以下、本発明の実施形態を図1〜図15に基づき説明する。
最初に、本発明の第1の実施形態に係る乾燥装置を搭載したインクジェット記録装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、記録動作を説明する。図1はインクジェット記録装置の一例であるインクジェット式プリンターの模型的垂直断面正面図である。
図1に示すように、プリンター1の本体2の内部下方には用紙収容部である給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3はその内部に記録媒体である印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを、例えば500枚程度積載して収容している。給紙カセット3の用紙搬送方向下流部、すなわち図1における給紙カセット3の右側の上方には給紙装置4が配置されている。この給紙装置4により、用紙Pは図1において給紙カセット3の右上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出して用紙Pを補充することが可能である。
本体2の右側面外部の箇所には手差し給紙トレイ5が備えられている。手差し給紙トレイ5には給紙カセット3に入っていないサイズの用紙や厚紙、OHPシート、封筒、ハガキのように屈曲した搬送経路を通過するのが困難な記録媒体、1枚ずつ手で送り込みたいものなどが載置される。手差し給紙トレイ5の用紙搬送方向下流部、すなわち図1における手差し給紙トレイ5の左側には給紙装置6が配置されている。この給紙装置6により、手差し給紙トレイ5上の用紙は図1において左方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。
また、プリンター1はその内部に用紙搬送部7を備えている。用紙搬送部7は給紙カセット3に関して言えばその給紙方向である右方に位置し、手差し給紙トレイ5に関して言えばその左方に位置する。給紙カセット3から送り出された用紙Pは用紙搬送部7により本体2の側面に沿って垂直上方に、手差し給紙トレイ5から送り出された用紙は略水平左方に向けて搬送される。
用紙搬送部7の用紙搬送方向下流端であって記録搬送部20のすぐ上流側にはレジストローラー8が備えられている。さらにその下流には記録搬送部20及び記録部30が配置されている。給紙カセット3または手差し給紙トレイ5から送り出された用紙Pは用紙搬送部7を通ってレジストローラー8に到達する。レジストローラー8は用紙Pの斜め送りを矯正しつつ記録部30が実行するインク吐出動作とのタイミングを計り、記録搬送部20に向かって用紙Pを送り出す。なお、用紙搬送部7には用紙Pを搬送するための搬送ローラー対を必要に応じて設けても良い。
記録搬送部20は駆動ローラー22、従動ローラー23及びテンションローラー24に巻き掛けられた無端状の記録搬送ベルト21を備えている。記録搬送ベルト21は駆動ローラー22により図1において反時計方向に回転する。レジストローラー8によって送り出された用紙Pはこの記録搬送ベルト21の上面に載置され、図1において右方から左方へと搬送される。
記録搬送部20の記録搬送ベルト21の内側であって記録搬送ベルト21上面の裏側に対応する箇所には用紙吸引部25が備えられている。用紙吸引部25はその上面に多数の空気吸引用の孔(図示せず)を備えている。そして、記録搬送部20は用紙吸引部25によりその上面から下方に向かって空気を吸引することができる。また、記録搬送ベルト21にも多数の空気吸引用の孔(図示せず)が設けられている。これにより、記録搬送部20は記録搬送ベルト21と用紙吸引部25とを用いて用紙Pを記録搬送ベルト21の上面に吸着させながら搬送する。
一方、プリンター1は外部コンピュータ(図示せず)から文字や図形、模様などの画像データ信号を受信する。この画像データの情報は記録搬送部20と対向するようにその上方に配置された記録部30に送られる。記録部30はインク吐出ノズル(図示せず)の先端部が配置された底面と記録搬送ベルト21の上面である用紙搬送面との間に微小間隔(例えば1mm)を設けて配置されている。
