以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1、図2及び図3に示すスクリーン印刷機1は、実装基板生産用の電子部品実装ラインを構成する電子部品実装用装置の一種であり、基板2を搬入してその基板2の表面に設けられた電極3上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストPst(図3参照)を転写するスクリーン印刷を行った後、その基板2を下流側の電子部品実装機(図示せず)等に搬出する動作を連続的に実行するものである。以下、説明の便宜上、このスクリーン印刷機1における基板2の搬送方向をX軸方向(図1の紙面左右方向)、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向(図1の紙面上下方向)とし、上下方向をZ軸方向とする。また、Y軸方向をスクリーン印刷機1の前後方向、X軸方向をスクリーン印刷機1の横(左右)方向とする。更に、前後方向のうち、スクリーン印刷機1のオペレータOP(図1)がスクリーン印刷機1に対して作業を行う側(図1の紙面下方)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1の紙面上方)をスクリーン印刷機1の後方とする。
図1、図2及び図3において、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基台11上に設けられた基板保持移動ユニット12、基板保持移動ユニット12の上方に設けられた金属製の薄板材料から成るプレート状のマスク13、前後一対のスキージ14及びカメラユニット15を備えている。
図2及び図3において、基板保持移動ユニット12は、水平移動部21、昇降部22、コンベア部23及び基板保持部24から成る。
図2及び図3において、水平移動部21は、Yテーブル駆動モータMyの作動によって基台11に対してY軸方向に移動するYテーブル21a、Xテーブル駆動モータMxの作動によってYテーブル21aに対してX軸方向に移動するXテーブル21b、Xテーブル21bに対してZ軸回りに回転するθテーブル21c、θテーブル21cの上面に固定されたベーステーブル21d及びベーステーブル21dの上面から上方に延びて設けられた複数の昇降テーブルガイド21eから成る。
図2及び図3において、昇降部22は、水平移動部21の複数の昇降テーブルガイド21eにガイドされてベーステーブル21dに対して昇降する昇降テーブル22a及び昇降テーブル22aの上面から上方に延びて設けられた複数の下受けユニット昇降ガイド22bから成る。
図3において、コンベア部23は下受けユニット昇降ガイド22bの上端に取り付けられて昇降テーブル22aとともにベーステーブル21dに対して昇降する前後一対のベルトコンベア支持部材23aと、各ベルトコンベア支持部材23aに支持されてX軸方向に進退動作する前後一対のベルトコンベア23bから成っており、これら前後のベルトコンベア23bが同期して作動することにより、基板2のX軸方向への搬送がなされる。
図2及び図3において、基板保持部24は、コンベア部23が備える前後のベルトコンベア支持部材23aそれぞれの上部にY軸方向に移動自在に設けられた前後一対のクランプ部材24a(図1も参照)、コンベア部23の下方において、下受けユニット昇降ガイド22bにガイドされて昇降する下受けユニット支持テーブル24b及び下受けユニット支持テーブル24bの上面に設けられた下受けユニット24cから成る。下受けユニット24cは、下受けユニット支持テーブル24bとともに昇降テーブル22aに対して昇降することにより、コンベア部23上の基板2を下方から支持する。前後のクランプ部材24aは、前後のベルトコンベア23bによって両端部が支持され、下受けユニット24cによって下面が支持された基板2のY軸方向の両側部を基板2の外方から挟んでクランプする。
図1及び図2において、基板保持移動ユニット12を構成するコンベア部23のX軸方向の両側(基板2の搬送方向の上流側と下流側)の位置には、スクリーン印刷機1の外部(図1及び図2の紙面左側)から投入された基板2を搬送(搬入)してコンベア部23に受け渡す基板搬入コンベア25と、コンベア部23から受け渡された基板2をスクリーン印刷機1の外部(図1及び図2の紙面右側)に搬送(搬出)する基板搬出コンベア26が備えられている。
図1及び図2において、基台11上には基板搬入コンベア25及び基板搬出コンベア26をそれぞれY軸方向に跨ぐ一対の門型フレーム28が設けられており、これら一対の門型フレーム28によってマスクホルダ30が支持されている。マスクホルダ30は、門型フレーム28に両端が取り付けられて基板保持移動ユニット12が備える基板保持部24の上方をX軸方向に延びて配置された前後一対のガイド部材31と、一対のガイド部材31上をY軸方向に延びて設けられた左右一対のマスク支持レール32とから成る。マスク13はこのマスクホルダ30が備える左右のマスク支持レール32によって左右両端が支持されて基板保持移動ユニット12の上方に水平姿勢に保持されている(図4も参照)。
図1及び図4において、マスク13は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠13wによって四辺が支持されており、マスク枠13wによって囲まれた矩形の領域には、基板2上の複数の電極3に対応した多数のパターン孔13aが設けられている。すなわちマスク13は、基板2の電極3の配置に応じて形成された多数のパターン孔13aを有したものとなっている。
図1において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側位置決め用マークmkが設けられている。一方、図4において、マスク13には、基板側位置決め用マークmkに対応して配置された2つ一組のマスク側位置決め用マークMKが設けられている。これら基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKが上下に合致する状態で基板2をマスク13に接触させると、基板2の電極3とマスク13のパターン孔13aは上下に合致した状態となる。
