JP5485734B2 - 活性炭の製造方法及び活性炭 - Google Patents

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Description

本発明は、活性炭の製造方法とこれにより得られる活性炭に関する。詳しくは、種子含有成分を採取した後の植物種子滓から炭化工程と水蒸気賦活工程とを経て得られ、吸着ヒートポンプ用や窒素精製用の吸着材などとして好適な活性炭を得る製造方法等に関する。
従来から、特定成分を吸着・脱離可能な活性炭が種々の分野において活用されている。活性炭は、石油ピッチや石炭等の鉱物系原料、ポリエステルやポリカーボネート等の合成樹脂、ヤシ殻や胡桃殻等の果実殻、木片や鉋屑等の木質系原料、とうもろこしの芯やセルロース等の植物系原料、及びパン酵母やビール酵母等の酵母類など、あらゆる原料から製造される。ここで、ある特定成分を吸着・脱離するには、それに適した細孔径分布を有する活性炭を使用しなければならない。しかし、活性炭は原料や製造条件等によって細孔径分布が大きく異なる。したがって、処理対象となる特性成分、すなわち使用目的に応じて、好ましい原料や製造条件等も異なってくる。
例えば、吸着ヒートポンプ用の活性炭として、本発明者の一人が先に提案した下記特許文献1がある。特許文献1では、ポリエステル等の熱可塑性樹脂とアルカリ金属の水酸化物とを混合した後、400〜600℃で炭化し、450〜550℃でアルカリ賦活している。これにより得られる活性炭は、相対水蒸気圧0.05と0.45の各々において該活性炭1kg当たりに吸着される水分の質量差が0.12kg以上となっている。
ところで、近年では環境問題がクローズアップされている。例えば合成樹脂では、二酸化炭素の発生による気球温暖化の問題がある。これに対し植物由来の原料であれば、成長過程で取り込んでいた二酸化炭素が放出されるだけなので、地球全体の二酸化炭素量は増加しない(カーボンニュートラル)点で好ましいとされている。その一方で、農作物の処理問題もある。例えば、搾油後の植物種子滓は、家畜の飼料として使用される場合もあるが、大半は焼却処分するか埋め立て処理するのが一般的であった。
そこで、搾油後の植物種子滓を活性炭として有効利用する技術として、下記特許文献2が提案されている。具体的には、綿実、大豆、サフラワ、なたね、胡麻、落花生、アブラヤシ等の植物種子滓を、200〜500℃で3〜5時間かけて炭化し、800〜1100℃で30〜60分水蒸気賦活している。これにより得られる活性炭は、ベンゼン吸着能、メチレンブルー吸着能、ヨウ素吸着能を有し、過酸化水素を含む廃水の処理紙、繊維漂白後の廃水や金属処理後の廃水処理、又は食品中の過酸化水素除去用として使用できるとされている。
特許第3597783号公報 特開平5−309269号公報
しかしながら、特許文献2には活性炭の細孔径分布は記載されていない。したがって、過酸化水素を含む廃水等の処理や食品中の過酸化水素除去以外(例えば吸着ヒートポンプ用や窒素精製用等)の用途に供することができるか否かは不明である。また、賦活工程における水蒸気圧条件の記載もない。したがって、賦活条件によっては十分な細孔容積(吸着・脱離能力)が得られないか、上記以外の用途に供することはできない。また、特許文献2で例示されている植物種子以外の植物種子から良好な活性炭が得られるかは不明である。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、種子含有成分採取後の植物種子滓、特に従来にはなかった原料から、吸着ヒートポンプ用や窒素精製用にも使用可能な活性炭の製造方法及び活性炭を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次の手段を採る。
(1)ヤトロファ種子滓を原料とし、細孔直径が0.5〜1.0nmの範囲にあり、微分細孔径分布において0.6nmにピークを有し、相対水蒸気圧0.05において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量と、相対水蒸気圧0.45において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量との差が、130mg以上であり、相対水蒸気圧0.25において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量と、相対水蒸気圧0.45において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量との差が、101.4mg以上であり、相対水蒸気圧0.05〜0.45における水蒸気吸着等温線が、下方へ湾曲したカーブを描くことを特徴とする、活性炭。
