JP5464185B2 - 燃料噴射制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン(内燃機関)への燃料噴射を制御する燃料噴射制御システムに関する。
例えば車両に搭載されるディーゼルエンジンの制御分野においては、燃料ポンプによって圧送される高圧の燃料を蓄える蓄圧容器としてのコモンレールの燃料出口からインジェクタの噴射口までの燃料通路における所定位置に、該燃料通路の燃料圧力に応じた電圧の燃料圧力信号を出力する圧力センサを設け、その圧力センサから出力される燃料圧力信号を一定時間毎にAD変換(アナログ・デジタル変換)して、その各AD変換値(即ち、一定時間毎の燃料圧力信号の電圧検出値)から、前記噴射口からの燃料噴射に伴い変動する燃料圧力を逐次算出すると共に、その燃料圧力の算出結果からインジェクタの実際の噴射特性を検出して、その噴射特性の検出結果を燃料噴射制御(具体的には、インジェクタの制御)にフィードバックして用いる、といった燃料噴射制御システムが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
そして、この種の燃料噴射制御システムの場合、上記AD変換及び燃料圧力の算出やインジェクタの制御を行う電子制御装置と、上記圧力センサを備えた燃料圧力検出装置とは、少なくともアナログ信号伝達用の信号線を介して接続されることとなる。そして更に、燃料圧力検出装置では、圧力センサの出力電圧(即ち、燃料圧力信号)を、バッファ回路や信号出力端子等からなる信号出力手段を介して上記信号線に出力することとなり、電子制御装置は、その信号線から、圧力センサの出力電圧を入力することとなる。
一方、このような燃料噴射制御システムにおいて、燃料圧力検出装置側の上記信号出力手段及び信号線からなる信号伝達経路に異常が生じていることを、電子制御装置側で検出する方法としては、例えば、信号線の電圧(信号線からの入力電圧)が所定の正常範囲から外れたか否かを判定する、といった方法が考えられる。
特開2008−144749号公報
ところで、上記のような異常検出方法によれば、上記信号伝達経路の異常のうち、信号線が断線したり、信号線がグランドラインや電源ラインにショートしたり、信号出力手段が完全に故障したりした異常であって、信号線の電圧(以下、信号線電圧ともいう)が正常範囲外のままになるような異常であれば、検出することができる。
しかし、信号線電圧が圧力センサの出力電圧に応じて変化するものの、信号伝達経路における信号伝達特性値が基準値(詳しくは、電子制御装置において燃料圧力信号の電圧検出値から燃料圧力を算出する際に想定される設計上の想定値)からずれてしまっており、圧力センサの出力電圧(燃料圧力信号)に対して電子制御装置に入力される信号線電圧が想定通りに変化しない状態(尚、この状態も異常の一種である)については、検出することができない。結局、信号伝達経路における信号伝達特性値の基準値からのずれを検出することはできないからである。
尚、信号伝達経路における信号伝達特性値としては、例えば、燃料圧力検出装置側で信号伝達経路への入力電圧(圧力センサの出力電圧)がステップ的に急変化してから、電子制御装置に入力される信号線電圧(即ち、信号伝達経路の出力信号)が変化後の値に収束するまでの応答時間であるステップ応答時間や、信号伝達経路への入力電圧と電子制御装置に入力される信号線電圧との一定の差(いわゆるオフセット)がある。また、信号伝達経路への入力電圧と電子制御装置に入力される信号線電圧との差が、一定ではなく、信号伝達経路への入力電圧によって変わる場合もある。そして、その場合には、信号伝達経路への複数通りの各入力電圧と、電子制御装置に入力される信号線電圧との、差の各々が、信号伝達経路の入出力関係を表す入出力関係値になり、信号伝達経路における信号伝達特性値の一種となる。
そして、電子制御装置が、このような信号伝達特性値の基準値からのずれを認知できていないと、信号線を介して入力する燃料圧力信号の電圧から燃料圧力を正しく算出することができず、延いては、燃料噴射制御の精度が低下してしまうこととなる。
例えば、上記ステップ応答時間が基準値よりも長くなると、電子制御装置は、燃料圧力が上昇した場合に、実際の燃料圧力よりも低い燃料圧力を検出することとなり、逆に燃料圧力が下降した場合には、実際の燃料圧力よりも高い燃料圧力を検出することとなる。
また例えば、上記オフセット(ここでは「信号線電圧−圧力センサの出力電圧」とする)が基準値よりも大きくなると、電子制御装置は、実際の燃料圧力よりも高い燃料圧力を検出することとなり、逆に、上記オフセットが基準値よりも小さくなると、電子制御装置は、実際の燃料圧力よりも低い燃料圧力を検出することとなる。また、このことは、圧力センサの出力電圧と電子制御装置に入力される信号線電圧との差が一定でない場合も同様である。
そこで、本発明は、燃料噴射制御システムにおいて、燃料圧力信号を入力する電子制御装置側で、その燃料圧力信号の信号伝達経路における信号伝達特性値の基準値からのずれを検出可能にし、延いては、制御精度を向上させることを目的としている。
請求項1の燃料噴射制御システムは、燃料圧力検出装置と電子制御装置とを備えており、燃料圧力検出装置は、圧力検出手段と信号出力手段とを有している。
圧力検出手段は、燃料ポンプによって圧送される燃料を蓄える蓄圧容器の燃料出口から、該燃料出口より供給される燃料をエンジンの気筒に噴射するインジェクタの噴射口までの、燃料通路における所定位置に設けられて、該燃料通路の燃料圧力に応じた電圧の燃料圧力信号を出力する。また、信号出力手段は、圧力検出手段からの燃料圧力信号が出力対象信号として供給され、その供給される出力対象信号をアナログ信号伝達用の信号線に出力する。
尚、信号出力手段は、例えば、出力対象信号が入力されるバッファ回路や増幅回路等の信号出力用の出力回路と、その出力回路の出力端子に接続されると共に、信号線に接続される信号出力用の端子とからなる構成が考えられる。また例えば、信号出力手段は、信号出力用の出力回路を備えずに、信号出力用の端子だけからなっていても良い。
そして、電子制御装置には、前記信号線を介して燃料圧力信号が入力される。更に、電子制御装置は、制御手段を備えており、その制御手段は、信号線を介して入力される燃料圧力信号の電圧を検出して、該電圧の検出値から燃料圧力を算出し、該燃料圧力の算出値を用いて、インジェクタに燃料を噴射させる燃料噴射制御の処理を行う。
ここで特に、燃料圧力検出装置は、信号出力手段に供給される出力対象信号を、電子制御装置からの切替指示に応じて、燃料圧力信号とは別の特定電圧に切り替える出力電圧切替手段を備えている。
そして、電子制御装置は、燃料圧力検出装置に前記切替指示を与える指示手段と、検出手段とを備えており、検出手段は、指示手段が動作することによって変化する信号線の電圧に基づいて、信号出力手段及び信号線からなる信号伝達経路における信号伝達特性値の基準値からのずれを検出する。
この構成によれば、燃料圧力信号を入力する電子制御装置側で、その燃料圧力信号の信号伝達経路(燃料圧力検出装置側の信号出力手段及び信号線)における信号伝達特性値の基準値からのずれ(以下、「信号伝達経路の特性値ずれ」あるいは単に「特性値ずれ」ともいう)を検出することができるようになる。
そして、請求項5に記載のように、電子制御装置の制御手段が、信号線を介して当該電子制御装置に入力される燃料圧力信号の電圧の検出値を、検出手段により検出された特性値ずれに基づいて補正し、該補正後の検出値から燃料圧力を算出すれば、燃料圧力の検出精度を上げることができ、延いては、燃料噴射制御の制御精度を向上させることができる。
また、請求項6に記載のように、制御手段が、算出した燃料圧力を用いて、燃料ポンプを制御する処理も行うのであれば、燃料ポンプの制御精度も向上させることができ、延いては、蓄圧容器内の燃料圧力の制御精度を向上させることができる。よって、エンジンの気筒に燃料を噴射する燃料噴射制御の精度を一層向上させることができる。
次に、請求項2の燃料噴射制御システムでは、請求項1の燃料噴射制御システムにおいて、燃料圧力検出装置側の出力電圧切替手段は、信号出力手段に供給される出力対象信号を、特定電圧として、第1電圧と該第1電圧とは異なる第2電圧との少なくとも2通りの電圧に切り替えるようになっていると共に、その出力対象信号を第1電圧から第2電圧へと切り替えるようになっている。
そして、電子制御装置側の検出手段は、出力電圧切替手段が出力対象信号を第1電圧から第2電圧に切り替えたタイミングから、信号線の電圧が第2電圧に到達したと判定したときまでの時間を、信号伝達経路の特性値ずれとして検出する。
この構成によれば、前述したステップ応答時間(即ち、信号伝達経路への入力電圧である出力対象信号がステップ的に急変化してから、電子制御装置に入力される信号線の電圧が変化後の値に収束するまでの応答時間)の基準値を0とした場合の、そのステップ応答時間の基準値からのずれ(即ち、応答遅れ時間)を、信号伝達経路の特性値ずれとして検出することができる。
次に、請求項3の燃料噴射制御システムでは、請求項1,2の燃料噴射制御システムにおいて、電子制御装置側の検出手段は、出力電圧切替手段が出力対象信号を特定電圧に切り替えているときの信号線の電圧を検出し、その検出値と前記特定電圧との差を、信号伝達経路の特性値ずれとして検出する。
この構成によれば、前述したオフセット(即ち、電子制御装置に入力される信号線の電圧と、信号伝達経路への入力電圧である出力対象信号との差)の基準値を0とした場合の、そのオフセットの基準値からのずれ(即ち、オフセット自体)を、信号伝達経路の特性値ずれとして検出することができる。
次に、請求項4の燃料噴射制御システムでは、請求項1〜3の燃料噴射制御システムにおいて、燃料圧力検出装置側の出力電圧切替手段は、信号出力手段に供給される出力対象信号を、特定電圧として、複数通りのターゲット電圧に切り替えるようになっている。
そして、電子制御装置側の検出手段は、出力電圧切替手段が出力対象信号を複数通りのターゲット電圧のうちの何れかに切り替える毎に、信号線の電圧を検出して、その検出値と、出力電圧切替手段が現在切り替えているターゲット電圧との差を算出し、複数通りのターゲット電圧の各々について算出した差を、信号伝達経路の特性値ずれとして検出する。
この構成によれば、前述した入出力関係値(即ち、電子制御装置に入力される信号線の電圧と、信号伝達経路への複数通りの各入力電圧との、差の各々)の基準値を0とした場合の、その入出力関係値の基準値からのずれ(即ち、入出力関係値自体)を、信号伝達経路の特性値ずれとして検出することができる。
次に、請求項7の燃料噴射制御システムでは、請求項1〜6の燃料噴射制御システムにおいて、電子制御装置は、検出手段により検出された特性値ずれが規定値を超えたか否かを判定する異常判定手段と、その異常判定手段によって特性値ずれが規定値を超えたと判定された場合に、所定のフェールセーフ処理を行うフェールセーフ手段と、を備えている。
この構成によれば、信号伝達経路の特性値ずれが大きすぎて、制御に必要な燃料圧力の検出精度を実現することができなくなった場合には、所定のフェールセーフ処理を行うことができる。
例えば、フェールセーフ処理として、エンジンが搭載された車両の使用者に対して異常を報知したり修理を促したりする処理(具体的には、警告灯を点灯させたり、表示装置にメッセージを表示させたりする処理等)を行えば、原因の解析や車両の修理を速やかに行うことができるようになる。また例えば、フェールセーフ処理として、インジェクタからの燃料噴射を停止したり、燃料ポンプによる蓄圧容器への燃料の圧送を停止したりすれば、過多の燃料を噴射してしまうことを防止することができる。
次に、請求項8の燃料噴射制御システムでは、請求項1〜7の燃料噴射制御システムにおいて、燃料圧力検出装置と電子制御装置とを通信可能に接続する通信線を備えている。そして、指示手段は、その通信線を介して燃料圧力検出装置に切替指示を与える。
この構成によれば、燃料圧力検出装置に対して切替指示を確実に伝えることができる。更に、切り替えるべき特定電圧が複数通りある場合には、その特定電圧の値も電子制御装置側から指示することができる。
次に、請求項9の燃料噴射制御システムでは、請求項1〜7の燃料噴射制御システムにおいて、指示手段は、前記信号線の電圧を強制的に所定の電圧に切り替えることにより、燃料圧力検出装置に切替指示を与える。
