JP5470693B2 - 成形型用硬化性樹脂組成物、成形型の製造方法、構造体の製造方法およびディスプレイ用部材の製造方法 - Google Patents
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Description
R1−(R2−R3)n−R4−R5 (1)
(ここで、R1、R5はそれぞれエチレン性不飽和基を含む有機基、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかから選ばれたものである。R2、R4は少なくとも一方がウレタン結合を含む有機基であり、R3はアルキレンオキサイド鎖であり、nは1〜10の自然数である)
一般式(1)中、R1、R5はエチレン性不飽和基を含む置換基、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかから選ばれたものであるが、少なくともいずれか一方がエチレン性不飽和基を含む置換基であることが好ましく、R1、R5のいずれもエチレン性不飽和基を含む置換基であることがさらに好ましい。エチレン性不飽和基を含むことで、(A)硬化性化合物と架橋構造を形成し、強靭性を向上すると共にミクロ層分離を抑制する効果も得られる。エチレン性不飽和基を含む置換基が(メタ)アクリル基であることが、特に好ましい。
(ここで、R6は価数1〜4の有機基であり、R7はフッ素原子を含有する有機基である。kは2〜4、lは4〜30、mは1〜4の自然数である)
式(2)において、lは4〜30であることが好ましい。lを4〜30とすることで、他の有機成分と相溶性が良好となり、かつフッ素による表面張力低減の効果を十分なものとすることができる。
・硬化性化合物:ポリエチレングリコールジアクリレート(3〜20重量%)
・重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(0.05〜10重量%)
・界面活性剤:F含有界面活性剤(0〜10重量%)
・溶剤:γ−ブチロラクトン(0〜30重量%)
・無機粒子:低軟化点ガラスとセラミックフィラーの混合物(40〜97重量%)
続いて、成形用材料を基板に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター等の方法を用いて塗布し、必要に応じて乾燥することができる。塗布厚みは、所望の構造体の高さと成形用材料の収縮率を考慮して決めることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、成形用材料の粘度等によって調整できる。乾燥は熱風乾燥機、IR乾燥機等を用いて行い、乾燥温度や時間は用いた成形用材料の溶剤や塗布膜厚によって調整できる。
成形型用硬化性樹脂組成物に用いた原料は次の通りである。
硬化性化合物I:1,9−ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製)
硬化性化合物II:テトラプロピレングリコールジアクリレート(日本油脂(株)製)
ウレタン化合物I:ウレタンジアクリレート(新中村化学(株)製“UA−340P”、分子量42000)
ウレタン化合物II:ウレタンジアクリレート(新中村化学(株)製“UA−2235PE”、分子量18000)
ウレタン化合物III:ウレタンジメタクリレート(新中村化学(株)製“UA−340PM”、分子量42000)
ウレタン化合物IV:ウレタンジアクリレート(新中村化学(株)製“UA−4120P”、分子量13000)
重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(チバスペシャリティーケミカルズ社製“IC369”)
界面活性剤I:F系界面活性剤((株)ネオス製“FTX−240D”、エチレンオキサイド鎖繰り返し単位10)
界面活性剤II:F系界面活性剤((株)ネオス製“FTX−220D”、エチレンオキサイド鎖繰り返し単位10)
界面活性剤III:F系界面活性剤((株)ネオス製“FTX−212D”、エチレンオキサイド鎖繰り返し単位10)
界面活性剤IV:Si系界面活性剤(ビッグケミー社製“BYK−3700”)
バインダー樹脂:アクリルポリマー(藤倉化成(株)製“MM−2002”)
A.成形型用硬化性組成物の作製
成形型用硬化性組成物は以下の要領で作製した。
