナ111へ送る。無線受信部112は、帯域通過フィルタ、利得調整回路、およびA/D変換器などを備え、制御部120から指示されるキャリア周波数の無線信号を受信し、周波数シンセサイザから出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)し、ダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を生成する。無線受信部112の帯域通過フィルタは、移動体通信システムに属する基地局から送信される無線信号を受信し、この受信した信号から所望帯域外の雑音を除去する。また、無線受信部112の利得調整回路は、利得調整回路の後段に設けられるA/D変換器が扱える信号振幅に調整する。無線受信部112のA/D変換器は、帯域通過フィルタを通過した信号をベースバンドのディジタル信号に変換する。
受信信号処理部113は、無線受信部112から出力された受信ベースバンド信号(受信ベースバンドディジタル信号)を、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに合わせてベースバンド処理を行う。受信信号処理部113は、復調部131、レート変換部132、復号部133、および誤り検出部134を備える。
復調部131は、FFT部(時間・周波数変換回路)、周波数チャネル分離部、デスクランブリング部、チャネル推定部、およびチャネル等化部を備え、OFDMによるマルチキャリア復調を行う。具体的には、ベースバンドディジタル信号は、図示せぬGI除去部によってガードインターバルが除去された後、FFT部(高速フーリエ変換部、すなわち、時間・周波数変換回路)により時間領域の信号から周波数領域の信号、すなわちサブキャリア毎の信号に分割される。FFT部は、サブキャリア毎に分割された出力信号を周波数チャネル分離部に出力する。周波数チャネル分離部は、サブキャリアにそれぞれ割り当てられているパイロットチャネル信号とデータチャネル信号を分離する。周波数チャネル分離部は、分離された各信号(パイロットチャネル信号とデータチャネル信号)をデスクランブリング部に出力する。デスクランブリング部は、各信号毎にOFDM送信機(基地局)でかけられたスクランブリングコード系列を用いてデスクランブリングを行い、デスクランブリング後の信号をチャネル等化部に出力する。なお、基地局でかけられたスクランブリングコード系列は、OFDM受信機としての移動体通信端末101側で既知であるものとする。周波数チャネル分離部は、分離されたパイロットチャネル信号をチャネル推定部に出力する。チャネル推定部は、パイロットチャネル信号の平均化または補間などを行うことによりチャネル推定を行う。チャネル推定部は、チャネル応答を示すチャネル推定値をチャネル等化部に出力する。チャネル等化部は、チャネル推定部からのチャネル推定値を用いて各データチャネル信号に対してチャネル等化を行う。なお、時間・周波数変換回路は、DFT(離散フーリエ変換)を用いてもよい。復調部131は、チャネル等化後のデータチャネル信号をレート変換部132に出力する。
レート変換部132は、基地局から予め取得されるチャネル情報に含まれるチャネル符号化率(チャネルコーディングレート)Rに基づいて、チャネル等化後のデータチャネル信号を変換し、チャネル等化後のデータチャネル信号から冗長な部分を除去する。ここで、「チャネル符号化率R」とは、誤り訂正符号化処理(誤り訂正用に必要なビットを付加する処理)前のオリジナルの送信データと、その送信データに対して誤り訂正符号化処理を施した後に基地局が移動体通信端末101に対して送信する実際の送信データとの情報量の比を意味する。例えば3ビットのオリジナルの送信データに対し誤り訂正用に1ビットを付加する誤り訂正符号化処理を施して4ビットにチャネル符号化する場合、チャネル符号化率Rは3/4(=75%)となる。チャネル符号化率Rが3/4であるとすると、レート変換部132は、このチャネル符号化率Rに基づいてデータチャネル信号を3/4にレート変換し、オリジナルの送信データに予め付加された冗長な部分を除去する。レート変換部132は、レート変換後のデータチャネル信号を復号部133に出力する。
復号部133は、基地局から予め取得されるチャネル情報に含まれる変調方式(QPSKなどのディジタル変調方式)に基づいて、レート変換後のデータチャネル信号に対してサブキャリア復調を施し、サブキャリア復調後のデータチャネル信号を誤り検出部134に出力する。誤り検出部134は、サブキャリア復調後のデータチャネル信号に対してチャネルデコーディング(誤り訂正復号化)を施し、データ信号の元となるビット列(下り送信データビット列)を再生する。受信信号処理部113は、下り送信データビット列を受信データ処理部114に出力する。
受信データ処理部114は、受信信号処理部113でベースバンド処理されたベースバンド信号をデータおよび音声に変換する。制御部120は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなる。制御部120のCPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部25からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより移動体通信端末101を統括的に制御する。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。具体的には、制御部120は、移動体通信システムによる音声通信やデータ通信を実現する制御機能を備えており、無線部112が用いるキャリア周波数を制御し、無線部112での受信結果に基づいてパイロット信号の探索を行う。
移動体通信端末101は、受話増幅器116、受話音声信号を拡声出力するレシーバ117、送話増幅器118、送話音声信号を入力するマイクロフォン119、ユーザからの要求を受け付ける操作部122、および受信データに基づく画像を表示する表示部123を備える。記憶部124は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部120のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群、移動無線端末1の制御プログラムや制御データ、移動無線端末1またはユーザに固有に割り当てられた識別情報を格納する。この他にも、記憶部124は、名前と電話番号を対応づけた電話帳データや、データ通信により取得したデータやダウンロードしたデータを適宜記憶する。また、移動体通信端末101は、バッテリの出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する電源回路や、現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)を備える。
RSSI(受信信号強度)測定部121は、受信信号処理部113における受信信号強度を測定し、測定結果を制御部120に出力する。SINR測定部125は、受信信号処理部113からの受信信号に関する無線伝送路品質(SINR)を測定し、測定結果をCQI情報生成部126に出力する。なお、受信信号に関する無線伝送路品質は、受信信号のSIRでもよい。CQI情報生成部126は、SINR測定部125による測定結果に基づいて、受信可能な伝送フォーマット(変調方式とチャネル符号化率の組合せ(MCS:Modulation and Channel Coding Scheme))を決定し、決定された伝送フォーマット(変調方式と誤り訂正符号化率の組合せ)に基づいてチャネル状態情報(CQI情報:Channel Quality Indicator情報)を生成する。このチャネル状態情報(CQI情報)には、変調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせ(MCS)を示すCQI Indexと、CQI Indexに対応するMCSレベルが含まれている。CQI情報生成部126は、チャネル状態情報(CQI情報)をCQI情報制御部127と送信信号処理部130に出力する。チャネル状態情報は、送信信号処理部130と無線部112を介して基地局に送信される。
CQI情報制御部127は、CQI情報生成部126からのチャネル状態情報(CQI情報)を取得し、取得されたチャネル状態情報に基づいて一定周期で、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値を初期化または更新する。CQI情報記憶部128は、現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値を記憶する。
送信データ処理部129は、移動体通信端末101が利用できる移動体通信システムに属する基地局に対して通信データを送信するための送信ベースバンド処理を行う。送信データ処理部129は、少なくとも符号部141と変調部142を備える。符号部141は、基地局から予め取得されるチャネル情報に含まれる変調方式(QPSKなどのディジタル変調方式)に基づいて、送信データに対してサブキャリア変調を施し、サブキャリア変調後の送信データを変調部142に出力する。変調部142は、サブキャリア変調後の送信データに対してOFDMによるマルチキャリア変調を行う。具体的には、変調部142は、IFFT部を備え、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換することによってOFDM信号を生成する。IFFT部によって生成されたOFDM信号は、ガードインタバル(GI)が付加され、無線部112に出力される。
図9のフローチャートを参照して、図8の移動体通信端末101におけるMCSレベル表示制御処理について説明する。図9では、移動体通信端末101が待ち受けモードを開始している場合を想定しており、移動体通信端末101は移動体通信システム(OFDMAの移動体通信システムなど)に属するいずれかの基地局と待ち受け中である。ここで、「待ち受けモード」とは、移動体通信端末101が移動通信網に対して移動局として登録済みであるが、移動体通信端末101が通信すべきデータがないために基地局とデータ通信は行わず、所定の周期(ページング周期)でページング(paging)を行い、着信の有無を確認している状態を意味する。
ステップS1において、制御部120は、無線部112や受信信号処理部113を制御し、移動体通信システムに属するいずれかの基地局に対して待ち受けモードを開始する。ステップS2において、制御部120は、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれるすべてのリソースブロックでのSINRを測定することができるように、無線部112と受信信号処理部113を制御する。SINR測定部125は、ページング周期(ページングチャネル周期)またはページング周期の整数倍(2倍や3倍など)の周期で、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RB(リソースブロック)で、受信信号処理部113からの受信信号(パイロット信号などの既知の信号に関する受信信号)に関する無線伝送路品質(SINR)を測定し、各RBでの測定結果をCQI情報生成部126に出力する。CQI情報生成部126は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RBで、SINR測定部125による測定結果に基づいて受信可能なMCSを決定し、決定された伝送フォーマット(変調方式と誤り訂正符号化率の組合せ)に基づいてチャネル状態情報(CQI情報)を生成する。各RBごとのCQI情報には、変調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせ(MCS)を示すCQI Indexと、CQI Indexに対応するMCSレベルが含まれている。CQI情報生成部126は、各RBごとのCQI情報をCQI情報制御部127に出力する。
ステップS3において、CQI情報制御部127は、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RBごとのCQI情報を取得し、取得された各RBごとのCQI情報に基づいて、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルを算出する。ここで、「推定MCSレベル」とは、移動体通信端末101が移動体通信システムに属する基地局とデータ通信を現時点の伝送路状態でする場合において推定されるMCSレベルをいう。なお、移動体通信システムに属する基地局とデータ通信する場合においては、基地局との間でのネゴシエーションによりMCSが決定されることから、推定MCSレベルはあくまで現時点での伝送路状態でデータ通信する場合に推定されるMCSレベルである。具体的には、CQI情報制御部127は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれるすべてのRBのMCSレベルの平均を、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルとして算出する。図10は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルの算出方法の一例を示す。図10の場合、RB1におけるMCSレベルは「6」であり、RB2におけるMCSレベルは「8」であり、以下同様である。そして、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれるRB1乃至RB8のMCSレベルの平均はおよそ5(=43/8)である。従って、図10の場合、CQI情報制御部127は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルを「5」と算出する。なお、CQI情報制御部127は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルとして、すべてのRBのうち最大のMCSレベルを用いるようにしてもよい。具体的には、図10の場合、CQI情報制御部127は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルとして、すべてのRBのうち最大のMCSレベル8を用いる。