記録部30はインクヘッドであるライン型インクジェットヘッド31(以下、ライン型ヘッドと称す)を4台備えている。ライン型ヘッド31は各々用紙搬送方向と直角をなす用紙幅方向に向かって延び、それら4台が記録搬送ベルト21の回転方向に沿って回転方向上流側から下流側に向けて一列に並べて配置されている。4台のライン型ヘッド31とは上流側から順にブラックインク用のライン型ヘッド31K、シアンインク用のライン型ヘッド31C、マゼンタインク用のライン型ヘッド31M、及びイエローインク用のライン型ヘッド31Yである。各色のインクは図示しないインクタンクからライン型ヘッド31に補給される。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「K」「C」「M」「Y」の識別記号は省略するものとする。
記録部30の各ライン型ヘッド31は外部コンピュータから受信した画像データの情報に対応して、記録搬送ベルト21表面に載置された用紙Pに向かってインク吐出ノズルからインクを吐出する。そして、記録搬送ベルト21の回転とともに所定のタイミングで各ライン型ヘッド31から各色のインクが順次吐出されることにより、記録搬送ベルト21表面上の用紙Pにはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクが重ね合わされた多重フルカラーインク画像が形成、記録される。なお、プリンター1ではモノクロインク画像を記録することも可能である。
記録搬送部20の左方であって用紙搬送方向下流には乾燥装置40が備えられている。記録部30にてインク画像が記録された用紙Pは乾燥装置40へと送られ、乾燥装置40によって用紙P表面に吐出されたインクが乾燥される。
乾燥装置40の用紙搬送方向下流であって本体2の左側面近傍にはデカーラー部9が備えられている。乾燥装置40にてインクが乾燥された用紙Pはデカーラー部9へと送られ、用紙幅方向に並んだ複数のローラーを用いてカールが矯正される。
デカーラー部9の上方であって用紙搬送方向下流には用紙案内部10が備えられている。デカーラー部9を通過した用紙Pは両面記録を行わない場合、用紙案内部10からプリンター1の左側面外部の箇所に設けられた用紙排出トレイ11に排出される。
本体2の上部であって記録部30及び乾燥装置40の上方には両面記録を行うための用紙反転部12が備えられている。両面記録を行う場合には第一面への記録が終了して乾燥装置40及びデカーラー部9を通過した用紙Pが用紙案内部10を通って用紙反転部12へと送られる。用紙反転部12へ送られた用紙Pは続いて第二面の記録のために搬送方向が切り替えられ、本体2の上端部を通して右側に向かって送られて再度用紙搬送部7を経て記録搬送部20へと送られる。
続いて、乾燥装置40の詳細な構成について、図1に加えて図2〜図4を用いて説明する。図2は乾燥装置40の垂直断面正面図、図3は乾燥装置40の送風部の底面図、図4は乾燥装置40の用紙搬送方向上流側から見た部分断面図である。なお、図2及び図4には用紙吸引部による空気の流れを白抜き矢印で、送風ファンによる空気の流れを実線矢印で描画し、用紙搬送経路(送風路内は一部省略)を二点鎖線で描画している。
乾燥装置40は、図2に示すように乾燥搬送部50及び送風部60を備えている。
乾燥搬送部50は駆動ローラー52、従動ローラー53及びテンションローラー54に巻き掛けられた無端状の乾燥搬送ベルト51を備えている。乾燥搬送ベルト51は駆動ローラー52により図2において反時計方向に回転する。記録搬送部20によって送り出された用紙Pはこの乾燥搬送ベルト51の上面に載置され、図2において右方から左方へと搬送される。
乾燥搬送部50の乾燥搬送ベルト51の内側であって乾燥搬送ベルト51上面の裏側に対応する箇所には用紙吸引部55が備えられている。用紙吸引部55はその上面に多数の空気吸引用の孔55aを備えている。そして、乾燥搬送部50は用紙吸引部55によりその上面から下方に向かって空気を吸引することができる。また、乾燥搬送ベルト51にも多数の空気吸引用の孔51a(図4参照)が設けられている。これにより、乾燥搬送部50は乾燥搬送ベルト51と用紙吸引部55とを用いて用紙Pを乾燥搬送ベルト51の上面に吸着させながら搬送する。
送風部60は用紙搬送経路を隔てた乾燥搬送部50の上方に配置されている。送風部60は送風ファン61、吸気ダクト62、送風ダクト63及び送風口64を備えている。