母型の作製には、ネガ型感光性ペースト法を用いた。まず基板に、ネガ型感光性有機成分と、低軟化点ガラスを含む無機成分からなるネガ型感光性ペーストを所望の厚みに塗布、乾燥し、続いて露光マスクを介して露光を行い、現像によって未硬化部分の感光性ペーストを除去してパターンを得、最後に600℃で15分間焼成することでパターン中の感光性有機成分を除去すると共にガラスを軟化させ、無機成分のみからなる母型を得た。作製した母型は、ストライプ状の主隔壁(ピッチ160μm、頂部線幅50μm、底部線幅80μm、高さ120μm)と、該主隔壁と交差するストライプ状の補助隔壁(ピッチ800μm、頂部線幅80μm、底部線幅100μm、高さ110μm)からなる格子状の隔壁パターンを有するものであった。
作製した成形型用硬化性組成物を用い、成形型を以下の手順で作製した。
作製した成形型を用い、プラズマディスプレイ隔壁を以下の手順にて作製した。旭硝子株式会社製 “PD−200”ガラス基板(42インチ)上に、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィ法により、ピッチ160μm、線幅50μmのアドレス電極パターンを形成した。次いで、アドレス電極が形成されたガラス基板上に誘電体層をスクリーン印刷法により20μmの厚みで形成した。しかる後、以下に示す組成のガラスペーストをダイコート塗布法によりアドレス電極パターンおよび誘電体層が形成された背面板ガラス基板上に厚み100μmになるように均一に塗布した。
(ガラスペーストの組成)
・硬化性化合物:テトラエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学(株)製) 4.5重量%
・硬化性化合物:EO変性ビスフェノールAジアクリレート(日本油脂(株)製) 5重量%
・重合開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイ)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製) 1重量%
・分散剤:ノニルエーテル系分散剤 1重量%
・溶剤:γ−ブチロラクトン 9.5重量%
・無機粒子:低軟化点ガラスとセラミックフィラーの混合物 80重量%
つづいて、ラミネートロールによるラミネート法にて、前述の成形型をガラスペーストに圧着した。ガラスペースト、誘電体層、電極を介して、基板に支持体が圧着している状態で、成形型面から、50mW/cm2出力の超高圧水銀灯で20秒間紫外線露光した。しかる後、成形型を隔壁ガラスペーストから剥離し、所望の隔壁形状を有する隔壁パターンを得た。その後、560℃で30分保持して焼成することにより隔壁を形成した。得られた隔壁の亀裂、断線および高さムラの有無を観察した。亀裂、断線および高さムラが1ヶ所以下ならば隔壁評価はAA、2〜5ヶ所であれば隔壁評価はA、6〜19ヶ所であれば隔壁評価はB、20ヶ所以上では隔壁としては不可であり、Cとした。
得られた隔壁付き基板に、蛍光体層をディスペンサー法にて厚さ20μmに形成し、焼成してプラズマディスプレイ背面板を得た。
表1に示す成形型用硬化性樹脂組成物を用いて成形型を作製したところ、良好な形状でかつ変形や亀裂、断線などの欠陥がない成形型が得られ、成形型評価はAAであった。得られた成形型を用いて作製したプラズマディスプレイ用隔壁は形状が良好で欠陥もなく、隔壁評価はAAであり、プラズマディスプレイを作製したところ、ディスプレイ評価もAAであった。
ウレタン化合物にウレタン化合物IIを50重量%添加し、界面活性剤に界面活性剤IIを用いた他は、実施例1を繰り返した。得られた成形型、プラズマディスプレイ用隔壁およびプラズマディスプレイは欠陥がなく良好であり、評価はいずれもAAであった。
ウレタン化合物にウレタン化合物IIIを用いた他は、実施例1を繰り返した。得られた成形型、プラズマディスプレイ用隔壁およびプラズマディスプレイは欠陥がなく良好であり、評価はいずれもAAであった。
ウレタン化合物にウレタン化合物IVを用いた他は、実施例1を繰り返した。成形型の柔軟性が不十分であったため、母型からの離型時に亀裂が12ヶ所発生し、成形型評価はBであった。得られた成形型を用いて作製したプラズマディスプレイ用隔壁は同じく欠陥が12ヶ所発生し、プラズマディスプレイも不灯セルが12ヶ所あり、いずれも評価Bであった。
界面活性剤Iの添加量を0.005重量%とした他は、実施例1を繰り返した。得られた成形型は欠陥もなく良好な形状で成形型評価はAAであったが、得られた成形型を用いてプラズマディスプレイ用隔壁を作製する際、成形型の離型性が不十分なため、断線が4ヶ所発生し、隔壁評価はAであった。プラズマディスプレイも不灯セルが4ヶ所あり、ディスプレイ評価はAであった。
(実施例6)
