JP5463232B2 - 墨出し装置 - Google Patents

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Description

本発明は墨出し装置に関し、特に投影面の所望の位置に二次元図形を投影することを可能にする墨出し装置に関する。
建築工事における天井面や壁面等に開口墨を出す墨出し作業を簡便に行う装置として、光源から発光された可視光線束を反射させるミラーの反射面の向きを、所望の墨出し図形に応じて適宜変えることにより、可視光線束の照射方向を二次元的に適宜変えて、投影面に対して投影された可視光線束で投影面の所定の位置に所望の二次元図形を描く墨出し装置の開発が進んでいる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009−162525号公報(段落0005、図1等)
特に工事中の建築現場においては、墨出し装置を載置する床面が水平でないことも多い。特許文献1に記載された墨出し装置は、デジタル水平器を設けて可視光線束の照射窓の水平面に対する傾斜を検出し、デジタル水平器で検出された傾斜に基づいて照射する可視光線束の向きを補正することとしている。しかしながら、デジタル水平器では2軸で特定される平面の傾きを検出するのが難しく、また、市販のデジタル水平器では墨出し装置に求められる精度を得ることが難しかった。また、特許文献1に記載された墨出し装置は、墨出し位置の真下に載置しなくても所望の位置に墨出しを行うことができるが、そのためには別途発信器を所定の場所に設置する必要があり、他方、設置する墨出し装置の回転ずれ(水平面における回転の度合い)については対策がなく、墨出し装置の水平面上の向きを建物の通り芯等に合わせる必要があった。
本発明は上述の課題に鑑み、筐体を適切な向きで水平に載置することが困難な場合であっても投影面の所望の位置に二次元図形を投影することを可能にする墨出し装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る墨出し装置は、例えば図1に示すように、可視光線束L(例えば図2参照)を投影面に照射してあらかじめ定められた図形を前記投影面に投影する投光器10と;投光器10が固定された筐体60と;第1のレーザー光LB1と、第1のレーザー光LB1に対して直角に延びる第2のレーザー光LB2と、第1のレーザー光LB1及び第2のレーザー光LB2に対して直角に延びる第3のレーザー光LB3とを照射するマルチ発光装置20であって、3つのレーザー光LB1、LB2、LB3を発光する発光部材22と、筐体60に対して発光部材22を向きが可変となるように取り付ける自在支持部材23と、第3のレーザー光LB3が発光部材22から鉛直下方に延びる発光部材22の向きを維持するように発光部材22に直接又は間接に取り付けられた錘29と、を有するマルチ発光装置20と;筐体60に固定された第1の傾斜センサ31であって、第1のレーザー光LB1を受光して第1の受光点31Q(例えば図4参照)を検出し、あらかじめ定められた第1の基準点31P(例えば図4参照)と第1の受光点31Q(例えば図4参照)との距離D(例えば図4参照)に基づいて、第1のレーザー光LB1に平行な仮想垂直断面における投光器10の水平に対する傾きを検出する第1の傾斜センサ31と;筐体60に固定された第2の傾斜センサ32であって、第2のレーザー光LB2を受光して第2の受光点を検出し、あらかじめ定められた第2の基準点と前記第2の受光点との距離に基づいて、第2のレーザー光LB2に平行な仮想垂直断面における投光器10の水平に対する傾きを検出する第2の傾斜センサ32と;筐体60が載置される載置面SFに照射された第3のレーザー光LB3を撮像する撮像装置33であって、載置面SFに印された基準マークM(例えば図5参照)を撮像可能な撮像装置33と;撮像装置33で撮像された画像TP(例えば図5参照)における基準マークM(例えば図5参照)と第3のレーザー光LB3とから、載置面SFにおける基準マークM(例えば図5参照)に対する載置面SFに載置された筐体60の位置ずれ量Δx、Δy(例えば図5参照)及び回転ずれ角度α(例えば図5参照)を算出し、位置ずれ量及び回転ずれ角度並びに第1の傾斜センサ31で検出された投光器10の傾き及び第2の傾斜センサ32で検出された投光器10の傾きに基づいて、投光器10から照射される可視光線束L(例えば図2参照)の方向を補正する制御装置50とを備える。なお、レーザー光に平行な仮想垂直断面は、典型的には、レーザー光の全体が接する垂直な平面である。
このように構成すると、筐体を水平に載置することが困難な場合であっても筐体の傾斜並びに載置面上の位置及び回転のずれを検出し、投光器から投影される可視光線束の照射方向を適切に補正して、簡便に投影面の所望の位置に図形を投影することができる。
また、本発明の第2の態様に係る墨出し装置は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る墨出し装置1において、発光部材22が、第1のレーザー光LB1と第2のレーザー光LB2と第3のレーザー光LB3とが相互に直交するように構成され;自在支持部材23が、3つのレーザー光LB1、LB2、LB3の交差点を通る第1の軸線AX1まわりに回動する第1の中間回動支持部材24と、第1の軸線AX1に交差し3つのレーザー光LB1、LB2、LB3の交差点を通る第2の軸線AX2まわりに回動する第2の中間回動支持部材25とを含んで構成されている。
このように構成すると、3つのレーザー光の交差点と第1及び第2の傾斜センサとの距離を一定に維持することができ、実際の傾きの角度と傾斜センサが検出する距離との関係が傾きの方向にかかわらず同じになるため、傾きの方向の違いによる誤差の発生を回避することができる。
また、本発明の第3の態様に係る墨出し装置は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る墨出し装置において、撮像装置33が、発光部材22に直接又は間接に取り付けられ、錘を兼ねる。
このように構成すると、構成を簡略化できると共に、第3のレーザー光を中心とした撮像可能な範囲を広くすることが可能となる。