また、CQI情報制御部127は、算出された推定MCSレベルに基づいて、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルを更新する。CQI情報記憶部128は、CQI情報制御部127の制御に従い、現在の推定MCSレベルを記憶する。例えば算出された推定MCSレベルが「10」である場合、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルが「MCSレベル10」に更新される。
ステップS4において、CQI情報制御部127は、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMax値(これまでに移動体通信端末101が測定した過去の推定MCSレベルに関するMax値)を読み出し、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値よりも大きいか否かを判定する。例えば算出された推定MCSレベルが「10」である場合に、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMax値が「12」であるとき、CQI情報制御部127は、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値よりも小さいと判定する。一方、例えば算出された推定MCSレベルが「13」である場合に、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMax値が「12」であるとき、CQI情報制御部127は、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値よりも大きいと判定する。ステップS4においてCQI情報制御部127が、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値よりも大きいと判定した場合、CQI情報制御部127はステップS5で、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルのMax値を、算出された推定MCSレベルに更新する。一方、ステップS4においてCQI情報制御部127が、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値以下であると判定した場合、CQI情報制御部127はステップS5の処理をスキップする。これにより、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルのMax値は更新されず、そのままの値で維持される。
ステップS6において、CQI情報制御部127は、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMin値(これまでに移動体通信端末101が測定した過去の推定MCSレベルに関するMin値)を読み出し、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値よりも小さい否かを判定する。例えば算出された推定MCSレベルが「10」である場合に、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMin値が「2」であるとき、CQI情報制御部127は、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値よりも大きいと判定する。一方、例えば算出された推定MCSレベルが「1」である場合に、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMin値が「2」であるとき、CQI情報制御部127は、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値よりも小さいと判定する。ステップS6においてCQI情報制御部127が、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値よりも小さいと判定した場合、CQI情報制御部127はステップS7で、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルのMin値を、算出された推定MCSレベルに更新する。一方、ステップS6においてCQI情報制御部127が、算出された推定MCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値以上と判定した場合、CQI情報制御部127はステップS7の処理をスキップする。これにより、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルのMin値は更新されず、そのままの値で維持される。
このように、ステップS3乃至S7の処理により、CQI情報記憶部128は、CQI情報制御部127の制御に従い、現在の推定MCSレベルと推定MCSレベルに関するMin値とMax値を更新する。例えば算出された推定MCSレベルが「10」であり、かつ推定MCSレベルに関するMin値とMax値に変更がない場合、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルのみが「MCSレベル10」に更新される。
ステップS8において、制御部120は、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値を読み出し、読み出された現在の推定MCSレベルと推定MCSレベルに関するMin値とMax値を用いて表示部123の表示を更新する。これにより、移動体通信端末101が基地局との待ち受け中に、表示部123が表示する現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値が、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値に所定の周期(ページング周期またはページング周期の整数倍の周期)ごとに更新される。図11は、表示部123が表示する現在の推定MCSレベルと、推定MCSレベルに関するMin値とMax値を示す。図11の場合、現在の推定MCSレベルとして「10」が表示され、推定MCSレベルに関するMin値として「2」が表示され、推定MCSレベルに関するMax値として「12」が表示される。ステップS9において、制御部120は、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とデータ通信を開始するか否かを判定する。ステップS9において制御部120が、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とデータ通信を開始しないと判定した場合、処理はステップS2に戻り、移動体通信端末101は待ち受けモードを継続して、ステップS2においてページング周期またはページング周期の整数倍の周期ごとに各RBごとのCQI情報が生成され、生成された各RBごとのCQI情報に基づいて現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値が適宜更新される。なお、CQI情報記憶部128が記憶する現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値は、一定の周期(例えば30分などの周期)で初期化される。なお、CQI情報記憶部128が記憶する現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値が初期化される周期はユーザが任意に指定し、指定された周期を移動体通信端末101が初期化周期として設定するようにしてもよい。
一方、ステップS9において制御部120が、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とデータ通信を開始すると判定した場合、制御部120はステップS10で、無線部112、受信信号処理部113、SINR測定部125、CQI情報生成部126、および送信信号処理部130を制御し、基地局との間でネゴシエーションを行い、通信に使用するMCSを決定する。具体的には、移動体通信端末101はCQI情報を基地局に対して送信し、基地局は、個別情報のチャネルのユーザ情報及び伝送フォーマット情報と使用する帯域情報を移動体通信端末101に対して送信し、移動体通信端末101は、無線部112と受信信号処理部113を介して、この制御チャネルにのせられた情報に基づいて、基地局からの個別情報チャネルを受信し、制御部120はこの個別情報チャネルを取得し、通信に使用するMCSを認識する。移動体通信端末101の制御部120は、無線部112、受信信号処理部113、および送信信号処理部130を制御し、基地局とのネゴシエーションで決定したMCSを用いてデータ通信を開始する。
ステップS11において、CQI情報制御部127は、制御部120の制御に従い、移動体通信端末101と基地局との間で決定されたMCSレベルと、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベル(表示部123により表示される現在の推定MCSレベル)とが異なるか否かを判定する。例えば、移動体通信端末101と基地局との間で決定された推定MCSレベルが「MCSレベル8」であり、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルが「MCSレベル10」である場合には、CQI情報制御部127は、制御部120の制御に従い、移動体通信端末101と基地局との間で決定された推定MCSレベルと、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルとが異なると判定する。
ステップS11においてCQI情報制御部127が、移動体通信端末101と基地局との間で決定されたMCSレベルと、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルとが異なると判定した場合、CQI情報制御部127はステップS12で、制御部120の制御に従い、移動体通信端末101と基地局との間で決定されたMCSレベルに基づいて、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベル(表示部123により表示される現在の推定MCSレベル)を更新する。例えば、移動体通信端末101と基地局との間で決定されたMCSレベルが「MCSレベル8」であり、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルが「MCSレベル10」である場合には、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルが「MCSレベル8」に更新される。これにより、移動体通信端末101が基地局とデータ通信する場合において基地局との間で決定されたMCSレベルに一致させることができ、データ通信時における通信品質を好適に表示することができる。
一方、ステップS11においてCQI情報制御部127が、移動体通信端末101と基地局との間で決定されたMCSレベルと、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルとが同じであると判定した場合、ステップS12の処理はスキップされる。
ステップS13において、CQI情報制御部127は、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMax値を読み出し、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが、読み出された推定MCSレベルに関するMax値よりも大きいか否かを判定する。例えば移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが「10」である場合に、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMax値が「12」であるとき、CQI情報制御部127は、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値よりも小さいと判定する。一方、例えば移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが「13」である場合に、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMax値が「12」であるとき、CQI情報制御部127は、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値よりも大きいと判定する。ステップS13においてCQI情報制御部127が、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値よりも大きいと判定した場合、CQI情報制御部127はステップS14で、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルのMax値を、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルに更新する。一方、ステップS13においてCQI情報制御部127が、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMax値以下であると判定した場合、CQI情報制御部127はステップS14の処理をスキップする。これにより、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルのMax値は更新されず、そのままの値で維持される。
