JP5482108B2 - 燃料電池システムおよびその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池スタックを複数備えた燃料電池システムおよびその運転方法に関する。
固体高分子型燃料電池(以下、「燃料電池スタック」という。)は、「単位電池」とよばれる電池が積層した構造を有している。この単位電池は、触媒層を設けた正極(アノード)および負極(カソード)間に高分子電解質を挟み込んだ膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、以下、「MEA」という。)をセパレータで挟持して構成されている。そして、単位電池ごとに酸化剤としての空気と還元剤としての燃料とが供給されることで、発電する。
このような燃料電池スタックを用いた一例として、燃料として液体のメタノール水溶液を直接酸化して電気を取り出す方式、いわゆる直接メタノール形燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell、以下、直接形燃料電池という。)が挙げられる。直接形燃料電池は、改質器等が不要なため、システムが比較的簡単な構成にできる利点がある。そのため、直接形燃料電池は軽量小型化が可能であり、現在自動車、分散電源、情報電子機器などに利用され、今後携帯電話やノートパソコンといったモバイル機器などの利用にも期待される。
燃料電池スタックの利用形態の一案として、燃料電池スタックを並列に接続して発電させる燃料電池システムが提案されている。例えば、特許文献1では、燃料電池システムは、複数の燃料電池スタックと、これら複数の燃料電池スタックのそれぞれに燃料および酸化剤を供給する手段と、を備え、燃料電池スタックをブロック単位で駆動およびその停止が行えるように構成することが記載されている。このように構成すると、複数の燃料電池スタックを効率的に駆動させることができ、燃料電池システム全体の電圧変動を抑えると共に、必要な電力を容易に供給することができる。
ここで、燃料電池スタックの発電をある一定時間以上停止すると、再起動時に直ちに起動しないという問題が生じる。この理由として、燃料電池スタックの温度が下がると、燃料電池スタック内の化学反応、つまり、水素イオンと酸素イオンとの酸化還元反応の活性が低下することが挙げられる。さらに、このような条件下で燃料電池スタックの発電を行うと、燃料電池スタック内の温度のバラツキによる各単位電池の転極も生じる。そこで、ある一定時間電力を供給しない燃料電池スタックから、直ちに電力を供給することができる燃料電池システムが提案されている。例えば、特許文献2には、外部負荷がないときに燃料濃度を薄くしたり燃料の供給を間欠させるアイドリング動作を備えることが記載されている。また、特許文献3には、燃料電池スタックによる発電を停止させた場合であっても、所定の条件に基づき、酸素供給部や水素供給部を稼働させる間欠運転モードを備えることが記載されている。
特開2001−102074号公報 特開2006−147486号公報 特開2004−172028号公報
しかし、燃料電池スタックのアイドリング動作や間欠運転は、そもそも燃料電池スタックの発電を停止させているのではなく、一定の条件下において空気および燃料を燃料電池スタックに供給して発電をさせているため、負荷に電力を供給していないにも関わらず燃料を消費するといった問題があった。このため、長時間、燃料電池スタックから負荷に電力を供給しない場合、燃料の消費効率が非常に悪い。
また、燃料電池スタックへ供給する燃料の濃度を薄くすることで、燃料電池スタックの電圧を下げることができるが、その電圧が下がるまでにある一定の時間がかかる。そのため、燃料電池スタックへ供給する燃料の濃度を調整して、負荷変動による燃料電池システム全体の電圧変動を抑えることは困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、燃料電池スタックが並列に接続された液体供給形燃料電池システムにおいて、負荷変動によるシステム全体の電圧変動を抑えると共に、消費する燃料を抑えて停止中の燃料電池スタックを直ちに再起動することができる液体供給形燃料電池システムを提案することを技術的課題とする。
第1の発明は、電気的に並列接続された複数の燃料電池スタックを具備する燃料電池システムである。そして、第1の発明は、燃料電池スタックは、液体燃料と酸化剤とを反応させて発電させる液体供給形の燃料電池スタックであり、少なくとも一つの燃料電池スタックを、その他の燃料電池スタックと独立して、発電状態/非発電状態を切り替え可能にする切替手段と、非発電状態の燃料電池スタックの温度を上げる、又は温度低下を防止するための加熱手段とを備える。加熱手段は、発電状態の燃料電池スタックを熱源として、熱源からの熱を非発電状態燃料電池スタックに供給する供給手段を具備し、前記供給手段は、発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料を、非発電状態の燃料電池スタックに供給することを特徴とする。
発電状態とは、燃料電池スタックに液体等の燃料および酸化剤を供給している状態をいう。一方、非発電状態とは、燃料電池スタックに燃料又は酸化剤の少なくともいずれか一つの供給を停止している状態をいう。発電状態の燃料電池スタックの温度は、65[℃]から70[℃]程度となる。ここで、本発明において、燃料電池スタックの温度は、燃料電池スタックの一番端の単セルに対してサーミスタによって測定したものをいう。切替手段は、各燃料電池スタックのそれぞれに対して、個別に燃料や酸化剤の供給および停止を実施する。