そして、この構成によれば、電子制御装置から燃料圧力検出装置に切替指示を与えるための専用線を設ける必要がない、という点で有利である。
次に、請求項10の燃料噴射制御システムでは、請求項1〜7の燃料噴射制御システムにおいて、燃料圧力検出装置へは電子制御装置から電源電圧が供給されるようになっている。そして、指示手段は、燃料圧力検出装置への電源電圧の供給を開始することにより、
燃料圧力検出装置に切替指示を与える。つまり、燃料圧力検出装置側から見れば、電源電圧が供給されたことが、切替指示を受けた、ということになる。尚、この場合、燃料圧力検出装置側の出力電圧切替手段は、電源電圧を受けて動作を開始してから所定時間が経過したなら、信号出力手段に供給される出力対象信号を、圧力検出手段からの燃料圧力信号に切り替える(即ち、通常状態に戻す)ようになっていれば良い。
そして、この構成によっても、電子制御装置から燃料圧力検出装置に切替指示を与えるための専用線を設ける必要がない、という点で有利である。
第1実施形態の燃料噴射制御システムをエンジンと共に表す構成図である。 第1実施形態の燃料噴射制御システムを表す構成図である。 第1実施形態における電圧の切り替えシーケンスを表す説明図である。 応答遅れ時間の検出手法を説明する説明図である。 オフセットずれ電圧と特性マッピングずれを説明する説明図である。 特性マッピングずれ電圧を説明する説明図である。 第1実施形態の応答遅れ検出処理を表すフローチャートである。 第1実施形態のオフセットずれ検出処理を表すフローチャートである。 第1実施形態の特性マッピングずれ検出処理を表すフローチャートである。 特性マッピングずれ検出処理の内容を説明する説明図である。 オフセットずれ補正処理を表すフローチャートである。 特性マッピングずれ補正処理を表すフローチャートである。 特性マッピングずれ補正処理の内容を説明する第1の説明図である。 特性マッピングずれ補正処理中の補正後電圧算出処理を表すフローチャートである。 特性マッピングずれ補正処理の内容を説明する第2の説明図である。 異常判定処理を表すフローチャートである。 第2実施形態の燃料噴射制御システムを表す構成図である。 第2実施形態における電圧の切り替えシーケンスを表す説明図である。 第2実施形態の応答遅れ検出処理を表すフローチャートである。 第2実施形態のオフセットずれ検出処理を表すフローチャートである。 第2実施形態の特性マッピングずれ検出処理を表すフローチャートである。 第3実施形態の燃料噴射制御システムを表す構成図である。 第3実施形態における電圧の切り替えシーケンスを表す説明図である。 第3実施形態の応答遅れ検出処理を表すフローチャートである。
以下に、本発明が適用された実施形態の燃料噴射制御システムについて説明する。尚、本実施形態の燃料噴射制御システムは、例えば車両(自動車)のディーゼルエンジンへの燃料噴射を制御するものである。
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態の燃料噴射制御システム10は、ディーゼルエンジン13の各気筒(本実施形態では4つの気筒)#1〜#4に設けられた燃料噴射装置としてのインジェクタIJ1〜IJ4と、インジェクタIJ1〜IJ4を制御することで、エンジン13への燃料噴射を制御する電子制御装置(以下、ECUという)11とを備えている。
各インジェクタIJ1〜IJ4には、燃料の蓄圧容器であるコモンレール15の燃料出
口15aから伸びた燃料供給用配管(燃料通路)17がそれぞれ接続されている。また、コモンレール15には、車両の燃料タンク19に貯留された燃料が、燃料ポンプ21によって圧送される。そして、各インジェクタIJ1〜IJ4は、コモンレール15に蓄えられた高圧の燃料が上記燃料供給用配管17を介して供給される。
また、各インジェクタIJ1〜IJ4は、上記供給された燃料をエンジン13の気筒へ噴射する噴射口23と、駆動されることで噴射口23を開くアクチュエータ25とを備えている。このため、各インジェクタIJ1〜IJ4では、アクチュエータ25が駆動されることで、噴射口23が開き、その噴射口23から気筒#1〜#4へ燃料を噴射する。
尚、本実施形態において、燃料ポンプ21は、例えば、エンジン13のクランク軸の回転により駆動されてポンプ動作を行うと共に、燃料の圧送量(吐出量)が電磁弁(図示省略)の開閉タイミングによって調整される機関駆動式の高圧ポンプであるが、電動駆動式のポンプであっても良い。また、インジェクタIJ1〜IJ4のアクチュエータ25は、例えば、コイルへの通電によって噴射口23を開く電磁ソレノイドであるが、ピエゾアクチュエータでも良い。
更に、各インジェクタIJ1〜IJ4において、燃料供給用配管17との接続部(即ち、インジェクタIJ1〜IJ4の燃料取込口)には、その位置の燃料圧力(いわゆるインレット圧)を検出して該燃料圧力に応じた電圧の燃料圧力信号を出力する燃料圧力センサ(以下単に、圧力センサという)27がそれぞれ設けられている。このため、圧力センサ27によって検出される燃料圧力は、その圧力センサ27が設けられているインジェクタIJ1〜IJ4の燃料噴射動作によって変動する。尚、以下の説明において、燃料圧力とは、特に断らなければ、圧力センサ27によって検出される燃料圧力のことであり、インジェクタIJ1〜IJ4の燃料取込口の燃料圧力のことである。
そして、各インジェクタIJ1〜IJ4とECU11との間には、圧力センサ27が出力する燃料圧力信号をECU11に入力するためのセンサ信号線29と、ECU11がアクチュエータ25を駆動するための駆動信号線30とが設けられている。
また、図1では図示を省略しているが、各インジェクタIJ1〜IJ4とECU11との間には、図2に示すように、各インジェクタIJ1〜IJ4とECU11とが通信するための通信線41と、ECU11から各インジェクタIJ1〜IJ4に一定の電源電圧VC(本実施形態では5V)を供給するための電源線43と、各インジェクタIJ1〜IJ4とECU11とにおけるグランド電圧(グランドラインの電圧)GNDを同じにするためのグランド線42とが設けられている。つまり、グランド線42は、ECU11内のグランドラインと各インジェクタIJ1〜IJ4内のグランドラインとを接続する線であり、そのグランド線42と電源線43を介して、ECU11から各インジェクタIJ1〜IJ4へ、電力が供給されるようになっている。
一方、図1に戻り、エンジンECU11には、各インジェクタIJ1〜IJ4からの燃料圧力信号以外にも、エンジン13の運転状態を検出するための様々なセンサからの信号が入力される。その運転状態検出用センサとしては、例えば、周知のクランク角センサ31があり、図示を省略しているが、他にも、エンジン13への吸入空気量を検出する吸気量センサや、エンジン13の冷却水温を検出する水温センサや、アクセル踏み込み量センサ等がある。
そして、エンジンECU11は、インジェクタIJ1〜IJ4に燃料を噴射させる燃料噴射制御の処理を行うマイコン33を備えている。更に、マイコン33は、AD変換器(アナログ・デジタル変換器:ADC)34を備えており、そのAD変換器34には、各イ
ンジェクタIJ1〜IJ4とつながる各センサ信号線29の電圧が入力されるようになっている。尚、図示を省略しているが、マイコン33は、周知のCPU、ROM、及びRAM等も備えている。
次に、エンジンECU11とインジェクタIJn(nは1〜4の何れか)との更に詳しい構成について、図2を用い説明する。
図2に示すように、ECU11は、マイコン33の他にも、マイコン33からの噴射指令信号に従ってインジェクタIJnのアクチュエータ25に駆動信号線30を介して駆動信号を出力する駆動回路35と、車両におけるイグニッション系電源ライン32を介して供給されるバッテリ電圧(車両のバッテリの電圧)VBから前述の電源電圧VCを生成して出力する電源回路36と、マイコン33が通信線41を介してインジェクタIJnと通信するための通信回路37と、を備えている。
そして、電源回路36から出力される電源電圧VCは、ECU11においては、マイコン33、駆動回路35及び通信回路37に動作用電源として供給され、更に、電源線43を介してインジェクタIJnにも供給される。
尚、上記イグニッション系電源ライン32には、車両の運転者による所定の操作によって車両がイグニッションオンの状態になるとバッテリ電圧VBが供給される。また、通信回路37と通信線41は、インジェクタIJ1〜IJ4毎に設けられていても良いし、インジェクタIJ1〜IJ4に共通のものが1組設けられていても良い。後者の構成の場合、ECU11(詳しくはマイコン33)と各インジェクタIJ1〜IJ4は、共通の通信線41を介して通信することとなる。
一方、インジェクタIJnは、アクチュエータ25と圧力センサ27の他にも、出力制御IC50を備えている。
その出力制御IC50は、通信線41を介してECU11(詳しくはマイコン33)と通信するための通信回路51と、ECU11から通信回路51を介して与えられる要求に応じた値の電圧を出力する固定電圧生成回路53と、ECU11から通信回路51を介して与えられる要求に応じて、圧力センサ27の出力電圧(即ち、燃料圧力信号であり、以下、センサ出力電圧ともいう)VSと、固定電圧生成回路53の出力電圧VRと、電源電圧VCと、グランド電圧GNDとのうちの、何れか1つを選択して出力するマルチプレクサ(MPX)55と、マルチプレクサ55の出力電圧が入力され、その入力された電圧を、当該インジェクタIJnに設けられている端子のうち、センサ信号線29と接続される端子58に出力するバッファ回路からなる出力回路57と、を備えている。
このため、センサ信号線29には、センサ出力電圧VSと、固定電圧生成回路53の出力電圧VRと、電源電圧VCと、グランド電圧GNDとのうちの何れかが、出力回路57及び端子58を介して、ECU11へのセンサ信号として出力されることとなる。但し、通常時には、マルチプレクサ55がセンサ出力電圧VSを選択するようになっており、そのセンサ出力電圧VSである燃料圧力信号が、センサ信号としてセンサ信号線29へ出力され、延いてはECU11に入力される。
尚、少なくとも出力制御IC50と圧力センサ27は、EC11から供給される電源電圧VCによって動作する。また、圧力センサ27は、例えば、ダイアフラム(受圧部)上にホイートストンブリッジ回路を成すように形成された4つの抵抗(所謂ゲージ抵抗)を備え、そのホイートストンブリッジ回路に電源電圧VCが印加された状態で、4つの抵抗の抵抗値が燃料圧力に応じて変わることにより、燃料圧力に応じた出力電圧VSを発生する、周知のホイートストンブリッジ型圧力センサである。
以上のようなハードウェア構成の燃料噴射制御システム10において、ECU11のマイコン33は、前述した通常時であって、インジェクタIJ1〜IJ4の圧力センサ27の出力電圧VSがセンサ信号としてセンサ信号線29に出力される場合に、インジェクタIJ1〜IJ4の各々について例えば下記[1]〜[5]の処理を行い、また、燃料ポンプ21を制御するために例えば下記[6]の処理を行う。
[1]インジェクタIJnからセンサ信号線29を介して入力される燃料圧力信号を、AD変換器34により、該燃料圧力信号の波形が判別可能な程に短い一定時間毎(例えば10μs毎)にAD変換し、そのAD変換値(即ち、燃料圧力信号の電圧検出値)から、燃料圧力(インジェクタIJnのインレット圧)を算出する圧力検出処理。尚、本実施形態では、燃料圧力信号の電圧検出値を、例えば一次関数の式に代入することで、燃料圧力を算出する。
[2]インジェクタIJnを駆動する前(燃料を噴射させていないとき)に算出した燃料圧力と、エンジン回転数やアクセル開度などの制御パラメータとに基づいて、目標の噴射状態(例えば噴射開始タイミング及び噴射量)を算出し、その目標の噴射状態を実現するために必要なインジェクタIJnに対する噴射指令信号の出力開始タイミング及び出力継続時間の基本値を算出する処理。
[3]インジェクタIJnを駆動した期間(気筒#nの燃料噴射期間)を含む特定の噴射状態監視期間における一定時間毎の燃料圧力の算出値(上記[1]の処理による算出値)から、実際の噴射開始タイミングや噴射量などの噴射状態を検出し、その検出結果から、噴射指令信号の出力開始タイミング及び出力継続時間を補正するための補正値を算出する処理。
[4]上記[2]の処理で算出した噴射指令信号の出力開始タイミング及び出力継続時間の基本値を、上記[3]の処理で算出した補正値により補正して、噴射指令信号の出力開始タイミング及び出力継続時間を最終的に決定する処理。