ステップS15において、CQI情報制御部127は、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMin値を読み出し、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが、読み出された推定MCSレベルに関するMin値よりも小さいか否かを判定する。例えば、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが「10」である場合に、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMin値が「2」であるとき、CQI情報制御部127は、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値よりも大きいと判定する。一方、例えば移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが「1」である場合に、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルに関するMin値が「2」であるとき、CQI情報制御部127は、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値よりも小さいと判定する。ステップS15においてCQI情報制御部127が、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値よりも小さいと判定した場合、CQI情報制御部127はステップS16で、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルのMin値を、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルに更新する。一方、ステップS15においてCQI情報制御部127が、移動体通信端末と基地局との間で決定されたMCSレベルが読み出された推定MCSレベルに関するMin値以上と判定した場合、CQI情報制御部127はステップS16の処理をスキップする。これにより、CQI情報記憶部128に記憶される推定MCSレベルのMin値は更新されず、そのままの値で維持される。
ステップS17において、制御部120は、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値を読み出し、読み出された現在の推定MCSレベルと推定MCSレベルに関するMin値とMax値を用いて表示部123の表示を更新する。これにより、移動体通信端末101が基地局とのデータ通信が開始される場合、表示部123が表示する現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値が、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルや推定MCSレベルに関するMin値とMax値に更新される。
ステップS18において、制御部120は、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とのデータ通信を終了するか否かを判定し、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とのデータ通信を終了すると判定するまで待機し、移動体通信端末101は、基地局とのデータ通信を行う。ステップS18において制御部120が、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とのデータ通信を終了すると判定した場合、処理はステップS1に戻り、制御部120は、無線部112と受信信号処理部113を制御し、移動体通信システムに属するいずれかの基地局に対して待ち受けモードを開始し、その後、ステップS2以降の処理を開始する。
このように、本発明の第1実施形態に係る移動体通信端末101は、移動体通信端末と移動体通信システムに属する基地局との間で無線信号を送受信し、移動体通信端末と移動体通信システムに属する基地局との間で送受信される無線信号を処理し、移動体通信端末と移動体通信システムに属する基地局との間の伝送路状態に応じて、予め複数定められる、変調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせであるMCSのうちいずれか1つに移動体通信システムに属する基地局との間で決定し、決定されるMCSを用いて、移動体通信端末と移動体通信システムに属する基地局との間の通信を制御し、移動体通信端末が待ち受けている移動体通信システムに属する基地局からの無線信号の受信品質を検出し、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各リソースブロックごとに、複数のMCSの中での、検出される受信品質に基づくMCSのMCSレベルを含むチャネル状態情報を生成し、移動体通信端末が移動体通信システムに属する基地局に対して待ち受けている場合に、生成される各リソースブロックごとのチャネル状態情報に基づいて、移動体通信端末が移動体通信システムに属する基地局とデータ通信をする場合における移動体通信端末での推定MCSレベルを算出し、算出される推定MCSレベルを表示することができる。これにより、本発明の第1実施形態に係る移動体通信端末101は、待ち受け中においてもCQI測定を実施し、MCSに対応するCQI indexをリアルタイムに表示し、通信品質(受信品質)を好適に表示することができる。そして、ユーザは、実際に伝送路状態が良い場所がどこであるかを認識することができ、ユーザに受信品質が良好な場所にて無線通信を行うよう促し、移動体通信端末101の低消費電力化及びセクタスループットを向上させることすることができる。また、移動体通信システムは、伝送効率のよいMCSを用いてデータ伝送を行うことができ、周波数利用効率を向上させることができる。
[第2実施形態]
ところで、本発明の第1実施形態の場合、移動体通信端末101は、基地局との待ち受け中やデータ通信を開始したときに、現在の推定MCSレベルとMCSレベルに関するMin値とMax値の表示を適宜更新する。これにより、移動体通信端末101は、待ち受け中においてもCQI測定を実施し、通信品質(受信品質)を好適に表示することができる。これ以外の通信品質表示方法(受信品質表示方法)として、次のようなものが考えられる。すなわち、基地局からの報知情報や下りリソース割当情報などに基づいて移動体通信端末101がデータ通信を開始した場合における伝送レートを予測し、予測される伝送レートを受信品質として表示する。具体的には、移動体通信端末101は基地局との待ち受け中にページング周期またはページング周期の整数倍の周期でCQI測定をし(CQI情報を生成し)、現在の推定MCSレベルと推定MCSレベルに関するMin値とMax値の表示を適宜更新するとともに、基地局からの報知情報または下りリソース割当情報(システム帯域に関する情報や、ユーザIDに基づくユーザ数に関する情報が含まれる)に基づいて自端末に割り当てられる無線リソース量を推定し、測定したCQIから推測されるMCSと推定したリソース量から、伝送レート(伝送速度)を予測して表示する。図12は、システム帯域幅(周波数帯域幅)Fwとユーザ数Nと予測される伝送レートとの関係を示している。図12が示すように、移動体通信端末101が接続する基地局が利用するシステム帯域幅(周波数帯域幅)が相対的に広くなればなるほど、移動体通信端末101が基地局とデータ通信する場合において予測される伝送レートは高くなり、また、基地局に接続する移動体通信端末101の数(すなわち、ユーザ数)が少なくなればなるほど、基地局が1端末あたりに割り当てる無線リソース量は多くなることから、移動体通信端末101が基地局とデータ通信する場合において予測される伝送レートは高くなる。
一方、移動体通信端末101が接続する基地局が利用するシステム帯域幅(周波数帯域幅)が相対的に狭くなればなるほど、移動体通信端末101が基地局とデータ通信する場合において予測される伝送レートは低くなり、また、基地局に接続する移動体通信端末101の数(すなわち、ユーザ数)が多くなればなるほど、基地局が1端末あたりに割り当てる無線リソース量は少なくなることから、移動体通信端末101が基地局とデータ通信する場合において予測される伝送レートは低くなる。以下、本発明の第2実施形態に係る伝送レートの予測方法について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係る移動体通信端末101の内部の構成を表している。図13の構成は、図8が示す本発明の第1実施形態に係る移動体通信端末101の構成と基本的には同様である。図8の構成と対応するものについては同一の符号を付しており、異なる構成以外については説明を省略する。
割り当て情報取得部151は、受信信号処理部113から、基地局からの報知情報または下りリソース割当情報(システム帯域に関する情報や、ユーザIDに基づくユーザ数に関する情報が含まれる)を取得し、基地局からの報知情報または下りリソース割当情報の中から、システム帯域幅Fwや、ユーザ数N、あるいは移動体通信端末101が待ち受け中の基地局とデータ通信中またはデータ通信時のネゴシエーション中の他の移動体通信端末101が基地局との間で決定したMCSを検出する。割り当て情報取得部151は、検出されたシステム帯域幅Fwや、ユーザ数N、あるいは他の移動体通信端末101が基地局との間で決定したMCSに関する情報を伝送レート(伝送速度)算出部152に出力する。
伝送レート算出部152は、割り当て情報取得部151からの情報(システム帯域幅Fwや、ユーザ数N、あるいは他の移動体通信端末101が基地局との間で決定したMCSに関する情報)を取得し、混雑度Tr(=システム帯域幅Fw/ユーザ数N)を算出する。また、伝送レート算出部152は、CQI情報制御部127からの移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルと、混雑度Trに基づいて、予測される推定伝送レートを算出し、算出された推定伝送レートを伝送レート情報記憶部153に出力する。伝送レート情報記憶部153は、現在の推定伝送レート、および推定伝送レートに関するMin値とMax値を記憶する。
図14と図15のフローチャートを参照して、図13の移動体通信端末101における伝送レート表示制御処理について説明する。図14と図15では、移動体通信端末101が待ち受けモードを開始している場合を想定しており、移動体通信端末101は移動体通信システム(OFDMAの移動体通信システムなど)に属するいずれかの基地局と待ち受け中である。
ステップS101において、制御部120は、無線部112や受信信号処理部113を制御し、移動体通信システムに属するいずれかの基地局に対して待ち受けモードを開始する。ステップS102において、移動体通信端末101は、基地局から定常的に送信される報知チャネルを受信する。割り当て情報取得部151は、受信信号処理部113から、基地局からの報知情報または下りリソース割当情報(システム帯域に関する情報や、ユーザIDに基づくユーザ数に関する情報が含まれる)を取得し、基地局からの報知情報または下りリソース割当情報の中から、システム帯域幅Fwを検出する。ステップS103において、割り当て情報取得部151は、基地局からの報知情報または下りリソース割当情報に含まれるユーザIDに基づいて、移動体通信端末101が待ち受け中の基地局とデータ通信中またはデータ通信時のネゴシエーション中の他の移動体通信端末101の数(すなわち、ユーザ数N)を検出する。
ステップS104において、制御部120は、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれるすべてのリソースブロックでのSINRを測定することができるように、無線部112と受信信号処理部113を制御する。SINR測定部125は、ページング周期またはページング周期の整数倍(2倍や3倍など)の周期で、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RB(リソースブロック)で、受信信号処理部113からの受信信号(パイロット信号などの既知の信号に関する受信信号)に関する無線伝送路品質(SINR)を測定し、各RBでの測定結果をCQI情報生成部126に出力する。CQI情報生成部126は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RBで、SINR測定部125による測定結果に基づいて受信可能なMCSを決定し、決定された伝送フォーマット(変調方式と誤り訂正符号化率の組合せ)に基づいてチャネル状態情報(CQI情報)を生成する。各RBごとのCQI情報には、変調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせ(MCS)を示すCQI Indexと、CQI Indexに対応するMCSレベルが含まれている。CQI情報生成部126は、各RBごとのCQI情報をCQI情報制御部127に出力する。
