JP5460994B2 - ガスタービン及びその部分負荷時運転方法 - Google Patents
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Description
第1の運転方法は、ガスタービン起動時に燃焼器の冷却方法を変えないものであり、燃焼器の冷却に空気を用いる場合に採用されている。この運転方法では、冷却用空気を圧縮機から抽気するので、燃焼器冷却用の付帯設備が不要である。しかしながら、ガスタービンの起動時には、燃焼器内部で高温の燃焼ガスが発生しているにもかかわらず、冷却用空気は定格運転時と比較して圧力が低く、従って、冷却能力も低くなる。すなわち、ガスタービン起動時における燃焼器の冷却能力によって、起動時の運転方法に大きな制約を受けることとなる。
このフューエルステージングを具体的に説明すると、たとえば図8に示す燃焼器12のように、パイロットノズル12Pの周囲に8本のメインノズル12a〜12hが配設されているような場合、最初に3本のメインノズル12a,12b,12cに着火させ、続いて5本、最後に8本というように着火するノズル本数を増やしていくものである。
(1)燃焼器内の温度は一部が部分的に高くなり、燃焼器内には熱応力の原因となる温度分布ができる。この温度分布は、一般的には定格運転時より厳しいものとなる。
(2)ガスタービンの燃焼排ガスを使用する蒸気タービン系統で発生した蒸気を燃焼器の冷却媒体に用いる場合、部分負荷であるために十分な蒸気量を確保できず、定格運転時よりも低い冷却性能しか達成できない。
(3)圧縮機から抽気した空気を用いる場合、定格運転時より抽気した空気の圧力が低いため、定格運転時よりも低い冷却性能しか達成できない。
燃焼器の蒸気冷却を行うガスタービンに関する従来技術として、ガスタービンの部分負荷時に蒸気タービン系統で発生した蒸気に水を噴霧して蒸気温度を下げ、蒸気の冷却能力を向上させることで燃焼器の冷却を可能にした蒸気冷却ガスタービンシステムが開示されている。(たとえば、特許文献1参照)
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガスタービンの部分負荷時に効率よく確実に燃焼器を冷却して運転することができるガスタービン及びその部分負荷時運転方法を提供することにある。
本発明に係るガスタービンは、圧縮機で圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンにおいて、前記圧縮機の吐出側流路から分岐する分岐流路に接続され、前記圧縮空気を抽気して昇圧する前記圧縮機から独立した運転により昇圧圧縮空気の流量を調整可能な昇圧手段と、該昇圧手段で昇圧された前記昇圧圧縮空気を前記燃焼器内に設けられている燃焼器冷却流路へ導く冷却媒体供給流路と、前記燃焼器冷却流路を通過した前記昇圧圧縮空気を前記吐出側流路へ導いて合流させる冷却媒体戻し流路とを備え、ガスタービンの部分負荷時に前記昇圧手段を運転し、前記燃焼器冷却流路内に前記昇圧圧縮空気を流して冷却することを特徴とする。
この場合に好適な冷却手段は、前記昇圧圧縮空気と前記圧縮機で圧縮された圧縮空気との間で熱交換させる熱交換器、前記昇圧圧縮空気と前記燃焼器に供給される燃料との間で熱交換させる熱交換器、前記昇圧圧縮空気と排熱回収ボイラの給水または蒸気との間で熱交換させる熱交換器がある。
また、昇圧手段等を燃焼器のクローズド冷却に用いたブーストアップ用昇圧手段と共用して有効利用すれば、付帯設備の付加を最小限に抑えて、すなわち、新たに設備を付加することなく部分負荷時の燃焼器冷却を効率よく確実に実施することができる。
<第1の実施形態>
図1は本実施形態に係るガスタービンを示す概略図、図2はガスタービンの概略構成を示す断面図である。なお、図示の実施形態では、発電機を駆動して発電するガスタービンについて説明するが、これに限定されるものではない。
燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、バーナで点火することで燃焼可能となっている。
タービン13は、タービン車室20内に複数の静翼21と動翼22とが交互に配設されている。
図1において、圧縮機11により圧縮された圧縮空気は、ガスタービン10の負荷を定格運転まで上げていく起動中、すなわち、フューエルステージングによる部分負荷運転時に、圧縮機11により圧縮された圧縮空気が圧縮空気供給流路28を通って燃焼器12へ供給され、燃焼器12で発生した燃焼ガスは、ケーシング内の排出流路29を通ってタービン13へ供給される。なお、図中の符号30は燃料供給流路である。
昇圧装置40の吸込側は、車室内に形成される圧縮空気供給流路28から分岐した分岐流路42に接続され、吐出側は昇圧空気流路43に接続されている。この昇圧空気流路43は、燃焼器12に設けられている燃焼器冷却流路50へ昇圧圧縮空気を導くための流路である。なお、この昇圧装置40については、たとえば定格運転時等に燃焼器冷却用の空気を圧縮して供給するもの(クローズド冷却に用いるブーストアップ用昇圧装置)と共用することが望ましい。
燃焼器冷却流路50を通過して燃焼器12を冷却した昇圧圧縮空気は、昇圧空気戻し流路44を通って圧縮空気供給流路28へ合流した後、この圧縮空気供給流路28を通って燃焼器12へ流入する。
すなわち、上述した昇圧装置40が、昇圧圧縮空気の流量を調整する流量可変手段を備えていることにより、部分負荷時の昇圧圧縮空気流量を定格運転時より増すことで、燃焼器12の冷却に十分な冷却空気量を確保することができる。