加熱手段は、発電状態の燃料電池スタックの熱を、非発電状態の燃料電池スタックに供給することができるものであれば良く、様々なものを適用できる。また、発電状態の燃料電池スタックの熱だけでなく、その他の熱源やヒーター等も用いることができる。
第1の発明では、発電状態の燃料電池スタックの熱源の熱を、非発電状態の燃料電池スタックに供給することで、非発電状態の燃料電池スタック内の温度を従来の発電停止時よりも高い温度にすることができる。そのため、その非発電状態の燃料電池スタックに燃料や酸化剤を供給するだけで直ちに起動できるという効果を得る。
の発明は、燃料電池スタックを、液体燃料と酸化剤とを反応させて発電させる液体供給形の燃料電池スタックとする燃料電池システムである。そして、加熱手段は、発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料を、非発電状態の燃料電池スタックに供給することを特徴とする。
の発明では、発電状態の燃料電池スタックから排出され、発電時と同じ程度の温度を持つ液体燃料を非発電状態の燃料電池スタックに供給することで、非発電状態の燃料電池スタック内の温度を従来の発電停止時よりも高い温度にすることができる。また、常時、液体燃料を非発電状態の燃料電池スタックへ供給すると、その燃料電池スタックを発電する際にその燃料電池スタック内の燃料の供給不足を解消することができる。そのため、その非発電状態の燃料電池スタックに酸化剤を供給するだけで直ちに起動できるという効果を得る。
の発明は、さらに、液体燃料を貯蔵する燃料タンクを備える液体供給形燃料電池システムである。そして、加熱手段は、発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料を、燃料タンクに一旦貯蔵したあとで、非発電状態の燃料電池スタックに供給することを特徴とする。
の発明では、燃料タンクで発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料の温度を調整することができる。そのため、第の発明の効果と、さらに、非発電状態の燃料電池スタック内の温度を所定値に調整できるという効果を得る。
の発明は、第の発明の燃料電池システムにおいて、加熱手段は、発電状態の燃料電池スタックにも、発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料を燃料タンクに一旦貯蔵したあとで供給することを特徴とする。
の発明では、燃料タンクで発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料の温度や濃度を調整することができる。そのため、第およびの発明の効果と、さらに、その液体燃料を再循環させることによって、液体燃料の利用効率を上げることができるという効果を得る。また、発電状態の燃料電池スタックと非発電状態の燃料電池スタックとの液体燃料の供給経路をまとめることもできるため、発電状態の燃料電池スタックと非発電状態の燃料電池スタックとに効率良く液体燃料を供給できるという効果も得る。
の発明は、第1からまでのいずれか一つの発明の燃料電池システムにおいて、少なくとも一つの燃料電池スタックを、その他の燃料電池スタックと独立して、発電状態/非発電状態を切り替え可能にする切替手段は、酸化剤の供給停止を行う酸化剤供給弁および酸化剤供給弁の開閉を制御する制御手段を含むことを特徴とする。
の発明では、酸化剤供給弁の開閉による酸化剤の供給およびその停止のみによって、簡単に燃料電池スタックの発電および非発電状態を切り換えることができる。そのため、第1からの発明の効果と、さらに、簡単に非発電状態の燃料電池スタックを直ちに起動させるという効果を得る。
の発明は、電気的に並列接続された複数の燃料電池スタックと、少なくとも一つの燃料電池スタックを、その他の燃料電池スタックと独立して、発電状態/非発電状態を切り替え可能にする切替手段とを具備する燃料電池システムの運転方法である。燃料電池スタックは、液体燃料と酸化剤とを反応させて発電させる液体供給形の燃料電池スタックであり、切替手段により、前記少なくとも一つの燃料電池スタックを、発電状態から非発電状態に切り替え後に、非発電状態の燃料電池スタックに、その他の発電状態の燃料電池を熱源とする熱を供給し、その他の発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料を、非発電状態の燃料電池スタックに供給し、その後、切替手段により前記非発電状態の燃料電池スタックを、非発電状態から発電状態に切り替えることを特徴とする。
発電状態の燃料電池の熱源の熱を、非発電状態の燃料電池スタックに供給するタイミングやその供給の時間は、適宜変更しても良い。
の発明では、発電状態/非発電状態が切り替え可能な燃料電池スタックを発電状態から非発電状態に切り替え後に、その他の発電状態の燃料電池スタックを熱源とする熱を、その燃料電池スタックに供給することで、燃料電池スタックが非発電状態になってもその燃料電池スタック内の温度を従来の発電停止時よりも高い温度に保つことができる。そのため、その非発電状態の燃料電池スタックに燃料や酸化剤を供給するだけで直ちに起動できるという効果を得る。