ステップS105において、CQI情報制御部127は、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RBごとのCQI情報を取得し、取得された各RBごとのCQI情報に基づいて、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルを算出する。なお、ステップS105における移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルの算出方法は、図9のステップS3における算出方法と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。ステップS106において、伝送レート算出部152は、割り当て情報取得部151によって検出されたシステム帯域幅Fwとユーザ数Nを取得し、取得されたシステム帯域幅Fwとユーザ数Nに基づいて混雑度Tr(=システム帯域幅Fw/ユーザ数N)を算出する。この混雑度Trは、移動体通信端末101が待ち受け中の基地局の混雑の程度を示している。
ステップS107において、伝送レート算出部152は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルと、混雑度Trとに基づいて、予測される推定伝送レート(推定伝送速度)Erを算出する。ここで、「推定伝送速度」とは、移動体通信端末1010が移動体通信システムに属する基地局とデータ通信を現時点の伝送路状態でする場合において推定される伝送速度をいう。また、伝送レート算出部152は、算出された推定伝送レート(予測される伝送レート)に基づいて、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートを更新する。伝送レート情報記憶部153は、伝送レート算出部152の制御に従い、現在の推定伝送レートを記憶する。例えば算出された推定伝送レートが「1.2Mbps」である場合、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートが「1.2Mbps」に更新される。
ステップS108において、伝送レート算出部152は、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMax値(これまでに移動体通信端末101が予測した過去の推定伝送レートに関するMax値)を読み出し、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMax値よりも大きいか否かを判定する。例えば算出された推定伝送レートが「1.2Mbps」である場合に、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMax値が「3.4Mbps」であるとき、伝送レート算出部152は、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMax値よりも小さいと判定する。一方、例えば算出された推定伝送レートが「5.0Mps」である場合に、伝送レート情報記憶部153に記憶される伝送レートに関するMax値が「3.4Mbps」であるとき、伝送レート算出部152は、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMax値よりも大きいと判定する。ステップS108において伝送レート算出部152が、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMax値よりも大きいと判定した場合、伝送レート算出部152はステップS109で、伝送レート情報記憶部153に記憶される伝送レートのMax値を、算出された推定伝送レートに更新する。一方、ステップS108において伝送レート算出部152が、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMax値以下であると判定した場合、伝送レート算出部152はステップS109の処理をスキップする。これにより、伝送レート情報記憶部153に記憶される伝送レートのMax値は更新されず、そのままの値で維持される。
ステップS110において、伝送レート算出部152は、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMin値(これまでに移動体通信端末101が予測した過去の推定伝送レートに関するMin値)を読み出し、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMin値よりも小さい否かを判定する。例えば算出された推定伝送レートが「1.2Mbps」である場合に、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMin値が「100kbps」であるとき、伝送レート算出部152は、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMin値よりも大きいと判定する。一方、例えば算出された推定伝送レートが「90kbps」である場合に、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMin値が「100kbps」であるとき、伝送レート算出部152は、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMin値よりも小さいと判定する。ステップS110において伝送レート算出部152が、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMin値よりも小さいと判定した場合、伝送レート算出部152はステップS111で、伝送レート情報記憶部153に記憶される伝送レートのMin値を、算出された推定伝送レートに更新する。一方、ステップS110において伝送レート算出部152が、算出された推定伝送レートが読み出された推定伝送レートに関するMin値以上と判定した場合、伝送レート算出部152はステップS111の処理をスキップする。これにより、伝送レート情報記憶部153に記憶される伝送レートのMin値は更新されず、そのままの値で維持される。
このように、ステップS102乃至S111の処理により、伝送レート情報記憶部153は、伝送レート算出部152の制御に従い、現在の推定伝送レートと推定伝送レートに関するMin値とMax値を更新する。例えば算出された推定伝送レートが「1.5Mbps」であり、かつ推定MCSレベルに関するMin値とMax値に変更がない場合、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートのみが「1.5Mbps」に更新される。
ステップS113において、制御部120は、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートや推定伝送レートに関するMin値とMax値を読み出し、読み出された現在の推定伝送レートと推定伝送レートに関するMin値とMax値を用いて表示部123の表示を更新する。これにより、移動体通信端末101が基地局との待ち受け中に、表示部123が表示する現在伝送レート(現時点で予測される伝送レート)や推定伝送レートに関するMin値とMax値が、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートや推定伝送レートに関するMin値とMax値に所定の周期(ページング周期またはページング周期の整数倍の周期)ごとに更新される。図16は、表示部123が表示する現在の推定伝送レートと、推定伝送レートに関するMin値とMax値を示す。図16の場合、現在の推定伝送レートとして「1.2Mbps」が表示され、推定伝送レートに関するMin値として「100kbps」が表示され、伝送レートに関するMax値として「3.4Mbps」が表示される。ステップS113において、制御部120は、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とデータ通信を開始するか否かを判定する。ステップS113において制御部120が、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とデータ通信を開始しないと判定した場合、処理はステップS102に戻り、移動体通信端末101は待ち受けモードを継続して、現在の推定伝送レートや推定伝送レートに関するMin値とMax値が適宜更新される。なお、伝送レート情報記憶部153が記憶する現在の推定伝送レートや推定伝送レートに関するMin値とMax値は、一定の周期(例えば30分などの周期)で初期化される。なお、伝送レート情報記憶部153が記憶する現在の推定伝送レートや推定伝送レートに関するMin値とMax値が初期化される周期はユーザが任意に指定し、指定された周期を移動体通信端末101が初期化周期として設定するようにしてもよい。
一方、ステップS113において制御部120が、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とデータ通信を開始すると判定した場合、制御部120は図15のステップS114で、無線部112、受信信号処理部113、SINR測定部125、CQI情報生成部126、および送信信号処理部130を制御し、基地局との間でネゴシエーションを行い、通信に使用するMCSを決定する。具体的には、移動体通信端末101はCQI情報を基地局に対して送信し、基地局は、個別情報のチャネルのユーザ情報及び伝送フォーマット情報と使用する帯域情報を移動体通信端末101に対して送信し、移動体通信端末101は、無線部112と受信信号処理部113を介して、この制御チャネルにのせられた情報に基づいて、基地局からの個別情報チャネルを受信し、制御部120はこの個別情報チャネルを取得し、通信に使用するMCSを認識する。移動体通信端末101の制御部120は、無線部112、受信信号処理部113、および送信信号処理部130を制御し、基地局とのネゴシエーションで決定したMCSを用いてデータ通信を開始する。
ステップS115において、伝送レート算出部152は、制御部120の制御に従い、移動体通信端末101と基地局との間で決定されたMCS(MCSレベル)と、基地局によって割り当てられた無線リソース量に基づいて、データ通信における伝送レートErを算出する。ステップS116において、伝送レート算出部152は、制御部120の制御に従い、算出されたデータ通信時における伝送レートErと、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートEr(表示部123により表示される現在の推定伝送レート)とが異なるか否かを判定する。
ステップS116において伝送レート算出部152が、算出されたデータ通信時における伝送レートErと、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートErとが異なると判定した場合、伝送レート算出部152はステップS117で、制御部120の制御に従い、算出されたデータ通信時における伝送レートErに基づいて、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レート(表示部123により表示される推定伝送レート)を変更する(更新する)。例えば、算出されたデータ通信時における伝送レートErが「1.5Mbps」であり、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートが「1.2Mbps」である場合には、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートが「1.5Mbps」に更新される。一方、ステップS116において伝送レート算出部152が、算出されたデータ通信時における伝送レートErと、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートErとが同じであると判定した場合、ステップS117の処理はスキップされる。