送風ファン61は例えば軸流ファンで構成され、用紙搬送経路のすぐ上方に備えられた送風ダクト63内に設けられている。送風ファン61はその回転軸線が用紙搬送面に対して垂直をなすように配置されている。送風ファン61の吸気側は軸線方向上方を向き、排気側は軸線方向下方を向いて用紙搬送面に対向している。
吸気ダクト62は送風ファン61の上方に備えられ、送風ファン61の吸気側に連結されている。吸気ダクト62は本体2の前後方向、すなわち図2の紙面に対して垂直をなす方向に延び、本体2正面側の端部に吸気口(図示せず)を備えている。送風ファン61を駆動すると、プリンター1外部の空気が本体2正面に設けられた吸気口から吸い込まれ、吸気ダクト62内を通って送風ファン61の吸気側に達する。
送風ダクト63は用紙搬送経路のすぐ上方に備えられ、その内部に送風ファン61を備えている。送風ダクト63は内部上部に送風ファン61を備え、その底部が用紙搬送経路に近接する箇所まで達している。また、送風ダクト63の送風面である底面63aは用紙幅方向に関して乾燥搬送部50の乾燥搬送ベルト51とほぼ同じ長さで構成され、用紙搬送方向に関して用紙吸引部55の上面とほぼ同じ長さで延びている。
送風口64は送風ダクト63の送風面である底面63aに備えられ、送風ダクト63の内側から外側まで貫通する複数の円孔で構成されている。複数の円孔としての送風口64は、図3に示すようにその数が底面63aの用紙幅方向中央部の領域Cに比較的多く存在し、その両側の用紙幅方向両端部に近い領域Sでは領域Cより少なくなっている。
このように、送風口64は送風ダクト63の底面63aにおける単位面積あたりの円孔の密度が用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて減少するように構成されている。すなわち、送風口64の面積が用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて減少している。
また、送風ファン61の駆動により送風ダクト63を流れる空気は送風口64から吹出される。そして、図4に示すように、送風部60は送風口64を介して乾燥搬送ベルト51によって搬送される用紙Pの表面に対向する方向から用紙Pに向かって空気を吹きつけ、用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて風量(図4の実線矢印)が減少するように構成されている。
なお、送風ダクト63の底面63aは、その用紙搬送方向上流端が用紙吸引部55の用紙搬送方向上流端より下流側に配置され、その下流端が用紙吸引部55の下流端より上流側に配置されている。これにより、乾燥搬送ベルト51上を搬送される用紙Pは送風口64から空気を吹きつけられる前に用紙吸引部55によって乾燥搬送ベルト51に吸着され、空気の吹きつけが終了した後に用紙吸引部55による乾燥搬送ベルト51への吸着が解除される。したがって、送風口64から吹きつけられる空気で用紙Pがばたついたり、折れ曲がったり、搬送不良を起こしたりすることを防止することが可能である。
このようにして、プリンター1の乾燥装置40は用紙Pの幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて風量が減少する送風部60を備えているので、幅方向中央部で最も風量が多くなり、幅方向両端部付近では中央部より風量が少なくなる。したがって、用紙Pと乾燥搬送ベルト51との間に入った空気を幅方向中央部から両端部に向かって押し出すことができる。その結果、用紙Pを乾燥搬送ベルト51に密着し易くさせることが可能である。
また、送風部60は複数の円孔で構成された送風口64の、送風面である送風ダクト63の底面63aにおける単位面積あたりの密度、すなわち送風口64の面積が用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて減少するので、用紙Pの幅方向中央部で最も風量を多くさせることができ、幅方向両端部付近では中央部より風量を少なくさせることが可能である。
また、送風部60は用紙Pの表面に対向する方向、すなわち上方から用紙Pに向かって下方に空気を吹きつけるので、空気は用紙表面に直接衝突するよう吹きつけられる。したがって、乾燥装置40は用紙幅方向の両端部付近よりも中央部で風量が多くなり、且つ空気が用紙表面に比較的強く当たるので、用紙Pが乾燥搬送ベルト51に密着する作用を高めることが可能である。