(2)吸着ヒートポンプ用または窒素精製用の吸着材として使用される、(1)に記載の活性炭。
本発明によれば、種子含有成分採取後の植物種子滓を活性炭として有効利用しているので、環境問題に貢献できる。そのうえで、種子含有成分採取後の植物種子滓を60℃以上の飽和蒸気圧存在下、750〜900℃で賦活することで、細孔直径が整っており(細孔径の分布幅が狭い)、且つ良好な吸着・脱離能力を有する活性炭を得ることができる。特に、蒸気圧条件による影響が大きい。また、本発明の製造方法によれば、従来では活性炭原料として使用されていなかったヤトロファ種子滓からも、吸着ヒートポンプ用や窒素精製用の吸着材などとして使用可能な、新規な活性炭を得ることができる。
賦活工程を30分以上行えば、的確に細孔の微細化とこれに基づく比表面積の増大を図ることができる。これにより、活性炭の細孔容積が大きくなり、吸着・脱離能力の高い活性炭を得ることができる。この場合、複数回に分けて段階的に賦活すれば、連続して賦活するよりも効率よく細孔容積を増大することができる。炭化工程を400〜1000℃で行えば、植物種子滓を変質させることなく的確に炭化できると共に、効率よく揮発分を除去して炭化工程を短縮できる。
本発明の製造方法によれば、ヤトロファ種子滓から、細孔直径(細孔径分布)が0.5〜1.0nmの範囲にある、細孔径分布において0.6nmにピークを有する、相対水蒸気圧0.05において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量と、相対水蒸気圧0.45において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量との差が130g以上である、相対水蒸気圧0.25において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量と、相対水蒸気圧0.45において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量との差が、101.4mg以上である、相対水蒸気圧0.05〜0.45における水蒸気吸着等温線が下方へ湾曲したカーブを描く、吸着ヒートポンプ用や圧力スイング法を利用した窒素精製用の吸着材としても使用可能な活性炭を得ることができる。特に、吸着ヒートポンプ用の吸着材として好適である。
植物種子滓を炭化及び賦活した際の収率を示すグラフである。 窒素吸着等温線である。 積算細孔分布図である。 微分細孔分布図である。 水蒸気吸着等温線である。
本発明の活性炭は、活性炭原料を炭化させる炭化工程と、該炭化工程の後に水蒸気賦活する賦活工程とを経て得られる。活性炭原料としては、種子に含有されている各種成分を採取した後の植物種子滓(残渣)を使用する。種子含有成分としては、代表的には油が挙げられるが、その他ポリフェノール(抗酸化成分)、香味成分、又は薬効成分など、種子に含まれている成分であれば特に限定されない。種子含有成分は、圧搾、溶剤抽出、水蒸気抽出などによって採取できる。植物種子としては、例えばヤトロファ、綿実、大豆、サフラワ、なたね、亜麻、蓖麻、はぜ、オリーブ、胡麻、椿、落花生、アブラヤシ、及びひまわり等が挙げられるが、中でもヤトロファ種子が好ましい。従来、ヤトロファ種子から得られる活性炭は提案されておらず、新規な活性炭となるからである。ヤトロファ(Jatropha curcas)とは、トウダイグサ目トウダイグサ科の落葉低木であって、ナンヨウアブラギリとも称される。ヤトロファ種子における仁の約60%は脂質である。
(炭化工程)
炭化は、従来から公知の方法で行えばよい。炭化温度は特に限定されず、比較的低温(例えば200℃以上400℃未満程度)で行うこともできるが、400〜1000℃で行うことが好ましく、750〜900℃で行うことがより好ましい。炭化温度が400℃未満では揮発分を的確に除去できないおそれがあり、最終的な細孔容積にも悪影響を及ぼす。一方、炭化温度が1000℃を超えると、植物種子滓の変質を招き、活性炭としての機能が低下するおそれがある。炭化工程を750〜900℃で行えば、植物種子滓の変質を避けながら、迅速且つ的確に揮発分を除去できる。したがって、炭化工程の短縮にも有利である。炭化工程を750〜1000℃で行う場合は、0.5〜2時間程度行えばよい。炭化時間が0.5時間未満では、揮発分除去不足に繋がる。一方、炭化時間は2時間を超えても構わないが、エネルギーコストの無駄が生じる。