本発明によれば、燃料の消費を抑え、非発電状態の燃料電池スタック内の温度を、従来の発電を停止させた燃料電池スタックの温度よりも高い温度にすることができる。また、発電状態の燃料電池スタックを経由する燃料を非発電状態の燃料電池スタックに供給すると、発電する際に燃料電池スタック内の燃料の不足する領域を無くすことができる。そのため、非発電状態の燃料電池スタックを直ちに起動することができ、液体供給形燃料電池システムの電圧変動を抑えることができる。
燃料電池システムの基本構成の一例を示す概略図である。 直接メタノール形燃料電池システムの一例を示す概略構成図である。 同一のケース内に発電状態の燃料電池スタックと非発電状態の燃料電池スタックとの収納を示す概略構成図である。 発電状態の燃料電池スタックと非発電状態の燃料電池スタックとをエンドプレートによって固定する一例を示す概略構成図である。 ラジエータの温風を燃料電池スタックに供給する燃料電池システムの一例を示す概略構成図である。 図4の燃料電池スタックの一部の一例を示す概略構成図である。 燃料の配管が巻き付けられた燃料電池スタックの一例の画像を示す図である。 エンドプレートに貫通孔を設けた一例を示す概略構成図である。 直ちに燃料電池スタックを起動させる燃料電池システムの運転方法の手順の一例を示す図である。 実験例の結果を示すグラフである。 比較例の結果を示すグラフである。
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ただし、第2の実施形態から第7の実施形態までは、液体供給形である直接メタノール形燃料電池システムを例に挙げて説明する。しかし、燃料が液体であるかどうかに関わらず効果を得ることができるため、液体の燃料に特化していない第3の実施形態から第7の実施形態までの燃料電池システムでは、液体供給形以外の燃料電池にも適用できる。
(第1の実施形態)
図1は、燃料電池システムの基本構成の一例を示す概略図である。なお、図1中の実線の矢印は、燃料の流れを、破線の矢印は酸化剤の流れを、実線は電線を、破線は信号線をそれぞれ示す。燃料電池システム10は、燃料電池スタック1および2と、燃料ポンプ4と、酸化剤ポンプ5と、酸化剤供給弁6および7と、加熱手段9と、制御手段11と、燃料供給弁16および17とを備える。そして、燃料電池スタック1および2は、図1の実線で示すように、外部負荷(図示無し)に電気を供給する電圧変換器8に対して並列に接続されている。図1では、燃料電池スタック1および2の燃料および酸化剤の排出経路は省略している。
制御手段11は、中央演算装置(CPU)と、プログラム等を記憶する記憶装置と、燃料ポンプ4や燃料供給弁16および17等の各機器を制御するプログラムとを備える。そして、制御手段11は、図1の破線で示すように、各機器と信号線で接続され、燃料ポンプ4および酸化剤ポンプ5の運転と、酸化剤供給弁6および7と燃料供給弁16および17の開閉を制御することにより、燃料電池スタック1および2の発電とその停止を実施する。燃料電池システムを図1のように構成すると、各供給弁の開閉だけで、燃料電池スタック1および2の発電状態と非発電状態の切り替えができ、たとえ燃料電池スタック1が非発電状態であっても、もう一方の燃料電池スタック2が発電状態であれば、電圧変換器8を介して外部負荷に電気を供給することができる。
加熱手段9は、燃料電池スタック1又は2のどちらか一方が発電状態であるとき、その発電状態の燃料電池スタックの熱を、もう一方の燃料電池スタックに供給する。この熱の供給するタイミングやその供給の時間は、任意に設定でき、非発電状態の燃料電池スタックの運転開始数分前に熱の供給を開始したり、常時熱の供給をしても良い。また、加熱手段9は、発電状態の燃料電池スタックの熱を供給できるものであれば良く、形態や方法等を問わない。
加熱手段9は、後述の第2の実施形態から第7の実施形態で詳細に説明するが、以下の(A)から(F)まで一例として挙げられる。
(A)発電状態の燃料電池スタックから排出された高温の液体燃料を、昇温対象である非発電状態の燃料電池スタックに供給する構成。
(B)発電状態の燃料電池スタックと非発電状態の燃料電池スタックとの両者の燃料電池スタックを収納するケース。
(C)発電状態の燃料電池スタックと非発電状態の燃料電池スタックとの両者に接触する熱伝導性のエンドプレート。
(D)発電状態の燃料電池スタックから排出された空気をラジエータに接続し、ラジエータにより熱せられた温風を昇温対象の非発電状態の燃料電池スタックに吹き付ける構成。特に、非発電状態の燃料電池スタックのセパレータに外気を通す貫通孔を設け、その貫通孔に、ラジエータにより熱せられた温風を通すようにすることが好ましい。
(E)発電状態の燃料電池スタックを経由した後の燃料の配管を、昇温対象の燃料電池スタックに巻きつける構成。
(F)発電状態の燃料電池スタックから排出された高温の液体燃料を、昇温対象の燃料電池スタックの熱伝導性のエンドプレートに接触させる構成。
以上の(A)から(F)までのいずれにおいても、一方の発電状態の燃料電池スタックの熱を、他方の燃料電池スタックに供給して、その他方の燃料電池スタックを温めることができる。
第1の実施形態では、発電状態の燃料電池スタックの熱を、非発電状態の燃料電池スタックに供給することにより、その非発電状態の燃料電池スタックの温度の低下を抑えて一定の温度に維持し、その非発電状態の燃料電池スタックを直ちに起動することができる。