そして、上記実施形態の構成によれば、用紙P表面に空気を吹きつけて用紙Pを乾燥させる乾燥装置40において、複雑な構造や制御を用いることなく用紙Pが乾燥搬送部50の乾燥搬送ベルト51に密着し易くなるので、空気流の影響で搬送中の用紙Pが捲れるなどといった用紙Pの変位、変形を防止することが可能な乾燥装置40を提供することができる。また、このような乾燥装置40を搭載した信頼性が高められ高速記録が可能なインクジェット記録装置であるプリンター1を提供することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る乾燥装置について、図5を用いて説明する。図5は乾燥装置の送風部の底面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図4を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素に同じ符号を付してその説明を省略するものとする。
第2の実施形態に係る乾燥装置40は送風部60において、図5に示すように送風ダクト63の送風面である底面63aに送風口64を備えている。複数の円孔としての送風口64はその数が用紙搬送方向に関して略中央部から下流側(図5の左側)において用紙幅方向の全域に設けられ、用紙搬送方向略中央部から上流に向かうに連れて減少して上流端(図5の右端)において最も少なく、用紙幅方向の中央部(一点鎖線付近)にのみ設けられている。そして、送風口64はその数が用紙幅方向に関してその中央部(一点鎖線付近)において用紙搬送方向の全域に設けられ、用紙幅方向中央部から両端部に向かって(図5の上下方向に)遠ざかるに連れて徐々に減少して両端部において用紙搬送方向略中央部から下流側の領域のみに設けられている。
このように、送風口64は送風ダクト63の底面63aにおける単位面積あたりの円孔の密度が用紙搬送方向に関してその下流から上流に向かうに連れて減少し、且つ用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて減少するように構成されている。すなわち、送風口64の面積が用紙搬送方向に関してその下流から上流に向かうに連れて減少し、且つ用紙幅方向に関してその中央から両端方向に遠ざかるに連れて減少している。
この構成によれば、用紙搬送方向上流側では用紙Pの幅方向中央部にのみ空気を吹きつけることができ、搬送とともに徐々に幅方向中央部から両端部付近にも空気が吹きつけられるようになる。すなわち、乾燥装置40は用紙Pの幅方向中央部で最も風量を多くさせることができ、幅方向両端部付近では中央部より風量を少なくさせることが可能である。
次に、本発明の第3の実施形態に係る乾燥装置について、図6及び図7を用いて説明する。図6は乾燥装置の送風部の底面図、図7は乾燥装置の用紙搬送方向上流側から見た部分断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図4を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素に同じ符号を付してその説明を省略するものとする。
第3の実施形態に係る乾燥装置40は送風部60において、図6に示すように送風ダクト63の送風面である底面63aに送風口64を備えている。複数の円孔としての送風口64は底面63aの全域にわたって偏りなく設けられている。
また、送風部60は、図7に示すように3個の送風ファン61を備えている。3個の送風ファン61は用紙幅方向に一列に並べて設けられている。用紙幅方向中央の送風ファン61cは例えば平均風速20m/secの出力を有し、用紙幅方向両端側各々の送風ファン61sは例えば平均風速10m/secの出力を有する。すなわち、用紙幅方向に関してその中央から遠い送風ファン61ほど送風口64から生じる風量が少ない。
この構成によれば、乾燥装置40は3個の送風ファン61を備え、それら送風ファン61の出力を異ならせることにより用紙Pの幅方向中央部で最も風量を多くさせることができ、幅方向両端部付近では中央部より風量を少なくさせることが可能である。