本発明によれば、筐体を水平に載置することが困難な場合であっても筐体の傾斜並びに載置面上の位置及び回転のずれを適切に補正することができ、簡便に投影面の所望の位置に図形を投影することができる。
本発明の実施の形態に係る墨出し装置の概略構造を示す図である。(a)は縦断面図、(b)は水平断面図である。 本発明の実施の形態に係る墨出し装置が備える投光器の概略構成図である。 本発明の実施の形態に係る墨出し装置が備えるビームスプリッタの斜視図である。 本発明の実施の形態に係る墨出し装置が備える側面傾斜センサの検出原理を説明する図である。 撮像装置で撮像された画像の例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る墨出し装置が備える制御装置の概念図である。 本発明の実施の形態に係る墨出し装置が備える自在支持部材の変形例を示す概略構成図である。(a)は平面図、(b)は(a)におけるB−B断面図、(c)は(a)におけるC−C断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る墨出し装置1を説明する。図1は、墨出し装置1の概略構造を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は水平断面図である。墨出し装置1は、可視光線束を投影面に照射してあらかじめ定められた図形を投影面に投影する投光器10と、墨出し装置1の傾斜及び設置位置のずれを検出するために用いられる3つのレーザー光LB1、LB2、LB3を照射するマルチ発光装置20と、第1のレーザー光としての側面レーザー光LB1を受光して水平に対する傾きを検出する第1の傾斜センサとしての側面傾斜センサ31と、第2のレーザー光としての正面レーザー光LB2を受光して水平に対する傾きを検出する第2の傾斜センサとしての正面傾斜センサ32と、載置面としての床面SFに照射された第3のレーザー光としての鉛直レーザー光LB3を撮像する撮像装置33と、制御装置50と、これらを収容する筐体60とを備えている。筐体60は、本実施の形態では、金属製の板状部材を用いて直方体に形成されている。また、墨出し装置1は、投影面までの距離を測定する距離センサ40を備えている。
ここで図2を参照して、投光器10の構成を説明する。投光器10は、光源11と、ミラー装置としてのガルバノミラー12とを有している。光源11及びガルバノミラー12は、照射窓19wが形成されたケース19に収容されている。光源11は、可視光線束としてのレーザービームL(以下単に「レーザーL」という。)を発光する装置である。光源11は、半導体レーザーを有しており、赤色のレーザーLを発光することができるように構成されている。光源11は、発光するレーザーLの太さや明度を調節することができるように構成されている。
ガルバノミラー12は、光源11から発光されたレーザーLを反射させる第1ガルバノミラー12Aと、第1ガルバノミラー12Aで反射させられたレーザーLをさらに反射させる第2ガルバノミラー12Bとを有している。第1ガルバノミラー12Aは、レーザーLを反射させるミラー13Aと、ミラー13Aを回動させる駆動軸14Aと、駆動軸14Aを軸周りに回動させるアクチュエータ15Aとを有している。ミラー13Aは、矩形板状に形成されており、矩形板状の一方の面にレーザーLを反射させる反射面13Afが形成されている。反射面13Afは、墨出し作業の用途において許容される誤差の範囲内でレーザーLの入射角と反射角とが等しくなるように平滑に形成されている。
駆動軸14Aは、ミラー13Aの矩形板状を形成する4つの辺のうちの1つの辺である取付辺13Asの中央に、端部が接触するように取り付けられている。駆動軸14Aは、取付辺13Asに対して直角、かつ反射面13fAに対して平行に延びるように、ミラー13Aに取り付けられている。アクチュエータ15Aは、駆動軸14Aの、ミラー13Aに取り付けられた端部とは反対側の端部に取り付けられており、駆動軸14Aを軸周りに回動させることができるように構成されている。アクチュエータ15Aは、駆動軸14Aを回動させることにより、駆動軸14Aに取り付けられたミラー13Aの反射面13Afを回動させることができるように構成されている。
ミラー13Aは、アクチュエータ15Aにより、あらかじめ決められた最大可動範囲内の任意の振れ角で反射面13Afの向き(角度)を変えることができるように構成されている。本実施の形態では、最大の範囲で動いたときの振れ角が80°に構成されている。第1ガルバノミラー12Aは、反射面13Afの向きを変えることにより、レーザーLの照射方向を一次元に変えることができる。アクチュエータ15Aは、制御装置50(図1参照)と電気的に接続されており、制御装置50からの信号を受信して駆動軸14Aの回動方向及び回動量(振れ角)を調節することができるように構成されている。
第2ガルバノミラー12Bは、第1ガルバノミラー12Aとほぼ同様に構成されており、反射面13Bfが形成されたミラー13Bと、ミラー13Bを軸周りに回動させる駆動軸14Bと、駆動軸14Bを軸周りに回動させるアクチュエータ15Bとを有している。ミラー13B、駆動軸14B、アクチュエータ15Bは、それぞれ第1ガルバノミラー12Aのミラー13A、駆動軸14A、アクチュエータ15Aに相当する。駆動軸14B及びアクチュエータ15Bは、駆動軸14A及びアクチュエータ15Aと同様に構成されているが、ミラー13Bは、その反射面13Bfの面積がミラー13Aの反射面13Afの面積よりも大きくなるように構成されている。ミラー13Aは照射方向が一定の光源11から発光されたレーザーLを受光するのに対し、ミラー13Bは最大の振れ角の範囲内においてミラー13Aで照射方向が変えられたレーザーLを受光可能にするためである。つまり、ミラー13Bは、ミラー13Aにおいて最大の振れ角の範囲内で照射方向が変えられたレーザーLを受光可能な面積の反射面13Bfを有している。