なお、第1の実施形態では、燃料電池スタックを2台で説明しているが、3台以上でも同様である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態において、加熱手段9を、上記(A)とする液体燃料供給形である直接メタノール形燃料電池システムである。第2の実施形態の主な構成は、第1の実施形態と同様である。以下、第2の実施形態について詳細に説明する。
図2は、直接メタノール形燃料電池システムの一例を示す概略構成図である。なお、図2中の実線の矢印は、アルコール水溶液の流れを、破線の矢印は空気の流れを、実線は電線を、破線は信号線をそれぞれ示す。このシステム20における燃料電池スタック1および2は、酸化剤としての空気と、還元剤としてのアルコール水溶液などの液体燃料とを直接接触させて発電する直接メタノール形燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell、DMFC)で構成されている。アルコール水溶液を貯留する燃料タンク3は、アルコール水溶液を吸排出する燃料ポンプ4の流入口と配管などの流通経路で接続されている。そして、燃料ポンプ4の流出口は、その流出口に接続された配管を分岐させて、燃料電池スタック1の燃料の流入口と、燃料電池スタック2の燃料の流入口とに接続されている。そして、燃料電池スタック1の燃料の流出口と、燃料電池スタック2の燃料の流出口とは、燃料タンク3に流通経路で接続されている。したがって、アルコール水溶液は、燃料ポンプ4によって、燃料タンク3から燃料ポンプ4を経由した後分岐して燃料電池スタック1と、燃料電池スタック2とに供給される。そして、アルコール水溶液は、燃料電池スタック内の燃料の流通経路を通って流出口から燃料タンク3へ回収される。そして、その回収されたアルコール水溶液は、再び燃料電池スタック1と、燃料電池スタック2とに供給される。このようにして、アルコール水溶液は、燃料電池スタック1および2と燃料タンク3とを循環している。
燃料電池スタックが発電すると熱を発生するため、その燃料電池スタックを経由するアルコール水溶液は温められる。よって、この温められたアルコール水溶液を燃料電池スタック1および2に循環させることで、燃料電池スタック1又は2のどちらか一方が発電していない場合であっても、その発電していない燃料電池スタックの温度は一定の温度に維持される。また、常時アルコール水溶液を燃料電池スタック1および2に供給することで、燃料電池スタック1および2内の燃料の供給不足は解消される。
図2ではこの燃料ポンプ4は、1台であるが、燃料の供給効率を考慮して複数設けても良く、例えば、各燃料電池スタック毎に設けても良い。また、燃料タンク3では、アルコール水溶液の温度を測定し、加熱ヒーターや冷却器(図示無し)などにより温度を調整しても良い。また、燃料電池スタック1や2の発電により、アルコール水溶液の循環中にその濃度が薄くなる。よって、燃料タンク3では、アルコール水溶液の濃度を測定し、水と濃度の高いアルコール水溶液とを混ぜ合わせることによって、アルコール水溶液の濃度を調整しても良い。
空気ポンプ5aは、酸化剤供給弁6を介して燃料電池スタック1に、酸化剤供給弁7を介して燃料電池スタック2に、それぞれ接続されている。空気ポンプ5aも燃料ポンプ4と同様に複数設けても良い。酸化剤供給弁6および7は、開閉することにより燃料電池スタック1および2への空気の供給およびその停止を行う。
燃料電池スタック1および2の出力端子は、電気的に並列接続されている。また、燃料電池スタック1および2の出力端子は、電圧変換器8を介して外部負荷(図示無し)、燃料ポンプ4および空気ポンプ5aなどの補機類や蓄電池(図示無し)などに接続されている。
制御手段11は、燃料電池スタック1および2を経由してアルコール水溶液を循環させた状態で、空気ポンプ5aの運転と酸化剤供給弁6および7の開閉を行う。これにより、燃料電池スタック1および2は、発電とその停止とをそれぞれ切り替えられる。
第2の実施形態では、発電している燃料電池スタックから放出される液体燃料であるアルコール水溶液を循環させて、発電していない燃料電池スタックにそのアルコール水溶液を供給することにより、その発電していない燃料電池スタックの温度の低下を抑えて一定の温度に維持し、その発電していない燃料電池スタックを直ちに起動することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1の実施形態において、加熱手段9を、上記(B)とする液体燃料供給形である直接メタノール形燃料電池システムである。第3の実施形態の主な構成は、第1の実施形態と同様である。以下、第3の実施形態について詳細に説明する。
図3は、直接メタノール形燃料電池システムの他の一例を示す概略構成図であり、特に、同一のケース内に発電状態の燃料電池スタックと非発電状態の燃料電池スタックとの収納を示す概略構成図である。なお、図3中の実線の矢印は、アルコール水溶液と水の流れを、破線の矢印は空気の流れをそれぞれ示す。
第3の実施形態は、第1の実施形態に、さらに、燃料電池スタック1と燃料電池スタック2とを収納するケース12と、燃料を貯留する燃料タンク3と、水を貯留する水タンク13と、水タンク13から燃料タンク3に水を供給するための水ポンプ14と、燃料電池スタックからの排気を冷却するためのラジエータ18、19と、それらを繋げる配管等の経路とを備える。第3の実施形態は、従来の直接メタノール形燃料電池システムにケース12を設けた構成となっている。