次に、本発明の第4の実施形態に係る乾燥装置について、図8及び図9を用いて説明する。図8は乾燥装置の垂直断面正面図、図9は図8に示す乾燥装置のIX−IX線における送風口付近を用紙搬送方向下流側から見た断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図4を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素に同じ符号を付してその説明を省略するものとする。
第4の実施形態に係る乾燥装置40は、図8に示すような送風部70及び排気部80を備えている。
送風部70は用紙搬送経路を隔てた乾燥搬送部50の上方に配置されている。送風部70は送風ファン71、吸気ダクト72、送風ダクト73、送風口74及び送風路75を備えている。
送風ファン71は例えば遠心ファンで構成され、用紙搬送経路のすぐ上方に備えられている。送風ファン71はその回転軸線が用紙搬送面に対して垂直をなすように配置されている。送風ファン71の吸気側は軸線方向上方を向き、排気側は径方向外側であって用紙搬送方向上流側を向いている。
吸気ダクト72は送風ファン71の上方に備えられ、送風ファン71の吸気側に連結されている。吸気ダクト72は本体2の前後方向、すなわち図8の紙面に対して垂直をなす方向に延び、本体2正面側の端部に吸気口(図示せず)を備えている。送風ファン71を駆動すると、プリンター1外部の空気が本体2正面に設けられた吸気口から吸い込まれ、吸気ダクト72内を通って送風ファン71の吸気側に達する。
送風ダクト73は送風ファン71の用紙搬送方向上流側に備えられ、送風ファン71の排気側に連結されている。送風ダクト73は送風ファン71の排気側の箇所から用紙搬送方向上流側に向かって延び、乾燥搬送部50の略上流端の箇所で下方を向き、さらに用紙搬送方向下流側に向かって延びている。すなわち、送風ダクト73は正面から見て用紙搬送方向上流側に曲部を有する略U字状に湾曲した形で延びている。
送風口74は送風ダクト73の送風方向下流端に備えられている。送風口74は、図8及び図9に示すように用紙搬送経路を隔てた乾燥搬送ベルト51の用紙搬送面のすぐ上方に配置されている。送風ファン71の駆動により送風ダクト73を流れる空気は送風口74から吹出される。そして、送風口74は乾燥搬送ベルト51で搬送される用紙Pの表面に対して略平行であって且つ用紙搬送方向に対して略平行をなし、用紙搬送の進行方向に沿って用紙Pに向かって空気を吹きつける向きとなるように設けられている。
なお、送風口74は乾燥搬送部50の用紙吸引部55の用紙搬送方向上流端より下流側に配置されている。これにより、乾燥搬送ベルト51上を搬送される用紙Pは送風口74から空気を吹きつけられる前に用紙吸引部55によって乾燥搬送ベルト51に吸着される。したがって、送風口74から吹きつけられる空気で用紙Pがばたついたり、折れ曲がったり、搬送不良を起こしたりすることを防止することが可能である。
送風路75は乾燥搬送ベルト51上を搬送される用紙Pの搬送経路に沿って設けられている。送風路75は乾燥搬送ベルト51上の用紙搬送経路の搬送方向上流から下流まで連通して取り囲み(図9参照)、用紙Pが通過できるように上流端及び下流端が開口している。そして、送風路75の上流部には送風口74が連結され、送風口74から用紙Pに向かって吹きつけた空気が送風路75内を用紙搬送方向上流から下流に向かって流通する。
排気部80は送風部70の用紙搬送方向下流側であって乾燥搬送部50の下流端の上方に配置されている。排気部80は排気ダクト81を備えている。
排気ダクト81はその吸込み口82が送風路75の送風方向の出口下流に配置され、下方を向く形で設けられている。排気ダクト81は吸込み口82から上方に向かって延び、さらに本体2の前後方向、すなわち図8の紙面に対して垂直をなす方向に延びて本体2背面側の端部に排気口(図示せず)を備えている。排気ダクト81の排気口の箇所には図示しない排気ファンが設けられている。排気ファンを駆動すると、送風部70が用紙Pに向かって吹きつけて送風路75を通過した空気が吸込み口82から吸い込まれ、排気ダクト81内を通って本体2背面に設けられた排気口から本体2の後方外部へと排気される。
ここで、送風口74は、図9に示すように用紙幅方向中央部の領域Cとその両側の用紙幅方向両端部に近い領域Sとに区分され、各々形状が異なるように構成されている。用紙幅方向中央部の領域Cにおける送風口74は用紙幅方向及び上下方向に関してその全域にわたって矩形をなして開口するように構成されている。一方、用紙幅方向両端部各々に近い領域Sにおける送風口74は領域Cよりも総開口面積が小さい複数の円孔で構成されている。すなわち、送風口74の面積が用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて減少している。
