JP5476732B2 - 車両の変速制御装置および変速制御方法 - Google Patents
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Description
また、車速が減少した場合や停止する場合には、スムーズな加速や再発進を可能とするために、その減速中に予め変速機の変速比を現在の変速比よりもロー(Low)側に変速するように制御している。例えば、以下の特許文献1では、車速が閾値よりも小さくなったり、変速比が充分加速できる減速比より小さいときには、変速機(CVT)の変速比が減速比として大きくなるようにCVTのインプットシャフトの目標回転数を設定する。そしてCVTを油圧制御する際の油圧を発生させる電動オイルポンプを駆動することでCVTの変速制御を行っている。
そのため、車両の速度低下により変速機の入力軸の回転数が減少してモータの回転力が減少すると、それに伴って前記油圧ポンプの油圧も減少する。
すると、変速機を動作するために必要な油圧が充分に確保できなくなってその変速機を再発進に必要な変速比(Low側)まで変更できず、スムーズな加速や再発進ができないといった不都合がある。
そこで、本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、車両の速度が低下しても確実に変速機を再発進に必要な変速比(Low側)に変更できる新規な車両の変速制御装置および変速制御方法を提供するものである。
クラッチ制御手段は、前記クラッチを締結したモータ走行中に車両が減速することにより前記モータの回転数が低下して前記変速機を所定の変速比に移行するための所定の油圧が得られるかどうかを判定する。そして、所定の油圧が得られなくなると判定したときは、前記モータが前記所定の油圧を発生できる回転数以上の回転数を維持するように前記クラッチを締結状態から滑り締結状態に移行する。
一方、変速機制御手段は、このようにクラッチが滑り締結状態に移行したときに前記の所定の油圧によって前記変速機の変速比を現在よりも低い変速比へ変更する。
さらに、前記変速機の変速比を所定の変速比へ変更しているときに前記モータの回転数を上昇したときは、前記変速機が所定の変速比へ変速し終えるまでは前記クラッチが滑り締結状態を継続する。
(構成)
図1は、本発明の変速制御装置を備えたハイブリッド車両100を示す全体構成図である。
図示するように、このハイブリッド車両100は、エンジン1と、モータ2と、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)3と、第1クラッチ4と、第2クラッチ5とを有する。さらに、このハイブリッド車両100は、ハイブリッドコントローラ6と、ブレーキ踏力センサ7と、車速センサ8と、油圧ポンプ9と、駆動輪(タイヤ)10,10とを有する。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関からなる。そして、このエンジン1は、ハイブリッドコントローラ6からの制御指令に基づいてドライバーのトルク要求(具体的にはアクセル開度)に応じて車両駆動のためのトルクを発生する。
この油圧ポンプ9は、ハイブリッドコントローラ6からの制御指令に基づいて動作し、モータ2の回転力(駆動力)によって発生する油圧を調整することによって無段変速機(CVT)3の変速比を制御する。また、この油圧ポンプ9は、ハイブリッドコントローラ6からの制御指令に基づいて同じくモータ2の回転力(駆動力)によって発生する油圧を調整することによって第1クラッチ4および第2クラッチ5を制御する。
ブレーキ踏力センサ7は、ドライバー操作によるブレーキ踏力を検出するものであり、検出した情報をハイブリッドコントローラ6に伝える機能を有する。
一方、車速センサ8は、図示しない前輪の回転数などに基づいて車両の速度を検出するものであり、検出した情報をハイブリッドコントローラ6に伝える機能を有する。
そして、ハイブリッドコントローラ6は、これらブレーキ踏力センサ7および車速センサ8の情報に基づいてCVT3の変速比の制御および第2クラッチ5のトルク容量などを制御する。
次に、このような構成をしたハイブリッド車両100の変速制御装置による制御方法を図2の制御ブロック図および図3のフローチャート図を参照しながら説明する。
(ステップS1)
先ず、ハイブリッドコントローラ6は、最初のステップS1において、ブレーキ踏力センサ7からの実ブレーキ踏力に関する入力信号に基づいてEV走行中にブレーキが踏まれたか否かを判定する。この結果、ブレーキが踏まれていないと判定したとき(No)はそのままブレーキが踏まれるまで待機する。反対にブレーキが踏まれたと判定したとき(Yes)は、次のステップS3に移行する。
ステップS3では、この実ブレーキ踏力値とそのときに車速センサ8で検出した実車速値に基づいて目標減速度を得てから次のステップS5に移行する。なお、この目標減速値は車速とブレーキ踏力に対して予め規定しておく。
(ステップS5)
ステップS5では、その時刻におけるモータ2の回転数とCVT3の変速比と目標(指令)減速度とから、車速とモータ回転数とポンプ発生油圧とCVT3の変速速度とCVT3の変速比の時間的推移を計算し予測(各特性データから計算)してから次のステップS7に移行する。