[5]インジェクタIJnに対する噴射指令信号を、上記[4]の処理で決定した結果の通りに駆動回路35へ出力する処理。
[6]インジェクタIJnを駆動していないときに上記[1]の処理で算出する燃料圧力が目標値となるように、燃料ポンプ21を制御する燃料ポンプ制御処理。
尚、上記[2]〜[5]の処理が燃料噴射制御の処理に相当している。
ところで、このような燃料噴射制御システム10において、センサ信号線29からECU11に入力される電圧(以下、センサ信号入力電圧ともいう)が、圧力センサ27の出力電圧VSに応じて変化するものの、インジェクタIJn側の出力回路57及び端子58とセンサ信号線29とからなる信号伝達経路59における信号伝達特性値が基準値(詳しくは、ECU11のマイコン33が燃料圧力信号の電圧検出値から燃料圧力を算出する際の設計上の想定値)からずれてしまっていると、ECU11のマイコン33は、センサ信号線29を介して入力する燃料圧力信号から燃料圧力を正しく算出することができず、延いては、燃料噴射制御の精度及び燃料ポンプ21の制御精度が低下してしまう。尚、信号伝達経路59における信号伝達特性値としては、例えば前述したステップ応答時間、オフセット及び入出力関係値がある。
このため、本実施形態では、ECU11のマイコン33が、信号伝達経路59における信号伝達特性値としてのステップ応答時間、オフセット及び入出力関係値の各々について、基準値からのずれ(以下、「信号伝達経路59の特性値ずれ」あるいは単に「特性値ずれ」ともいう)を検出し、その検出した特性値ずれに応じて、燃料圧力信号の電圧検出値
を補正することにより、燃料圧力の検出精度(算出精度)を向上させている。
そこで次に、信号伝達経路59の特性値ずれを検出するためにECU11のマイコン33が行う処理の内容と、インジェクタIJn側の出力制御IC50の動作内容とについて説明する。
まず、図3における時刻t1より前に示すように、インジェクタIJnが通常の状態になっている通常時には、マルチプレクサ55がセンサ出力電圧VSを選択しており、そのセンサ出力電圧VS(燃料圧力信号)が、インジェクタIJnからのセンサ信号としてセンサ信号線29へ出力される。
そして、図3における時刻t1に示すように、ECU11のマイコン33は、インジェクタIJnについて信号伝達経路59の特性値ずれの検出を開始すべき特性値ずれ検出開始タイミングが到来すると、通信線41を介してインジェクタIJnへ、グランド電圧GNDの出力要求を送信する。尚、グランド電圧GNDの出力要求は、マルチプレクサ55にグランド電圧GNDを選択させる選択要求である。
すると、インジェクタIJnの出力制御IC50では、そのグランド電圧GNDの出力要求が通信回路51からマルチプレクサ55に与えられ、その時点までセンサ出力電圧VSを選択していたマルチプレクサ55が、グランド電圧GNDを選択して出力回路57へ出力することとなる。このため、出力回路57への入力電圧(信号伝達経路59への入力電圧に相当)が、センサ出力電圧VSからグランド電圧GNDに切り替わり、これにより、インジェクタIJnからセンサ信号線29へのセンサ信号も、センサ出力電圧VSからグランド電圧GNDに切り替わる。
その後、センサ信号線29からECU11への入力電圧が切り替え後の電圧(この場合はグランド電圧GND)に安定すると考えられる所定の待ち時間が経過すると、図3における時刻t2に示すように、ECU11のマイコン33は、通信線41を介してインジェクタIJnへ、電源電圧VCの出力要求を送信する。尚、電源電圧VCの出力要求は、マルチプレクサ55に電源電圧VCを選択させる選択要求である。
すると、インジェクタIJnの出力制御IC50では、その電源電圧VCの出力要求が通信回路51からマルチプレクサ55に与えられ、その時点までグランド電圧GNDを選択していたマルチプレクサ55が、電源電圧VCを選択して出力回路57へ出力することとなる。このため、出力回路57への入力電圧が、グランド電圧GNDから電源電圧VCに切り替わり、これにより、インジェクタIJnからセンサ信号線29へのセンサ信号も、グランド電圧GNDから電源電圧VCに切り替わる。
そして、ECU11のマイコン33は、インジェクタIJnへ電源電圧VCの出力要求を送信したタイミング(即ち、インジェクタIJn側のマルチプレクサ55に出力回路57への入力電圧をグランド電圧GNDから電源電圧VCに切り替えさせた切替タイミングであり、信号伝達経路59への入力電圧に電圧エッジを発生させたタイミングでもある)から、十分に短い所定のサンプリング間隔時間(例えば10μs)毎に、センサ信号入力電圧をサンプリングする(即ち、AD変換器34によりAD変換する)。
そして更に、マイコン33は、図4に示すように、上記切替タイミングから、センサ信号入力電圧のAD変換値が電源電圧VCに到達したと判定したときまでの時間を、応答遅れ時間Tdとして検出する。具体的には、上記切替タイミングから、センサ信号入力電圧のAD変換値が電源電圧VCに到達した(換言すれば、収束した)と判定したときまでのサンプリング回数に、サンプリング間隔時間を乗じることにより、応答遅れ時間Tdを算
出する。
尚、この応答遅れ時間Tdは、ステップ応答時間の基準値からのずれであるが、ステップ応答時間自体でもある。つまり、本実施形態において、マイコン33はステップ応答時間の基準値を0としているため、ステップ応答時間自体を、応答遅れ時間Tdとして検出している。また、応答遅れ時間Tdが0より大きい場合(即ち、信号伝達経路59に応答遅れがある場合)に、もし何も処置をしなければ、ECU11のマイコン33は、燃料圧力が変化したときに、実際の燃料圧力よりも少し前の値を検出することとなる。つまり、燃料圧力が急上昇した場合、センサ信号入力電圧が急上昇後の燃料圧力に相当する値に収束するまでは、マイコン33は実際の燃料圧力よりも小さい値を検出することとなる。また逆に、燃料圧力が急降下した場合、センサ信号入力電圧が急降下後の燃料圧力に相当する値に収束するまでは、マイコン33は実際の燃料圧力よりも大きい値を検出することとなる。
そして、ECU11のマイコン33は、応答遅れ時間Tdの検出を終了すると、図3における時刻t3に示すように、まず、通信線41を介してインジェクタIJnへ、オフセットずれ検出用電圧の出力要求を送信する。
そのオフセットずれ検出用電圧の出力要求は、固定電圧生成回路53にオフセットずれ検出用電圧を出力させる電圧要求と、マルチプレクサ55に固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択させる選択要求とを含んでいる。また、オフセットずれ検出用電圧は、グランド電圧GND(=0V)と電源電圧VC(=5V)との間の電圧であり、例えば2Vである。
そして、インジェクタIJnの出力制御IC50では、通信回路51が上記オフセットずれ検出用電圧の出力要求を受信すると、その出力要求のうちの電圧要求を固定電圧生成回路53に与えると共に、その出力要求のうちの選択要求をマルチプレクサ55に与える。すると、固定電圧生成回路53がオフセットずれ検出用電圧(=2V)を出力すると共に、その時点まで電源電圧VCを選択していたマルチプレクサ55が、固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択して出力回路57へ出力することとなる。よって、出力回路57への入力電圧が、電源電圧VCからオフセットずれ検出用電圧(尚、図3ではVRと記載している)に切り替わり、これにより、インジェクタIJnからセンサ信号線29へのセンサ信号も、電源電圧VCからオフセットずれ検出用電圧に切り替わる。
そして更に、マイコン33は、オフセットずれ検出用電圧の出力要求を送信してから前述の待ち時間が経過すると、センサ信号入力電圧をサンプリングし(即ち、AD変換器34によりAD変換し)、そのサンプリングによるセンサ信号入力電圧の検出値であるセンサ信号検出値(即ち、信号伝達経路59の出力電圧)から、オフセットずれ検出用電圧(即ち、信号伝達経路59の入力電圧)を引いた値を、オフセットずれ電圧として算出する。
尚、このオフセットずれ電圧は、オフセットの基準値からのずれであるが、オフセット自体でもある。つまり、本実施形態において、マイコン33は、オフセットの基準値を0としているため、オフセット自体をオフセットずれ電圧として検出している。また、図5(A)は、オフセットずれ電圧が0である正常状態での、燃料圧力とセンサ信号入力電圧(図5では「ECU入力電圧」と記載している)との関係(センサ特性)を示しているが、オフセットずれ電圧が0でなければ、図5(B)に例示するように、実線で示すセンサ信号入力電圧が、一点鎖線で示す正常状態でのセンサ信号入力電圧よりもオフセットずれ電圧の分だけ下または上にシフトすることとなる。このため、もし何も処置をしなければ、ECU11のマイコン33は、実際の燃料圧力よりも低い値または高い値を検出するこ
ととなる。
次に、ECU11のマイコン33は、オフセットずれ電圧の検出を終了すると、信号伝達経路59の特性マッピングずれを表す複数の特性マッピングずれ電圧を検出するための動作を行う。
尚、特性マッピングずれとは、信号伝達経路59への入力電圧(本実施形態では出力回路57への入力電圧)と、信号伝達経路59の出力電圧(センサ信号入力電圧)との差が、一定ではなく、信号伝達経路59への入力電圧によって変わる伝達特性のことである。このため、特性マッピングずれがあると、図5(C)の実線で例示するように、燃料圧力とセンサ信号入力電圧(ECU入力電圧)との関係が一定ではなくなり、もし何も処置をしなければ、ECU11のマイコン33は、実際の燃料圧力とは異なった値を検出することとなる。そして、本実施形態において、マイコン33は、センサ信号入力電圧と、信号伝達経路59への複数通りの各入力電圧との、差の各々である入出力関係値を、特性マッピングずれ電圧として検出している。また、本実施形態において、マイコン33は、特性マッピングずれ電圧の基準値を0としている。つまり、マイコン33は、信号伝達経路59が正常ならば、その信号伝達経路59への入力電圧とセンサ信号入力電圧とが同じになる、ということを前提にして、燃料圧力を検出している。このため、特性マッピングずれ電圧の各々は、信号伝達経路59の入出力関係を表す入出力関係値の各々であると共に、その入出力関係値の基準値を0とした場合の、その入出力関係値の基準値からのずれである。
そして、マイコン33は、複数の特性マッピングずれ電圧を検出するために、グランド電圧GNDと電源電圧VCとの間の複数通りのターゲット電圧の各々について、下記(1)及び(2)の各動作を行う。尚、ここでのターゲット電圧とは、特性マッピングずれ電圧を検出するための、信号伝達経路59への入力電圧のことである。
(1)マイコン33は、通信線41を介してインジェクタIJnへ、ターゲット電圧の出力要求を送信する。
そのターゲット電圧の出力要求は、前述したオフセットずれ検出用電圧の出力要求と同様に、固定電圧生成回路53にターゲット電圧を出力させる電圧要求と、マルチプレクサ55に固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択させる選択要求とを含んでいる。そして、インジェクタIJnの出力制御IC50では、通信回路51が上記ターゲット電圧の出力要求を受信すると、その出力要求のうちの電圧要求を固定電圧生成回路53に与えると共に、その出力要求のうちの選択要求をマルチプレクサ55に与える。すると、固定電圧生成回路53がターゲット電圧を出力すると共に、マルチプレクサ55が固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択するため、出力回路57への入力電圧が、ターゲット電圧に切り替わる。
(2)そして、マイコン33は、ターゲット電圧の出力要求を送信してから前述の待ち時間が経過すると、センサ信号入力電圧をサンプリングし、そのサンプリングによるセンサ信号入力電圧の検出値であるセンサ信号検出値から、現在のターゲット電圧の値を引いた値を、特性マッピングずれ電圧(詳しくは、現在のターゲット電圧を信号伝達経路59の入力電圧とした場合の、特性マッピングずれ電圧)として算出する。そして更に、その算出した特性マッピングずれ電圧を、現在のターゲット電圧を特定可能な情報と対応付けて、例えばRAMに設けられている特性マッピングずれ記憶領域に記憶する。