第2ガルバノミラー12Bは、駆動軸14Bの延伸方向が、第1ガルバノミラー12Aの駆動軸14Aの延伸方向に対して直角になるように配設されている。第1ガルバノミラー12Aと第2ガルバノミラー12Bとがこのような関係で配設されていることにより、レーザーLの照射方向を、各々では一次元的にしか変えることができなかったものが二次元的に変えることができるようになる。なお、三次元空間内では、駆動軸14Aの延伸方向に対して直角になる駆動軸14Bの延伸方向は一意に決まらないが(駆動軸14Aの延伸方向に対して直角になる方向は駆動軸14Aの軸周りに360°あり得る)、第2ガルバノミラー12Bの駆動軸14Bは、駆動軸14Aの延伸方向に対して直角になるだけでなく、照射窓19wの方向にレーザーLを反射させることができる角度で配設されている。以上で説明した投光器10は、光源11やガルバノミラー12を有しているため、相当の重量を有している。
再び図1に戻って墨出し装置1の構成の説明を続ける。上述の投光器10は、重量があり、また、レーザーL(図2参照)を正確に照射するため、揺れを回避するべく、筐体60に強固に固定されている。投光器10は、照射窓19w(図2参照)を上方にして、照射窓19w(図2参照)が形成されたケース19(図2参照)の面が、筐体60の天板60tに固定されている。筐体60の天板60tには、レーザーL(図2参照)を外部に照射することができるように、照射窓19w(図2参照)に連なって出射窓60wが形成されている。
マルチ発光装置20は、側面レーザー光LB1、正面レーザー光LB2、鉛直レーザー光LB3の源であるレーザー光LBを発光するレーザー光源21と、レーザー光を3つのレーザー光に分ける発光部材としてのビームスプリッタ22と、ビームスプリッタ22を保持する自在支持部材23と、水平面に対するビームスプリッタ22の傾きを維持するための錘29とを有している。レーザー光源21から発光されたレーザー光LBは、可視光線のレーザービームであり、典型的には赤色のレーザービームである。
図3に外観を示すように、ビームスプリッタ22は、基本形状が四角錐に形成され、四角錐の頂部が切除されて頂部に頂面22tが形成された構成となっている。頂面22tは、レーザー光LBの軸直角断面よりも小さな面積で、矩形(正方形又は長方形)の底面22bに対して平行に形成されている。底面22bの一辺と頂面22tの一辺とをつなぐ側方の4つの面のうち、少なくとも正面22fとこれに隣接する一方の側面22sとが、底面22bに対して45°に形成されている。正面22f及び側面22sには、レーザー光LBを反射する反射膜が形成されている。反射膜は、典型的には、フィルムの貼付あるいはめっきにより形成されている。他方、頂面22t及び底面22bは、レーザー光LBが透過するように透明に形成されている。このように構成されたビームスプリッタ22は、頂面22tに対して直角に入射したレーザー光LBを、側面22sで反射して入射光LBに対して直角に進む側面レーザー光LB1と、正面22fで反射して入射光LBに対して直角に進む正面レーザー光LB2と、頂面22tを透過して底面22bから出射する鉛直レーザー光LB3とに3分割することができるように構成されている。このとき、側面22sと正面22fとが頂面22t上で直交しているので、側面レーザー光LB1と正面レーザー光LB2とが直交することとなる。また、側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2をビームスプリッタ22内部に延長したとすると、側面レーザー光LB1と正面レーザー光LB2と鉛直レーザー光LB3とが相互に直交することとなる。本明細書では、各レーザー光を延長したもの(換言すれば各レーザー光の軸線)が直交する場合も、レーザー光が直交すると表現することとする。
再び図1を参照してマルチ発光装置20の説明を続けるが、以下の説明においてビームスプリッタ22の構成に言及しているときは適宜図3を参照することとする。自在支持部材23は、第1の中間回動支持部材としての支持筒24と、第2の中間回動支持部材としての中間筒25と、固定筒26とを有している。支持筒24は、本実施の形態では円筒状の部材がその軸線に沿って2分割されて構成されており、ビームスプリッタ22を挟み込んだうえで1本の筒状の状態に合わせられることで、ビームスプリッタ22を把持するように構成されている。ビームスプリッタ22は、頂面22t及び底面22bが支持筒24の軸線に直交するように、支持筒24に把持されている。ビームスプリッタ22は、頂面22t側の方が支持筒24の端部までの距離が短くなるように、支持筒24の長手方向に対して片寄って把持されている。頂面22t側の支持筒24の端部には、レーザー光源21が設けられている。レーザー光源21は、照射されたレーザー光LBが、支持筒24の軸線に平行に延び、かつ、ビームスプリッタ22の頂面22tと正面22fと側面22sとに入射する位置及び向きで、支持筒24に固定されている。支持筒24の側面には、ビームスプリッタ22から出射された側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2を通過させる孔がそれぞれ形成されている。
中間筒25は、内部に支持筒24を挿通することができる筒状の部材であり、本実施の形態では円筒状に形成されている。中間筒25は、その軸線が支持筒24の軸線と一致する状態で、棒状の部材である内中軸27により支持筒24に枢支されている。内中軸27は、仮想の直線である内中軸線AX1上に設置されている。内中軸線AX1は、中間筒25の軸線と支持筒24の軸線とが一致する状態において、支持筒24に保持されたビームスプリッタ22内で3つのレーザー光LB1、LB2、LB3が交差する交差点を通過する仮想直線である。中間筒25に対して支持筒24は、内中軸線AX1まわりに相対的に回動することができるように構成されている。中間筒25の長さは、典型的には支持筒24の長さよりも短く、本実施の形態では支持筒24の長さの1/3程度に形成されている。中間筒25は、墨出し装置1が載置されたときに水平面に対して想定しうる最大の傾き(角度)に相当する角度分、中間筒25に対して支持筒24を内中軸線AX1まわりに回動させても、中間筒25と支持筒24とが干渉しないようにする観点から内径及び長さを決定することができる。中間筒25の側面には、ビームスプリッタ22から出射された側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2を通過させる孔がそれぞれ形成されている。本実施の形態では、内中軸27が側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2に干渉するのを回避する観点から、平面視において側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2が延びる方向と内中軸線AX1とのなす角が45°となるように内中軸27が設けられている。