図1及び図2において、一対の門型フレーム28には、X軸方向に延びたX軸ステージ51の両端部がY軸方向にスライド自在に支持されている。X軸ステージ51上にはカメラ支持ステージ52がX軸方向に移動自在に設けられており、カメラ支持ステージ52には前述のカメラユニット15が取り付けられている。カメラユニット15は、撮像視野を下方に向けた第1カメラ15aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ15bを備えている(図3)。
図1及び図2において、一対の門型フレーム28にはX軸方向に延びたスキージベース60の両端が支持されており、スキージベース60は門型フレーム28に沿ってY軸方向に往復移動自在となっている。このスキージベース60には前述の前後一対のスキージ14がY軸方向に対向して設けられている。
図5及び図6において、スキージベース60の上面の中央部のY軸方向に対向する位置にはボール螺子から成る2つのスキージ昇降軸61が上下方向に延びて設けられている。これら2つのスキージ昇降軸61はそれぞれ、スキージベース60、スキージベース60の上面に設けられた筒状のスキージ昇降軸保持部62及びこのスキージ昇降軸保持部62内でベアリング62a(図6中に示す拡大図参照)によって上下軸回りに回転自在に保持された筒状のナット部材63を上下方向に貫通して延びている。
スキージ昇降軸61とナット部材63は螺合しており、スキージ昇降軸61はナット部材63の上部に固定されたリング状の従動プーリ64を上下方向に貫通して(遊嵌されて)延びている。
各スキージ昇降軸61の下端は、スキージベース60の下方をX軸方向に延びて設けられたスキージホルダ取り付け部材65の上面に結合されており、スキージホルダ取り付け部材65の下面側には前述のスキージ14が取り付けられている。
スキージホルダ取り付け部材65の上面のスキージ昇降軸61を挟む位置には、一対のガイドロッド66が上下方向に延びて設けられている。これら一対のガイドロッド66はそれぞれスキージベース60及びスキージベース60の上面に設けられた筒状のロッド案内部67を上下方向に貫通して延びている。
各スキージ14はスキージホルダ取り付け部材65の下方をスキージホルダ取り付け部材65と平行に(すなわちX軸方向に)延びて設けられたスキージホルダ70と、スキージホルダ70に上端部が取り付けられてX軸方向に延びた「へら」状のスキージ本体71から成る。
図5及び図6において、スキージベース60の上面には、2つのスキージ昇降軸駆動モータ72が2つのスキージ昇降軸保持部62をX軸方向に挟む位置に設けられている。これら2つのスキージ昇降軸駆動モータ72は駆動軸72aを上方に向けており、各駆動軸72aには駆動プーリ73が取り付けられている。2つの駆動プーリ73のうちの一方と2つの従動プーリ64のうちの一方との間及び2つの駆動プーリ73のうちの他方と2つの従動プーリ64のうちの他方との間にはそれぞれ伝動ベルト74が掛け渡されている。
スキージ昇降軸駆動モータ72の駆動軸72aの回転駆動により駆動プーリ73が回転すると、伝動ベルト74を介して従動プーリ64がその上下中心軸(この軸はスキージ昇降軸61の上下中心軸と一致する)回りに回転してナット部材63が従動プーリ64と一体となって回転するので、スキージ昇降軸61がナット部材63に対して(すなわちスキージベース60に対して)昇降する。これにより、スキージ昇降軸61の下端に取り付けられたスキージホルダ取り付け部材65が、一対のガイドロッド66にガイドされてX軸方向に延びた姿勢のまま昇降し、これに伴ってスキージホルダ取り付け部材65に取り付けられたスキージ14も、X軸方向に延びた姿勢を保持したまま、スキージベース60に対して昇降する。なお、マスク13とスキージベース60の上下方向の相対位置は変化しないので、スキージ昇降軸61及びスキージ14はマスク13に対して昇降することになる。
上述のように、スキージ昇降軸61の下端はスキージホルダ取り付け部材65の上面に取り付けられているが、スキージ昇降軸61とスキージホルダ取り付け部材65との間には起歪体としての弾性体75が介装されており、この弾性体75には荷重検出手段としての歪みゲージ式のロードセル76が取り付けられている。このためスキージ14を介してスキージ昇降軸61に軸方向荷重(圧縮荷重又は引っ張り荷重)が作用すると、その荷重を受けて弾性変形する弾性体75の歪みがロードセル76によって測定され、スキージ昇降軸61の軸方向荷重として検出される。
また、図5及び図6に示すように、スキージ14とスキージベース60の間には、スキージ14のスキージベース60に対する(したがってマスク13に対する)上下方向位置の検出を行う位置検出手段としてのリニアスケール77が設けられている。このリニアスケール77は、スキージベース60から下方に延びて設けられ、上下に等間隔で並んだ多数の格子目盛L(図5中に示す拡大図参照)を有するとともに受光素子(図示せず)が内蔵されたガラススケール部77aと、スキージホルダ取り付け部材65の上面に取り付けられたフレーム部77bに支持され、ガラススケール部77aと対向した発光素子部77cを有して成る。