燃料タンク3に貯留されたアルコール水溶液は、水タンク13に貯留する水で濃度や温度を調整される。そして、そのアルコール水溶液は、燃料供給弁16、17を開けた状態で、燃料ポンプ4により燃料電池スタック1、2に供給され、その燃料電池スタック内を流通させて、燃料タンク3に戻される。
また、空気は、酸化剤供給弁6、7を開けた状態で、空気ポンプ5aにより燃料電池スタック1、2に供給され、その燃料電池スタック内を流通させて、ラジエータ18、19に送られる。そして、その空気は、ラジエータ18、19で冷却された後、水タンク13に送られ、直接形燃料電池システムの外部に排出される。
燃料電池スタックが発電すると、熱を発生するため、その熱によって、同一ケースに収納された燃料電池スタックは温められる。よって、燃料電池スタック1又は2のどちらか一方が発電していない場合であっても、その発電していない燃料電池スタックの温度は一定の温度に維持される。
ケース12は、アルコール水溶液や空気を通過させる経路以外の孔を設けず、密閉とすることが好ましい。また、ケース12は、外気の温度と遮断するために、ケース全体を断熱材で覆う構成としても良い。
第3の実施形態では、発電している燃料電池スタックの熱によって、ケースの内部を温めるため、そのケースに一緒に収納されて発電していない燃料電池スタックも温められ、その発電していない燃料電池スタックを直ちに起動することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1の実施形態において、加熱手段9を、上記(C)とする液体燃料供給形である直接メタノール形燃料電池システムである。第4の実施形態の主な構成は、第1の実施形態と同様である。以下、第4の実施形態について詳細に説明する。
図4は、発電状態の燃料電池スタックと非発電状態の燃料電池スタックとをエンドプレートによって固定する一例を示す概略構成図である。燃料電池スタック1および2は、2枚の熱伝導性のエンドプレート21により、その両端で固定されている。第4の実施形態では、第1の実施形態において、図4で示すエンドプレート21を用いる。
燃料電池スタックが発電すると熱を発生するため、その燃料電池スタックのエンドプレートは温められる。よって、この温められたエンドプレートに発電していない燃料電池スタックのエンドプレートを接触させることで、燃料電池スタック1又は2のどちらか一方が発電していない場合であっても、その発電していない燃料電池スタックの温度は一定の温度に維持される。
第4の実施形態では、発電している燃料電池スタックの熱によって、エンドプレートを温めることにより、そのエンドプレートに一緒に固定されて発電していない燃料電池スタックも温められ、その発電していない燃料電池スタックを直ちに起動することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、第1の実施形態において、加熱手段9を、上記(D)とする液体燃料供給形である直接メタノール形燃料電池システムである。第5の実施形態の主な構成は、第1の実施形態と同様である。以下、第5の実施形態について詳細に説明する。
図5は、直接メタノール形燃料電池システムの他の一例を示す概略構成図であり、ラジエータの温風を燃料電池スタックに供給する燃料電池システムの一例を示す概略構成図である。なお、図5中の破線の矢印は空気の流れを示す。
第5の実施形態は、第1の実施形態に、さらに、燃料電池スタックからの排気を冷却するためのラジエータ22、23と、それらを繋げる配管等の経路とを備える。ラジエータ22は、燃料電池スタック1に対して温風F1を、ラジエータ23は、燃料電池スタック2に対して温風F2をそれぞれ吹き付けられるように配置されている。燃料電池スタック1の空気の排出口はラジエータ23と、燃料電池スタック2の空気の排出口はラジエータ22とそれぞれ配管で接続されている。
空気は、酸化剤供給弁6、7を開けた状態で、空気ポンプ5aにより燃料電池スタック1、2に供給され、燃料電池スタック1を通過する空気はラジエータ23に、燃料電池スタック2を通過する空気はラジエータ22にそれぞれ送られる。そして、その空気は、ラジエータ22、23で冷却された後、水タンク13に送られ、直接形燃料電池システムの外部に排出される。このとき、ラジエータ22、23は、燃料電池スタック1、2から排出される空気の熱を奪い取り、温風を発生させる。
燃料電池スタックが発電すると熱を発生するため、その燃料電池スタックを経由する空気は温められる。そして、この温められた空気をラジエータに供給することで、ラジエータから温風が発生する。よって、この温風を非発電状態の燃料電池スタックに吹き付けることで、燃料電池スタック1又は2のどちらか一方が発電していない場合であっても、その発電していない燃料電池スタックの温度は一定の温度に維持される。
図6は、図5の燃料電池スタックの一部の一例を示す概略構成図である。MEA25をセパレータ24で挟持して単セルとし、その単セルを積層することにより、燃料電池スタック1および2は構成されている。図6では、単セル3つを積層した部分を示している。セパレータ24は、貫通孔24aを中心付近に複数設けている。このようにすると、温風を、燃料電池スタックの各単セル内に送り込むことができ、その温風の熱を燃料電池スタック内に効率良く伝えて、その燃料電池スタックを温めることができる。
