JP5462105B2 - ファラデー回転子用ガーネット型単結晶及びそれを用いた光アイソレータ - Google Patents

ファラデー回転子用ガーネット型単結晶及びそれを用いた光アイソレータ Download PDF

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Description

本発明は、ファラデー回転子用ガーネット型単結晶及びそれを用いた光アイソレータに関する。
光アイソレータは、磁界の印加により入射光の偏光面を回転させるファラデー回転子を有しており、近年では、光通信だけでなくレーザ加工機にも使用されるようになってきている。
このような光アイソレータに使用されるファラデー回転子として、従来より、テルビウム・ガリウム・ガーネット型単結晶(TGG:TbGa12)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット型単結晶(TAG:TbAl12)、テルビウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット型単結晶(TSAG:TbScAl12)などが知られている(下記非特許文献1及び2、並びに特許文献1)。
特開2002−293693号公報
Journal of Crystal Growth 306 (2007) p.195−199 Cryst.Res.Technol.34(1999)5−6、p.615−619
しかし、TGGは、単結晶の育成中における原料成分の酸化ガリウムの蒸発が激しいなどの理由から単結晶の大型化が難しく、歩留まりが悪い。そしてこのことが、コストが下がりにくい要因となっている。またTGGはベルデ定数が小さいため、大きなファラデー回転角を示すファラデー回転子を得るには、大きな結晶を用いてファラデー回転子を製造する必要があり、ファラデー回転子の小型化が困難であった。
またTAGは、TGGよりも大きいベルデ定数を有するものの、TGGに比べると大型の単結晶を育成することが困難であり、未だ実用化に至っていない。
さらにTSAGは、TGGより大きなベルデ定数を有し、TAGに比べて大型の単結晶を育成できるものの、TGGに比べるとクラックが発生しやすく、単結晶の大型化が困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大きなベルデ定数を有し、クラックの発生を十分に抑制でき且つ大型化が可能なファラデー回転子用ガーネット型単結晶及びそれを用いた光アイソレータを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、上記特許文献1に記載された下記一般式:
(Tb3−xSc)ScAl12
で表される単結晶に着目して鋭意研究を重ねた結果、6配位のScの一部を4価のイオン及び2価のイオンで置換することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とするファラデー回転子用ガーネット型単結晶である。
(Tb3−z)(Sc2−x−y)Al12−w (1)
(式中、Mは4価イオン、Nは2価イオンを表し、Lは、M,N及びScからなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、x,y,z及びwは下記式を満たす。
0<x<0.3
0<y<0.3
0<x+y<0.6
0≦z<0.3
0≦w<0.5)
本発明のガーネット型単結晶は、大きなベルデ定数を有する。このため、この単結晶を用いて得られるファラデー回転子は、大きなファラデー回転角を示しつつも小型化が可能となる。また本発明のガーネット型単結晶によれば、クラックの発生を十分に抑制でき且つ大型化が可能となる。このため、本発明の単結晶からファラデー回転子を切り出す場合、大量のファラデー回転子を得ることができる。
上記の効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推測している。即ち、本発明の単結晶が、大きなベルデ定数を有する理由は、本発明の単結晶が、大きなベルデ定数を有するTSAGの基本構造を有しているためではないかと本発明者らは推測している。また、クラックの発生が十分に抑制された大型の単結晶を実現することが可能な理由は、TSAGにおいて6配位のScの一部が4価のイオン及び2価のイオンで置換されることでガーネット構造が極めて安定化されるためではないかと本発明者らは推測している。
上記一般式(1)において、x、y、z及びwが下記式:
x=y
0≦z<0.2
0≦w<0.3
0<x<0.1