固定筒26は、内部に中間筒25を挿通することができる筒状の部材であり、本実施の形態では円筒状に形成されている。固定筒26は、その軸線が中間筒25の軸線と一致する状態で、棒状の部材である中外軸28により中間筒25に枢支されている。中外軸28は、仮想の直線である中外軸線AX2上に設置されている。中外軸線AX2は、固定筒26の軸線と中間筒25の軸線と支持筒24の軸線とが一致する状態において、ビームスプリッタ22内の3つのレーザー光LB1、LB2、LB3の交差点を通過し、かつ、内中軸線AX1と交差する仮想直線である。本実施の形態では、内中軸線AX1と中外軸線AX2とが直交するように中外軸28が設けられている。中間筒25は、固定筒26に対して中外軸線AX2まわりに回動することができるように構成されている。このように構成されることで、ビームスプリッタ22は、3つのレーザー光LB1、LB2、LB3の交差点を中心として内中軸線AX1及び中外軸線AX2のまわりに回動することができるようになっている。固定筒26の長さは、典型的には支持筒24の長さよりも長く形成されている。固定筒26の側面には、ビームスプリッタ22から出射された側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2を通過させる孔がそれぞれ形成されている。本実施の形態では、中外軸28が側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2に干渉するのを回避する観点から、平面視において側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2が延びる方向と中外軸線AX2とのなす角が45°となるように中外軸28が設けられている。
錘29は、支持筒24の、レーザー光源21が取り付けられている端部とは反対側の端部に取り付けられている。錘29は、内中軸27及び中外軸28で枢支された支持筒24を、その軸線が鉛直に延びた状態で静止させることができるような配置で適切な質量が、支持筒24に取り付けられている。錘29は、支持筒24の軸線に沿って延びる鉛直レーザー光LB3を遮断しない形状となっている。錘29は、典型的には、リング状あるいは円筒状に形成されており、その軸線が支持筒24の軸線と一致するように支持筒24に取り付けられている。前述のように、ビームスプリッタ22は支持筒24に取り付けられているため、支持筒24に取り付けられている錘29は、支持筒24を介して間接的にビームスプリッタ22に取り付けられていることとなる。ビームスプリッタ22は、錘29の作用により、筐体60の傾きにかかわらず、鉛直レーザー光LB3が鉛直下方に延びる向きに維持されるように構成されている。
マルチ発光装置20は、固定筒26が筐体60の内側の底板60bに固定されることにより、筐体60に取り付けられている。マルチ発光装置20は、筐体60の底板60bが水平となったときに、ビームスプリッタ22から出射された側面レーザー光LB1が筐体60の側板60sに対して垂直となり、正面レーザー光LB2が筐体60の正板60fに対して垂直となる向きで、筐体60に取り付けられている。固定筒26は、マルチ発光装置20が筐体60に取り付けられたときに、支持筒24と一体になっている部材の最下部(本実施の形態では錘29)が筐体60に接触しない高さに形成されている。筐体60の外側の底板60bには、墨出し装置1を床面SFに載置するための三脚61が取り付けられている。三脚61が設けられていることで、平らでない床面SFに対しても安定的に墨出し装置1を載置することができる。筐体60の底板60bには、固定筒26の内径よりも小さい(本実施の形態では一回り小さい)底孔60bhが形成されている。
図4を図1と併せて参照して、側面傾斜センサ31を説明する。側面傾斜センサ31は、あらかじめ定められた側面基準点31P(第1の基準点)と、ビームスプリッタ22から出射された側面レーザー光LB1を受光した点である側面受光点31Q(第1の受光点)との距離Dから、筐体60の傾き、ひいては筐体60に固定された投光器10の傾きを検出する受光素子である。側面傾斜センサ31には、典型的には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semi−conductor)、あるいはPSD(Position Sensitive Device)が用いられる。側面傾斜センサ31は、筐体60の内側の側板60sに固定されている。
また、側面傾斜センサ31は、本実施の形態では、側面基準点31Pが、筐体60の底板60bが水平のときに側面受光点31Qと一致する位置に定められている(図4中に破線で示した側面傾斜センサ31’、側面基準点31P’、側面受光点31Q’を参照)。側面傾斜センサ31が検出できる傾きは、マルチ発光装置20の構造上、側面レーザー光LB1が延びる方向の成分における傾斜となる。換言すれば、墨出し装置1の仮の垂直断面を側面レーザー光LB1に対して平行に取ったときに、当該断面における投光器10の水平に対する傾きを検出することとなる。本実施の形態では、マルチ発光装置20の構造上、筐体60が傾いた場合でも、3つのレーザー光LB1、LB2、LB3の交差点を中心にして筐体60が相対的に傾斜するので、3つのレーザー光LB1、LB2、LB3の交差点と側面基準点31Pとの距離Rは一定となる。距離Rは、墨出し装置1の固有の値であらかじめ把握できるものであるから、距離Dを検出することにより、側面レーザー光LB1が延びる方向の成分における傾斜角θを、arctan(D/R)で算出することができる。また、距離Rが一定なので、傾きの方向にかかわらず(例えば、図4において側面傾斜センサ31が上方に移動するか下方に移動するかにかかわらず)、傾斜角θと距離Dとの関係が、同じになるため、傾きの方向の違いによる誤差の発生を回避することができる。