このため、図6に示すように、複数通りのターゲット電圧の各々について、そのターゲット電圧と実際のセンサ信号入力電圧(図6では「ECU入力電圧」と記載している)との差が、特性マッピングずれ電圧として検出されて、特性マッピングずれ記憶領域に記憶
されることとなる。
そして、ECU11のマイコン33は、複数通りのターゲット電圧の全てについて、特性マッピングずれ電圧の検出を終了すると、図3における時刻t4に示すように、通信線41を介してインジェクタIJnへ、センサ出力電圧VSの出力要求を送信する。尚、センサ出力電圧VSの出力要求は、マルチプレクサ55にセンサ出力電圧VSを選択させる選択要求である。
すると、インジェクタIJnの出力制御IC50では、そのセンサ出力電圧VSの出力要求が通信回路51からマルチプレクサ55に与えられ、その時点まで固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択していたマルチプレクサ55が、センサ出力電圧VSを選択して出力回路57へ出力することとなる。そして、この動作により、インジェクタIJnが通常の状態に戻る。
次に、図3に沿って説明した動作を実現するために、ECU11のマイコン33が行う処理について、図7〜図9のフローチャートを用い説明する。尚、以下に説明する各処理は、インジェクタIJ1〜IJ4の各々について実行されるが、処理の対象がインジェクタIJnであるとして説明する。
まず図7は、応答遅れ時間Tdを検出するための応答遅れ検出処理を表すフローチャートである。
この応答遅れ検出処理は、前述した特性値ずれ検出開始タイミングが到来すると実行される。また、本実施形態において、その特性値ずれ検出開始タイミングは、例えばマイコン33の起動時である。よって、マイコン33は、電源回路36からの電源電圧VCを受けて動作を開始すると、インジェクタIJ1〜IJ4の各々について図7の応答遅れ検出処理を実行することとなる。
図7に示すように、マイコン33は、応答遅れ検出処理の実行を開始すると、まずS110にて、前述したグランド電圧GNDの出力要求をインジェクタIJnへ送信することにより、インジェクタIJn側の出力制御IC50に、出力回路57への入力電圧をセンサ出力電圧VSからグランド電圧GNDに切り替えさせる。尚、このS110の処理による動作が、図3における時刻t1の動作である。
次にS120にて、前述の待ち時間だけ待機し、その後、S130に進む。
S130では、前述した電源電圧VCの出力要求をインジェクタIJnへ送信することにより、インジェクタIJn側の出力制御IC50に、出力回路57への入力電圧をグランド電圧GNDから電源電圧VCに切り替えさせる。尚、このS130の処理による動作が、図3における時刻t2の動作である。
そして、続くS140にて、応答遅れ時間Tdを計測するためのカウンタ(以下、計時用カウンタという)を、0にリセットする。
次にS150にて、インジェクタIJnからのセンサ信号入力電圧をサンプリングし(詳しくは、AD変換器34によりAD変換し)、続くS160にて、直前のS150で検出したセンサ信号入力電圧の値であるセンサ信号検出値が、電源電圧VCから所定のマージン値を引いた値(=VC−マージン値)以上であるか否かを判定する。尚、「VC−マージン値」は、センサ信号入力電圧が電源電圧VCに到達したか否かを判定するための判定値であり、マージン値は、例えば電源電圧VCの5パーセント程度の正の値に設定されている。
上記S160にて、センサ信号検出値が「VC−マージン値」以上ではないと判定した
場合には、S170に進んで、前述のサンプリング間隔時間(例えば10μs)だけ待機する。そして、次のS180にて、計時用カウンタをインクリメント(+1)した後、上記S150に戻って、センサ信号入力電圧を再びサンプリングする。
また、上記S160にて、センサ信号検出値が「VC−マージン値」以上であると判定した場合には、センサ信号入力電圧が電源電圧VCに到達したと判断して、S190に進む。
そして、S190では、現在の計時用カウンタの値(即ち、インジェクタIJn側の出力回路57への入力電圧を電源電圧VCに切り替えさせたタイミングから、センサ信号入力電圧が電源電圧VCに到達したと判定したときまでの、センサ信号入力電圧のサンプリング回数)に、サンプリング間隔時間を乗じることにより、応答遅れ時間Tdを算出する。そして、その算出した応答遅れ時間Tdを、例えばRAMの所定領域に記憶した後、当該応答遅れ検出処理を終了する。
次に、図8は、オフセットずれ電圧を検出するためのオフセットずれ検出処理を表すフローチャートである。尚、このオフセットずれ検出処理は、図7の応答遅れ検出処理に続いて実行される。
図8に示すように、マイコン33は、オフセットずれ検出処理の実行を開始すると、まずS210にて、前述したオフセットずれ検出用電圧の出力要求をインジェクタIJnへ送信することにより、インジェクタIJn側の出力制御IC50に、出力回路57への入力電圧をオフセットずれ検出用電圧に切り替えさせる。尚、このS210の処理による動作が、図3における時刻t3の動作である。
次にS220にて、前述の待ち時間だけ待ってから、インジェクタIJnからのセンサ信号入力電圧をサンプリングする。
そして、続くS230にて、上記S220で検出したセンサ信号入力電圧の値であるセンサ信号検出値から、オフセットずれ検出用電圧を引いた値を、オフセットずれ電圧として算出する。そして、その算出したオフセットずれ電圧を、例えばRAMの所定領域に記憶した後、当該オフセットずれ検出処理を終了する。
次に、図9は、複数の特性マッピングずれ電圧を検出するための特性マッピングずれ検出処理を表すフローチャートである。尚、この特性マッピングずれ検出処理は、図8のオフセットずれ検出処理に続いて実行される。
図9に示すように、マイコン33は、特性マッピングずれ検出処理の実行を開始すると、まずS310にて、前述したターゲット電圧を示す情報としての電圧指示用カウンタ(以下、単に、カウンタという)を、0に初期化する。
ここで、ターゲット電圧の数(変化数)を「検出マップサイズ」と言うと共に、その検出マップサイズをNとし、また、ターゲット電圧の最小値を「最小ターゲット電圧」と言い、ターゲット電圧の最大値を「最大ターゲット電圧」と言うことにすると、本実施形態では、ターゲット電圧を、最小ターゲット電圧から最大ターゲット電圧まで、一定の刻み幅ΔVで増加させていくことにより、N通りに切り替えるようになっている。このため、ターゲット電圧を増加させていく刻み幅ΔVは、「(最大ターゲット電圧−最小ターゲット電圧)÷(N−1)」となる。そして、本実施形態では、図10に示すように、最小ターゲット電圧から最大ターゲット電圧までの各ターゲット電圧と、0から1ずつ増加させるカウンタの各値とを、対応付けている。
尚、一例であるが、本実施形態では、図10に示すように、最小ターゲット電圧が0.5Vであり、最大ターゲット電圧が4.5Vであり、検出マップサイズNが5であるとする。このため、刻み幅ΔVは1Vとなり、ターゲット電圧は、0.5Vから4.5Vまでの範囲で、1Vきざみの5通りに切り替えることとなる。
図9の説明に戻り、S310に続くS320では、上記刻み幅ΔVにカウンタの値(以下、カウンタ値という)を乗じた値であるターゲット電圧加算値を、下記の式1から求める。尚、以下の式中及び[]内や〈〉内の「カウンタ」とは、カウンタ値のことである。
〔式1〕
ターゲット電圧加算値={(最大ターゲット電圧−最小ターゲット電圧)÷(検出マップサイズ−1)}×カウンタ…式1
そして、次のS330にて、現在のカウンタ値に対応するターゲット電圧である「ターゲット電圧[カウンタ]」を、下記の式2から算出する。
〔式2〕
ターゲット電圧[カウンタ]=最小ターゲット電圧+ターゲット電圧加算値…式2
そして、次のS340にて、上記S330で算出した「ターゲット電圧[カウンタ]」の出力要求を、インジェクタIJnへ送信することにより、インジェクタIJn側の出力制御IC50に、出力回路57への入力電圧を「ターゲット電圧[カウンタ]」に切り替えさせる。尚、このS340の処理による動作が、前述した(1)の動作である。
次にS350にて、前述の待ち時間だけ待ってから、インジェクタIJnからのセンサ信号入力電圧をサンプリングする。
そして、続くS360にて、上記S350で検出したセンサ信号入力電圧の値であるセンサ信号検出値から、S330で算出した「ターゲット電圧[カウンタ]」の値を引いた値を、「特性マッピングずれ電圧[カウンタ]」として算出する(図10参照)。そして更に、S360では、算出した「特性マッピングずれ電圧[カウンタ]」と「ターゲット電圧[カウンタ]」とを、図10における表に例示するように、現在のカウンタ値と同じ値の識別番号と対応付けて、例えばRAMに設けられている特性マッピングずれ記憶領域に記憶する。尚、上記S350とS360の処理による動作が、前述した(2)の動作である。
次にS370にて、カウンタをインクリメント(+1)する。
そして、続くS380にて、カウンタ値が検出マップサイズの値に達したか否かを判定し、カウンタ値が検出マップサイズの値に達していなければ、S320に戻る。
また、上記S380にて、カウンタ値が検出マップサイズの値に達したと判定した場合には、S390に進む。
S390では、前述したセンサ出力電圧VSの出力要求をインジェクタIJnへ送信することにより、インジェクタIJn側の出力制御IC50に、出力回路57への入力電圧をセンサ出力電圧VSに切り替えさせる。尚、このS390の処理による動作が、図3における時刻t4の動作である。そして、その後、当該特性マッピングずれ検出処理を終了する。
以上のような特性マッピングずれ検出処理により、図10に示すように、カウンタ値が0から4(=検出マップサイズ−1)まで1ずつ増えることに伴って、ターゲット電圧が、0.5Vから4.5Vまで、1Vきざみの5通りに切り替えられると共に、その各ターゲット電圧を信号伝達経路59への入力電圧とした場合の、特性マッピングずれ電圧が、それぞれ算出される。そして、各ターゲット電圧と各特性マッピングずれ電圧は、それら
が算出されたときのカウンタ値と同じ値の識別番号と対応付けて、RAMの特性マッピングずれ記憶領域に記憶される。よって、各特性マッピングずれ電圧は、どのターゲット電圧に対応するものか識別可能に記憶されることとなる。尚、図10に示す特性マッピングずれ電圧の各値は、一例である。
また、特性マッピングずれ検出処理が終了すると、インジェクタIJnは通常の状態となり、ECU11へは、インジェクタIJnからセンサ信号線29を介して燃料圧信号(センサ出力電圧VS)が入力されるようになる。
このため、ECU11のマイコン33は、特性マッピングずれ検出処理を終了すると、前述した[1]〜[6]の処理を行って、インジェクタIJ1〜IJ4と燃料ポンプ21を制御する。
次に、ECU11のマイコン33が、図7〜図9の各処理によって検出した信号伝達経路59の特性値ずれ(応答遅れ時間Td、オフセットずれ電圧、特性マッピングずれ電圧)を用いて行う処理について説明する。
《応答遅れ時間Tdを用いる補正処理》
ECU11のマイコン33は、上記[6]の燃料ポンプ制御処理において、車両の運転者がアクセルペダルを踏み込んだと判定すると、エンジン13の出力を増加させるために、燃料ポンプ21からコモンレール15への燃料吐出量を増加させて燃料圧力を高めることとなる。具体的には、燃料圧力の目標値を高くし、上記[1]の圧力検出処理で算出する燃料圧力が、その高めた目標値となるように、燃料ポンプ21からの燃料吐出量を制御する。
ここで、もし応答遅れ時間Tdがあると(Tdが0でなければ)、ECU11に入力される燃料圧力信号の上昇が、実際の燃料圧力の上昇よりも遅れることとなる。このため、何も処置をしなければ、ECU11のマイコン33は、実際の燃料圧力が目標値を超えてからも、燃料ポンプ21からの燃料吐出量を増加させてしまう。
そこで、マイコン33は、図7の応答遅れ検出処理で算出した応答遅れ時間Tdが0でなければ、下記の補正処理を行う。