ステップS118において、伝送レート算出部152は、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMax値を読み出し、算出されたデータ通信時における伝送レートErが、読み出された推定伝送レートに関するMax値よりも大きいか否かを判定する。例えば算出されたデータ通信時における伝送レートが「1.5Mbps」である場合に、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMax値が「3.4Mbps」であるとき、伝送レート算出部152は、算出されたデータ通信時における伝送レートErが読み出された推定伝送レートに関するMax値よりも小さいと判定する。一方、例えば算出されたデータ通信時における伝送レートErが「4.0Mbps」である場合に、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMax値が「3.4Mbps」であるとき、伝送レート算出部152は、算出されたデータ通信時における伝送レートErが読み出された推定伝送レートに関するMax値よりも大きいと判定する。ステップS118において伝送レート算出部152が、算出されたデータ通信時における伝送レートErが読み出された推定伝送レートErに関するMax値よりも大きいと判定した場合、伝送レート算出部152はステップS119で、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートErのMax値を、算出されたデータ通信時における伝送レートErに更新する。一方、ステップS118において伝送レート算出部152が、算出されたデータ通信時における伝送レートErが読み出された推定伝送レートに関するMax値以下であると判定した場合、伝送レート算出部152はステップS119の処理をスキップする。これにより、伝送レート記憶部152に記憶される推定伝送レートのMax値は更新されず、そのままの値で維持される。
ステップS120において、伝送レート算出部152は、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートに関するMin値を読み出し、算出されたデータ通信時における伝送レートErが、読み出された推定伝送レートErに関するMin値よりも小さいか否かを判定する。例えば、算出されたデータ通信時における伝送レートErが「150kbps」である場合に、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートErに関するMin値が「100kbps」であるとき、伝送レート算出部152は、算出されたデータ通信時における伝送レートErが読み出された推定伝送レートErに関するMin値よりも大きいと判定する。一方、例えば、算出されたデータ通信時における伝送レートErが「90kbps」である場合に、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートErに関するMin値が「100kbps」であるとき、伝送レート算出部152は、算出されたデータ通信時における伝送レートErが読み出された推定伝送レートErに関するMin値よりも小さいと判定する。ステップS120において伝送レート算出部152が、算出されたデータ通信時における伝送レートErが読み出された推定伝送レートErに関するMin値よりも小さいと判定した場合、伝送レート算出部152はステップS121で、伝送レート情報記憶部153に記憶される伝送レートErのMin値を、算出されたデータ通信時における伝送レートErに更新する。一方、ステップS120において伝送レート算出部152が、算出されたデータ通信時における伝送レートErが読み出された推定伝送レートErに関するMin値以上と判定した場合、伝送レート算出部152はステップS121の処理をスキップする。これにより、伝送レート情報記憶部153に記憶される推定伝送レートErのMin値は更新されず、そのままの値で維持される。
ステップS122において、制御部120は、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートErや推定伝送レートErに関するMin値とMax値を読み出し、読み出された現在の推定伝送レートErと推定伝送レートErに関するMin値とMax値を用いて表示部123の表示を更新する。これにより、移動体通信端末101が基地局とのデータ通信が開始される場合、表示部123が表示する現在の推定伝送レートErや推定伝送レートErに関するMin値とMax値が、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートErや推定伝送レートErに関するMin値とMax値に更新される。
ステップS123において、制御部120は、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とのデータ通信を終了するか否かを判定し、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とのデータ通信を終了すると判定するまで待機し、移動体通信端末101は、基地局とのデータ通信を行う。ステップS123において制御部120が、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とのデータ通信を終了すると判定した場合、処理はステップS101に戻り、制御部120は、無線部112と受信信号処理部113を制御し、移動体通信システムに属するいずれかの基地局に対して待ち受けモードを開始し、その後、ステップS102以降の処理を開始する。
ところで、図14と図15を用いて説明した伝送レート表示制御処理の場合、移動体通信端末101は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルと、混雑度Trとに基づいて、予測される推定伝送レートを算出し、算出された推定伝送レートErを表示するようにしたが、このような場合に限られない。すなわち、移動体通信端末101が待ち受け中の基地局とデータ通信中またはデータ通信時のネゴシエーション中の他の移動体通信端末101が基地局との間で決定したMCSを検出し、検出結果に基づいて、基地局とデータ通信中またはデータ通信時のネゴシエーション中のすべての移動体通信端末101に関するMCSのヒストグラム(hist;頻度分布)を作成し、作成されたMCSのヒストグラムと自端末における推定MCSレベルとを用いて、自端末における推定MCSレベルと混雑度Trに基づく推定伝送レートErを補正するようにしてもよい。これにより、単に、基地局からの報知情報または下りリソース割当情報に基づいて自端末に割り当てられる無線リソース量を推定して伝送レートを予測して表示するのではなく、他の移動体通信端末101に関するMCSに基づいて基地局のカバーエリア内の移動体通信端末101での受信品質を把握し、自端末における推定MCSレベルと比較することによって基地局スケジューラに対する自端末の選択の可能性を判断し、基地局のスケジューリングによる周波数リソース割り当ての確率まで考慮した伝送レートを予測して表示することができる。以下、この方法を用いた伝送レート表示制御処理について説明する。
図17と図18のフローチャートを参照して、図13の移動体通信端末101における伝送レート表示制御処理について説明する。図17と図18では、移動体通信端末101が待ち受けモードを開始している場合を想定しており、移動体通信端末101は移動体通信システム(OFDMAの移動体通信システムなど)に属するいずれかの基地局と待ち受け中である。また、図17と図18の処理は、基本的には図14と図15の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
ステップS154において、移動体通信端末101は、基地局から定常的に送信される報知チャネルを受信する。割り当て情報取得部151は、基地局からの報知情報または下りリソース割当情報の中から、移動体通信端末101が待ち受け中の基地局とデータ通信中またはデータ通信時のネゴシエーションの他の移動体通信端末に関するMCSレベルを検出する。
その後、ステップS158において、伝送レート算出部152は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルと、混雑度Trとに基づいて、予測される推定伝送レートErの基準となる基準推定伝送レートEr0を算出する。ステップS159において、伝送レート算出部152は、他の移動体通信端末101に関するMCSレベル(移動体通信端末101が待ち受け中の基地局とデータ通信中またはデータ通信時のネゴシエーションの他の移動体通信端末に関するMCSレベル)のヒストグラム(頻度分布)を作成する。図19(A)と(B)は、他の移動体通信端末に関するMCSレベルのヒストグラムを示している。ステップS160において、伝送レート算出部152は、図19(A)または(B)が示すように、他の移動体通信端末101に関するMCSレベルのヒストグラムの中央値CVを算出する。なお、伝送レート算出部152は、他の移動体通信端末101に関するMCSレベルのヒストグラムの中央値ではなく、他の移動体通信端末101に関するMCSレベルのヒストグラムの平均値を算出するようにしてもよい。次に、ステップS161において、伝送レート算出部152は、他の移動体通信端末101に関するMCSレベルのヒストグラムの中央値CVと、自端末の推定MCSレベルとの差分D(=自端末の推定MCSレベル×k−CV)を算出する。ここで、「k」は定数である。
ステップS162において、伝送レート算出部152は、算出された差分Dに基づいて、基準推定伝送レートEr0を補正するための補正係数wを算出する。具体的には、伝送レート算出部152は、1つの例として次のように補正係数wを算出する。すなわち、伝送レート算出部152は、算出された差分Dが0である場合には、基地局のスケジューリングによる周波数リソースの割り当て確率を基準値(割り当て確率に関する基準値)に対して増加または減少させることはない(影響を与えない)と考えられることから、基準推定伝送レートEr0を補正するための補正係数wを1として算出(設定)し、差分Dが0より大きい場合には、基地局のスケジューリングによる周波数リソースの割り当て確率を基準値(割り当て確率に関する基準値)に対して増加させると考えられることから、基準推定伝送レートEr0を補正するための補正係数wを差分Dの値に応じたα(1<α≦2)として算出(設定)し、差分Dが0より小さい場合には、基地局のスケジューリングによる周波数リソースの割り当て確率を基準値(割り当て確率に関する基準値)に対して増加させると考えられることから、基準推定伝送レートEr0を補正するための補正係数wを差分Dの値に応じたβ(0≦β<1)として算出(設定)する。ここで、図19(A)は差分Dが0より小さい場合を示しており、図19(B)は差分Dが0よりも大きい場合を示している。
なお、勿論、補正係数wの算出処理をより簡単にするために、伝送レート算出部152は、差分Dが0である場合には補正係数wを1に設定し、差分Dが0より大きい場合には、補正係数wを画一的に1.5に設定し、差分Dが0より小さい場合には、補正係数wを画一的に0.5に設定するようにしてもよい。
ステップS163において、伝送レート算出部152は、基準推定伝送レートEr0と補正係数wを用いて、予測される推定伝送レートErを算出する。具体的には、伝送レート算出部152は、基準推定伝送レートEr0に補正係数wを乗じて補正を施し、予測される推定伝送レートErを算出する。また、伝送レート算出部152は、算出された推定伝送レートEr(予測される推定伝送レート)に基づいて、伝送レート情報記憶部153に記憶される現在の推定伝送レートErを更新する。伝送レート情報記憶部153は、伝送レート算出部152の制御に従い、現在の推定伝送レートErを記憶する。これにより、移動体通信端末101は、移動体通信端末101が待ち受け中の基地局の混雑度Trに加え、基地局のスケジューリングによる周波数リソース割り当ての確率まで考慮して予測スループットを表示することが可能になる。
その後、処理はステップS164に進み、ステップS164以降の処理が行われる。
このように、本発明の第2実施形態に係る移動体通信端末101は、移動体通信端末101と移動体通信システムに属する基地局との間で無線信号を送受信し、移動体通信端末101と移動体通信システムに属する基地局との間で送受信される無線信号を処理し、移動体通信端末101と移動体通信システムに属する基地局との間の伝送路状態に応じて、予め複数定められる、変調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせであるMCSのうちいずれか1つに移動体通信システムに属する基地局との間で決定し、決定されるMCSを用いて、移動体通信端末101と移動体通信システムに属する基地局との間の通信を制御し、移動体通信端末101が待ち受けている移動体通信システムに属する基地局からの無線信号の受信品質を検出し、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各リソースブロックごとに、複数のMCSの中での、検出される受信品質に基づくMCSのMCSレベルを含むチャネル状態情報を生成し、移動体通信システムに属する基地局からの報知情報または下りリソース割当情報の中から、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域幅と、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とデータ通信中またはデータ通信時のネゴシエーション中の他の移動体通信端末101の数を検出し、検出される周波数帯域幅と、移動体通信端末101が待ち受けている基地局とデータ通信中またはデータ通信時のネゴシエーション中の他の移動体通信端末101の数とに基づいて、移動体通信システムに属する基地局に関する混雑度を算出し、移動体通信端末101が移動体通信システムに属する基地局に対して待ち受けている場合に、生成される各リソースブロックごとのチャネル状態情報に基づいて、移動体通信端末101が移動体通信システムに属する基地局とデータ通信をする場合における移動体通信端末101での推定MCSレベルを算出し、算出される推定MCSレベルと、算出される混雑度とに基づいて、移動体通信端末101が移動体通信システムに属する基地局とデータ通信をする場合における推定伝送速度を算出し、算出される推定伝送速度を表示することができる。