正面傾斜センサ32は、筐体60の内側の正板60fに固定され、正面レーザー光LB2を受光するように構成されている。正面傾斜センサ32は、側面傾斜センサ31と同様の構造を有しており、側面傾斜センサ31と同様に作動するように構成されている。正面傾斜センサ32は、本実施の形態では、第1の基準点としての正面基準点32Pが、筐体60の底板60bが水平のときに正面レーザー光LB2を受光する受光点(第2の受光点)と一致する位置に定められている。正面傾斜センサ32が検出できる傾きは、正面レーザー光LB2が延びる方向の成分における傾斜(正面レーザー光LB2に平行な仮想垂直断面における傾斜)となる。傾斜を検出する手段は、側面傾斜センサ31と同様である。
撮像装置33は、床面SFに照射された鉛直レーザー光LB3を撮像する装置であり、本実施の形態ではCCDカメラが用いられている。撮像装置33は、本実施の形態では、マルチ発光装置20の支持筒24の、レーザー光源21が取り付けられている端部とは反対側の端部に取り付けられている。これにより、撮像装置33が錘29を兼ねることとなり、錘29自体の質量を減らすこと、あるいは錘29を省略することが可能になると共に、撮像装置33の平面における設置位置を鉛直レーザー光LB3に接近させることができて、撮像した画像における鉛直レーザー光LB3を撮像した画像の中心近くにすることができる。撮像装置33を支持筒24の下端に設置することでバランスが崩れて鉛直レーザー光LB3を鉛直下向きに維持することが困難な場合は、カウンターウエイト39を設置するとよい。また、撮像装置33は、筐体60に対して設置されている向きが定まっている。あるいは、底孔60bhの枠を撮像される画像に入れることで、筐体60に対する撮像装置33の向きを特定できるように構成されていてもよい。
図5に、撮像装置33で撮像された画像の例を示す。図5に示す例は、墨出し装置1が載置された床面SF(図1(a)参照)を撮像したものである。撮像画像TPには、墨出し装置1の載置位置及び水平面内の回転の度合いを計測する際の基準となる地墨Mと、床面SFに投影された鉛直レーザー光LB3とが写っている。地墨Mは、本実施の形態では、直交する2つの地墨Mh、Mvが描かれている。基準とする地墨Mは、X通り及びY通りのそれぞれ通り芯から所定の距離(典型的には1m)に打たれている返り墨を用いてもよく、返り墨等から計測して所定の位置に描いた地墨を用いてもよい。図5に例示する撮像画像TPの中で地墨Mが傾いているのは、平面視において、筐体60の底板60bの外周の辺が、地墨Mに対して傾いて(回転して)載置されているためである。撮像画像TPにおける鉛直レーザー光LB3の位置は、墨出し装置1の構造において、鉛直レーザー光LB3が軸線と一致する支持筒24に撮像装置33が取り付けられており、鉛直レーザー光LB3と撮像装置33との相対的な位置が決まっているため、変わることがない。撮像装置33で撮像された画像は、画像データとして制御装置50に送信することができるように構成されている。
再び図1に戻って、墨出し装置1の説明を続ける。距離センサ40は、基準位置としての筐体60の天板60tと、墨出しの図形を投影する投影面(例えば天井面)との鉛直方向の距離を計測する装置である。距離センサ40は、レーザー距離測定器、超音波距離測定器等の、既存の計測器が用いられる。距離センサ40は、天板60tに筐体60の内側から取り付けられている。距離センサ40は、制御装置50と電気的に接続されており、取得した距離情報を信号として制御装置50に送信することができるように構成されている。
制御装置50は、墨出し装置1の動作を制御する部材である。図6には、制御装置50の概略構成を概念図で示してある。制御装置50は、傾斜算出部51と、位置算出部52と、高さ取得部53と、ロード部54と、補正部55と、指令部56と、端子59とを有している。制御装置50は、側面傾斜センサ31及び正面傾斜センサ32と信号ケーブルで接続されている。傾斜算出部51は、側面傾斜センサ31及び正面傾斜センサ32で検出された傾斜に関するデータ(図4に示す、算出された角度θ、又は角度の算出根拠となる距離D)を受信して、墨出し装置1(ひいては投光器10)全体の水平に対する傾きを算出するように構成されている。また、制御装置50は、撮像装置33と信号ケーブルで接続されている。位置算出部52は、撮像装置33で撮像された撮像画像TP(図5参照)をデジタルデータとして取得し、鉛直レーザー光LB3及び地墨M(図5参照)等の基準となるマークを認識して、墨出し装置1が載置されている位置及び向き(水平面における回転の度合い)を算出するように構成されている。
ここで再び図5を、図6と併せて参照して、墨出し装置1が載置されている位置及び向きの算出について説明する。位置算出部52は、撮像装置33から撮像画像TPのデータを受信すると、撮像画像TPの左下の角を原点として、水平方向をx軸、垂直方向をy軸とするx−y座標系を設定する。図5に示す撮像画像TPを見ると分かるように、この例では、墨出し装置1の水平面における位置の基準となる鉛直レーザー光LB3の投影スポットが、墨出し装置1が載置されている位置を把握する基準となる2つの地墨Mh、Mvの交点Pnから、x軸方向にΔx、y軸方向にΔyだけずれており、さらに、墨出し装置1の向き(例えばx軸の向き)が地墨M(ここでは地墨Mh)に対して角度αだけずれている。なお、図5において、地墨Mhとなす角αを形成する仮想線Lvは、筐体60(図1参照)の底板60b(図1参照)の外周の辺に平行な線である。