即ち、マイコン33は、燃料ポンプ21を制御するための燃料圧力の目標値を上昇させた時点から、応答遅れ時間Tdが経過するまでの間において、上記[1]の圧力検出処理では、一定時間毎のAD変換で得た燃料圧力信号の各電圧検出値を、先に得た電圧検出値ほど大きい値を加算して補正し、その補正後の電圧検出値から燃料圧力を算出する。つまり、燃料圧力信号の一定時間毎の電圧検出値からなる波形が、図4の3段目に示したような波形になる場合には、その一定時間毎の電圧検出値からなる波形を、図4の2段目に示したような矩形波形に補正して、燃料圧力を算出する。
《オフセットずれ電圧を用いる補正処理》
ECU11のマイコン33は、図8のオフセットずれ検出処理で算出したオフセットずれ電圧が0でなければ、上記[1]の圧力検出処理において、インジェクタIJnからセンサ信号線29を介して入力される燃料圧力信号をAD変換する毎に、図11のオフセットずれ補正処理を行う。
図11に示すように、そのオフセットずれ補正処理では、S420にて、今回のAD変換による燃料圧力信号の電圧検出値である燃料圧力信号検出値から、オフセットずれ電圧を引いた値を、オフセットずれ補正後電圧として算出する。つまり、オフセットずれ補正後電圧は、AD変換による燃料圧力信号検出値を、オフセットずれ電圧を用いて補正した
値である。
尚、燃料圧力信号検出値は、広い意味では、センサ信号検出値(センサ信号入力電圧の検出値)のことであるが、通常時において、インジェクタIJnからセンサ信号線29へは、圧力センサ27からの燃料圧力信号が出力されているため、その通常時におけるセンサ信号検出値のことを、燃料圧力信号検出値と称している。
そして、S420の処理が終わると、オフセットずれ補正処理も終了し、マイコン33は、そのオフセットずれ補正処理で算出したオフセットずれ補正後電圧から、燃料圧力を算出する。
《特性マッピングずれ電圧を用いる補正処理》
ECU11のマイコン33は、上記[1]の圧力検出処理において、インジェクタIJnからセンサ信号線29を介して入力される燃料圧力信号をAD変換する毎に、図12の特性マッピングずれ補正処理を行う。
図12に示すように、特性マッピングずれ補正処理では、まずS520にて、カウンタ(電圧指示用カウンタ)を0に初期化する。
そして、次のS530にて、前述したRAMの特性マッピングずれ記憶領域から、現在のカウンタ値と同じ値の識別番号に対応する「ターゲット電圧〈カウンタ〉」と「特性マッピングずれ電圧〈カウンタ〉」とを読み出し、それらから、下記の式3により、実特性電圧を算出する。尚、「ターゲット電圧〈〉」とは、特性マッピングずれ記憶領域に記憶されているターゲット電圧のうち、〈〉内の値と同じ識別番号に対応して記憶されているターゲット電圧のことである。同様に、「特性マッピングずれ電圧〈〉」とは、特性マッピングずれ記憶領域に記憶されている特性マッピングずれ電圧のうち、〈〉内の値と同じ識別番号に対応して記憶されている特性マッピングずれ電圧のことである。
〔式3〕
実特性電圧=ターゲット電圧〈カウンタ〉+特性マッピングずれ電圧〈カウンタ〉…式3
つまり、実特性電圧は、「ターゲット電圧〈カウンタ〉」を信号伝達経路59の入力電圧とした場合の、信号伝達経路59の出力電圧(センサ信号入力電圧)の実測値である。
次にS540にて、今回のAD変換による燃料圧力信号検出値が、S530で算出した実特性電圧以下であるか否かを判定し、「燃料圧力信号検出値≦実特性電圧」でなければ、次のS550にて、カウンタをインクリメントする。そして、次のS560にて、カウンタ値が検出マップサイズの値に達したか否かを判定し、カウンタ値が検出マップサイズの値に達していなければ、S530に戻る。
また、上記S540にて、「燃料圧力信号検出値≦実特性電圧」であると判定した場合、あるいは、上記S560にて、カウンタ値が検出マップサイズの値に達したと判定した場合には、S570に進み、後述する図14の補正後電圧算出処理を行った後、当該特性マッピングずれ補正処理を終了する。
つまり、上記S520〜S560の処理では、RAMの特性マッピングずれ記憶領域に図10の如く記憶されたターゲット電圧と特性マッピングずれ電圧とを、互いに対応するもの同士(即ち、同じ識別番号に対応するもの同士)加算して得られる各実特性電圧によって区切られる各区間のうち、今回のAD変換による燃料圧力信号検出値が入っている区間を、カウンタ値というかたちで検出している。そして、上記各区間は、その区間の上限側の実特性電圧に対応する識別番号(即ち、その上限側の実特性電圧を算出するのに用い
られたターゲット電圧及び特性マッピングずれ電圧に対応する識別番号)と同じ値のカウンタ値によって示される。
具体例として、図9の特性マッピングずれ検出処理によって特性マッピングずれ記憶領域に記憶された各特性マッピングずれ電圧が、図10に示す値であったとする。
その場合、図13に示すように、各実特性電圧は、0.5V(=0.5V+0V),2.3V(=1.5V+0.8V),3.9V(=2.5V+1.4V),4.3V(=3.5V+0.8V),4.5V(=4.5V+0V)となる。そして、「0.5V以下」の区間を示すカウンタ値は0となり、「0.5Vより大で2.3V以下」の区間を示すカウンタ値は1となり、「2.3Vより大で3.9V以下」の区間を示すカウンタ値は2となり、「3.9Vより大で4.3V以下」の区間を示すカウンタ値は3となり、「4.3Vより大で4.5V以下」の区間を示すカウンタ値は4となり、「4.5Vより大」の区間を示すカウンタ値は5となる。尚、以下では、「カウンタ値=X」(Xは0〜5の何れか)が示す区間のことを、第X区間という。
そして、この具体例の場合に、例えば、燃料圧力信号検出値が2.7Vであったとすると、その2.7Vは、「カウンタ値=2」の第2区間に入っているため、図12におけるS520〜S560の処理では、カウンタ値が2の場合(即ち、S530で算出される実特性電圧が3.9Vの場合)に、S540で「YES」と判定されて、S570へ進むこととなる。
次に、図14に示すように、図12のS570で行われる補正後電圧算出処理では、まずS610にて、現在のカウンタ値が0であるか否かを判定し、カウンタ値が0であれば、S620に進む。尚、この場合は、今回の燃料圧力信号検出値が第0区間に入っていた場合である。
S620では、特性マッピングずれ記憶領域から、カウンタ値と同じ識別番号(=0)に対応する「特性マッピングずれ電圧〈0〉」を読み出し、今回の燃料圧力信号検出値から、その「特性マッピングずれ電圧〈0〉」を引くことにより、特性マッピングずれ補正後電圧を算出する。そして、その後、当該補正後電圧算出処理を終了する。
尚、特性マッピングずれ補正後電圧は、AD変換による燃料圧力信号検出値を、特性マッピングずれ電圧を用いて補正した値である。
そして、当該補正後電圧算出処理が終了すると、図12の特性マッピングずれ補正処理も終了し、マイコン33は、この特性マッピングずれ補正処理で算出した特性マッピングずれ補正後電圧から、燃料圧力を算出する。
また、上記S610にて、カウンタ値が0でないと判定した場合には、S630に移行して、カウンタ値が検出マップサイズの値(=5)であるか否かを判定し、カウンタ値が検出マップサイズの値であれば、S640に進む。尚、この場合は、今回の燃料圧力信号検出値が第5区間に入っていた場合である。
S640では、特性マッピングずれ記憶領域から、「カウンタ値−1」と同じ識別番号(この場合は4)に対応する「特性マッピングずれ電圧〈カウンタ−1〉」を読み出し、今回の燃料圧力信号検出値から、その「特性マッピングずれ電圧〈カウンタ−1〉」を引くことにより、特性マッピングずれ補正後電圧を算出する。そして、その後、当該補正後電圧算出処理を終了する。
一方、上記S630にて、カウンタ値が検出マップサイズの値ではないと判定した場合には、S650に移行する。尚、この場合は、カウンタ値が1〜4の何れかであり、今回
の燃料圧力信号検出値が第1区間ないし第4区間の何れか(即ち、下限と上限との両方が実特性電圧で区切られる区間)に入っていた場合である。
S650では、特性マッピングずれ記憶領域から、「カウンタ値−1」と同じ識別番号に対応する「ターゲット電圧〈カウンタ−1〉」及び「特性マッピングずれ電圧〈カウンタ−1〉」と、カウンタ値と同じ識別番号に対応する「ターゲット電圧〈カウンタ〉」及び「特性マッピングずれ電圧〈カウンタ〉」とを読み出し、それらと今回の燃料圧力信号検出値とを下記の式4,式5に代入することで、分子値と分母値を算出する。
〔式4〕
分子値=燃料圧力信号検出値−(ターゲット電圧〈カウンタ−1〉+特性マッピングずれ電圧〈カウンタ−1〉)…式4
〔式5〕
分母値=(ターゲット電圧〈カウンタ〉+特性マッピングずれ電圧〈カウンタ〉)−(ターゲット電圧〈カウンタ−1〉+特性マッピングずれ電圧〈カウンタ−1〉)…式5
そして、続くS670にて、下記の式6から補正位置を算出する。
〔式6〕
補正位置=分子値÷分母値…式6
そして更に、続くS680にて、今回の燃料圧力信号検出値を補正するための補正値(特性マッピングずれの補正値)を、下記の式7によって算出する。
〔式7〕
特性マッピングずれの補正値=(特性マッピングずれ電圧〈カウンタ〉−特性マッピングずれ電圧〈カウンタ−1〉)×補正位置+特性マッピングずれ電圧〈カウンタ−1〉…式7
そして、次のS690にて、今回の燃料圧力信号検出値から、上記S680で算出した補正値を引くことにより、特性マッピングずれ補正後電圧を算出し、その後、当該補正後電圧算出処理を終了する。
ここで、上記S650〜S690の処理について、図15を用いて更に具体的に説明する。尚、図15に示している電圧値及び数値は、図10及び図13に示した具体例の場合の値であると共に、今回の燃料圧力信号検出値が2.7Vで、図14におけるS610からS650に移行したときのカウンタ値が2になった場合を示している。
まず、S650〜S690のうち、S650〜S670の処理では、図15(A)に示すように、今回の燃料圧力信号検出値が入っていた区間(以下、検出区間という)について、横軸をターゲット電圧とし、縦軸を実特性電圧とした、直線のグラフ(即ち、信号伝達経路59の入出力関係を示す直線のグラフ)を考えている。
このため、図15(A)のグラフにおいて、実特性電圧の最小値は、検出区間の下限側の実特性電圧(この例では2.3V)であり、実特性電圧の最大値は、検出区間の上限側の実特性電圧(この例では3.9V)である。また、横軸方向の全幅βは、ターゲット電圧の刻み幅ΔVである。
そして、S650の処理では、検出区間における実特性電圧の総増加量(下限と上限との差)を分母値(この例では1.6V(=3.9V−2.3V))とし、検出区間における下限側の実特性電圧と燃料圧力信号検出値との差(この例では0.4V(=2.7V−2.3V))を分子値としており、S670では、その分母値に対する分子値の割合を、補正位置(この例では0.25)として算出している。
そして、図15(A)のグラフの横軸方向において、検出区間の下限位置から燃料圧力信号検出値の位置までの幅をαとすると、S670で算出される補正位置は、横軸方向の全幅βに対するαの割合(=α/β)に等しい。
次に、S680の処理では、図15(B)に示すように、検出区間について、横軸をターゲット電圧とし、縦軸を特性マッピングずれ電圧とした、直線のグラフ(即ち、ターゲット電圧と特性マッピングずれ電圧との関係を示す直線のグラフ)を考えている。
このため、図15(B)のグラフにおいて、特性マッピングずれ電圧の最小値は、検出区間の下限側の特性マッピングずれ電圧(この例では0.8V)であり、特性マッピングずれ電圧の最大値は、検出区間の上限側の特性マッピングずれ電圧(この例では1.4V)である。また、横軸方向の全幅βは、図15(A)と同様に、ターゲット電圧の刻み幅ΔVである。
そして、S680の処理では、図15(B)に示すように、検出区間における特性マッピングずれ電圧の総増加量bに、S670で求めた補正位置(=α/β)を乗じることにより、図15(B)における「a」の値を求め、更に、その「a」に、検出区間の下限側の特性マッピングずれ電圧を加えることで、特性マッピングずれの補正値(この例では0.95V)を算出している。即ち、その補正値は、図15(B)のグラフの横軸方向において、検出区間の下限位置から幅αだけ進んだ位置の、該グラフ上の特性マッピングずれ電圧であって、今回の燃料圧力信号検出値に含まれていると考えられる特性マッピングずれ電圧である。
そして、S690では、図15(C)に示すように、今回の燃料圧力信号検出値から、S680で算出した補正値を引くことで、補正後の燃料圧力信号検出値である特性マッピングずれ補正後電圧(この例では1.75V)を算出している。