界面活性剤Iの添加量を5重量%とした他は、実施例1を繰り返した。成形型を母型から離型する際、支持体との密着性が低下したため、一部支持体からのハガレが発生した。得られた成形型を用いて作製したプラズマディスプレイ用隔壁は、成形型のハガレ発生部分において隔壁高さが部分的に異なるため、プラズマディスプレイ点灯時にちらつきが発生した。成形型、隔壁、ディスプレイ評価はいずれもAであった。
(実施例7)
界面活性剤に界面活性剤IIIを用いた他は、実施例1を繰り返した。成形型用硬化性樹脂組成物は不透明で、十分に均一ではなかった。得られた成形型は欠陥もなく良好な形状で、成形型評価はAAであったが、得られた成形型を用いてプラズマディスプレイ用隔壁を作製する際、成形型の離型性が部分的に不十分となり、断線が3ヶ所発生した。プラズマディスプレイも不灯セルが3ヶ所あり、隔壁、ディスプレイ評価はいずれもAであった。
(実施例8)
界面活性剤に界面活性剤IVを用いた他は、実施例1を繰り返した。成形型を母型から離型する際、母型からの離型性が不十分で断線が7ヶ所発生し、成形型評価はBであった。得られた成形型を用いてプラズマディスプレイ用隔壁を作製する際、成形型の離型性が不十分なため、さらに断線が発生し、断線は12ヶ所となった。プラズマディスプレイも不灯セルが12ヶ所あり、隔壁、ディスプレイ評価はいずれもBであった。
(比較例1)
ウレタン化合物を添加しない他は、実施例1を繰り返した。成形型の柔軟性が極めて不十分であり、母型からの離型時に亀裂が20ヶ所以上発生した。得られた成形型を用いて作製したプラズマディスプレイ用隔壁は欠陥が20ヶ所以上発生し、プラズマディスプレイも不灯セルが20ヶ所以上あり、評価はいずれもCであった。
(比較例2)
界面活性剤を添加しない他は、実施例1を繰り返した。成形型を母型から離型する際、母型からの離型性が極めて不十分で断線が20ヶ所以上発生した。得られた成形型を用いてプラズマディスプレイ用隔壁を作製する際、成形型の離型性が極めて不十分なため、さらに断線が発生し、プラズマディスプレイも不灯セルが20ヶ所以上あり、評価はいずれもCであった。
2:ラミネートロール
3:支持体
4a:成形型用硬化性樹脂組成物
4b:成形型
5:ガラス基板
6:アドレス電極
7:誘電体層
8a:ガラスペースト
8b:隔壁パターン
8c:隔壁
9:紫外線
10:基板
Claims (7)
- 少なくとも(A)硬化性化合物、(B)ウレタン化合物、(C)重合開始剤および(D)アルキレンオキサイド鎖を有するフッ素原子含有界面活性剤を含有することを特徴とする成形型用硬化性樹脂組成物。
- (B)ウレタン化合物の重量平均分子量が15000〜100000であることを特徴とする請求項1記載の成形型用硬化性樹脂組成物。
- (B)ウレタン化合物が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の成形型用硬化性樹脂組成物。
R1−(R2−R3)n−R4−R5 (1)
(ここで、R1、R5はそれぞれエチレン性不飽和基を含む有機基、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかから選ばれたものである。R2、R4は有機基であり、少なくとも一方がウレタン結合を含む有機基である。R3はアルキレンオキサイド鎖であり、nは1〜10の自然数である。) - (D)アルキレンオキサイド鎖を有するフッ素原子含有界面活性剤が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形型用硬化性樹脂組成物。
R6−[(CH2)kO)l−R7]m (2)
(ここで、R6は価数1〜4の有機基であり、R7はフッ素原子を含有する有機基である。kは2〜4、lは4〜30、mは1〜4の自然数である。) - 母型に請求項1〜4のいずれかに記載の成形型用硬化性樹脂組成物を充填する工程、前記成形型用硬化性樹脂組成物を硬化させる工程および前記母型を除去する工程を含むことを特徴とする成形型の製造方法。
- 請求項5記載の成形型の製造方法により作製した成形型に成形用材料を充填する工程および該成形型を除去する工程を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
- 基板と請求項5記載の成形型の製造方法により作製した成形型との間にガラスペーストを充填する工程、および350〜800℃の温度で焼成する工程を含む製造方法により隔壁を形成することを特徴とするディスプレイ用部材の製造方法。
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