次に位置算出部52は、撮像画像TPのデータから地墨Mを認識し、2つの地墨Mh、Mvをそれぞれ1次関数の式で表す。位置算出部52における地墨Mの認識は、画像のピクセルをカウントすることで行うことができる。本実施の形態では、最小二乗法により、地墨Mhをy=ax+b(a、bは定数)、地墨Mvをx=cy+d(c、dは定数)の1次式で表すこととしている。2つの地墨Mh、Mvの1次式がそれぞれ算出されたら、位置算出部52は、上記2つの1次式から交点Pnの座標(x0、y0)を算出する。ここで、交点Pnの座標の算出は、画像のピクセルをx軸方向及びy軸方向にそれぞれカウントすることで求めることもできるが、地墨Mは太さ(換言すれば地墨Mの線の幅を形成するピクセル数)が一様ではないことが多いために基準となる交点Pnが多数のピクセルを占めるとに起因して誤差が生じやすくなることを回避する観点から、本実施の形態では2つの1次式から求めることとしている。交点Pnの座標(x0、y0)を2つの1次式から求めると、x0=(bc+d)/(1−ac)、y0=(ad+b)/(1−ac)となる。
位置算出部52は、上記交点Pnの座標の算出と並行して、撮像画像TPのデータから鉛直レーザー光LB3を認識し、その座標(X0、Y0)を算出する。鉛直レーザー光LB3の座標は、画像のピクセルをx軸方向及びy軸方向にそれぞれカウントすることで求めることができる。次に、位置算出部52は、算出した交点Pnの座標及び鉛直レーザー光LB3の座標から、x軸方向におけるずれΔx(=X0−x0)、及びy軸方向におけるずれΔy(=Y0−y0)を算出する。この位置のずれ量Δx、Δyは、撮像画像TP上のずれであるが、撮像装置33は床面SFから常に一定の高さにあるので、撮像画像TP内のずれ量Δx、Δyは、交点Pnと鉛直レーザー光LB3との位置ずれに対応している。さらに、位置算出部52は、地墨Mhの1次式の傾き(a)から、回転ずれαを算出する。回転ずれαは、α=arctan(a)の式により算出される。
再び制御装置50の説明に戻ると、制御装置50は、距離センサ40と信号ケーブルで接続されている。高さ取得部53は、距離センサ40から送られてきた距離情報の信号を取得してデコードし、補正部55に距離情報を送るように構成されている。ロード部54は、端子59から入力された、投影面に投影される図形(投影図形)が描かれた図面のデータ(例えばCADデータ)を読み込む部位である。ロード部54は、図面のデータが複数のレイヤーに分けられている場合に、特定のレイヤー(図形が描かれたレイヤー)のデータだけを取り込むことができるように構成されている。補正部55は、投影図形を投影面(天井面)の所定の位置に投影するために、傾斜算出部51で算出された傾き、位置算出部52で算出された位置及び向き、高さ取得部53で取得された投影面までの距離、ロード部54で読み取った投影図形のデータ等から、レーザーL(図2参照)の照射方向(換言するとミラー13A、13Bの角度)を決定するように構成されている。
また、制御装置50は、投光器10と信号ケーブルで接続されている。指令部56は、補正部55の演算結果にしたがって投光器10のミラー13A、13Bの角度を変えるように、アクチュエータ15A、15Bを作動させる信号を送信する部位である。端子59は、あらかじめ定められた投影図形が描かれた図面のデータや、投影面に照射したい投影図形のあらかじめ記憶されている形状(矩形や円形など)の選択及びその大きさ(各辺の長さや半径等)及び投影位置のデータの入力を受け付ける部分である。端子59は、USBやカードスロット等で形成されている。上述のように、制御装置50は、傾斜算出部51、位置算出部52、高さ取得部53、ロード部54、補正部55、指令部56を有するところ、これらは説明の便宜上観念的に区別したものであって、物理的に区別されていなくてもよい。傾斜算出部51、位置算出部52、高さ取得部53、ロード部54、補正部55、指令部56は、典型的にはコンピュータ内(CPUやメモリ等)に渾然一体に構成されているが、例えば位置算出部52が撮像装置33と一体に構成されている等、一部又は全部が別体に構成されていてもよい。
引き続き図1を参照して墨出し装置1の作用を説明する。以下の説明において、投光器10の構成に言及しているときは図2を、制御装置50の構成に言及しているときは図6を適宜参照することとする。まず、制御装置50の端子59に入力手段(典型的にはパソコン)を接続して、投影図形に関する情報を入力する。投影図形に関する情報は、典型的には、形状、大きさ、照射位置である。これは、例えばCAD図面上のデータとして入力すると、形状、大きさ、照射位置を直ちに入力することができて省力化を図ることができる。あるいは、CAD図面によらずにキーボードやマウス等で形状(例えばアネモ用の円形)、大きさ(例えば直径300mm)、照射位置(例えば円形の芯がX2通り芯からxmm、Y1通り芯からymm)を入力してもよく、これらの情報があらかじめ記憶された記憶媒体(メモリーカード等)を介して入力してもよい。上記の投影図形に関する情報は、制御装置50のロード部54に記憶される。
次に、墨出し装置1を床面SFに載置する。このとき、墨出し装置1を、平面視における投影図形を投影する位置の近くであって、設置位置を検出する手がかりとなるマーク(本実施の形態では地墨M(図5参照))の付近の任意の位置に載置すればよい。墨出し装置1を載置すると、マルチ発光装置20の構造上、鉛直レーザー光LB3が鉛直に延びる状態で支持筒24が静止する。支持筒24が静止したら、側面傾斜センサ31及び正面傾斜センサ32が、床面SFに載置された墨出し装置1の傾斜を検出する。このとき、互いに直交して水平に延びる側面レーザー光LB1及び正面レーザー光LB2の2つの成分の傾斜を検出するので、水平面に対する墨出し装置1全体の傾斜を検出することができる。側面傾斜センサ31は、側面レーザー光LB1を受光し、側面受光点31Q(図4参照)と側面基準点31P(図4参照)との距離D(図4参照)を検出して、検出した距離Dあるいは距離Dに対応する傾斜角θ(図4参照)のデータを制御装置50の傾斜算出部51へ送信する。他方、正面傾斜センサ32も、側面傾斜センサ31と同様に、正面レーザー光LB2が延びる方向の成分の傾きに関するデータを傾斜算出部51へ送信する。傾斜算出部51は、側面傾斜センサ31及び正面傾斜センサ32から受信したデータを基に、墨出し装置1全体が、側板60sの方向及び正板60fの方向にどの程度傾斜しているかを演算し、演算結果のデータを補正部55へ送信する。