このリニアスケール77では、発光素子部77cから発光される光が格子目盛Lを通過するときに生じる干渉縞に基づいて、発光素子部77cが設けられた移動側部材の固定側部材に対する上下方向位置、すなわちスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置が検出される。そして、このリニアスケール77により求められるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置から、スキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置の変動量が求められる。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1において、基板2の搬送を行う基板搬送路としての基板搬入コンベア25、基板保持移動ユニット12のコンベア部23及び基板搬出コンベア26の各動作は、制御装置80(図7)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路作動機構81(図7)の作動制御を行うことによってなされ、クランプ部材24aによる基板2のクランプ動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るクランプ部材作動機構82(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
基台11に対するYテーブル21aのY軸方向への移動、Yテーブル21aに対するXテーブル21bのX軸方向への移動、Xテーブル21bに対するθテーブル21cの(すなわちベーステーブル21dの)Z軸回りの回転、ベーステーブル21dに対する昇降テーブル22aの昇降、昇降テーブル22aに対する下受けユニット支持テーブル24bの(すなわち下受けユニット24cの)昇降の各動作は、制御装置80が前述のYテーブル駆動モータMyやXテーブル駆動モータMxを含むアクチュエータ等から成る基板保持移動ユニット作動機構83(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
カメラユニット15の水平面内での移動動作、すなわち一対の門型フレーム28に対するX軸ステージ51のY軸方向への移動動作及びX軸ステージ51に対するカメラ支持ステージ52のX軸方向への移動動作の各制御は、制御装置80が図示しないアクチュエータから成るカメラユニット移動機構84(図7)の作動制御を行うことによってなされる。
前後のスキージ14をY軸方向に往復移動させるスキージベース60の作動制御は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るスキージベース移動機構85(図7)の制御を行うことによってなされる。また、各スキージ14のスキージベース60に対する昇降動作は、制御装置80がスキージベース60の上部に取り付けられた前述の2つのスキージ昇降軸駆動モータ72の作動制御を行うことによってなされる。
カメラユニット15を構成する第1カメラ15aは、制御装置80に制御されて、基板保持移動ユニット12の基板保持部24によって保持された基板2の基板側位置決め用マークmkの撮像を行い、第2カメラ15bは、制御装置80に制御されて、マスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの撮像を行う。第1カメラ15aの撮像によって得られた画像データと第2カメラ15bの撮像によって得られた画像データはともに制御装置80に入力される(図7)。また、各スキージ14に対応して設けられた2つのロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重の値及び各スキージ14に対応して設けられた2つのリニアスケール77によって検出されるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置の値が制御装置80に入力される(図7)。
図8(a),(b)に示すように、スキージ14をマスク13上で移動(摺動)させてペーストPstの基板2への転写を行うときには、スキージ昇降軸61の軸方向荷重P(スキージ14のマスク13への押し付け力)は印圧Pmに相当する値に保持され、マスク13に当接されているスキージ14に対応するロードセル76からは平均的に印圧Pmに相当する値が出力されるが、スキージ14がマスク13上で摺動しているとき(図中に示す矢印A)、スキージ14がマスク13を介して基板2上に存在するごみ等の異物Qに乗り上げた場合には、スキージ14は異物Qによって上方に押し上げられてスキージベース60側に移動するので、ロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの値は変動(上昇)する。したがって、ロードセル76より出力されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pをモニターし、これによって求められるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの印圧Pmからの変動量ΔP(図8(b)及び図9(a))が、異物Qの検出を精度よく行い得るスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPの下限値として予め定めた閾値ΔP1(以下、「荷重変動量対応閾値ΔP1」と称する)を超えた場合には、基板2上に異物Qが存在すると判定することができる。ここで、図9(a)は、ロードセル76により検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pを縦軸、時間tを横軸にして表したグラフである。
また、図8(a),(b)に示すように、スキージ14をマスク13上で移動(摺動)させてペーストPstの基板2への転写を行うときには、スキージ14のスキージベース60からの上下方向位置Tは、そのときのスキージ昇降軸61の軸方向荷重P(スキージ14のマスク13への押し付け力)である印圧Pmに応じた印圧対応値Tmに保持され、リニアスケール77からは平均的に印圧対応値Tmが出力されるが、スキージ14がマスク13上で摺動しているとき(図中に示す矢印A)、スキージ14がマスク13を介して基板2上の異物Qに乗り上げた場合には、スキージ14は異物Qによって上方に押し上げられてスキージベース60側に移動するので、リニアスケール77によって検出されるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの値は変動する(小さくなる)。