第5の実施形態では、発電している燃料電池スタックの熱によって、その燃料電池スタックを経由する空気は温められ、その空気を用いてラジエータで温風を発生させ、それを発電していない燃料電池スタックに吹き付けることにより、その発電していない燃料電池スタックも温められ、その発電していない燃料電池スタックを直ちに起動することができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、第1の実施形態において、加熱手段9を、上記(E)とする液体燃料供給形である直接メタノール形燃料電池システムである。第6の実施形態の主な構成は、第1の実施形態と同様である。以下、第6の実施形態について詳細に説明する。
図7は、燃料の配管が巻き付けられた燃料電池スタックの一例の画像を示す図である。燃料電池スタック31は、燃料の配管32を、セルの積層方向の周りに巻き付けて構成されている。この配管の巻き付けの形態や方法は、この実施形態の一例に限らず適宜変更できる。第6の実施形態では、第1の実施形態において、図7で示す燃料電池スタックを用いる。具体的には、燃料電池スタック1の燃料の排出口に接続された燃料の配管を、燃料電池スタック2に、燃料電池スタック2の燃料の排出口に接続された燃料の配管を、燃料電池スタック1に、それぞれ巻き付ける。
燃料電池スタックが発電すると熱を発生するため、その燃料電池スタックを経由するアルコール水溶液は温められる。よって、この温められたアルコール水溶液が流通する配管を、発電していない燃料電池スタックに巻きつけて、その配管に燃料を流通させることで、その発電していない燃料電池スタックの温度は、一定の温度に維持される。
第6の実施形態では、発電している燃料電池スタックを経由するアルコール水溶液を、発電していない燃料電池スタックに巻き付けられた配管に流通させて温めることで、その発電していない燃料電池スタックを直ちに起動することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、第1の実施形態において、加熱手段9を、上記(F)とする液体燃料供給形である直接メタノール形燃料電池システムである。第7の実施形態の主な構成は、第1の実施形態と同様である。以下、第7の実施形態について詳細に説明する。
図8は、燃料電池スタックのエンドプレートに貫通孔を設けた一例を示す概略構成図である。燃料電池スタック41は、複数の単セル42と、2枚のエンドプレート43(1枚図示無し)とを備える。エンドプレート43は、発電している燃料電池スタックから排出されるアルコール水溶液を流通させる貫通孔43aを設けている。この貫通孔43aは、この実施形態の一例に限らず適宜変更できる。第7の実施形態では、第1の実施形態において、図8で示す燃料電池スタックを用いる。具体的には、燃料電池スタック1の燃料の排出口に接続された燃料の配管を、燃料電池スタック2のエンドプレート43の貫通孔43aに、燃料電池スタック2の燃料の排出口に接続された燃料の配管を、燃料電池スタック2のエンドプレート43の貫通孔43aにそれぞれ接続する。
燃料電池スタックが発電すると熱を発生するため、その燃料電池スタックを経由するアルコール水溶液は温められる。よって、この温められたアルコール水溶液を発電していない燃料電池スタックのエンドプレートに接触させることで、その発電していない燃料電池スタックの温度は一定の温度に維持される。
第7の実施形態では、発電している燃料電池スタックを経由するアルコール水溶液を、発電していない燃料電池スタックのエンドプレートに設けた貫通孔に流通させて温めることで、その発電していない燃料電池スタックを直ちに起動することができる。
(第8の実施形態)
図9は、直ちに燃料電池スタックを起動させる燃料電池システムの運転方法の手順の一例を示す図である。複数の燃料電池スタックの発電中に、まず、対象の燃料電池スタックを、その燃料電池スタックに対応する燃料の供給弁や酸化剤の供給弁を閉じて発電状態から非発電状態にする(ステップS1)。次に、その非発電状態の燃料電池スタックに、発電状態の燃料電池スタックの熱を供給する(ステップS2)。例えば、発電状態の燃料電池スタックを経由する燃料を非発電状態の燃料電池スタックに供給する。この熱の供給のタイミングや供給の時間は、任意に設定しても良い。そして、その非発電状態の燃料電池スタックの運転再開時に、その非発電状態の燃料電池スタックに対応する燃料の供給弁と酸化剤の供給弁とを開けて非発電状態から発電状態にする(ステップS3)。以上の(ステップS1)から(ステップS3)までの手順により、非発電状態の燃料電池スタックは発電する前に温められて一定の温度に維持されているため、その燃料電池スタックは直ちに発電状態にして電気を供給することができる。
第8の実施形態では、発電状態と非発電状態との切り替え可能な燃料電池スタックを含め複数の燃料電池スタックが発電状態であって、その発電状態の一つの燃料電池スタックを長時間非発電状態にした後に再起動する場合、非発電状態の燃料電池スタックは直ちに起動することができる。
−実験例−
本実施形態の評価を行うために、下記の<実験例1>および<比較例>と<実験例2>を実施した。ここで、燃料電池スタックの温度は、燃料電池スタックの一番端の単セルに対してサーミスタによって測定したものを用いている。