これにより、本発明の第2実施形態に係る移動体通信端末101は、待ち受け中においてもCQI測定を実施し、CQI(MCSレベル)と推定した無線リソース量に基づいて推定伝送速度を算出してリアルタイムに表示し、通信品質(受信品質)を好適に表示することができる。そして、ユーザは、実際に伝送路状態が良い場所がどこであるかを認識することができ、ユーザに受信品質が良好な場所にて無線通信を行うよう促し、移動体通信端末101の低消費電力化及びセクタスループットを向上させることすることができる。また、移動体通信システムは、伝送効率のよいMCSを用いてデータ伝送を行うことができ、周波数利用効率を向上させることができる。
[第3実施形態]
第1実施形態と第2実施形態に係る移動体通信端末101は、待ち受け中においてもCQI測定を実施して受信品質(MCSレベルまたは伝送レート)を好適に表示することができる。これにより、第1実施形態と第2実施形態に係る移動体通信端末101は、待ち受け中においてもCQI測定を実施し、受信品質(MCSレベルまたは伝送レート)を好適に表示し、ユーザに受信品質が良好な場所にて無線通信を行うよう促し、移動体通信端末101の低消費電力化及びセクタスループットを向上させることすることができる。しかし、例えばユーザが基地局を経由して移動体通信端末101にデータをダウンロード(DL)することを所望する場合に、移動体通信端末101がダウンロードの開始の指示を受け付けたときに受信品質に関係なく直ちにダウンロードを開始すると、データのダウンロードに時間がかかってしまい、データのダウンロード時における消費電力を低減することができなくなる。
そこで、第3実施形態に係る移動体通信端末101は、移動体通信端末101がダウンロードの開始の指示を受け付けたときに受信品質(MCSレベルまたは伝送レート)に関係なくダウンロードを開始するモード(ノーマルモード)か、あるいは、受信品質が基準値よりも良好なときにダウンロードを原則として開始するモード(エコモード)か否かを予め設定することができるようにする。例えば移動体通信端末101が待ち受け中においてもCQI測定を実施して受信品質としてのMCSレベルを表示する場合について具体的に述べる。図20は、移動体通信端末101がダウンロードに関して選択可能なモードを示している。移動体通信端末101がダウンロードの開始の指示を受け付けたときに受信品質に関係なくダウンロードを開始するモード(ノーマルモード)に設定する場合、図20が示すように、移動体通信端末101は、移動体通信端末101がダウンロードの開始の指示を受け付けたときに、受信品質に関係なく直ちにダウンロードを開始する。すなわち、図20の場合、移動体通信端末101がデータのダウンロード開始の指示を受け付けた後で基地局からのデータのダウンロードを開始する時刻におけるCQI Indexは「3」であり、CQI Indexに対応するMCSレベルは「MCSレベル3」であり、移動体通信端末101が基地局からのデータのダウンロード中に、CQI Indexは「3」から「5」に遷移し、CQI Indexに対応するMCSレベルは「MCSレベル3」から「MCSレベル5」に遷移する。MCSレベルの遷移という結果だけを見れば、データのダウンロードに要する時間と、データのダウンロード時における消費電力を考慮して、移動体通信端末101は、MCSレベルが「MCSレベル5」に遷移した後にデータのダウンロードを開始するべきであったとも考えられる。しかし、移動体通信端末101が設定するモードがノーマルモードであることから、移動体通信端末101は、ダウンロードの開始の指示を受け付けたときに、たとえ受信品質が「MCSレベル3」であったとしても、直ちにダウンロードを開始することになる。
これに対して、移動体通信端末101が、受信品質が基準値よりも良好なときにダウンロードを原則として開始するモード(エコモード1またはエコモード2)に設定する場合、図20が示すように、移動体通信端末101は、たとえダウンロードの開始の指示を受け付けたとしても、指示を受けたときの受信品質が基準値より良好でないときにはダウンロードを開始せず、受信品質が基準値よりも良好なときにダウンロードを開始する。図20の場合、移動体通信端末101がデータのダウンロード開始の指示を受け付けた時刻におけるCQI Indexは「3」であり、CQI Indexに対応するMCSレベルは「MCSレベル3」であり、移動体通信端末101が基地局からのデータのダウンロード中に、CQI Indexは「3」から「5」、そして「9」、さらに「12」に遷移し、CQI Indexに対応するMCSレベルは「MCSレベル3」から「MCSレベル5」、そして「MCSレベル9」、さらに「MCSレベル12」に遷移する。移動体通信端末101が設定するモードがエコモード1であることから、移動体通信端末101は、ダウンロードの開始の指示を受けたときの受信品質が基準値(図20の場合、基準値はMCSレベル10である)より良好でないときにはダウンロードを開始せず、受信品質が基準値よりも良好となったときにダウンロードを開始することになる。なお、移動体通信端末101が設定するエコモード1では、移動体通信端末101は、データのダウンロード完了時刻制限を敢えて設けずに、受信品質が基準値よりも良好なときにのみダウンロードを開始するモードである。従って、移動体通信端末101がデータのダウンロードの開始の指示を受けたとしても、受信品質が基準値よりも良好にならない限りデータのダウンロードは開始されない。
これに対して、移動体通信端末101が設定するエコモード2では、移動体通信端末101は、データのダウンロード完了時刻制限を設け、受信品質が基準値よりも良好なときに原則としてダウンロードを開始しつつ、データのダウンロード完了時刻間近までデータのダウンロードが開始されないときには、たとえ受信品質が基準値よりも良好でなくても、データのダウンロード完了時刻制限内でデータのダウンロードが完了するようにデータのダウンロードを開始する。移動体通信端末101が設定するモードがエコモード2であることから、移動体通信端末101は、ダウンロードの開始の指示を受けたときの受信品質が基準値(図20の場合、基準値はMCSレベル10である)より良好でないときにはダウンロードを開始せず、受信品質が基準値よりも良好となったときにダウンロードを原則として開始するが、ダウンロード完了時刻制限内でデータのダウンロードが完了するように、データのダウンロードが開始される。
図21のフローチャートを参照して、図8または図13の移動体通信端末101におけるダウンロードモード設定処理について説明する。
ステップS201において、制御部120は、ユーザにより操作部122が操作されることによりデータのダウンロードモードの設定処理を開始するとの指示が受け付けられたか否かを判定し、データのダウンロードモードの設定処理を開始するとの指示が受け付けられたと判定するまで待機する。ステップS201において制御部120が、データのダウンロードモードの設定処理を開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合、制御部120はステップS202で、データのダウンロードモードに関する選択を受け付ける。データのダウンロードモードには、移動体通信端末101がダウンロードの開始の指示を受け付けたときに受信品質に関係なくダウンロードを開始するモード(ノーマルモード)、データのダウンロード完了時刻制限を敢えて設けずに受信品質が基準値よりも良好なときにのみダウンロードを開始するエコモード1、データのダウンロード完了時刻制限を設けて受信品質が基準値よりも良好なときに原則としてダウンロードを開始しつつ、データのダウンロード完了時刻間近までデータのダウンロードが開始されないときにはデータのダウンロード完了時刻制限内でデータのダウンロードが完了するようにデータのダウンロードを開始するエコモード2がある。ユーザは、この3つのダウンロードモードのうちのいずれか1つのモードを任意に選択することができる。ステップS203において、制御部120は、データのダウンロードモードに関する選択に従い、データのダウンロードモードを、選択が受け付けられたダウンロードモードに設定する。ステップS204において、制御部120は、ダウンロードモードに関する設定情報を記憶部124に記憶させる。ステップS205において、制御部120は、制御部120の制御に従い、ダウンロードモードに関する設定情報を記憶する。
次に、図22のフローチャートを参照して、図8の移動体通信端末101におけるデータダウンロード制御処理について説明する。図22では、移動体通信端末101が待ち受けモードを開始している場合を想定しており、移動体通信端末101は移動体通信システム(OFDMAの移動体通信システムなど)に属するいずれかの基地局と待ち受け中である。また、移動体通信端末101は、基本的に、データダウンロード制御処理に並列して、図9を用いて説明したMCSレベル表示制御処理を実行する。
ステップS251において、制御部120は、無線部112や受信信号処理部113を制御し、移動体通信システムに属するいずれかの基地局に対して待ち受けモードを開始する。ステップS252において、制御部120は、ユーザにより操作部122が操作されることによりデータのダウンロードを開始するとの指示が受け付けられたか否かを判定し、データのダウンロードを開始するとの指示が受け付けられるまで待機する。なお、移動体通信端末101は、データのダウンロードを開始するとの指示を受け付けるまで待機する場合、図9を用いて説明したMCSレベル表示制御処理を並列的に実行する。
ステップS252において制御部120が、データのダウンロードを開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合、制御部120はステップS253で、記憶部124に記憶されるダウンロード設定情報を読み出し、読み出されたダウンロード設定情報に基づいて、設定されたデータのダウンロードモードがノーマルモードであるか否かを判定する。ステップS253において制御部120が、設定されたデータのダウンロードモードがノーマルモードであると判定した場合、移動体通信端末101が直ちにデータのダウンロードを開始することができるように、処理はステップS258に進む。ステップS258において、制御部120は、無線部112、受信信号処理部113、SINR測定部125、CQI情報生成部126、および送信信号処理部130を制御し、基地局との間でネゴシエーションを行い、通信に使用するMCSを決定する。なお、MCSの決定方法については、図9のステップS10の決定方法と同様である。ステップS259において、移動体通信端末101の制御部120は、無線部112、受信信号処理部113、および送信信号処理部130を制御し、基地局とのネゴシエーションで決定したMCSを用いて基地局からのデータのダウンロードを開始する。その後、移動体通信端末101は基地局からのデータのダウンロードを終了すると、処理はステップS260に進む。ステップS260において、制御部120は、無線部112や受信信号処理部113を制御し、移動体通信システムに属するいずれかの基地局に対して行う待ち受けモードに復帰する。
一方、ステップS253において制御部120が、設定されたデータのダウンロードモードがノーマルモードではないと判定した場合、制御部120はステップS254で、読み出されたダウンロード設定情報に基づいて、設定されたデータのダウンロードモードがエコモードのうちのエコモード1であるか否かを判定する。ステップS254において制御部120が、データのダウンロードモードがエコモード1であると判定した場合、制御部120はステップS255で、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれるすべてのリソースブロックでのSINRを測定することができるように、無線部112と受信信号処理部113を制御する。SINR測定部125は、ページング周期またはページング周期の整数倍(2倍や3倍など)の周期で、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RB(リソースブロック)で、受信信号処理部113からの受信信号に関する無線伝送路品質(SINR)を測定し、各RBでの測定結果をCQI情報生成部126に出力する。CQI情報生成部126は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RBで、SINR測定部125による測定結果に基づいて受信可能なMCSを決定し、決定された伝送フォーマット(変調方式と誤り訂正符号化率の組合せ)に基づいてチャネル状態情報(CQI情報)を生成する。各RBごとのCQI情報には、変調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせ(MCS)を示すCQI Indexと、CQI Indexに対応するMCSレベルが含まれている。CQI情報生成部126は、各RBごとのCQI情報をCQI情報制御部127に出力する。