したがって、リニアスケール77より出力されるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tをモニターしてスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの印圧対応値Tmからの変動量ΔT(図8(b)及び図9(b))が予め定めた閾値ΔT1(以下、「上下方向位置変動量対応閾値ΔT1」と称する)を超えた場合には、基板2上に異物Qが存在すると判定することができる。ここで、図9(b)は、リニアスケール77により検出されるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tを縦軸、時間tを横軸にして表したグラフある。
なお、上記2つの閾値ΔP1,ΔT1は、スキージ14をマスク13上で摺動させているとき、スキージ14が基板2上の異物Qに乗り上げた場合にそれぞれどのような値になるのかを予め実験等によって調べて設定される。
ここで、スキージ14が(同一の)異物Qに乗り上げた場合に求められるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPはそのときのスキージ14の印圧Pmに応じて変化し、印圧Pmが或る一定範囲の荷重より小さい場合であっても大きい場合であってもスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPは小さくなり、検出しにくくなることが分かっている。これは、印圧Pmが小さ過ぎる場合には、スキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの一部がロードセル76の取り付けられている弾性体75の弾性力によって吸収され、印圧Pmが大き過ぎる場合にはスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの一部がスキージ14の弾性力によって吸収されてしまうからであると考えられる。
このため本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、スキージ14をマスク13上で摺動させているときのスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPが、ロードセル76が取り付けられている弾性体75やスキージ14の弾性力によって吸収されてしまうことなく、精度よく異物Qの検出を行うことができる荷重の範囲を適正荷重範囲Rgとして定めている(図10)。そして、スキージ14のマスク13上での摺動開始時にロードセル76によって検出される印圧Pmが、予め定めた適正荷重範囲Rg内にあるかどうかの判定を行い、印圧Pmが適正荷重範囲Rg内にあったときにはロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pから求められる軸方向荷重Pの変動量ΔPを基準にして異物検出を行い、ロードセル76によって検出される印圧Pmが適正荷重範囲Rg内になかったときにはリニアスケール77により検出されるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tから求められる上下方向位置Tの変動量ΔTを基準にして異物検出を行うようにしている。なお、上記適正荷重範囲Rgは、例えば、金属製のスキージ本体71のスキージホルダ70からの出代が13mmのとき、およそ50〜150Nの範囲となる。
図7において、制御装置80は変動量算出部80a、記憶部80b及び判定部80cを有している。変動量算出部80aは、スキージ14がマスク13上で摺動しているとき、ロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pをモニターしてその変動量ΔPを求めるとともに、リニアスケール77によって検出されるスキージ14(マスク13上で摺動しているスキージ14)のスキージベース60に対する上下方向位置Tをモニターしてその変動量ΔTを求める。
記憶部80bは、前述の2つの閾値(荷重変動量対応閾値ΔP1及び上下方向位置変動量対応閾値ΔT1)と適正荷重範囲Rgのデータを記憶している。
制御装置80の判定部80cは、スキージ14のマスク13上での摺動動作の開始時にロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重P(すなわち印圧Pm)が、記憶部80bに記憶された適正荷重範囲Rg内にあるかどうかの判定を行う。そして、スキージ14のマスク13上での摺動開始時にロードセル76によって検出された印圧Pmが適正荷重範囲Rg内にあったときには、スキージ14のマスク13に対する摺動中に変動量算出部80aによって算出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPを記憶部80bに記憶された荷重変動量対応閾値ΔP1と比較し、スキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPが荷重変動量対応閾値ΔP1を上回ったときに、基板2上に異物Qが存在したと判定する。
一方、スキージ14のマスク13上での摺動開始時にロードセル76によって検出された印圧Pmが適正荷重範囲Rg内になかったときには、スキージ14のマスク13に対する摺動中に変動量算出部80aによって算出されるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTを記憶部80bに記憶された上下方向位置変動量対応閾値ΔT1と比較し、スキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTが上下方向位置変動量対応閾値ΔT1を上回ったときに、基板2上に異物Qが存在したと判定する。