(賦活工程)
賦活は、水蒸気の存在下で熱処理する。具体的には、炉内を窒素等の不活性ガスによって不活性雰囲気としたうえで、所定温度で発生した飽和水蒸気圧を導入する。賦活温度は炭化温度と同等以上とすればよい。具体的には、750〜900℃程度で賦活することが好ましい。飽和水蒸気圧は、60℃以上の温度における飽和水蒸気圧とすることが好ましい。60℃未満の飽和水蒸気圧存在下でも賦活は行えるが、細孔の微細化及び比表面積の増大に基づく細孔容積の増大量が軽微となる。より好ましくは70℃以上の温度における飽和水蒸気圧を導入する。また、賦活は少なくとも30分以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは4時間以上行う。賦活時間が長いほど細孔容積が増大する傾向にあるからである。但し、細孔容積の増大にも限界があるので、賦活時間の上限は10時間程度とする。それ以上賦活を続けてもエネルギーコストの無駄が生じる。また、賦活は、連続して長時間行うよりは、複数回(2回以上)に分けて行うことが好ましい。理由は定かではないが、複数回に分けて段階的に賦活すると、連続して賦活するよりも細孔の微細化及び比表面積の増大に基づく細孔容積の増大量が大きくなる。
上記工程を経ることで、微細な細孔(超ミクロ孔)を有し、且つ各細孔の細孔直径が整った活性炭が得られる。すなわち、細孔径分布が狭く、且つ単一のピークを有する単一細孔径分散型の活性炭が得られる。したがって、処理対象(吸着・脱離する特定成分)を効率的且つ的確に処理することができ、その処理能力が高い。このような本発明の活性炭は、上下水処理、化学品や医薬品の製造、各種廃液処理、又は空気浄化などにおける、溶剤(有機蒸気)回収、脱硫、脱硝、脱色、及びガス分離精製用等の吸着材や分子篩のほか、触媒担体などとしても使用することができる。中でも、吸着ヒートポンプや圧力スイング法による窒素精製用の吸着材として好適である。
(試験1)
先ず、炭化工程及び賦活工程後の収率について評価した。試験には、処理炉、フラスコ、及びNガスボンベがそれぞれ配管で連結された装置を使用した。処理炉は1000℃まで昇温可能であり、昇温速度を調整できる。フラスコには水が封入されており、水温を恒温槽によって制御できる。また、各配管には切り替え弁が設けられている。
炉内に油抽出後のヤトロファ種子滓(残渣)50gを挿入し、表1に示す種々の条件で処理した試料1〜5の収率を計測した。炭化工程では炉内に1l/minのNガスを導入して不活性雰囲気とした。賦活工程では約8gの炭化物を炉内へ挿入し、炭化工程と同条件でNガスを流通させ、炉内が所定の賦活温度に達したことを確認した後、Nガス流通経路をフラスコ側に切り替えて、所定温度の水蒸気を同伴供給させた。試料1〜5の収率は、(処理後の重量/処理(炭化)前重量)×100の計算式によって求めた。その結果を図1に示す。
Figure 0005485734
図1の結果から、賦活処理した試料2〜試料5は、炭化処理のみの試料1よりも収率が低かった。これにより、上記賦活条件によって炭化物が確実に賦活されていることが確認できる。また、賦活炭(試料2〜5)の収率は、水蒸気温度及び賦活時間の増大に伴って減少する傾向が確認された。更に詳しくみると、賦活時間が同じ試料2と試料3とでは、収率はほぼ同等であった。また、賦活時間は異なるが、水蒸気温度が同じ試料4と試料5とでも、収率はほぼ同等であった。これにより、賦活工程では、賦活時間よりも水蒸気温度すなわち飽和水蒸気圧温度が大きく影響することが確認された。そのうえで、水蒸気温度が50℃の試料3と水蒸気温度が70℃の試料4,5とでは、収率に大きな差があった。これにより、賦活工程では、60℃以上の飽和蒸気圧存在下、好ましくは70℃以上の飽和水蒸気圧存在下で賦活することが好ましいことが導き出せた。また、図示していないが、処理温度を900℃としその他の条件は同じとした場合も、750℃で処理した試料1〜5と同様の収率であり、上記と同じ傾向を示すことが確認できた。これにより、750〜900℃の範囲であれば、処理温度の相違による影響は小さく、且つ的確に活性炭を得ることができることが確認できた。
(試験2)
次に、処理温度(炭化温度及び賦活温度)及び水蒸気温度を同一条件としたうえで、賦活時間を種々変更した試料6〜10によって窒素吸着能と比表面積の評価を行った。試料6〜10は、炭化温度及び賦活温度を750℃とし、水蒸気温度は70℃とした。また、比表面積の評価では、試料6〜10と対比するため、それぞれ水蒸気温度を50℃とした上記試料3及び新たな試料11の比表面積を求めた。試料11も、炭化温度及び賦活温度は750℃である。試料6〜11における賦活条件を表2に示す。なお、2回目の賦活(再賦活)は、1回目の賦活後、炉内から取り出して空冷し、試料温度が十分に下がったところで、再度同じ条件で賦活した。