ステップS256において、CQI情報制御部127は、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RBごとのCQI情報を取得し、取得された各RBごとのCQI情報に基づいて、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルを算出する。なお、ステップS256における移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルの算出方法は、図9のステップS3における算出方法と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。また、CQI情報制御部127は、算出された推定MCSレベルに基づいて、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルを更新する。CQI情報記憶部128は、CQI情報制御部127の制御に従い、現在の推定MCSレベルを記憶する。さらに、このとき、図9のステップS3乃至S7の処理と同様に、CQI情報記憶部128は、CQI情報制御部127の制御に従い、現在の推定MCSレベルと推定MCSレベルに関するMin値とMax値を更新する。
ステップS257において、CQI情報制御部127は、算出されたMCSレベルが予め設定された基準値以上であるか否かを判定する。この基準値は、データのダウンロードを開始するか否かを判定するための受信品質に関する基準値であり、例えば「MCSレベル10」などの固定値として予め設定される。勿論、この基準値は、ユーザにより任意の値に設定されてもよいし、適宜その値が変更されてもよい。また、この基準値は、推定MCSレベルに関するMin値よりもN段階レベルが高いMCSレベルに設定されるようにしてもよいし、あるいはMCSレベルに関するMax値よりもN段階低いMCSレベルに設定されるようにしてもよい。例えば推定MCSレベルに関するMin値が「MCSレベル2」である場合に、「MCSレベル2」よりも6段階レベル(N段階=6段階となる)が高い「MCSレベル8」が基準値に設定される。「N」の値はユーザにより任意の値に設定されてもよい。さらに、移動体通信端末101は、例えばデータのダウンロードを開始するとの指示が受け付けられた時刻での現在の推定MCSレベルに基づいて、データのダウンロードを開始するか否かを判定するための受信品質に関する基準値を設定するようにしてもよい。具体的には、移動体通信端末101は、例えばデータのダウンロードを開始するとの指示が受け付けられた時刻での現在の推定MCSレベルよりもN段階レベルが高いMCSレベルを、基準値に設定するようにしてもよい。なお、例えばNの値を「5」とした場合に、現在の推定MCSレベルが「MCSレベル13」であるときには、基準値に最大レベル「MCSレベル15」を設定する。
ステップS257においてCQI情報制御部127が、算出されたMCSレベルが予め設定された基準値以上ではないと判定した場合、処理はステップS255に戻り、ステップS255以降の処理が繰り返し実行される。これにより、移動体通信端末101は、ダウンロードの開始の指示を受けたときの受信品質が基準値より良好でないときにはダウンロードを開始しないようにすることができる。一方、ステップS257においてCQI情報制御部127が、算出されたMCSレベルが予め設定された基準値以上であると判定した場合、処理はステップS258に進み、ステップS258以降の処理によって、移動体通信端末101は、基地局との間でネゴシエーションを行い、通信に使用するMCSを決定し、基地局とのネゴシエーションで決定したMCSを用いて基地局からのデータのダウンロードを開始する。
一方、ステップS254において制御部120が、データのダウンロードモードがエコモード1ではないと判定した場合、制御部120はデータのダウンロードモードがエコモード2であると認識し、移動体通信端末101は、ステップS261乃至S263の処理を実行する。なお、ステップS261乃至ステップS263の処理は上述したステップS255乃至S257の処理と同様である。ステップS263においてCQI情報制御部127が、算出されたMCSレベルが予め設定された基準値以上であると判定した場合、処理はステップS258に進む。ステップS263においてCQI情報制御部127が、算出されたMCSレベルが予め設定された基準値以上ではないと判定した場合、CQI情報制御部127はステップS264で、ダウンロード完了時刻から所定の時間前であるか否かを判定する。このダウンロード完了時刻は、ユーザにより、データのダウンロードの開始指示のときに入力されるようにしてもよいし、ダウンロードの開始指示時刻から何時間後の時刻のように、予め画一的に設定されるようにしてもよい。そして、所定の時間とは、例えば30分などである。
ステップS264においてCQI情報制御部127が、ダウンロード完了時刻から所定の時間前ではないと判定した場合、処理はステップS261に戻り、ステップS261以降の処理が繰り返し実行される。一方、ステップS264においてCQI情報制御部127が、ダウンロード完了時刻から所定の時間前であると判定した場合、処理はステップS258に進み、ステップS258以降の処理によって、移動体通信端末101は、基地局との間でネゴシエーションを行い、通信に使用するMCSを決定し、受信品質に関係なく、基地局とのネゴシエーションで決定したMCSを用いて基地局からのデータのダウンロードを強制的に開始する。
次に、図23のフローチャートを参照して、図13の移動体通信端末101におけるデータダウンロード制御処理について説明する。図23では、移動体通信端末101が待ち受けモードを開始している場合を想定しており、移動体通信端末101は移動体通信システム(OFDMAの移動体通信システムなど)に属するいずれかの基地局と待ち受け中である。また、移動体通信端末101は、基本的に、データダウンロード制御処理に並列して、図14乃至図15を用いて説明したMCSレベル表示制御処理を実行する。なお、図23のステップS281乃至S284、ステップS286乃至S287、ステップS293乃至S295、およびステップS297乃至S298の処理は、図22のステップS251乃至S256、ステップS258乃至S260、およびステップS261乃至S262の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。また、図23のステップS285、ステップS288乃至S289、ステップS296、およびステップS299乃至S300の処理は、図14のステップS102乃至S103、およびステップS106乃至S107の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS284において制御部120が、データのダウンロードモードがエコモード1であると判定した場合、処理はステップS285に進み、ステップS285以降の処理が実行される。そして、ステップS290において、伝送レート算出部152は、ダウンロードするデータのコンテンツ容量と、予測される推定伝送レートErとに基づいて、データをダウンロードした場合に要する推定ダウンロード時間(=コンテンツ容量/予測される推定伝送レートEr)を算出する。例えばダウンロードするデータのコンテンツ容量が240[Mbit]であり、かつ予測される推定伝送レートErが1.2[Mbps]場合に、推定ダウンロード時間は、240/1.2=200[s]となる。なお、このコンテンツ容量は、移動体通信端末101において予め既知の値とする。
ステップS291において、制御部120は、推定ダウンロード時間に関する基準値を設定する。以下に、具遺体的な推定ダウンロード時間に関する基準値の設定方法について説明する。まず、第1の基準値設定方法について説明する。この場合、制御部120は、RSSI測定部121からの受信信号強度に関する測定結果に基づいて、基地局からの電波のカバーエリアの広さを推定し、基地局のカバーエリアの広さに応じて推定ダウンロード時間に関する基準値を設定する。受信信号強度は基地局の送信電力に比例して大きくなることから、受信信号強度が大きければ、それに伴い基地局のカバーエリアは広くなると考えられ、受信信号強度が小さければ、それに伴い基地局のカバーエリアは狭くなると考えられる。基地局のカバーエリアが広くなると(基地局がマクロセルであると)、移動体通信端末101にて測定されるCQIは急変せず、安定していると推測される。一方、基地局のカバーエリアが狭くなると(基地局がマイクロセルであると)、移動体通信端末101にて測定されるCQIは急変する可能性が高い。そこで、移動体通信端末101は、基地局のカバーエリアサイズに応じて、推定ダウンロード時間に関する基準値を変更し、基地局のカバーエリアサイズが大きい場合には、推定ダウンロード時間に関する基準値を大きくし、基地局のカバーエリアサイズが小さい場合には、推定ダウンロード時間に関する基準値を小さくする。例えば予め推定ダウンロード時間に関する基準値として20[s]と120[s]とを用意しておき、移動体通信端末101は、基地局のカバーエリアサイズが所定のしきい値よりも大きい場合、推定ダウンロード時間に関する基準値を120[s]に設定し、基地局のカバーエリアサイズが所定のしきい値以下である場合、推定ダウンロード時間に関する基準値を20[s]に設定する。
図24は、基地局のカバーエリアサイズに応じて推定ダウンロード時間に関する基準値を設定する設定方法を説明する説明図である。図24が示すように、例えばユーザが移動体通信端末101を持って地下鉄で移動している場合、停車駅で地下鉄が停車する間はカバーエリアサイズが小さい基地局(マイクロセル)に接続することが可能であるが、地下鉄が停車駅間で走行している最中は圏外となってしまう。このとき、基地局のカバーエリアサイズが所定のしきい値以下であることから、移動体通信端末101は、推定ダウンロード時間に関する基準値を例えば20[s]に設定する。一方、ユーザが地下鉄を降りて地上に出た場合には、カバーエリアサイズが大きい基地局(マクロセル)に接続することが可能であり、基地局のカバーエリアサイズが所定のしきい値よりも大きいことから、移動体通信端末101は、推定ダウンロード時間に関する基準値を例えば120[s]に設定する。
勿論、移動体通信端末101は、基地局のカバーエリアサイズに応じて、推定ダウンロード時間に関する基準値を多段階で設定するようにしてもよい。すなわち、移動体通信端末101は、基地局のカバーエリアサイズに関する所定のしきい値を複数設けておき、複数のしきい値によって区分される基地局のカバーエリアサイズに応じて、推定ダウンロード時間を多段階で設定する。これにより、移動体通信端末101は、伝送レートとCQIの変動に応じて高精細に適切な推定ダウンロード時間に関する基準値を設定することができる。
次に、第2の基準値設定方法について説明する。この場合、制御部120は、無線部112と受信信号処理部113を制御し、データダウンロード制御処理と並列して、ハンドオーバー(HO)やセルサーチ(基地局探索)が発生したか否かを判定しており、ハンドオーバーやセルサーチの回数をカウントアップする。そして、ステップS291において、制御部120は、ハンドオーバー(HO)やセルサーチ(基地局探索)の頻度(回数)に応じて、推定ダウンロード時間に関する基準値を設定する。なお、「ハンドオーバー」とは基地局の切り替えを意味し、「基地局探索」とはいわゆるセルサーチと呼ばれる処理であり、移動体通信端末101が接続するべき最も伝搬ロスの小さいセル(基地局)の周波数と受信タイミングおよびセル番号(ID)を検出する処理を意味する。
ユーザが保有する移動体通信端末101が低速移動中である場合、ハンドオーバーやセルサーチは頻繁には発生せず、移動体通信端末101にて測定されるCQIは急変せず、安定していると推測される。一方、ユーザが保有する移動体通信端末101が高速移動中である場合、ハンドオーバーやセルサーチは頻繁に発生し、移動体通信端末101にて測定されるCQIは急変する可能性が高い。そこで、移動体通信端末101は、ハンドオーバーやセルサーチの頻度に応じて、推定ダウンロード時間に関する基準値を変更し、ハンドオーバーやセルサーチの単位時間あたりの回数が多い場合には、推定ダウンロード時間に関する基準値を大きくし、ハンドオーバーやセルサーチの単位時間あたりの回数が少ない場合には、推定ダウンロード時間に関する基準値を小さくする。例えば予め推定ダウンロード時間に関する基準値として30[s]と180[s]とを用意しておき、移動体通信端末101は、ハンドオーバーやセルサーチの単位時間あたりの回数が所定のしきい値よりも大きい場合、推定ダウンロード時間に関する基準値を180[s]に設定し、ハンドオーバーやセルサーチの単位時間あたりの回数が所定のしきい値以下である場合、推定ダウンロード時間に関する基準値を30[s]に設定する。
図25は、ハンドオーバーの単位時間あたりの回数に応じて推定ダウンロード時間に関する基準値を設定する設定方法を説明する説明図である。図25が示すように、例えばユーザが移動体通信端末101を持って電車で移動している場合、頻繁にハンドオーバーは発生し、ハンドオーバーの単位時間あたりの回数が所定のしきい値以下であることから、移動体通信端末101は、推定ダウンロード時間に関する基準値を例えば30[s]に設定する。一方、ユーザが家にいる場合などには、頻繁にはハンドオーバーは発生せず、ハンドオーバーの単位時間あたりの回数が所定のしきい値よりも多いことから、移動体通信端末101は、推定ダウンロード時間に関する基準値を例えば180[s]に設定する。
勿論、移動体通信端末101は、ハンドオーバーまたはセルサーチの回数に応じて、推定ダウンロード時間に関する基準値を多段階で設定するようにしてもよい。