次に、図11及び図12のフローチャート及び図13〜図19の説明図を加えてスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷作業の実行手順を説明する。ここで、図11はスクリーン印刷機1の動作のメインルーチンのフローチャート、図12はそのメインルーチンにおけるサブルーチンのフローチャートである。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、制御装置80は、図示しない検知手段によって、スクリーン印刷機1の上流側に設置された他の装置等(図示せず)から基板搬入コンベア25に基板2が投入されたことを検知したら、基板搬入コンベア25とコンベア部23を連動作動させてスクリーン印刷機1内に基板2を搬入し(図13(a)中に示す矢印B)、更に、図示しない検知手段により、コンベア部23が搬入する基板2が所定の搬送停止位置に到達したことを検知したところでコンベア部23の作動を停止させて、基板2を静止させる(図13(b)。図11に示すステップST1の基板搬入工程)。
制御装置80は、基板2の搬入が終わったら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置に位置させたまま、下受けユニット24cを(下受けユニット支持テーブル24bを)昇降テーブル22aに対して上昇させ(図14(a)中に示す矢印C1)、下受けユニット24cの上端が基板2の下面に下方から当接したところで下受けユニット24cの上昇を停止させて(図14(a))、コンベア部23上の基板2の両側部を前後のクランプ部材24aによってクランプする(図14(b)。図中に示す矢印D1)。
制御装置80は、基板2の両端部を前後のクランプ部材24aによってクランプしたら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対する下降位置に位置させたまま、下受けユニット24cを更に昇降テーブル22aに対して上昇させて、下受けユニット24cで基板2を押し上げる(図15(a)。図中に示す矢印C2)。これにより基板2はY軸方向の両端をクランプ部材24aに対して摺動させながら上昇し(基板2はコンベア部23の両ベルトコンベア23bから上方に離間する)、下受けユニット24cが昇降テーブル22aに対する上昇位置に位置して基板2の上面が両クランプ部材24aの上面とほぼ同じ高さになったところで、制御装置80は、下受けユニット24cの押し上げを停止させる。これにより基板保持部24によって基板2が保持された状態となる(図15(a)。図11に示すステップST2の基板保持工程)。
制御装置80は、上記の基板保持工程が終了したら、カメラユニット移動機構84の作動制御を行い(X軸ステージ51をY軸方向に移動させるとともに、カメラ支持ステージ52をX軸方向に移動させ)、第1カメラ15aを基板2に設けられた基板側位置決め用マークmkの直上に位置させ、第1カメラ15aに基板側位置決め用マークmkの撮像を行わせてその画像データから基板2の位置を把握するとともに(図15(b))、第2カメラ15bをマスク13に設けられたマスク側位置決め用マークMKの直下に位置させ、第2カメラ15bにマスク側位置決め用マークMKの撮像を行わせてその画像データからマスク13の位置を把握する(図16(a))。そして、制御装置80は、把握した基板2の位置とマスク13の位置に基づいて、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21の作動制御を行って基板保持部24を(したがって基板2を)水平面内方向に移動させ、基板側位置決め用マークmkとマスク側位置決め用マークMKとが上下に対向するようにして、マスク13に対する基板2の水平面内方向の位置決めを行う(図11に示すステップST3の位置決め工程)。
制御装置80は、上記位置決め工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して上昇させ(図16(b)中に示す矢印E1)、基板2の被印刷面である上面にマスク13を相対的に接触させる(図16(b)。図11に示すステップST4の基板・マスク接触工程)。これによりマスク13のパターン孔13aと基板2上の電極3とが上下方向に合致した状態となる。
制御装置80は、基板2をマスク13に接触させたら、スクリーン印刷機1の動作を一時中断したうえで、このスクリーン印刷機1が備えるディスプレイ装置86(図7)を介した画像表示により、オペレータOPにペーストの供給を促す。オペレータOPは、現在マスク13上に残っているペーストを目視し、そのペーストの量に基づいてペーストの供給(補充)を行うべきかどうかの判断を行い、ペーストの供給を行うべきと判断したときには、別途用意したペースト供給シリンジ90(図17(a))により、マスク13上へのペーストPstの供給を行う。そして、ペーストPstの供給が終わったら、このスクリーン印刷機1が備える動作再開ボタン87(図7)の操作を行う。オペレータOPは、ペーストPstの供給が不要と判断した場合においても、動作再開ボタン87の操作を行う。
制御装置80はステップST4の後、前述の動作再開ボタン87の操作信号の出力に基づいて行う、オペレータOPによって動作再開ボタン87が操作されたか否かの判断において(図11に示すステップST5の第1判断工程)、オペレータOPによって動作再開ボタン87が操作されたと判断したときには、スクリーン印刷機1の動作中断を解除し、2つのスキージ14のうちの一方のスキージ14を下降させて、そのスキージ14の下端を基板2に接触されているマスク13に上方から当接させる(図11に示すステップST6のスキージ当接工程)。なお、このときマスク13に当接させるスキージ14は、スキージベース60が前方のクランプ部材24aの上方に位置しているときには前方のスキージ14(図17における紙面左側のスキージ14)であり、スキージベース60が後方のクランプ部材24aの上方に位置しているときには後方のスキージ14(図17における紙面右側のスキージ14)である。