を満たすことが好ましい。この場合、x、y、z及びwが上記式を満たさない場合に比べて、電気的中性条件が満たされやすくなり、結晶の安定性がより向上する。
また本発明は、ファラデー回転子を有する光アイソレータであって、前記ファラデー回転子が、上記ファラデー回転子用ガーネット型単結晶で構成されている光アイソレータである。
この光アイソレータにおいては、ファラデー回転子が上記ガーネット型単結晶で構成され、このガーネット型単結晶は大きなベルデ定数を有する。このため、ファラデー回転子は、大きなファラデー回転角を示しつつも小型化が可能となる。このため、本発明の光アイソレータによれば、小型化を実現することが可能となる。また本発明の光アイソレータにおいては、ファラデー回転子が上記ガーネット型単結晶で構成され、上記単結晶からはファラデー回転子を大量に得ることができるため、ファラデー回転子の低価格化が可能となる。従って、本発明の光アイソレータによれば、低価格化が可能となる。
本発明によれば、大きなベルデ定数を有し、クラックの発生を十分に抑制でき且つ大型化が可能なファラデー回転子用ガーネット型単結晶及びそれを用いた光アイソレータが提供される。
本発明に係る光アイソレータの一実施形態を示す図である。 本発明に係るファラデー回転子用ガーネット型単結晶を、結晶育成装置を用いて育成する工程を示す工程図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の光アイソレータの一実施形態を示す図である。図1に示すように、光アイソレータ10は、偏光子1と、検光子2と、偏光子1と検光子2との間に配置されるファラデー回転子3とを備えている。ここで、偏光子1及び検光子2は、それらの透過軸同士が互いに非平行となるように、例えば45°の角度をなすように配置されている。
ファラデー回転子3には、例えば偏光子1から検光子2に向かう方向、即ち光Lの入射方向に沿って磁界Bが印加されるようになっており、ファラデー回転子3は、磁界Bの印加により、偏光子1を通過した光Lについて、その偏光面を回転させて、検光子2の透過軸を通過させるようになっている。
ここで、ファラデー回転子3について詳細に説明する。
ファラデー回転子3は、下記一般式(1)で表されるファラデー回転子用ガーネット型単結晶で構成されている。
(Tb3−z)(Sc2−x−y)Al12−w (1)
(式中、Mは4価イオン、Nは2価イオンを表し、Lは、M,N及びScからなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、x,y,z及びwは下記式を満たす。
0<x<0.3
0<y<0.3
0<x+y<0.6
0≦z<0.3
0≦w<0.5)
ここで、上記一般式(1)で表される単結晶は、テルビウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット型単結晶を表している。上記一般式(1)で表される単結晶は、TbScAl12を基準とした場合、(Sc2−x−y)の部分によりScの一部が4価のイオンMおよび2価のイオンNで置換されることを示しており、(Tb3−z)の部分によりTbの一部が、M、N及びScからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換され得ることを示している。
Mは4価のイオンであれば特に制限なく使用可能であるが、Mとしては、例えばSi、Ge、Sn、Ti、Zr又はHfが用いられる。これらは単独で用いても又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、Mとしては、4価のイオンの中でも安定で且つ安価であることから、Siが最も好ましい。
Nは2価のイオンであれば特に制限なく使用可能であるが、Nとしては、例えばCa、Mg、Be、Sr、Ba、Zn又はNiが用いられる。これらは単独で用いても又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、Nとしては、2価のイオンの中でも安定で且つ安価であることから、Caが最も好ましい。
Lは、M、N及びScからなる群より選ばれる少なくとも1種であればよく、M、N又はSc単独であってもよいし、M、N及びScのうちから選択した2種以上であってもよい。
上記一般式(1)で表されるガーネット型単結晶は大きなベルデ定数を有する。このため、ファラデー回転子3は、大きなファラデー回転角を示しつつも小型化が可能となる。従って、光アイソレータ10の小型化を実現することが可能となる。また上記一般式(1)で表されるガーネット型単結晶は、クラックの発生を十分に抑制でき且つ大型化が可能となる。このため、上記単結晶からファラデー回転子3を切り出す場合、大量のファラデー回転子を得ることができる。このため、ファラデー回転子3の低価格化が可能となり、ひいては光アイソレータ10の低価格化も可能となる。