制御部120は、設定された推定ダウンロード時間に関する基準値を伝送レート算出部152に出力する。ステップS291において、伝送レート算出部152は、設定された推定ダウンロード時間に関する基準値を用いて、算出された推定ダウンロード時間が予め設定された推定ダウンロード時間に関する基準値以上であるか否かを判定する。ステップS291において伝送レート算出部152が、算出された推定ダウンロード時間が予め設定された推定ダウンロード時間に関する基準値以上ではないと判定した場合、処理はステップS285に戻り、ステップS285以降の処理が繰り返し実行される。一方、ステップS291において伝送レート算出部152が、算出された推定ダウンロード時間が予め設定された推定ダウンロード時間に関する基準値以上であると判定した場合、処理はステップS293に進む。
一方、ステップS284において制御部120が、データのダウンロードモードがエコモード1ではないと判定した場合、制御部120は、データのダウンロードモードがエコモード2であると認識し、処理はステップS296に進み、ステップS296以降の処理が実行される。そして、ステップS301において、伝送レート算出部152は、ダウンロードするデータのコンテンツ容量と、予測される推定伝送レートErとに基づいて、データをダウンロードした場合に要する推定ダウンロード時間(=コンテンツ容量/予測される推定伝送レートEr)を算出する。ステップS302における推定ダウンロード時間に関する基準値の設定処理は、ステップS291の設定処理と同様であり、また、ステップS303の判定処理もステップS292の判定処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS303において伝送レート算出部152が、算出された推定ダウンロード時間が予め設定された推定ダウンロード時間に関する基準値以上ではないと判定した場合、伝送レート算出部152はステップS304で、算出された推定ダウンロード時間を、現在の時刻に加算した時刻が、ダウンロード完了時刻を越えるか否かを判定する。ステップS304において伝送レート算出部152が、算出された推定ダウンロード時間を、現在の時刻に加算した時刻がダウンロード完了時刻を越えないと判定した場合、処理はステップS296に戻り、ステップS296以降の処理が繰り返し実行される。これにより、
一方、ステップS304において伝送レート算出部152が、算出された推定ダウンロード時間を、現在の時刻に加算した時刻がダウンロード完了時刻を越えると判定した場合、処理はステップS293に進み、ステップS293以降の処理が実行される。これにより、移動体通信端末101は、基地局との間でネゴシエーションを行い、通信に使用するMCSを決定し、受信品質に関係なく、基地局とのネゴシエーションで決定したMCSを用いて基地局からのデータのダウンロードを強制的に開始する。なお、ステップS304においては、移動体通信端末101は、算出された推定ダウンロード時間を、現在の時刻に加算した時刻がダウンロード完了時刻を越えるか否かを判定するようにしたが、ダウンロード完了時刻より前に確実にデータのダウンロードが完了するようにするためにある程度のマージンを持たせ、移動体通信端末101は、算出された推定ダウンロード時間を、現在の時刻に加算した時刻がダウンロード完了時刻からマージン分を引いた時刻を越えるか否かを判定するようにしてもよい。
なお、図23の場合、推定伝送レートErを算出するにあたり、他の移動体通信端末101に関するMCSレベルのヒストグラムを用いた補正を施していないが、図17および図18を用いて説明したように、他の移動体通信端末101に関するMCSレベルのヒストグラムを用いた補正を施して推定伝送レートErを算出した上で推定ダウンロード時間を算出するようにしても良い。
[第4実施形態]
ところで、受信品質(通信品質)の測定をユーザの指示に基づいて任意のタイミングで開始し、GPS測位に基づく位置情報とCQI情報(MCSレベル)と関連付ける通信品質MAPを作成し、作成された通信品質MAPを表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、任意のタイミングで、ユーザがいる場所付近における通信品質を視覚的に容易に確認することができる。以下、この方法を用いた通信品質MAP表示処理について説明する。
図26は、本発明の第4実施形態に係る移動体通信端末101の内部の構成を表している。なお、図26の構成は、図8が示す本発明の第1実施形態に係る移動体通信端末101の構成と基本的には同様である。図8の構成と対応するものについては同一の符号を付しており、異なる構成以外については説明を省略する。
図示せぬGPS衛星からのGPS波(GPS情報)は、GPS用アンテナ201で受信される。GPS情報には、例えばそれぞれのGPS衛星からの発信時刻情報が含まれている。その後、このGPS情報はGPS受信部202を経由して制御部120に入力される。そして、制御部120は、取得されたGPS情報を用いて、移動体通信端末101の現在地を示す位置情報(緯度経度の情報)を計算し(例えば3つ乃至4つのGPS情報から計算することが望ましい)、移動体通信端末101の現在地を示す位置情報を求める。なお、GPS情報に基づいて求められる位置情報として、緯度経度を取得することが一般的であるが、更に緯度経度に対応した住所情報を取得するようにしてもよい。緯度経度や、緯度経度に対応した住所情報を取得する際には、外部のサーバ(図示せず)などにアクセスして住所情報を得るようにしてもよい。従って、「位置情報」とはGPS情報から計算された位置情報(例えば緯度経度情報)や、その情報に対応する住所情報などの情報も含むものとする。
GPS受信部202は、整合回路とGPS受信回路を備える。GPS用アンテナ201にて受信されたGPS波(GPS情報)は、GPS受信部202の整合回路に入力される。整合回路は、インピーダンスの異なる回路での伝送特性を向上させるために用いられる素子であり、GPS用アンテナ201からのGPS波(GPS情報)のインピーダンス整合処理を行う。インピーダンス整合処理後のGPS波は、GPS用受信回路に出力され、GPS用受信回路にてGPS波(GPS情報)が受信される。
図27のフローチャートを参照して、図26の移動体通信端末101における通信品質MAP表示処理について説明する。なお、図27の場合、ユーザは、移動体通信端末101を持って出発地にいるときに、CQI測定を開始するとの指示を移動体通信端末101にし、その後ユーザは移動して目的地に到着したときに、CQI測定を終了するとの指示を移動体通信端末101にするものとする。
ステップS401において、制御部120は、ユーザにより操作部122が操作されることによりCQI測定を開始するとの指示が受け付けられたか否かを判定し、CQI測定を開始するとの指示が受け付けられたと判定するまで待機する。ステップS401において制御部120が、CQI測定を開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合、制御部120は、GPS受信部202を起動する。ステップS203において、制御部120は、GPS受信部202を介して、GPS測位に基づく位置情報を図示せぬGPS衛星から取得する。具体的には、図示せぬGPS衛星からのGPS波(GPS情報)は、GPS用アンテナ201で受信される。このGPS情報には、例えばそれぞれのGPS衛星からの発信時刻情報が含まれている。その後、このGPS情報はGPS受信部202を経由して制御部120に入力される。制御部120は、図示せぬGPS衛星からのGPS波(GPS情報)を取得し、取得されたGPS情報を用いて、移動体通信端末101の現在地を示す位置情報(緯度経度の情報)を計算し、移動体通信端末101の現在地を示す位置情報(GPS測位に基づく位置情報)を求める。これにより、移動体通信端末101の現在地に関し、GPS測位に基づく位置情報が取得される。
ステップS204において、制御部120は、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれるすべてのリソースブロックでのSINRを測定することができるように、無線部112と受信信号処理部113を制御する。SINR測定部125は、ページング周期またはページング周期の整数倍(2倍や3倍など)の周期で、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RB(リソースブロック)で、受信信号処理部113からの受信信号に関する無線伝送路品質(SINR)を測定し、各RBでの測定結果をCQI情報生成部126に出力する。CQI情報生成部126は、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RBで、SINR測定部125による測定結果に基づいて受信可能なMCSを決定し、決定された伝送フォーマット(変調方式と誤り訂正符号化率の組合せ)に基づいてチャネル状態情報(CQI情報)を生成する。各RBごとのCQI情報には、変調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせ(MCS)を示すCQI Indexと、CQI Indexに対応するMCSレベルが含まれている。CQI情報生成部126は、各RBごとのCQI情報をCQI情報制御部127に出力する。
ステップS405において、CQI情報制御部127は、移動体通信端末101が接続する移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に含まれる各RBごとのCQI情報を取得し、取得された各RBごとのCQI情報に基づいて、移動体通信システムに属する基地局が利用する周波数帯域に関する推定MCSレベルを算出する。MCSレベルの算出方法は、図9のステップS3における算出方法と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。CQI情報制御部127は、算出されたMCSレベルに基づいて、CQI情報記憶部128に記憶される現在の推定MCSレベルを更新するとともに、算出されたMCSレベルを順次時系列的にCQI情報記憶部128に記憶させる。CQI情報記憶部128は、CQI情報制御部127の制御に従い、現在の推定MCSレベルを記憶するとともに、算出されたMCSレベルを順次時系列的に記憶する。
ステップS406において、制御部120は、MCSレベルの算出がN回行われたか否かを判定する。ステップS406において制御部120が、MCSレベルの算出がN回行われていないと判定した場合、処理はステップS404に戻り、ステップ404以降の処理が行われ、推定MCSレベルの算出はN回に達するまで所定の周期(ページング周期またはページング周期の整数倍の周期)ごとに実行される。一方、ステップS406において制御部120が推定MCSレベルの算出がN回行われたと判定した場合、ステップS407において、制御部120は、CQI情報記憶部128に時系列的に記憶されるN個のMCSレベルの平均値を算出する。ステップS408において、制御部120は、算出された推定MCSレベルの平均値とGPS測位に基づく位置情報とを関連付けて記憶部124に記憶させる。ステップS409において、制御部120は、ユーザにより操作部122が操作されることによりCQI測定を終了するとの指示が受け付けられたか否かを判定する。ステップS409において制御部120が、CQI測定を終了するとの指示が受け付けられていないと判定した場合、処理はステップS403に戻り、移動体通信端末101は、再度GPS測位に基づく位置情報を取得した後にN回の推定MCSレベルを算出する。これにより、CQI測定を終了するとの指示が受け付けられるまで、GPS測位に基づく位置情報の取得と推定MCSレベルのN回の算出が繰り返して行われる。
ステップS409において制御部120が、CQI測定を終了するとの指示が受け付けられたと判定した場合、制御部120はステップS410で、移動体通信端末101が取得した各GPS測位に基づく位置情報に基づいて、ユーザの出発地と目的地が含まれる地図情報を図示せぬコンテンツサーバから基地局を経由して取得する。なお、地図情報は、予め移動体通信端末101の記憶部124に記憶させるようにしてもよい。ステップS411において、制御部120は、記憶部124に記憶される各GPS情報と、各GPS情報に関連付けられて記憶されるMCSレベルと、さらにコンテンツサーバから取得された地図情報とに基づいて、通信品質MAPを作成する。図28は、制御部120が作成する通信品質MAPを表している。図28が示されるように、A区間(ユーザが出発地を出てから60(s)経過するまでの区間)ではMCSレベルは「MCSレベル12」であり、B区間(ユーザが出発地を出てから120(s)経過するまでの区間)ではMCSレベルは「MCSレベル8」であり、C区間(ユーザが出発地を出てから180(s)経過するまでの区間)では、MCSレベルは「MCSレベル15」であり、D区間(ユーザが出発地を出てから240(s)経過するまでの区間)では、MCSレベルは「MCSレベル4」である。
ステップS412において、制御部120は、作成された通信品質MAPを表示部123に表示させる。表示部123は、制御部120の制御に従い、通信品質MAPを表示する。
これにより、ユーザは、任意のタイミングで、ユーザがいる場所付近における通信品質を視覚的に容易に確認することができる。
なお、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
また、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
さらに、実施形態に明示的に記載された処理は、適宜組み合わせるようにしてもよい。