また、支持筒24が静止したら、撮像装置33は鉛直レーザー光LB3及び地墨M(図5参照)を撮像する。撮像装置33は、撮像画像TP(図5参照)のデータを制御装置50の位置算出部52へ送信する。画像データを受信した位置算出部52は、地墨Mの交点Pnと鉛直レーザー光LB3との位置関係から墨出し装置1が載置されている位置を算出すると共に、撮像画像TPの外縁に対する地墨Mの傾きから載置されている墨出し装置1の向き(水平面における回転の程度)を算出し、演算結果のデータを補正部55へ送信する。さらに並行して、距離センサ40が、投影図形の投影面と投光器10との距離を検出し、検出した距離データを高さ取得部53へ送信する。高さ取得部53は、受信した距離データを補正部55へ送信する。
補正部55は、傾斜算出部51、位置算出部52、高さ取得部53からそれぞれデータを受信したら、墨出し装置1の載置状態について、標準の状態(水平の状態で基準となる位置に回転することなく載置されている状態)からの、傾斜、位置ずれ、回転ずれを算出する。なお、距離センサ40が検出する距離は、天板60tの面に対して直角方向の距離なので、傾斜算出部51で演算された傾斜の結果に基づいて、鉛直方向における天板60t(投光器10)と投影面との距離を算出し、以後の補正に利用する。
そして、指令部56は、投光器10の光源11から1本のレーザーLを発光する。すると、発光されたレーザーLが、ミラー13A、13Bを反射し、照射窓19wを透過して投影面に照射される。指令部56は、ロード部54にデータとして記憶された投影図形を、投影面に照射したレーザーLで投影面の所定の位置に描くように、アクチュエータ15A、15Bを制御して、ミラー13A、13Bの反射面13Af、13Bfの角度を適宜変える。このとき指令部56は、補正部55が算出した補正結果に基づいて反射面13Af、13Bfの角度を補正して、アクチュエータ15A、15Bを制御する。反射面13Af、13Bfの角度は、投影面に照射された1本のレーザーLの軌跡及びその残像により投影図形が描かれるようなスピードで変化させられる。このようにして、投影面にはレーザーLで描かれた投影図形が投影される。投影図形が投影された状態で投影面に墨(マーク)を入れる、あるいは直接開口を形成する等の施工をすればよい。
墨出し装置1は、投光器10(天板60t)が傾いていても投影図形を投影面の所定の位置に照射することができるため、投影図形が描かれるべき所定の位置の鉛直下方(投影図形の地墨を出すとしたならばその地墨が描かれる位置)に資材等が置かれている場合であってもその資材等を避けた位置から投影面の所定の位置にレーザーLで投影図形を描くことができる。また、天井ボード貼りを行う業者が床面SF上の広範囲に足場(典型的には脚立によって三点支持された足場板を隙間なく広範囲に並べる)を設置して地墨をそのまま上げることができない場合であっても、設置された足場の脇に墨出し装置1を載置し、天井ボード貼りを行う業者が設置した足場を利用して墨出しを行うことができるため、施工効率(施工に要する時間や費用等の削減率)を向上させることができる。
なお、墨出し装置1は、制御装置50のロード部54に記憶される投影図形に関する情報を、1つだけでなく、形状及び/又は照射位置がそれぞれ異なる複数の図形を記憶し、スイッチ(不図示)で切り換えることにより各図形を順次投影面に照射することができるように構成されていてもよい。
以上で説明したように、墨出し装置1は、1つの光源(レーザー光源21)で傾斜ずれ、位置ずれ、及び回転ずれを検出することができると共に、墨出し装置1単独で傾斜ずれ、位置ずれ、及び回転ずれの補正を行うことができるので、筐体60を水平に載置することが困難な場合であっても、また、墨出し装置1の設置位置及び向きを床面SFの基準位置(典型的には地墨M)に合わせなくても、投影面の所望の位置に投影図形を描画することができ、墨出し作業の大幅な省力化を図ることができる。
以上の説明では、投光器10が、2つのガルバノミラー12A、12Bを用いてレーザーLの照射方向を適宜変化させるように構成されていることとしたが、ガルバノミラー12に代えてMEMSミラー(MEMSはMicro Electro Mechanical Systemsの略)を用いることとしてもよい。
以上の説明では、ビームスプリッタ22が、1つのレーザー光LBを3つのレーザー光LB1、LB2、LB3に分割して、分割された3つのレーザー光LB1、LB2、LB3が相互に直交するように構成されているとしたが、レーザー光LBを側面レーザー光LB1と鉛直レーザー光LB3とに分けるビームスプリッタと、鉛直レーザー光LB3からさらに正面レーザー光LB2を分けるビームスプリッタとを上下に配置する(これら2つのビームスプリッタの上下は逆でもよい)構成としてもよい。このようにすると、ビームスプリッタの製造を簡便にすることができる。
以上の説明では、側面傾斜センサ31及び正面傾斜センサ32がCMOSあるいはPSDであるとしたが、基準点及び受光点を撮像装置で撮像し、撮像画像から検出した基準点と受光点との距離から傾きを算出するように構成されていてもよい。
以上の説明では、撮像装置33が支持筒24の下端に取り付けられているとしたが、筐体60の底板60bに取り付けられていてもよい。撮像装置33を筐体60の底板60bに取り付けると、墨出し装置1を床面SFに載置後に撮像装置33が揺れることがなく、安定して画像を撮像することができる。
以上の説明では、撮像画像TPのデータから認識した地墨Mを最小二乗法により1次式で表し、鉛直レーザー光LB3を、画像のピクセルをx軸方向及びy軸方向にそれぞれカウントして、墨出し装置1が載置されている位置及び向き(水平面における回転)のずれを検出することとしたが、これに限定されるものではなく、他の画像処理の手法でも実施可能である。つまり、撮像した画像TPから、地墨Mと鉛直レーザー光LB3との位置のずれと、水平面内の回転角度のずれが検出できればよい。
以上の説明では、自在支持部材23が、長さは異なるがいずれも円筒状に形成された支持筒24、中間筒25、固定筒26が、内中軸27及び中外軸28で枢支されることにより、支持筒24の軸線が鉛直に延びる状態を維持するように構成されていたが、以下のように構成されていてもよい。