この構成によれば、送風部70は送風口74の面積が用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて減少するので、用紙Pの幅方向中央部で最も風量を多くさせることができ、幅方向両端部付近では中央部より風量を少なくさせることが可能である。したがって、用紙Pと乾燥搬送ベルト51との間に入った空気を幅方向中央部から両端部に向かって押し出すことができ、用紙Pを乾燥搬送ベルト51に密着し易くさせることが可能である。
また、送風部70は用紙Pの表面に対して略平行をなす方向に用紙Pに向かって空気を吹きつけるので、用紙表面に沿って流れる空気流が生じる。したがって、乾燥装置40は用紙幅方向の両端部付近よりも中央部で風量が多くなり、且つ空気がスムーズに流れるので、用紙Pが乾燥搬送ベルト51に密着する作用を高めることが可能である。
次に、本発明の第5の実施形態に係る乾燥装置について、図10を用いて説明する。図10は乾燥装置の送風口付近を用紙搬送方向下流側から見た断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は前記第1及び第4の実施形態と同じであるので、それらの実施形態と共通する構成要素に同じ符号を付してその説明を省略するものとする。
第5の実施形態に係る乾燥装置40は送風部70において、図10に示すように送風ダクト73の送風方向下流端に送風口74を備えている。送風口74は用紙幅方向に一列に並んだ複数の円孔で構成されている。そして、複数の円孔としての送風口74は用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れてその直径が小さくなり、面積が減少している。
この構成によれば、送風部70は送風口74の面積が用紙幅方向に関してその中央から遠ざかるに連れて減少するので、用紙Pの幅方向中央部で最も風量を多くさせることができる。
次に、本発明の第6の実施形態に係る乾燥装置について、図11〜図13を用いて説明する。図11は乾燥装置の垂直断面正面図、図12は図11に示す乾燥装置のXII−XII線における送風口付近を用紙搬送方向下流側から見た断面図、図13は乾燥装置の送風部の底面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は前記第1及び第4の実施形態と同じであるので、それらの実施形態と共通する構成要素に同じ符号を付してその説明を省略するものとする。
第6の実施形態に係る乾燥装置40は送風部70において、図11及び図12に示すように送風ダクト73の送風方向下流端に送風口74を備えている。送風口74は送付ダクト73の用紙搬送方向下流側から見た断面と同じ大きさをなす矩形の開口として構成されている。
また、送風部70は送風路75に、図11及び図13に示すように整流部材である整流板76を備えている。整流板76は送風口74の送風方向下流に設けられている。整流板76は送風路75の天井面から、乾燥搬送ベルト51の用紙搬送面上に用紙搬送経路を確保できる高さまで下方に向かって延びる板状の部材である。
整流板76は用紙幅方向に沿って異なる長さで延びる複数が、送風方向(用紙搬送方向)に並べて設けられている。送風方向最上流(図13の右端)に設けられた整流板76は用紙幅方向の中央部(一点鎖線付近)の空隙76aを除き用紙幅方向の両端間のほぼ全域にわたって延びている。
そして、送風方向下流(図13の左方)に向かうに連れて、整流板76は用紙幅方向の中央部から両端部(図13の上下方向)に向かってその空隙76a部分が増加し、用紙搬送方向略中央部から下流側で存在しなくなっている。すなわち、整流板76は送風方向上流から下流に向かうに連れて用紙幅方向に関してその中央から遠ざかる方向に向かって空気流路(空隙76a)が拡大する形状に形成されている。
この構成によれば、送風部70は送風口74の送風方向下流において、整流板76により送風方向上流から下流に向かうに連れて用紙幅方向中央から両端方向に遠ざかる方向に向かって空気流路が拡大するので、用紙幅方向中央部で最も風量を多くさせることができ、両端部付近では中央部より風量を少なくさせることが可能である。