このように、S650〜S690の処理では、検出区間の両端の実特性電圧から、燃料圧力信号検出値に含まれている特性マッピングずれ電圧を推定し、その推定した特性マッピングずれ電圧を補正値として用いて、燃料圧力信号検出値を補正している。
一方、図14のS610にて、カウンタ値が0であると判定した場合には、検出区間が、第0区間であって、その区間の下限側の実特性電圧及び特性マッピングずれ電圧がないため、S620では、検出区間の上限側の特性マッピングずれ電圧(即ち、特性マッピングずれ電圧〈0〉)を補正値として用いて、燃料圧力信号検出値を補正している。
また同様に、図14のS630にて、カウンタ値が検出マップサイズの値であると判定した場合には、検出区間が、第5区間であって、その区間の上限側の実特性電圧及び特性マッピングずれ電圧がないため、S640では、検出区間の下限側の特性マッピングずれ電圧(即ち、特性マッピングずれ電圧〈4〉)を補正値として用いて、燃料圧力信号検出値を補正している。
《異常判定処理》
ECU11のマイコン33は、図7〜図9の処理を行った後、図16の異常判定処理を実行する。
図16に示すように、マイコン33は、異常判定処理の実行を開始すると、まずS710にて、図7の応答遅れ検出処理によって検出した応答遅れ時間Tdと、図8のオフセットずれ検出処理によって検出したオフセットずれ電圧と、図9の特性マッピングずれ検出
処理によって検出した複数の特性マッピングずれ電圧との、各々(以下、それらをまとめて検出値という)について、異常判定用の規定値を超えているか否かを判定する。そして、それら検出値の全てが規定値を超えていなければ、そのまま当該異常判定処理を終了する。尚、S710での判定に用いる規定値としては、判定対象の検出値毎に、異常判定のための適切な値が設定されているが、複数の特性マッピングずれ電圧については、規定値が同じであっても良い。
また、上記S710にて、検出値のうちの何れかが規定値を超えていると判定した場合には、信号伝達経路59が故障していると判断して、S720に進み、所定のフェールセーフ処理を行う。
そのフェールセーフ処理としては、例えば、車両の使用者に対して異常を報知したり修理を促したりする処理(具体的には、警告灯を点灯させたり、表示装置にメッセージを表示させたりする処理等)を行う。更に、フェールセーフ処理として、インジェクタIJnからの燃料噴射を停止したり、燃料ポンプ21による燃料の圧送を停止したりする処理を行うことで、過多の燃料を噴射してしまうことを防止している。
そして、このようなフェールセーフ処理を行った後、当該異常判定処理を終了する。
尚、図16の異常判定処理は、応答遅れ時間Tdと、オフセットずれ電圧と、特性マッピングずれ電圧との、一部について行うようになっていても良い。
以上のような燃料噴射制御システム10によれば、インジェクタIJnからの燃料圧力信号を入力するECU11側で、その燃料圧力信号の信号伝達経路59の特性値ずれとして、応答遅れ時間と、オフセットずれ電圧と、特性マッピングずれ電圧との、各々を検出することができる。
そして、ECU11では、その検出した特性値ずれ(応答遅れ時間、オフセットずれ電圧、特性マッピングずれ電圧)に基づいて、燃料圧力信号検出値(燃料圧力信号の電圧検出値)を補正しているため、燃料圧力の検出精度を上げることができ、延いては、燃料噴射制御の制御精度と燃料ポンプ21の制御精度も向上させることができる。
また、検出した特性値ずれが、燃料圧力信号検出値の補正に用いても無意味なくらいに大きい場合(つまり、燃料噴射や燃料ポンプ21の制御精度を維持できない場合)には、そのことが図16の異常判定処理によって判定されて、前述のフェールセーフ処理が行われる。このため、信号伝達経路59の特性値ずれが大きすぎて、制御に必要な燃料圧力の検出精度を実現することができなくなった場合には、車両の使用者に対して修理を促すことができると共に、過多の燃料噴射をしてしまうことを防止することができる。
また、ECU11からインジェクタIJn側の出力制御IC50へは、通信線41を介した通信によって、切替指示としての電圧の出力要求を与えるようになっているため、信号伝達経路59の特性値ずれを検出するための動作に関して、ECU11側とインジェクタIJn側との動作を簡単に同期させることができる。
尚、本実施形態では、インジェクタIJnが燃料圧力検出装置の一例に相当しており、圧力センサ27が圧力検出手段の一例に相当し、出力回路57及び端子58が信号出力手段の一例に相当し、出力回路57に入力される信号が出力対象信号に該当する。そして、センサ信号線29がアナログ信号伝達用の信号線の一例に相当し、電子制御装置であるECU11のマイコン33が制御手段の一例に相当している。
また、インジェクタIJn側の通信回路51、固定電圧生成回路53及びマルチプレク
サ55が、出力電圧切替手段の一例に相当している。
そして、ECU11側のマイコン33が、指示手段と検出手段との一例にも相当している。特に、図7のS110〜S130と、図8のS210と、図9のS310〜340,S370及びS380との各処理を実行するマイコン33が、指示手段の一例であり、図7のS140〜190と、図8のS220及びS230と、図9のS350及びS360との各処理を実行するマイコン33が、検出手段の一例である。
また、グランド電圧GND、電源電圧VC、オフセットずれ検出用電圧及びターゲット電圧が、燃料圧力信号とは別の特定電圧の一例であり、それらのうちで、グランド電圧GNDは第1電圧の一例であり、電源電圧VCは第2電圧の一例である。
また、ECU11側のマイコン33が、異常判定手段とフェールセーフ手段との一例にも相当している。特に、図16のS710の処理を実行するマイコン33が、異常判定手段の一例であり、図16のS720の処理を実行するマイコン33がフェールセーフ手段の一例である。
[第2実施形態]
図17に示す第2実施形態の燃料噴射制御システム60について、第1実施形態とは異なる点を説明する。
図17に示すように、第2実施形態の燃料噴射制御システム60では、ECU11とインジェクタIJnとの間に通信線41が設けられていない。このため、ECU11には通信回路37が設けられておらず、インジェクタIJn側の出力制御IC50にも、通信回路51が設けられていない。
一方、ECU11には、マイコン33からの指令に従いオンすることで、センサ信号線29をグランドラインに接続するスイッチ61が設けられている。このため、スイッチ61がオンすれば、センサ信号線29の電圧は、強制的にグランド電圧GNDになる。そのスイッチ61としては、例えばトランジスタまたはリレーを用いることができる。
そして、インジェクタIJnの出力制御IC50には、通信回路51に代えて、切替制御回路63が備えられている。
その切替制御回路63は、通常時には、マルチプレクサ55にセンサ出力電圧VSを選択させているが、その通常時において、センサ信号線29の電圧をモニタしており、センサ信号線29の電圧がグランド電圧GNDになってから、グランド電圧GNDとは異なる電圧(即ち、センサ出力電圧VS)に戻ったことを検知すると、ECU11のマイコン33に信号伝達経路59の特性値ずれを検出させるために、マルチプレクサ55と固定電圧生成回路53を制御して、マルチプレクサ55から出力回路57への入力電圧を様々に切り替える。
そこで次に、信号伝達経路59の特性値ずれを検出するためにECU11のマイコン33が行う処理の内容と、インジェクタIJn側の出力制御IC50の動作内容(主に、切替制御回路63の動作内容)とについて、図18を用い説明する。
まず、図18における時刻t11より前に示すように、通常時において、ECU11のマイコン33は、スイッチ61をオフさせており、また、前述したように、インジェクタIJnにおいて、マルチプレクサ55はセンサ出力電圧VSを選択している。このため、センサ出力電圧VS(燃料圧力信号)が、インジェクタIJnからのセンサ信号としてセンサ信号線29へ出力される。
そして、ECU11のマイコン33は、インジェクタIJnについて信号伝達経路59の特性値ずれの検出を開始すべき特性値ずれ検出開始タイミングが到来すると、図18における時刻t11に示すように、スイッチ61をオンさせることで、センサ信号線29をグランドラインに接続し、その時点から第1の一定時間T1が経過すると、時刻t12に示すように、スイッチ61をオフさせる。尚、第1の一定時間T1は、スイッチ61をオンさせてからセンサ信号線29の電圧が確実にグランド電圧GNDに安定すると考えられる時間に設定されている。
すると、インジェクタIJnの出力制御IC50では、切替制御回路63が、センサ信号線29の電圧がグランド電圧GNDになってから、グランド電圧GNDとは異なる電圧に戻ったことを検知する。そして、切替制御回路63は、センサ信号線29の電圧がグランド電圧GNDとは異なる電圧に戻ったことを検知した時点(即ち、センサ信号線29がグランドラインに接続された状態から正常状態に復帰した時刻t12の時点であり、以下、センサ信号線復帰時点という)から、内部タイマによる時間の計測を開始すると共に、その計測時間(即ち、センサ信号線復帰時点からの経過時間)に基づいて、マルチプレクサ55と固定電圧生成回路53を制御する。
まず、切替制御回路63は、センサ信号線復帰時点から第2の一定時間T2が経過するまでの間、マルチプレクサ55に、電源電圧VCを選択させる。このため、出力回路57への入力電圧が、センサ出力電圧VSから電源電圧VCに切り替わり、これにより、インジェクタIJnからセンサ信号線29へのセンサ信号も、センサ出力電圧VSから電源電圧VCに切り替わる。尚、第2の一定時間T2は、センサ信号線29からECU11への入力電圧が切り替え後の電圧(この場合は電源電圧VC)に安定すると考えられる時間に設定されている。
そして、切替制御回路63は、センサ信号線復帰時点から第2の一定時間T2が経過すると、図18における時刻t13に示す如く、マルチプレクサ55にグランド電圧GNDを選択させる。このため、出力回路57への入力電圧が、電源電圧VCからグランド電圧GNDに切り替わり、これにより、インジェクタIJnからセンサ信号線29へのセンサ信号も、電源電圧VCからグランド電圧GNDに切り替わる。
一方、 ECU11のマイコン33も、スイッチ61をオンからオフに戻した時点からの経過時間を、例えばソフトウェアによるタイマ処理によって計測している。
そして、ECU11のマイコン33は、スイッチ61をオンからオフに戻した時点から、上記第2の一定時間T2が経過したと判定すると、その時点から、前述したサンプリング間隔時間毎に、センサ信号入力電圧をサンプリングする(AD変換する)。
そして更に、マイコン33は、上記第2の一定時間T2が経過したと判定したタイミングから、センサ信号入力電圧のAD変換値がグランド電圧GNDに到達したと判定したときまでの時間を、応答遅れ時間Tdとして検出する。具体的には、上記第2の一定時間T2が経過したと判定したタイミングから、センサ信号入力電圧のAD変換値がグランド電圧GNDに到達した(換言すれば、収束した)と判定したときまでのサンプリング回数に、サンプリング間隔時間を乗じることにより、応答遅れ時間Tdを算出する。
つまり、本第2実施形態では、インジェクタIJn側の出力回路57への入力電圧(信号伝達経路59への入力電圧)を、第1実施形態とは逆に、電源電圧VCからグランド電圧GNDに切り替えることで、応答遅れ時間Tdを検出している。
また、切替制御回路63は、マルチプレクサ55にグランド電圧GNDを選択させた時刻t13から、ECU11側にて応答遅れ時間Tdの検出が確実に完了すると考えられる
第3の一定時間T3が経過すると、図18における時刻t14に示す如く、固定電圧生成回路53に前述のオフセットずれ検出用電圧(=2V)を出力させると共に、マルチプレクサ55に固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択させる。このため、出力回路57への入力電圧が、グランド電圧GNDからオフセットずれ検出用電圧(尚、図18ではVRと記載している)に切り替わる。
そして、ECU11のマイコン33は、スイッチ61をオンからオフに戻した時点から、上記第2の一定時間T2と上記第3の一定時間T3とを加算した時間(=T2+T3)が経過したと判定すると、第1実施形態と同様に、オフセットずれ電圧を算出する。