Figure 0005485734
容量法によって求めた窒素吸着等温線(−196℃)を図2に示し、窒素吸着等温線からBET式に従って比表面積を求めた結果を表3に示す。
Figure 0005485734
表3の結果から、賦活時間の増大に伴い比表面積が増大している。これにより、賦活時間はできるだけ長い方が好ましいことがわかる。再賦活した試料9及び試料10は、それぞれ1回賦活の試料6及び試料8と比べて比表面積が増大している。しかも、トータルの賦活時間が共に4時間の試料8と試料9とでは、2回に分けて賦活した試料9の方が連続賦活の試料8よりも比表面積が大きい。これにより、長時間賦活するとしても、複数回に分けて段階的に賦活することが好ましいことが確認できた。また、試料6と試料9との差よりも、試料8と試料10との差の方が小さい。これは、あまり長時間賦活しても、比表面積の増大には限界があることが示唆される。これにより、賦活時間は、最大でも10時間程度とすることが好ましいことが導き出される。
一方、水蒸気温度50℃の試料3,11は、水蒸気温度70℃の試料6〜10と比べて比表面積が大きく劣っていた。特に、試料11と試料6とを対比すると、賦活時間は試料11の方が長いが、水蒸気温度の高い試料6の方が比表面積が大きい。これより、賦活工程では、賦活時間よりも水蒸気温度の方が影響が大きいことが改めて確認された。また、70℃以上の飽和水蒸気圧存在下で賦活すれば、比表面積600m/g以上の活性炭を得ることができることがわかった。しかも、70℃以上の飽和水蒸気圧存在下で賦活を複数回に分けて行えば、比表面積800m/g以上の活性炭を得ることができることもわかった。また、比表面積が最大の試料10は、石炭系の活性炭と比肩できる。これにより、賦活条件によっては、植物種子滓(特にヤトロファ種子滓)から石炭系の活性炭と同等の比表面積を有する活性炭を得ることができることもわかった。
一方、図2の結果によれば、各試料の窒素吸着等温線はいずれも相対圧0.05以下で立ち上がった後平坦に推移し、相対圧0.9以上で再度上昇している。これにより、植物種子滓(特にヤトロファ種子滓)から得られる活性炭を、圧力スイング法による窒素精製用の吸着材として使用できることが確認された。なお、図2の結果においても、試料6,7,8,9,10の順で窒素吸着量が高い。これは、上記表3に示す比表面積の傾向と一致している。
図3に、各試料における細孔直径の積算細孔分布を示し、その微分細孔分布を図4に示す。図3から明らかなように、ヤトロファ種子滓から得られる活性炭は、賦活条件に関係なく、細孔直径が全て0.5〜1.0nm(5〜10Å)の範囲にあることがわかる。さらに、図4から明らかなように、ヤトロファ種子滓から得られる活性炭における微分細孔分布では、0.6nm(Å)に高い単一のピークを有し、その殆どが直径0.6nmの超ミクロ孔で占められていることがわかる。また、これらの結果から、ヤトロファ種子滓から得られる活性炭の細孔は、直径がほぼ均一な単一細孔径分散型活性炭となっていることも確認される。なお、図3,4の結果においても、賦活時間が長いほど、及び再賦活を行うことで細孔容積が増大する傾向が確認される。これは、上記表3に示す比表面積の傾向と一致している。

(試験3)
次に、これらの試料を用いて、水蒸気吸着能を評価した。その結果(水蒸気吸着等温線)を図5に示す。また、表4に、図5の代表的な相対水蒸気圧における水蒸気吸着量を示し、表5に、試料8〜10の各代表的な相対水蒸気圧における水蒸気吸着量の差を示す。表4,5中の数値(相対蒸気圧を除く)はmg/gである。
Figure 0005485734
Figure 0005485734
表5及び図5の結果から、ヤトロファ種子滓から得られる活性炭は、相対水蒸気圧0.05において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量と、相対水蒸気圧0.45において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量との差が110mg以上であり、試料1と比べて変動量が大きいことがわかる。特に、再賦活した試料9,10においては、相対水蒸気圧0.05において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量と、相対水蒸気圧0.45において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量との差が130mg以上あった。これは、合成樹脂から得た特許文献1の活性炭よりも高い。これにより、植物種子滓(特にヤトロファ種子滓)から得られる活性炭が、吸着ヒートポンプ用の吸着材として好適であることがわかる。これは、吸着ヒートポンプが作動する際の好適な相対水蒸気圧は0.05〜0.45程度であり、これら各々の相対水蒸気圧における吸着量の差が大きい方が、処理能力が高く活性炭として好ましいことに起因する。