上記一般式(1)において、xは、式0<x<0.3を満たす。xがこの式を満たさないと、クラックの発生を十分に抑制することができなくなる。xは、4価のイオンが6配位位置に、より安定に存在し、クラックの発生をより十分に抑制できることから、0.01以上であることが好ましい。
上記一般式(1)において、yは、式0<y<0.3を満たす。yがこの式を満たさないと、クラックの発生を十分に抑制することができなくなる。yは、2価のイオンが6配位位置に、より安定に存在し、クラックの発生をより十分に抑制できることから、0.01以上であることが好ましい。
上記一般式(1)において、x及びyは、式0<x+y<0.6を満たす。x+yがこの式を満たさないと、クラックの発生を十分に抑制できなくなる。(x+y)は、M及びNの各イオンが6配位位置に、より安定に存在し、クラックの発生をより十分に抑制できることから、0.02〜0.4であることが好ましい。
上記一般式(1)において、zは、式0≦z<0.3を満たす。zがこの式を満たさないと、ガーネット型単結晶が大きなベルデ定数を有さず、クラックの発生が十分に抑制された大型の単結晶を得ることもできなくなる。zは、クラックの発生をより十分に抑制する観点からは、0〜0.2であることが好ましく、特に、zが0であることが好ましい。
上記一般式(1)において、wは、式0≦w<0.5を満たす。wがこの式を満たさないと、酸素欠陥が過剰となり、ガーネット型単結晶が大きなベルデ定数を有さず、クラックの発生が十分に抑制された大型の単結晶を得ることもできなくなる。wは、0であることが、単結晶内の酸素欠陥が無いという理由から好ましい。尚、wが0でない場合、酸素原子数が、ガーネット型結晶における酸素原子数である12より小さくなるが、これは単結晶における欠陥に起因するものである。
上記一般式(1)においては、x、y、z及びwが下記式:
x=y
0≦z<0.2
0≦w<0.3
0<x<0.1
を同時に満たすことが好ましい。この場合、x、y、z及びwが上記式を満たさない場合に比べて、結晶がより安定化し、より大型の結晶育成が可能となるという利点がある。
次に、上記ファラデー回転子3の製造方法について説明する。
まずファラデー回転子3を構成するガーネット型単結晶を育成する結晶育成装置について図2を参照しながら説明する。図2は、本発明に係るファラデー回転子用ガーネット型単結晶を、結晶育成装置を用いて育成する工程を示す工程図である。図2に示すように、結晶育成装置20は、イリジウム製ルツボ21と、ルツボ21を収容するセラミック製の筒状容器22と、筒状容器22の周囲に巻回される高周波コイル23とを主として備えている。高周波コイル23は、ルツボ21に誘導電流を生じさせ、ルツボ21を加熱するためのものである。
次に、上記結晶育成装置20を用いた上記単結晶の育成方法について説明する。
まずTb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末を用意する。
そして、育成すべき単結晶の組成、即ち、上記一般式(1)におけるx、y、z及びwが決定されたならば、その組成に基づいて、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末の配合率を決定する。このとき、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末は、次の通りにする。
即ち、Tb粉末の配合率は通常、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末の合計モル数を基準として、20〜24モル%とする。
Sc粉末の配合率は通常、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末の合計モル数を基準として、22〜31モル%とする。
Al粉末の配合率は通常、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末の合計モルを基準として、40〜46モル%とする。
MO粉末の配合率は通常、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末の合計モルを基準として、0モル%より大きく5モル%以下とする。