制御装置80は、スキージ14を下降させてマスク13に当接させたら、マスク13上のペーストPstを基板2に転写させるペースト転写工程(図11に示すステップST7及び図12に示すサブルーチンの各工程)を実行する。ペースト転写工程では、制御装置80は先ず、スキージベース移動機構85の作動制御を行い、スキージ14をマスク13に上方から当接させた状態で、そのマスク13に当接させたスキージ14の側のロードセル76から出力されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pに基づいて印圧Pmを検出し(図12に示すステップST701の印圧検出工程)、その検出した印圧Pmが所定範囲(適正荷重範囲Rg)内にあるか否かの判断を行う(図12に示すステップST702の第2判断工程)。その結果、制御装置80は、検出した印圧Pmが適正荷重範囲Rg内にあった場合にはアルゴリズム実行上のフラグFに「0」を代入し(図12に示すステップST703のフラグ代入工程)、検出した印圧Pmが適正荷重範囲Rg内になかった場合にはフラグFに「1」を代入する(図12に示すステップST704のフラグ代入工程)。
制御装置80は、ステップST702の印圧検出工程及びステップST703又はステップST704のフラグ代入工程が終了したら、スキージベース60を(すなわちスキージ昇降軸61を)Y軸方向(すなわち水平面内方向)に移動させることによりスキージ14をマスク13上で摺動させ(図12に示すステップST705のスキージ移動工程)、そのスキージ14でマスク13のパターン孔13a内にペーストPstを充填させることによって、ペーストPstを基板2の電極3上に転写させる。
制御装置80は、上記スキージ移動工程では、前方のスキージ14については、前方のスキージ14を前方のクランプ部材24aの上面領域に当接させた状態でスキージベース60を後方に移動させ、スキージ14がマスク13上を後方に摺動することによってペーストPstがマスク13の後方に掻き寄せられるようにする(図17(b)中に示す矢印F1)。一方、制御装置80は、後方のスキージ14については、後方のスキージ14を後方のクランプ部材24aの上面領域に当接させた状態でスキージベース60を前方に移動させ、スキージ14がマスク13上を前方に摺動することによってペーストPstがマスク13の前方に掻き寄せられるようにする(図17(c)中に示す矢印F2)。これによりマスク13のパターン孔13aを介して基板2の電極3上にペーストPstが転写される。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、図16(b)に示すように、マスク13の基板2との接触領域(基板接触領域R1)と、その基板接触領域R1のスキージ14の移動方向(Y軸方向)の両端部に位置するクランプ部材24aとの接触領域(クランプ部材接触領域R2)を含んだ領域をマスク13上のスキージ移動領域R0としており、制御装置80は、このスキージ移動領域R0上をスキージ14がY軸方向に摺動するようにスキージベース60を移動させる。このためスキージ14は、一方のクランプ部材接触領域R2から基板接触領域R1を経て他方のクランプ部材接触領域R2に至る経路で移動する。
制御装置80は、上記のスキージ移動工程でスキージ14を移動させている間、フラグFの判定を行う(図12に示すステップST706のフラグ判定工程)。そして、判定したフラグFが「0」であった場合(すなわち印圧Pmが適正荷重範囲Rg内であった場合)には、ロードセル76からの出力によって求められるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPが閾値(荷重変動量対応閾値ΔP1)以下となるかどうかを判定することによって異物Qの検出を行う(図12に示すステップST707の荷重変動量による異物検出工程)。そして、ロードセル76からの出力によって求められるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPが荷重変動量対応閾値ΔP1内であった場合には、スキージ14がクランプ部材接触領域R2内の移動終了地点に到達したかどうかの判断を行う(図12に示すステップST708の第3判断工程)。そして、スキージ14が移動終了地点に到達していなかった場合にはステップST705に戻ってスキージ14のマスク13上での摺動を続行し、スキージ14が移動終了地点に到達していた場合にはスキージ14の移動を停止して(図12に示すステップST709のスキージ移動停止工程)、メインルーチンに戻る。
一方、ステップST707の荷重変動量による異物検出工程でロードセル76からの出力によって求められるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPが荷重変動量対応閾値ΔP1以下でなかった(変動量ΔPが荷重変動量対応閾値ΔP1を超えていた)場合には、基板2上に異物Q(後述するように、基板2枚流しの場合の上側の基板2も含む)が存在するものとして、スクリーン印刷機1及び基板2の保護のため、スクリーン印刷機1によるスクリーン印刷動作を停止させるとともに、ディスプレイ装置86を介した画像表示により、基板2上に異物Qが存在する旨をオペレータOPに報知する(図12のステップST710に示すスクリーン印刷動作停止工程)。
これによりスキージ14が異物Qを乗り上げてマスク13上を進行することがなく、異物Qによってスキージ14が上方に押し上げられ、過大な押し付け力が基板2に作用して基板2が破損に至る事態が防止される。また、基板2上に異物Qがあった状態のままスクリーン印刷が継続されることがないので、印刷不良の基板2が生産されてしまう不都合も防止される。