1.実験
第2の実施形態の直接メタノール形燃料電池システムの出力特性を評価するために、下記の<実験例1>および<比較例>を実施した。そして、時間と比較対象の燃料電池スタックの電圧又は温度との関係をそれぞれ確認した。なお、以下の<実験例1>および<比較例>共に、室温約26[℃]で実施した。
<実験例1>
図2の第2の実施形態と同様の構成で以下の(1)から(3)までの手順を実施する。
(1)負荷に接続された燃料電池スタック1および2に燃料であるアルコール水溶液および酸化剤である空気を供給し、燃料電池スタック1および2を1分間発電する。
(2)負荷を軽くして、燃料電池スタック2のアルコール水溶液および空気の供給を継続した状態で、燃料電池スタック1への空気の供給を停止する。つまり、燃料電池スタック1は発電を停止させ、燃料電池スタック2は発電を継続させる。
(3)燃料電池スタック1の発電を停止してから1時間後、負荷を重くして、燃料電池スタック1への空気の供給を再開する。
<比較例>
燃料電池スタック1および2の出力端子を並列に接続し、燃料電池スタック1および2の各々に燃料および空気を供給し、その燃料を循環させない構成で以下を実施する。具体的には、図1の第1の実施形態において、加熱手段9を除いた、従来の直接メタノール形燃料電池システムと同様の構成で、以下の(1)から(3)までの手順を実施する。
(1)負荷に接続された燃料電池スタック1および2に燃料であるアルコール水溶液および酸化剤である空気を供給し、燃料電池スタック1および2を1分間発電する。
(2)負荷を軽くして、燃料電池スタック2の燃料および空気の供給を継続した状態で燃料電池スタック1への燃料の供給を停止する。つまり、燃料電池スタック1は発電を停止させ、燃料電池スタック2は発電を継続させる。
(3)燃料電池スタック1の発電を停止してから1時間後、負荷を重くして、燃料電池スタック1への燃料の供給を再開する。
さらに、第2の実施形態から第7の実施形態までの液体供給形燃料電池システムの起動の確認として、以下の<実験例2>を、室温約10[℃]、各実施形態と同様の構成で実施した。なお、比較のために従来例として、図3の第3の実施形態において、ラジエータによって冷却された空気を、非発電状態の燃料電池スタックに供給する凍結防止手段を備え、加熱手段であるケース12を除いた直接メタノール形燃料電池システムに対しても同様の起動の確認を実施した。
<実験例2>
(1)まず、燃料電池スタック1のみを、8時間発電する。そして、負荷には、燃料電池スタック1のみから10[A]の電流を供給する。
(2)その後、燃料電池スタック1の発電を停止し、燃料電池スタック2のみを、8時間発電する。そして、負荷には、燃料電池スタック2のみから10[A]の電流を供給する。このとき、従来例以外は、加熱手段によって、燃料電池スタック2の熱を燃料電池スタック1に供給している状態となる。
(3)その後、燃料電池スタック2の発電を停止し、燃料電池スタック1のみの発電を実施する。このとき、燃料電池スタック1のみから負荷に10[A]の電流を直ちに供給できるかどうかを確認する。これにより、起動の確認を判定する。
2.実験結果
図10は、<実験例1>の結果を示すグラフである。図10は、縦軸に燃料電池スタック1の電圧[V]および燃料電池スタックの温度[℃]を、横軸に時間[分]をそれぞれ表している。図10から、燃料電池スタック1の温度T1は、発電中約70℃であり、燃料電池スタック1への空気の供給を停止した後減少しているが、60℃半ばの温度を維持していることがわかる。また、燃料電池スタック1の電圧V1は、発電中約21Vであり、燃料電池スタック1への空気の供給を停止すると0V以下になっていることがわかる。また、その空気の供給を停止してから1時間後にその供給を再開すると、燃料電池スタック1の電圧V1は、直ちに約15Vになっていることがわかる。
図11は、<比較例>の結果を示すグラフである。図11は、縦軸に燃料電池スタック1の電圧[V]および燃料電池スタックの温度[℃]を、横軸に時間[分]をそれぞれ表している。図11から、燃料電池スタック1の温度T2は、発電中約68℃であり、燃料電池スタック1への燃料の供給を停止した後、室温約26℃程度まで徐々に減少していることがわかる。また、燃料電池スタック1の電圧V2は、燃料の供給を停止しても暫く約21Vであり、徐々に減少していることがわかる。なお、燃料の供給を停止してから1時間後の燃料電池スタック1の電圧V2は、約11Vであることがわかる。また、その燃料の供給を停止してから1時間後にその供給を再開すると、燃料電池スタック1の電圧V2は、直ちに約0Vに減少していることがわかる。燃料電池スタック1への燃料の供給を再開したとき、燃料電池スタック1を構成する単位電池の数セルは、転極を生じていた。
以下の表1は、<実験例2>の結果を示す。ただし、燃料電池スタック1の起動の可否の欄で、○は、燃料電池スタック1が直ちに起動したことを、×は、燃料電池スタック1が直ちに起動しなかったことをそれぞれ示す。
Figure 0005482108