NO粉末の配合率は通常、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末の合計モルを基準として、0モル%より大きく5モル%以下とする。
そして、上記のようにして決定された配合率で上記Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、MO粉末及びNO粉末を乾式混合して混合粉末を得る。
次に、上記混合粉末をルツボ21に詰める。
続いて、高周波コイル23に電流を印加する。すると、ルツボ21が加熱され、ルツボ21内で混合粉末が溶融され、融液24が得られる。続いて、棒状の種結晶25を用意し、その種結晶25の先端を融液24に漬けた後、種結晶25を所定の回転数で回転させながら、所定の引上げ速度で引き上げる。
このとき、種結晶25としては、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)などのガーネット型単結晶を用いることができる。
種結晶25の回転数は、好ましくは3〜50rpmとし、より好ましくは3〜10rpmとする。
種結晶25の引き上げ速度は、好ましくは0.1〜3mm/hとし、より好ましくは0.2〜1mm/hとする。
種結晶25の引上げは、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、不活性ガスとしては、通常は窒素が用いられる。また種結晶25の引上げは通常は、大気圧下で行う。
こうして種結晶25を引き上げると、種結晶25の先端に、上記一般式(1)で表されるバルク状の単結晶26を得ることができる。このとき、単結晶26が上記一般式(1)で表される組成を有するように育成されることで、単結晶26を育成する過程でのクラックの発生が十分に抑制され、クラックの発生が十分に抑制された大型の単結晶26を得ることが可能となる。
そして、このバルク状の単結晶26から、ファラデー回転子3が切り出される。このとき、大きな単結晶26が得られるため、大量のファラデー回転子3を得ることができる。しかも、単結晶26は、上記一般式(1)で表される組成を有することで、切り出し時におけるクラックの発生をも十分に抑制することが可能となる。このため、単結晶26から、ファラデー回転子3を安定して得ることもできる。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まずTb粉末(純度99.99%)、Sc粉末(純度99.99%)、Al粉末(純度99.99%)、SiO粉末(純度99.99%)、CaO粉末(純度99.99%)を用意し、これらの粉末を乾式混合し、混合粉末を得た。このとき、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、SiO粉末及びCaO粉末の合計モル数を基準として、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、SiO粉末及びCaO粉末の各配合率は、22.9モル%、29.8モル%、45.8モル%、0.76モル%及び0.76モル%とした。
続いて、上記混合粉末を、直径50mm、深さ50mmの筒状のルツボ21に詰めた。
次に、高周波コイル23に電流を印加してルツボ21を加熱して混合粉末を溶融させ、融液24を得た。続いて、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)からなる3×3×70mmの角棒状の種結晶25を用意し、その種結晶25の先端を融液24に漬けた後、種結晶25を、10rpmの回転数で回転させながら、1mm/hrの引上げ速度で引き上げた。このとき、筒状容器22内に2L/minの流量で窒素を流し込み、大気圧下、窒素雰囲気で種結晶25の引上げを行った。こうして直径約2.5cm、長さ約5cmの透明な単結晶を得た。
こうして得られた単結晶についてX線回折を行ったところ、TbScAl12のピークが確認された。また、得られた単結晶について、単結晶X線回折による構造解析を行った結果、Tbの一部がScで置換され、Scの一部がSi及びCaで置換され、酸素原子の一部が欠損していることが確認された。