次に、本発明の第7の実施形態に係る乾燥装置について、図14を用いて説明する。図14は乾燥装置の送風部の底面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は前記第1及び第4の実施形態と同じであるので、それらの実施形態と共通する構成要素に同じ符号を付してその説明を省略するものとする。
第7の実施形態に係る乾燥装置40は送風部70において、図14に示すように送風路75に整流板76を備えている。整流板76は送風方向上流から下流に向かうに連れて用紙幅方向中央から両端方向に遠ざかる方向に斜めに延びる複数の板状部材で構成されている。送風方向最上流(図14の右端)に設けられた2枚の整流板76は用紙幅方向の中央部(一点鎖線付近)寄りに、空隙76aを挟んで用紙幅方向の両端側に1枚ずつ設けられている。なお、整流板76は用紙幅方向中央から一方の端部に至るより十分に短い長さで構成されている。
そして、送風方向下流(図14の左方)に向かうに連れて、整流板76は用紙幅方向の中央部から両端部(図14の上下方向)に向かってその空隙76a部分が増加するように外側に並べて配置され、用紙搬送方向略中央部で用紙幅方向両端部近傍に配置されてその下流側で存在しなくなっている。すなわち、整流板76は送風方向上流から下流に向かうに連れて用紙幅方向に関してその中央から遠ざかる方向に向かって空気流路(空隙76a)が拡大する形状に形成されている。
この構成によれば、送風部70は送風口74の送風方向下流において、整流板76により送風方向上流から下流に向かうに連れて用紙幅方向中央から両端方向に遠ざかる方向に向かって空気流路が拡大するので、用紙幅方向中央部で最も風量を多くさせることができ、両端部付近では中央部より風量を少なくさせることが可能である。
次に、本発明の第8の実施形態に係る乾燥装置について、図15を用いて説明する。図15は乾燥装置の送風部の底面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は前記第1及び第4の実施形態と同じであるので、それらの実施形態と共通する構成要素に同じ符号を付してその説明を省略するものとする。
第8の実施形態に係る乾燥装置40は送風部70において、図15に示すように送風路75に整流部材77を備えている。整流部材77は送風路75の天井面から、乾燥搬送ベルト51の用紙搬送面上に用紙搬送経路を確保できる高さまで下方に向かって延びる比較的高さの低い三角柱状の部材である。
整流部材77は用紙幅方向の中央部(図15の一点鎖線付近)の空隙77aを挟んで用紙幅方向の両端側に1個ずつ設けられている。
そして、送風方向下流(図15の左方)に向かうに連れて、2個の整流部材77は用紙幅方向の中央部から両端部(図15の上下方向)に向かってその空隙77a部分が増加するように三角柱の斜面部77bが形成され、用紙搬送方向略中央部から下流側で存在しなくなっている。すなわち、整流部材77は送風方向上流から下流に向かうに連れて用紙幅方向に関してその中央から遠ざかる方向に向かって空気流路(空隙77a)が拡大する形状に形成されている。
この構成によれば、送風部70は送風口74の送風方向下流において、整流部材77により送風方向上流から下流に向かうに連れて用紙幅方向中央から両端方向に遠ざかる方向に向かって空気流路が拡大するので、用紙幅方向中央部で最も風量を多くさせることができ、両端部付近では中央部より風量を少なくさせることが可能である。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、本発明の上記実施形態ではインクジェット記録装置であるプリンター1に搭載された乾燥装置40を例に掲げて説明したが、発明の適用対象となる機器はインクジェット記録装置に限定されるわけではなく、インクジェット記録装置以外の他の機器に本発明の乾燥装置を搭載することにしても構わない。
また、乾燥装置40を搭載したインクジェット式のプリンター1は4色に対応したライン型ヘッド31を備えたインクジェット記録装置であるが、発明の適用対象となるインクジェット記録装置がこのような種類に限定されるわけではなく、さらに多くのカラーに対応したインクジェット記録装置やモノクロ用のインクジェット記録装置であっても構わない。