即ち、「T2+T3」の時間が経過したと判定すると、センサ信号線29からECU11への入力電圧(センサ信号入力電圧)が切り替え後の電圧に安定すると考えられる前述の待ち時間だけ待ってから、センサ信号入力電圧をサンプリングし、そのサンプリングによるセンサ信号入力電圧の検出値から、オフセットずれ検出用電圧を引いた値を、オフセットずれ電圧として算出する。
また、切替制御回路63は、出力回路57への入力電圧をオフセットずれ検出用電圧に切り替えた時刻t14から、ECU11側にてオフセットずれ電圧の検出が確実に完了すると考えられる第4の一定時間T4が経過した後は、マルチプレクサ55に固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択させたままで、第5の一定時間T5が経過する毎に、固定電圧生成回路53の出力電圧VRを、前述した5通りのターゲット電圧(0.5V,1.5V,2.5V,3.5V,4.5V)の各々に順次切り替える。このため、上記時刻t14から「T4+T5」の時間が経過したときに、出力回路57への入力電圧は、オフセットずれ検出用電圧から最初のターゲット電圧(最小ターゲット電圧=0.5V)に切り替わり、その後も第5の一定時間T5が経過する毎に、出力回路57への入力電圧が「1.5V→2.5V→3.5V→4.5V」の順で切り替わることとなる。
そして、ECU11のマイコン33は、スイッチ61をオンからオフに戻した時点から、上記第2,第3及び第4の一定時間T2,T3,T4を加算した時間(=T2+T3+T4)が経過したと判定すると、その後は、第5の一定時間T5が経過する毎に、前述した(2)と同様の動作を行うことにより、5通りのターゲット電圧の各々について、特性マッピングずれ電圧を検出して特性マッピングずれ記憶領域に記憶する。尚、第5の一定時間T5は、ECU11側において、1つのターゲット電圧についての特性マッピングずれ電圧を確実に検出できると考えられる時間に設定されている。
また、切替制御回路63は、固定電圧生成回路53の出力電圧VRを、最大ターゲット電圧(=4.5V)に切り替えてから、上記第5の一定時間T5が経過したなら、図18における時刻t15に示すように、マルチプレクサ55にセンサ出力電圧VSを選択させる。この動作により、インジェクタIJnが通常の状態に戻る。
そして、ECU11のマイコン33は、最大ターゲット電圧(=4.5V)についての特性マッピングずれ電圧の検出を完了すると、その後は、前述した[1]〜[6]の処理、補正処理及び異常判定処理を行う。
次に、図18に沿って説明した動作を実現するために、ECU11のマイコン33が行う処理について、図19〜図21のフローチャートを用い説明する。尚、図19〜図21におけるステップのうち、前述した図7〜図9におけるステップと同じ処理については、その図7〜図9と同一のステップ番号を付しているため、適宜説明を省略する。
まず図19は、応答遅れ時間Tdを検出するために、第1実施形態の図7の処理に代え
て実行される応答遅れ検出処理を表すフローチャートである。
図19に示すように、マイコン33は、応答遅れ検出処理の実行を開始すると、まずS115にて、スイッチ61をオンさせて、センサ信号線29をグランドラインに接続する。尚、このS115の処理による動作が、図18における時刻t11の動作である。
そして、次のS125にて、前述した第1の一定時間T1だけ待機し、その後、S135に進む。
S135では、スイッチ61をオフさせることで、センサ信号線29のグランドラインへの接続を解除する。尚、このS135の処理による動作が、図18における時刻t12の動作である。
次にS137にて、インジェクタIJn側の出力回路57への入力電圧が電源電圧VCからグランド電圧GNDに変化する電圧変化タイミング(即ち、図18における時刻t13のタイミング)が到来するまで待つ。具体的には、S135でスイッチ61をオフに戻した時点から、前述した第2の一定時間T2が経過するまで待つ。
そして、上記S137にて、電圧変化タイミングが到来したと判定すると、S140に進み、応答遅れ時間Tdを計測するための計時用カウンタを、0にリセットする。
次にS150にて、インジェクタIJnからのセンサ信号入力電圧をサンプリングし、続くS165にて、直前のS150で検出したセンサ信号入力電圧の値であるセンサ信号検出値が、グランド電圧GNDに所定のマージン値を加えた値(=GND+マージン値)以下であるか否かを判定する。尚、「GND+マージン値」は、センサ信号入力電圧がグランド電圧GNDに到達したか否かを判定するための判定値であり、マージン値は、第1実施形態と同様に、例えば電源電圧VCの5パーセント程度の正の値に設定されている。
上記S165にて、センサ信号検出値が「GND+マージン値」以下ではないと判定した場合には、S170に進んで、前述のサンプリング間隔時間(例えば10μs)だけ待機する。そして、次のS180にて、計時用カウンタをインクリメント(+1)した後、上記S150に戻って、センサ信号入力電圧を再びサンプリングする。
また、上記S165にて、センサ信号検出値が「GND+マージン値」以下であると判定した場合には、センサ信号入力電圧がグランド電圧GNDに到達したと判断して、S190に進む。そして、S190では、現在の計時用カウンタの値にサンプリング間隔時間を乗じることにより、応答遅れ時間Tdを算出する。そして、その算出した応答遅れ時間Tdを、例えばRAMの所定領域に記憶した後、当該応答遅れ検出処理を終了する。
次に、図20は、オフセットずれ電圧を検出するために、第1実施形態の図8の処理に代えて実行されるオフセットずれ検出処理を表すフローチャートである。そして、このオフセットずれ検出処理は、図19の応答遅れ検出処理に続いて実行される。
図20に示すように、マイコン33は、オフセットずれ検出処理の実行を開始すると、まずS215にて、インジェクタIJn側の出力回路57への入力電圧がグランド電圧GNDからオフセットずれ検出用電圧に変化する電圧変化タイミング(即ち、図18における時刻t14のタイミング)が到来するまで待つ。具体的には、図19のS135でスイッチ61をオフに戻した時点から、前述した「T2+T3」の時間が経過するまで待つ。
そして、上記S215にて、電圧変化タイミングが到来したと判定すると、S220に進み、前述の待ち時間だけ待ってから、インジェクタIJnからのセンサ信号入力電圧をサンプリングする。次にS230にて、上記S220で検出したセンサ信号入力電圧の値であるセンサ信号検出値から、オフセットずれ検出用電圧を引いた値を、オフセットずれ
電圧として算出する。そして、その算出したオフセットずれ電圧を、例えばRAMの所定領域に記憶した後、当該オフセットずれ検出処理を終了する。
次に、図21は、複数の特性マッピングずれ電圧を検出するために、第1実施形態の図9の処理に代えて実行される特性マッピングずれ検出処理を表すフローチャートである。
マイコン33は、図19のS135でスイッチ61をオフに戻した時点から、前述した「T2+T3+T4」の時間が経過したと判定したときに、この特性マッピングずれ検出処理を開始する。尚、この特性マッピングずれ検出処理を開始する時点において、図20のオフセットずれ検出処理は終了している。
そして、図21に示すように、マイコン33は、特性マッピングずれ検出処理の実行を開始すると、まず、図9のS310〜S330と同じ処理を行う。
次にS345にて、インジェクタIJn側の出力回路57への入力電圧が、5通りのターゲット電圧のうち、S330で算出した「ターゲット電圧[カウンタ]」に変化する電圧変化タイミングが到来するまで待つ。具体的には、当該特性マッピングずれ検出処理を開始した時点から「T5×(カウンタ+1)」の時間が経過するまで待つ。
上記S345にて、電圧変化タイミングが到来したと判定すると、図9の350〜S380と同じ処理を行う。そして、S380にて、カウンタ値が検出マップサイズの値(=5)に達したと判定するまで、S320〜S370の処理が繰り返されることにより、第1実施形態と同様に、各ターゲット電圧を信号伝達経路59への入力電圧とした場合の、特性マッピングずれ電圧が、それぞれ算出されてRAMの特性マッピングずれ記憶領域に記憶される。
また、S380にて、カウンタ値が検出マップサイズの値に達したと判定すると、そのまま当該特性マッピングずれ検出処理を終了する。
その他については、第1実施形態と同じである。
以上のような燃料噴射制御システム60では、ECU11側のマイコン33が、スイッチ61によりセンサ信号線29を所定の電圧ライン(本実施形態ではグランドライン)に接続してその接続を解除すると、インジェクタIJn側の切替制御回路63が、所定の期間、出力回路57への入力電圧を所定のパターンで既知の電圧に順次切り替えるようになっている。つまり、ECU11側のマイコン33は、センサ信号線29の電圧を強制的にグランド電圧GNDに切り替えることにより、インジェクタIJnに対して、信号伝達経路59への入力電圧を切り替えさせる指示を与えている。このため、第1実施形態にあった通信線41を削除することができる。
尚、本実施形態では、インジェクタIJn側の切替制御回路63、固定電圧生成回路53及びマルチプレクサ55が、出力電圧切替手段の一例に相当している。そして、図19のS115〜S133の処理を実行するマイコン33が、指示手段の一例であり、図19のS137〜190の処理と、図20及び図21の各処理とを実行するマイコン33が、検出手段の一例である。また、グランド電圧GNDが、所定の電圧の一例である。また、電源電圧VCは第1電圧の一例であり、グランド電圧GNDは第2電圧の一例でもある。
[第3実施形態]
図22に示す第3実施形態の燃料噴射制御システム60について、第2実施形態とは異なる点を説明する。
図22に示すように、第3実施形態の燃料噴射制御システム70では、ECU11側にスイッチ61が設けられていない。そして、インジェクタIJn側の切替制御回路63の
動作が、第2実施形態とは異なっている。
そこで次に、信号伝達経路59の特性値ずれを検出するために、インジェクタIJn側の切替制御回路63が行う動作の内容と、ECU11のマイコン33が行う処理の内容とについて、図23を用い説明する。
まず、図23における時刻t22に示すように、インジェクタIJn側の切替制御回路63は、ECU11からの電源電圧VCを受けて動作を開始すると、その動作開始時点から、内部タイマによる時間の計測を開始すると共に、その計測時間(即ち、動作開始時点からの経過時間)に基づいて、図18における時刻t12以降と同様に、マルチプレクサ55と固定電圧生成回路53を制御する。
即ち、まず、切替制御回路63は、動作開始時点から第2の一定時間T2が経過するまでの間、マルチプレクサ55に電源電圧VCを選択させ、第2の一定時間T2が経過すると、図23における時刻t23に示す如く、マルチプレクサ55にグランド電圧GNDを選択させる。そして、切替制御回路63は、上記時刻t23から第3の一定時間T3が経過すると、図23における時刻t24に示す如く、固定電圧生成回路53にオフセットずれ検出用電圧を出力させると共に、マルチプレクサ55に固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択させる。更に、切替制御回路63は、上記時刻t24から第4の一定時間T4が経過した後は、マルチプレクサ55に固定電圧生成回路53の出力電圧VRを選択させたままで、第5の一定時間T5が経過する毎に、固定電圧生成回路53の出力電圧VRを、前述した5通りのターゲット電圧(0.5V,1.5V,2.5V,3.5V,4.5V)の各々に順次切り替える。そして、切替制御回路63は、固定電圧生成回路53の出力電圧VRを、最大ターゲット電圧(=4.5V)に切り替えてから、第5の一定時間T5が経過したなら、図23における時刻t25に示すように、マルチプレクサ55にセンサ出力電圧VSを選択させる。この動作により、インジェクタIJnが通常の状態になる。
一方、ECU11のマイコン33も、電源回路36からの電源電圧VCを受けて動作を開始した時(起動時)からの経過時間を、例えばソフトウェアによるタイマ処理によって計測している。
そして、マイコン33は、起動時から第2の一定時間T2が経過したと判定すると、その時点から、前述したサンプリング間隔時間毎に、センサ信号入力電圧をサンプリングする(AD変換する)。そして更に、マイコン33は、第2実施形態と同様に、上記第2の一定時間T2が経過したと判定したタイミングから、センサ信号入力電圧のAD変換値がグランド電圧GNDに到達したと判定したときまでの時間を、応答遅れ時間Tdとして検出する。