表1から、第2の実施形態から第7の実施形態までの直接メタノール形形燃料電池システムでは、発電していない燃料電池スタック1を、8時間発電停止させた後も直ちに起動できることがわかる。さらに、<実験例2>(2)の手順における発電していない燃料電池スタック1の温度は、第2の実施形態、第4の実施形態および第7の実施形態では、60[℃]から63[℃]の高い温度に維持されていることがわかる。一方、従来例の直接メタノール形燃料電池システムでは、直ちに起動できないことと、<実験例2>(2)の手順における発電していない燃料電池スタック1の温度が25[℃]であって、各実施形態よりも大幅に低下していることがわかる。
(まとめ)
燃料電池スタック内に燃料を流通させ、且つ、燃料電池スタックの温度を発電時の温度に近づけた状態で、その燃料電池スタックに空気を供給すると、その燃料電池スタックは、転極を生じることもなく、直ちに発電することが確認された。また、実験例2において、燃料電池スタックの温度を46[℃]以上に維持することによっても直ちに起動できることも確認された。したがって、発電状態の燃料電池スタックによって発生する熱を、非発電状態の燃料電池スタックに供給することで、その非発電状態の燃料電池スタックを発電させることなくアイドリング状態におくことができる。そのため、長時間非発電状態にある場合でも、非発電状態の燃料電池スタックを直ちに発電させることができる。好ましくは、非発電状態の燃料電池スタックの温度を高く維持できる第2の実施形態、第4の実施形態および第7の実施形態である。
本発明によって、複数の燃料電池スタックを効率良く起動および停止することができる。そのため、複数の燃料電池スタックを備えた液体供給形燃料電池システムの稼働効率は向上し、その燃料電池システムの利用分野も多岐に広がることが期待される。したがって、需要の拡大も期待され、産業上の利用可能性は極めて大きい。
1、2、31、41 燃料電池スタック
3 燃料タンク
4 燃料ポンプ
5 酸化剤ポンプ
5a 空気ポンプ
6、7 酸化剤供給弁
8 電圧変換器
9 加熱手段
10 燃料電池システム
11 制御手段
12 ケース
13 水タンク
14 水ポンプ
16、17 燃料供給弁
18、19、22、23 ラジエータ
20 液体供給形燃料電池システム
21、43 エンドプレート
24 セパレータ
24a 貫通孔
25 MEA
32 燃料の配管
43a 貫通孔
F1、F2 温風
T1、T2 燃料電池スタックの温度
V1、V2 燃料電池スタックの電圧

Claims (5)

  1. 電気的に並列接続された複数の燃料電池スタックを具備する燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池スタックは、液体燃料と酸化剤とを反応させて発電させる液体供給形の燃料電池スタックであり、
    少なくとも一つの燃料電池スタックを、その他の燃料電池スタックと独立して、発電状態/非発電状態を切り替え可能にする切替手段と、
    非発電状態の燃料電池スタックの温度を上げる、又は温度低下を防止するための加熱手段とを備え、
    前記加熱手段は、
    発電状態の燃料電池スタックを熱源として、
    前記熱源からの熱を非発電状態燃料電池スタックに供給する供給手段を具備し、
    前記供給手段は、発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料を、非発電状態の燃料電池スタックに供給する
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 液体燃料を貯蔵する燃料タンクをさらに備え、
    前記加熱手段は、発電状態の燃料電池スタックから排出された燃料を、
    前記燃料タンクに一旦貯蔵したあとで、非発電状態の燃料電池スタックに供給する
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 請求項2記載の加熱手段は、
    発電状態の燃料電池スタックにも、発電状態の燃料電池スタックから排出された燃料を前記燃料タンクに一旦貯蔵したあとで供給することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記切替手段は、
    酸化剤の供給停止を行う酸化剤供給弁および前記酸化剤供給弁の開閉を制御する制御手段を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 電気的に並列接続された複数の燃料電池スタックと、
    少なくとも一つの燃料電池スタックを、その他の燃料電池スタックと独立して、発電状態/非発電状態を切り替え可能にする切替手段と
    を具備する燃料電池システムの運転方法であって、
    前記燃料電池スタックは、液体燃料と酸化剤とを反応させて発電させる液体供給形の燃料電池スタックであり、
    前記切替手段により、前記少なくとも一つの燃料電池スタックを、
    発電状態から非発電状態に切り替え後に、
    前記非発電状態の燃料電池スタックに、
    その他の発電状態の燃料電池を熱源とする熱を供給し、
    その他の発電状態の燃料電池スタックから排出された液体燃料を、非発電状態の燃料電池スタックに供給し、
    その後、切替手段により前記非発電状態の燃料電池スタックを、
    非発電状態から発電状態に切り替えることを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
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