図7は、変形例に係る自在支持部材123の概略構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるB−B断面図、(c)は(a)におけるC−C断面図である。自在支持部材123は、第1の中間回動支持部材としての支持体124と、第2の中間回動支持部材としての中間体125と、固定体126とを有している。支持体124は、長さが短めの円柱状部材を円形の直径で半分に切断して半円柱状に形成された半円柱部124aと、半円柱部124aの円弧の中点から反中心側に延びる円筒状の円筒部124bとを含んで構成されている。支持体124は、円筒部124bの軸線及びその延長線上の半円柱部124aに鉛直レーザー光LB3を通過させる光路124rが形成されており、半円柱部124aの円弧の中心で光路124r上の点にビームスプリッタ22が把持されている。半円柱部124aとは反対側の円筒部124bの端部には、鉛直レーザー光LB3を鉛直に延びるように維持するための錘29が取り付けられている。
中間体125は、基本形状が半円柱部124aと同様の半円柱状に形成されているが、大きさは半円柱部124aを包含できる大きさに形成されている。中間体125の円弧の中心部には、半円柱部124aを嵌合する半円弧状の窪み125dが形成されている。窪み125dは、その円弧の延びる方向が、平面視において中間体125の外縁の円弧が延びる方向と直交するように形成されている。窪み125dには、ベアリング(不図示)を介して半円柱部124aが載置されており、半円柱部124aは、半円柱部124aの円弧の中心を貫く第1の軸線としての内中軸線AX1のまわりに回動することができるように構成されている。
固定体126は、基本形状が中間体125と同様の半円柱状に形成されているが、大きさは中間体125を包含できる大きさに形成されている。固定体126の円弧の中心部には、中間体125を嵌合する半円状の窪み126dが形成されている。窪み126dは、その円弧の延びる方向が、平面視において固定体126の外縁の円弧が延びる方向と一致するように形成されている。窪み126dには、ベアリング(不図示)を介して中間体125が載置されており、中間体125の円弧の中心を貫く第2の軸線としての中外軸線AX2のまわりに回動することができるように構成されている。内中軸線AX1と中外軸線AX2とは、ビームスプリッタ22の3つのレーザー光LB1、LB2、LB3の交差点で交差するように構成されている。固定体126は、筐体60に固定されている。
上述のように構成された自在支持部材123は、自在支持部材23(図1参照)と同様にビームスプリッタ22の3つのレーザー光LB1、LB2、LB3の交差点を中心に支持体124及び中間体125が回動し、固定体126の角度が変わっても鉛直レーザー光LB3を鉛直方向に維持することができる。自在支持部材123は、ベアリング(不図示)を介して支持体124、中間体125、固定体126が嵌合しているので、部材の交換を行いやすいという利点がある。
1 墨出し装置
10 投光器
20 マルチ発光装置
22 ビームスプリッタ
23 自在支持部材
24 支持筒
25 中間筒
29 錘
31 側面傾斜センサ
31P 側面基準点
31Q 側面受光点
32 正面傾斜センサ
33 撮像装置
50 制御装置
60 筐体
AX1 内中軸線
AX2 中外軸線
D 距離
M 地墨
LB1 側面レーザー光
LB2 正面レーザー光
LB3 鉛直レーザー光
SF 床面
TP 撮像画像

Claims (3)

  1. 可視光線束を投影面に照射してあらかじめ定められた図形を前記投影面に投影する投光器と;
    前記投光器が固定された筐体と;
    第1のレーザー光と、前記第1のレーザー光に対して直角に延びる第2のレーザー光と、前記第1のレーザー光及び前記第2のレーザー光に対して直角に延びる第3のレーザー光とを照射するマルチ発光装置であって、前記3つのレーザー光を発光する発光部材と、前記筐体に対して前記発光部材を向きが可変となるように取り付ける自在支持部材と、前記第3のレーザー光が前記発光部材から鉛直下方に延びる前記発光部材の向きを維持するように前記発光部材に直接又は間接に取り付けられた錘と、を有するマルチ発光装置と;
    前記筐体に固定された第1の傾斜センサであって、前記第1のレーザー光を受光して第1の受光点を検出し、あらかじめ定められた第1の基準点と前記第1の受光点との距離に基づいて、前記第1のレーザー光に平行な仮想垂直断面における前記投光器の水平に対する傾きを検出する第1の傾斜センサと;
    前記筐体に固定された第2の傾斜センサであって、前記第2のレーザー光を受光して第2の受光点を検出し、あらかじめ定められた第2の基準点と前記第2の受光点との距離に基づいて、前記第2のレーザー光に平行な仮想垂直断面における前記投光器の水平に対する傾きを検出する第2の傾斜センサと;
    前記筐体が載置される載置面に照射された前記第3のレーザー光を撮像する撮像装置であって、前記載置面に印された基準マークを撮像可能な撮像装置と;
    前記撮像装置で撮像された画像における前記基準マークと前記第3のレーザー光とから、前記載置面における前記基準マークに対する前記載置面に載置された前記筐体の位置ずれ量及び回転ずれ角度を算出し、前記位置ずれ量及び前記回転ずれ角度並びに前記第1の傾斜センサで検出された前記投光器の傾き及び前記第2の傾斜センサで検出された前記投光器の傾きに基づいて、前記投光器から照射される前記可視光線束の方向を補正する制御装置とを備える;
    墨出し装置。
  2. 前記発光部材が、前記第1のレーザー光と前記第2のレーザー光と前記第3のレーザー光とが相互に直交するように構成され;
    前記自在支持部材が、前記3つのレーザー光の交差点を通る第1の軸線まわりに回動する第1の中間回動支持部材と、前記第1の軸線に交差し前記3つのレーザー光の交差点を通る第2の軸線まわりに回動する第2の中間回動支持部材とを含んで構成された;
    請求項1に記載の墨出し装置。
  3. 前記撮像装置が、前記発光部材に直接又は間接に取り付けられ、前記錘を兼ねる;
    請求項1又は請求項2に記載の墨出し装置。
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