さらに、上記単結晶については、ICP(誘導結合プラズマ)による化学分析を行い、単結晶の組成(Tb、Sc、Al、Si、Ca及びOの原子数比)を確認した。ICPによる化学分析は、具体的には以下のようにして行った。即ちまず単結晶の直胴部下端から50mgを切り出して切出片を得た。次に、白金ルツボに切出片を入れ、続いて、4ホウ酸リチウム250mgを加えた。続いて、この白金ルツボを高温加熱炉に収容して1030℃で2時間加熱し、切出片を融解させた。その後、白金ルツボを放冷した後、50mlのビーカーに切出片を入れ、さらにHCl20mlを加えた。次いで、ビーカーをホットプレート上に配置して緩やかに加熱し、切出片からHCl中に各元素成分(Tb、Sc、Al、Si及びCa)を溶解させた。このとき、ビーカー内に得られた溶液を50mlにメスアップし、この溶液について、ICPによる化学分析を行った。この結果、(Tb2.98Sc0.02)(Sc1.96Si0.02Ca0.02)Al11.9の組成を有する単結晶が得られていることが確認された。
(実施例2)
まずTb粉末(純度99.99%)、Sc粉末(純度99.99%)、Al粉末(純度99.99%)、SiO粉末(純度99.99%)、CaO粉末(純度99.99%)を用意し、これらの粉末を乾式混合し、混合粉末を得た。このとき、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、SiO粉末及びCaO粉末の合計モル数を基準として、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、SiO粉末及びCaO粉末の各配合率は、22.7モル%、28.8モル%、45.5モル%、1.5モル%および1.5モル%とした。
続いて、上記混合粉末を、直径50mm、深さ50mmの筒状のルツボ21に詰めた。
その後は、実施例1と同様にして単結晶を育成した。こうして直径約2.5cm、長さ約5cmの透明な単結晶を得た。
こうして得られた単結晶についてX線回折を行ったところ、TbScAl12のピークが確認された。また、得られた単結晶について、単結晶X線回折による構造解析を行った結果、Tbの一部がScで置換され、Scの一部がSi及びCaで置換され、酸素原子の一部が欠損していることが確認された。
さらに、単結晶については、実施例1と同様にしてICPによる化学分析を行ったところ、(Tb2.97Sc0.03)(Sc1.92Si0.04Ca0.04)Al11.9の組成を有する単結晶が得られていることが確認された。
(実施例3)
まずTb粉末(純度99.99%)、Sc粉末(純度99.99%)、Al粉末(純度99.99%)、SiO粉末(純度99.99%)、CaO粉末(純度99.99%)を用意し、これらの粉末を乾式混合し、混合粉末を得た。このとき、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、SiO粉末及びCaO粉末の合計モル数を基準として、Tb粉末、Sc粉末、Al粉末、SiO粉末及びCaO粉末の各配合率は、22.3モル%、26.9モル%、44.8モル%、3モル%および3モル%とした。
続いて、上記混合粉末を、直径50mm、深さ50mmの筒状のルツボ21に詰めた。
その後は、実施例1と同様にして単結晶を育成した。こうして直径約2.5cm、長さ約5cmの透明な単結晶を得た。
こうして得られた単結晶についてX線回折を行ったところ、TbScAl12のピークが確認された。また、得られた単結晶について、単結晶X線回折による構造解析を行った結果、Tbの一部がScで置換され、Scの一部がSi及びCaで置換され、酸素原子の一部が欠損していることが確認された。
さらに、単結晶については、実施例1と同様にしてICPによる化学分析を行ったところ、(Tb2.95Sc0.05)(Sc1.82Si0.09Ca0.09)Al11.9の組成を有する単結晶が得られていることが確認された。
(比較例1)
まずTb粉末(純度99.99%)、Sc粉末(純度99.99%)およびAl粉末(純度99.99%)を用意し、これらの粉末を乾式混合し、混合粉末を得た。このとき、Tb粉末、Sc粉末およびAl粉末の合計モル数を基準として、Tb粉末、Sc粉末及びAl粉末の各配合率は、20.8モル%、34モル%および45.2モル%とした。
続いて、上記混合粉末を、直径50mm、深さ50mmの筒状のルツボ21に詰めた。
その後は、実施例1と同様にして単結晶を育成した。こうして直径約2.5cm、長さ約5cmの透明な単結晶を得た。
こうして得られた単結晶についてX線回折を行ったところ、TbScAl12のピークが確認された。また、得られた単結晶について、単結晶X線回折による構造解析を行った結果、Tbの一部がScで置換され、Scの一部がAlで置換され、酸素原子の一部が欠損していることが確認された。
さらに、単結晶については、実施例1と同様にしてICPによる化学分析を行ったところ、(Tb2.88Sc0.12)(Sc1.96Al0.04)Al11.9
の組成を有する単結晶が得られていることが確認された。
(比較例2)