一方、制御装置80は、ステップST706のフラグ判定工程でフラグFが「1」であった場合(すなわち印圧Pmが適正荷重範囲Rg内でなかった)場合には、リニアスケール77からの出力によって求められるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTが閾値(上下方向位置変動量対応閾値ΔT1)以下となるかどうかを判定することによって異物Qの検出を行う(図12に示すステップST711の位置変動量による異物検出工程)。そして、リニアスケール77からの出力によって求められるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTが上下方向位置変動量対応閾値ΔT1内であった場合には、フラグFが「0」であった場合と同様にステップST708の第3判断工程に進み、リニアスケール77からの出力によって求められるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTが上下方向位置変動量対応閾値ΔT1以下でなかった(変動量ΔTが上下方向位置変動量対応閾値ΔT1を超えていた)場合には、基板2上に異物Qが存在するものとして、スクリーン印刷機1によるスクリーン印刷動作を停止させるとともに、ディスプレイ装置86を介した画像表示により、基板2上に異物Qが存在する旨をオペレータOPに報知する(図12のステップST710に示すスクリーン印刷動作停止工程)。
このように本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、印圧Pmが適正荷重範囲Rg内にあるときにはロードセル76を通して求められるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPから精度のよい異物検出を行うことができるものの、印圧Pmが適正荷重範囲Rg内にないときには、ロードセル76によるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの検出精度は低下するため、その変動量ΔPからは精度のよい異物検出を行うことができないところであるが、リニアスケール77は、スキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tを直接計測するものであるので、印圧Pmによって変動量ΔTの検出精度が低下することはなく、印圧Pmの範囲によらず正確な異物検出を行うことができるので、結果として、スキージ14のマスク13に対する印圧の大きさによらず、基板2上の異物Qの検査を精度よく行うことができるものとなっている。
また、制御装置80は、図18(a),(b)に示すように、一方のクランプ部材接触領域R2から基板接触領域R1に向かう領域で(すなわち基板2の端部を跨ぐ領域で)、ロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPが荷重変動量対応閾値ΔP1を上回ったことを検知した場合には、基板2が複数枚重ねられている状態(基板2枚流しの状態)であると判断し、ステップST709においてスクリーン印刷動作を停止させるとともに、ディスプレイ装置86を介した画像表示により、基板2枚流しの状態が発生した旨をオペレータOPに報知する。このため、基板2枚流しの状態のままスクリーン印刷が実行されて基板2そのものを無駄にしてしまう事態が防止される。
制御装置80は、メインルーチンのステップST7(図12に示すサブルーチン)が終了したら、スキージ昇降軸61をスキージベース60に対して上昇させて、スキージ14をマスク13から離間させる(図11に示すステップST8のスキージ離間工程)。
制御装置80は、上記のスキージ離間工程が終了したら、昇降テーブル22aをベーステーブル21dに対して下降させ(図19(a)中に示す矢印E2)、マスク13から基板2を離間させる(図19(a))。これにより版離れが行われ、ペーストPstが基板2の電極3上に印刷された状態となる(図11に示すステップST9の版離れ工程)。
制御装置80は、ステップST9の版離れ工程が終了したら、クランプ部材24aを作動させて基板2のクランプを解除したうえで(図19(b)中に示す矢印D2)、下受けユニット24cを(下受けユニット支持テーブル24bを)昇降テーブル22aに対して下降させ(図19(c)中に示す矢印C3)、基板2をコンベア部23上に降ろす(図19(c))。これにより基板保持部24による基板2の保持が解除される(図11に示すステップST10の基板保持解除工程)。
制御装置80は、基板保持解除工程が終了したら、基板保持移動ユニット12が備える水平移動部21を作動させ、基板搬出コンベア26に対するコンベア部23の位置調整を行ったうえで、コンベア部23と基板搬出コンベア26を連動作動させ、コンベア部23上の基板2を基板搬出コンベア26に受け渡してそのまま基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図11に示すステップST11の基板搬出工程)。
制御装置80は、基板搬出工程を終了したら、他にスクリーン印刷を施す基板2があるかどうかの判断を行う(図11に示すステップST12の第4判断工程)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他にスクリーン印刷を施す基板2がなかった場合には一連のスクリーン印刷作業を終了する。