また、図5の結果から、試料8〜10における水蒸気吸着等温線では、相対水蒸気圧0.05〜0.45の範囲において水蒸気吸着等温線が下方へ湾曲したカーブを描いている。すなわち試料8〜10では、表5に示すように、相対水蒸気圧0.45での水分吸着量と相対水蒸気圧0.25での水分吸着量との差(ΔP0.45−P0.25の水分吸着量差)が、相対水蒸気圧0.25での水分吸着量と相対水蒸気圧0.05での水分吸着量との差(ΔP0.25−P0.05の水分吸着量差)よりも大きい。これにより、相対水蒸気圧0.05〜0.45の範囲において、吸着している水蒸気を効率良く脱離できることがわかる。これに対し、例えばシリカゲルの水蒸気吸着等温線は、相対水蒸気圧0.05〜0.45の範囲において水蒸気吸着等温線が上方へ湾曲したカーブを描くことが知られている(特許文献1の図4参照)。すなわちシリカゲルでは、例えば相対水蒸気圧0.45での水分吸着量と相対水蒸気圧0.25での水分吸着量との差(ΔP0.45−P0.25の水分吸着量差)が、相対水蒸気圧0.25での水分吸着量と相対水蒸気圧0.05での水分吸着量との差(ΔP0.25−P0.05の水分吸着量差)よりも小さくなることが知られている。したがって、シリカゲルよりも植物種子滓から得られる活性炭の方が、吸着ヒートポンプ用の吸着材として好適であることがわかる。しかも、再賦活した試料9,10においては、相対水蒸気圧0.05〜0.45の範囲において水蒸気吸着等温線が下方へ大きく湾曲したカーブを描いている。これによっても、賦活を複数回に分けて行うことが好ましいことがわかる。
なお、図3,4の結果は、図5に示す水蒸気吸着等温線の測定結果からも裏付けられる。これは、水蒸気吸着が毛管凝縮として説明できるとした、下記Kelvin式によって説明できる。
ln(φ)=−(2Vσcosθ)(rRT)・・・・式(1)
(φ:相対圧、V:水の液体としてのモル体積(18.5×10−6m3/mol)、σ:水―水蒸気間の表面張力(72.59×10−3N/m)、r:毛管半径(nm)、θ:接触角)
式(1)においてrを細孔径とみれば、φはrの減少によって小さくなる。なお、φはcosθの増大によっても小さくなる。そして、細孔径が1〜10nmの活性炭では水蒸気はφ≧0.5で吸着性を示すことに対し、ヤトロファ種子滓の活性炭は0≦φ≦0.5で吸着性を示す。これは、活性炭のcosθが同じであるとすれば、ヤトロファ種子滓の活性炭の細孔径が一般の活性炭よりも小さいことに相当する。
以上の結果から、本発明の活性炭は、上記水蒸気吸着特性を利用する吸着ヒートポンプ用吸着材や、圧力スイング法による窒素精製用の吸着材として好適であることがわかった。特に、ヤトロハ種子滓を原料とする活性炭は、従来の活性炭とは異なる、超ミクロ孔で構成される特徴的な活性炭となることがわかった。

Claims (2)

  1. ヤトロファ種子滓を原料とし、
    細孔直径が0.5〜1.0nmの範囲にあり、
    微分細孔径分布において0.6nmにピークを有し、
    相対水蒸気圧0.05において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量と、相対水蒸気圧0.45において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量との差が、130mg以上であり、
    相対水蒸気圧0.25において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量と、相対水蒸気圧0.45において活性炭1g当たりに吸着される水分の質量との差が、101.4mg以上であり、
    相対水蒸気圧0.05〜0.45における水蒸気吸着等温線が、下方へ湾曲したカーブを描くことを特徴とする、活性炭。
  2. 吸着ヒートポンプ用または窒素精製用の吸着材として使用される、請求項1に記載の活性炭。
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