ステップS7では、予測したこれらのパラメータの時間的推移において車速0(零)になる(停止する)時刻におけるCVT3の変速比が、再発進に必要な変速比までロー(Low)変速できるかを判定する(Low戻し可否判定)。この結果、再発進に必要な変速比までロー変速できると判定したとき(Yes)は、そのまま処理を終了する。反対に、再発進に必要な変速比までロー変速できないと判定したとき(No)は、そのまま次のステップS9に移行する。
ステップS9では、減速しながらCVT3の変速に用いる油圧を確保するために、モータ2が前記ステップS5で予測したモータ回転数の時間的推移より高回転で推移するように規定してから最後のステップS11に移行する。このとき、CVT3の入力軸3a回転数はモータ回転数と等しくなければならないという制約条件を除外して規定する。
ステップS11では、前記ステップS7におけるLow戻し可否判定と同様の計算方法で車速0になる(停止する)時刻におけるCVT3の変速比が再発進に必要な変速比までLow変速できるようなモータ回転数の時間的推移を規定する。併せてCVT3の入力軸3a回転数の時間的推移も規定する。これら2つから第2クラッチ5の差回転の時間的推移を計算する。走行中にブレーキが踏まれ、Low戻し可否判定で不可となった場合は、この第2クラッチ5の差回転の時間的推移の通りに差回転を発生させられるよう、第2クラッチ5の油圧をフォードバック制御して滑らせる。また、モータ2は規定した通りの時間的推移するよう、回転数フィードバック制御する。
また、CVT3の変速比がLow側寄りであるほど、CVT入力限界トルクには余裕が出るという特性があるので本実施の形態のような変速制御を適用することにより、第2クラッチ5にかかる発進時負担を軽減できるため、第2クラッチ5の保護につながる。
また、次回の発進時初期や加速時初期に充分なトルクを駆動輪10,10に伝達できるので発進や加速の応答性が向上する。
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態による変速制御装置および変速制御方法によれば、以下のような効果を発揮する。
(1)モータ走行中に車両が減速することによりモータ2の回転数が低下してCVT3を所定の変速比に移行するための所定の油圧が得られなくなると判定したときは、第2クラッチ5を締結状態から滑り締結状態にする。そして、この滑り締結状態のときに前記所定の油圧によってCVT3の変速比を現在よりも低い変速比へ変更する。
これによって、車両の速度が低下しても、モータ2の回転数を所定の回転数に維持することができる。この結果、CVT3の変速比を制御するための油圧を充分に確保できるため、CVT3を再発進に必要な変速比(Low側)に確実に変更できる。
これによって、車速に対してモータ2の回転数が高くなっても第2クラッチ5が回転差を吸収してくれるので車両の減速度が変化するのを抑制できる。この結果、運転者に与える違和感を軽減することができる。
1…エンジン
2…モータ
3…変速機(CVT)
3a…入力軸(プライマリプーリ)
3b…出力軸(セカンダリプーリ)
4…第1クラッチ
5…第2クラッチ(クラッチ)
6…ハイブリッドコントローラ(クラッチ制御手段、変速制御手段)
7…ブレーキ踏力センサ
8…車速センサ
9…油圧ポンプ
10…駆動輪(タイヤ)
Claims (2)
- 駆動力を発生するモータと、当該モータと駆動輪との間に位置する変速機と、前記モータと変速機を接続するクラッチを制御するクラッチ制御手段と、前記モータの回転力で発生する油圧によって前記変速機の変速比を制御する変速機制御手段とを有する車両の変速制御装置であって、
前記クラッチ制御手段は、前記クラッチを締結したモータ駆動中に車両が減速することにより前記モータの回転数が低下して前記変速機を所定の変速比に移行するための所定の油圧が得られなくなると判定したときは、前記クラッチを締結状態から滑り締結状態に移行し、
前記変速機制御手段は、前記クラッチが滑り締結状態に移行したときに前記所定の油圧によって前記変速機の変速比を現在よりも低い変速比へ変更し、
前記クラッチ制御手段は、前記変速機の変速比を所定の変速比へ変更しているときに前記モータの回転数を上昇したときは、前記変速機が所定の変速比へ変速し終えるまでは前記クラッチが滑り締結状態を継続することを特徴とする車両の変速制御装置。 - モータと変速機とをクラッチで接続し、前記クラッチを制御すると共に前記モータの回転力で発生する油圧によって前記変速機を変速制御する車両の変速制御方法であって、
前記クラッチを締結したモータ駆動中に車両が減速することにより前記モータの回転数が低下して前記変速機を所定の変速比に移行するための所定の油圧が得られなくなると判定したときは、前記クラッチを締結状態から滑り締結状態に移行し、この滑り締結状態のときに前記所定の油圧によって前記変速機の変速比を現在よりも低い変速比へ変更し、前記変速機の変速比を所定の変速比へ変更しているときに前記モータの回転数を上昇したときは、前記変速機が所定の変速比へ変速し終えるまでは前記クラッチが滑り締結状態を継続することを特徴とする車両の変速制御方法。
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