また、マイコン33は、起動点から、第2の一定時間T2と第3の一定時間T3とを加算した時間(=T2+T3)が経過したと判定すると、第2実施形態と同様に、オフセットずれ電圧を算出する。
また更に、マイコン33は、起動時から、第2,第3及び第4の一定時間T2,T3,T4を加算した時間(=T2+T3+T4)が経過したと判定すると、その後は、第2実施形態と同様に、第5の一定時間T5が経過する毎に、前述した(2)と同様の動作を行うことにより、5通りのターゲット電圧の各々について、特性マッピングずれ電圧を検出して特性マッピングずれ記憶領域に記憶する。
そして、マイコン33は、最大ターゲット電圧(=4.5V)についての特性マッピン
グずれ電圧の検出を完了すると、その後は、前述した[1]〜[6]の処理、補正処理及び異常判定処理を行う。
次に、図23に沿って説明した動作を実現するために、ECU11のマイコン33が行う処理について、図24のフローチャートを用い説明する。
尚、図24は、マイコン33が応答遅れ時間Tdを検出するために、第2実施形態の図19の処理に代えて実行する応答遅れ検出処理を表すフローチャートであり、この図24の応答遅れ検出処理は、マイコン33が起動すると実行が開始される。また、図24において、図19と同じ処理については、その図19と同一のステップ番号を付しているため、説明を省略する。
図24に示すように、マイコン33は、応答遅れ検出処理の実行を開始すると、まずS138にて、図19のS137と同様に、インジェクタIJn側の出力回路57への入力電圧が電源電圧VCからグランド電圧GNDに変化する電圧変化タイミング(即ち、図23における時刻t23のタイミング)が到来するまで待つが、本実施形態では、起動時から第2の一定時間T2が経過するまで待つ。
そして、上記S138にて、電圧変化タイミングが到来したと判定すると(即ち、第2の一定時間T2が経過したと判定すると)、図19と同じS140〜S190の処理を行うことにより、応答遅れ時間Tdを算出して、その算出した応答遅れ時間Tdを、例えばRAMの所定領域に記憶する。
また更に、マイコン33は、図23の応答遅れ検出処理を終了すると、図20のオフセットずれ検出処理を実行するが、そのオフセットずれ検出処理のS215では、起動時から「T2+T3」の時間が経過するまで待つこととなる。そして、マイコン33は、オフセットずれ検出処理を終了すると、図21の特性マッピングずれ検出処理を実行するが、その特性マッピングずれ検出処理は、起動時から「T2+T3+T4」の時間が経過したと判定したときに実行を開始する。
以上のような燃料噴射制御システム70では、ECU11からインジェクタIJnへの電源電圧VCの供給を開始すると、インジェクタIJn側の切替制御回路63が、所定の期間、出力回路57への入力電圧を所定のパターンで既知の電圧に順次切り替えるようになっている。つまり、ECU11は、インジェクタIJnへの電源電圧VCの供給を開始することにより、インジェクタIJnに対して、信号伝達経路59への入力電圧を切り替えさせる指示を与えている。このため、第1実施形態にあった通信線41を削除することができると共に、第2実施形態のECU11にあったスイッチ61も削除することができる。
尚、本実施形態では、電源回路36が指示手段の一例に相当している。また、図24の処理と、図20及び図21の各処理とを実行するマイコン33が、検出手段の一例である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、第3実施形態の変形例として、電源回路36は、マイコン33からの電源出力開始指令を受けることにより、電源線43への電源電圧VCの出力(即ち、インジェクタIJnへの電源電圧VCの供給)を開始するようになっていても良い。そして、この場合、マイコン33は、例えば起動時あるいは起動時から所定時間が経過した時に、電源回路
36へ電源出力開始指令を出力すれば良い。更に、この場合、マイコン33は、図24のS138では、電源出力開始指令の出力時点から第2の一定時間T2が経過するまで待てば良く、図20のS215では、電源出力開始指令の出力時点から「T2+T3」の時間が経過するまで待てば良く、図21の特性マッピングずれ検出処理は、電源出力開始指令の出力時点から「T2+T3+T4」の時間が経過したと判定したときに実行を開始すれば良い。
また、第3実施形態の他の変形例として、例えば、車両がイグニッションオンの状態になった直後では、検出対象の燃料圧力は概ね一定の値(例えば、大気圧に相当する100キロパスカル)になっており、センサ出力電圧VSもその一定の燃料圧力に該当する既知の値になるということに着目して、インジェクタIJn側の切替制御回路63は、図23における時刻t22から所定期間だけ、マルチプレクサ55にセンサ出力電圧VSを選択させるようにし、ECU11のマイコン33は、その所定期間におけるセンサ信号入力電圧の検出値(センサ信号検出値)から上記既知の値を引いた値を、オフセットずれ電圧として算出するようにしても良い。
一方、インジェクタIJnは、出力回路57を備えていなくても良い。その場合、信号出力用の端子58が、信号出力手段の一例に相当することとなる。
また、圧力センサ27が設けられる位置は、インジェクタIJnの燃料取込口に限らず、コモンレール15の燃料出口(燃料供給用配管17のコモンレール15側の端)15aからインジェクタIJnの噴射口23までの燃料通路における何れかの位置で良い。
また、燃料圧力検出装置は、インジェクタIJnと別体の装置であっても良い。
また、燃料噴射制御の対象は、ガソリンエンジンであっても良い。
10,60,70…燃料噴射制御システム、11…ECU(電子制御装置)
IJ1〜IJ4,IJn…インジェクタ(燃料圧力検出装置)
13…エンジン(ディーゼルエンジン)、15…コモンレール、15a…燃料出口
17…燃料供給用配管、19…燃料タンク、21…燃料ポンプ、23…噴射口
25…アクチュエータ、27…圧力センサ(燃料圧力センサ)、29…センサ信号線
30…駆動信号線、31…クランク角センサ、32…イグニッション系電源ライン
33…マイコン、34…AD変換器、35…駆動回路、36…電源回路
37…通信回路、41…通信線、42…グランド線、43…電源線
50…出力制御IC、51…通信回路、53…固定電圧生成回路
55…マルチプレクサ、57…出力回路、58…端子、59…信号伝達経路
61…スイッチ、63…切替制御回路

Claims (10)

  1. 燃料ポンプによって圧送される燃料を蓄える蓄圧容器の燃料出口から、該燃料出口より供給される燃料をエンジンの気筒に噴射するインジェクタの噴射口までの、燃料通路における所定位置に設けられて、該燃料通路の燃料圧力に応じた電圧の燃料圧力信号を出力する圧力検出手段と、前記燃料圧力信号が出力対象信号として供給され、その供給される出力対象信号をアナログ信号伝達用の信号線に出力する信号出力手段と、を有した燃料圧力検出装置と、
    前記信号線を介して前記燃料圧力信号が入力される電子制御装置であって、前記燃料圧力信号の電圧を検出して、該電圧の検出値から前記燃料圧力を算出し、該燃料圧力の算出値を用いて、前記インジェクタに燃料を噴射させる燃料噴射制御の処理を行う制御手段を有した電子制御装置と、
    を備えた燃料噴射制御システムにおいて、
    前記燃料圧力検出装置は、
    前記信号出力手段に供給される前記出力対象信号を、前記電子制御装置からの切替指示に応じて、前記燃料圧力信号とは別の特定電圧に切り替える出力電圧切替手段を備えており、
    前記電子制御装置は、
    前記燃料圧力検出装置に前記切替指示を与える指示手段と、
    前記指示手段が動作することによって変化する前記信号線の電圧に基づいて、前記信号出力手段及び前記信号線からなる信号伝達経路における信号伝達特性値の基準値からのずれを検出する検出手段と、を備えていること、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記出力電圧切替手段は、前記出力対象信号を、前記特定電圧として、第1電圧と該第1電圧とは異なる第2電圧との少なくとも2通りの電圧に切り替えるようになっていると共に、前記出力対象信号を前記第1電圧から前記第2電圧へと切り替えるようになっており、
    前記検出手段は、前記出力電圧切替手段が前記出力対象信号を前記第1電圧から前記第2電圧に切り替えたタイミングから、前記信号線の電圧が前記第2電圧に到達したと判定したときまでの時間を、前記ずれとして検出すること、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記検出手段は、前記出力電圧切替手段が前記出力対象信号を前記特定電圧に切り替えているときの前記信号線の電圧を検出し、その検出値と前記特定電圧との差を、前記ずれとして検出すること、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記出力電圧切替手段は、前記出力対象信号を、前記特定電圧として、複数通りのターゲット電圧に切り替えるようになっており、
    前記検出手段は、前記出力電圧切替手段が前記出力対象信号を前記複数通りのターゲット電圧のうちの何れかに切り替える毎に、前記信号線の電圧を検出して、その検出値と、前記出力電圧切替手段が現在切り替えている前記ターゲット電圧との差を算出し、前記複数通りのターゲット電圧の各々について算出した前記差を、前記ずれとして検出すること、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記制御手段は、前記燃料圧力信号の電圧の検出値を、前記検出手段により検出された前記ずれに基づいて補正し、該補正後の検出値から前記燃料圧力を算出すること、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
  6. 請求項5に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記制御手段は、
    前記算出した燃料圧力を用いて、前記燃料ポンプを制御する処理も行うこと、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
  7. 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記電子制御装置は、
    前記検出手段により検出された前記ずれが規定値を超えたか否かを判定する異常判定手段と、
    前記異常判定手段によって前記ずれが前記規定値を超えたと判定された場合に、所定のフェールセーフ処理を行うフェールセーフ手段と、
    を備えていることを特徴とする燃料噴射制御システム。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記燃料圧力検出装置と前記電子制御装置とを通信可能に接続する通信線を備え、
    前記指示手段は、前記通信線を介して前記燃料圧力検出装置に前記切替指示を与えること、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
  9. 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記指示手段は、前記信号線の電圧を強制的に所定の電圧に切り替えることにより、前記燃料圧力検出装置に前記切替指示を与えること、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
  10. 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の燃料噴射制御システムにおいて、
    前記燃料圧力検出装置へは前記電子制御装置から電源電圧が供給されるようになっており、
    前記指示手段は、前記燃料圧力検出装置への前記電源電圧の供給を開始することにより、前記燃料圧力検出装置に前記切替指示を与えること、
    を特徴とする燃料噴射制御システム。
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