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板2の上面に接触されるマスク13と、マスク13の上方に設けられて水平面内方向に移動されるスキージベース60と、スキージベース60に対して昇降されるスキージ昇降軸61と、スキージ昇降軸61の下端に取り付けられ、マスク13に上方から当接した状態でスキージベース60が水平面内方向に移動されることによりマスク13上で摺動し、マスク13上に供給されたペーストPstを基板2に転写させるスキージ14と、スキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの検出を行う荷重検出手段としてのロードセル76と、スキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの検出を行う位置検出手段としてのリニアスケール77と、スキージ14がマスク13上で摺動されているとき、ロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pからスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPを求め、或いはリニアスケール77により検出されるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tからスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTを求めて基板2上の異物Qの検出を行う異物検出手段としての制御装置80を備えたものとなっている。
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1における異物検出方法は、基板2の上面にマスク13を接触させる工程(ステップST4の基板・マスク接触工程)と、マスク13の上方に設けられたスキージベース60に対して昇降されるスキージ昇降軸61の下端に取り付けられたスキージ14をマスク13に上方から当接させる工程(ステップST6のスキージ当接工程)と、スキージ14をマスク13に当接させた状態でスキージベース60を水平面内方向に移動させることによりスキージ14をマスク13上で摺動させてマスク13上のペーストPstを基板2に転写させつつ、スキージ昇降軸61の軸方向荷重Pを検出し、或いはスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Pを検出することにより、スキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔP或いはスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTを求めて基板2上の異物Qの検出を行う工程(ステップST707の荷重変動量による異物検出工程又はステップST711の位置変動量による異物検出工程)を含むものとなっている。
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1及びスクリーン印刷機1における異物検出方法では、スキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの検出を行う荷重検出手段としてのロードセル76のほか、スキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの検出を行う位置検出手段としてのリニアスケール77が設けられており、ロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPに基づく異物検出を精度よく行うことができない場合には、リニアスケール77によって検出されるスキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTに基づく異物検出に切り替えて異物検出を行うことができるので、スキージ14のマスク13に対する印圧の大きさによらず、基板2上の異物Qの検査を精度よく行うことができる。
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1及びスクリーン印刷機1における異物検出方法では、異物検出手段(制御装置80)は、スキージ14の摺動動作の開始時にロードセル76によって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pが適正荷重範囲Rg内にあったときは、スキージ昇降軸61の軸方向荷重Pの変動量ΔPに基づく基板2上の異物Qの検出を行い、スキージ14の摺動動作の開始時にロードセル76よって検出されるスキージ昇降軸61の軸方向荷重Pが適正荷重範囲Rg内になかったときは、スキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの変動量ΔTに基づく基板2上の異物Qの検出を行うようになっているので(ステップST702〜ステップST708)、異物検出方法の切り替えが印圧の大きさに応じてスムーズになされ、作業効率を高めることができるようになっている。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、スキージ昇降軸61は、スキージベース60に対して昇降するボール螺子から成るものであったが、スキージベース60に取り付けられたエアシリンダの下方に突没自在なピストンロッドから成るものであってもよい。また、上述の実施の形態では、スキージ14は二つ備えられていたが、必ずしも二つ備えられていなくてもよく、ひとつのみ備えられているのであってもよい。
また、上述の実施の形態では、スキージ昇降軸61の軸方向荷重の検出を行う荷重検出手段として、スキージ昇降軸61とスキージ14の間に介装された弾性体75に取り付けられた歪みゲージ式のロードセル76から成るものとしていたが、荷重検出手段の構成は特に限定されない。また同様に、上述の実施の形態では、スキージ14のスキージベース60に対する上下方向位置Tの検出を行う位置検出手段として、スキージ14とスキージベース60の間に設けられたリニアスケール77から成るものとしていたが、位置検出手段の構成は特に限定されない。