流量可変手段の第1具体例としては、昇圧装置40の回転数を変動させる制御がある。すなわち、図3に示す作動マップ(横軸:修正流量/縦軸:圧力比)において、昇圧装置40に圧縮機を採用して回転数一定の運転を行うと、右肩下がりの特性を示す。そして、昇圧装置40の回転数を上げると、右肩下がりのラインが全体的に右上へスライドするので、昇圧装置40の回転数を小から大へと変化させることにより、修正流量をaからcへと増加させることができる。この場合、昇圧機40の回転数を増すと電動機41の出力も大きくなるので、ガスタービン10のサイクル効率は下がることになるが、冷却空気の流量を増加させて冷却能力を向上させることで、部分負荷時の燃焼器冷却が可能となる。
また、流量可変手段の第3具体例としては、昇圧装置40の吸入側(分岐流路42)または吐出側(昇圧空気流路43)に流量調整弁を設け、流量調整弁の開度調整により流量制御を行ってもよい。
なお、上述した各具体例については、単独採用は勿論のこと、複数を適宜組合せて採用することも可能である。
最初に、燃焼器12のメインノズル着火本数が0本の運転領域aでは、ガスタービン10のサイクル効率を考えずに燃焼器12の冷却空気流量(昇圧圧縮空気量)を最大限まで増加させる。なお、この運転領域では、ガスタービン10の負荷はなく、たとえば昇圧装置40の電動機41を定格運転時より大きな出力で運転して流量を増加させる。
この後、メインノズル着火本数が5本に増加した運転領域cや、メインノズル着火本数が全数の8本に増加した運転領域dでも、上述した運転領域bと同様に最大限まで増加した空気量を維持する運転が継続される。
従って、昇圧圧縮空気の全量を回収することでサイクル効率の減少が少なく、しかも、燃焼器12の燃焼用空気として多くの圧縮空気を確保できるので、排気ガスの低NOx化が可能となる。また、圧縮空気を用いた燃焼器冷却であるため、ガスタービン単体で独立した運転が可能であり、たとえば補助ボイラ等を先行起動して蒸気の供給を受ける場合と比較して、始動に要する時間を短縮できる。
続いて、本実施形態に係るガスタービンを図5に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のガスタービン10では、昇圧圧縮空気を燃焼器冷却流路50へ導く冷却媒体供給流路の昇圧空気流路43に、昇圧圧縮空気を冷却する冷却手段として熱交換器60が設けられている。図示の構成例では、昇圧空気流路43を流れる昇圧圧縮空気と、圧縮機11で圧縮された圧縮空気との間で熱交換させる熱交換器60が設けられている。
図7に示す第2変形例では、熱交換器60で昇圧圧縮空気を冷却する媒体として、排熱回収ボイラ70から給水供給ライン71を通って導入される給水、または、排熱回収ボイラ70から蒸気供給ライン72を通って導入される蒸気が用いられている。
このような変形例を採用しても、いずれの媒体も昇圧圧縮空気と比較して低温となるので、相対的に高温の昇圧圧縮空気を低温の媒体により冷却することができる。この結果、燃焼器12の冷却に使用される昇圧圧縮空気の温度が低下するので、相対的な温度差を増すことで効率のよい燃焼器冷却を行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば圧縮機とタービンとの接続形態等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 圧縮機
12 燃焼器
13 タービン
28 圧縮空気供給流路
29 排出流路
40 昇圧装置
42 分岐流路
43 昇圧空気流路
44 昇圧空気戻し流路
50 燃焼器冷却流路
60 熱交換器
70 排熱回収ボイラ
Claims (6)
- 圧縮機で圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンにおいて、
前記圧縮機の吐出側流路から分岐する分岐流路に接続され、前記圧縮空気を抽気して昇圧する前記圧縮機から独立した運転により昇圧圧縮空気の流量を調整可能な昇圧手段と、該昇圧手段で昇圧された前記昇圧圧縮空気を前記燃焼器内に設けられている燃焼器冷却流路へ導く冷却媒体供給流路と、前記燃焼器冷却流路を通過した前記昇圧圧縮空気を前記吐出側流路へ導いて合流させる冷却媒体戻し流路とを備え、
ガスタービンの部分負荷時に前記昇圧手段を運転し、前記燃焼器冷却流路内に前記昇圧圧縮空気を流して冷却することを特徴とするガスタービン。 - 前記冷却媒体供給流路に前記昇圧圧縮空気の冷却手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
- 前記冷却手段が、前記昇圧圧縮空気と前記圧縮機で圧縮された圧縮空気との間で熱交換させる熱交換器であることを特徴とする請求項2に記載のガスタービン。
- 前記冷却手段が、前記昇圧圧縮空気と前記燃焼器に供給される燃料との間で熱交換させる熱交換器であることを特徴とする請求項2に記載のガスタービン。
- 前記冷却手段が、前記昇圧圧縮空気と排熱回収ボイラの給水または蒸気との間で熱交換させる熱交換器であることを特徴とする請求項2に記載のガスタービン。
- 圧縮機で圧縮された圧縮空気に燃焼器で燃料を供給して燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービンに供給することで回転動力を得るように構成されているガスタービンの部分負荷時運転方法であって、
ガスタービン部分負荷時に前記燃焼器を冷却する手順として、
前記圧縮機の吐出側流路から分岐する分岐流路に接続され、前記圧縮機から独立して運転可能であるとともに昇圧圧縮空気の流量を調整可能な昇圧手段が前記圧縮空気を抽気して昇圧する過程と、
前記昇圧手段で昇圧された前記昇圧圧縮空気が前記燃焼器内に設けられている燃焼器冷却流路に導かれ、該燃焼器冷却流路内を通過する前記昇圧圧縮空気により燃焼器を冷却する過程と、
前記昇圧圧縮空気を前記燃焼器冷却流路から前記吐出側流路へ導いて合流させる過程と、を備えていることを特徴とするガスタービンの部分負荷時運転方法。
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