まずTb粉末(純度99.99%)およびGa粉末(純度99.99%)を用意し、これらの粉末を乾式混合し、混合粉末を得た。このとき、Tb粉末およびGa粉末の合計モル数を基準として、Tb粉末およびGa粉末の各配合率は、34.8モル%および65.2モル%とした。
続いて、上記混合粉末を、直径50mm、深さ50mmの筒状のルツボ21に詰めた。
その後は、実施例1と同様にして単結晶を育成した。こうして直径約2.5cm、長さ約5cmの透明な単結晶を得た。
こうして得られた単結晶についてX線回折を行ったところ、TbGa12のピークが確認された。また、得られた単結晶について、単結晶X線回折による構造解析を行った結果、Tbの一部がGaで置換され、酸素原子の一部が欠損していることが確認された。
さらに、単結晶については、実施例1と同様にしてICPによる化学分析を行ったところ、(Tb2.98Ga0.02)Ga11.9
の組成を有する単結晶が得られていることが確認された。
[特性評価]
(ファラデー回転角)
上記のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜2の単結晶について、633nm、1064nm及び1303nmの波長におけるファラデー回転角を測定した。
このとき、ファラデー回転角の測定は以下のようにして行った。即ちまず偏光子と検光子との間に単結晶を配置しない状態で検光子を回転させて消光状態にした。次に、実施例1〜3及び比較例1〜2の単結晶を、3.5×3.5×20mmの角棒状に切り出し、これを、偏光子と検光子との間に配置し、単結晶の長手方向に沿って0.42Tの磁束密度を印加した状態で光を入射し、再度検光子を回転させて消光状態にした。そして、偏光子と検光子との間に単結晶を挟む前の検光子の回転角と、単結晶を挟んだ後の検光子の回転角との差を算出し、この角度差をファラデー回転角とした。このとき、ファラデー回転角は、光源の波長を633nm、1064nmおよび1303nmのそれぞれについて測定した。結果を表1に示す。
(クラックの有無)
実施例1〜3及び比較例1〜2の単結晶について、育成直後のクラックの有無を目視にて調べた。また実施例1〜3及び比較例1〜2の単結晶から、電着ダイヤモンドブレードを装着した内周刃切断機によって約2cm厚の結晶塊を切り出し、単結晶における切り出し時のクラックの有無を目視にて調べた。結果を表1に示す。

Figure 0005462105
表1に示す結果より、実施例1〜3の単結晶は、比較例2の単結晶に比べて、633nm、1064nm及び1303nmの全波長域で大きなファラデー回転角を示すことが分かった。このことから、実施例1〜3の単結晶は、比較例2の単結晶に比べて、633nm、1064nm及び1303nmの全波長域で大きなベルデ定数を有していることが分かった。
また実施例1〜3の単結晶については、直径約2.5cm、長さ約5cmの大型の単結晶であったにもかかわらず、育成直後及び切り出し時のいずれにおいてもクラックが見られなかった。これに対し、比較例1の単結晶は、直径約2.5cm、長さ約5cmの大型の単結晶であったものの、育成直後及び切り出し時のいずれにおいてもクラックが見られた。
以上より、本発明のファラデー回転子用ガーネット型単結晶は、大きなベルデ定数を有し、クラックの発生を十分に抑制でき且つ大型化が可能であることが確認された。
1…偏光子
2…検光子
3…ファラデー回転子
10…光アイソレータ

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とするファラデー回転子用ガーネット型単結晶。
    (Tb3−z)(Sc2−x−y)Al12−w (1)
    (式中、Mは4価イオン、Nは2価イオンを表し、Lは、M,N及びScからなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、x,y,z及びwは下記式を満たす。
    0<x<0.3
    0<y<0.3
    0<x+y<0.6
    0≦z<0.3
    0≦w<0.5)
  2. 前記一般式(1)において、x、y、z及びwが下記式:
    x=y
    0≦z<0.2
    0≦w<0.3
    0<x<0.1
    を満たす請求項1に記載のファラデー回転子用ガーネット型単結晶。
  3. ファラデー回転子を有する光アイソレータであって、
    前記ファラデー回転子が、請求項1又は2に記載のファラデー回転子用ガーネット型単結晶で構成されている光アイソレータ。
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